JP2024024446A - 積層体及び包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 内容物耐性に優れた積層体を用いた包装物品の連続製造工程において、包装物品を熱シールによる封止部から切り離す際に、樹脂伸びを生じることがなくカット性に優れ、且つ、腰強度が高く生産性に優れた積層体を提供する。【解決手段】 積層体1は、ポリエステル層2、ガスバリア層5、表面改質層10、接着層9、及びシーラント層8をこの順に含む。ここで、上記接着層9は、上記表面改質層10と隣接した酸変性ポリエチレン層6と、上記シーラント層8と隣接した低密度ポリエチレン層7とからなる溶融共押出層であり、上記シーラント層8は、融点が115℃以上の直鎖状低密度ポリエチレンからなる。【選択図】 図1

Description

本発明は、積層体及び包装体に関する。
食品及び医薬品等の包装に用いられる包装体には、内容物の変質や腐敗等を抑制し、それらの機能や性質を保持することが求められる。このため、そのような包装体の包装材料としては、水蒸気、酸素その他の、内容物を変質させる気体の侵入を遮断するガスバリア性を有する積層体が一般に用いられている。
積層体では、耐性包装体の用途であっても、接着層を形成する接着剤として、ウレタン2液硬化タイプのドライラミネート用接着剤が一般的に用いられる。しかしながら、包装体により包装される内容物には、アルカリ性物質、香料、界面活性剤、高沸点有機溶媒などを含有するものが多くある。これらの内容物を包装体で包装すると、内容物が含んでいる上記成分がドライラミネート用接着剤層に悪影響を及ぼし、積層体のラミネート強度の低下を招き、剥離が生じることがあった。
このように、耐内容物性を要する包装体の場合、その積層体には、内容物が含む成分に起因したデラミネーション(剥離)を生じ難い性質、即ち、内容物耐性が求められる。しかしながら、一般的なドライラミネーションでは、積層体へガスバリア性を付与するアルミニウム箔とシーラント層との間のラミネート強度が経時的に低下し、その結果、デラミネーションを生じるという問題があった。
このような状況に対応するため、ラミネート加工に使用される接着剤の改良が種々行われており、アルコール耐性のあるものなどが提案されている(例えば特許文献1)。また、幅広い種類の透明バリアフィルムやアルミニウム箔との接着性に優れ、優れた内容物耐性を実現し得る接着剤として、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンを使った積層体が提案されている。
一方、アルミニウム箔などの金属箔は、ヘアカラー剤のように酸性又はアルカリ性が強い内容物によって腐食して、細かなピンホールを生じることが知られている。ピンホールを生じると、バリア性が劣化して酸素が侵入し、ヘアカラー剤に斑点状の変色が発生する。そのため、アルミニウム箔などの金属箔に化成処理を施すことが行われている。例えば、特許文献2には、ヘアカラー剤用包装材として、ヘアカラー剤によるデラミネーションを防止するべく、アルミニウム箔とシーラントフィルムとを熱可塑性樹脂の押し出しにより接着するとともに、アルミニウム箔の腐食を防止するべく、その表面にリン酸クロメート処理などの化成処理を行ったものが開示されている。
特許第5915710号公報 特許第4945871号公報
包装体に収容する内容物がヘアカラー剤などの液体の場合、内容物の充填及び包装には縦型ピロー包装が用いられることが多い。縦型ピロー包装は、包装材である積層体を垂直方向に送る過程でピロー(枕)状に成型しながら背面と底面を熱シールし、内容物を上から充填した後、上部を熱シールで封止すると共にその封止部をカットして切り離すことにより、連続的に包装物品を製造する包装方法である。封止部のカットには、例えば刃物が用いられる。
上述したように、アルミニウム箔とシーラント層との間の接着層として、内容物耐性を有する無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンを使用した場合、一般的なポリエチレンを使用した場合と比較し、熱シールした際に樹脂が流れやすくなる。このため、例えば、上述した縦型ピロー包装において、熱シールによる封止部をカットして包装物品を切り離す際、樹脂伸びによるカット不良を引き起こす(カット性が悪い)という問題を生じる。
また、上記接着層として無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いてサンドイッチラミネートされた積層体は、ドライラミネーション仕様の積層体と比べて柔らかく腰強度が低いため、製袋後における包装物品の搬送中に搬送コンベアでの折れ曲がりによる搬送不良を発生しやすいという問題もある。
