JP2024003518A - 包餡麺帯食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】麺帯が優れた食感を有し、かつ麺帯の製造時の工程適性も良好である包餡麺帯食品及びその製造方法等の提供。【解決手段】餡と、当該餡の少なくとも一部を被覆する麺帯とを、少なくとも有する包餡麺帯食品であって、前記麺帯が、穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物を含む、食品。【選択図】なし

Description

本発明は、包餡麺帯食品及びその製造方法等に関する。また、本発明は、加熱処理済み包餡麺帯食品の製造方法等にも関する。更に本発明は、包餡麺帯食品の餡となる具材を被覆するために好適に用いられる麺帯等にも関する。
餃子に代表される包餡麺帯食品は、その食味もさることながら、麺帯(一般に、単に「皮」又は「麺皮」等ともいう)の独特な食感が消費者に支持され、今やアジア圏のみならず欧米諸国でも広く普及するに至っている。麺帯の食感向上は、包餡麺帯食品の商品価値の増大につながることを期待でき、麺帯の食感向上について種々の検討が従来なされている。
例えば、餃子等の皮にやわらかい食感を付与するために、特定の構造を有する澱粉分解物を皮に含有させることが提案されている(特許文献1)。
また、焼き餃子等の皮におけるパリパリ感の経時的な劣化を抑制するために、穀物粉と特定の澱粉加水分解物とを皮の外表面に付着させることが提案されている(特許文献2)。
また、冷凍レンジアップ餃子を電子レンジで加熱調理した際に生じる、耳部(皮の合わせ部)が硬くなるという問題を解消するために、澱粉分解物水溶液を皮に塗布することが提案されている(特許文献3)。
しかし、従来の技術では、包餡麺帯食品の麺帯の食感向上が十分になされているとは言い難く、特に、麺帯の食感が適度なやわらかさ、弾力感、もちっと感及び滑らかさを兼ね備えること等について、未だ検討の余地があった。
一方、包餡麺帯食品は、工業的に連続生産できることも求められるため、包餡麺帯食品の麺帯は、連続生産可能な良好な製造工程適性を保持していることも重要である。
特開2018-174764号公報 国際公開第2004/004493号 特開2005-65533号公報
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、麺帯が優れた食感(好ましくは、適度なやわらかさ、弾力感、もちっと感及び滑らかさを兼ね備えた食感)を有し、かつ麺帯の製造時の工程適性(例えば、ロール式製麺機のローラーからの剥離性、成型機からの剥離性、加熱工程での張り付きにくさ等)も良好である包餡麺帯食品及びその製造方法等を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するべく鋭意検討した結果、穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物を含む麺帯は、優れた食感を有し、かつ製造時の工程適性も良好であることを見出し、更に研究を重ねることによって、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]餡と、当該餡の少なくとも一部を被覆する麺帯とを、少なくとも有する包餡麺帯食品であって、
前記麺帯が、穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物を含む、食品。
[2]麺帯に含まれるアルギン酸エステルの量が、麺帯の原料の総重量に対して0.01~2.7重量%であり、かつ
麺帯に含まれる澱粉分解物の量が、麺帯の原料の総重量に対して0.5~13重量%である、[1]記載の食品。
[3]麺帯に含まれる穀物粉と澱粉の重量比が、穀物粉:澱粉=1:0.1~20である、[1]又は[2]記載の食品。
[4]麺帯に含まれる澱粉分解物のDE値が、2~40である、[1]~[3]のいずれか一つに記載の食品。
[5]麺帯に含まれる澱粉分解物の原料澱粉が、とうもろこし又はタピオカに由来する、[1]~[4]のいずれか一つに記載の食品。
[6]麺帯に含まれる澱粉が、生澱粉、酢酸澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉及びリン酸架橋澱粉からなる群より選択される少なくとも一つである、[1]~[5]のいずれか一つに記載の食品。
[7]包餡麺帯食品が、加熱処理済み包餡麺帯食品である、[1]~[6]のいずれか一つに記載の食品。
[8]前記加熱処理が、ボイル加熱及び/又は蒸し加熱を含む、[7]記載の食品。
[9]包餡麺帯食品が、餃子である、[1]~[8]のいずれか一つに記載の食品。
[10]包餡麺帯食品が、冷凍食品である、[1]~[9]のいずれか一つに記載の食品。
[11]餡と、当該餡の少なくとも一部を被覆する麺帯とを、少なくとも有する包餡麺帯食品を加熱処理に供することを含む、加熱処理済み包餡麺帯食品の製造方法であって、
前記麺帯が、穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物を含む、製造方法。
[12]麺帯に含まれるアルギン酸エステルの量が、麺帯の原料の総重量に対して0.01~2.7重量%であり、かつ
麺帯に含まれる澱粉分解物の量が、麺帯の原料の総重量に対して0.5~13重量%である、[11]記載の製造方法。
[13]麺帯に含まれる穀物粉と澱粉の重量比が、穀物粉:澱粉=1:0.1~20である、[11]又は[12]記載の製造方法。
[14]麺帯に含まれる澱粉分解物のDE値が、2~40である、[11]~[13]のいずれか一つに記載の製造方法。
[15]麺帯に含まれる澱粉分解物の原料澱粉が、とうもろこし又はタピオカに由来する、[11]~[14]のいずれか一つに記載の製造方法。
[16]麺帯に含まれる澱粉が、生澱粉、酢酸澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉及びリン酸架橋澱粉からなる群より選択される少なくとも一つである、[11]~[15]のいずれか一つに記載の製造方法。
[17]前記加熱処理が、ボイル加熱及び/又は蒸し加熱を含む、[11]~[16]のいずれか一つに記載の製造方法。
[18]包餡麺帯食品が、餃子である、[11]~[17]のいずれか一つに記載の製造方法。
[19][11]~[18]のいずれか一つに記載の製造方法によって得られる加熱処理済み包餡麺帯食品を凍結することを含む、冷凍食品の製造方法。
[20]包餡麺帯食品の餡となる具材の少なくとも一部を麺帯で被覆することを含む、包餡麺帯食品の製造方法であって、
前記麺帯が、穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物を含む、製造方法。
[21]麺帯に含まれるアルギン酸エステルの量が、麺帯の原料の総重量に対して0.01~2.7重量%であり、かつ
麺帯に含まれる澱粉分解物の量が、麺帯の原料の総重量に対して0.5~13重量%である、[20]記載の製造方法。
[22]麺帯に含まれる穀物粉と澱粉の重量比が、穀物粉:澱粉=1:0.1~20である、[20]又は[21]記載の製造方法。
[23]麺帯に含まれる澱粉分解物のDE値が、2~40である、[20]~[22]のいずれか一つに記載の製造方法。
[24]麺帯に含まれる澱粉分解物の原料澱粉が、とうもろこし又はタピオカに由来する、[20]~[23]のいずれか一つに記載の製造方法。
