JP2023514749A - 統合型インサイチュ空間的アッセイのための方法および組成物 - Google Patents

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Abstract

インサイチュアッセイモジュールおよび空間的アッセイモジュールを含む生物学的試料の統合型アッセイを、本明細書において提供する。インサイチュアッセイは、生物学的試料の空間的位置における核酸プローブと第1の分析物との間の結合を分析する工程を含む。本方法は、空間的にバーコード付加された捕捉剤が空間的アッセイモジュールにおける分析のために第2の分析物を捕捉することを可能にする条件を提供する工程をさらに含む。TIFF2023514749000002.tif95170

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年2月21日に出願された「METHODS FOR DETERMINING LOCATION OF A BIOLOGICAL ANALYTE IN A BIOLOGICAL SAMPLE」と題する米国仮出願第62/980,078号、および2020年11月9日に出願された「METHODS AND COMPOSITIONS FOR INTEGRATED IN SITU SPATIAL ASSAY」と題する米国仮出願第63/111,518号の優先権の恩典を主張し、これらの内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
分野
本開示は、いくつかの局面において、試料中の生物学的標的の統合型インサイチュ空間的アッセイのための方法および組成物に関する。
背景
細胞のゲノムプロファイリング、トランスクリプトームプロファイリングまたはプロテオミクスプロファイリングなどの試料中の生物学的標的のプロファイリングは、細胞同一性の分子的基礎を理解することおよび疾患に対する処置を開発することなどの多くの目的にとって不可欠である。試料中の複数の分析物を分割することができる顕微鏡画像化は、分析物の存在量およびインサイチュでの分析物の空間的情報などの価値のある情報を提供する。現在のインサイチュハイブリダイゼーションおよび配列決定をベースとするアプローチは、低い効率という欠点があるが、そのような組織内分析の潜在的な価値は膨大であり得る。したがって、インサイチュ分析のための新規かつ改良された方法が必要とされている。
簡単な概要
いくつかの態様において、生物学的試料(例えば、組織切片などの組織試料)を、生物学的試料中の第1の標的核酸に直接的にまたは間接的にハイブリダイズする1つ以上のプローブ(例えば、核酸プローブ)と接触させる工程を含む、生物学的試料中の標的核酸を分析するための方法が本明細書に開示される。いくつかの態様において、生物学的試料は、第1の基材上に提供される。生物学的試料は、表面上に堆積する細胞、例えば生検または細胞培養物から単離された細胞を含み得る。生物学的試料は、例えばポリマーマトリックスまたはヒドロゲルなどのマトリックス中で、任意で可逆的に架橋され得る。いくつかの態様において、生物学的試料は、処理または清浄化された組織試料である。いくつかの態様において、本方法は、第1の標的核酸および/または1つ以上のプローブまたはその産物を検出することによって、インサイチュで、例えば生物学的試料中の空間的位置において第1の標的核酸を分析することを含むが、第1の標的核酸および/または1つ以上のプローブまたはその産物は、第2の基材上に直接的にまたは間接的に固定化された捕捉剤に結合されていない。いくつかの態様において、第2の基材は、生物学的試料がその上に提供される第1の基材である。いくつかの態様において、第2の基材は第1の基材とは別個であるが、基材および/またはその上の分子の材料は、第1の基材と第2の基材の間で同一であり得る、または異なり得る。
いくつかの態様において、第1および/または第2の基材は、その上に直接的にまたは間接的に固定化された複数の捕捉剤(例えば、捕捉プローブ)を含み、複数の捕捉剤の1つ以上(例えば、各捕捉プローブなどの1つ以上の捕捉プローブ)は、(i)核酸を捕捉することができる捕捉ドメインと、(ii)基材上の捕捉プローブの位置に対応する位置ドメイン(例えば、核酸配列を含む空間的バーコード)とを含む。
いくつかの態様において、本方法は、1つ以上の分析物および/またはその産物のインサイチュ分析、および/または試料中の1つ以上の分析物に対する1つ以上のプローブ(および/またはその産物)のインサイチュ分析を含む。いくつかの態様において、本方法は、生物学的試料の空間的位置において1つ以上の分析物に対する1つ以上のプローブを検出する工程を含む。いくつかの態様において、1つ以上のプローブの少なくとも1つは、第1の標的核酸中の配列(またはその相補的配列)を示すバーコード配列を含む。いくつかの態様において、生物学的試料は、少なくとも1つのプローブまたはその産物中に存在し得るバーコード配列またはその相補的配列の配列を決定するために、例えば、インサイチュ配列決定などのインサイチュ分析によって、基材上に画像化される。先の態様のいずれにおいても、インサイチュ分析の前または間に、分析物(および/またはその産物)および/または分析物に結合されたプローブ(および/またはその産物)は、人工的アレイ(例えば、空間的バーコードを含む核酸プローブを含むアレイ)上に固定化された捕捉剤に結合されていないが、分析物および/もしくはその産物ならびに/またはプローブおよび/もしくはその産物は、例えば核酸ハイブリダイゼーションまたは生物学的試料中の他の成分へのもしくはポリマーマトリックスもしくはヒドロゲルなどのマトリックスへの可逆的もしくは不可逆的架橋を介して、生物学的試料中で固定化され得る。
いくつかの態様において、本方法は、第1の基材および/または第2の基材上の捕捉剤が第2の標的核酸またはその相補的配列もしくはその産物(例えば、増幅産物)を捕捉することを可能にする条件を提供する工程をさらに含む。いくつかの態様において、本方法は、可逆的に架橋された組織試料を脱架橋することを含み、それにより、捕捉剤が第2の標的核酸またはその相補的配列もしくはその産物(例えば、増幅産物)を捕捉することを可能にする。
先の態様のいずれにおいても、(分析物および/または分析物に対するプローブの)産物は、ハイブリダイゼーション産物、ライゲーション産物、(例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼによる)伸長産物、複製産物、転写/逆転写産物および/またはローリングサークル増幅産物などの増幅産物であり得る。
いくつかの態様において、第2の標的核酸またはその相補的配列もしくはその産物は、第2の基材(例えば、固定化された核酸分子を含む人工的アレイ)上の位置に固定化された捕捉剤によって捕捉され、捕捉剤の位置ドメイン(例えば、空間的バーコード)は、第2の基材上の捕捉プローブの位置に対応する。いくつかの態様において、捕捉された分子の産物は、例えば、捕捉された分子にハイブリダイズする1つ以上のプローブを使用して、第2の基材上の位置において生成される。いくつかの態様において、捕捉された分子および/またはその産物は、それらが前記位置に存在する間に検出または分析されず、代わりに、捕捉された分子および/またはその産物は、第2の基材から除去され、その後、例えば、第2の標的核酸の配列またはその相補的配列および位置ドメイン(例えば、空間的バーコード)の配列を含むものを含む除去された分子のプールを配列決定することによって検出または分析される。いくつかの態様において、捕捉された分子および/またはその産物は、それらが第2の基材上の位置に留まる間、検出可能に標識されたプローブ(例えば、蛍光標識されたプローブ)と接触されない。いくつかの態様において、捕捉された分子の産物はプライマー伸長産物または逆転写産物である。いくつかの態様において、捕捉された分子の産物はローリングサークル増幅産物ではない。いくつかの態様において、捕捉された分子の産物はローリングサークル増幅(RCA)産物であるが、本方法は、第2の基材上の位置におけるRCA産物を検出する工程を含まない。
本明細書に開示される態様のいずれにおいても、第1および第2の標的核酸は同一であり得、または異なり得る。本明細書に開示される態様のいずれにおいても、第2の標的核酸は、第1の標的核酸またはその相補物もしくはその産物(例えば、ハイブリダイゼーション産物、ライゲーション産物、(例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼによる)伸長産物、複製産物、転写/逆転写産物および/または増幅産物)の1つ以上を含むことができる。本明細書に開示される態様のいずれにおいても、第1および第2の標的核酸は、重複する配列を含むことができ、または配列が重複しないことができる。
いくつかの態様において、本方法は、(i)第2の標的核酸の配列またはその相補的配列と(ii)位置ドメイン(例えば、空間的バーコード)の配列またはその相補的配列を含む空間的に標識されたポリヌクレオチドを生成する工程をさらに含む。いくつかの態様において、空間的に標識されたポリヌクレオチドは、捕捉された核酸から生成され、ポリヌクレオチドの全部または一部は、分析のために基材から放出される。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、生物学的試料中の第1および第2の標的核酸の存在/非存在、分布、位置、量、レベル、発現または活性を分析するために使用される。
先の態様のいずれにおいても、捕捉剤は、生物学的試料が上に存在するのと同じ基材上に提供される必要はない。換言すれば、生物学的試料は、インサイチュ分析のために第1の基材上に存在することができ、インサイチュ分析を経た試料中の分子は、1つ以上の第2の基材と接触させることができる。複数の第2の基材の場合には、試料は、各第2の基材と逐次に、または2つ以上の第2の基材が試料の部分領域のみをカバーする場合には並行して接触させることができる。第2の基材のレプリカを作製するために、第2の基材の1つ以上を1つ以上の第3の基材と接触させ得る。
いくつかの態様において、基材上の生物学的試料(例えば、組織切片などの組織試料)を、生物学的試料中の第1の標的核酸またはその相補物もしくは増幅産物に直接的にまたは間接的にハイブリダイズする1つ以上のプローブ(例えば、核酸プローブ)と接触させる工程を含む、生物学的試料中の標的核酸を分析するための方法が本明細書に開示される。基材は、その上に直接的にまたは間接的に固定化された複数の捕捉剤を含み得、複数の捕捉剤のうちの1つの捕捉剤は、(i)核酸を捕捉することができる捕捉ドメインと、(ii)基材上の捕捉剤の位置に対応する空間的バーコードとを含む。いくつかの態様において、本方法は、生物学的試料の空間的位置において1つ以上の核酸プローブを検出する工程と、捕捉剤が第2の標的核酸またはその相補物もしくは増幅産物を直接的にまたは間接的に捕捉することを可能にする条件を提供する工程とをさらに含む。いくつかの態様において、本方法は、第2の標的核酸またはその相補物の配列と空間的バーコードまたはその相補物の配列とを含む空間的に標識されたポリヌクレオチドを生成する。いくつかの態様において、生物学的試料は、生物学的試料中の第1の標的核酸またはその相補物もしくは増幅産物に直接的または間接的にハイブリダイズする1つ以上のプローブ(例えば、核酸プローブ)と接触され、捕捉剤が第2の標的核酸またはその相補物もしくは増幅産物を直接的にまたは間接的に捕捉することを可能にするより前にプローブが検出される。
別の局面において、生物学的試料を分析するための方法であって、第1の基材上の生物学的試料を、生物学的試料中の第1の標的核酸またはその相補物もしくは増幅産物に直接的にまたは間接的にハイブリダイズする1つ以上の核酸プローブと接触させる工程を含む方法が本明細書に開示される。いくつかの態様において、本方法は、生物学的試料の空間的位置において1つ以上の核酸プローブを検出する工程と、複数の捕捉剤が第2の標的核酸またはその相補物もしくはその増幅産物を直接的にまたは間接的に捕捉することを可能にする条件を提供する工程とをさらに含み、複数の捕捉剤のうちの1つの捕捉剤は、核酸を捕捉することができる捕捉ドメインと空間的バーコードとを含む。いくつかの態様において、本方法は、第2の標的核酸またはその相補物の配列と空間的バーコードまたはその相補物の配列とを含む空間的に標識されたポリヌクレオチドを生成する工程をさらに含む。
ある一定の態様において、複数の捕捉剤は、第1の基材にまたは第2の基材に直接的にまたは間接的に結合されている。
先の態様のいずれにおいても、空間的バーコードは、第1の基材上または第2の基材上の捕捉剤の位置に対応する。
先の態様のいずれにおいても、本方法は、複数の捕捉剤が第2の標的核酸またはその相補物もしくはその増幅産物を直接的にまたは間接的に捕捉することを可能にする条件を提供するより前に、複数の捕捉剤を含む第2の基材を生物学的試料に提供する工程をさらに含む。
いくつかの態様において、生物学的試料を分析する方法であって、第1の基材上の生物学的試料を、生物学的試料中の第1の標的核酸またはその相補物もしくは増幅産物に直接的にまたは間接的にハイブリダイズする1つ以上の核酸プローブと接触させる工程を含む方法が本明細書に開示される。いくつかの態様において、本方法は、生物学的試料の空間的位置において1つ以上の核酸プローブを検出する工程と、複数の捕捉剤が第2の標的核酸またはその相補物もしくはその増幅産物を直接的にまたは間接的に捕捉することを可能にする条件を提供する工程とをさらに含み、複数の捕捉剤は、第1の基材にまたは第2の基材に直接的にまたは間接的に結合されており、複数の捕捉剤のうちの1つの捕捉剤は、核酸を捕捉することができる捕捉ドメインと第1の基材上または第2の基材上の捕捉剤の位置に対応する空間的バーコードとを含む。いくつかの態様において、本方法は、(i)第2の標的核酸またはその相補物の配列と(ii)空間的バーコードまたはその相補物の配列とを含む空間的に標識されたポリヌクレオチドを生成する工程をさらに含む。
先の態様のいずれにおいても、第1の標的核酸および第2の標的核酸は、同一の核酸配列を含み得る。先の態様のいずれにおいても、第1の標的核酸および第2の標的核酸は、異なる核酸配列を含み得る。先の態様のいずれにおいても、第1の標的核酸および第2の標的核酸は、同一の分子であり得る。先の態様のいずれにおいても、第1の標的核酸および第2の標的核酸は、異なる分子であり得る。
先の態様のいずれにおいても、第2の標的核酸は、第1の標的核酸、その相補物、そのハイブリダイゼーション産物、そのライゲーション産物、その伸長産物、その複製産物、その転写/逆転写産物および/もしくはその増幅産物であり得、または第1の標的核酸、その相補物、そのハイブリダイゼーション産物、そのライゲーション産物、その伸長産物、その複製産物、その転写/逆転写産物および/もしくはその増幅産物を含み得る。
先の態様のいずれにおいても、第2の標的核酸は、1つ以上の核酸プローブ、核酸プローブの相補物、核酸プローブのハイブリダイゼーション産物、核酸プローブのライゲーション産物、核酸プローブの伸長産物、核酸プローブの複製産物、核酸プローブの転写/逆転写産物および/もしくは核酸プローブの増幅産物の少なくとも1つであり得、または1つ以上の核酸プローブ、核酸プローブの相補物、核酸プローブのハイブリダイゼーション産物、核酸プローブのライゲーション産物、核酸プローブの伸長産物、核酸プローブの複製産物、核酸プローブの転写/逆転写産物および/もしくは核酸プローブの増幅産物の少なくとも1つを含み得る。
先の態様のいずれにおいても、第1の標的核酸および/または第2の標的核酸は、RNA配列をさらに含み得る。先の態様のいずれにおいても、第1の標的核酸および/または第2の標的核酸は、mRNA分子であり得る。
先の態様のいずれにおいても、第1の基材上の生物学的試料を、生物学的試料中の第1の標的核酸またはその相補物もしくは増幅産物に直接的にまたは間接的にハイブリダイズする1つ以上の核酸プローブと接触させるより前または接触させる間に、生物学的試料が可逆的に架橋され得る。
先の態様のいずれにおいても、本方法は、可逆的に架橋された生物学的試料を脱架橋することを含むことができる。
先の態様のいずれにおいても、本方法は、第2の標的核酸またはその相補物もしくはその増幅産物を生物学的試料から放出させる工程を含むことができる。
先の態様のいずれにおいても、本方法は、生物学的試料中の第2の標的核酸またはその相補物もしくはその増幅産物を、基材(または第1の基材)または第2の基材の捕捉剤と接触させる工程を含むことができる。いくつかの態様において、本方法は、生物学的試料中の第2の標的核酸またはその相補物もしくはその増幅産物を、基材(または第1の基材)に向けてまたは第2の基材に向けて送達することまたは送ることを含むことができる。
先の態様のいずれにおいても、本方法は、複数の捕捉剤を基材(または第1の基材)からもしくは第2の基材から放出させることと、および/または放出された複数の捕捉剤を生物学的試料に向けておよび/もしくは生物学的試料中にもしくは生物学的試料上に送達することもしくは送ることを含むことができる。
先の態様のいずれにおいても、複数の捕捉剤は、分析物捕捉剤に放出可能に結合された捕捉剤を含むことができる。
先の態様のいずれにおいても、空間的位置での1つ以上の核酸プローブを検出する工程は、処理または清浄化された生物学的試料に対して行われる。先の態様のいずれにおいても、生物学的試料は組織試料を含み得る。先の態様のいずれにおいても、組織試料は、約1μm~約50μmの厚さの組織切片であり得る。先の態様のいずれにおいても、組織切片は、約5μm~約35μmの厚さであり得る。先の態様のいずれにおいても、組織試料はヒドロゲル中に包埋され得る。
先の態様のいずれにおいても、第1の標的核酸、その相補物、および/またはその増幅産物が、マトリックス、例えばヒドロゲルに可逆的に架橋され得る。
先の態様のいずれにおいても、1つ以上の核酸プローブの少なくとも1つが、第1の標的核酸中の配列またはその相補的配列を示すバーコード配列を含み得る。
先の態様のいずれにおいても、1つ以上の核酸プローブを検出する工程は、生物学的試料を画像化することを含み得る。
先の態様のいずれにおいても、1つ以上の核酸プローブ、バーコード配列またはその相補的配列もしくはその増幅された配列の配列を検出することは、決定され得る。
先の態様のいずれにおいても、1つ以上の核酸プローブを検出する工程において、インサイチュ配列決定が行われ得る。先の態様のいずれにおいても、1つ以上の核酸プローブを検出する工程は、複数のプローブのインサイチュ配列決定および/または逐次ハイブリダイゼーションを含み得る。
先の態様のいずれにおいても、1つ以上の核酸プローブは、第1の標的核酸またはその相補物もしくは増幅産物に直接的にハイブリダイズする一次プローブを含むことができる。
先の態様のいずれにおいても、第1の標的核酸はmRNAであり得、相補物はcDNAであり得、および/または増幅産物はローリングサークル増幅(RCA)産物であり得る。
先の態様のいずれにおいても、一次プローブは、パドロックプローブ、環状プローブ、または環状化されたプローブを含むことができる。
先の態様のいずれにおいても、一次プローブは、第1の標的核酸の配列に任意で対応する1つ以上のバーコード配列を含むことができる。
先の態様のいずれにおいても、検出する工程は、生物学的試料を、一次プローブ(またはその相補物もしくは増幅産物)に直接的にまたは間接的にハイブリダイズすることができる1つ以上の検出可能に標識されたプローブと接触させることを含むことができ、任意で、1つ以上の検出可能に標識されたプローブは、一次プローブ(またはその相補物もしくは増幅産物)の1つ以上のバーコード配列にハイブリダイズする。
先の態様のいずれにおいても、検出する工程は、生物学的試料を、一次プローブ(またはその相補物もしくは増幅産物)に直接的にまたは間接的にハイブリダイズすることができる1つ以上の二次プローブと接触させることを含むことができ、任意で、1つ以上の二次プローブは、一次プローブ(またはその相補物もしくは増幅産物)の1つ以上のバーコード配列にハイブリダイズする。
先の態様のいずれにおいても、検出する工程は、生物学的試料を、1つ以上の二次プローブ(またはその相補物もしくは増幅産物)に直接的にまたは間接的にハイブリダイズすることができる1つ以上の検出可能に標識されたプローブと接触させることを含むことができ、任意で、1つ以上の検出可能に標識されたプローブは、1つ以上の二次プローブ(またはその相補物もしくは増幅産物)の1つ以上のバーコード配列にハイブリダイズする。
先の態様のいずれにおいても、本方法は、一次プローブ(またはその相補物もしくは増幅産物)の1つ以上のバーコード配列および/または1つ以上の二次プローブ(またはその相補物もしくは増幅産物)の1つ以上のバーコード配列を配列決定するために生物学的試料を画像化する工程を含むことができ、任意で、配列決定は、ライゲーションによる配列決定またはハイブリダイゼーションによる配列決定を含む。
先の態様のいずれにおいても、本方法は、バーコード配列またはその相補的配列の配列を含む増幅産物を生成する工程をさらに含み得る。先の態様のいずれにおいても、増幅産物は、ローリングサークル増幅によって生成され得る。先の態様のいずれにおいても、増幅産物は、1つ以上の修飾されたヌクレオチドを含み得る。
先の態様のいずれにおいても、インサイチュ配列決定は、ライゲーションによる配列決定を含み得る。先の態様のいずれにおいても、インサイチュ配列決定は、ハイブリダイゼーションによる配列決定を含み得る。
先の態様のいずれにおいても、本方法は、画像化後に基材上の生物学的試料を透過処理する工程をさらに含み得る。
先の態様のいずれにおいても、第2の標的核酸はmRNA分子であり得、捕捉剤は捕捉プローブを含む。
先の態様のいずれにおいても、プライマー伸長のための鋳型として第2の標的核酸を使用する逆転写酵素(RT)プライマーとして捕捉プローブが機能するように、捕捉プローブは遊離3’末端を含み得る。
先の態様のいずれにおいても、遊離3’末端は、オリゴdT、ランダム配列、または遺伝子特異的配列を含み得る。
先の態様のいずれにおいても、捕捉プローブは、空間的バーコードの5’側に存在するユニバーサルドメインをさらに含み得、ユニバーサルドメインは、増幅ドメイン;および/または生成された空間的に標識されたポリヌクレオチドを基材の表面から放出させるための切断ドメインを含む。
先の態様のいずれにおいても、生成された空間的に標識されたポリヌクレオチドは、cDNAまたはその増幅産物であり得る。
先の態様のいずれにおいても、捕捉ドメインは、複数の捕捉剤が第2の標的核酸またはその相補物もしくはその増幅産物を直接的にまたは間接的に捕捉することを可能にする条件を提供するより前に、第1の標的核酸も、その相補物も、その増幅産物も捕捉しなくてもよい。
先の態様のいずれにおいても、捕捉ドメインは、可逆的に架橋された生物学的試料を脱架橋するより前に、第1の標的核酸も、その相補物も、その増幅産物も捕捉しなくてもよい。
先の態様のいずれにおいても、捕捉プローブは、ハイブリダイゼーションによって、ライゲーションによって、またはハイブリダイゼーション後のライゲーションによって、例えばスプリントライゲーションによって、第2の標的核酸またはその相補物もしくはその増幅産物を捕捉し得る。
先の態様のいずれにおいても、捕捉剤は、1つ以上の核酸プローブまたはその相補物もしくはその増幅産物を捕捉し得る。
先の態様のいずれにおいても、捕捉剤は、第1の標的核酸にハイブリダイズされた1つ以上の核酸プローブを捕捉し得る。
先の態様のいずれにおいても、本方法は、複数の捕捉剤が第2の標的核酸またはその相補物もしくはその増幅産物を直接的にまたは間接的に捕捉することを可能にする条件を提供するより前に、第1の標的核酸にハイブリダイズされた1つ以上の核酸プローブを放出する工程をさらに含み得る。
先の態様のいずれにおいても、空間的に標識されたポリヌクレオチドは、1つ以上の核酸プローブのうちの1つの核酸プローブまたはその相補物の配列と、空間的バーコードまたはその相補物の配列とを含み得る。
先の態様のいずれにおいても、空間的に標識されたポリヌクレオチドまたはその一部は分析のために(例えば、第1または第2の基材から)放出され得る。
先の態様のいずれにおいても、本方法は、空間的に標識されたポリヌクレオチドまたはその相補物の少なくとも一部を決定する工程をさらに含み得る。
先の態様のいずれにおいても、決定する工程は、ライゲーションによる配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、合成による配列決定、および/または結合による配列決定を含み得る。
先の態様のいずれにおいても、放出された空間的に標識されたポリヌクレオチドは、配列決定前の増幅を任意で伴う直接的な配列決定または間接的な配列決定によって分析され得る。
先の態様のいずれにおいても、本方法は、空間的に標識されたポリヌクレオチドの空間的バーコードと、1つ以上の核酸プローブの検出された空間的位置とを相関させる工程をさらに含み得る。
別の局面において、生物学的試料を分析する方法であって、生物学的試料を第1の核酸プローブおよび第2の核酸プローブと接触させる工程を含み、第1および第2の核酸プローブが人工の基材上に固定化されていない方法が本明細書に開示される。いくつかの態様において、本方法は、生物学的試料中においてインサイチュでローリングサークル増幅(RCA)産物を生成する工程をさらに含み、RCA産物は、第1の核酸プローブまたはその相補物の配列を含む。先の態様のいずれにおいても、本方法は、第1の基材上の生物学的試料の空間的位置においてRCA産物に関連するシグナル(例えば、蛍光シグナル)を検出する工程をさらに含むことができる。先の態様のいずれにおいても、本方法は、複数の捕捉剤が第2の核酸プローブおよび/またはその産物を直接的にまたは間接的に捕捉することを可能にする条件を提供する工程をさらに含むことができ、複数の捕捉剤は、第1の基材にまたは第2の基材に直接的にまたは間接的に結合されており、複数の捕捉剤のうちの1つの捕捉剤は、(i)核酸を捕捉することができる捕捉ドメインと(ii)第1の基材上または第2の基材上の捕捉剤の位置に対応する空間的バーコードとを含む。先の態様のいずれにおいても、本方法は、(i)第2の核酸プローブおよび/またはその産物の配列と(ii)空間的バーコードまたはその相補物の配列とを含む空間的に標識されたポリヌクレオチドを生成する工程をさらに含むことができる。いくつかの態様において、本方法は、第1の基材上または第2の基材上の空間的に標識されたポリヌクレオチドを検出する工程を含まない。
先の態様のいずれにおいても、第1および第2の核酸プローブは、同一のもしくは異なる分析物を標的とし得、および/または生物学的試料中の同一のもしくは異なる分子に結合し得る。いくつかの態様において、本方法は、第2の核酸プローブの配列またはその相補物を含むRCA産物を生成する工程を含まない。いくつかの態様において、本方法は、第1の基材上または第2の基材上の空間的位置において第2の核酸プローブまたはその産物に関連するシグナル(例えば、蛍光シグナル)を検出する工程を含まない。
先の態様のいずれにおいても、本方法は、第1の基材または第2の基材から空間的に標識されたポリヌクレオチドを除去する工程をさらに含むことができ、この除去する工程より後に、空間的に標識されたポリヌクレオチドの配列が決定される。先の態様のいずれにおいても、本方法は、ライゲーションによる配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、合成による配列決定、および/または結合による配列決定を使用して、除去された空間的に標識されたポリヌクレオチドまたはその相補物の配列を決定する工程をさらに含むことができる。
先の態様のいずれにおいても、第1の核酸プローブは、1つ以上のバーコード配列を任意で含むパドロックプローブを含み得る。先の態様のいずれにおいても、第2の核酸プローブは、生物学的試料中のRNAまたはDNA(例えば、cDNA)分子にハイブリダイズする2つ以上のプローブを含み得、2つ以上のプローブは1つ以上のバーコード配列を任意で含む。先の態様のいずれにおいても、2つ以上のプローブは、生物学的試料中のmRNA分子にハイブリダイズすることができる。先の態様のいずれにおいても、2つ以上のプローブは、第1の核酸プローブ(例えば、パドロックプローブ)またはその産物にハイブリダイズすることができる。先の態様のいずれにおいても、本方法は、RNAまたはDNA分子にハイブリダイズされた2つ以上のプローブをライゲーションして、ライゲーションされた第2の核酸プローブを生成する工程をさらに含むことができる。先の態様のいずれにおいても、ライゲーションは、RNAを鋳型とするかまたはDNAを鋳型とする反応であり得る。先の態様のいずれにおいても、ライゲーションされた第2の核酸プローブは、捕捉剤によって捕捉され得る。
別の局面において、生物学的試料を分析する方法であって、第1の基材上の生物学的試料を第1の核酸プローブおよび第2の核酸プローブと接触させる工程を含み、第1および第2の核酸プローブが人工の基材上に固定化されていない方法が本明細書に開示される。いくつかの態様において、本方法は、生物学的試料中においてインサイチュでローリングサークル増幅(RCA)産物を生成する工程をさらに含み、RCA産物は、第1の核酸プローブまたはその相補物の配列を含む。先の態様のいずれにおいても、本方法は、複数の捕捉剤が第2の核酸プローブおよび/またはその産物を直接的にまたは間接的に捕捉することを可能にする条件を提供する工程をさらに含むことができ、複数の捕捉剤は、第1の基材にまたは第2の基材に直接的にまたは間接的に結合されており、複数の捕捉剤のうちの1つの捕捉剤は、(i)核酸を捕捉することができる捕捉ドメインと(ii)第1の基材上または第2の基材上の捕捉剤の位置に対応する空間的バーコードとを含む。先の態様のいずれにおいても、本方法は、(i)第2の核酸プローブおよび/またはその産物の配列と(ii)空間的バーコードまたはその相補物の配列とを含む空間的に標識されたポリヌクレオチドを生成する工程をさらに含むことができる。先の態様のいずれにおいても、RCA産物に関連するシグナル(例えば、蛍光シグナル)は、第1の基材上の生物学的試料の空間的位置において検出することができる。先の態様のいずれにおいても、空間的に標識されたポリヌクレオチドの配列を決定するために、第1の基材または第2の基材から空間的に標識されたポリヌクレオチドを除去することができる。
先の態様のいずれにおいても、本方法は、第1の基材上の生物学的試料の空間的位置においてRCA産物に関連するシグナル(例えば、蛍光シグナル)を検出する工程をさらに含むことができる。先の態様のいずれにおいても、本方法は、空間的に標識されたポリヌクレオチドの配列を決定するために、第1の基材または第2の基材から空間的に標識されたポリヌクレオチドを除去する工程をさらに含むことができる。先の態様のいずれにおいても、本方法は、ライゲーションによる配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、合成による配列決定、および/または結合による配列決定を使用して、除去された空間的に標識されたポリヌクレオチドまたはその相補物の配列を決定する工程をさらに含むことができる。
図1は、インサイチュアッセイモジュールおよび空間的アッセイモジュールを含む、本明細書に記載される統合型インサイチュ空間的アッセイの例示的なワークフローを示す。 図2A~2Bは、本明細書に開示される統合型インサイチュ空間的アッセイの例示的なワークフローを示す。 図3は、本明細書に開示される統合型インサイチュ空間的アッセイの例示的なワークフローを示す。 図4Aは、例示的な一次プローブセットがRNA標的に結合し、例示的な検出オリゴが一次プローブのバーコード配列またはその増幅産物(例えば、RCA産物)にハイブリダイズする例示的なインサイチュアッセイワークフローを示す。パドロックプローブの場合には、プライマーをDNAスプリントとして使用してパドロックをライゲーションすることができる。 図4Bは、例示的な一次プローブセットがRNA標的に結合し、例示的な二次プローブがそれぞれ一次プローブのバーコード配列またはその増幅産物(例えば、RCA産物)にハイブリダイズし、検出オリゴが二次プローブのバーコード配列にハイブリダイズする例示的なインサイチュアッセイワークフローを示す。パドロックプローブの場合には、プライマーをDNAスプリントとして使用してパドロックをライゲーションすることができる。 図4Cは、例示的なインサイチュアッセイワークフローを示す。DNA分子を生成するためにRNA標的を逆転写し、次いで例示的な一次プローブがDNA分子にハイブリダイズする。パドロックプローブの場合には、RNAから生成されたDNAをスプリントとして用いてパドロックをライゲーションすることができる。例示的な架橋プローブは、一次プローブのバーコード配列またはその増幅産物(例えば、RCA産物)にハイブリダイズし、検出オリゴは架橋プローブにハイブリダイズする。 図5は、例示的なインサイチュアッセイワークフローを示す。様々な一次プローブはRNA標的にハイブリダイズすることができ、1つ以上のバーコード配列を含む環状化されたプローブを形成するために、RNAを鋳型とするライゲーションおよび/またはDNAを鋳型とするライゲーションを使用してライゲーションさせることができる。二次プローブまたは架橋プローブは、環状化されたプローブまたはその増幅産物に(例えば、図4A~4Cに示されるように)ハイブリダイズされ得る。検出オリゴは、環状化されたプローブもしくはその増幅産物、二次プローブもしくはその増幅産物、または架橋プローブに(例えば、図4A~4Cに示されるように)ハイブリダイズされ得る。 図6A~6Fは、本明細書に開示される標識剤を使用する、例えば非核酸分析物に対する例示的なインサイチュアッセイワークフローを示す。 図7は、例示的な空間的アッセイワークフローを示す。 図8は、例示的な空間的アッセイワークフローを示す。 図9は、例示的な空間的アッセイワークフローを示す。 図10は、例示的な空間的アッセイワークフローを示す。 図11A~11Bは、例示的な空間的アッセイワークフローを示す。 図12は、本明細書に記載されるように、バーコード付加された捕捉プローブの一例を示す概略図である。 図13A~13Cは、標的核酸分子を分析する方法を模式的に示す。図13Aは、標的核酸分子、第1のプローブおよび第2のプローブを示し、図13Bは、第1および第2のプローブがハイブリダイズした標的核酸分子を示す。図13Cは、プローブが連結された核酸分子を示す。 図14は、例示的な標識剤(例えば、分析物捕捉剤)の概略図である。 図15は、例示的な標識剤(例えば、分析物捕捉剤)の概略図である。 図16は、構造体に固定化された捕捉プローブと会合したレポーターオリゴヌクレオチドを有する標識剤(例えば、分析物捕捉剤)との間での例示的な相互作用を示す概略図である。 図17は、アレイ内のバーコード付加された構造体の配置を示す概略図である。 図18は、拡散抵抗性媒体、例えば、蓋の側面図を示す概略図である。 図19A~19Bは、転写物分析物を空間的にバーコード付加された捕捉プローブアレイに向けて導くように構成された電気泳動転写システムの拡大図(図19A)および側面図(図19B)を示す概略図である。 図20は、電気泳動転写システムを利用する例示的なワークフローを示す概略図である。
詳細な説明
いくつかの局面において、例えば、無傷の組織中の細胞を分析するための、顕微鏡法読み出し(例えば、標的分析物に直接的にまたは間接的に結合するプローブのバーコード配列の光学的配列決定)および/または配列決定読み取り(例えば、標的核酸配列自体および/またはプローブのバーコード配列のNGS配列決定)を使用した統合型インサイチュ空間的アッセイが本明細書において提供される。いくつかの態様において、本方法は、生物学的試料中のトランスクリプトームまたはそのサブセットなどの分析物を空間的にプロファイリングすることをさらに含む。空間的ゲノミクスおよびトランスクリプトームアッセイを含む、これらのインサイチュ空間的アッセイのための方法、組成物、キット、装置およびシステムが提供される。いくつかの態様において、提供される方法は定量的であり、細胞を物理的に単離することなく、またはホモジネートを使用することなく組織試料内の空間的情報を保存する。細胞、組織、器官または生物中の核酸を検出および/または定量するための組成物および方法も本明細書で提供される。いくつかの態様において、本開示は、組織試料中のRNA転写物および/またはDNA遺伝子座などのこのような標的の空間的情報を含む、インサイチュでの多数の標的のハイスループットプロファイリングのための方法を提供する。
特許文書、科学論文およびデータベースを含む、本出願において参照されるすべての刊行物は、あたかもそれぞれの個々の刊行物が参照により個々に組み入れられているかのように、すべての目的のためにその全体が参照により組み入れられる。本明細書において示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、出願、公開された出願および他の刊行物において示される定義と相反するかまたは他の形で矛盾する場合は、本明細書において示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる定義に優先する。
本明細書において使用するセクション見出しは構成のみを目的とし、記載される主題を限定するものとして解釈してはならない。
I. 概説
一局面において、生物学的試料、例えば組織試料中の1つ以上の関心対象の標的分析物のためのインサイチュアッセイモジュールを含む方法が本明細書で提供される。いくつかの態様において、アッセイは、インサイチュで組織試料中の分析物(例えば、核酸分子)の存在/非存在、分布、位置、量、レベル、発現または活性を分析することを含む。標的分析物は、タンパク質およびペプチドなどの核酸分子および非核酸分子を含み得る。標的核酸分子は、任意の特定のタイプの細胞および/もしくは特定の細胞内領域、例えば、細胞質ゾル、細胞核、ミトコンドリア、ミクロソーム、より一般的には、任意の他の区画、細胞小器官もしくは細胞の一部に由来し得るかまたはこれらの中で分析され得る。例には、ゲノムDNA、メチル化されたDNA、特異的メチル化されたDNA配列、断片化されたDNA、ミトコンドリアDNA、およびRNA/DNAハイブリッドなどのDNA分析物が含まれる。標的核酸分子の例には、様々なタイプのコードRNAおよび非コードRNAなどのRNA分析物も含まれる。様々なタイプのRNA分析物の例には、メッセンジャーRNA(mRNA)、リボソームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、マイクロRNA(miRNA)、mRNA前駆体およびウイルスRNAも含まれる。RNA分析物は、細胞もしくは細胞区画(例えば、核)から得ることができ、または細胞もしくは細胞区画中で分析することができる。
いくつかの態様において、本方法は、組織試料のトランスクリプトームまたはゲノム、例えば全般的トランスクリプトームまたはゲノムを分析することを含む。いくつかの態様において、本方法は、組織試料中で発現されるまたは存在する遺伝子またはゲノム遺伝子座の発現パターンおよび/または位置/分布パターンの同時分析を可能にする空間的トランスクリプトミクスおよび/または空間的ゲノミクスを行うための過程を含む。
いくつかの態様において、インサイチュアッセイは、標的指向型アッセイ、例えば、関心対象の標的生物学的分析物、例えば組織試料中のmRNA分子に直接的にまたは間接的に結合する予め設計されたプローブを分析するアッセイである。いくつかの態様において、インサイチュアッセイは、標的核酸(またはその相補物、増幅産物もしくは誘導体)にハイブリダイズする1つ以上の核酸プローブを提供することと、生物学的試料の空間的位置において1つ以上の核酸プローブを検出することとを含む。いくつかの態様において、予め設計されたプローブは、1つ以上の一次プローブもしくはプローブセット、例えば標的分析物に結合するプローブ、および/または1つ以上の二次プローブもしくはプローブセット、例えば一次プローブもしくはその相補物もしくはその産物(例えば、ハイブリダイゼーション産物、ライゲーション産物、(例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼによる)伸長産物、複製産物、転写/逆転写産物および/または増幅産物)に結合するプローブを含む。いくつかの態様において、予め設計されたプローブは、1つ以上の高次のプローブまたはプローブセット、例えば、n次プローブまたはその相補物もしくはその産物(例えば、ハイブリダイゼーション産物、ライゲーション産物、(例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼによる)伸長産物、複製産物、転写/逆転写産物および/または増幅産物)に結合する(n+1)次プローブを含み、ここで、nは2以上の整数である。いくつかの態様において、予め設計されたプローブはバーコード付加されたプローブである。いくつかの態様において、n次プローブはバーコード配列(n次バーコード配列)を含み、(n+1)次プローブはn次バーコード配列に結合し、別のバーコード付加されたプローブによるまたは検出可能に標識されたプローブ、例えば蛍光標識された検出オリゴによる結合のための(n+1)次バーコード配列を含み、nは1以上の整数である。本明細書に開示される態様のいずれにおいても、プローブの別のプローブへのまたは標的分析物への結合は、直接的(例えば、核酸配列の直接的ハイブリダイゼーションまたは抗原抗体結合を介して)または間接的(例えば、1つ以上の架橋オリゴまたは結合相互作用を介した間接的ハイブリダイゼーション)であり得る。結合相互作用は、標的分析物の存在/非存在、分布、位置、量、レベル、発現または活性の読み取りを提供するために、高解像度光学顕微鏡法などの顕微鏡法を使用して分析され得る。いくつかの態様において、インサイチュアッセイは、インサイチュ配列決定および/またはプローブの逐次ハイブリダイゼーションなどのインサイチュハイブリダイゼーションを含む。いくつかの態様において、インサイチュアッセイは、約20個、約50個、約100個、約200個、約500個、約1,000個、約2,000個、約5,000個または約10,000個の遺伝子、例えば、組織試料中の遺伝子からのmRNA転写物を分析する。いくつかの態様において、組織試料中の約100個~約1,000個の遺伝子に由来するmRNA転写物がインサイチュで分析される。
別の局面において、本明細書に開示される方法は、空間的アッセイモジュール、例えば、組織試料中の分析物(例えば、核酸分子)の存在/非存在、分布、位置、量、レベル、発現または活性の定量的および/または定性的分析をさらに含み、組織試料中の分析物の存在/非存在、分布、位置、量、レベル、発現または活性の空間パターンは保持されている。いくつかの態様において、本方法は、組織試料のトランスクリプトームまたはゲノム、例えば全般的トランスクリプトームまたはゲノムを分析することを含む。いくつかの態様において、本方法は、組織試料中で発現されるまたは存在する遺伝子またはゲノム遺伝子座の発現パターンおよび/または位置/分布パターンの同時分析を可能にする空間的トランスクリプトミクスおよび/または空間的ゲノミクスを行うための過程を含む。いくつかの態様において、本方法は、アレイベースの核酸分子の捕捉をハイスループット核酸配列決定技術と組み合わせ、これにより、組織試料中の核酸分子(例えば、RNAまたはDNA分子)を捕捉し、位置タグ(例えば、空間的バーコード)で標識することが可能になる。いくつかの態様において、本方法は、例えばヌクレオチド解像度で配列決定され、いずれの遺伝子が組織試料のあらゆる部分で発現されているかを決定するために分析される核酸分子の合成をさらに含む。いくつかの態様において、組織試料中の各細胞の個々の、別個のおよび特異的なトランスクリプトームは同時に取得することができ、調査された組織試料内の空間的情報を失うことなく、組織試料内の個々の細胞から高度に並行した包括的トランスクリプトームシグネチャを提供する。
いくつかの態様において、本明細書中に開示される方法は、1つ以上のインサイチュアッセイおよび1つ以上の空間的アッセイを任意の好適な順序で逐次に行うことを含む。第1の分析物のインサイチュ分析は、空間的アッセイにおいて捕捉プローブのアレイを用いて第2の標的分析物を分析する前、分析と同時に、または分析の後に行われ得る。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、二重読み取り、例えば顕微鏡法読み取りおよび配列決定読み取りを提供することを含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、インサイチュアッセイのための顕微鏡法読み取りおよび空間的アッセイのための配列決定読み取りを分析することを含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、インサイチュアッセイにおける第1の分析物および空間的アッセイにおける第2の分析物を分析することを含む。いくつかの態様において、第1の分析物および第2の分析物は同一の分子である。いくつかの態様において、第1の分析物および第2の分析物は異なる分子である。いくつかの態様において、第1の分析物および第2の分析物は、共通の核酸配列を含むか、または一方が核酸配列を含み、他方が相補的配列またはその産物(例えば、ハイブリダイゼーション産物、ライゲーション産物、(例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼによる)伸長産物、複製産物、転写/逆転写産物および/または増幅産物)を含む。いくつかの例では、第2の分析物は、第1の分析物の核酸配列または第1の分析物に対する標識剤の核酸配列を含み得る。いくつかの例では、第2の分析物は、第1の分析物の核酸配列の相補的核酸配列または第1の分析物に対する標識剤の核酸配列を含み得る。いくつかの例では、第2の分析物は、第1の分析物の産物(例えば、ハイブリダイゼーション産物、ライゲーション産物、(例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼによる)伸長産物、複製産物、転写/逆転写産物、および/または増幅産物、例えばRCA産物)または第1の分析物を標的とするプローブ(例えば、インサイチュアッセイで使用されるプローブ)であり得る。いくつかの態様において、第1の分析物および第2の分析物は、異なる核酸配列を含む。
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、基材、例えばスライドガラス上の生物学的試料を、生物学的試料中の第1の標的核酸またはその相補物もしくは産物(例えば、ハイブリダイゼーション産物、ライゲーション産物、(例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼによる)伸長産物、複製産物、転写/逆転写産物および/または増幅産物)に直接的にまたは間接的にハイブリダイズする1つ以上の核酸プローブと接触させる工程を含む。いくつかの態様において、基材上の生物学的試料は、試料中の第1の標的核酸に対するインサイチュ分析(例えば、インサイチュ配列決定)に供される。いくつかの態様において、生物学的試料は、新たに単離されたまたは保存された組織切片などの組織試料である。いくつかの態様において、生物学的試料は、可逆的架橋によって固定される。いくつかの態様において、生物学的試料は、組織試料内の分析物のおよび/または相対的に組織試料中の1つ以上の他の分析物に対する存在/非存在、分布、位置、量、レベル、発現または活性の空間的パターンを保存するために1つ以上の分析物分子(例えば、RNA分子)が所定の位置に可逆的に固定されるように処理される。いくつかの態様において、生物学的試料は、ポリマーマトリックスなどのマトリックス中に包埋される。いくつかの態様において、生物学的試料はヒドロゲル包埋される。いくつかの態様において、1つ以上の分析物分子(例えば、RNA分子)がプローブによって標的とされ、インサイチュ画像化、例えばライゲーションによる配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、合成による配列決定、結合による配列決定、および/またはバーコード付加されたプローブの逐次ハイブリダイゼーションとその後の復号を使用して分析される。いくつかの態様において、試料中の複数の分析物の分子は、高度に多重化された手法においてインサイチュで分析される。
いくつかの態様において、インサイチュ分析の画像が記録されると、本方法は、試料中の第2の標的核酸またはその相補物もしくは産物(例えば、ハイブリダイゼーション産物、ライゲーション産物、伸長産物、複製産物、転写/逆転写産物、誘導体および/または増幅産物)が放出されるように試料を処理することをさらに含む。例えば、本方法は、試料中の第2の標的核酸またはその相補物もしくは産物(例えば、ハイブリダイゼーション産物、ライゲーション産物、(例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼによる)伸長産物、複製産物、転写/逆転写産物および/または増幅産物)が所定の位置に(例えばヒドロゲルに)固定されないように、試料を脱架橋することをさらに含み得る。いくつかの態様において、第2の標的核酸(例えば、mRNA)またはその相補物もしくはその産物は、複数の捕捉剤によって直接的にまたは間接的に捕捉されることが可能である。いくつかの態様において、複数の捕捉剤は、インサイチュ分析中に試料を支持する基材(例えば、薄いスライドガラス)上に提供される。いくつかの態様において、インサイチュ画像化のための基材は第1の基材であり、複数の捕捉剤は、第1の基材上の試料に提供される第2の基材上に提供される。いくつかの態様において、複数の捕捉剤のうちの1つの捕捉剤は、(i)核酸を捕捉することができる捕捉ドメインと、(ii)第1の基材および/または第2の基材上の捕捉剤の位置に対応する空間的バーコードとを含む。
いくつかの態様において、第1の標的核酸および第2の標的核酸は、同一の分子である。いくつかの態様において、第1の標的核酸および第2の標的核酸は、異なる分子である。いくつかの態様において、第1の標的核酸および第2の標的核酸は、共通の核酸配列を含むか、または、一方が核酸配列を含み、他方が該核酸配列の相補的配列または産物(例えば、ハイブリダイゼーション産物、ライゲーション産物、(例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼによる)伸長産物、複製産物、転写/逆転写産物および/または増幅産物)配列を含む。いくつかの態様において、第1の標的核酸および第2の標的核酸は、異なる核酸配列を含む。いくつかの態様において、第2の標的核酸は、インサイチュ分析において使用されるプローブを含み、それはインサイチュ分析後に試料から放出され得る。いくつかの態様において、第2の標的核酸は、インサイチュ分析中に生成される増幅産物を含み、それはインサイチュ分析後に試料から放出され得る。いくつかの態様において、第2の標的核酸は、1つ以上の核酸プローブによって標的とされる核酸配列を含み、それはインサイチュ分析後に試料から放出され得る。いくつかの態様において、第2の標的核酸は、インサイチュ分析中に(例えば、ライゲーションまたは伸長を介して)生成される核酸を含み、それはインサイチュ分析後に試料から放出され得る。いくつかの態様において、第2の標的核酸は、2種類以上の分析物を含む。第2の標的核酸は、第1の分析物のインサイチュ分析が行われる前、行われるのと同時に、または行われた後に生成または処理され得る。
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、試料中の1つ以上の分子が捕捉剤によって直接的にまたは間接的に捕捉されることを可能にするために、例えば、脱架橋された組織試料を溶解または透過処理することによって試料を処理することを含む。いくつかの態様において、試料中の1つ以上の分子は、例えば、試料の1つ以上の細胞から外におよび/または試料から外に移動させられる。いくつかの態様において、第1の標的核酸またはその相補物もしくは産物(例えば、ハイブリダイゼーション産物、ライゲーション産物、(例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼによる)伸長産物、複製産物、転写/逆転写産物および/または増幅産物)は、基材上の捕捉剤によって捕捉されるために、試料の細胞から外に移動させられる。いくつかの態様において、第2の標的核酸またはその相補物もしくは産物(例えば、ハイブリダイゼーション産物、ライゲーション産物、(例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼによる)伸長産物、複製産物、転写/逆転写産物および/または増幅産物)は、基材上の捕捉剤によって捕捉されるために、試料の細胞から外に移動させられる。
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、(i)第2の標的核酸またはその相補物の配列と(ii)空間的バーコードまたはその相補物の配列とを含む空間的に標識されたポリヌクレオチドを生成する工程をさらに含む。いくつかの態様において、第2の標的核酸は、インサイチュ画像化中に分析される第1の標的核酸と同じである。いくつかの態様において、第2の標的核酸は、インサイチュ画像化中に分析される第1の標的核酸とは異なる。いくつかの態様において、複数の第2の標的核酸が空間的アッセイにおいて分析される。いくつかの態様において、複数の第2の標的核酸はトランスクリプトームまたはそのサブセットである。
いくつかの態様において、第2の標的核酸はmRNA配列を含み、捕捉剤は捕捉プローブを含む。いくつかの態様において、プライマー伸長のための鋳型として第2の標的核酸を使用する逆転写酵素(RT)プライマーとして捕捉プローブが機能するように、捕捉プローブは遊離3’末端を含む。いくつかの態様において、第2の標的核酸は、DNA(例えば、cDNA)を含む。いくつかの態様において、第2の標的核酸は、mRNA鋳型を使用するインサイチュアッセイ(例えば、逆転写)より前またはその間に生成される。いくつかの態様において、試料は逆転写反応に供され、逆転写反応において、試料中の1つ以上のRNA分子は逆転写されて、本明細書に開示されるインサイチュアッセイモジュールより前またはその間にDNA分子(例えば、cDNA)を生成する。生成されたDNA分子は、本明細書に開示される統合型の方法のインサイチュアッセイモジュールおよび/または空間的アッセイモジュールにおいて分析することができる。いくつかの態様において、遊離3’末端が、オリゴdT、ランダム配列、または遺伝子特異的配列を含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは、空間的バーコードの5’側に存在するユニバーサルドメインをさらに含み、ユニバーサルドメインは、(i)増幅ドメイン;および/または(ii)生成された空間的に標識されたポリヌクレオチドを基材の表面から放出させるための切断ドメインを含む。いくつかの態様において、生成された空間的に標識されたポリヌクレオチドは、cDNAまたはその増幅産物である。
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、空間的に標識されたポリヌクレオチドもしくはその一部またはこれらの相補物もしくは産物(例えば、ハイブリダイゼーション産物、ライゲーション産物、(例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼによる)伸長産物、複製産物、転写/逆転写産物および/または増幅産物)を分析のために放出させることを含む。いくつかの態様において、空間的に標識されたポリヌクレオチドまたはその一部、相補物もしくは産物は、基材から、例えば、第1または第2の基材から放出される。いくつかの態様において、本方法は、空間的に標識されたポリヌクレオチドの少なくとも一部またはその一部、相補物もしくは産物の配列を決定する工程を含む。いくつかの態様において、決定する工程は、ライゲーションによる配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、合成による配列決定、および/または結合による配列決定を含む。いくつかの態様において、放出された空間的に標識されたポリヌクレオチドまたはその一部、相補物もしくは産物は、直接的配列決定によって分析される。いくつかの態様において、放出された空間的に標識されたポリヌクレオチドまたはその一部、相補物もしくは産物は、間接的な配列決定によって分析される。いくつかの態様において、本方法は、空間的に標識されたポリヌクレオチドまたはその一部、相補物もしくは産物を増幅すること、例えば、空間的に標識されたポリヌクレオチドまたはその一部、相補物もしくは産物を、放出工程より前、放出工程の間、または放出工程より後に増幅することを含む。いくつかの態様において、決定する工程は、配列決定より前に、放出された空間的に標識されたポリヌクレオチドまたはその一部、相補物もしくは産物の増幅を含む。いくつかの態様において、方法は、空間的に標識されたポリヌクレオチドの空間的バーコードと、1つ以上の核酸プローブの検出された空間的位置とを相関させることを含む。
図1は、統合型インサイチュ空間的アッセイの例示的なワークフローを提供する。インサイチュアッセイは、典型的には、顕微鏡および配列決定のための光学的シグナルの分析を使用して、標的分析物のパネル、例えば約100~約1,000個の遺伝子およびこれに由来するmRNA転写物を調べる標的指向型アプローチをとる。いくつかの態様において、インサイチュアッセイは、分析物を直接的にまたは間接的に結合するプローブの1つ以上のバーコード配列のインサイチュ配列決定を含む。いくつかの態様において、インサイチュアッセイは、分析物の核酸部分に直接的にまたは間接的にハイブリダイズするプローブの1つ以上のバーコード配列への1つ以上の検出オリゴのインサイチュハイブリダイゼーションを示すシグナルを検出することを含み、逐次ハイブリダイゼーションからのシグナルの空間的および/または時間的パターンが分析物を分析するために使用される。いくつかの態様において、本明細書に開示される統合型インサイチュ空間的アッセイは、同じ試料に対するインサイチュアッセイと比較して、試料から分析物のより多くの空間的情報を得る。いくつかの態様において、インサイチュプローブ(例えば、パドロックプローブ)は、インサイチュ分析のための試料中の標的分析物(例えば、核酸分子)に結合する。標的分子に結合し、(例えば、RNAを鋳型とするライゲーション(例えば、図13A~13Cに示すような)および/またはDNAを鋳型とするライゲーションなどのライゲーションを介して)2つ以上のプローブを連結すると、インサイチュプローブは、より大きなプローブを形成するように組み立てられる2つ以上のプローブを含み得る。インサイチュプローブまたはその産物は、例えばローリングサークル増幅を用いて増幅されて、例えば図1に示すようにインサイチュで配列決定することができる増幅産物を生成することができる。いくつかの態様において、本明細書に開示される統合型インサイチュ空間的アッセイを実行することによって、インサイチュアッセイおよび検出は、同一の試料に関する追加の情報(例えば、標的分析物および/または他の関心対象の分析物に関連する情報)を捕捉することができる空間的アッセイが補足された、(例えば、光学的輻輳を回避しながらの)標的分析物の検出に向けられ得る。いくつかの態様において、生物学的試料中の標的分析物の第1のセットは、インサイチュアッセイおよび検出において分析されるが、同じ生物学的試料中の標的分析物の第2のセットは、空間的アッセイにおいて分析される。
いくつかの態様において、インサイチュプローブに加えて、本明細書に開示される1つ以上の分析物タグ付加および/または捕捉プローブもまた、インサイチュアッセイより前および/またはその間に試料と接触させる。いくつかの態様において、1つ以上の分析物を標的とするプローブのパネルは、インサイチュアッセイより前および/またはその間に試料と接触されるが、インサイチュ分析においては分析されない。代わりに、1つ以上の分析物を標的とするプローブは、空間的アレイをベースとするアッセイなどの本明細書に記載される空間的分析において分析することができる。いくつかの例では、プローブのパネルは、空間的分析における分析のために、複数の標的とされる分析物を捕捉するためのものである。いくつかの態様において、1つ以上の分析物(例えば、タンパク質または細胞の構造体)を標的とする標識剤または結合剤を、インサイチュアッセイおよび/または空間的アッセイより前またはその間に試料と接触させる。
図1~3は、統合型インサイチュ空間的分析の例示的なワークフローを提供する。図1に示されるように、インサイチュ分析は、(例えば、FISSEQの場合のように)非標的指向型であり得、好ましくは、例えば、約100~約1,000個の遺伝子および/またはmRNA転写物に対して標的指向される。同じ試料を、空間的分析、例えば、標的指向型および/または非標的指向型とすることができる本明細書に開示される空間的アレイをベースとする分析に供することができる。いくつかの局面において、空間的分析は、(例えば、標的分析物の所定のパネルに対する)標的指向型読み取りまたは(例えば、試料のトランスクリプトームプロファイリングのための)非標的指向型読み取りを提供することができる。いくつかの局面において、空間的分析は、mRNA転写物の所定のパネルまたはインサイチュプローブに対する遺伝子特異的な捕捉配列を有する捕捉剤(標的指向型読み取り用)と、非標的指向型トランスクリプトームプロファイリングのためのポリT配列を有する捕捉剤の両方を使用する。いくつかの態様において、分析物、インサイチュプローブおよび/もしくはその産物、および/または分析物捕捉剤(例えば、分析物捕捉プローブ)は、捕捉プローブを含む構造体を含む基材に移動する。
図2Aでは、201において、試料を、インサイチュアッセイモジュールのためのプローブ(例えば、パドロックプローブ)と接触させる。インサイチュアッセイモジュールおよび/または空間的アッセイモジュールのためのプローブ、標識剤、分析物捕捉剤および/または捕捉剤などの他の作用物質は、試料をインサイチュアッセイのためのプローブと接触させるより前に、接触させるのと一緒に、または接触させるより後に、試料と接触させ得る。任意で、分析物、プローブ、および/または他の試薬(インサイチュアッセイモジュールおよび/または空間的アッセイモジュール用のものを含む)は、202において、任意の適切な順序および組み合わせで伸長され、ライゲーションされ、増幅され、逆転写され、および/またはその他反応もしくは処理されることができる。例えば、試料中のRNA分子は、インサイチュ検出の前に、例えば201および/または202において、生成されたDNA分子に逆転写されることができる。インサイチュアッセイモジュールのシグナルは、203において検出され、任意で分析される。任意に行われる試料処理および/または透過処理後に、インサイチュアッセイモジュール後の試料からの分析物は、204において捕捉プローブを使用して捕捉される。空間的アッセイモジュールのためのプローブ(例えば、鋳型とされるライゲーションプローブ)、標識剤、分析物捕捉剤および/または捕捉剤などの作用物質は、201、202、203および/または204の前に、一緒に、または後に試料と接触させ得る。空間的に分解された分析物情報は、205において、例えば、捕捉プローブおよび/または捕捉された分析物を分析することによって得られる。例示的なワークフローの工程は、任意の適切な順序で実施され得る。いくつかの態様において、工程201、202および203の任意の1つ以上は、工程204および205の前に実施される。インサイチュアッセイモジュールおよび/または空間的アッセイモジュール内の分析物は、1つ以上の核酸分析物および/またはタンパク質分析物などの1つ以上の非核酸分析物を含み得る。
図2Bでは、試料を、206において空間的アッセイモジュールのための、分析物を標的とするプローブ(例えば、鋳型とされるライゲーションプローブ)と、および/またはインサイチュアッセイモジュール207のためのプローブ(例えば、パドロックプローブ)と接触させる。インサイチュアッセイモジュールおよび/または空間的アッセイモジュールのためのプローブ、標識剤、分析物捕捉剤および/または捕捉剤などの他の作用物質は、工程206および/または207より前に、一緒に、または後に試料と接触させ得る。任意で、分析物、プローブおよび/または他の試薬(インサイチュアッセイモジュールおよび/または空間的アッセイモジュール用のものを含む)は、208において、任意の適切な順序および組み合わせで伸長され、ライゲーションされ、増幅され、逆転写され、および/またはその他反応もしくは処理されることができる。例えば、試料中のRNA分子は、例えば206、207および/または208の間もしくはそれより前に、インサイチュ検出より前に、生成されたDNA分子に逆転写されることができる。いくつかの事例では、工程207より前に、工程207と一緒に、または工程207より後に206を実施することができる。インサイチュアッセイモジュールのシグナルは、209において検出され、任意で分析される。任意に行われる試料処理および/または透過処理後に、インサイチュアッセイモジュール後の試料からの分析物は、210において捕捉プローブを使用して捕捉される。空間的アッセイモジュールのためのプローブ(例えば、鋳型とされるライゲーションプローブ)、標識剤、分析物捕捉剤および/または捕捉剤などの作用物質は、207、208、209および/または210より前に、一緒に、または後に試料と接触させ得る。空間的に分解された分析物情報は、211において、例えば、捕捉プローブおよび/または捕捉された分析物を分析することによって得られる。例示的なワークフローの工程は、任意の適切な順序で実施され得る。いくつかの態様において、工程206、207、208および209の任意の1つ以上は、工程210および211より前に実施される。インサイチュアッセイモジュールおよび/または空間的アッセイモジュール内の分析物は、1つ以上の核酸分析物および/またはタンパク質分析物などの1つ以上の非核酸分析物を含み得る。
