JP2023179810A - ラクトコッカス・ラクチス、ラクトバチルス属に属する微生物、又はこれらの混合微生物を含有する生菌剤及びその製造方法 - Google Patents

ラクトコッカス・ラクチス、ラクトバチルス属に属する微生物、又はこれらの混合微生物を含有する生菌剤及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生菌数が維持された状態で生菌を腸まで送達することができる生菌剤を提供すること。【解決手段】ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、ラクトバチルス(Lactbacillus)属に属する微生物、又はこれらの混合微生物を含む生菌剤であって、前記微生物が、少なくともシリカ及びグルタミン酸ナトリウムを含む保護剤で処理されてなる前記生菌剤。【選択図】図6

Description

本発明は、ラクトコッカス・ラクチス、ラクトバチルス属に属する微生物、又はこれらの混合微生物を含有する生菌剤、及びその製造方法に関する。
乳酸菌は、古くから、発酵食品分野で利用されてきた。歴史を遡ると、1857年にルイ・パスツール(Louis Pasteur)が乳酸菌を発見、その後、イリヤ・イリイチ・メチニコフ(Ilya Ilyich Mechnikov)が、その著作「長寿の研究(The Prolongation of Life)」(非特許文献1)で、不老長寿説を唱えた。これが契機となり、健康食や医学分野において乳酸菌の有用性が注目されることとなった。それ以降、ヒトの腸内に、乳酸菌が定着し、腸内菌叢を健全な状態することに関心が高まり、乳酸菌のもつ機能について、多くの研究が実施されてきた。具体的には、整腸作用をはじめとして、有害微生物からの感染防御作用、ヒトに対する免疫賦活作用、抗アレルギー作用、血圧調製作用、過敏性腸炎とストレス対策、抗腫瘍性などの研究が盛んに行われ、乳酸菌には多様な生理機能があることが明らかにされてきた。その中で、「プロバイオティクス(Probiotics)」の概念が生まれてきた。これは、抗生物質(Antibiotics)に対比する概念として、ヒトの腸内菌叢のバランスを改善することで、ヒトの健康に良い効果をもたらす微生物を含む食品添加物と定義され、欧州をはじめとして、世界中で、ヨーグルト等の商品が普及されている。さらに、腸内菌叢のなかで、有益な作用をもたらす微生物に選択的に利用されるオリゴ糖は「プレバイオティクス(Prebiotics)」と呼ばれている(非特許文献2」)。さらに「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」との組合せによる相乗効果の検討も報告されている(非特許文献3)。このように、乳酸菌には多様な生理機能があり、応用範囲も幅広く研究され、産業利用への期待値は高く、数多くの商品が開発されてきた。しかしながら、今なお、生理機能を誘導する物質本体やその作用機序については、充分に解明されていない。
ヒトの健康栄養領域にかぎらず、畜産動物やペットにも、乳酸菌の利用が検討されている。その理由は、畜産動物の生産性を改善する技術の1つである成長促進用抗生物質(antibiotic growth promoter, AGP)に起因する薬剤耐性遺伝子の問題である。抗生物質は、元来、病原菌の増殖を阻害することを中心に治療用途として開発されたが、その後、用途が拡大し、1950年代後半からは畜産動物の成長促進目的での利用が普及した。一方、薬剤耐性生菌の問題や環境汚染の観点から、2006年に欧州で成長促進用としての利用が禁止された。2016年、AGPの1つとして利用されていたColistin耐性遺伝子が中国の養豚場で見つかり、この遺伝子が可動性plasmid上に存在することが判明した(非特許文献4)。このままAGPを利用し続けると、2050年には、薬剤耐性菌はガン以上に巨大なリスクとなり、この課題に対してなにも対策を取らなければ、年間死亡率はガンを超えて1000万人に達する可能性があり、国際的な脅威となることが予見されている(非特許文献5)。これに伴い、各国でも治療用途にも利用されているAGPや、ヒト・動物共通の治療薬は、規制強化されている。