[25]麺帯に含まれる澱粉が、生澱粉、酢酸澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉及びリン酸架橋澱粉からなる群より選択される少なくとも一つである、[20]~[24]のいずれか一つに記載の製造方法。
[26]包餡麺帯食品を加熱処理に供することを含む、[20]~[25]のいずれか一つに記載の製造方法。
[27]前記加熱処理が、ボイル加熱及び/又は蒸し加熱を含む、[26]記載の製造方法。
[28]包餡麺帯食品が、餃子である、[20]~[27]のいずれか一つに記載の製造方法。
[29][20]~[28]のいずれか一つに記載の製造方法によって得られる包餡麺帯食品を凍結することを含む、冷凍食品の製造方法。
[30]穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物を含む、麺帯。
[31]麺帯に含まれるアルギン酸エステルの量が、麺帯の原料の総重量に対して0.01~2.7重量%であり、かつ
麺帯に含まれる澱粉分解物の量が、麺帯の原料の総重量に対して0.5~13重量%である、[30]記載の麺帯。
[32]麺帯に含まれる穀物粉と澱粉の重量比が、穀物粉:澱粉=1:0.1~20である、[30]又は[31]記載の麺帯。
[33]麺帯に含まれる澱粉分解物のDE値が、2~40である、[30]~[32]のいずれか一つに記載の麺帯。
[34]麺帯に含まれる澱粉分解物の原料澱粉が、とうもろこし又はタピオカに由来する、[30]~[33]のいずれか一つに記載の麺帯。
[35]麺帯に含まれる澱粉が、生澱粉、酢酸澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉及びリン酸架橋澱粉からなる群より選択される少なくとも一つである、[30]~[34]のいずれか一つに記載の麺帯。
[36]前記麺帯が、包餡麺帯食品の餡となる具材の少なくとも一部を被覆するためのものである、[30]~[35]のいずれか一つに記載の麺帯。
[37]包餡麺帯食品が、加熱処理済み包餡麺帯食品である、[36]記載の麺帯。
[38]前記加熱処理が、ボイル加熱及び/又は蒸し加熱を含む、[37]記載の麺帯。
[39]包餡麺帯食品が、餃子である、[36]~[38]のいずれか一つに記載の麺帯。
[40]包餡麺帯食品が、冷凍食品である、[36]~[39]のいずれか一つに記載の麺帯。
[41][1]~[10]のいずれか一つに記載の食品又は[30]~[40]のいずれか一つに記載の麺帯を、具材の一つとして含有する、食品。
本発明によれば、麺帯が優れた食感を有し、かつ麺帯の製造時の工程適性も良好である包餡麺帯食品が提供される。本発明の包餡麺帯食品は、好ましくは、麺帯の食感が適度なやわらかさ、弾力感、もちっと感及び滑らかさを兼ね備え得る。また、本発明の包餡麺帯食品に用いられる麺帯は、好ましくは、その製造時(生地の成形時)に、ロール式製麺機のローラーへの張り付きがなく、良好な剥離性を保持し得る。
また、本発明によれば、加熱処理済み包餡麺帯食品の製造方法も提供される。当該製造方法によって得られる加熱処理済み包餡麺帯食品は、麺帯が優れた食感を有し、かつ麺帯の製造時の工程適性も良好である。
また、本発明によれば、包餡麺帯食品の餡となる具材の少なくとも一部を被覆するために好適に用いられ得る麺帯も提供される。本発明の麺帯は、優れた食感を有し、かつ製造時の工程適性も良好である。
本発明の包餡麺帯食品は、麺帯が、穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物を含むことを、特徴の一つとする。
本発明において「包餡麺帯食品」とは、餡(一般に「中具」又は「フィリング」等ともいう)と、当該餡の少なくとも一部を被覆する麺帯(一般に、単に「皮」又は「麺皮」等ともいう)とを、少なくとも有する(含む)食品をいう。餡の少なくとも一部を被覆する麺帯の数は、1枚であってよく又は2枚以上であってもよい。包餡麺帯食品の具体例としては、餃子(例、水餃子、蒸し餃子、焼き餃子等)、焼売、ワンタン、小籠包、春巻き、包子、ラビオリ、中華饅頭等が挙げられるが、これらに限定されない。
尚、包餡麺帯食品は、後述する通り、加熱処理を施され得るが、本明細書における「包餡麺帯食品」は、加熱処理を施された包餡麺帯食品、及び、加熱処理が施されていない(いわゆる生の状態の)包餡麺帯食品の総称であり、特にことわりのない限り、これらの両方又はいずれか一方を意味する。本明細書中、加熱処理が施されていない、生の状態の包餡麺帯食品を、「生包餡麺帯食品」(例、生餃子等)と称する場合がある。
本発明の包餡麺帯食品の「麺帯」とは、餡の少なくとも一部を被覆する食品部材をいう。詳細には、麺帯は、生地(原料の混錬物)を所望の形態に成形した食品部材である。麺帯の形態は、餡を被覆し得れば特に制限されないが、例えば、シート状(板状、プレート状を含む)、袋状、カップ状、筒状等が挙げられる。
本発明において用いられる「穀物粉」とは、穀物を製粉、粉砕等して得られる、粉状乃至粒状の食品素材をいい、具体例としては、小麦粉、米粉、トウモロコシ粉、大麦粉、そば粉、馬鈴薯粉、大豆粉、小豆粉、ひえ粉、粟粉、キビ粉等が挙げられるがこれらに制限されない。これらの穀物粉は一種を単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
穀物粉の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造されたものを用い得る。また、本発明は、市販の穀物粉を用いてもよい。
本発明において用いられる「澱粉」とは、生澱粉(未加工澱粉)及び加工澱粉の総称であり、換言すると澱粉は、生澱粉及び加工澱粉からなる群より選択される少なくとも一つである。ここで「生澱粉」とは、未加工の澱粉、すなわち、物理的処理、化学的処理及び酵素的処理をいずれも施されていない未変性の澱粉をいう。生澱粉の具体例としては、うるち米澱粉、もち米澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、サゴヤシ澱粉、緑豆澱粉、馬鈴薯澱粉、サツマイモ澱粉等が挙げられるがこれらに制限されない。また「加工澱粉」とは、物理的処理、化学的処理及び酵素的処理からなる群より選択される少なくとも一つの加工処理を施された澱粉をいう。化学的処理を施された澱粉としては、例えば、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉、リン酸架橋澱粉等が挙げられ、物理的処理(酸処理、アルカリ処理、漂白処理等の加水分解程度の簡単な化学的処理を含む)を施された澱粉としては、例えば、α化澱粉、湿熱処理澱粉、油脂加工澱粉、酸処理澱粉、アルカリ処理澱粉、漂白澱粉等が挙げられ、酵素的処理を施された澱粉としては、例えば、酵素処理澱粉等が挙げられる。加工澱粉は、物理的処理、化学的処理及び酵素的処理からなる群より選択される一つの加工処理を施されたものであってよく、あるいは、物理的処理、化学的処理及び酵素的処理からなる群より選択される二つ以上の加工処理を施されたものであってもよい。加工澱粉の原料として用いられる澱粉は特に制限されず、例えば、うるち米澱粉、もち米澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、サゴヤシ澱粉、緑豆澱粉、馬鈴薯澱粉、サツマイモ澱粉等が挙げられる。これらの澱粉は一種を単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。尚、本発明における「澱粉」は、穀物等の植物から単離されたものを意味し、植物中に含有されている澱粉とは区別される。
