JP2024018608A - シリコン単結晶インゴットの評価方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、チョクラルスキー法(CZ法)により製造されるシリコン単結晶インゴットの評価方法に関する。
CZ法においては、種結晶をシリコン融液に接触させ、回転させながらゆっくりと引き上げることによりシリコン単結晶インゴット(以下、「単結晶インゴット」と称呼する)を製造する。このようなCZ法は、大口径の単結晶インゴットを製造する方法として一般的に用いられている。
一方で、CZ法により製造された単結晶インゴットは、結晶の成長方向(結晶長方向)に沿って抵抗率が変化することが知られている。近年では、単結晶インゴットから製造される半導体ウェーハ(以下、「ウェーハ」と称呼する)の品質に対する要求によって、抵抗率を所望の範囲内に収めることが重要となっている。
たとえば、ウェーハの抵抗率を測定する場合、従来は、CZ法により育成された単結晶インゴットを外周研削して所定の寸法(直径)に仕上げ、製品として使用できないヘッドとテールコーンの部分を切り落とし、得られた単結晶インゴットを所定の位置で切断し、内周刃、ワイヤーソー等のスライシング装置に投入可能な長さのブロックにする。このとき、抵抗率等の検査用サンプルウェーハを同時に切り出す。これにより、切り出した検査用サンプルウェーハを用いて抵抗率を測定することができる。さらに、各ブロックを所定の厚さにスライスしてウェーハを得る。そして、スライスされたウェーハを抜き取り、抵抗率を測定することによって、結晶長方向の抵抗率を測定することができる。
CZ法による単結晶インゴットの育成において、ドーパントを添加した際、結晶成長方向に抵抗率が変化する現象が見られる。これは、ドーパントの偏析によるものであり、単結晶成長に伴うルツボ内のシリコン溶融液の減少に応じ、徐々に残液中のドーパント濃度が高くなり、それに伴い単結晶の抵抗率も連続的に低下していくためである。P(リン)の偏析係数は、0.35であるが、p型結晶のドーパントとして広く用いられているB(ボロン)の偏析係数0.8よりも低く、p型結晶と比べてヘッドからテールにかけての抵抗率の低下が顕著である。そのため、製品として使用できる部分が少なくなり、歩留の向上が厳しいという課題がある。
また、上述したような、結晶長方向において所望の抵抗率範囲から外れる課題に対する対策として、たとえば、下記特許文献1においては、単結晶インゴットの状態で抵抗率を測定する方法が記載されている。
具体的には、単結晶インゴットの側面における結晶長方向の抵抗率を測定し、所望の抵抗率を示す所望抵抗率位置を特定して、所定の長さのブロックを切り出し、このブロックからウェーハをスライスする。結晶長方向の抵抗率の測定方法は、四探針法による抵抗率測定方法を適用する。これにより、たとえば、抵抗率1Ωcm以下のウェーハを製造することができる。
ところで、CZ法により育成された単結晶インゴットにおいては、偏析により結晶長方向の抵抗率分布を均一にすることが難しいことが知られている。そのため、従来から、主ドーパントと、主ドーパントとは反対極性の副ドーパントと、を添加する育成方法、いわゆるカウンタードープにより単結晶インゴットが育成されている(下記特許文献2参照)。
下記特許文献2によれば、カウンタードープは、「単結晶インゴットを育成する際にたとえばn型を有する主ドーパント(たとえば、リン)をドーピングする工程」と、「単結晶インゴットを育成しながら(引上げ結晶重量)/(原料ポリシリコンの重量)で表される固化率に応じて、n型とは反対のp型を有する副ドーパント(たとえば、ボロン)を連続的または断続的にドーピングする工程」とを有する。以下、カウンタードープを用いた単結晶インゴットを「カウンタードープ結晶」と称呼する場合がある。
上記特許文献1によれば、低抵抗率(1Ωcm以下)のウェーハを製造する際に、所望の抵抗率を有する部分をより多く含むようにブロックを切り出すことができるので、ウェーハの収率を向上させることができる。また、単結晶インゴットの状態で抵抗率を測定することから、検査用サンプルウェーハを切り出して抵抗率を測定する方法と比較して、抵抗率評価にかかる時間を大幅に短縮することが可能である。