AGPを代替する素材の候補として、プロバイオティクスやプレバイオティクスの研究が多数ある(非特許文献6)。単胃動物にプロバイオティクスを給与する例として、Bacillus属をもちいた研究(非特許文献7, 特許文献1)や乳酸菌をもちいた研究(非特許文献8、非特許文献9, 特許文献2)がある。しかしながら、AGPの効果を凌駕し、市場の期待に応える決定的な解決策は、いまだに存在しない。また反芻動物では、抗生物質としてモネンシンが幅広く利用されている。反芻動物から放出されるメタンは、畜産に起因する主要な温室効果ガスの1つであり、宿主動物のエネルギー損失は食事エネルギーの2~12%に相当し、家畜生産の経済的観点からだけでなく、環境的観点からも腸内メタン生成の削減が必要である。そのため、モネンシンは、牛の飼料効率を改善するための飼料添加物として利用され、かたルーメンのメタン生成を軽減することが報告されている(非特許文献10)。モネンシンを代替する素材として、フマル酸を給与する方法(特許文献3)やシステインを給与する方法(特許文献4)などが知られているが、その効果は弱い。また、Bacteriocinの一つであるナイシン(Nisin)はメタン生成の抑制効果があるが、細菌プロテアーゼによりルーメン内で分解されるため、その効果は持続しない(非特許文献11)。また乳酸菌を用いて、メタン発生抑制を示唆する報告があるが、耐酸性を付与した生菌剤としていまだ具現化されていない(非特許文献12)。
乳酸菌の分泌する有効成分には、乳酸等の有機酸やバクテリオシンがある。バクテリオシンはおもに同種や類縁種に対する抗菌活性をもった蛋白質やペプチドの総称で、ナイシン(Nisin)やプランタリシン(Plantaricin)は、食品保存料として広く利用されている。抗生物質は、消化酵素で分解されない難分解性物質であるが、バクテリオシンは蛋白質であるため消化酵素で 容易に分解される。一般的に、抗生物質やバクテリオシンは、抗菌活性や抗菌スペクトルの研究は多数あるが、これらの物質が他の機能を有している報告は極めて少ない。多様な機能を有している可能性を調べた研究として、腸管上皮膜の堅牢性を高める機能等が報告されている(特許文献5)。
プレバイオティクスとして、オリゴ糖が商品化されているが、腸内菌叢に存在する、所謂、「善玉菌」の増殖を促進することは知られている(非特許文献13)。しかしながら、腸内菌叢全体での影響は大きくなく、本添加効果については、解明されていない。その理由の1つは、オリゴ糖が容易に代謝されるため、有効な機能があっても、その機能を発揮することができないことにある。一方、オリゴ糖ではなく、難分解性の多糖を用いることで、容易に腸内細菌に分解されず、腸炎を誘引するグラム陰性細菌SalmonellaやE.coli、Campylobacter等の所謂「悪玉菌」を選択的に凝集し、腸内から排出させる技術が報告されている(特許文献6)。多糖による「悪玉菌」凝集化機能と「善玉菌」を腸管定着させ、「善玉菌」の分泌する有効成分を機能させる組合せは報告例がない。
乳酸菌が腸管にどのように定着しているのかについても、これまで多くの研究が実施されてきた。腸粘膜に細胞表層のレクチンを介して付着する機構(非特許文献14)やリポテイコ酸が付着に関与していることを示唆する報告がある(非特許文献15)。また、宿主と細菌の相互作用にかかわる物質にMoonlighting protein がある。この蛋白質は、異なる複数の作用を有する蛋白質の総称であるが、その1つに、翻訳成長因子(Translation elongation factor Tu, EF-Tu)がある。EF-Tuは、細胞内に存在するが、一部、細胞外に移動し、ムチン層に定着する因子となることも明らかになってきた(非特許文献16)。
プロバイオティクスとして、ヨーグルトのような健康食品を利用する場合、耐酸性能が重要な要因なる。2時間以上、pH2の環境下で存在した場合、生菌数が激減する。一方、Bacillus subtilisのような芽胞形成菌を利用した商品も多数存在する。芽胞の形態は、耐酸性を有している一方、芽胞が発芽するまでに長時間を要するため、腸管到達時には芽胞の状態で存在し、充分な機能を発揮することなく、糞便として排出されることが多い。このような観点から、微生物に耐酸性を付与させる方法として、シリカを添加する方法(非特許文献17)がある。しかし、この文献には、Bacillus属に限定してSiが菌体内の細胞表層に局在化することで、耐酸性が付与することが報告されているが、他の微生物に関する報告はない。また、Glutamate decarboxylase (GadB)やGlutamine synthetase(GS)といった菌体内に存在するアミノ酸変換酵素により耐酸性が向上するとの報告もあるが(非特許文献18)、菌体外からグルタミン酸(Glu)やその塩、グルタミン(Gln)を与えることで耐酸性が付与されるとの報告はない。
特公平3-79988号公報 US2017/0020935A1 特開平11-46694号公報 特開平7-322828号公報 国際公開第2019/177171号 国際公開第2019/177172号
