JP2023535604A - 遺伝子複製を有する細胞およびその使用 - Google Patents

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Abstract

改善された成長特徴を有する宿主細胞が提供される。また、かかる細胞を選択、使用、および作製する方法もまた提供される。【図1A】TIFF2023535604000009.tif154163

Description

本発明は、1つまたは複数の遺伝子の複製を有する、バイオ医薬品の産生のための宿主細胞に関するものであり、かかる細胞を選択、使用、および作製することを含む。ある特定の実施形態では、細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
高分子バイオ医薬品(例えば組換えタンパク質)は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞などの培養された宿主細胞において典型的には産生される。バイオ医薬品の産生のための改善された宿主細胞の開発はここ数十年で大きく進歩してきたが、望ましい成長および生産性の特徴を有する特定の宿主細胞の生成および選択は、依然として、時間がかかりかつ困難なプロセスである。
したがって、強い成長特徴を有する宿主細胞が必要とされており、また、かかる細胞を生成および選択する方法が必要とされている。
1つまたは複数の遺伝子複製を有する哺乳動物宿主細胞が、本明細書で提供される。また、かかる細胞を選択、使用、および作製する方法も提供される。一部の態様では、本明細書で提供される遺伝子複製を有する細胞は、複製を有していないこと以外は同一の細胞と比較して、1つまたは複数の改善された成長特徴を有する。
一部の実施形態では、外因性核酸と、Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1lからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の複製とを含む哺乳動物宿主細胞が、本明細書で提供される。任意選択により、宿主細胞は、遺伝子のうちの少なくとも2つの複製を含む。任意選択により、2つの遺伝子のうちの1つは、Spire1、Nars、Rps14、Smim3からなる群から選択され、2つの遺伝子のうちの1つは、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、およびSh3rf2からなる群から選択される。任意選択により、宿主細胞は、1つまたは複数の遺伝子の複製を欠くこと以外は同一の宿主細胞と比較して改善された成長特徴を有している。
一部の実施形態では、外因性核酸と、少なくとも4つの遺伝子の複製とを含む哺乳動物宿主細胞であって、4つの遺伝子のうちの1つがSpire1、Nars、Rps14、Smim3からなる群から選択され、4つの遺伝子のうちの1つがFem1c、Ppic、Lmnb1からなる群から選択され、4つの遺伝子のうちの1つがMe2およびPias2からなる群から選択され、4つの遺伝子のうちの1つがSh3rf2である、哺乳動物宿主細胞が、本明細書で提供される。任意選択により、宿主細胞は、遺伝子の複製を欠くこと以外は同一の宿主細胞と比較して改善された成長特徴を有している。
一部の実施形態では、外因性核酸と、2番染色体の少なくとも一部分の複製とを含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)宿主細胞が、本明細書で提供される。任意選択により、2番染色体の複製部分は、Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、およびSh3rf2からなる群から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの遺伝子の複製を含む。任意選択により、2番染色体の複製部分は、遺伝子のうちの少なくとも4つの複製を含み、4つの遺伝子のうちの1つはSpire1、Nars、Rps14、Smim3からなる群から選択され、4つの遺伝子のうちの1つはFem1c、Ppic、Lmnb1からなる群から選択され、4つの遺伝子のうちの1つはMe2およびPias2からなる群から選択され、4つの遺伝子のうちの1つはSh3rf2である。任意選択により、宿主細胞は、2番染色体の部分の複製を欠くこと以外は同一の宿主細胞と比較して改善された成長特徴を有している。
一部の実施形態では、改善された成長特徴を有する哺乳動物宿主細胞を選択する方法であって、(a)外因性核酸を含む哺乳動物宿主細胞をSpire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、およびSh3rf2からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の複製についてアッセイするステップ、ならびに(b)少なくとも1つの遺伝子の複製を含む哺乳動物宿主細胞を選択するステップであって、少なくとも1つの遺伝子の複製を含む哺乳動物宿主細胞が、少なくとも1つの遺伝子の複製を欠くこと以外は同一の哺乳動物宿主細胞と比較して改善された成長特徴を有している、ステップを含む、方法が、本明細書で提供される。任意選択により、哺乳動物宿主細胞は、遺伝子のうちの少なくとも2つの複製についてアッセイされる。任意選択により、2つの遺伝子のうちの1つはSpire1、Nars、Rps14、Smim3からなる群から選択され、2つの遺伝子のうちの1つはFem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、およびSh3rf2からなる群から選択される。
一部の実施形態では、改善された成長特徴を有する哺乳動物宿主細胞を選択するための方法であって、(a)外因性核酸を含む哺乳動物宿主細胞を少なくとも4つの遺伝子の複製についてアッセイするステップであって、(i)4つの遺伝子のうちの1つがSpire1、Nars、Rps14、Smim3からなる群から選択され、(ii)4つの遺伝子のうちの1つがFem1c、Ppic、Lmnb1からなる群から選択され、(iii)4つの遺伝子のうちの1つがMe2およびPias2からなる群から選択され、(iv)4つの遺伝子のうちの1つがSh3rf2である、ステップ、ならびに(b)少なくとも4つの遺伝子の複製を含む哺乳動物宿主細胞を選択するステップであって、少なくとも4つの遺伝子の複製を含む哺乳動物宿主細胞が、少なくとも4つの遺伝子の複製を欠くこと以外は同一の哺乳動物宿主細胞と比較して改善された成長特徴を有している、ステップを含む、方法が、本明細書で提供される。
一部の実施形態では、組換えタンパク質を産生するための方法であって、(a)本明細書で提供される組換え哺乳動物宿主細胞を提供するステップであって、宿主細胞の外因性核酸が組換えタンパク質をコードしている、ステップ、および(b)組換え哺乳動物宿主細胞を、組換えタンパク質の発現に十分な条件下で培養するステップを含む、方法が、本明細書で提供される。任意選択により、この方法は、発現された組換えタンパク質を回収するステップをさらに含む。
一部の実施形態では、組換えタンパク質を産生するための方法であって、(a)本明細書で提供される方法に従って選択された組換え哺乳動物宿主細胞を提供するステップであって、宿主細胞の外因性核酸が組換えタンパク質をコードしている、ステップ、および(b)組換え哺乳動物宿主細胞を、組換えタンパク質の発現に十分な条件下で培養するステップを含む、方法が、本明細書で提供される。任意選択により、この方法は、発現された組換えタンパク質を回収するステップをさらに含む。
一部の実施形態では、外因性核酸を含む、本明細書で提供される宿主細胞または方法では、外因性核酸がタンパク質をコードする。任意選択により、タンパク質は治療的タンパク質である。任意選択により、治療的タンパク質は抗体またはサイトカインである。
一部の実施形態では、改善された成長特徴を有する哺乳動物宿主細胞を調製する方法であって、Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、およびSh3rf2からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の配列を含む外因性核酸分子を哺乳動物宿主細胞中に導入するステップを含み、外因性核酸分子を含む宿主細胞が、外因性核酸分子を含んでいないこと以外は同一の哺乳動物宿主細胞と比較して改善された成長特徴を有している、方法が、本明細書で提供される。任意選択により、遺伝子のうちの少なくとも2つの配列を含む1つまたは複数の外因性核酸分子が宿主細胞中に導入される。任意選択により、2つの遺伝子のうちの1つはSpire1、Nars、Rps14、Smim3からなる群から選択され、2つの遺伝子のうちの1つはFem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、およびSh3rf2からなる群から選択される。任意選択により、遺伝子のうちの少なくとも4つの配列が宿主細胞中に導入され、4つの遺伝子のうちの1つはSpire1、Nars、Rps14、Smim3からなる群から選択され、4つの遺伝子のうちの1つはFem1c、Ppic、Lmnb1からなる群から選択され、4つの遺伝子のうちの1つはMe2およびPias2からなる群から選択され、4つの遺伝子のうちの1つはSh3rf2である。
一部の実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞または方法では、哺乳動物細胞は、マウス細胞、ラット細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはヒト細胞である。任意選択により、ヒト細胞は、HEK細胞、HeLa細胞、またはHT1080細胞である。
一部の実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞または方法では、宿主細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
一部の実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞または方法では、外因性核酸は、宿主細胞染色体において、染色体中に組み込まれている。任意選択により、宿主細胞染色体は、染色体中への外因性核酸の部位特異的組み込みのための組換え標的部位を含む。
一部の実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞または方法では、改善された成長特徴は、遺伝子または2番染色体の一部分の複製を欠くこと以外は同一の哺乳動物宿主細胞を含む第2の細胞培養物と比較して改善された成長特徴を有する細胞を含む第1の細胞培養物の、より優れた細胞数、より優れた生存細胞数、より優れた細胞密度、またはより優れた生存細胞密度であり、ここで、第1および第2の細胞培養物は、同じ条件下で同じ期間にわたって成長させられる。任意選択により、期間は、3、5、7、または10日間である。任意選択により、より優れた細胞数、より優れた生存細胞数、より優れた細胞密度、またはより優れた生存細胞密度は、第1の細胞培養物でのそれぞれの値の、第2の細胞培養物での値と比較して少なくとも10%、25%、50%、75%、100%、または200%の増大である。任意選択により、細胞数、生存細胞数、細胞密度、または生存細胞密度は、自動セルアナライザーによって測定される。
一部の実施形態では、宿主細胞を遺伝子の複製についてアッセイするステップを含む、本明細書で提供される方法では、この方法は、遺伝子の配列を含むDNAまたは遺伝子から転写されたmRNAの相対量を決定するステップを含む。
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って、本明細書で提供される宿主細胞によって、本明細書で提供される方法に従って選択された宿主細胞によって、本明細書で提供される方法に従って調製された宿主細胞によって、または本明細書で提供される宿主細胞もしくは方法に従って調製された組換えタンパク質が、本明細書で提供される。
一部の実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞、方法、または組換えタンパク質では、Spire1遺伝子が、配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードするか、Nars遺伝子が、配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードするか、Rps14遺伝子が、配列番号3に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードするか、Smim3遺伝子が、配列番号4に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードするか、Fem1c遺伝子が、配列番号5に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードするか、Ppic遺伝子が、配列番号6に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードするか、Lmnb1遺伝子が、配列番号7に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードするか、Me2遺伝子が、配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードするか、Pias2遺伝子が、配列番号9に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードするか、またはSh3rf2遺伝子が、配列番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードする。
クローン細胞株T3-6 25gen、T3-6 100gen、およびT3-9 25genにおける遺伝子Lmnb1、Seh1l、Sh3rf2、およびSpire1についての遺伝子コピー数分析を示す棒グラフである。X軸はそれぞれの遺伝子を列挙しており、Y軸は平均遺伝子コピー数を列挙している。各遺伝子について3本の棒が示されている。左から右の順で、3本の棒はそれぞれ、T3-6 25gen、T3-6 100gen、およびT3-9 25gen細胞株における2番染色体当たりのそれぞれの遺伝子についての平均遺伝子コピー数を示している。 クローン細胞株T3-6 25gen、T3-6 100gen、およびT3-9 25genにおける遺伝子Pias2、Sh3rf2、Lmnb1、Rnmt、Seh1l、およびSpire1によってコードされるmRNAについてのmRNA存在量の分析を示す棒グラフである。X軸はそれぞれの遺伝子を列挙しており、Y軸は、mRNAレベルの相対的倍率変化(FC)(T3-6 25gen細胞におけるmRNAレベルと比較した)を列挙している。各遺伝子について3本の棒が示されている。左から右の順で、3本の棒は、T3-6 25gen、T3-6 100gen、およびT3-9 25gen細胞株における2番染色体当たりのそれぞれの遺伝子によってコードされているmRNAについての相対的mRNA存在量を示している。(T3-6 25genの値を「1」とし、T3-6 100genおよびT3-9 25genの値はT3-6 25genの値と比較されている。)
