JP2024008239A - 末梢血の単球数増強用組成物 - Google Patents

末梢血の単球数増強用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】乳酸菌を利用して、末梢血の単球数増強用組成物を提供する。【解決手段】ラクチカゼイバチルス・パラカゼイに属する乳酸菌の生菌を有効成分として含有する末梢血の単球数増強用組成物である。この組成物は、飲食品、医薬品、サプメント等、日常的に一般消費者の判断で摂取する形態としても利用しやすい。【選択図】なし

Description

本発明は、乳酸菌を利用した末梢血の単球数増強用組成物に関する。
単球は、末梢血中の白血球の一種であり、感染に対する防御の開始に重要な細胞である。例えば、細菌などの異物を貪食して、異物の一部を細胞表面に提示し、これがT細胞に認識されて感染に対する防御が開始される。また、腫瘍性疾患、感染症により減少することが知られており、感染症の症状の重症化にも関連すると考えられている。更に、肝障害や熱傷患者の予後不良に影響を与えるともいわれており、また、末梢血単球の賦活化と細菌性敗血症時の生存率が関連していることも知られている。近年では、単球を構成する細胞サブタイプの表現型や機能についての研究も盛んである(非特許文献1,2参照)。
Pavithra Sampath, Kadar Moideen, Uma Devi Ranganathan, and Ramalingam Bethunaickan「Monocyte Subsets: Phenotypes and Function in Tuberculosis Infection」Front Immunol. 2018 Jul 30; 9: 1726. doi: 10.3389/fimmu.2018.01726. eCollection 2018. Lisa B. Boyette, Camila Macedo, Kevin Hadi, Beth D. Elinoff, John T. Walters, Bala Ramaswami, Geetha Chalasani, Juan M. Taboas, Fadi G. Lakkis, and Diana M. Metes「Phenotype, function, and differentiation potential of human monocyte subsets」PLoS One. 2017 Apr 26; 12(4):e0176460. doi: 10.1371/journal.pone.0176460. eCollection 2017.
従来、乳酸菌による末梢血中の単球に向けた機能性発現については、明らかではなかった。
本発明の目的は、乳酸菌を利用して、末梢血中の単球に向けた機能性組成物を提供することにある。
本発明者らは、ラクチカゼイバチルス・パラカゼイに属する乳酸菌が、末梢血中の単球の数を有効に増加させ得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ラクチカゼイバチルス・パラカゼイに属する乳酸菌の生菌を有効成分として含有する末梢血の単球数増強用組成物を提供するものである。
上記組成物においては、前記乳酸菌はラクチカゼイバチルス・パラカゼイ YIT 9029(FERM BP-1366)であることが好ましい。
上記組成物においては、前記乳酸菌が1日当たりに生菌数として2×1010cells以上投与されるように用いられるものであることが好ましい。
上記組成物においては、飲食品、医薬品、又はサプリメントの形態であることが好ましい。
一方、別の観点からは、本発明は、ラクチカゼイバチルス・パラカゼイに属する乳酸菌の生菌の、末梢血の単球数増強用組成物の製造のための使用を提供するものである。
本発明によれば、ラクチカゼイバチルス・パラカゼイに属する乳酸菌の生菌を有効成分として含有する末梢血の単球数増強用組成物が提供される。この組成物は、飲食品、医薬品、サプメント等、日常的に一般消費者の判断で摂取する形態としても利用しやすい。
ヒト試験の概要を示す図表である。 ヒト末梢血単核細胞(PBMC)に含まれる単球(Mo)と樹状細胞(cDC)ならびにそれらの細胞サブセット(樹状細胞についてはpDC、cDC1、cDC2、単球についてはcMo、iMo、ncMo)の構成を示す説明図である。 フローサイトメトリー解析においてヒト末梢血単核細胞(PBMC)に含まれる細胞サブセットを検出するためのゲーティング戦略を示す説明図である。 乳酸菌(LcS菌)を摂取した試験群と摂取しない対照群との間で、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)に含まれる単球の細胞サブセット(cMo、iMo、ncMo)がPBMC生細胞に占める割合、及びその占有率をサンプルとしたPBMC細胞数に乗じて算出される細胞数について比較した結果を示す図表である。 乳酸菌(LcS菌)を摂取した試験群と摂取しない対照群との間で、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)に含まれる単球(Mo)と樹状細胞(cDC)ならびにそれらの細胞サブセット(単球MoについてはcMo、樹状細胞についてはcDC2)におけるCD40の発現強度を比較した結果を示す図表である。