図3は、さらなる例示的なワークフローを示す。試料は、核酸1を標的とする任意でバーコード付加されたプローブ;核酸2を標的とするバーコード付加された環状化可能なプローブ(例えば、パドロックプローブ)および同一のまたは異なる核酸を標的とするライゲーション用のバーコード付加されたプローブ(例えば、RNAを鋳型とするライゲーションプローブ);核酸3を標的とするバーコード付加された環状化可能なプローブ(例えば、パドロックプローブ)および環状化可能なプローブの配列(例えば、環状化可能なプローブのバーコード配列)をライゲーションのための鋳型として使用するバーコード付加されたプローブ;レポーターオリゴヌクレオチドなどの標識剤の一部であり得る(試料中の分析物を認識する抗体にコンジュゲートされた核酸4が一例として示されている)または逆転写を受けてインサイチュでcDNAを生成するRNA(例えば、mRNA分子)などの試料中の内因性分子であり得る核酸4を含む様々な核酸分子を含み、または様々な核酸分子と接触される。様々な核酸分子は、任意の適切な組み合わせで、および任意の適切な時間的順序で試料中に存在し得、または試料と接触され得る。様々なプローブを含む外因性分子を試料と同時に接触させ、ワンポット結合/ハイブリダイゼーション反応においてインキュベートさせ得る。別段示されない限り、様々な核酸分子(核酸1~4および様々なプローブを含む)の任意の1つ以上は、DNAもしくはRNAまたはその複合体、コンジュゲートもしくはハイブリッドであり得、試料に対して内因性であり得るか、または試料に外因的に添加され得る。インサイチュアッセイモジュールおよび/または空間的アッセイモジュール用のものを含む核酸分子は、任意の適切な順序および組み合わせで伸長され、ライゲーションされ、増幅され、逆転写され、および/またはその他反応もしくは処理されることができる。インサイチュアッセイモジュールのシグナルは、検出され得、任意で分析され得る。例えば、核酸2を標的とするバーコード付加された環状化可能なプローブ(例えば、パドロックプローブ)は、RCAを使用して増幅することができ、RCA産物は、検出プローブ(例えば、検出可能に標識されたプローブおよび/または中間プローブを含む)を使用してインサイチュで検出することができる。ライゲーションのためのバーコード付加されたプローブはライゲーションされ、核酸2にハイブリダイズされたままであり得るが、いくつかの事例ではインサイチュアッセイモジュールにおいて検出されない。核酸3の例では、ライゲーションのためのバーコード付加されたプローブはパドロックプローブにハイブリダイズし、バーコード配列を鋳型として使用してライゲーションされる。しかしながら、環状化されたパドロックプローブのローリングサークル増幅中に、ライゲーションされたプローブは、環状化されたパドロックプローブから外され得る。外されたライゲーションされたプローブは、核酸3の位置で(例えば、試料中のまたは試料がその中に包埋されているマトリックス中の核酸3またはRCA産物または1つ以上の他の分子に)可逆的に架橋され得る。任意に行われる試料処理および/または透過処理後に、インサイチュアッセイモジュール後の試料からの分析物は、空間的アレイ上の捕捉剤によって捕捉される。空間的に分解された分析物情報は、例えば、捕捉された分子を空間的アレイから除去し、捕捉された分子および/またはその産物を配列決定のために収集した後に、捕捉プローブおよび/または捕捉された分析物を分析することによって得られる。
本開示のさらなる詳細は、例として以下に提供される。
II. 分析物
本開示に記載される方法、組成物、装置およびシステムは、多種多様な異なる分析物を検出および分析するために使用することができる。いくつかの局面において、本明細書に開示される分析物は、分析されるべき任意の生物学的物質、構造、部分または成分を含むことができる。いくつかの局面において、本明細書に開示される標的は、同様に、任意の関心対象の分析物を含み得る。
分析物は、特定の種類の細胞および/または特定の細胞内領域に由来し得る。例えば、分析物は、細胞質ゾル、細胞核、ミトコンドリア、ミクロソーム、より一般的には任意の他の区画、細胞小器官または細胞の一部に由来し得る。分析のために細胞から分析物を選択的に放出させるために、および/または1つ以上の試薬(例えば、インサイチュ分析用のプローブおよび/または空間的分析用のプローブ)が細胞もしくは細胞区画もしくは細胞小器官中の分析物に接近できるようにするために、ある一定の細胞区画および細胞小器官を特異的に標的とする透過処理剤を使用することができる。
分析物は、核酸分析物および非核酸分析物という2つのグループのうちの1つに広く分類することができる。本明細書に開示される統合型インサイチュ空間的アッセイは、任意の適切な組み合わせで核酸分析物および/または非核酸分析物を分析するために使用することができる。いくつかの局面において、本明細書に開示される方法の1つ以上のインサイチュアッセイモジュールは、試料中の第1の複数の核酸分析物を分析することができ、方法の1つ以上の空間的アッセイモジュールは、試料中の第2の複数の核酸分析物を分析することができ、第2の複数は、任意で、第1の複数より大きい核酸分析物のセットである。本明細書の態様のいずれにおいても、本明細書に開示される方法の1つ以上のインサイチュアッセイおよび/または空間的アッセイモジュールは、タンパク質分析物などの複数の非核酸分析物を分析することができる。
非核酸分析物の例には、脂質、炭水化物、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質(N連結型またはO連結型)、リポタンパク質、リンタンパク質、タンパク質の特異的リン酸化またはアセチル化変異形、タンパク質のアミド化変異形、タンパク質のヒドロキシル化変異形、タンパク質のメチル化変異形、タンパク質のユビキチン化変異形、タンパク質の硫酸化変異形、ウイルスのコートタンパク質、細胞外および細胞内タンパク質、抗体ならびに抗原結合断片が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、分析物は、膜貫通分析物または細胞膜に付着したものなど、細胞内部または細胞表面上に存在する。いくつかの態様において、分析物は、細胞小器官(例えば、核またはミトコンドリア)であり得る。いくつかの態様において、分析物は、分泌された分析物などの細胞外分析物である。
分析物に対応する細胞表面構造体には、受容体、抗原、表面タンパク質、膜貫通タンパク質、表面抗原分類タンパク質、タンパク質チャネル、タンパク質ポンプ、担体タンパク質、リン脂質、糖タンパク質、糖脂質、細胞間相互作用タンパク質複合体、抗原提示複合体、主要組織適合複合体、操作されたT細胞受容体、T細胞受容体、B細胞受容体、キメラ抗原受容体、細胞外マトリックスタンパク質、細胞表面タンパク質の翻訳後修飾(例えば、リン酸化、グリコシル化、ユビキチン化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化または脂質化)状態、ギャップ結合および接着結合が含まれ得るが、これらに限定されない。
核酸分析物の例には、ゲノムDNA、メチル化DNA、特異的メチル化DNA配列、断片化されたDNA、ミトコンドリアDNA、インサイチュ合成されたPCR産物、およびRNA/DNAハイブリッドなどのDNA分析物が含まれる。
核酸分析物の例には、様々な種類のコードRNAおよび非コードRNAなどのRNA分析物も含まれる。タンパク質に翻訳されない非コードRNA(ncRNA)の例としては、トランスファーRNA(tRNA)およびリボソームRNA(rRNA)、ならびにマイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、Piwi結合RNA(piRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、細胞外RNA(exRNA)、低分子カハール体特異的RNA(scaRNA)などの低分子非コードRNA、ならびにXistおよびHOTAIRなどの長鎖ncRNAが挙げられる。異なる種類のRNA分析物の例には、新生RNA、プレmRNA、一次転写産物RNA、ならびに(例えば、5’の7-メチルグアノシンキャップで)キャップされたmRNA、ポリアデニル化mRNA(3’末端のポリAテール)および1つ以上のイントロンが除去されているスプライシングされたmRNAなどの処理されたRNAを含むメッセンジャーRNA(mRNA)が含まれる。本明細書に開示される分析物には、キャップされていないmRNA、非ポリアデニル化mRNAおよびスプライシングされていないmRNAも含まれる。RNA分析物のさらなる例としては、rRNA、tRNA、miRNAおよびウイルスRNAが挙げられる。RNAは(例えば、組織切片中に存在する)転写物であり得る。RNAは、小さいもの(例えば、200未満の核酸塩基長)または大きいもの(例えば、200核酸塩基長を超えるRNA)であり得る。低分子RNAの例としては、5.8SリボソームRNA(rRNA)、5S rRNA、tRNA、miRNA、siRNA、snoRNA、piRNA、tRNA由来低分子RNA(tsRNA)、および低分子rDNA由来RNA(srRNA)が挙げられる。RNAは、二本鎖RNAまたは一本鎖RNAであり得る。RNAは環状RNAであり得る。RNAは細菌rRNA(例えば、16s rRNAまたは23s rRNA)であり得る。
ある一定の態様において、分析物は、生細胞から抽出され得る。分析中に生物学的試料が生きた状態を保ち、分析物が試料の生細胞から抽出される(または放出される)ことを確実にするために、処理条件は、調整することができる。生細胞由来分析物は、試料から1回だけ取得することができ、または生きた状態を保ち続ける試料から間隔を置いて取得することができる。
一般に、システム、装置、方法および組成物は、任意の数の分析物を分析するために使用することができる。例えば、分析される分析物の数は、試料の領域中または基材の個々の構造体内に存在する少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約100、少なくとも約1,000、少なくとも約10,000、少なくとも約100,000またはそれより多くの異なる分析物であり得る。
III. 試料および試料処理
A. 生物学的試料
いくつかの態様において、生検、手術およびレーザーキャプチャー顕微鏡法(LCM)を含むがこれらに限定されない様々な技術のいずれかを使用して分析のために対象から取得され得、一般に対象からの細胞および/または他の生物学的材料を含む生物学的試料を分析するための方法および組成物が本明細書に開示される。上記の対象に加えて、生物学的試料は、細菌、例えば大腸菌(Escherichia coli)、ブドウ球菌(Staphylococci)またはマイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)などの原核生物;古細菌;C型肝炎ウイルスまたはヒト免疫不全ウイルスなどのウイルス;またはウイロイドから取得することもできる。生物学的試料は、非哺乳動物生物(例えば、植物、昆虫、クモ類、線虫、真菌または両生類)から取得することができる。生物学的試料は、患者由来オルガノイド(PDO)または患者由来異種移植片(PDX)などの真核生物から取得することもできる。生物学的試料を取得することができる対象は、健康なもしくは無症候性の個体、疾患を有するもしくは疾患を有すると疑われる(例えば、癌などの疾患を有する患者)もしくは疾患に対する素因を有するもしくは有すると疑われる個体、および/または治療を必要とするもしくは治療を必要とすると疑われる個体であり得る。
生物学的試料は、任意の数の高分子、例えば細胞高分子および細胞小器官(例えば、ミトコンドリアおよび核)を含むことができる。生物学的試料は、核酸試料および/またはタンパク質試料であり得る。生物学的試料は、炭水化物試料または脂質試料であり得る。生物学的試料は、組織切片、生検、コア生検、針穿刺吸引物または細針穿刺吸引物などの組織試料として取得することができる。試料は、血液試料、尿試料または唾液試料などの流体試料であり得る。試料は、皮膚試料、結腸試料(colon sample)、頬スワブ、組織学試料、組織病理学試料、血漿または血清試料、腫瘍試料、生細胞、培養細胞、臨床試料、例えば全血もしくは血液由来産物、血球、または細胞懸濁液を含む培養組織もしくは細胞などであり得る。いくつかの態様において、生物学的試料は、表面に堆積する細胞を含み得る。
無細胞生物学的試料は、細胞外ポリヌクレオチドを含むことができる。細胞外ポリヌクレオチドは、身体試料、例えば、血液、血漿、血清、尿、唾液、粘膜***物、痰、便および涙から単離され得る。
生物学的試料は、本明細書で言及される対象または生物の均質な培養物もしくは集団に、または例えば群集もしくは生態系内のいくつかの異なる生物の集合に由来することができる。
生物学的試料は、1つ以上の罹病細胞を含むことができる。罹病細胞は、変化した代謝特性、遺伝子発現、タンパク質発現および/または形態的特徴を有することができる。疾患の例としては、炎症性障害、代謝障害、神経系障害および癌が挙げられる。癌細胞は、固形腫瘍、血液学的悪性腫瘍、細胞株に由来することができ、または循環腫瘍細胞として取得することができる。
生物学的試料はまた、胎児細胞を含むことができる。例えば、母体循環から胎児の細胞試料を取得するために、羊水穿刺などの手順を行うことができる。胎児細胞の配列決定は、例えば、ダウン症候群、エドワーズ症候群およびパトー症候群などの異数性を含む多数の遺伝的障害のいずれをも同定するために使用することができる。さらに、胎児細胞の細胞表面構造体は、多数の障害または疾患のいずれをも同定するために使用することができる。
生物学的試料はまた、免疫細胞を含むことができる。ゲノムの、プロテオミクスのおよび細胞表面の特徴を含むこのような細胞の免疫レパートリーの配列分析は、免疫系の状態および機能の理解を容易にするための豊富な情報を提供することができる。例として、自家幹細胞移植後の多発性骨髄腫(MM)患者において微小残存病変(MRD)の状態(例えば、陰性または陽性)を決定することは、MM患者におけるMRDの予測因子であると考えられる(例えば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2018/0156784号明細書を参照)。
生物学的試料中の免疫細胞の例としては、B細胞、T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、制御性T細胞およびTヘルパー細胞)、ナチュラルキラー細胞、サイトカイン誘導キラー(CIK)細胞、骨髄系細胞、例えば顆粒球(好塩基球顆粒球、好酸球顆粒球、好中球顆粒球/過分葉好中球)、単球/マクロファージ、肥満細胞、血小板/巨核球および樹状細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
上述のように、生物学的試料は、単一の関心対象の分析物、または1つより多くの関心対象の分析物を含むことができる。単一の生物学的試料中の2つ以上の異なる分析物を分析するために多重化アッセイを行うための方法が提供される。
B. 生物学的試料の処理
分析のためにおよび/または分析中に生物学的試料を調製または処理するために、様々な工程を実施することができる。別段の指示がある場合を除いて、以下に記載される調製または処理工程は、一般に、分析のためにおよび/または特定の試料を適切に調製または処理するために、任意の様式でおよび任意の順序で組み合わせることができる。
いくつかの態様において、試料は、インサイチュアッセイおよび/または空間的アッセイに有用な1つ以上の試薬で処理することができる。いくつかの態様において、試料は1つ以上の酵素で処理することができる。例えば、DNAを断片化するための1つ以上のエンドヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼ酵素、および核酸を増幅するために使用されるdNTPを添加することができる。試料に添加することもできる他の酵素には、ポリメラーゼ、トランスポザーゼ、リガーゼおよびDNAse、およびRNAseが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、末端トランスフェラーゼ活性を有する酵素、プライマーおよび鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドを含む逆転写酵素を試料に添加することができる。例えば、cDNAに所定の核酸配列を付加することによって、cDNAの長さを増加させるために鋳型乗り換えを使用することができる。いくつかの態様において、cDNAは、空間的アッセイ中に分析され得る。
i. 組織切片化
生物学的試料は、(例えば、外科的生検、全対象の切片化を介して)対象から採取されるか、または細胞の集団として増殖基材もしくは培養皿上でインビトロで増殖され、組織スライスまたは組織切片として分析のために調製され得る。増殖された試料は、さらなる処理工程なしで分析のために十分に薄くされ得る。あるいは、増殖された試料、および生検または切片化を介して得られた試料は、振動刃ミクロトームなどの機械的切断装置を使用して薄い組織切片として調製することができる。別の代替として、いくつかの態様において、生物学的試料のタッチインプリントを適切な基材材料に適用することによって、薄い組織切片を調製することができる。
組織切片の厚さは、細胞の最大断面寸法の割合(例えば、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2または0.1未満)であり得る。しかしながら、最大断面細胞寸法より大きい厚さを有する組織切片も使用することができる。例えば、クリオスタット切片を使用することができ、例えば10~20マイクロメートルの厚さとすることができる。
より一般的には、組織切片の厚さは、典型的には、切片を調製するために使用される方法および組織の物理的特性に依存し、したがって、多種多様な異なる厚さを有する切片を調製し、使用することができる。例えば、組織切片の厚さは、少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.7、1.0、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、20、30、40または50マイクロメートルであり得る。所望であればまたは都合がよければ、例えば、少なくとも70、80、90または100マイクロメートルまたはそれを超える、より厚い切片を使用することもできる。典型的には、組織切片の厚さは、1~100マイクロメートル、1~50マイクロメートル、1~30マイクロメートル、1~25マイクロメートル、1~20マイクロメートル、1~15マイクロメートル、1~10マイクロメートル、2~8マイクロメートル、3~7マイクロメートルまたは4~6マイクロメートルであるが、上述のように、これらの範囲より大きいまたは小さい厚さを有する切片も分析することができる。
単一の生物学的試料から複数の切片を得ることもできる。例えば、複数の組織切片は、切片化ブレードを使用して生検試料の連続的切片化を行うことによって、外科生検試料から得ることができる。連続的切片間の空間的情報をこのように保存することができ、生物学的試料に関する三次元情報を得るために、切片を連続的に分析することができる。
ii. 凍結
いくつかの態様において、生物学的試料(例えば、上記のような組織切片)は、組織構造の完全性(例えば、物理的特性)を維持または保存するのに適した温度での低温凍結によって調製することができる。そのような温度は、例えば、-20℃未満、または-25℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃、-90℃、-100℃、-110℃、-120℃、-130℃、-140℃、-150℃、-160℃、-170℃、-180℃、-190℃、または-200℃未満であり得る。凍結された組織試料は、任意の数の適切な方法を使用して、基材表面上に切片化する、例えば薄くスライスすることができる。例えば、組織試料は、組織試料の構造的完全性および試料中の核酸の化学的特性の両方を維持するのに適した温度に設定された冷却されたミクロトーム(例えば、クリオスタット)を使用して調製することができる。そのような温度は、例えば、-15℃未満、-20℃未満または-25℃未満であり得る。
iii. ホルマリン固定およびパラフィン包埋
いくつかの態様において、生物学的試料は、確立された方法であるホルマリン固定およびパラフィン包埋(FFPE)を使用して調製することができる。いくつかの態様において、細胞懸濁液および他の非組織試料は、ホルマリン固定およびパラフィン包埋を使用して調製することができる。試料の固定およびパラフィンまたは樹脂ブロック中への包埋後、試料を上記のように切片化することができる。分析の前に、組織切片を適切な溶媒(例えば、キシレン)中でインキュベートした後、すすぐことによって(例えば、99.5%エタノールを2分間、96%エタノールを2分間および70%エタノールを2分間)、パラフィン包埋材料を組織切片から除去することができる(例えば、脱パラフィン)。
iv. 固定
上記ホルマリン固定の代替として、分析前に試料の生物学的構造を保存するために、生物学的試料を様々な他の固定剤のいずれでも固定することができる。例えば、試料は、エタノール、メタノール、アセトン、パラホルムアルデヒド(PFA)-Triton、およびこれらの組み合わせ中に浸漬することによって固定することができる。
いくつかの態様において、アセトン固定は、新鮮な凍結試料とともに使用され、これには、皮質組織、マウス嗅球、ヒト脳腫瘍、ヒト死後脳および乳癌試料が含まれ得るが、これらに限定されない。アセトン固定を行う場合、(後述する)前透過処理工程を行わなくてもよい。あるいは、アセトン固定は透過処理工程と併せて行うことができる。
いくつかの態様において、本明細書で提供される方法は、1つ以上の固定後(後固定とも呼ばれる)工程を含む。いくつかの態様において、1つ以上の固定後工程は、試料を本明細書中に開示されるポリヌクレオチド、例えば、環状またはパドロックプローブなどの1つ以上のプローブと接触させた後に行われる。いくつかの態様において、1つ以上の固定後工程は、プローブおよび標的を含むハイブリダイゼーション複合体が試料中に形成された後に行われる。いくつかの態様において、1つ以上の固定後工程は、本明細書中に開示される、パドロックプローブを環状化するためのライゲーションなどのライゲーション反応の前に行われる。
いくつかの態様において、1つ以上の固定後工程は、試料をタンパク質分析物などの非核酸分析物用の結合剤または標識剤(例えば、抗体またはその抗原結合断片)と接触させた後に行われる。標識剤は、標識剤に対応する配列を含む核酸分子(例えば、レポーターオリゴヌクレオチド)を含むことができ、したがって、分析物に対応する(例えば、一意に同定する)。いくつかの態様において、標識剤は、1つ以上のバーコード配列を含むレポーターオリゴヌクレオチドを含むことができる。いくつかの態様において、試料は、インサイチュアッセイ中および/または空間的アッセイ中に標識剤と接触させられる。
固定後工程は、本明細書に開示される任意の適切な固定試薬、例えば、DEPC-PBS中3%(w/v)パラホルムアルデヒドを使用して実施され得る。
v. 包埋
上記のパラフィン包埋の代替として、生物学的試料は、切片化および他の取り扱い工程の前に試料に構造的基材を提供するために、様々な他の包埋材料のいずれにも包埋することができる。一般に、包埋材料は、試料から得られた組織切片の分析より前に除去される。適切な包埋材料には、ワックス、樹脂(例えば、メタクリラート樹脂)、エポキシおよび寒天が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、生物学的試料は、ヒドロゲルマトリックス中に包埋することができる。このように試料を包埋することは、典型的には、生物学的試料がヒドロゲルによって取り囲まれるように、生物学的試料をヒドロゲルと接触させることを含む。例えば、試料を適切なポリマー材料と接触させ、ポリマー材料を活性化してヒドロゲルを形成することによって、試料を包埋させることができる。いくつかの態様において、ヒドロゲルは、ヒドロゲルが生物学的試料内に内在化されるように形成される。
いくつかの態様において、生物学的試料は、ヒドロゲルを形成するポリマー材料の架橋を介してヒドロゲル中に固定化される。架橋は、化学的および/もしくは光化学的に、または当技術分野において公知の任意の他のヒドロゲル形成方法によって行うことができる。
ヒドロゲルマトリックスの組成および生物学的試料への適用は、典型的には、生物学的試料の性質および調製(例えば、切片化されている、切片化されていない、固定の種類)に依存する。一例として、生物学的試料が組織切片である場合、ヒドロゲルマトリックスは、単量体溶液および過硫酸アンモニウム(APS)開始剤/テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)促進剤溶液を含むことができる。別の例として、生物学的試料が細胞(例えば、培養細胞または組織試料から解離した細胞)からなる場合には、細胞を単量体溶液およびAPS/TEMED溶液とともにインキュベートすることができる。細胞に対しては、ヒドロゲルマトリックスゲルは、細胞を培養、維持または輸送するために使用される装置を含むがこれらに限定されない区画内で形成される。例えば、ヒドロゲルマトリックスは、約0.1μm~約2mmの範囲の深さまで区画に添加された単量体溶液+APS/TEMEDを用いて形成することができる。
生物学的試料のヒドロゲル包埋のさらなる方法および局面は、例えばChen et al.,Science 347(6221):543-548,2015に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
vi. 染色
視覚化を容易にするために、多種多様な染色剤および染色技術を使用して生物学的試料を染色することができる。いくつかの態様において、例えば、試料は、アクリジンオレンジ、ビスマルクブラウン、カルミン、クマシーブルー、クレジルバイオレット、DAPI、エオシン、臭化エチジウム、酸フクシン、ヘマトキシリン、ヘキスト染色、ヨウ素、メチルグリーン、メチレンブルー、ニュートラルレッド、ナイルブルー、ナイルレッド、四酸化オスミウム、ヨウ化プロピジウム、ローダミンまたはサフラニンを含むがこれらに限定されない任意の数の染色剤を使用して染色することができる。
試料は、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色技術を使用して、パパニコロウ染色技術、マッソンのトリクローム染色技術、銀染色技術、スダン染色技術を使用して、および/または過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色技術を使用して染色することができる。PAS染色は、典型的には、ホルマリンまたはアセトン固定後に行われる。いくつかの態様において、試料は、ライトの染色、ジェンナーの染色、カン-グリュンワルド染色、リーシュマン染色およびギムザ染色を含むロマノフスキー染色を使用して染色され得る。
いくつかの態様において、生物学的試料を脱染することができる。生物学的試料を脱染または変色させる方法は当技術分野において公知であり、一般に、試料に適用された染色剤の性質に依存する。例えば、いくつかの態様において、1つ以上の免疫蛍光染色剤が、抗体カップリングを介して試料に適用される。このような染色剤は、還元剤および洗剤洗浄での処理を介したジスルフィド結合の切断、カオトロピック塩処理、抗原回収溶液による処理、および酸性グリシン緩衝液での処理などの技術を用いて除去することができる。多重染色および脱染のための方法は、例えば、Bolognesi et al.,J.Histochem.Cytochem.2017;65(8):431-444、Lin et al.,Nat Commun.2015;6:8390、Pirici et al.,J.Histochem.Cytochem.2009;57:567-75およびGlass et al.,J.Histochem.Cytochem.2009;57:899-905に記載されており、これらの各々の内容全体が参照により本明細書に組み入れられる。
vii. 等尺性膨張
いくつかの態様において、ヒドロゲル中に包埋された生物学的試料は、等尺性に膨張させることができる。使用することができる等尺性膨張法には、Chen et al.,Science 347(6221):543-548,2015に記載されているように、水和、膨張顕微鏡法における調製工程が含まれる。
等尺性膨張は、生物学的試料の1つ以上の成分をゲルに固定した後、ゲル形成、タンパク質分解および膨潤することによって行うことができる。生物学的試料の等尺性膨張は、生物学的試料の基材上への固定化より前に、または生物学的試料が基材に固定化された後に起こり得る。いくつかの態様において、基材を本明細書に開示される捕捉プローブと接触させるより前に、等尺性に膨張された生物学的試料を基材から除去することができる。
一般に、生物学的試料の等尺性膨張を実施するために使用される工程は、試料の特性(例えば、組織切片の厚さ、固定、架橋)および/または関心対象の分析物(例えば、RNA、DNAおよびタンパク質をゲルに固定するための異なる条件)に依存することができる。
いくつかの態様において、生物学的試料中のタンパク質は、多価電解質ゲルなどの膨潤性ゲルに固定される。膨潤性ゲルに固定される前、後、または固定されるのと同時にタンパク質に対して、抗体を作ることができる。適切なリンカーを介して、生物学的試料中のDNAおよび/またはRNAを膨潤性ゲルに固定することもできる。このようなリンカーの例としては、6-((アクリロイル)アミノ)ヘキサン酸(Acryloyl-X SE)(ThermoFisher,Waltham,MAから入手可能)、Label-IT Amine(MirusBio、Madison、WIから入手可能)およびLabel X(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられるChen et al.,Nat.Methods 13:679-684,2016に記載されている)が挙げられるが、これらに限定されない。
試料の等尺性膨張は、試料のその後の分析の空間的分解能を増加させることができる。空間的プロファイリングにおける増加された分解能は、等尺性に膨張された試料の等尺性に膨張されていない試料との比較によって決定することができる。
いくつかの態様において、生物学的試料は、その非膨張サイズの少なくとも2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、3.6倍、3.7倍、3.8倍、3.9倍、4倍、4.1倍、4.2倍、4.3倍、4.4倍、4.5倍、4.6倍、4.7倍、4.8倍または4.9倍のサイズに等尺性に膨張される。いくつかの態様において、試料は、その非膨張サイズの少なくとも2倍および20倍未満に等尺性に膨張される。
viii. 架橋
いくつかの態様において、生物学的試料は、インサイチュアッセイモジュールの前またはその間に可逆的に架橋される。いくつかの局面において、分析物のポリヌクレオチドおよび/もしくは増幅産物(例えば、アンプリコン)またはそれに結合されたプローブをポリマーマトリックスに固定することができる。例えば、ポリマーマトリックスはヒドロゲルであり得る。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドプローブおよび/またはその増幅産物(例えば、アンプリコン)の1つ以上は、ポリヌクレオチドプローブおよび/または増幅産物をポリマーマトリックスに付着させるための固定部位として使用することができる官能基を含有するように修飾することができる。いくつかの態様において、関心対象のmRNA分子に結合させた後、mRNA分子の可逆的架橋を行うために、オリゴdTを含む修飾されたプローブが使用され得る。
いくつかの態様において、関心対象の核酸分子(例えば、DNAまたはmRNA転写物などのRNA)を結合した後、修飾されたヌクレオチドで増幅(例えば、ローリングサークル増幅)してアンプリコンを定位置に固定するために、ランダム標的指向型のバーコード付加されたパドロックプローブを使用することができる。いくつかの局面において、増幅工程中に、修飾されたヌクレオチドを増幅産物中に組み入れるために修飾されたヌクレオチドを反応に添加することができる。修飾されたヌクレオチドの例は、アミン修飾されたヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、アミン修飾されたヌクレオチドは、アクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミド部分修飾を含む。他のアミン修飾されたヌクレオチドの例には、5-アミノアリル-dUTP部分修飾、5-プロパルギルアミノ-dCTP部分修飾、N6-6-アミノヘキシル-dATP部分修飾または7-デアザ-7-プロパルギルアミノ-dATP部分修飾が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、生物学的試料は、ヒドロゲルを形成するポリマー材料の架橋を介してヒドロゲル中に固定化される。架橋は、化学的および/もしくは光化学的に、または当技術分野において公知の任意の他のヒドロゲル形成方法によって行うことができる。
基材がゲル(例えば、ヒドロゲルまたはゲルマトリックス)を含む場合、ゲル内のオリゴヌクレオチドは基材に付着することができる。「ヒドロゲル」および「ヒドロゲルマトリックス」という用語は、本明細書では互換的に使用され、ネットワークを含む高分子ポリマーゲルを指す。ネットワーク内では、いくつかのポリマー鎖は任意で架橋され得るが、架橋は常に起こるとは限らない。
いくつかの態様において、ヒドロゲルは、ヒドロゲルサブユニットを含むことができる。「ヒドロゲルサブユニット」は、重合されて(例えば、架橋されて)三次元(3D)ヒドロゲルネットワークを形成することができる、親水性単量体、分子前駆体またはポリマーである。ヒドロゲルサブユニットとしては、アクリルアミド、ビス-アクリルアミド、ポリアクリルアミドおよびその誘導体、ポリ(エチレングリコール)およびその誘導体(例えば、PEG-アクリラート(PEG-DA)、PEG-RGD)、ゼラチン-メタクリロイル(GelMA)、メタクリル化ヒアルロン酸(MeHA)、ポリ脂肪族ポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエチレンコポリマー、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(ヒドロキシエチルアクリラート)およびポリ(ヒドロキシエチルメタクリラート)、コラーゲン、ヒアルロン酸、キトサン、デキストラン、アガロース、ゼラチン、アルギナート、タンパク質ポリマー、メチルセルロースなど、およびそれらの組み合わせなどの、但しこれらに限定されない任意の好都合なヒドロゲルサブユニットを挙げることができる。
いくつかの態様において、ヒドロゲルはハイブリッド材料を含み、例えば、ヒドロゲル材料は合成ポリマーおよび天然ポリマーの両方の要素を含む。適切なヒドロゲルの例は、例えば、米国特許第6,391,937号、同第9,512,422号および同第9,889,422号ならびに米国特許出願公開第2017/0253918号、同第2018/0052081号および同第2010/0055733号に記載されており、これらの各々の全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、架橋剤および/または開始剤がヒドロゲルサブユニットに添加される。架橋剤の例としては、限定されないが、ビス-アクリルアミドおよびジアジリンが挙げられる。開始剤の例としては、限定されないが、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、リボフラビンおよびL-アルギニンが挙げられる。架橋剤および/または開始剤を含めることにより、後の重合工程において、相互作用する生物学的高分子間での増加された共有結合をもたらすことができる。
いくつかの態様において、ヒドロゲルは、アガロースなどのコロイド構造、またはゼラチンなどのポリマーメッシュ構造を有することができる。
いくつかの態様において、いくつかのヒドロゲルサブユニットは、共有結合的に重合されて(例えば、「形成」を経て)、または物理的に架橋されてヒドロゲルネットワークを形成する。例えば、ヒドロゲルサブユニットは、熱架橋、化学的架橋、物理的架橋、イオン性架橋、光架橋、照射架橋(例えば、X線、電子ビーム)、およびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の方法によって重合させることができる。リソグラフィ光重合などの技術を使用してヒドロゲルを形成することもできる。
ヒドロゲルサブユニットに対する重合方法は、異なる特性(例えば、ヒドロゲルの孔径、膨潤特性、生分解性、伝導性、透明性および/または透過性)を有するヒドロゲルを形成するように選択することができる。例えば、ヒドロゲルは、高分子(例えば、核酸、タンパク質、クロマチン、代謝産物、gRNA、抗体、炭水化物、ペプチド、代謝産物および/または小分子)の試料(例えば、組織切片)中への通過を可能にするのに十分なサイズの細孔を含むことができる。孔径は、一般に、ヒドロゲルサブユニットの濃度が増加するにつれて減少し、一般に、ヒドロゲルサブユニット対架橋剤の比が増加するにつれて増加することが知られている。したがって、このような生物学的高分子の通過を可能にするある濃度のヒドロゲルサブユニットを含む固定剤/ヒドロゲル組成物を調製することができる。
いくつかの態様において、ヒドロゲルは基材を形成することができる。いくつかの態様において、基材は、ヒドロゲルおよび1つ以上の第2の材料を含む。いくつかの態様において、ヒドロゲルは、1つ以上の第2の材料の上に配置される。例えば、ヒドロゲルは、予め形成され、次いで、1つ以上の第2の材料の上に、下に、または1つ以上の第2の材料との任意の他の構成で配置することができる。いくつかの態様において、ヒドロゲル形成は、基材の形成中に1つ以上の第2の材料を接触させた後に行われる。ヒドロゲル形成は、基材上に位置する構造(例えば、ウェル、***、突起および/または印)内でも起こり得る。
いくつかの態様において、基材上のヒドロゲル形成は、構造体が基材に付着される前に、同時に、または後に行われる。例えば、捕捉プローブが基材に(例えば、直接的にまたは間接的に)付着される場合には、ヒドロゲル形成は、捕捉プローブを既に含有する基材上で行うことができる。
いくつかの態様において、ヒドロゲル形成は、生物学的試料内で起こる。いくつかの態様において、生物学的試料(例えば、組織切片)はヒドロゲル中に包埋される。いくつかの態様において、ヒドロゲルサブユニットは生物学的試料中に注入され、ヒドロゲルの重合は外部または内部刺激によって開始される。
ヒドロゲルが生物学的試料内に形成される態様においては、官能化化学を使用することができる。いくつかの態様において、官能化化学は、ヒドロゲル組織化学(HTC)を含む。HTCに適した任意のヒドロゲル組織骨格(例えば、合成または天然)は、生物学的高分子を固定し、官能化を調節するために使用することができる。HTC骨格変異形を使用する方法の非限定的な例としては、CLARITY、PACT、ExM、SWITCHおよびePACTが挙げられる。いくつかの態様において、生物学的試料内でのヒドロゲル形成は恒久的である。例えば、生物学的高分子はヒドロゲルに恒久的に接着することができ、複数回の調査を可能にする。いくつかの態様において、生物学的試料内でのヒドロゲル形成は可逆的である。
いくつかの態様において、重合前、重合と同時、および/または重合後に、ヒドロゲルサブユニットに追加の試薬が添加される。例えば、追加の試薬としては、限定されないが、オリゴヌクレオチド(例えば、捕捉プローブ)、DNAを断片化するためのエンドヌクレアーゼ、DNAのための断片化緩衝液、DNAポリメラーゼ酵素、核酸を増幅するために、および増幅された断片にバーコードを付着させるために使用されるdNTPを挙げることができる。限定されないが、RNAポリメラーゼ、トランスポザーゼ、リガーゼ、プロテイナーゼKおよびDNAseを含む他の酵素を使用することができる。追加の試薬としては、末端トランスフェラーゼ活性を有する酵素を含む逆転写酵素、プライマーおよび鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドも挙げることができる。いくつかの態様において、重合前、重合と同時、および/または重合後に、光学標識がヒドロゲルサブユニットに添加される。
いくつかの態様において、重合前、重合と同時、および/または重合後に、HTC試薬がヒドロゲルに添加される。いくつかの態様において、重合前、重合と同時、および/または重合後に、細胞標識剤がヒドロゲルに添加される。いくつかの態様において、重合前、重合と同時、および/または重合後に、細胞透過剤がヒドロゲルに添加される。
生物学的試料内に包埋されたヒドロゲルは、任意の適切な方法を使用して清浄化することができる。例えば、ヒドロゲルに包埋された試料から生物学的高分子を除去するために、電気泳動的組織清浄化法を使用することができる。いくつかの態様において、ヒドロゲルに包埋された試料は、ヒドロゲルの清浄化の前または後に、培地(例えば、封入媒体、メチルセルロース、または他の半固体媒体)中に保存される。
「条件的に除去可能なコーティング」は、剥離剤の適用時に基材の表面から除去することができるコーティングである。いくつかの態様において、条件的に除去可能なコーティングは、本明細書に記載されるヒドロゲル、例えば、ポリペプチドベースの材料を含むヒドロゲルを含む。ポリペプチドベースの材料を特徴とするヒドロゲルの非限定的な例としては、クモの糸とヒト筋肉L型カルシウムチャネルの膜貫通セグメントとの組み合わせを特徴とする合成ペプチドベースの材料(例えば、PEPGEL(登録商標))、反復するアルギニン-アラニン-アスパラギン酸-アラニン配列(RADARADARADARADA)を含有する両親媒性16残基ペプチド(例えば、PURAMATRIX(登録商標))、EAK16(AEAEAKAKAEAEAKAK)、KLD12(KLDLKLDLKLDL)およびPGMATRIX(商標)が挙げられる。
いくつかの態様において、条件的に除去可能なコーティング中のヒドロゲルは、刺激応答性ヒドロゲルである。刺激応答性ヒドロゲルは、1つ以上の外部トリガー(例えば、剥離剤)の適用時にゲルから溶液への転移および/またはゲルから固体への転移を受けることができる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられるWillner,Acc.Chem.Res.50:657-658,2017を参照されたい。刺激応答性ヒドロゲルの非限定的な例としては、熱応答性ヒドロゲル、pH応答性ヒドロゲル、光応答性ヒドロゲル、酸化還元応答性ヒドロゲル、分析物応答性ヒドロゲルまたはこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの態様において、刺激応答性ヒドロゲルは、多刺激応答性ヒドロゲルであり得る。
「剥離剤」または「外部トリガー」は、剥離剤が条件的に除去可能なコーティングに適用されたときに、条件的に除去可能なコーティングの基材からの除去を可能にする作用物質である。外部トリガーまたは剥離剤は、熱、磁気、超音波、電気化学および/または光刺激などの物理的トリガー、ならびにpH、酸化還元反応、超分子複合体、および/または生体触媒によって駆動される反応などの化学的トリガーを含むことができる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられるEcheverria,et al.,Gels(2018),4,54;doi:10.3390/gels4020054を参照。「剥離剤」または「外部トリガー」の種類は、条件的に除去可能なコーティングの種類に依存し得る。例えば、酸化還元応答性ヒドロゲルを特徴とする条件的に除去可能なコーティングは、ジチオスレイトール(DTT)などの還元剤を含む剥離剤の適用時に除去することができる。別の例として、pH応答性ヒドロゲルは、pHを変化させる剥離剤の適用時に除去することができる。
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、可逆的に架橋された生物学的試料を脱架橋することを含む。いくつかの態様において、脱架橋は、空間的アッセイの前に行われる。脱架橋は完全である必要はない。いくつかの態様において、可逆的に架橋された生物学的試料中の架橋された分子の一部のみが脱架橋され、移動が可能となる。
ix. 細胞の解離
いくつかの態様において、生物学的試料は、(例えば、細胞培養物、組織試料または表面上に堆積した細胞に由来する)細胞に対応する。複数の細胞を有する細胞試料では、個々の細胞は自然には解離されないことがあり得る。例えば、細胞は、細胞の懸濁液および/または組織もしくは組織切片からの切り離されたもしくは解離された細胞に由来し得る。
あるいは、試料中の細胞は凝集させてもよく、例えば酵素的または機械的技術を用いて個々の細胞へと解離させてもよい。酵素的解離において使用される酵素の例には、ディスパーゼ、コラゲナーゼ、トリプシンおよびこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。機械的解離は、例えば、組織ホモジナイザーを用いて行うことができる。生物学的試料は、表面上に堆積され、本明細書に開示されるインサイチュアッセイおよび空間的アッセイに供される解離された細胞(例えば、非接着細胞または浮遊細胞)を含み得る。
x. 組織透過処理および処理
いくつかの態様において、生物学的試料は、試料の外への分析物の移動を容易するために、および/または試料中への種(捕捉プローブなど)の移動を容易にするために、透過処理することができる。試料が十分に透過処理されなければ、試料から捕捉される分析物の量は、十分な分析を可能にするには少なすぎることがあり得る。逆に、組織試料の透過性が高すぎれば、組織試料内の分析物の相対的な空間的関係が失われることがあり得る。したがって、試料中での分析物分布の空間的分解能をなお維持しながら、良好なシグナル強度を得るのに十分に組織試料を透過処理するバランスが望ましい。
一般に、生物学的試料は、試料を1つ以上の透過処理剤に曝露することによって透過処理することができる。この目的に適した作用物質には、有機溶媒(例えば、アセトン、エタノールおよびメタノール)、架橋剤(例えば、パラホルムアルデヒド)、洗剤(例えば、サポニン、Triton X-100(商標)またはTween-20(商標))、および酵素(例えば、トリプシン、プロテアーゼ)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、生物学的試料は、試料の透過処理を容易にするために細胞透過処理剤とともにインキュベーションされ得る。試料透過処理のためのさらなる方法は、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられるJamur et al.,Method Mol.Biol.588:63-66,2010に記載されている。本明細書に記載される試料に関して、試料透過処理のための任意の適切な方法を一般に使用することができる。
いくつかの態様において、分析手順中に分析物または他の種の移動を制限するために拡散抵抗性媒体が使用される場合、拡散抵抗性媒体は、少なくとも1つの透過処理試薬を含むことができる。例えば、拡散抵抗性媒体は、透過処理緩衝液または試薬を含有するウェル(例えば、マイクロ、ナノ、またはピコウェル)を含むことができる。いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体がヒドロゲルである場合、ヒドロゲルは透過処理緩衝液を含むことができる。いくつかの態様において、ヒドロゲルを試料と接触させる前に、ヒドロゲルは透過処理緩衝液中に浸される。いくつかの態様において、ヒドロゲルまたは他の拡散抵抗性媒体は、拡散抵抗性媒体が生物学的試料に適用されたときに透過処理試薬を送達するための乾燥された試薬または単量体を含有することができる。いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体(すなわち、ヒドロゲル)は、固体基材(すなわち、アクリル化されたスライドガラス)に共有結合している。いくつかの態様において、ヒドロゲルは、捕捉プローブを含有し、かつ透過処理試薬を送達するように修飾され得る。例えば、ヒドロゲルフィルムは、空間的にバーコード付加された捕捉プローブを含むように修飾することができる。次いで、空間的にバーコード付加されたヒドロゲルフィルムを試料に接触させる前に、空間的にバーコード付加されたヒドロゲルフィルムは透過処理緩衝液中に浸される。したがって、空間的にバーコード付加されたヒドロゲルフィルムは、空間的にバーコード付加されたヒドロゲルと接触している試料表面に透過処理試薬を送達し、分析物の移動および捕捉を強化する。いくつかの態様において、空間的にバーコード付加されたヒドロゲルは試料に適用され、透過処理バルク溶液中に配置される。いくつかの態様において、透過処理試薬中に浸されたヒドロゲルフィルムは、試料と空間的にバーコード付加されたアレイとの間に挟まれる。いくつかの態様において、標的分析物は、透過処理試薬に浸されたヒドロゲルを通って拡散し、ヒドロゲルの他方の側で捕捉プローブにハイブリダイズまたは結合することができる。いくつかの態様において、ヒドロゲルの厚さは、分解能喪失に比例する。いくつかの態様において、ウェル(例えば、マイクロ、ナノ、またはピコウェル)は、空間的にバーコード付加された捕捉プローブならびに透過処理試薬および/または緩衝液を含有することができる。いくつかの態様において、空間的にバーコード付加された捕捉プローブおよび透過処理試薬は、スペーサーの間に保持される。いくつかの態様において、試料は、ウェル中に穿孔され、切断され、または移され、標的分析物は、透過処理試薬/緩衝液を通って空間的にバーコード付加された捕捉プローブに拡散する。いくつかの態様において、分解能喪失は間隙厚さ(例えば、試料と捕捉プローブの間の透過処理緩衝液の量)に比例し得る。いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体(例えば、ヒドロゲル)は、500、450、400、350、300、250、200、150、100または50マイクロメートルの厚さを含む約50~500マイクロメートルの厚さ、または50および500マイクロメートル以内の任意の厚さである。
いくつかの態様において、透過処理溶液は、多孔質膜を通して試料に送達することができる。いくつかの態様において、透過処理試薬が試料に到達することを可能にしながら、拡散性分析物の喪失を制限するために、多孔質膜が使用される。分析物の喪失を最小限に抑えるために、膜の化学的性質および孔径を操作することができる。いくつかの態様において、多孔質膜は、ガラス、シリコン、紙、ヒドロゲル、ポリマーモノリスまたはその他の材料で作製され得る。いくつかの態様において、材料は、天然に多孔質であり得る。いくつかの態様において、材料は、固体材料内に食刻された細孔またはウェルを有し得る。いくつかの態様において、透過処理試薬は、多孔質膜上のマイクロ流体チャンバまたはチャネルを通って流される。いくつかの態様において、流れは、透過処理試薬への試料のアクセスを制御する。いくつかの態様において、多孔質膜は、空間的にバーコード付加されたアレイと試料との間に挟まれており、透過処理溶液は多孔質膜上に適用される。透過処理試薬は、膜の細孔を通って組織内に拡散する。
いくつかの態様において、生物学的試料は、1つ以上の溶解試薬を試料に添加することによって透過処理することができる。適切な溶解剤の例には、リゾチーム、アクロモペプチダーゼ、リゾスタフィン、ラビアーゼ、キタラーゼ、リチカーゼおよび様々な他の市販の溶解酵素などの、異なる細胞型、例えばグラム陽性または陰性細菌、植物、酵母、哺乳動物の溶解のために使用される溶解酵素などの生物活性試薬が含まれるが、これらに限定されない。
透過処理を容易にするために、これに加えてまたはこれに代えて、他の溶解剤を生物学的試料に添加することができる。例えば、試料細胞を溶解するために、界面活性剤ベースの溶解溶液を使用することができる。溶解溶液は、例えばサルコシルおよびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのイオン性界面活性剤を含むことができる。より一般的には、化学的溶解剤は、有機溶媒、キレート剤、洗剤、界面活性剤およびカオトロピック剤を含むことができるが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、生物学的試料は、非化学的透過処理方法によって透過処理することができる。非化学的透過処理方法は当技術分野において公知である。例えば、使用することができる非化学的透過処理方法には、電気穿孔などの物理的溶解技術、機械的透過処理方法(例えば、試料組織構造を機械的に破壊するためにホモジナイザーおよび粉砕球を使用するビーズビーティング)、音響透過処理(例えば、超音波処理)および試料の熱的透過処理を誘導するための加熱などの熱溶解技術が含まれるが、これらに限定されない。
試料の分析前に様々な機能を実施するために、追加の試薬を生物学的試料に添加することができる。いくつかの態様において、プロテイナーゼKなどのDNaseおよびRNase不活化剤もしくは阻害剤、ならびに/またはEDTAなどのキレート剤を試料に添加することができる。例えば、本明細書に開示される方法は、結合のために核酸の接近可能性を増大させるための工程、例えば、プローブによるハイブリダイゼーションのために細胞内のDNAを開くための変性工程を含み得る。例えば、タンパク質が結合したDNAを遊離させるために、プロテイナーゼK処理が使用され得る。
xi. RNA種の選択的濃縮
いくつかの態様において、RNAが分析物である場合、関心対象の1つ以上のRNA分析物種を選択的に濃縮することができる。例えば、関心対象のRNAの1つ以上の種は、1つ以上のオリゴヌクレオチドの試料への添加によって選択することができる。いくつかの態様において、追加のオリゴヌクレオチドは、酵素(例えば、ポリメラーゼ)によって反応を開始するために使用される配列である。例えば、関心対象の1つ以上のRNAを増幅し、それによってこれらのRNAを選択的に濃縮するために、関心対象の1つ以上のRNAに対して配列相補性を有する1つ以上のプライマー配列を使用することができる。
いくつかの態様において、標的核酸(例えば、cDNAまたはmRNAなどのRNA分子)にハイブリダイズし、鋳型を用いるライゲーション反応(例えば、RNAを鋳型とするライゲーション(RTL)またはDNAを鋳型とするライゲーション(例えば、cDNA上での))においてライゲーションされて分析用の産物を生成するために、1つ以上の核酸プローブを使用することができる。いくつかの局面において、2つ以上の分析物が分析される場合、それぞれRNAまたはcDNA分析物に対して特異的である(例えば、特異的にハイブリダイズする)第1および第2のプローブが使用される。例えば、本明細書で提供される方法のいくつかの態様において、生物学的試料中の遺伝子発現を検出するために、鋳型を使用するライゲーションが使用される。標識剤または結合剤(例えば、抗体またはそのエピトープ結合断片)によって結合された関心対象の分析物(タンパク質など)であって、結合剤が、該結合剤を同定するレポーター配列を含むレポーターオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされており、またはその他結合している分析物を、分析のために標的とすることができる。プローブは、レポーターオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされ、分析のための産物を生成するために、鋳型を使用するライゲーション反応においてライゲーションされ得る。いくつかの態様において、例えば、Muポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素、VENTポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、ならびに/またはこれらの任意の組み合わせ、誘導体および変異形(例えば、操作された変異体)を使用して、ライゲーション前に、プローブオリゴヌクレオチド間の間隙が最初に充填され得る。いくつかの態様において、アッセイは、鋳型を使用するライゲーションの産物の(例えば、多重PCRによる)増幅をさらに含むことができる。
いくつかの態様において、捕捉されたRNAの相補鎖に対して配列相補性を有するオリゴヌクレオチド(例えば、cDNA)は、cDNAに結合することができる。例えば、関心対象の1つ以上のcDNAに相補的な配列を有するビオチン化オリゴヌクレオチドは、cDNAに結合し、当分野で公知の様々な方法(例えば、ストレプトアビジンビーズ)のいずれかを使用してビオチン化-ストレプトアビジン親和性を使用して選択することができる。
あるいは、様々な方法のいずれかを使用して、RNAの1つ以上の種を下方選択する(例えば、除去する)ことができる。例えば、リボソームRNA(rRNA)に選択的にハイブリダイズし、それによって試料中のrRNAのプールおよび濃度を低下させるプローブを試料に投与することができる。その後の捕捉プローブの試料への適用は、試料中に存在する非特異的RNAの低下により、他の種類のRNAの改善された捕捉をもたらすことができる。これに加えておよびこれに代えて、二重特異的ヌクレアーゼ(DSN)処理は、rRNAを除去することができる(例えば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、Archer et al.,Selective and flexible depletion of problematic sequences from RNA-seq libraries at the cDNA stage,BMC Genomics,15 401,(2014)を参照)。さらに、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーは、豊富な種(例えば、rRNA)を除去することができる(例えば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、Vandernoot,V.A.,cDNA normalization by hydroxyapatite chromatography to enrich transcriptome diversity in RNA-seq applications,Biotechniques,53(6)373-80,(2012)を参照)。
IV. インサイチュアッセイモジュール
いくつかの局面において、読み取りとして顕微鏡法を使用するインサイチュアッセイ、例えば核酸配列決定、ハイブリダイゼーションまたは光学的読み取りを含む他の検出もしくは決定方法を含む方法が本明細書に提供される。いくつかの局面において、標的核酸の1、2、3、4、5またはそれより多くのヌクレオチドの配列の検出または決定が、無傷の組織中の細胞においてインサイチュで行われる。いくつかの態様において、アッセイは、増幅産物(例えば、RCA産物)の存在または非存在を検出することを含む。いくつかの態様において、本開示は、例えば、細胞、組織、器官または生物中の核酸および/またはタンパク質を検出および/または定量するための、転写物および/またはDNA遺伝子座などの多数の標的のインサイチュでのハイスループットプロファイリングのための方法を提供する。いくつかの態様において、試料とのプローブのハイブリダイゼーションおよび/またはインサイチュアッセイ中の検出工程は、捕捉プローブまたは捕捉剤によって捕捉されていない試料中の分析物に対して行われる。
A. インサイチュ分析
いくつかの局面において、核酸配列を含むプローブのインサイチュハイブリダイゼーションに基づいて生物学的標的を分析することを含む方法が本明細書で提供される。いくつかの態様において、本方法は、試料中の生物学的標的に直接的にまたは間接的に結合するバーコード付加されたプローブへの検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの逐次ハイブリダイゼーションを含む。いくつかの態様において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、1つ以上のバーコード付加されたプローブに直接的に結合する。いくつかの態様において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、例えば、1つ以上の架橋する核酸分子を介して、1つ以上のバーコード付加されたプローブに間接的に結合する。
いくつかの局面において、天然の生物学的試料、例えば組織の一部もしくは切片または単一の細胞内の核酸配列(例えば、関心対象の1つ以上の特定の配列を含むDNAまたはRNA分子)を局在化および分析するために、インサイチュハイブリダイゼーションをベースとするアッセイが使用される。いくつかの態様において、空間的状況を維持しながら、生物学的試料中のmRNA転写物(例えば、トランスクリプトームもしくはそのサブセット、または関心対象のmRNA分子)の存在、非存在、量またはレベルを分析するために、インサイチュアッセイが使用される。いくつかの態様において、本開示は、関心対象の生物学的試料内の標的核酸に結合またはハイブリダイズするプローブとして、直接的にまたは間接的に標識された分子、例えば相補的DNAまたはRNAまたは修飾された核酸を使用するインサイチュハイブリダイゼーションのための組成物および方法を提供する。
核酸プローブは、いくつかの例では、染色体上または組織内の特定の核酸配列の位置の検出を可能にするために、放射性同位体、エピトープ、ハプテン、ビオチンまたは蛍光色素分子で標識され得る。いくつかの態様において、プローブは遺伝子座特異的(例えば、遺伝子特異的)であり、染色体の特定の領域に結合または連結する。代替の態様において、プローブは、各染色体内の反復配列に結合または連結するアルフォイドまたはセントロメア反復プローブである。プローブはまた、染色体全体に沿った配列に結合または連結する全染色体プローブ(例えば、複数のより小さいプローブ)であり得る。
いくつかの態様において、DNAを測定および局在化するためのDNAインサイチュハイブリダイゼーションを含む方法が本明細書で提供される。いくつかの態様において、生物学的試料(例えば、固定された組織試料)内のRNA(例えば、mRNA、lncRNAおよびmiRNA)を測定し、局在化するための方法RNAインサイチュハイブリダイゼーションが本明細書で提供される。いくつかの態様において、RNAインサイチュハイブリダイゼーションは、単一分子RNA蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を含む。いくつかの態様において、蛍光標識された核酸プローブは、生物学的試料中の遺伝子発現を可視化するために、所定のRNA標的にハイブリダイズされる。いくつかの態様において、FISH法は、各標的に対して特異的な単一核酸プローブを使用することを含む、例えば単一分子FISH(smFISH)。smFISHの使用は、RNA転写物の定量的測定を可能にする蛍光シグナルを生成し得る。いくつかの態様において、smFISHは、約50塩基対長の核酸プローブの組を含み、各プローブは、蛍光色素分子の組に結合されている。例えば、核酸プローブの組は5つのプローブを含み得、各プローブは5つの蛍光色素分子に結合されている。いくつかの態様において、核酸プローブは、代わりに1つの蛍光色素分子にそれぞれ結合されている。例えば、smFISHプロトコルは、それぞれが単一の蛍光色素分子に結合された、約20塩基対の長さの約40個の核酸プローブの組を使用し得る。いくつかの態様において、核酸プローブの長さは様々であり、30~60塩基対など10~100塩基対を含む。あるいは、同じRNA転写物の異なる領域を標的とする複数の核酸プローブを使用し得る。核酸プローブの種類、核酸プローブの数、プローブに結合された蛍光色素分子の数およびプローブの長さは、個々のアッセイの仕様に適合するように変動させ得ることが当業者によって理解されるであろう。
さらなる態様において、smFISHは、標的転写物に時間的バーコードを付与するために連続的/逐次ハイブリダイゼーションが使用される(例えば、seqFISHまたはseqFISH+におけるように)多重化されたワークフローに適用される。蛍光インサイチュハイブリダイゼーションの逐次のラウンドは、画像化およびプローブ除去、関心対象の生物学的試料(例えば、組織試料、単一の細胞、または抽出されたRNA)内の個々の転写物(例えば、RNA転写物)を検出することを伴い得る。いくつかの態様において、ハイブリダイゼーションの各ラウンドは、特有のRNA転写物を標的とするプローブの所定の組(例えば、24~32プローブなど約10~約50プローブ)を含む。いくつかの例では、プローブセットの所定の組は、多色である。任意で、複数の核酸プローブは試料の上に付着されており、各プローブは増幅のための開始配列を含み、(例えば、単一分子ハイブリダイゼーション連鎖反応(smHCR)におけるように)減少された自己蛍光を可能にする。いくつかの態様において、本明細書に記載される多重化されたsmFISH法は、トランスクリプトーム全体を効率的かつ正確にプロファイリングするために、任意で画像化を伴って、数十から10,000を超えるmRNAを多重化し得る。インサイチュハイブリダイゼーション法は、増幅プライマーの結合標的として機能する標的転写物(例えば、RNA転写物)を結合するために2つのプローブを使用することをさらに含み得る。いくつかの態様において、この過程は、(例えば、RNAscopeにおけるように)シグナル増幅をもたらす。いくつかの態様において、インサイチュハイブリダイゼーション法は、蛍光色素分子の代わりに金属タグを使用し得る(例えば、イメージングマスサイトメトリー)。金属がコンジュゲートされた抗体は、生物学的試料上の転写物にハイブリダイズされた金属タグに結合し得る。いくつかの態様において、金属存在量を定量するためにマスサイトメトリーが使用され得、生物学的試料内のRNAおよびタンパク質の同時評価を可能にする。
いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、エラーロバストである多重化FISHプロトコル(例えば、MERFISH)を含む。いくつかの態様において、プロトコルは、1つ以上の隣接領域に結合された結合領域(例えば、RNA転写物などの標的に結合する領域)を含む非読み取り核酸プローブ(例えば、一次プローブ)を含む。いくつかの態様において、各非読み取り核酸プローブは、2つの隣接領域に結合されている。蛍光読み取り核酸プローブが、その後に、非読み取り核酸プローブの隣接領域に連続的にハイブリダイズし得るように、非読み取り核酸プローブは、生物学的試料(例えば、組織試料または単一の細胞)内の転写物(例えば、RNA転写物)にハイブリダイズし得る。いくつかの態様において、ハイブリダイゼーションの各ラウンドは、前のラウンドからの読み取り核酸プローブからのシグナルを消光するための連続的な画像化およびプローブ除去を含む。RNAはFISHによって画像化され得、複数の画像化ラウンド中に蓄積されたエラー(例えば、不完全なハイブリダイゼーション)が検出および/または補正される。いくつかの態様において、シグナル重複なしに検出されたRNA標的の数を増加させるために、膨張顕微鏡法が使用される。類似の態様において、非読み取り核酸プローブは、画像化の前に標的転写物に架橋される。架橋は、当技術分野において公知の任意の方法によって行われ得る。好ましい態様において、架橋は、ヒドロゲル組織包埋を使用して行われる。架橋工程に続いて、固有のバーコードを生成するために所定の色に結合された読み取りプローブを使用する逐次ハイブリダイゼーションを含むバーコード付加が実施され得る(例えば、連続したハイブリダイゼーションから擬似カラーを生成する)。
