JP2024023753A - ポリオール組成物、発泡性ポリウレタン組成物及びポリウレタンフォーム - Google Patents

ポリオール組成物、発泡性ポリウレタン組成物及びポリウレタンフォーム Download PDF

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Abstract

【課題】フィラーを分散させる際の攪拌時において、液の沸き上がりを抑制することが可能なポリオール組成物を提供すること。
【解決手段】ポリオール、フィラー、発泡剤、及び相溶化剤を含み、下記式(1)で表されるRaが200J/cm以下であるポリオール組成物である。
式(1)は、Ra=4×(dD1-dD2)+(dP1-dP2)+(dH1-dH2)で表される。式(1)のdD1は発泡剤のハンセンの溶解度パラメータ(HSP)における分散項、dD2は相溶化剤のHSPにおける分散項、dP1は発泡剤のHSPにおける分極項、dP2は相溶化剤のHSPにおける分極項、dH1は発泡剤のHSPにおける水素結合項、dH2は相溶化剤のHSPにおける水素結合項を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオール組成物、発泡性ポリウレタン組成物及びポリウレタンフォームに関する。
ポリウレタンフォームは、その優れた断熱性及び接着性から、例えば、マンション等の集合住宅、戸建住宅、学校の各種施設、商業ビル等の建築物の断熱材として用いられている。ポリウレタンフォームは、ポリオール組成物とポリイソシアネートとを含む発泡性ポリウレタン組成物を発泡させることで得られる。
上記ポリオール組成物は、一般にはポリオール、及び発泡剤を含み、さらに必要に応じて難燃剤や無機充填材などのフィラーが配合される場合がある。これらフィラーは、得られるポリウレタンフォームの難燃性を向上させる目的や、着色、あるいは機械的強度を向上させる目的などから配合される。
例えば、特許文献1には、ポリオールと、特定の難燃剤を一定量配合してなるポリオール組成物に関する発明が記載されており、難燃性、低発煙性などに優れることが記載されている。
特開平11-246754号公報
上記のようにフィラーを含むポリオール組成物は、保管時において時間経過と共にフィラーが沈降してしまう。そのため、ポリイソシアネートと混合してポリウレタンフォームを製造する前に、ポリオール組成物を攪拌してフィラーを分散させる必要がある。しかしながら、攪拌する際に、ポリオール組成物中に含まれる発泡剤に起因して、液が沸き上がって、容器からあふれてしまうなど、操作性、安全性の観点から問題があった。特に、夏場の気温が高い時期や、低沸点の発泡剤を用いた場合などにおいて、液の沸き上がり(液面の急激な上昇)の問題が顕著に発生していた。
そこで、本発明は、ポリオール、フィラー、発泡剤を含むポリオール組成物において、攪拌時の沸き上がりを抑制可能なポリオール組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリオール、フィラー、発泡剤、及び相溶化剤を含むポリオール組成物であって、式(1)で表されるRaが一定値以下となるポリオール組成物により、上記課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。
本発明は、下記[1]~[7]を要旨とする。
[1]ポリオール、フィラー、発泡剤、及び相溶化剤を含み、下記式(1)で表されるRaが200J/cm以下であるポリオール組成物。
<式(1)>
Ra=4×(dD1-dD2)+(dP1-dP2)+(dH1-dH2)
式(1)のdD、dP、dHは、以下のとおり、それぞれハンセンの溶解度パラメータ(HSP)における分散項、分極項、水素結合項を表す。
dD1[(J/cm1/2]:発泡剤のHSPにおける分散項
dD2[(J/cm1/2]:相溶化剤のHSPにおける分散項
dP1[(J/cm1/2]:発泡剤のHSPにおける分極項
dP2[(J/cm1/2]:相溶化剤のHSPにおける分極項
dH1[(J/cm1/2]:発泡剤のHSPにおける水素結合項
dH2[(J/cm1/2]:相溶化剤のHSPにおける水素結合項
[2]前記発泡剤が沸点40℃以下の発泡剤を含む、上記[1]に記載のポリオール組成物。
[3]前記発泡剤がフロン系発泡剤を含む、上記[1]又は[2]に記載のポリオール組成物。
[4]前記相溶化剤がリン酸エステル化合物を含む、上記[1]~[3]のいずれかに記載のポリオール組成物。
[5]前記リン酸エステル化合物が塩素を含まないものである、上記[4]に記載のポリオール組成物。
[6]上記[1]~[5]のいずれかに記載のポリオール組成物と、ポリイソシアネートとを含有する、発泡性ポリウレタン組成物。
[7]上記[6]に記載の発泡性ポリウレタン組成物からなる、ポリウレタンフォーム。
本発明によれば、フィラーを分散させる際の攪拌時において、液の沸き上がりを抑制することが可能なポリオール組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリオール組成物]
本発明のポリオール組成物は、ポリオール、フィラー、発泡剤、及び相溶化剤を含み、式(1)で表されるRaが200J/cm以下である。
<式(1)>
Ra=4×(dD1-dD2)+(dP1-dP2)+(dH1-dH2)
式(1)のdD、dP、dHは、以下のとおり、それぞれハンセンの溶解度パラメータ(HSP)における分散項、分極項、水素結合項を表す。
dD1[(J/cm1/2]:発泡剤のHSPにおける分散項
dD2[(J/cm1/2]:相溶化剤のHSPにおける分散項
dP1[(J/cm1/2]:発泡剤のHSPにおける分極項
dP2[(J/cm1/2]:相溶化剤のHSPにおける分極項
dH1[(J/cm1/2]:発泡剤のHSPにおける水素結合項
dH2[(J/cm1/2]:相溶化剤のHSPにおける水素結合項
(相溶化剤)
本発明のポリオール組成物は相溶化剤を含有する。相溶化剤は、後述する発泡剤との間で計算される上記式(1)で表されるRaが200J/cm以下となる。Raが200J/cmを超えると、フィラーを分散させる際の攪拌時において、液の沸き上がりを有効に防止することが難しくなる。
攪拌時の液の沸き上がりを効果的に抑制する観点から、Raは、好ましくは150以下であり、より好ましくは100以下である。