1つまたは複数の遺伝子複製を有する哺乳動物宿主細胞、ならびに関連する方法および組成物、例えば、かかる細胞を選択、使用、および作製する方法、ならびにかかる細胞を調製するための組成物が本明細書で開示される。
本明細書で提供される発明は、遺伝子Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1lのうちの1つまたは複数の複製を有する宿主細胞が、これらの遺伝子のうちの1つまたは複数の複製を有さない対応する宿主細胞と比較して改善された成長特徴を有するということの発見に関する。
一般的技術
本発明の実施は、特記しない限り、当業者の技術範囲内の、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来技術を使用する。かかる技術は、文献、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(Sambrookら、1989)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Methods in Molecular Biology、Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編、1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle、J.B.GriffithsおよびD.G.Newell編、1993~1998)J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編、1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction、(Mullisら編、1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999);Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997);Antibodies(P.Finch、1997);Antibodies:a practical approach (D.Catty.編、IRL Press、1988~1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.ShepherdおよびC.Dean編、Oxford University Press、2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.HarlowおよびD.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999);The Antibodies(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers、1995)中で、ならびに該当する場合には、上記参考文献の後続の版および対応するウェブサイト中で、十分に説明されている。
定義
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語、表記、および他の科学用語または専門用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解される意味を有するものである。一部の場合では、一般に理解されている意味を有する用語は、明確にするためおよび/またはすぐに参照できるようにするために本明細書において定義されており、本明細書にかかる定義を含めることは、当該技術において一般に理解されているものと大きく異なることを表すと必ずしも解釈されない。
以下の用語は、特記しない限り、以下の意味を有すると理解される。
「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域中に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を介して、標的、例えば、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどへの特異的結合が可能な免疫グロブリン分子である。本明細書で使用する場合、この用語は、インタクトなポリクローナルまたはモノクローナル抗体だけでなく、特記しない限り、特異的結合についてインタクトな抗体と競合するその任意の抗原結合部分、抗原結合部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された構成もまた包含する。抗原結合部分には、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd、Fv、ドメイン抗体(dAb、例えば、サメおよびラクダ科抗体)、相補性決定領域(CDR)を含む断片、単鎖可変断片抗体(scFv)、マキシボディ(maxibody)、ミニボディ(minibody)、イントラボディ(intrabody)、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、v-NARおよびbis-scFv、ならびにそのポリペプチドに特異的抗原結合を付与するのに十分な免疫グロブリンの少なくとも一部分を含むポリペプチドが含まれる。抗体には、任意のクラス、例えば、IgG、IgAまたはIgM(またはそのサブクラス)の抗体、および任意の特定のクラスである必要がない抗体が含まれる。その重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンは、異なるクラスに割当てることができる。5つの主要なクラスの免疫グロブリン:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMが存在し、これらのうちいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgAおよびIgAへとさらに分割され得る。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常領域は、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元構成は、周知である。
用語「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、任意の長さのアミノ酸の鎖を指すために、本明細書で相互交換可能に使用される。この鎖は、直鎖でも分岐鎖でもよく、改変されたアミノ酸を含み得、および/または非アミノ酸によって中断され得る。これらの用語は、天然にまたは介入によって改変されたアミノ酸鎖、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作もしくは改変、例えば、標識化構成成分とのコンジュゲーションもまた包含する。例えば、アミノ酸の1つまたは複数のアナログ(例えば、非天然のアミノ酸などを含む)ならびに当該分野で公知の他の改変を含むポリペプチドもまた、この定義内に含まれる。ポリペプチドは、単一の鎖として、または会合した鎖として存在し得ることが理解される。
当該分野で公知のように、「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、本明細書で相互交換可能に使用される場合、任意の長さおよびコンフォメーション(例えば、直鎖または環状)のヌクレオチドの鎖を指し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、改変されたヌクレオチドもしくは塩基、および/またはそれらのアナログ、あるいはDNAまたはRNAポリメラーゼによって鎖中に取り込まれ得る任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、改変されたヌクレオチド、例えば、メチル化されたヌクレオチドおよびそれらのアナログを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する改変は、鎖のアセンブリの前または後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、例えば、標識化構成成分とのコンジュゲーションによって、重合後にさらに改変され得る。他の型の改変には、例えば、「キャップ」、アナログによる、1つまたは複数の天然に存在するヌクレオチドの置換、ヌクレオチド間改変、例えば、非荷電連結(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート(phosphoamidate)、カルバメートなど)および荷電連結(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)によるものなど、ペンダント部分、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジンなど)などを含むもの、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)によるもの、キレーター(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属(oxidative metal)など)を含むもの、アルキル化薬を含むもの、改変された連結によるもの(例えば、アルファアノマー核酸など)、ならびに未改変の形態のポリヌクレオチドが含まれる。さらに、糖中に通常存在するヒドロキシル基のいずれかは、例えば、ホスホネート基、ホスフェート基によって置き換えられ得、標準的な保護基によって保護され得、もしくはさらなるヌクレオチドへのさらなる連結を準備するために活性化され得、または固体支持体にコンジュゲートされ得る。5’および3’末端のOHは、リン酸化され得、または1~20炭素原子のアミンもしくは有機キャップ基部分で置換され得る。他のヒドロキシルもまた、標準的な保護基へと誘導体化され得る。ポリヌクレオチドは、例えば、2’-O-メチル-、2’-O-アリル、2’-フルオロ-または2’-アジド-リボース、炭素環式糖アナログ、アルファ-またはベータ-アノマー糖、エピマー糖、例えば、アラビノース、キシロースまたはリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式アナログおよび無塩基ヌクレオシド(abasic nucleoside)アナログ、例えば、メチルリボシドを含む、当該分野で一般に公知の類似の形態のリボースまたはデオキシリボース糖もまた含み得る。1つまたは複数のホスホジエステル連結は、代替的連結基によって置き換えられ得る。これらの代替的連結基には、ホスフェートが、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR(「アミデート(amidate)」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH(「ホルムアセタール(formacetal)」)によって置き換えられた実施形態が含まれるがこれらに限定されず、式中、各RまたはR’は独立して、H、またはエーテル(-O-)連結、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくはアラルジル(araldyl)を含んでいてもよい置換もしくは未置換のアルキル(1~20C)である。ポリヌクレオチド中の全ての連結が同一である必要はない。前述の説明は、RNAおよびDNAを含む、本明細書で言及される全てのポリヌクレオチドに当てはまる。
本明細書で使用する場合、「ベクター」は、1つまたは複数の目的の遺伝子または配列を送達し、好ましくは、宿主細胞においてそれを発現させることが可能な構築物を意味する。ベクターの例には、ウイルスベクター、ネイキッドDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、カチオン性縮合剤と関連したDNAまたはRNA発現ベクター、リポソーム中に封入されたDNAまたはRNA発現ベクター、ならびに特定の真核生物細胞、例えば産生細胞が含まれるがこれらに限定されない。
本明細書で使用する場合、「組換え」核酸は、天然に存在しないおよび/または合成により製造されたポリヌクレオチド配列を含む核酸分子を指す。例えば、「組換え」核酸は、ベクター配列にカップリングされたタンパク質コード遺伝子を含み得る。タンパク質コード遺伝子の配列は、天然に存在してもよいが、この遺伝子は、ベクター配列と組み合わせては天然に存在しない。言い換えると、「組換え」核酸分子は、分子の一部として、天然に存在する核酸配列を含み得るが、その配列は、(核酸分子配列の全体が天然に存在しないように)別の配列にカップリングされる、および/またはこの分子は、合成により製造される。「組換え」ポリペプチドは、組換え核酸から産生されたポリペプチドを指す。
本明細書で使用する場合、「外因性」核酸は、その導入の前にはその宿主細胞中に存在しなかった、宿主細胞中に(例えば、従来の遺伝子操作法によって、好ましくは、形質転換、エレクトロポレーション、リポフェクションまたはトランスフェクションによって)導入されるまたは導入された組換え核酸分子を指す。一部の状況では、外因性核酸は、宿主細胞中で天然に存在しないヌクレオチド配列を含む。かかる配列は「トランスジェニック」とも呼ばれる。一部の状況では、外因性核酸は、細胞にとって内因性である配列と同じヌクレオチド配列を含み得る(例えば、外因性核酸分子は、宿主細胞にとって内因性である遺伝子のヌクレオチド配列を含み得、その結果、宿主細胞中への外因性核酸分子の導入は、宿主細胞中への遺伝子のさらなるコピーを導入する)。「外因性核酸」は、外因性核酸分子またはそのヌクレオチド配列を指す。
本発明の態様または実施形態が、マーカッシュ群または選択肢の他のグループ分けの観点から記載される場合、本発明は、全体として列挙された群全体だけでなく、その群の各メンバーを個々に、および主群の全ての可能な下位群、群メンバーのうち1つまたは複数が存在しない主群もまた包含する。本発明は、特許請求された発明中の任意の群メンバーのうち1つまたは複数の明示的な排除も想定する。
本明細書および特許請求の範囲を通じて、単語「含む(comprise)」または変化形、例えば、「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」は、述べられた整数または整数の群を含むが、任意の他の整数または整数の群を排除しないことを意味すると理解される。文脈が他を要求しない限り、単数形の用語は複数を含むものとし、複数形の用語は単数を含むものとする。用語「例えば(e.g.)」または「例えば(for example)」の後に記載される任意の例は、網羅的または限定的ではないことを意味する。用語「または」は、複数の選択肢のリストに関して使用される場合(例えば、「A、BまたはC」)、文脈が明らかに他を示さない限り、それらの選択肢のうち任意の1つまたは複数を含むと解釈するものとする。実施形態が「含む」という言葉を用いて本明細書に記載される場合には、「~からなる」および/または「~から本質的になる」の用語で記載される他の点では類似の実施形態もまた提供されることが理解される。
例示的な方法および材料が本明細書に記載されるが、本明細書に記載される方法および材料と類似または等価な方法および材料もまた、本発明の実施または試験において使用され得る。材料、方法および実施例は、例示に過ぎず、限定を意図しない。
1つまたは複数の遺伝子の複製を有する細胞
