JP2024007016A - 路面状態情報提供システム - Google Patents

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Teppei Onodera
直樹 薮崎
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Abstract

Figure 2024007016000001
【課題】路面の劣化の情報を早期に取得して提供することができる路面状態情報提供システムを実現する。
【解決手段】電動パワーステアリング装置EPSのモータ電流値を電流センサ34によって計測する。タイヤ舵角に応じた基準モータ電流値からの増加量が所定の増加閾値を超えた場合に轍が存在していると判定し、この判定情報と自車両の位置の情報とを関連付けた走行情報をデータセンタDSに発信する。データセンタDSでは、複数の一般車両V,V,…から収集した走行情報に基づいて路面の位置毎に路面状態の劣化指標を作成し、この劣化指標の情報と該情報に該当する路面の位置情報とを関連付けた路面劣化推定情報を管理者端末装置ATEに発信する。道路管理者は、管理者端末装置ATEに表示された画像を目視し、各路面位置における補修の必要性の有無を判断することになる。
【選択図】図1

Description

本発明は路面状態情報提供システムに係る。特に、本発明は、路面の劣化の情報を早期に提供するための改良に関する。
従来、路面の状態を検出するシステムとして特許文献1に開示されているものが知られている。この特許文献1に開示されているシステムは、カメラ、Gセンサ、マイクロホンおよびGPSユニットを搭載したパトロール車を巡回させながら路面の劣化等といった路面状態を検出するものとなっている。
具体的には、カメラによって撮影された道路画像上の路面から当該路面の舗装の異常を検出する。また、Gセンサによって走行時に計測された加速度から当該路面の舗装の異常を検出する。また、マイクロホンによって路面の走行時に録音された音声データから当該路面の舗装の異常を検出する。そして、道路画像、加速度、音声データそれぞれの検出情報のうち何れか1つまたは2つで舗装の異常を検出した位置を特定し、この特定した位置の再調査の指示を出力するようにしている。
特開2013-139671号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているシステムは、巡回するパトロール車で簡易調査を行った後、異常(補修が必要となる程度の劣化)が検出された位置を再調査することで異常を特定するようにしているため、比較的短期間のうちに同じ道路に対して路面状態の検出動作(路面の劣化度合いを検出する動作)を繰り返して行うといったことが難しく、路面に異常(舗装の異常)が生じていることの情報を取得するまでのタイミングに遅れが生じてしまう可能性のあるものであった。つまり、道路の補修のタイミングに遅れが生じてしまう可能性のあるものであった。このため、路面に異常が生じている状態が長期間に亘って放置され、その期間中において当該路面を走行する車両の乗り心地に悪影響を与える等の不具合を招く可能性があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、路面の劣化の情報を早期に取得して提供することができる路面状態情報提供システムを実現することにある。
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、道路の路面の劣化状態の情報を提供する路面状態情報提供システムを前提とする。そして、この路面状態情報提供システムは、複数台の一般車両と、該複数台の一般車両との間で通信可能な情報集計装置とを含んで構成されている。前記各一般車両は、自車位置を検出する位置検出手段と、操舵輪と前記路面との接触状態の変化に起因して変化するパラメータの値を計測する計測手段と、前記位置検出手段によって検出された前記自車位置の情報と当該自車位置において前記計測手段によって計測された前記パラメータの値の情報または該パラメータの値に基づいた路面劣化判定情報とを関連付けた走行情報を発信する走行情報発信部とを備えている。また、前記情報集計装置は、前記各一般車両の前記走行情報発信部から発信された前記走行情報を受信する情報受信部と、該情報受信部が受信した前記複数の走行情報に基づいて路面の位置毎に路面状態の劣化指標を作成する劣化指標作成部と、該劣化指標作成部が作成した前記劣化指標の情報と該情報に該当する路面の位置情報とを関連付けた路面劣化推定情報を作成する路面劣化推定情報作成部と、前記路面劣化推定情報を提供する路面劣化推定情報提供部とを備えていることを特徴とする。
ここでいう一般車両とは、道路の路面の劣化状態を検出することに特化した前述したパトロール車とは異なる車両であって、一般ユーザが乗車している(例えば特定の目的地に向かって走行している)車両である。
前述の特定事項により、仮に路面に劣化が生じている場合(例えば轍が存在している場合等)、その路面を一般車両が通過する際(例えば操舵輪が轍に入り込む際)には、該車両の操舵輪と路面との接触状態が変化することに起因してパラメータ(操舵輪と路面との接触状態の変化に起因して変化するパラメータ)の値が変化し、そのことが計測手段によって計測される。また、一般車両は位置検出手段によって自車位置を検出しているので、これら自車位置の情報と当該自車位置において計測されたパラメータの値の情報とを関連付けた走行情報(または自車位置の情報と当該自車位置において計測されたパラメータの値に基づいた路面劣化判定情報とを関連付けた走行情報)が走行情報発信部によって情報集計装置に発信される。情報集計装置では、情報受信部によって複数の走行情報が受信され、これら走行情報に基づいて、劣化指標作成部が路面の位置毎に路面状態の劣化指標を作成する。そして、劣化指標の情報と該情報に該当する路面の位置情報とを関連付けた路面劣化推定情報が路面劣化推定情報作成部によって作成される。そして、この路面劣化推定情報は、路面劣化推定情報提供部によって提供されることになる(例えば、道路管理者や、路面劣化推定情報を受信することで道路の補修(路面の補修)の必要性の有無を判定する道路補修判定部等に提供されることになる)。この路面劣化推定情報の提供を受けることにより、道路の補修の必要性の有無を容易に判断することができる。このように、複数台の一般車両それぞれから発信された走行情報に基づいて作成された路面劣化推定情報を提供するようにしているため、専用のパトロール車を巡回させて路面の状態を検出するものに比べて、路面の劣化の情報を早期に提供することが可能になり、その結果、路面に異常が生じていることの情報を取得するまでのタイミングに遅れが生じてしまうことが抑制されて、道路の補修のタイミングに遅れが生じてしまうことを回避できる。
また、前記パラメータの値が所定の閾値を超えた場合に、当該パラメータの値が取得された前記自車位置の情報と当該パラメータの値に基づいた路面劣化判定情報とを関連付けた走行情報が走行情報発信部から発信されるようにしている。
これにより、路面の劣化が進んだことでパラメータの値が所定の閾値を超えた場合に、走行情報が走行情報発信部から情報集計装置に向けて発信されることになるため、情報集計装置に発信される情報として有益な情報のみに絞ることができ、情報の利用の高効率化および情報集計装置の負荷の軽減を図ることができる。
また、前記パラメータの値の単位時間当たりの変化量が所定の閾値を超えた場合に、当該変化量が所定の閾値を超えた前記自車位置の情報と当該変化量に基づいた路面劣化判定情報とを関連付けた走行情報が走行情報発信部から発信されるようにしている。
これにより、操舵輪と路面との接触状態が大きく変化することで、パラメータの値の単位時間当たりの変化量が所定の閾値を超えた場合に、走行情報が走行情報発信部から情報集計装置に向けて発信されることになるため、この場合にも、情報の利用の高効率化および情報集計装置の負荷の軽減を図ることができる。
本発明に係る路面状態情報提供システムの利用形態としては、路面に轍が存在している場合の当該轍の大きさが所定の大きさ以上(道路の補修が必要である程度の大きさ)となっているか否かを判断するための情報を提供することが挙げられる。この場合、前記操舵輪と前記路面との接触状態の変化としては、前記路面に轍が存在する場合に、前記操舵輪が平坦路から前記轍に入り込むことによる接触状態の変化、前記操舵輪が前記轍の内部の傾斜面に接触する場合の接触状態の変化、前記操舵輪が前記轍から平坦路に脱出することによる接触状態の変化のうち少なくとも一つである。