上記式(1)におけるdD1は発泡剤のハンセンの溶解度パラメータ(HSP)における分散項、dD2は相溶化剤のHSPにおける分散項、dP1は発泡剤のHSPにおける分極項、dP2は相溶化剤のHSPにおける分極項、dH1は発泡剤のHSPにおける水素結合項、dH2は相溶化剤のHSPにおける水素結合項を表す。
これらの各パラメーターは、ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエア(HSPiP 5th Edition (ver.5.0.09))におけるY-MBと呼ばれるニュートラルネットワーク法を用いた推算方法に基づき、算出することができる。
相溶化剤は1成分を単独で使用してもよいし、2成分以上を併用してもよい。2成分以上使用する場合は、式(1)のdD2、dP2、及びdH2は、個々の相溶化剤のHSPにおける分散項、分極項、水素結合項と、個々の相溶化剤の配合量から体積分率平均して求めればよい。また、後述する発泡剤についても同様に2成分以上使用する場合は、式(1)のdD1、dP1、及びdH1は、個々の発泡剤のHSPにおける分散項、分極項、水素結合値と、個々の発泡剤の配合量から体積分率平均して求めればよい。
本発明における相溶化剤の種類は、上記したRaの値を満足すれば特に制限されないが、例えば、リン酸エステル化合物、及びリン酸エステル化合物以外のエステル化合物(以下、非リン酸エステル化合物ともいう)などが挙げられ、これら以外にも例えば、ジプロピレングリコールなどの低分子アルコール、2-エチルヘキサン酸などのカルボン酸化合物、イミダゾール環を有するイミダゾール化合物なども使用することができる。なお上記低分子アルコールとは、分子量200以下のアルコールを意味する。
これらの中でも、攪拌時の液の沸き上がりを抑制しやすくする観点から、相溶化剤はリン酸エステル化合物、及び非リン酸エステル化合物の少なくともいずれかを含むことが好ましい。さらに、最終生成物であるポリウレタンフォームの難燃性を向上させる観点からは、相溶化剤は、リン酸エステル化合物を含むことがより好ましい。
リン酸エステル化合物としては、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等が挙げられる。モノリン酸エステルとは、分子中にリン原子を1つ有するリン酸エステルである。モノリン酸エステルとしては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェートなどのトリアルキルホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートなどのハロゲン含有リン酸エステル、トリブトキシエチルホスフェートなどのトリアルコキシホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェートなどの芳香環含有リン酸エステル、モノイソデシルホスフェート、ジイソデシルホスフェートなどの酸性リン酸エステル等が挙げられる。また、リン酸エステル化合物としては上記以外にも、亜リン酸エステルなどを使用してもよい。
亜リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ビスフェノールAポリフェニルホスフェートなどの芳香族縮合リン酸エステルが挙げられる。
上記したリン酸エステル化合物の中でも、攪拌時の沸き上がりを抑制し易い観点から、トリアルキルホスフェートが好ましい。特にトリメチルホスフェート及びトリエチルホスフェートから選択される少なくともいずれかのリン酸エステル化合物が好ましい。
また、リン酸エステル化合物は、攪拌時の沸き上がりを抑制し易い観点及び環境負荷を低減する観点などから、構造中に塩素を含まないリン酸エステル化合物が好ましい。
相溶化剤がリン酸エステル化合物を含む場合、相溶化剤全量基準に対するリン酸エステル化合物の含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%である。
非リン酸エステル化合物としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングルコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールアセテートなどの鎖状エステル化合物、α-アセトラクトン、β-プロピオンラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトンなどの環状エステル化合物などが挙げられ、中でも酢酸エチル、エチレングリコールアセテート、γ-ブチロラクトンなどが好ましい。
相溶化剤が非リン酸エステル化合物を含む場合は、相溶化剤全量基準に対する非リン酸エステル化合物の含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%である。
本発明における相溶化剤の含有量は、特に制限されないが、ポリオール100質量部に対して好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上であり、そして好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。相溶化剤の含有量が、これら下限値以上であると、攪拌時の沸き上がりを抑制し易くなり、上限値以下であると、ポリウレタンフォームの機械強度の低下を抑制できる。
<ポリオール>
本発明のポリオール組成物はポリウレタンフォームの原料としてポリオールを含有する。
本発明に用いるポリオールとしては、特に限定されないが、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオールなどが挙げられる。