いくつかの態様において、プローブの1つ以上のバーコードは、蛍光標識されたオリゴヌクレオチドなどの検出可能に標識された検出オリゴヌクレオチドによって標的とされる。いくつかの態様において、配列決定のために蛍光などの信号を復号するために、1つ以上の復号スキームが使用される。本明細書の態様のいずれにおいても、バーコード(例えば、一次および/または二次バーコード配列)は、標的のRNA逐次プロービング(RNA SPOTs)、逐次蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(seqFISHまたはseqFISH+)、単一分子蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(smFISH)または多重化エラーロバスト蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(MERFISH)など、本明細書に記載されるものを含む任意の適切な方法または技術を使用して分析することができる。いくつかの態様において、本明細書に提供される方法は、逐次ハイブリダイゼーションおよび複数の標識されたプローブ(例えば、検出オリゴヌクレオチド)による検出によってバーコードを分析することを含む。例示的な復号スキームは、Eng et al.,’’Transcriptome-scale Super-Resolved Imaging in Tissues by RNA SeqFISH+,’’Nature 568(7751):235-239(2019);Chen et al.,’’Spatially resolved,highly multiplexed RNA profiling in single cells,’’Science;348(6233):aaa6090(2015);米国特許第10,457,980号;米国特許出願公開第2016/0369329号;国際公開第2018/026873号;および米国特許出願公開第2017/0220733号に記載されており、これらはすべて、参照によりその全体が組み入れられる。いくつかの態様において、これらのアッセイは、シグナル増幅、コンビナトリアル復号および誤り訂正スキームを同時に可能にする。
FISH技術の変形を使用するインサイチュハイブリダイゼーションの類似の戦略もまた、本明細書中に記載される方法によって採用され得る。いくつかの態様において、方法は、バーコード付加しない多重化FISHプロトコル(例えば、ウロボロスsm-FISH(osmFISH))を含む。バーコード付加しない方法は、実施されたハイブリダイゼーションラウンドの数によって規定される特定の数の標的を検出することに限定され得る。いくつかの態様において、画像化は、各ハイブリダイゼーションラウンドの後に行われ、プローブは、画像化後に除去されて、その後のハイブリダイゼーションおよび画像化ラウンドを可能とする。
本開示のさらなる態様は、所定の位置からの転写物のプローブ捕捉に依存しないインサイチュハイブリダイゼーションプロトコルを使用することを含み得る。いくつかの態様において、生物学的試料中の転写物の光学を使用しない空間的マッピングが使用され得る(例えば、化学的にコード化された顕微鏡法システム)。いくつかの態様において、転写物は、最初に、固有のヌクレオチドタグ(例えば、一意的分子識別子)でインサイチュでタグ付けされる。この第1の反応には、固有のヌクレオチドタグ(例えば、固有の事象識別子)の新たな組によって標識された第2のインサイチュ増幅反応が後続し得る。いくつかの態様において、各分子鎖配列(例えば、鎖状体)を同定するために、RNAまたはDNA配列決定が使用され得る。さらなる態様において、配列の近接度を評価し、標的転写物の画像を生成するために、配列情報と組み合わせてアルゴリズムが使用され得る。
いくつかの態様において、配列決定情報と内在環境内での標的の空間的情報とを連結することを含む方法が本明細書で提供される。例えば、核酸配列の分析は、例えばインサイチュ配列決定によって、関心対象の無傷の生物学的試料内のDNAまたはRNAに対して直接的に行われ得る。いくつかの態様において、本開示は、転写物の空間的分解に加えて、数百、数千またはそれより多くの転写物(例えば、mRNA転写物)などの複数の標的の同時同定および定量を可能にする。いくつかの局面において、転写物の空間的分解は細胞下(subcellular)であり得る。任意で、空間的分解は、本明細書に記載される信号増幅戦略を使用して増加させ得る。
いくつかの態様において、核酸塩基を標的とするために蛍光色素が使用され、インサイチュで関心対象のRNAを標的とするためにパドロックプローブが使用される。いくつかの態様において、mRNAはcDNAに逆転写され、パドロックプローブはcDNAに結合または連結することができる。いくつかの態様においては、パドロックプローブは、標的配列(例えば、標的cDNA転写物)に相補的な末端を有するオリゴヌクレオチドを含む。パドロックプローブが標的配列にハイブリダイズした後、パドロックプローブの末端をライゲーションし、環状化されたDNAの形成を触媒するために、酵素が使用され得る。
いくつかの態様において、パドロックプローブのライゲーションおよび環状化を可能にするために、パドロックプローブの末端は、標的RNAまたはcDNAへのハイブリダイゼーション時に近接している。パドロックプローブは、1つ以上のバーコード配列をさらに含み得る。代替の態様においては、標的RNAまたはcDNAへのハイブリダイゼーション時にパドロックプローブの末端の間に間隙が存在することがあり得、間隙はパドロックプローブの末端のライゲーションおよび環状化の前に、(例えば、DNA重合によって)核酸で充填されなければならない。いくつかの態様において、パドロックプローブの末端間の間隙は、可変の長さ、例えば最大4塩基対であり、実際のRNAまたはcDNA配列の読み取りを可能にすることができる。いくつかの態様において、DNAポリメラーゼは鎖置換活性を有する。いくつかの態様において、代わりに、DNAポリメラーゼは、間隙充填パドロックプローブアプローチを使用して最大15塩基のリード長(read-length)を提供するバーコードインサイチュ標的配列決定(BaristaSeq)において使用されるポリメラーゼのように、鎖置換活性を有さなくてもよい。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるChen et al.,Nucleic Acids Res.2018,46,e22を参照されたい。
本明細書に記載される方法は、パドロックプローブの位置でのDNA環状化および増幅(例えば、ローリングサークル増幅)を含み得る。いくつかの態様において、増幅は、パドロックプローブ配列の複数の反復をもたらす。増幅されたパドロックプローブの配列決定および/または復号化は、ライゲーションによる配列決定を用いて行われ得る。代替方法では、ハイブリダイゼーションによる配列決定または合成による配列決定が使用される。いくつかの態様において、アンプリコンは、配列決定過程中に、本明細書に記載される架橋によって安定化される。いくつかの態様において、本開示に提示されるインサイチュ配列決定方法は、マイクロ流体プラットフォーム上で自動化され得る。
インサイチュ配列決定へのさらなるアプローチが、当業者によって理解されるであろう。例えば、いくつかの態様において、バーコード付加されたパドロックプローブは逆転写されなくてもよい。代わりに、第2のプライマーは、パドロックプローブに隣接するRNA配列に直接結合する(例えば、ライゲーションする)。いくつかの態様において、増幅(例えば、ローリングサークル増幅)が行われ、増幅産物は、当技術分野において公知の任意の適切な方法(例えば、ヒドロゲル-組織化学)によってヒドロゲル内に包埋され、次いで、ヒドロゲルから非結合タンパク質および脂質が除去される。包埋された増幅産物は、例えば、各パドロックプローブのバーコード配列を決定するために、ライゲーションによる配列決定アプローチの変形を用いて配列決定され得る。いくつかの態様において、3Dで標的転写物の空間的配向を分析するために、本明細書に記載される化学と配列決定の組み合わせが使用され得る。
いくつかの態様において、本開示に記載されるインサイチュ配列決定方法は、非標的指向型であり得る。いくつかの態様において、非標的指向型インサイチュ配列決定は、例えば蛍光インサイチュRNA配列決定(FISSEQ)におけるように、関心対象の生物学的試料内の遺伝子発現のゲノム/トランスクリプトーム全体にわたるプロファイリングを含み得る。いくつかの態様において、RNA種が捕捉され、架橋されたcDNAアンプリコン(例えば、試料の細胞タンパク質マトリックスに架橋されたcDNA)に変換される。いくつかの例において、cDNA合成は、架橋過程を促進するために修飾されたアミン塩基を使用して行われる。架橋されたcDNAアンプリコンの合成には、本明細書の他の箇所に記載されているように増幅(例えば、ローリングサークル増幅)が後続し得る。いくつかの態様において、増幅産物を配列決定するために、ライゲーションによる配列決定が使用され得る。いくつかの態様において、配列決定工程は、増幅産物のサブセットを選択的に配列決定するために、分割配列決定を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載される戦略は、RNA、DNAおよび/またはタンパク質を同時に検出することを可能にする。いくつかの態様において、インサイチュ配列決定は、例えばインサイチュトランスクリプトームアクセシビリティシーケンシング(INSTA-Seq)におけるように、エクスサイチュ配列決定と組み合わされ得る。
いくつかの態様において、組み込まれたヌクレオチドまたは標識されたプライマー伸長産物の同一性(すなわち、ヌクレオチド配列)を決定することができ、その結果、対応する鋳型核酸のヌクレオチド配列を決定することができるように、インサイチュ配列決定は、標識されたヌクレオチド(例えば、蛍光標識されたモノヌクレオチドまたはジヌクレオチド)の逐次の鋳型依存的様式での組み込みまたは標識されたプライマー(例えば、標識されたランダム六量体)の核酸鋳型へのハイブリダイゼーションを伴う。インサイチュ配列決定の局面は、例えば、Mitra et al.,(2003)Anal.Biochem.320,55-65、およびLee et al.,(2014)Science,343(6177),1360-1363に記載されている。さらに、インサイチュ配列決定を行うための方法およびシステムの例は、国際公開第2014/163886号、国際公開第2018/045181号、国際公開第2018/045186号、ならびに米国特許第10,138,509号および米国特許第10,179,932号に記載されている。インサイチュ配列決定のための例示的な技術には、STARmap(例えば、Wang et al.,(2018)Science,361(6499)5691に記載されている)、MERFISH(例えば、Moffitt,(2016)Methods in Enzymology,572,1-49に記載されている)およびFISSEQ(例えば、米国特許出願公開第2019/0032121号に記載されている)が含まれるが、これらに限定されない。
i. プローブおよびプローブハイブリダイゼーション
いくつかの局面において、本明細書に開示される方法は、RNA分子などの標的核酸にハイブリダイズする1つ以上のプローブまたはプローブセットの使用を含む。例示的なプローブまたはプローブセットは、パドロックプローブ、間隙のあるパドロックプローブ、SNAIL(Splint Nucleotide Assisted Intramolecular Ligation)プローブセット、PLAYR(Proximity Ligation Assay for RNA)プローブセット、PLISH(Proximity Ligation in situ Hybridization)プローブセット、およびRNAを鋳型とするライゲーションプローブに基づき得る。具体的なプローブまたはプローブセットの設計は様々であり得る。いくつかの態様において、一次プローブ(例えば、RNA標的に直接結合するDNAプローブ)は、例えば、環状プローブまたはパドロックライゲーションから得られる環状化されたプローブを鋳型として使用して、ローリングサークル増幅を通じて増幅される。いくつかの態様において、パドロックプローブまたはパドロックプローブを含むプローブセットなどの一次プローブは、1つ以上のバーコードを含有する。いくつかの態様において、1つ以上のバーコードは、関心対象の単一ヌクレオチド(例えば、SNPまたは点変異)、ジヌクレオチド配列、約5ヌクレオチド長の短い配列または任意の適切な長さの配列などの、標的核酸中の配列を示す。
いくつかの態様において、cDNA分子などからのDNAを鋳型とするライゲーションが可能なプローブまたはプローブセットが本明細書において提供される。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる米国特許第8,551,710号を参照されたい。いくつかの態様において、RNAを鋳型とするライゲーションが可能なプローブまたはプローブセットが本明細書において提供される。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、国際公開第2019068880号として公開されたPCT出願PCT/EP2018/077161号を参照されたい。いくつかの態様において、プローブセットはSNAILプローブセットである。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第20190055594号を参照されたい。いくつかの態様において、近接ライゲーションが可能なプローブまたはプローブセット、例えばRNAのための近接ライゲーションアッセイ(例えば、PLAYR)のプローブセットが本明細書において提供される。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第20160108458号を参照されたい。
いくつかの態様において、環状プローブは、標的核酸に間接的にハイブリダイズさせることができる。いくつかの態様において、環状構築物は、近接ライゲーションが可能なプローブセット、例えば近接ライゲーションインサイチュハイブリダイゼーション(PLISH)プローブセットから形成される。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる国際公開第2018175779号として公開されたPCT出願PCT/US2018/023846号を参照されたい。
例示的なプローブセットおよびハイブリダイゼーション複合体が図4Aに示されており、パドロックまたは環状プローブはRNA転写物に直接的にハイブリダイズする。DNAを鋳型とするパドロックライゲーションを促進するために、スプリントプライマーを使用することができる。パドロックまたは環状プローブは、ターゲティング(例えば、標的にハイブリダイズする)配列および図4Aに示される一次バーコード配列BC1およびBC2などの1つ以上の標的バーコード領域を含み得る。プローブハイブリダイゼーションおよび/または環状プローブを提供するための任意の環状化工程の後に、いくつかの態様において、環状プローブは、一次/標的バーコード(例えば、BC1)またはその相補的配列を含む増幅された分子を生成するために、例えばRCA反応において増幅される。いくつかの態様において、増幅後、方法は、バーコード配列(例えば、BC1またはBC2)またはその相補的配列の1つ以上にハイブリダイズすることができる検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド(蛍光標識された検出オリゴなど)を使用して増幅産物を検出することをさらに含む。
別の例示的なプローブセットおよびハイブリダイゼーション複合体が図4Bに示されており、パドロックまたは環状プローブはRNA転写物に直接的にハイブリダイズする。DNAを鋳型とするパドロックライゲーションを促進するために、スプリントプライマーを使用することができる。パドロックまたは環状プローブは、ターゲティング(例えば、標的にハイブリダイズする)配列および図4Bに示される一次バーコード配列BC1およびBC2などの1つ以上の標的バーコード領域を含み得る。プローブハイブリダイゼーションおよび/または環状プローブを提供するための任意の環状化工程の後に、いくつかの態様において、環状プローブは、一次/標的バーコード(例えば、BC1)またはその相補的配列を含む増幅された分子を生成するために、例えばRCA反応において増幅される。いくつかの態様において、増幅後、本方法は、(1)ターゲティングプローブの一次/標的バーコード領域に直接的にまたは間接的にハイブリダイズするバーコード結合領域、および(2)検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドにそれぞれハイブリダイズする2つ以上の検出バーコード領域(例えば、SBC11およびSBC12)を含む検出プローブ(例えば、二次プローブ)を使用することをさらに含む。例えば、図4Bは、2つの検出プローブ、二次プローブ1および二次プローブ2を示す。二次プローブ1は、ターゲティングプローブのBC1に直接的にまたは間接的にハイブリダイズするバーコード結合領域と、4つの検出バーコード領域、二次バーコード(SBC)11、SBC12、SBC13およびSBC14とを含む。SBC11、SBC12、SBC13およびSBC14の各々は、蛍光標識された検出オリゴなどの検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができる。同様に、二次プローブ2は、ターゲティングプローブのBC2に直接的にまたは間接的にハイブリダイズするバーコード結合領域と、蛍光標識された検出オリゴなどの検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドにそれぞれがハイブリダイズすることができる4つの検出バーコード領域、二次バーコード(SBC)21、SBC22、SBC23およびSBC24とを含む。いくつかの態様において、二次バーコードの2つ以上が互いに異なる。例えば、同じ一次プローブに結合する二次プローブの二次バーコードのすべてが異なっていてもよく、例えば、各二次バーコードは検出オリゴに特異的にハイブリダイズし、検出オリゴ配列によって一意的に同定され得る。
図4Bは、説明を容易にするために一次プローブにハイブリダイズした二次プローブを示すが、いくつかの態様においては、一次プローブまたは一次プローブを含むプローブセットが最初にRNA標的にハイブリダイズし、例えばRCAを使用した、環状のまたは標的ハイブリダイゼーション後に環状化された一次プローブの増幅が続くことを理解されたい。図4Bは、一次プローブのRCA産物を示し、一次バーコードBC1およびBC2配列またはその相補的配列が増幅されている。したがって、RCA産物は、複数の二次プローブ1および複数の二次プローブ2にハイブリダイズすることができる。
本明細書に開示される態様のいずれにおいても、複数の標的核酸(例えば、遺伝子またはRNA転写物)が複数の一次プローブ(例えば、パドロック一次プローブ)でプローブされ、任意で、一次バーコード(またはその相補的配列)にハイブリダイズする複数の二次プローブがすべて一度にハイブリダイズされ、その後逐次の二次バーコード検出およびシグナルの復号が続く多重化されたアッセイが本明細書において開示される。
図4Cは、別の例示的なインサイチュアッセイワークフローを提供する。DNA分子を生成するためにRNA標的を逆転写し、次いで一次プローブがDNA分子にハイブリダイズする。パドロックプローブの場合には、RNAから生成されたDNAをスプリントとして用いてパドロックをライゲーションすることができる。図4Bにおいて二次バーコード付加プローブを使用する代わりに、図4Cは、一次プローブのバーコード配列またはその増幅産物(例えば、RCA産物)にハイブリダイズすることができる架橋プローブを示す。架橋プローブは、一次プローブのバーコード配列(またはその相補物)にハイブリダイズしないが、1つ以上の検出可能に標識された検出オリゴにハイブリダイズすることができる配列を含み得る。RNA転写物の空間的検出のためにハイブリダイゼーションによる配列(sequence-by-hybridization)化学を介してバーコード付加システムにおいて検出オリゴを使用する例示的な方法は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるGyllborg et al.,’’Hybridization-based In Situ Sequencing(HybISS):spatial transcriptomic detection in human and mouse brain tissue,’’bioRxiv 2020.02.03.931618に見出すことができる。
図5は、他の例示的なインサイチュアッセイワークフローを提供する。様々な一次プローブはRNA標的にハイブリダイズすることができ、1つ以上のバーコード配列を含む環状化されたプローブを形成するために、RNAを鋳型とするライゲーションおよび/またはDNAを鋳型とするライゲーションを使用してライゲーションさせることができる。二次プローブまたは架橋プローブは、環状化されたプローブまたはその増幅産物に(例えば、図4A~4Cに示されるように)ハイブリダイズされ得る。検出オリゴは、環状化されたプローブもしくはその増幅産物、二次プローブもしくはその増幅産物、または架橋プローブに(例えば、図4A~4Cに示されるように)ハイブリダイズされ得る。例えば、パドロックプローブは、RNAを鋳型とするライゲーションを使用して環状化することができ、例えば、図5における第1および第3のパドロックプローブを参照されたい。直鎖DNAプローブの円を閉じてパドロックを環状化するために、RNAを鋳型とするリガーゼを使用することができ、DNAパドロックプローブ中にリボヌクレオチドを組み込むことを通じてライゲーション効率を増加させることができる。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるPCT/EP2018/077161を参照されたい。いくつかの態様において、図5における第2および第4のパドロックプローブに示されるものなどのDNAスプリントオリゴヌクレオチドを使用することによって、パドロックプローブライゲーション効率を増加させ得る。いくつかの態様において、(例えば、ライゲーション前の図5における第4のパドロックプローブに示されるような)2つの中間部は、ライゲーションのために互いに対するDNAスプリントとして機能し得る。RNAを鋳型とするライゲーションまたはDNAを鋳型とするライゲーションの任意の適切な方法がインサイチュアッセイにおいて使用され得、本開示に包含される。
図6Aは、レポーターオリゴヌクレオチドを含む例示的な結合剤または標識剤(例えば、抗体またはその抗原結合断片)を示す。いくつかの態様において、レポーターオリゴヌクレオチドは、標識剤に対応する配列を含み、したがって、標識剤が標識する分析物(例えば、タンパク質分析物)または細胞構造体に対応する(例えば、一意に同定する)。いくつかの態様において、標識剤は、1つ以上のバーコード配列を含むレポーターオリゴヌクレオチドを含むことができる。したがって、レポーターオリゴヌクレオチドは、本明細書に開示される核酸分析物であり得、本明細書に開示される任意の方法を使用して分析することができる。例えば、図6Aに示されるように、レポーターオリゴヌクレオチドを分析するために、パドロックプローブなどのプローブが使用され得る。いくつかの例では、タンパク質を特異的に認識する標識剤のレポーターオリゴヌクレオチドは、インサイチュハイブリダイゼーション(例えば、逐次ハイブリダイゼーション)および/またはインサイチュ配列決定(例えば、パドロックプローブおよびライゲーションされたパドロックプローブのローリングサークル増幅を使用する)を使用して分析することができる。さらに、標識剤のレポーターオリゴヌクレオチドならびに/またはその相補物および/もしくはその産物(例えば、ハイブリダイゼーション産物、ライゲーション産物、(例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼによる)伸長産物、複製産物、転写/逆転写産物および/または増幅産物)を本明細書に開示される捕捉剤によって捕捉し、空間的アッセイを使用して分析することができる。
いくつかの態様において、分析物(核酸分析物または非核酸分析物)は、それぞれがレポーターオリゴヌクレオチドに付着されている1つ以上のレポーターオリゴヌクレオチド(例えば、抗体)によって特異的に結合され得る。いくつかの態様において、分析物(核酸分析物または非核酸分析物)は、例えばプローブまたはプローブセット(例えば、図6Bに示されるようなパドロックプローブ、図6Cに示されるようなSNAILプローブセット、図6Dに示されるような環状プローブ、または図6Eに示されるようなパドロックプローブおよびコネクタ)を使用して、ライゲーション、複製および配列復号反応に関与することができるレポーターオリゴヌクレオチド(例えば、DNA)にその各々が結合されている2つの標識剤(例えば、抗体)によって特異的に結合されることができる。いくつかの態様において、プローブセットは、それぞれが互いに相補的な領域を含む2つ以上のプローブオリゴヌクレオチドを含み得る。例えば、近接ライゲーション反応は、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられるSoderberg et al.,Methods.(2008),45(3):227-32に記載されているように、例えば同じ標的タンパク質(複合体)を結合することによって抗体が互いに近接されれば、ライゲーションによって連結されることができる抗体の対に付着されたレポーターオリゴヌクレオチドを含むことができ、次いで、PCR増幅の鋳型とするために、形成するDNAライゲーション産物が使用される。いくつかの態様において、近接ライゲーション反応は、例えば、結合対または複合体のメンバー間での結合を分析するために、それぞれが結合対または複合体の1つのメンバーに結合する抗体に付着されたレポーターオリゴヌクレオチドを含むことができる。近接したオリゴヌクレオチドを使用する分析物の検出については、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2002/0051986号を参照されたい。いくつかの態様において、近接した2つの分析物は、それぞれの標的に結合されたときに近接すると、ライゲーション、複製および/または配列復号反応に関与することができるレポーターオリゴヌクレオチド(例えば、DNA)にその各々が付着されている2つの標識剤(例えば、抗体)によって特異的に結合されることができる。
いくつかの態様においては、レポーターオリゴヌクレオチドがライゲーションを介して連結されることを可能にするのに十分に2つの標識剤が近接していればライゲーションされることができるレポーターオリゴヌクレオチド(例えば、DNA)にその各々が付着されている2つの異なる標識剤(例えば、抗体)によって、2つの分析物(または分析物の2つの領域)は特異的に結合されることができる。いくつかの事例では、ライゲーションが起こると、ライゲーションされた産物(例えば、ライゲーションされたレポーターオリゴヌクレオチド)またはその産物もしくは誘導体は捕捉剤によって捕捉し、分析することができる。
いくつかの態様において、2つの分析物(または分析物の2つの領域)は、レポーターオリゴヌクレオチド(例えば、DNA)にその各々が付着されている2つの標識剤(例えば、抗体)によって特異的に結合されることができ、2つのレポーターオリゴヌクレオチドの一方にハイブリダイズするための第1の領域および他方のレポーターオリゴヌクレオチドにハイブリダイズするための第2の領域を含むプローブが試料に添加される。いくつかの態様において、プローブは、標識剤と関連付けることができるバーコードを任意で含むパドロックプローブである。いくつかの局面において、プローブは、ライゲーションのための2つ以上のプローブをプローブ(例えば、パドロックプローブ)の配列にハイブリダイズさせることによって検出することができる。いくつかの事例では、パドロックプローブを鋳型として使用して、ライゲーションのための2つ以上のプローブの1つをライゲーションし、ライゲーションされた産物を捕捉剤によって捕捉し、分析することができる。いくつかの事例では、プローブ(例えば、パドロックプローブ)をライゲーションし、下流の分析または検出のために使用することができる。例えば、ライゲーションされたプローブはRCAのために使用することができ、RCA産物は任意の適切な方法を用いて検出することができる。いくつかの態様において、標識剤からの情報は、(例えば、細胞マーカーおよび/またはタンパク質を標識剤でターゲティングすることによって)細胞を特徴付けるために有用であり得る。いくつかの事例では、標識剤からの情報は、セクションIVで提供されるインサイチュアッセイからの情報と関連付けることができる。
図6A、図6Bおよび図6Eにおいて、1つ以上のレポーターオリゴヌクレオチド(および任意で図6Eに示されるコネクタなどの1つ以上の他の核酸分子)は、プローブのライゲーションを補助する。ライゲーションすると、プローブは環状化されたプローブを形成し得る。いくつかの態様において、1つ以上の適切なプローブを使用し、ライゲーションすることができ、1つ以上のプローブは、1つ以上のレポーターオリゴヌクレオチド(またはその一部)に相補的な配列を含む。プローブは、1つ以上のバーコード配列を含み得る。いくつかの態様において、1つ以上のレポーターオリゴヌクレオチドは、環状化されたプローブのローリングサークル増幅(RCA)のためのプライマーとして機能し得る。いくつかの態様において、1つ以上のレポーターオリゴヌクレオチド以外の核酸が、環状化されたプローブのローリングサークル増幅(RCA)のためのプライマーとして使用される。例えば、1つ以上のレポーターオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする配列以外の配列において、環状化されたプローブにハイブリダイズすることができる核酸を、RCAのためのプライマーとして使用することができる。他の例では、(例えば、図6Cに示されるような)SNAILプローブセット中のプライマーをRCAのためのプライマーとして使用した。
図6Fでは、1つ以上の分析物は、2つの一次抗体によって特異的に結合されることができ、2つの一次抗体の各々は、次いで、レポーターオリゴヌクレオチド(例えば、DNA)にそれぞれ付着された二次抗体によって認識される。レポーターオリゴヌクレオチド、プローブおよびプローブセット、コネクタおよび/またはプライマーに付着された二次抗体は、図6A~図6Eに示されるもののいずれをも含むことができる。各核酸分子は、環状化されたプローブを形成するために、プローブのライゲーションを補助することができる。いくつかの例では、プローブは1つ以上のバーコード配列を含むことができる。さらに、レポーターオリゴヌクレオチドは、環状化されたプローブのローリングサークル増幅のためのプライマーとして機能し得る。核酸分子、環状化されたプローブおよびRCA産物は、インサイチュ分析ならびに空間的分析のための本明細書に開示される任意の適切な方法を使用して分析することができる。
いくつかの態様において、1つ以上の分析物(例えば、核酸、タンパク質または細胞の構造体)を直接的にまたは間接的に標的とする1つ以上のプローブを、インサイチュアッセイモジュールの前または間に試料と接触させる。1つ以上のプローブは、標識剤(例えば、レポーターオリゴヌクレオチドを含む抗体)、パドロックプローブもしくはプローブセット、鋳型とされるライゲーションプローブ、分析物捕捉剤またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの態様において、1つ以上の分析物(例えば、核酸、タンパク質または細胞の構造体)を直接的にまたは間接的に標的とする1つ以上のプローブを、インサイチュアッセイモジュールの後であるが空間的アッセイモジュールの間の前に試料と接触させ、1つ以上のプローブは、標識剤(例えば、レポーターオリゴヌクレオチドを含む抗体)、鋳型とされるライゲーションプローブ、分析物捕捉剤、捕捉プローブまたはこれらの任意の組み合わせを含み得る。
ii. ライゲーション
いくつかの態様において、提供される方法は、インサイチュ分析のための標的核酸を含むハイブリダイゼーション複合体の一部である1つ以上のポリヌクレオチドをライゲーションすることを含む。いくつかの態様において、ライゲーションは化学的ライゲーションを含む。いくつかの態様において、ライゲーションは鋳型依存性ライゲーションを含む。いくつかの態様において、ライゲーションは鋳型非依存性ライゲーションを含む。いくつかの態様において、ライゲーションは酵素的ライゲーションを含む。
いくつかの態様において、酵素的ライゲーションはリガーゼの使用を含む。いくつかの局面において、本明細書で使用されるリガーゼは、ポリヌクレオチドを一緒に連結するために、または単一ポリヌクレオチドの末端を連結するために一般的に使用される酵素を含む。2つのヌクレオチド配列を一緒にライゲーションするために、RNAリガーゼ、DNAリガーゼまたは別の様々なリガーゼを使用することができる。リガーゼは、ATP依存性二本鎖ポリヌクレオチドリガーゼ、NAD-i依存性二本鎖DNAまたはRNAリガーゼおよび一本鎖ポリヌクレオチドリガーゼ、例えばEC6.5.1.1(ATP依存性リガーゼ)、EC6.5.1.2(NAD+依存性リガーゼ)、EC6.5.1.3(RNAリガーゼ)に記載されているリガーゼのいずれをも含む。リガーゼの具体例は、大腸菌DNAリガーゼ、Tth DNAリガーゼ、サーモコッカス種(9°N株)DNAリガーゼ(9°N(商標)DNAリガーゼ、New England Biolabs)、Taq DNAリガーゼ、Ampligase(商標)(Epicentre Biotechnologies)などの細菌リガーゼおよびT3 DNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼおよびT7 DNAリガーゼなどのファージリガーゼならびにこれらの変異体を含む。いくつかの態様において、リガーゼはT4 RNAリガーゼである。いくつかの態様において、リガーゼはスプリントRリガーゼである。いくつかの態様において、リガーゼは一本鎖DNAリガーゼである。いくつかの態様において、リガーゼはT4 DNAリガーゼである。いくつかの態様において、リガーゼは、DNAをスプリントとするDNAリガーゼ活性を有するリガーゼである。いくつかの態様において、リガーゼは、RNAをスプリントとするDNAリガーゼ活性を有するリガーゼである。
いくつかの態様において、本明細書におけるライゲーションは直接的ライゲーションである。いくつかの態様において、本明細書におけるライゲーションは間接的ライゲーションである。「直接的ライゲーション」は、ポリヌクレオチドの末端が互いにすぐ隣にハイブリダイズして、リガーゼ酵素に対する基質を形成し、互いに対するライゲーション(分子内ライゲーション)をもたらすことを意味する。あるいは、「間接的」は、ポリヌクレオチドの末端が互いに隣接せずにハイブリダイズする、すなわち1つ以上の介在するヌクレオチドまたは「間隙」によって隔てられていることを意味する。いくつかの態様において、末端は、互いに直接ライゲーションされず、代わりに、1つ以上の介在(いわゆる「間隙」または「間隙を充填する」(オリゴ)ヌクレオチド)の仲介を介して、または介在するヌクレオチドに対応する「間隙」を「充填する」ためのプローブの3’末端の伸長によって生じる(分子間ライゲーション)。いくつかの事例では、ポリヌクレオチドのハイブリダイズした末端間の1つ以上のヌクレオチドの間隙は、スプリント、パドロックプローブまたは標的核酸に相補的な1つ以上の「間隙」(オリゴ)ヌクレオチドによって「充填」され得る。間隙は、1~60ヌクレオチドの間隙または1~40ヌクレオチドの間隙または3~40ヌクレオチドの間隙であり得る。具体的な態様において、間隙は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10またはそれより多くのヌクレオチドの、示された値の間の任意の整数(または整数の範囲)のヌクレオチドの間隙であり得る。いくつかの態様において、末端領域間の間隙は、間隙オリゴヌクレオチドによって、またはポリヌクレオチドの3’末端を伸長することによって充填され得る。いくつかの事例では、ライゲーションは、間隙(オリゴ)ヌクレオチドが得られるポリヌクレオチド中に組み込まれるように、プローブの末端を少なくとも1つの間隙(オリゴ)ヌクレオチドにライゲーションすることを含む。いくつかの態様において、ここでのライゲーションより前に間隙充填が行われる。他の態様において、ここでのライゲーションは間隙充填を必要としない。
いくつかの態様において、ポリヌクレオチドのライゲーションは、ライゲーションされていないポリヌクレオチドの融解温度よりも高い融解温度を有するポリヌクレオチドを生成する。したがって、いくつかの局面において、ライゲーションは、増幅および検出を含む後続の工程より前に、ライゲーションされたポリヌクレオチドを含有するハイブリダイゼーション複合体を安定化させる。
いくつかの局面において、耐熱性DNAリガーゼ(例えば、Taq DNAリガーゼ)などの高忠実度リガーゼが使用される。耐熱性DNAリガーゼは高温において活性であり、DNA鎖の融解温度(Tm)付近の温度でライゲーションをインキュベートすることによってさらなる識別を可能にする。これは、アニールされた完全に塩基対を形成した基質よりも、アニールされたミスマッチした基質(ミスマッチ付近でわずかに低いTmを有すると予想される)の濃度を選択的に低下させる。したがって、高忠実度ライゲーションは、リガーゼ活性部位の固有の選択性と、アニールされたミスマッチしたdsDNAの発生率を低減するためのバランスのとれた条件との組み合わせを通じて達成することができる。
iii. 増幅
いくつかの態様において、本発明の方法は、1つ以上のポリヌクレオチド、例えばパドロックプローブまたはパドロックプローブから形成された環状プローブを増幅する工程を含む。いくつかの態様において、増幅することは、ローリングサークル増幅(RCA)を実行することによって達成される。他の態様において、パドロックプローブにハイブリダイズするプライマーが添加され、そのまま増幅のために使用される。
いくつかの態様において、除去工程は、標的核酸および/または環状プローブに特異的にハイブリダイズされない分子を除去するために行われる。いくつかの態様において、除去工程は、ライゲーションされていないプローブを除去するために行われる。いくつかの態様において、除去工程は、ライゲーション後および増幅より前に実施される。
いくつかの態様において、増幅は、20℃~60℃の間または約20℃~約60℃の間の温度で行われる。いくつかの態様において、増幅は、30℃~40℃の間または約30℃~約40℃の間の温度で行われる。いくつかの局面において、ローリングサークル増幅(RCA)などの増幅工程は、25℃、27℃、29℃、31℃、33℃、35℃、37℃、39℃、41℃、43℃、45℃、47℃もしくは49℃または約25℃、約27℃、約29℃、約31℃、約33℃、約35℃、約37℃、約39℃、約41℃、約43℃、約45℃、約47℃もしくは約49℃など、25℃または約25℃から、50℃または約50℃の温度で行われる。
いくつかの態様において、適切なdNTP前駆体および他の補因子の存在下でDNAポリメラーゼを添加すると、環状鋳型の複数のコピーを生成するためにプライマーが伸長される。この増幅工程は、等温増幅または非等温増幅を利用することができる。いくつかの態様において、ハイブリダイゼーション複合体の形成および増幅プローブの会合後に、cDNAの複数コピーを含有するcDNAナノボール(すなわち、アンプリコン)を生成するために、ハイブリダイゼーション複合体はローリングサークル増幅される。ローリングサークル増幅(RCA)のための技術は、直鎖RCA、分枝RCA、樹状RCAまたはこれらの任意の組み合わせなど、当技術分野において公知である。(例えば、Baner et al,Nucleic Acids Research,26:5073-5078,1998;Lizardi et al,Nature Genetics 19:226,1998;Mohsen et al.,Acc Chem Res.2016 November 15;49(11):2540-2550;Schweitzer et al.Proc.Natl Acad.Sci.USA 97:101 13-1 19,2000;Faruqi et al.,BMC Genomics 2:4,2000;Nallur et al.,Nucl.Acids Res.29:el 18,2001;Dean et al.,Genome Res.1 1:1095-1099,2001;Schweitzer et al.,Nature Biotech.20:359-365,2002;米国特許第6,054,274号、同第6,291,187号、同第6,323,009号、同第6,344,329号および同第6,368,801号を参照)。RCAにおいて使用するための例示的なポリメラーゼは、phi29(φ29)ポリメラーゼ、クレノウ断片、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)DNAポリメラーゼ(BST)、T4 DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、またはDNAポリメラーゼIなどのDNAポリメラーゼを含む。いくつかの局面において、望ましい特徴を有するように操作または変異されたDNAポリメラーゼを使用することができる。いくつかの態様において、ポリメラーゼはphi29 DNAポリメラーゼである。
いくつかの局面において、増幅工程の間に、修飾されたヌクレオチドを増幅産物(例えば、ナノボール)中に組み入れるために修飾されたヌクレオチドを反応に添加することができる。修飾されたヌクレオチドの例は、アミン修飾されたヌクレオチドを含む。例えば、生成された増幅産物(例えば、ナノボール)を足場に、細胞構造に、および/または他の増幅産物(例えば、他のナノボール)に固定または架橋するための方法のいくつかの局面において。いくつかの局面において、増幅産物は、アミン修飾されたヌクレオチドなどの修飾されたヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、アミン修飾されたヌクレオチドは、アクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミド部分修飾を含む。他のアミン修飾されたヌクレオチドの例には、5-アミノアリル-dUTP部分修飾、5-プロパルギルアミノ-dCTP部分修飾、N6-6-アミノヘキシル-dATP部分修飾または7-デアザ-7-プロパルギルアミノ-dATP部分修飾が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの局面において、ポリヌクレオチドおよび/もしくは増幅産物(例えば、アンプリコン)をポリマーマトリックスに固定することができる。例えば、ポリマーマトリックスはヒドロゲルであり得る。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドプローブの1つ以上は、ポリヌクレオチドプローブおよび/または増幅産物をポリマーマトリックスに付着させるための固定部位として使用することができる官能基を含有するように修飾することができる。
提供された態様に従って使用することができる例示的な修飾およびポリマーマトリックスは、例えば、国際公開第2014/163886号、国際公開第2017/079406号、米国特許出願公開第2016/0024555号、米国特許出願公開第2018/0251833号および国際公開第2014/025392号に記載されているものを含む。いくつかの例では、足場はまた、プローブセットもしくは増幅産物の修飾もしくは官能基と反応することができるまたはプローブセットもしくは増幅産物の修飾もしくは官能基を組み込むことができる修飾または官能基を含有する。いくつかの例では、足場は、マトリックスおよび/または支持構造を提供するために、オリゴヌクレオチド、ポリマーまたは化学基を含むことができる。
増幅産物は、一般に増幅される核酸の位置でマトリックス内に固定化され、それによってアンプリコンの局在化されたコロニーを作製し得る。増幅産物は、立体因子によってマトリックス内に固定化され得る。増幅産物はまた、共有結合または非共有結合によってマトリックス内に固定化され得る。このように、増幅産物はマトリックスに付着されていると考えられ得る。共有結合または架橋などによってマトリックスに固定されることによって、元のアンプリコンのサイズおよび空間的関係が維持される。共有結合または架橋などによってマトリックスに固定されることにより、増幅産物は、機械的応力下での移動または崩壊に対して抵抗性となる。
いくつかの局面において、増幅産物は、周囲のマトリックスに共重合および/または共有結合され、それによってそれらの空間的関係およびそれらの空間的関係に固有の任意の情報を保存する。例えば、増幅産物がマトリックス中に包埋された細胞内のDNAまたはRNAから生成されたものである場合、マトリックスへの共有結合を形成し、細胞内での増幅産物の空間的情報を保存し、それによって細胞内局在化分布パターンを提供するように、増幅産物を官能化することもできる。いくつかの態様において、提供される方法は、1つ以上の、ヒドロゲルで包埋された増幅産物を形成するために、ヒドロゲルサブユニットの存在下で1つ以上のポリヌクレオチドプローブセットおよび/または増幅産物を包埋することを含む。いくつかの態様において、記載されるヒドロゲル組織化学は、組織清浄化、酵素拡散および複数サイクル配列決定のために、インサイチュ合成されたヒドロゲルに核酸を共有結合させることを含むが、既存のヒドロゲル組織化学法では共有結合させることはできない。いくつかの態様において、組織-ヒドロゲル状況での増幅産物の包埋を可能にするために、アミン修飾されたヌクレオチドが増幅工程(例えば、RCA)に含まれ、アクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステルを使用してアクリルアミド部分で官能化され、アクリルアミド単量体と共重合されてヒドロゲルを形成する。
iv. 検出および分析
いくつかの態様において、配列決定は合成による配列決定(SBS)によって行うことができる。いくつかの態様において、配列決定プライマーは、1つ以上のバーコードまたはその近傍の配列に相補的である。このような態様において、合成による配列決定は、プライマー配列が結合することができる鋳型配列を生成するために逆転写および/または増幅を含むことができる。例示的なSBS方法は、例えば、米国特許出願公開第2007/0166705号、米国特許出願公開第2006/0188901号、米国特許第7,057,026号、米国特許出願公開第2006/0240439号、米国特許出願公開第2006/0281109号、国際公開第05/065814号、米国特許出願公開第2005/0100900号、国際公開第06/064199号、国際公開第07/010,251号、米国特許出願公開第2012/0270305号、米国特許出願公開第2013/0260372号および米国特許出願公開第2013/0079232号に記載されているものを含むが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、配列決定は、逐次蛍光ハイブリダイゼーション(例えば、ハイブリダイゼーションによる配列決定)によって行うことができる。逐次蛍光ハイブリダイゼーションは、オリゴヌクレオチドおよび検出可能な標識を含む検出プローブの逐次ハイブリダイゼーションを含むことができる。
いくつかの態様において、配列決定は、ライゲーションによる単一分子配列決定を使用して行うことができる。このような技術は、オリゴヌクレオチドを組み込み、このようなオリゴヌクレオチドの組み込みを同定するためにDNAリガーゼを利用する。オリゴヌクレオチドは、典型的には、オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列中の特定のヌクレオチドの同一性と相関する異なる標識を有する。ライゲーションによる配列決定に関与する局面および特徴は、例えば、Shendure et al.Science(2005),309:1728-1732、および米国特許第5,599,675号;米国特許第5,750,341号;米国特許第6,969,488号;米国特許第6,172,218号;米国特許第6,306,597号に記載されている。
いくつかの態様において、検出プローブのバーコードは、蛍光標識されたオリゴヌクレオチドなどの検出可能に標識された検出オリゴヌクレオチドによって標的とされる。いくつかの態様において、配列決定のために蛍光などの信号を復号するために、1つ以上の復号スキームが使用される。本明細書の態様のいずれにおいても、バーコード(例えば、一次および/または二次バーコード配列)は、本明細書に記載されるものを含む任意の適切な方法または技術、例えば標的のRNA逐次プロービング(RNA SPOT)、逐次蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(seqFISH)、単一分子蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(smFISH)、多重化エラーロバスト蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(MERFISH)、ハイブリダイゼーションベースのインサイチュ配列決定(HybISS)、インサイチュ配列決定、標的指向型インサイチュ配列決定、蛍光インサイチュ配列決定(FISSEQ)、または空間的に分解された転写物アンプリコン読み取りマッピング(STARmap)を使用して分析する(例えば、検出または配列決定する)ことができる。いくつかの態様において、本明細書に提供される方法は、逐次ハイブリダイゼーションおよび複数の標識されたプローブ(例えば、検出オリゴヌクレオチド)による検出によってバーコードを分析することを含む。例示的な復号スキームは、Eng et al.,’’Transcriptome-scale Super-Resolved Imaging in Tissues by RNA SeqFISH+,’’Nature 568(7751):235-239(2019);Chen et al.,’’Spatially resolved,highly multiplexed RNA profiling in single cells,’’Science;348(6233):aaa6090(2015);米国特許第10,457,980号;米国特許出願公開第2016/0369329号;国際公開第2018/026873号;および米国特許出願公開第2017/0220733号に記載されており、これらはすべて、参照によりその全体が組み入れられる。いくつかの態様において、これらのアッセイは、シグナル増幅、コンビナトリアル復号および誤り訂正スキームを同時に可能にする。
いくつかの態様において、核酸ハイブリダイゼーションを配列決定のために使用することができる。これらの方法は、バーコード配列の少なくとも一部に相補的な標識された核酸デコーダプローブを利用する。多重復号は、識別可能な標識を有する多くの異なるプローブのプールを用いて行うことができる。核酸ハイブリダイゼーション配列決定の非限定的な例は、例えば米国特許第8,460,865号およびGunderson et al.,Genome Research 14:870-877(2004)に記載されている。
いくつかの態様において、DNAポリメラーゼ活性のリアルタイムモニタリングを配列決定中に使用することができる。例えば、ヌクレオチドの取り込みは、例えば、Levene et al.,Science(2003),299,682-686,Lundquist et al.,Opt.Lett.(2008),33,1026-1028およびterm’’perfectly et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2008),105,1176-1181に記載されているように、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を通じて検出することができる。
いくつかの局面において、分析および/または配列決定は、低いバックグラウンドノイズおよびエラー低下を伴う組織形態の最良の保存のために室温で行われ得る。いくつかの態様において、分析および/または配列決定は、配列決定が進行するにつれてエラー蓄積を除去することを含む。
いくつかの態様において、分析および/または配列決定は、結合していないポリヌクレオチドを除くために洗浄し、その後、画像化のために蛍光産物を見えるようにすることを含む。
いくつかの局面において、検出(画像化を含む)は、多数の異なる種類の顕微鏡法、例えば共焦点顕微鏡法、2光子顕微鏡法、明視野顕微鏡法、インタクト組織膨張顕微鏡法および/またはCLARITY(商標)最適化ライトシート顕微鏡法(COLM)のいずれをも使用して実行される。
いくつかの態様において、蛍光顕微鏡法が、検出プローブの検出および画像化のために使用される。いくつかの局面において、蛍光顕微鏡は、有機または無機物質の特性を研究するために、反射および吸収の代わりに、または反射および吸収に加えて、蛍光および燐光を使用する光学顕微鏡である。蛍光顕微鏡法では、試料中の蛍光を励起する波長の光で試料が照射される。通常は照射より長い波長である蛍光を発した光は、次いで顕微鏡対物レンズを通して画像化される。この技術では、照射がほぼ単色で正しい波長にあるようにする照射(または励起)フィルタおよび励起光源のいずれもが検出器に到達しないようにする第2の発光(またはバリア)フィルタという2つのフィルタが使用され得る。あるいは、これらの機能はいずれも単一の二色性フィルタによって達成され得る。「蛍光顕微鏡」は、落射蛍光顕微鏡などのより単純な仕組みであるか、または蛍光画像のより良好な解像度を得るためにオプティカルセクショニングを使用する共焦点顕微鏡などのより複雑な設計であるかを問わず、画像を生成するために蛍光を使用する任意の顕微鏡を含む。
いくつかの態様において、検出プローブの検出および画像化のために、共焦点顕微鏡法が使用される。共焦点顕微鏡法は、焦点が合っていない信号を除去するために、検出器の前の光学的共役面内で点照射およびピンホールを使用する。焦点面に極めて近い蛍光によって生成された光のみを検出することができるので、特に試料深さ方向における画像の光学解像度は、広視野顕微鏡の光学解像度よりはるかに良好である。しかしながら、試料蛍光からの光の多くがピンホールで遮断されるため、この増大した分解能は、減少した信号強度という犠牲を払っており、そのため長い露光がしばしば必要とされる。試料内の1つの点のみが一度に照射されるので、2Dまたは3D画像化には、検体内の規則的なラスター(すなわち、平行な走査線の矩形パターン)にわたって走査を行うことが必要である。焦点面の達成可能な厚さは、使用される光の波長を対物レンズの開口数で割ることによって主に定義されるが、検体の光学特性によっても定義される。薄いオプティカルセクショニングが可能であることにより、これらの種類の顕微鏡は、試料の3D画像化および表面プロファイリングが特に得意である。CLARITY(商標)最適化ライトシート顕微鏡法(COLM)は、大きな清澄化された試料の高速3D画像化のための代替的な顕微鏡法を提供する。COLMは、大きな免疫染色された組織を調査し、取得速度の増大を可能にし、生成されたデータの品質をより高くする。
使用可能な他の種類の顕微鏡法は、明視野顕微鏡法、傾斜照明顕微鏡法、暗視野顕微鏡法、位相差、微分干渉コントラスト(DIC)顕微鏡法、干渉反射顕微鏡法(反射干渉コントラスト、すなわちRICとしても知られている。)、単一平面照明顕微鏡法(SPIM)、超解像顕微鏡法、レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法(EM)、透過型電子顕微鏡法(TEM)、走査型電子顕微鏡法(SEM)、反射電子顕微鏡法(REM)、走査透過型電子顕微鏡法(STEM)および低電圧電子顕微鏡法(LVEM)、走査型プローブ顕微鏡法(SPM)、原子間力顕微鏡法(ATM)、弾道電子放出顕微鏡法(BEEM)、化学力顕微鏡法(CFM)、コンダクティブ原子間力顕微鏡法(C-AFM)、電気化学的走査型トンネル顕微鏡(ECSTM)、静電力顕微鏡法(EFM)、流体力顕微鏡(FluidFM)、力変調顕微鏡法(FMM)、特徴指向走査型プローブ顕微鏡法(FOSPM)、ケルビンプローブフォース顕微鏡法(KPFM)、磁気力顕微鏡法(MFM)、磁気共鳴力顕微鏡法(MRFM)、近接場走査型光学顕微鏡法(NSOM)(またはSNOM、走査型近接場光学顕微鏡法、SNOM、圧電応答力顕微鏡法(PFM)、PSTM、フォトン走査型トンネル顕微鏡法(PSTM)、PTMS、光熱顕微分光法/顕微鏡法(PTMS)、SCM、走査型静電容量顕微鏡法(SCM)、SECM、走査型電気化学顕微鏡法(SECM)、SGM、走査型ゲート顕微鏡法(SGM)、SHPM、走査型ホール素子顕微鏡法(SHPM)、SICM、走査型イオン伝導顕微鏡法(SICM)、SPSMスピン偏極走査型トンネル顕微鏡法(SPSM)、SSRM、走査型拡がり抵抗顕微鏡法(SSRM)、SThM、走査型熱顕微鏡法(SThM)、STM、走査型トンネル顕微鏡法(STM)、STP、走査型トンネル電位差測定(STP)、SVM、走査型電圧顕微鏡法(SVM)、およびシンクロトロンX線走査型トンネル顕微鏡法(SXSTM)、およびインタクト組織膨張顕微鏡法(exM)を含む。
V. 空間的アッセイモジュール
いくつかの局面において、本明細書中に開示される統合型インサイチュ空間的アッセイは、1つ以上の空間的アッセイモジュールを含む。統合型インサイチュ空間的アッセイのいくつかの態様において、1つ以上のインサイチュアッセイモジュールが、試料において行われる。例えば、試料は、逐次蛍光インサイチュハイブリダイゼーションアッセイまたはインサイチュ配列決定アッセイなどのただ1つのインサイチュアッセイモジュールに供することができる。いくつかの態様において、試料は、同じ試料を1つ以上の空間的アッセイモジュールに供する前に、逐次蛍光インサイチュハイブリダイゼーションアッセイ、その後に続くインサイチュ配列決定アッセイなどの2つ以上のインサイチュアッセイモジュールに供することができる。
一局面において、生物学的試料の空間的分析、例えば空間的アレイをベースとする分析のための方法、組成物、装置およびシステムが本明細書で提供される。空間的分析方法の非限定的な局面は、米国特許公開第10,308,982号;米国特許公開第9,879,313号;米国特許公開第9,868,979号;Liu et al.,bioRxiv,788992,2020;米国特許公開第10,774,372号;米国特許公開第10,774,374号;国際公開第2018/091676号;米国特許公開第10,030,261号;米国特許公開第9,593,365号;米国特許第10,002,316号;米国特許第9,727,810号;米国特許公開第10,640,816号;Rodriques et al.,Science,363(6434):1463-1467、2019;国際公開第2018/045186号;Lee et al.,Nat.Protoc.10(3):442-458,2015;米国特許公開第10,179,932号;国際公開第2018/045181号;米国特許公開第10,138,509号;Trejo et al.,PLoS ONE 14(2):e0212031,2019;米国特許出願公開第2018/0245142号;Chen et al.,Science 348(6233):aaa6090,2015;Gao et al.,BMC Biol.15:50,2017;国際公開第2017/144338号;国際公開第2018/107054号;国際公開第2017/222453号;国際公開第2019/068880号;国際公開第2011/094669号;米国特許第7,709,198号;米国特許第8,604,182号;米国特許第8,951,726号;米国特許第9,783,841号;米国特許第10,041,949号;国際公開第2016/057552号;国際公開第2017/147483号;米国特許公開第10,370,698号;国際公開第2016/166128号;米国特許公開第10,364,457号;米国特許公開第10,317,321号;国際公開第2018/136856号;国際公開第2019/075091号;米国特許第10,059,990号;国際公開第2018/057999号;国際公開第2015/161173号;およびGupta et al.,Nature Biotechnol.36:1197-1202,2018に記載されており、本明細書では任意の組み合わせで使用することができる。空間的分析方法のさらなる非限定的な局面が本明細書に記載されている。
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、生物学的試料から基材上の構造体のアレイに1つ以上の分析物を移すことを含み、構造体の各々はアレイ上の一意の空間的位置と関連付けられている。各構造体は、1つ以上の核酸分子を捕捉することができる複数の捕捉剤を含み得、同じ構造体の捕捉剤の各々は、アレイ上の構造体の一意の空間的位置に対応する空間的バーコードを含み得る。移された分析物のその後の分析は、分析物の同一性および試料内の各分析物の空間的位置を決定することを含む。試料内の各分析物の空間的位置は、各分析物がアレイ内で結合されている構造体、および構造体のアレイ内での相対的な空間的位置に基づいて決定される。
いくつかの態様において、空間的アッセイは、1つ以上の分析物(例えば、第2の標的核酸)を分析するために行われる。いくつかの態様において、第2の標的核酸は、第1の標的核酸(例えば、DNAまたはRNA)、その配列、その相補物、そのハイブリダイゼーション産物、そのライゲーション産物、その伸長産物、その複製産物、その転写/逆転写産物および/もしくはその増幅産物(例えば、ローリングサークル増幅(RCA)産物)であるか、または第1の標的核酸(例えば、DNAまたはRNA)、その配列、その相補物、そのハイブリダイゼーション産物、そのライゲーション産物、その伸長産物、その複製産物、その転写/逆転写産物および/もしくはその増幅産物(例えば、ローリングサークル増幅(RCA)産物)を含む。例えば、(例えば、セクションIVに記載されている)インサイチュアッセイの前またはその間に、第1の標的核酸を鋳型として使用して生成された逆転写産物を空間的アッセイにおいてアッセイすることができる。いくつかの事例では、インサイチュアッセイの前またはその間に生成されたライゲーション産物を空間的アッセイにおいてアッセイすることができる。いくつかの態様において、第2の標的核酸は、1つ以上の核酸プローブ、核酸プローブの相補物、核酸プローブのハイブリダイゼーション産物、核酸プローブのライゲーション産物、核酸プローブの伸長産物、核酸プローブの複製産物、核酸プローブの転写/逆転写産物および/もしくは核酸プローブの増幅産物の少なくとも1つであるか、または1つ以上の核酸プローブ、核酸プローブの相補物、核酸プローブのハイブリダイゼーション産物、核酸プローブのライゲーション産物、核酸プローブの伸長産物、核酸プローブの複製産物、核酸プローブの転写/逆転写産物および/もしくは核酸プローブの増幅産物の少なくとも1つを含む。例えば、(例えば、セクションIVに記載されている)インサイチュアッセイの前またはその間に提供されたプローブまたはそのバーコードを空間的アッセイにおいてアッセイすることができる。
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、空間的バーコードが特定の空間的位置に関連付けられた1つ以上の分析物および/または1つ以上の細胞の内容物を同定するように、空間的バーコードを1つ以上の分析物、例えば隣接細胞などの1つ以上の細胞内の分子と関連付けることを含む。
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、標的分析物を細胞から空間的にバーコード付加されたアレイに向けて送ることを含む。図7は、例示的な態様を示し、捕捉プローブ(本明細書でさらに記載されている)が密に存在する空間的にバーコード付加されたアレイを工程701において試料と接触させ、試料を透過処理して、標的分析物が試料から離れてアレイに向けて移動することを可能にする。標的分析物は、工程702において、空間的にバーコード付加されたアレイ上の捕捉プローブと相互作用する。標的分析物が捕捉プローブに結合されたら(例えば、ハイブリダイズしたら)、工程703において、空間的に分解された分析物情報を得るために、試料がアレイから任意で除去され、捕捉プローブが分析される。
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、空間的にバーコード付加された核酸分子(例えば、アドレスタグまたは捕捉プローブ)を試料に向けておよび/または試料中もしくは試料上に送達することまたは送ることを含む。いくつかの態様において、本明細書中に開示される方法は、空間的にバーコード付加された核酸分子(例えば、アドレスタグまたは捕捉プローブ)をアレイから切断すること、ならびに切断された核酸分子を試料に向けておよび/または試料中にまたは試料上に送ることを含む。図8は、工程801において、捕捉プローブ(本明細書でさらに記載されている)が密に存在する空間的にバーコード付加されたアレイを試料と接触させることができる例示的な態様を示す。工程802において、空間的にバーコード付加された捕捉プローブは切断され、次いで、提供された試料内の細胞と相互作用する。相互作用は、細胞表面相互作用などの共有結合または非共有結合相互作用であり得る。相互作用は、送達系または細胞透過ペプチドによって促進される細胞内相互作用であり得る。あるいは、空間的にバーコード付加された捕捉プローブを試料に向けておよび/または試料中にまたは試料上に移動させることを可能にしながら、1つ以上の標的分析物の移動性を制限するために、試料は透過処理され、固定/架橋され得る。空間的にバーコード付加された捕捉プローブが特定の分析物(例えば、1つ以上の細胞中の分析物)に関連付けられたら、試料は、分析のために任意で除去することができる。分析前に試料を任意で解離させることができる。タグ化された分析物または細胞が空間的にバーコード付加された捕捉プローブと関連付けられたら、工程803において、タグが付けられた分析物または細胞に関する空間的に分解された情報を得るために、捕捉プローブを分析することができる。
図9は、工程901において空間的にバーコード付加されたアレイ上で試料を調製することを含む例示的なワークフローを示す。試料調製は、試料をスライド上に配置すること、試料を処理すること(例えば、試料を固定することおよび/または透過処理すること)、および/または試料を画像化のための1つ以上の試薬(例えば、染色のための1つ以上のプローブおよび/または抗体)と接触させることを含み得る。次いで、工程902において、(試料ヘマトキシリンおよびエオシン染色を画像化するための)明視野モダリティおよび(構造体を画像化するための)蛍光モダリティの両方を使用して、任意でアレイ上で試料を画像化する。いくつかの態様において、標的分析物は、次いで、試料から放出され、空間的にバーコード付加されたアレイを形成する捕捉プローブは、工程903において、放出された標的分析物にハイブリダイズまたは結合する。次いで、工程904において試料をアレイから除去し、工程905において捕捉プローブをアレイから切断する。次いで、(例えば、mRNA転写物などのRNA分析物をcDNAに変換するための逆転写を介して)分析物を処理しながら、工程905Bにおいて、試料およびアレイに対して両方のモダリティで任意で2回目の画像化を行い、アンプリコンライブラリーを906において調製し、907において配列決定する。いくつかの態様において、908において空間的に同定された試料情報を相関させるために、2組の画像が空間的に重ね合わされる。905Bにおいて、試料およびアレイに対して2回目の画像化が行われない場合、第2の画像化工程を置き換えるために、代わりにスポット座標ファイルが供給され得る。いくつかの態様において、PCRアダプタ(例えば、一意のPCRアダプタ)を用いてアンプリコンライブラリー調製906を行い、907において配列決定することができる。