本発明は、内容物耐性に優れた積層体を用いた包装物品の連続製造工程において、包装物品を熱シールによる封止部から切り離す際に、樹脂伸びを生じることがなくカット性に優れ、且つ、腰強度が高く生産性に優れた積層体を提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、ポリエステル層、ガスバリア層、表面改質層、接着層、及びシーラント層をこの順に含み、上記接着層は、上記表面改質層及び上記シーラント層と隣接した酸変性ポリエチレン層からなる溶融押出層であるか、又は、上記表面改質層と隣接した酸変性ポリエチレン層と、上記シーラント層と隣接した低密度ポリエチレン層とからなる溶融共押出層であり、上記シーラント層は、融点が115℃以上の直鎖状低密度ポリエチレンからなる積層体が提供される。
本発明の他の側面によると、腰強度がループスティフネス値で45mN以上(ループ長70mm、押込み長10mm)である上記側面に係る積層体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記ポリエステル層の厚さが24μm以下である上記側面の何れかに係る積層体が提供される。
本発明の他の側面によると、上記接着層は、上記酸変性ポリエチレン層として、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンからなる層を含む上記側面の何れかに係る積層体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記表面改質層は、金属及びその塩の少なくとも一方を含んだ無機物と、有機高分子とを含んでいる上記側面の何れかに係る積層体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンは、示差走査熱量測定における冷却過程において、90乃至100℃の温度範囲内で第1吸熱ピークを示し、且つ、50℃から低温側に20℃以上連続した第2吸熱ピークを示す成分を含んだ上記側面に係る積層体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記接着層の厚さに占める酸変性ポリエチレンからなる層の厚さの割合は25%以上である上記側面の何れかに係る積層体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記接着層は上記溶融共押出層である上記側面の何れかに係る積層体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記酸変性ポリエチレン層を構成している酸変性ポリエチレンは、密度が0.86乃至0.92g/cmの範囲内にあり、メルトフローレートが8.0乃至12.0g/10minの範囲内にあり、上記低密度ポリエチレン層を構成している低密度ポリエチレンは、密度が0.910乃至0.930g/cmの範囲内にあり、メルトフローレートが6.0乃至8.5g/10minの範囲内にある上記側面に係る積層体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに係る積層体を含む包装体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、袋である上記側面に係る包装体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、アンモニア又はモノエタノールアミンを含有する内容物の包装に用いられる上記側面の何れかに係る包装体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記内容物がヘアカラー剤である上記側面の何れかに係る包装体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに係る包装体と、これに収容された内容物とを含む包装物品が提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記内容物がアンモニア又はモノエタノールアミンを含有する上記側面に係る包装物品が提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記内容物がヘアカラー剤である上記側面の何れかに係る包装物品が提供される。