ポリラクトンポリオールとしては、例えば、ポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、及びポリバレロラクトングリコール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、及びノナンジオール等の水酸基含有化合物と、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等との脱アルコール反応により得られるポリオール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合して得られる重合体、ε-カプロラクトン、及びα-メチル-ε-カプロラクトン等のラクトンを開環重合して得られる重合体、及びヒドロキシカルボン酸と前記多価アルコール等との縮合物が挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸(m-フタル酸)、テレフタル酸(p-フタル酸)、及びコハク酸等が挙げられる。また、多価アルコールとしては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、及びネオペンチルグリコール等が挙げられる。
また、ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ひまし油、ひまし油とエチレングリコールの反応生成物等が挙げられる。
ポリエーテルポリオ-ルとしては、例えば、活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物等の少なくとも1種の存在下に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの少なくとも1種を開環重合させて得られる重合体が挙げられる。活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物としては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオ-ル等のジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール類、エチレンジアミン、及びブチレンジアミン等のアミン類等が挙げられる。
ポリマーポリオールとしては、例えば、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、及びポリエステルポリオール等に対し、アクリロニトリル、スチレン、メチルアクリレート、及びメタクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させた重合体、ポリブタジエンポリオール、及び多価アルコールの変性ポリオール又はこれらの水素添加物等が挙げられる。
ポリマーポリオールの製造に用いられる芳香族ポリオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、及びクレゾールノボラック等が挙げられる。
ポリマーポリオールの製造に用いられる脂環族ポリオールとしては、例えば、シクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、イソホロンジオール、ジシクロへキシルメタンジオール、及びジメチルジシクロへキシルメタンジオール等が挙げられる。
ポリマーポリオールの製造に用いられる脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、及びヘキサンジオール等が挙げられる。
多価アルコールの変性ポリオールとしては、例えば、原料の多価アルコールにアルキレンオキサイドを反応させて変性したもの等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、グリセリン及びトリメチロールプロパン等の三価アルコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクト-ス、メチルグルコシド及びその誘導体等の四~八価のアルコール、フロログルシノール、クレゾール、ピロガロール、カテコ-ル、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1,3,6,8-テトラヒドロキシナフタレン、及び1,4,5,8-テトラヒドロキシアントラセン等のポリオール、ひまし油ポリオール、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体及びポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2~100)ポリオール、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)が挙げられる。
多価アルコールの変性方法は特に限定されないが、アルキレンオキサイド(以下、「AO」ともいう)を付加させる方法が好適に用いられる。AOとしては、炭素数2~6のAO、例えば、エチレンオキサイド(以下、「EO」ともいう)、1,2-プロピレンオキサイド(以下、「PO」ともいう)、1,3-プロピレオキサイド、1,2-ブチレンオキサイド、及び1,4-ブチレンオキサイド等が挙げられる。
これらの中でも性状や反応性の観点から、PO、EO及び1,2-ブチレンオキサイドが好ましく、PO及びEOがより好ましい。AOを2種以上使用する場合(例えば、PO及びEO)の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
本発明に使用するポリオールとしては、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、水酸基を2個有するポリオールが好ましい。中でも、難燃性を高める観点から、芳香環を有するポリエステルポリオールである芳香族ポリエステルポリオールが好ましい。芳香族ポリエステルポリオールとしては、イソフタル酸(m-フタル酸)、テレフタル酸(p-フタル酸)等の芳香族環を有する多塩基酸と、ビスフェノールA、エチレングリコール、及び1,2-プロピレングリコール等の2価アルコールとを脱水縮合して得られるものがより好ましい。
ポリオールの重量平均分子量は、好ましくは300超であり、より好ましくは400以上であり、さらに好ましくは430以上であり、そして好ましくは20000以下であり、より好ましくは10000以下である。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される、ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