本発明において用いられる澱粉は、麺帯の食感が一層良好となる観点から、好ましくは、生澱粉(例、うるち米澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉等)、酢酸澱粉(例、酢酸タピオカ澱粉、酢酸馬鈴薯澱粉等)、ヒドロキシプロピル澱粉(例、ヒドロキシプロピルタピオカ澱粉、ヒドロキシプロピル馬鈴薯澱粉等)、リン酸架橋澱粉(例、リン酸架橋タピオカ澱粉、リン酸架橋馬鈴薯澱粉等)である。
澱粉の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造されたものを用い得る。また、本発明は、市販の澱粉を用いてもよい。
本発明において用いられる「アルギン酸エステル」とは、アルギン酸を構成するウロン酸(β-D-マンヌロン酸、α-L-グルロン酸)のカルボキシル基の少なくとも一部に、アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等の二価アルコール等)がエステル結合した化合物をいう。アルギン酸エステルのエステル化度は特に制限されないが、通常40%以上である。また、アルギン酸エステルの分子量及び構成糖比等も特に制限されない。
本発明において用いられるアルギン酸エステルは、入手容易性及びコストの観点から、好ましくは、アルギン酸エチレングリコールエステル、アルギン酸プロピレングリコールエステルであり、より好ましくは、アルギン酸プロピレングリコールエステルである。
アルギン酸エステルの製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造されたものを用い得る。例えば、アルギン酸エステルは、天然物(例、海藻類等)からアルギン酸を抽出及び精製し、これをエステル化すること等によって製造し得る。また、本発明は、市販のアルギン酸エステルを用いてもよい。
本発明において用いられる「澱粉分解物」とは、澱粉を低分子化(加水分解)することによって得られる食品素材をいい、デキストリン、マルトデキストリン、粉あめ等を包含する概念である。澱粉分解物の原料として用いられる澱粉(本明細書中、「原料澱粉」と称する場合がある)は特に制限されず、生澱粉及び加工澱粉のいずれであってもよい。また、澱粉分解物の原料として用いられる澱粉(原料澱粉)の由来も特に制限されず、当該原料澱粉は、例えば、米(うるち米、もち米)、小麦、とうもろこし(例、デントコーン、ワキシーコーン、ハイアミロースコーン等)、タピオカ、サゴヤシ、緑豆、馬鈴薯、サツマイモ等に由来するものであってよい。中でも、澱粉分解物の原料澱粉は、食感向上の観点から、とうもろこし又はタピオカに由来するものが好ましい。澱粉分解物の原料として用いられる澱粉(生澱粉、加工澱粉)の具体例としては、本発明において用いられる「澱粉」の説明(上述)において例示したものと同様のものが挙げられる。また、澱粉を低分子化する方法は特に制限されず、例えば、酵素(例、α-アミラーゼ等)、酸(例、塩酸等)、酸化剤等により澱粉を加水分解することによって実施し得る。
本発明において用いられる澱粉分解物のDE値は、好ましくは2~40であり、味覚の観点から、より好ましくは2~26である。澱粉分解物のDE値の下限は、例えば、2以上、4以上、6以上、8以上、10以上、12以上、14以上、16以上、18以上、20以上、22以上、24以上、26以上、28以上、30以上、32以上、34以上、36以上、38以上等であってよい。また、澱粉分解物のDE値の上限は、例えば、40以下、38以下、36以下、34以下、32以下、30以下、28以下、26以下、24以下、22以下、20以下、18以下、16以下、14以下、12以下、10以下、8以下、6以下等であってよい。これらの上限と下限とは任意に組み合わせてよく、上限と下限の組み合わせの例としては、2~6、6~8、10~14、14~18、18~22、16~22、22~26等が挙げられる。すなわち、澱粉分解物のDE値は、一態様として、2~6、6~8、10~14、14~18、18~22、16~22又は22~26等であってよい。
ここで「DE(Dextrose Equivalent)値」とは、澱粉分解物の分解の程度の指標であり、DE値が高い澱粉分解物ほど、分解が進んだものと言い得る。本発明において澱粉分解物のDE値は、ソモギ変法(澱粉糖関連工業分析法、澱粉糖技術部会編、食品化学新聞社、第11~13頁)により測定される。
本発明において用いられる澱粉分解物は、本発明の目的を損なわない限り、低分子化処理(澱粉を低分子化すること)に加え、その他の処理が任意に施されていてよい。本発明において用いられる澱粉分解物は、一態様として、枝作り酵素処理が施されたものであってよく、あるいは、他の一態様として、枝作り酵素処理が施されていないものであってもよい。ここで、「枝作り酵素処理」とは、澱粉に枝作り酵素を作用させることをいう。「枝作り酵素」とは、α-グルカン鎖のα-1,4-グルコシド結合を切断し、α-1,6-グルコシド結合による分岐構造を形成する転移反応を触媒する酵素の総称であり、一般に「ブランチングエンザイム」とも称される。
澱粉分解物の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造されたものを用い得る。また、本発明は、市販の澱粉分解物を用いてもよい。
本発明において用いられる麺帯は、本発明の目的を損なわない限り、穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物に加えて、これら以外の成分を任意に含んでよい。麺帯が、穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物以外に含み得る任意成分としては、例えば、食塩、甘味料類、香辛料類、エキス類、油脂類、卵類、乳類、調味料類、グルテン、食物繊維、植物性タンパク、アミノ酸、ビタミン類、ミネラル類、有機塩類、無機塩類、水、食品添加物等が挙げられるが、これらに制限されない。これらの任意成分は、一種を単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
麺帯の製造方法は特に制限されず、本発明において用いられる麺帯は、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造し得る。例えば、シート状の麺帯を例に挙げて説明すると、穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物(あるいは、穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル、澱粉分解物及び任意成分)に、水を加えて混錬した後、得られた生地をロール式製麺機等でシート状に圧延成形し、所望の形状に切断又は打ち抜くこと等によって、シート状の麺帯を製造し得る。
麺帯の製造に用いられ得る水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の精製水、水道水、アルカリ電解水、かん水(アルカリ塩水溶液)等が挙げられるが、これらに限定されず、食品製造用水として適合するものを制限なく用いてよい。
麺帯の厚さは特に制限されず、麺帯の形態、包餡麺帯食品の種類や大きさ等に応じて適宜選択し得るが、通常0.2~5mmであり、好ましくは0.3~3mmであり、より好ましくは0.5~2mmであり、更に好ましくは0.6~1.6mmである。