一態様では、1つまたは複数の遺伝子複製を有する哺乳動物宿主細胞が本明細書で提供される。遺伝子としては、例えば、Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1lが含まれる。また、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞の2番染色体の1つまたは複数の部分の複製を有するCHO細胞も本明細書で提供される。
本明細書で使用する場合、遺伝子の「複製」は、細胞中に通常生じているもの(すなわち、野生型の遺伝子コピー数を有する細胞中に存在しているもの)と比較して1つまたは複数の追加の遺伝子コピーが細胞中に存在している状況を指す。例えば、野生型細胞中の5番染色体当たりに遺伝子XYZのコピーが通常1つ存在する場合、細胞中の5番染色体当たり2つ、3つ、4つ、またはそれを超える遺伝子コピーが存在していれば、遺伝子XYZは細胞中で「複製」されている。一部の状況では、複製した遺伝子は、野生型の遺伝子コピー数を有する対応する細胞の培養物中の細胞当たりに存在する量よりも少なくとも1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、または5倍多くの、目的の複製を有する細胞株の培養物中の細胞当たりの平均量で存在する。同様に、染色体の一部分の複製は、細胞中で通常生じるものと比較して、染色体の一部分の1つまたは複数の追加のコピーが細胞中に存在している状況を指す。本明細書の他の箇所にさらに記載されるように、複製された目的の遺伝子または染色体の部分を有する細胞は、例えば細胞中への複製対象の遺伝子を含む外因性核酸の導入を含む、様々な方法によって、または複製された遺伝子を含む改変された組換え宿主細胞の選択によって、生成することができる。
本明細書で提供される実施形態には、Spire1遺伝子が含まれ得る。Spire1遺伝子は、タンパク質Spireホモログ1をコードする。Spire1は、アクチン核形成因子である。例示的なSpire1遺伝子およびポリペプチドの配列は、UniProt受託番号Q52KF3(マウス)、Q08AE8(ヒト)、およびD3ZEX7(ラット)を介して提供されている。例示的なチャイニーズハムスター(モンゴルキヌゲネズミ(Cricetulus griseus))Spire1のmRNA配列はNCBI受託番号XM_027402695.1で提供されており、ポリペプチド配列は表1の配列番号1に示されている。
本明細書で提供される実施形態は、Nars遺伝子を含み得る。Nars遺伝子は、細胞質性のタンパク質アスパラギン-tRNAリガーゼをコードする(Nars1またはNRSとしても公知である)。Narsは、tRNAへのアスパラギンの結合を触媒する(Asn)。例示的なNars遺伝子およびポリペプチドの配列は、UniProt受託番号Q8BP47(マウス)、O43776(ヒト)、およびF1LPV0(ラット)を介して提供されている。例示的なチャイニーズハムスター(モンゴルキヌゲネズミ(Cricetulus griseus))NarsのmRNA配列はNCBI受託番号XM_016974175.1で提供されており、ポリペプチド配列は表1の配列番号2に示されている。
本明細書で提供される実施形態は、Rps14遺伝子を含み得る。Rps14遺伝子は、40Sリボソームタンパク質S14をコードする。例示的なRps14遺伝子およびポリペプチドの配列は、UniProt受託番号P62264(マウス)、P62263(ヒト)、およびP13471(ラット)を介して提供されている。例示的なチャイニーズハムスター(モンゴルキヌゲネズミ(Cricetulus griseus))Rps14のmRNA配列はNCBI受託番号NM_001244519.1で提供されており、ポリペプチド配列は表1の配列番号3に示されている。
本明細書で提供される実施形態は、Smim3遺伝子を含み得る。Smim3遺伝子は、低分子内在性膜タンパク質3をコードする。例示的なSmim3遺伝子およびポリペプチドの配列は、UniProt受託番号Q99PE5(マウス)、Q9BZL3(ヒト)、およびQ99PE6(ラット)を介して提供されている。例示的なチャイニーズハムスター(モンゴルキヌゲネズミ(Cricetulus griseus))Smim3のmRNA配列はNCBI受託番号XM_027439246.1で提供されており、ポリペプチド配列は表1の配列番号4に示されている。
本明細書で提供される実施形態は、Fem1c遺伝子を含み得る。Fem1c遺伝子は、タンパク質fem-1ホモログCをコードする。Fem1cは、E3ユビキチン-タンパク質リガーゼ複合体の推定構成成分である。例示的なFem1c遺伝子およびポリペプチドの配列は、UniProt受託番号Q8CEF1(マウス)、Q96JP0(ヒト)、およびD3ZZR4(ラット)を介して提供されている。例示的なチャイニーズハムスター(モンゴルキヌゲネズミ(Cricetulus griseus))Fem1cのmRNA配列はNCBI受託番号XM_003506780.4で提供されており、ポリペプチド配列は表1の配列番号5に示されている。
本明細書で提供される実施形態は、Ppic遺伝子を含み得る。Ppic遺伝子は、タンパク質ペプチジル-プロピルシス-トランスイソメラーゼCをコードする。Ppicは、ペプチド中のプロリンイミドペプチド結合のシス-トランス異性化を触媒する。例示的なPpic遺伝子およびポリペプチドの配列は、UniProt受託番号P30412(マウス)、P45877(ヒト)、およびQ6AYQ9(ラット)を介して提供されている。例示的なチャイニーズハムスター(モンゴルキヌゲネズミ(Cricetulus griseus))PpicのmRNA配列はNCBI受託番号XM_007644661.2で提供されており、ポリペプチド配列は表1の配列番号6に示されている。
本明細書で提供される実施形態は、Lmnb1遺伝子を含み得る。Lmnb1遺伝子は、タンパク質lamin-B1をコードする。Lamin-B1は核ラミナの一部分である。例示的なLmnb1遺伝子およびポリペプチドの配列は、UniProt受託番号P14733(マウス)、P20700(ヒト)、およびP70615(ラット)を介して提供されている。例示的なチャイニーズハムスター(モンゴルキヌゲネズミ(Cricetulus griseus))Lmnb1のmRNA配列はNCBI受託番号XM_007623862.2で提供されており、ポリペプチド配列は表1の配列番号7に示されている。
本明細書で提供される実施形態は、Me2遺伝子を含み得る。Me2遺伝子は、ミトコンドリアのタンパク質NAD依存性リンゴ酸酵素(リンゴ酸酵素2としても公知である)をコードする。例示的なMe2遺伝子およびポリペプチドの配列は、UniProt受託番号Q99KE1(マウス)およびP23368(ヒト)を介して提供されている。例示的なチャイニーズハムスター(モンゴルキヌゲネズミ(Cricetulus griseus))Me2のmRNA配列はNCBI受託番号XM_003506799.2で提供されており、ポリペプチド配列は表1の配列番号8に示されている。
本明細書で提供される実施形態は、Pias2遺伝子を含み得る。Pias2遺伝子は、タンパク質E3 SUMOタンパク質リガーゼPIAS2(活性型STAT2のタンパク質阻害剤としても公知である)をコードする。例示的なPias2遺伝子およびポリペプチドの配列は、UniProt受託番号Q8C5D8(マウス)、O75928(ヒト)、およびQ6AZ28(ラット)を介して提供されている。例示的なチャイニーズハムスター(モンゴルキヌゲネズミ(Cricetulus griseus))Pias2のmRNA配列はNCBI受託番号XM_027397933.1で提供されており、ポリペプチド配列は表1の配列番号9に示されている。
本明細書で提供される実施形態は、Sh3rf2遺伝子を含み得る。Sh3rf2遺伝子は、タンパク質E3ユビキチンタンパク質リガーゼSH3RF2(ringフィンガー2を含むSH3ドメインとしても公知である)をコードする。例示的なSh3rf2遺伝子およびポリペプチド配列は、UniProt受託番号Q8BZT2(マウス)、Q8TEC5(ヒト)およびQ498M5(ラット)を介して提供されている。例示的なチャイニーズハムスター(モンゴルキヌゲネズミ(Cricetulus griseus))Sh3rf2のmRNA配列はNCBI受託番号XM_003503277.4で提供されており、ポリペプチド配列は表1の配列番号10に示されている。
Figure 2023535604000002
Figure 2023535604000003
Figure 2023535604000004
一部の実施形態では、CHOの2番染色体の一部分の複製を有する宿主CHO細胞が本明細書で提供される。改善された成長特徴を有する本明細書で提供される宿主細胞において複製され得るCHOの2番染色体の特定の部分は、実施例2および3で記載されている。実施例3で議論されているように、遺伝子Spire1、Nars、Rps14、およびSmim3はCHOの2番染色体のスキャホールド領域NW_020822466.1にあり、遺伝子Fem1c、Ppic、およびLmnb1はCHOの2番染色体のスキャホールド領域NW_020822459.1にあり、遺伝子Me2およびPias2はCHOの2番染色体のスキャホールド領域NW_020822440.1にあり、遺伝子Sh3rf2はCHOの2番染色体のスキャホールド領域NW_020822442.1にある。
改善された成長特徴を有する細胞
一態様では、1つまたは複数の改善された成長特徴を有する哺乳動物宿主細胞が本明細書で提供される。例えば、遺伝子Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1lのうちの1つまたは複数の複製を有する細胞は、これらの遺伝子のうちの1つまたは複数の複製を有さない宿主細胞と比較して1つまたは複数の改善された成長特徴を有する。また、CHOの2番染色体の一部分の複製を有さない宿主細胞と比較して1つまたは複数の改善された成長特徴を有する、CHOの2番染色体の部分の複製を有するCHO細胞も、本明細書で提供される。
本明細書で使用する場合、「成長特徴」は、細胞の成長と互いに関係する、細胞または細胞培養物の特徴を指す。細胞の成長は、例えば、A)細胞数(「細胞の数」としても公知である)、B)細胞の生存度、C)細胞の代謝、D)細胞のサイズ、またはこれらの組合せを測定することによって評価することができる。多くの場合、細胞の成長を評価するときに、細胞培養物の複数の態様が同時に調べられる。例えば、培養された細胞は、細胞培養物における細胞数および細胞の生存度の両方を考慮に入れる「生存細胞密度」について一般に評価される。さらに、細胞の成長は、上記のパラメータのいずれかを一定期間にわたり測定することによって評価することができる。例えば、細胞の成長は、培養物中の細胞数が倍増するためにかかる時間(すなわち「倍加時間」)を測定することによって評価することができる。
細胞は、手動で(例えば血球計を用いて)または自動機器を介して計数することができる。自動セルカウンター機器としては、例えば、Cedex HiResシステム(Roche)、LUNA(商標)(Logos Biosystem)、Nova FLEXアナライザー(Nova Biomedical)、CELLOMETER(商標)自動T4Cell生存度カウンター(Peqlab)、TC10(商標)およびTC20(商標)(Bio-Rad)、COUNTESS(登録商標)自動セルカウンター(Invitrogen)、ならびにVI-CELL(登録商標)細胞生存度アナライザー(Beckman Coulter)が含まれる。細胞はまた、組み込み型のセルカウンターを含む自動バイオリアクターシステム[例えばAMBR(Sartorius)]でも計数することができる。集合的に、自動のセルカウンターシステムおよびバイオリアクターシステムは、本明細書で「セルアナライザー」と呼ばれる。
生存細胞は、当該分野で公知の様々な方法によって同定することができる。例えば、生存細胞は、生細胞または死細胞のいずれかを選択的に結合する色素に細胞を曝露することによって同定することができる。死細胞を染色するが生細胞は染色しない色素としては、トリパンブルー、エオシン、およびプロピジウムが含まれる。生細胞の膜はこれらの色素を排除するが、死細胞の膜は当該色素を排除しない。細胞の生存度を評価するために使用され得るさらなる色素としては、例えば、DNAに結合する色素(例えばエチジウムモノアジド)またはホスファチジルセリンに結合する色素(例えばアネキシンV)が含まれる。
細胞の生存度はまた、生細胞が基質を容易に検出され得る産物(着色産物または蛍光産物など)に変換するアッセイを介して調べることができる。これらのアッセイでは、生成する検出可能な産物の量は、アッセイされる細胞の生存度に比例する。代表的なアッセイとしては、例えば、テトラゾリウム還元アッセイ[例えば、CellTiter 96(登録商標)非放射性細胞増殖アッセイ(Promega);細胞成長決定キット(Sigma-Aldrich);MTT細胞成長アッセイキット(Millipore);CellTiter 96(登録商標)Aqueous One Solution細胞増殖アッセイ(Promega);In Vitro毒性アッセイキット、XTT(Sigma-Aldrich);WST-8ベースの細胞数キット-8(Dojindo Molecular Technologies)]、レサズリン還元アッセイ[例えば、CELLTITER-BLUE(登録商標)細胞生存度アッセイ(Promega);In Vitro毒性アッセイキット、レサズリン(Sigma-Aldrich)]、プロテアーゼ基質アッセイ[例えば、基質グリシルフェニルアラニル-アミノフルオロクマリンを使用するもの(GF-AFC);CELLTITER-FLUOR(商標)細胞生存度アッセイ(Promega)]、ATP/ルシフェラーゼアッセイ[例えば、CELLTITER-GLO(登録商標)発光細胞生存度アッセイ(Promega);ATPLITE(商標)1ステップ(Perkin Elmer);ATP生物発光細胞アッセイキット(Sigma-Aldrich)]が含まれる。
細胞の代謝は、例えば、細胞におけるDNA合成(例えば、BrdUアッセイもしくはEdUアッセイ)、または細胞増殖に関連する核タンパク質(例えば抗Ki67抗体)を調べることができる。
細胞培養物の複数の態様を同時に調べることができる。例えば、一部の実施形態では、セルアナライザーは、細胞数および細胞の生存度を含む複数のパラメータを決定することができる(すなわち、こうして生存細胞の数を決定する)。例えば、自動VI-CELL(商標)細胞生存度アナライザー(Beckman Coulter)は、生存細胞の同定にトリパンブルー染色を使用し、例えば細胞数、細胞のサイズ、パーセント生存度、全細胞密度、および生存細胞密度の自動測定値を提供する。別の実施例では、AMBR(登録商標)(Sartorius)バイオリアクターシステムは、複数の細胞培養物を培養するためのバイオリアクターと、細胞数、細胞の生存度、および代謝産物(ラクテート、グルコースなど)を含む細胞培養物の複数の特徴を評価するためのセンサーおよびセルアナライザーとを組み合わせることができる。別の実施例では、細胞生存度イメージングキット(Sigma)は、カルセイン-AM色素、ヨウ化プロピジウム色素、およびヘキスト33342色素をそれぞれ使用して試料中の生存細胞、死細胞、および全細胞を同時に染色するための試薬を含む。