ポリオールの水酸基価は、20~300mgKOH/gが好ましく、40~280mgKOH/gがより好ましく、100~250mgKOH/gがさらに好ましく、120~210mgKOH/gがさらに好ましい。ポリオールの水酸基価が前記上限値以下であるとポリオール組成物の攪拌時の沸き上がりを抑制し易くなり、またポリオール組成物の粘度が下がりやすく、取り扱い性等の観点で好ましい。一方、ポリオールの水酸基価が前記下限値以上であると、ポリウレタンフォームの架橋密度が上がることにより強度が高くなる。
なお、ポリオールの水酸基価は、JIS K 1557-1:2007に従って測定可能である。
本発明のポリオール組成物中のポリオールの含有量は、好ましくは20~90質量%、より好ましくは25~80質量%、更に好ましくは30~70質量%である。ポリオールの含有量が前記下限値以上であるとポリオールとポリイソシアネートとを反応させやすくなるため好ましい。一方、ポリオールの含有量が前記上限値以下であると、ポリオール組成物の粘度が高くなりすぎないため取扱い性の観点で好ましい。
<発泡剤>
本発明のポリオール組成物は、発泡剤を含有する。該発泡剤を含むポリオール組成物と、ポリイソシアネートを含む発泡性ポリウレタン組成物を発泡させることで、ポリウレタンフォームを得ることができる。
発泡剤は、ポリウレタンフォームを形成させる際の発泡性を良好とする観点から、沸点が40℃以下の発泡剤(以下、低沸点発泡剤ともいう)を含むことが好ましい。さらに前記低沸点発泡剤の沸点は20℃以下であることがより好ましい。前記沸点は1気圧における沸点を意味する。
なお、ポリオール組成物が、このような低沸点発泡剤を含む場合は、通常であれば攪拌による沸き上がりが発生しやすいが、本発明のように特定の相溶化剤を含有させている場合は、沸き上がりを抑制することができる。
発泡剤中の低沸点発泡剤の含有量は、発泡剤全量基準で、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
発泡剤は、特に限定されないが、フッ素化合物、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィンなどのフロン系発泡剤を含むことが好ましい。発泡剤は、これらの中でも発泡剤の安定性が高く、かつ触媒活性が低下しにくく、さらに環境負荷も低くなるため、ハイドロフルオロオレフィンを含むことがより好ましく、ハイドロフルオロオレフィンのみからなることがさらに好ましい。
ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば、炭素数が3~6個程度であるフルオロアルケン等を挙げることができる。ハイドロフルオロオレフィンは塩素原子を有するハイドロクロロフルオロオレフィンであってもよく、したがって、炭素数が3~6個程度であるクロロフルオロアルケン等であってもよい。
より具体的には、トリフルオロプロペン、HFO-1234等のテトラフルオロプロペン、HFO-1225等のペンタフルオロプロペン、HFO-1233等のクロロトリフルオロプロペン、クロロジフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン、及びクロロテトラフルオロプロペン等が挙げられる。より具体的には、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)、1,1,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye)、1,1,1-トリフルオロプロペン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225zc)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロブト-2-エン、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225yc)、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225yez)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd)、及び1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン等が挙げられる。これらの中ではHFO-1233zdが好ましい。
これらのハイドロフルオロオレフィンは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
発泡剤中に含まれるフロン系発泡剤の含有量は、発泡剤全量基準に対して80質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
本発明のポリオール組成物は、フロン系発泡剤以外の発泡剤を含有してもよい。フロン系発泡剤以外の発泡剤としては、例えば、水、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等が挙げられる。これらの中でも、取扱い性の観点から、水、酸素ガス、及び二酸化炭素ガスが好ましく、イソシアネートインデックスを調整する観点、及び取扱い容易性の観点から水がより好ましい。
発泡剤中に含まれるフロン系発泡剤以外の発泡剤の含有量は、発泡剤全量基準に対して20質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
発泡剤の配合量は、ポリオール100質量部に対して、10~80質量部が好ましく、15~70質量部がより好ましく、20~60質量部が更に好ましい。発泡剤の配合量が前記下限値以上であると発泡が促進され、発泡性が良好となり、得られるポリウレタンフォームの密度を低減することができる。一方、発泡剤の配合量が前記上限値以下であると発泡が過度に進行することを抑制することができる。
<フィラー>
本発明のポリオール組成物は、フィラーを含有する。フィラーを含有することで、フィラーの種類に応じた特性をポリウレタンフォームに付与することができ、例えば、難燃性や機械的強度を向上させたり、着色させたりすることが可能となる。フィラーとしては、例えば、難燃剤、難燃剤以外の無機充填材などが挙げられる。
≪難燃剤≫