麺帯の形状は特に制限されず、麺帯の形態、包餡麺帯食品の種類等に応じて適宜選択し得るが、一態様として麺帯がシート状である場合、麺帯の形状(平面形状)としては、例えば、円形、楕円形、長方形、多角形等が挙げられる。
麺帯に含まれる穀物粉の量は、麺帯の食感及び製造時の工程適性が一層良好となる観点から、麺帯の原料の総重量に対して、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは12重量%以上であり、特に好ましくは25重量%以上である。また、麺帯に含まれる穀物粉の量は、麺帯の食感及び製造時の工程適性が一層良好となる観点から、麺帯の原料の総重量に対して、好ましくは80重量%以下であり、より好ましくは75重量%以下であり、特に好ましくは70重量%以下である。
ここで、麺帯の「原料の総重量」は、当該麺帯を製造するために用いられた食品素材の重量を合計することによって算出される。例えば、穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物に、水を加えて混錬し、得られた生地を所望の形態に成形する等して麺帯が製造された場合、当該麺帯の原料は、穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル、澱粉分解物及び水であり、したがって、これらの重量を合計することによって、麺帯の原料の総重量を算出し得る。また、生包餡麺帯食品が有する麺帯の重量は、麺帯の原料の総重量と同一であるから、生包餡麺帯食品が有する麺帯の重量を測定することによっても、麺帯の原料の総重量を求められる。
麺帯に含まれる澱粉の量は、麺帯の食感が一層良好となる観点から、麺帯の原料の総重量に対して、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは2重量%以上であり、特に好ましくは4重量%以上である。また、麺帯に含まれる澱粉の量は、麺帯の食感が一層良好となる観点から、麺帯の原料の総重量に対して、好ましくは65重量%以下であり、より好ましくは60重量%以下であり、特に好ましくは45重量%以下である。
麺帯に含まれるアルギン酸エステルの量は、麺帯の食感及び製造時の工程適性が一層良好となる観点から、麺帯の原料の総重量に対して、好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.05重量%以上であり、特に好ましくは0.08重量%以上である。また、麺帯に含まれるアルギン酸エステルの量は、麺帯の食感及び製造時の工程適性が一層良好となる観点から、麺帯の原料の総重量に対して、好ましくは2.7重量%以下であり、より好ましくは2.5重量%以下であり、特に好ましくは2.3重量%以下である。
麺帯に含まれる澱粉分解物の量は、麺帯の食感及び製造時の工程適性が一層良好となる観点から、麺帯の原料の総重量に対して、好ましくは0.5重量%以上であり、より好ましくは0.8重量%以上であり、特に好ましくは3重量%以上である。また、麺帯に含まれる澱粉分解物の量は、麺帯の食感及び製造時の工程適性が一層良好となる観点から、麺帯の原料の総重量に対して、好ましくは13重量%以下であり、より好ましくは12重量%以下であり、特に好ましくは10重量%以下である。
麺帯に含まれる穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物の合計量は、麺帯の原料の総重量に対して、通常65~85重量%であり、好ましくは70~80重量%である。
麺帯に含まれる穀物粉と澱粉の重量比(穀物粉:澱粉)は、麺帯の食感及び製造時の工程適性が一層良好となる観点から、好ましくは1:0.1~20であり、より好ましくは1:0.2~18であり、特に好ましくは1:0.7~15である。
麺帯に含まれる穀物粉及び澱粉の合計とアルギン酸エステルとの重量比((穀物粉+澱粉):アルギン酸エステル)は、麺帯の食感及び製造時の工程適性が一層良好となる観点から、好ましくは1:0.0001~0.04であり、より好ましくは1:0.0005~0.035であり、特に好ましくは1:0.001~0.03である。
麺帯に含まれる穀物粉及び澱粉の合計と澱粉分解物との重量比((穀物粉+澱粉):澱粉分解物)は、麺帯の食感及び製造時の工程適性が一層良好となる観点から、好ましくは1:0.005~0.2であり、より好ましくは1:0.01~0.18であり、特に好ましくは1:0.04~0.15である。
本発明の包餡麺帯食品の「餡」とは、その少なくとも一部が麺帯により被覆されている(包まれている)具材をいう。
本発明の包餡麺帯食品の餡が含有し得る食品素材(すなわち、餡の原料に用いられる食品素材)は特に制限されず、包餡麺帯食品の餡に一般に使用され得る食品素材を、包餡麺帯食品の種類等に応じて適宜選択し得る。餡が含有し得る食品素材の具体例としては、食肉(例、牛肉、豚肉等の畜肉;鶏肉等の家禽肉;魚肉、エビ肉、カニ肉等の魚介類の肉等)、野菜(例、キャベツ、はくさい、ほうれんそう、ねぎ、たまねぎ、ニラ等)、穀類(例、小麦粉等の穀物粉、パン粉、めん類、米、そば、とうもろこし等)、いも類(例、さつまいも、じゃがいも、さといも、やまのいも等)、豆類(例、大豆、いんげんまめ、そらまめ、おから、豆腐等)、海藻類(例、昆布、ひじき、わかめ、海苔等)、卵類(例、鶏卵(全卵、卵黄、卵白)、うずら卵等)、乳類(例、牛乳、クリーム、チーズ等)、果実類、キノコ類、調味料類(例、ウスターソース、オイスターソース、しょうゆ、食酢、だし、調味ソース、たれ、ドレッシング、みそ、ルウ、酒、みりん等)、食塩、甘味料類(例、砂糖、はちみつ、人工甘味料等)、香辛料類(例、こしょう、ナツメグ、ニンニク、生姜等)、澱粉(生澱粉、加工澱粉)、油脂類(例、食用植物油脂、食用動物油脂、バター、マーガリン、ショートニング等)、アミノ酸、ビタミン類、ミネラル類、有機塩類、無機塩類、エキス類、水、食品添加物(例、保存料、pH調整剤、香料、着色料、増粘多糖類等)等が挙げられる。これらの食品素材は、一種を単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
餡の製造方法は特に制限されず、本発明において用いられる餡は、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造し得る。例えば、原料(例、食肉、野菜等)を、必要に応じてミンチにしたり、細断したりした上で、ミキサー等で混合すること等によって、餡を製造し得る。また、餡の製造方法は、餡又はその原料を加熱することを必要に応じて含んでよい。
本発明の包餡麺帯食品において、麺帯による餡の被覆の態様は、麺帯が餡の少なくとも一部を被覆していれば特に制限されず、包餡麺帯食品の種類等に応じて適宜選択し得る。例えば、一般的な餃子等のように、1枚の麺帯が餡の全体を被覆してよいし、一般的なラビオリ等のように、複数(2枚以上)の麺帯が餡の全体を被覆してもよい。あるいは、一般的な焼売等のように、麺帯に被覆されていない部分を餡が有していてもよい。
本発明の包餡麺帯食品の製造は、包餡麺帯食品の種類等に応じて自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得る。