図10は、基材上の空間的に標識されたアレイを利用する別の例示的なワークフローを示し、空間的バーコードで標識された捕捉プローブは、基材上の領域(例えば、構造体)においてクラスタ化される。空間的に標識された捕捉プローブは、捕捉ドメイン、空間的バーコード、および任意で切断ドメイン、1つ以上の機能的配列、および/または一意的分子識別子を含むことができる。空間的に標識された捕捉プローブは、基材への可逆的な付着のための5’末端修飾も含むことができる。例えば、空間的にバーコード付加されたアレイを1001において試料と接触させ、1002において透過処理試薬の適用を通じて試料を透過処理する。いくつかの態様において、透過処理工程は、インサイチュアッセイモジュールの前またはその間に実施され、生物学的試料は、空間的アッセイモジュールのために再び透過処理される必要はない。透過処理試薬は、アレイ/試料集合体をバルク溶液内に配置することによって投与され得る。あるいは、透過処理試薬は、拡散抵抗性媒体および/または蓋などの物理的障壁を介して試料に投与され得、試料は、拡散抵抗性媒体および/または障壁とアレイ含有基材との間に挟まれる。分析物は、本明細書に開示される任意の数の技術を使用して、空間的にバーコード付加された捕捉アレイに向けて移動される。例えば、分析物移動は、拡散抵抗性媒体蓋および受動的移動を使用して起こり得る。別の例として、分析物移動は、例えば電気泳動的転写システムを使用した能動的移動であり得る。分析物が空間的にバーコード付加された捕捉プローブに近接すると、1003において、捕捉プローブは標的分析物にハイブリダイズするか、またはその他結合することができる。試料は、任意で、1004においてアレイから除去することができる。捕捉プローブは、任意で、1005においてアレイから切断することができ、捕捉された分析物は、逆転写酵素第1鎖cDNA反応を行うことによって空間的にタグ付けすることができる。第1鎖cDNA反応は、任意で、鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドを用いて行うことができる。例えば、鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドは、逆転写酵素によってcDNAの3’末端に付加されたポリ(C)テールにハイブリダイズすることができる。次いで、元のmRNA鋳型および鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドをcDNAから変性させることができ、次いで、バーコード付加された捕捉プローブをcDNAとハイブリダイズさせることができ、cDNAの相補物を生成させることができる。次いで、下流増幅工程のために、第1鎖cDNAを精製し、収集することができる。第1鎖cDNAは、1006においてPCRを使用して増幅することができ、ここで、フォワードプライマーおよびリバースプライマーは、関心対象の空間的バーコードおよび標的分析物領域に隣接しており、特定の空間的バーコードに関連するライブラリーを生成する。いくつかの態様において、cDNAは、合成による配列決定(SBS)プライマー配列を含む。1007および1008において、ライブラリーアンプリコンを配列決定し、分析して空間的情報を復号する。
図11A~11Bは、試料が空間的にバーコード付加されたアレイから除去され、バーコード付加された分析物増幅およびライブラリー調製のために空間的にバーコード付加された捕捉プローブがアレイから除去される例示的なワークフローを示す。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、捕捉プローブを切断することなく、例えば鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドを使用して、空間的にバーコード付加されたアレイ上で第1鎖合成を実施することを含む。
いくつかの態様において、空間的アッセイモジュールにおいて分析されるべき第2の分析物は、mRNA転写物などのRNAを含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、試料調製1101(例えば、脱架橋工程を含む)および任意で試料透過処理1102を含み、これらはいずれも、例えば、インサイチュアッセイモジュールおよび/または空間的アッセイモジュールに関連して、本明細書の他の箇所に記載されるように実施することができる。図11Aに示されるように、捕捉プローブがRNA標的(例えば、本明細書に開示されるインサイチュアッセイモジュールで分析された試料からのmRNA転写物)を捕捉したら、1103において、鋳型乗り換えおよび逆転写酵素によって作製された第1鎖cDNAが次いで変性され、次いで、1104において第2鎖が伸長される。次いで、1105において、第2鎖cDNAを第1鎖cDNAから変性させ、中和し、チューブに移す。cDNAの定量および増幅は、本明細書で論述される標準的な技術を使用して行うことができる。次いで、cDNAを、1106でのライブラリー調製ならびに断片化、末端修復、Aテーリングおよび/またはインデックス付けPCR工程を含む1107でのインデックス付けに供した後、1108で任意に行われるライブラリーQC工程に供することができる。
いくつかの態様において、空間的アッセイモジュールで分析されるべき第2の分析物は、インサイチュアッセイモジュールで生成されたmRNAのcDNAなどのDNA、インサイチュアッセイモジュールでmRNAまたはcDNAにハイブリダイズしたプローブ、(例えば、図13に示されるように、例えば、DNAを鋳型とするライゲーションまたはRNAを鋳型とするライゲーションを用いた)インサイチュアッセイモジュールでのプローブのライゲーション産物、および/またはインサイチュアッセイモジュールでのmRNA、cDNAまたはプローブの増幅産物を含む。いくつかの態様において、第2の分析物(例えば、第2の核酸分析物)は、インサイチュアッセイモジュールにおいて使用されるパドロックプローブおよび/またはプローブのRCA産物をライゲーションすることから得られる環状プローブまたは環状化されたプローブを含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、(例えば、インサイチュアッセイモジュールからのmRNA、cDNA、プローブ、ライゲーション産物および/またはRCA産物を脱架橋するための脱架橋工程を含む)試料調製1109および任意で試料透過処理1110を含み、これらはいずれも、例えば、インサイチュアッセイモジュールおよび/または空間的アッセイモジュールに関連して、本明細書の他の箇所に記載されるように実施することができる。図11Bに示されるように、第2の分析物が空間的にバーコード付加された捕捉プローブに近接すると、捕捉プローブは第2の核酸分析物(例えば、インサイチュアッセイモジュールからのcDNA、プローブ、ライゲーション産物および/またはRCA産物)にハイブリダイズするか、またはその他結合することができる。試料は、任意で、アレイから除去することができる。捕捉プローブは、1111において、捕捉された第2の核酸分析物の配列を鋳型として使用するポリメラーゼによって伸長することができる。伸長された捕捉プローブと捕捉された第2の核酸分析物によって形成された二重鎖は変性させることができ、次いで、伸長された捕捉プローブにハイブリダイズする第2鎖プライマーを使用して第二鎖が1112において伸長される。次いで、1113において、第2鎖を、伸長された捕捉プローブから変性させ、中和し、チューブに移す。第2鎖のDNA定量および増幅は、本明細書において論述される標準的な技術を使用して行うことができる。次いで、DNAを、1114でのライブラリー調製ならびに断片化、末端修復、Aテーリングおよび/またはインデックス付けPCR工程を含む1115でのインデックス付けに供した後、1116で任意に行われるライブラリーQC工程に供することができる。
試料調製、透過処理、DNA生成(例えば、第1鎖cDNA生成および第2鎖生成)、DNA増幅(例えば、cDNA増幅)および品質管理、ならびに空間的遺伝子発現ライブラリー構築のための例示的な工程は、例えば国際公開第2020/047002号、国際公開第2020/047004号、国際公開第2020/047005号、国際公開第2020/047007号および国際公開第2020/047010号に開示されており、これらのすべては参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
A. 標的とされる分析物
いくつかの態様において、本明細書に開示される空間的アッセイは、標的とされる分析物を捕捉することを含む。いくつかの例において、本明細書に開示される空間的アッセイは、インサイチュ分析を使用して第1の標的分析物を分析することと、捕捉プローブのアレイを使用して第2の標的分析物を分析することとを含む。第1の分析物のインサイチュ分析は、捕捉プローブのアレイを用いて第2の標的分析物を分析する前、分析と同時に、または分析の後に行われ得る。いくつかの態様において、プローブの試料とのハイブリダイゼーションおよび検出工程がインサイチュアッセイ中に完了した後に、分析物(またはその誘導体)が捕捉プローブまたは捕捉剤によって捕捉される。いくつかの態様において、第2の標的核酸は、第2の標的核酸(例えば、ホルマリン固定されたRNAなどのRNA、またはRNA分子から生成されたcDNA分子)に相補的な1つ以上の核酸プローブによって標的とされ、1つ以上のプローブ、または1つ以上のプローブから生成された産物は、試料から放出されて(例えば、インサイチュ分析後に)捕捉プローブのアレイと相互作用する。例えば、本明細書で提供される方法のいくつかの態様において、生物学的試料中の(例えば、第2の標的分析物の)空間的遺伝子発現を検出するために、鋳型を使用するライゲーションが使用される。いくつかの局面において、鋳型を使用するライゲーションの工程は、組織切片内の第2の標的核酸分子(例えば、ホルマリン固定されたRNAなどのRNA、またはRNA分子から生成されたcDNA分子)に対するプローブ(例えば、DNAプローブ)の対のハイブリダイゼーションを含む。いくつかの態様において、隣接してアニーリングされたプローブ対をインサイチュでライゲーションすることができる。いくつかの態様において、試料は、下流分析(例えば、捕捉プローブのアレイ上にハイブリダイズされるか、またはその他捕捉される)のために1つ以上の試薬(RNAを鋳型とするライゲーションの産物を組織から(例えば、溶液中に)放出するためのRNase HまたはプロテイナーゼKなど)で処理することができる。いくつかの態様において、アッセイは、鋳型を使用するライゲーションの産物の(例えば、多重PCRによる)増幅をさらに含むことができる。
いくつかの局面において、鋳型を使用するライゲーション(例えば、DNAまたはRNAを鋳型とするライゲーション)はDNAリガーゼを含むことができる。いくつかの局面において、鋳型を使用するライゲーション(例えば、RNAを鋳型とするライゲーション)はRNAリガーゼを含むことができる。いくつかの局面において、鋳型を使用するライゲーションはT4 RNAリガーゼを含むことができる。いくつかの局面において、鋳型を使用するライゲーションは、RNAの検出、RNA配列同一性の決定、ならびに/または発現モニタリングおよび転写物分析のために使用される。いくつかの局面において、鋳型を使用するライゲーションは、核酸中の特定の変化(例えば、変異、付加、欠失または一塩基多型(SNP))の検出、特定の核酸の検出もしくは発現、または核酸の特定の組の検出もしくは発現(例えば、類似の細胞経路中での、または特定の病理において発現される)を可能にする。いくつかの態様において、鋳型を使用するライゲーションを含む方法は、例えば遺伝子型決定、DNAコピー数またはRNA転写物の定量、試料内の特定の転写物の位置特定などによって核酸を分析するために使用される。いくつかの局面において、鋳型を使用するライゲーションを含む本明細書で提供されるシステムおよび方法は、一塩基多型(SNP)を同定する。いくつかの局面において、このようなシステムおよび方法は、変異を同定するために鋳型を使用するライゲーションを利用する。いくつかの局面において、このようなシステムおよび方法は、RNAアイソフォームまたはスプライスバリアントを同定するために鋳型を使用するライゲーションを利用する。いくつかの局面において、2つ以上のRNA分析物は、鋳型を使用するライゲーション(例えば、RNAを鋳型とするライゲーション(RTL)またはDNAを鋳型とするライゲーション(例えば、cDNA上での))を使用して分析される。
いくつかの局面において、2つ以上の分析物が分析される場合、それぞれRNAまたはcDNA分析物に対して特異的である(例えば、特異的にハイブリダイズする)第1および第2のプローブが使用される。いくつかの例では、鋳型を使用するライゲーションを使用して、タンパク質分析物が分析される。例えば、いくつかの態様において、試料を、関心対象の分析物(タンパク質など)に特異的な結合剤(例えば、抗体またはそのエピトープ結合断片)と接触させ、結合剤は、結合剤を同定するレポーター配列を含むレポーターオリゴヌクレオチドとコンジュゲートされ、またはその他結合される。次いで、プローブをレポーターオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせ、(例えば、捕捉プローブのアレイを使用する)さらなる分析のための産物を生成するために、鋳型を使用するライゲーション反応においてライゲーションさせ得る。
いくつかの態様において、2つの隣接するプローブの5’および3’末端がライゲーションされ得るようにプローブが互いに隣接してハイブリダイズするように、プローブの対は標的配列にハイブリダイズするように設計される。いくつかの態様において、生物学的試料における標的配列の存在または非存在は、2つのプローブがリガーゼの存在下でライゲーションされたかどうかを決定することによって決定することができる。図13は、核酸分子を分析する代表的な分析方法(例えば、cDNAまたはmRNAなどのRNA)を模式的に示す。3’ポリAテールを有する核酸分子が示されているが、任意の適切な核酸分子が分析され得、ライゲーションは、図13でのRNAを鋳型とするライゲーション(RTL)および/またはDNAを鋳型とするライゲーション(例えば、cDNA上での)を含むことができることを理解すべきである。図13Aは、標的領域1302および1304を含む核酸分子1300を示す。いくつかの例では、標的領域1302および1304は互いに隣接している。プローブ1306は、プローブ配列1308、結合配列1310および反応性部分1312を含む。プローブ1314は、プローブ配列1316、アダプタ配列1348および反応性部分1318を含む。プローブ1306のプローブ配列1308は、標的領域1302に相補的である。同様に、プローブ1314のプローブ配列1316は標的領域1304に相補的である。図13Bは、標的領域1302にハイブリダイズしたプローブ1306のプローブ配列1308および標的領域1304にハイブリダイズしたプローブ1314のプローブ配列1316を示す。いくつかの例では、プローブ1306の反応性部分1312およびプローブ1314の反応性部分1318は互いに隣接している。図13Cは、反応性部分1312および1318の反応を通じて生成された連結部分1320を示す。いくつかの事例では、部分1312および1318は化学的に(例えば、クリックケミストリー)ライゲーションされ、他の事例では、酵素的に(SplintR、KODリガーゼまたはT4リガーゼなどのリガーゼ)ライゲーションされる。連結されたプローブ1306および1314は、配列1310、1308、1316および1348を含むプローブが連結した核酸分子1330を含む。いくつかの事例では、プローブが連結した核酸分子(例えば、1230)は、捕捉プローブ1202の捕捉ドメイン1207に相補的な配列を含む捕捉プローブ結合ドメインを含み得る。いくつかの事例では、プローブ(例えば、1306およびまたは1314)は、捕捉プローブ中に存在する特定の捕捉ドメイン(例えば、捕捉プローブ1202の1207)に相補的な配列を含む捕捉プローブ結合ドメインを含み得る。いくつかの態様において、ここでのライゲーションには間隙充填が先行する(例えば、プローブ1306とプローブ1314が互いに隣接していない場合)。いくつかの事例では、標的領域1302および1304は互いに隣接せず、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれより多くのヌクレオチドによって隔てられ得る。
いくつかの局面では、本明細書で提供される鋳型を使用するライゲーション法において、3つ以上のプローブが使用される。いくつかの態様において、隣接するプローブの5’および3’末端がライゲーションされ得るように3つ以上のプローブが互いに隣接してハイブリダイズするように、3つ以上のプローブは標的配列にハイブリダイズするように設計される。いくつかの態様において、生物学的試料における標的配列の存在または非存在は、3つ以上のプローブがリガーゼの存在下でライゲーションされたかどうかを決定することによって決定することができる。
いくつかの局面において、プローブはDNAプローブである。いくつかの局面において、DNAプローブの対が使用される。いくつかの態様において、プローブは二本鎖プローブまたは部分的二本鎖プローブである。いくつかの事例において、プローブはキメラDNA/RNAプローブである。いくつかの局面において、プローブはリボヌクレオチド修飾されたDNAプローブである。例示的なプローブおよびリボヌクレオチド修飾されたDNAプローブについては、例えば、Zhang et al.,Chem Commun 2013 Nov 4;49(85):10013-5;米国特許第9,371,598号;米国特許出願公開第2019/0367997号および同第2018/0237864号を参照されたい。
いくつかの局面において、RNAを鋳型とするライゲーションの方法は、固定されたRNA標的配列上でインサイチュでハイブリダイズした隣接するキメラRNA-DNAプローブ対を効率的に接合するために、T4 RNA Ligase 2を利用する。任意に行われるその後の処理(例えば、プロテイナーゼKでのまたはRNase Hでの)は、下流分析(例えば、アレイに結合された捕捉プローブ上での捕捉および分析)のための鋳型を使用するライゲーションの産物を放出する。
第1のプローブオリゴヌクレオチドおよび第2のプローブオリゴヌクレオチド(例えば、RTLプローブなどの鋳型を使用するライゲーション)を含む標的指向型核酸分析(例えば、RNAまたはRNAから生成されたcDNA分子)の方法が本明細書で提供される。第1および第2のプローブオリゴヌクレオチドはそれぞれ、関心対象の分析物の配列に相補的な配列を含む。いくつかの態様において、第1および第2のプローブオリゴヌクレオチドは、互いに隣接するかまたは同じ転写物上に存在する相補的配列に結合する。いくつかの態様において、第1のプローブオリゴヌクレオチドおよび第2のプローブオリゴヌクレオチドが結合する相補的配列は、互いから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約125、約150、約175、約200、約250、約300、約350、約400、約450、約500、約600、約700、約800、約900または約1000ヌクレオチド離れている。例えば、Muポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素、VENTポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、ならびに/またはこれらの任意の組み合わせ、誘導体および変異形(例えば、操作された変異体)を使用して、ライゲーション前に、プローブオリゴヌクレオチド間の間隙が最初に充填され得る。いくつかの態様において、第1および第2のプローブオリゴヌクレオチドが1つ以上のヌクレオチドによって互いから隔てられている場合、リボヌクレオチドが、第1および第2のプローブオリゴヌクレオチドの間にライゲーションされる。いくつかの態様において、第1および第2のプローブオリゴヌクレオチドが1つ以上のヌクレオチドによって互いから隔てられている場合、デオキシリボヌクレオチドが、第1および第2のプローブオリゴヌクレオチドの間にライゲーションされる。例示的なプローブおよびライゲーションによって媒介される反応および分析については、例えば、米国特許出願公開第20200239874号を参照されたい。
いくつかの局面において、第1のプローブ、第2のプローブおよびリガーゼ(例えば、T4 RNAリガーゼ)を接触させることを含む、RNA発現を検出する方法が本明細書に開示される。いくつかの態様において、第1のプローブおよび第2のプローブは、第1のプローブの5’末端と第2のプローブの3’末端が隣接し、ライゲーションされることができるように標的配列にハイブリダイズするように設計されており、第1のプローブの少なくとも5’末端ヌクレオチドおよび第2のプローブの少なくとも3’末端ヌクレオチドはデオキシリボヌクレオチド(DNA)であり、標的配列はRNA分子(mRNA分子など)である。いくつかの態様において、プローブの1つ以上は、1つ以上のリボヌクレオチドを含み得る。ハイブリダイゼーション後、標的配列が標的試料中に存在すれば、リガーゼ(例えば、T4 RNAリガーゼ)は、第1のプローブと第2のプローブをライゲーションするが、標的配列が標的試料中に存在しなければ、第1のプローブと第2のプローブをライゲーションしない。生物学的試料中での標的配列の存在または非存在および空間的局在化は、例えば、本明細書の他の箇所に記載されるようなアレイに結合した捕捉剤を使用して、ライゲーションされたプローブ産物の分析を通じて決定することができる。第1および第2のプローブがリガーゼの存在下でライゲーションされたかどうかを決定するために、ライゲーションされた産物を配列決定すること、ライゲーションされた産物を、第1および第2のプローブがリガーゼの存在下でライゲーションされたときにのみハイブリダイズする検出プローブとハイブリダイズさせること、制限酵素分析ならびに当技術分野において公知の他の方法を含むが、これらに限定されない様々な方法のいずれをも使用することができる。
いくつかの態様において、本明細書に開示される第1および/または第2のプローブは、以下の1つ以上を含む:3’末端の1つ以上のリボ核酸塩基(例えば、3’末端の少なくとも2つのリボ核酸塩基);1つ以上の機能的配列;5’末端のリン酸化されたヌクレオチド;および/または捕捉プローブ結合ドメイン。いくつかの態様において、機能的配列は、プライマー配列またはプライマー結合配列である。いくつかの態様において、機能的配列は、その後の過程において使用することができる1つ以上の機能的配列を含む。いくつかの例では、捕捉プローブ結合ドメインは、捕捉プローブ中に存在する特定の捕捉ドメインに相補的な配列である。例えば、図13に示されるように、結合配列1310は、図12での捕捉プローブ1202の捕捉ドメイン1207に相補的であり得る。いくつかの態様において、捕捉プローブ結合ドメインはポリ(A)配列を含む。いくつかの態様において、捕捉プローブ結合ドメインは、ポリウリジン配列、ポリチミジン配列またはその両方を含む。いくつかの態様において、捕捉プローブ結合ドメインはランダム配列(例えば、ランダム六量体または八量体)を含む。いくつかの態様において、捕捉プローブ結合ドメインは、関心対象の特定の標的を検出する捕捉プローブ中の捕捉ドメインに相補的である。いくつかの態様において、捕捉プローブ結合ドメインと相互作用する捕捉プローブ結合ドメインブロッキング部分が提供される。いくつかの態様において、捕捉プローブ結合ドメインブロッキング部分は、捕捉プローブ結合ドメインに相補的または実質的に相補的な配列を含む。いくつかの態様において、捕捉プローブ結合ドメインブロッキング部分は、存在する場合、捕捉プローブ結合ドメインが捕捉プローブに結合するのを妨げる。いくつかの態様において、捕捉プローブ結合ドメインブロッキング部分は、(例えば、ライゲーションされたプローブ中に存在する)捕捉プローブ結合ドメインを捕捉プローブに結合する前に除去される。いくつかの態様において、捕捉プローブ結合ドメインブロッキング部分は、ポリウリジン配列、ポリチミジン配列またはその両方を含む。
いくつかの態様において、第1のプローブオリゴヌクレオチドは、分析物にハイブリダイズする。いくつかの態様において、第2のプローブオリゴヌクレオチドは、分析物にハイブリダイズする。いくつかの態様において、第1のプローブオリゴヌクレオチドと第2のプローブオリゴヌクレオチドの両方が分析物にハイブリダイズする。ハイブリダイゼーションは、プローブオリゴヌクレオチドに100%相補的な配列を有する標的において起こり得る。いくつかの態様において、ハイブリダイゼーションは、プローブオリゴヌクレオチドに少なくとも(例えば、少なくとも約)80%、少なくとも(例えば、少なくとも約)85%、少なくとも(例えば、少なくとも約)90%、少なくとも(例えば、少なくとも約)95%、少なくとも(例えば、少なくとも約)96%、少なくとも(例えば、少なくとも約)97%、少なくとも(例えば、少なくとも約)98%、または少なくとも(例えば、少なくとも約)99%相補的な配列を有する標的において起こり得る。ハイブリダイゼーション後、いくつかの態様において、第1のプローブオリゴヌクレオチドは伸長される。ハイブリダイゼーション後、いくつかの態様において、第2のプローブオリゴヌクレオチドは伸長される。
いくつかの態様において、本明細書において開示される方法は、第1および第2のプローブオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせた後に洗浄工程を含む。洗浄工程は、あらゆる非結合オリゴヌクレオチドを除去し、当技術分野において公知の任意の技術を使用して実施することができる。いくつかの態様において、試料を洗浄するために、プレ-Hyb緩衝液が使用される。いくつかの態様において、リン酸緩衝液が使用される。いくつかの態様において、非結合オリゴヌクレオチドを除去するために複数の洗浄工程が行われる。
いくつかの態様において、プローブオリゴヌクレオチド(例えば、第1および第2のプローブオリゴヌクレオチド)の分析物へのハイブリダイゼーション後に、プローブオリゴヌクレオチド(例えば、第1のプローブオリゴヌクレオチドおよび第2のプローブオリゴヌクレオチド)は一緒にライゲーションされ、分析物に相補的な単一のライゲーションされたプローブを作製する。ライゲーションは、本明細書に記載されるように、酵素的にまたは化学的に行うことができる。
いくつかの例では、第1および第2のプローブオリゴヌクレオチドを分析物の第1および第2の標的領域にハイブリダイズさせ、プローブオリゴヌクレオチドを核酸反応に供してそれらを一緒にライゲーションする。例えば、プローブは、リガーゼ(例えば、T4 RNAリガーゼ(Rnl2)、スプリントRリガーゼ、一本鎖DNAリガーゼ、またはT4 DNAリガーゼ)を用いて酵素的ライゲーション反応に供され得る。例えば、ライゲーションインサイチュハイブリダイゼーション(LISH)を用いた分析については、Credle et al.,Nucleic Acids Research,2017,Vol.45,No.14 e128;KODリガーゼの説明については、Zhang L.,et al.;Archaeal RNA ligase from thermoccocus kodakarensis for template dependent ligation RNA Biol.2017;14(1):36-44を参照されたい。酵素的ライゲーション反応の後、第1および第2のプローブオリゴヌクレオチドはライゲーションされたと考えられ得る。
いくつかの態様において、プローブオリゴヌクレオチド(例えば、第1のプローブオリゴヌクレオチドおよび第2のプローブオリゴヌクレオチド)はそれぞれ、標的へのハイブリダイゼーションおよび適切なライゲーション条件への曝露時に、プローブオリゴヌクレオチドが互いにライゲーションし得るような反応性部分を含み得る。いくつかの態様において、反応性部分を含むプローブオリゴヌクレオチドは、化学的にライゲーションされた。例えば、核酸分子の第1の標的領域にハイブリダイズすることができるプローブオリゴヌクレオチドは、第1の反応性部分を含み得、核酸分子の第2の標的領域にハイブリダイズすることができるプローブオリゴヌクレオチドは、第2の反応性部分を含み得る。第1および第2のプローブオリゴヌクレオチドが核酸分子の第1および第2の標的領域にハイブリダイズする場合、第1および第2の反応性部分は互いに隣接し得る。プローブの反応性部分は、アジド、アルキン、ニトロン(例えば、1,3-ニトロン)、歪みのあるアルケン(例えば、シクロオクテンまたはオキサノルボルナジエンなどのトランス-シクロアルケン)、テトラジン、テトラゾール、ヨウ化物、チオエート(例えば、ホルホロチオエート)、酸、アミンおよびホスフェートからなる非限定的な群から選択され得る。例えば、第1のプローブオリゴヌクレオチドの第1の反応性部分はアジド部分を含み得、第2のプローブオリゴヌクレオチドの第2の反応性部分はアルキン部分を含み得る。第1および第2の反応性部分は、反応して連結部分を形成し得る。第1の反応性部分と第2の反応性部分の間での反応は、例えば、歪み促進型アジド-アルキン環化付加、銅触媒アジド-アルキン環化付加、歪み促進型アルキン-ニトロン環化付加、ディールス-アルダー反応、[3+2]環化付加、[4+2]環化付加、または[4+1]環化付加などの環化付加反応;チオール-エン反応;求核置換(substation)反応;または別の反応であり得る。いくつかの事例では、第1の反応性部分と第2の反応性部分の間での反応により、トリアゾール部分またはイソオキサゾリン部分が得られ得る。第1の反応性部分と第2の反応性部分の間での反応は、反応性部分を適切な温度、pHまたは圧力などの適切な条件に供し、反応のために1つ以上の試薬または触媒を提供することを含み得る。例えば、第1の反応性部分と第2の反応性部分の間での反応は、銅触媒、ルテニウム触媒、またはジフルオロオクチン、ジベンジルシクロオクチンもしくはビアリールアザシクロオクチノンなどの歪んだ種によって触媒され得る。核酸分子の第1の標的領域にハイブリダイズした第1のプローブオリゴヌクレオチドの第1の反応性部分と、核酸分子の第2の標的領域にハイブリダイズした第3のプローブオリゴヌクレオチドの第2の反応性部分との間での反応は、第1のプローブオリゴヌクレオチドと第2のプローブオリゴヌクレオチドとを連結して、ライゲーションされたプローブを提供し得る。連結すると、第1および第2のプローブオリゴヌクレオチドは、ライゲーションされていると考え得る。したがって、第1および第2の反応性部分の反応は、2つのプローブオリゴヌクレオチド間にトリアゾール結合を形成するための銅触媒される5’アジドの3’アルキンへの「クリック」化学反応などの化学的ライゲーション反応を含み得る。他の非限定的な例では、ホスホロチオエート結合を形成するために、ヨウ化物部分をホスホロチオエート部分に化学的にライゲーションし得、アミド結合を形成するために酸をアミンにライゲーションし得、および/またはホスホロアミデート結合を形成するためにホスフェートとアミンをライゲーションし得る。
いくつかの態様において、2つのRTLプローブ(左手(LHS)および右手(RHS))を接触させ、分析物(例えば、標的mRNA)とハイブリダイズさせる。リガーゼ(例えば、Rnl2)を使用した2つのRTLプローブのライゲーション後、RNAse Hを使用して標的RNAを酵素的に消化し得る。いくつかの態様において、RTLプローブは、セクションIVに記載されるインサイチュアッセイの前またはその間に提供される。いくつかの態様において、透過処理工程を実施することができ、RTLプローブを放出させ、空間的アレイ上に捕捉することができる。いくつかの局面において、RTLプローブの捕捉配列は捕捉プローブにハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション後、RTLプローブを3’末端において伸長させ、空間的バーコード配列も有するRTLプローブを作製する。増幅および配列決定は、(例えば、空間的バーコード配列を使用して)RTLプローブ配列およびその位置を同定する。
B. 捕捉剤(例えば、捕捉プローブ)
本明細書の捕捉プローブまたは捕捉剤は、生物学的試料中の関心対象の分析物(例えば、第2の標的核酸)を(直接的にまたは間接的に)捕捉および/または標識することができる任意の分子を含むことができる。いくつかの態様において、捕捉プローブは核酸またはポリペプチドである。いくつかの態様において、捕捉プローブはコンジュゲート(例えば、オリゴヌクレオチド-抗体コンジュゲート)である。いくつかの態様において、捕捉プローブはバーコード(例えば、空間的バーコードおよび/または一意的分子識別子(UMI))および捕捉ドメインを含む。
いくつかの態様において、生物学的試料中の分析物は、捕捉プローブとの相互作用の前に前処理することができる。例えば、捕捉プローブとの相互作用の前に、ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素)によって触媒される重合反応が生物学的試料中で行われる。いくつかの態様において、重合反応のためのプライマーは、捕捉プローブとのハイブリダイゼーションを増強する官能基を含む。捕捉プローブは、関心対象の生物学的分析物を捕捉するための適切な捕捉ドメイン(例えば、ポリ(A)mRNAを捕捉するためのポリ(dT)配列)を含むことができる。
いくつかの態様において、逆転写酵素(RT)によって触媒される反応は、インサイチュアッセイモジュールのための生物学的試料中の第1の核酸標的への1つ以上の核酸プローブのハイブリダイゼーション中に起こる。いくつかの態様において、RT反応は、生物学的試料中の1つ以上のRNA分析物を、インサイチュアッセイモジュールおよび/または空間的アッセイモジュールのためのDNAに変換する。いくつかの態様において、1つ以上の核酸プローブは、別のプローブとまたはそれ自体にライゲーションされたプローブを含む。例えば、パドロックプローブは、RNAを鋳型とするおよび/またはDNAを鋳型とするライゲーションを用いてライゲーションされる。
いくつかの態様において、逆転写酵素(RT)によって触媒される反応は、核酸プローブの別のプローブとのまたはそれ自体へのライゲーション後に起こり、核酸プローブは、インサイチュアッセイモジュールのための生物学的試料中の第1の核酸標的にハイブリダイズする。いくつかの態様において、RT反応は、生物学的試料中の1つ以上のRNA分析物を、インサイチュアッセイモジュールおよび/または空間的アッセイモジュールのためのDNAに変換する。
いくつかの態様において、生物学的分析物は、次世代シーケンシングを介したライブラリー生成のために前処理される。例えば、分析物は、修飾(例えば、捕捉プローブとの相互作用を可能にする配列のライゲーション)を加えることによって前処理することができる。いくつかの態様において、分析物(例えば、DNAまたはRNA)は、断片化技術を使用して(例えば、トランスポザーゼおよび/または断片化緩衝液を使用して)断片化される。
断片化の後には、分析物の修飾を行うことができる。例えば、修飾は、捕捉プローブとのハイブリダイゼーションを可能にするアダプタ配列のライゲーションを通じた付加であり得る。いくつかの態様において、関心対象の分析物がRNAである場合、ポリ(A)テーリングが行われる。ポリ(A)テールを含有しないRNAへのポリ(A)テールの付加は、機能的な量のポリ(dT)配列を有する捕捉ドメインを含む捕捉プローブとのハイブリダイゼーションを容易にすることができる。
いくつかの態様において、捕捉プローブとの相互作用の前に、リガーゼによって触媒されるライゲーション反応が生物学的試料において行われる。いくつかの態様において、ライゲーションは化学的ライゲーションによって実施することができる。いくつかの態様において、ライゲーションは、さらに以下のようにクリックケミストリーを使用して実施することができる。いくつかの態様において、捕捉ドメインは、RNA分子に対して相補性を有するDNA配列を含み、RNA分子は第2のDNA配列に対して相補性を有し、RNA-DNA配列相補性は、第2のDNA配列を捕捉ドメイン内のDNA配列にライゲーションするために使用される。これらの態様において、RNA分子の直接的な検出が可能である。
いくつかの態様において、捕捉プローブとの相互作用の前に、生物学的試料中で標的特異的反応が行われる。標的特異的反応の例としては、限定されないが、標的特異的アダプタ、プローブおよび/または他のオリゴヌクレオチドのライゲーション、1つ以上の分析物に特異的なプライマーを使用した標的特異的増幅、ならびにインサイチュハイブリダイゼーション、DNA顕微鏡法および/または抗体検出を使用した標的特異的検出が挙げられる。いくつかの態様において、捕捉プローブは、標的特異的産物(例えば、増幅またはライゲーション)を標的とするようにされた捕捉ドメインを含む。
図12は、本明細書に記載されるように、捕捉プローブの一例を示す概略図である。図示されるように、捕捉プローブ1202は、任意で、ジスルフィドリンカーなどの切断ドメイン1203によって構造体1201に結合される。捕捉プローブは、シーケンサー特異的フローセル付着配列、例えばP5配列を含むことができる機能的配列1204、ならびに配列決定プライマー配列、例えばR1プライマー結合部位を含むことができる機能的配列1206などの、後続の処理に有用な機能的配列を含むことができる。いくつかの態様において、配列1204はP7配列を含み、配列1206はR2プライマー結合部位を含む。標的分析物をバーコード付加する際に使用するために、空間的バーコード1205を捕捉プローブ内に含めることができる。機能的配列は、一般に、様々な異なる配列決定システムのいずれかとの適合性およびそれらの必要性に関して選択することができる。適切な機能的配列を使用することができるそのような配列決定システムおよび技術の例には、Roche 454配列決定、Ion Torrent ProtonまたはPGM配列決定、Illumina X10配列決定、PacBio SMRT配列決定、Oxford Nanopore配列決定、およびCMOSベースの検出器(Complementary Metal Oxide Semiconductor)に基づく配列決定が含まれる(但し、これらに限定されない)。さらに、いくつかの態様においては、機能的配列は、非市販の配列決定システム、例えば合成による配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、ライゲーションによる配列決定および/または結合による配列決定に基づくシステムを含む他の配列決定システムとの適合性に関して選択することができる。
いくつかの態様において、空間的バーコード1205、機能的配列1204(例えば、フローセル付着配列)および1206(例えば、配列決定プライマー配列)は、所与の構造体に付着されたプローブのすべてに共通であり得る。空間的バーコードはまた、標的分析物の捕捉を容易にするための捕捉ドメイン1207を含むことができる。
いくつかの態様において、捕捉プローブは、1つ以上の切断可能な捕捉プローブを含み得、切断された捕捉プローブは、透過処理されていない細胞の中に入り、試料内の標的分析物に結合することができる。捕捉プローブは、切断ドメイン、細胞透過性ペプチド、レポーター分子およびジスルフィド結合(-S-S-)を含有し得る。いくつかの事例では、捕捉プローブは、空間的バーコードおよび捕捉ドメインも含み得る。
i. 捕捉ドメイン
いくつかの態様において、各捕捉剤(例えば、捕捉プローブ)は、所望の分析物に特異的に結合するオリゴヌクレオチド、ポリペプチド、小分子、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る少なくとも1つの捕捉ドメインを含む。いくつかの態様において、核酸分子などの所望の分析物を捕捉または検出するために、捕捉ドメインを使用することができる。
いくつかの態様において、捕捉ドメインは、1つ以上の異なる種類の核酸(例えば、RNA分子およびDNA分子)などの1つ以上の分析物と相互作用するように構成された機能的核酸配列を含む。いくつかの態様において、機能的核酸配列は、RNAおよび/またはDNA分子を含む複数の核酸分子と相互作用するように構成されたNマー配列(例えば、ランダムなNマー配列)を含むことができる。いくつかの態様において、機能的配列はポリ(T)配列を含むことができ、ポリ(T)配列は、mRNA転写物のポリ(A)テールを介してメッセンジャーRNA(mRNA)分子と相互作用するように構成されている。いくつかの態様において、機能的核酸配列は、タンパク質(例えば、転写因子、DNA結合タンパク質またはRNA結合タンパク質)の結合標的を含み、関心対象の分析物はタンパク質を含む。いくつかの態様において、タンパク質分析物などの非核酸分析物は、捕捉剤の捕捉ドメインと相互作用することができる核酸分子に直接的にまたは間接的にコンジュゲートされる。
捕捉プローブは、リボヌクレオチドおよび/またはデオキシリボヌクレオチド、ならびにワトソン-クリック型または類似の塩基対相互作用に関与することができる合成ヌクレオチド残基を含むことができる。いくつかの態様において、捕捉ドメインは逆転写反応を開始して、捕捉されたRNA分子に対して相補的なcDNAを生成することができる。いくつかの態様において、捕捉プローブの捕捉ドメインは、DNA伸長(ポリメラーゼ)反応を開始して、捕捉されたDNA分子に相補的なDNAを生成することができる。いくつかの態様において、捕捉ドメインは、捕捉されたDNA分子と、基材上に直接的にまたは間接的に固定化された表面プローブとの間でのライゲーション反応の鋳型になることができる。いくつかの態様において、捕捉ドメインは、捕捉されたDNA分子の1つの鎖にライゲーションされることができる。例えば、一本鎖DNAまたはRNAを捕捉ドメインにライゲーションするために、SplintRリガーゼをRNAまたはDNA配列(例えば、縮重RNA)とともに使用することができる。いくつかの態様において、一本鎖DNAまたはRNAを捕捉ドメインにライゲーションするために、RNAを鋳型とするリガーゼ活性を有するリガーゼ、例えばSplintRリガーゼ、T4 RNAリガーゼ2またはKODリガーゼを使用することができる。いくつかの態様において、捕捉ドメインは、スプリントオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、捕捉ドメインは、スプリントオリゴヌクレオチドを捕捉する。
いくつかの態様において、捕捉ドメインは、捕捉プローブの3’末端に位置し、例えば鋳型依存性重合によって伸長されて本明細書に記載される伸長された捕捉プローブを形成することができる遊離3’末端を含む。いくつかの態様において、捕捉ドメインは、アレイと接触された組織試料の細胞中に存在する核酸、例えばRNAまたは他の分析物にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、捕捉ドメインは、標的核酸に選択的にまたは特異的に結合するように選択または設計することができる。例えば、捕捉ドメインは、mRNAポリ(A)テールへのハイブリダイゼーションによってmRNAを捕捉するように選択または設計することができる。したがって、いくつかの態様において、捕捉ドメインは、ポリ(T)DNAオリゴヌクレオチド、すなわち、mRNAのポリ(A)テールにハイブリダイズすることができるホスホジエステル結合によって連結された一連の連続するデオキシチミジン残基を含む。いくつかの態様において、捕捉ドメインは、ポリ(T)テールに機能的にまたは構造的に類似しているヌクレオチドを含むことができる。例えば、ポリ(U)オリゴヌクレオチドまたはデオキシチミジン類似体の含まれるオリゴヌクレオチド。いくつかの態様において、捕捉ドメインは、少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、捕捉ドメインは、少なくとも25、30または35ヌクレオチドを含む。
いくつかの態様において、捕捉ドメインの全部または一部を形成するために、ランダム配列、例えばランダム六量体または類似の配列を使用することができる。例えば、ポリ(T)(またはポリ(T)類似体)配列と併せてランダム配列を使用することができる。したがって、捕捉ドメインがポリ(T)(または「ポリ(T)様」)オリゴヌクレオチドを含む場合、捕捉ドメインはランダムオリゴヌクレオチド配列(例えば、「ポリ(T)-ランダム配列」プローブ)も含むことができる。ランダムオリゴヌクレオチド配列は、例えば、ポリ(T)配列の5’または3’、例えば捕捉ドメインの3’末端に位置することができる。ポリ(T)-ランダム配列プローブは、mRNAポリ(A)テールの捕捉を促進することができる。いくつかの態様において、捕捉ドメインは完全にランダムな配列であり得る。いくつかの態様において、縮重捕捉ドメインを使用することができる。
いくつかの態様において、2つ以上の捕捉プローブのプールは、1つ以上の捕捉プローブの捕捉ドメインがポリ(T)配列を含み、1つ以上の捕捉プローブの捕捉ドメインがランダム配列を含む混合物を形成する。いくつかの態様において、2つ以上の捕捉プローブのプールは、1つ以上の捕捉プローブの捕捉ドメインがポリ(T)様配列を含み、1つ以上の捕捉プローブの捕捉ドメインがランダム配列を含む混合物を形成する。いくつかの態様において、2つ以上の捕捉プローブのプールは、1つ以上の捕捉プローブの捕捉ドメインがポリ(T)-ランダム配列を含み、1つ以上の捕捉プローブの捕捉ドメインがランダム配列を含む混合物を形成する。いくつかの態様において、本明細書に列挙した前述の組み合わせのいずれかに、縮重捕捉ドメインを有するプローブを追加することができる。いくつかの態様において、本明細書に記載される各対中のプローブの1つを、縮重捕捉ドメインを有するプローブに置き換えることができる。
捕捉ドメインは、捕捉するように設計されている特定の遺伝子配列または特定のモチーフ配列または共通/保存配列に基づくことができる(すなわち、配列特異的捕捉ドメイン)。したがって、いくつかの態様において、捕捉ドメインは、核酸の所望のサブタイプまたはサブセット、例えばmRNA、rRNA、tRNA、SRP RNA、tmRNA、snRNA、snoRNA、SmY RNA、scaRNA、gRNA、RNase P、RNase MRP、TERC、SL RNA、aRNA、cis-NAT、crRNA、lncRNA、miRNA、piRNA、siRNA、shRNA、tasiRNA、rasiRNA、7SK、eRNA、ncRNAまたは他の種類のRNAなどの特定の種類のRNAに選択的に結合することができる。非限定的な例において、捕捉ドメインは、リボ核酸の所望のサブセット、例えば16S rRNAなどのマイクロバイオームRNAに選択的に結合することができる。
いくつかの態様において、捕捉ドメインは、捕捉ドメインが意図される生物学的分析物にハイブリダイズすることを確実にするように設計されたヌクレオチドの配列である「アンカー」または「アンカリング配列」を含む。いくつかの態様において、アンカー配列は、1マー、2マー、3マーまたはそれより長い配列を含むヌクレオチドの配列を含む。いくつかの態様において、短い配列はランダムである。例えば、ポリ(T)配列を含む捕捉ドメインは、mRNAを捕捉するように設計することができる。このような態様において、アンカリング配列は、ポリ(T)捕捉ドメインがmRNAに確実にハイブリダイズするのを補助するランダムな3マー(例えば、GGG)を含むことができる。いくつかの態様において、アンカリング配列は、VN、NまたはNNであり得る。あるいは、この配列は、ヌクレオチドの特異的な配列を使用して設計することができる。いくつかの態様において、アンカー配列は、捕捉ドメインの3’末端に存在する。いくつかの態様において、アンカー配列は、捕捉ドメインの5’末端に存在する。
いくつかの態様において、捕捉プローブの捕捉ドメインは、生物学的試料をアレイと接触させる前にブロックされ、生物学的試料中の核酸がアレイ上でのその捕捉より前に修飾される場合には、ブロッキングプローブが使用される。いくつかの態様において、ブロッキングプローブは、捕捉ドメインの遊離3’末端をブロックまたは修飾するために使用される。いくつかの態様において、捕捉ドメインの遊離3’末端をマスクするために捕捉プローブにブロッキングプローブをハイブリダイズさせることができる(例えば、ヘアピンプローブまたは部分的二本鎖プローブ)。いくつかの態様において、捕捉ドメインの遊離3’末端は、捕捉プローブが遊離3’末端を含まないように、化学修飾、例えば、化学的に可逆的なキャッピング部分としてのアジドメチル基の付加によってブロックすることができる。生物学的試料をアレイと接触させる前に、特に捕捉ドメインの遊離3’末端において捕捉プローブをブロッキングまたは修飾することにより、捕捉プローブの修飾が防止される、例えば、捕捉プローブの遊離3’末端へのポリ(A)テールの付加が防止される。
3’修飾の非限定的な例としては、ジデオキシC-3’(3’-ddC)、3’逆位dT、3’C3スペーサー、3’アミノおよび3’リン酸化が挙げられる。いくつかの態様において、生物学的試料中の核酸は、捕捉ドメインによって捕捉されることができるように修飾することができる。例えば、(捕捉プローブの捕捉ドメインに結合することができる結合ドメインを含む)アダプタ配列を核酸、例えば断片化されたゲノムDNAの末端に付加することができる。いくつかの態様において、これは、アダプタ配列のライゲーションまたは核酸の伸長によって達成される。いくつかの態様において、核酸配列の末端に追加のヌクレオチド、例えばポリ(A)テールを組み込むために酵素が使用される。いくつかの態様において、捕捉プローブは、捕捉プローブの捕捉ドメインが遊離3’末端を含まないように可逆的にマスクまたは修飾することができる。いくつかの態様においては、捕捉ドメインが生物学的試料の核酸を修飾するために使用される過程、例えばライゲーションまたは伸長に対して感受性でないように、3’末端は除去され、修飾され、または接近不可能にされる。
いくつかの態様において、捕捉プローブの捕捉ドメインは、生物学的試料の核酸分子の修飾中に起こる捕捉プローブの任意の修飾の除去を可能にするように修飾される。いくつかの態様において、捕捉プローブは、捕捉ドメインの下流に、すなわち捕捉ドメインの3’、すなわちブロッキングドメインに追加の配列を含むことができる。
いくつかの態様において、捕捉プローブの捕捉ドメインは、非核酸ドメインであり得る。排他的に核酸をベースとしない適切な捕捉ドメインの例には、タンパク質、ペプチド、アプタマー、抗原、抗体、および本明細書に記載される捕捉ドメインのいずれかの機能性を模倣する分子類似体が含まれるが、これらに限定されない。
ii. 切断ドメイン
各捕捉プローブは、任意で、少なくとも1つの切断ドメインを含むことができる。切断ドメインは、以下にさらに記載されるように、プローブをアレイ構造体に可逆的に付着させるために使用されるプローブの部分を表す。さらに、捕捉プローブの1つ以上のセグメントまたは領域は、任意で、切断ドメインの切断によってアレイ構造体から放出されることができる。一例として、空間的バーコードおよび/またはユニバーサル分子識別子(UMI)は、切断ドメインの切断によって放出されることができる。
いくつかの態様において、捕捉プローブを構造体に連結する切断ドメインは、ジスルフィド結合である。ジスルフィド結合を切断するために還元剤を添加し、構造体から捕捉プローブを放出させることができる。別の例として、加熱も、切断ドメインの分解および付着された捕捉プローブのアレイ構造体からの放出をもたらすことができる。いくつかの態様において、特定の位置で捕捉プローブの切断ドメインを加熱および分解するために、レーザー放射が使用される。いくつかの態様において、切断ドメインは、感光性化学結合(すなわち、紫外光などの光にさらされると解離する化学結合)である。
切断ドメインの他の例としては、エステル結合(例えば、酸、塩基またはヒドロキシルアミンで切断可能)、隣接ジオール結合(例えば、過ヨウ素酸ナトリウムを介して切断可能)、ディールス・アルダー結合(例えば、熱を介して切断可能)、スルホン結合(例えば、塩基を介して切断可能)、シリルエーテル結合(例えば、酸を介して切断可能)、グリコシド結合(例えば、アミラーゼを介して切断可能)、ペプチド結合(例えば、プロテアーゼを介して切断可能)またはホスホジエステル結合(例えば、ヌクレアーゼ(例えば、DNAアーゼ)を介して切断可能)などの不安定な化学結合が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、切断ドメインは、核酸分子を切断することができる、例えば2つ以上のヌクレオチド間のホスホジエステル結合を切断することができる1つ以上の酵素によって認識される配列を含む。結合は、制限酵素(例えば、制限エンドヌクレアーゼ)などの、他の核酸分子を標的とする酵素を介して切断可能であり得る。例えば、切断ドメインは、制限エンドヌクレアーゼ(制限酵素)認識配列を含むことができる。制限酵素は、制限部位として知られる特異的認識ヌクレオチド配列において二本鎖または一本鎖DNAを切断する。いくつかの態様において、捕捉プローブの他の場所で切断する可能性を低減するために、レアカッティング制限酵素、すなわち長い認識部位(少なくとも8塩基対の長さ)を有する酵素が使用される。
いくつかの態様において、切断ドメインは、商業的にはUSER(商標)酵素として知られるウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)とDNAグリコシラーゼリアーゼエンドヌクレアーゼVIIIの混合物によって切断され得るポリ(U)配列を含む。放出可能な捕捉プローブは、放出されると反応のために利用可能であり得る。したがって、例えば、捕捉プローブを構造体から放出させることによって、活性化可能な捕捉プローブを活性化することができる。
いくつかの態様において、捕捉プローブが、例えば表面プローブを介して間接的に基材に付着されている場合、切断ドメインは1つ以上のミスマッチヌクレオチドを含み、その結果、表面プローブおよび捕捉プローブの相補的部分は100%相補的ではない(例えば、ミスマッチされる塩基対の数は、1つ、2つまたは3つの塩基対であり得る)。このようなミスマッチは、例えば、MutYおよびT7エンドヌクレアーゼI酵素によって認識され、ミスマッチの位置において核酸分子の切断をもたらす。
いくつかの態様において、捕捉プローブが、例えば表面プローブを介して間接的に構造体に付着されている場合、切断ドメインは、ニッカーゼ認識部位または配列を含む。ニッカーゼは、DNA二重鎖の一本鎖のみを切断するエンドヌクレアーゼである。したがって、切断ドメインは、表面プローブまたは捕捉プローブの切断が表面プローブと捕捉プローブの間の二重鎖を不安定化し、それによって構造体から捕捉プローブを放出するように、表面プローブの5’末端(および/または捕捉プローブの5’末端)に近いニッカーゼ認識部位を含むことができる。
ニッカーゼ酵素は、捕捉プローブが構造体に直接付着されているいくつかの態様においても使用することができる。例えば、ニッカーゼ認識部位を提供または再構成するために、基材を、捕捉プローブの切断ドメインにハイブリダイズする核酸分子と接触させることができる(例えば、切断ヘルパープローブ)。したがって、ニッカーゼ酵素との接触は、切断ドメインの切断をもたらし、それによって捕捉プローブを構造体から放出させる。このような切断ヘルパープローブは、他の切断酵素、例えば制限酵素のための切断認識部位を提供または再構成するためにも使用することができる。
いくつかのニッカーゼは、特定のヌクレオチド認識配列に結合し、これを認識することにより、DNA分子上の特定の部位にのみ一本鎖ニックを導入する。多数の天然に存在するニッカーゼが発見されており、現在では、そのうち、少なくとも4つについて配列認識特性が決定されている。ニッカーゼは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる米国特許第6,867,028号に記載されている。一般に、切断ドメインの相補的ニッカーゼ認識部位に結合するために、任意の適切なニッカーゼを使用することができる。使用後には、捕捉プローブの望ましくない切断を防ぐために、捕捉プローブの放出後、ニッカーゼ酵素はアッセイから除去するか、または不活性化することができる。
排他的に核酸をベースとしない適切な捕捉ドメインの例には、タンパク質、ペプチド、アプタマー、抗原、抗体、および本明細書に記載される捕捉ドメインのいずれかの機能性を模倣する分子類似体が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、捕捉プローブには切断ドメインが存在しない。切断ドメインを欠く捕捉プローブが付着した基材の例は、例えば、Macosko et al.,(2015)Cell 161,1202-1214に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、切断ドメインに対応する捕捉プローブの領域は、いくつかの他の機能のために使用することができる。例えば、切断ドメインが通常配置されるであろう場所に、核酸伸長または増幅のためのさらなる領域を含めることができる。このような態様において、この領域は、機能的ドメインを補うことができ、またはさらなる機能的ドメインとして存在することさえできる。いくつかの態様において、切断ドメインは存在するが、その使用は任意である。
iii. 機能的ドメイン
各捕捉プローブは、任意で、少なくとも1つの機能的ドメインを含むことができる。各機能的ドメインは、典型的には、全体的な分析手順における下流の分析工程のための機能的ヌクレオチド配列を含む。
いくつかの事例において、核酸分子は、1つ以上の機能的配列を含むことができる。例えば、機能的配列は、例えば、Illumina(登録商標)配列決定のためのP5配列などの、配列決定フローセルに付着するための配列を含むことができる。いくつかの事例において、核酸分子またはその誘導体(例えば、核酸分子から生成されたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド)は、例えば、Illumina配列決定のための配列決定フローセルに付着するためのP7配列などの、別の機能的配列を含むことができる。いくつかの事例において、機能的配列は、バーコード配列または複数のバーコード配列を含むことができる。いくつかの事例において、機能的配列は、一意的分子識別子(UMI)を含むことができる。いくつかの事例において、機能的配列は、プライマー配列(例えば、Illumina配列決定のためのR1プライマー配列、Illumina配列決定のためのR2プライマー配列など)を含むことができる。いくつかの事例において、機能的配列は、部分的バーコード配列、部分的アンカリング配列、部分的配列決定プライマー配列(例えば、部分的R1配列、部分的R2配列など)、シーケンサーのフローセルに付着するように構成された部分的配列(例えば、部分的P5配列、部分的P7配列など)、または本明細書の他の箇所に記載される配列の任意の他の種類の部分的配列などの部分的配列を含むことができる。部分的配列は、例えば、完全な配列のすべてではないが、連続するまたは連続的な部分またはセグメントを含有し得る。いくつかの事例では、下流の手順は、部分的配列またはその誘導体の完全な配列を達成するために、部分的配列またはその誘導体を伸長させ得る。このような捕捉プローブおよびその使用の例は、米国特許出願公開第2014/0378345号および同第2015/0376609号に記載されており、その各々の全内容は参照により本明細書に組み入れられる。機能的ドメインは、様々な異なる配列決定システム、例えば454 Sequencing、Ion Torrent ProtonもしくはPGM、Illumina X10など、またはIllumina、BGI、Qiagen、Thermo-Fisher、PacBioおよびRocheからの他のプラットフォームとの適合性およびそれらの必要性に関して選択することができる。
iv. 空間的バーコード
上述のように、捕捉プローブは、1つ以上の空間的バーコード(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上の)空間的バーコードを含むことができる。「空間的バーコード」は、空間的情報を伝達するまたは伝達することができる標識または識別子として機能する1つの連続した核酸セグメントまたは2つ以上の不連続な核酸セグメントである。いくつかの態様において、捕捉プローブは、空間的様相(spatial aspect)を有する空間的バーコードを含み、バーコードは、アレイ内の特定の位置または基材上の特定の位置に関連付けられる。例示的な空間的バーコードは、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第10,030,261号に記載されている。
空間的バーコードは、分析物の一部であることができ、または分析物から独立することができる(すなわち、捕捉プローブの一部)。空間的バーコードは、分析物(例えば、核酸分子)に付着されたタグ、または分析物の内因性特性(例えば、分析物または最終配列のサイズ)に加えたタグの組み合わせであり得る。空間的バーコードは、一意的であり得る。空間的バーコードが一意的であるいくつかの態様において、空間的バーコードは、1つの特定の捕捉プローブに関連する、空間的バーコードおよび一意的分子識別子(UMI)の両方として機能する。
空間的バーコードは、様々な異なるフォーマットを有することができる。例えば、空間的バーコードは、ポリヌクレオチド空間的バーコード;ランダム核酸および/またはアミノ酸配列;ならびに合成核酸および/またはアミノ酸配列を含むことができる。いくつかの態様において、空間的バーコードは、可逆的または不可逆的に分析物に付着される。いくつかの態様において、空間的バーコードは、例えば、試料の配列決定の前、その間および/またはその後に、DNAまたはRNA試料の断片に付加される。いくつかの態様において、空間的バーコードは、個々の配列決定読み取りの同定および/または定量化を可能にする。いくつかの態様において、空間的バーコードは、蛍光標識されたオリゴヌクレオチドプローブが空間的バーコードにハイブリダイズする蛍光バーコードとして使用される。
いくつかの態様において、空間的バーコードは、生物学的試料中の分析物核酸分子に実質的にハイブリダイズしない核酸配列である。いくつかの態様において、空間的バーコードは、生物学的試料中の核酸分子のかなりの部分(例えば80%以上)にわたって核酸配列に対して80%未満の配列同一性(例えば、70%未満、60%未満、50%未満または40%未満の配列同一性)を有する。
空間的バーコード配列は、捕捉プローブの配列内に約6~約20個またはそれより多くのヌクレオチドを含むことができる。いくつかの態様において、空間的バーコード配列の長さは、約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20ヌクレオチドまたはそれより長いものであり得る。いくつかの態様において、空間的バーコード配列の長さは、少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20ヌクレオチドまたはそれより長いものであり得る。いくつかの態様において、空間的バーコード配列の長さは、多くとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20ヌクレオチドまたはそれより短いものである。
これらのヌクレオチドは、完全に連続的であり得る、すなわち、隣接するヌクレオチドの一続きであり得るか、または1つ以上のヌクレオチドによって隔てられる2つ以上の別々の部分配列に分離されることができる。分離された空間的バーコード部分配列は、約4~約16ヌクレオチド長であり得る。いくつかの態様において、空間的バーコード部分配列は、約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16ヌクレオチドまたはそれより長いものであり得る。いくつかの態様において、空間的バーコード部分配列は、少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16ヌクレオチドまたはそれより長いものであり得る。いくつかの態様において、空間的バーコード部分配列は、多くとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16ヌクレオチドまたはそれより短いものであり得る。
共通のアレイ構造体に付着された複数の捕捉プローブについては、複数の捕捉プローブの1つ以上の空間的バーコード配列は、構造体に結合されたすべての捕捉プローブについて同一である配列、および/または構造体に結合されたすべての捕捉プローブにわたって異なる配列を含むことができる。いくつかの態様において、共通のアレイ構造体に付着された複数の捕捉プローブは、同一の空間的バーコードを有し得るが、構造体の空間的バーコードを1つより多くの標的分析物と関連付けるように設計された異なる捕捉ドメインを有し得る。例えば、構造体は、2種類、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、9種類、10種類、またはそれより多くの異なる種類の空間的にバーコード付加された捕捉プローブに結合され得、それぞれの種類の空間的にバーコード付加された捕捉プローブは空間的バーコードを有する。いくつかの局面において、捕捉プローブバーコード付加構築物は、核酸を伴い、このような構築物と結合することができる任意の所与の分析物の分析のために調整することができる。いくつかの態様において、分析物は、本明細書に開示される空間的にバーコード付加された捕捉プローブと結合することができる核酸分析物である。いくつかの態様において、分析物は、本明細書に開示される空間的にバーコード付加された捕捉プローブと結合することができる核酸に共有結合的または非共有結合的に連結された非核酸分析物(例えば、タンパク質分析物)である。例えば、本明細書に開示される方法は、DNA、RNA(例えば、mRNAおよび/または非コードRNA)、細胞表面または細胞内タンパク質および代謝産物、バーコード付加された標識剤またはこれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない複数の分析物を同時に分析することを含み得る。
単一のアレイ構造体に付着された捕捉プローブは、同一の(または共通の)空間的バーコード配列、異なる空間的バーコード配列、または両方の組み合わせを含むことができる。構造体に付着された捕捉プローブは、捕捉プローブの複数のセットを含むことができる。所与のセットの捕捉プローブは、同一の空間的バーコード配列を含むことができる。同一の空間的バーコード配列は、別のセットの捕捉プローブの空間的バーコード配列とは異なることができる。
複数の捕捉プローブは、空間的アレイ上の特定の位置に関連付けられた空間的バーコード配列(例えば、核酸バーコード配列)を含むことができる。例えば、第1の領域内の捕捉プローブに共通する空間的バーコード配列に基づいて、第1の複数の捕捉プローブを第1の領域に関連付けることができ、第2の領域内の捕捉プローブに共通する空間的バーコード配列に基づいて、第2の複数の捕捉プローブを第2の領域に関連付けることができる。第2の領域は、第1の領域と関連付けられてもよく、または関連付けられなくてもよい。さらなる複数の捕捉プローブを、他の領域内の捕捉プローブに共通する空間的バーコード配列と関連付けることができる。いくつかの態様において、空間的バーコード配列は、複数の捕捉プローブ分子にわたって同一であり得る。