本発明のポリオール組成物は、難燃剤を含有してもよい。難燃剤を含有することで、形成されるポリウレタンフォームの難燃性を効果的に高めることができる。難燃剤としては、赤燐系難燃剤、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、塩素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、及び金属水酸化物などの固形難燃剤が挙げられる。
(赤燐系難燃剤)
赤燐系難燃剤は、赤燐単体からなるものでもよいが、赤燐に樹脂、金属水酸化物、金属
酸化物などを被膜したものでもよいし、赤燐に樹脂、金属水酸化物、金属酸化物などを混
合したものでもよい。赤燐を被膜し、または赤燐と混合する樹脂は、特に限定されないが
フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ア
ニリン樹脂、及びシリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。被膜ないし混合する
化合物としては、難燃性の観点から、金属水酸化物が好ましい。金属水酸化物は、後述す
るものを適宜選択して使用するとよい。
(リン酸塩含有難燃剤)
リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、各種リン酸と、周期律表IA族~IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミン、及び環中に窒素を含む複素環式化合物から選ばれる少なくとも一種の金属または化合物との塩からなるリン酸塩が挙げられる。
リン酸としては、特に限定されないが、モノリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸等が挙
げられる。
周期律表IA族~IVB族の金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウ
ム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられる。
前記脂肪族アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチル
アミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。芳香族アミンとしては、アニリ
ン、o-トリイジン、2,4,6-トリメチルアニリン、アニシジン、3-(トリフルオ
ロメチル)アニリン等が挙げられる。環中に窒素を含む複素環式化合物として、ピリジン
、トリアジン、メラミン等が挙げられる。
リン酸塩含有難燃剤の具体例としては、例えば、モノリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。モノリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素ニアンモニウム等のアンモニウム塩、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩、リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩、リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩、リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩等が挙げられる。
ここで、ポリリン酸塩としては、特に限定されないが、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
リン酸塩含有難燃剤は、上記したものから1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(臭素含有難燃剤)
臭素含有難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有し、常温、常圧で固体となる化合物
であれば特に限定されないが、例えば、臭素化芳香環含有芳香族化合物等が挙げられる。
臭素化芳香環含有芳香族化合物としては、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエ
ン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、
オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロ
モフェノキシ)エタン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビス(テトラ
ブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA等のモノマー系有機臭素化合物が
挙げられる。
また、臭素化芳香環含有芳香族化合物は、臭素化合物ポリマーであってもよい。具体的
には、臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、こ
のポリカーボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネ
ート、臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポ
キシ化合物などが挙げられる。さらには、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの
反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物、ポリ(臭素化ベン
ジルアクリレート)、臭素化ポリフェニレンエーテルと臭素化ビスフェノールAと塩化シ
アヌールとの臭素化フェノールの縮合物、臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレ
ン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン、架橋または非架橋臭素化ポリ(
-メチルスチレン)等が挙げられる。
また、ヘキサブロモシクロドデカンなどの臭素化芳香環含有芳香族化合物以外の化合物
であってもよい。
これら臭素含有難燃剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(塩素含有難燃剤)