本発明にかかる組成物は、ラクチカゼイバチルス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei)に属する乳酸菌の生菌を含有するものである。乳酸菌としては、特に限定されないが、例えばラクチカゼイバチルス・パラカゼイ YIT 9029 (旧分類:ラクトバチルス・カゼイ YIT 9029)(FERM BP-1366)が好ましい。乳酸菌は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、下記に示す2020年4月発行学術誌にもあるとおり、従来ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属していた乳酸菌について、その菌属が細分化され、ならびに菌種の一部において属名が変更されることになった。
(乳酸菌の再分類について)
・Zheng et al.,「A taxonomic note on the genus Lactobacillus : Description of 23 novel genera, emended description of the genus Lactobacillus Beijerinck 1901, and union of Lactobacillaceae and Leuconostocaceae.」Int. J. Syst. Evol. Microbiol. 2020 Apr; 70(4):2782-2858 DOI 10.1099/ijsem.0.004107
本明細書では再分類以降の新分類の表記で示すものとする。また、旧分類においてラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)又はラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)に分類されていた乳酸菌のなかで、新たにラクチカゼイバチルス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei)として分類され得るものは、本願のラクチカゼイバチルス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei)に含まれるものとする。
上記乳酸菌は、冷蔵や冷凍で保存管理している凍結乾燥物、凍結状態、冷蔵状態などの菌体含有物や、購入した菌体含有製剤などから、一般的な乳酸菌の培養手段により乳酸菌を増殖させて、所望の菌数となるように適宜調製することが可能である。乳酸菌の培養のための培地としては、限定されないが、MRS培地、LBS培地、BCP培地、ILS培地、変法ILS培地、GAM培地などを例示することができる。そのような栄養培地を含む平型寒天培地上に菌体の少量を塗布して25~37℃の温度環境下において1~3日間静置培養したり、あるいは液体培地中に菌体の少量を添加して、懸濁後、25~37℃の温度環境下において1~3日間静置培養したりするなどにより、上記乳酸菌を所望の菌数になるまで増殖させることができる。培養形態としては、静置培養以外にも、撹拌培養、振盪培養、中和培養などが挙げられる。培養後には、遠心分離等により集菌して培養液を除いたり、これに水等を添加して懸濁したうえ再度遠心分離等かけて洗浄したりして、その菌体を、本発明にかかる組成物中に含有せしめるようにすればよい。あるいは培養に使用した培養液を含む形態で、本発明にかかる組成物中に含有せしめてもよい。
ただし、上記乳酸菌は生菌の形態で使用する。ここで「生菌」とは、MRS培地等の適当な栄養培地を含む寒天培地上に、菌体の希釈懸濁液を撒いたときに、至適温度である、例えば、25℃~37℃の温度環境下において、その乳酸菌のコロニーが形成することをいう。そのコロニーの形成数に希釈倍率を乗じて元の菌体懸濁液中に含まれる乳酸菌の生菌数を求めることができる。生菌数の測定には、上記方法に限られず、光岡の方法(光岡知足著「腸内菌の世界」、叢文社、東京、p53-65)等、その他常法的に行われている測定方法を利用してもよい。また、後述する実施例においては、試料に予め生菌のDNAにアクセスできないプロピジウムモノアジド(PMA)で処理して定量的PCRを行う方法により、糞便中の特定の乳酸菌の生菌数を測定したが、生菌数の測定にはそのようなPMA-qPCR法を利用してもよい。