いくつかの態様において、複数の異なる空間的バーコードが単一のアレイ化された捕捉プローブ中に組み込まれる。例えば、空間的バーコード配列の混合されているが知られたセットは、位置の同一性の重複するまたは独立した確認を提供することによって、所与のスポットまたは位置に対して空間的バーコードのより強固なアドレスまたは帰属を与えることができる。いくつかの態様において、複数の空間的バーコードは、特定のアレイ点の位置の特異性を増加させることに相当する。
v. 一意的分子識別子
捕捉プローブは、1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上)の一意的分子識別子(UMI)を含むことができる。一意的分子識別子は、特定の分析物に対するまたは(例えば、捕捉ドメインを介して)特定の分析物を結合する捕捉プローブに対する標識または識別子として機能する連続する核酸セグメントまたは2つ以上の不連続な核酸セグメントである。
UMIは一意的であり得る。UMIは、1つ以上の特異的ポリヌクレオチド配列、1つ以上のランダム核酸および/もしくはアミノ酸配列、ならびに/または1つ以上の合成核酸および/もしくはアミノ酸配列を含むことができる。
いくつかの態様において、UMIは、生物学的試料中の分析物核酸分子に実質的にハイブリダイズしない核酸配列である。いくつかの態様において、UMIは、生物学的試料中の核酸分子のかなりの部分(例えば80%以上)にわたって核酸配列に対して80%未満の配列同一性(例えば、70%未満、60%未満、50%未満または40%未満の配列同一性)を有する。
UMIは、捕捉プローブの配列内に約6~約20個またはそれより多くのヌクレオチドを含むことができる。いくつかの態様において、UMI配列の長さは、約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20ヌクレオチドまたはそれより長いものであり得る。いくつかの態様において、UMI配列の長さは、少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20ヌクレオチドまたはそれより長いものであり得る。いくつかの態様において、UMI配列の長さは、多くとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20ヌクレオチドまたはそれより短いものである。
これらのヌクレオチドは、完全に連続的であり得る、すなわち、隣接するヌクレオチドの一続きであり得るか、または1つ以上のヌクレオチドによって隔てられる2つ以上の別々の部分配列に分離されることができる。分離されたUMI部分配列は、約4~約16ヌクレオチド長であり得る。いくつかの態様において、UMI部分配列は、約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16ヌクレオチドまたはそれより長いものであり得る。いくつかの態様において、UMI部分配列は、少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16ヌクレオチドまたはそれより長いものであり得る。いくつかの態様において、UMI部分配列は、多くとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16ヌクレオチドまたはそれより短いものであり得る。
いくつかの態様において、UMIは、可逆的または不可逆的に分析物に付着される。いくつかの態様において、UMIは、例えば、分析物の配列決定の前、その間および/またはその後に、DNAまたはRNA試料の断片に付加される。いくつかの態様において、UMIは、個々の配列決定読み取りの同定および/または定量化を可能にする。いくつかの態様において、UMIは、蛍光標識されたオリゴヌクレオチドプローブがUMIにハイブリダイズする蛍光バーコードとして使用される。
vi. 捕捉プローブの他の局面
アレイ構造体に付着された捕捉プローブについては、個々のアレイ構造体は、1つ以上の捕捉プローブを含むことができる。いくつかの態様において、個々のアレイ構造体は、数百または数千の捕捉プローブを含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは特定の個々の構造体と関連付けられ、個々の構造体は、アレイ上の定義された領域または位置に一意的な空間的バーコードを含む捕捉プローブを含有する。
いくつかの態様において、特定の構造体は、1つより多くの空間的バーコードを含む捕捉プローブを含有することができ(例えば、特定の構造体における1つの捕捉プローブは、同じ特定の構造体における別の捕捉プローブ中に含まれる空間的バーコードとは異なる空間的バーコードを含むことができるが、両捕捉プローブは、第2の共通の空間的バーコードを含む)、各空間的バーコードは、アレイ上の特定の定義された領域または位置に対応する。例えば、アレイ上の1つの特定の構造体に関連付けられた複数の空間的バーコード配列は、所与の位置の重複するまたは独立した確認を提供することによって、当該位置に対してより強固なアドレスまたは帰属を与えることができる。いくつかの態様において、複数の空間的バーコードは、特定のアレイ点の位置の特異性を増加させることに相当する。非限定的な例では、特定のアレイ点は2つの異なる空間的バーコードでコードされることができ、各空間的バーコードはアレイ内の特定の定義された領域を特定し、両方の空間的バーコードを有するアレイ点は、例えばベン図の重複する部分など、2つの定義された領域が重複する部分領域を特定する。
別の非限定的な例では、特定のアレイ点は3つの異なる空間的バーコードでコードされることができ、第1の空間的バーコードはアレイ内の第1の領域を特定し、第2の空間的バーコードは第2の領域を特定し、第2の領域は完全に第1の領域内の部分領域であり、第3の空間的バーコードは第3の領域を特定し、第3の領域は完全に第1および第2の部分領域内の部分領域である。
いくつかの態様において、アレイ構造体に付着された捕捉プローブは、配列決定のためにアレイ構造体から放出される。あるいは、いくつかの態様において、捕捉プローブはアレイ構造体に付着されたままであり、プローブはアレイ構造体に取り付けられたまま配列決定される。捕捉プローブの配列決定のさらなる局面は、本開示の後続のセクションに記載されている。
いくつかの態様において、アレイ構造体は、構造体に付着された異なる種類の捕捉プローブを含むことができる。例えば、アレイ構造体は、1つの種類の分析物に結合するように設計された捕捉ドメインを有する第1の種類の捕捉プローブと、第2の種類の分析物に結合するように設計された捕捉ドメインを有する第2の種類の捕捉プローブとを含むことができる。一般に、アレイ構造体は、単一のアレイ構造体に付着された1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、8つ以上、10以上、12以上、15以上、20以上、30以上、50以上)の異なる種類の捕捉プローブを含むことができる。
いくつかの態様において、捕捉プローブは核酸である。いくつかの態様において、捕捉プローブは、その5’末端を介してアレイ構造体に付着される。いくつかの態様において、捕捉プローブは、5’から3’末端に、1つ以上のバーコード(例えば、空間的バーコードおよび/またはUMI)および1つ以上の捕捉ドメインを含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは、5’から3’末端に、1つのバーコード(例えば、空間的バーコードまたはUMI)および1つの捕捉ドメインを含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは、5’から3’末端に、切断ドメイン、機能的ドメイン、1つ以上のバーコード(例えば、空間的バーコードおよび/またはUMI)および捕捉ドメインを含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは、5’から3’末端に、切断ドメイン、機能的ドメイン、1つ以上のバーコード(例えば、空間的バーコードおよび/またはUMI)、第2の機能的ドメインおよび捕捉ドメインを含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは、5’から3’末端に、切断ドメイン、機能的ドメイン、空間的バーコード、UMIおよび捕捉ドメインを含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは空間的バーコードを含まない。いくつかの態様において、捕捉プローブはUMIを含まない。いくつかの態様において、捕捉プローブは配列決定反応を開始させるための配列を含む。
いくつかの態様において、捕捉プローブはその3’末端を介して構造体上に固定化される。いくつかの例では、捕捉プローブは、アダプタ配列-バーコード(例えば、空間的バーコード)-任意の含まれる一意的分子識別子(UMI)配列-捕捉ドメインを含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは、3’から5’末端に、1つ以上のバーコード(例えば、空間的バーコードおよび/またはUMI)および1つ以上の捕捉ドメインを含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは、3’から5’末端に、1つのバーコード(例えば、空間的バーコードまたはUMI)および1つの捕捉ドメインを含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは、3’から5’末端に、切断ドメイン、機能的ドメイン、1つ以上のバーコード(例えば、空間的バーコードおよび/またはUMI)および捕捉ドメインを含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは、3’から5’末端に、切断ドメイン、機能的ドメイン、空間的バーコード、UMIおよび捕捉ドメインを含む。
いくつかの態様において、捕捉プローブは、インサイチュで合成されたオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、インサイチュで合成されたオリゴヌクレオチドは1つ以上の定常配列を含み、定常配列の1つ以上は、プライミング配列(例えば、標的核酸を増幅するためのプライマー)として働く。いくつかの態様において、定常配列は、切断可能な配列である。いくつかの態様において、インサイチュで合成されたオリゴヌクレオチドは、バーコード配列、例えば、可変的バーコード配列を含む。いくつかの態様において、インサイチュで合成されたオリゴヌクレオチドは、アレイの構造体に付着される。
いくつかの態様において、捕捉プローブは、2つ以上のオリゴヌクレオチド配列、例えば、一緒にライゲーションされた2つ以上のオリゴヌクレオチド配列の産物である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド配列の1つは、インサイチュで合成されたオリゴヌクレオチドである。
いくつかの態様において、捕捉プローブは、スプリントオリゴヌクレオチドを含む。スプリントオリゴヌクレオチドおよび当技術分野において公知であるまたは本明細書に記載される任意の様々なリガーゼ(例えば、SplintRリガーゼ)を使用して、2つ以上のオリゴヌクレオチドを一緒にライゲーションすることができる。
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの1つは、定常配列(例えば、スプリントオリゴヌクレオチドの一部に相補的な配列)、縮重配列および捕捉ドメイン(例えば、本明細書に記載されるような)を含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは、オリゴヌクレオチド配列の末端に酵素付加ポリヌクレオチドを有することによって生成される。捕捉プローブは、一意的分子識別子として機能することができる縮重配列を含むことができる。
捕捉プローブは、ヌクレオチド配列のいくつかの位置がいくつかの可能な塩基を含有する配列である縮重配列を含むことができる。縮重配列は、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45もしくは50ヌクレオチドまたは少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45もしくは50ヌクレオチドを含む縮重ヌクレオチド配列であり得る。いくつかの態様において、ヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列内に1、2、3、4、5、6、7、8、9、0、10、15、20、25またはそれより多くの縮重位置を含有する。いくつかの態様において、縮重配列は、UMIとして使用される。
いくつかの態様において、捕捉プローブは、制限エンドヌクレアーゼ認識配列または特異的酵素活性によって切断可能なヌクレオチドの配列を含む。例えば、ウラシル配列は、特異的酵素活性によって切断され得る。別の例として、他の修飾された塩基(例えば、メチル化によって修飾された)は、特異的エンドヌクレアーゼによって認識および切断され得る。捕捉プローブは、ブロッキングドメインおよび修飾過程中に捕捉プローブの3’末端に付加される任意の追加のヌクレオチドを除去する酵素的切断に供することができる。ブロッキングドメインの除去は、捕捉プローブの捕捉ドメインの遊離3’末端を曝露し、および/または回復させる。いくつかの態様において、捕捉プローブの捕捉ドメインの3’末端を曝露するためにおよび/または回復させるために、追加のヌクレオチドを除去することができる。
いくつかの態様において、ブロッキングドメインは、合成されるときに、またはその合成後に捕捉プローブ中に組み込まれることができる。捕捉ドメインの末端ヌクレオチドは可逆的ターミネータヌクレオチド(例えば、3’-O-ブロックされた可逆的ターミネータおよび3’-ブロックされていない可逆的ターミネータ)であり、プローブ合成中またはプローブ合成後に捕捉プローブ中に含めることができる。
vii. 伸長された捕捉プローブ
「伸長された捕捉プローブ」は、拡大された核酸配列を有する捕捉プローブである。例えば、捕捉プローブが核酸を含む場合には、「伸長された3’末端」とは、例えば、ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素)によって触媒される鋳型を使用する重合を含む核酸分子を伸長するために利用される標準的な重合反応によって、捕捉プローブの最も3’側のヌクレオチドにさらなるヌクレオチドが付加されて捕捉プローブの長さを伸長することを示す。
いくつかの態様において、捕捉プローブを伸長させることは、捕捉された(ハイブリダイズした)RNAからcDNAを生成することを含む。この過程は、ハイブリダイズした核酸の相補鎖の合成、例えば、捕捉されたRNA鋳型(捕捉プローブの捕捉ドメインにハイブリダイズしたRNA)に基づいてcDNAを生成することを含む。したがって、捕捉プローブを伸長させる最初の工程、例えばcDNA生成において、捕捉された(ハイブリダイズされた)核酸、例えばRNAは、伸長、例えば逆転写工程のための鋳型として作用する。
いくつかの態様において、捕捉プローブは逆転写を使用して伸長される。例えば、逆転写には、逆転写酵素を使用してRNA、例えば(メッセンジャーRNA)からcDNA(相補的またはコピーDNA)を合成することが含まれる。いくつかの態様において、組織がまだ所定の位置にある間に逆転写が実行され、隣接する捕捉プローブからの空間的バーコードを含む分析物ライブラリーを生成する。いくつかの態様において、捕捉プローブは、1つ以上のDNAポリメラーゼを使用して伸長される。
いくつかの態様において、捕捉プローブの捕捉ドメインは、捕捉プローブにハイブリダイズした核酸の相補鎖を生成するためのプライマー、例えばDNAポリメラーゼおよび/または逆転写のためのプライマーを含む。伸長反応によって生成された核酸、例えばDNAおよび/またはcDNA分子は、捕捉プローブの配列を組み込む。捕捉プローブの伸長、例えばDNAポリメラーゼおよび/または逆転写反応は、様々な適切な酵素およびプロトコルを使用して行うことができる。
いくつかの態様において、全長DNA、例えばcDNA分子が生成される。いくつかの態様において、「全長」DNA分子は、捕捉された核酸分子の全体を指す。しかしながら、核酸、例えばRNAが組織試料中で部分的に分解された場合には、捕捉された核酸分子は組織試料中の最初のRNAとは同じ長さではない。いくつかの態様において、伸長されたプローブ、例えば第1鎖cDNA分子の3’末端が修飾される。例えば、リンカーまたはアダプタを伸長されたプローブの3’末端にライゲーションすることができる。これは、T4 RNAリガーゼまたはCircligase(商標)(Epicentre Biotechnologies、Madison、WIから入手可能)などの一本鎖ライゲーション酵素を使用して達成することができる。いくつかの態様において、全長cDNA(または可能な限り全長cDNAに近い)を生成するために、鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドを使用してcDNAを伸長させる。いくつかの態様において、第2鎖合成ヘルパープローブ(伸長された捕捉プローブの3’末端にハイブリダイズすることができる部分的に二本鎖のDNA分子)を、T4 DNAリガーゼなどの二本鎖ライゲーション酵素を使用して伸長されたプローブ、例えば第1鎖cDNA分子の3’末端にライゲーションすることができる。ライゲーション工程に適した他の酵素は当技術分野において公知であり、例えば、Tth DNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼ、サーモコッカス種(9°N株)DNAリガーゼ(9°N(商標)DNAリガーゼ、New England Biolabs)、Ampligase(商標)(Epicentre Biotechnologies、Madison、WIから入手可能)およびSplintR(New England Biolabs、Ipswich、MAから入手可能)。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドテール、例えば、ポリ(A)テールが、伸長されたプローブ分子の3’末端に組み込まれる。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドテールは、末端トランスフェラーゼ活性酵素を使用して組み込まれる。
いくつかの態様において、増幅および/または分析、例えば配列分析の前に任意の伸長されなかった捕捉プローブを除去するために、二本鎖の伸長された捕捉プローブが処理される。これは、様々な方法によって、例えばエキソヌクレアーゼ酵素などの伸長されなかったプローブを分解するための酵素または精製カラムを使用して達成することができる。
いくつかの態様において、例えばDNA配列決定を介する分析に十分な量を得るために、伸長された捕捉プローブは増幅される。いくつかの態様において、伸長された捕捉プローブの第1鎖(例えば、DNAおよび/またはcDNA分子)は、増幅反応(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応)のための鋳型として作用する。
いくつかの態様において、増幅反応は、親和性基を含むプライマーを使用して、伸長された捕捉プローブ(例えば、RNA-cDNAハイブリッド)上に親和性基を組み込む。いくつかの態様において、プライマーは親和性基を含み、伸長された捕捉プローブは該親和性基を含む。該親和性基は、前述の親和性基のいずれにも対応することができる。
いくつかの態様において、親和性基を含む伸長された捕捉プローブは、親和性基に対して特異的なアレイ構造体に結合することができる。いくつかの態様において、基材は、抗体または抗体断片を含むことができる。いくつかの態様において、アレイ構造体はアビジンまたはストレプトアビジンを含み、親和性基はビオチンを含む。いくつかの態様において、アレイ構造体はマルトースを含み、親和性基はマルトース結合タンパク質を含む。いくつかの態様において、アレイ構造体はマルトース結合タンパク質を含み、親和性基はマルトースを含む。いくつかの態様において、伸長されたプローブのコピーがアレイ構造体に付着されない限り、伸長された捕捉プローブを増幅することは、アレイ構造体から伸長されたプローブを放出するように機能することができる。
いくつかの態様において、伸長された捕捉プローブまたはその相補物もしくはアンプリコンは、アレイ構造体から放出される。伸長された捕捉プローブまたはその相補物もしくはアンプリコンをアレイ構造体から放出させる工程は、いくつかの様式で達成することができる。いくつかの態様において、伸長された捕捉プローブまたはその相補物は、核酸切断によっておよび/または変性によって(例えば、二本鎖分子を変性させるために加熱することによって)構造体から放出される。
VI. 標識剤
いくつかの態様において、生物学的分析物(例えば、RNA、DNA、ならびに細胞表面または細胞内タンパク質および/または代謝産物)の空間的プロファイリングのために分析物捕捉剤を使用するための方法、組成物、装置およびキットが本明細書で提供される。いくつかの態様において、分析物捕捉剤(「標識剤」と呼ばれることもある)は、分析物(例えば、試料中の分析物)および捕捉剤(例えば、基材に付着された捕捉プローブ)と相互作用して分析物を特定する作用物質を含み得る。いくつかの態様において、試料は、インサイチュアッセイおよび/または本明細書で提供される空間的アッセイの前、その間、またはその後に、1つ以上の標識剤で収縮(contracted)され得る。いくつかの態様において、方法は、試料を1つ以上の標識剤と接触させた後に、1つ以上の固定後(post-fixing)(固定後(post-fixation)とも呼ばれる)工程を含む。いくつかの態様において、分析物捕捉剤は、分析物結合部分および捕捉剤バーコードドメインを含む。
本明細書に記載される方法およびシステムでは、分析物、細胞および/または細胞構造体を特徴付けるために、1つ以上の構造体に結合するかまたはその他連結することができる1つ以上の標識剤が使用され得る。いくつかの例では、細胞構造体は細胞表面構造体を含む。分析物には、タンパク質、受容体、抗原、表面タンパク質、膜貫通タンパク質、表面抗原分類タンパク質、タンパク質チャネル、タンパク質ポンプ、担体タンパク質、リン脂質、糖タンパク質、糖脂質、細胞間相互作用タンパク質複合体、抗原提示複合体、主要組織適合複合体、操作されたT細胞受容体、T細胞受容体、B細胞受容体、キメラ抗原受容体、ギャップ結合、接着結合、またはこれらの任意の組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。いくつかの例では、細胞構造体は、タンパク質、タンパク質修飾(例えば、リン酸化状態またはその他の翻訳後修飾)、核タンパク質、核膜タンパク質、またはこれらの任意の組み合わせなどの細胞内分析物を含み得る。
標識剤は、タンパク質、ペプチド、抗体(またはそのエピトープ結合断片)、親油性部分(コレステロールなど)、細胞表面受容体結合分子、受容体リガンド、小分子、二重特異性抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー、T細胞受容体エンゲージャー、B細胞受容体エンゲージャー、プロボディ、アプタマー、モノボディ、アフィマー、darpin、およびタンパク質足場、またはこれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。標識剤は、結合基が結合する細胞表面構造体を示すレポーターオリゴヌクレオチドを含むことができる(例えば、レポーターオリゴヌクレオチドに付着される)。例えば、レポーターオリゴヌクレオチドは、標識剤の特定を可能にするバーコード配列を含み得る。例えば、1種類の細胞構造体(例えば、第1の細胞表面構造体)に特異的な標識剤には、第1のレポーターオリゴヌクレオチドが結合していてもよく、異なる細胞構造体(例えば、第2の細胞表面構造体)に特異的な標識剤には、異なるレポーターオリゴヌクレオチドが結合していてもよい。例示的な標識剤、レポーターオリゴヌクレオチド、および使用方法の記述については、例えば、それぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第10,550,429号;米国特許出願公開第20190177800号;および米国特許出願公開第20190367969号を参照されたい。
他の例では、例えば、試料の多重化を容易にするために、特定の細胞構造体に対して特異的な標識剤は、第1のレポーターオリゴヌクレオチドに連結された第1の複数の標識剤(例えば、抗体または親油性部分)および第2のレポーターオリゴヌクレオチドに連結された第2の複数の標識剤を有し得る。
いくつかの局面において、これらのレポーターオリゴヌクレオチドは、レポーターオリゴヌクレオチドが連結されている標識剤の特定を可能にする核酸バーコード配列を含み得る。レポーターとしてのオリゴヌクレオチドの選択は、配列に関して有意な多様性を生じさせることができる一方で、ほとんどの生体分子、例えば抗体などに容易に付着可能であるのみならず、例えば配列決定またはアレイ技術を使用して容易に検出されるという利点を提供し得る。
レポーターオリゴヌクレオチドの標識剤への付着(連結)は、種々の直接的または間接的、共有結合性または非共有結合性の会合または付着のいずれを通じても達成され得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、化学的コンジュゲーション技術(例えば、Innova Biosciencesから入手可能なLightning-Link(登録商標)抗体標識キット)を使用して、ならびに他の非共有結合機構、例えばビオチン化抗体およびアビジンまたはストレプトアビジンリンカーを有するオリゴヌクレオチド(またはオリゴヌクレオチドに連結された1つ以上のビオチン化リンカーを含むビーズ)を使用して、標識剤(このようなタンパク質、例えば抗体または抗体断片)の一部に共有結合され得る。抗体およびオリゴヌクレオチドビオチン化技術が利用可能である。例えば、あらゆる目的のために参照により本明細書に完全に組み入れられるFang et al.,’’Fluoride-Cleavable Biotinylation Phosphoramidite for 5’-end-Labelling and Affinity Purification of Synthetic Oligonucleotides,’’Nucleic Acids Res.Jan.15,2003;31(2):708-715を参照されたい。同様に、タンパク質およびペプチドビオチン化技術が開発されており、容易に利用可能である。例えば、あらゆる目的のために参照により本明細書に完全に組み入れられる米国特許第6,265,552号を参照されたい。さらに、レポーターオリゴヌクレオチドを標識剤に連結させるために、メチルテトラジン-PEG5-NHSエステル反応、TCO-PEG4-NHSエステル反応などのクリック反応化学を使用し得る。レポーターオリゴヌクレオチドを標識剤に適宜連結させるために、ThunderlinkおよびAbcamからのキットなどの市販のキットならびに当技術分野において一般的な技術を使用し得る。別の例では、標識剤は、標識剤を特定するバーコード配列を含むレポーターオリゴヌクレオチドに間接的に(例えば、ハイブリダイゼーションを介して)連結される。例えば、標識剤は、レポーターオリゴヌクレオチドの配列とハイブリダイズする配列を含むハイブリダイゼーションオリゴヌクレオチドに直接連結(例えば、共有結合)され得る。ハイブリダイゼーションオリゴヌクレオチドのレポーターオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションは、標識剤をレポーターオリゴヌクレオチドに連結する。いくつかの態様において、レポーターオリゴヌクレオチドは、刺激の適用時などに標識剤から放出可能である。例えば、レポーターオリゴヌクレオチドは、本明細書の他の箇所の支持体から分子を放出させるために一般的に記載されるように、不安定な結合(例えば、化学的に不安定、感光性、熱的に不安定など)を介して標識剤に付着され得る。いくつかの例では、本明細書に記載されるレポーターオリゴヌクレオチドは、アダプタ配列、一意的分子識別子(UMI)配列、シーケンサー特異的フローセル付着配列(P5、P7または部分的P5もしくはP7配列など)、プライマーまたはプライマー結合配列、配列決定プライマーまたはプライマー結合配列(R1、R2または部分的R1もしくはR2配列など)などの、後続の処理において使用することができる1つ以上の機能的配列を含み得る。
いくつかの事例において、標識剤はレポーターオリゴヌクレオチドおよび標識を含むことができる。標識は、蛍光色素分子、放射性同位体、比色反応が可能な分子、磁性粒子、または検出が可能な任意の他の適切な分子もしくは化合物であり得る。標識は、直接的にまたは間接的に標識剤(またはレポーターオリゴヌクレオチド)にコンジュゲートさせることができる(例えば、標識は、標識剤またはレポーターオリゴヌクレオチドに結合することができる分子にコンジュゲートすることができる)。いくつかの事例において、標識は、レポーターオリゴヌクレオチドの配列に相補的な(例えば、ハイブリダイズする)第1のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされる。
図14は、分析物結合部分1404およびレポーター1408を含む例示的な標識剤(例えば、分析物捕捉剤)1402の概略図である。標識剤1402は、分析物結合部分1404を介して、分析物1406に結合することができる。標識剤(例えば、分析物捕捉剤)はまた、空間的にバーコード付加された捕捉プローブと相互作用することができる。分析物結合部分は、高い親和性および/または高い特異性で分析物1406に結合することができる。レポーター1408は、捕捉剤(例えば、捕捉プローブ)の捕捉ドメインの少なくとも一部または全体にハイブリダイズすることができる核酸(例えば、レポーターオリゴヌクレオチド)を含むことができる。分析物結合部分1404は、ポリペプチドおよび/またはアプタマー(例えば、特定の標的分析物に結合するオリゴヌクレオチドまたはペプチド分子)を含むことができる。分析物結合部分1404は、抗体または抗体断片(例えば、抗原結合断片)を含むことができる。
図15は、分析物結合部分1504およびレポーターオリゴヌクレオチド1508を含む別の例示的な標識剤(例えば、分析物捕捉剤)1502の概略図である。分析物結合部分1504は、分析物1506に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含み得る。分析物を捕捉し得る標識剤(例えば、分析物捕捉剤)はまた、空間的にバーコード付加された捕捉プローブと相互作用することができる。例えば、レポーターオリゴヌクレオチド1508は、1つ以上のバーコードドメイン1510と、捕捉プローブの捕捉ドメインに結合することができる配列1512とを含むことができる。レポーターオリゴヌクレオチド1508は、1つ以上の機能的配列を任意で含むことができる。
図16は、構造体に固定化された捕捉プローブ1624と標識剤(例えば、分析物捕捉剤)1626との間での例示的な相互作用を図示する概略図である。本明細書の他の箇所に記載されているように、構造体に固定化された捕捉プローブ1624は、構造体1602に(任意で、切断可能であり得るリンカー1604を介して)付着されることができ、空間的バーコード1608ならびに1つ以上の機能的配列1606および1610を含むことができる。捕捉プローブはまた、標識剤(例えば、分析物捕捉剤)1626に結合することができる捕捉ドメイン1612を含むことができる。標識剤(例えば、分析物捕捉剤)1626は、1つ以上の機能的配列1618と、1つ以上の捕捉剤バーコードドメイン1616と、捕捉プローブ1624の捕捉ドメイン1612に結合することができる分析物捕捉配列1614とを含むことができる。標識剤(例えば、分析物捕捉剤)はまた、捕捉剤バーコードドメイン1616が分析物結合部分1622に連結することを可能にするリンカー1620を含むことができる。一緒になって、構造体に固定化された捕捉プローブ1624および標識剤(例えば、分析物捕捉剤)1626は、捕捉プローブに放出可能に連結された標識剤(例えば、分析物捕捉剤)を含む捕捉剤を形成する。いくつかの例では、図14のレポーター1408および/または図15のレポーターオリゴヌクレオチドは、分析物捕捉配列1614、1つ以上の捕捉剤バーコードドメイン1616および1つ以上の機能的配列1618を含む。
いくつかの態様において、分析物結合部分は、分析物(例えば、生物学的分析物、例えば、高分子成分)に結合することができる任意の分子または部分を含み得る。本明細書に記載される任意の空間的プロファイリング方法のいくつかの態様において、生物学的分析物に結合する分析物捕捉剤の分析物結合部分は、抗体もしくはそのエピトープ結合断片、細胞表面受容体結合分子、受容体リガンド、小分子、二重特異性抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー、T細胞受容体エンゲージャー、B細胞受容体エンゲージャー、プロボディ、アプタマー、モノボディ、アフィマー、darpin、およびタンパク質足場、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。分析物結合部分は、高分子成分(例えば、分析物)に高い親和性および/または高い特異性で結合することができる。分析物結合部分は、分析物結合部分の少なくとも一部または全体に対応することができるヌクレオチド配列(例えば、オリゴヌクレオチド)を含むことができる。分析物結合部分は、ポリペプチドおよび/またはアプタマー(例えば、特定の標的分子、例えば分析物に結合するポリペプチドおよび/またはアプタマー)を含むことができる。分析物結合部分は、特定の分析物(例えば、ポリペプチド)に結合する抗体または抗体断片(例えば、抗原結合断片)を含むことができる。
いくつかの態様において、分析物捕捉剤は、細胞内に存在する分析物に結合することができる。いくつかの態様において、分析物捕捉剤は、受容体、抗原、表面タンパク質、膜貫通タンパク質、表面抗原分類タンパク質、タンパク質チャネル、タンパク質ポンプ、担体タンパク質、リン脂質、糖タンパク質、糖脂質、細胞間相互作用タンパク質複合体、抗原提示複合体、主要組織適合複合体、操作されたT細胞受容体、T細胞受容体、B細胞受容体、キメラ抗原受容体、細胞外マトリックスタンパク質、細胞表面タンパク質の翻訳後修飾(例えば、リン酸化、グリコシル化、ユビキチン化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化または脂質化)状態、ギャップ結合および接着結合を含むことができるが、これらに限定されない細胞表面分析物に結合することができる。いくつかの態様において、分析物捕捉剤は、翻訳後修飾された細胞表面分析物に結合することができる。このような態様において、分析物捕捉剤は、細胞表面分析物プロファイルが1つ以上の分析物の翻訳後修飾情報を含むことができるように、翻訳後修飾(例えば、リン酸化、グリコシル化、ユビキチン化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化または脂質化)の所与の状態に基づいて細胞表面分析物に対して特異的であり得る。
いくつかの態様において、分析物捕捉剤は、分析物結合部分にコンジュゲートまたはその他付着された捕捉剤バーコードドメインを含む。いくつかの態様において、捕捉剤バーコードドメインは、分析物結合部分に共有結合的に連結している。いくつかの態様において、捕捉剤バーコードドメインは核酸配列である。いくつかの態様において、捕捉剤バーコードドメインは、分析物結合部分バーコードおよび分析物捕捉配列を含む。
本明細書で使用される場合、「分析物結合部分バーコード」という用語は、分析物結合部分と関連付けられた、またはその他分析物結合部分を特定するバーコードを指す。いくつかの態様において、その関連付けられた分析物結合部分バーコードを特定することによって分析物結合部分を特定することによって、分析物結合部分が結合する分析物も特定することができる。分析物結合部分バーコードは、所与の長さの核酸配列および/または分析物結合部分に関連付けられた配列であり得る。分析物結合部分バーコードは、一般に、本明細書に記載されるバーコードの様々な局面のいずれをも含むことができる。例えば、ある種類の分析物に対して特異的な分析物捕捉剤は、これに(例えば、第1の分析物結合部分バーコードを含む)第1の捕捉剤バーコードドメインを連結させることができるのに対して、異なる分析物に対して特異的である分析物捕捉剤は、これに(例えば、第2のバーコード分析物結合部分バーコードを含む)異なる捕捉剤バーコードドメインを連結させることができる。いくつかの局面において、このような捕捉剤バーコードドメインは、捕捉剤バーコードドメインが連結されている分析物結合部分の特定を可能にする分析物結合部分バーコードを含むことができる。捕捉剤バーコードドメインの選択は、配列に関して著しい多様性を可能にすることができ、さらに大部分の分析物結合部分(例えば、抗体)に容易に付着可能であるのみならず、(例えば、配列決定またはアレイ技術を使用して)容易に検出される。いくつかの態様において、分析物捕捉剤は、捕捉剤バーコードドメインが付着された分析物結合部分を含むことができる。例えば、分析物捕捉剤は、第1の分析物結合部分バーコードを含む捕捉剤バーコードドメインと会合した第1の分析物結合部分(例えば、分析物、例えば第1の細胞表面構造体に結合する抗体)を含むことができる。
いくつかの態様において、分析物捕捉剤の捕捉剤バーコードドメインは、分析物捕捉配列を含む。本明細書で使用される場合、「分析物捕捉配列」という用語は、捕捉プローブの捕捉ドメインにハイブリダイズする、結合する、連結する、またはその他相互作用するように構成された領域または部分を指す。いくつかの態様において、分析物捕捉配列が捕捉プローブの捕捉ドメインにハイブリダイズするように、分析物捕捉配列は、捕捉プローブの捕捉ドメインに相補的なまたは実質的に相補的な核酸配列を含む。いくつかの態様において、分析物捕捉配列は、ポリ(T)核酸配列を含む捕捉ドメインにハイブリダイズするポリ(A)核酸配列を含む。いくつかの態様において、分析物捕捉配列は、ポリ(A)核酸配列を含む捕捉ドメインにハイブリダイズするポリ(T)核酸配列を含む。いくつかの態様において、分析物捕捉配列は、分析物捕捉領域の非ホモポリマー核酸配列に相補的(または実質的に相補的)である非ホモポリマー核酸配列を含む捕捉ドメインにハイブリダイズする非ホモポリマー核酸配列を含む。
分析物捕捉剤を使用する本明細書に記載される任意の空間的分析方法のいくつかの態様において、捕捉剤バーコードドメインは、分析物結合部分に直接連結されることができるか、またはビーズ、分子格子、例えば、直鎖、球状、架橋された、もしくはその他のポリマー、または分析物結合部分と付着されたもしくはその他会合されたその他のフレームワークに付着されることができ、これにより、単一の分析物結合部分への複数の捕捉剤バーコードドメインの付着が可能になる。捕捉剤バーコードドメインの分析物結合部分への付着(連結)は、様々な直接的または間接的な、共有結合性または非共有結合性の会合または付着のいずれかを通じて達成することができる。例えば、抗体または抗原結合断片を含む分析物結合部分に連結された捕捉剤バーコードドメインの場合には、このような捕捉剤バーコードドメインは、化学的コンジュゲーション技術(例えば、Innova Biosciencesから入手可能なLightning-Link(登録商標)抗体標識キット)を使用して抗体または抗原結合断片の一部に共有結合することができる。いくつかの態様において、捕捉剤バーコードドメインは、非共有結合性付着機構を使用して(例えば、ビオチン化抗体と、アビジンまたはストレプトアビジンリンカーを有するオリゴヌクレオチドに連結された、1つ以上のビオチン化リンカーを含むオリゴヌクレオチドまたはビーズとを使用して)抗体または抗原結合断片に連結することができる。抗体およびオリゴヌクレオチドビオチン化技術を使用することができ、例えば、Fang et al.,Nucleic Acids Res.(2003),31(2):708-715に記載されており、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる。同様に、タンパク質およびペプチドビオチン化技術が開発されており、使用することができ、例えば米国特許第6,265,552号に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み入れられる。さらに、捕捉剤バーコードドメインを分析物結合部分に連結するために、メチルテトラジン-PEG5-NHSエステル反応、TCO-PEG4-NHSエステル反応などのクリック反応化学を使用することができる。分析物結合部分上の反応性部分はまた、アルデヒドを標的とするためのアミン、マレイミドを標的とするためのアミン(例えば、遊離チオール)、クリック化学化合物(例えば、アルキン)を標的とするためのアジド、ストレプトアビジンを標的とするためのビオチン、続いて活性エステルを標的とするEDCを標的するためのホスフェート(例えば、NH2)を含むことができる。分析物結合部分上の反応性部分は、分析物結合部分上の反応性部分に結合する化学化合物または基であり得る。分析物結合部分を捕捉剤バーコードドメインにコンジュゲートさせるための例示的な戦略には、市販のキット(例えば、Solulink、Thunder link)の使用、ヒンジ領域の穏やかな還元とマレイミド標識の結合、標識されたアミドに対する染色(stain)促進型クリックケミストリー反応(例えば、銅不使用)、ならびに糖鎖の過ヨウ素酸酸化とアミンコンジュゲーションの結合が含まれる。分析物結合部分が抗体である場合には、抗体は、オリゴヌクレオチドのコンジュゲーションの前にまたはそれと同時に修飾することができる。例えば、抗体は、β-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼの基質許容性変異体であるGalT(Y289L)およびアジド担持ウリジン二リン酸-N-アセチルガラクトサミン類似体であるウリジン二リン酸-GalNAzを用いてグリコシル化することができる。修飾された抗体は、ジベンゾシクロオクチン-PEG4-NHS基を有するオリゴヌクレオチドにコンジュゲートさせることができる。いくつかの態様において、分析物結合部分がそれ自体にコンジュゲートするのを防ぐために、ある一定の工程(例えば、COOH活性化(例えば、EDC)およびホモ二官能性架橋剤)を回避することができる。本明細書に記載される任意の空間的プロファイリング方法のいくつかの態様において、分析物捕捉剤(例えば、オリゴヌクレオチドに連結された分析物結合部分)は、例えば(例えば、トランスフェクタミン、カチオン性ポリマー、リン酸カルシウムまたは電気穿孔を使用する)形質移入によって、(例えば、バクテリオファージまたは組換えウイルスベクターを使用する)形質導入によって、機械的送達(例えば、磁気ビーズ)によって、脂質(例えば、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC))によって、または輸送体タンパク質によって細胞中に送達することができる。エキソソームを使用して、分析物捕捉剤を細胞中に送達することができる。例えば、分析物捕捉剤を含むエキソソームを放出する第1の細胞を生成することができる。分析物捕捉剤は、エキソソーム膜に付着させることができる。分析物捕捉剤は、エキソソームのサイトゾル内に含有され得る。放出されたエキソソームを採集し、第2の細胞に提供することができ、それにより、分析物捕捉剤を第2の細胞中に送達する。分析物捕捉剤は、細胞中への送達前、送達中または送達後にエキソソーム膜から放出可能であり得る。いくつかの態様において、分析物捕捉剤が細胞内細胞成分(限定されないが、細胞内タンパク質、代謝産物および核膜タンパク質など)と連結することを可能にするために、細胞は透過処理される。細胞内送達後、本明細書に記載される細胞内成分を分析するために、分析物捕捉剤を使用することができる。
本明細書に記載される任意の空間的プロファイリング方法のいくつかの態様において、分析物捕捉剤に連結された捕捉剤バーコードドメインは、分析物捕捉剤に連結された捕捉剤バーコードドメインをポリメラーゼによって伸長できないようにする修飾を含むことができる。いくつかの態様において、プライマー伸長反応のために捕捉プローブの捕捉ドメインまたは試料中の核酸に結合すると、捕捉剤バーコードドメインはプライマーではなく鋳型として働くことができる。捕捉剤バーコードドメインがバーコード(例えば、分析物結合部分バーコード)も含む場合、そのような設計は、捕捉剤バーコードドメインとバーコード付加されていない試料核酸との間での親和性を増加させることによって分子バーコード付加の効率を増大させ、アダプタアーチファクトの潜在的形成を排除することができる。いくつかの態様において、捕捉剤バーコードドメインは、ランダムなNマー配列をポリメラーゼによって伸長できないようにする修飾でキャップされているランダムなNマー配列を含むことができる。いくつかの事例において、ランダムなNマー配列の組成は、遊離のバーコード付加されていないssDNA分子への結合効率を最大化するように設計することができる。設計は、より高いGC含有量を有するランダム配列組成、特定の位置に固定されたGまたはCを有する部分的ランダム配列、グアノシンの使用、ロックド核酸の使用、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
ポリメラーゼによるプライマー伸長を遮断するための修飾は、異なる長さの炭素スペーサー基またはジデオキシヌクレオチドであり得る。いくつかの態様において、修飾は、脱プリンもしくは脱ピリミジン構造を有する脱塩基部位、塩基類似体、またはホスフェート骨格の類似体、例えば、アミド結合によって連結されたN-(2-アミノエチル)-グリシンの骨格、テトラヒドロフランまたは1’,2’-ジデオキシリボースであり得る。修飾はまた、ウラシル塩基、2’OMe修飾されたRNA、C3-18スペーサー(例えば、3~18個の連続する炭素原子を有する構造、例えば、C3スペーサー)、エチレングリコール多量体スペーサー(例えば、スペーサー18(ヘキサエチレングリコールスペーサー)、ビオチン、ジ-デオキシヌクレオチド三リン酸、エチレングリコール、アミンまたはホスフェートであり得る。
本明細書に記載される任意の空間的プロファイリング方法のいくつかの態様において、分析物結合部分に連結された捕捉剤バーコードドメインは、切断可能なドメインを含む。例えば、分析物捕捉剤が分析物(例えば、細胞表面分析物)に結合した後、捕捉剤バーコードドメインを切断し、本明細書に記載される方法による下流分析のために収集することができる。いくつかの態様において、捕捉剤バーコードドメインの切断可能なドメインは、この種がビーズから放出することを可能にするU切除要素を含む。いくつかの態様において、U切除要素は、少なくとも1つのウラシルを含有する一本鎖DNA(ssDNA)配列を含むことができる。この種は、ssDNA配列を介してビーズに付着させることができる。この種は、(例えば、ウラシルを除去するための)ウラシル-DNAグリコシラーゼと(例えば、ssDNA切断を誘導するための)エンドヌクレアーゼの組み合わせによって放出させることができる。エンドヌクレアーゼが切断から5’リン酸基を生成する場合、例えば、追加の配列決定ハンドル要素、例えばIllumina完全P5配列、部分的P5配列、完全R1配列および/または部分的R1配列のライゲーションの前に、リン酸基を除去するために下流処理において追加の酵素処理を含めることができる。
いくつかの態様において、分析物捕捉剤の分析物結合部分は、1つ以上の抗体またはその抗原結合断片を含む。分析物結合部分を含む抗体または抗原結合断片は、標的分析物に特異的に結合することができる。いくつかの態様において、分析物はタンパク質(例えば、生物学的試料(例えば、細胞)の表面上のタンパク質または細胞内タンパク質)である。いくつかの態様において、複数の分析物結合部分を含む複数の分析物捕捉剤は、生物学的試料中に存在する複数の分析物を結合する。いくつかの態様において、複数の分析物は、単一種の分析物(例えば、単一種のポリペプチド)を含む。複数の分析物が単一種の分析物を含むいくつかの態様において、複数の分析物捕捉剤の分析物結合部分は同一である。複数の分析物が単一種の分析物を含むいくつかの態様において、複数の分析物捕捉剤の分析物結合部分は異なる(例えば、複数の分析物捕捉剤のメンバーは、2つ以上の種の分析物結合部分を有することができ、2つ以上の種の分析物結合部分の各々は、例えば異なる結合部位で、単一種の分析物を結合する)。いくつかの態様において、複数の分析物は、複数の異なる種の分析物(例えば、複数の異なる種のポリペプチド)を含む。
いくつかの態様において、生物学的試料からの複数の異なる種の分析物(例えば、ポリペプチド)を、その後、生物学的試料の1つ以上の物理的特性に関連付けることができる。例えば、複数の異なる種の分析物は、生物学的試料中の分析物の位置と関連付けることができる。このような情報(例えば、分析物結合部分がポリペプチドを認識する場合のプロテオミクス情報)は、他の空間的情報(例えば、DNA配列情報、トランスクリプトーム情報(すなわち、転写物の配列)またはその両方などの、生物学的試料からの遺伝情報)と関連して使用することができる。例えば、細胞の細胞表面タンパク質は、細胞の1つ以上の物理的特性(例えば、細胞の形状、サイズ、活性または種類)に関連付けることができる。1つ以上の物理的特性は、細胞を画像化することによって特徴付けることができる。細胞は、細胞表面タンパク質に結合する分析物結合部分と、その分析物結合部分を特定する分析物結合部分バーコードとを含む分析物捕捉剤によって結合されることができ、細胞は空間的分析(例えば、本明細書に記載される様々な空間的分析方法のいずれか)に供することができる。例えば、細胞表面タンパク質に結合された分析物捕捉剤は、捕捉プローブ(例えば、アレイ上の捕捉プローブ)に結合することができ、この捕捉プローブは、分析物捕捉剤の捕捉剤バーコードドメイン上に存在する分析物捕捉配列と相互作用する捕捉ドメインを含む。捕捉ドメインの3’末端をプライミング部位として使用して、捕捉剤バーコードドメイン(分析物結合部分バーコードを含む)の全部または一部をポリメラーゼで複製することができ、捕捉プローブの全部または一部(捕捉プローブ上に存在する空間的バーコードを含む)および分析物結合部分バーコードのコピーを含む伸長された捕捉プローブを生成する。いくつかの態様において、伸長された捕捉プローブを有する空間アレイを試料と接触させることができ、空間的アレイと結合された分析物捕捉剤は標的分析物を捕捉する。次いで、捕捉プローブの空間的バーコードおよび分析物結合部分バーコードを含む伸長された捕捉プローブを含有する分析物捕捉剤を、空間的アレイの捕捉プローブから変性させることができる。これにより、空間的アレイを再利用することが可能となる。試料を非凝集細胞(例えば、単一の細胞)に解離させ、本明細書に記載される単一細胞/液滴法によって分析することができる。伸長された捕捉プローブは、捕捉プローブの空間的バーコードが分析物捕捉剤の分析物結合部分バーコードに関連付けられている核酸配列を得るために配列決定することができる。したがって、伸長された捕捉プローブの核酸配列は、分析物(例えば、細胞表面タンパク質)に関連付けることができ、次いで細胞の1つ以上の物理的特性(例えば、形状または細胞型)に関連付けることができる。いくつかの態様において、伸長された捕捉プローブの核酸配列は、近くの細胞の細胞内分析物と関連付けることができ、細胞内分析物は、本明細書に記載される細胞透過処理または分析物移動技術のいずれかを使用して放出された。
本明細書に記載される任意の空間的プロファイリング方法のいくつかの態様において、いずれの分析物捕捉剤が分析物に結合したかを特定するために、次いで、分析物捕捉剤から放出された捕捉剤バーコードドメインを配列分析に供することができる。空間的アレイ上の構造体(例えば、特定の位置にある構造体)に関連付けられた捕捉剤バーコードドメインおよび分析物結合部分バーコード配列の存在に基づいて、生物学的試料に対して分析物プロファイルを作製することができる。個々の細胞または細胞の集団のプロファイルを他の細胞、例えば「正常な」細胞からのプロファイルと比較することができ、分析物中の変動を特定し、これにより診断に関連する情報を提供することができる。いくつかの態様において、これらのプロファイルは、癌および他の障害などの、細胞表面受容体における変動を特徴とする様々な障害の診断において有用であり得る。
VII. 基材およびアレイ
いくつかの態様において、本明細書の基材(例えば、本明細書の第1の基材および/または第2の基材)は、水性液体中に不溶性であり、支持体上に生物学的試料、分析物、構造体および/または試薬(例えば、捕捉プローブなどのプローブ)を配置することを可能にする任意の支持体であり得る。いくつかの態様において、生物学的試料を基材に付着させることができる。生物学的試料の付着は、試料の性質および分析方法におけるその後の工程に応じて、不可逆的または可逆的であり得る。ある一定の態様において、適切なポリマーコーティングを基材に適用し、試料をポリマーコーティングに接触させることによって、試料を基材に可逆的に付着させることができる。次いで、例えば、ポリマーコーティングを少なくとも部分的に溶解する有機溶媒を使用して、試料を基材から分離することができる。ヒドロゲルは、この目的に適したポリマーの例である。
いくつかの態様において、基材への試料の付着を容易にするために、基材を1つ以上の物質でコーティングまたは官能化することができる。基材をコーティングまたは官能化するために使用することができる適切な物質には、レクチン、ポリリジン、抗体および多糖類が含まれるが、これらに限定されない。
一般に、基材は、アレイの構造体に捕捉プローブを直接的にまたは間接的に付着させるための支持体として機能する。さらに、いくつかの態様において、生物学的試料、特に例えば薄い組織切片への支持を与えるために、基材(例えば、同一の基材または異なる基材)を使用することができる。したがって、「基材」は、水性液体中に不溶性であり、基材上に生物学的試料、分析物、構造体および/または捕捉プローブを配置することを可能にする支持体である。
多種多様な異なる基材を前述の目的のために使用することができる。一般に、基材は、任意の適切な支持材料であり得る。例示的な基材には、ガラス、改質および/または官能化されたガラス、ヒドロゲル、フィルム、膜、プラスチック(例えば、アクリル、ポリスチレン、スチレンと他の材料とのコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、テフロン(商標)、環状オレフィン、ポリイミドなどを含む)、ナイロン、セラミック、樹脂、Zeonor、ケイ素および改質ケイ素を含むシリカまたはシリカベースの材料、炭素、金属、無機ガラス、光ファイバ束、ならびにポリスチレン、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリカーボネートなどのポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
基材はフローセルに対応することもできる。フローセルは、前述の材料のいずれかで形成されることができ、試薬、溶媒、構造体および分子がセルを通過することを可能にするチャネルを含むことができる。
上述の基材材料の例の中で、ポリスチレンは、通常、親水性基をほとんど含有しないので、負に帯電した高分子を結合するのに適した疎水性材料である。スライドガラス上に固定化された核酸の場合、ガラス表面の疎水性を増加させることにより、核酸固定化を増加させることができる。このような強化は、比較的より密に充填された形成を可能にする(例えば、改善された特異性および分解能を与える)ことができる。
いくつかの態様において、基材は、ポリ(L)-リジンなどの表面処理でコーティングされる。これに加えてまたはこれに代えて、基材は、シラン化によって、例えばエポキシ-シラン、アミノ-シランで、および/またはポリアクリルアミドでの処理によって処理することができる。
基材は、一般に、任意の適切な形態またはフォーマットを有することができる。例えば、基材は、平坦であり得、湾曲し得、例えば、生物学的試料、例えば組織試料と基材の間での相互作用が生じる領域に向かって凸状または凹状に湾曲することができる。いくつかの態様において、基材は、平坦である、例えば平面、チップまたはスライドである。基材は、基材内に1つ以上のパターン化された表面を含有することができる(例えば、チャネル、ウェル、突起、***、窪みなど)。
基材は、任意の所望の形状とすることができる。例えば、基材は、典型的には、薄く平坦な形状(例えば、正方形または長方形)であり得る。いくつかの態様において、基材構造は、(例えば、安全性または堅牢性を増大させるために)丸みを帯びた角を有する。いくつかの態様において、基材構造は、(例えば、スライドクランプまたはクロステーブルとともに使用するために)1つ以上の切断された角を有する。いくつかの態様において、基材構造が平坦である場合、基材構造は、平坦な表面を有する任意の適切な種類の支持体(例えば、チップまたは顕微鏡スライドなどのスライド)とすることができる。
基材は、任意で、突起、***およびチャネルなどの、但しこれらに限定されない様々な構造を含むことができる。基材は、側方拡散を制限するために(例えば、空間的バーコードの重複を防止するために)微細パターンを形成することができる。このような構造で修飾された基材は、個々の部位での分析物、構造体またはプローブの会合を可能にするように修飾することができる。例えば、基材が様々な構造で修飾されている部位は、他の部位と連続することができ、または非連続であることができる。
いくつかの態様において、基材の表面は、単一の構造体を有するかまたは収容することしかできない離散した部位が形成されるように修飾することができる。いくつかの態様において、構造体がランダムな部位に付着するように、基材の表面を修飾することができる。
いくつかの態様において、基材の表面は、(限定されないが)スタンピング技術、マイクロエッチング技術および成形技術などの技術を使用して、1つ以上のウェルを含有するように修飾される。基材が1つ以上のウェルを含むいくつかの態様において、基板は凹面スライドまたは窪み付きスライドであり得る。例えば、ウェルは、基材の表面上の1つ以上の浅い凹部によって形成されることができる。いくつかの態様において、基材が1つ以上のウェルを含む場合、ウェルは、基材構造の表面にカセット(例えば、1つ以上のチャンバを含有するカセット)を取り付けることによって形成されることができる。
いくつかの態様において、基材の構造(例えば、ウェル)は、それぞれ異なる捕捉プローブを有することができる。各構造に付着された異なる捕捉プローブは、基材の表面中または表面上の構造の位置に従って特定することができる。例示的な基材は、例えば、構造体を収容するウェルを有する構造など、別個の構造が基材上に位置するアレイを含む。
いくつかの態様において、基材は、例えば、空間的情報を関心対象の分析物の特性決定と相関させるための手引きを提供するために、基材の表面上に1つ以上の印を含む。例えば、基材は、(例えば、拡大下で見られる物体のサイズを容易に推定できるようにするために、および/または物体を計数するための基準領域を提供するために)線の格子でマークすることができる。いくつかの態様において、基準マーカーを基材上に含めることができる。このような印は、印刷、サンドブラストおよび表面上への堆積を含むがこれらに限定されない技術を使用して作ることができる。
ウェル、突起、***または印を含むがこれらに限定されない1つ以上の構造を含有するように基材が修飾されているいくつかの態様において、構造は、物理的に変化された部位を含むことができる。例えば、様々な構造で修飾された基材は、物理的形態、磁気力または圧縮力、化学的に官能化された部位、化学的に変化された部位、および/または静電的に変化された部位を含むがこれらに限定されない物理的特性を含むことができる。
ウェル、突起、***または印を含むがこれらに限定されない様々な構造を含有するように基材が修飾されているいくつかの態様において、構造はパターンで適用される。あるいは、構造はランダムに分布することができる。
いくつかの態様において、構造体内または構造体間での非特異的分析物ハイブリダイゼーションを最小化または低減するために、基材が処理される。例えば、処理は、非特異的ハイブリダイゼーションに対する物理的障壁を作り出すヒドロゲル、フィルムおよび/または膜で基材をコーティングすることを含むことができる。任意の適切なヒドロゲルを使用することができる。例えば、米国特許第6,391,937号、同第9,512,422号および同第9,889,422号、ならびに米国特許出願公開第2017/0253918号および同第2018/0052081号に記載される方法に従って調製されたヒドロゲルマトリックスを使用することができる。上記文献の各々の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
処理は、反応性であるか、または刺激を受けた後に官能基が反応性(例えば、光反応性)になるように活性化されることができる官能基を付加することを含むことができる。処理は、(例えば、ある一定の位置で基材を活性化して、それらの位置での分析物のハイブリダイゼーションを可能にする)非特異的結合を最小限に抑える1つ以上の物理的特性(例えば、機械的、電気的、磁気的、および/または熱的)を有するポリマーで処理することを含むことができる。
基材(例えば、アレイ上の構造体)は、数十~数十万または数百万の個々のオリゴヌクレオチド分子(例えば、少なくとも約1万、5万、10万、50万、100万、1000万、1億、10億または100億個のオリゴヌクレオチド分子)を含むことができる。
いくつかの態様において、基材の表面は、生細胞の接着を可能にするために細胞許容性コーティングでコーティングされる。「細胞許容性コーティング」は、細胞が基材上での細胞生存率を維持する(例えば、生存した状態を保つ)ことを可能にする、または補助するコーティングである。例えば、細胞許容性コーティングは、細胞付着、細胞増殖および/または細胞分化を増強することができ、例えば、細胞許容性コーティングは、生細胞に栄養素を提供することができる。細胞許容性コーティングは、生物学的材料および/または合成材料を含むことができる。細胞許容性コーティングの非限定的な例には、1つ以上の細胞外マトリックス(ECM)成分(例えば、プロテオグリカンならびにコラーゲン、エラスチン、フィブロネクチンおよびラミニンなどの繊維状タンパク質)、ポリリジン、ポリ(L)-オルニチン、および/または生体適合性シリコーン(例えば、CYTOSOFT(登録商標))を備えるコーティングが含まれる。例えば、1つ以上の細胞外マトリックス成分を含む細胞許容性コーティングは、I型コラーゲン、II型コラーゲン、IV型コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ラミニンおよび/またはビトロネクチンを含むことができる。いくつかの態様において、細胞許容性コーティングは、Engelbreth-Holm-Swarm(EHS)マウス肉腫(例えば、MATRIGEL(登録商標))から抽出された可溶化された基底膜調製物を含む。いくつかの態様において、細胞許容性コーティングはコラーゲンを含む。空間的にバーコード付加されたアレイ上で接着性細胞を培養するために、または空間的にバーコード付加されたアレイと接触している間に組織試料もしくは切片の細胞生存率を維持するために、細胞許容性コーティングを使用することができる。
A. インサイチュアッセイモジュール用の基材
いくつかの態様において、生物学的試料は、本明細書中に開示される統合型アッセイの1つ以上のインサイチュアッセイモジュールのための第1の基材上に提供される。いくつかの態様において、第1の基材上の生物学的試料は、1つ以上のインサイチュアッセイモジュールのための1つ以上の核酸プローブと接触させられる。1つ以上の核酸プローブは、生物学的試料中の第1の標的核酸またはその相補物もしくは増幅産物に直接的にまたは間接的にハイブリダイズし得る。いくつかの態様において、第1の基材は、その上に固定化された複数の捕捉剤を含み、捕捉剤は、第2の標的核酸またはその相補物もしくはその増幅産物を直接的にまたは間接的に捕捉することができる。
基材が試料および試料の処理、インサイチュ試薬および反応、ならびにインサイチュシグナル検出(例えば、蛍光顕微鏡法などの光学的画像化)に適合する限り、多種多様な異なる基材をインサイチュアッセイモジュールに対して使用することができる。基材は、任意の適切な支持材料とすることができ、一般的には透明である。例えば、カバーガラス等のスライドガラスが使用され得る。第1の基材は、ガラス、改質および/または官能化ガラス、ヒドロゲル、フィルム、膜、プラスチック、ナイロン、セラミック、樹脂、Zeonor、ケイ素および改質ケイ素を含むシリカまたはシリカベースの材料、炭素、金属、無機ガラス、光ファイバ束、ならびにポリスチレン、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリカーボネートなどのポリマーを含むことができるが、これらに限定されない。第1の基材はまた、フローセルに対応することができる。
いくつかの態様において、第1の基材は、約0.01mm~約5mm、例えば、約0.05mm~約3mm、約0.1mm~約2.5mm、約0.2mm~約2mm、約0.5mm~約1.5mmまたは約1mmの厚さである。いくつかの態様において、第1の基材は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9もしくは2.0mmまたは約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9もしくは約2.0mmの厚さ、または上述の値のいずれかの間の厚さである。
B. 空間的アッセイモジュール用の基材
いくつかの態様において、第1の基材および第2の基材は同一である。いくつかの態様において、1つ以上のインサイチュアッセイモジュールおよび本明細書に開示される1つ以上の空間的アッセイモジュールのために同一の基材を使用することができる。例えば、生物学的試料は、インサイチュアッセイモジュールの前に基材に付着され、例えば同一の基材によって提供される捕捉剤による分析物の捕捉など、インサイチュ画像化および空間的分析の間、同一の基材に付着されたままである。いくつかの態様において、同一の基材は、その上に固定化された複数の捕捉剤を含む。いくつかの態様において、複数の捕捉剤は、インサイチュアッセイおよび空間的アッセイの間、基材上に固定化されたままであり、生物学的試料中の分子は、捕捉剤が分子を捕捉するために、基材に向けて放出され、送達され、および/または送られる。いくつかの態様において、複数の捕捉剤は、インサイチュアッセイの間、基材上に固定化されたままであるが、空間的アッセイのために、生物学的試料ならびに/または生物学的試料中および/もしくは生物学的試料上の分子に向けて放出され、送達され、および/または送られる。
