JP2023541262A - Lemurチロシンキナーゼ3の小分子阻害剤 - Google Patents

Lemurチロシンキナーゼ3の小分子阻害剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、式(I)の化合物、およびそれを含む組成物に関する。化合物および組成物は、Lemurチロシンキナーゼ3(LMTK3)の阻害によって治療可能な疾患、例えば、癌を治療、予防または改善するために使用され得る。

Description

本発明は、癌、特にLemurチロシンキナーゼ3(LMTK3)の阻害によって治療可能な疾患、例えば、癌の治療、予防または改善に使用するための新規な組成物および療法に関する。
プロテインキナーゼは、増殖、生存、分化、アポトーシス、代謝、血管新生、免疫監視および運動性を含む細胞活性のほぼあらゆる側面を伴う細胞内シグナル伝達経路の調節に極めて重要な役割を果たす。それらのシグナル伝達の撹乱はそれらの活性に影響を及ぼし、これは悪性腫瘍を含むヒト疾患に寄与する。キナーゼに対する標的療法は、過去10年間に患者の臨床転帰を改善してきた。しかし、これらの治療に対する耐性は、相補的または代償的機能を有する他のキナーゼの異常な活性化に主に起因して発生することが多く、本発明者らは、広範囲なネットワークにおけるキナーゼシグナル伝達における冗長性を示している(Stebbing J,et al.(2015)Characterization of the Tyrosine Kinase-Regulated Proteome in Breast Cancer by Combined use of RNA interference(RNAi)and Stable Isotope Labeling with Amino Acids in Cell Culture(SILAC)Quantitative Proteomics.Mol Cell Proteomics 14(9):2479-2492)。
Lemurチロシンキナーゼ3(LMTK3)の発癌性の役割は、過去数年にわたって確立されており、様々な腫瘍型および状況における機構的データおよび翻訳データによって裏付けられている。LMTK3は、乳癌では潜在的な新しい治療標的として提案されており、他の腫瘍に対するその関与が考慮されているため、LMTK3が関与するシグナル伝達経路をさらに解明し、経路の検討を可能にするために使用され得る強力で選択的な細胞透過性小分子阻害剤を同定し、そのようにすることで、将来の翻訳活性のための今後の追跡可能性も確立することが急務である。
本発明は、LMTK3の阻害剤の同定を試みている本発明者らの研究から生じる。
Stebbing J,et al.(2015)Characterization of the Tyrosine Kinase-Regulated Proteome in Breast Cancer by Combined use of RNA interference(RNAi)and Stable Isotope Labeling with Amino Acids in Cell Culture(SILAC)Quantitative Proteomics.Mol Cell Proteomics 14(9):2479-2492
本発明の第1の態様によれば、治療に使用するための、式(I)の化合物:
(式中、Rは、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、L、またはハロゲンであり、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
nは0であり、XはS、OもしくはNRであるか、またはnは1であり、XはCRもしくはNであり、
~Rは、独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、または置換されていてもよいC~C15アルキニルであり、
は、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、またはLであり、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、OR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
およびRは、独立して、H、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、または置換されていてもよいC~C15アルキニルであり、
は、OR、SR、NR、CONR、CN、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NR、OC(O)R、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリルであり、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
は、存在しないか、またはO、SもしくはNRであり、
は、存在しないか、または置換されていてもよいC~C15アルキレン、もしくは置換されていてもよいC~C15アルキリン(alkylyne)である)、
またはその薬学的に許容される複合体、塩、溶媒和物、互変異性型もしくは多形体が提供される。
本発明者らは、式(I)の化合物がLMTK3を阻害することができ、癌を治療するために使用され得ることを見出した。
第2の態様によれば、Lemurチロシンキナーゼ3(LMTK3)を阻害することによって治療可能な疾患の治療に使用するための、式(I)の化合物:
(式中、Rは、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、L、またはハロゲンであり、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
nは0であり、XはS、OもしくはNRであるか、またはnは1であり、XはCRもしくはNであり、
~Rは、独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、または置換されていてもよいC~C15アルキニルであり、
は、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、またはLであり、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、OR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
およびRは、独立して、H、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、または置換されていてもよいC~C15アルキニルであり、
は、OR、SR、NR、CONR、CN、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NR、OC(O)R、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリルであり、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
は、存在しないか、またはO、SもしくはNRであり、
は、存在しないか、または置換されていてもよいC~C15アルキレン、もしくは置換されていてもよいC~C15アルキリンである)、
またはその薬学的に許容される複合体、塩、溶媒和物、互変異性型もしくは多形体が提供される。
第3の態様では、対象においてLemurチロシンキナーゼ3(LMTK3)を阻害することによって治療可能な疾患を治療、予防または改善する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、式(I)の化合物:
(式中、Rは、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、L、またはハロゲンであり、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
nは0であり、XはS、OもしくはNRであるか、またはnは1であり、XはCRもしくはNであり、
~Rは、独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、または置換されていてもよいC~C15アルキニルであり、
は、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、またはLであり、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、OR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
およびRは、独立して、H、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、または置換されていてもよいC~C15アルキニルであり、
は、OR、SR、NR、CONR、CN、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NR、OC(O)R、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリルであり、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
は、存在しないか、またはO、SもしくはNRであり、
は、存在しないか、または置換されていてもよいC~C15アルキレン、もしくは置換されていてもよいC~C15アルキリンである)、
またはその薬学的に許容される複合体、塩、溶媒和物、互変異性型もしくは多形体の治療有効量を投与することを含む方法が提供される。
予防するとは、可能性を低減することを意味すると理解され得る。
疾患は、癌、注意欠陥多動性障害(ADHD)、ハイパーソーシャビリティ(hyper-sociability)、プレパルス抑制(PPI)欠損、認知障害または神経変性疾患であり得る。神経変性疾患は、アルツハイマー病またはパーキンソン病であり得る。
好ましい実施形態では、疾患は癌である。癌は、血液癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、子宮内膜癌、胃癌、白血病、肝癌、肺癌、リンパ腫、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、腎癌または皮膚癌であり得る。肺癌は非小細胞肺癌(NSCLC)であり得る。リンパ腫は中枢神経系(CNS)リンパ腫であり得る。皮膚癌は黒色腫であり得る。
好ましくは、癌は乳癌である。さらに好ましくは、癌は乳癌である。乳癌は、ER+乳癌のトリプルネガティブ乳癌(例えば、ER-/PR-/HER2-)であり得る。
元素が指定される場合、その元素のあらゆる同位体も包含されることが理解され得る。例えば、用語「H」または「水素」は、重水素およびトリチウムも包含すると理解され得る。特に、化合物の重水素化類似体は、撮像および/または代謝試験に使用され得る。
本明細書で使用される用語「アルキル」は、特に指定されない限り、飽和直鎖または分岐炭化水素を指す。ある特定の実施形態では、アルキル基は、第一級、第二級または第三級炭化水素である。ある特定の実施形態では、アルキル基は、1~12個の炭素原子、すなわち、C~C12アルキル、または1~6個の炭素原子、すなわち、C~Cアルキルを含む。C~Cアルキルには、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびイソヘキシルが含まれる。アルキル基は、非置換であってよいか、またはハロゲン、CN、OR14、SR14、NR1415もしくはSX のうちの1つ以上によって置換されていてもよく、式中、R14およびR15は、H、フッ素化されていてもよいC~C15アルキル、フッ素化されていてもよいC~C15アルケニル、またはフッ素化されていてもよいC~C15アルキニルであり、Xはハロゲンである。いくつかの実施形態では、アルキル基は、非置換であるか、またはフッ素、SF、LCF、LCHFもしくはLCHFによって置換されており、式中、Lは存在しないか、またはOもしくはSである。
「アルケニル」は、非分岐状または分岐状であり得るオレフィン性不飽和炭化水素基を指す。ある特定の実施形態では、アルケニル基は、2~6個の炭素を有し、すなわち、C~Cアルケニルである。C~Cアルケニルには、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニルが含まれる。アルケニル基は、非置換であってよいか、またはハロゲン、CN、OR14、SR14、NR1415もしくはSX のうちの1つ以上によって置換されていてもよく、式中、R14およびR15は、H、フッ素化されていてもよいC~C15アルキル、フッ素化されていてもよいC~C15アルケニル、またはフッ素化されていてもよいC~C15アルキニルであり、Xはハロゲンである。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、非置換であるか、またはフッ素、SF、LCF、LCHFもしくはLCHFによって置換されており、式中、Lは存在しないか、またはOもしくはSである。
「アルキニル」は、非分岐状または分岐状であり得るアセチレン性(acetylenically)不飽和炭化水素基を指す。ある特定の実施形態では、アルキニル基は、2~6個の炭素を有し、すなわち、C~Cアルキニルである。C~Cアルキニルには、例えば、プロパルギル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルが含まれる。アルキニル基は、非置換であってよいか、またはハロゲン、CN、OR14、SR14、NR1415もしくはSX のうちの1つ以上によって置換されていてもよく、式中、R14およびR15は、H、フッ素化されていてもよいC~C15アルキル、フッ素化されていてもよいC~C15アルケニル、またはフッ素化されていてもよいC~C15アルキニルであり、Xはハロゲンである。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、非置換であるか、またはフッ素、SF、LCF、LCHFもしくはLCHFによって置換されており、式中、Lは存在しないか、またはOもしくはSである。
本明細書で使用される用語「アルキレン」は、特に指定されない限り、二価の飽和直鎖または分岐炭化水素を指す。ある特定の実施形態では、アルキレン基は、第一級、第二級または第三級炭化水素である。ある特定の実施形態では、アルキレン基は、1~12個の炭素原子、すなわち、C~C12アルキレン、または1~6個の炭素原子、すなわち、C~Cアルキレンを含む。C~Cアルキレンには、例えば、メチレン、エチレン、n-プロピレンおよびイソプロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、イソブチレン、sec-ブチレン、tert-ブチレン、イソペンチレン、ネオペンチレン、ならびにイソヘキシレンが含まれる。アルキレン基は、非置換であってよいか、またはハロゲン、CN、OR14、SR14、NR1415もしくはSX のうちの1つ以上によって置換されていてもよく、式中、R14およびR15は、H、フッ素化されていてもよいC~C15アルキル、フッ素化されていてもよいC~C15アルケニル、またはフッ素化されていてもよいC~C15アルキニルであり、Xはハロゲンである。いくつかの実施形態では、アルキレン基は、非置換であるか、またはフッ素、SF、LCF、LCHFもしくはLCHFによって置換されており、式中、Lは存在しないか、またはOもしくはSである。
本明細書で使用される用語「アルキリン」は、特に指定されない限り、二価の不飽和直鎖または分岐炭化水素を指す。ある特定の実施形態では、アルキリン基は、第一級、第二級または第三級炭化水素である。ある特定の実施形態では、アルキリン基は、2~12個の炭素原子、すなわち、C~C12アルキリン、2~6個の炭素原子、すなわち、C~Cアルキリンを含む。C~Cアルキリンには、例えば、エチリン(ethylyne)、プロピリン(propylyne)、ブチリン(butylyne)、ペンチリン(pentylyne)またはヘキシリン(hexylyne)が含まれる。アルキリン基は、非置換であってよいか、またはハロゲン、CN、OR14、SR14、NR1415もしくはSX のうちの1つ以上によって置換されていてもよく、式中、R14およびR15は、H、フッ素化されていてもよいC~C15アルキル、フッ素化されていてもよいC~C15アルケニル、またはフッ素化されていてもよいC~C15アルキニルであり、Xはハロゲンである。いくつかの実施形態では、アルキリン基は、非置換であるか、またはフッ素、SF、LCF、LCHFもしくはLCHFによって置換されており、式中、Lは存在しないか、またはOもしくはSである。
「アリール」は、芳香族の6~12員炭化水素基を指す。C~C12アリール基の例には、限定されることなく、フェニル、α-ナフチル、β-ナフチル、ビフェニル、テトラヒドロナフチルおよびインダニルが挙げられる。アリール基は、非置換であってよいか、または置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rのうちの1つ以上によって置換されていてもよい。