轍が存在する路面上を走行する場合、この轍の影響によって操舵輪の操舵力(路面からの反力に起因する強制的な操舵力や、運転者が保舵するための操舵力)や車両の挙動が影響を受けることになり、その影響は轍が大きいほど(轍の深さが大きいほど)大きくなる傾向がある。このため、これら操舵輪の操舵力や車両の挙動の変化に応じて変化する前記パラメータ(操舵輪と路面との接触状態の変化に起因して変化するパラメータ)の値を計測手段によって計測することにより、走行情報を、轍の大きさに応じた情報として取得することができる。そして、この走行情報に基づいて路面劣化推定情報が作成されるため、提供される路面劣化推定情報としては轍の大きさを反映したもの、つまり、道路の補修の必要性の判断を容易に行えるものとして得られることになり、道路の補修を適切なタイミングで実施することが可能になる。
また、操舵輪と路面との接触状態の変化に起因して変化する前記パラメータとしては種々のものが適用可能である。以下、各パラメータおよび該パラメータを利用する場合における計測手段の例について説明する。
前記パラメータとしては、電動パワーステアリング装置に備えられた電動アシストモータの電流値が適用可能である。この場合、前記計測手段は、前記電流値を計測する電流センサである。
轍の影響によって操舵輪が強制的に操舵(転舵)される場合(所謂、ハンドルが取られるといった状況を招く場合)、運転者は、この強制的に操舵が行われる操舵力に対抗する操舵力(保舵力)をステアリングホイールに加えることになる。このため、電動パワーステアリング装置では、この保舵力のアシスト力が発生するように電動アシストモータが作動し、電流値(モータ電流値)が一時的に高くなる。そして、轍の深さが大きいほど大きな保舵力が必要であり、それに伴ってモータ電流値も高くなる。つまり、轍の深さとモータ電流値との間には相関がある。このため、前記パラメータを電動アシストモータの電流値とし、電流センサによって該電流値を計測することにより、轍の深さに応じた走行情報を得ることができ、路面状態の劣化指標を高い精度で得ることができる。
また、前記パラメータとしては、車両の運転者がステアリングホイールに与える操舵力が適用可能である。この場合、前記計測手段は、前記操舵力を計測する操舵力センサである。
前述した場合(パラメータを電動アシストモータの電流値とした場合)と同様に、運転者が、轍の影響による強制的な操舵力に対抗する保舵力をステアリングホイールに加える場合、その保舵力は轍の深さが大きいほど大きいものとなる。このため、この保舵力(操舵力)を操舵力センサによって計測することにより、轍の深さに応じた走行情報を得ることができる。
また、前記パラメータとしては、電動パワーステアリング装置に備えられた電動アシストモータの回転角が適用可能である。この場合、前記計測手段は、前記回転角を計測するモータ回転角センサである。
轍の影響によって操舵輪が強制的に操舵される場合、電動アシストモータのロータも強制的に回動されることになる。そして、轍の深さが大きいほど電動アシストモータの回転角(強制的に回動される回転角)も大きくなる。つまり、轍の深さと電動アシストモータの回転角との間には相関がある。このため、前記パラメータを電動アシストモータの回転角とし、モータ回転角センサによって該回転角を計測することにより、轍の深さに応じた走行情報を得ることができる。
また、前記パラメータとしては、ステアリングホイールの回転角が適用可能である。この場合、前記計測手段は、前記回転角を計測する回転角センサである。
轍の影響によって操舵輪が強制的に操舵される場合、ラックアンドピニオン機構やステアリングシャフト等を介して連結されているステアリングホイールも強制的に回動されることになる。そして、轍の深さが大きいほどステアリングホイールの回転角(強制的に回動される回転角)も大きくなる。つまり、轍の深さとステアリングホイールの回転角との間には相関がある。このため、前記パラメータをステアリングホイールの回転角とし、回転角センサによって該回転角を計測することにより、轍の深さに応じた走行情報を得ることができる。
また、前記パラメータとしては、左右の操舵輪それぞれの回転速度の差が適用可能である。この場合、前記計測手段は、左右の前記操舵輪それぞれの回転速度を計測する車輪速センサである。
左右の操舵輪のうち一方のみが轍に入り込んだ場合、この一方の車輪の高さ位置が他方の車輪の高さ位置に対して低くなり、この一方に向けて操舵輪が強制的に操舵される状況となる。この操舵により、一方の車輪の回転速度は他方の車輪の回転速度よりも低くなる。そして、轍の深さが大きいほど、この回転速度の差は大きくなる。つまり、轍の深さと左右の操舵輪それぞれの回転速度の差との間には相関がある。このため、前記パラメータを、左右の操舵輪それぞれの回転速度の差とし、車輪速センサによって左右の操舵輪それぞれの回転速度を計測することにより、轍の深さに応じた走行情報を得ることができる。
また、前記パラメータとしては、一般車両の上下方向の加速度および左右方向の加速度のうちの少なくとも一方を含ませることが可能である。この場合、前記計測手段は、前記加速度を計測する加速度センサである。
左右の操舵輪のうち一方のみが轍に入り込んだ場合、車両では上下方向の加速度および左右方向の加速度が発生する。また、左右の操舵輪の両方が略同時に轍に入り込んだ場合、車両では上下方向の加速度が発生する。これら加速度は、轍の深さが大きいほど大きくなる。このため、前記パラメータを、少なくとも一般車両の上下方向の加速度および一般車両の左右方向の加速度とし、加速度センサによって上下方向の加速度や左右方向の加速度を計測することにより、轍の深さに応じた走行情報を得ることができる。
また、前記パラメータとしては、左右の前記操舵輪それぞれが独立して転舵可能となっている場合の各操舵輪それぞれの転舵角度の差が適用可能である。この場合、前記計測手段は、左右の前記操舵輪それぞれの転舵角度を計測する転舵角センサである。
轍の影響によって一方の操舵輪が強制的に操舵される場合、該操舵輪の転舵角度が大きくなり、左右の操舵輪それぞれの転舵角度に差が生じ、この差は、轍の深さが大きいほど大きくなる。つまり、轍の深さと各操舵輪それぞれの転舵角度の差との間には相関がある。このため、前記パラメータを各操舵輪それぞれの転舵角度の差とし、転舵角センサによって該転舵角度の差を計測することにより、轍の深さに応じた走行情報を得ることができる。
また、前記路面劣化推定情報提供部は、前記路面劣化推定情報を、道路管理者が監視する端末装置に向けて発信する。
これにより、道路管理者は、端末装置を介して路面劣化推定情報の提供を受けることになり、道路の補修の必要性の判断を容易に行うことができる。
また、前記路面劣化推定情報提供部は、提供された前記路面劣化推定情報と予め記憶された前記路面劣化推定情報の教師情報との比較による機械学習によって道路の補修の必要性の有無を判定する道路補修判定部に向けて前記路面劣化推定情報を発信する。
これによれば、道路の補修の必要性の判断を機械学習によって自動的に行うことができ、道路管理者の負担の軽減を図ったり、道路管理者の誤った判断に起因して路面が劣化した状態(補修が必要な状態)が長期間に亘って放置されてしまうといったことを回避することができる。
本発明では、複数の一般車両から収集した走行情報に基づいて路面の位置毎に路面状態の劣化指標を作成し、この劣化指標の情報と該情報に該当する路面の位置情報とを関連付けた路面劣化推定情報を提供するようにしている。このため、専用のパトロール車を巡回させて路面の状態を検出するものに比べて、路面の劣化の情報を早期に提供することが可能になり、その結果、路面に異常が生じていることの情報を取得するまでのタイミングに遅れが生じてしまうことが抑制されて、道路の補修のタイミングに遅れが生じてしまうことを回避できる。