しかしながら、上記特許文献1に記載されたウェーハの製造方法については、以下のような問題点がある。
たとえば、1Ωcm以下のヘビードープ(低抵抗率)のウェーハであればサーマルドナーの量に比べて主ドーパントのドーパント濃度が十分に高く、熱処理をしなくてもサーマルドナーの影響が少ないので、単結晶インゴットのままでも抵抗率を測定することができる。一方で、ライトドープ結晶(たとえば、所望の抵抗率が10Ωcm以上)の場合には、サーマルドナーの影響を受けるため、所望の抵抗率を得るにはドナーキラー(熱処理)が必要となるが、単結晶インゴットの状態でドナーキラーを行うのは困難である。すなわち、ライトドープ結晶の場合、単結晶インゴットの状態で抵抗率を測定しても、結晶長方向のサーマルドナーを除いた真の抵抗率(以下、「真の抵抗率」と称呼する。)を評価することは難しい。
一方で、カウンタードープ結晶では、副ドーパントを投入した結晶長位置付近において、抵抗率が急激に上昇してその後急激に減少する領域(以下、「高抵抗率層」と称呼する。)を有する。故に、カウンタードープ結晶において、上記の高抵抗率層を検出する必要がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、ライトドープのカウンタードープ結晶において、結晶長方向の高抵抗率層を単結晶インゴットの状態で検出できる評価方法を提供することを目的とする。
本発明にかかる単結晶インゴットの評価方法は、CZ法によるシリコン単結晶の引上げにおいて、当該引上中に副ドーパントを添加するカウンタードープが行われた、単結晶インゴットの評価方法であって、単結晶インゴットの状態において、単結晶インゴット側面の結晶長方向の抵抗率を四探針法により測定し、結晶長方向の抵抗率分布に基づいて単結晶インゴットのリジェクト範囲(非製品範囲)を決定することを特徴とする。
単結晶インゴットには抵抗率変動が所定の閾値(たとえば、1~3%)以下に安定している領域(以下、「安定層」とも称呼する。)が存在する。本発明にかかるカウンタードープ結晶では、ヘッド側の安定層の抵抗率から10%以上高い抵抗率となるピークが存在する位置(以下、「基準位置」とも称呼する)を基準として、リジェクト範囲を決定する。つまり、ピーク位置(10%以上のデータが複数ある場合は、初めに10%以上になった位置を基準位置とする。)からヘッド側およびテール側に各々所定の長さ(たとえば、ヘッド側に8~12mm、テール側に10~20mm)をリジェクト範囲とする。また、リジェクト範囲は、テール側は結晶長の抵抗率の変動率が閾値以下(たとえば、1%以下)となり偏析に従い始めた位置(以下、「安定位置」と称呼する。)までとしてもよい。
上記構成によれば、単結晶インゴットの側面の抵抗率分布からカウンタードープによる高抵抗率層を特定し、単結晶インゴットの状態でリジェクト範囲を決めることができ、単結晶インゴットから検査用サンプルウェーハを切り出して抵抗率評価を行う方法(従来方法)と比較して、ウェーハの収率を大幅に向上させることができる。また、抵抗率評価にかかる時間を従来方法よりも短縮することができる。
また、本発明にかかる単結晶インゴットの評価方法において、抵抗率の測定範囲は、副ドーパント投入位置から、抵抗率が上昇した後、急激に減少し、再度所望の抵抗率に安定する位置まで、の範囲を少なくとも含むことが望ましい。
さらに、本発明にかかる単結晶インゴットの評価方法においては、育成する単結晶インゴットの抵抗率を10Ωcm以上とすることが望ましい。
本発明によれば、結晶長方向の抵抗率の評価にかかる時間を短縮することができ、さらには、ウェーハの収率を向上させることができる。
以下、本発明にかかる単結晶インゴットの評価方法の実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、本実施形態はn型の単結晶インゴットとして説明するが、これに限定されず、p型の単結晶インゴットであってもよい。
本実施形態では、CZ法によるn型のライトドープ(10Ωcm以上)の単結晶インゴットの引上げにおいて、その引上中にp型のドーパントを副添加するカウンタードープを行う。たとえば、CZ法により育成された単結晶インゴットは、偏析により結晶が成長する方向(結晶長方向)の抵抗率分布を均一にすることが難しいが、主ドーパントとは反対極性の副ドーパントを添加するカウンタードープにより、このような問題を解決することができる。