参照細胞または参照細胞培養物と比較して「改善された成長特徴」(など)を有する細胞または細胞培養物は、かかる細胞または細胞培養物がそれを上回って「改善された成長特徴」を有する参照細胞または参照細胞培養物よりも、上記特徴(すなわち、細胞数、細胞の生存度、細胞の代謝、細胞のサイズ、または関連する特徴)のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つについて、大きい値(または適切な場合には、より小さい値であって、このより小さい値は、より速い成長を示す)を有する。一部の実施形態では、参照細胞または参照細胞培養物よりも「改善された成長特徴」を有する細胞または細胞培養物は、細胞が同じ条件下で同じ期間にわたって培養される場合、参照細胞または参照細胞培養物よりも少なくとも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、100%、200%、300%、または500%大きい全細胞数または生存細胞数を有する。一部の実施形態では、参照細胞または参照細胞培養物よりも「改善された成長特徴」を有する細胞または細胞培養物は、細胞が同じ条件下で同じ期間にわたって培養される場合、参照細胞または参照細胞培養物よりも少なくとも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、100%、200%、300%、または500%大きい全細胞密度または生存細胞密度を有する。一部の実施形態では、参照細胞または参照細胞培養物よりも「改善された成長特徴」を有する細胞または細胞培養物は、細胞が同じ条件下で同じ期間にわたって培養される場合、参照細胞または参照細胞培養物よりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%短い倍加時間を有する(すなわち、改善された成長特徴を有する細胞または細胞培養物は参照細胞または参照細胞培養物よりも短い時間で倍加する)。一部の実施形態では、参照細胞または参照細胞培養物よりも「改善された成長特徴」を有する細胞または細胞培養物は、細胞が同じ条件下で同じ期間にわたって培養される場合、参照細胞または参照細胞培養物よりも少なくとも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、100%、200%、300%、または500%大きいBrdU、Edu、またはKi67シグナル量を有する。
核酸
一部の実施形態では、核酸が本明細書で提供される。核酸は、以下に記載する様々な構成成分および形式を有し得る。
一部の実施形態では、本明細書で提供される細胞(例えば、遺伝子Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1lのうちの1つまたは複数の複製を有する宿主細胞)は、目的のヌクレオチド配列を含み得る。本明細書で使用する場合、「目的のヌクレオチド配列」は、宿主細胞中に導入したいまたはベクター中に存在している任意のヌクレオチド配列を指す。目的のヌクレオチド配列は、外因性核酸中に存在し得る。最も一般的には、目的のヌクレオチド配列は、目的のポリペプチドをコードする、または目的のRNA分子の生成のための鋳型である、DNA配列である。しかし、あるいは、目的のヌクレオチド配列は、例えば、調節性もしくは構造的機能を提供する配列(例えば、プロモーターまたはエンハンサー配列)、またはクローニング目的のための制限酵素配列など、異なる目的を果たす配列(例えば、目的のヌクレオチド配列は、マルチクローニング部位であり得る)であり得る。目的のヌクレオチド配列は、任意のヌクレオチド長のものであり得る。目的のヌクレオチド配列は、DNA配列またはRNA配列であり得る。一部の実施形態では、目的のヌクレオチド配列は、宿主細胞中に内因性に存在しない配列である。一部の実施形態では、目的のヌクレオチド配列は、宿主細胞中に内因性に別々に存在する(即ち、この配列はまた、宿主細胞中に導入された目的のヌクレオチド配列を含む組換え核酸構築物とは別に、宿主細胞中に存在する)。かかる実施形態では、目的のヌクレオチド配列は、例えば、対応する内因性ヌクレオチド配列の比較的低い発現が存在する場合、および細胞におけるヌクレオチド配列の増加した発現を有することが望ましい場合、宿主細胞中に導入され得る。
一部の実施形態では、目的のヌクレオチド配列は、組換えタンパク質(本明細書では「組換えポリペプチド」または「目的のポリペプチド」とも呼ばれる)をコードする。目的のポリペプチドには、例えば、抗体、酵素、ペプチドホルモン、融合タンパク質または検出可能なタンパク質(例えば、蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質)が含まれる。一部の実施形態では、目的のポリペプチドは、ポリペプチドの構造的または機能的に規定された部分、例えば、抗体の断片、例えば、抗体の重鎖、軽鎖もしくは定常領域、または酵素の触媒ドメインであり得る。当業者に理解されるように、ポリペプチドは、上述の型のうち1つよりも多くのものであり得る(例えば、酵素は、検出可能なタンパク質でもあり得る、など)。
一部の実施形態では、目的のヌクレオチド配列は、目的のRNA分子のためのDNA鋳型である。目的のRNA分子には、例えば、CRISPR-cas9システム関連RNA、またはRNAi(干渉RNA)関連分子、例えば、miRNA、siRNAもしくはshRNAが含まれる。
一部の態様では、核酸構築物が、本明細書で提供される。本明細書で提供される「核酸構築物」は、上記ポリヌクレオチドまたは核酸の1つの型である。「核酸構築物」は、上記ポリヌクレオチドまたは核酸の特徴のいずれかを有し得る。典型的には、本明細書で提供される「核酸構築物」は、ポリヌクレオチドを構成するヌクレオチドの鎖内に2つ以上の機能的単位を含む。ヌクレオチド配列中の機能的単位は、特定の機能を有する任意の型の別個のヌクレオチド配列、例えば、目的のヌクレオチド配列、ポリペプチドをコードする遺伝子、調節性配列、組換え配列、または阻害性RNA分子のための鋳型などであり得る。
「組換え標的配列」または「組換え標的部位」は、標的化された組換えのために必要であり、リコンビナーゼと一緒になって標的化された組換えを可能にし、かかる組換えの位置を規定する、ヌクレオチドのストレッチである。本明細書で使用する場合、「組換え標的配列」は、典型的には、宿主細胞中に導入される外因性核酸構築物上の組換え配列を指すために使用され、「組換え標的部位」は、典型的には、宿主細胞染色体中の対応する組換え配列を指すために使用される。組換え標的部位は、宿主細胞ゲノムにとって非ネイティブであり得る(例えば、組換え標的部位は、ランディングパッド配列の一部として、宿主細胞染色体中に導入され得る)。
一部の実施形態では、核酸構築物の一部または全てが、宿主細胞染色体中の対応する部位中に組み込まれ得るように、1つまたは複数の組換え標的配列が、本明細書で提供される核酸構築物中に含まれ得る。
チロシンリコンビナーゼベースの系およびセチンリコンビナーゼベースの系の両方を含む、任意の適切な組換え標的部位、標的配列およびリコンビナーゼの組合せが、本明細書で提供される組成物および方法と共に使用され得る。本明細書で提供される核酸構築物および宿主細胞共に使用され得るリコンビナーゼ(およびそれらの対応する組換え標的配列)には、例えば、Cre、Dre、Flp、KD、B2、B3、λ、HK022、HP1、γδ、ParA、Tn3、Gin、Bxb1、φC31、φBT1およびR4が含まれる。部位特異的リコンビナーゼは、例えば、TuranおよびBode、The FASEB Journal、25(12):4088~107(2011);Nernら、PNAS、108(34):14198~203(2011);ならびにXuら、BMC Biotechnology、13(87)(2013)中に記載されている。
一部の実施形態では、核酸構築物中の目的のヌクレオチド配列(例えば、目的のポリペプチドをコードする遺伝子)は、核酸構築物中の1つまたは複数の調節性遺伝子制御エレメントに連結され得る。ある特定の実施形態では、遺伝子制御エレメントは、目的のヌクレオチド配列の構成的発現を指示する。ある特定の実施形態では、目的のヌクレオチド配列の誘導性発現を提供する遺伝子制御エレメントが使用され得る。誘導性遺伝子制御エレメント(例えば、誘導性プロモーター)の使用は、例えば、遺伝子によってコードされるポリペプチドの産生のモジュレーションを可能にする。真核生物細胞における使用のための潜在的に有用な誘導性遺伝子制御エレメントの非限定的な例には、ホルモン調節型エレメント(例えば、Mader,S.およびWhite,J.H.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5603~5607、1993を参照されたい)、合成リガンド調節型エレメント(例えば、Spencer,D.M.ら、Science 262:1019~1024、1993を参照されたい)および電離放射線調節型エレメント(例えば、Manome,Y.ら、Biochemistry 32:10607~10613、1993;Datta,R.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10149~10153、1992を参照されたい)が含まれる。当該分野で公知のさらなる細胞特異的または他の調節系は、本明細書で提供される方法および組成物に従って使用され得る。
一部の態様では、核酸構築物を含むベクターが、本明細書で提供される。核酸構築物は、本発明の他の箇所に記載される特徴のいずれかを有し得る。
一部の実施形態では、ベクターは、プロモーター配列、方向性クローニング部位、非方向性クローニング部位、制限部位、エピトープタグ、ポリアデニル化配列および抗生物質耐性遺伝子のうち1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、プロモーター配列はヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーターであり、方向性クローニング部位はTOPOであり、エピトープタグは、抗V5抗体を使用した検出のためのV5であり、ポリアデニル化配列は、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ由来であり、抗生物質耐性遺伝子は、ブラストサイジン、ピューロマイシンまたはジェネテシン(G418)である。
本明細書で提供される一部の実施形態では、組換え核酸配列、例えば、プロモーター配列、方向性クローニング部位、エピトープタグをコードする配列、ポリアデニル化配列、抗生物質耐性遺伝子、およびタンパク質コード遺伝子は、核酸構築物およびベクターの両方の一部であり得る。
一部の実施形態では、本明細書で提供されるベクターは、発現ベクターである。発現ベクターは一般に、組換え核酸構築物を含む複製可能なポリヌクレオチド構築物である。発現ベクターは、エピソームとして、または染色体DNAの一体的な部分として、宿主細胞において複製可能でなければならないことが意味される。適切な発現ベクターには、プラスミド、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスを含むウイルスベクター、コスミド、およびPCT出願公開番号WO87/04462に開示された発現ベクターが含まれるがこれらに限定されない。ベクター構成成分には、一般に、以下:シグナル配列、複製起点、1つまたは複数のマーカー遺伝子、適切な転写制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサーおよびターミネーター)のうち1つまたは複数が含まれ得るがこれらに限定されない。発現(即ち、翻訳)のために、リボソーム結合部位、翻訳開始部位および停止コドンなどの、1つまたは複数の翻訳制御エレメントもまた、通常必要とされる。
本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、一本鎖(コードまたはアンチセンス)または二本鎖であり得、DNA(ゲノム、cDNAまたは合成)またはRNA分子であり得る。さらなるコードまたは非コード配列は、本発明のポリヌクレオチド内に存在してもよいが存在する必要はなく、ポリヌクレオチドは、他の分子および/または支持体材料に連結されていてもよいが、連結されている必要はない。本明細書で提供される任意の核酸構築物またはベクター配列に対して相補的なポリヌクレオチドもまた、本発明によって包含される。遺伝子コードの縮重の結果として、本明細書で提供されるポリペプチドをコードする複数のヌクレオチド配列が存在し得ることが、当業者によって理解される。
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の相同性分析は、当該分野で公知の方法(例えば、BLAST)を使用して実施され得る。2つの配列間の比較は、典型的には、配列類似性の局所的領域を同定および比較するために、比較ウインドウにわたってそれらの配列を比較することによって実施される。好ましくは、パーセント相同性または配列同一性は、少なくとも20個の位置の比較のウインドウにわたって、2つの最適にアラインされた配列を比較することによって決定され、このとき、比較ウインドウ中のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適なアラインメントのために、参照配列(付加も欠失も含まない)と比較して、20パーセント以下、通常は5~15パーセント、または10~12パーセントの付加または欠失(即ち、ギャップ)を含み得る。百分率は、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列中に存在する位置の数を決定して、一致した位置の数を得、参照配列中の位置の総数(即ち、ウインドウサイズ)によって、一致した位置の数を除算し、結果に100を乗算して配列同一性の百分率を得ることによって計算される。
本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、化学的合成、組換え法またはPCRを使用して取得され得る。化学的ポリヌクレオチド合成の方法は、当該分野で周知であり、本明細書で詳細に記載する必要はない。当業者は、所望のDNA配列を産生するために、本明細書で提供される配列および市販のDNA合成機を使用できる。
組換え法を使用してポリヌクレオチドを調製するために、本明細書でさらに議論されるように、所望の配列を含むポリヌクレオチドは、適切なベクター中に挿入され得、ベクターは次に、複製および増幅に適切な宿主細胞中に導入され得る。ポリヌクレオチドは、当該分野で公知の任意の手段によって、宿主細胞中に挿入され得る。細胞は、直接的取込み、エンドサイトーシス、トランスフェクション、F-接合またはエレクトロポレーションによって外因性ポリヌクレオチドを導入することによって形質転換される。いったん導入されると、外因性ポリヌクレオチドは、非組み込みベクター(例えば、プラスミド)として細胞内で維持され得、または宿主細胞ゲノム中に組み込まれ得る。そうして増幅されたポリヌクレオチドは、当該分野で周知の方法によって、宿主細胞から単離され得る。例えば、Sambrookら、1989を参照されたい。
あるいは、PCRは、DNA配列の複製を可能にする。PCR技術は、当該分野で周知であり、米国特許第4,683,195号、同第4,800,159号、同第4,754,065号および同第4,683,202号、ならびにPCR:The Polymerase Chain Reaction、Mullisら編、Birkauswer Press、Boston、1994中に記載されている。