本発明によると、内容物耐性に優れた積層体を用いた包装物品の連続製造工程において、包装物品を熱シールによる封止部から切り離す際に、樹脂伸びを生じることがなくカット性に優れ、且つ、腰強度が高く生産性に優れた積層体が提供される。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層体の断面図である。 図2は、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンのDSC測定例を示す図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。以下に記載する事項は、単独で又は複数を組み合わせて、上記側面の各々に組み入れることができる。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の構成部材の材質、形状、及び構造等によって限定されるものではない。本発明の技術的思想には、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
なお、同様又は類似した機能を有する要素については、以下で参照する図面において同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は模式的なものであり、或る方向の寸法と別の方向の寸法との関係、及び、或る部材の寸法と他の部材の寸法との関係等は、現実のものとは異なり得る。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層体の断面図である。図1に示す積層体1は、例えば、高耐性包装体に使用する。積層体1は、ポリエステル層2、印刷インキ層3、接着剤層4、ガスバリア層5、表面改質層10、接着層9、及びシーラント層8をこの順に含んでいる。
ポリエステル層2は、基材層である。ポリエステル層2を形成する樹脂としては、この種の包装材料に通常用いられるポリエステル系樹脂を用いればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、又はこれらの共重合体が挙げられる。
ポリエステル層2としては、通常は二軸延伸することによって得られる延伸フィルムが用いられる。ポリエステル層2の厚さは、特に限定されるものではなく、例えば、9乃至50μmの範囲内であってよい。ポリエステル層2の厚さが厚くなると、内容物を充填後に熱シールにより封止する際のシール温度が高くなり、カット時の樹脂伸びが生じやすくなる。このためカット性の観点からは、ポリエステル層2の厚さは24μm以下であることがより好ましい。ポリエステル層2は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
印刷インキ層3は、例えば、積層体1や、この積層体1から得られるパウチなどの包装体に情報を表示するために設ける。印刷インキ層3は、特に限定するものではないが、公知のグラビアインキ等を用いた印刷によって設けることができる。印刷インキ層3は、省略することができる。
接着剤層4は、印刷インキ層3が設けられたポリエステル層2とガスバリア層5とを貼り合わせている。接着剤層4を形成する接着剤は、一般的に使用される接着剤であれば限定されない。例えば、2液硬化型のウレタン接着剤が好適に用いられる。
ガスバリア層5は、例えば、金属箔、又は金属酸化物の蒸着により形成される層であってよい。金属箔の材料としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス等が挙げられる。汎用性、フレキシブル性の観点からは、ガスバリア層5は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属箔であることが好ましい。
金属酸化物としては、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム等が挙げられ、酸化アルミニウムが好ましい。金属酸化物蒸着層の形成方法としては、特に限定されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法等が挙げられる。
ガスバリア層5は、薄いほどピンホールが発生し易い。必要なバリア性を確保するためには、ガスバリア層5の厚さは5μm以上であることが好ましい。ガスバリア層5の厚さは、50μm以下であることが好ましい。
包装物品としては、例えば、内容物を押し出して吐出させるものがある。そのような包装物品では、内容物の吐出後に起こるエアバックによる包装体内への酸素流入を防ぐために、デッドホールド性を有する包装材料を使用することがある。そのような用途で積層体1を使用する場合、ガスバリア層5の厚さは12μm以上とすることが好ましい。