「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環原子がヘテロ原子である単環式または二環式の芳香族5~10員環系を指す。ヘテロ原子または各ヘテロ原子は、独立して、酸素、硫黄および窒素からなる群から選択され得る。5~10員ヘテロアリール基の例には、フラン、チオフェン、インドール、アザインドール、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、N-メチルピロール、ピラゾール、N-メチルピラゾール、1,3-ベンゾジオキソール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,4-トリアゾール、1-メチル-1,2,4-トリアゾール、1H-テトラゾール、1-メチルテトラゾール、ベンゾキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、ベンズイソキサゾール、ベンズイミダゾール、N-メチルベンズイミダゾール、アザベンズイミダゾール、インダゾール、キナゾリン、キノリンおよびイソキノリンが挙げられる。二環式の5~10員ヘテロアリール基には、フェニル環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環またはピリダジン環が5または6員の単環式ヘテロアリール環に縮合しているものが含まれる。ヘテロアリール基は、非置換であってよいか、または置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rのうちの1つ以上によって置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロ原子は、置換基の1つによって置換されていてもよい。例えば、ヘテロアリールはピリジンであってよく、それをOによって置換してピリジン-N-オキシドを提供してもよい。
「複素環」または「ヘテロシクリル」は、少なくとも1つの環原子がヘテロ原子である3~8員の単環式、二環式または架橋分子を指す。ヘテロ原子または各ヘテロ原子は、独立して、酸素、硫黄および窒素からなる群から選択され得る。複素環は、飽和であり得るか、または部分的に飽和であり得る。例示的な3~8員ヘテロシクリル基には、限定されることなく、アジリジン、オキシラン、オキシレン、チイラン、ピロリン、ピロリジン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジチオラン、ピペリジン、1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-イル、テトラヒドロピラン、ピラン、モルホリン、ピペラジン、チアン、チイン、アゼパン、ジアゼパン、オキサジンが含まれる。ヘテロシクリル基は、非置換であってよいか、または置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rのうちの1つ以上によって置換されていてもよい。
薬学的に許容される塩には、その生物学的特性を保持し、毒性ではないか、または薬学的使用に望ましい、本明細書で提供される式(I)の化合物の任意の塩が含まれる。薬学的に許容される塩は、当技術分野で周知の様々な有機対イオンおよび無機対イオンに由来し得る。
薬学的に許容される塩は、有機酸または無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンチルプロピオン酸、グリコール酸、グルタル酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、ソルビン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ピクリン酸、桂皮酸、マンデル酸、フタル酸、ラウリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンフル酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、安息香酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、キナ酸、ムコン酸などの酸によって形成された酸付加塩を含み得る。あるいは、薬学的に許容される塩は、親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、アルミニウムイオン、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属水酸化物、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、リチウム、亜鉛および水酸化バリウムによって置換されるか、または有機塩基、例えば、脂肪族、脂環式もしくは芳香族有機アミン、例えば、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレン-ジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N-ベンジルフェネチルアミン、N-メチルグルカミンピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、テトラメチルアンモニウム水酸化物などと配位した場合に形成される塩基付加塩を含み得る。
したがって、塩は、I族またはII族金属塩、すなわち、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含み得る。したがって、塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ベリリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩を含み得る。
薬学的に許容される溶媒和物とは、非共有結合分子間力によって結合された化学量論量または非化学量論量の溶媒をさらに含む式(I)の化合物またはその塩を指す。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。
一実施形態では、nは1である。XはCRであり得る。したがって、化合物は、式(II)の化合物であり得る:
~Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、または置換されていてもよいC~Cアルキニルであり得る。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってよく、好ましくはフッ素である。したがって、R~Rは、それぞれ独立して、水素、フッ素または置換されていてもよいメチルであり得る。
~Rのうちの少なくとも1つが、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、または置換されていてもよいアルキニルである実施形態では、アルキル、アルケニルもしくはアルキニル、または各アルキル、アルケニルもしくはアルキニルは、好ましくは、独立して、非置換であるか、またはハロゲンによって置換されている。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってよく、好ましくはフッ素である。したがって、R~Rのうちの1つ以上は、メチルまたはハロゲン化メチルであり得る。いくつかの実施形態では、R~Rのうちの1つ以上は、CH、CHF、CHFまたはCFであり得る。最も好ましくは、アルキル、アルケニルもしくはアルキニル、または各アルキル、アルケニルもしくはアルキニルは非置換である。
好ましい実施形態では、R~Rは、それぞれHである。
したがって、好ましい実施形態では、化合物は、式(II)の化合物である:
は、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、またはハロゲンであり得る。Rは、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいチオフェニル、置換されていてもよいチアゾリル、置換されていてもよいテトラゾリル、置換されていてもよいトリアゾリル、置換されていてもよいピリジニル、置換されていてもよいピリダジニル、置換されていてもよいピリミジニル、置換されていてもよいトリアジニル、置換されていてもよい1,3-ベンゾジオキソリル、置換されていてもよいテトラヒドロピラニル、置換されていてもよいジヒドロピラニル、置換されていてもよいモルホリニル、または塩素であり得る。
は、好ましくは、置換されていてもよい5または6員ヘテロアリールである。好ましくは、Rは、置換されていてもよいチオフェニル、置換されていてもよいチアゾリル、置換されていてもよいテトラゾリル、置換されていてもよいトリアゾリル、置換されていてもよいピリジニル、置換されていてもよいピリダジニル、置換されていてもよいピリミジニル、または置換されていてもよいトリアジニルである。
さらに好ましくは、Rは、置換されていてもよい6員ヘテロアリールであり、最も好ましくは、置換されていてもよいピリジニル、または置換されていてもよいピリダジニルである。
は、以下であり得る:
(式中、Xは、NまたはCRであり、
~R13は、独立して、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、OR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rである。)
好ましくは、R~R13は、独立して、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、置換されていてもよいC~Cアルキニル、ハロゲン、OR、CONR、NRCOR、NRSOまたはCNであり、式中、RおよびRは、H、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、または置換されていてもよいC~Cアルキニルである。さらに好ましくは、R~R13は、独立して、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、置換されていてもよいC~Cアルキニル、フッ素、塩素、OR、CONR、NRCOR、NRSOまたはCNであり、式中、RおよびRは、H、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、または置換されていてもよいC~Cアルキニルである。さらになお好ましくは、R~R13は、独立して、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、置換されていてもよいC~Cアルキニル、フッ素、塩素、OR、NHCOCH、NHSOCHまたはCNであり、式中、Rは、H、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、または置換されていてもよいC~Cアルキニルである。最も好ましくは、R~R13は、独立して、置換されていてもよいメチル、フッ素、OR、NHCOCH、NHSOCHまたはCNであり、式中、Rは、H、または置換されていてもよいメチルである。R~R13は、それぞれ独立して、Hまたはメチルであり得る。いくつかの実施形態では、R~R13は、それぞれHである。
好ましい実施形態の場合、Rは以下である:
好ましくは、XはCRである。
10およびR12は、それぞれ独立して、Hまたはメチルであり得る。いくつかの実施形態では、R10およびR12は、それぞれHである。
いくつかの実施形態では、RおよびR13はHである。
したがって、Rは、Cl、フェニル、
であり得る。好ましくは、R
である。
は、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、または置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリルであり得る。Rは、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいチオフェニル、置換されていてもよいチアゾリル、置換されていてもよいテトラゾリル、置換されていてもよいトリアゾリル、置換されていてもよいピリジニル、置換されていてもよいピリダジニル、置換されていてもよいピリミジニル、置換されていてもよいトリアジニル、置換されていてもよい1,3-ベンゾジオキソリル、置換されていてもよいテトラヒドロピラニル、置換されていてもよいジヒドロピラニル、置換されていてもよいモルホリニル、または塩素であり得る。
は、好ましくは、置換されていてもよいフェニル、または置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールである。好ましくは、Rは、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいチオフェニル、置換されていてもよいチアゾリル、置換されていてもよいテトラゾリル、置換されていてもよいトリアゾリル、置換されていてもよいピリジニル、置換されていてもよいピリダジニル、置換されていてもよいピリミジニル、または置換されていてもよいトリアジニルである。さらに好ましくは、Rは、置換されていてもよいフェニルである。
は、非置換フェニルであってよい。
好ましい実施形態では、Rは、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、置換されていてもよいC~Cアルキニル、ハロゲン、OR、SR、CORおよびCONR(式中、RおよびRは、H、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、または置換されていてもよいC~Cアルキニルである)からなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されたフェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールである。さらに好ましくは、Rは、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、置換されていてもよいC~Cアルキニル、ハロゲン、OR、SR、CORおよびCONR(式中、RおよびRは、H、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、または置換されていてもよいC~Cアルキニルである)からなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されたフェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールである。さらになお好ましくは、Rは、置換されていてもよいメチル、フッ素、塩素、OR、SR、CORおよびCONR(式中、Rは、H、置換されていてもよいメチル、または置換されていてもよいエチルである)からなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されたフェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールである。Rは、CH、CHF、CHF、CF、CHOH、フッ素、塩素、OR、SR、CORおよびCONR(式中、Rは、H、CH、CHF、CHF、CFまたはCHCHN(CHである)からなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されたフェニルであり得る。最も好ましい実施形態では、Rは、OCFによって置換されたフェニルである。
は、1つまたは2つの置換基によって置換されたフェニルであり得る。置換基は、オルト位、メタ位またはパラ位にあってよい。いくつかの実施形態では、置換基はメタ位にある。
は、
であり得る。
式(I)の化合物は、式(100)~(122)の化合物であり得る:
いくつかの実施形態では、化合物は、式(100)の化合物である。
一実施形態では、nは0である。XはSであり得る。したがって、化合物は、式(III)の化合物であり得る:
好ましくは、RはLである。したがって、化合物は、式(IIIa)の化合物であり得る:
は、好ましくはO、SまたはNRであり、さらに好ましくはNRである。Rは、好ましくはHである。
は、好ましくは置換されていてもよいC~C10アルキレン、または置換されていてもよいC~C10アルキリンであり、さらに好ましくは置換されていてもよいC~Cアルキレン、または置換されていてもよいC~Cアルキリンであり、最も好ましくは置換されていてもよいC~Cアルキレン、または置換されていてもよいC~Cアルキリンである。好ましい実施形態では、Lは-CH-である。
は、好ましくは、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリルである。Rは、好ましくは、置換されていてもよいフェニル、または置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールである。
は、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいチオフェニル、置換されていてもよいチアゾリル、置換されていてもよいテトラゾリル、置換されていてもよいトリアゾリル、置換されていてもよいピリジニル、置換されていてもよいピリダジニル、置換されていてもよいピリミジニル、置換されていてもよいトリアジニル、置換されていてもよい1,3-ベンゾジオキソリル、置換されていてもよいテトラヒドロピラニル、置換されていてもよいジヒドロピラニル、または置換されていてもよいモルホリニルであり得る。
さらに好ましくは、Rは、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいピリジニル、または置換されていてもよいピリダジニルである。
は、フェニルまたは
であり得る。
は、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、または置換されていてもよいC~Cアルキニルであり得る。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってよく、好ましくはフッ素である。したがって、Rは、水素、フッ素または置換されていてもよいメチルである。好ましくは、Rは水素である。
は、好ましくは、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリルである。Rは、好ましくは、置換されていてもよいフェニル、または置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールである。
は、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいチオフェニル、置換されていてもよいチアゾリル、置換されていてもよいテトラゾリル、置換されていてもよいトリアゾリル、置換されていてもよいピリジニル、置換されていてもよいピリダジニル、置換されていてもよいピリミジニル、置換されていてもよいトリアジニル、置換されていてもよい1,3-ベンゾジオキソリル、置換されていてもよいテトラヒドロピラニル、置換されていてもよいジヒドロピラニル、または置換されていてもよいモルホリニルであり得る。