本発明の包餡麺帯食品の製造方法は、包餡麺帯食品の餡となる具材の少なくとも一部を麺帯で被覆することを含んでよい。本発明の包餡麺帯食品の製造方法において、餡となる具材を麺帯で被覆する方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得る。餡となる具材の麺帯による被覆は、包餡機、モルダー等の慣用の機器を使用して行ってよく、あるいは、機器を使用せずに人手で行ってもよい。ここで、麺帯で被覆される餡の量、餡となる具材を被覆するために用いられる麺帯の量は、それぞれ包餡麺帯食品の種類、サイズ等に応じて適宜調整すればよく、特に制限されない。
本発明の包餡麺帯食品の製造方法は、一態様として、包餡麺帯食品を加熱処理に供することを含んでよい。本発明の包餡麺帯食品の製造方法が、包餡麺帯食品を加熱処理に供することを含む場合、加熱の程度は、加熱処理の目的等に応じて適宜調整し得るが、加熱処理は、一態様として、包餡麺帯食品が喫食に適した状態になるように実施し得る。すなわち、本発明の包餡麺帯食品は、一態様として、加熱処理済み包餡麺帯食品であってよい。
本発明において「加熱処理済み包餡麺帯食品」とは、加熱処理(例、ボイル加熱、蒸し加熱等)に供されて、喫食に適した状態であるか、又は、喫食に適した状態を少なくとも一度は経た包餡麺帯食品をいう。加熱処理済み包餡麺帯食品は、喫食に適した状態であるか、又は、喫食に適した状態を少なくとも一度は経たものであるため、後述の加熱処理用包餡麺帯食品とは異なり、喫食前に、加熱処理に供されることを必ずしも必要としない。すなわち、加熱処理済み包餡麺帯食品は、そのまま喫食し得る状態で、消費者等に提供(販売、出荷)され得る。また、加熱処理済み包餡麺帯食品は、後述する通り、凍結されて、冷凍食品として消費者等に提供され得るが、その場合、凍結状態の加熱処理済み包餡麺帯食品は、短時間の解凍処理(例、マイクロウェーブ加熱等)を施すことによっても、喫食に適した状態になり得る。
本発明の包餡麺帯食品は、一態様として、加熱処理用包餡麺帯食品であってよい。本発明において「加熱処理用包餡麺帯食品」とは、喫食に適した状態になるように加熱処理を施されたことがない包餡麺帯食品をいう。加熱処理用包餡麺帯食品は、喫食に適した状態になるように加熱処理を施されたことがないため、喫食前に、加熱処理に供されることが必ず必要である。加熱処理用包餡麺帯食品には、加熱処理を施されていない生包餡麺帯食品の他、喫食に適した状態にならない程度の加熱処理を生包餡麺帯食品に施したものも包含される。
本発明の包餡麺帯食品の製造方法が、包餡麺帯食品を加熱処理に供することを含む場合、加熱処理の方法は特に制限されず、包餡麺帯食品の加熱処理に通常用いられる方法であってよい。加熱処理の方法としては、例えば、湿式加熱(例、ボイル加熱、蒸し加熱等)、乾式加熱(例、焼き加熱、炒め加熱等)、誘電加熱等(例、マイクロウェーブ加熱等)及びこれらの二種以上の組み合わせ(例、蒸し焼き加熱等)等が挙げられる。加熱条件(例、加熱温度、加熱時間等)は特に制限されず、加熱処理の方法等に応じて適宜調整し得るが、加熱温度は通常80~260℃、好ましくは90~230℃、より好ましくは90~100℃であり、加熱時間は通常1~15分間、好ましくは3~10分間である。
本発明の包餡麺帯食品の製造方法が、包餡麺帯食品を加熱処理に供することを含む場合、当該加熱処理は、麺帯の食感が顕著に向上し得る観点から、湿式加熱(例、ボイル加熱、蒸し加熱等)を含むことが好ましく、ボイル加熱及び/又は蒸し加熱を含むことがより好ましい。ここで「湿式加熱」とは、水性液(水等)や水蒸気を主な熱媒体とする加熱方法をいう。「ボイル加熱」とは、水性液(水等)を主な熱媒体とする加熱方法いい、茹で加熱、煮込み加熱を包含する概念である。「蒸し加熱」とは、水蒸気を主な熱媒体とする加熱方法をいう。湿式加熱(例、ボイル加熱、蒸し加熱等)は、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で実施し得る。
本発明の包餡麺帯食品が、一態様として、加熱処理済み包餡麺帯食品である場合、当該加熱処理は、麺帯の食感が顕著に向上し得る観点から、湿式加熱(例、ボイル加熱、蒸し加熱等)を含むことが好ましく、ボイル加熱及び/又は蒸し加熱を含むことがより好ましい。すなわち、加熱処理済み包餡麺帯食品は、好ましくは、湿式加熱処理済み包餡麺帯食品であり、より好ましくは、ボイル加熱及び/又は蒸し加熱処理済み包餡麺帯食品である。湿式加熱処理済み包餡麺帯食品(例、ボイル加熱及び/又は蒸し加熱処理済み包餡麺帯食品)は、湿式加熱に加え、それ以外の加熱処理が施されていてよい。
本発明の包餡麺帯食品が、一態様として、加熱処理用包餡麺帯食品である場合、当該加熱処理は、麺帯の食感が顕著に向上し得る観点から、湿式加熱(例、ボイル加熱、蒸し加熱等)を含むことが好ましく、ボイル加熱及び/又は蒸し加熱を含むことがより好ましい。すなわち、加熱処理用包餡麺帯食品は、好ましくは、湿式加熱処理用包餡麺帯食品であり、より好ましくは、ボイル加熱及び/又は蒸し加熱処理用包餡麺帯食品である。湿式加熱処理用包餡麺帯食品(例、ボイル加熱及び/又は蒸し加熱処理用包餡麺帯食品)は、湿式加熱に加えて、それ以外の加熱処理に供してよい。
本発明の包餡麺帯食品の製造方法が、包餡麺帯食品を加熱処理に供することを含む場合、包餡麺帯食品を加熱処理に供する時期は特に制限されない。例えば、本発明の包餡麺帯食品の製造方法は、後述する通り、包餡麺帯食品を凍結することを含んでよく、その場合、包餡麺帯食品を加熱処理に供する時期は、包餡麺帯食品を凍結する前であってよく、又は、包餡麺帯食品を凍結した後(例えば、解凍する際等)であってもよい。また、凍結された包餡麺帯食品を解凍した後で、別途、加熱処理に供してしてもよい。
本発明の包餡麺帯食品の製造方法は、一態様として、包餡麺帯食品を凍結することを含んでよい。すなわち、本発明の包餡麺帯食品は、一態様として、冷凍食品(冷凍包餡麺帯食品)であってよい。本発明の包餡麺帯食品を凍結して得られる冷凍食品(冷凍包餡麺帯食品)の種類としては、冷凍餃子(例、冷凍水餃子、冷凍蒸し餃子、冷凍焼き餃子等)、冷凍焼売、冷凍ワンタン、冷凍小籠包、冷凍春巻き、冷凍包子、冷凍ラビオリ、冷凍中華饅頭等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の包餡麺帯食品の製造方法が、包餡麺帯食品を凍結することを含む場合、その凍結方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得る。凍結条件(凍結温度等)も特に制限されず、適宜調整し得る。
本発明の包餡麺帯食品の製造方法が、包餡麺帯食品を凍結することを含む場合、包餡麺帯食品を凍結する時期は特に制限されない。例えば、本発明の包餡麺帯食品の製造方法は、上述する通り、包餡麺帯食品を加熱処理に供することを含んでよく、その場合、包餡麺帯食品を凍結する時期は、包餡麺帯食品を加熱処理に供した後であってよい。
一態様として、本発明の包餡麺帯食品が、加熱処理済み包餡麺帯食品である場合、当該食品を凍結し、冷凍食品として提供してよい。
他の一態様として、本発明の包餡麺帯食品が、加熱処理用包餡麺帯食品である場合、当該食品を凍結し、冷凍食品として提供してよい。
本発明の包餡麺帯食品の製造方法が、包餡麺帯食品を凍結することを含む場合、凍結された包餡麺帯食品の解凍方法(例、湿式加熱、マイクロウェーブ加熱、自然解凍等)は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得る。例えば、凍結された包餡麺帯食品の解凍は、解凍後の包餡麺帯食品が、喫食に適した状態になるように行い得る。
本発明の包餡麺帯食品の製造方法は、本発明の目的を損なわない限り、包餡麺帯食品の製造において通常実施され得る工程を適宜含んでよい。