イリヤ・イリイチ・メチニコフ著、平野威馬雄訳、「長寿の研究(The Prolongation of Life)」、2006年、幸書房 日本乳酸菌学会編、「乳酸菌とビフィズス菌のサイエンス」、2010年、京都大学学術出版会 Journal of Nutritional Science (2013) v2 pp1-10 Lancet Infect Dis (2016) vol.16 pp.161-165 AMR Review (chaired by Jim O'Neill, Review on Antimicrobial Resistance) May 2016 Gut Pathog (2018) pp10-21 Journal of Applied Poultry Research (2000) vol.9(2) pp149-15 Poultry Science (2012) vol.91 pp1286-1291 Poultry Science (2014) vol.93(12) p3002 J. Anim. Sci. (1998) vol.76 pp906-914 FEMS Microbiol Ecol. (2002) vol.42(3) pp339-345 Asian-Australasian Journal of Animal Sciences (2010) vol.23(6) pp700-707 J.Daily Sci. Vol.64 (1981) pp185-192 Biosci.Biotechnol.Biochem. (1994) vol.58 (10) pp1851-1854 Appl.Environ.Microbiol., (1999) vol.65 (3) pp1071-1077 Infect Immun (2004) vol.72(4) pp2160-2169 Journal of Bacteriology (2010) pp111-116 Food Microbiology (2014) vol.42 pp172-180 J. Gen. Appl. Microbiol (2008) vol.54 pp9-24
したがって、本発明は、生菌数が維持された状態で、生菌を、胃を通過して腸まで送達することができる生菌剤を提供することを課題とする。本発明はまた、そのような生菌剤の製造方法を提供することを課題とする。
本発明により、以下の生菌剤及びその製造方法を提供する。
1.ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、ラクトバチルス(Lactbacillus)属に属する微生物、又はこれらの混合微生物を含む生菌剤であって、前記微生物が、少なくともシリカ及びグルタミン酸ナトリウムを含む保護剤で処理されてなる前記生菌剤。
2.微生物が、ラクトコッカス ラクチス(Lactococcus lactis)である前記1に記載の生菌剤。
3.微生物が、Nisinを産生する微生物である前記2に記載の生菌剤。
4.微生物が、ラクトバチルス属(Lactbacillus)に属する微生物である前記1に記載の生菌剤。
5.微生物が、バクテリオシンを産生する微生物である前記4に記載の生菌剤。
6.微生物が、腸管上皮膜の堅牢性を強化する物質を産生する微生物である前記4又は5に記載の生菌剤。
7.腸管上皮膜の堅牢性を強化する物質が、バクテリオシン又はフェロモンである前記6に記載の生菌剤
8.腸管上皮膜の堅牢性を強化する物質が、プランタリシン(Plantaricin)である前記6に記載の生菌剤。
9.微生物が、腸管定着因子を生合成する遺伝子を有する前記4に記載の生菌剤。
10.腸管定着因子が、レクチン、リポテイコ酸、又はEFTuである前記9に記載の生菌剤。
11.微生物が、ラクトバチルス プランタム(Lactbacillus plantarum)である前記4~10のいずれかに記載の生菌剤。
12.前記微生物が、ラクトコッカス・ラクチス FERM BP-8552、ラクトバチルス・プランタラム TUA1478L、ラクトバチルス・プランタラム TUA1490L、及びラクトバチルス・プランタラム TUA2424Lからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記1に記載の生菌剤。
13.保護剤が、さらに、グルタミンを含む、前記1~12のいずれかに記載の生菌剤。
14.保護剤が、さらに、アルギニン塩酸塩を含む、前記1~13のいずれかに項記載の生菌剤。
15.保護剤が、さらに、セルロースを含む、前記1~14のいずれかに記載の生菌剤。
16.保護剤が、シリカ、スキムミルク、グルタミン酸ナトリウム、及びグルタミンを含む、前記1~12のいずれかに記載の生菌剤。
17.保護剤が、スキムミルク100質量部に対し、シリカを1~10質量部、グルタミン酸ナトリウムを10~50質量部、及びグルタミンを10~50質量部を含む、前記16に記載の生菌剤。