実施形態に係る路面状態情報提供システムの概略構成を示す図である。 タイヤ舵角とモータ電流値との関係の一例を示す図である。 タイヤが轍に入り込んだ状態を示す図である。 轍の深さとモータ電流値との関係の一例を示す図である。 タイヤの路面接地状態を示し、図5(a)は左右の各タイヤが轍の中央部に入り込んだ走行状態を示す図であり、図5(b)は左右の各タイヤが轍の外側に接地した走行状態を示す図である。 図5に示す状態におけるモータ電流値の推移の一例を示す図である。 タイヤの路面接地状態を示し、図7(a)は左側タイヤが轍の中央部に入り込み右側タイヤの内側部が轍の傾斜面に接触した走行状態を示す図であり、図7(b)は左側タイヤの外側部および右側タイヤの内側部それぞれが轍の傾斜面に接触した走行状態を示す図であり、図7(c)は左側タイヤの外側部が轍の傾斜面に接触し右側タイヤが轍の外側に接地した走行状態を示す図であり、図7(d)は左側タイヤが轍の中央部に入り込み右側タイヤが轍の外側に接地した走行状態を示す図である。 轍への進入時に右側修正舵が切られた場合のモータ電流値の変化の一例を示す図である。 轍の走行時に所定期間に亘って右側修正舵が切られた場合のモータ電流値の変化の一例を示す図である。 タイヤの路面接地状態を示し、図10(a)は左側タイヤの内側部が轍の傾斜面に接触し右側タイヤが轍の中央部に入り込んだ走行状態を示す図であり、図10(b)は左側タイヤの内側部および右側タイヤの外側部それぞれが轍の傾斜面に接触した走行状態を示す図であり、図10(c)は左側タイヤが轍の外側に接地し右側タイヤの外側部が轍の傾斜面に接触した走行状態を示す図であり、図10(d)は左側タイヤが轍の外側に接地し右側タイヤが轍の中央部に入り込んだ走行状態を示す図である。 轍への進入時に左側修正舵が切られた場合のモータ電流値の変化の一例を示す図である。 轍の走行時に所定期間に亘って左側修正舵が切られた場合のモータ電流値の変化の一例を示す図である。 タイヤの路面接地状態を示し、図13(a)は左側タイヤの内側部および右側タイヤの内側部それぞれが轍の傾斜面に接触した走行状態を示す図であり、図13(b)は左側タイヤの外側部および右側タイヤの外側部それぞれが轍の傾斜面に接触した走行状態を示す図であり、図13(c)は左側タイヤの内側部が轍の傾斜面に接触し右側タイヤが轍の外側に接地した走行状態を示す図であり、図13(d)は左側タイヤが轍の外側に接地し右側タイヤの内側部が轍の傾斜面に接触した走行状態を示す図である。 図13(a)~(d)のうちの何れかの状態におけるモータ電流値の変化の一例を示す図である。 タイヤが轍に入り込んでから脱出するまでの期間におけるモータ電流値の変化の一例を示す図である。 管理者端末装置の表示画面上での第1の地図表示状態の一例を示す図である。 管理者端末装置の表示画面上での第2の地図表示状態の一例を示す図である。 車両、データセンタおよび管理者端末装置それぞれの動作の一例を示すシーケンス図である。 変形例に係る路面状態情報提供システムの概略構成を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、ラックアシストタイプの電動パワーステアリング装置を利用して本発明に係る路面状態情報提供システムを構築した場合を例に挙げて説明する。
-路面状態情報提供システムの概略構成-
図1は、本実施形態に係る路面状態情報提供システム1の概略構成を示す図である。この図1に示すように、路面状態情報提供システム1は、複数台の車両V,V,…それぞれに搭載された電動パワーステアリング装置EPS、データセンタ(情報集計装置)DS、および、管理者端末装置ATEを含んで構成されている。データセンタDSおよび管理者端末装置ATEは、例えば道路管理組織(例えば自治体の建設局や道路補修業者等)に設置されている。そして、これら電動パワーステアリング装置EPSとデータセンタDSと管理者端末装置ATEとの間で所定の通信ネットワークCNを使用した通信が可能な構成となっている。
これら電動パワーステアリング装置EPSとデータセンタDSと管理者端末装置ATEとの間での通信形態としては、多数の基地局を有する携帯電話網やインターネット網や専用の通信網等を通じて双方向で通信を行う形態が採用されている。尚、電動パワーステアリング装置EPSとデータセンタDSとの間での通信形態は携帯電話網やインターネット網や専用の通信網等を通じて双方向で通信を行う形態である一方、データセンタDSと管理者端末装置ATEとの間での通信形態は専用の通信線を通じて双方向で通信を行う形態であってもよい。
以下、電動パワーステアリング装置EPS、データセンタDS、および、管理者端末装置ATEについて説明する。
(電動パワーステアリング装置)
各車両V,V,…に搭載された電動パワーステアリング装置EPSについて説明する。図1では、1台の車両Vに搭載された電動パワーステアリング装置EPSを代表して、路面状態情報提供システム1に関わる部分の構成を示している。
図1に示すように、電動パワーステアリング装置EPSは、操舵輪(転舵輪とも呼ばれる)である左前輪T1(以下、左側タイヤという場合もある)および右前輪T2(以下、右側タイヤという場合もある)を転舵(操舵)するためのステアリング機構(操舵装置)10を含んで構成されている。
ステアリング機構10は、ステアリングホイール11、該ステアリングホイール11に連結されたステアリングシャフト12、および、ラックバー14を有する。
ステアリング機構10は、ステアリングホイール11の回転操作に連動したステアリングシャフト12の軸線周りの回転をラックアンドピニオン機構13によりラックバー14の左右方向のストローク運動(直線運動)に変換する。ラックバー14のストローク運動により、操舵輪である左前輪T1および右前輪T2が転舵される。
ステアリングシャフト12は、ステアリングホイール11を上端に連結したメインシャフト12a、ラックアンドピニオン機構13と連結されるピニオンシャフト12c、および、メインシャフト12aとピニオンシャフト12cとをユニバーサルジョイント12d,12eを介して連結するインタミディエイトシャフト12bを含む。
ラックバー14は、該ラックバー14の中央近傍に形成されたギヤ部14aを備える。ラックバー14の中央部はラックハウジング15内に収納されている。ラックバー14の左右両端は、ラックハウジング15から突出し、左右のタイロッド16のそれぞれの一端と連結されている。左右のタイロッド16のそれぞれの他端は、左前輪T1および右前輪T2にそれぞれ設けられたナックル17に接続されている。ラックバー14とタイロッド16との連結部には、ラックエンド部材18が設けられている。一方、ラックハウジング15の両端には、ストッパ部15aが形成されている。ラックバー14が軸方向に所定量以上ストロークすると、ラックエンド部材18とストッパ部15aとが当接する。これにより、ラックバー14のストローク範囲が制限されることになる。
電動パワーステアリング装置EPSの動力源である電動アシストモータ21は、3相同期式永久磁石モータ(3相ブラシレスモータ)によって構成されている。電動アシストモータ21は、何れも図示しない、ロータと、車体に支持されたハウジング内に固定され且つロータに対向したステータとを備える。ロータと一体的に回転する図示しない回転軸は、減速ギヤ19を介してラックバー14に動力伝達可能となっている。
電動パワーステアリング装置EPSの制御系を構成するステアリングECU20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、制御プログラムを記憶するROM(Read-Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random-Access Memory)、および、入出力ポート等を備えている。
ステアリングECU20には、モータ回転角センサ22、操舵力センサ23、操舵角センサ24、車輪速センサ25、電流センサ(計測手段)34、Gセンサ26、GPSモジュール(位置検出手段)27が信号線によって接続されている。
モータ回転角センサ22は、電動アシストモータ21の内部に組み込まれ、電動アシストモータ21のロータの回転角を表す信号を出力する。このモータ回転角センサ22は、例えば、レゾルバまたはホールセンサにより構成される。尚、回転角を表す信号から電動アシストモータ21の角速度および回転速度が取得される。加えて、回転角を表す信号から電動アシストモータ21の電気角が取得される。
操舵力センサ23は、ステアリングシャフト12(メインシャフト12a)に設けられている。操舵力センサ23は、ステアリングシャフト12に介装されている図示しないトーションバーに入力された捩り力を、操舵力として検出する。
操舵角センサ24は、ステアリングホイール11の操舵角を検出し、該操舵角を表す信号を出力する。
車輪速センサ25は、各車輪T1,T2の回転速度を検出し、これら回転速度を表す信号を出力する。
電流センサ34は、電動アシストモータ21のコイルに流れる電流値(以下、モータ電流値という)を検出し、そのモータ電流値(本発明でいう、操舵輪と路面との接触状態の変化に起因して変化するパラメータ)を表す信号を出力する。
ここで、モータ電流値の変化について説明する。図2は、タイヤ舵角とモータ電流値との関係の一例を示す図である。この図2は、タイヤ舵角(例えば運転者がステアリングホイール11を回転操作することに起因するタイヤ舵角)が比較的小さい範囲における当該タイヤ舵角とモータ電流値との関係の一例を示している。この図2における細線は、車両Vが平坦路(轍等が存在していない路面)を走行している場合におけるタイヤ舵角とモータ電流値との関係を示している。この場合、タイヤ舵角が大きくなるに従って(屈曲路の走行時などであって、道路の曲率が大きくなるに従って)、電動アシストモータ21によるアシスト力(操舵力に対するアシスト力)を大きく得るようにモータ電流値は次第に大きくなっていくことになる。