たとえば、シリコンが結晶化する際には、結晶中に取り込まれるドーパントの濃度は、融液中のドーパント濃度よりも低い。単結晶インゴットの成長は連続的に行なわれるのでドーパントは融液中に多く残されることとなり、融液中のドーパント濃度は徐々に高くなる。これに伴い、結晶中のドーパント濃度も徐々に高くなり、抵抗率が低下する。抵抗率が低下して、所望の抵抗率の範囲を下回ってしまうのを防ぐために、反対極性の副ドーパントを適切な量に調整しながら融液中に投入する(カウンタードープ)。副ドーパントを投入した結晶長位置では抵抗率が上昇し、その後、抵抗率は減少し偏析に従い安定する。
なお、本実施形態においては、n型のドーパント(主ドーパント)として、たとえば、P(リン)、As(ヒ素)、Sb(アンチモン)等が使用可能であり、p型のドーパント(副ドーパント)として、たとえば、B(ボロン)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)等が使用可能であるが、主ドーパントはp型、副ドーパントはn型でも使用可能である。
本実施形態においては、カウンタードープ結晶を引上げ、外周研削をして所定の寸法(直径)に仕上げ、ヘッドとテールコーンの部分を切り落とした後、単結晶インゴットの状態で側面の結晶長方向の抵抗率を四探針法により測定し、抵抗率分布に基づいて結晶長方向の相対的な抵抗率変動を評価する。具体的には、結晶長方向の抵抗率分布(相対抵抗率の分布)に基づいて、抵抗率変動がヘッド側の安定層の抵抗率から10%以上高い抵抗率となるピーク位置(基準位置)からヘッド側に所定の長さ(たとえば、8~12mm)戻した位置から、安定位置までの範囲を検出する。或いは、基準位置からヘッド側に所定の長さ(たとえば、8~12mm)戻した位置から、基準位置からテール側に所定の長さ(たとえば、10~20mm)をリジェクト範囲と決定する。ただし、単結晶インゴットは外周研削することに限らない。
図1は、単結晶インゴット側面の抵抗率測定の概要を示す図である。カウンタードープ結晶を引上げ後、カウンタードープ結晶の外周研削を行い、ヘッドとテールコーンを切落とし、図1に示すような単結晶インゴット1を得る。そして、副ドーパントを投入した結晶長位置(副ドーパント投入位置)は予め引上げ時に記録されていることから、四探針法により、副ドーパント投入位置を含む単結晶インゴット1の側面の抵抗率を測定する。具体的には、図1に示すように、副ドーパント投入位置からヘッド側に10mm戻した位置を始点として、結晶長方向に1mmピッチかつ30点の位置で、単結晶インゴット1の側面の抵抗率を測定する。このとき、副ドーパント投入位置付近から抵抗率の急激な上昇が見られ、その後、急激な低下の後、抵抗率は偏析に従い徐々に減少する。なお、抵抗率の測定範囲については、副ドーパント投入位置から、抵抗率が上昇し再度所望の抵抗率に安定する位置まで、の範囲が含まれていればよく、これ(上記1mmピッチかつ30点)に限るものではない。
そして、本実施形態においては、結晶長のヘッド側の安定層から測定を行い、抵抗率のピークが安定層から10%以上高い抵抗率となるピーク位置を基準位置とする。さらに、結晶長のテール側の抵抗率変動が安定し、抵抗率の変動率が閾値(たとえば、1%~3%)以下となり偏析に従い始めた位置を安定位置とし、基準位置からヘッド側に10mmの位置から、安定位置までの範囲をリジェクト範囲とする。これにより、単結晶インゴットから検査用サンプルウェーハを切り出して抵抗率を測定する方法(従来方法)と比較して、ウェーハ加工工程における加工ロス、および抵抗率変動の評価にかかる時間、を大幅に短縮できる。なお、ピーク位置よりテール側のリジェクト範囲は、上記の安定位置までの範囲に限定されず、所定の長さとしてもよい。たとえば、テール側のリジェクト範囲は、基準位置から10mm以上20mm以内の範囲としてもよい。また、基準位置よりヘッド側のリジェクト範囲は、ピーク位置(基準位置)から8mm以上12mm以内の範囲としてもよい。