塩素含有難燃剤は、難燃性樹脂組成物に通常用いられるものが挙げられ、例えば、ポリ
塩化ナフタレン、クロレンド酸、「デクロランプラス」の商品名で販売されるドデカクロ
ロドデカヒドロジメタノジベンゾシクロオクテンなどが挙げられる。
(アンチモン含有難燃剤)
アンチモン含有難燃剤としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアン
チモン酸塩等が挙げられる。酸化アンチモンとしては、例えば、三酸化アンチモン、五酸
化アンチモン等が挙げられる。アンチモン酸塩としては、例えば、アンチモン酸ナトリウ
ム、アンチモン酸カリウム等が挙げられる。ピロアンチモン酸塩としては、例えば、ピロ
アンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等が挙げられる。
アンチモン含有難燃剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
(ホウ素含有難燃剤)
ホウ素含有難燃剤としては、ホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等が挙げられる。酸化ホウ素としては、例えば、三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等が挙げられる。
ホウ酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第12
族、第13族の元素およびアンモニウムのホウ酸塩等が挙げられる。具体的には、ホウ酸
リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属
塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金
属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等が
挙げられる。
ホウ素含有難燃剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
(金属水酸化物)
金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化バナジウム、水酸化スズ等が挙げられる。金属水酸化物は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
≪無機充填剤≫
本発明のポリオール組成物には、本発明の効果を損なわない限り、上記した難燃剤以外の無機充填剤を含んでもよい。
無機充填材としては、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸
化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、
硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ
、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セビオライト、イモゴライト、セリサイ
ト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカバルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケ
イ素、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム
、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス
繊維、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、
シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。無機充填材は、常温、常圧で固体となる固
形成分である。
無機充填材は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
ポリオール組成物におけるフィラーの含有量は、特に制限されないが、ポリオール100質量部に対して、好ましくは1~150質量部、より好ましくは10~120質量部、さらに好ましくは30~80質量部である。
<触媒>
本発明のポリオール組成物は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応を促進させる観点、形成させるポリウレタンフォームの難燃性を向上させる観点などから、触媒を含むことが好ましい。該触媒は、三量化触媒、ウレタン化触媒などを含有し、三量化触媒及びウレタン化触媒の両方を含有することがより好ましい。
(三量化触媒)
三量化触媒は、後述するポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基を反応させて三量化させ、イソシアヌレート環の生成を促進する触媒である。三量化触媒としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の窒素含有芳香族化合物、酢酸カリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、オクチル酸カリウム等のカルボン酸アルカリ金属塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム塩、トリエチルモノメチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等を使用できる。アンモニウム塩としては、2,2-ジメチルプロパン酸などカルボン酸のアンモニウム塩が挙げられ、より具体的にはカルボン酸4級アンモニウム塩が挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中では、カルボン酸アルカリ金属塩、カルボン酸4級アンモニウム塩から選択
される1種又は2種以上が好ましく、これら両方を使用する態様も好ましい。