いくつかの態様において、第1の基材および第2の基材は異なる。いくつかの態様において、第1の基材および第2の基材は別個の基材である。例えば、インサイチュアッセイのために試料が付着された第1の基材は、第1の基材上に固定化された複数の捕捉剤を含まなくてもよい。代わりに、捕捉剤は1つ以上の第2の基材上に提供され、1つ以上の第2の基材はインサイチュアッセイモジュールの間またはその後に生物学的試料に提供される。例えば、第1の基材、生物学的試料および第2の基材は、試料と基材の間での分子的相互作用および/または材料の移動を容易にするためにサンドイッチを形成し得る。いくつかの態様において、複数の捕捉剤は、空間的アッセイの間、第2の基材上に固定化されたままであり、生物学的試料中の分子は、捕捉剤が分子を捕捉するために、第2の基材に向けて放出され、送達され、および/または送られる。いくつかの態様において、複数の捕捉剤は、第2の基材から放出される。いくつかの態様において、第2の基材からの複数の捕捉剤は、生物学的試料ならびに/または生物学的試料中および/もしくは生物学的試料上の分子に向けて送達され、および/または送られる。
いくつかの態様において、複数の捕捉剤を含む第2の基材は、第1の基材上の試料のインサイチュ画像化後に試料に提供される。複数の捕捉剤は、第2の基材から放出され、第1の基材上の生物学的試料ならびに/またはその中のおよび/もしくはその上の分子に向けて送達され、および/または送られ得、分子相互作用(例えば、分析物捕捉)および空間的アッセイモジュールの後続の工程(例えば、捕捉されたmRNA分子の逆転写)は、第1の基材上で実行される。
さらに他の態様において、インサイチュアッセイモジュールの後、生物学的試料は、空間的アッセイモジュールのために第2の基材に近接させられる。いくつかの態様において、第1の基材は、生物学的試料から除去されず、試料および基材によって形成されたサンドイッチが空間的アッセイモジュールにおいて使用される。他の態様において、第1の基材は除去され得る。いくつかの態様において、第1の基材上でのインサイチュアッセイモジュールの後、捕捉された分析物を空間的にバーコード付加するために、生物学的試料は、試料中または試料上の分析物を捕捉することができる複数の捕捉剤を含む第2の基材上に移される。基材間での、例えば、通常の顕微鏡スライドから、基材上に固定化された複数の捕捉剤(例えば、捕捉プローブの叢)を含む基材への試料の移動を容易にするために、装置が使用され得る。
先の態様のいずれにおいても、捕捉剤は、生物学的試料が上に存在するのと同じ基材上に提供される必要はない。換言すれば、生物学的試料は、インサイチュ分析のために第1の基材上に存在することができ、インサイチュ分析を経た試料中の分子は、1つ以上の第2の基材と接触させることができ、および/または1つ以上の第2の基材上に移される。複数の第2の基材の場合には、試料は、各第2の基材と逐次に、または2つ以上の第2の基材が試料の部分領域のみをカバーする場合には並行して接触させることができる。第2の基材のレプリカを作製するために、第2の基材の1つ以上を1つ以上の第3の基材と接触させ得る。
基材が試料および試料の処理、空間的アッセイ試薬および反応、ならびに空間的読み取りのための配列決定ライブラリーの調製に適合する限り、多種多様な異なる基材を空間的アッセイモジュールに対して使用することができる。基材は、任意の適切な支持材料であり得る。空間的アッセイモジュール用の基材は、インサイチュアッセイモジュールに対しても使用されなければ、透明であり得るが、透明である必要はない。例えば、カバーガラス等のスライドガラスが使用され得る。空間的アッセイモジュール用の基材(例えば、第1の基材または第2の基材)は、ガラス、改質および/または官能化ガラス、ヒドロゲル、フィルム、膜、プラスチック、ナイロン、セラミック、樹脂、Zeonor、ケイ素および改質ケイ素を含むシリカまたはシリカベースの材料、炭素、金属、無機ガラス、光ファイバ束、ならびにポリスチレン、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリカーボネートなどのポリマーを含むことができるが、これらに限定されない。空間的アッセイモジュール用の基材(例えば、第1または第2の基材)は、フローセルに対応することもできる。
いくつかの態様において、空間的アッセイモジュール用の基材(例えば、第1または第2の基材)は、約0.01mm~約5mm、例えば、約0.05mm~約3mm、約0.1mm~約2.5mm、約0.2mm~約2mm、約0.5mm~約1.5mmまたは約1mmの厚さである。いくつかの態様において、空間的アッセイモジュール用の基材は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9もしくは2.0mmまたは約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9もしくは約2.0mmの厚さ、または上述の値のいずれかの間の厚さである。
本明細書に記載される方法の多くでは、構造体(以下でさらに記載されている)が、基材上に集合的に配置される。「アレイ」は、不規則であるまたは規則的なパターンを形成する複数の構造体の特定の配置である。アレイ内の個々の構造体は、それらの相対的な空間的位置に基づいて互いに異なる。一般に、アレイ内の複数の構造体のうちの少なくとも2つは、別個の捕捉プローブ(例えば、本明細書に記載される捕捉プローブの例のいずれか)を含む。
アレイは、多数の分析物を同時に測定するために使用することができる。いくつかの態様において、少なくとも一部では、アレイを作製するためにオリゴヌクレオチドが使用される。例えば、単一種のオリゴヌクレオチド(例えば、捕捉プローブ)の1つ以上のコピーは、アレイ内の所与の構造体に対応することができ、またはアレイ内の所与の構造体に直接的にもしくは間接的に付着させることができる。いくつかの態様において、アレイ中の所与の構造体は、2つ以上の種のオリゴヌクレオチド(例えば、捕捉プローブ)を含む。いくつかの態様において、アレイ上の所与の構造体に直接的にまたは間接的に付着された2つ以上の種のオリゴヌクレオチド(例えば、捕捉プローブ)は、共通の(例えば、同一の)空間的バーコードを含む。
「構造体」は、試料分析において使用される様々な分子的実体のための支持体または貯蔵所として作用する実体である。構造体の例には、ビーズ、任意の二次元または三次元形状のスポット(例えば、インクジェットスポット、マスクされたスポット、格子上の正方形)、ウェル、およびヒドロゲルパッドが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、構造体は、基材に直接的にまたは間接的に付着されるか、または固定される。いくつかの態様において、構造体は、基材に直接的にまたは間接的に付着または固定されず、代わりに、例えば、囲まれたまたは部分的に囲まれた三次元空間(例えば、ウェルまたは窪み)内に配置される。
上記のものに加えて、本明細書に記載されるアレイを形成するために、多種多様な他の構造体を使用することができる。例えば、いくつかの態様において、アレイを形成するために、基材上にジェット印刷された、スクリーン印刷された、または静電的に堆積されたポリマーおよび/またはバイオポリマーから形成された構造体を使用することができる。バイオポリマーのジェット印刷は、例えば、国際公開第2014/085725号に記載されている。ポリマーのジェット印刷は、例えば、de Gans et al.,Adv Mater.16(3):203-213(2004)に記載されている。ポリマーおよびバイオポリマーの静電的堆積のための方法は、例えば、Hoyer et al.,Anal.Chem.68(21):3840-3844(1996)に記載されている。上記参考文献の各々の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
別の例として、いくつかの態様において、構造体は、金属のマイクロまたはナノ粒子によって形成される。このような粒子を堆積させてアレイを形成するための適切な方法は、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられるLee et al.,Beilstein J.Nanotechnol.8:1049-1055(2017)に記載されている。
さらなる例として、いくつかの態様において、構造体は、基材上に組み立てられた磁性粒子によって形成される。このような粒子の例およびアレイを組み立てるための方法は、Ye et al.,Scientific Reports 6:23145(2016)に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
別の例として、いくつかの態様において、構造体は、1つ以上の光学標識がその中に組み込まれている基材の領域、および/または恒常的な光退色などの過程によって変化を受けた基材の領域に対応する。このように構造体を実装するための適切な基材としては、例えば、多種多様なポリマーが挙げられる。このような構造体を形成するための方法は、例えば、Moshrefzadeh et al.,Appl.Phys.Lett.62:16(1993)に記載されており、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
さらに別の例として、いくつかの態様において、構造体は、アレイを形成するように(例えば、自己集合を介して)組み立てられたコロイド粒子に対応することができる。適切なコロイド粒子は、例えば、Sharma,Resonance 23(3):263-275(2018)に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
さらなる例として、いくつかの態様においては、基材上の単量体溶液のスポットアレイ光重合を介して構造体を形成することができる。特に、比較的小さい(例えば、サブミクロン)寸法の構造体を製造するために、2光子および3光子重合を使用することができる。このようにして基材上に構造体を調製するための適切な方法は、例えば、Nguyen et al.,Materials Today 20(6):314-322(2017)に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの態様において、構造体は、液体透過性である基材に直接的にまたは間接的に付着されるか、または固定される。いくつかの態様において、構造体は、生体適合性である基材に直接的にまたは間接的に付着されるか、または固定される。いくつかの態様において、構造体は、ヒドロゲルである基材に直接的にまたは間接的に付着されるか、または固定される。
図17は、アレイ内のバーコード付加された構造体の例示的な配置を図示する。左から右へ、図17は、(左)6つの空間的にバーコード付加されたアレイを含むスライド、(中央)生物学的試料に関してバーコード付加された構造体の格子を示す、6つの空間的にバーコード付加されたアレイの1つの拡大された概略図、および(右)アレイ内の複数の構造体(ID578、ID579、ID560などと標識されている)の特異的な特定を示す、アレイの一区画の拡大された概略図を示す。
いくつかの態様において、ビーズアレイのビーズ上に構造体を形成することができる。本明細書で使用される場合、「ビーズアレイ」という用語は、アレイ内の構造体として複数のビーズを含むアレイを指す。いくつかの態様において、ビーズは、基材に付着されている。例えば、ビーズは、任意で、顕微鏡スライドなどの基材に、生物学的試料(例えば、細胞を含む組織切片)に近接して付着することができる。ビーズを溶液中に懸濁させ、表面(例えば、膜、組織切片または基材(例えば、顕微鏡スライド))上に堆積させることもできる。基材上または基材内のビーズのアレイの例には、BeadChipアレイ(Illumina Inc.,San Diego,CAから入手可能)、454 LifeSciences(Rocheの子会社、Basel、Switzerland)からの配列決定プラットフォームで使用されるアレイおよびIon Torrent(Life Technologiesの子会社、Carlsbad、CA)からの配列決定プラットフォームで使用されるアレイなどのウェル中に位置するビーズが含まれる。ビーズアレイの例は、例えば、米国特許第6,266,459号;同第6,355,431号;同第6,770,441号;同第6,859,570号;同第6,210,891号;同第6,258,568号;および同第6,274,320号;米国特許出願公開第2009/0026082号;同第2009/0127589号;同第2010/0137143号;および同第2010/0282617号;ならびに国際公開第00/063437号および国際公開第2016/162309号に記載されており、これらの各々の全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
「柔軟なアレイ」は、生物学的試料上に配置された柔軟な基材(例えば、膜またはテープ)に付着された、または包埋された複数の空間的にバーコード付加された構造体を含む。いくつかの態様において、柔軟なアレイは、ヒドロゲルマトリックス内に包埋された複数の空間的にバーコード付加された構造体を含む。このようなアレイを形成するために、マイクロアレイの構造体をヒドロゲル中に複製し、水を除去することによってヒドロゲルのサイズを小さくする。これらの工程は、複数回実行することができる。例えば、いくつかの態様において、高密度の空間的にバーコード付加されたアレイを調製するための方法は、マイクロアレイから第1のヒドロゲル中に複数の構造体を複製することであって、第1のヒドロゲルはマイクロアレイと接触している、複製することと;水を除去することによって、複製された構造体を含む第1のヒドロゲルのサイズを低下させ、複製された構造体を含む第1の収縮したヒドロゲルを形成することと;第1の収縮したヒドロゲル中の構造体を第2のヒドロゲル中に複製することであって、第2のヒドロゲルが第1のヒドロゲルと接触している、複製することと;水を除去することによって、複製された構造体を含む第2のヒドロゲルのサイズを低下させ、複製された構造体を含む第2の収縮したヒドロゲルを形成し、それにより、高密度の空間的にバーコード付加されたアレイを生成することとを含むことができる。その結果、空間的にバーコード付加された構造体を含む高密度の柔軟なアレイが得られる。
いくつかの態様において、空間的にバーコード付加されたビーズを基材(例えば、ヒドロゲル)上に搭載して、高密度の自己集合型ビーズアレイを作製することができる。
柔軟なアレイは、予め平衡化され、機能的濃度で反応緩衝液および酵素と組み合わせることができる(例えば、逆転写ミックス)。いくつかの態様において、柔軟なビーズアレイは、長期間(例えば、数日)保存することができ、または使用準備が整うまで凍結することができる。いくつかの態様において、生物学的試料(例えば、組織切片)の透過処理は、柔軟なアレイとの接触より前に酵素/洗剤を添加して行うことができる。柔軟なアレイは、試料上に直接配置することができ、または(例えば、生物学的試料と柔軟なビーズアレイの間にある介在する層または物質を用いて)生物学的試料と間接的に接触させて配置することができる。いくつかの態様において、柔軟なアレイが試料に適用されると、固体マイクロスフェア、または第1のサイズの円形ビーズおよび第2のサイズの円形ビーズ上で、分析物の逆転写および標的指向型の捕捉を行うことができる。
「マイクロキャピラリアレイ」は、マイクロキャピラリによって区切られたアレイ化された一連の構造体である。「マイクロキャピラリチャネル」は、マイクロキャピラリによって作られた個々の区画である。例えば、マイクロキャピラリチャネルは、アレイ内の1つのマイクロキャピラリチャネル内の流体または他の内容物がアレイ内の隣接するマイクロキャピラリチャネル内の流体または他の内容物から隔てられるように、他のマイクロキャピラリチャネルから流体的に隔離することができる。マイクロキャピラリの密度および順序は、離散した部位の任意の適切な密度または順序であり得る。
いくつかの態様において、充填を容易にする条件を生成するために、マイクロキャピラリアレイは処理される。一例は、親水性表面を生成するためのコロナワンド(BD-20AC、Electro Technic Products)の使用である。いくつかの態様において、構造体(例えば、捕捉プローブが付着されたビーズ)は、アレイ内の構造体の正確な位置が分かるように、マイクロキャピラリアレイ上に搭載される。例えば、空間的バーコードが、バーコード付加された核酸分子のバーコード配列が由来した位置の特定を可能にすることができるように、空間的バーコードを含有する捕捉プローブをマイクロキャピラリチャネル内に配置することができる。
いくつかの態様において、構造体を分布させるためにランダムな分布を使用する場合、マイクロキャピラリごとに単一の構造体を促進する搭載/分布条件を生成するために経験的試験を実行することができる。いくつかの態様において、マイクロキャピラリチャネルごとに単一の構造体(例えば、ビーズ)のみを促進する分布条件を達成することが望ましい場合がある。いくつかの態様において、マイクロキャピラリチャネルを通して複数の構造体を流すことによって、マイクロキャピラリチャネル当たり1つより多くの構造体(例えば、ビーズ)を促進する分布条件を達成することが望ましいことがあり得る。
いくつかの態様において、アレイ内のいくつかまたはすべての構造体は、捕捉プローブを含む。いくつかの態様において、アレイは、基材に直接的にまたは間接的に付着された捕捉プローブを含むことができる。
捕捉プローブは、試料内の標的分析物(例えば、mRNA、DNAまたはタンパク質)に特異的に結合する(例えば、ハイブリダイズする)ことができる捕捉ドメイン(例えば、ヌクレオチド配列)を含む。いくつかの態様において、捕捉プローブの標的への結合(例えば、ハイブリダイゼーション)は、標的中に組み込まれた視覚信号、例えば蛍光色素分子、重金属(例えば、銀イオン)、または化学発光標識の検出によって検出および定量化することができる。いくつかの態様において、視覚信号の強度は、生物学的試料中の各分析物の相対的存在量と相関する。アレイは、数千または数百万(またはそれより多く)の捕捉プローブを含有することができるので、捕捉プローブを有する構造体のアレイは、多くの分析物を並行して調べることができる。
いくつかの態様において、基材は、1つ以上の生物からの分析物を捕捉するように設計された1つ以上の捕捉プローブを含む。非限定的な例では、基材は、1つの生物(例えば、ヒト)からのmRNAを捕捉するように設計された1つ以上の捕捉プローブと、第2の生物(例えば、細菌)からのDNAを捕捉するように設計された1つ以上の捕捉プローブとを含有することができる。
捕捉プローブは、様々な技術を使用して基材または構造体に付着させることができる。いくつかの態様において、捕捉プローブは、アレイ上に固定された構造体に直接付着される。いくつかの態様において、捕捉プローブは化学的固定化によって基材に固定化される。例えば、化学的固定化は、基材上の官能基と捕捉プローブ上の対応する官能性要素との間で起こり得る。捕捉プローブ中の例示的な対応する機能的要素は、捕捉プローブの固有の化学基、例えばヒドロキシル基であり得るか、または機能的要素を捕捉プローブ上に導入することができる。基材上の官能基の例は、アミン基である。いくつかの態様において、固定化されるべき捕捉プローブは、官能性アミン基を含むか、または官能性アミン基を含むように化学的に修飾されている。このような化学修飾のための手段および方法は、当技術分野において周知である。
いくつかの態様において、捕捉プローブは核酸である。いくつかの態様において、捕捉プローブは、その5’末端を介して構造体または基材上に固定化される。いくつかの態様において、捕捉プローブは、その5’末端を介して構造体または基材上に固定化されており、5’から3’末端に、1つ以上のバーコード(例えば、空間的バーコードおよび/またはUMI)および1つ以上の捕捉ドメインを含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは、その5’末端を介して構造体上に固定化されており、5’から3’末端に、1つのバーコード(例えば、空間的バーコードまたはUMI)および1つの捕捉ドメインを含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは、その5’末端を介して構造体または基材上に固定化されており、5’から3’末端に、切断ドメイン、機能的ドメイン、1つ以上のバーコード(例えば、空間的バーコードおよび/またはUMI)および捕捉ドメインを含む。
いくつかの態様において、捕捉プローブは、その5’末端を介して構造体または基材上に固定化されており、5’から3’末端に、切断ドメイン、機能的ドメイン、1つ以上のバーコード(例えば、空間的バーコードおよび/またはUMI)、第2の機能的ドメインおよび捕捉ドメインを含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは、その5’末端を介して構造体または基材上に固定化されており、5’から3’末端に、切断ドメイン、機能的ドメイン、空間的バーコード、UMIおよび捕捉ドメインを含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは、その5’末端を介して構造体または基材上に固定化されており、空間的バーコードを含まない。いくつかの態様において、捕捉プローブは、その5’末端を介して構造体または基材上に固定化されており、UMIを含まない。いくつかの態様において、捕捉プローブは配列決定反応を開始させるための配列を含む。
いくつかの態様において、捕捉プローブは、その3’末端を介して構造体または基材上に固定化される。いくつかの態様において、捕捉プローブは、その3’末端を介して構造体または基材上に固定化されており、3’から5’末端に、1つ以上のバーコード(例えば、空間的バーコードおよび/またはUMI)および1つ以上の捕捉ドメインを含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは、その3’末端を介して構造体または基材上に固定化されており、3’から5’末端に、1つのバーコード(例えば、空間的バーコードまたはUMI)および1つの捕捉ドメインを含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは、その3’末端を介して構造体または基材上に固定化されており、3’から5’末端に、切断ドメイン、機能的ドメイン、1つ以上のバーコード(例えば、空間的バーコードおよび/またはUMI)および捕捉ドメインを含む。いくつかの態様において、捕捉プローブは、その3’末端を介して構造体または基材上に固定化されており、3’から5’末端に、切断ドメイン、機能的ドメイン、空間的バーコード、UMIおよび捕捉ドメインを含む。
固定化されるべき捕捉プローブ内の官能基の局在化は、捕捉プローブの結合挙動および/または配向を制御し、形作るために使用することができ、例えば、官能基は、捕捉プローブの5’もしくは3’末端または捕捉プローブの配列内に配置することができる。いくつかの態様において、捕捉プローブは、基材(例えば、捕捉プローブに付着された支持体、構造体に付着された支持体、または基材に付着された支持体)をさらに含むことができる。固定化されるべき捕捉プローブのための典型的な基材は、そのような捕捉プローブに、例えばアミン官能化された核酸に結合することができる部分を含む。そのような基材の例は、カルボキシ、アルデヒドまたはエポキシ支持体である。
いくつかの態様において、その上に捕捉プローブを固定化することができる基材は、例えば、基材上で利用可能な官能基の活性化によって化学的に活性化することができる。「活性化された基材」という用語は、化学修飾手順によって相互作用性または反応性の化学官能基が確立されるまたは可能にされる材料に関する。例えば、カルボキシル基を含む基材は、使用前に活性化することができる。さらに、ある一定の基材は、捕捉プローブ中に既に存在する特定の部分と反応することができる官能基を含有する。
いくつかの態様において、捕捉プローブを基材に直接連結させるために、共有結合が使用される。いくつかの態様において、捕捉プローブは、捕捉プローブの「第1の」ヌクレオチドを基材から隔てるリンカー、すなわち化学リンカーを介して基材に間接的に連結される。いくつかの態様において、捕捉プローブはアレイに直接結合しないが、例えばそれ自体がアレイに直接的にまたは間接的に結合する分子に結合することによって間接的に相互作用する。いくつかの態様において、捕捉プローブは、(例えば、ポリマーを含む溶液を介して)基材に間接的に付着される。
捕捉プローブが、例えば、捕捉プローブを結合することができる表面プローブへのハイブリダイゼーションを介して間接的にアレイの構造体上に固定化されるいくつかの態様において、捕捉プローブは、表面プローブの5’末端にハイブリダイズすることができる上流配列(核酸、例えば組織試料のRNAにハイブリダイズする配列に対して5’)をさらに含むことができる。単独で、捕捉プローブの捕捉ドメインは、捕捉ドメインオリゴヌクレオチドと見なすことができ、捕捉プローブがアレイ上に間接的に固定化される態様において、捕捉プローブの合成において使用することができる。
いくつかの態様において、基材は、例えば、捕捉プローブの固定化を可能にする反応性基を含む材料での処理によって官能化された不活性材料またはマトリックス(例えば、スライドガラス)から構成される。例えば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる国際公開第2017/019456号を参照されたい。非限定的な例としては、不活性な基材(例えば、スライドガラス;その全内容は参照により本明細書に組み入れられる国際公開第2005/065814号および米国特許出願公開第2008/0280773号を参照されたい。)上に支持されたポリアクリルアミドヒドロゲルが挙げられる。
いくつかの態様において、官能化された生体分子(例えば、捕捉プローブ)は、共有結合法を使用して、官能化された基材上に固定化される。共有結合のための方法としては、例えば、アミンおよび活性化されたカルボン酸エステル(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)の縮合;還元的アミノ化条件下でのアミンおよびアルデヒドの縮合;ならびにディールス・アルダー[4+2]反応、1,3-双極子付加環化反応および[2+2]付加環化反応などの付加環化反応が挙げられる。共有結合のための方法としては、例えば、[3+2]付加環化反応(例えば、ヒュスゲン1,3-双極子付加環化反応および銅(I)触媒されるアジド-アルキン付加環化(CuAAC))を含むクリックケミストリー反応;チオール-エン反応;ディールス・アルダー反応および逆電子要求ディールス・アルダー反応;イソニトリルとテトラジンの[4+1]環化付加;および小炭素環の求核開環(例えば、アミノオリゴヌクレオチドによるエポキシド開環)が挙げられる。共有結合のための方法としては、例えば、マレイミドおよびチオールならびにパラ-ニトロフェニルエステル官能化されたオリゴヌクレオチドおよびポリリジン官能化された基材も挙げられる。共有結合のための方法としては、例えば、ジスルフィド反応;ラジカル反応(例えば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,919,626号を参照);およびヒドラジドで官能化された基材(例えば、ヒドラジド官能基は、基材に直接的にまたは間接的に付着されている)およびアルデヒドで官能化されたオリゴヌクレオチド(例えば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられるYershov et al.(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93,4913-4918を参照)も挙げられる。
いくつかの態様において、官能化された生体分子(例えば、捕捉プローブ)は、光化学的共有結合法を使用して、官能化された基材上に固定化される。光化学的共有結合のための方法としては、例えば、アントラキノンがコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドの固定化(例えば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられるKoch et al.(2000)Bioconjugate Chem.11,474-483参照)が挙げられる。
いくつかの態様において、官能化された生体分子(例えば、捕捉プローブは、非共有結合法を使用して、官能化された基材上に固定化される。非共有結合的付着のための方法としては、例えば、ビオチン官能化されたオリゴヌクレオチドおよびストレプトアビジン処理された基材(例えば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、Holmstrom et al.(1993)Analytical Biochemistry 209,278-283およびGilles et al.(1999)Nature Biotechnology 17,365-370を参照)が挙げられる。
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド(例えば、捕捉プローブ)は、米国特許第6,737,236号、同第7,259,258号、同第7,375,234号、同第7,427,678号、同第5,610,287号、同第5,807,522号、同第5,837,860号および同第5,472,881号;米国特許出願公開第2008/0280773号および同第2011/0059865号;Shalon et al.(1996)Genome Research,639-645;Rogers et al.(1999)Analytical Biochemistry 266,23-30;Stimpson et al.(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92,6379-6383;Beattie et al.(1995)Clin.Chem.45,700-706;Lamture et al.(1994)Nucleic Acids Research 22,2121-2125;Beier et al.(1999)Nucleic Acids Research 27,1970-1977;Joos et al.(1997)Analytical Biochemistry 247,96-101;Nikiforov et al.(1995)Analytical Biochemistry 227,201-209;Timofeev et al.(1996)Nucleic Acids Research 24,3142-3148;Chrisey et al.(1996)Nucleic Acids Research 24,3031-3039;Guo et al.(1994)Nucleic Acids Research 22,5456-5465;Running and Urdea(1990)BioTechniques 8,276-279;Fahy et al.(1993)Nucleic Acids Research 21,1819-1826;Zhang et al.(1991)19,3929-3933;およびRogers et al.(1997)Gene Therapy 4,1387-1392に示される方法に従って、基材または構造体に付着されることができる。上記文献の各々の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
アレイは、様々な方法によって調製することができる。いくつかの態様において、アレイは、アレイ上でのオリゴヌクレオチドの合成(例えば、インサイチュ合成)を通じて、またはジェット印刷もしくはリソグラフィによって調製される。例えば、高密度DNAオリゴヌクレオチドの光誘導合成は、フォトリソグラフィまたは固相DNA合成によって達成することができる。フォトリソグラフィ合成を実施するために、光化学的保護基で修飾された合成リンカーを基材に付着させることができ、(基材の特定の領域に適用される)フォトリソグラフィマスクおよび光を使用して光化学的保護基を修飾することができ、それによって局所化された光脱保護を有するアレイを製造する。これらの方法の多くは当技術分野において公知であり、例えば、Miller et al.,’’Basic concepts of microarrays and potential applications in clinical microbiology.’’ Clinical microbiology reviews 22.4(2009):611-633;米国特許出願公開第201314111482号;米国特許第9593365号;米国特許出願公開第2019203275号;および国際公開第2018091676号に記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、アレイにはオリゴヌクレオチドが「配置され」または「印刷され」、次いで、これらのオリゴヌクレオチド(例えば、捕捉プローブ)は基材に付着される。オリゴヌクレオチドは、非接触印刷または接触印刷のいずれかによって適用することができる。非接触プリンタは、プローブ溶液の小さな液滴を基材上に排出するために、コンピュータプリンタと同じ方法(例えば、バブルジェットまたはインクジェット)を使用することができる。特殊なインクジェット様プリンタは、インクの代わりに、ナノリットル~ピコリットルの体積のオリゴヌクレオチド溶液の液滴を基材上に排出することができる。接触印刷では、各印刷ピンは、表面上の特定の位置上にオリゴヌクレオチド溶液を直接適用する。オリゴヌクレオチドは、DNAのリン酸骨格の負電荷の、基材表面の正に帯電したコーティングとの静電的相互作用によって、またはDNA中のチミジン塩基と処理された基材表面上のアミン基との間のUV架橋された共有結合によって、基材表面に付着させることができる。いくつかの態様において、基材はスライドガラスである。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド(例えば、捕捉プローブ)は、化学マトリックス、例えば、エポキシ-シラン、アミノ-シラン、リジン、ポリアクリルアミドなどへの共有結合によって基材に付着される。
アレイは、インサイチュ合成によって調製することもできる。いくつかの態様において、これらのアレイは、フォトリソグラフィを使用して調製することができる。この方法は、典型的には、多くのスポットについて同時に、スポット当たり一度にヌクレオチド1つずつ、アレイの表面上で直接プローブを選択的に合成するために、基材上でのUVマスキングおよび光誘導コンビナトリアル化学合成を利用する。いくつかの態様において、基材は、光によって除去することができる保護基を遊離端上に有する共有結合性リンカー分子を含有する。UV光は、活性化された部位に付着する入ってくる保護されたヌクレオチドとの連結を開始するヒドロキシル基を有する選択された部位を脱保護および活性化するためにフォトリソグラフィマスクを通して導かれる。マスクは、曝露部位を選択することができるように設計されており、したがって、各ヌクレオチドが結合され得るアレイ上の座標を指定する。この過程を繰り返すことができ、新しいマスクを適用して異なる組の部位を活性化し、異なる塩基を連結させ、各部位で任意のオリゴヌクレオチドを構築することができる。この過程は、数十万個の異なるオリゴヌクレオチドを合成するために使用され得る。いくつかの態様において、マスクなしのアレイ合成器技術を使用することができる。この技術は、UV光の所望のパターンを反射して構造体を脱保護するデジタルマスクを作製するために、プログラム可能なマイクロミラーのアレイを使用する。
いくつかの態様において、インクジェットスポッティング過程は、インサイチュオリゴヌクレオチド合成のために使用することもできる。異なるヌクレオチド前駆体および触媒を基材上に印刷することができ、次いで連結および脱保護工程と組み合わせる。この方法は、アレイ上のオリゴヌクレオチドプローブの長さを伸長する塩基ごとの印刷の繰り返しにおいて、アレイ表面上にピコリットル体積のヌクレオチドを印刷することを利用する。
アレイはまた、核酸輸送を制御するための電場を介した能動的ハイブリダイゼーションによって調製することができる。アレイ上の1つ以上の試験部位に正の電流が印加されると、負に荷電した核酸を特定の部位または構造体に輸送することができる。アレイの表面は、電子的にアドレス指定されたビオチン化プローブがそれらの標的位置に達すると結合(例えば、ストレプトアビジン-ビオチン結合)の形成を可能にする結合分子、例えばストレプトアビジンを含有することができる。次いで、正電流が活性構造体から除去され、正電流の標的指向型の印加によって新しい試験部位を活性化することができる。この過程は、アレイ上のすべての部位が覆われるまで繰り返される。
空間的分析のためのアレイは、本明細書に記載される様々な方法によって生成することができる。いくつかの態様において、アレイは、空間的バーコードを含む複数の捕捉プローブを有する。これらの空間的バーコードおよびアレイ上の位置に対するそれらの関係を決定することができる。いくつかの事例では、オリゴヌクレオチドは所定のパターンでアレイ上に配置され、印刷され、または合成されるので、そのような情報は容易に入手可能である。いくつかの事例では、空間的バーコードは、本明細書に記載される方法によって、例えばインサイチュ配列決定によって、空間的バーコードに関連付けられた様々な標識などによって復号することができる。いくつかの態様において、娘アレイを生成するために、アレイを鋳型として使用することができる。したがって、空間的バーコードは、既知のパターンで娘アレイに転写することができる。
いくつかの態様において、バーコード付加されたプローブを含むアレイは、複数のオリゴヌクレオチドのライゲーションを通じて作製することができる。いくつかの例では、複数のオリゴヌクレオチドはバーコードの一部を含有し、完全なバーコードは複数のオリゴヌクレオチドのライゲーション時に生成される。例えば、(例えば、本明細書に記載される基材にオリゴヌクレオチドを付着させる方法のいずれかを使用して)バーコードの第1の部分を含有する第1のオリゴヌクレオチドを基材に付着させることができ、次いで、完全なバーコードを生成させるために、バーコードの第2の部分を含有する第2のオリゴヌクレオチドを第1のオリゴヌクレオチド上にライゲーションさせることができる。バーコードの多様性を増大させるために、バーコードの第1、第2および任意の追加部分の異なる組み合わせを使用することができる。第2のオリゴヌクレオチドもライゲーション前に基材に付着されている例では、第1および/または第2のオリゴヌクレオチドは、切断部位を含有する表面リンカーを介して基材に付着させることができる。ライゲーションされたら、ライゲーションされたオリゴヌクレオチドは、切断部位で切断することによって直鎖化される。
バーコードの多様性を増大させるために、2つ以上の異なるバーコード配列を含む複数の第2のオリゴヌクレオチドを同じバーコード配列を含む複数の第1のオリゴヌクレオチド上にライゲーションさせることができ、それにより、2つ以上の異なる種のバーコードを生成することができる。選択的ライゲーションを達成するために、バーコードの第1の部分を含有する基材に付着された第1のオリゴヌクレオチドを最初に保護基(例えば、光切断可能な保護基)で保護することができ、第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドの間でのライゲーションの前に保護基を除去することができる。アレイ上のバーコード付加されたプローブが2つ以上のオリゴヌクレオチドのライゲーションを通じて生成される例では、オリゴヌクレオチドの異なる組み合わせが基材上のその位置に応じてバーコード付加されたプローブ中に組み込まれるように、オリゴヌクレオチドの濃度勾配を基材に付与することができる。
アレイ上のバーコード付加されたプローブは、例えば、鋳型非依存的に機能するポリメラーゼを使用して、アレイ上の既存のオリゴヌクレオチドに単一のヌクレオチドを付加することによって生成することもできる。単一のヌクレオチドを濃度勾配の中で既存のオリゴヌクレオチドに付加することができ、それにより、アレイ上のプローブの位置に応じて様々な長さを有するプローブを生成する。
アレイは、既存のアレイを修飾することによって、例えばアレイに付着されたオリゴヌクレオチドを修飾することによって調製することもできる。例えば、3’末端でアレイに付着され、遊離の5’末端を有するオリゴヌクレオチドを含むアレイ上でプローブを生成することができる。オリゴヌクレオチドは、インサイチュ合成されたオリゴヌクレオチドであり得、バーコードを含むことができる。オリゴヌクレオチドの長さは、50ヌクレオチド(nt)未満(例えば、45、40、35、30、25、20、15または10nt未満)であり得る。これらのオリゴヌクレオチドを使用してプローブを作製するために、オリゴヌクレオチドの一部(例えば、オリゴヌクレオチドによって共有される一定の配列)に相補的なプライマーを使用して、オリゴヌクレオチドとハイブリダイズし、(オリゴヌクレオチドを鋳型として使用して)伸長して二本鎖を形成し、3’突出部を作製することができる。したがって、3’突出部は、さらなるヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを二重鎖に付加することを可能にする。捕捉プローブは、例えば、(例えば、スプリントオリゴヌクレオチドによって媒介されるライゲーションを介して)1つ以上のオリゴヌクレオチドを3’突出部の末端に付加することによって生成することができ、付加されたオリゴヌクレオチドは、捕捉ドメインの配列または配列の一部を含むことができる。
既存のアレイ上のオリゴヌクレオチドがスプリントオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができる認識配列を含む例では、スプリントオリゴヌクレオチドを介して既存のオリゴヌクレオチド上に追加のオリゴヌクレオチドを直接ライゲーションすることによってプローブを生成することもできる。認識配列は、既存のアレイ上のオリゴヌクレオチドの遊離5’末端または遊離3’末端に存在することができる。本開示の方法に有用な認識配列は、制限酵素認識部位または二次構造(例えば、ヘアピン)を含有しなくてもよく、高含有量のグアニンおよびシトシンヌクレオチドを含み、したがって高い安定性を有し得る。
ビーズアレイは、規則的なパターンまたは不規則な配置でビーズ(例えば、バーコード付加されたビーズ)を基材に付着させることによって生成することができる。ビーズは、例えば、ビーズの付着を可能にするために基材上の領域を選択的に活性化することによって、基材上の選択的領域に付着させることができる。基材上の選択的領域を活性化することは、基材上に適用されたコーティング(例えば、光切断可能なコーティング)またはポリマーを活性化することを含むことができる。ビーズは反復的に付着させることができ、例えば、ビーズの一部をある時点で付着させることができ、残りのビーズを付着させるために同じ過程を繰り返すことができる。あるいは、1つの工程ですべて、基材にビーズを付着させることができる。
バーコード付加されたビーズ、すなわち、複数のバーコード付加されたプローブを含むビーズは、まず、基材上に複数のバーコード付加されたプローブを調製し、基材上に複数のビーズを堆積させ、基材上のプローブを鋳型として使用してビーズに付着されたプローブを生成することによって生成することができる。
大規模な商業的製造方法は、数百万個のオリゴヌクレオチドをアレイに付着させることを可能にする。市販のアレイには、Roche NimbleGen,Inc.(Wisconsin)およびAffymetrix(ThermoFisher Scientific)からのものが含まれる。
いくつかの態様において、アレイは、国際公開第2012/140224号、国際公開第2014/060483号、国際公開第2016/162309号、国際公開第2017/019456号、国際公開第2018/091676号および国際公開第2012/140224号、ならびに米国特許出願第2018/0245142号に記載される方法に従って調製することができる。前述の文献の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
C. 空間的分析のために分析物を捕捉する
このセクションでは、分析物を捕捉するための方法およびシステムの一般的な局面について記載する。個々の方法工程およびシステムの特徴は、多くの異なる態様において組み合わせて存在することができ、本明細書に記載される特定の組み合わせは、工程および特徴の他の組み合わせを決して限定するものではない。
一般に、生物学的試料を、例えば、捕捉プローブまたは捕捉剤を含む基材(例えば、捕捉プローブが基材上に包埋され、配置され、印刷された基材、または捕捉プローブを含む構造体(例えば、ビーズ、ウェル)を有する基材)と接触させると、分析物を捕捉することができる。
本明細書で使用される場合、構造体を備える基材と生物学的試料を「接触する」、「接触した」および/または「接触している」とは、捕捉プローブが生物学的試料からの分析物と相互作用する(例えば、捕捉する)ことができるような任意の接触(例えば、直接的または間接的)を指し得る。例えば、基材は、直接的な物理的接触なしに生物学的試料の近くに存在しまたは隣接し得るが、生物学的試料からの分析物をなお捕捉することができる。いくつかの態様において、生物学的試料は、基材と直接物理的に接触している。いくつかの局面において、分析物は放出され、捕捉剤に近接し、または接触している。いくつかの態様において、生物学的試料は、基材と間接的に物理的に接触している。例えば、生物学的試料と基材との間に液体層が存在し得る。いくつかの態様において、分析物は液体層を通じて拡散する。いくつかの態様において、捕捉プローブは液体層を通じて拡散する。いくつかの態様において、試薬は、生物学的試料と基材の間の液体層を介して送達され得る。いくつかの態様において、間接的な物理的接触は、生物学的試料と、捕捉プローブを有する構造体を備えた第1の基材との間の第2の基材(例えば、ヒドロゲル、フィルム、多孔質膜)の存在であり得る。いくつかの態様において、試薬は、第2の基材によって生物学的試料に送達され得る。
i. 拡散抵抗性媒体/蓋
空間的に標識された捕捉プローブに向けた分析物の拡散を促進することによって効率を増大させるために、拡散抵抗性媒体を使用することができる。一般に、生物学的分析物の分子の拡散は、捕捉プローブに向かう(すなわち、空間的にバーコード付加されたアレイに向かう)こと、および捕捉プローブから離れる(すなわち、バルク溶液中に)ことを含む、あらゆる方向に起こる。空間的にバーコード付加されたアレイに向かう拡散を増加させると、空間的にバーコード付加されたアレイから離れる分析物の拡散が低下し、捕捉プローブの捕捉効率が増加する。
いくつかの態様において、生物学的試料は、空間的にバーコード付加された基材の上に配置され、拡散抵抗性媒体は、生物学的試料の上に配置される。例えば、拡散抵抗性媒体は、生物学的試料と接触して配置されたアレイ上に配置することができる。いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体および空間的に標識されたアレイは同一の構成要素である。例えば、拡散抵抗性媒体は、拡散抵抗性媒体(例えば、カバーガラス、スライド、ヒドロゲルまたは膜)の中または上に空間的に標識された捕捉プローブを含有することができる。いくつかの態様において、試料は基材上に配置され、拡散抵抗性媒体は生物学的試料の上に配置される。さらに、拡散抵抗性媒体上に近接して、空間的にバーコード付加された捕捉プローブアレイを配置することができる。例えば、拡散抵抗性媒体は、空間的に標識されたアレイと基材上の試料との間に挟まれ得る。いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体は、試料上に配列または配置される。他の態様において、拡散抵抗性媒体は試料に近接して配置される。
一般に、拡散抵抗性媒体は、生物学的分析物の拡散性を制限することが知られている任意の材料であり得る。例えば、拡散抵抗性媒体は中実の蓋(例えば、カバーガラスまたはスライドガラス)とすることができる。いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体は、ガラス、ケイ素、紙、ヒドロゲルポリマーモノリス、またはその他の材料で作製され得る。いくつかの態様において、ガラスサイド(glass side)はアクリル化されたスライドガラスであり得る。いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体は多孔質膜である。いくつかの態様において、材料は、天然に多孔質であり得る。いくつかの態様において、材料は、固体材料内に食刻された細孔またはウェルを有し得る。いくつかの態様において、細孔径は、標的分析物の喪失を最小限に抑えるように操作することができる。いくつかの態様において、膜化学は、標的分析物の喪失を最小限に抑えるように操作することができる。いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体(すなわち、ヒドロゲル)は、基材(すなわち、スライドガラス)に共有結合されている。いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体は、ポリ(A)転写物の拡散性を制限することが知られている任意の材料であり得る。いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体は、タンパク質の拡散性を制限することが知られている任意の材料であり得る。いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体は、高分子成分の拡散性を制限することが知られている任意の材料であり得る。
いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体は、1つ以上の拡散抵抗性媒体を含む。例えば、限定されないが、コーティング、層化またはスポット配置など、生物学的試料と接触させて媒体を配置する前に、1つ以上の拡散抵抗性媒体を様々な方法で組み合わせることができる。別の例として、ヒドロゲルを生物学的試料上に配置し、その後ヒドロゲルの上に蓋(例えば、スライドガラス)を配置することができる。いくつかの態様において、拡散を制御し、分析物の捕捉を強化するために、力(例えば、流体力学的圧力、超音波振動、溶質の差異、マイクロ波放射、管循環、または他の電気力、機械的力、磁気力、遠心力および/もしくは熱的力)が加えられる。いくつかの態様において、拡散を制御し、捕捉を強化するために、1種類以上の力および1つ以上の拡散抵抗性媒体が使用される。例えば、遠心力およびスライドガラスを同時に使用することができる。拡散を制御または緩和し、分析物の捕捉を強化するために、力と拡散抵抗性媒体の様々な組み合わせのいずれをも使用することができる。
いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体は、空間的にバーコード付加されたアレイおよび試料とともに、バルク溶液中に浸漬される。いくつかの態様において、バルク溶液は透過処理試薬を含む。いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体は、少なくとも1つの透過処理試薬を含む。いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体(すなわち、ヒドロゲル)は、拡散抵抗性媒体を試料に接触させる前に透過処理試薬中に浸される。いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体は、透過処理緩衝液または試薬を含有するウェル(例えば、マイクロ、ナノ、またはピコウェル)を含むことができる。いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体は、透過処理試薬を含むことができる。いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体は、拡散抵抗性媒体が生物学的試料に適用されたときに透過処理試薬を送達するための乾燥された試薬または単量体を含有することができる。いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体は、集合体がバルク溶液中に浸漬される前に、空間的にバーコード付加されたアレイと試料の集合体に加えられる。いくつかの態様において、拡散抵抗性媒体は、試料が透過処理試薬に曝露された後に、空間的にバーコード付加されたアレイと試料の集合体に加えられる。いくつかの態様において、透過処理試薬は、拡散抵抗性媒体上のマイクロ流体チャンバまたはチャネルを通って流される。いくつかの態様において、この流れが、透過処理試薬への試料のアクセスを制御する。いくつかの態様において、標的分析物は、試料からバルク溶液に向かって拡散し、空間的に標識された捕捉プローブが埋め込まれた拡散抵抗性媒体中に埋め込まれる。いくつかの態様において、自由溶液が生物学的試料と拡散抵抗性媒体との間に挟まれる。
図18は、拡散抵抗性媒体の例示的な使用の図解である。拡散抵抗性媒体1802は、試料1803と接触させることができる。図18では、スライドガラス1804に空間的にバーコード付加された捕捉プローブ1806が多数配置されており、試料1803、1805はアレイ1804、1806と接触されている。拡散抵抗性媒体1802を試料1803に適用することができ、試料1803は拡散抵抗性媒体1802と捕捉プローブがコーティングされたスライド1804との間に挟まれている。透過処理溶液1801が試料に適用されると、拡散抵抗性媒体/蓋1802を使用することにより、媒体内への分析物の拡散を低下させることによって、分析物1805の移動を捕捉プローブ1806の方向に誘導する。あるいは、蓋は透過処理試薬を含有し得る。
ii. 捕捉のための条件
基材上(または基材上の構造体上)の捕捉プローブは、他の箇所に記載されている捕捉ドメインを介して、放出された分析物と相互作用して、分析物を捕捉する。いくつかの態様において、アレイの捕捉プローブによる分析物の移動または捕捉を増強するために、ある一定の工程が行われる。このような修飾の例としては、限定されないが、基材を生物学的試料と接触させるための条件(例えば、時間、温度、配向、pHレベル、生物学的試料の前処理など)を調整すること、分析物を輸送するための力(例えば、電気泳動、遠心、機械的など)を使用すること、生物学的分析物の量を増加させるための増幅反応(例えば、PCR増幅、インサイチュ増幅、クローン増幅)を実施すること、ならびに/またはアンプリコンおよびバーコードの検出のための標識されたプローブを使用することが挙げられる。
いくつかの態様において、分析物の捕捉は、生物学的試料を透過処理試薬で処理することによって促進される。生物学的試料が十分に透過処理されなければ、基材上に捕捉される分析物の量は、十分な分析を可能にするには少なすぎることがあり得る。逆に、生物学的試料の透過性が高すぎれば、分析物は、生物学的試料内の分析物の相対的な空間的関係が失われるように、生物学的試料中のその起源から離れて拡散し得る。したがって、生物学的試料中での分析物分布の空間的分解能をなお維持しながら、良好なシグナル強度を得るのに十分に生物学的試料料を透過処理するバランスが望ましい。促進のために生物学的試料を調製する方法は当技術分野において公知であり、生物学的試料および生物学的試料の調製方法(例えば、新鮮凍結、FFPEなど)に応じて変更することができる。
iii. 受動的捕捉方法
いくつかの態様において、分析物を試料から基材に移動させることができる。移動を促進するための方法は、受動的(例えば、拡散)および/または能動的(例えば、核酸の電気泳動移動)であり得る。受動的移動の非限定的な例は、単純な拡散および脱水された物体の再水和によって生成される浸透圧を含むことができる。
拡散による受動的移動は、濃度勾配を使用する。拡散は、平衡に向かう拘束されていない物体の移動である。したがって、高い物体濃度の領域と低い物体濃度の領域が存在する場合、物体(捕捉プローブ、分析物など)は、より低濃度の領域に移動する。いくつかの態様において、拘束されていない分析物は、濃度勾配を下って移動する。
いくつかの態様において、分析物の捕捉を改善しながら生物学的試料が再水和されるように、異なる試薬を生物学的試料に添加し得る。いくつかの態様において、透過処理試薬で生物学的試料を再水和することができる。いくつかの態様において、染色溶液(例えば、ヘマトキシリンおよびエオシン染色)で生物学的試料を再水和させることができる。
iv. 能動的捕捉方法
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの例では、細胞または生物学的試料中の分析物を捕捉プローブ(例えば、固体表面に固定された捕捉プローブ)に(例えば、受動的または能動的に)輸送することができる。
例えば、細胞または生物学的試料中の分析物は、電場(例えば、電気泳動を使用する)、圧力勾配、流体流、化学的濃度勾配、温度勾配、および/または磁場を使用して捕捉プローブ(例えば、固定化された捕捉プローブ)に輸送することができる。例えば、分析物は、例えば、ゲル(例えば、ヒドロゲルマトリックス)、流体、または透過処理された細胞を通じて捕捉プローブ(例えば、固定化された捕捉プローブ)に輸送され得る。
いくつかの例では、捕捉プローブに向けた分析物の移動を促進するために、電気泳動場を分析物に適用することができる。いくつかの例では、試料は、基材および基材(例えば、スライド、カバーガラスまたはビーズ)上に固定された捕捉プローブと接触し、基材上に固定された捕捉プローブに向かう帯電した分析物の方向性移動を促進するために電流が印加される。細胞または生物学的試料がカソードおよび捕捉プローブ(例えば、基材上に固定された捕捉プローブ)と接触しており、捕捉プローブ(例えば、基材上に固定された捕捉プローブ)が細胞または生物学的試料およびアノードと接触している電気泳動アセンブリを使用して、電流を印加することができる。
試料中の分析物の相対的な空間的整列を保持しながら、分析物の電気泳動移動を行うことができる。したがって、捕捉プローブ(例えば、基材上に固定された捕捉プローブ)によって捕捉された分析物は、細胞または生物学的試料の空間的情報を保持する。電気泳動場を分析物に適用すると、温度の増加(例えば、熱)ももたらすことができる。いくつかの態様において、増加した温度(例えば、熱)は、捕捉プローブに向かう分析物の移動を促進することができる。
いくつかの例では、捕捉プローブによる関心対象の少なくとも1つの帯電した分析物の空間的に限定された捕捉のために、空間的にアドレス指定可能なマイクロ電極アレイが使用される。マイクロ電極アレイは、関心対象の帯電した分析物の移動を促進するために電場を印加するための小さな領域を有する高密度の離散した部位を含むように構成することができる。例えば、電気泳動的捕捉は、空間的にアドレス指定可能なマイクロ電極アレイを使用して関心対象の領域に対して実行することができる。
マイクロ電極アレイ上の高密度の離散した部位を小さな装置に対して使用することができる。表面は、離散した部位の任意の適切な密度(例えば、所与の時間量で導電性基材上の試料を処理するのに適した密度)を含むことができる。一態様において、表面は、1mm2当たり約500部位以上の離散した部位の密度を有する。いくつかの態様において、表面は、1mm2当たり約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1,000、約2,000、約3,000、約4,000、約5,000、約6,000、約7,000、約8,000、約9,000、約1万、約2万、約4万、約6万、約8万、約10万または約50万部位の離散した部位の密度を有する。いくつかの態様において、表面は、1mm2当たり少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900、少なくとも約1,000、少なくとも約2,000、少なくとも約3,000、少なくとも約4,000、少なくとも約5,000、少なくとも約6,000、少なくとも約7,000、少なくとも約8,000、少なくとも約9,000、少なくとも約1万、少なくとも約2万、少なくとも約4万、少なくとも約6万、少なくとも約8万、少なくとも約10万、または少なくとも約50万個の部位の離散した部位の密度を有する。
転写物分析物を空間的にバーコード付加された捕捉プローブアレイに向けて誘導するように構成された電気泳動転写システムを例示する概略図が図19Aおよび図19Bに示されている。電気泳動システムのこの例示的な構成では、試料1902はカソード1901と空間的にバーコード付加された捕捉プローブアレイ1904、1905との間に挟まれており、試料1902、1906が空間的にバーコード付加された捕捉プローブ1907と接触するように、空間的にバーコード付加された捕捉プローブアレイ1904、1905は試料1902とアノード1903との間に挟まれている。電場が電気泳動転写システムに印加されると、負に帯電したmRNA分析物1906は、正に帯電したアノード1903に向かって、空間的にバーコード付加された捕捉プローブ1907を含有する空間的にバーコード付加されたアレイ1904、1905中に引き込まれる。次いで、空間的にバーコード付加された捕捉プローブ1907は、mRNA標的分析物1906と相互作用し/ハイブリダイズし/mRNA標的分析物1906を固定化し、分析物捕捉をより効率的にする。電気泳動システムの設定は、標的分析物に応じて変化し得る。例えば、タンパク質は、タンパク質および他の因子(例えば、等電点、溶解度など)に応じて、正、負、中性または極性であり得る。当業者は、特定の標的分析物の捕捉を容易にするために電気泳動転写システムに手を加えるための知識および経験を有する。
図20は、電気泳動転写システムを利用する例示的なワークフロープロトコルを示す図解である。この例では、パネルAは、試料と接触している柔軟な空間的にバーコード付加された構造のアレイを図示する。試料は、柔軟なアレイとすることができ、アレイは、ヒドロゲル、膜またはその他の柔軟な基材上に固定化される。パネルBは、アレイの試料との接触およびアレイ-試料集合体の画像化を図示する。試料配置を検証し、関心対象の領域を選択し、または本明細書に記載されるアレイ上の試料を画像化するための任意の他の理由を選択するために、試料/アレイ集合体の画像を使用することができる。パネルCは、標的分析物の効率的な捕捉を補助するための電気泳動転写システムを使用した電場の印加を図示する。ここで、負に帯電したmRNA標的分析物は、正に帯電したアノードに向かって移動する。パネルDは、逆転写試薬の適用および捕捉された標的分析物の第1鎖cDNA合成を図示する。パネルEは、アレイ除去ならびにライブラリー構築(パネルF)および次世代シーケンシング(パネルG)のための準備を図示する。
D. 関心対象の領域
生物学的試料は、疾患の存在または疾患表現型の発生を示し得る形態的特徴を示す領域を有することができる。例えば、腫瘍生検試料内の特定の部位における形態的特徴は、対象内の癌の侵襲性、治療抵抗性、転移能、遊走、段階、診断および/または予後を示すことができる。腫瘍生検試料内の特定の部位における形態的特徴の変化は、しばしば、特定の部位内の細胞中の分析物のレベルまたは発現の変化と相関し、次いで、対象内の癌の侵襲性、治療抵抗性、転移能、遊走、段階、診断および/または予後に関する情報を提供するために使用することができる。特定の分析のために選択される生物学的試料内の領域またはエリア(例えば、関心対象の形態的特徴を有する生物学的試料中の領域)は、しばしば「関心対象の領域」と記載される。関心対象の領域は、本明細書中に記載されるインサイチュアッセイおよび/または空間的アッセイの前、同時および/または後に同定され、検出され、観察され、分析されることができる。いくつかの事例では、本明細書に記載されるインサイチュアッセイおよび/または空間的アッセイの前、間および/または後に生物学的試料を可視化または画像化するために、1つ以上の顕微鏡検査工程を実施することができる。例えば、染色されたまたは染色されていない生物学的試料(例えば、ヘマトキシリン、エオシン、DAPIなど)を視覚化するために、明視野および/または蛍光画像化などの任意の適切な画像化を使用することができる。
生物学的試料内の特定の関心対象のエリアを分析し、それによって、(生物学的試料全体ではなく)生物学的試料の特定の領域に実験およびデータ収集を集中させるために、生物学的試料中の関心対象の領域を使用することができる。これにより、生物学的試料の分析の時間効率が増大する。
関心対象の領域は、様々な異なる技術、例えば、膨張顕微鏡法、明視野顕微鏡法、暗視野顕微鏡法、位相差顕微鏡法、電子顕微鏡法、蛍光顕微鏡法、反射顕微鏡法、干渉顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、および(例えば、眼による)視覚的特定、ならびにこれらの組み合わせを使用して生物学的試料中で特定することができる。例えば、関心対象の領域を特定するために、生物学的試料の染色および画像化を行うことができる。いくつかの例において、関心対象の領域は、細胞構築の特定の構造に対応することができる。いくつかの態様において、生物学的試料の異なる領域間に対比を与えるために、可視化の前に生物学的試料を染色することができる。染色の種類は、生物学的試料の種類および染色されるべき細胞の領域に応じて選択することができる。いくつかの態様において、生物学的試料の異なる局面、例えば、試料の異なる領域、特定の細胞構造(例えば、細胞小器官)または異なる細胞型を可視化するために、1つより多くの染色剤を使用することができる。他の態様において、生物学的試料を染色することなく、生物学的試料を可視化または画像化することができる。
いくつかの態様において、画像化は、1つ以上の基準マーカー、すなわち、生成された画像内に現れる画像化システムの視野内に配置された物体を使用して実行することができる。基準マーカーは、典型的には、基準点または測定尺度として使用される。基準マーカーには、蛍光標識、放射性標識、化学発光標識および比色標識などの検出可能な標識が含まれ得るが、これらに限定されない。生物学的試料を安定化させ、正しい位置に置くための基準マーカーの使用は、例えば、Carter et al.,Applied Optics 46:421-427,2007)に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み入れられる。いくつかの態様において、基準マーカーは、物理的粒子(例えば、ナノ粒子、ミクロスフェア、ナノスフェア、ビーズ、または本明細書中に記載されるもしくは当技術分野において公知の他の例示的な物理的粒子のいずれか)であり得る。
いくつかの態様において、生物学的試料の定位を与えるために、基準マーカーを基材上に存在させることができる。いくつかの態様において、生物学的試料の定位を補助するために、ミクロスフェアを基材に連結させることができる。いくつかの例では、基材に連結されたミクロスフェアは、光信号(例えば、蛍光)を生成することができる。別の例では、基材上の構造体のアレイ上での生物学的試料の定位を補助するために、特定のパターンまたはデザイン(例えば、六角形のデザイン)でアレイの一部(例えば、角)にミクロスフェアを付着させることができる。いくつかの態様において、生物学的試料の定位を補助するために、量子ドットを基材に連結させることができる。いくつかの例では、基材に連結された量子ドットは、光信号を生成することができる。