本発明の包餡麺帯食品は、麺帯が優れた食感を有し得る。具体的には、本発明の包餡麺帯食品は、好ましくは、麺帯の食感が適度なやわらかさを有し得る。
また、本発明の包餡麺帯食品は、好ましくは、麺帯の食感が適度な弾力感を有し得る。本発明において「弾力感」とは、噛んだときに麺帯が歯を押し戻してくる力(弾力)がある感覚をいう。
また、本発明の包餡麺帯食品は、好ましくは、麺帯の食感が適度なもちっと感を有し得る。本発明において「もちっと感」とは、餅のような粘り気のある感覚をいう。
また、本発明の包餡麺帯食品は、好ましくは、麺帯の食感が適度な滑らかさを有し得る。食感が適度な滑らかさを有する麺帯は、喉越しが良好となり得る。
本発明の包餡麺帯食品は、好ましくは、麺帯の食感が適度なやわらかさ、弾力感、もちっと感及び滑らかさを兼ね備え得る。
本発明において、包餡麺帯食品の麺帯の食感(やわらかさ、弾力感、もちっと感、滑らかさ)の評価は、例えば、専門パネルによる官能評価等によって実施し得る。
本発明の包餡麺帯食品は、麺帯の製造時のべたつきが抑えられ、良好な製造工程適性を保持し得る。具体的には、本発明の包餡麺帯食品に用いられる麺帯は、一態様として、製造時(生地の成形時)に、ロール式製麺機のローラーへの張り付きがなく、良好な剥離性を保持し得る。そのような良好な剥離性を保持する麺帯は、ロール式製麺機による連続生産が可能であり、工業生産上有利である。本発明の包餡麺帯食品に用いられる麺帯は、一態様として、成型機からの剥離性が良好であり得る。また、本発明の包餡麺帯食品に用いられる麺帯は、一態様として、加熱工程での張り付きが低減し得る。
本発明において、包餡麺帯食品の麺帯の剥離性の評価は、例えば、麺帯の製造時(生地の成形時)に、ロール式製麺機のローラーへの麺帯の張り付きの有無を、専門パネルが目視で確認すること等によって実施し得る。
本発明は、加熱処理済み包餡麺帯食品の製造方法も提供する。本発明の加熱処理済み包餡麺帯食品の製造方法は、包餡麺帯食品を加熱処理に供することを含み得る。
本発明の加熱処理済み包餡麺帯食品の製造方法において用いられる包餡麺帯食品(すなわち、加熱処理に供される包餡麺帯食品)は、上述の本発明の包餡麺帯食品と同様であり、好ましい態様も同様である。本発明の加熱処理済み包餡麺帯食品の製造方法において用いられる包餡麺帯食品の製造方法も、上述の本発明の包餡麺帯食品の製造方法と同様であり、好ましい態様も同様である。
本発明の加熱処理済み包餡麺帯食品の製造方法における加熱処理(すなわち、包餡麺帯食品に施される加熱処理)は、本発明の包餡麺帯食品の製造方法において、包餡麺帯食品に加熱処理を施す場合の加熱処理(上述)と同様であり、好ましい態様も同様である。
本発明の加熱処理済み包餡麺帯食品の製造方法は、包餡麺帯食品(例、本発明の包餡麺帯食品等)を加熱処理に供する工程を含むこと以外は特に制限されず、本発明の目的を損なわないかぎり、それ以外の工程を任意に含んでよい。
本発明は、冷凍食品(冷凍包餡麺帯食品)の製造方法も提供する。本発明の冷凍食品の製造方法は、包餡麺帯食品を凍結することを含み得る。
本発明の冷凍食品の製造方法において用いられる包餡麺帯食品(すなわち、凍結される包餡麺帯食品)は、上述の本発明の包餡麺帯食品と同様であり、好ましい態様も同様である。本発明の冷凍食品の製造方法において用いられる包餡麺帯食品の製造方法も、上述の本発明の包餡麺帯食品の製造方法と同様であり、好ましい態様も同様である。また、本発明の冷凍食品の製造方法において用いられる包餡麺帯食品には、上述の本発明の加熱処理済み包餡麺帯食品の製造方法によって得られる加熱処理済み包餡麺帯食品を用いてもよい。
本発明の冷凍食品の製造方法における凍結方法(すなわち、包餡麺帯食品を凍結する方法)は、本発明の包餡麺帯食品の製造方法において、包餡麺帯食品を凍結する場合の凍結方法(上述)と同様であり、好ましい態様も同様である。
本発明の冷凍食品の製造方法は、包餡麺帯食品(例、本発明の包餡麺帯食品、本発明の加熱処理済み包餡麺帯食品の製造方法によって得られる加熱処理済み包餡麺帯食品等)を凍結する工程を含むこと以外は特に制限されず、本発明の目的を損なわないかぎり、それ以外の工程を任意に含んでよい。
本発明は、穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物を含む、麺帯も提供する。
本発明の麺帯に含まれる穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル、澱粉分解物は、それぞれ上述の本発明の包餡麺帯食品に用いられる麺帯に含まれるものと同様であり、好ましい態様も同様である。
本発明の麺帯の製造方法は、上述の本発明の包餡麺帯食品に用いられる麺帯の製造方法と同様であり、好ましい態様も同様である。
本発明の麺帯は、包餡麺帯食品の餡となる具材の少なくとも一部を被覆するために好適に用いられ得る。本発明の麺帯により被覆され得る具材(包餡麺帯食品の餡となる具材)は、上述の本発明の包餡麺帯食品の餡と同様の原料を使用し、本発明の包餡麺帯食品の餡の製造方法と同様の方法で製造し得る。
本発明の麺帯が用いられ得る包餡麺帯食品は、上述の本発明の包餡麺帯食品と同様であり、好ましい態様も同様である。具体的には、本発明の麺帯は、例えば、餃子用(例、水餃子用、蒸し餃子用、焼き餃子用等)、焼売用、ワンタン用、小籠包用、春巻き用、包子用、ラビオリ用、中華饅頭用等であってよい。
本発明の麺帯は、例えば、餃子用の皮(例、水餃子用の皮、蒸し餃子用の皮、焼き餃子用の皮等)、焼売用の皮、ワンタン用の皮、小籠包用の皮、春巻き用の皮、包子用の皮、ラビオリ用の皮、中華饅頭用の皮等として提供され得る。
本発明は、上述の本発明の包餡麺帯食品又は本発明の麺帯を、具材の一つとして含有する食品(本明細書中、「本発明の食品」と称する場合がある)も提供する。
本発明の食品の種類は特に制限されないが、例えば、スープ(例、餃子スープ、ワンタンスープ、中華スープ等)、麺類(例、ワンタン麺、ラーメン、うどん等)、鍋類(例、餃子鍋、ワンタン鍋等)、惣菜パン(例、餃子パン等)等が挙げられる。
本発明の食品は、上述の本発明の包餡麺帯食品及び本発明の麺帯以外の具材を含む。当該具材は、本発明の食品の種類等に応じて適宜選択すればよく、特に制限されない。
本発明の食品の製造方法は特に制限されず、本発明の食品は、その種類等に応じた自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造し得る。本発明の包餡麺帯食品又は本発明の麺帯、ならびに、それら以外の具材は、必要に応じて下処理(例、下味付け、下茹で、カット、細断、バッタリング等)されて用いられ得る。
本発明の食品の製造方法は、一態様として、本発明の包餡麺帯食品又は本発明の麺帯、ならびに、それら以外の具材を、加熱処理に供することを含み得る。加熱処理の方法及び加熱条件は特に制限されず、食品の種類等に応じて適宜選択し得る。
本発明の食品の製造方法は、一態様として、本発明の包餡麺帯食品又は本発明の麺帯、ならびに、それら以外の具材を、凍結することを含み得る。したがって、本発明の食品は、冷凍食品として提供され得る。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
尚、以下の実施例において用いられた原料は、特にことわりのない限り、いずれも食品用として市販されているものである。
また、本明細書において「%」と記載されている場合は、特にことわりのない限り「重量%」を意味する。
<試験区1>
(実施例1)