本発明にかかる組成物中の上記乳酸菌の含有量は、特に制限はない。例えば、乳酸菌の生菌数にして、本発明にかかる組成物の乾燥物の状態における総質量の1g中に2×1010cells以上であってよく、2×1010cells以上3×1011cells以下であってよく、5×1010cells以上3×1011cells以下であってよく、1×1011cells以上3×1011cells以下であってよい。これによれば一日当たりに望まれる摂取量を摂取しやすい。また、一般に乳酸菌を含有する製剤の剤形としては、液状製剤、ゲル状製剤、凍結乾燥製剤等の形態が知られており、そのような乳酸菌を含有する製剤自体が、本発明にかかる上記乳酸菌を含有する組成物を構成してもよい。
また、上記乳酸菌は、各種の食品素材や製剤素材等ととともに、適宜、飲食品、医薬品、サプリメント等の形態に調製し、これを本発明にかかる組成物となしてもよい。そのような形態への調製は、飲食品の製造上の公知の手段、ないしは医薬品又はサプリメントの製剤上の公知の手段などによって、行うことができる。
飲食品としては、限定されないが、例えば、ハム、ソーセージ等の食肉加工食品、かまぼこ、ちくわ等の水産加工食品、パン、菓子、バター、粉乳、水、果汁、牛乳、清涼飲料、茶飲料等の飲料などが挙げられる。
飲食品としては、更に、上記乳酸菌を含有する、発酵乳飲料、発酵豆乳飲料、発酵果汁飲料、発酵野菜汁飲料等の発酵飲食品などが挙げられる。特には、発酵乳飲料が好ましく例示され得る。上記発酵飲食品の製造は常法に従えばよいが、例えば、上記発酵乳飲食品を製造する場合には、殺菌した乳培地に上記乳酸菌を単独又は他の微生物と同時に接種培養し、これを均質化処理して発酵乳ベースを得る。次に別途調製したシロップ溶液を添加混合し、ホモゲナイザー等で均質化し、更にフレーバーを添加して最終製品に仕上げればよい。このようにして得られる発酵乳飲食品は、シロップ(甘味料)を含有しないプレーンタイプ、ソフトタイプ、フルーツフレーバータイプ、固形状、液状等のいずれの形態の製品とすることもできる。
上記発酵乳飲料等の発酵飲食品には、例えば、シロップ等の甘味料、乳化剤、増粘(安定)剤、各種ビタミン等を任意に配合することができる。甘味料としては、例えば、グルコース、ショ糖、フルクトース、果糖ブドウ糖液糖、ブドウ糖果糖液糖、パラチノース、トレハロース、ラクトース、キシロース、麦芽糖、蜂蜜、糖蜜等の糖類、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット、還元水飴、還元麦芽糖水飴等の糖アルコール、アスパルテーム、ソーマチン、スクラロース、アセスルファムK、ステビア等の高甘味度甘味料などが挙げられる。また、乳化剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチンなどが挙げられる。また、増粘(安定)剤としては、寒天、ゼラチン、カラギーナン、グァーガム、キサンタンガム、ペクチン、ローカストビーンガム、ジェランガム、カルボキシメチルセルロース、大豆多糖類、アルギン酸プロピレングリコールなどが挙げられる。この他にも、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンE類等のビタミン類、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、マンガン等のミネラル分、クエン酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸等の酸味料、クリーム、バター、サワークリーム等の乳脂肪、ヨーグルト系、ベリー系、オレンジ系、花梨系、シソ系、シトラス系、アップル系、ミント系、グレープ系、アプリコット系、ペア系、カスタードクリーム系、ピーチ系、メロン系、バナナ系、トロピカル系、ハーブ系、紅茶系、コーヒー系等のフレーバー類、ハーブエキス、黒糖エキスなどを配合してもよい。
また、入手可能な飲食品の市販品を本発明にかかる組成物として利用することに、特に制限はない。例えば、株式会社ヤクルト本社が製造し、上記乳酸菌を含有する飲料製品として、「Yakult(ヤクルト)1000」、「Y1000」、「ヤクルト400」等のヤクルト類などが市販されているので、それらを好適に利用することができる。特には、生きた乳酸菌を多く含有するヤクルト類を利用することがより好ましい。
医薬品やサプリメントとして、その製剤の剤形としては、限定されないが、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等の固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤、凍結乾燥製剤等が挙げられる。この場合、必要に応じて、製剤担体として、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水などを適宜添加することができる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤、賦形剤等の慣用の添加剤を、適宜添加することができる。