表面改質層10は、例えば、包装体に収容される内容物が腐食性の成分を含んでいる場合に、ガスバリア層5の腐食を生じ難くし、これにより、腐食に伴うデラミネーションを生じ難くし得る。ここで、腐食性の成分は、例えば、ヘアカラー剤に用いられるモノエタノールアミンやアンモニア、洗浄剤に用いられる次亜塩素酸塩、水酸化ナトリウムなどの強アルカリ性の液体や、香料原液のエステル、テルペンなどの有機溶剤、リモネン、メントールなどの香料成分、又は高濃度アルコールである。
表面改質層10は、金属及びその塩の少なくとも一方を含んだ無機物と、有機高分子とを含んでいる。表面改質層10が含む金属は、好ましくは重金属である。表面改質層10が含む金属は、例えば、ジルコニウム、クロム、チタン、及びハフニウムの1以上である。有機高分子は、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びフェノール樹脂の1以上である。有機高分子は、窒素原子を含むものであることが好ましい。
表面改質層10は、無機物層とその上に設けられた有機高分子層とからなるものであってもよい。或いは、表面改質層10において、無機物と有機高分子とは少なくとも部分的に混ざり合っていてもよい。無機物を含んだ層は、例えば、ジルコニウム系の化成被膜処理剤(日本ペイント・サーフケミカルズ社製のサーフコート(登録商標)EC1000Aなど)や、クロム系の化成被膜処理剤(日本ペイント・サーフケミカルズ社製のサーフコート(登録商標)NR-Xなど)を公知の方法でガスバリア層5上へ塗布することによって形成することができる。
接着層9は、表面改質層10と隣接した酸変性ポリエチレン層6と、シーラント層8と隣接した低密度ポリエチレン層7とからなる溶融共押出層である。ここで、或る要素と他の要素とが隣接していることは、それら要素が接触していることを意味している。シーラント層8と、接着層9と、ポリエステル層2、印刷インキ層3、接着剤層4、ガスバリア層5及び表面改質層10を含んだ積層構造とは、サンドイッチラミネーションによって一体化されている。
ここで、接着層9は、ガスバリア層5の上に形成された表面改質層10と、酸変性ポリエチレン層6とが接するように設けられている。このような構成とすることにより、ガスバリア層5と接着層9との接着強度が向上する。また、上記の通り、表面改質層10は、内容物が含む成分に起因したガスバリア層5の腐食を抑制する。従って、この積層体1を包装材料として使用した包装物品は、長期保存した場合であっても、ガスバリア層5とシーラント層8との間で十分な密着力が維持される。
酸変性ポリエチレン層6は、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンからなる層であることが好ましい。即ち、酸変性ポリエチレン層6を構成している酸変性ポリエチレンは、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンであることが好ましい。ここで、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンは、ポリエチレンを無水マレイン酸によりグラフト変性したポリエチレンである。
無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンは、好ましくは、図2に示すように、示差走査熱量測定における冷却過程において、90乃至100℃の温度範囲内で第1吸熱ピークP1を示し、且つ、50℃から低温側に20℃以上連続した第2吸熱ピークP2を示す成分を含む。より好ましくは、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンは、図2に示すように、示差走査熱量測定における冷却過程において、90乃至100℃の温度範囲内で第1吸熱ピークP1を示し、且つ、50℃から低温側に20℃以上連続した第2吸熱ピークP2を示す成分からなる。
このような無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンは、低温から接着性を発現する。それ故、このような無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンを使用することにより、熱処理時のしわの発生を抑制することができる。
無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンの無水マレイン酸グラフト率は、0.1乃至1.0質量%の範囲内にあることが好ましい。無水マレイン酸グラフト率を過剰に小さくすると、ラミネート強度の低下につながり易い。無水マレイン酸グラフト率を過剰に大きくすると、水分の吸着が多くなり、発泡につながり、コスト高や黄変に原因ともなる。また、押し出し機やダイス金属に吸着しやすくなり、ヤケの原因となるなど、加工性が低下する虞がある。