は、非置換フェニル、または非置換5もしくは6員ヘテロアリールであり得る。あるいは、Rは、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、置換されていてもよいC~Cアルキニル、ハロゲン、ORおよびSR(式中、Rは、H、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、または置換されていてもよいC~Cアルキニルである)からなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されたフェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールであり得る。さらに好ましくは、Rは、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、置換されていてもよいC~Cアルキニル、ハロゲン、ORおよびSR(式中、Rは、H、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、または置換されていてもよいC~Cアルキニルである)からなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されたフェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールである。さらになお好ましくは、Rは、置換されていてもよいメチル、フッ素、塩素、ORおよびSR(式中、Rは、Hまたは置換されていてもよいメチルである)からなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されたフェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールである。Rは、CH、CHF、CHF、CF、塩素、フッ素、ORおよびSR(式中、Rは、H、CH、CHF、CHFまたはCFである)からなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されたフェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールであり得る。
は、1つの置換基によって置換されたフェニルまたは6員ヘテロアリールであり得る。置換基は、オルト位、メタ位またはパラ位にあってよい。いくつかの実施形態では、置換基は、メタ位またはパラ位にある。
したがって、Rは、フェニル、
であり得る。
式(I)の化合物は、式(200)~(204)の化合物であり得る:
本明細書に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、癌を治療、改善または予防するための単剤療法(すなわち、阻害剤単独の使用)で使用され得る医薬品に使用され得ることが理解されるであろう。あるいは、阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、癌を治療、改善もしくは予防するための公知の療法の補助として、またはそれと組み合わせて使用され得る。公知の療法は、公知の内分泌療法および/または化学療法であり得る。例えば、式(I)の化合物は、タモキシフェンまたはドキソルビシンと組み合わせて使用され得る。
式(I)の化合物は、特に組成物が使用される様式に応じて、いくつかの異なる形態を有する組成物中で組み合わせられ得る。したがって、例えば、組成物は、粉末、錠剤、カプセル、液体、軟膏、クリーム、ゲル、ヒドロゲル、エアロゾル、スプレー、ミセル溶液、経皮パッチ、リポソーム懸濁液の形態、または治療を必要とする人もしくは動物に投与され得る任意の他の好適な形態であり得る。本発明による医薬品のビヒクルは、それが与えられる対象によって十分に許容されるものでなければならないことが理解されるであろう。
式(I)の化合物を含む医薬品は、いくつかの方法で使用され得る。式(I)の化合物を含む組成物は、吸入によって(例えば、鼻腔内)投与され得る。組成物はまた、局所使用のために製剤化され得る。例えば、クリームまたは軟膏を皮膚に塗布してもよい。
式(I)の化合物はまた、徐放装置または遅延放出装置内に組み込まれてもよい。そのような装置は、例えば、皮膚の上または下に挿入されてもよく、医薬品は、数週間または数ヶ月にわたって放出されてもよい。装置は、治療部位に少なくとも隣接して配置されてもよい。そのような装置は、本発明に従って使用される阻害剤による長期治療が必要であり、通常、頻繁な投与(例えば、少なくとも連日の注射)を必要とする場合に特に有利であり得る。
式(I)の化合物、および該化合物を含む組成物は、血流中への注射、または治療を必要とする部位、例えば、癌性腫瘍もしくはそれに隣接する血流中への直接注射によって対象に投与され得る。注射は、静脈内(ボーラスまたは注入)または皮下(ボーラスまたは注入)、皮内(ボーラスまたは注入)または筋肉内(ボーラスまたは注入)であり得る。
好ましい実施形態では、式(I)の化合物は経口投与される。したがって、式(I)の化合物は、例えば、錠剤、カプセルまたは液体の形態で経口摂取され得る組成物内に含有され得る。
必要とされる式(I)の化合物の量は、その生物学的活性およびバイオアベイラビリティによって決定され、これは、投与様式、式(I)の化合物の物理化学的特性、および単剤療法として使用されているか、または併用療法で使用されているかに依存することが理解されるであろう。投与頻度はまた、治療される対象内での式(I)の化合物の半減期による影響を受ける。投与される最適な投与量は、当業者によって決定され得、使用中の特定の阻害剤、医薬組成物の強度、投与様式、および癌の進行によって変動する。対象の年齢、体重、性別、食事および投与時間を含む、治療される特定の対象に依存する追加の因子によって、投与量を調節することが必要になる。
式(I)の化合物は、治療される癌の発症前、発症中または発症後に投与され得る。1日用量は、単回投与として与えられ得る。あるいは、式(I)の化合物は、1日に2回以上与えられ、1日に2回与えられてもよい。
一般に、癌を治療、改善または予防するために、式(I)の化合物の0.01μg/kg体重~500mg/kg体重の1日用量を使用してもよい。さらに好ましくは、1日用量は、0.01mg/kg体重~400mg/kg体重、さらに好ましくは0.1mg/kg体重~200mg/kg体重、最も好ましくは約1mg/kg体重~100mg/kg体重である。
治療を受けている患者は、起床時に第1の用量を服用し、次いで、夕方に第2の用量を服用してもよいか(2回の用量レジメンの場合)、またはその後3時間もしくは4時間間隔で服用してもよい。あるいは、徐放装置を使用して、反復用量を投与する必要なく、本発明による阻害剤の最適用量を患者に提供してもよい。
公知の手順、例えば、製薬業界によって従来使用されている手順(例えば、インビボ実験、臨床試験など)を使用して、本発明による阻害剤を含む特定の製剤、および正確な治療レジメン(例えば、阻害剤の1日用量、および投与頻度)を形成してもよい。本発明者らは、式(I)の化合物の使用に基づいて、癌を治療するための医薬組成物を最初に記載したと考えている。
したがって、第4の態様では、対象の癌を治療するための医薬組成物であって、式(I)の化合物、および薬学的に許容されるビヒクル(ここで、式(I)の化合物は以下である):
(式中、Rは、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、L、またはハロゲンであり、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
nは0であり、XはS、OもしくはNRであるか、またはnは1であり、XはCRもしくはNであり、
~Rは、独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、または置換されていてもよいC~C15アルキニルであり、
は、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、またはLであり、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、OR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
およびRは、独立して、H、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、または置換されていてもよいC~C15アルキニルであり、
は、OR、SR、NR、CONR、CN、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NR、OC(O)R、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリルであり、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
は、存在しないか、またはO、SもしくはNRであり、
は、存在しないか、または置換されていてもよいC~C15アルキレン、もしくは置換されていてもよいC~C15アルキリンである)、
またはその薬学的に許容される複合体、塩、溶媒和物、互変異性型もしくは多形体を含む医薬組成物が提供される。
医薬組成物は、癌の対象の治療的改善、予防または治療に使用することができる。
医薬組成物は、癌を治療、改善または予防するための公知の療法をさらに含み得る。
本発明はまた、第5の態様では、第4の態様による組成物を作製するプロセスであって、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される複合体、塩、溶媒和物、互変異性型もしくは多形体の治療有効量、および薬学的に許容されるビヒクルを接触させることを含むプロセスを提供する。
「対象」は、脊椎動物、哺乳動物または家畜であり得る。したがって、本発明による式(I)の化合物、組成物および医薬品は、任意の哺乳動物、例えば、家畜(例えば、ウマ)、ペットを治療するために使用されてもよいか、または他の獣医学的用途で使用されてもよい。ただし、最も好ましくは、対象はヒトである。
式(I)の化合物の「治療有効量」は、対象に投与される際に、癌を治療するのに必要な薬物の量である任意の量である。
例えば、使用される式(I)の化合物の治療有効量は、約0.01mg~約800mg、好ましくは約0.01mg~約500mgであり得る。式(I)の化合物の量は、約0.1mg~約250mg、最も好ましくは約0.1mg~約20mgの量であることが好ましい。
本明細書で言及される「薬学的に許容されるビヒクル」は、医薬組成物の製剤化に有用であることが当業者に知られている任意の公知の化合物または公知の化合物の組合せである。
一実施形態では、薬学的に許容されるビヒクルは固体であり得、組成物は粉末または錠剤の形態であり得る。固体の薬学的に許容されるビヒクルは、香味剤、潤滑剤、可溶化剤、懸濁化剤、染料、充填剤、流動促進剤、圧縮助剤、不活性結合剤、甘味料、保存剤、染料、コーティングまたは錠剤崩壊剤としても作用し得る1つ以上の物質を含み得る。ビヒクルはまた、カプセル化材料であってもよい。粉末では、ビヒクルは、本発明による微粉化された活性剤(すなわち、阻害剤)と混合された微粉化された固体である。錠剤では、阻害剤は、必要な圧縮特性を有するビヒクルと好適な割合で混合され、所望の形状およびサイズに圧縮され得る。粉末および錠剤は、好ましくは最大99%の阻害剤を含有する。好適な固体ビヒクルには、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、ポリビニルピロリジン、低融点ワックスおよびイオン交換樹脂が含まれる。別の実施形態では、医薬ビヒクルはゲルであり得、組成物はクリームなどの形態であり得る。
ただし、医薬ビヒクルは液体であってよく、医薬組成物は溶液の形態である。液体ビヒクルは、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エリキシルおよび加圧組成物の調製に使用される。式(I)の化合物は、薬学的に許容される液体ビヒクル、例えば、水、有機溶媒、両方の混合物、または薬学的に許容される油もしくは脂肪に溶解または懸濁され得る。液体ビヒクルは、他の好適な医薬添加剤、例えば、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、甘味料、香味剤、懸濁化剤、増粘剤、着色剤、粘度調整剤、安定剤または浸透圧調整剤を含有することができる。経口投与および非経口投与のための液体ビヒクルの好適な例には、水(上記のような添加剤、例えば、セルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を部分的に含有する)、アルコール(一価アルコールおよび多価アルコール、例えば、グリコールを含む)およびそれらの誘導体、ならびに油(例えば、分画されたヤシ油および落花生油)が挙げられる。非経口投与の場合、ビヒクルは、油性エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルであってもよい。非経口投与のための滅菌液体形態の組成物では、滅菌液体ビヒクルが有用である。加圧組成物用の液体ビヒクルは、ハロゲン化炭化水素または他の薬学的に許容される噴射剤であり得る。
滅菌溶液または懸濁液である液体医薬組成物は、例えば、筋肉内注射、髄腔内注射、硬膜外注射、腹腔内注射、静脈内注射および特に皮下注射によって利用され得る。式(I)の化合物は、滅菌水、生理食塩水または他の適切な滅菌注射用媒体を使用して、投与時に溶解または懸濁され得る滅菌固体組成物として調製され得る。
式(I)の化合物、および本発明の組成物は、他の溶質または懸濁化剤(例えば、溶液を等張性にするのに十分な生理食塩水またはグルコース)、胆汁酸塩、アカシア、ゼラチン、ソルビタンモノオレート、ポリソルベート80(ソルビトール、およびエチレンオキシドと共重合されたその無水物のオレイン酸エステル)などを含有する滅菌溶液または懸濁液の形態で投与され得る。本発明に従って使用される式(I)の化合物は、液体または固体の組成物形態のいずれかで経口投与することもできる。経口投与に適した組成物には、固体形態、例えば、丸剤、カプセル、顆粒、錠剤および粉末、ならびに液体形態、例えば、溶液、シロップ、エリキシルおよび懸濁液が含まれる。非経口投与に有用な形態には、滅菌溶液、エマルジョンおよび懸濁液が含まれる。
本発明者らは、新規化合物自体を同定したと考えている。
したがって、第6の態様によれば、式(I)の化合物:
(式中、Rは、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、L、またはハロゲンであり、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
nは0であり、XはS、OもしくはNRであるか、またはnは1であり、XはCRもしくはNであり、
~Rは、独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、または置換されていてもよいC~C15アルキニルであり、
は、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、またはLであり、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、OR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
およびRは、独立して、H、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、または置換されていてもよいC~C15アルキニルであり、
は、OR、SR、NR、CONR、CN、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NR、OC(O)R、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリルであり、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
は、存在しないか、またはO、SもしくはNRであり、
は、存在しないか、または置換されていてもよいC~C15アルキレン、もしくは置換されていてもよいC~C15アルキリンである)、
またはその薬学的に許容される複合体、塩、溶媒和物、互変異性型もしくは多形体が提供され、
ここで、式(100)、(113)~(122)および(200)の化合物は除外される:
第6の態様の化合物は、第1および第2の態様に関して定義される通りであり得る。
本明細書に記載のすべての特徴(添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)、および/またはそのように開示された任意の方法もしくはプロセスの工程のすべては、そのような特徴および/または工程の少なくともいくつかが相互に排他的である組合せを除いて、任意の組合せで上記の態様のいずれかと組み合わされ得る。
本発明をさらによく理解するために、および本発明の実施形態がどのように実施され得るかを示すために、ここで、例として、添付の図面を参照する。