一方、車両Vが、轍等が存在する路面(劣化した路面)を走行している場合にあっては、タイヤ(操舵輪)が平坦路から轍に入り込む際や、タイヤが轍の内部の傾斜面に接触する際や、タイヤが轍から平坦路に脱出する際には、轍の影響によってタイヤが強制的に操舵(転舵)されるといった状況を招く(所謂、ハンドルが取られるといった状況を招く)。この際、運転者(例えば直進走行を維持しようとする運転者)は、この強制的に操舵が行われる操舵力に対抗する操舵力(以下、保舵力という場合もある)をステアリングホイール11に加えることになる。つまり、強制的な操舵方向とは反対方向への操舵が行われることになる。このため、この反対方向への保舵力のアシスト力が発生するように電動アシストモータ21が作動する。つまり、このアシスト力が発生するようにモータ電流値は一時的に高くなる。図2における太線は、このアシスト力の発生に伴うモータ電流値の変化の一例を示している。このような状況では、タイヤ舵角に応じた通常のモータ電流値(図2に細線で示したモータ電流値)とは異なるモータ電流値の変化が現れることになる。つまり、このようなモータ電流値の変化が現れた場合には路面に轍が存在していると判断することができる。
図3は、タイヤTが轍WTに入り込んだ状態を示す図である。また、図4は、轍WTの深さとモータ電流値との関係の一例を示す図である。図3は深さの異なる複数の轍WTを示しており、実線、破線、一点鎖線の順で深さが大きいものとなっている。そして、この轍WTの深さとモータ電流値との関係としては、図4に示すように、轍WTの深さが大きいほどモータ電流値の変化も大きくなっている。この図4においても、実線、破線、一点鎖線の順で深さが大きいものとなっている。これは、轍WTの深さが大きいほど該轍WTの内部の傾斜面の傾斜角度が鉛直方向に近付いていくことに起因する。つまり、轍WTの内部の傾斜面の傾斜角度が鉛直方向に近いほど、この傾斜面にタイヤTが接触している場合における、強制的に操舵が行われる操舵力が大きくなるため、それに対向して運転者がステアリングホイール11に加える保舵力も大きくなり、その結果、轍WTの深さが大きいほどモータ電流値の変化も大きくなるものである。
前記Gセンサ26は、車両に発生する上下方向の加速度および左右方向の加速度を検出し、その加速度信号を出力する。また、車両Vの挙動を検知するセンサとしては、これに限らず、前後方向の加速度を検出するGセンサやヨーレートを検出するヨーレートセンサを備えていてもよい。
GPSモジュール27は、GPS衛星からの信号を受信することにより、自車両の位置を計測して、計測結果である自車両位置情報を出力する。
ステアリングECU20は、モータ駆動回路30に接続されていて、モータ駆動回路30に指令信号を送出する。モータ駆動回路30は、周知のモータベクトル制御を実行するための周知の構成を備えている。モータ駆動回路30は、ステアリングECU20からの指令信号に基づいて、車載電源33から供給される電力によって電動アシストモータ21を駆動する。
また、ステアリングECU20は、前記制御プログラムによって実現される機能部として、情報受信部28、轍判定部29および走行情報発信部20Aを備えている。以下、これら各部の機能の概略について説明する。
情報受信部28は、電流センサ34によって検出されたモータ電流値(電動アシストモータ21のコイルに流れる電流値)の情報、および、GPSモジュール27によって計測された自車両の位置の情報を受信可能となっている。
轍判定部29は、モータ電流値に基づいて路面に轍WTが存在しているか否かを判定する機能部である。本実施形態に係る轍判定部29は、モータ電流値が所定の閾値を超えた場合に轍WTが存在していると判定する(轍判定フラグがONとなる)ようにしている。
以下、車両Vの走行時におけるタイヤの路面接地状態と、それに応じてタイヤに発生する強制的な操舵力(路面からの反力に起因して発生する操舵力)と、保舵力のアシスト力を発生させるためのモータ電流値との関係について複数のパターンについて説明する。
先ず、図5は、車両Vが紙面手前側から奥側に向けて走行する場合のタイヤT1,T2の路面接地状態を示し、図5(a)は左右の各タイヤT1,T2が轍WTの中央部に入り込んだ走行状態を示す図であり、図5(b)は左右の各タイヤT1,T2が轍WTの外側に接地した走行状態を示す図である。
これらの図に示す場合、タイヤT1,T2は轍WTの影響を受けず、強制的な操舵力は発生していない。このため、保舵力は発生しないことになる。その結果、これらの場合には、図6に示すように、モータ電流値は零のまま推移されることになる。この図6では、縦軸の上方向が右側への操舵のアシスト力の大きさを表しており、縦軸の下方向が左側への操舵のアシスト力の大きさを表している。
図7は、車両Vが紙面手前側から奥側に向けて走行する場合のタイヤの路面接地状態を示し、図7(a)は左側タイヤ(左前輪)T1が轍WTの中央部に入り込み右側タイヤ(右前輪)T2の内側部が轍WTの傾斜面に接触した走行状態を示す図である。図7(b)は左側タイヤT1の外側部および右側タイヤT2の内側部それぞれが轍WTの傾斜面に接触した走行状態を示す図である。図7(c)は左側タイヤT1の外側部が轍WTの傾斜面に接触し右側タイヤT2が轍WTの外側に接地した走行状態を示す図である。図7(d)は左側タイヤT1が轍WTの中央部に入り込み右側タイヤT2が轍WTの外側に接地した走行状態を示す図である。
図7(a)~図7(c)に示す状態では、少なくとも一方のタイヤが轍WTの傾斜面を駆け上がる方向に強制的な操舵力が発生することになるので、左側への強制的な操舵力が発生している。また、図7(d)に示す状態では、左側タイヤT1の高さ位置が右側タイヤT2の高さ位置に比べて、轍WTの深さ分だけ低くなっているため、この場合にも左側への強制的な操舵力が発生している。
これらの図に示す場合、タイヤT1,T2は轍WTの影響を受け、左側への強制的な操舵力が発生しており、運転者は、この強制的な操舵力に対抗する保舵力を右側へ与えるように修正舵を切ることになる。このため、この右側への保舵力のアシスト力(右側へのアシスト力)を発生させるためのモータ電流が発生することになる。その結果、これらの場合には、図8に示すように、モータ電流値が変化することになる。また、特に、図7(d)に示す状態では、左側タイヤT1が轍WTの中央部に入り込んでいる期間中は継続的に強制的な操舵力が発生しているため、右側への保舵力も継続的に発生しており、保舵力のアシスト力も継続的に発生することになって、図9に示すように、モータ電流値が変化することになる。
また、図10は、車両Vが紙面手前側から奥側に向けて走行する場合のタイヤの路面接地状態を示し、図10(a)は左側タイヤT1の内側部が轍WTの傾斜面に接触し右側タイヤT2が轍WTの中央部に入り込んだ走行状態を示す図である。図10(b)は左側タイヤT1の内側部および右側タイヤT2の外側部それぞれが轍WTの傾斜面に接触した走行状態を示す図である。図10(c)は左側タイヤT1が轍WTの外側に接地し右側タイヤT2の外側部が轍WTの傾斜面に接触した走行状態を示す図である。図10(d)は左側タイヤT1が轍WTの外側に接地し右側タイヤT2が轍WTの中央部に入り込んだ走行状態を示す図である。
図10(a)~図10(c)に示す状態でも、少なくとも一方のタイヤが轍WTの傾斜面を駆け上がる方向に強制的な操舵力が発生することになるので、前述した図7(a)~図7(c)に示す状態とは逆に、右側への強制的な操舵力が発生している。また、図10(d)に示す状態では、右側タイヤT2の高さ位置が左側タイヤT1の高さ位置に比べて、轍WTの深さ分だけ低くなっているため、この場合にも右側への強制的な操舵力が発生している。
これらの図に示す場合、タイヤT1,T2は轍WTの影響を受け、右側への強制的な操舵力が発生しており、運転者は、この強制的な操舵力に対抗する保舵力を左側へ与えるように修正舵を切ることになる。このため、この左側への保舵力のアシスト力(左側へのアシスト力)を発生させるためのモータ電流が発生することになる。その結果、これらの場合には、図11に示すように、モータ電流値が変化することになる。また、特に、図10(d)に示す状態では、右側タイヤT2が轍WTの中央部に入り込んでいる期間中は継続的に強制的な操舵力が発生しているため、左側への保舵力も継続的に発生しており、保舵力のアシスト力も継続的に発生することになって、図12に示すように、モータ電流値が変化することになる。
更に、図13は、車両Vが紙面手前側から奥側に向けて走行する場合のタイヤT1,T2の路面接地状態を示し、図13(a)は左側タイヤT1の内側部および右側タイヤT2の内側部それぞれが轍WTの傾斜面に接触した走行状態を示す図である。図13(b)は左側タイヤT1の外側部および右側タイヤT2の外側部それぞれが轍WTの傾斜面に接触した走行状態を示す図である。図13(c)は左側タイヤT1の内側部が轍WTの傾斜面に接触し右側タイヤT2が轍WTの外側に接地した走行状態を示す図である。図13(d)は左側タイヤT1が轍WTの外側に接地し右側タイヤT2の内側部が轍WTの傾斜面に接触した走行状態を示す図である。