酸変性ポリエチレンは、密度が0.86乃至0.92g/cmの範囲内にあることが好ましい。また、酸変性ポリエチレンは、メルトフローレートが8.0乃至12.0g/10minの範囲内にあることが好ましい。ここで、メルトフローレートは、JIS K7210-1:2014に規定されたA法に従い、温度190℃及び荷重2.16kgの条件下で測定を行うことによって得られるメルトマスフローレートである。
低密度ポリエチレン層7を構成する低密度ポリエチレンは、密度が0.910乃至0.930g/cmの範囲内にあることが好ましい。また、この低密度ポリエチレンは、メルトフローレートが6.0乃至8.5g/10minの範囲内にあることが好ましい。
低密度ポリエチレン層7は、省略することができる。即ち、接着層9は、表面改質層10及びシーラント層8と隣接した酸変性ポリエチレン層6からなる溶融押出層であってもよい。但し、低密度ポリエチレン層7を設けると、溶融押出しにおけるネックインを生じ難くすることができる。
酸変性ポリエチレン及び低密度ポリエチレンは、ネックインを生じ難くする観点から、上述した密度及びメルトフローレートを有していることが好ましい。
接着層9の厚さに占める酸変性ポリエチレンからなる層の厚さの割合、即ち、接着層9の厚さに占める酸変性ポリエチレン層6の厚さの割合は、25%以上であることが好ましい。この割合は、90%以上であってもよい。この割合を小さくすると、接着性が不安定となる虞がある。上記の通り、低密度ポリエチレン層7は省略することができるが、ネックインを生じ難くするうえでは、この割合は、75%以下であることが好ましい。
シーラント層8は、融点が115℃以上の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)からなる層である。シーラント層として、融点が115℃以上の耐熱性に優れる直鎖状低密度ポリエチレンからなる層を使用することにより、積層体1のカット性が向上する。
ここで、積層体1のカット性の向上とは、積層体1を用いた包装物品の連続製造工程において、内容物充填後に熱シールするとともに包装物品を熱シールによる封止部から切り離す際に、接着層9からの樹脂伸びが発生せず、カット不良の発生が抑制されることを意味する。このカット性の向上効果は、積層体1が酸変性ポリエチレン層6として無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンからなる層を含む場合に特に有用であり、シーラント層8として耐熱性の高い直鎖状低密度ポリエチレンを使用することにより、内容物耐性並びにカット性に優れた積層体が得られる。
また、シーラント層8として、融点が115℃以上の耐熱性に優れる直鎖状低密度ポリエチレンを使用することにより、積層体1の腰強度が向上する。上述したとおり、積層体1は、シーラント層8と、接着層9と、ポリエステル層2、印刷インキ層3、接着剤層4、ガスバリア層5及び表面改質層10を含んだ積層構造とが、サンドイッチラミネーションによって一体化されたものであり、ドライラミネーション仕様の積層体よりも柔らかく腰強度が低い。積層体1の腰強度が低いと、製袋後における包装物品の搬送中に搬送コンベアでの折れ曲がりによる搬送不良が発生しやすい。シーラント層8として、融点115℃以上の耐熱性に優れる直鎖状低密度ポリエチレンからなる層を使用することにより、積層体1の腰強度が向上するため、搬送不良の発生が抑制され、生産性が改善される。
ここで腰強度とは、剛性、弾性などと同様な特性を表す一つの特性値である。腰強度は、下記測定条件により測定されるループスティフネス値である。
(測定条件)
積層体1から幅15mm、長さ200mmの試験片を切り取り、これを測定サンプルとする。測定サンプルのシーラント層8が内側となるようにして、測定サンプルの両端部をクリップに挟んで固定し、ループ長さが70mmの円形ループを形成する。得られた円形ループをクリップの反対側から押込み速度3.3mm/秒で押込み、押込み長さが10mmとなるのに要する荷重(反発力)をループスティフネス値(腰強度)とする。測定装置としては、ループスティフネステスター((株)東洋精機製作所製)が例示できる。
積層体1の腰強度(ループスティフネス測定値)は、45mN以上であることが好ましく、60mN以上であることが寄り好ましい。積層体1の腰強度(ループスティフネス測定値)は、例えば80mN以下であればよい。
直鎖状低密度ポリエチレンの融点は、JIS-K7121に準拠して測定することができる。具体的には、示差走査熱量測定(DSC)法により、ペレット状の樹脂において、10℃/分の加熱速度で昇温し、一度冷却後、再度10℃/分の加熱速度で昇温し、測定した結晶融解ピークポイントである。ピークが多数検出された場合には、一番高い温度のピークの値である。シーラント層8を構成する直鎖状低密度ポリエチレンの融点は、好ましくは121℃以上である。シーラント層8を構成する直鎖状低密度ポリエチレンの融点は、例えば、125℃以下であればよい。