いくつかの態様において、基準マーカーは、検出可能なシグナル分子が相互作用してシグナルを生成することができる固定化された分子であり得る。例えば、マーカー核酸は、特定の波長(または波長範囲)の光に供されたときに蛍光を発することができる化学的部分に連結または結合され得る。このようなマーカー核酸分子は、組織切片を可視化または画像化するために組織試料を染色する前、同時、または後にアレイと接触させることができる。必須ではないが、標識されたcDNAを検出するために使用されるのと同じ条件(例えば、画像化条件)を使用して検出することができるマーカーを使用することが有利であり得る。
いくつかの態様において、基材上の固定化された捕捉プローブに関する組織試料またはその画像の定位を容易にするために基準マーカーが含まれる。組織切片が画像化されたときにのみマーカーが検出可能であるように、アレイに印を付けるための任意の数の方法を使用することができる。例えば、分子、例えばシグナルを生成する蛍光分子を、基材の表面上に直接的にまたは間接的に固定化することができる。マーカーは、基材上にパターン(例えば、縁、1つ以上の列、1つ以上の線など)で提供することができる。
いくつかの態様において、基準マーカーを視野内にランダムに配置することができる。例えば、基材上のランダムな位置で基材(例えば、スライドガラス)上に、蛍光色素分子を含有するオリゴヌクレオチドをランダムに印刷し、刻印し、合成し、または付着させることができる。蛍光色素分子を含有するオリゴヌクレオチドが組織切片由来の細胞または細胞の成分(例えば、mRNAまたはDNA分子)に接触するか、または近接するように、組織切片を基材と接触させることができる。基材および組織切片の画像を得ることができ、(例えば、蛍光色素分子検出で重ね合わされた組織切片の光学画像を検討することによって)組織切片画像内の蛍光色素分子の位置を決定することができる。いくつかの態様において、基準マーカーを視野内に正確に(例えば、基材上の既知の位置に)配置することができる。この場合には、基準マーカーを基材上に刻印し、付着させ、または合成し、生物学的試料と接触させることができる。典型的には、試料および基準マーカーの画像が撮影され、画像を見ることによって基材上の基準マーカーの位置を確認することができる。
いくつかの態様において、基準マーカーは、基材に付着された固定化された分子(例えば、物理的粒子)であり得る。例えば、基準マーカーは、ナノ粒子、例えば、ナノロッド、ナノワイヤ、ナノキューブ、ナノ錐体または球状ナノ粒子であり得る。いくつかの例では、ナノ粒子は重金属(例えば、金)で作製することができる。いくつかの態様において、ナノ粒子はダイヤモンドから作製することができる。いくつかの態様において、基準マーカーは、目で見ることができる。例示的な基準マーカーおよび(例えば、空間的分析のための)その使用は、例えば、国際公開第2020/047002号、国際公開第2020/047004号、国際公開第2020/047005号、国際公開第2020/047007号、国際公開第2020/047010号および国際公開第2020/123320号に開示されており、これらのすべては、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、インサイチュアッセイモジュールは、例えばセクションVIIIに記載されているように、本明細書に開示されている統合型の方法の空間的アッセイモジュールのための1つ以上の基準マーカーを提供することができる。いくつかの態様において、インサイチュ分析においてプローブによって標的とされる第1の分析物は、後続の空間的アッセイモジュールにおける1つ以上の分析物に対する分子基準マーカーを提供することができる。例えば、まず、第1の核酸、相補物、インサイチュアッセイモジュールにおいて第1の核酸に直接的にもしくは間接的にハイブリダイズされたプローブ、プローブのライゲーション産物、および/またはプローブの増幅産物(例えば、RCA産物)を、インサイチュアッセイモジュールにおいて分析し、次いで、空間的分析のために基材上に捕捉することができる。捕捉された分子は、インサイチュでシグナルと関連付けられ、空間的アッセイモジュールにおいて分析されるべき、但し、1つ以上のプローブによって標的とされていない、および/またはインサイチュアッセイモジュールにおいて分析されていない1つ以上の他の分析物(例えば、核酸分子)に関する情報を提供するための空間的基準として機能し得る。
いくつかの態様において、生物学的試料を空間的アレイと接触させる前に生物学的試料を染色および画像化することが、空間的分析のための試料を選択するために行われる。いくつかの態様において、染色は、蛍光性、放射性、化学発光性または比色性の検出可能なマーカーを含む、上記の基準マーカーを適用することを含む。いくつかの態様において、生物学的試料の染色および画像化によって、ユーザは、ユーザが評価することを望む特定の試料(または関心対象の領域)を特定することが可能になる。
いくつかの態様において、構造体内または構造体間での非特異的分析物ハイブリダイゼーションを最小化または低減するために、基材が処理される。例えば、処理は、非特異的ハイブリダイゼーションに対する物理的障壁を作り出すヒドロゲル、フィルムおよび/または膜で基材をコーティングすることを含むことができる。任意の適切なヒドロゲルを使用することができる。例えば、米国特許第6,391,937号、同第9,512,422号および同第9,889,422号、ならびに米国特許出願公開第2017/0253918号および同第2018/0052081号に記載される方法に従って調製されたヒドロゲルマトリックスを使用することができる。上記文献の各々の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
処理は、反応性であるか、または刺激を受けた後に官能基が反応性(例えば、光反応性)になるように活性化されることができる官能基を付加することを含むことができる。処理は、(例えば、ある一定の位置で基材を活性化して、それらの位置での分析物のハイブリダイゼーションを可能にする)非特異的結合を最小限に抑える1つ以上の物理的特性(例えば、機械的、電気的、磁気的、および/または熱的)を有するポリマーで処理することを含むことができる。
いくつかの例では、アレイ(例えば、本明細書に記載される例示的なアレイのいずれか)を生物学的試料(例えば、細胞、構造体または関心対象の領域)の一部のみと接触させることができる。いくつかの例では、生物学的試料をアレイ(例えば、本明細書に記載される例示的なアレイのいずれか)の一部のみと接触させる。いくつかの例では、アレイの一部が生物学的試料中の分析物と相互作用しないように、アレイの一部は、不活性化することができる(例えば、光学的不活性化、化学的不活性化、熱的不活性化または(例えば、ブロッキングプローブを使用した)アレイ内の捕捉プローブのブロッキング)。いくつかの例では、関心対象の領域を生物学的試料から取り除くことができ、次いで関心対象の領域をアレイ(例えば、本明細書に記載される例示的なアレイのいずれか)に接触させることができる。関心対象の領域は、顕微鏡下手術、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション、チャンク化、ミクロトーム、ダイシング、トリプシン処理、標識および/または蛍光支援細胞選別を使用して生物学的試料から取り除くことができる。いくつかの態様において、関心対象の領域の分析物またはその誘導体(例えば、分析物に関連付けられたバーコード付加された分子)を試料から取り除き、分析することができる。
VIII. タグ付けされたおよび/または捕捉された分析物の分析
一般的な細胞ベースの空間的分析方法に関連して上記の方法のいずれかに従って、試料からの分析物が、捕捉プローブ、分析物捕捉剤、または他のバーコード付加されたオリゴヌクレオチド配列とハイブリダイズし、またはその他会合した後、分析物を特定するために、ハイブリダイゼーション/会合から生じるバーコード付加された構築物を配列決定によって分析する。
いくつかの態様において、上記のように、細胞表面にハイブリダイズ、結合もしくは会合された、または細胞中に導入された捕捉プローブまたは分析物捕捉剤とのハイブリダイゼーションを介して、試料が直接空間的にバーコード付加される場合、無傷の試料に対して配列決定を行うことができる。
バーコード付加された分析物構築物を分析するために、多種多様な異なる配列決定方法を使用することができる。一般に、配列決定されたポリヌクレオチドは、例えば、核酸分子の変異形または誘導体(例えば、一本鎖DNAまたはDNA/RNAハイブリッド、およびヌクレオチド類似体を有する核酸分子)を含む、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)などの核酸分子であり得る。
ポリヌクレオチドの配列決定は、様々な市販のシステムによって行うことができる。より一般的には、配列決定は、核酸増幅、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、デジタルPCRおよび液滴デジタルPCR(ddPCR)、定量的PCR、リアルタイムPCR、マルチプレックスPCR、PCRベースのシングルプレックス法、エマルジョンPCR)および/または等温増幅を使用して行うことができる。
遺伝物質を配列決定するための方法の他の例としては、DNAハイブリダイゼーション法(例えば、サザンブロッティング)、制限酵素消化法、サンガー配列決定法、次世代配列決定法(例えば、一分子リアルタイム配列決定、ナノポア配列決定およびPolony配列決定)、ライゲーション法およびマイクロアレイ法が挙げられるが、これらに限定されない。使用することができる配列決定方法のさらなる例としては、標的指向型配列決定、一分子リアルタイム配列決定、エキソン配列決定、電子顕微鏡ベースの配列決定、パネル配列決定、トランジスタ媒介配列決定、直接的配列決定、ランダムショットガン配列決定、サンガージデオキシターミネーション配列決定、全ゲノム配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、パイロシーケンシング、キャピラリー電気泳動、ゲル電気泳動、二重鎖配列決定、サイクルシーケンシング、一塩基伸長配列決定、固相配列決定、ハイスループット配列決定、超並列シグネチャ配列決定、低変性温度-PCR(COLD-PCR)での共増幅、可逆的色素ターミネータによる配列決定、ペアエンド配列決定、ニアターム配列決定、エキソヌクレアーゼ配列決定、ライゲーションによる配列決定、ショートリード配列決定、一分子配列決定、合成による配列決定、リアルタイム配列決定、逆ターミネータ配列決定、ナノポア配列決定、454配列決定、Solexa Genome Analyzer配列決定、SOLiD(商標)配列決定、MS-PET配列決定およびこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
核酸分子(バーコード付加された核酸分子またはその誘導体を含む)の配列分析は、直接的または間接的であり得る。したがって、配列分析基質(配列分析工程または過程に供される分子と見なすことができる)は、直接、バーコード付加された核酸分子であり得る、またはバーコード付加された核酸分子に由来する分子(例えば、その相補物)であり得る。したがって、例えば、配列決定反応の配列分析工程において、配列決定鋳型は、バーコード付加された核酸分子であり得るか、またはバーコード付加された核酸分子に由来する分子であり得る。例えば、第1および/または第2鎖DNA分子は、配列分析(例えば、配列決定)に直接供することができる、すなわち、配列分析反応または過程(例えば、配列決定反応もしくは配列決定過程、または配列決定もしくはその他特定される分子である)に直接関与することができる。あるいは、バーコード付加された核酸分子は、配列分析(例えば、別の技術による配列決定または特定)の前に第2鎖合成または増幅の工程に供することができる。したがって、配列分析基質(例えば、鋳型)は、アンプリコンまたはバーコード付加された核酸分子の第2鎖であり得る。
いくつかの態様においては、二本鎖分子の両方の鎖を配列分析に供される(例えば、配列決定される)ことができる。いくつかの態様においては、一本鎖分子(例えばバーコード付加された核酸分子)を分析する(例えば、配列決定する)ことができる。一分子配列決定を行うために、核酸鎖を3’末端で修飾することができる。
上記のように、核酸を配列決定するために超並列配列決定技術を使用することができる。一態様において、超並列配列決定技術は、可逆的なダイターミネータに基づくことができる。一例として、DNA分子は、まず、例えばガラスまたはケイ素基材上のプライマーに付着され、局所クローンコロニーが形成されるように増幅される(ブリッジ増幅)。4種類のddNTPを加え、組み込まれていないヌクレオチドを洗い流す。パイロシーケンシングとは異なり、DNAは、ブロッキング基(例えば、ddNTPの糖部分上に存在する3’ブロッキング基)のために一度に1ヌクレオチドしか伸長しない。検出器が、蛍光標識されたヌクレオチドの画像を取得し、次いで、末端の3’ブロッキング基とともに色素が、その後のサイクルの前駆体としてDNAから化学的に除去される。この過程は、必要とされる配列データが得られるまで繰り返すことができる。
別の例として、核酸を配列決定するために、超並列パイロシーケンシング技術を使用することもできる。パイロシーケンシングでは、核酸は、油溶液中の水滴内で増幅され(エマルジョンPCR)、各液滴は、その後クローンコロニーを形成する単一のプライマー被覆ビーズに付着した単一の核酸鋳型を含有する。配列決定システムは、それぞれが単一のビーズおよび配列決定酵素を含有する多くのピコリットル体積のウェルを含有する。パイロシーケンシングは、ルシフェラーゼを使用して新生核酸に付加された個々のヌクレオチドの検出のための光を生成し、組み合わされたデータを使用して配列読み取り情報を生成する。
パイロシーケンシングの別の適用例として、その各々の全内容が参照により本明細書に組み入れられるRonaghi,et al.,Anal.Biochem.242(1),84-9(1996);Ronaghi,Genome Res.11(1),3-11(2001);Ronaghi et al.,Science 281(5375),363(1998);ならびに米国特許第6,210,891号、同第6,258,568号および同第6,274,320号などに記載されるように、放出されたPPiは、ATPスルフリラーゼによって直ちにアデノシン三リン酸(ATP)に変換されることによって検出することができ、生成されたATPのレベルは、ルシフェラーゼによって生成された光子を介して検出することができる。
いくつかの態様において、配列決定は、DNAの重合中に放出される水素イオンの検出によって行われる。配列決定されるべき鋳型DNA鎖を含有するマイクロウェルは、1種類のヌクレオチドで満たされ得る。導入されるヌクレオチドがリーディング鋳型ヌクレオチドに相補的である場合、導入されるヌクレオチドは成長している相補鎖中に組み込まれる。これは、反応が起こったことを示す高感度イオンセンサの引き金を引く水素イオンの放出を引き起こす。鋳型配列中にホモポリマー反復配列が存在すれば、複数のヌクレオチドが単一のサイクルに組み込まれる。これは、対応する数の放出された水素イオンおよび比例してより高い電子信号をもたらす。
いくつかの態様において、捕捉プローブが空間的バーコードを含有しない場合には、捕捉プローブが生物学的試料から分析物を捕捉した後、および分析物の分析の前に空間的バーコードを付加することができる。分析物が捕捉された後に空間的バーコードが付加される場合、分析物の増幅後にバーコードを付加することができる。いくつかの態様において、分析物中の核酸(例えば、DNAまたはRNA)配列の増幅後に空間的バーコードが付加され、分析物は、試料中の内因性核酸(例えば、DNAまたはRNA)分子(例えば、インサイチュアッセイモジュールより前に試料中に存在するDNAまたはRNA分子)、インサイチュアッセイモジュールの間に試料に付加されたDNAまたはRNA分子(例えば、分析物に直接的にまたは間接的にハイブリダイズ/結合するプローブまたは標識剤)、インサイチュアッセイモジュールにおいて生成されたDNAまたはRNA分子(例えば、逆転写産物、ポリメラーゼ伸長産物、鋳型を使用するライゲーション産物などのライゲーション産物、および/またはRCA産物などの増幅産物)を含み得る。いくつかの態様において、空間的バーコードは、RNAの逆転写およびcDNAのポリメラーゼ増幅の後に付加される。いくつかの態様において、分析物分析は、試料中の内因性核酸(例えば、DNAまたはRNA)分子(例えば、インサイチュアッセイモジュールより前に試料中に存在するDNAまたはRNA分子)、インサイチュアッセイモジュールの間に試料に付加されたDNAまたはRNA分子(例えば、分析物に直接的にまたは間接的にハイブリダイズ/結合するプローブまたは標識剤)、インサイチュアッセイモジュールにおいて生成されたDNAまたはRNA分子(例えば、逆転写産物、ポリメラーゼ伸長産物、鋳型を使用するライゲーション産物などのライゲーション産物、および/またはRCA産物などの増幅産物)の直接的配列決定などの、1つ以上の捕捉された分析物の直接配列決定を使用する。いくつかの態様において、直接的配列決定は、捕捉されたRNAの逆転写の後に行われる。いくつかの態様において、直接的配列決定は、捕捉されたRNAの逆転写の増幅の後に行われる。
いくつかの態様において、1つ以上の捕捉された分析物の直接的配列決定は、合成による配列決定(SBS)によって行われる。いくつかの態様において、配列決定プライマーは、捕捉プローブのドメイン(例えば、機能的ドメイン)の1つ以上の中の配列に相補的である。このような態様において、合成による配列決定は、プライマー配列が結合することができる鋳型配列(例えば、機能的ドメイン)を生成するために逆転写および/または増幅を含むことができる。
SBSは、配列決定プライマーと呼ばれることもある適切なプライマーを、配列決定されるべき核酸鋳型とハイブリダイズさせること、プライマーを伸長させること、およびプライマーを伸長するために使用されるヌクレオチドを検出することを含むことができる。好ましくは、プライマーを伸長するために使用される核酸は、さらなるヌクレオチドが成長中の核酸鎖に付加される前に検出され、したがって、塩基ごとのインサイチュ核酸配列決定が可能になる。組み込まれたヌクレオチドの検出は、プライマー伸長反応に1つ以上の標識されたヌクレオチドを含めることによって促進される。配列決定されるべき核酸鋳型への適切な配列決定プライマーのハイブリダイゼーションを可能にするために、核酸鋳型は通常一本鎖形態であるべきである。核酸スポットを構成する核酸鋳型が二本鎖形態で存在する場合、核酸鋳型は、当技術分野において周知の方法を使用して、例えば変性、切断などによって、一本鎖核酸鋳型を与えるように処理され得る。核酸鋳型にハイブリダイズし、プライマー伸長のために使用される配列決定プライマーは、好ましくは短いオリゴヌクレオチド、例えば15~25ヌクレオチド長である。配列決定プライマーは、溶液または固定化された形態で提供することができる。核酸鋳型および配列決定プライマーを適切な条件に供することによって配列決定プライマーが配列決定されるべき核酸鋳型にアニールされたら、例えば、核酸ポリメラーゼおよびその少なくともいくつかは標識された形態で提供される適切なヌクレオチドが提供されればヌクレオチドの供給、ならびに適切なヌクレオチドが提供されればプライマー伸長に適した条件を使用して、プライマー伸長が行われる。
好ましくは、各プライマー伸長工程の後に、後続の工程を妨害し得る組み込まれていないヌクレオチドを除去するために洗浄工程が含められる。プライマー伸長工程が行われると、標識されたヌクレオチドが伸長されたプライマー中に組み込まれたかどうかを判定するために、核酸コロニーを監視する。次いで、伸長されたプライマー中に組み込まれた次のおよび後続のヌクレオチドを決定するために、プライマー伸長工程を繰り返すことができる。決定されている配列が未知であれば、所与のコロニーに適用されるヌクレオチドは、通常、その後分析全体を通じて繰り返される選択された順序、例えば、dATP、dTTP、dCTP、dGTPで適用される。
使用することができるSBS技術は、例えば、それらの各々の全内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第2007/0166705号、米国特許出願公開第2006/0188901号、米国特許第7,057,026号、米国特許出願公開第2006/0240439号、米国特許出願公開第2006/0281109号、国際公開第05/065814号、米国特許出願公開第2005/0100900号、国際公開第06/064199号、国際公開第07/010,251号、米国特許出願公開第2012/0270305号、米国特許出願公開第2013/0260372号および米国特許出願公開第2013/0079232号に記載されているが、それらに限定されるものではない。
いくつかの態様において、捕捉されたRNAの直接的配列決定は、逐次蛍光ハイブリダイゼーション(例えば、ハイブリダイゼーションによる配列決定)によって行うことができる。いくつかの態様において、RNAを捕捉プローブにハイブリダイズさせるハイブリダイゼーション反応はインサイチュで行われる。いくつかの態様において、捕捉されたRNAは、配列決定プローブとのハイブリダイゼーションの前に増幅されない。いくつかの態様において、RNAは、配列決定プローブとのハイブリダイゼーションの前に増幅される(例えば、cDNAへの逆転写およびcDNAの増幅)。いくつかの態様において、増幅は、単一分子ハイブリダイゼーション連鎖反応を用いて行われる。いくつかの態様において、増幅は、ローリングチェーン増幅を使用して行われる。
逐次蛍光ハイブリダイゼーションは、縮重プライマー配列および検出可能な標識を含むプローブの逐次ハイブリダイゼーションを含むことができる。縮重プライマー配列は、核酸断片の配列とは無関係に任意の核酸断片にハイブリダイズすることができる短いオリゴヌクレオチド配列である。例えば、このような方法は、(a)それぞれが5’末端にA、C、GまたはTのいずれかを含み、5~11ヌクレオチド長の縮重ヌクレオチド配列をさらに含み、5’末端にA、C、GまたはTを有するプローブについて異なる機能的ドメイン(例えば、蛍光分子)をさらに含む4つのプローブを含む混合物を提供する工程と;(b)工程(a)のプローブを、その配列必要性がこの方法によって決定される標的ポリヌクレオチド配列に会合させる工程と;(c)4つの機能的ドメインの活性を測定し、活性の相対的な空間的位置を記録する工程と;(d)標的ポリヌクレオチド配列から工程(a)~(b)からの試薬を除去する工程と;工程(a)において使用されるオリゴヌクレオチドが標的ポリヌクレオチド配列の一部および配列の一部に隣接する位置1~nに相補的であるという改変を加えて、各ビーズに対する空間的ドメインのヌクレオチド配列が決定されるまで、工程(a)~(d)をnサイクル繰り返す工程と、を含むことができる。バーコード配列は異なるので、いくつかの態様において、これらの追加の隣接配列は縮重配列である。標的ポリヌクレオチド配列の配列を決定するために、サイクル1~nのアレイ上の各スポットからの蛍光シグナルを使用することができる。
いくつかの態様において、逐次蛍光ハイブリダイゼーションを使用する捕捉されたRNAの直接的配列決定はインビトロで行われる。いくつかの態様において、捕捉されたRNAは、配列決定プローブとのハイブリダイゼーションの前に増幅される(例えば、cDNAへの逆転写およびcDNAの増幅)。いくつかの態様において、捕捉されたRNAを含有する捕捉プローブは、RNAのコード領域を標的とする配列決定プローブに曝露される。いくつかの態様において、1つ以上の配列決定プローブは、各コード領域を標的とするようにされる。いくつかの態様において、配列決定プローブは、配列決定試薬(例えば、色素標識された読み取りオリゴヌクレオチド)とハイブリダイズするように設計される。次いで、配列決定プローブは、配列決定試薬とハイブリダイズすることができる。いくつかの態様において、配列決定反応からの出力が画像化される。いくつかの態様において、cDNAの特異的配列は、配列決定反応の画像から解明される。いくつかの態様において、捕捉されたRNAの逆転写が、配列決定プローブへのハイブリダイゼーションの前に行われる。いくつかの態様において、配列決定プローブは、RNAのコード領域の相補的配列(例えば、標的とするcDNA)を標的とするように設計される。
いくつかの態様において、捕捉されたRNAは、ナノポアをベースとする方法を使用して直接的に配列決定される。いくつかの態様において、直接的配列決定は、捕捉されたRNAがナノポアを介して転位されるナノポア誘導RNA配列決定を使用して行われる。ナノポア電流を記録し、塩基配列に変換することができる。いくつかの態様において、捕捉されたRNAは、ナノポア配列決定の間、基材に付着されたままである。いくつかの態様において、捕捉されたRNAは、ナノポア配列決定の前に基材から放出される。いくつかの態様において、関心対象の分析物がタンパク質である場合、ナノポアをベースとする方法を使用してタンパク質の直接的配列決定を行うことができる。使用することができるナノポアをベースとする配列決定方法の例は、Deamer et al.,Trends Biotechnol.18,147-151(2000);Deamer et al.,Acc.Chem.Res.35:817-825(2002);Li et al.,Nat.Mater.2:611-615(2003);Soni et al.,Clin.Chem.53,1996-2001(2007);Healy et al.,Nanomed.2,459-481(2007);Cockroft et al.,J.Am.Chem.Soc.130,818-820(2008);および米国特許第7,001,792号に記載されている。上記参考文献の各々の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、捕捉されたRNAの直接的配列決定は、ライゲーションによる単一分子配列決定を使用して行われる。このような技術は、オリゴヌクレオチドを組み込み、このようなオリゴヌクレオチドの組み込みを同定するためにDNAリガーゼを利用する。オリゴヌクレオチドは、典型的には、オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列中の特定のヌクレオチドの同一性と相関する異なる標識を有する。ライゲーションによる配列決定に関与する局面および特徴は、例えば、Shendure et al.Science(2005),309:1728-1732、および米国特許第5,599,675号;同第5,750,341号;同第6,969,488号;同第6,172,218号;および同第6,306,597号に記載されており、その各々の全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、核酸ハイブリダイゼーションを配列決定のために使用することができる。これらの方法は、バーコード配列の少なくとも一部に相補的な標識された核酸デコーダプローブを利用する。多重復号は、識別可能な標識を有する多くの異なるプローブのプールを用いて行うことができる。核酸ハイブリダイゼーション配列決定の非限定的な例は、例えば米国特許第8,460,865号およびGunderson et al.,Genome Research 14:870-877(2004)に記載されており、その各々の全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、DNA鋳型が一度に1つではなくバルク過程での配列決定のために調製され、多くの配列が好ましくは並列して、またはそれ自体並列化され得る超ハイスループット順次過程を使用して読み取られる市販のハイスループットデジタル配列決定技術を使用してバーコード配列を分析することができる。このような技術の例には、Illumina(登録商標)配列決定(例えば、フローセルをベースとする配列決定技術)、修飾されたヌクレオチドを使用する合成による配列決定(Illumina,Inc.,San Diego,CAによってTruSeq(商標)およびHiSeq(商標)技術で市販されているものなど)、Helicos Biosciences Corporation、Cambridge、MAによるHeliScope(商標)、およびPacific Biosciences of California、Inc.,Menlo Park、CAによるPacBio RS)、イオン検出技術による配列決定(Ion Torrent,Inc.,South San Francisco,CA)、およびDNAナノボールの配列決定(Complete Genomics,Inc.,Mountain View、CA)が含まれる。
いくつかの態様において、ヌクレオチドが伸長産物中に組み込まれたときに放出されるプロトンの検出を、本明細書に記載される方法において使用することができる。例えば、バーコードを直接的に配列決定するために、米国特許出願公開第2009/0026082号、同第2009/0127589号、同第2010/0137143号および同第2010/0282617号に記載されている配列決定方法およびシステムを使用することができる。
いくつかの態様において、DNAポリメラーゼ活性のリアルタイムモニタリングを配列決定中に使用することができる。例えば、ヌクレオチドの取り込みは、例えば、Levene et al.,Science(2003),299,682-686,Lundquist et al.,Opt.Lett.(2008),33,1026-1028およびKorlach et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2008),105,1176-1181に記載されているように、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を通じて検出することができる。上記参考文献の各々の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、細胞または生物学的試料中での分析物レベルおよび/または発現を経時的に(例えば、作用物質での処置の前もしくは後または分化の異なる段階)評価するために、本明細書に記載される方法を使用することができる。いくつかの例では、本明細書に記載される方法は、異なる時点(例えば、作用物質での処置の前もしくは後、分化の異なる段階、疾患進行の異なる段階、対象の異なる年齢、または作用物質に対する耐性の発達の前もしくは後)で対象から得られた複数の同様の生物学的試料または細胞に対して実施することができる。
いくつかの態様において、ある特性を構造体の別の特性に関連付けるために、ルックアップテーブル(LUT)を使用することができる。これらの特性には、例えば、位置、バーコード(例えば、核酸バーコード分子)、空間的バーコード、光学標識、分子タグおよび他の特性が含まれる。
いくつかの態様において、ルックアップテーブルは、複数の核酸バーコード分子を構造体と関連付けることができる。いくつかの態様において、構造体の光学標識は、構造体を生物学的粒子(例えば、細胞または核)と関連付けることを可能にすることができる。構造体を生物学的粒子と関連付けることにより、生物学的粒子の核酸分子の核酸配列を生物学的粒子の1つ以上の物理的特性(例えば、細胞の種類または細胞の位置)に関連付けることをさらに可能にすることができる。例えば、バーコードと光学標識との間の関係に基づいて、光学標識を使用して構造体の位置を決定し、したがって構造体の位置を構造体のバーコード配列に関連付けることができる。その後の分析(例えば、配列決定)は、バーコード配列と試料からの分析物を関連付けることができる。したがって、位置とバーコード配列の間の関係に基づいて、(例えば、特定の種類の細胞における、生物学的試料の特定の位置での細胞における)生物学的分析物の位置を決定することができる。
いくつかの態様において、構造体は、構造体に付着された複数の核酸バーコード分子を有することができる。複数の核酸バーコード分子は、バーコード配列を含むことができる。所与の構造体に付着した複数の核酸分子は、同一のバーコード配列、または2つ以上の異なるバーコード配列を有することができる。改善された空間的位置精度を提供するために、異なるバーコード配列を使用することができる。
上述のように、RNA、DNA、ペプチド、脂質およびタンパク質などの試料から得られた分析物をさらに処理することができる。特に、分析物の特性決定時に、分析物が同じ細胞に由来したものと帰属させることができるように、試料からの個々の細胞の内容物には、一意の空間的バーコード配列を付与することができる。より一般的には、分析物を試料中の対応する空間的位置に帰属させるために、空間的バーコードを使用することができる。例えば、試料の特定の空間領域にわたって分析物を特定および特性決定するために、多重の複数の空間的バーコードの階層的空間的位置決めを使用することができる。いくつかの態様において、空間領域は、以前に同定された特定の関心対象の空間領域、例えば、以前に同定された細胞構造の特定の構造に対応する。いくつかの態様において、空間領域は、肉眼では見ることができない小さな構造または細胞の群に対応する。いくつかの態様において、単一の細胞レベルで分析物を特定および特性評価するために、一意的分子識別子を使用することができる。
分析物は、核酸バーコード分子のバーコード配列でバーコード付加することができる核酸分子を含むことができる。いくつかの態様において、核酸配列を得るために、バーコード付加された分析物を配列決定することができる。いくつかの態様において、核酸配列は、試料に関連する遺伝情報を含むことができる。核酸配列は、バーコード配列またはその相補物を含むことができる。核酸配列のバーコード配列またはその相補物は、アレイ内の関連付けられた構造体を特定するために、LUTを使用して分析物の特性(例えば、色および/または強度)と電子的に関連付けることができる。
いくつかの態様において、生物学的試料中に存在する1つ以上の分析物の二次元または三次元の空間的プロファイリングは、互いに空間的に近接しているおよび/または互いに相互作用する2つの分析物を検出する反応である近接捕捉反応を使用して実行することができる。例えば、空間的に互いに近接しているDNAの配列を検出するために近接捕捉反応を使用することができ、例えば、これらのDNA配列は同一の染色体内に存在し得るが、約700bp以下だけ離れていることができる。別の例として、タンパク質会合、例えば互いに相互作用する2つのタンパク質を検出するために、近接捕捉反応を使用することができる。近接捕捉反応は、互いに空間的に近接している、および/または細胞内で互いに相互作用している2つの分析物を検出するためにインサイチュで行うことができる。近接捕捉反応の非限定的な例としては、DNAナノスコピー、DNA顕微鏡法および染色体立体構造捕捉法が挙げられる。異なるゲノムエレメント間の空間的近接性を推定するために、染色体立体構造捕捉(3C)および派生的実験手順を使用することができる。クロマチン捕捉法の非限定的な例としては、染色体立体構造捕捉(3-C)、立体構造捕捉オンチップ(4-C)、5-C、ChIA-PET、Hi-C、標的指向型クロマチン捕捉(T2C)が挙げられる。このような方法の例は、例えば、Miele et al.,Methods Mol Biol.(2009),464,Simonis et al.,Nat.Genet.(2006),38(11):1348-54,Raab et al.,Embo.J.(2012),31(2):330-350およびEagen et al.,Trends Biochem.Sci.(2018)43(6):469-478に記載されており、これらの各々の全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、近接捕捉反応は近接ライゲーションを含む。いくつかの態様において、近接ライゲーションは、ライゲーション、複製、および配列復号反応に関与することができるDNA鎖が付着した抗体を使用することを含むことができる。例えば、近接ライゲーション反応は、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられるSoderberg et al.,Methods.(2008),45(3):227-32に記載されているように、例えば同じ標的タンパク質(複合体)を結合することによって抗体が各オリゴヌクレオチドに近接されれば、ライゲーションによって連結されることができる抗体の対に結合されたオリゴヌクレオチドを含むことができ、次いで、PCR増幅の鋳型とするために、形成するDNAライゲーション産物が使用される。いくつかの態様において、近接ライゲーションは、染色体立体構造捕捉方法を含むことができる。
いくつかの態様において、近接捕捉反応は、互いから約400nmの距離(例えば、約300nm、約200nm、約150nm、約100nm、約50nm、約25nm、約10nmまたは約5nm)以内の分析物に対して実行される。一般に、近接捕捉反応は可逆的または不可逆的であり得る。
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、インサイチュアッセイの結果を空間的アッセイの結果と相関させること、比較すること、および/または統合することを含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、インサイチュアッセイからの第1の分析物(例えば、第1の核酸またはタンパク質分析物)の存在/非存在、分布、位置、量、レベル、発現または活性を、空間的アッセイからの第2の分析物(例えば、第2の核酸またはタンパク質分析物)の存在/非存在、分布、位置、量、レベル、発現または活性と相関させ、比較し、および/または統合することを含む。
いくつかの態様において、生物学的試料を分析する方法であって、第1の基材上の生物学的試料を、生物学的試料中の核酸(またはその相補物もしくは増幅産物)である第1の標的核酸に直接的にまたは間接的にハイブリダイズする核酸分子を含む1つ以上のプローブと接触させることを含む方法が本明細書に開示される。第1の標的はRNA分子であり得る。いくつかの態様において、方法は、生物学的試料の空間的位置で1つ以上のプローブを検出することと、複数の捕捉剤がタンパク質標的であり得る第2の標的を捕捉することを可能にする条件を提供することとをさらに含む。いくつかの態様において、タンパク質標的は、結合剤および/またはタンパク質標的に対応する核酸標識を含む結合剤によって結合され、捕捉剤は核酸標識を捕捉し、それによってタンパク質標的を捕捉し得る。(結合剤および/またはタンパク質標的に対応する)捕捉された核酸標識またはその相補物もしくはその増幅産物は、空間的アッセイで分析され得る。例えば、複数の捕捉剤は、第1の基材にまたは第2の基材に直接的にまたは間接的に連結され得、複数の捕捉剤のうちの1つの捕捉剤は、核酸(例えば、核酸標識)を捕捉することができる捕捉ドメインと、第1の基材上または第2の基材上の捕捉剤の位置に対応する空間的バーコードとを含む。いくつかの態様において、本方法は、(i)(結合剤および/またはタンパク質標的に対応する)核酸標識またはその相補物の配列、および(ii)空間的バーコードまたはその相補物の配列を含む空間的に標識されたポリヌクレオチドを生成することをさらに含む。本明細書の態様のいずれにおいても、生物学的試料は、試料の空間的位置で1つ以上のプローブを検出する前、検出する間または検出した後に、タンパク質分析物に対する結合剤と接触させ得る。本明細書の態様のいずれにおいても、生物学的試料は、核酸である第1の標的のための試料に対して行われるインサイチュ配列決定モジュールの前、間、または後に、タンパク質分析物のための結合剤と接触され得る。いくつかの態様において、タンパク質分析物またはそのサブユニットもしくはポリペプチド配列は、核酸分析物の配列によってコードされ得る。
いくつかの態様において、生物学的試料を分析する方法であって、第1の基材上の生物学的試料を、生物学的試料中の非核酸標的である第1の標的を結合する結合剤の核酸標識(またはその相補物もしくは増幅産物)に直接的にまたは間接的にハイブリダイズする核酸分子を含む1つ以上のプローブと接触させることを含む方法が本明細書に開示される。第1の標的はタンパク質であり得る。核酸標識は、結合剤および/またはタンパク質標的に対応し得る。いくつかの態様において、本方法は、生物学的試料の空間的位置で1つ以上のプローブを検出することと、複数の捕捉剤がmRNAなどの核酸標的である第2の標的を捕捉することを可能にする条件を提供することとをさらに含む。捕捉された核酸標的またはその相補物もしくはその増幅産物は、空間的アッセイにおいて分析され得る。例えば、複数の捕捉剤は、第1の基材にまたは第2の基材に直接的にまたは間接的に連結され得、複数の捕捉剤のうちの1つの捕捉剤は、核酸(例えば、mRNAなどの核酸標的)を捕捉することができる捕捉ドメインと、第1の基材上または第2の基材上の捕捉剤の位置に対応する空間的バーコードとを含む。いくつかの態様において、本方法は、(i)mRNAなどの核酸標的またはその相補物の配列と(ii)空間的バーコードまたはその相補物の配列とを含む空間的に標識されたポリヌクレオチドを生成することをさらに含む。本明細書における態様のいずれにおいても、タンパク質分析物またはそのサブユニットもしくはポリペプチド配列は、核酸分析物の配列によってコードされ得る。
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、試料中の第1の複数の分析物からの無傷の組織構造体を、同じ試料中の第2の複数の分析物の全トランスクリプトーム、ヌクレオチド解像度(例えば、完全なRNA配列)分析が可能なアッセイ工程とインサイチュで統合する。いくつかの態様において、第1および第2の複数の分析物は、関心対象の核酸配列を含む。いくつかの態様において、第1および第2の複数の分析物はmRNA転写物である。いくつかの態様において、第1の複数の分析物は第2の複数の分析物の一部である、例えば、第1の複数は標的指向型分析のためのmRNA転写物のパネルであり、第2の複数は非標的指向型分析のための全トランスクリプトームまたはその一部である。いくつかの態様において、第1の複数の分析物はタンパク質分析物を含み、第2の複数の分析物はタンパク質分析物の少なくともいくつかに対応する核酸分子(例えば、mRNA転写物)を含む。
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、空間的に無傷の組織状況における第1の複数の分析物のインサイチュ分析と第2の複数の分析物の空間的分析とを含み、空間的分析はインサイチュ分析に対して確認的または補足的であり得る。いくつかの態様において、インサイチュ分析は、生物学的試料、例えば生物から単離された組織切片または基材上の組織培養物の2D分析を含む。いくつかの態様において、インサイチュ分析は、生物学的試料、例えば生物から単離された組織切片または3D形態のオルガノイド培養物などの組織培養物の3D分析を含む。
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、例えば、バイオマーカーとして核酸またはタンパク質分析物を使用することによる組織試料中の細胞表現型決定のための、第1の複数の核酸またはタンパク質分析物のインサイチュ分析と、例えば、1つ以上の特定の細胞表現型に関連する核酸分子を同定するための、例えば、発見モードでの多くの他の核酸分子(例えば、mRNA)のより深い配列決定のための、第2の複数の核酸分析物の空間的分析とを含む。
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、同じ試料の空間的アッセイからの結果を検証するために、試料のインサイチュ分析からの結果を使用することを含む。例えば、インサイチュで分析されたタンパク質分析物に対応する同じまたは関連する核酸分析物または核酸分子(空間的ゲノミクス分析からのDNA配列または空間的トランスクリプトミクス分析からのRNA転写物配列)の空間的分析を検証するために、複数の核酸分析物またはタンパク質分析物のインサイチュ配列決定結果が使用され得る。別の例では、例えば、組織形態の情報ならびに/または組織形態および/もしくは組織中の他の分子に関する核酸分析物の空間的関係性を提供することによって、同じまたは関連する核酸分析物のインサイチュ分析を検証するために、複数の核酸分析物の空間的分析の結果が使用され得る。
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、試料中の1つ以上のタンパク質分析物のインサイチュ分析および同じ試料中の1つ以上の核酸分析物、例えばmRNAの空間的分析を含む。いくつかの態様において、インサイチュ分析は、試料を1つ以上のプローブと接触させることを含み、プローブは、タンパク質分析物またはその一部(例えば、エピトープ)を結合する分析物結合部分(例えば、抗体)と、分析物結合部分および/またはタンパク質分析物またはその一部に対応する核酸バーコード配列とを含む。いくつかの態様において、インサイチュ分析は、例えば光学的画像化によって、1つ以上のプローブを分析することをさらに含む。例えば、1つ以上のプローブは、検出可能に標識された検出プローブによって直接的にまたは間接的に結合され得る1つ以上の核酸バーコード配列を含むバーコード付加されたプローブであり得る。試料中の1つ以上のタンパク質分析物の存在/非存在、分布、位置、量、レベル、発現または活性を明らかにするために、検出可能なシグナルまたは空間的パターンおよび/もしくは時間パターンを含む蛍光などの一連のシグナルが分析され得る。いくつかの態様において、1つ以上のタンパク質分析物は、組織試料の細胞から外に移動することなく、組織試料中においてインサイチュで(例えば、画像化によって)分析される。いくつかの態様において、1つ以上のタンパク質分析物は、組織試料から外に、例えば基材上に移動することなく、組織試料中においてインサイチュで(例えば、画像化によって)分析される。いくつかの態様において、プローブは分析物結合部分(例えば、抗体)を含み、核酸バーコード配列はインサイチュ分析中に切断されない。例えば、インサイチュ分析では、核酸バーコード配列は、タンパク質分析物に結合したプローブの分析物結合部分(例えば、抗体)から放出されないか、または基材上の捕捉剤によって捕捉されないが、インサイチュ分析後に、核酸バーコード配列は放出され、試料から放出された他の核酸分子(例えば、mRNA転写物)とともに空間的分析用の捕捉剤によって捕捉され得る。
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、試料中の1つ以上のポリアデニル化されていない分析物(例えば、ポリアデニル化されていないmRNA転写物)のインサイチュ分析、および同じ試料中の1つ以上のポリアデニル化された分析物(例えば、ポリAテールを有するmRNA転写物)の空間的分析を含む。
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、組織試料の第1の領域のインサイチュ分析および同じ組織試料中の第2の領域の空間的分析を含む。いくつかの態様において、第1および第2の領域は重複しない。いくつかの態様において、第1および第2の領域は重複する。領域は同一であり得、または一方の領域が完全に他方の領域内にあり得る。一例では、例えば超解像度顕微鏡を用いて、第1の複数の分析物(例えば、関心対象のmRNA転写物のパネル)について、試料中の細胞の一部がインサイチュで分析され、第2の複数の分析物、例えば非標的指向型トランスクリプトーム分析のための全mRNA転写物について、前記細胞を含む領域(例えば、1cm×1cmの組織切片)が本明細書に開示される空間的アッセイに供される。
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、複数のプローブを使用した第1の複数の分析物(例えば、関心対象の核酸分析物)のインサイチュ分析を含む。複数のプローブは、一次プローブ、第2のプローブ、および/またはさらに高次のプローブを含む得、そのうちの任意の1つ以上は核酸バーコード配列を含み得る。分析物または別のプローブへのプローブの結合は、直接的(例えば、直接的ハイブリダイゼーション)または間接的(例えば、スプリントまたは架橋プローブを介して)であり得る。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、核酸分析物またはその相補物もしくは産物(例えば、ハイブリダイゼーション産物、ライゲーション産物、(例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼによる)伸長産物、複製産物、転写/逆転写産物および/または増幅産物)に直接的にまたは間接的に結合する1つ以上のプローブを使用した、核酸分析物(例えば、DNAまたはmRNA)のインサイチュ分析を含む。いくつかの態様において、本方法は、本明細書に開示される空間的分析をさらに含み、捕捉剤が核酸分析物(例えば、DNAまたはmRNA)のみならず、1つ以上のプローブの少なくとも1つも直接的にまたは間接的に捕捉することを可能にする条件が提供される。いくつかの態様において、本方法は、(i)核酸分析物またはその相補物の配列と、(ii)本明細書に開示される捕捉剤の空間的バーコードまたはその相補物の配列とを含む第1の空間的に標識されたポリヌクレオチドを生成することをさらに含み、空間的バーコードは、基材(例えば、本明細書に開示される第1の基材または第2の基材)上の捕捉剤の位置に対応する。いくつかの態様において、本方法は、(i)1つ以上のプローブのうちの1つまたはその相補物の配列と、(ii)本明細書に開示される捕捉剤の空間的バーコードまたはその相補物の配列とを含む第2の空間的に標識されたポリヌクレオチドを生成することをさらに含む。いくつかの態様において、本方法は、(核酸分析物を分析するための)第1の空間的に標識されたポリヌクレオチドおよび(核酸分析物を直接的にまたは間接的に結合するプローブを分析するための)第2の空間的に標識されたポリヌクレオチドの両方を分析することを含み、他方を検証または補完するために、一方の分析を使用することができる。
いくつかの態様において、本方法は、核酸分析物(例えば、DNAまたはmRNA)と基材上の同じ位置の異なる捕捉剤分子上の1つ以上のプローブの少なくとも1つとを捕捉することを含む。いくつかの態様において、本方法は、核酸分析物(例えば、DNAまたはmRNA)と同じ空間的バーコード配列を有する異なる捕捉剤分子上の1つ以上のプローブの少なくとも1つとを捕捉することを含む。いくつかの態様において、本方法は、核酸分析物(例えば、DNAまたはmRNA)と同じ捕捉剤上の1つ以上のプローブの少なくとも1つを捕捉することを含む。いくつかの態様において、本方法は、(i)核酸分析物またはその相補物の配列と、(ii)1つ以上のプローブのうちの少なくとも1つまたはその相補物の配列と、(iii)本明細書に開示される捕捉剤の空間的バーコードまたはその相補物の配列とを含む空間的に標識されたポリヌクレオチドを生成することを含む。
いくつかの態様において、基材上に捕捉された1つ以上のプローブは、インサイチュ分析において、前記1つ以上のプローブによって標的とされない1つ以上の他の分析物(例えば、内因性核酸分子)に関する情報を提供するための空間的基準として機能し得る。
いくつかの態様において、インサイチュアッセイモジュールは、空間的アッセイモジュール用の基準マーカーとして使用される。例えば、インサイチュで脳組織切片を分析するために、遺伝子番号1の第1の分析物mRNA1を標的とするプローブP1を含むプローブパネルが使用され得る。mRNA1は脳で発現することが知られており、この転写物は、インサイチュ画像化中に組織試料中の位置Xで検出される。基材上の捕捉剤によって、プローブP1および遺伝子番号1のmRNA1を含む転写物が捕捉され、空間的バーコード(位置Xに対応する空間的バーコードを含む)によってタグ化され、配列決定に供される。位置Xからの配列決定リードは、(インサイチュ読み取りの検証として)P1に対応する配列を含む配列決定リードおよびmRNA1に対応する配列を含む配列決定リードだけでなく、mRNA2に対応する配列を含む配列決定リードも含む。mRNA2は、遺伝子番号1と異なる遺伝子番号2の転写物、または遺伝子番号1からのmRNA1の変異形(例えば、スプライスバリアント)であり得る。mRNA2は、インサイチュプローブパネル中のプローブ(例えば、プローブP1)によって標的とされてもよく、または標的とされなくてもよい。それにもかかわらず、mRNA2に対応する配列と位置Xに対応するその空間的バーコードまたは相補物を含む配列決定リードは、mRNA2もX位に存在し、および/または発現されることを示すが、mRNA2はインサイチュ分析ではプローブによって表されない。この例では、基材上に捕捉されたプローブ(例えば、P1)は、基材上の位置(例えば、位置X)で空間的基準として機能し、その位置に対応する空間的バーコードまたはその相補物の配列を含む空間的に標識されたポリヌクレオチドの分析は、インサイチュ分析においてプローブによって表されないまたは標的とされない分析物(例えば、mRNA2)の存在/非存在、分布、位置、量、レベル、発現または活性の情報を提供することができる。
IX. 組成物およびキット
例えば本明細書に開示される1つ以上のポリヌクレオチドと、本明細書に提供される方法を実施するための試薬、例えば本明細書に記載されるハイブリダイゼーション、ライゲーション、増幅、検出、配列決定、アレイ調製、分析物捕捉および/または試料調製を含む1つ以上の工程のために必要とされる試薬とを含むキットも本明細書に提供される。いくつかの態様において、キットは1つ以上の基材(例えば、第1の基材および/または第2の基材)を含む。いくつかの例では、基材は、その上に直接的にまたは間接的に固定化された複数の捕捉剤(例えば、捕捉プローブ)を含み得る。いくつかの態様において、キットは標的核酸をさらに含む。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドのいずれかまたはすべてがDNA分子である。いくつかの態様において、標的核酸はメッセンジャーRNA分子である。
キットの様々な構成要素は、別個の容器中に存在し得、またはある一定の適合的な構成要素は、単一の容器に予め組み合わされ得る。いくつかの態様において、キットは、提供された方法を実施するためにキットの構成要素を使用するための説明書をさらに含有する。
いくつかの態様において、キットは、提供される方法の1つ以上の工程を実施するために必要とされる試薬および/または消耗品を含有することができる。いくつかの態様において、キットは、生物学的試料を固定し、包埋し、および/または透過処理するための試薬を含有する。いくつかの態様において、キットは、リガーゼおよび/またはポリメラーゼなどのライゲーションおよび/または増幅のための酵素および緩衝液などの試薬を含有する。いくつかの局面において、キットは、本明細書に記載される試薬のいずれをも、例えば洗浄およびライゲーション緩衝液も含むことができる。いくつかの態様において、キットは、バーコード検出プローブまたは検出可能な標識などの、検出および/または配列決定のための試薬を含有する。いくつかの態様において、キットは、任意で、他の構成要素、例えば、核酸プライマー、酵素および試薬、緩衝液、ヌクレオチド、修飾されたヌクレオチド、さらなるアッセイのための試薬を含有する。
X. 用語
記載されている装置、システム、方法および組成物の様々な局面を説明するために、本開示を通じて特定の用語が使用される。
本発明のいくつかの例示的な態様を記載してきたが、上記は単なる例示であり、限定ではなく、単なる例として提示されていることは当業者に自明なはずである。多数の修正および他の例示的な態様は、当業者の範囲内にあり、本発明の範囲内に属すると考えられる。特に、本明細書に提示される例の多くは、方法動作またはシステム要素の特定の組み合わせを含むが、これらの動作およびこれらの要素は、同じ目的を達成するために他の様式で組み合わされ得ることを理解されたい。
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈上明確に別段の指示がなければ、複数の言及を含む。例えば、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味する。
本明細書で使用される「約」という用語は、当業者に自明なそれぞれの値に対する通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」値またはパラメータという表記は、その値またはパラメータ自体を対象とする態様を含む(および記述する)。
本開示を通じて、特許請求される主題の様々な局面は、範囲形式で提示される。範囲形式での記載は、単に便宜および簡潔さのためのものであり、特許請求される主題の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、すべての可能な部分範囲のみならず、その範囲内の個々の数値をも具体的に開示したと見なされるべきである。例えば、値の範囲が提供されている場合、その範囲の上限と下限の間にあるそれぞれの介在する値、およびその記載された範囲内の任意の他の記載された値または介在する値が特許請求される主題内に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限はまた、そのより小さな範囲に独立して含まれ得、表記された範囲内の任意の具体的に除外された限界に服して、特許請求される主題内に包含される。表記された範囲が限界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界値の一方または両方を除外した範囲も、特許請求される主題に含まれる。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
請求項要素を修飾するための特許請求の範囲における「第1の」、「第2の」、「第3の」などの序数用語の使用は、それ自体、1つの請求項要素の別の要素に対する優先、優位もしくは順序、または方法の動作が実行される時間的順序を含意するものではなく、単に、ある一定の名称を有する1つの請求項要素を(序数用語の使用は除いて)同じ名称を有する別の要素から区別してこれらの請求項要素を区別するための標識として使用される。同様に、a)、b)など、またはi)、ii)などの使用は、それ自体、特許請求の範囲における工程の優先、優位または順序を含意するものではない。同様に、本明細書におけるこれらの用語の使用は、それ自体、必要とされる優先、優位または順序も含意しない。
(i)バーコード
「バーコード」は、情報(例えば、試料中の分析物、ビーズおよび/または捕捉プローブに関する情報)を伝達するかまたは伝達することができる標識または識別子である。バーコードは、分析物の一部であり得るか、または分析物から独立し得る。バーコードは、分析物に付着させることができる。あるバーコードは、他のバーコードと比較して特有であり得る。
バーコードは、様々な異なるフォーマットを有することができる。例えば、バーコードは、ポリヌクレオチドバーコード;ランダム核酸および/またはアミノ酸配列;ならびに合成核酸および/またはアミノ酸配列を含むことができる。バーコードは、分析物または別の部分もしくは構造に可逆的または不可逆的に付着させることができる。バーコードは、例えば、試料の配列決定前または配列決定中に、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)試料の断片に付加することができる。バーコードは、個々の配列決定リードの同定および/または定量化を可能にすることができる(例えば、バーコードは、一意的分子識別子または「UMI」であることができ、または一意的分子識別子を含むことができる)。
バーコードは、例えば、単一細胞分解能で、生物学的試料中に見出される分子成分を空間的に分解することができる(例えば、バーコードは、「空間的バーコード」であることができ、または「空間的バーコード」を含むことができる)。いくつかの態様において、バーコードは、UMIと空間的バーコードの両方を含む。いくつかの態様において、バーコードは、単一のバーコードとして一緒に機能する2つ以上のサブバーコードを含む。例えば、ポリヌクレオチドバーコードは、1つ以上の非バーコード配列によって隔てられた2つ以上のポリヌクレオチド配列(例えば、サブバーコード)を含むことができる。
(ii)核酸およびヌクレオチド
「核酸」および「ヌクレオチド」という用語は、当技術分野におけるそれらの使用と一致し、天然に存在する種またはその機能的類似体を含むことを意図している。核酸の特に有用な機能的類似体は、配列特異的様式で核酸にハイブリダイズすることができる(例えば、2つのハイブリダイズされた核酸間でライゲーションが起こることができるように2つの核酸にハイブリダイズすることができる)か、または特定のヌクレオチド配列の複製のための鋳型として使用することができる。天然に存在する核酸は、一般に、ホスホジエステル結合を含有する骨格を有する。類似体構造は、当技術分野において公知の様々な代替の骨格連結のいずれをも含む代替の骨格連結を有することができる。天然に存在する核酸は、一般に、(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)中に見られる)デオキシリボース糖または(例えば、リボ核酸(RNA)中に見られる)リボース糖を有する。
核酸は、当技術分野において公知であるこれらの糖部分の様々な類似体のいずれかを有するヌクレオチドを含有することができる。核酸は、天然または非天然ヌクレオチドを含むことができる。これに関して、天然のデオキシリボ核酸は、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)またはグアニン(G)からなる群から選択される1つ以上の塩基を有することができ、リボ核酸は、ウラシル(U)、アデニン(A)、シトシン(C)またはグアニン(G)からなる群から選択される1つ以上の塩基を有することができる。核酸またはヌクレオチドに含めることができる有用な非天然塩基は、当技術分野において公知である。
(iii)プローブおよび標的
「プローブ」または「標的」は、核酸または核酸の配列に関して使用される場合、方法または組成物の文脈における核酸または配列に対する意味上の識別子として意図され、明示的に示されているものを超えて核酸または配列の構造または機能を限定するものではない。
(iv)オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド
「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」という用語は、約2~約500ヌクレオチド長のヌクレオチドの一本鎖多量体を指すために互換的に使用される。オリゴヌクレオチドは、合成であり得、酵素的に(例えば、重合を介して)または「スプリットプール」法を使用して作製され得る。オリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチド単量体(すなわち、オリゴリボヌクレオチドであり得る)および/またはデオキシリボヌクレオチド単量体(すなわち、オリゴデオキシリボヌクレオチド)を含むことができる。いくつかの例において、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド中にデオキシリボヌクレオチド単量体とリボヌクレオチド単量体の両方の組み合わせを含むことができる(例えば、デオキシリボヌクレオチド単量体とリボヌクレオチド単量体のランダムなまたは秩序付けられた組み合わせ)。オリゴヌクレオチドは、例えば、4~10、10~20、21~30、31~40、41~50、51~60、61~70、71~80、80~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~350、350~400または400~500ヌクレオチド長であり得る。オリゴヌクレオチドは、多量体構造に(例えば、共有結合的または非共有結合的に)付着されている1つ以上の機能的部分を含むことができる。例えば、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の検出可能な標識(例えば、放射性同位体または蛍光色素分子)を含むことができる。
(v)対象
「対象」は、哺乳動物(例えば、ヒトまたはヒト以外のサル)、鳥類(例えば、鳥)などの動物、または植物などの他の生物である。対象の例としては、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、有蹄動物、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、ネコ、イヌ、霊長類(すなわち、ヒトまたはヒト以外の霊長類)などの哺乳動物;アラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)、トウモロコシ、ソルガム、カラスムギ、コムギ、イネ、キャノーラまたはダイズなどの植物;クラミドモナス・レインハーディティ(Chlamydomonas reinhardtii)などの藻類;カエノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)などの線形動物;ドロソフィラ・メラノガスター(Drosophila melanogaster)、蚊、ショウジョウバエまたはミツバチなどの昆虫;クモ等のクモ類;ゼブラフィッシュなどの魚;爬虫類;カエルまたはゼノパス・ラエビス(Xenopus laevis)などの両生類;ディクチオステリウム・ディスコイデウム(Dictyostelium discoideum);ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)、タキフグ・ルブリペス(Takifugu rubripes)、酵母、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharamoyces cerevisiae)もしくはシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)などの真菌;またはプラスモジウム・ファルシパラム(Plasmodium falciparum)が挙げられるが、これらに限定されない。
(vi)スプリントオリゴヌクレオチド
「スプリントオリゴヌクレオチド」は、他のポリヌクレオチドにハイブリダイズされたときに、「スプリント」として作用してこれらのポリヌクレオチドが一緒にライゲーションされることができるようにこれらのポリヌクレオチドを互いに隣接して配置するオリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、スプリントオリゴヌクレオチドはDNAまたはRNAである。スプリントオリゴヌクレオチドは、2つ以上の異なるオリゴヌクレオチド由来のヌクレオチド配列に部分的に相補的なヌクレオチド配列を含むことができる。いくつかの態様において、スプリントオリゴヌクレオチドは、「ドナー」オリゴヌクレオチドと「アクセプタ」オリゴヌクレオチドのライゲーションを補助する。一般に、2つのヌクレオチド配列を一緒にライゲーションするために、RNAリガーゼ、DNAリガーゼまたは別の他の様々なリガーゼが使用される。
いくつかの態様において、スプリントオリゴヌクレオチドは、10オリゴヌクレオチド~50オリゴヌクレオチドの長さ、例えば、10オリゴヌクレオチド~45オリゴヌクレオチドの長さ、10オリゴヌクレオチド~40オリゴヌクレオチドの長さ、10オリゴヌクレオチド~35オリゴヌクレオチドの長さ、10オリゴヌクレオチド~30オリゴヌクレオチドの長さ、10オリゴヌクレオチド~25オリゴヌクレオチドの長さ、または10オリゴヌクレオチド~20オリゴヌクレオチドの長さである。いくつかの態様において、スプリントオリゴヌクレオチドは、15~50ヌクレオチドの長さ、15~45ヌクレオチドの長さ、15~40ヌクレオチドの長さ、15~35ヌクレオチドの長さ、15~30ヌクレオチドの長さ、15~30ヌクレオチドの長さまたは15~25ヌクレオチド長である。