なお、上記のようにCZ法により育成されたn型のカウンタードープ結晶には、その製法からある程度の量の酸素が溶け込んでおり、その一部は、サーマルドナーとなりn型のドーパントとして働くため抵抗率を低下させる。そこで、CZ法により育成されたカウンタードープ結晶は、熱処理(ドナーキラー)を行うことによって、主ドーパントにより決められる結晶本来の抵抗率を得る。また、サーマルドナーは、結晶育成中の450℃付近の履歴が長く、酸素濃度が高いと多く発生する。
また、単結晶インゴット1側面の抵抗率変動によって形成されるピークは、測定位置におけるドーパント濃度とサーマルドナー量とサーマルドナーの変動量によって変化するものであるが、本実施形態においては、酸素濃度の高低にかかわらず、10Ωcm以上の抵抗率である場合、副ドーパントが投入された結晶長位置付近において抵抗率変動が10%以上のピークが形成される。
単結晶インゴット1側面のサーマルドナーによる抵抗率変動は、下記の比の式で表すことができる。
サーマルドナーによる抵抗率変動
= (サーマルドナー変動量分の抵抗率) /
(単結晶インゴットの抵抗率 + サーマルドナーの抵抗率)
サーマルドナーによる抵抗率変動
= (サーマルドナー変動量分の抵抗率) /
(単結晶インゴットの抵抗率 + サーマルドナーの抵抗率)
たとえば、単結晶インゴット1中の酸素濃度が高い場合、側面の抵抗率はほぼサーマルドナー量によって決まり、サーマルドナーの影響により分母が小さくなるため、比(抵抗率変動)が大きくなる。一方で、酸素濃度が低い場合には、サーマルドナーの変動量が小さくなるため(サーマルドナーの抵抗率は増加)、分子が大きくなる。このように、酸素濃度の変化で分母または分子が変動することにより、抵抗率が安定層より10%以上高くなるピークが形成され、基準位置(カウンタードープによる高抵抗率化位置)を検出することができる。
なお、本実施形態においては、抵抗率の測定を四探針法により実施しているが、これに限るものではなく、単結晶インゴットの状態で側面の結晶長方向の抵抗率を測定できれば、どのような方法で測定することとしてもよい。
<効果>
このように、本実施形態の単結晶インゴットの評価方法においては、抵抗率評価にかかる時間を短縮することができる。
このように、本実施形態の単結晶インゴットの評価方法においては、抵抗率評価にかかる時間を短縮することができる。
つづいて、本発明にかかるシリコン単結晶インゴットの評価方法の実施例について説明する。なお、本発明は下記実施例により制限されるものではない。
<実施例1>
主ドーパントをリンとし、副ドーパントをボロンとしたカウンタードープにより、n型のライトドープのカウンタードープ結晶を引上げた。この際、結晶回転10rpm、ルツボ回転1rpm、結晶引上げ1mm/min、磁場強度2000G、の条件でカウンタードープ結晶の育成を実施中において、結晶長500mmの位置と結晶長800mmの位置で、副ドーパントのボロンを投入した。また、実施例1においては、所望の抵抗率を50Ωcm(リン濃度:約8.64E13/cm3)とし、所望の酸素濃度を0.55E18/cm3とした。
主ドーパントをリンとし、副ドーパントをボロンとしたカウンタードープにより、n型のライトドープのカウンタードープ結晶を引上げた。この際、結晶回転10rpm、ルツボ回転1rpm、結晶引上げ1mm/min、磁場強度2000G、の条件でカウンタードープ結晶の育成を実施中において、結晶長500mmの位置と結晶長800mmの位置で、副ドーパントのボロンを投入した。また、実施例1においては、所望の抵抗率を50Ωcm(リン濃度:約8.64E13/cm3)とし、所望の酸素濃度を0.55E18/cm3とした。
上記の設定でカウンタードープ結晶を引上げ、外周研削して直径300mmに仕上げ、ヘッドとテールコーンの部分を切り落とし、図2に示すような単結晶インゴットを製造した。
そして、単結晶インゴットの状態で側面の結晶長方向の抵抗率を四探針法により測定した。具体的には、副ドーパント投入位置からそれぞれヘッド側に10mm戻した位置を始点として、すなわち、ヘッド側から結晶長490mm、790mmの位置を始点として、それぞれ結晶長方向に1mmピッチかつ30点の位置で、単結晶インゴット側面の抵抗率を測定した(図2参照)。