三量化触媒の配合量は、ポリオール100質量部に対して、0.1~25質量部が好ましく、0.3~20質量部がより好ましく、0.5~15質量部が更に好ましい。三量化触媒の配合量がこれら下限値以上であるとポリイソシアネートの三量化が起こりやすくなり、得られるポリウレタンフォームの難燃性が向上する。一方、三量化触媒の配合量が前記上限値以下であると反応の制御がし易くなる。
(ウレタン化触媒)
ウレタン化触媒は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応を促進させる触媒である。ウレタン化触媒としては、イミダゾール化合物、ピペラジン化合物などのアミン系触媒、金属系触媒などが挙げられる。
イミダゾール化合物としては、イミダゾール環の1位の第2級アミンをアルキル基、ア
ルケニル基などで置換した3級アミンが挙げられる。具体的には、N-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-エチル-2-メチルイミダゾール、1-メチル-2-エチルイミダゾール、1,2-ジエチルイミダゾール、及び1-イソブチル-2-メチルイミダゾールなどが挙げられる。また、イミダゾール環中の第2級アミンをシアノエチル基で置換したイミダゾール化合物などでもよい。
また、ピペラジン化合物として、N-メチル-N’N’-ジメチルアミノエチルピペラ
ジン、トリメチルアミノエチルピペラジンなどの3級アミンが挙げられる。
また、アミン系触媒としては、イミダゾール化合物、ピペラジン化合物以外にも、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ジアザビシクロウンデセン、トリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、トリプロピルアミン等の各種の3級アミンなどが挙げられる。
金属系触媒としては、鉛、錫、ビスマス、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルなどからなる
金属塩が挙げられ、好ましくは鉛、錫、ビスマス、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルなどか
らなる有機酸金属塩である。より好ましくはジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラ
ウレート、ジオクチル錫バーサテート、ビスマストリオクテート、ビスマストリス(2-
エチルへキサノエート)、ジオクチル酸スズ、ジオクチル酸鉛などが挙げられ、中でも有
機酸ビスマス塩がさらに好ましい。
ウレタン化触媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、上記した中では、イミダゾール化合物及び有機酸ビスマス塩から選択される1種又は2種以上を使用することが好ましく、これら両方を使用する態様も好ましい。
ウレタン化触媒の配合量は、ポリオール100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、0.3~15質量部がより好ましく、0.5~10質量部が更に好ましい。樹脂化触媒の配合量がこれら下限値以上であるとウレタン結合が形成しやすくなり、反応が速やかに進行する。一方、これら上限値以下であると、反応速度が制御しやすくなる。
またポリオール組成物における触媒の合計量は、特に限定されないが、好ましくは0.2~30質量部、より好ましくは0.6~20質量部、さらに好ましくは1~10質量部である。これら下限値以上であると、ウレタン結合の形成と三量化が適切に進行して、難燃性が良好となりやい。また、これら上限値以下とすると、ウレタン化及び三量化反応の制御が容易となる。
<整泡剤>
本発明のポリオール組成物は、整泡剤を含有してもよい。整泡剤は、ポリオール組成物とポリイソシアネートとを含有する発泡性ポリウレタン組成物の発泡性を向上させる。
整泡剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン系整泡剤等の界面活性剤等が挙げられる。これらの整泡剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
整泡剤の配合量は、ポリオール化合物100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましく、0.5~8質量部がより好ましく、1~5質量部が更に好ましい。整泡剤の配合量がこれら下限値以上であるとポリウレタン組成物を発泡させやすくなり、均質なポリウレタン発泡体を得やすくなる。また、整泡剤の配合量がこれら上限値以下であると製造コストと得られる効果のバランスが良好になる。
<その他成分>
ポリオール組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料等から選択される1種以上を含むことができる。
<ポリオール組成物の製造方法>
本発明のポリオール組成物の製造方法に特に制限はなく、例えば、各成分を20~40℃程度でホモディスパー等を用いて30秒~20分程度撹拌することにより製造することができる。
[発泡性ポリウレタン組成物及びポリウレタンフォーム]
本発明の発泡性ポリウレタン組成物は、本発明のポリオール組成物と、ポリイソシアネートとを含むものであり、これらを混合して得られる。本発明のポリウレタンフォームは、発泡性ポリウレタン組成物からなるものであり、具体的には、発泡性ポリウレタン組成物を、反応及び発泡させた反応生成物である。
<ポリイソシアネート>
ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及び脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
これらの中でも、使いやすさの観点、及び入手容易性の観点から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。ポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、ポリイソシアネートは、ポリオール組成物と混合する前に、ポリイソシアネートに配合される公知の添加剤が適宜配合されてもよい。
<イソシアネートインデックス>