下記〔1〕~〔4〕の手順で、冷凍餃子を作製した(以下において「実施例1の冷凍餃子」と称する)。
〔1〕餃子用の麺帯(餃子用の皮)の作製
水、澱粉(ヒドロキシプロピル馬鈴薯澱粉)、小麦粉、アルギン酸エステル(アルギン酸プロピレングリコールエステル)及び澱粉分解物(三和澱粉工業株式会社製、製品名:サンデック#30、DE値:2~5、原料澱粉種:ワキシーコーンスターチ、枝作り酵素処理:未処理)を、下表1に示す割合で混錬した。得られた生地を、ロール式製麺機で厚さ1.4mm程度のシート状に圧延した後、長径70mm×短径50mmの長方形に切り抜き、餃子用の麺帯(餃子用の皮)を作製した(1枚当たりの重量:8g)。
〔2〕餃子の餡(中具)となる具材及び生餃子の作製
挽肉、みじん切りした野菜及び調味料等を混錬して餃子の餡(中具)となる具材を作製した。当該具材5gを、上記〔1〕で作製した餃子用の麺帯(1枚当たりの重量:8g)で被覆成型した後、半円形状となるようカットし、半円形状の生餃子を作製した。
〔3〕生餃子の加熱(水餃子の作製)
上記〔2〕で作製した生餃子を、ガスコンロで沸かした湯で5分間ボイルし、水餃子を作製した。
〔4〕冷凍餃子の作製
上記〔3〕で作製した水餃子を、5分間放冷した後、-36℃で急速凍結して、冷凍餃子を作製した。
(実施例2~5及び比較例1~3)
上記実施例1の手順〔1〕(餃子用の麺帯(餃子用の皮)の作製)において、水、澱粉、小麦粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物の配合割合を、下表1に示す割合に変更したこと以外は、実施例1と同様の手順で、冷凍餃子を作製した(以下において、それぞれ「実施例2の冷凍餃子」~「実施例5の冷凍餃子」及び「比較例1の冷凍餃子」~「比較例3の冷凍餃子」と称する)。尚、下表1に示す通り、比較例1では澱粉分解物を、比較例2ではアルギン酸エステルを、比較例3では澱粉を、それぞれ用いなかった。
(評価)
実施例1~5及び比較例1~3において麺帯を作製した際(手順〔1〕)の、ロール式製麺機のローラーからの麺帯の剥離性(剥離の良さ)について、専門パネル5名により下記[A]の尺度(剥離性の評価尺度)に沿って評価を行った。
また、実施例1~5及び比較例1~3の各冷凍餃子を、沸騰した湯で5分間ボイルした後、専門パネル5名が喫食し、麺帯(皮)のやわらかさ、弾力感、もちっと感及び滑らかさについて、それぞれ下記[B]~[E]の尺度に沿って評価を行った。
[A]剥離性の評価尺度
〇:ローラーからの剥離が良い
△:ローラーから剥離しづらいが、連続生産は可能
×:ローラーから剥離せず、連続生産不可
[B]麺帯(皮)のやわらかさの評価尺度
〇:やわらかい
△:やや硬いが、喫食可能
×:硬すぎる
[C]麺帯(皮)の弾力感の評価尺度
〇:弾力がある
△:やや弾力がある
×:弾力が弱い
[D]麺帯(皮)のもちっと感の評価尺度
〇:もちっと感がある
△:ややもちっと感がある
×:もちっと感が弱い
[E]麺帯(皮)の滑らかさの評価尺度
〇:食感が滑らかで喉越しが良い
△:食感がやや滑らかで喉越しが良い
×:滑らかさが弱く喉越しが悪い
結果を下表2に示す。下表2及び後掲の表4、6、8及び9における「総合評価」は、[A]~[E]の評価の全てが「〇」又は[△]である場合を「〇」、[A]~[E]の評価に「×」が一つでもある場合を「×」とした。
表2に示されるように、実施例1~5の冷凍餃子を加熱解凍して得られた餃子(水餃子)は、いずれも麺帯の食感が、適度なやわらかさ、弾力感、もちっと感及び滑らかさを兼ね備えていた。また、これらの餃子に用いられた麺帯は、製造時にロール式製麺機のローラーへの張り付きがなく、連続生産が可能であった。
一方、澱粉分解物を用いなかった比較例1の餃子は、麺帯の食感が硬く、もちっと感も弱かった。
アルギン酸エステルを用いなかった比較例2では、麺帯の製造時に、麺帯がロール式製麺機のローラーに張り付き、ロール式製麺機の運転を止めて剥離することが必要になり、連続生産ができなかった。
また、澱粉を用いなかった比較例3の餃子は、麺帯の食感が硬く、もちっと感も弱かった。
<試験区2>
(実施例6~14)
上記試験区1の実施例1の手順〔1〕(餃子用の麺帯(餃子用の皮)の作製)において、水、澱粉、小麦粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物の配合割合を、下表3に示す割合に変更したこと以外は、実施例1と同様の手順で、冷凍餃子を作製した(以下において、それぞれ「実施例6の冷凍餃子」~「実施例14の冷凍餃子」と称する)。
(評価)
実施例6~14において麺帯を作製した際(手順〔1〕)の、ロール式製麺機のローラーからの麺帯の剥離性(剥離の良さ)について、専門パネル5名により試験区1と同様の尺度に沿って評価を行った。
また、実施例6~14の各冷凍餃子を、沸騰した湯で5分間ボイルした後、専門パネル5名が喫食し、麺帯(皮)のやわらかさ、弾力感、もちっと感及び滑らかさについて、それぞれ試験区1と同様の尺度に沿って評価を行った。
結果を下表4に示す。
表4に示されるように、実施例6~14の冷凍餃子を加熱解凍して得られた餃子(水餃子)は、いずれも麺帯の食感が、適度なやわらかさ、弾力感、もちっと感及び滑らかさを兼ね備えていた。また、これらの餃子に用いられた麺帯は、製造時にロール式製麺機のローラーへの張り付きがなく、連続生産が可能であった。
<試験区3>
(実施例15~22)
上記試験区1の実施例1の手順〔1〕(餃子用の麺帯(餃子用の皮)の作製)において、DE値が2~5である澱粉分解物(三和澱粉工業株式会社製、製品名:サンデック#30、原料澱粉種:ワキシーコーンスターチ、枝作り酵素処理:未処理)に代えて、下表5に示されるDE値が6~8、10~13、15~18、18~21、16~21、22~26、8又は40である各澱粉分解物を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で、冷凍餃子を作製した(以下において、それぞれ「実施例15の冷凍餃子」~「実施例22の冷凍餃子」と称する)。尚、下表5に示される澱粉分解物は、いずれも枝作り酵素処理が施されていないものである。
(評価)
実施例15~22において麺帯を作製した際(手順〔1〕)の、ロール式製麺機のローラーからの麺帯の剥離性(剥離の良さ)について、専門パネル5名により試験区1と同様の尺度に沿って評価を行った。
また、実施例15~22の各冷凍餃子を、沸騰した湯で5分間ボイルした後、専門パネル5名が喫食し、麺帯(皮)のやわらかさ、弾力感、もちっと感及び滑らかさについて、それぞれ試験区1と同様の尺度に沿って評価を行った。
結果を下表6に示す。
表6に示されるように、実施例15~22の冷凍餃子を加熱解凍して得られた餃子(水餃子)は、いずれも麺帯の食感が、適度なやわらかさ、弾力感、もちっと感及び滑らかさを兼ね備えていた。また、これらの餃子に用いられた麺帯は、製造時にロール式製麺機のローラーへの張り付きがなく、連続生産が可能であった。
<試験区4>
(実施例23~33)
上記試験区1の実施例1の手順〔1〕(餃子用の麺帯(餃子用の皮)の作製)において、ヒドロキシプロピル馬鈴薯澱粉に代えて、下表7に示される各澱粉を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で、冷凍餃子を作製した(以下において、それぞれ「実施例23の冷凍餃子」~「実施例33の冷凍餃子」と称する)。
(評価)