この積層体1は、包装体の包装材料として使用することができる。包装体は、例えば、合掌袋、三方袋、二方袋、スタンディングパウチ、及びガゼット袋等の袋である。
この包装体に内容物を収容してなる包装物品において、内容物はどのようなものでも構わない。内容物は、アルミニウム合金を腐食し得る成分を含むものであってもよい。例えば、内容物は、モノエタノールアミン、アンモニア、次亜塩素酸塩、水酸化ナトリウムなどの強アルカリ性液体、香料原液のエステル、テルペンなどの有機溶剤、リモネン、メントールなどの香料成分、又は高濃度アルコールを含んでいてもよい。内容物は、例えば、ヘアカラー剤、除草剤、又は、香料若しくは次亜塩素酸塩を含んだ液体である。
この積層体1は、上述した通り、包装材料として使用した場合に、内容物耐性に優れておりデラミネーションを生じ難い。これに加え、この積層体1は、上述した通り、包装物品の連続製造工程におけるカット性に優れ、且つ、腰強度が高く生産性に優れる。
以下に、本発明に関連して行った試験について記載する。
<例1>
(材料)
本例では、図1を参照しながら説明した積層体1を製造した。但し、本例では、印刷インキ層3を省略した。
具体的には、先ず、ポリエステル層2と接着剤層4とガスバリア層5と表面改質層10とを含んだ積層構造を形成した。ポリエステル層2としては、厚さが12μmポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(フタムラ化学社製FE2001)を使用した。接着剤層4には、エステル主鎖の主剤(三井化学社製A525)と硬化剤(三井化学社製A52)とを使用した。ガスバリア層5としては、1N30材からなる厚さが9μmのアルミニウム箔を使用した。表面改質層10は、日本ペイント・サーフケミカルズ社製のサーフコート(登録商標)EC1000A/Bを使用して形成した。
次に、酸変性ポリエチレンと低密度ポリエチレンとを溶融共押出しするとともに、これらを上記の積層構造とシーラント層8との間に挟んで、それらをサンドイッチラミネートした。酸変性ポリエチレンとしては、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン(三菱ケミカル社製:融点98℃、密度0.88g/cm、メルトフローレート10g/10min)を使用した。低密度ポリエチレンとしては、日本ポリエチレン会社製LC600A(融点106℃、密度0.918g/cm、メルトフローレート7.0g/10min)を使用した。酸変性ポリエチレン層6の厚さは10μmとし、低密度ポリエチレン層7の厚さも10μmとした。また、シーラント層8としては、融点が121℃、厚さが40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(フタムラ化学社製LLDPE-XHT)を使用した。
その後、上記の積層フィルムへ、140℃に設定したヒータロールによって15秒間に亘って熱を加えた。以上のようにして、積層体1を作製した。
<例2>
本例では、シーラント層8として、融点が121℃、厚さが40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(フタムラ化学社製LLDPE-XHT)を使用する代わりに、融点が121℃、厚さが40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(出光ユニテック社製LLDPE-LS-733CA)を使用したこと以外は例1と同様の方法により、図1を参照しながら説明した積層体1を作製した。但し、本例においても、印刷インキ層3を省略した。
<比較例1>
本例では、シーラント層8として、融点が121℃、厚さが40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(フタムラ化学社製LLDPE-XHT)を使用する代わりに、融点が112℃、厚さが40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(フタムラ化学社製MTNST)を使用したこと以外は例1と同様の方法により、図1を参照しながら説明した積層体1を作製した。但し、本例においても、印刷インキ層3を省略した。
<比較例2>