本発明にかかる組成物として、入手可能な医薬品やサプリメントの市販品を利用することに、特に制限はない。例えば、株式会社ヤクルト本社が製造し、上記乳酸菌を含有する製品として、「ヤクルトBL整腸薬」などが市販されているので、それらを好適に利用することができる。
本発明にかかる組成物は、有効成分としてラクチカゼイバチルス・パラカゼイに属する乳酸菌の生菌を含有するので、後述する実施例で示されるように、末梢血中の単球の数を増加させる効果に優れている。よって、例えば、末梢血中の単球の数の減少が起こり得る対象者に、その減少を抑える目的で用いられ得る。また、末梢血の単球数の減少は、手術、免疫抑制剤の服用、放射線照射、加齢等によって、あるいは腫瘍性疾患、感染症等の症状に伴って起こり得る。また、単球数の減少は感染症の重症化と関連していることが知られている。よって、ある実施態様では、本発明にかかる組成物は、末梢血の単球数の減少に関連する症状の発症リスクの低減の目的で用いられ得る。例えば、そのような状況の前後に、一定期間投与することで、末梢血の単球数の減少による更なる症状の発症を抑える目的で用いられてもよい。また、一般に健常者に分類される対象者にも適用され得る。健常者に適用することで、末梢血の単球数の減少に起因して生じる症状の発症リスクを低減することができる。
本発明にかかる組成物の投与形態は、対象者が生きた乳酸菌を体内に摂取するようにすればよく、特に制限はないが、摂取した乳酸菌が腸に生きたまま到達するようにすることが好ましい。よって、例えば経口的摂取であることが好ましい。摂取量は、特に制限はない。上記乳酸菌が、1日当たりに菌数として2×1010cells以上投与されるように用いられればよい。摂取量は、1日当たりに菌数として2×1010cells以上3×1011cells以下であってよく、5×1010cells以上3×1011cells以下であってよく、1×1011cells以上3×1011cells以下であってよい。また、上記乳酸菌においては、その食経験から長期摂取しても安全であることが認められることから、例えば、1週間、2週間、3週間、1ヵ月間、2ヵ月間、3ヵ月間、4ヵ月間、5ヵ月間、6ヵ月間、7ヵ月間、8ヵ月間、9ヵ月間、10ヵ月間、11カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間などの期間にわたり投与されるように用いられてもよい。
以下実施例を挙げて本発明について更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。なお、以下では、ラクチカゼイバチルス・パラカゼイ YIT 9029(FERM BP-1366)のことを「LcS菌」と称する。
〔1.被験飲料〕
試験飲料としては、LcS菌を生菌で含む乳酸菌飲料製品(「Yakult(ヤクルト)1000」、株式会社ヤクルト本社)を用いた。対照飲料としては、LcS菌を含まない以外は試験飲料と同じ原料からなる未発酵乳飲料を用いた。表1には、被験飲料の組成を示す。
〔2.ヒト試験〕
図1に示す試験スケジュールによりランダム化比較試験を実施した。具体的には、募集に応じた30~40代の健常オフィスワーカー12名(男性、平均年齢:43.3±4.8)について、BMI、血液指標、1週間の在宅日数、1日あたりの睡眠時間が均等になるように2群に分け、一方の群には試験飲料を、他方の群には対照飲料を、それぞれ1日1本4週間にわたって飲用してもらった。飲用前、飲用3日目、10日目、及び28日目に、医師の問診のもとに被検者の健康状態を確認してから各18mLの採血を行った。
〔3.血液処理〕
冷蔵輸送された血液を室温に戻した後、17mLに等量の生理食塩水と混合した。得られた血液希釈液のうち半量17mLを単核球単離のための密度勾配培地「Lymphoprep」(STEMCELL Technologies社)15mL上に重層した(50mLの遠心管2本/1サンプル)。室温下に800×g、緩減速の条件で30分間遠心分離後、中間層を末梢血単核細胞(PBMC)として回収した。回収した細胞に2%FBS/PBSを添加して、4℃、460×gで10分間遠心分離し、上清を除去した。PBMCの沈渣をD-PBSに再懸濁して細胞数をカウント後、細胞懸濁液を遠心分離して上清を除去し、2%FBS/PBSで2×10cells/mLとした。
〔4.フローサイトメトリー用サンプル処理〕