HTRFスクリーニングおよびインビトロキナーゼアッセイによって評価された上位38の化合物のIC50値と、FDCP1/FDCP1-LMTK3細胞ベースのモデルにおけるそれらのEC50値とを要約する表である。 wt LMTK3-KDに対するC28のIC50値が、0.5μM~50nMまでの開始用量で、インビトロキナーゼアッセイ(二連で行った)によってどのように決定されたかを示す。 漸増濃度(1.25、2.5、5および10μM)のC28を用いて処理した親FDCP1細胞および形質転換FDCP1-LMTK3細胞の増殖阻害を示すグラフである。エラーバーはいずれも、3つの独立した実験からの平均±標準偏差(SD)を表す。 リガンド結合時のタンパク質の熱力学的安定性の増加を示す、(A)示差走査蛍光定量法(DSF)および(B)円二色性(CD)分光法によってモニタリングした際のLMTK3(黒色)およびLMTK3/C28複合体(赤色)の特徴的な熱変性曲線を示すグラフを示す。DSFからの見かけのT値は、ボルツマンシグモイドをCDデータに当てはめることによって、温度に関する蛍光の一次導関数の最大値、または遷移領域の中間点から決定した。実験は三連で行った。 10μMのC28阻害剤の非存在下または存在下で2μCi[γ-32]ATPの濃度を使用した、LMTK3によるHSP27リン酸化の動態分析を示すグラフである。Prism 8を使用して、ミカエリス・メンテン式へのHSP27濃度の関数としての初期反応速度の非線形回帰フィットから動態パラメーターを決定した。 10μMのC28阻害剤の非存在下または存在下での0.6μMのHSP27基質に関するATP濃度の関数としての動態分析を示すグラフである。Prism 8を使用して、ミカエリス・メンテン式へのATP濃度の関数としての初期反応速度の非線形回帰フィットから動態パラメーターを決定した。 1μM濃度の140個のキナーゼに対するC28の選択性プロファイルを調査するための放射性フィルター結合アッセイの結果を示す。データは、標準偏差とともにアッセイ複製物の残存活性%として表示されている。活性の>50%の低下を示すキナーゼのみが示されている。上位ヒットの相対IC50値も表示されている。スクリーニングは、MRC International Centre for Kinase Profiling unit(http://www.kinase-screen.mrc.ac.uk/services/premier-screen)によって行った。 C28(5μM)と相互作用するキナーゼを赤い円として表した、カイノーム系統発生的グループ分け(kinome phylogenetic grouping)を表しているツリースポット相互作用マップ(treespot interaction map)(http://treespot.discoverx.com/)を示す。赤い円の直径が大きいほど、それぞれのキナーゼに対するC28結合親和性が高い。 結合がC28によって陰性対照(DMSO)の10%未満に阻害されたキナーゼの一覧を示す。比較的低い数字は比較的強いヒットを示し、これらのキナーゼがC28に結合する最も可能性の高いヒットを表すことを示唆する。(強調されているのは、放射性フィルター結合アッセイおよび部位特異的競合結合アッセイの両方で同定された重複するキナーゼである)。 様々な時点での漸増濃度のC28による処理後のMCF7細胞株、T47D細胞株およびMDA-MB-231細胞株におけるLMTK3およびERαのタンパク質レベルのウエスタンブロッティング分析を示す。 MDA-MB-231細胞におけるLMTK3タンパク質半減期に対するC28の影響を示す。様々な時点で、100μg/mlのシクロヘキサミド(CHX)および10μMのC28(またはDMSO)を用いて細胞を処理した。相対LMTK3タンパク質レベル(-/+C28)を計算し、CHXによる処理の時間に対してプロットした。 MCF7細胞、T47D細胞およびMDA-MB-231細胞におけるLMTK3分解に対するC28の影響を示す。細胞を10μMのMG132プロテアソーム阻害剤(またはDMSO)を用いて4時間、次いで、10μMのC28(またはDMSO)を用いて24時間処理し、続いて、LMTK3タンパク質レベルのウエスタンブロッティング分析を行った。 MCF7細胞におけるLMTK3のポリユビキチン化に対するC28(10μM;24時間)の影響を示す。それぞれのインプットは図11に示されている。 10μMのC28を用いて24時間処理した後のMCF7細胞株、T47D細胞株およびMDA-MB-231細胞株におけるHSP27の総レベルおよびホスホ-タンパク質レベルのウエスタンブロットを示す。細胞を25μg/mlのアニソマイシンを用いて1時間処理して、HSP27のリン酸化を誘導した。 様々な時点での10μMのC28による処理後のMCF7細胞株、T47D細胞株およびMDA-MB-231細胞株における様々なキナーゼのタンパク質レベルのウエスタンブロットを示す。 漸増濃度(0、1.25、2.5、5および10μM)のC28を用いて72時間処理した後の正常細胞株および乳癌細胞株の増殖を示すグラフである。IC50値は、3つの独立した実験の平均である。 腫瘍細胞株のNCI-60パネルに対するC28(10μM;24時間)の単回用量スクリーニングの結果を示す。C28処理細胞の増殖%が示されている。負の値(<0%)は致死率を表す。 雄BALB/cマウス(n=4/時点)における単回IV用量投与、単回IP用量投与または単回PO用量投与後のC28の薬物動態パラメーターを示す表である。Tmax:時間ピーク血漿濃度;Cmax:最大血漿濃度;AUC0→t min:最後に測定した濃度の時間に対する血漿中濃度-時間曲線下面積;AUC0→∞:無限大に外挿した血漿中濃度-時間曲線下面積;T1/2:血漿中半減期;Kel:消失速度定数;V:分布容積;F:経口バイオアベイラビリティ。*:1mg/kg IV群に基づく。**:5mg/kg IV群に基づく。5mg/kgのIV用量は一部のマウスにとって致死的であったため、化合物の用量を1mg/kgに減少させた。C28の経口バイオアベイラビリティ当たりの計算値は130%であった(1mg/kg IV群からの完全なデータセットに基づく)。特定の化合物およびPK条件で100%を超えるF%を観察する可能性のある理由には、IV用量およびPO用量が等しくない場合の「非線形PK」(代謝飽和)、ならびに腸肝再循環が含まれる。第1の可能性は、5mg/kg群からの不完全なデータセットに基づく計算が経口バイオアベイラビリティについてさらに現実的な54%の数を与えるため、そうであると思われる。 MMTV-Neuトランスジェニックマウスのビヒクル処置群およびC28処置群(それぞれn=6)における結果を示す腫瘍増殖チャートである。Prism 8ソフトウェアを使用して、対応のないt検定を行った。結果を平均±SEMとして表す。*P<0.05。 MDA-MB-231マウス異種移植のビヒクル処置群およびC28処置群(それぞれn=14)における結果を示す腫瘍増殖チャートである。 21日目のMDA-MB-231-ルシフェラーゼマウス異種移植群のビヒクル(n=6)処置群とC28処置群(10mg/kg/n=6および30mg/kg/n=5)とを比較する箱ひげ図である。Prism 8ソフトウェアを使用して、対応のないt検定を行った。結果を平均±SEMとして表す。*P<0.05。 G0/G1期、S期およびG2/M期の細胞の割合を示す。結果を平均±SEMとして表す。実験は2回行った。 計数された細胞の総数に対する有糸***細胞の割合としての有糸***指数を示す。実験は2回行った。Prism 8ソフトウェアを使用して、ANOVA統計検定を行った。結果を平均±SEMとして表す。*P<0.05、**P<0.01。 漸増濃度のC28を用いて48時間処理した後のMCF7細胞株、T47D細胞株、MDA-MB-231細胞株、MCF12A細胞株におけるホスホ-ヒストンH3(Ser10)有糸***マーカーのウエスタンブロッティング分析を示す。GADPHをローディングコントロールとして使用した。 MCF7細胞株、T47D細胞株、MDA-MB-231細胞株およびMCF12A細胞株を漸増濃度(0、1、5、10μM)のC28を用いて72時間処理し、アポトーシス細胞および死細胞の割合をAnnexin-Vおよび7-AAD染色によって分析した。結果を平均±SEMとして表す。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001。各実験は少なくとも3回行った。 漸増濃度のC28を用いて72時間処理した後のMCF7細胞株、T47D細胞株、MDA-MB-231細胞株、MCF12A細胞株における抗アポトーシスタンパク質および切断PARPレベルのウエスタンブロッティング分析を示す。GADPHをローディングコントロールとして使用した。 10μMのC28を用いて48時間処理した間期MDA-MB-231細胞(左パネル)および有糸***期MDA-MB-231細胞(右パネル)の代表的な共焦点顕微鏡画像を示す。細胞を固定し、α-チューブリン抗体(緑色)によって染色し、核DNAをDAPI(青色)によって染色した。コルヒチン(50nM)またはパクリタキセル(50nM)をそれぞれ陽性対照または陰性対照とした。スケールバー、20μm。矢印は、間期細胞における無秩序な微小管分布を示す。 MCF7細胞株、T47D細胞株およびMDA-MB-231細胞株を漸増濃度(0、1、5、10および20μM)のC28を用いて48時間処理した。細胞を遠心分離して不溶性(重合)チューブリンおよび可溶性(非重合)チューブリンを分離し、画分をウエスタンブロッティングによって分析した。コルヒチン(50nM)またはパクリタキセル(50nM)をそれぞれ陽性対照または陰性対照とした。 漸増濃度(0、1、5、10および20μM)のC28とのインキュベーション後のウシ精製チューブリンのインビトロ重合。ノコダゾール(10μM)またはパクリタキセル(10μM)をそれぞれ陽性対照または陰性対照とした。光学密度(OD)を350nmで測定した。 漸増濃度(0、1、5および10μM)のC28を用いて48時間処理した後のMCF7細胞株、T47D細胞株およびMDA-MB-231細胞株におけるNUSAP1のウエスタンブロッティング分析を示す。GADPHをローディングコントロールとして使用した。 LMTK3のノックダウン(siRNA)後のMCF7細胞株、T47D細胞株およびMDA-MB-231細胞株におけるNUSAP1のウエスタンブロッティングを示す。GADPHをローディングコントロールとして使用した。 10μM C28による前処理後のMCF7細胞株、T47D細胞株およびMDA-MB-231細胞株におけるNUSAP1タンパク質レベルに対する、pCMV6-LMTK3プラスミドを使用したLMTK3過剰発現の影響を示すウエスタンブロッティングを示す。GADPHをローディングコントロールとして使用した。 10μM C28による前処理後のMCF7細胞株、T47D細胞株およびMDA-MB-231細胞株における不溶性(重合)チューブリンレベルおよび可溶性(非重合)チューブリンレベルに対する、pCMV6-LMTK3プラスミドを使用したLMTK3過剰発現の影響を示すウエスタンブロッティング分析を示す。 LMTK3(C28)阻害剤の作用機序を示す概略モデルである。C28 ATP競合阻害剤は、LMTK3に選択的に結合し、そのプロテアソーム媒介分解を促進する。LMTK3のダウンレギュレーションは、NUSAP1タンパク質レベルの低下をもたらし、チューブリン解重合と微小管構築の破壊とをもたらす。その結果、癌細胞はG2/M期で最初に停止し、その後死亡する。 1がDMSOを示し、2がC28を示し、3が337-1を示し、3が344-5を示し、5が369-3を示す、インビトロキナーゼアッセイの結果を示す。(A)500nMおよび(B)1μMの濃度で化合物を提供した。 1がDMSOを示し、2がC28を示し、3が337-1を示し、3が344-5を示し、5が369-3を示す、インビトロキナーゼアッセイの結果を示す。(A)500nMおよび(B)1μMの濃度で化合物を提供した。 様々な時点でC28およびその誘導体を用いて処理した後のMCF7細胞株、T47D細胞株およびMDA-MB-231細胞株におけるLMTK3タンパク質レベルおよびERαタンパク質レベルのウエスタンブロッティング分析を示す。 様々な濃度のC28および344-4を用いて24時間処理した後のMDA-MB-231細胞株におけるLMTK3タンパク質レベルのウエスタンブロッティング分析を示す。
Lemurチロシンキナーゼ3(LMTK3)の結晶構造が解明され、それが活性プロテインキナーゼのあらゆる特徴を有することが決定された。特に、K/E/D/Dシグネチャーモチーフは、重要な構造的および触媒的役割を果たし、β3鎖の残基Lys193、αCヘリックスの中心のGlu210、触媒ループのAsp295、および活性化セグメントの最初の残基であるAsp313を含む。本発明者らの結晶化実験では、このような試験では一般的である不活性な立体配座でLMTK3を安定化させたが、それらの生化学的アッセイでは、LMTK3の触媒活性を明確に検出することができた。
LMTK3では、活性化セグメントDFGモチーフは代わりにDYG(残基313~315)である。DYGモチーフは、一般的ではないが、パーキンソン病および非定型プロテインキナーゼC(aPKC)に関連するロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2)では報告されている。不活性な「D313-out」状態では、Tyr314は、ゲートキーパー残基Met239を過ぎて指し示す「in」立体配座にあり、結合ATPのアデニン環と重複する空間領域を占める。本発明者らは、不活性な「DFG-out」立体配座を標的とするキナーゼ阻害剤(II型阻害剤)の設計が、細胞活性に対する大きな影響に加えて、活性状態を標的とするI型キナーゼ阻害剤よりも高い選択性の可能性をもたらすことを認識した。
[実施例1]-ハイスループット均一時間分解蛍光(HTRF)スクリーニングにより、LMTK3を標的とする新規ATP競合阻害剤が同定される
方法
組換えLMTK3タンパク質産生
InFusion(商標)技術を使用して、LMTK3のwtキナーゼドメイン(aa 134~aa 444)をC末端8xヒスチジンタグを付与するpOPINEneoにクローニングした(Berrow NS,et al.(2007)A versatile ligation-independent cloning method suitable for high-throughput expression screening applications.Nucleic acids research 35(6):e45)。このプラスミドを、Fugene HD(Promega、カタログ番号E2311)(Berrow NS,et al.)を使用して、線状化したオートグラファ・カリフォニカ(Autographa califonica)バキュロウイルスバクミドとともに、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(Sf9)細胞に同時トランスフェクトした(Zhao Y,Chapman DA,&Jones IM(2003)Improving baculovirus recombination.Nucleic acids research 31(2):E6-6)。要約すると、0.5mlのSf9細胞を5×10細胞/mlで24ウェルプレートに播種し、付着させた。次いで、50μlのSF900III培地(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号12658001)中、2.5μlの線状化したバクミドを100~500ngのプラスミドDNAと混合することによって、トランスフェクションカクテルを作製した。これに、1.5μlのFugene HDを加え、混合し、カクテルを室温で30分間インキュベートした。次いで、24ウェルプレート内の付着したSf9細胞に、トランスフェクションカクテルを加えた。プレートを27℃で7日間インキュベートした後、P0ウイルスを含有する上清を回収した。このウイルスを、懸濁液中の50mlの細胞を1×10細胞/mlで100μlのウイルスに感染させることによって増幅した。細胞を120rpmで振盪しながら27℃で7日間インキュベートした。P1ウイルスを回収し、使用前に濾過滅菌した。1×10細胞/mlで2.5LのSf9細胞を2.5mlのP1ウイルスに感染させ、120rpmで振盪しながら27℃で3日間インキュベートした。細胞を遠心分離によって回収し、精製前に凍結した。
2.5LのSf9培養物から得られたペレットを解凍し、5μlの250U/μlのBenzonaseヌクレアーゼヌクレアーゼ(Sigma-Aldrich、カタログ番号9025-65-4)と50μlのプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma-Aldrich、カタログ番号P8849)とを含有する約100mlの溶解緩衝剤(50mM Tris pH7.5、500mM NaCl、30mMイミダゾール、0.2%Tween 20)に再懸濁した。35kPsiでBasic Z細胞粉砕器を通過させることによって細胞を破壊した後、4℃で30分間30,000gで遠心分離することによって細胞残屑を除去した。清澄化後、細胞溶解物を0.2μmフィルターを通して濾過し、その後、1mlのHisTrap FFカラム(GE Healthcare、カタログ番号11-0004-58)に適用した。50mM Tris pH7.5、500mM NaCl、30mMイミダゾールを用いて洗浄した後、タンパク質を50mM Tris pH7.5、500mM NaCl、500mMイミダゾールに溶出し、その後、20mM Tris pH7.5、200mM NaCl中で平衡化したHiLoad 16/60 Superdex 200カラム(GE Healthcare、カタログ番号8-9893-35)に自動的に適用した。全精製工程を4℃で行った。wt LMTK3キナーゼドメイン(wt LMTK3-KD)を含有する画分をSDS-PAGEによって分析した後、合わせ、濃縮した。感染Sf9細胞1リットル当たり平均1mgの精製タンパク質(SDS-PAGEにより純度>95%)を得ることができた。タンパク質の同一性は、インタクトタンパク質質量分析によって確認した(測定質量=36806.44Da;1×アセチル化による予測質量=36805.13Da)(Nettleship JE,Brown J,Groves MR,&Geerlof A(2008)Methods for protein characterization by mass spectrometry,thermal shift(ThermoFluor)assay,and multiangle or static light scattering.Methods Mol Biol 426:299-318)。GFPタンパク質(陰性対照)、ならびに以下の変異K193A、D295AおよびD313Aを含む変異体(キナーゼ死;mut LMTK3-KD)組換えLMTK3タンパク質(aa 134~aa 444)を生成するために、同様のプロトコルを使用した。
均一時間分解蛍光(HTRF)化学化合物スクリーニング