(vii)アダプタ(Adaptor)、アダプタ(Adapter)およびタグ
「アダプタ」、「アダプタ」および「タグ」は、本開示において互換的に使用される用語であり、ライゲーション、ハイブリダイゼーションおよびタグメンテーションを含む(但し、これらに限定されない。)多くの異なる技術の任意の1つを使用して((「タギング」と呼ばれる過程において)ポリヌクレオチド配列に連結されることができる種を指す。アダプタはまた、機能を付加する核酸配列、例えばスペーサー配列、プライマー配列/部位、バーコード配列、一意的分子識別子配列であり得る。
(viii)ハイブリダイズしている、ハイブリダイズする、アニーリングおよびアニールする
「ハイブリダイズしている」、「ハイブリダイズする」、「アニーリング」および「アニールする」という用語は、本開示において互換的に使用され、2つの異なる分子内の実質的に相補的なまたは相補的な核酸配列の対形成を指す。対形成は、核酸配列が塩基対形成を介して実質的にまたは完全に相補的な配列と連結してハイブリダイゼーション複合体を形成する任意の過程によって達成することができる。ハイブリダイゼーションにおいて、2つの核酸配列の個々の塩基の少なくとも60%(例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%)が互いに相補的であれば、2つの核酸配列は、「実質的に相補的」である。
(ix)プライマー
「プライマー」は、核酸伸長反応において核酸ポリメラーゼの基質として使用することができる3’末端を有する一本鎖核酸配列である。RNAプライマーはRNAヌクレオチドから形成され、RNA合成において使用されるのに対して、DNAプライマーはDNAヌクレオチドから形成され、DNA合成において使用される。プライマーはまた、(例えば、ランダムまたは設計されたパターンで)RNAヌクレオチドおよびDNAヌクレオチドの両方を含むことができる。プライマーはまた、追加の機能を有することができる本明細書に記載される他の天然または合成ヌクレオチドを含むことができる。いくつかの例では、RNA合成を開始するためにDNAプライマーを使用することができ、逆もまた同様である(例えば、DNA合成を開始するためにRNAプライマーを使用することができる)。プライマーの長さは様々であり得る。例えば、プライマーは、約6塩基~約120塩基であり得る。例えば、プライマーは、最大約25塩基を含むことができる。プライマーは、いくつかの事例では、プライマー結合配列を指すことがあり得る。
(x)プライマー伸長
「プライマー伸長」は、2つの核酸配列(例えば、2つの別個の捕捉プローブの各々からの定常領域)が2つの核酸配列のそれぞれの末端の相補的核酸配列(すなわち、例えば、3’末端)の重複によって連結される(例えば、ハイブリダイズされる)任意の方法を指す。このような連結の後には、伸長のための鋳型として他方の核酸配列を使用して一方または両方の末端の核酸伸長(例えば、酵素的伸長)を行うことができる。酵素的伸長は、ポリメラーゼおよび/または逆転写酵素を含むがこれらに限定されない酵素によって行うことができる。
(xi)近接ライゲーション
「近接ライゲーション」は、酵素的手段(例えば、リガーゼ)を通じて、互いに近接している2つ(またはそれより多くの)核酸配列をライゲーションする方法である。いくつかの態様において、近接ライゲーションは、鋳型核酸分子の核酸配列に基づいて、関心対象の2つの核酸分子間の距離にわたるポリメラーゼによる1つ以上の核酸の組み込みを含む「ギャップ充填」工程を含むことができる(例えば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,264,929号を参照されたい)。
核酸分子の近接ライゲーションを行うために、「粘着末端」および「平滑末端」ライゲーションを含む(但し、これらに限定されない)多種多様な異なる方法を使用することができる。さらに、一本鎖核酸分子に対して近接ライゲーションを実施するために、一本鎖ライゲーションを使用することができる。粘着末端近接ライゲーションは、ライゲーション事象自体の前に、連結されるべき2つの核酸分子間での相補的一本鎖配列のハイブリダイゼーションを伴う。平滑末端近接ライゲーションは、一般に、両方の核酸分子がライゲーションの部位に一本鎖突出部を欠くので、各核酸分子からの相補的領域のハイブリダイゼーションを含まない。
(xii)核酸伸長
「核酸伸長」は、一般に、連続する核酸が酵素(ポリメラーゼまたは逆転写酵素など)によって組み込まれ、それによって新たに合成された核酸分子を生成するように、1つ以上の核酸(例えば、A、G、C、T、U、ヌクレオチド類似体、またはこれらの誘導体)を鋳型依存的様式で分子(限定されないが、核酸配列など)中に組み込むことを含む。例えば、相補的な核酸配列を核酸合成のための鋳型として使用することによって新たな核酸分子を合成するために、相補的な核酸配列にハイブリダイズするプライマーを使用することができる。同様に、ポリ(dT)配列(例えば、捕捉ドメイン)にハイブリダイズするmRNA転写物の3’ポリアデニル化テールを、対応するcDNA分子の一本鎖合成のための鋳型として使用することができる。
(xiii)PCR増幅
「PCR増幅」は、DNAおよびRNA配列を含む遺伝物質のコピーを生成するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用を指す。PCRを実施するための適切な試薬および条件は、例えば、米国特許第4,683,202号、同第4,683,195号、同第4,800,159号、同第4,965,188号および同第5,512,462号に記載されており、これらの各々の全内容は参照により本明細書に組み入れられる。典型的なPCR増幅では、反応混合物は、増幅されるべき遺伝物質、酵素、プライマー伸長反応において用いられる1つ以上のプライマー、および反応のための試薬を含む。オリゴヌクレオチドプライマーは、アニーリング条件下で相補的遺伝物質へのハイブリダイゼーションを与えるのに十分な長さである。プライマーの長さは一般に増幅ドメインの長さに依存するが、典型的には少なくとも4塩基、少なくとも5塩基、少なくとも6塩基、少なくとも8塩基、少なくとも9塩基、少なくとも10塩基対(bp)、少なくとも11bp、少なくとも12bp、少なくとも13bp、少なくとも14bp、少なくとも15bp、少なくとも16bp、少なくとも17bp、少なくとも18bp、少なくとも19bp、少なくとも20bp、少なくとも25bp、少なくとも30bp、少なくとも35bpであり、40bpまたはそれより長くすることができ、プライマーの長さは一般に18~50bpの範囲である。遺伝物質は、プライマー伸長、遺伝物質の線形または指数関数的増幅が望まれるかどうかに応じて、単一のプライマーまたは2つのプライマーの組(フォワードおよびリバースプライマー)と接触させることができる。
いくつかの態様において、PCR増幅過程はDNAポリメラーゼ酵素を使用する。DNAポリメラーゼ活性は、1つ以上の異なるDNAポリメラーゼ酵素によって提供されることができる。ある一定の態様において、DNAポリメラーゼ酵素は細菌由来であり、例えば、DNAポリメラーゼ酵素は細菌のDNAポリメラーゼ酵素である。例えば、DNAポリメラーゼは、エシェリヒア(Escherichia)属、バチルス(Bacillus)属、サーモフィルス(Thermophilus)属またはピロコッカス(Pyrococcus)属の細菌に由来し得る。
使用することができるDNAポリメラーゼの適切な例としては、大腸菌DNAポリメラーゼI、Bsu DNAポリメラーゼ、Bst DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼ、VENT(商標)DNAポリメラーゼ、DEEPVENT(商標)DNAポリメラーゼ、LongAmp(登録商標)Taq DNAポリメラーゼ、LongAmp(登録商標)Hot Start Taq DNAポリメラーゼ、Crimson LongAmp(登録商標)Taq DNAポリメラーゼ、Crimson Taq DNAポリメラーゼ、OneTaq(登録商標)DNAポリメラーゼ、OneTaq(登録商標)Quick-Load(登録商標)DNAポリメラーゼ、Hemo KlenTaq(登録商標)DNAポリメラーゼ、REDTaq(登録商標)DNAポリメラーゼ、Phusion(登録商標)DNAポリメラーゼ、Phusion(登録商標)High-Fidelity DNAポリメラーゼ、Platinum Pfx DNAポリメラーゼ、AccuPrime Pfx DNAポリメラーゼ、Phi29 DNAポリメラーゼ、Klenow断片、Pwo DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、T4 DNAポリメラーゼおよびT7 DNAポリメラーゼ酵素が挙げられるが、これらに限定されない。
「DNAポリメラーゼ」という用語は、天然に存在する酵素だけでなく、天然に存在するDNAポリメラーゼ酵素の誘導体も含む、天然に存在する酵素のすべての修飾された誘導体も含む。例えば、いくつかの態様において、DNAポリメラーゼを、5’-3’エキソヌクレアーゼ活性を除去するように修飾することができる。使用することができるDNAポリメラーゼ酵素の配列修飾された誘導体または変異体としては、限定されないが、野生型配列の機能的な、例えばDNAポリメラーゼ活性の少なくともいくつかを保持する変異体が挙げられる。変異は、異なる反応条件下での、例えば温度、鋳型濃度、プライマー濃度などでの酵素の活性プロファイルに影響を及ぼし得る、例えば重合の速度を向上または低下させ得る。変異または配列修飾は、酵素のエキソヌクレアーゼ活性および/または熱安定性にも影響を及ぼし得る。
いくつかの態様において、PCR増幅は、鎖置換増幅反応、ローリングサークル増幅反応、リガーゼ連鎖反応、転写媒介増幅反応、等温増幅反応、および/またはループ媒介増幅反応などの反応を含むことができるが、これらに限定されない。
いくつかの態様において、PCR増幅は、標的DNA断片の3’タグに相補的な単一プライマーを使用する。いくつかの態様において、PCR増幅は、第1および第2のプライマーを使用し、第1のプライマーの少なくとも3’末端部分は、標的核酸断片の3’タグの少なくとも一部に相補的であり、第2のプライマーの少なくとも3’末端部分は、標的核酸断片の5’タグの少なくとも一部の配列を示す。いくつかの態様において、第1のプライマーの5’末端部分は、標的核酸断片の3’タグに非相補的であり、第2のプライマーの5’末端部分は、標的核酸断片の5’タグの少なくとも一部の配列を示さない。いくつかの態様において、第1のプライマーは第1のユニバーサル配列を含み、および/または第2のプライマーは第2のユニバーサル配列を含む。
いくつかの態様において(例えば、PCR増幅が捕捉されたDNAを増幅する場合)、DNAリガーゼ酵素を使用して、PCR増幅産物を追加の配列にライゲーションすることができる。DNAリガーゼ活性は、1つ以上の異なるDNAリガーゼ酵素によって提供されることができる。いくつかの態様において、DNAリガーゼ酵素は細菌由来であり、例えば、DNAリガーゼ酵素は細菌DNAリガーゼ酵素である。いくつかの態様において、DNAリガーゼ酵素はウイルス(例えば、バクテリオファージ)に由来する。例えば、DNAリガーゼはT4 DNAリガーゼであり得る。ライゲーション工程に適した他の酵素には、Tth DNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼ、サーモコッカス種(Thermococcus sp.)(9oN株)DNAリガーゼ(9oNTM DNAリガーゼ、New England Biolabs、Ipswich、MAから入手可能)およびAmpligase(商標)(Epicentre Biotechnologies、Madison、WIから入手可能)が含まれるが、これらに限定されない。誘導体、例えば、配列修飾された誘導体および/またはその変異体も使用することができる。
いくつかの態様において、遺伝物質は逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によって増幅される。所望の逆転写酵素活性は、1つ以上の異なる逆転写酵素によって提供することができ、その適切な例には、M-MLV、MuLV、AMV、HIV、ArrayScript(商標)、MultiScribe(商標)、ThermoScript(商標)、およびSuperScript(登録商標)I、II、III、およびIV酵素が含まれるが、これらに限定されない。「逆転写酵素」には、天然に存在する酵素だけでなく、天然に存在する逆転写酵素の誘導体も含めて、そのすべてのそのような修飾された誘導体が含まれる。
さらに、野生型配列の機能的な、例えば逆転写酵素の活性の少なくとも一部を保持する変異体を含む、M-MLV、MuLV、AMVおよびHIV逆転写酵素の配列修飾された誘導体または変異体を使用して逆転写を行うことができる。逆転写酵素は、他の成分、例えば逆転写酵素の活性を増強または改善する安定化成分、例えばRNase阻害剤、DNA依存性DNA合成の阻害剤、例えばアクチノマイシンDを含む組成物の一部として提供することができる。逆転写酵素、例えばM-MLVの多くの配列修飾された誘導体または変異体、ならびに修飾されていないおよび修飾された酵素を含む組成物、例えばArrayScript(商標)、MultiScribe(商標)、ThermoScript(商標)ならびにSuperScript(登録商標)I、II、IIIおよびIV酵素が市販されている。
ある一定の逆転写酵素(例えば、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写酵素およびモロニーマウス白血病ウイルス(M-MuLV、MMLV)逆転写酵素)は、RNA(cDNA合成)および一本鎖DNA(ssDNA)の両方を鋳型として使用して相補的DNA鎖を合成することができる。したがって、いくつかの態様において、逆転写反応は、伸長反応のための鋳型としてRNAおよびssDNAの両方を使用することができる酵素(逆転写酵素)、例えばAMVまたはMMLV逆転写酵素を使用することができる。
いくつかの態様において、RNAおよび/またはDNAの定量化は、リアルタイムPCR(定量的PCRまたはqPCRとしても知られている)によって、限定されるわけではないが「TAQMAN(商標)」または「SYBR(登録商標)」などの当技術分野において周知の技術を用いて、またはキャピラリー(「LightCycler(登録商標)Capillaries」)上で行われる。いくつかの態様において、遺伝物質の定量は、光学吸光度およびリアルタイムPCRによって決定される。いくつかの態様において、遺伝物質の定量はデジタルPCRによって決定される。いくつかの態様において、標的核酸の発現レベルを比較するために、分析される遺伝子を、発現(mRNA)および量(DNA)に対応する参照核酸抽出物(DNAおよびRNA)と比較することができる。
(xiv)抗体
「抗体」は、相補的な標的抗原を認識して結合するポリペプチド分子である。抗体は、典型的には、Y字形に似た分子構造形状を有する。免疫グロブリンと呼ばれる天然に存在する抗体は、免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEの1つに属する。抗体はまた、合成的に作製され得る。例えば、モノクローナル抗体である組換え抗体は、原料細胞から抗体遺伝子を回収し、適当なベクター中に増幅し、宿主中にベクターを導入して宿主に組換え抗体を発現させることによって、合成遺伝子を用いて合成することができる。一般に、組換え抗体は、適切なオリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはハイブリダイゼーションプローブを使用して、任意の種の抗体産生動物からクローニングすることができる。非内因性種を含む抗体および抗体断片を生成するために、組換え技術を使用することができる。
合成抗体は、非免疫グロブリン源に由来することができる。例えば、抗体は、核酸(例えば、アプタマー)から、および抗原結合部位を形成するために超可変ループがその中に挿入されている非免疫グロブリンタンパク質足場(ペプチドアプタマーなど)から生成することができる。核酸またはペプチド構造に基づく合成抗体は、免疫グロブリン由来の抗体より小さく、より大きな組織浸透をもたらし得る。
抗体はまた、典型的には約12~14kDaの分子量を有する親和性試薬であるアフィマータンパク質を含むことができる。アフィマータンパク質は、一般に、高い親和性および特異性の両方で標的(例えば、標的タンパク質)に結合する。このような標的の例には、ユビキチン鎖、免疫グロブリンおよびC反応性タンパク質が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、アフィマータンパク質は、システインプロテアーゼ阻害剤に由来し、ペプチドループおよび結合部位を提供する可変N末端配列を含む。
抗体はまた、本明細書で使用される場合、「エピトープ結合断片」または「抗体断片」を指すことができ、これは一般に、必ずしも同じ程度ではないが、完全な抗体と同じエピトープを結合することができる完全な抗体の一部を指す。複数のタイプのエピトープ結合断片が可能であるが、エピトープ結合断片は、典型的には、抗原結合部位を保存するために(例えば、ジスルフィド結合によって)一緒に保持された少なくとも1対の重鎖可変領域および軽鎖可変領域(それぞれVHおよびVL)を含み、Fc領域の全部または一部を含有しない。抗体のエピトープ結合断片は、任意の適切な技術(例えば、組換えDNA技術または完全な抗体の酵素的もしくは化学的切断)によって所与の抗体から得ることができ、典型的には、完全な抗体をスクリーニングするのと同じように、特異性についてスクリーニングすることができる。いくつかの態様において、エピトープ結合断片は、F(ab’)2断片、Fab’断片、Fab断片、Fd断片またはFv断片を含む。いくつかの態様において、「抗体」という用語は、一本鎖可変断片(scFv)、ダイアボディもしくは他の多量体scFv、重鎖抗体、単一ドメイン抗体などの抗体由来ポリペプチド、またはポリペプチドに特異的抗原結合能を付与するのに十分な抗体の部分(例えば、1つ以上の相補性決定領域(CDR))を含む他のポリペプチドを含む。
(xv)親和性基
「親和性基」は、別の特異的なまたは特定の分子または部分と会合または結合することに関して高い親和性または選好性を有する分子または分子部分である。別の特異的なまたは特定の分子または部分との会合または結合は、水素結合、イオン力およびファンデルワールス相互作用などの非共有結合相互作用を介するものであり得る。親和性基は、例えば、タンパク質アビジンまたはストレプトアビジンと会合または結合するための高い親和性または選好性を有するビオチンであり得る。親和性基は、例えば、ビオチンに対する親和性を有するアビジンまたはストレプトアビジンを指すこともできる。親和性基および親和性基が結合または会合する特異的なまたは特定の分子または部分の他の例としては、限定されないが、抗体または抗体断片およびそれらのそれぞれの抗原、例えばジゴキシゲニンおよび抗ジゴキシゲニン抗体、レクチンおよび炭水化物(例えば、糖、単糖、二糖または多糖)、ならびに受容体および受容体リガンドが挙げられる。
親和性基と、親和性基が結合または会合するその特異的なまたは特定の分子または部分との任意の対は、例えば、第1の例では第1の分子が第2の分子に対する親和性基として特徴付けられ、第2の例では第2の分子が第1の分子に対する親和性基として特徴付けられるように、第1の分子と第2の分子との間でそれらの役割を逆転させることができる。
(xvi)標識、検出可能な標識、光学標識
「検出可能な標識」、「光学標識」および「標識」という用語は、本明細書では互換的に使用され、検出されるべき分子、例えばインサイチュアッセイ用のプローブ、捕捉プローブまたは分析物と関連付けられている(例えば、コンジュゲートされている)直接的にまたは間接的に検出可能な部分を指す。検出可能な標識は、それ自体直接検出可能であり得るか(例えば、放射性同位体標識または蛍光標識)、または酵素標識の場合、例えば、その基質化合物または基質組成物が直接検出可能である基質化合物または基質組成物の化学的変化を触媒することによって間接的に検出可能であり得る。検出可能な標識は、小規模検出に適することができ、および/またはハイスループットスクリーニングに適することができる。したがって、適切な検出可能な標識には、放射性同位体、蛍光色素分子、化学発光化合物、生物発光化合物および色素が含まれるが、これらに限定されない。
検出可能な標識は、定性的に(例えば、光学的またはスペクトル的に)検出することができ、または定量することができる。定性的検出は、一般に、検出可能な標識の存在(existence)または存在(presence)が確認される検出方法を含み、一方、定量可能な検出は、一般に、強度、持続時間、分極および/または他の特性などの定量可能な(例えば、数値的に報告可能な)値を有する検出方法を含む。いくつかの態様において、検出可能な標識は、構造体または構造体に関連付けられた捕捉プローブに結合されている。例えば、検出可能に標識された構造体は、ビーズに付着された蛍光標識、比色標識または化学発光標識を含むことができる(例えば、それらの各々の全内容が参照により本明細書に組み入れられるRajeswari et al.,J.Microbiol Methods 139:22-28,2017、およびForcucci et al.,J.Biomed Opt.10:105010,2015を参照)。
いくつかの態様において、複数の検出可能な標識を、検出されるべき構造体、捕捉プローブまたは組成物に付着させることができる。例えば、検出可能な標識は、核酸の重合または増幅の間に組み込むことができる(例えば、Cy5(登録商標)-dCTPなどのCy5(登録商標)標識されたヌクレオチド)。任意の適切な検出可能な標識を使用することができる。いくつかの態様において、検出可能な標識は蛍光色素分子である。例えば、蛍光色素分子は、7-AAD(7-アミノアクチノマイシンD)、アクリジンオレンジ(+DNA)、アクリジンオレンジ(+RNA)、Alexa Fluor(登録商標)350、Alexa Fluor(登録商標)430、Alexa Fluor(登録商標)488、Alexa Fluor(登録商標)532、Alexa Fluor(登録商標)546、Alexa Fluor(登録商標)555、Alexa Fluor(登録商標)568、Alexa Fluor(登録商標)594、Alexa Fluor(登録商標)633、Alexa Fluor(登録商標)647、Alexa Fluor(登録商標)660、Alexa Fluor(登録商標)680、Alexa Fluor(登録商標)700、Alexa Fluor(登録商標)750、Alloフィコシアニン(APC)、AMCA/AMCA-X、7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)、7-アミノ-4-メチルクマリン、6-アミノキノリン、Aniline Blue、ANS、APC-Cy7、ATTO-TAG(商標)CBQCA、ATTO-TAG(商標)FQ、Auramine O-Feulgen、BCECF(高pH)、BFP(青色蛍光タンパク質)、BFP/GFP FRET、BOBO(商標)-1/BO-PRO(商標)-1、BOBO(商標)-3/BO-PRO(商標)-3、BODIPY(登録商標)FL、BODIPY(登録商標)TMR、BODIPY(登録商標)TR-X、BODIPY(登録商標)530/550、BODIPY(登録商標)558/568、BODIPY(登録商標)564/570、BODIPY(登録商標)581/591、BODIPY(登録商標)630/650-X、BODIPY(登録商標)650-665-X、BTC、カルセイン、カルセインブルー、Calcium Crimson(商標)、Calcium Green-1(商標)、Calcium Orange(商標)、Calcofluor(登録商標)White、5-カルボキシフルオロセイン(5-FAM)、5-カルボキシナフトフルオロセイン、6-カルボキシローダミン6G、5-カルボキシテトラメチルローダミン(5-TAMRA)、カルボキシ-X-ローダミン(5-ROX)、Cascade Blue(登録商標)、Cascade Yellow(商標)、CCF2(GeneBLAzer(商標))、CFP(シアン蛍光タンパク質)、CFP/YFP FRET、クロモマイシンA3、Cl-NERF(低pH)、CPM、6-CR 6G、CTCホルマザン、Cy2(登録商標)、Cy3(登録商標)、Cy3.5(登録商標)、Cy5(登録商標)、Cy5.5(登録商標)、Cy7(登録商標)、Cychrome(PE-Cy5)、ダンシルアミン、ダンシルカダベリン、ダンシルクロリド、DAPI、Dapoxyl、DCFH、DHR、DiA(4-Di-16-ASP)、DiD(DilC18(5))、DIDS、Dil(DilC18(3))、DiO(DiOC18(3))、DiR(DilC18(7))、Di-4 ANEPPS、Di-8 ANEPPS、DM-NERF(4.5-6.5 pH)、DsRed(赤色蛍光タンパク質)、EBFP、ECFP、EGFP、ELF(登録商標)-97アルコール、エオシン、エリスロシン、臭化エチジウム、エチジウムホモ二量体-1(EthD-1)、塩化ユーロピウム(III)、5-FAM(5-カルボキシフルオレセイン)、Fast Blue、フルオレセイン-dTホスホルアミダイト、FITC、Fluo-3、Fluo-4、FluorX(登録商標)、Fluoro-Gold(商標)(高pH)、Fluoro-Gold(商標)(低pH)、Fluoro-Jade、FM(登録商標)1-43、Fura-2(高カルシウム)、Fura-2/BCECF、Fura Red(商標)(高カルシウム)、Fura Red(商標)/Fluo-3、GeneBLAzer(商標)(CCF2)、GFP Red Shifted(rsGFP)、GFP野生型、GFP/BFP FRET、GFP/DsRed FRET、Hoechst 33342&33258、7-ヒドロキシ-4-メチルクマリン(pH9)、1,5 IAEDANS、Indo-1(高カルシウム)、Indo-1(低カルシウム)、インドジカルボシアニン、インドトリカルボシアニン、JC-1、6-JOE、JOJO(商標)-1/JO-PRO(商標)-1、LDS 751(+DNA)、LDS 751(+RNA)、LOLO(商標)-1/LO-PRO(商標)-1、Lucifer Yellow、LysoSensor(商標)Blue(pH5)、LysoSensor(商標)Green(pH5)、LysoSensor(商標)Yellow/Blue(pH 4.2)、LysoTracker(登録商標)Green、LysoTracker(登録商標)Red、LysoTracker(登録商標)Yellow、Mag-Fura-2、Mag-Indo-1、Magnesium Green(商標)、Marina Blue(登録商標)、4-メチルウンベリフェロン、ミスラマイシン、MitoTracker(登録商標)Green、MitoTracker(登録商標)Orange、MitoTracker(登録商標)Red、NBD(アミン)、Nile Red、Oregon Green(登録商標)488、Oregon Green(登録商標)500、Oregon Green(登録商標)514、Pacific Blue、PBF1、PE(R-フィコエリトリン)、PE-Cy5、PE-Cy7、PE-Texas Red、PerCP(ペリディニンクロルフィルタンパク質)、PerCP-Cy5.5(TruRed)、PharRed(APC-Cy7)、C-フィコシアニン、R-フィコシアニン、R-フィコエリトリン(PE)、PI(ヨウ化プロピジウム)、PKH26、PKH67、POPO(商標)-1/PO-PRO(商標)-1、POPO(商標)-3/PO-PRO(商標)-3、ヨウ化プロピジウム(PI)、PyMPO、ピレン、ピロニンY、Quantam Red(PE-Cy5)、キナクリンマスタード、R670(PE-Cy5)、Red 613(PE-テキサスレッド)、赤色蛍光タンパク質(DsRed)、レゾルフィン、RH 414、Rhod-2、ローダミンB、ローダミングリーン(商標)、ローダミンレッド(商標)、ローダミンファロイジン、ローダミン110、ローダミン123、5-ROX(カルボキシ-X-ローダミン)、S65A、S65C、S65L、S65T、SBFI、SITS、SNAFL(登録商標)-1(高pH)、SNAFL(登録商標)-2、SNARF(登録商標)-1(高pH)、SNARF(登録商標)-1(低pH)、Sodium Green(商標)、SpectrumAqua(登録商標)、SpectrumGreen(登録商標)#1、SpectrumGreen(登録商標)#2、SpectrumOrange(登録商標)、SpectrumRed(登録商標)、SYTO(登録商標)11、SYTO(登録商標)13、SYTO(登録商標)17、SYTO(登録商標)45、SYTOX(登録商標)Blue、SYTOX(登録商標)Green、SYTOX(登録商標)Orange、5-TAMRA(5-カルボキシテトラメチルローダミン)、テトラメチルローダミン(TRITC)、Texas Red(登録商標)/ Texas Red(登録商標)-X、Texas Red(登録商標)-X(NHSエステル)、チアジカルボシアニン、Thiazole Orange、TOTO(登録商標)-1/TO-PRO(登録商標)-1、TOTO(登録商標)-3/TO-PRO(登録商標)-3、TO-PRO(登録商標)-5、Tri-color(PE-Cy5)、TRITC(テトラメチルローダミン)、TruRed(PerCP-Cy5.5)、WW 781、X-ローダミン(XRITC)、Y66F、Y66H、Y66W、YFP(黄色蛍光タンパク質)、YOYO(登録商標)-1/YO-PRO(登録商標)-1、YOYO(登録商標)-3/YO-PRO(登録商標)-3、6-FAM(フルオレセイン)、6-FAM(NHSエステル)、6-FAM(アジド)、HEX、TAMRA(NHSエステル)、Yakima Yellow、MAX、TET、TEX615、ATTO 488、ATTO 532、ATTO 550、ATTO 565、ATTO Rho101、ATTO 590、ATTO 633、ATTO 647N、TYE 563、TYE 665、TYE 705、5’ IRDye(登録商標)700、5’ IRDye(登録商標)800、5’ IRDye(登録商標)800CW(NHSエステル)、WellRED D4 Dye、WellRED D3 Dye、WellRED D2 Dye、Lightcycler(登録商標)640(NHSエステル)およびDy 750(NHSエステル)を含む群からのものであり得る。
上述のように、いくつかの態様において、検出可能な標識は、発光部分もしくは化学発光部分であるか、または発光部分もしくは化学発光部分を含む。一般的な発光/化学発光部分としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、大豆ペルオキシダーゼ(SP)などのペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびルシフェラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。これらのタンパク質部分は、適切な基質(例えば、酸化試薬+化学発光化合物)が与えられると、化学発光反応を触媒することができる。様々な条件下で化学発光を与える多くの化合物ファミリーが公知である。化学発光化合物ファミリーの非限定的な例としては、2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンルミノール、5-アミノ-6,7,8-トリメトキシ-およびジメチルアミノ[ca]ベンズ類似体が挙げられる。これらの化合物は、アルカリ性過酸化水素または次亜塩素酸カルシウムおよび塩基の存在下で発光することができる。化学発光化合物ファミリーの他の例としては、例えば、2,4,5-トリフェニルイミダゾール、パラ-ジメチルアミノおよび-メトキシ置換基、オキサリル活性エステルなどのオキサレート、p-ニトロフェニル、N-アルキルアクリジナムエステル、ルシフェリン、ルシゲニンまたはアクリジニウムエステルが挙げられる。いくつかの態様において、検出可能な標識は、金属ベースもしくは質量ベースの標識であるか、金属ベースもしくは質量ベースの標識を含む。例えば、小さなクラスタ金属イオン、金属、または半導体が質量コードとして機能し得る。いくつかの例では、金属は、周期表の第3~15族、例えば、Y、La、Ag、Au、Pt、Ni、Pd、Rh、Ir、Co、Cu、Biまたはこれらの組み合わせから選択することができる。
(xvii)鋳型乗り換えオリゴヌクレオチド
「鋳型乗り換えオリゴヌクレオチド」は、逆転写中に逆転写酵素(例えば、末端トランスフェラーゼ活性を有する酵素)によって付加された鋳型とされていないヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドは、逆転写酵素によって付加された鋳型とされていないポリ(C)ヌクレオチドにハイブリダイズする。いくつかの態様において、鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドは、cDNA増幅のために使用される完全長cDNAに共通の5’配列を付加する。
いくつかの態様において、鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドは、逆転写されているRNAの5’末端上に共通の配列を付加する。例えば、鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドは、cDNA分子の末端上に付加された鋳型とされていないポリ(C)ヌクレオチドにハイブリダイズし、逆転写酵素が鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドの5’末端までの複製を継続するための鋳型を提供し、それにより、さらなる増幅の準備ができている完全長cDNAを生成することができる。いくつかの態様において、完全長cDNA分子が生成されると、鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドは、cDNA増幅反応においてプライマーとして働くことができる。
いくつかの態様において、鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドは、逆転写もしくは他の末端トランスフェラーゼをベースとする反応の前に、逆転写もしくは他の末端トランスフェラーゼをベースとする反応と同時に、または逆転写もしくは他の末端トランスフェラーゼをベースとする反応の後に加えられる。いくつかの態様において、鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドが捕捉プローブ中に含まれる。ある一定の態様において、鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドを使用する試料分析の方法は、組織試料の分析物から核酸産物を生成し、その後鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドで核酸産物をさらに処理することを含むことができる。
鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション領域および鋳型領域を含むことができる。ハイブリダイゼーション領域は、標的にハイブリダイズすることができる任意の配列を含むことができる。いくつかの態様において、ハイブリダイゼーション領域は、例えば、cDNA分子の3’末端の突出したC塩基を補完するために一連のG塩基を含むことができる。一連のG塩基は、1つのG塩基、2つのG塩基、3つのG塩基、4つのG塩基、5つのG塩基または5つを超えるG塩基を含むことができる。鋳型配列は、cDNA中に組み込まれるべき任意の配列を含むことができる。他の態様において、ハイブリダイゼーション領域は、少なくとも1つのG塩基に加えて少なくとも1つの塩基を含むことができる。他の態様において、ハイブリダイゼーションは、G塩基ではない塩基を含むことができる。いくつかの態様において、鋳型領域は、少なくとも1つ(例えば、少なくとも2、3、4、5またはそれより多く)のタグ配列および/または機能的配列を含む。いくつかの態様において、鋳型領域およびハイブリダイゼーション領域は、スペーサーによって隔てられている。
いくつかの態様において、鋳型領域はバーコード配列を含む。バーコード配列は、空間的バーコードとして、および/または一意的分子識別子として作用することができる。鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドは、デオキシリボ核酸;リボ核酸;2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン(2-アミノ-dA)、逆位dT、5-メチルdC、2’-デオキシイノシン、Super T(5-ヒドロキシブチンル-2’-デオキシウリジン)、Super G(8-アザ-7-デアザグアノシン)、ロックド核酸(LNA)、非ロックド核酸(UNA、例えば、UNA-A、UNA-U、UNA-C、UNA-G)、Iso-dG、Iso-dC、2’フルオロ塩基(例えば、Fluoro C、Fluoro U、Fluoro AおよびFluoro G)または前述の任意の組み合わせを含む修飾された核酸を含むことができる。
いくつかの態様において、鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドの長さは、少なくとも約1、約2、約10、約20、約50、約75、約100、約150、約200または約250ヌクレオチドまたはそれより長いものであり得る。いくつかの態様において、鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドの長さは、多くとも約2、約10、約20、約50、約100、約150、約200または約250ヌクレオチドまたはそれより長いものであり得る。
以下の実施例は、例示を目的として含まれるにすぎず、本開示の範囲を限定することは意図されていない。
実施例1:空間的アレイをベースとする分析が後続するインサイチュ配列決定のためのSNAILプローブを使用して試料を分析する。
本実施例は、(例えば、読み取りとして蛍光顕微鏡法を使用する)インサイチュ配列決定の後、同じ試料の(例えば、アレイ上に捕捉された分子のNGSシーケンシングを使用する)空間的アレイベースの分析を使用して標的核酸分子の配列および空間的情報を生成することによって、生物学的試料を分析する方法を例示する(図1)。
生物学的試料(例えば、組織試料)は、十分な強度を有するカバーガラスなどの薄いアレイスライド上に配置される。組織は、当技術分野において公知の様々な技術を使用して固定され得る。例えば、組織は、パラホルムアルデヒド(PFA、高分子ホルムアルデヒド)および可逆的架橋剤を使用して固定され得る。いくつかの例では、試料中の核酸分子(例えば、RNA)は、試料をヒドロゲルに包埋し、核酸分子をヒドロゲルに架橋することによって所定の位置で固定され得る。まず組織試料をペプシンおよびHClで透過処理し、その後固定することができる。組織は、透過処理工程および/または可逆的架橋剤による処理の前および/または後に固定され得る。
組織が固定されたら、典型的な高度に多重化されたインサイチュ画像化アプローチ、例えば、プローブハイブリダイゼーション、ライゲーション、ローリングサークル増幅の後に、プローブによってmRNAを標的とし、インサイチュで分析した後、顕微鏡読み取りを用いて、ライゲーションによる配列決定またはハイブリダイゼーションによる配列決定を行う。例えば、インサイチュ一次プローブ(例えば、SNAILプローブ)、熱安定性逆転写酵素(RT)(例えば、40℃以上のハイブリダイゼーション温度で良好に機能する任意のRT酵素)、dNTP、鋳型乗り換えオリゴヌクレオチドおよびその他の成分を、適切な緩衝液とともに組織に添加し得る。したがって、本実施例では、cDNAは、例示的なワークフローの初期における逆転写中に生成される(例えば、インサイチュプローブハイブリダイゼーション中のRT)。
いくつかの例では、mRNAをスライド上に捕捉するために、または可逆的架橋剤が使用される場合に架橋を元に戻すために、脱架橋触媒が添加され得る。RT過程は、インサイチュプロトコルの残りの部分を通じて保存される安定なcDNAを生成する。SNAILプローブの3’OHはローリングサークル増幅(RCA)に利用可能であるが、(例えば、プライマーの3’末端がパドロックにハイブリダイズし、RNA標的にハイブリダイズしないために)RTには利用可能でなく、その結果、ライゲーションされていないパドロックプローブからのRNAの望ましくないRTは起こらない。
いくつかの例において、固定後工程は、PFAまたは他の架橋剤を使用して行われ得る。インサイチュプロトコルの間、内因性トランスクリプトームを保存するために、DNA-RNAハイブリッド中のRNAのRNAse Aおよび/またはRNAse H分解から保護するためのリボヌクレアーゼ(RNAse)阻害剤およびランダムプライマーを含む様々な阻害剤が使用され得る。
インサイチュプロトコルが完了したら、任意で、組織にプロテイナーゼK(ProK)を浸透させ、および/またはmRNA、cDNA、プローブ、ライゲーション産物および/または増幅産物などの分子がもはや定位置に(例えば、ヒドロゲルに)固定されないように脱架橋工程を任意で行うことができる。いくつかの事例では、プローブ(例えば、SNAILプローブ)は、空間的にバーコード付加された捕捉プローブを含むアレイ上に移動される。いくつかの例では、SNAILプローブセットのパドロックプローブは、アレイスライドによって捕捉され得る配列を含む。組織が溶解され、トランスクリプトーム(例えば、生成されたcDNA)がアレイスライド上に捕捉される。その後、ライブラリーの調製および配列決定が行われる。
mRNAを直接分析するいくつかの事例では、アレイスライド上の所定の位置にmRNAを固定するために様々なアプローチを使用することができる。例えば、mRNAの修飾プローブ(例えば、オリゴ(dT)プローブ)フィッシング(例えば、オリゴdT FISH)を行った後、架橋を行い、ランダム標的指向型のバーコード付加されたパドロックプローブを使用し、修飾されたヌクレオチドを用いたRCAがアンプリコンを所定の位置に固定することを可能にし得る。このアプローチでは、数百のRNAをインサイチュで分析することができるが、残りのRNAは空間的アレイ上での捕捉および配列決定を通じて分析される。
実施例2:空間的アレイをベースとする分析が後続するインサイチュ配列決定のためにパドロックプローブおよび架橋プローブを使用して試料を分析する。
本実施例は、試料中の標的核酸を分析し、空間的情報および配列決定情報の両方を生成する代替方法を例示する(図1)。
生物学的試料(例えば、組織試料)をスライド上に固定し、任意で実施例1に記載されるように透過処理する。組織が固定されたら、mRNAは、例えば、Gyllborg et al.,’’Hybridization-based In Situ Sequencing(HybISS):spatial transcriptomic detection in human and mouse brain tissue,’’bioRxiv 2020.02.03.931618に記載されているように、各々がアンカー配列およびバーコード配列を含むパドロックプローブを含むインサイチュ一次プローブによって標的とされる。一次プローブ(パドロックプローブ)を組織試料にハイブリダイズさせ、未結合プローブを試料から洗浄する。パドロックプローブは、関心対象の遺伝子に対応するRNAにハイブリダイズし、パドロックプローブの3’OHがもはやRTのために利用できないように、RNAを鋳型とするライゲーションを使用してライゲーションされる。RTは、例示的なワークフローにおけるパドロックプローブライゲーションの後に実施される。
次いで、閉じられた環は、RCA反応においてDNAポリメラーゼによって増幅される。RT過程は、インサイチュプロトコルの残りの部分を通じて保存される安定なcDNAを生成する。
いくつかの例において、固定後工程は、PFAまたは他の架橋剤を使用して行われ得る。インサイチュプロトコルの間、内因性トランスクリプトームを保存するために、DNA-RNAハイブリッド中のRNAのRNAse Aおよび/またはRNAse H分解から保護するためのリボヌクレアーゼ(RNAse)阻害剤およびランダムプライマーを含む様々な阻害剤が使用され得る。
インサイチュプロトコルが完了したら、任意で、組織にプロテイナーゼK(ProK)を浸透させ、および/またはmRNA、cDNA、プローブ、ライゲーション産物および/または増幅産物などの分子がもはや定位置に(例えば、ヒドロゲルに)固定されないように脱架橋工程を任意で行うことができる。いくつかの事例では、プローブは、空間的にバーコード付加された捕捉プローブを含むアレイ上に移動される。いくつかの例では、パドロックプローブは、アレイスライドによって捕捉され得る配列を含む。組織が溶解され、トランスクリプトーム(例えば、生成されたcDNA)がアレイスライド上に捕捉される。次いで、トランスクリプトームのライブラリー調製および配列決定が行われる。本方法は、包括的な配列決定読み取りと並行して、ヌクレオチド解像度でアレイ上の全転写を捕捉することができる。
本発明は、例えば、本発明の種々の局面を例示するために提供される特定の開示された態様に範囲が限定されることは意図されない。記載される組成物および方法に対する種々の改変が本明細書における説明および教示から明らかになるであろう。かかる変形は、本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく実施することができ、本開示の範囲内に含まれることが意図される。

Claims (73)

  1. (a)基材上の生物学的試料を、該生物学的試料中の第1の標的核酸またはその相補物もしくは増幅産物に直接的にまたは間接的にハイブリダイズする1つ以上の核酸プローブと接触させる工程であって、
    該基材が、その上に直接的にまたは間接的に固定化された複数の捕捉剤を含み、該複数の捕捉剤のうちの1つの捕捉剤が、(i)核酸を捕捉することができる捕捉ドメインと、(ii)該基材上の該1つの捕捉剤の位置に対応する空間的バーコードとを含む、工程、
    (b)該生物学的試料の空間的位置において該1つ以上の核酸プローブを検出する工程、
    (c)該捕捉剤が第2の標的核酸またはその相補物もしくは増幅産物を直接的にまたは間接的に捕捉することを可能にする条件を提供する工程、および
    (d)(i)該第2の標的核酸またはその相補物の配列と(ii)該空間的バーコードまたはその相補物の配列とを含む空間的に標識されたポリヌクレオチドを生成する工程
    を含む、生物学的試料を分析する方法。
  2. (a)第1の基材上の生物学的試料を、該生物学的試料中の第1の標的核酸またはその相補物もしくは増幅産物に直接的にまたは間接的にハイブリダイズする1つ以上の核酸プローブと接触させる工程、
    (b)該生物学的試料の空間的位置において該1つ以上の核酸プローブを検出する工程、
    (c)複数の捕捉剤が第2の標的核酸またはその相補物もしくはその増幅産物を直接的にまたは間接的に捕捉することを可能にする条件を提供する工程であって、該複数の捕捉剤のうちの1つの捕捉剤が、
    (i)該第2の標的核酸を捕捉することができる捕捉ドメインと、
    (ii)空間的バーコードと
    を含む、工程、および
    (d)(i)該第2の標的核酸またはその相補物の配列と(ii)該空間的バーコードまたはその相補物の配列とを含む空間的に標識されたポリヌクレオチドを生成する工程
    を含む、生物学的試料を分析する方法。
  3. 前記複数の捕捉剤が、前記第1の基材にまたは第2の基材に直接的にまたは間接的に結合されている、請求項2記載の方法。
  4. 前記空間的バーコードが、前記第1の基材上または第2の基材上の前記捕捉剤の位置に対応する、請求項2または3記載の方法。
  5. 工程(c)より前に、前記複数の捕捉剤を含む第2の基材を前記生物学的試料に提供する工程をさらに含む、請求項2~4のいずれか一項記載の方法。
  6. (a)第1の基材上の生物学的試料を、該生物学的試料中の第1の標的核酸またはその相補物もしくは増幅産物に直接的にまたは間接的にハイブリダイズする1つ以上の核酸プローブと接触させる工程、
    (b)該生物学的試料の空間的位置において該1つ以上の核酸プローブを検出する工程、
    (c)複数の捕捉剤が第2の標的核酸またはその相補物もしくはその増幅産物を直接的にまたは間接的に捕捉することを可能にする条件を提供する工程であって、該複数の捕捉剤が、該第1の基材にまたは第2の基材に直接的にまたは間接的に結合されており、該複数の捕捉剤のうちの1つの捕捉剤が、
    (i)核酸を捕捉することができる捕捉ドメインと、
    (ii)該第1の基材上または該第2の基材上の該1つの捕捉剤の位置に対応する空間的バーコードと
    を含む、工程、および
    (d)(i)該第2の標的核酸またはその相補物の配列と(ii)該空間的バーコードまたはその相補物の配列とを含む空間的に標識されたポリヌクレオチドを生成する工程
    を含む、生物学的試料中の標的核酸を分析する方法。
  7. 前記第1の標的核酸および前記第2の標的核酸が、同一の核酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
  8. 前記第1の標的核酸および前記第2の標的核酸が、異なる核酸配列を含む、請求項1~7のいずれか一項記載の方法。
  9. 前記第1の標的核酸および前記第2の標的核酸が、同一の分子または異なる分子である、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
  10. 前記第2の標的核酸が、前記第1の標的核酸、その配列、その相補物、そのハイブリダイゼーション産物、そのライゲーション産物、その伸長産物、その複製産物、その転写/逆転写産物および/もしくはその増幅産物であるか、または該第1の標的核酸、その配列、その相補物、そのハイブリダイゼーション産物、そのライゲーション産物、その伸長産物、その複製産物、その転写/逆転写産物および/もしくはその増幅産物を含む、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
  11. 前記第2の標的核酸が、前記1つ以上の核酸プローブ、該核酸プローブの相補物、該核酸プローブのハイブリダイゼーション産物、該核酸プローブのライゲーション産物、該核酸プローブの伸長産物、該核酸プローブの複製産物、該核酸プローブの転写/逆転写産物および/もしくは該核酸プローブの増幅産物の少なくとも1つであるか、または該1つ以上の核酸プローブ、該核酸プローブの相補物、該核酸プローブのハイブリダイゼーション産物、該核酸プローブのライゲーション産物、該核酸プローブの伸長産物、該核酸プローブの複製産物、該核酸プローブの転写/逆転写産物および/もしくは該核酸プローブの増幅産物の少なくとも1つを含む、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
  12. 前記第1の標的核酸および/または前記第2の標的核酸がRNA配列を含み、任意で該第1の標的核酸および/または該第2の標的核酸がmRNA分子である、請求項1~11のいずれか一項記載の方法。
  13. 前記生物学的試料が、工程(a)より前または工程(a)の間に可逆的に架橋される、請求項1~12のいずれか一項記載の方法。
  14. 工程(c)で提供される前記条件が、前記可逆的に架橋された生物学的試料を脱架橋することを含む、請求項13記載の方法。
  15. 工程(c)で提供される前記条件が、前記第2の標的核酸またはその相補物またはその増幅産物を前記生物学的試料から放出させることを含む、請求項1~14のいずれか一項記載の方法。
  16. 工程(c)で提供される前記条件が、前記生物学的試料中の前記第2の標的核酸もしくはその相補物もしくはその増幅産物を、前記基材(または前記第1の基材)または前記第2の基材の前記捕捉剤と接触させることを含む、請求項1~15のいずれか一項記載の方法。
  17. 工程(c)で提供される前記条件が、前記複数の捕捉剤を前記基材(もしくは前記第1の基材)からもしくは前記第2の基材から放出させること、および/または該放出された複数の捕捉剤を前記生物学的試料に向けておよび/もしくは該生物学的試料中にもしくは該生物学的試料上に送達することもしくは送ることを含む、請求項1~14のいずれか一項記載の方法。
  18. 前記複数の捕捉剤が、分析物捕捉剤に放出可能に結合された捕捉剤を含む、請求項1~17のいずれか一項記載の方法。
  19. 工程(b)が、処理または清浄化された生物学的試料に対して行われる、請求項1~18のいずれか一項記載の方法。
  20. 前記生物学的試料が組織試料を含む、請求項1~19のいずれか一項記載の方法。
  21. 前記組織試料が、約1μm~約50μmの厚さの組織切片であり、任意で、該組織切片が、約5μm~約35μmの厚さである、請求項20記載の方法。
  22. 前記組織試料がヒドロゲル中に包埋されている、請求項20または21記載の方法。
  23. 前記第1の標的核酸、その相補物、および/またはその増幅産物が、マトリックス、例えばヒドロゲルに可逆的に架橋されている、請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
  24. 前記1つ以上の核酸プローブの少なくとも1つが、前記第1の標的核酸中の配列またはその相補的配列を示すバーコード配列を含む、請求項1~23のいずれか一項記載の方法。
  25. 前記1つ以上の核酸プローブを検出する工程が、前記生物学的試料を画像化することを含む、請求項1~24のいずれか一項記載の方法。
  26. 工程(b)において、前記バーコード配列またはその相補的配列またはその増幅された配列の配列が決定される、請求項24または25記載の方法。
  27. 工程(b)が、複数のプローブのインサイチュ配列決定および/または逐次ハイブリダイゼーションを含む、請求項1~26のいずれか一項記載の方法。
  28. 前記1つ以上の核酸プローブが、前記第1の標的核酸またはその相補物または増幅産物に直接的にハイブリダイズする一次プローブを含む、請求項1~27のいずれか一項記載の方法。
  29. 前記第1の標的核酸がmRNAであり、前記相補物がcDNAであり、および/または前記増幅産物がローリングサークル増幅(RCA)産物である、請求項28記載の方法。
  30. 前記一次プローブが、パドロックプローブ、環状プローブ、または環状化されたプローブを含む、請求項28または29記載の方法。
  31. 前記一次プローブが、前記第1の標的核酸の配列に任意で対応する1つ以上のバーコード配列を含む、請求項28~30のいずれか一項記載の方法。
  32. 工程(b)が、前記生物学的試料を、前記一次プローブ(またはその相補物もしくは増幅産物)に直接的にまたは間接的にハイブリダイズすることができる1つ以上の検出可能に標識されたプローブと接触させることを含み、任意で、該1つ以上の検出可能に標識されたプローブが、該一次プローブ(またはその相補物もしくは増幅産物)の1つ以上のバーコード配列にハイブリダイズする、請求項28~31のいずれか一項記載の方法。
  33. 工程(b)が、前記生物学的試料を、前記一次プローブ(またはその相補物もしくは増幅産物)に直接的にまたは間接的にハイブリダイズすることができる1つ以上の二次プローブと接触させることを含み、任意で、該1つ以上の二次プローブが、該一次プローブ(またはその相補物もしくは増幅産物)の1つ以上のバーコード配列にハイブリダイズする、請求項28~32のいずれか一項記載の方法。
  34. 工程(b)が、前記生物学的試料を、前記1つ以上の二次プローブ(またはその相補物もしくは増幅産物)に直接的にまたは間接的にハイブリダイズすることができる1つ以上の検出可能に標識されたプローブと接触させることをさらに含み、任意で、該1つ以上の検出可能に標識されたプローブが、該1つ以上の二次プローブ(またはその相補物もしくは増幅産物)の1つ以上のバーコード配列にハイブリダイズする、請求項33記載の方法。
  35. 前記一次プローブ(またはその相補物もしくは増幅産物)の前記1つ以上のバーコード配列および/または前記1つ以上の二次プローブ(またはその相補物もしくは増幅産物)の前記1つ以上のバーコード配列を配列決定するために前記生物学的試料を画像化する工程を含み、任意で、該配列決定が、ライゲーションによる配列決定またはハイブリダイゼーションによる配列決定を含む、請求項31~34のいずれか一項記載の方法。
  36. 前記バーコード配列またはその相補的配列の配列を含む増幅産物を生成する工程をさらに含む、請求項24~35のいずれか一項記載の方法。
  37. 前記増幅産物がローリングサークル増幅によって生成される、請求項36記載の方法。
  38. 前記増幅産物が、1つ以上の修飾されたヌクレオチドを含む、請求項36または37記載の方法。
  39. 前記インサイチュ配列決定が、ライゲーションによる配列決定を含む、請求項27~38のいずれか一項記載の方法。
  40. 前記インサイチュ配列決定が、ハイブリダイゼーションによる配列決定を含む、請求項27~39のいずれか一項記載の方法。
  41. 前記画像化後に前記基材上の前記生物学的試料を透過処理する工程をさらに含む、請求項25~40のいずれか一項記載の方法。
  42. 前記第2の標的核酸がmRNA分子であり、前記捕捉剤が捕捉プローブを含む、請求項1~41のいずれか一項記載の方法。
  43. プライマー伸長のための鋳型として前記第2の標的核酸を使用する逆転写酵素(RT)プライマーとして前記捕捉プローブが機能するように、該捕捉プローブが遊離3’末端を含む、請求項42記載の方法。
  44. 前記遊離3’末端が、オリゴdT、ランダム配列、または遺伝子特異的配列を含む、請求項43記載の方法。
  45. 前記捕捉プローブが、前記空間的バーコードの5’側に存在するユニバーサルドメインをさらに含み、該ユニバーサルドメインが、
    (i)増幅ドメイン;および/または
    (ii)前記生成された空間的に標識されたポリヌクレオチドを前記基材の表面から放出させるための切断ドメイン
    を含む、請求項43または44記載の方法。
  46. 前記生成された空間的に標識されたポリヌクレオチドが、cDNAまたはその増幅産物である、請求項1~45のいずれか一項記載の方法。
  47. 前記捕捉ドメインが、工程(c)より前に、前記第1の標的核酸も、その相補物も、その増幅産物も捕捉しない、請求項1~46のいずれか一項記載の方法。
  48. 前記捕捉ドメインが、前記可逆的に架橋された生物学的試料を脱架橋するより前に、前記第1の標的核酸も、その相補物も、その増幅産物も捕捉しない、請求項1~46のいずれか一項記載の方法。
  49. 前記捕捉剤が、ハイブリダイゼーションによって、ライゲーションによって、またはハイブリダイゼーション後のライゲーションによって、例えばスプリントライゲーションによって、前記第2の標的核酸またはその相補物もしくはその増幅産物を捕捉する、請求項1~48のいずれか一項記載の方法。
  50. 前記捕捉剤が、前記1つ以上の核酸プローブまたはその相補物もしくはその増幅産物を捕捉する、請求項1~49のいずれか一項記載の方法。
  51. 前記捕捉剤が、前記第1の標的核酸にハイブリダイズされた前記1つ以上の核酸プローブを捕捉する、請求項1~50のいずれか一項記載の方法。
  52. 工程(c)より前に、前記第1の標的核酸にハイブリダイズされた前記1つ以上の核酸プローブを放出させる工程を含む、請求項51記載の方法。
  53. 前記空間的に標識されたポリヌクレオチドが、(i)前記1つ以上の核酸プローブのうちの1つの核酸プローブまたはその相補物の配列と、(ii)前記空間的バーコードまたはその相補物の配列とを含む、請求項51または請求項52記載の方法。
  54. 前記空間的に標識されたポリヌクレオチドまたはその一部が、分析のために(例えば、前記第1または第2の基材から)放出される、請求項1~53のいずれか一項記載の方法。
  55. 前記空間的に標識されたポリヌクレオチドまたはその相補物の少なくとも一部を決定する工程を含む、請求項1~54のいずれか一項記載の方法。
  56. 前記決定する工程が、ライゲーションによる配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、合成による配列決定、および/または結合による配列決定を含む、請求項55記載の方法。
  57. 前記放出された空間的に標識されたポリヌクレオチドが、配列決定前の増幅を任意で伴う直接的配列決定または間接的配列決定によって分析される、請求項54~56のいずれか一項記載の方法。
  58. 前記空間的に標識されたポリヌクレオチドの前記空間的バーコードと、前記1つ以上の核酸プローブの前記検出された空間的位置とを相関させる工程をさらに含む、請求項1~57のいずれか一項記載の方法。
  59. (a)生物学的試料を第1の核酸プローブおよび第2の核酸プローブと接触させる工程であって、該第1および第2の核酸プローブが、人工の基材上に固定化されていない、工程、
    (b)該生物学的試料中においてインサイチュでローリングサークル増幅(RCA)産物を生成する工程であって、該RCA産物が、該第1の核酸プローブまたはその相補物の配列を含む、工程、
    (c)第1の基材上での該生物学的試料の空間的位置において該RCA産物に関連するシグナル(例えば、蛍光シグナル)を検出する工程、
    (d)複数の捕捉剤が該第2の核酸プローブおよび/またはその産物を直接的にまたは間接的に捕捉することを可能にする条件を提供する工程であって、該複数の捕捉剤が、該第1の基材にまたは第2の基材に直接的にまたは間接的に結合されており、該複数の捕捉剤のうちの1つの捕捉剤が、
    (i)核酸を捕捉することができる捕捉ドメインと、
    (ii)該第1の基材上または該第2の基材上の該1つの捕捉剤の位置に対応する空間的バーコードと
    を含む、工程、ならびに
    (e)(i)該第2の核酸プローブおよび/またはその産物の配列と、(ii)該空間的バーコードまたはその相補物の配列とを含む空間的に標識されたポリヌクレオチドを生成する工程
    を含み、
    該第1の基材上または該第2の基材上の該空間的に標識されたポリヌクレオチドを検出する工程を含まない、
    生物学的試料を分析する方法。
  60. 前記第1および第2の核酸プローブが、同一のもしくは異なる分析物を標的とし、および/または前記生物学的試料中の同一のもしくは異なる分子に結合する、請求項59記載の方法。
  61. 前記第2の核酸プローブの配列またはその相補物を含むRCA産物を生成する工程を含まない、請求項59または60記載の方法。
  62. 前記第1の基材上または前記第2の基材上の空間的位置において前記第2の核酸プローブまたはその産物に関連するシグナル(例えば、蛍光シグナル)を検出する工程を含まない、請求項59~61のいずれか一項記載の方法。
  63. (f)前記第1の基材または前記第2の基材から前記空間的に標識されたポリヌクレオチドを除去する工程をさらに含み、該除去する工程より後に、該空間的に標識されたポリヌクレオチドの配列が決定される、請求項59~62のいずれか一項記載の方法。
  64. 前記第1の核酸プローブが、1つ以上のバーコード配列を任意で含むパドロックプローブを含む、請求項59~63のいずれか一項記載の方法。
  65. 前記第2の核酸プローブが、前記生物学的試料中のRNAまたはDNA(例えば、cDNA)分子にハイブリダイズする2つ以上のプローブを含み、該2つ以上のプローブが、1つ以上のバーコード配列を任意で含む、請求項59~64のいずれか一項記載の方法。
  66. 前記2つ以上のプローブが、前記生物学的試料中のmRNA分子にハイブリダイズするか、または該2つ以上のプローブが、前記第1の核酸プローブ(例えば、パドロックプローブ)またはその産物にハイブリダイズする、請求項65記載の方法。
  67. 前記RNAまたはDNA分子にハイブリダイズされた前記2つ以上のプローブをライゲーションして、ライゲーションされた第2の核酸プローブを生成する工程をさらに含む、請求項65または66記載の方法。
  68. 前記ライゲーションされた第2の核酸プローブが前記捕捉剤によって捕捉され、任意で、該ライゲーションが、RNAを鋳型とするかまたはDNAを鋳型とする反応である、請求項67記載の方法。
  69. (a)第1の基材上の生物学的試料を第1の核酸プローブおよび第2の核酸プローブと接触させる工程であって、該第1および第2の核酸プローブが、人工の基材上に固定化されていない、工程、
    (b)該生物学的試料中においてインサイチュでローリングサークル増幅(RCA)産物を生成する工程であって、該RCA産物が、該第1の核酸プローブまたはその相補物の配列を含む、工程、
    (c)複数の捕捉剤が該第2の核酸プローブおよび/またはその産物を直接的にまたは間接的に捕捉することを可能にする条件を提供する工程であって、該複数の捕捉剤が、該第1の基材にまたは第2の基材に直接的にまたは間接的に結合されており、該複数の捕捉剤のうちの1つの捕捉剤が、
    (i)核酸を捕捉することができる捕捉ドメインと、
    (ii)該第1の基材上または該第2の基材上の該1つの捕捉剤の位置に対応する空間的バーコードと
    を含む、工程、ならびに
    (d)(i)該第2の核酸プローブおよび/またはその産物の配列と、(ii)該空間的バーコードまたはその相補物の配列とを含む空間的に標識されたポリヌクレオチドを生成する工程
    を含む、生物学的試料を分析する方法であって、
    該RCA産物に関連するシグナル(例えば、蛍光シグナル)が、該第1の基材上の該生物学的試料の空間的位置において検出され、該空間的に標識されたポリヌクレオチドの配列を決定するために、該空間的に標識されたポリヌクレオチドが該第1の基材または該第2の基材から除去される、前記方法。
  70. (e)前記第1の基材上の前記生物学的試料の前記空間的位置において前記RCA産物に関連する前記シグナル(例えば、蛍光シグナル)を検出する工程をさらに含む、請求項69記載の方法。
  71. (f)前記空間的に標識されたポリヌクレオチドの配列を決定するために、前記第1の基材または前記第2の基材から前記空間的に標識されたポリヌクレオチドを除去する工程をさらに含む、請求項69または70記載の方法。
  72. ライゲーションによる配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、合成による配列決定、および/または結合による配列決定を使用して、前記除去された空間的に標識されたポリヌクレオチドまたはその相補物の配列を決定する工程をさらに含む、請求項63または請求項71記載の方法。
  73. 前記ライゲーションが、RNAを鋳型とするかまたはDNAを鋳型とする反応である、請求項67または請求項68記載の方法。
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