本発明の発泡性ポリウレタン組成物のイソシアネートインデックスに特に制限はないが、150以上が好ましい。イソシアネートインデックスが前記下限値以上であると、ポリオールに対するポリイソシアネートの量が過剰になりポリイソシアネートの三量化体によるイソシアヌレート結合が生成し易くなる結果、ポリウレタンフォームの難燃性が向上する。さらに、上記下限値以上とすると、上記した各種触媒を併用することも相俟って、イソシアヌレート結合を十分に有するポリウレタンフォーム、すなわち、難燃性と断熱性とを高い水準で兼ね備えるポリウレタンフォームを製造しやすい。これら観点から、イソシアネートインデックスは、150以上がより好ましく、200以上さらに好ましく、250以上がよりさらに好ましい。
また、イソシアネートインデックスは、800以下が好ましく、600以下がより好ましく、400以下がさらに好ましい。イソシアネートインデックスが前記上限値以下であると、得られるポリウレタンフォームの難燃性と製造コストとのバランスが良好になる。
なお、イソシアネートインデックスは、以下の方法により計算することができる。
イソシアネートインデックス
=ポリイソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100
ここで、各当量数は以下のとおり計算することができる。
・ポリイソシアネートの当量数=ポリイソシアネートの使用量(g)×NCO含有量(質量%)/NCOの分子量(モル)×100
・ポリオールの当量数=OHV×ポリオールの使用量(g)÷KOHの分子量(ミリモル)
OHVはポリオールの水酸基価(mgKOH/g)である。
・水の当量数=水の使用量(g)/水の分子量(モル)×水のOH基の数
上記各式において、NCOの分子量は42(モル)、KOHの分子量は56,100(ミリモル)、水の分子量は18(モル)、水のOH基の数は2とする。
<ポリウレタンフォームの製造方法>
ポリウレタンフォームの製造方法に特に制限はないが、ポリイソシアネートとポリオール組成物とを混合して得た発泡性ポリウレタン組成物を発泡し、かつ反応させるとよい。具体的には、ポリイソシアネートとポリオール組成物とをスプレーガン等を用いて衝突混合させ、吹付施工することが好ましい。
また、本発明においては、ポリイソシアネートとポリオール組成物とを混合した後、金型、枠材等の容器へ注入して硬化させることによりポリウレタンフォームを得てもよい。
<ポリウレタンフォームの用途>
本発明のポリウレタンフォームの用途は特に限定されないが、建築物の壁、天井、屋根、床等の建築物に好適に用いることができる。また、建築物の構造材の間に生じる目地や穴を含め、建築物に生じる任意の開口部を埋める部材として好適に用いることもできる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[沸き高さの評価]
各実施例及び比較例で調製したポリオール組成物(合計300g)を混合攪拌して、110mLのスクリュー管(マルエム社製、製品名:No8)に30g投入し、ネジ口にシールテープ(ポリテトラフルオロエチレン製)を巻いた後、攪拌子(直径14mm)を投入して蓋を閉めた。その後、ポリオール組成物が導入されたスクリュー管を、29℃の湯浴に30分以上投入して温度を一定にした後、開栓してマグネティックスターラーを用いて攪拌子を1,500rpmで攪拌した。攪拌後の最高点の高さを測定し、攪拌前の高さとの差を算出し沸き高さとして評価した。なお、攪拌後の最高点の高さとは、スクリュー管底面から、液(ポリオール組成物)の最高点までの高さを意味し、攪拌前の高さとは、スクリュー管底面から、液(ポリオール組成物)面までの高さを意味する。
(判定)
◎・・・沸き高さが10mm以下
〇・・・沸き高さが10mm超20mm以下
×・・・沸き高さが20mm超
各実施例、比較例で使用したポリオール、フィラー、発泡剤、相溶化剤、ウレタン化触媒、整泡剤を表1~3に示す。
[実施例1~16、比較例1~3]
ポリオール、フィラー、発泡剤、相溶化剤、ウレタン化触媒、及び整泡剤を表4に示す配合量で混合して、ポリオール組成物を得て、上記した沸き高さの評価を行った。結果を表4に示した。
以上の実施例の結果から明らかなように、ポリオール、フィラー、発泡剤、及び相溶化剤を含み、式(1)で表されるRaが200J/cm以下である本発明のポリオール組成物は、攪拌時の沸き高さが低く、操作性及び安全性に優れることが分かった。これに対して、比較例1~3に示すように、相溶化剤を用いない場合や、相溶化剤を用いてもRaが200J/cmを超えるポリオール組成物は、攪拌時の沸き高さが高く、操作性及び安全性に劣ることが分かった。

Claims (7)

  1. ポリオール、フィラー、発泡剤、及び相溶化剤を含み、下記式(1)で表されるRaが200J/cm以下であるポリオール組成物。
    <式(1)>
    Ra=4×(dD1-dD2)+(dP1-dP2)+(dH1-dH2)
    式(1)のdD、dP、dHは、以下のとおり、それぞれハンセンの溶解度パラメータ(HSP)における分散項、分極項、水素結合項を表す。
    dD1[(J/cm1/2]:発泡剤のHSPにおける分散項
    dD2[(J/cm1/2]:相溶化剤のHSPにおける分散項
    dP1[(J/cm1/2]:発泡剤のHSPにおける分極項
    dP2[(J/cm1/2]:相溶化剤のHSPにおける分極項
    dH1[(J/cm1/2]:発泡剤のHSPにおける水素結合項
    dH2[(J/cm1/2]:相溶化剤のHSPにおける水素結合項
  2. 前記発泡剤が沸点40℃以下の発泡剤を含む、請求項1に記載のポリオール組成物。
  3. 前記発泡剤がフロン系発泡剤を含む、請求項1又は2に記載のポリオール組成物。
  4. 前記相溶化剤がリン酸エステル化合物を含む、請求項1~3のいずれかに記載のポリオール組成物。
  5. 前記リン酸エステル化合物が塩素を含まないものである、請求項4に記載のポリオール組成物。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載のポリオール組成物と、ポリイソシアネートとを含有する、発泡性ポリウレタン組成物。
  7. 請求項6に記載の発泡性ポリウレタン組成物からなる、ポリウレタンフォーム。
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