製造者の指示に従って、HTRF KinEASEキット(Cisbio Bioassays、カタログ番号62ST1PEB)からのSTK Substrate 1(S1)ビオチン基質を使用して、LMTK3のペプチドリン酸化活性を測定した。分析工程および最適化工程に続いて、3μM ATPと、50nM STK-S1ビオチンと、25ng/ウェルのLMTK3組換えキナーゼドメイン(wt LMTK3-KD)とを含有する10μlのアッセイ体積で、低体積の黒色384ウェルプレート(Corning Life Sciences,MA)においてスクリーニングアッセイを行った。37℃で2時間インキュベートした後、検出試薬ストレプトアビジン-XL665と、Eu3+-クリプテートを用いて標識したSTK抗体とを含有する緩衝EDTAを用いて反応を停止させた。665/620nmでの蛍光比として計算した、得られたTR-FRETシグナルをEnvisionを用いて読み取ったところ、このシグナルは、ペプチドのリン酸化レベルに比例した。wt LMTK3-KDに対してスクリーニングした、キナーゼ阻害剤に偏向した化合物28,716個のライブラリーを最初に単一濃度(20μM)で試験し、STK-S1ペプチドのリン酸化の阻害%を決定した。>50%の平均阻害を示す上位868個の化合物のさらなるヒット確認を行った(20μM、二連)。最後に、上位160個の阻害剤(>50%阻害)の効力およびLC-MS純度分析を行い(10の異なる濃度、二連)、IC50値を計算した。Lipinskiのルールオブファイブ特性(175<MW<=500、AlogP<=5、ACC<=10、Don<=5、TPSA<=140)を考慮して、スクリーニングに使用した28,716個の化合物をいずれも選択した。
結果
最初に、本発明者らは、読出しとして均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイを使用して基質リン酸化を検出するために、28,716個の化合物を包含するライブラリーをスクリーニングした。試験した化合物の約15%が20μMの濃度で>50%の阻害を示した。次いで、本発明者らは、それらの効力、物理化学的および構造的特性に基づいてヒットをn=160に絞り、好ましい範囲のIC50値(24nM~16μM)を与える10点濃度反応プロファイリングを行った。最終的に、160個の最も活性な化合物(IC50:24nM~2.6μM;図1を参照)のうち38個をインビトロでの追跡、および細胞ベースの有効性試験のために選択した。
用量依存性インビトロ32P γ-ATP放射性標識キナーゼアッセイにより、試験した化合物の阻害効果の変動性が明らかになり、それらのいくつかは、LMTK3によるHSP27のリン酸化によって測定されるように、低濃度(<1μM)でさらに高い効率を示した(図1および図2を参照)。次いで、本発明者らは、IL-3依存性マウス骨髄由来細胞株FDCP1を使用し(Cleland WW(1977)Determining the chemical mechanisms of enzyme-catalyzed reactions by kinetic studies.Adv Enzymol Relat Areas Mol Biol 45:273-387)、その生存および増殖について触媒活性LMTK3の構成的発現に依存するLMTK3形質転換クローン(FDCP1-LMTK3)を操作した。本発明者らは、この細胞ベースのモデルを使用して、選択された阻害剤の機能的応答および効力を評価し、FDCP1-親細胞株およびFDCP1-LMTK3細胞株の生存率をモニタリングすることによって、それらの有効濃度(EC50)値を決定した(図1および図3を参照)。
本発明者らは、図1に要約された結果をいずれも考慮し、上位ヒット化合物の新規性および物理化学的特性/類似性を考慮して、以下の構造を有する化合物C28、すなわち、3,6-二置換イミダゾ[1,2-b]ピリダジンに注目した:
有望な結果を示す他の化合物は、以下の構造を有していた:
[実施例2]-化合物C28のさらなる分析
材料および方法
NMR使用のための重水素化溶媒を含む溶媒を購入時に使用した。NMRスペクトルをVarianNMR 600(1H 600 MHz;13C {1H} 151 MHz)を用いて記録した。化学シフトをppm単位で報告する。スペクトルは、対応するプロトン性溶媒(1H)、または溶媒のシグナル(13C)を基準とする。市販のガラス製シリカゲルプレート(60Å、F254)を使用する薄層クロマトグラフィー(TLC)によって、反応の進行をモニタリングした。移動相は、通常、溶媒混合物であり、可視化はUV光を使用して行った。クロマトグラフィー精製は、ISCO Combi Flash RF 75、または150 PSI精製ユニット、ゲルカラムを用いて行った。5μm C18 110Åカラムを使用して、LC-MS純度分析を行った。0.1%ギ酸(5%で5分、20分かけて5~95%、95%で5分)を含む水/アセトニトリルで30分法を使用し、UVを254nmに設定して、純度%分析を行った。University of Sussexで高分解能質量分析(HRMS)を行った。
C28の合成
6-クロロ-3-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン(C28-Int)の調製
3-ブロモ-6-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(2.00g、8.60mmol)、リン酸カリウム(5.48g、25.80mmol)、3-(トリフルオロメトキシ)フェニルボロン酸(1.86g、9.30mmol)、水(0.77mL、43.00mmol)および無水1,4-ジオキサン(30mL)の混合物をアルゴン下で30分間脱気した。混合物に、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)を加えた。CH2Cl2(352mg、0.43mmol)および得られた混合物をアルゴン雰囲気下で16時間かけて60℃に加熱した。得られた混合物を周囲温度に冷却し、Celite(登録商標)を通して濾過し、減圧下で濃縮して、暗橙色ゴム(3.6g)を得た。得られた残渣を自動フラッシュカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル、100:0~0:100、100g SiO)によって精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、6-クロロ-3-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジンを淡黄色固体として得た(2.32g、86%)。LCMS(UV、ESI)Rt=20.37分、[M-H]+m/z=313.9、純度96%。1H NMR(600 MHz,d6-DMSO):δ=8.46(1H,s),8.34(1H,d,J=9.4 Hz),8.17(1H,s),8.15(1H,d,J=8.0 Hz),7.69(1H,m),7.48(1H,d,J=9.5 Hz),7.42(1H,d,J=8.3 Hz).
6-(ピリジン-4-イル)-3-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン(C28)の調製
6-クロロ-3-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン(980mg、3.13mmol)、4-ピリジニルボロン酸(578mg、4.70mmol)、炭酸セシウム(3.06g、9.39mmol)、無水1,4-ジオキサン(15mL)および水(5mL)の混合物をアルゴン下で30分間脱気した。混合物に、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)を加えた。CH2Cl2(128mg、0.157mmol)および得られた混合物をマイクロ波照射下で1時間かけて150℃に加熱した。得られた混合物に、酢酸エチル(20mL)および水(20mL)を加えた。得られた二相混合物を分離し、水相を酢酸エチル(3×20mL)を用いて抽出した。合わせた有機抽出物に、2M HCl水溶液(10mL)を加え、得られた混合物を分離した。得られた有機相を2M HCl水溶液(10mL)を用いて抽出した。飽和NaHCO水溶液をゆっくりと加えることによって、合わせた水性抽出物を塩基性化した。混合物に酢酸エチル(25mL)を加え、得られた二相混合物を分離した。水相を酢酸エチル(2×25mL)を用いて抽出し、合わせた有機抽出物をブライン(50mL)を用いて洗浄し、無水MgSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、暗黄色固体(1.3g)を得た。得られた残渣を自動カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール、100:0~75:25、45g SiO2)、続いて逆相クロマトグラフィー(水(+0.1%ギ酸)/アセトニトリル(+0.1%ギ酸)、95:5~5:95、30g C18)によって精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、6-(ピリジン-4-イル)-3-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン(C28)を明黄色固体として得た(910mg、82%)。LCMS(UV、ESI)Rt=14.46分、[M-H]+m/z=356.9、純度100%。1H NMR(600 MHz,d6-DMSO):δ=8.81(2H,d,J=5.7 Hz),8.50(1H,s),8.43(1H,d,J=9.5 Hz),8.36(1H,s),8.25(1H,s),8.11-8.08(2H,m),8.03(1H,d,J=9.5 Hz),7.71(1H,m),7.42(1H,m).13C NMR(151 MHz,d6-DMSO):δ=150.6,149.2,148.7,142.3,139.9,135.0,130.9,130.4,126.9,125.2,121.0,120.2,118.2,116.1(one carbon not observed).HRMS(ESI-[+H])m/z:Calcd for C1812O 357.0958;Found 357.0953.
示差走査蛍光定量法
Roche Light Cycler 96 RT-PCR装置を使用して、励起波長および発光波長をそれぞれ533および572nmに設定して、示差走査蛍光定量法を行った。200mM Tris緩衝剤(pH8.0)、200mM NaClおよび4μlの50×SYPROオレンジ(Sigma)中16μlの5.4μM LMTK3と、0.2μlのDMSO、またはC28のDMSO溶液のいずれか(10μM C28、1%v/v DMSO、4.3μM LMTK3および10×SYPROオレンジの最終濃度)とを含む溶液。温度範囲は、1℃/分の走査速度で25から80℃に及んだ。融解曲線分析を使用してLightCycler 96(v1.1)ソフトウェアでデータ分析を行い、Tm値を温度に対する蛍光の負の一次導関数として決定した。
円二色性分光法
Jasco J装置を使用して、円二色性分光法を行った。温度を1℃/分の増分で20℃から90℃に上昇させ、230nmの波長をモニタリングすることによって0.2℃ごとにデータ点を取得した。熱安定性実験のために、DMSO 0.4%(v/v)、または8.3μM C28のDMSO溶液(0.4%)のいずれかを用いて、0.1cmのクルベット(curvets)で120μlの総体積まで、200mM Tris緩衝剤(pH8.0)、200mM NaCl中5.4μMのLMTK3試料を処理した。遷移領域のデータをボルツマンシグモイドに当てはめることによって、GraphPad Prism(v7.0)でデータ分析を行った。遷移が50%完了した時点として、見かけのTm値を決定した。
結果
本発明者らは、示差走査蛍光定量法(DSF)および円二色性(CD)分光法を使用してLMTK3およびLMTK3/C28複合体の熱変性をモニタリングすることによって、C28がLMTK3に結合する能力を評価した。図4に示すように、両方法により、リガンド結合に特徴的な、C28の存在下でのLMTK3の熱安定性の増加が明らかにされた。DSF(50.4→53.0℃;P=0.001)を使用して2.6℃で、およびCD(51.1→54.2℃;P=0.002)を使用して3.1℃で、C28結合時のLMTK3のT値の増加を決定した。熱融解曲線では単一の遷移のみが観察され、熱アンフォールディングはタンパク質凝集のために不可逆的であった。
C28の作用機序を研究するために、本発明者らは、一定量のATPの存在下での化合物の阻害活性に対するHSP27の基質濃度の増加の影響を調査した。本発明者らの結果により、阻害剤は、K値に影響を及ぼさないが(非存在下で0.239μM対C28の存在下で0.249μM)、C28の存在下で顕著に低いVmax(108.6μmol/分対41.44μmol/分)をもたらすことが明らかにされた(図5を参照)。漸増濃度のHSP27でも変化しないK値は、阻害が基質非依存性であることを示す。
本発明者らは、次に、一定の基質(HSP27)濃度(0.6μM)での漸増濃度のATPの影響を調査した。図6に示すように、C28の存在下で、定常状態分析から得られたデータをミカエリス・メンテン式(Cleland WW(1977)Determining the chemical mechanisms of enzyme-catalyzed reactions by kinetic studies.Adv Enzymol Relat Areas Mol Biol 45:273-387)に当てはめたところ、本発明者らは、0.0053μMから0.038μMへの見かけのK値の顕著な増加を観察し、C28が競合阻害剤であることが示された。
要約すると、本発明者らは、LMTK3に対する新規ATP競合阻害剤の証拠を提供する。
[実施例3]-C28は、LMTK3のプロテアソーム媒介分解を促進する高度に選択的なLMTK3阻害剤である
材料および方法
細胞株
MCF7細胞株、T47D細胞株およびMDA-MB-231細胞株は、ATCCから購入した。10%FBS(Sigma Aldrich、カタログ番号F7524-500ML)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma-Aldrich、カタログ番号P0781-100ML)を補充した低グルコースDMEM(Sigma Aldrich、カタログ番号D6046-500ML)中で、MCF7細胞およびMDA-MB-231細胞を維持した。10%FBS(Sigma Aldrich、カタログ番号F7524-500ML)および1%L-グルタミン/ペニシリン/ストレプトマイシン溶液(Sigma-Aldrich、カタログ番号G1146-100ML)を補充したRPMI-1640培地(Sigma Aldrich、カタログ番号R5886-500 ML)中で、T47D細胞を維持した。LMTK3を安定に過剰発現するMCF7/LMTK3細胞株は、以前に記載されている(Jacob J,et al.(2016)LMTK3 escapes tumour suppressor miRNAs via sequestration of DDX5.Cancer Lett 372(1):137-146)。細胞はいずれも、37℃、5%COでインキュベートした。
プロテインキナーゼアッセイ
32P γ-ATPインビトロキナーゼアッセイを、以前に記載されたように組織内で行った(Perkin Elmer、カタログ番号BLU002A500U、UK)(Giamas G,et al.(2009)CK1delta modulates the transcriptional activity of ERalpha via AIB1 in an estrogen-dependent manner and regulates ERalpha-AIB1 interactions.Nucleic acids research 37(9):3110-3123、およびGiamas G,et al.(2007)Phosphorylation of CK1delta:identification of Ser370 as the major phosphorylation site targeted by PKA in vitro and in vivo.Biochem J 406(3):389-398)。MRC International Centre for Kinase Profiling Unit(http://www.kinase-screen.mrc.ac.uk/services/premier-screen)で、140個のプロテインキナーゼのパネルに対するC28の選択性「premierスクリーニング」を行った。
キナーゼ阻害剤競合結合アッセイ
456個のキナーゼのパネルに対するDiscoveRx KINOMEscan競合結合アッセイを使用して(www.discoverx.com)、5μMでのC28キナーゼ阻害剤の選択性プロファイリングを分析した。
ウエスタンブロッティング
新鮮なプロテアーゼ阻害剤およびホスファターゼ阻害剤(Roche Diagnostics GmbH、カタログ番号11697498001およびカタログ番号4906845001)を含むRIPA緩衝剤(Sigma Aldrich、カタログ番号R0278-50ML)を使用してタンパク質溶解物を抽出し、標準的なウエスタンブロッティングプロトコルを以前に記載されたように行った(Giamas G,et al.(2007)Phosphorylation of CK1delta:identification of Ser370 as the major phosphorylation site targeted by PKA in vitro and in vivo.Biochem J 406(3):389-398)。要約すると、Pierce BCAタンパク質アッセイキット(ThermoFisher Scientific、カタログ番号23227)を使用して溶解物のタンパク質濃度を決定し、SDS/PAGEゲル(GenScript、カタログ番号M42012およびカタログ番号M00653)を用いて30/50μgのタンパク質抽出物を分離した。次いで、iBlot 2ドライブロッティングシステム(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号IB21001)を使用して、ニトロセルロースブロッティング膜(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号IB23001)にタンパク質を転写した。膜を、0.1%(v/v)Tween 20と5%(w/v)無脂肪乳または5%(w/v)BSA(VWR Life Science、カタログ番号421501J)とを含有するTBS中で1時間ブロッキングした後、一次抗体と4℃で一晩インキュベートした。HRPコンジュゲート二次抗ウサギ(1:5000、Cell Signaling、カタログ番号7074P2)抗体または抗マウス(1:5000、Cell Signaling、カタログ番号7076P2)抗体を使用した。SuperSignal West Pico PLUS Chemiluminescent Substrate(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号34577)を使用して化学発光検出を行った。UVP ChemStudio Imaging Systems(Analityk jena)を使用して発光を捕捉した。