図3は、単結晶インゴット側面の抵抗率(相対値)の測定結果を示す図であり、図3(a)はヘッド側から結晶長490mmの位置を始点とする結晶長方向の相対抵抗率の推移を示し、図3(b)はヘッド側から結晶長790mmの位置を始点とする結晶長方向の相対抵抗率の推移を示す。四探針法により単結晶インゴット側面の抵抗率(上記1mmピッチ,30点)を測定した結果、副ドーパント投入位置付近で相対抵抗率が急激に上昇し、最大ピーク高さは図3(a)の位置で42%、図3(b)の位置で21%であった。その後、急激に相対抵抗率が下降し所望の抵抗率に安定した。
そして、結晶長500mm付近においては、結晶長方向の抵抗率変動が42%のピーク位置を基準位置とし、さらに、抵抗率変動が安定し、結晶長方向の相対抵抗率の変動率が1%以下となり偏析に従い始めた位置を安定位置とし、図4に示すように、基準位置からヘッド側に10mmの位置から、安定位置までの範囲をリジェクト範囲(16mm)とした。また、結晶長800mm付近においては、結晶長方向の抵抗率変動が21%のピーク位置を基準位置とし、さらに、抵抗率変動が安定し、結晶長方向の相対抵抗率の変動率が1%以下となり偏析に従い始めた位置を安定位置とし、図4に示すように、基準位置からヘッド側に10mmの位置から、安定位置までの範囲をリジェクト範囲(15mm)とした。
(検証1)
つぎに、上記のように単結晶インゴット側面の抵抗率を測定し、上記各リジェクト範囲のブロックを1mmピッチでウェーハへ加工し、上記リジェクト範囲内のウェーハを取得する。そして、取得した各ウェーハの酸素濃度とサーマルドナー量の算出を行い、単結晶インゴット側面の抵抗率変動の評価への影響を検証した。抵抗率測定部位の酸素濃度は0.55E18/cm3であり、ドナーキラー前後の抵抗率から求めたサーマルドナー量は約3.9E13/cm3であり、結晶長方向のサーマルドナーの変動量は3.18E12/cm3であった。このような結果から、このサーマルドナー量は、図2に示す単結晶インゴット側面の抵抗率のピークを評価可能な量であることが確認できた。
つぎに、上記のように単結晶インゴット側面の抵抗率を測定し、上記各リジェクト範囲のブロックを1mmピッチでウェーハへ加工し、上記リジェクト範囲内のウェーハを取得する。そして、取得した各ウェーハの酸素濃度とサーマルドナー量の算出を行い、単結晶インゴット側面の抵抗率変動の評価への影響を検証した。抵抗率測定部位の酸素濃度は0.55E18/cm3であり、ドナーキラー前後の抵抗率から求めたサーマルドナー量は約3.9E13/cm3であり、結晶長方向のサーマルドナーの変動量は3.18E12/cm3であった。このような結果から、このサーマルドナー量は、図2に示す単結晶インゴット側面の抵抗率のピークを評価可能な量であることが確認できた。
(検証2)
つぎに、上記検証1にて加工済みの全ウェーハの中から、結晶長490mmの位置から結晶長519mmの位置までの範囲のウェーハと、結晶長790mmの位置から結晶長819mmの位置までの範囲のウェーハと、を取得し、四探針法により、取得した各ウェーハの中心と外周の抵抗率を測定した。
つぎに、上記検証1にて加工済みの全ウェーハの中から、結晶長490mmの位置から結晶長519mmの位置までの範囲のウェーハと、結晶長790mmの位置から結晶長819mmの位置までの範囲のウェーハと、を取得し、四探針法により、取得した各ウェーハの中心と外周の抵抗率を測定した。
図5は、ウェーハの中心と外周の抵抗率(相対値)の測定結果を示す図であり、図5(a)は結晶長490mmの位置から結晶長519mmの位置までの範囲から取得した30枚のウェーハによる相対抵抗率の推移を示し、図5(b)は結晶長790mmの位置から結晶長819mmの位置までの範囲から取得した30枚のウェーハによる相対抵抗率の推移を示す。図5に示すとおり、(a)と(b)のどちらにも、副ドーパントを投入した位置で、ウェーハの中心部に相対抵抗率の上昇(高抵抗率化)が発生していた。また、(a)と(b)のどちらにも、ウェーハ中心部のピーク位置の数mmテール側において、ウェーハの外周部に相対抵抗率の上昇(高抵抗率化)が発生していた。これらの結果から、単結晶インゴット側面の抵抗率変動と、ウェーハ外周部の抵抗率変動が、概ね一致していることが確認できた。また、図5に示すように、ウェーハ外周部のピーク位置は、ウェーハ中心部のピーク位置より4~6mmテール側にずれているため、この検証から、実施例1において決定した上記「基準位置からヘッド側に10mmの位置」からリジェクトする必要性を確認できた。