RNAは、単離されたDNAを適切なベクター中で使用し、それを適切な宿主細胞中に挿入することによって取得され得る。細胞が複製し、DNAがRNAに転写されると、このRNAは、次いで、例えば、Sambrookら、1989、上記に示されるような、当業者に周知の方法を使用して単離され得る。
適切なクローニングベクターは、標準的な技術に従って構築され得、または当該分野で入手可能な多数のクローニングベクターから選択され得る。選択されるクローニングベクターは、使用が意図される宿主細胞に従って変動し得るが、有用なクローニングベクターは一般に、自己複製する能力を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼに対する単一の標的を有し得、および/またはベクターを含むクローンを選択する際に使用され得るマーカーの遺伝子を有し得る。適切な例には、プラスミドおよび細菌ウイルス、例えば、限定なしに、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)およびその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにシャトルベクター、例えば、pSA3およびpAT28が含まれる。これらおよび多くの他のクローニングベクターは、BioRad、StrategeneおよびInvitrogenなどの供給業者から入手可能である。
宿主細胞
本明細書で使用する場合、用語「宿主細胞」は、本明細書で提供される組換え核酸を有する、またはかかる核酸のレシピエントであり得る、細胞または細胞培養物を指す。宿主細胞には、単一の宿主細胞の子孫が含まれる。
一部の実施形態では、宿主細胞は、そのゲノム中(例えば、染色体中)の位置に安定に組み込まれた組換え核酸を有し得る。一部の実施形態では、宿主細胞中の組換え核酸は、宿主細胞のゲノム中に安定に組み込まれない-例えば、組換え核酸は、宿主細胞中でプラスミド中に存在し得る。
本開示の文脈では、「細胞」は、好ましくは哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞は、例えば、イヌ細胞(例えば、Madin-Darbyイヌ腎臓上皮(MDCK)細胞)、霊長類細胞、ヒト細胞(例えば、ヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞)、マウス細胞またはハムスター細胞であり得る。一部の実施形態では、ハムスター細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。任意選択により、CHO細胞は、CHOK1、CHOK1 SV細胞(Porter,AJら、Biotechnol Prog.26(2010)、1455~1464)、または別のCHO細胞株であり得る。一部の実施形態では、哺乳動物細胞は、BALB/cマウス骨髄腫細胞、ヒト網膜芽細胞(PER.C6)、サル腎臓細胞、ヒト胎児由来腎臓細胞(293)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞(CERO-76)、HeLa細胞、バッファローラット肝臓細胞、ヒト肺細胞、ヒト肝臓細胞、マウス乳癌細胞、TRI細胞、MRC 5細胞、FS4細胞またはヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)である。一部の実施形態では、細胞は、非哺乳動物細胞(例えば、昆虫細胞または酵母細胞)である。
一部の実施形態では、目的のヌクレオチド配列を含む組換え核酸を含み、遺伝子Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1lのうちの1つまたは複数の複製を有する宿主細胞が、本明細書で提供される。また、関連する組成物および細胞を作製する方法も本明細書で提供される。
一部の実施形態では、Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1l遺伝子のうちの1つまたは複数を含む1つまたは複数の核酸構築物を受け取った宿主細胞が本明細書で提供される。
一部のさらなる態様では、1つまたは複数の外因性Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1l遺伝子を受け取っていないが、その内因性Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、またはSeh1l遺伝子が対応する非改変細胞中よりも高い発現を有するように遺伝子改変された宿主細胞もまた、本明細書で提供される。例えば、一部の実施形態では、組換えプロモーター配列は、導入されると、内因性Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、またはSeh1l遺伝子に作動可能に連結され、それぞれの内因性Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、またはSeh1l遺伝子の増加した発現を引き起こすように、宿主細胞ゲノム中に導入され得る。
細胞中へのポリヌクレオチドの導入
本明細書で提供されるポリヌクレオチド(例えば、核酸構築物、ベクターなど)は、例えば、エレクトロポレーション、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストランまたは他の物質を使用するトランスフェクション、微粒子銃、リポフェクション、および感染(例えば、ベクターが、ワクシニアウイルスなどの感染性因子である場合)を含むいくつかの適切な手段のいずれかによって、宿主細胞中に導入され得る。宿主細胞中へのポリヌクレオチドの導入のための方法の選択は、宿主細胞の特色に依存する場合が多い。
哺乳動物宿主細胞中に、目的のタンパク質の発現を達成するのに十分な核酸を導入するのに適切な方法は、当該分野で公知である。例えば、その各々が本明細書で参照によって組み込まれる、Gethingら、Nature、293:620~625、1981;Manteiら、Nature、281:40~46、1979;Levinsonら EP 117,060;およびEP 117,058を参照されたい。哺乳動物細胞について、哺乳動物細胞中に遺伝材料を導入する一般的な方法には、Grahamおよびvan der Erb(Virology、52:456~457、1978)のリン酸カルシウム沈殿方法またはlipofectamine(商標)(Gibco BRL)Method of Hawley-Nelson(Focus 15:73、1993)が含まれる。哺乳動物細胞宿主系の形質転換の一般的態様は、1983年8月16日に発行した米国特許第4,399,216号においてAxelによって記載されている。哺乳動物細胞中に遺伝材料を導入するための種々の技術については、Keownら、Methods in Enzymology、1989、Keownら、Methods in Enzymology、185:527~537、1990およびMansourら、Nature、336:348~352、1988を参照されたい。核酸を導入するのに適切なさらなる方法には、例えば、BioRad(商標)によるGenePulser XCell(商標)エレクトロポレーターまたはThermoFisherによるNeon Electroporationを使用して採用されるエレクトロポレーションが含まれる。哺乳動物細胞におけるタンパク質の発現に適切なベクターの比限定的な代表例には、以下のものが含まれ、その各々の全体は、本明細書で参照によって組み込まれる:pCDNA1;pCD、Okayamaら、Mol.Cell Biol.5:1136~1142、1985を参照;pMClneo Poly-A、Thomasら、Cell 51:503~512、1987を参照;バキュロウイルスベクター、例えば、pAC 373またはpAC 610;CDM8、Seed,B.Nature 329:840、1987を参照;およびpMT2PC、Kaufmanら、EMBO J.6:187~195、1987を参照。
所望のポリヌクレオチドの送達および所望の細胞における発現のためのウイルスベースのベクターは、当該分野で周知である。例示的なウイルスベースのビヒクルには、組換えレトロウイルス(例えば、PCT出願公開番号WO90/07936、WO94/03622、WO93/25698、WO93/25234、WO93/11230、WO93/10218、WO91/02805、米国特許第5,219,740号および同第4,777,127号、英国特許第2,200,651号、および欧州特許第0345242号を参照されたい)、アルファウイルスベースのベクター(例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR-67、ATCC VR-1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR-373、ATCC VR-1246)およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR-923、ATCC VR-1250、ATCC VR 1249、ATCC VR-532))、ならびにアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、PCT出願公開番号WO94/12649、WO93/03769、WO93/19191、WO94/28938、WO95/11984およびWO95/00655を参照されたい)が含まれるがこれらに限定されない。Curiel、Hum.Gene Ther.、1992、3:147に記載されるような、死滅アデノウイルスに連結されたDNAの投与もまた使用され得る。
死滅アデノウイルス単独に連結されたまたは連結されていないポリカチオン性縮合DNA(例えば、Curiel、Hum.Gene Ther.、1992、3:147を参照されたい)、リガンド連結したDNA(例えば、Wu,J. Biol.Chem.、1989、264:16985を参照されたい)、真核生物細胞送達ビヒクル細胞(例えば、米国特許第5,814,482号、PCT出願公開番号WO95/07994、WO96/17072、WO95/30763、およびWO97/42338を参照されたい)および核荷電中和(nucleic charge neutralization)または細胞膜との融合が含まれるがこれらに限定されない、非ウイルス性の送達ビヒクルおよび方法もまた使用され得る。
ネイキッドDNAもまた使用され得る。例示的なネイキッドDNA導入法は、PCT出願公開番号WO90/11092および米国特許第5,580,859号に記載されている。遺伝子送達ビヒクルとして作用し得るリポソームは、米国特許第5,422,120号、PCT出願公開番号WO95/13796、WO94/23697、WO91/14445、およびEP 0524968に記載されている。さらなるアプローチは、Philip、Mol.Cell Biol.、1994、14:2411およびWoffendin、Proc.Natl.Acad.Sci.、1994、91:1581に記載されている。ネイキッドDNAは、DNAおよびリン酸カルシウムを含む沈殿物を形成することによって、細胞中に導入され得る。あるいは、ネイキッドDNAは、DNAおよびDEAE-デキストランの混合物を形成し、この混合物を細胞と共にインキュベートすること、または細胞およびDNAを適切な緩衝液中で一緒にインキュベートし、(例えば、エレクトロポレーションによって)細胞を高電圧電気パルスに供することによっても、細胞中に導入され得る。ネイキッドDNAは、例えば、マイクロインジェクションによって、細胞中に直接注入することもできる。あるいは、ネイキッドDNAは、細胞表面受容体に対するリガンドにカップリングされたポリリジンなどのカチオンにDNAを複合体化させることによって、細胞中に導入することもできる(例えば、その各々の全体が本明細書で参照によって組み込まれる、Wu,G.およびWu,C.H. J.Biol.Chem.263:14621、1988;Wilsonら J.Biol.Chem.267:963~967、1992;ならびに米国特許第5,166,320号を参照されたい)。受容体へのDNA-リガンド複合体の結合は、受容体媒介性のエンドサイトーシスによるDNAの取込みを促進する。
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、宿主細胞中に安定に導入される。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、宿主細胞中に一過的に導入される。
宿主細胞染色体中への核酸の組み込み
ポリヌクレオチドが宿主細胞中に安定に導入される本明細書で提供される実施形態(例えば、ポリヌクレオチドが宿主細胞染色体中に組み込まれる状況)では、ポリヌクレオチドは、宿主細胞の染色体中にランダムに組み込まれ得、またはポリヌクレオチドは、宿主細胞の染色体中の特定の位置において組み込まれ得る。これらのアプローチは、本明細書で、それぞれ、「ランダム組み込み」または「部位特異的組み込み(「SSI」)」と呼ばれ得る。
ランダム組み込みについて、典型的には、組換え核酸構築物が各々、少なくとも1つの目的のヌクレオチド配列、および少なくとも1つの選択マーカー(例えば、抗生物質耐性をコードする遺伝子)を含む、1つまたは複数の組換え核酸構築物が調製される。例えば、遺伝子Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1lのうちの1つまたは複数および選択マーカーを含む核酸構築物が調製され得る。一部の実施形態では、遺伝子Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1lのうちの1つまたは複数を含む第1の核酸構築物が調製され、遺伝子Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1lのうちの1つまたは複数を含む第2の核酸構築物が調製され、ここで、第1の構築物中の遺伝子は第2の構築物中の遺伝子と異なる。
遺伝子Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1lのうちの1つまたは複数を含むポリヌクレオチドの調製後、ポリヌクレオチドは宿主細胞中に導入され得る。ポリヌクレオチドが組み込まれた宿主細胞が、例えば、構築物中の抗生物質耐性遺伝子がそれに対して耐性を付与する抗生物質に対する耐性によって、選択され得る。一般に、目的の遺伝子を含むポリヌクレオチドが細胞集団中に導入され、細胞が、関連する選択マーカーシステム(例えば抗生物質耐性)を介して選択された後に、1つまたは複数のSpire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1l遺伝子を含むポリヌクレオチドの異なる数のコピーを含む、ならびに細胞の染色体中にポリヌクレオチドの異なる位置の組み込みを含む、細胞の不均一な集団(本明細書で細胞の「プール」とも呼ばれる)が存在し得る。任意選択により、この細胞プール由来の個々の細胞は、選別および単離され得、異なる細胞の個々の均一な細胞株集団が樹立され得る(本明細書で細胞株「クローン」とも呼ばれる)。あるいは、一部の実施形態では、1つまたは複数の外因性Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1l遺伝子を含む細胞の不均一なプールも維持され得る。いずれかの型の上記細胞集団(例えば、均一または不均一な集団)が、本明細書に記載される種々の方法(例えば、タンパク質産生)のために使用され得る。