これら図13(a)~図13(d)に示す状態でも、タイヤが轍WTの傾斜面を駆け上がる方向に強制的な操舵力が発生することになる。ところが、図13(a)に示す状況では、左側タイヤT1には右側への強制的な操舵力が発生しているのに対し、右側タイヤT2には左側への強制的な操舵力が発生している。図13(b)に示す状況では、左側タイヤT1には左側への強制的な操舵力が発生しているのに対し、右側タイヤT2には右側への強制的な操舵力が発生している。図13(c)に示す状況では、左側タイヤT1には右側への強制的な操舵力が発生しているのに対し、左側タイヤT1の高さ位置が右側タイヤT2の高さ位置に比べて、轍WTの深さ分だけ低くなっているため、左側への強制的な操舵力が発生している。図13(d)に示す状況では、右側タイヤT2には左側への強制的な操舵力が発生しているのに対し、右側タイヤT2の高さ位置が左側タイヤT1の高さ位置に比べて、轍WTの深さ分だけ低くなっているため、右側への強制的な操舵力が発生している。つまり、これら図13(a)~図13(d)に示す状態では、強制的な操舵力は不安定な状況であり、それに伴って、運転者による保舵力も不安定となる。このため、保舵力に対するアシスト力を発生させるためのモータ電流値も不安定となる。その結果、これらの場合には、例えば図14に示すように、モータ電流値が不安定な状態で推移することになる。
図15は、タイヤT1,T2が轍WTに入り込んでから脱出するまでの期間におけるモータ電流値の変化の一例を示す図である。この図15では、図中のタイミングt1において一方のタイヤが轍WTに入り込み、それに伴ってモータ電流値が一時的に上昇している。この図15に示すものでは、右側へのアシスト力が大きくなるようにモータ電流値が上昇しているので、例えば、図7(b)に示す状態が想定される。また、図中のタイミングt2からタイミングt3の期間では、モータ電流値が不安定な状態となっている。この図15に示すものでは、タイミングt2からタイミングt3の期間において左側へのアシスト力が大きくなるようにモータ電流値が上昇しているので、例えば、図13(c)に示す状態が想定される。また、図中のタイミングt4においては、轍WTに入り込んでいた一方のタイヤが轍WTから脱出し、それに伴ってモータ電流値が一時的に上昇している。この図15に示すものでは、この脱出時に右側へのアシスト力が大きくなるようにモータ電流値が上昇しているので、例えば、図13(c)に示す状態から左側タイヤT1が脱出したことが想定される。
前記轍判定部29は、前述したように轍WTの存在に起因してモータ電流値が変化することを利用し、該モータ電流値が所定の閾値を超えた場合に轍WTが存在している(所定深さ以上の轍WTが存在している)と判定し、その判定信号(轍WTが存在している旨の判定信号およびその轍WTの大きさに係る信号)を走行情報発信部20Aに送信する。
以下、轍WTが存在していることの判定手法について具体的に説明する。この判定手法としては、轍WTが存在していない場合における電動アシストモータ21によるアシスト力を得るためのモータ電流値に対する偏差(保舵力に対するアシスト力を得るためのモータ電流値の増加分)に基づいて轍WTの存在の有無を判定する。
つまり、車両Vが直進走行している(ステアリングホイール11の操舵角が約零となっている)場合には、電動アシストモータ21によるアシスト力が略零の状態であってモータ電流値も略零となっているので、このモータ電流値からの増加量が所定の増加閾値を超えた場合に轍WTが存在していると判定することになる。この増加閾値としては、実験またはシミュレーションによって例えば3A等の値として設定される。この値はこれに限定されるものではない。
また、車両Vが屈曲路を走行している(ステアリングホイール11が所定の操舵角で回動した状態で走行している)場合には、電動アシストモータ21によるアシスト力が発生しており、それに応じたモータ電流値(以下、基準モータ電流値という)が発生しているので、この基準モータ電流値からの増加量が所定の増加閾値を超えた場合に轍WTが存在していると判定することになる。この場合、車両Vが屈曲路を走行していることの情報が必要となる(ステアリングホイール11が所定の操舵角で回動されているのは保舵力を得るためではなく屈曲路を走行しているためであることを確定する必要がある)。そのため、本実施形態では、車両Vに搭載されているナビゲーションシステムに記憶された地図情報から、現在、車両Vが走行している道路の屈曲情報を取得する。また、基準モータ電流値は、図2に細線で示したようにタイヤ舵角に応じて決定されるため、前記地図情報に基づき、車両Vが走行している道路が屈曲路であると判定された場合には、現在、操舵角センサ24から送信されている操舵角信号から基準モータ電流値が求められることになる。そして、この基準モータ電流値に対し、電流センサ34によって検出されたモータ電流値が所定の増加閾値を超えた場合に轍WTが存在していると判定することになる。
また、車両Vが屈曲路を走行している場合に車速に応じてモータ電流値が変更される場合(例えば車速が低いほどモータ電流値が高く設定される場合)には、それに応じて基準モータ電流値が補正されることになる。この車速と基準モータ電流値の補正量との関係は実験またはシミュレーションによって設定される。この場合、この補正後の基準モータ電流値に対し、電流センサ34によって検出されたモータ電流値が所定の増加閾値を超えた場合に轍WTが存在していると判定することになる。この場合、車速の情報は、前記車輪速センサ25からの各車輪T1,T2の回転速度の信号に基づいて算出される。また、車両Vに搭載されているナビゲーションシステムに記憶された地図情報に含まれる速度規制情報(制限車速の情報)から当該道路を走行する場合の車速を仮設定し、その仮設定した車速に応じて基準モータ電流値を補正するようにしてもよい。
走行情報発信部20Aは、轍判定部29からの判定情報(本発明でいう路面劣化判定情報であって、轍WTの存在の有無および轍WTの大きさの情報)と自車両の位置の情報(轍判定部29によって轍WTが存在していると判定された際の位置の情報:GPSモジュール27によって計測された自車両の位置情報)を受信し、これら情報を関連付けた走行情報を、通信ネットワークCNを介してデータセンタDSに発信(送信)するようになっている。
(データセンタ)
データセンタDSは、各車両V,V,…それぞれの走行情報発信部20Aから受信した走行情報(路面劣化判定情報と自車両の位置の情報とを関連付けた走行情報)に従った情報処理を行うものであって、その機能部として、情報受信部41、劣化指標作成部42、路面劣化推定情報作成部43、および、路面劣化推定情報提供部44を備えている。これら各部の機能は、データセンタDSに備えられたコンピュータに記憶されたプログラムによって実現される。以下、これら各部の機能の概略について説明する。
情報受信部41は、各車両V,V,…それぞれの走行情報発信部20Aが発信した走行情報を受信する。
劣化指標作成部42は、情報受信部41が受信した複数の走行情報に基づいて路面の位置毎に路面状態の劣化指標を作成する。本実施形態では、管理者端末装置ATEの表示画面上に表示させる劣化指標の一例として、地図上に重ね合わせて表示する棒グラフ(路面の劣化の度合いに応じた高さを有する棒グラフ)を採用しており、この劣化指標作成部42では、路面の劣化の度合いに応じた棒グラフを作成する。以下、この棒グラフの作成動作について説明する。
複数の走行情報それぞれには、路面の位置情報と、その位置における路面劣化判定情報(轍WTの存在の有無および轍WTの大きさの情報)とが含まれている。劣化指標作成部42では、同一の路面位置における路面劣化判定情報を集計し、その位置における路面の劣化度合いの平均値を求める。例えば、電流センサ34によって検出されたモータ電流値の基準モータ電流値に対する増加量の平均値を求め、その値が当該路面の位置に関連付けられる。このような動作が、各位置(路面位置)それぞれに対して行われる。これにより、劣化指標作成部42では、各路面位置それぞれにおける路面の劣化度合いの情報が劣化指標として作成されることになる。そして、この劣化指標(路面の劣化度合いが大きいほど大きくなる劣化指標)の大きさは、前記棒グラフの高さ寸法として規定されることになる。これら路面位置に関連付けられた劣化指標の情報(棒グラフの高さ寸法の情報)は、路面劣化推定情報作成部43に送信される。
路面劣化推定情報作成部43では、劣化指標作成部42から受信した劣化指標の情報と該情報に該当する路面の位置情報とを関連付けた路面劣化推定情報が作成される。つまり、地図上における各路面位置と該路面位置に対応する劣化指標(棒グラフ)とが関連付けられ、地図上に棒グラフを重ねて描いた画像情報が路面劣化推定情報として作成される。この路面劣化推定情報は、路面劣化推定情報提供部44に送信される。