実施例23~33において麺帯を作製した際(手順〔1〕)の、ロール式製麺機のローラーからの麺帯の剥離性(剥離の良さ)について、専門パネル5名により試験区1と同様の尺度に沿って評価を行った。
また、実施例23~33の各冷凍餃子を、沸騰した湯で5分間ボイルした後、専門パネル5名が喫食し、麺帯(皮)のやわらかさ、弾力感、もちっと感及び滑らかさについて、それぞれ試験区1と同様の尺度に沿って評価を行った。
結果を下表8に示す。
表8に示されるように、実施例23~33の冷凍餃子を加熱解凍して得られた餃子(水餃子)は、いずれも麺帯の食感が、適度なやわらかさ、弾力感、もちっと感及び滑らかさを兼ね備えていた。また、これらの餃子に用いられた麺帯は、製造時にロール式製麺機のローラーへの張り付きがなく、連続生産が可能であった。
<試験区5>
(実施例34)
上記試験区1の実施例1の手順〔3〕(生餃子の加熱(水餃子の作製))において、生餃子をボイルして水餃子を作製する代わりに、生餃子をスチームコンベクションオーブン(スチームモード)にて5分間100℃で蒸して、蒸し餃子を作製したこと以外は、実施例1と同様の手順で、冷凍餃子を作製した(以下において「実施例34の冷凍餃子」と称する)。
(評価)
実施例34において麺帯を作製した際(手順〔1〕)の、ロール式製麺機のローラーからの麺帯の剥離性(剥離の良さ)について、専門パネル5名により試験区1と同様の尺度に沿って評価を行った。
また、実施例34の冷凍餃子を、沸騰した湯で5分間ボイルした後、専門パネル5名が喫食し、麺帯(皮)のやわらかさ、弾力感、もちっと感及び滑らかさについて、それぞれ試験区1と同様の尺度に沿って評価を行った。
結果を下表9に示す。
表9に示されるように、実施例34の冷凍餃子を加熱解凍して得られた餃子(蒸し餃子)は、麺帯の食感が、適度なやわらかさ、弾力感、もちっと感及び滑らかさを兼ね備えていた。また、当該餃子に用いられた麺帯は、製造時にロール式製麺機のローラーへの張り付きがなく、連続生産が可能であった。
試験区1~5の結果から、穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物を含む麺帯は、優れた食感を有し、かつ製造時の工程適性も良好であることが示唆された。具体的には、穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物を含む麺帯は、適度なやわらかさ、弾力感、もちっと感及び滑らかさを兼ね備えた優れた食感を有することが示唆された。また、当該麺帯は、その製造時に、ロール式製麺機のローラーへの張り付きがなく、良好な剥離性を保持することが示唆された。
本発明によれば、麺帯が優れた食感を有し、かつ麺帯の製造時の工程適性も良好である包餡麺帯食品が提供される。本発明の包餡麺帯食品は、好ましくは、麺帯の食感が適度なやわらかさ、弾力感、もちっと感及び滑らかさを兼ね備え得る。また、本発明の包餡麺帯食品に用いられる麺帯は、好ましくは、その製造時(生地の成形時)に、ロール式製麺機のローラーへの張り付きがなく、良好な剥離性を保持し得る。
また、本発明によれば、加熱処理済み包餡麺帯食品の製造方法も提供される。当該製造方法によって得られる加熱処理済み包餡麺帯食品は、麺帯が優れた食感を有し、かつ麺帯の製造時の工程適性も良好である。
また、本発明によれば、包餡麺帯食品の餡となる具材の少なくとも一部を被覆するために好適に用いられ得る麺帯も提供される。本発明の麺帯は、優れた食感を有し、かつ製造時の工程適性も良好である。

Claims (23)

  1. 餡と、当該餡の少なくとも一部を被覆する麺帯とを、少なくとも有する包餡麺帯食品であって、
    前記麺帯が、穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物を含む、食品。
  2. 麺帯に含まれるアルギン酸エステルの量が、麺帯の原料の総重量に対して0.01~2.7重量%であり、かつ
    麺帯に含まれる澱粉分解物の量が、麺帯の原料の総重量に対して0.5~13重量%である、請求項1記載の食品。
  3. 麺帯に含まれる穀物粉と澱粉の重量比が、穀物粉:澱粉=1:0.1~20である、請求項1又は2記載の食品。
  4. 麺帯に含まれる澱粉分解物のDE値が、2~40である、請求項1又は2記載の食品。
  5. 麺帯に含まれる澱粉分解物の原料澱粉が、とうもろこし又はタピオカに由来する、請求項1又は2記載の食品。
  6. 麺帯に含まれる澱粉が、生澱粉、酢酸澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉及びリン酸架橋澱粉からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項1又は2記載の食品。
  7. 包餡麺帯食品が、加熱処理済み包餡麺帯食品である、請求項1又は2記載の食品。
  8. 前記加熱処理が、ボイル加熱及び/又は蒸し加熱を含む、請求項7記載の食品。
  9. 包餡麺帯食品が、餃子である、請求項1又は2記載の食品。
  10. 包餡麺帯食品が、冷凍食品である、請求項1又は2記載の食品。
  11. 餡と、当該餡の少なくとも一部を被覆する麺帯とを、少なくとも有する包餡麺帯食品を加熱処理に供することを含む、加熱処理済み包餡麺帯食品の製造方法であって、
    前記麺帯が、穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物を含む、製造方法。
  12. 麺帯に含まれるアルギン酸エステルの量が、麺帯の原料の総重量に対して0.01~2.7重量%であり、かつ
    麺帯に含まれる澱粉分解物の量が、麺帯の原料の総重量に対して0.5~13重量%である、請求項11記載の製造方法。
  13. 麺帯に含まれる穀物粉と澱粉の重量比が、穀物粉:澱粉=1:0.1~20である、請求項11又は12記載の製造方法。
  14. 麺帯に含まれる澱粉分解物のDE値が、2~40である、請求項11又は12記載の製造方法。
  15. 麺帯に含まれる澱粉分解物の原料澱粉が、とうもろこし又はタピオカに由来する、請求項11又は12記載の製造方法。
  16. 麺帯に含まれる澱粉が、生澱粉、酢酸澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉及びリン酸架橋澱粉からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項11又は12記載の製造方法。
  17. 前記加熱処理が、ボイル加熱及び/又は蒸し加熱を含む、請求項11又は12記載の製造方法。
  18. 包餡麺帯食品が、餃子である、請求項11又は12記載の製造方法。
  19. 請求項11又は12記載の製造方法によって得られる加熱処理済み包餡麺帯食品を凍結することを含む、冷凍食品の製造方法。
  20. 包餡麺帯食品の餡となる具材の少なくとも一部を麺帯で被覆することを含む、包餡麺帯食品の製造方法であって、
    前記麺帯が、穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物を含む、製造方法。
  21. 穀物粉、澱粉、アルギン酸エステル及び澱粉分解物を含む、麺帯。
  22. 前記麺帯が、包餡麺帯食品の餡となる具材の少なくとも一部を被覆するためのものである、請求項21記載の麺帯。
  23. 請求項1記載の食品又は請求項21記載の麺帯を、具材の一つとして含有する、食品。
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