一部の実施形態では、ランダム組み込みのための核酸構築物は、直鎖ポリヌクレオチドであり得る。一部の実施形態では、直鎖構造は、(例えば、PCRまたは化学的ポリヌクレオチド合成による)直鎖分子の合成によって生成され得る。一部の実施形態では、直鎖構造は、直鎖核酸分子を生成するための(例えば、制限酵素による)環状ベクターの切断によって生成され得る。
一部の実施形態では、細胞の染色体中に組み込まれた本明細書で提供される1つまたは複数の核酸構築物を含む宿主細胞が、本明細書で提供される。例えば、一部の実施形態では、細胞の染色体中に組み込まれた目的のヌクレオチド配列および遺伝子Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、またはSeh1lのうちの1つまたは複数を含む組換え核酸構築物を含む宿主細胞が、本明細書で提供される。
部位特異的組み込みについて、一部の実施形態では、規定された染色体遺伝子座において「ランディングパッド」を含む宿主細胞が使用される。ランディングパッドは、染色体中に安定に組み込まれている、1つまたは複数の組換え標的部位を含む外因性ヌクレオチド配列を含む。ランディングパッド中の組換え標的部位に対応する1つまたは複数の組換え標的配列を含む外因性核酸構築物が宿主細胞中に導入される場合、外因性核酸構築物中の発現カセットは、(例えば、リコンビナーゼ媒介カセット交換(RMCE)を介して)ランディングパッド配列中に組み込まれ得るまたはランディングパッド配列を置き換え得る。一部の実施形態では、部位特異的組み込みシステムは、例えば、全ての目的のために本明細書で参照によって組み込まれるZhang Lら、Biotechnology Progress、31(6):1645~1656、2015年10月13日;Inniss,Mら、Biotechnology Bioengineering、114(8):1837~1846、2017年3月14日;または国際出願公開番号WO2013/190032において記載されているように使用することができる。
一部の実施形態では、宿主細胞株中のランディングパッドは、宿主細胞のゲノム中の「ホットスポット」に位置し得る。本明細書で使用する場合、用語「ホットスポット」は、その部位において組み込まれた遺伝子(単数または複数)の安定な高い発現を提供する、宿主細胞のゲノム中の部位を意味する。
SSIのためのランディングパッドを含む細胞は、本明細書で「SSI宿主細胞」とも呼ばれ得る。本明細書で使用する場合、「SSI宿主細胞」は、少なくとも1つの組換え標的部位(例えば、ランディングパッド)を含む外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を指す。宿主細胞中の組換え標的部位は、宿主細胞のゲノム中への外因性ヌクレオチド配列の部位特異的組み込みを可能にし、したがって、宿主細胞のゲノム中の所望の場所における所望のヌクレオチド配列の所定の局在化され指示された組み込みを可能にする。したがって、一部の実施形態では、部位特異的組み込み宿主細胞は、宿主細胞の染色体中への本明細書に記載される組換え核酸構築物(またはその中の発現カセット)の標的化された組み込みが可能である。一部の実施形態では、部位特異的組み込み宿主細胞は、組換え媒介カセット交換(RMCE)による発現カセットの標的化された組み込みが可能である。
上記のような、宿主細胞ゲノム中への外因性核酸構築物の組換えが関与する本明細書で提供される組成物および方法について、リコンビナーゼもまた宿主細胞中に存在し、または宿主細胞中に導入される。外因性核酸構築物を導入することが関与する本明細書で提供される方法は、宿主細胞中に、リコンビナーゼをコードする遺伝子を導入することを含み得る。
一部の実施形態では、細胞の染色体中の特定の位置中に組み込まれた外因性組換え核酸構築物を含む宿主細胞が、本明細書で提供される。核酸構築物は、本明細書で提供される核酸構築物の特性のいずれかを有し得る。
組換えタンパク質
別の態様では、本明細書で提供される組成物および方法を介して産生される組換えタンパク質(本明細書で「組換えポリペプチド」とも呼ばれる)が本明細書で提供される。例えば、本明細書で提供される組換え核酸構築物の構成成分である目的のヌクレオチド配列によってコードされる組換えタンパク質が本明細書で提供される。
宿主細胞において発現可能な任意のポリペプチドは、本発明の教示に従って産生され得、本発明の方法に従って、または本発明の細胞によって産生され得る。ポリペプチドは、天然に存在するアミノ酸配列を有し得、またはあるいは、人によって操作もしくは選択された配列を有し得る。
本発明に従って発現されることが望まれ得るポリペプチドは、興味深いまたは有用な生物学的または化学的活性に基づいて選択される場合が多い。例えば、本発明は、任意の薬学的にまたは商業的に適切な酵素、受容体、抗体、ホルモン、調節因子、抗原、結合因子などを発現させるために使用され得る。一部の実施形態では、培養物中の細胞によって発現されるタンパク質は、抗体もしくはその断片、ナノボディ、単一ドメイン抗体、糖タンパク質、治療的タンパク質、増殖因子、凝固因子、サイトカイン、融合タンパク質、医薬薬物物質、ワクチン、または酵素から選択される。当業者は、任意のタンパク質が本発明に従って発現され得ることを理解する。
発現されたタンパク質の単離
一般に、本発明に従って発現されたタンパク質を単離および/または精製することが、典型的には望ましい。ある特定の実施形態では、発現されたタンパク質は、培地中に分泌され、したがって、細胞および他の固形物は、例えば、精製プロセス中の第1のステップとして、遠心分離または濾過などによって除去され得る。あるいは、発現されたタンパク質は、細胞中に残存し得、または宿主細胞の表面に結合され得る。かかる状況では、培地は除去され得、タンパク質を発現する宿主細胞は、精製プロセス中の第1のステップとして溶解される。哺乳動物宿主細胞の溶解は、ガラスビーズによる物理的破壊および高pH条件への曝露を含む、当業者に周知の任意の数の手段によって達成され得る。
発現されたタンパク質は、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティ、サイズ排除およびヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー)、ゲル濾過、遠心分離もしくは示差的溶解度、エタノール沈殿が含まれるがこれらに限定されない標準的な方法によって、および/またはタンパク質の精製のための任意の他の利用可能な技術によって、単離および精製され得る(例えば、その各々が本明細書で参照によって組み込まれる、Scopes、Protein Purification Principles and Practice 第2版、Springer-Verlag、New York、1987;Higgins,S.J.およびHames,B.D.(編)、Protein Expression:A Practical Approach、Oxford Univ Press、1999;ならびにDeutscher,M.P.、Simon,M.I.、Abelson,J.N.(編)、Guide to Protein Purification:Methods in Enzymology(Methods in Enzymology Series、182巻)、Academic Press、1997を参照されたい)。特に免疫親和性クロマトグラフィーについて、タンパク質は、そのタンパク質に対して惹起され静置支持体に固定された抗体を含むアフィニティカラムにそのタンパク質を結合させることによって単離され得る。あるいは、親和性タグ、例えば、インフルエンザコート配列、ポリヒスチジンまたはグルタチオン-S-トランスフェラーゼが、適切なアフィニティカラムを通過させることによる容易な精製を可能にするために、標準的な組換え技術によってタンパク質に結合され得る。プロテアーゼ阻害剤、例えば、フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、ロイペプチン、ペプスタチンまたはアプロチニンが、精製プロセスの間のタンパク質の分解を低減または排除するために、任意のまたは全ての段階で添加され得る。プロテアーゼ阻害剤は、発現されたタンパク質を単離および精製するために細胞が溶解される必要がある場合、特に有利である。
細胞培養および細胞培養培地
用語「培地(medium)」、「培地(media)」などは、本明細書で使用する場合、成長中の哺乳動物細胞に栄養分を与える構成成分または栄養素を含む溶液を指す。典型的には、栄養素には、最低限の成長および/または生存のために細胞が必要とする、必須および非必須アミノ酸、ビタミン、エネルギー源、脂質ならびに微量元素が含まれる。かかる溶液は、ホルモンおよび/もしくは他の増殖因子、特定のイオン(例えば、ナトリウム、塩化物、カルシウム、マグネシウムおよびリン酸)、緩衝液、ビタミン、ヌクレオシドもしくはヌクレオチド、微量元素(非常に低い最終濃度で通常存在する無機化合物)、高い最終濃度で存在する無機化合物、アミノ酸、脂質ならびに/またはグルコースもしくは他のエネルギー源が含まれるがこれらに限定されない、最小速度を上回って成長および/または生存を増強するさらなる栄養素または補足的構成成分もまた含み得る。一部の実施形態では、培地は、有利には、細胞の生存および増殖にとって最適なpHおよび塩濃度になるように製剤化される。一部の実施形態では、培地は、細胞培養の開始後に添加される供給培地である。
広範な種々の哺乳動物成長培地が、本発明に従って使用され得る。一部の実施形態では、細胞は、種々の化学的に規定された培地のうち1つにおいて成長され得、この培地の構成成分は、公知であり、管理されている。一部の実施形態では、細胞は、培地の構成成分が必ずしも全て公知ではないかおよび/または管理されていない複合的な培地中で成長させることもできる。
哺乳動物細胞培養のための化学的に規定された成長培地は、過去数十年間にわたって幅広く開発され、公開されている。規定された培地の全ての構成成分は、十分に特徴付けられており、したがって、規定された培地は、血清または加水分解産物などの複雑な添加物を含まない。初期の培地製剤は、タンパク質産生についてほとんどまたは全く気にせずに、細胞の成長および生存度の維持を可能にするために開発されたものである。より最近では、培地製剤は、高度に生産的な組換えタンパク質産生細胞培養物を支持するという明確な目的をもって開発されている。かかる培地は、本発明の方法における使用に好ましい。かかる培地は、一般に、高密度での細胞の成長および/または維持を支持するために、高い量の栄養素、特にアミノ酸を含む。必要に応じて、これらの培地は、本発明の方法における使用のために、当業者によって改変され得る。例えば、当業者は、本明細書で開示される方法における基本培地または供給培地としての使用のために、これらの培地中のフェニルアラニン、チロシン、トリプトファンおよび/またはメチオニンの量を減少させ得る。
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物には、細胞培養物および細胞培養培地が関与する。用語「培養物」および「細胞培養物」は、本明細書で使用する場合、細胞集団の生存および/または成長に適切な条件下で培地中にある細胞集団を指す。当業者に明らかなように、一部の実施形態では、これらの用語は、本明細書で使用する場合、細胞集団および集団がその中に存在する培地を含む組合せを指す。一部の実施形態では、細胞培養物の細胞は、哺乳動物細胞を含む。一部の実施形態では、細胞培養物は、懸濁物中の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞培養物は、基材上で成長した細胞を含む。
一部の実施形態では、本明細書で提供される組換え核酸構築物を含む本明細書で提供される宿主細胞は、目的のヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質を産生するために使用され得る。同様に、本明細書で提供されるように、本明細書で提供される方法および組成物は、目的のヌクレオチド配列を含む宿主細胞を取得するために使用され得、かかる目的のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドが、産生および精製され得る。さらに、かかる宿主細胞は、生成および培養され得る。
本発明は、所望のプロセス(例えば、本明細書で提供される方法に従う組換え核酸構築物の導入、および組換えタンパク質(例えば、抗体)の産生)に適した任意の細胞培養法と共に使用され得る。非限定的な例として、細胞は、バッチまたは流加培養で成長され得、この場合、培養は、組換えタンパク質(例えば、抗体)の十分な発現後に終結され、その後、発現されたタンパク質(例えば、抗体)が収集される。あるいは、別の非限定的な例として、細胞は、バッチ再供給(batch-refeed)で成長され得、この場合、培養は終結されず、新たな栄養素および他の構成成分が、培養物に周期的または継続的に添加され、その間、発現された組換えタンパク質(例えば、抗体)は、周期的または継続的に収集される。他の適切な方法(例えば、スピンチューブ)培養)が、当該分野で公知であり、本発明を実施するために使用され得る。
一部の実施形態では、凍結乾燥製剤または水溶液の形態の、本明細書で提供される方法に従って宿主細胞から産生されたポリペプチド、および1種または複数の薬学的に許容できる担体、賦形剤または安定剤を含む組成物が、本明細書で提供される(Remington:The Science and practice of Pharmacy 第20版、2000、Lippincott Williams and Wilkins、K.E.Hoover編)。許容できる担体、賦形剤または安定剤は、その投薬量および濃度においてレシピエントにとって非毒性であり、緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコールもしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルパラベンもしくはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリジン;グルコース、マンノースもしくはデキストランを含む、単糖、二糖および他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール;塩形成性対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(登録商標)、PLURONIC(登録商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含み得る。
方法
一部の態様では、本明細書で提供される宿主細胞を選択する方法、本明細書で提供される宿主細胞を調製する方法、および本明細書で提供される組換えタンパク質を産生するための方法が、本明細書で提供される。