結果
C28の選択性のさらに詳細なプロファイルを決定するために、本発明者らは、記載されるように33Pγ-ATPを使用して(Bain J,et al.(2007)The selectivity of protein kinase inhibitors:a further update.Biochem J 408(3):297-315、およびHastie CJ,McLauchlan HJ,&Cohen P(2006)Assay of protein kinases using radiolabeled ATP:a protocol.Nature protocols 1(2):968-971)放射性フィルター結合アッセイを行うことによって、一連の140個のキナーゼに対してC28をスクリーニングした(http://www.kinase-screen.mrc.ac.uk/services/premier-screen)。興味深いことに、本発明者らは、1μM C28の存在下で活性が>50%低下した18/140個のキナーゼのみを同定し、そのうち4個(CLK:5nM;DYRK1α:6nM;HIPK2:48nMおよびIRAK4:41nM)のみがLMTK3のIC50値(67nM)と同様に低いIC50値を有していた(図7)。
続いて、C28の特異性をさらに調査するために、本発明者らは、活性部位特異的競合結合アッセイ(DiscoveRx KINOMEscan)を使用し、C28と403個の精製ヒトキナーゼとの間の相互作用を定量的に測定した(Fabian MA,et al.(2005)A small molecule-kinase interaction map for clinical kinase inhibitors.Nat Biotechnol 23(3):329-336、およびKaraman MW,et al.(2008)A quantitative analysis of kinase inhibitor selectivity.Nat Biotechnol 26(1):127-132)(図8)。C28のS(35)選択性指数は、この濃度で対照の35%未満で阻害されたカイノームの割合によって測定した場合、0.186であった(S[35]=[%Ctrl<35を有するキナーゼの数]/[試験したキナーゼの数])。興味深いことに、臨床腫瘍学で現在使用されている71個のキナーゼ阻害剤の定量分析(Karaman MW,et al.(2008)A quantitative analysis of kinase inhibitor selectivity.Nat Biotechnol 26(1):127-132)は、C28と同等に低いS(35)スコアを示した。C28は33/403個のみのキナーゼの活性を>90%阻害し、その大部分(20/33個)は同じタンパク質の様々なアイソフォームであり、C28の全体的に低い乱雑性が強調された。阻害剤の選択性を調査するために使用した2つのアッセイ(活性部位特異的競合結合アッセイおよび放射性フィルター結合アッセイ)の異なる原理にもかかわらず、図7および図8で強調された、C28によって標的とされる同定されたキナーゼのかなりの重複があり、この結果の精度をさらに検証したことは言及する価値がある。
漸増濃度のC28を用いて様々なBC細胞株を処理すると、LMTK3の時間依存的分解および用量依存的分解が起こり(図9)、これを、C28の存在下でのLMTK3の半減期の減少によって示されるように、シクロヘキサミドによる処理後にさらに検証した(図10)。その結果、次いで、本発明者らは、プロテアソーム阻害剤MG132との同時処理後のLMTK3タンパク質ターンオーバーに対するC28の影響を分析し、MG132がLMTK3のC28誘導性ダウンレギュレーションを防止することができることを観察した(図11)。これらの結果は、C28がLMTK3のプロテアソーム分解を促進するとともに、LMTK3ユビキチン化の増加に関連することを示唆している(図12)。
本発明者らは、LMTK3のサイレンシングがエストロゲン受容体アルファ(ERα)のダウンレギュレーションをもたらし、実際に、C28による処理がERαのタンパク質レベルを低下させることを以前に報告している(図9)。さらに、本発明者らはまた、BC細胞内のHSP27のリン酸化状態の減少を観察し、HSP27がLMTK3のインビボ(インビトロとは別の)基質でもあることが示唆された。合わせて、これらの結果は、LMTK3に対するC28阻害剤の特異性をさらに裏付けた(図13)。最後に、本発明者らはまた、選択性スクリーニングから潜在的なC28標的として同定されたCLK2キナーゼ、DYRK1αキナーゼ、HIPK2キナーゼ、IRAK4キナーゼおよびTRKAキナーゼに対するC28の影響(それらの活性に関連する総レベルおよび蛍光体部位)を調査した。図14に示すように、様々な時点に関する10μMのC28によるBC細胞株の処理は、IRAK4およびHIPK2の分解をもたらした。
全体として、これは、IRAK4およびHIPK2に対する二次選択性を有すると思われる、高度に選択的なLMTK3阻害剤を同定した最初の報告である。
[実施例4]-C28阻害剤は、様々なるヒト癌細胞株では強力な抗癌活性を示し、マウスモデルでは腫瘍増殖を阻害する
材料および方法
細胞株
MCF12A細胞株はATCCから購入した。10%FBS(Sigma Aldrich、カタログ番号F7524-500ML)と、1%L-グルタミン/ペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma Aldrich、カタログ番号G1146-100ML)と、1%乳腺上皮増殖サプリメント(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号S0155)と、ビブリオ・コレラエ(Vibrio cholerae)由来の100ng/mlコレラ毒素(Sigma Aldrich、カタログ番号C8052-5MG)とを補充したCascade Biologics培地171(Gibco、カタログ番号171 M-171-500)中でMCF12A細胞を維持した。
他の細胞株は実施例3に記載の通りであった。細胞はいずれも、37℃、5%COでインキュベートした。
動物実験
異種移植片作製のために、MDA-MB-231細胞(1×10個)を4~5週齢のNSGマウス(NOD-scidIL2Rgammanull、Jackson Laboratory)の左側腹部および右側腹部に皮下注射した。腫瘍が触知可能になると(直径約0.4~0.5cm)、マウスに対して連日の強制経口投与による3週間の処置を開始し、週に1回中断した。処置群には、ビヒクル(1:1の比で5%デキストロース/PEG400)またはC28のいずれかを投与した。製剤を調製するために、C28を必要な体積のPEG400に最初に溶解し、1分間ボルテックスし、次いで、40℃で30分間超音波処理した。次に、5%デキストロース水溶液を激しくボルテックスしながら製剤に加えた。ノギス測定によって、腫瘍を週2回モニタリングした。合計で、マウス3匹が処置中に死亡した(C28処置動物)。
MDA-MB-231-Luc異種移植実験のために、2×10個のMDA-MB-231-Luc細胞を50μlの1×PBSおよび50μlのMatrigel(1:1の比)に懸濁し、5週齢の雌NU/Jホモ接合マウス(Jackson laboratory,Maine,USA)の側腹部に皮下注射した。MDA-MB-231-Luc細胞(注射前)および腫瘍移植マウスを、PBSに溶解したD-ルシフェリン(Promega,WI,USA)を使用して細胞注射直後に撮像し、IVIS 100 Bioluminescence/光学撮像システム(Xenogen Corporation,CA,USA)を使用して発光を測定する15分前に、マウス1匹当たり1.5mgの用量で腹腔内注射した。不快感、腫瘍増殖および体重について、マウスを連日モニタリングした。腫瘍が約1cmのサイズに達すると、マウスを3つの群、すなわち、(i)ビヒクル:5%デキストロース/PEG400 25%:75%、v/v(n=6)、(ii)C28:10mg/kg(n=6)、および(iii)C28:30mg/kg(n=5)に無作為に分けた。腫瘍増殖を測定するために、処置開始前(処置の0日目)に動物を撮像した。強制経口投与によって21日間にわたり連日処置を行った。処置後14および21日目にマウスを撮像した。
腫瘍が触知可能になるとすぐに、合計19日間にわたり強制経口投与によって、MMTV-Neuマウス(Dankort D,et al.(2001)Grb2 and Shc adapter proteins play distinct roles in Neu(ErbB-2)-induced mammary tumorigenesis:implications for human breast cancer.Molecular and cellular biology 21(5):1540-1551)を連日処置した。処置群には、ビヒクル(1:1の比で5%デキストロース/PEG400)またはC28のいずれかを投与した。ノギス測定によって、腫瘍を週2回モニタリングした。以下の式を使用して腫瘍体積を計算した:V=a×b2/2、式中、「a」は最大直径であり、「b」は最小である。動物試験はいずれも、国内規制および国際的な規制に従って行い、BRFAA倫理委員会によって承認された。
結果
次いで、本発明者らは、漸増濃度のC28の存在下で様々なBC細胞株(および1つの非形質転換***細胞株;MCF12A)の増殖を調査することによって、抗癌戦略としてのC28の潜在的な使用を研究した。図15に示すように、C28は、6.5~8.64μMの範囲のIC50値でBC細胞の増殖を阻害することができたが、非癌性細胞株(MCF12A)は、C28に対する感受性が低いように思われた(IC50:14.77μM)。
本発明者らは、次に、C28をNational Cancer Institute(NCI)のDevelopmental Therapeutic Program(DTP)に提出し、それを60個のヒト癌細胞株のパネルに対してスクリーニングした(Shoemaker RH(2006)The NCI60 human tumour cell line anticancer drug screen.Nature reviews.Cancer 6(10):813-823)。注目すべきことに、10μMの用量では、C28は、全癌細胞株を>50%阻害した(図16)。実証された顕著な増殖阻害を考慮して、NCIは、5つの用量でC28をさらに評価することを決定した。結果から、白血病細胞株、黒色腫細胞株、卵巣細胞株およびCNS細胞株のほとんどがC28に対してさらに耐性であるが、腎癌細胞はさらに感受性であるように思われることが明らかにされた。これらのデータは、様々な腫瘍型に対するC28の抗癌適用可能性を実証している。
マウスモデルを対象としてC28の有用性を試験する前に、その溶解度を様々な製剤ビヒクルおよび溶解条件で評価した。本発明者らはまた、静脈内(IV)投与、腹腔内(IP)投与および経口(PO)投与後の異なる用量で、ヌードBalb/cマウスを対象としてC28の薬物動態(PK)特性を研究した。LC-MS/MSによる血漿試料の分析により、IV投与されたC28(5mg/kg)は、注射後5分で1533ng/mlのピーク濃度(Cmax)を有し、これが短い半減期(T1/2約10分)によって打ち消されたのに対して、用量を1mg/kgに低下させると、曝露が非常に少なくなった(Cmax=185ng/ml)ことが明らかにされた。最適な投与経路は、Cmaxが839ng/mlであり、T1/2が約59分である)10mg/kgのIP、またはPO(Cmax=632ng/ml;T1/2約62分)であると思われた。図17を参照されたい。
本発明者らは、C28のPOバイオアベイラビリティを示したことから、構成的に活性なマウスNeuタンパク質がマウス乳癌ウイルスプロモーターの制御下で発現されるMMTV-Neu乳癌モデルトランスジェニックモデルを対象として、その抗腫瘍活性を評価した。腫瘍が触知可能になると、対照ビヒクル(1:1の比で5%デキストロース/PEG400)、または10mg/kgの最終濃度のC28のいずれかを用いて、マウスを連日PO処置した。図18に示すように、C28は、ビヒクル処置群と比較して腫瘍増殖をほぼ完全に抑止した。異なる群間の腫瘍切片および他の臓器(肺、胃、心臓、腎臓、肝臓、脾臓)の組織病理学的分析は、有意差を何ら示さず、C28阻害剤の毒性の欠如がさらに実証された。さらに、Ki-67免疫組織化学(IHC)分析は、C28による処置後に増殖の減少を示し(図19)、IHCはまた、本発明者らの細胞ベースの観察結果と同様に、LMTK3タンパク質レベルの減少を明らかにした(図20)。
次に、MDA-MB-231 TNBC細胞を免疫無防備状態のマウスに皮下注射したBC異種移植マウスモデルを使用して、LMTK3阻害剤の抗腫瘍活性も評価した。腫瘍が触知可能になると、マウスを異なる群に分け、対照ビヒクル、または10mg/kgの最終濃度のC28のいずれかで、連日PO処置した。23日後、C28による処置は、対照群と比較して増殖を有意に妨げ(図19)、体重の変化は観察されなかった(ビヒクル群:0日目:21.22gr→15日目:21.42gr対C28群0日目:21.77gr→15日目:21.84gr)。ルシフェラーゼ標識されたMDA-MB-231、および10mg/kgまたは30mg/kgのいずれかのC28による処置を使用した別個の試験でも同様の結果が得られた(図19)。
全体として、データは、インビトロでのC28の強力な前臨床抗癌活性と、マウスモデルにおけるインビボでの腫瘍発症の遅延とを実証する。
[実施例5]-C28は、チューブリン重合を阻害し、微小管構築を破壊することによって、G2/M停止およびアポトーシスを促進する
材料および方法
細胞株
他の細胞株は実施例3および4に記載の通りであった。
ウエスタンブロッティング
実施例3に記載されるようにウエスタンブロッティングを行った。
細胞周期分析
細胞を血清飢餓によって同期させ、次いで、完全培地中で48時間かけて、漸増濃度のC28を用いて処理した。回収後、製造者の指示に従ってBD Cycletest Plus DNA Reagent Kit(BD Biosciences、カタログ番号340242)を使用して、DNAをヨウ化プロピジウムによって標識した。BD Accuri C6フローサイトメーター(BD Biosciences)を使用した。
有糸***指数アッセイ
カバーガラス上で増殖させた細胞を4%パラホルムアルデヒド中で15分間固定し、PBS中で洗浄し、0.3%(v/v)Triton X-100、3%BSAのPBS溶液とともに室温で30分間インキュベートした。次いで、カバーガラスを抗チューブリン抗体(1:100、Genscript、カタログ番号A01410-100)およびDAPI(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号S36942)によって染色した。有糸***指数は、少なくとも1000個の核をスコア化する、有糸***の割合を計数して評価した。
細胞死およびアポトーシス
漸増濃度のC28を用いて、細胞を48時間または72時間処理した。回収後、Muse Annexin V Dead Cell Kitを用いて、製造者のプロトコルに従って(Millipore、カタログ番号MCH100105)細胞を染色した。次いで、Muse Cell Analyzer(Millipore)を使用して細胞を分析した。
免疫蛍光染色
カバーガラス上で増殖させた細胞を4%パラホルムアルデヒド中で15分間固定し、PBS中で洗浄し、0.3%(v/v)Triton X-100、3%BSAのPBS溶液とともに室温で30分間インキュベートした。次いで、カバーガラスを、同じ緩衝剤で希釈したα-チューブリン一次抗体(1:100、カタログ番号A01410-100)とともに4℃で一晩インキュベートした。細胞を洗浄し、Alexa Flour(登録商標)-488ヤギ抗マウス二次抗体(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号A11029)を用いて室温で60分間プローブした。洗浄後、カバーガラスを、DAPIを含むSlowfade Gold褪色防止試薬(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号S36942)を用いてガラススライドに取り付けた。CCDカメラを備えたZeiss LSM880共焦点顕微鏡の63倍油浸レンズを通して画像を取得した。
インビボ微小管集合アッセイ