路面劣化推定情報提供部44は、路面劣化推定情報作成部43から受信した路面劣化推定情報(画像情報)を通信ネットワークCNまたは通信線を介して管理者端末装置ATEに発信する。
(管理者端末装置)
管理者端末装置ATEは、データセンタDSの路面劣化推定情報提供部44から発信された路面劣化推定情報を道路管理者に提供するものであって、その機能部として、情報受信部51、情報表示部52を備えている。これら各部の機能は、管理者端末装置ATEに備えられたコンピュータに記憶されたプログラムによって実現される。以下、これら各部の機能の概略について説明する。
情報受信部51は、データセンタDSの路面劣化推定情報提供部44から発信された路面劣化推定情報を受信する。
情報表示部52は、情報受信部51が受信した路面劣化推定情報(画像情報)を図示しない道路管理者に提供するための表示画面に表示する。この路面劣化推定情報は、地図上に前記棒グラフを重ねて描いた画像情報である。
この情報表示部52によって表示画面に表示される地図表示状態としては、広い領域(広角領域)が表示される第1の地図表示状態と、狭い領域(狭角領域)が表示される第2の地図表示状態とが切り替え可能となっている。
図16は第1の地図表示状態の一例を示す図であり、図17は第2の地図表示状態の一例を示す図である。これら地図表示状態は、道路管理者の操作(管理者端末装置ATEの操作)によって切り替え可能であり、また、第2の地図表示状態に切り替える際には、第1の地図表示状態において拡大させたい領域(図16において円で囲んだ領域)を指定する(ポインティングデバイス等によって指定する)ことによって、その指定された領域の第2の地図表示状態に切り替えることができる。
そして、第2の地図表示状態では、地図上に前記棒グラフを重ねて描いた画像が表示され、轍WTが存在していると判定された路面の位置において、その轍WTの大きさが棒グラフの高さとして表示されることになる。
道路管理者は、この第2の地図表示状態での各棒グラフの位置および高さを目視することで、各路面位置での轍WTの大きさを認識し、道路の補修の必要性の有無を判断することになる。例えば、棒グラフの高さが所定長さ以上である路面位置に対しては補修の必要性があると判断することになる。
-路面状態情報提供システムの動作-
次に、路面状態情報提供システム1の動作について説明する。図18は、車両V、データセンタDSおよび管理者端末装置ATEそれぞれの動作の一例を示すシーケンス図である。この図18では、左側から順に、車両Vにおける情報処理動作(轍WTの判定動作、走行情報の作成および発信動作)、データセンタDSでの情報処理動作(劣化指標作成動作、路面劣化推定情報の作成および提供動作)、管理者端末装置ATEでの動作(路面劣化推定情報の表示動作)を表している。尚、この図18では、1台の車両Vと、データセンタDSおよび管理者端末装置ATEとの間での通信を例に挙げているが、他の車両V,V,…と、データセンタDSおよび管理者端末装置ATEとの間での通信も同様に行われている。
先ず、車両Vに搭載されている電動パワーステアリング装置EPSにおいて、電流センサ34によるモータ電流値の検出、および、GPSモジュール27による自車両の位置の計測(取得)が行われる(S1)。そして、モータ電流値が所定の閾値を超えている(基準モータ電流値からの増加量が所定の増加閾値を超えている)場合には轍WTが存在していると判定する(轍存在判定が行われる:S2)。
轍存在判定が行われた場合、その判定情報(轍WTが存在している旨の情報および轍WTの大きさの情報)と自車両の位置の情報とを関連付けた走行情報をデータセンタDSに発信する。データセンタDSでは、この各車両V,V,…からの走行情報を受信したことに伴い、これら走行情報を集計し(S3)、路面の位置毎に路面状態の劣化指標を作成する(S4)。そして、この劣化指標の情報と該情報に該当する路面の位置情報とを関連付けた路面劣化推定情報が作成され(S5)、この路面劣化推定情報が管理者端末装置ATEに向けて発信される。
管理者端末装置ATEでは、この路面劣化推定情報を受信することで、この路面劣化推定情報(画像情報)を表示画面に表示する(S6)。つまり、前述した第1の地図表示状態から第2の地図表示状態に切り替えることにより、地図上に、路面の劣化の度合い(轍WTの大きさ)に応じた棒グラフを重ねて描いた画像が表示されることになる。
-実施形態の効果-
以上説明したように、本実施形態では、複数の一般車両V,V,…から収集した走行情報に基づいて路面の位置毎に路面状態の劣化指標を作成し、この劣化指標の情報と該情報に該当する路面の位置情報とを関連付けた路面劣化推定情報を提供するようにしている。このため、専用のパトロール車を巡回させて路面の状態を検出するものに比べて、路面の劣化の情報を早期に提供することが可能になり、その結果、路面に異常が生じていることの情報を取得するまでのタイミングに遅れが生じてしまうことが抑制されて、道路の補修のタイミングに遅れが生じてしまうことを回避できる。
また、本実施形態では、複数の一般車両V,V,…からの走行情報に基づいて路面の劣化状態を検出するようにしているため、高価な専用のパトロール車を必要とすることがなく、安価で且つ高い精度で路面の状態を検出することができ、また、信頼性の高い路面劣化推定情報を提供することができる。
また、本実施形態では、轍判定部29において、モータ電流値が所定の閾値を超えたことで轍WTが存在していると判定された場合に走行情報を発信するようにしている。つまり、路面の劣化が進んだことでモータ電流値が所定の閾値を超えた場合に、走行情報がデータセンタDSに向けて発信されるようにしている。このため、データセンタDSに発信される情報(走行情報)として有益な情報のみに絞ることができ、情報の利用の高効率化およびデータセンタDSの負荷の軽減を図ることができる。
(システムの変形例)
次に、路面状態情報提供システム1の変形例について説明する。前述した実施形態では、道路管理者が、前記第2の地図表示状態での各棒グラフの位置および高さを目視することで道路の補修の必要性の有無を判断するようにしていた。本変形例は、それに代えて、データセンタDSにおける機械学習によって道路の補修の必要性の有無を判定するものとしている。この道路の補修の必要性の有無の判定に係る構成および動作以外は前述した実施形態のものと同様であるので、ここでは、補修の必要性の有無の判定に係る構成および動作についてのみ説明する。
図19は、本変形例に係る路面状態情報提供システム1の概略構成を示す図である。この図19に示すように、本変形例に係る路面状態情報提供システム1のデータセンタDSには、その機能部として、前述した情報受信部41、劣化指標作成部42、路面劣化推定情報作成部43、および、路面劣化推定情報提供部44以外に、道路補修判定部45を備えている。
この道路補修判定部45は、路面劣化推定情報提供部44から路面劣化推定情報の提供を受け、この路面劣化推定情報と、予め記憶された路面劣化推定情報の教師情報との比較による機械学習によって道路の補修の必要性の有無を判定するものである。つまり、道路の補修の必要性があると判断すべき路面劣化推定情報を、各路面の位置それぞれに対応する情報として記憶しており、この情報を教師情報として、路面劣化推定情報提供部44から提供された路面劣化推定情報が道路の補修の必要性があるものであるか否かを判定する。この場合、教師情報(路面劣化推定情報の教師情報)としては、道路の屈曲、速度規制、信号機の存在、一旦停止位置の存在等といった道路環境情報を考慮した情報として与えられていることが好ましい。
そして、道路の補修の必要性があると判定した場合には、その情報(道路の補修の必要性がある旨の情報)と路面の位置情報とを関連付けた判定情報を管理者端末装置ATEに発信する。
管理者端末装置ATEでは、この判定情報を情報受信部51が受信し、情報表示部52によって、当該管理者端末装置ATEの表示画面に、補修が必要であると判定された路面の位置が表示されることになる。例えば、表示画面の地図上において補修が必要であると判定された路面の位置が点滅する等といったことにより、補修が必要であると判定された路面の位置が提示されることになる。道路管理者は、この表示画面上での表示を目視することで補修の必要性がある路面の存在を認識することになる。
本変形例によれば、道路の補修の必要性の判断を自動的に行うことができ、道路管理者の負担の軽減を図ったり、道路管理者の誤った判断に起因して路面が劣化した状態(補修が必要な状態)が長期間に亘って放置されてしまうといったことを回避することができる。
(パラメータの変形例)
次に、パラメータ(操舵輪と路面との接触状態の変化に起因して変化するパラメータ)の変形例について説明する。前述した実施形態および路面状態情報提供システム1の変形例では、電動アシストモータ21のモータ電流値をパラメータとして轍WTの有無の判定を行うようにしていた。それに代えて以下のパラメータを採用することも可能である。