一部の実施形態では、遺伝子Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、およびSh3rf2のうちの1つまたは複数の複製を有する宿主細胞は、これらの遺伝子のうちの少なくとも1つの複製について細胞をアッセイすることによって選択することができる。細胞中の遺伝子コピー数を同定するための方法は、当該分野で公知である。例えば、遺伝子コピー数は、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、マイクロアレイベースのシステム、全エキソームシーケンシング、および全ゲノムシーケンシングを介して決定することができる。例えば、Zare,F.ら、BMC Bioinformatics 18、286(2017)を参照されたい。
一部の実施形態では、遺伝子Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、およびSh3rf2のうちの1つまたは複数の複製を有する宿主細胞は、これらの遺伝子からのmRNA発現について細胞をアッセイすることによって選択することができる。相対的RNA発現レベルは、対応する遺伝子のコピー数の指標を提供し得る。RNA発現は、定量PCR、マイクロアレイ、RNAシーケンシング(全トランスクリプトームシーケンシングを含む)などの、当該分野で知られている方法によって分析することができる。例えば、Soneson CおよびDelorenzi M、BMC Binformatics、14、91(2013)を参照されたい。
一部の実施形態では、目的のヌクレオチド配列を含む外因性核酸をこれまでにトランスフェクトされている宿主細胞を、遺伝子Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1lのうちの1つもしくは複数またはCHOの2番染色体の一部分の複製についてアッセイすることができる。かかる複製を有する細胞を次いで、さらなる分析および/または下流プロセスでの使用のために選択してもよい。
一部の実施形態では、遺伝子Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1lのうちの1つまたは複数の複製を有する宿主細胞は、核酸の調製および宿主細胞中へのかかる核酸の導入のための本明細書で記載されるプロセスによって調製することができる。
一部の実施形態では、組換えタンパク質を産生するための方法が本明細書で提供される。かかる方法に従うと、本明細書で提供される細胞(本明細書で提供される方法に従って選択されたまたは本明細書で提供される方法に従って調製された細胞を含む)を、例えば、宿主細胞中の外因性核酸によってコードされる組換えタンパク質の発現のために、使用することができる。
一部の実施形態では、本明細書で提供される組成物および方法は、全ての目的のために本明細書で参照によって組み込まれるPCT/IB2016/055666に開示された組成物および方法と組み合わせて使用され得る。
当業者は、正確な精製技術が、精製されるタンパク質の特徴、タンパク質が発現される細胞の特徴、および/または細胞が成長した培地の組成に依存して変動することを理解する。
米国仮特許出願第62/706,075号(2020年7月30日出願)の内容は、全ての目的のために本明細書で参照によって組み込まれる。
特許、特許出願、論文、教科書などを含む、本明細書で引用された全ての参考文献、およびそれらの中で引用された参考文献は、まだ引用されていない範囲まで、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。定義された用語、用語の用法、記載された技術などが含まれるがこれらに限定されない、組み込まれた文献および同様の資料のうち1つまたは複数が、本出願とは異なる場合または本出願と矛盾する場合には、本出願が支配する。
開示された教示は、種々の適用、方法、キットおよび組成物に関して記載されてきたが、種々の変化および改変が、本明細書の教示および以下の特許請求された本発明から逸脱することなしになされ得ることが理解される。上述の実施例は、開示された教示をよりよく説明するために提供されるのであって、本明細書に提示された教示の範囲を限定する意図はない。本明細書の教示は、これらの例示的な実施形態に関連して記載されてきたが、当業者は、これらの例示的な実施形態の多数のバリエーションおよび改変が、過度の実験なしに可能であることを容易に理解する。全てのかかるバリエーションおよび改変は、本明細書の教示の範囲内である。
以下の実施例は、例示目的のためにのみ提供され、本発明の方法を限定することは決して意図しない。実際、本明細書に示され記載されるものに加えた、本発明の種々の改変は、上述の説明から当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲の範囲内に入る。
(実施例1)
異なる成長特徴を有する同一の親細胞株からの異なるクローン細胞集団の同定
この実施例では、同一の親細胞株に由来する異なるクローン細胞集団を同定した。クローン細胞集団は、同一の親細胞株に由来しているが、異なる成長特徴を有している。
(実施例1a)mAb1を含む親細胞株CHO細胞株1に由来するクローン
社内製のファイザー宿主CHO細胞株1(CHOK1誘導体)に、モノクローナル抗体(「mAb1」)をコードするポリヌクレオチドをトランスフェクトして、この実施例で「親細胞株CHO1」と呼ばれる、mAb1を安定的に発現する細胞株を樹立した。
親細胞株CHO1から、「T3-6」、「T3-9」、および「T3-11」という3つの別々のクローン細胞株集団を樹立した。3つのクローン細胞株は同様に処理し、親細胞株CHO1と比較して遺伝子操作しなかった。3つのクローン細胞株全てをCD CHO培地(ThermoFischer/Gibco)中で週に2回継代して、世代を増やした。3つの細胞株全てについて、凍結保存バンクを25世代目(25gen)および100世代目(100gen)で樹立した。
クローン細胞株「T3-6」、「T3-9」、および「T3-11」の表現型の安定性を評価するために、25genおよび100gen凍結保存バンク由来の凍結保存細胞を同時に解凍し、同じ培養条件下で3回継代し、その後、AMBR(登録商標)バイオリアクターシステム(Sartorius)を使用して標準的な流加細胞培養物プロセスで培養した。
25genおよび100gen凍結保存バンク由来の異なるクローン細胞株についての成長のデータを以下で表2に示す。0日目は細胞培養の開始日である。表に示されるように、T3-6 25genのピーク生存細胞密度は、25genのT3-9およびT3-11のピーク生存細胞密度よりも顕著に低かった。例えば、7日目に、T3-6 25genのクローン細胞は178.16×10/mlの生存細胞密度(VCD)を有しており、一方、T3-9 genおよびT3-11 genは、それぞれ296.775×10/mlおよび289.175×10/mlのVCDを有していた。100世代目では、T3-6 100genのピーク細胞密度は、25genのT3-9およびT3-11のピーク細胞密度に匹敵するレベルまで増大したが、一方、細胞株T3-9およびT3-11の25genおよび100genの間で成長の変化は検出されなかった。
Figure 2023535604000005
(実施例1b)親細胞株:mAb2を含むCHO2に由来するクローン
社内製のファイザー宿主CHO細胞株2(CHOK1誘導体)に、モノクローナル抗体(「mAb2」)をコードするポリヌクレオチドをトランスフェクトして、この実施例で「親細胞株CHO2」と呼ばれる、mAb2を安定的に発現する細胞株を樹立した。
親細胞株CHO2から、「C15」および「C32」という2つの別々のクローン細胞株集団を樹立した。2つのクローン細胞株を同様に処理し、親細胞株CHO2と比較して遺伝子操作しなかった。同一の世代で、C15およびC32クローン細胞集団を、AMBR(登録商標)バイオリアクターシステム(Sartorius)を使用する標準的な流加細胞培養物プロセスで別々に成長させた(それぞれ、3つの別々の容器中で3回)。
C15およびC32クローン細胞株についての成長データを以下で表3に示す。0日目は細胞培養の開始日である。表3に示すように、C32集団の細胞VCDのピークは、3日目以降、C15のピークよりも顕著に低かった。例えば、7日目に、C15培養物の各々(すなわち各容器中の)は290~310×10/mlの間のVCDを有していたが、一方、C32培養物の各々は100~110×10/mlの間のVCDを有しているにすぎなかった。
Figure 2023535604000006
したがって、表2および表3に示されているデータに基づいて、同一の親細胞株に由来しているにもかかわらず異なる成長特徴を有しているクローン細胞集団が同定された。
(実施例2)
コピー数のバリエーションの分析による異なるクローン細胞集団の分析
この実施例は、実施例1で異なる成長特徴を有すると同定された異なるクローン集団のコピー数のバリエーションの分析を説明する。
上記の実施例1aおよび実施例1bで記載されているクローン細胞株の間で見られた成長特徴の違いの考えられる根拠を調べるために、異なるクローン細胞株でコピー数のバリエーション(CNV)の分析を行った。
CNV分析では、8つの異なる細胞株、すなわち、T3-9 25gen、T3-11 25gen、T3-6 100gen、およびC15を含む、高い成長特徴を有する4つのクローン細胞株;低い成長特徴を有する2つのクローン細胞株:T3-6 25genおよびC32;ならびに2つの親細胞株:ファイザーCHO1およびCHO2(実施例1で記載されている)から得られた、全ゲノムの再シーケンシング(WGRS)のデータを使用した。WGRSデータを、Burrows-Wheeler Aligner(BWA)ソフトウェア(GitHubで入手可能)を使用して、CHO PICRゲノム(NCBI受託番号GCF_003668045.1)にマッピングした。全てのスキャホールドについて、Subreadソフトウェアのfeaturecountツールを使用して、1kbのビンからのリードカウントを計算した。各試料についてのリード数を全部で3億のリードに対して正規化し、次いで、cn.mopsソフトウェア(Bioconductor)へのインプットとして使用して、コピー数のコールを得た。Circoプロットを、circlizeパッケージのサーキュラービジュアライゼーションソフトウェアを用いて作成した。
このCNV分析によって、高い成長特徴を有する細胞株がCHOの2番染色体の複数の領域の複製を有していることが明らかになった。複製された領域についての詳細を以下で表4に示す。全部で、2番染色体における複製された領域は34.29メガベース(Mb)となった。CHOの2番染色体は全長が463.59Mbであるため、複製された領域はCHOの2番染色体の約7.4%であると計算された。複製された領域では、染色体のそれぞれの領域の2つのコピーが存在していた(野生型2番染色体においてそれぞれの領域のコピーが1つであることと比較して)。
Figure 2023535604000007
この実施例は、高い成長特徴を有する細胞株がCHOの2番染色体の複数の領域の複製を有していたことを示している。
アップデートされたCHOゲノムアセンブリPICRH(GenBankアセンブリ受託番号:GCA_003668045.2)では、コンティグNW_020822440.1、NW_020822442.1、NW_020822459.1、NW_020822466.1が、より大きいコンティグNC_048595.1:160262188~196788751に共に含まれている。
(実施例3)
高い成長特徴を有する細胞株中で複製した遺伝子の同定
この実施例は、高い成長特徴を有するクローン細胞株中に存在すると実施例2で同定されたCHOの2番染色体の領域で複製されている遺伝子の同定を記載している。
高い成長特徴を有する細胞株において複製されていると実施例2で同定されたCHOの2番染色体の領域内の遺伝子を同定するために、実施例1および2に記載されている高い成長特徴を有する細胞および低い成長特徴を有する細胞の遺伝子発現プロファイルを比較することによって、示差的遺伝子分析を行った。この分析のために、ペアエンドRNA-Seqデータを、Subreadパッケージ(Sourceforge)のsubjuncプログラムを使用してCHO PICRアセンブリ(NCBI受託番号GCF_003668045.1)にマッピングした。Raw遺伝子カウントを、SubreadパッケージのfeatureCountによって得た。トランスクリプトーム全体にわたる相対的遺伝子発現量を計算するために、FPKM(Fragments Per Kilobase Million)値を、egdeRパッケージ(Bioconductor)を用いて計算した。FPKM値が>1の遺伝子を、技術的ノイズを上回って検出可能であるとみなした。示差的発現の統計(log2FC、AveExp、p値、FDR)をR Limmaパッケージ(Bioconductor)によって計算した。ヒートマップを、ComplexHeatmapパッケージ(Bioconductor)を用いて作成した。
この分析で、CHOの2番染色体の増幅された領域にある97のタンパク質コード遺伝子を、有意に過剰発現していると同定した(logFC≧0.7、FDR≦0.1)。10の最も有意に過剰発現している遺伝子(最低誤検出率(False Discovery Rate)(FDR))を、これらのNCBI遺伝子ID(遺伝子_id)、染色***置(スキャホールド、開始、終点、鎖)、相対的転写産物存在量(平均DPKM)、ならびにDEの統計(logFC、調整済みP値、および平均FPKM)と共に、以下で表5に示す。表5に示すように、10の最も有意に過剰発現した遺伝子は、Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、およびSh3rf2である。表5でさらに示すように、遺伝子Spire1、Nars、Rps14、およびSmim3は、スキャホールド領域NW_020822466.1にあり、遺伝子Fem1c、Ppic、およびLmnb1は、スキャホールド領域NW_020822459.1にあり、遺伝子Me2およびPias2は、スキャホールド領域NW_020822440.1にあり、遺伝子Sh3rf2はスキャホールド領域NW_020822442.1にある。
Figure 2023535604000008
次に、過剰発現しているとFPKM分析において上記で同定された遺伝子の一部をさらに調べるために、クローン細胞株T3-6 25gen、T3-6 100gen、およびT3-9 25genを定量PCR(qPCR)および定量的逆転写PCR(qRT-PCR)によって分析して、目的の遺伝子についての遺伝子コピー数およびmRNA存在量を分析した。具体的には、細胞を、Lmnb1、Seh1l、Sh3rf2、およびSpire1遺伝子のコピー数について、またPias2、Sh3rf2、Lmnb1、Rnmt、Seh1l、およびSpire1のRNA量について分析した。(遺伝子RnmtおよびSeh1lもまたCHOの2番染色体の増幅された領域で有意に過剰発現していると同定されたが、10の最も有意に過剰発現している遺伝子の中には入っていなかった。)