可溶性チューブリン二量体由来の不溶性重合微小管の分離を以前に記載されたように行った(Blagosklonny MV,et al.(1995)Taxol induction of p21WAF1 and p53 requires c-raf-1.Cancer Res 55(20):4623-4626)。要約すると、漸増濃度のC28、50nMパクリタキセル(Sigma Aldrich、カタログ番号T1912-1MG)および50nMコルヒチン(Sigma Aldrich、カタログ番号C9754-100MG)を用いて、細胞を48時間処理した。次いで、細胞を回収し、プロテアーゼ阻害剤およびホスファターゼ阻害剤を補充した低張溶解緩衝剤(20mM Tris HCl pH8、1mM MgCl、2mM EGTA、1%NP40)を使用して溶解した。室温で10分間13,000rpmで遠心分離した後、可溶性画分を含有する上清を回収した。新鮮なプロテアーゼ阻害剤およびホスファターゼ阻害剤(Roche Diagnostics GmbH、カタログ番号11697498001およびカタログ番号4906845001)を含むRIPA緩衝剤(Sigma Aldrich、カタログ番号R0278-50ML)を使用して、ペレットを抽出した。上清およびペレットをSDS-PAGEサンプリングローディング緩衝剤に95℃で10分間かけて溶解し、ウエスタンブロッティングの前にSDS-ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動に供した。抗α-チューブリン一次抗体(0.5μg/ml、Genscript、カタログ番号A01410-100)および西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート二次抗体によって、チューブリンの相対量を検出した。SuperSignal West Pico PLUS Chemiluminescent Substrate(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号34577)を使用して化学発光検出を行った。UVP ChemStudio Imaging Systems(Analityk jena)を使用して発光を捕捉した。
インビトロ微小管重合アッセイ
製造者の指示に従って、インビトロチューブリン重合アッセイキット(Millipore、カタログ番号17-10194-1)を使用して、漸増濃度のC28とのインキュベーション後に、精製チューブリンの重合を検出した。DMSOをビヒクル対照として使用した。陽性チューブリン標的化剤対照として、ノコダゾール(10μM)およびパクリタキセル(10μM)を使用した。SpectraMax i3xプレートリーダーを使用した350nmでの濁度変化の連続モニタリングによって、チューブリン重合を測定した。
LMTK3サイレンシング
製造者の指示に従って、4D-Nucleofector(商標)System(LONZA)を使用して、3つのLMTK3 siRNAのプール(s41588、s41589、s415890 Ambion)、またはスクランブル対照(4390843、Ambion)を用いて細胞をトランスフェクトした。要約すると、500,000個の細胞を20μlの完全緩衝剤SE(Lonza、カタログ番号PBC1-00675)に再懸濁し、300nM siRNAをエレクトロポレーションの前に加えた。次いで、細胞を温かい完全培地に播種した。ウエスタンブロッティングによってサイレンシングを確認した。
LMTK3過剰発現
1ウェル当たり300,000個の細胞を6ウェルプレートに播種した。次いで、製造者の指示に従って、Fugene HDトランスフェクション試薬(Promega、カタログ番号E2311)を使用して、2μgのpCMV6-LMTK3プラスミド(Origene、カタログ番号RC223140)またはpCMV6空ベクター(Origene、カタログ番号PS100001)を用いて、細胞をトランスフェクトした。次いで、ウエスタンブロッティングによって過剰発現を確認した。
結果
C28の作用機序を解明するために、本発明者らは、フローサイトメトリー(FACS)分析を行い、C28による処理がBC細胞のG2/M期停止をもたらすことを明らかにした(図21)。この結果は、有糸***指数の増加を評価することによって(図22)、および有糸***マーカーホスホ-ヒストンH3-Ser10の高発現によって(図23)確認された。C28への長期曝露後、アポトーシスの同時誘導が観察され(図24)、細胞性老化に影響はなかった(データは示さず)。
有糸***停止とアポトーシスの誘導との間の記録された関連性を考慮して、本発明者らは、様々なアポトーシス促進タンパク質および抗アポトーシスタンパク質の発現を調査した。予測され、細胞死アポトーシス機構と一致したように、本発明者らは、BC細胞株では、BCL-XL抗アポトーシスタンパク質およびBCL2抗アポトーシスタンパク質の減少と、切断されたPARPの増加とを観察した(図25)。興味深いことに、非形質転換MCF12A***細胞株は、高濃度のC28およびさらに長い時点であっても、G2/M停止後に低い細胞死%(<5%)を示し(図24)、非形質転換***上皮細胞が細胞周期停止からの回復に取り組みながら死を逃れることが示唆された(図21)。まとめると、これらの結果は、C28が癌細胞に対して選択的にその効果を示し、臨床的探索を必要とする結果であることを示唆している。
細胞周期停止、および細胞死の誘導に対するC28の効果を念頭に置いて、本発明者らは、C28がチューブリン重合に影響を及ぼし、それが細胞骨格の組織化を妨げ、細胞***に影響を及ぼし得る可能性を研究した。間期および中期での細胞の免疫蛍光により、C28処理細胞が、破壊された微小管分布、異常な微小管紡錘体構築および変化した染色体凝縮パターンを含む有糸***欠陥を示すことが明らかにされた(図26)。微小管動態を標的とする2つの公知の薬物であるコルヒチンおよびパクリタキセルによって処理した細胞を対照として使用した。
本発明者らは、細胞ベースの微小管重合アッセイを使用して微小管動態に対するC28の影響を確認し、処理後の不溶性重合チューブリン画分の用量依存的減少を観察した(図27)。微小管に作用するキナーゼ阻害剤の記録された役割を考慮して、本発明者らは、対照としてパクリタキセルおよびノコダゾール(別のよく記載された微小管不安定化剤)を使用するインビトロチューブリン重合アッセイを使用することによって、C28が直接チューブリン標的化剤である可能性を研究した。C28の濃度の増加はチューブリン重合に影響を及ぼさず(図28)、C28が、微小管集合に関連するLMTK3調節経路を調節することによってその影響を付与することが示唆された。
微小管構築に関与するいくつかのタンパク質の役割が広範囲に研究されている。中でも、核小体および紡錘体関連タンパク質1(NUSAP1;ANKTとしても知られている)は、強力な微小管関連タンパク質(MAP)であり、クロマチンに隣接する微小管の安定化および架橋を促進することにより、紡錘体集合にとって極めて重要であると報告されている。さらに、癌に対するNuSAP1の関与は十分に実証されているが、その過剰発現が転移性BCでは観察されており、予後不良に関連している。したがって、本発明者らは、C28がNuSAP1に影響を及ぼし得るかどうかを研究し、様々なBC細胞株のC28処理後にそのタンパク質レベルの低下を観察した(図29)。同様に、BC細胞株におけるLMTK3のサイレンシング(siRNA)後、NUSAP1タンパク質がダウンレギュレートされた(図30)。これがLMTK3が媒介する影響であることをさらに確立するために、本発明者らは、C28処理後にLMTK3を過剰発現させることによってLMTK3レベルを回復させ、チューブリン重合の部分的な回復とともに(図32)NUSAP1レベルの救済を観察した(図31)。最後に、本発明者らは、LMTK3およびNUSAP1のmRNA発現レベルと生存との関連を研究した。本発明者らの分析により、LMTK3およびNUSAP1の高発現が、総生存率および無病生存率の悪化と相関することが明らかにされ、BC進行におけるLMTK3とNUSAP1との協調が示唆された。
要約すると、本発明者らは、C28がLMTK3を分解することによってその抗腫瘍効果を発揮し、これにより、その後の細胞周期停止および細胞死を伴う微小管解重合がもたらされることを実証した(図33)。
[実施例6]-C28の誘導体
材料および方法
本発明者らは、4-ピリジンボロン酸の代わりに2-ピリジンボロン酸、3-ピリジンボロン酸または2,5-ジメチル-4-ピリジンボロン酸を使用したことを除いて、C28について実施例2に記載されているのと同じ方法を使用して、以下の化合物を合成した、
生物学的活性
実施例1~5に記載されている方法を使用して、誘導体の生物学的活性を評価した。
結果
図34に見られるように、インビトロキナーゼアッセイにより、C28が誘導体のいずれよりも優れた阻害剤であることが示された。ただし、試験した3つの誘導体のうち、344-4が最良の阻害剤であった。おおよそのIC50値を以下の表1に示す。
同様に、図35および図36は、C28がまた、癌細胞株を対象に試験した際に最良の阻害剤であったことを示す。ただし、誘導体はいずれも、いくらかの活性を示し、344-4がLMTK3およびERαの両方の最良の阻害剤であった。
最後に、本発明者らは、化合物344-4を使用してマウスミクロソーム安定性アッセイを行った。この化合物は、中程度のクリアランスを示した。
[実施例7]-C28のさらなる誘導体
材料および方法
本発明者らは、実施例2で示された方法と類似の方法を使用して、C28のさらなる誘導体を合成した。
次いで、これらの化合物がFDCP1-LMTK3を阻害する能力を評価した。
結果
結果を表2に示す。
結論
本発明者らは、LMTK3の構造の知識に起因して、LMTK3に対する薬物開発の有望な候補となり得る化合物を同定するためにハイスループットスクリーニング手法を採用することができた。この手法を使用して、本発明者らは、LMTK3に高い選択性で結合し、それを阻害し、様々な癌細胞株およびインビボBCマウスモデルにおいて有効な抗癌効果を示し、正常な上皮に明らかに害を及ぼさない化合物(ATP競合阻害剤)、すなわちC28を同定することができた。
興味深いことに、本発明者らは、C28がLMTK3のプロテアソーム媒介分解を促進することを見出し、これは、キナーゼとして、およびそれを介してその生物学的効果を付与することができる足場タンパク質としてのLMTK3の二重の役割を考慮すると極めて重要である。生物学的安定性についてHSP90-CDC37に依存するいくつかの異なる発癌性プロテインキナーゼのATP競合阻害剤は、キナーゼのATP結合部位へのCDC37動員因子の結合に拮抗することによって、それらの分解を促進することが示されている。これは、キナーゼからシャペロン系へのアクセスを剥奪し、それらをユビキチン化およびその後の分解に導く。LMTK3はHSP90「クライアントタンパク質」の古典的な特徴を有することから、C28はこの「シャペロン剥奪」機構を介してその分解を促進している可能性が高い。C28がLMTK3の触媒機能および足場機能の両方を無効にする能力により、本発明者らは、LMTK3のホスホ-基質、およびLMTK3の足場特性に依存する相互作用パートナーの両方を同定することが可能になった。
機構的には、C28は、微小管解重合剤による処理後に頻繁に観察される表現型であるG2/M期停止とアポトーシスの誘導とを引き起こした。本発明者らの実験データから、C28がチューブリンに直接結合することができず、その重合に影響を及ぼすことができないことが明らかにされ、別の作用機序が示唆された。興味深いことに、本発明者らは、C28による処理後またはLMTK3のサイレンシング後にダウンレギュレートされるべきである、微小管の束化および安定化に関与するよく記載されたMAPであるNUSAP1を同定した。合わせて、本発明者らの知見は、C28の前臨床治療的利点が、微小管機能の破壊を引き起こす、チューブリンとの相互作用を介してそれらの細胞傷害性を付与するビンカアルカロイド、タキサンまたはエリブリンを含む化学療法剤の確立された役割とは異なって作用する、微小管構築に関連するLMTK3標的化経路に対するその影響から生じることを提案する。さらに、C28は、BCマウスモデルでは、正常組織または体重に対して毒性を有しなかったが、非形質転換***細胞株(MCF12A)に対するその抗増殖作用およびアポトーシス促進作用は、他のBC細胞株と比較して顕著に低かった。
全体として、経口LMTK3阻害剤の開発は、単剤療法または併用療法(すなわち、CDK4/6阻害剤と同じ方法で、例えば、ERBCに対するアロマターゼ阻害剤と組み合わせられる)のいずれかとして、広範囲な臨床的有用性の可能性を有し得る。さらに正確には、免疫療法が、あるレベルでは有用であるにもかかわらず、TNBCの場合、承認された標的療法はない。したがって、TNBCにおけるLMTK3の異常な発現、ならびにLMTK3のゲノム阻害が細胞の増殖、浸潤および遊走の阻害をもたらすことを示す研究に基づいて、LMTK3阻害剤は臨床試験の魅力的な候補となるであろう。一方、BCにおける内分泌抵抗性および化学療法抵抗性の機序は、依然としてほとんど説明されていないため、例えば、CDK4/6阻害剤を用いて進行している状況では、これらの患者をさらに集中的に治療する必要性が依然として存在する。これまでの結果(患者検体コホートから得られたインビトロ、インビボおよび臨床データ)に基づいて、LMTK3の阻害は、タモキシフェン(Tam)およびドキソルビシン(Dox)の再感作では重要であり得る。その結果、LMTK3阻害剤は、腫瘍の感受性を増加させ、および/または耐性を潜在的に克服するために、確立された治療法(例えば、Tam、Dox)とともに使用される可能性がある。
上記実施例の一般的な材料
MG-132(カタログ番号474790)、およびストレプトマイセス・グリセオルス(Streptomyces griseolus)由来のアニソマイシン(カタログ番号176880-10MG)をMilliporeから購入し、DMSO(Millipore、カタログ番号D/4125/PB08)に再懸濁した。シクロヘキサミド(カタログ番号357420010)をThermo Fisher Scientificから購入し、DMSO(Millipore、カタログ番号D/4125/PB08)に再懸濁した。パクリタキセル(カタログ番号T1912-1MG)およびコルヒチン(カタログ番号C9754-100MG)をSigma Aldrichから購入し、DMSO(Millipore、カタログ番号D/4125/PB08)に再懸濁した。ER-アルファ(1:1000、カタログ番号8644)抗体、ユビキチン(1:1000、カタログ番号3936)抗体、ホスホ-HSP27(Ser15)(1:1000、カタログ番号2404)抗体、ホスホ-HSP27(Ser82)(1:1000、カタログ番号9709)抗体、HSP27(1:1000、カタログ番号3936)抗体、ホスホ-ヒストンH3(Ser10)(1:1000、カタログ番号3377)抗体、BCL2(1:1000、カタログ番号2870)抗体、BCL-XL(1:1000、カタログ番号2764)抗体、切断-PARP(1:1000、カタログ番号5625)抗体、His-Tag(D3I1O)XP(登録商標)(カタログ番号12698)抗体、ならびに抗ウサギIgG(1:5000、カタログ番号7074P2)HRP結合抗体および抗マウスIgG(1:5000、カタログ番号7076P2)HRP結合抗体をCell signalingから購入した。蛍光体-DYRK1/A(Tyr 321/273;1:1000、カタログ番号12497)およびホスホ-TRKA(Tyr 680/681;1:1000、カタログ番号11904)をSABから購入し、FLAG抗体(1:1000、カタログ番号F7425)をSigma Aldrichから購入し、NUSAP1(抗ANKT)(1:1000、カタログ番号STJ91598)をSt John’s Labsから購入し、GAPDH(1μg/ml、カタログ番号39-8600)をThermo Fisher Scientificから購入し、TRKA(1:1000、カタログ番号A01404)、β-アクチン(0.1μg/ml、カタログ番号A00702-100)およびa-チューブリン(0.5μg/mlまたは1:100、カタログ番号A01410-100)をGenScriptから購入した。CLK2(1:1000、カタログ番号A7885)、DYRK1A(1:1000、カタログ番号A0595)およびIRAK4(1:1000、カタログ番号A6208)をABClonalから購入した。Sigma Aldrich抗体(1:500、カタログ番号WH0114783M2)を使用して総LMTK3を検出し、Abcam抗体(1:500、カタログ番号110516)を使用してそのキナーゼドメインを検出した。pCMV6-LMTK3過剰発現プラスミド(RC223140)およびpCMV6空ベクター(PS100001)をOrigeneから購入した。他の試薬はいずれも、特に指定されない限り、Thermo Fisher Scientificから購入した。
細胞株およびクローニング
親FDCP1細胞をAdvanced Cellular Dynamics,Inc.から購入した。10%熱不活性化FBS(Sigma Aldrich、カタログ番号F7524-500ML)、1%L-グルタミン/ペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma Aldrich、カタログ番号G1146-100ML)および10ng/ml IL-3(Genscript、カタログ番号P01586)を補充したRPMI 1640培地(Invitrogen)中で、FDCP1インターロイキン3(IL3)依存性細胞株を増殖させた。
FDCP-LMTK3を作製するために、FDCP1細胞に、aa 134~444(キナーゼドメイン)を包含するFlagエピトープタグ付きLMTK3遺伝子に融合したBCRタンパク質をコードするpACD320レトロウイルスベクターを形質導入した。この融合-ドナー手法が使用されるのは、様々なキナーゼが、二量体化するそれらの能力に基づいて優先的な形質転換能力を示すことが多く、これは、展開された特定の融合パートナーに依存するためである(Melnick JS,et al.(2006)An efficient rapid system for profiling the cellular activities of molecular libraries.Proc Natl Acad Sci U S A 103(9):3153-3158)(NPM、TPR、bTELおよびnTELを含む他のタンパク質との融合は、BCRで観察されるようなLMTK3の高いトランス活性化をもたらさなかった)。細胞はいずれも、37℃、5%COでインキュベートした。
一般的な合成方法
式(I)の様々な化合物を生成するための一般的な合成方法を逆合成分析の形態で以下に示す。