先ず、パラメータとして、操舵力センサ23によって計測される捩り力としての操舵力が適用可能である。
前述した実施形態と同様に、運転者が、轍WTの影響による強制的な操舵力に対抗する保舵力をステアリングホイール11に加える場合、その保舵力は轍WTの深さが大きいほど大きいものとなる。このため、この保舵力(操舵力)を操舵力センサ23によって計測することにより、轍WTの深さに応じた走行情報を得ることができ、路面状態の劣化指標を高い精度で得ることができる。尚、この場合、ステアリングホイール11が所定の操舵角で回動されている(操舵力が入力されている)のは屈曲路を走行するためではなく、保舵力を得るためであることを確定する必要がある。そのため、前述した実施形態の場合と同様に、車両Vに搭載されているナビゲーションシステムに記憶された地図情報から、現在、車両Vが走行している道路が略直進道路であることの情報を取得しておく必要がある。つまり、地図情報に基づいて、現在、車両Vが走行している道路が略直進道路であることを条件として、操舵力センサ23によって計測される操舵力が所定の閾値を超えている場合に、所定深さ以上の轍WTが存在していると判定することになる。
また、パラメータとして、モータ回転角センサ22によって計測される電動アシストモータ21の回転角が適用可能である。
轍WTの影響によってタイヤT1,T2が強制的に操舵される場合、電動アシストモータ21のロータも強制的に回動されることになる。そして、轍WTの深さが大きいほど電動アシストモータ21の回転角(強制的に回動される回転角)も大きくなる。つまり、轍WTの深さと電動アシストモータ21の回転角との間には相関がある。このため、前記パラメータを電動アシストモータ21の回転角とし、モータ回転角センサ22によって該回転角を計測することにより、轍WTの深さに応じた走行情報を得ることができる。
また、パラメータとして、操舵角センサ(回転角センサ)24によって計測されるステアリングホイール11の回転角が適用可能である。
轍WTの影響によってタイヤが強制的に操舵される場合、ラックアンドピニオン機構13やステアリングシャフト12等を介して連結されているステアリングホイール11も強制的に回動されることになる。そして、轍WTの深さが大きいほどステアリングホイール11の回転角(強制的に回動される回転角)も大きくなる。つまり、轍WTの深さとステアリングホイール11の回転角との間には相関がある。このため、前記パラメータをステアリングホイール11の回転角とし、操舵角センサ24によってステアリングホイール11の回転角を計測することにより、轍WTの深さに応じた走行情報を得ることができる。
また、パラメータとして、車輪速センサ25によって計測される左右の各タイヤT1,T2それぞれの回転速度の差が適用可能である。
左右の各タイヤT1,T2のうち一方のみが轍WTに入り込んだ場合、この一方のタイヤの高さ位置が他方のタイヤの高さ位置に対して低くなり、この一方に向けてタイヤが強制的に操舵される状況となる。この場合、一方のタイヤの回転速度は他方のタイヤの回転速度よりも低くなる。そして、轍WTの深さが大きいほど、この回転速度の差は大きくなる。つまり、轍WTの深さと左右の各タイヤT1,T2それぞれの回転速度の差との間には相関がある。このため、前記パラメータを、左右の各タイヤT1,T2それぞれの回転速度の差とし、車輪速センサ25によって左右の各タイヤT1,T2それぞれの回転速度を計測することにより、轍WTの深さに応じた走行情報を得ることができる。
また、前記パラメータとして、Gセンサ26によって計測される車両Vの上下方向の加速度および左右方向の加速度が適用可能である。
左右の各タイヤT1,T2のうち一方のみが轍WTに入り込んだ場合、車両Vでは上下方向の加速度および左右方向の加速度が発生する。また、左右の各タイヤT1,T2の両方が略同時に轍WTに入り込んだ場合、車両Vでは上下方向の加速度が発生する。これら加速度は、轍WTの深さが大きいほど大きくなる。このため、前記パラメータを、車両Vの上下方向の加速度および左右方向の加速度とし、Gセンサ26によってこれら加速度を計測することにより、轍WTの深さに応じた走行情報を得ることができる。
また、左右の各タイヤT1,T2それぞれが独立して転舵可能となっている車両Vにあっては、前記パラメータとして、左右の各タイヤT1,T2それぞれの転舵角度の差が適用可能である。
轍WTの影響によって一方のタイヤが強制的に操舵される場合、該タイヤの転舵角度が大きくなり、左右の各タイヤT1,T2それぞれの転舵角度に差が生じ、この差は、轍WTの深さが大きいほど大きくなる。つまり、轍WTの深さと各タイヤT1,T2それぞれの転舵角度の差との間には相関がある。このため、前記パラメータを各タイヤT1,T2それぞれの転舵角度の差とし、図示しない転舵角センサによって該転舵角度の差を計測することにより、轍WTの深さに応じた走行情報を得ることができる。
操舵輪と路面との接触状態の変化に起因して変化するパラメータとしては、前述した実施形態におけるモータ電流値、および、本変形例に挙げたパラメータ(操舵力、電動アシストモータ21の回転角、ステアリングホイール11の回転角、左右の各タイヤT1,T2それぞれの回転速度の差、車両Vの加速度、左右の各タイヤT1,T2それぞれの転舵角度の差)を互いに組み合わせて轍WTの判定動作を行うようにしてもよい。例えば、複数のパラメータそれぞれを使用した轍WTの判定動作において共に轍WTが存在すると判定された場合に走行情報をデータセンタDSに発信するようにしてもよい。
-他の実施形態-
尚、本発明は、前記実施形態および前記各変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
例えば、前記実施形態および前記各変形例では、ラックアシストタイプの電動パワーステアリング装置EPSを利用して本発明に係る路面状態情報提供システム1を構築した場合を例に挙げて説明した。本発明はこれに限らず、その他のタイプの電動パワーステアリング装置(コラムアシストタイプやピニオンアシストタイプ等)を利用して本発明に係る路面状態情報提供システム1を構築するようにしてもよい。また、ステアバイワイヤ型ステアリングシステムを適用することも可能である。
また、前記実施形態および前記各変形例では、車両Vに搭載されたステアリングECU20の機能部として轍判定部29を備えさせ、該轍判定部29によって轍WTの存在の有無を判定した上で、走行情報をデータセンタDSに発信するようにしていた。本発明はこれに限らず、ステアリングECU20の走行情報発信部20Aから、モータ電流値と該モータ電流値を取得した自車両の位置の情報とを関連付けた走行情報をデータセンタDSに発信し、このデータセンタDSにおいて、受信した複数の走行情報から轍WTの存在の有無を判定して劣化指標を作成するようになっていてもよい。
また、前記実施形態および前記各変形例では、パラメータの値が所定の閾値を超えた場合(前記実施形態のものでは、基準モータ電流値からの増加量が所定の増加閾値を超えた場合)に轍WTが存在していると判定するようにしていた。本発明はこれに限らず、パラメータの値の単位時間当たりの変化量が所定の閾値を超えた場合(前記実施形態のものでは、モータ電流値の単位時間当たりの変化量が所定の閾値を超えた場合)に轍WTが存在していると判定するようにしてもよい。この場合、タイヤ(操舵輪)T1,T2と路面との接触状態が大きく変化することで、パラメータの値の単位時間当たりの変化量が所定の閾値を超えた場合に、走行情報が走行情報発信部20AからデータセンタDSに向けて発信されることになるため、この場合にも、情報の利用の高効率化およびデータセンタDSの負荷の軽減を図ることができる。例えば前述した図15に示すモータ電流値の変化の場合に、図中のタイミングt1からタイミングt2に亘る期間中におけるモータ電流値の値の単位時間当たりの変化量(モータ電流値の変化勾配)が所定の閾値を超えた場合に、轍WTが存在していると判定して走行情報が走行情報発信部20AからデータセンタDSに向けて発信されることになる。
また、前記実施形態および前記各変形例では、劣化指標である棒グラフの高さ寸法を、同一の路面位置における路面劣化判定情報を集計して該路面位置における路面の劣化度合いの平均値を求めることによって設定していた。本発明はこれに限らず、各車両V,V,…から前記パラメータ(モータ電流値等)を受信し、同一の路面位置におけるパラメータのピーク値(例えばモータ電流値のピーク値)を、当該路面位置におけるタイヤ舵角で除算した値の平均値を劣化指標として求めるようにしてもよい。また、路面の劣化度合いの移動平均値や加重移動平均値等を求めることによって劣化指標を設定するようにしてもよい。また、劣化指標としては棒グラフに限定されるものではない。例えば、劣化指標を地図上に数値表示するようにしたり、道路の補修が必要となる時期を予測し、その時期を地図上に数値表示するようにしてもよい。