図1Aは、遺伝子コピー数分析の結果を示している。X軸は関連する遺伝子(Lmnb1、Seh1l、Sh3rf2、およびSpire1)を列挙しており、それぞれの遺伝子について3つの棒が示されている。棒は、左から右の順で、細胞株T3-6 25gen、T3-6 100gen、およびT3-9 25genのそれぞれの遺伝子についての結果を示している。Y軸は、染色体当たりの平均遺伝子コピー数を示している。図1Aに示されるように、Lmnb1、Seh1l、Sh3rf2、およびSpire1遺伝子のそれぞれについて、T3-6 25gen細胞では、存在する平均コピーは、染色体当たり1つの当該遺伝子のコピーであった。(実施例1によると、T3-6 25gen細胞は遅い成長特徴/比較的低いVCDを有している)。逆に、これらの遺伝子のそれぞれについて、存在する平均コピーは、T3-6 100genおよびT3-9 25gen細胞では、染色体当たり少なくとも1.5個の当該遺伝子のコピーであった。(実施例1によると、T3-6 100genおよびT3-9 25gen細胞は、速い成長特徴/比較的高いVCDを有している)。これらの結果は、CHOの2番染色体の遺伝子Lmnb1、Seh1l、Sh3rf2、およびSpire1遺伝子の複製が、遅い成長/低いVCDの表現型から速い成長/高いVCD表現型への変化に関連していることを示している。
図1Bは、mRNA存在量の分析の結果を示している。X軸は関連する遺伝子(Pias2、Sh3rf2、Lmnb1、Rnmt、Seh1l、Spire1)を列挙しており、それぞれの遺伝子について3つの棒が示されている。棒は、左から右の順で、細胞株T3-6 25gen、T3-6 100gen、およびT3-9 25genのそれぞれの遺伝子についての結果を示している。Y軸は、各それぞれの遺伝子についてのmRNAレベルの相対的倍率変化(FC)を示している(T3-6 25genの値を「1」とし、T3-6 100genおよびT3-9 25genの値をT3-6 25genの値と比較している)。図1Bに示すように、Pias2、Sh3rf2、Lmnb1、Rnmt、Seh1l、およびSpire1の各々で、T3-6 100gen細胞およびT3-9 25gen細胞のmRNAの相対的FC値は、T3-6 25gen細胞のそれぞれ少なくとも1.5倍または2倍の値であった。(実施例1によると、T3-6 100genおよびT3-9 25gen細胞は速い成長特徴/比較的高いVCDを有しており、T3-6 25gen細胞は遅い成長特徴/比較的低いVCDを有している。)これらの結果は、低い成長特徴から高い成長特徴への細胞の変化に関連する遺伝子Pias2、Sh3rf2、Lmnb1、Rnmt、Seh1l、およびSpire1の増大したmRNAレベルを示している。
全体として、この実施例は、CHOの2番染色体の遺伝子Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1の複製がCHO細胞の増大した成長に関連していることを示している。

Claims (34)

  1. 外因性核酸と、Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1lからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の複製とを含む、哺乳動物宿主細胞。
  2. 前記遺伝子のうちの少なくとも2つの複製を含む、請求項1に記載の宿主細胞。
  3. 2つの遺伝子のうちの1つが、Spire1、Nars、Rps14、Smim3からなる群から選択され、2つの遺伝子のうちの1つが、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、およびSh3rf2からなる群から選択される、請求項2に記載の宿主細胞。
  4. 外因性核酸と、少なくとも4つの遺伝子の複製とを含む哺乳動物宿主細胞であって、
    4つの遺伝子のうちの1つが、Spire1、Nars、Rps14、Smim3からなる群から選択され、
    4つの遺伝子のうちの1つが、Fem1c、Ppic、Lmnb1からなる群から選択され、
    4つの遺伝子のうちの1つが、Me2およびPias2からなる群から選択され、
    4つの遺伝子のうちの1つがSh3rf2である、
    哺乳動物宿主細胞。
  5. 外因性核酸と、2番染色体の少なくとも一部分の複製とを含む、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)宿主細胞。
  6. 2番染色体の複製部分が、Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1lからなる群から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの遺伝子の複製を含む、請求項5に記載のCHO宿主細胞。
  7. 2番染色体の複製部分が前記遺伝子のうちの少なくとも4つの複製を含み、
    4つの遺伝子のうちの1つが、Spire1、Nars、Rps14、Smim3からなる群から選択され、
    4つの遺伝子のうちの1つが、Fem1c、Ppic、Lmnb1からなる群から選択され、
    4つの遺伝子のうちの1つが、Me2およびPias2からなる群から選択され、
    4つの遺伝子のうちの1つがSh3rf2である、
    請求項6に記載のCHO宿主細胞。
  8. 少なくとも1つの遺伝子または少なくとも2番染色体の一部分の複製を含む宿主細胞が、少なくとも1つの遺伝子または少なくとも2番染色体の一部分の複製を欠くこと以外は同一の宿主細胞と比較して改善された成長特徴を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  9. 改善された成長特徴を有する哺乳動物宿主細胞を選択する方法であって、
    (a)外因性核酸を含む哺乳動物宿主細胞をSpire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1lからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の複製についてアッセイするステップ、
    (b)少なくとも1つの遺伝子の複製を含む哺乳動物宿主細胞を選択するステップであって、少なくとも1つの遺伝子の複製を含む哺乳動物宿主細胞が、少なくとも1つの遺伝子の複製を欠くこと以外は同一の哺乳動物宿主細胞と比較して改善された成長特徴を有している、ステップ
    を含む、方法。
  10. 哺乳動物宿主細胞が、前記遺伝子のうちの少なくとも2つの複製についてアッセイされる、請求項9に記載の方法。
  11. 2つの遺伝子のうちの1つが、Spire1、Nars、Rps14、Smim3からなる群から選択され、2つの遺伝子のうちの1つが、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、およびSh3rf2からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 改善された成長特徴を有する哺乳動物宿主細胞を選択するための方法であって、
    (a)外因性核酸を含む哺乳動物宿主細胞を少なくとも4つの遺伝子の複製についてアッセイするステップであって、
    (i)4つの遺伝子のうちの1つが、Spire1、Nars、Rps14、Smim3からなる群から選択され、
    (ii)4つの遺伝子のうちの1つが、Fem1c、Ppic、Lmnb1からなる群から選択され、
    (iii)4つの遺伝子のうちの1つが、Me2およびPias2からなる群から選択され、
    (iv)4つの遺伝子のうちの1つがSh3rf2である、
    ステップ、ならびに
    (b)少なくとも4つの遺伝子の複製を含む哺乳動物宿主細胞を選択するステップであって、少なくとも4つの遺伝子の複製を含む哺乳動物宿主細胞が、少なくとも4つの遺伝子の複製を欠くこと以外は同一の哺乳動物宿主細胞と比較して改善された成長特徴を有している、ステップ
    を含む、方法。
  13. 組換えタンパク質を産生するための方法であって、
    (a)請求項1から8のいずれか一項に記載の組換え哺乳動物宿主細胞を提供するステップであって、宿主細胞の外因性核酸が組換えタンパク質をコードしている、ステップ、
    (b)組換え哺乳動物宿主細胞を、組換えタンパク質の発現に十分な条件下で培養するステップ、
    を含む、方法。
  14. 組換えタンパク質を産生するための方法であって、
    (a)請求項9から12のいずれか一項に記載の方法に従って選択された組換え哺乳動物宿主細胞を提供するステップであって、宿主細胞の外因性核酸が組換えタンパク質をコードしている、ステップ、
    (b)組換え哺乳動物宿主細胞を、組換えタンパク質の発現に十分な条件下で培養するステップ
    を含む、方法。
  15. 発現された組換えタンパク質を回収するステップをさらに含む、請求項13または14に記載の方法。
  16. 外因性核酸がタンパク質をコードする、請求項1から15のいずれか一項に記載の宿主細胞または方法。
  17. タンパク質が治療的タンパク質である、請求項16に記載の宿主細胞または方法。
  18. 治療的タンパク質が抗体またはサイトカインである、請求項17に記載の宿主細胞または方法。
  19. 改善された成長特徴を有する哺乳動物宿主細胞を調製する方法であって、
    Spire1、Nars、Rps14、Smim3、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、Sh3rf2、Rnmt、およびSeh1lからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の配列を含む外因性核酸分子を哺乳動物宿主細胞中に導入するステップ
    を含み、
    外因性核酸分子を含む宿主細胞が、外因性核酸分子を有していないこと以外は同一の哺乳動物宿主細胞と比較して改善された成長特徴を有している、方法。
  20. 少なくとも2つの前記遺伝子の配列を含む1つまたは複数の外因性核酸分子が宿主細胞中に導入される、請求項19に記載の方法。
  21. 2つの遺伝子のうちの1つが、Spire1、Nars、Rps14、Smim3からなる群から選択され、2つの遺伝子のうちの1つが、Fem1c、Ppic、Lmnb1、Me2、Pias2、およびSh3rf2からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
  22. 少なくとも4つの前記遺伝子の配列が宿主細胞中に導入され、
    4つの遺伝子のうちの1つが、Spire1、Nars、Rps14、Smim3からなる群から選択され、
    4つの遺伝子のうちの1つが、Fem1c、Ppic、Lmnb1からなる群から選択され、
    4つの遺伝子のうちの1つが、Me2およびPias2からなる群から選択され、
    4つの遺伝子のうちの1つがSh3rf2である、請求項21に記載の方法。
  23. 哺乳動物細胞が、マウス細胞、ラット細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはヒト細胞である、請求項1から4または8から22のいずれか一項に記載の宿主細胞または方法。
  24. ヒト細胞が、HEK細胞、HeLa細胞、またはHT1080細胞である、請求項23に記載の宿主細胞または方法。
  25. 宿主細胞がチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項23に記載の宿主細胞または方法。
  26. 外因性核酸が、宿主細胞染色体において、染色体中に組み込まれている、請求項1から25のいずれか一項に記載の宿主細胞または方法。
  27. 宿主細胞染色体が、染色体中への外因性核酸の部位特異的組み込みのための組換え標的部位を含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の宿主細胞または方法。
  28. 改善された成長特徴が、遺伝子または2番染色体の一部分の複製を欠くこと以外は同一の哺乳動物宿主細胞を含む第2の細胞培養物と比較して改善された成長特徴を有する細胞を含む第1の細胞培養物の、より優れた細胞数、より優れた生存細胞数、より優れた細胞密度、またはより優れた生存細胞密度であり、第1および第2の細胞培養物が、同じ条件下で同じ期間にわたって成長させられる、請求項8から27のいずれか一項に記載の宿主細胞または方法。
  29. 期間が、3、5、7、または10日間である、請求項28に記載の宿主細胞または方法。
  30. より優れた細胞数、より優れた生存細胞数、より優れた細胞密度、またはより優れた生存細胞密度が、第2の細胞培養物での値と比較して、第1の細胞培養物でのそれぞれの値において少なくとも10%、25%、50%、75%、100%、または200%の増大である、請求項28または29のいずれか一項に記載の宿主細胞または方法。
  31. 細胞数、生存細胞数、細胞密度、または生存細胞密度が、自動セルアナライザーによって測定される、請求項28から30のいずれか一項に記載の宿主細胞または方法。
  32. 宿主細胞を遺伝子の複製についてアッセイするステップが、遺伝子の配列を含むDNAまたは遺伝子から転写されたmRNAの相対量を決定するステップを含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
  33. 請求項13から15のいずれか一項に記載の方法に従って、請求項1から8のいずれか一項に記載の宿主細胞によって、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法に従って選択された宿主細胞によって、請求項19から22のいずれか一項に記載の方法に従って調製された宿主細胞によって、または請求項23から32のいずれか一項に記載の宿主細胞もしくは方法に従って調製された組換えタンパク質。
  34. 請求項1から33のいずれか一項に記載の宿主細胞、方法、または組換えタンパク質であって、
    Spire1遺伝子が、配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードするか、
    Nars遺伝子が、配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードするか、
    Rps14遺伝子が、配列番号3に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードするか、
    Smim3遺伝子が、配列番号4に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードするか、
    Fem1c遺伝子が、配列番号5に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードするか、
    Ppic遺伝子が、配列番号6に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードするか、
    Lmnb1遺伝子が、配列番号7に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードするか、
    Me2遺伝子が、配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードするか、
    Pias2遺伝子が、配列番号9に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードするか、または
    Sh3rf2遺伝子が、配列番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは100%同一なポリペプチドをコードする、
    宿主細胞、方法、または組換えタンパク質。
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