Claims (22)

  1. 治療に使用するための、式(I)の化合物:

    (式中、Rは、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、L、またはハロゲンであり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
    nは0であり、XはS、OもしくはNRであるか、またはnは1であり、XはCRもしくはNであり、
    ~Rは、独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、または置換されていてもよいC~C15アルキニルであり、
    は、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、またはLであり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、OR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
    およびRは、独立して、H、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、または置換されていてもよいC~C15アルキニルであり、
    は、OR、SR、NR、CONR、CN、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NR、OC(O)R、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリルであり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
    は、存在しないか、またはO、SもしくはNRであり、
    は、存在しないか、または置換されていてもよいC~C15アルキレン、もしくは置換されていてもよいC~C15アルキリンである)、
    またはその薬学的に許容される複合体、塩、溶媒和物、互変異性型もしくは多形体。
  2. Lemurチロシンキナーゼ3(LMTK3)を阻害することによって治療可能な疾患の治療に使用するための、式(I)の化合物:

    (式中、Rは、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、L、またはハロゲンであり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
    nは0であり、XはS、OもしくはNRであるか、またはnは1であり、XはCRもしくはNであり、
    ~Rは、独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、または置換されていてもよいC~C15アルキニルであり、
    は、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、またはLであり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、OR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
    およびRは、独立して、H、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、または置換されていてもよいC~C15アルキニルであり、
    は、OR、SR、NR、CONR、CN、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NR、OC(O)R、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリルであり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
    は、存在しないか、またはO、SもしくはNRであり、
    は、存在しないか、または置換されていてもよいC~C15アルキレン、もしくは置換されていてもよいC~C15アルキリンである)、
    またはその薬学的に許容される複合体、塩、溶媒和物、互変異性型もしくは多形体。
  3. 前記疾患が、癌、注意欠陥多動性障害(ADHD)、ハイパーソーシャビリティ、プレパルス抑制(PPI)欠損、認知障害または神経変性疾患である、請求項2に記載の使用のための化合物。
  4. 前記疾患が癌である、請求項3に記載の使用のための化合物。
  5. 前記化合物が、式(II)の化合物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
  6. ~Rが、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、または置換されていてもよいC~Cアルキニルである、請求項5に記載の使用のための化合物。
  7. ~RがそれぞれHである、請求項6に記載の使用のための化合物。
  8. が、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、またはハロゲンである、請求項5~7のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
  9. が、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいチオフェニル、置換されていてもよいチアゾリル、置換されていてもよいテトラゾリル、置換されていてもよいトリアゾリル、置換されていてもよいピリジニル、置換されていてもよいピリダジニル、置換されていてもよいピリミジニル、置換されていてもよいトリアジニル、置換されていてもよい1,3-ベンゾジオキソリル、置換されていてもよいテトラヒドロピラニル、置換されていてもよいジヒドロピラニル、置換されていてもよいモルホリニル、または塩素である、請求項8に記載の使用のための化合物。
  10. が以下である、請求項9に記載の使用のための化合物:

    (式中、Xは、NまたはCRであり、
    ~R13は、独立して、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、OR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rである。)
  11. が、Cl、フェニル、

    である、請求項10に記載の使用のための化合物。


  12. である、請求項11に記載の使用のための化合物。
  13. が、置換されていてもよいフェニル、または置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールである、請求項5~12のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
  14. が、置換されていてもよいフェニル、または置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールであり、前記フェニルまたはヘテロアリールが、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、置換されていてもよいC~Cアルキニル、ハロゲン、OR、SR、CORおよびCONR(式中、RおよびRは、H、置換されていてもよいC~Cアルキル、置換されていてもよいC~Cアルケニル、または置換されていてもよいC~Cアルキニルである)からなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、請求項13に記載の使用のための化合物。
  15. が、

    である、請求項14に記載の使用のための化合物。
  16. が、OCFによって置換されたフェニルである、請求項14に記載の使用のための化合物。
  17. 式(I)の前記化合物が、式(100)~(122)の化合物である、請求項1または2に記載の使用のための化合物。

  18. 前記化合物が、式(III)の化合物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
  19. 前記化合物が、式(IIIa)の化合物である、請求項18に記載の使用のための化合物。
  20. 前記化合物が、式(200)~(204)の化合物である、請求項18に記載の使用のための化合物。
  21. 対象の癌を治療するための医薬組成物であって、式(I)の化合物、および薬学的に許容されるビヒクルを含む、医薬組成物(ここで、式(I)の化合物は以下の化合物またはその薬学的に許容される複合体、塩、溶媒和物、互変異性型もしくは多形体である):

    (式中、Rは、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、L、またはハロゲンであり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COOR、NO、NRCOR、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
    ~Rは、独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、または置換されていてもよいC~C15アルキニルであり、
    は、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、またはLであり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、OR、NR、CONR、CN、COOR、NO、NRCOR、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
    およびRは、独立して、H、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、または置換されていてもよいC~C15アルキニルであり、
    は、OR、SR、NR、CONR、CN、COOR、NO、NRCOR、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rであり、
    は、存在しないか、またはO、SもしくはNRであり、
    は、存在しないか、または置換されていてもよいC~C15アルキレン、もしくは置換されていてもよいC~C15アルキリンである)。
  22. 式(I)の化合物:

    (式中、Rは、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、L、またはハロゲンであり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
    nは0であり、XはS、OもしくはNRであるか、またはnは1であり、XはCRもしくはNであり、
    ~Rは、独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、または置換されていてもよいC~C15アルキニルであり、
    は、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリル、またはLであり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、OR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
    およびRは、独立して、H、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、または置換されていてもよいC~C15アルキニルであり、
    は、OR、SR、NR、CONR、CN、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NR、OC(O)R、置換されていてもよいC~C12アリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい3~10員ヘテロシクリルであり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、置換されていてもよいC~C15アルキル、置換されていてもよいC~C15アルケニル、置換されていてもよいC~C15アルキニル、ハロゲン、O、OR、SR、NR、CONR、CN、COR、COOR、NO、NRCOR、NRSO、OC(O)OR、OC(O)NRおよびOC(O)Rからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
    は、存在しないか、またはO、SもしくはNRであり、
    は、存在しないか、または置換されていてもよいC~C15アルキレン、もしくは置換されていてもよいC~C15アルキリンである)、
    またはその薬学的に許容される複合体、塩、溶媒和物、互変異性型もしくは多形体(ここで、式(100)、(113)~(122)および(200)の化合物は除外される)。

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