また、本発明に係る路面状態情報提供システム1の使用形態として、データセンタDSによって作成された劣化指標と該劣化指標が作成された日の情報とを関連付けて蓄積しておき、劣化指標の経年変化、つまり、路面の劣化状態の経年変化を集計していくようにしてもよい。これによれば、路面の劣化の進行状況を容易に把握することができるため、道路の補修が必要となる時期を推定することができ、道路の補修の準備を事前に行っておくことができて有効である。
また、本発明に係る路面状態情報提供システム1の他の使用形態として、特定の路面を通過した複数の車両V,V,…のうち轍判定部29によって轍WTが存在していることの判定を行った車両Vの台数を把握しておくようにしてもよい。つまり、轍WTが存在していることの判定を行った車両Vの台数の割合を路上に設置したカメラ等によって把握しておくことで、データセンタDSに発信される走行情報の信頼性の高さを判断できるようにするものである。この場合、轍WTが存在していることの判定を行った車両Vの台数の割合が高い場合(例えば50%以上の場合:走行情報の信頼性が高い場合)には、劣化指標作成部42における劣化指標の作成を行う一方、轍WTが存在していることの判定を行った車両Vの台数の割合が低い場合(例えば50%未満の場合:走行情報の信頼性が低い場合)には、劣化指標作成部42における劣化指標の作成を行わないといった処理が可能となる。これら数値はこれに限定されるものではない。
尚、本発明は、自動運転車両を含んで構成される路面状態情報提供システム1として適用することも可能である。つまり、轍WTの存在に起因して保舵力が自動的に付与される電動パワーステアリング装置を搭載した車両を含んで構成される路面状態情報提供システム1である。
また、路面の劣化としては、轍WTを対象としたものには限定されず、路面に***が生じている場合にも適用可能である。
本発明は、路面の劣化の情報を早期に提供するための路面状態情報提供システムに適用可能である。
1 路面状態情報提供システム
11 ステアリングホイール
20 ステアリングECU
20A 走行情報発信部
21 電動アシストモータ
22 モータ回転角センサ(計測手段)
23 操舵力センサ(計測手段)
24 操舵角センサ(回転角センサ、計測手段)
25 車輪速センサ(計測手段)
26 Gセンサ(加速度センサ、計測手段)
27 GPSモジュール(位置検出手段)
34 電流センサ(計測手段)
41 情報受信部
42 劣化指標作成部
43 路面劣化推定情報作成部
44 路面劣化推定情報提供部
45 道路補修判定部
DS データセンタ(情報集計装置)
ATE 管理者端末装置
V 車両(一般車両)
T1 左前輪、左側タイヤ(操舵輪)
T2 右前輪、右側タイヤ(操舵輪)
EPS 電動パワーステアリング装置
WT 轍

Claims (13)

  1. 道路の路面の劣化状態の情報を提供する路面状態情報提供システムであって、
    複数台の一般車両と、該複数台の一般車両との間で通信可能な情報集計装置とを含んで構成され、
    前記各一般車両は、自車位置を検出する位置検出手段と、操舵輪と前記路面との接触状態の変化に起因して変化するパラメータの値を計測する計測手段と、前記位置検出手段によって検出された前記自車位置の情報と当該自車位置において前記計測手段によって計測された前記パラメータの値の情報または該パラメータの値に基づいた路面劣化判定情報とを関連付けた走行情報を発信する走行情報発信部とを備えており、
    前記情報集計装置は、前記各一般車両の前記走行情報発信部から発信された前記走行情報を受信する情報受信部と、該情報受信部が受信した前記複数の走行情報に基づいて路面の位置毎に路面状態の劣化指標を作成する劣化指標作成部と、該劣化指標作成部が作成した前記劣化指標の情報と該情報に該当する路面の位置情報とを関連付けた路面劣化推定情報を作成する路面劣化推定情報作成部と、前記路面劣化推定情報を提供する路面劣化推定情報提供部とを備えていることを特徴とする路面状態情報提供システム。
  2. 請求項1記載の路面状態情報提供システムにおいて、
    前記パラメータの値が所定の閾値を超えた場合に、当該パラメータの値が取得された前記自車位置の情報と当該パラメータの値に基づいた路面劣化判定情報とを関連付けた走行情報が走行情報発信部から発信されることを特徴とする路面状態情報提供システム。
  3. 請求項1記載の路面状態情報提供システムにおいて、
    前記パラメータの値の単位時間当たりの変化量が所定の閾値を超えた場合に、当該変化量が所定の閾値を超えた前記自車位置の情報と当該変化量に基づいた路面劣化判定情報とを関連付けた走行情報が走行情報発信部から発信されることを特徴とする路面状態情報提供システム。
  4. 請求項1、2または3記載の路面状態情報提供システムにおいて、
    前記操舵輪と前記路面との接触状態の変化は、前記路面に轍が存在する場合に、前記操舵輪が平坦路から前記轍に入り込むことによる接触状態の変化、前記操舵輪が前記轍の内部の傾斜面に接触する場合の接触状態の変化、前記操舵輪が前記轍から平坦路に脱出することによる接触状態の変化のうち少なくとも一つであることを特徴とする路面状態情報提供システム。
  5. 請求項1、2または3記載の路面状態情報提供システムにおいて、
    前記操舵輪と前記路面との接触状態の変化に起因して変化するパラメータは、電動パワーステアリング装置に備えられた電動アシストモータの電流値であって、
    前記計測手段は、前記電流値を計測する電流センサであることを特徴とする路面状態情報提供システム。
  6. 請求項1、2または3記載の路面状態情報提供システムにおいて、
    前記操舵輪と前記路面との接触状態の変化に起因して変化するパラメータは、車両の運転者がステアリングホイールに与える操舵力であって、
    前記計測手段は、前記操舵力を計測する操舵力センサであることを特徴とする路面状態情報提供システム。
  7. 請求項1、2または3記載の路面状態情報提供システムにおいて、
    前記操舵輪と前記路面との接触状態の変化に起因して変化するパラメータは、電動パワーステアリング装置に備えられた電動アシストモータの回転角であって、
    前記計測手段は、前記回転角を計測するモータ回転角センサであることを特徴とする路面状態情報提供システム。
  8. 請求項1、2または3記載の路面状態情報提供システムにおいて、
    前記操舵輪と前記路面との接触状態の変化に起因して変化するパラメータは、ステアリングホイールの回転角であって、
    前記計測手段は、前記回転角を計測する回転角センサであることを特徴とする路面状態情報提供システム。
  9. 請求項1、2または3記載の路面状態情報提供システムにおいて、
    前記操舵輪と前記路面との接触状態の変化に起因して変化するパラメータは、左右の前記操舵輪それぞれの回転速度の差であって、
    前記計測手段は、左右の前記操舵輪それぞれの回転速度を計測する車輪速センサであることを特徴とする路面状態情報提供システム。
  10. 請求項1、2または3記載の路面状態情報提供システムにおいて、
    前記操舵輪と前記路面との接触状態の変化に起因して変化するパラメータは、前記一般車両の上下方向の加速度および前記一般車両の左右方向の加速度のうちの少なくとも一方を含み、
    前記計測手段は、前記加速度を計測する加速度センサであることを特徴とする路面状態情報提供システム。
  11. 請求項1、2または3記載の路面状態情報提供システムにおいて、
    前記操舵輪と前記路面との接触状態の変化に起因して変化するパラメータは、左右の前記操舵輪それぞれが独立して転舵可能となっている場合の各操舵輪それぞれの転舵角度の差であって、
    前記計測手段は、左右の前記操舵輪それぞれの転舵角度を計測する転舵角センサであることを特徴とする路面状態情報提供システム。
  12. 請求項1、2または3記載の路面状態情報提供システムにおいて、
    前記路面劣化推定情報提供部は、前記路面劣化推定情報を、道路管理者が監視する端末装置に向けて発信することを特徴とする路面状態情報提供システム。
  13. 請求項1、2または3記載の路面状態情報提供システムにおいて、
    前記路面劣化推定情報提供部は、提供された前記路面劣化推定情報と予め記憶された前記路面劣化推定情報の教師情報との比較による機械学習によって道路の補修の必要性の有無を判定する道路補修判定部に向けて前記路面劣化推定情報を発信することを特徴とする路面状態情報提供システム。
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