血液処理で得られたPBMCのうち、1.1×10cellsのPBMCをD-PBSで洗浄後、D-PBSで100倍希釈した生死判定試薬「Zombie-Aqua」(BioLegend社)275 μLに懸濁し、氷上で15分間静置した。更に、D-PBSで10倍希釈したFCブロック試薬「TruStain FcX」(BioLegend社)275μLを添加し、攪拌後氷上で15分間静置した。反応後、細胞懸濁液を50μL(約1×10cells)ずつ96ウエルVボトムプレートに分注し、別途、各抗体の組み合わせ及び希釈倍率で調製した抗体希釈液を、それぞれのウエルに同量ずつ加え、混合した。プレートの蓋をして氷上で30分間静置後、2%FBS/PBSを各ウエルに250μLずつ加えた。その後、4℃、460×gで5分間遠心分離し、上清を除去した。細胞を固定するため、FluoroFix Bufferを各ウエルに200μLずつ加えて細胞を懸濁し、室温で遮光し30分間反応させた。遠心洗浄後、2%FBS/PBSを各ウエルに200μLずつ加え、4℃で保存した。
〔5.フローサイトメトリー解析〕
サンプル処理の翌日、抗体染色した細胞懸濁液をよくピペッティングして、フローサイトメーター「CytoFlexS」(Beckman Coulter社)に供した。ここでゲーティング戦略としては、図2に示すとおり、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)には単球(Mо)と樹状細胞(cDC)が含まれており、更にそれらのサブセットとして、樹状細胞についてはpDC、cDC1、cDC2、単球についてはcMo、iMo、ncMoが存在するため、次のとおりとした。すなわち、図3に示すとおり、死細胞を除外した後(生細胞ゲート)、解析対象外であるT細胞(CD3)、B細胞(CD19及びCD20)、NK細胞(CD56)ならびに顆粒球(CD66b)の全マーカー(Lineage)陰性かつヒト主要組織適合遺伝子複合体(HLA-DR)陽性の細胞集団にゲートを設定した。次いで、単球サブセットを分離するため、CD16及びCD14で展開し、単球をcMo(CD14CD16)、iMo(CD14CD16)、及びncMo(CD14loCD16)の3サブセットに分離した。また、樹状細胞サブセットを分離するため、CD14CD16の細胞集団にゲートを設定し、Lineage及びHLA-DRで再度展開してLineage陰性かつHLA-DR陽性の細胞集団を厳密に分離した。当該細胞集団をCD11c及びCD303で展開し、pDC(CD11cCD303)を分離した。一方、CD11cCD303細胞集団はCD141及びCD1cで展開し、cDC1(CD141CD1c)とcDC2(CD141CD1c)に分離した。データはLineage陰性かつHLA-DR陽性の細胞集団のゲートが30,000イベントに達するか又は取得時間が180秒に達するまで集積した。取得したデータは、ソフトウエア「FlowJo」(BD Biosciences社)を使用して解析し、活性化マーカー及びアイソタイプコントロールのシグナル強度の平均値(MFI:Mean fluorescent intensity)の比を、サブセット毎に算出した。
〔6.統計解析〕
各測定値について飲用前をベースラインとして変化量を算出し、基本統計量(平均値、標準偏差)を求めた。その変化量の群間差についてマンホイットニーのU検定を用いて有意差を求め、p<0.05を有意とした。
〔7.結果〕
その結果、以下のことが明らかとなった。
(1)図4に示されるとおり、LcS菌の生菌を含有する試験飲料を飲用した試験群は、その試験飲料の飲用によって、単球を構成する細胞サブセットのうちiMoやncMoのPBMC生細胞に占める割合が対照群に比べて有意に増加した。
(2)図5に示されるとおり、LcS菌の生菌を含有する試験飲料を飲用した試験群は、その試験飲料の飲用によって、単球(MоとcMo)及び樹状細胞(cDCとcDC2)でのCD40の発現強度が対照群に比べて有意に高かった。
以上の結果によると、末梢血単球が、LcS菌の生菌の摂取による機能性発現のための標的細胞のひとつであると考えられた。また、末梢血単球に発現しているCD40が、その作用機序における標的分子であることが示唆された。さらに、LcS菌の生菌の摂取により、末梢血単球に発現しているCD40だけでなく樹状細胞に発現しているCD40の発現強度も増強することが確認された。

Claims (5)

  1. ラクチカゼイバチルス・パラカゼイに属する乳酸菌の生菌を有効成分として含有する末梢血の単球数増強用組成物。
  2. 前記乳酸菌はラクチカゼイバチルス・パラカゼイ YIT 9029(FERM BP-1366)である、請求項1記載の末梢血の単球数増強用組成物。
  3. 前記乳酸菌が1日当たりに生菌数として2×1010cells以上投与されるように用いられるものである、請求項1又は2記載の末梢血の単球数増強用組成物。
  4. 飲食品、医薬品、又はサプリメントの形態である、請求項1又は2記載の末梢血の単球数増強用組成物。
  5. ラクチカゼイバチルス・パラカゼイに属する乳酸菌の生菌の、末梢血の単球数増強用組成物の製造のための使用。
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