(検証3)
つぎに、加工済みの各ウェーハの径方向の抵抗率を測定した。
つぎに、加工済みの各ウェーハの径方向の抵抗率を測定した。
図6は、一例として、図2に示すa、b、c、dの位置のウェーハの径方向の抵抗率(相対値)の測定結果を示す図であり、図6(a)は位置aの径方向の相対抵抗率の推移を示し、図6(b)は位置bの径方向の相対抵抗率の推移を示し、図6(c)は位置cの径方向の相対抵抗率の推移を示し、図6(d)は位置dの径方向の相対抵抗率の推移を示す。検証3においては、各ウェーハに対して直径方向5mmピッチで抵抗率の測定を行った。その結果、たとえば、副ドーパントが結晶へ取り込まれる前の位置aのウェーハは、相対抵抗率が概ね一定で(図6(a)参照)、面内抵抗率ばらつきRRG(Radial Resistivity Gradient)が5%以下で概ね一定であった。なお、RRGは、一枚のシリコン単結晶基板面内の任意の位置で測定した抵抗率測定群の中の最大値と最小値の差を、最小値で除した値を百分率で表したものである。また、たとえば、副ドーパントを投入した位置bのウェーハは、その中心部で相対抵抗率が上昇し(図6(b)参照)、RRGが悪化していた(RRGが5%を超えていた)。また、たとえば、副ドーパント投入後の位置cのウェーハは、外周部で相対抵抗率が上昇し(図6(c)参照)、RRGが5%を超える状態が継続していた。また、たとえば、副ドーパント投入後の位置d(さらにテール側)のウェーハは、径方向の高抵抗率化がなくなり(図6(d)参照)、相対抵抗率が安定してRRGも5%以下に改善していた。
上記加工済みのウェーハの径方向の抵抗率を測定することにより、結晶長方向において、RRGが5%を超えて悪化後に、再度5%以内に安定する位置を特定できた。すなわち、この検証から、実施例1において決定した上記「安定位置」までリジェクトする必要性を確認できた。また、この検証により、上記リジェクト範囲外のウェーハについては、すべてRRG5%以内であることが確認できた。
<実施例2>
所望の酸素濃度を1.20E18/cm3とした以外は、実施例1と同条件でn型のライトドープのカウンタードープ結晶を引上げた。
所望の酸素濃度を1.20E18/cm3とした以外は、実施例1と同条件でn型のライトドープのカウンタードープ結晶を引上げた。
その後、外周研削して直径300mmに仕上げ、ヘッドとテールコーンの部分を切り落とし、図2に示すような単結晶インゴットを製造した。そして、実施例1と同様に、単結晶インゴットの状態で側面の結晶長方向の抵抗率を四探針法により測定した(図2参照)。
その結果、実施例2の単結晶インゴットにおいても、実施例1同様、結晶長500mmと、結晶長800mmの副ドーパント投入位置付近で相対抵抗率が急激に上昇し、その後、急激に相対抵抗率が下降し所望の抵抗率に安定した。
そして、実施例2においても、基準位置(結晶長方向の相対抵抗率の上昇率が10%以上となる位置)からヘッド側に10mmの位置から、安定位置(結晶長方向の相対抵抗率の変動率が1%以下となり偏析に従い始めた位置)までの範囲をリジェクト範囲とした。
実施例2の単結晶インゴットは、所望の酸素濃度が1.20E18/cm3で、サーマルドナーの変動量は7.21E12/cm3であったため、抵抗率変動が12%以上で基準位置(副ドーパントが投入された結晶長位置)が検出された。
<比較例>
比較例においては、実施例1と同条件でn型のライトドープのカウンタードープ結晶を引上げ、実施例1と同様の単結晶インゴットを製造した。
比較例においては、実施例1と同条件でn型のライトドープのカウンタードープ結晶を引上げ、実施例1と同様の単結晶インゴットを製造した。
そして、比較例では、製造した単結晶インゴットを切断してブロックにし、ブロック作製時に切り出した検査用サンプルウェーハで抵抗率評価(RRG5%以内かどうかの評価)を行った(従来方法)。
しかしながら、この方法ではブロック端から何mmの位置で抵抗率上昇しているか(RRGが5%をこえているか)が明確でないため、検査用サンプルウェーハの切出し位置は副ドーパント投入位置500mmに対し、結晶長490mmと、結晶長510mmから取得した。各検査用サンプルウェーハを加工し、抵抗率評価を行った結果、結晶長490mmではRRGが3.4%、結晶長510mmではRRGが7.0%であった。切出しサンプルのRRG結果を表1に示す。