本例では、先ず、ポリエステル層2として、厚さが12μmポリエチレンテレフタレートフィルム(フタムラ化学社製FE2001)を使用する代わりに、厚さが25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(フタムラ化学社製FE2001)を使用した。更に本例では、シーラント層8として、融点が121℃、厚さが40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(フタムラ化学社製LLDPE-XHT)を使用する代わりに、融点が112℃、厚さが40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(フタムラ化学社製MTNST)を使用した。本例において、これら以外は例1と同様の方法により、図1を参照しながら説明した積層体1を作製した。但し、本例においても、印刷インキ層3を省略した。
<評価>
例1及び2並びに比較例1及び2に係る積層体の各々について、腰強度(ループスティフネス値)を下記方法により測定した。
(ループスティフネス値の測定)
ループスティフネス値の測定には、ループスティフネステスター((株)東洋精機製作所製)を測定装置として用いた。各積層体を、それぞれ、幅15mm、長さ200mm(製膜時の流れ方向:MD)のサイズに裁断して、測定サンプルとした。次に、測定サンプルのシーラント層8が内側となるようにして、測定サンプルの両端部をクリップに挟んで固定し長さ方向の中央部分において、ループ長さが70mmの円形ループを形成した。得られた円形ループをクリップの反対側から押込み速度3.3mm/秒で押込み、押込み長さが10mmとなるのに要する荷重をループスティフネス値とした。なお、当該測定装置によって測定される単位は「g」であるため、1kgF≒9.8Nと換算して、表1に測定結果を示した。
また、例1及び2並びに比較例1及び2に係る積層体の各々を使用して、袋を連続的に製造し、カット性と搬送性を評価した。すなわち、連続製袋工程における袋の切り離しにおいて、熱シールによる封止部を熱シールするとともに切断したときのカット性と、製袋後における搬送コンベアによる搬送性を、下記基準に従い評価した。なお、袋の製造では、ピッチを170mmに、ショット数を25袋/分に設定した。
(カット性)
A:袋の切断時に樹脂伸びがなかった。
B:袋の切断時に樹脂伸びがあった。
(搬送性)
A:搬送コンベアでの折れ曲がりによる搬送不良がなく搬送はスムースであった。
B:搬送コンベアでの折れ曲がりにより搬送不良が生じた。
上記表に示すように、例1及び例2と比較例1との対比から、融点が115℃以上で耐熱性の高いシーラント層を使用することにより、カット性及び搬送性が向上した。したがって、本発明により、内容物耐性、カット性及び搬送性に優れる積層体が得られることがわかった。また、比較例2から、融点が115℃未満のシーラント層を用いた場合、ポリエステル層の膜厚を厚くすることにより腰強度を上げることは可能であるが、カット性の良好な積層体は得られないことがわかった。なお、ポリエステル層の膜厚を高くすることにより、封止時のシール温度を上げる必要があるため、カット性は悪化する。
1…積層体、2…ポリエステル層、3…印刷インキ層、4…接着剤層、5…ガスバリア層、6…酸変性ポリエチレン層6、7…低密度ポリエチレン層、8…シーラント層、9…接着層、10…表面改質層、P1…第1吸熱ピーク、P2…第2吸熱ピーク。

Claims (5)

  1. ポリエステル層、ガスバリア層、表面改質層、接着層、及びシーラント層をこの順に含み、
    前記接着層は、前記表面改質層及び前記シーラント層と隣接した酸変性ポリエチレン層からなる溶融押出層であるか、又は、前記表面改質層と隣接した酸変性ポリエチレン層と、前記シーラント層と隣接した低密度ポリエチレン層とからなる溶融共押出層であり、
    前記シーラント層は、融点が115℃以上の直鎖状低密度ポリエチレンからなる積層体。
  2. 腰強度がループスティフネス値で45mN以上(ループ長70mm、押込み長10mm)である請求項1に記載の積層体。
  3. 前記表面改質層は、金属及びその塩の少なくとも一方を含んだ無機物と、有機高分子とを含んでいる請求項1に記載の積層体。
  4. 前記接着層は、前記酸変性ポリエチレン層として、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンからなる層を含む請求項1に記載の積層体。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載の積層体を含み、アンモニア又はモノエタノールアミンを含有する内容物の包装に用いられる包装体。
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