そのため、ワイヤーソーで一定厚さに切り出した検査用サンプルウェーハを用いて抵抗率評価を行った。結晶長511mmの位置で取得した検査用サンプルを加工し、抵抗率評価を行った結果、RRGが5.2%であったため、再び、結晶長512mmの位置で取得した検査用サンプルを加工し、抵抗率評価を行った。結果、RRGが3.9%であった。ブロック、および加工による結晶長のロスは22mmであった。
一方、実施例1および実施例2においては、上述したように、単結晶インゴットの側面の抵抗率分布から高抵抗率層を特定し、即座にリジェクト範囲を決めることができ、さらに、リジェクト後、RRG5%以内のシリコンブロックのみを使用してウェーハ加工を行うことが可能となる。これにより、単結晶インゴットから検査用サンプルウェーハを切り出して抵抗率評価を行う方法(従来方法)と比較して、ウェーハの収率が大幅に向上した(平均して約30%向上可能)。また、抵抗率評価にかかる時間を従来方法よりも大幅に短縮できた(平均して12時間程度短縮可能)。
なお、他の比較例として、実施例1と同条件でn型のライトドープのカウンタードープ結晶を引き上げ、ログデータから副ドーパントを投入した結晶長の位置でブロックカットを行う方法もあるが、単結晶インゴットの外周研削工程やサンプルウェーハの切り出し工程によって副ドーパント投入位置が不明確になり、副ドーパント投入位置付近でブロックカットができない問題が発生した。
以上、本発明は、上記実施形態および上記実施例に限定されるものではない。上記実施形態および上記実施例は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1 単結晶インゴット
Claims (6)
- チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の引上げにおいて、引上中に副ドーパントを添加するカウンタードープが行われた、シリコン単結晶インゴットの評価方法であって、
前記シリコン単結晶インゴットの状態において、側面の結晶長方向の抵抗率を四探針法により測定し、
結晶長方向の抵抗率分布に基づいてリジェクト範囲を決定する、
ことを特徴とするシリコン単結晶インゴットの評価方法。 - 抵抗率変動が安定したヘッド側の安定層の抵抗率から10%以上高い抵抗率となるピーク位置を基準位置とし、
前記リジェクト範囲を、前記基準位置からヘッド側およびテール側に各々所定の長さとする、
ことを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶インゴットの評価方法。 - 抵抗率変動が安定したヘッド側の安定層の抵抗率から10%以上高い抵抗率となるピーク位置を基準位置とし、さらに、前記基準位置からテール側で抵抗率変動が安定し、抵抗率の変動率が閾値以下となり偏析に従い始めた位置を安定位置とし、
前記リジェクト範囲を、前記基準位置からヘッド側に所定の長さの位置から、前記安定位置までの範囲とする、
ことを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶インゴットの評価方法。 - 前記抵抗率の測定範囲は、副ドーパント投入位置から、抵抗率が上昇し再度所望の抵抗率に安定する位置まで、の範囲を少なくとも含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶インゴットの評価方法。 - 育成するシリコン単結晶の抵抗率は10Ωcm以上とする、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載のシリコン単結晶インゴットの評価方法。 - 前記リジェクト範囲は、前記基準位置からヘッド側に8mm以上12mm以内、前記基準位置からテール側に10mm以上20mm以内とする、
ことを特徴とする請求項2または3に記載のシリコン単結晶インゴットの評価方法。
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