18.保護剤が、シリカ、スキムミルク、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン及びアルギニン塩酸塩を含む、前記1~12のいずれかに記載の生菌剤。
19.保護剤が、スキムミルク100質量部に対し、シリカを1~10質量部、グルタミン酸ナトリウムを10~50質量部、グルタミンを10~50質量部、及びアルギニン塩酸塩を10~50質量部を含む、前記18に記載の生菌剤。
20.前記1~19のいずれかに記載の生菌剤を含む、サプリメント。
21.前記1~19のいずれかに記載の生菌剤を含む、飼料。
22.(a)ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、ラクトバチルス・(Lactbacillus)属に属する微生物、又はこれらの混合微生物を培養し、
(b)培養終了後、得られた培養物に、少なくともシリカ及びグルタミン酸ナトリウムを含む保護剤を添加して混合し、
(c)得られた混合物を放置して保護剤を菌体内に取り込ませることにより生菌剤を得る、
生菌剤の製造方法。
23.工程(c)の後、噴霧乾燥、凍結乾燥、又は撹拌凍結乾燥により乾燥する工程をさらに含む、前記22に記載の製造方法。
24.前記1~19のいずれかに記載の生菌剤を家畜に投与することを含む、家畜の増体効果および飼料効率を増大する方法。
本発明によれば、生菌数が維持された状態で生菌を腸まで送達することができる生菌剤を提供することができる。
図1は、Quercetin, NisinA およびLactococcus lactis FERM BP-855の種々の濃度におけるバリア機能の修復率を示す。 図2は、シリカを含む保護剤で処理したLactococcus lactis FERM BP-8552の透過型電子顕微鏡写真を示す。図2Aの中央に存在するひょうたん型の黒色の影が菌体そのものを示す。図2Bは、ケイ素が菌体内に存在することを示す。白色の複数の点がケイ素元素の存在を示す。 図3は、Bacillus subtilis (C-3102), Lactobacillus plantarum株の酸性下での生育率を示す。 図4は、QuercetinおよびLactobacillus plantarum株の種々の濃度におけるバリア機能の修復率を示す。 図5は、Lactobacillus plantarum株, TUA1490L, TUA2424LおよびTUA1478Lに存在するバクテリオシン生合成遺伝子を示す。 図6は、シリカを含む保護剤で処理したLactobacillus plantarumの透過型電子顕微鏡写真を示す。図6Aは、菌体の全体像を示す。図6Aの矢印方向の拡大図が、図6Cである。図6Cの矢印に沿って左端から右端まで水平方向にSiの存否を分析したのが図6Bである。40~45ポイント付近のピークがSiの存在を示す。 図7は、胃液及び腸液条件下での、2層被覆型飼料用添加剤からのArabic Gum(AG)の溶出率の経時変化を示す。
〔生菌剤〕
本明細書における「生菌剤」は、十分量を摂取したときに宿主に有益な作用をもたらす生きた微生物を含む。
<微生物>
本発明の生菌剤に含まれる微生物は、ラクトコッカス・ラクチス、ラクトバチルス属の乳酸菌、又はこれらの混合物である。
本発明で用いることのできるラクトコッカス・ラクチスとしては、Nisinを高分泌に生産するため、FERM BP-8552株が好ましい。なお、FERM BP-8552株は、2003年11月19日に独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1-1-1、郵便番号305-8566,現、独立行政法人 製品評価技術基盤機構、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8、郵便番号292-0818)に寄託されている。
本発明で用いることのできるラクトバチルス属としては、ラクトバチルス・アシッドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・アジリス(Lactobacillus agilis)、ラクトバチルス・アラクトサス(Lactobacillus alactosus)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)、ラクトバチルス・アミロフィラス(Lactobacillus amylophilus)、ラクトバチルス・アミロボランス(Lactobacillus amylovorans)、ラクトバチルス・アミロボルス(Lactobacillus amylovorus)、ラクトバチルス・アニマリス(Lactobacillus animalis)、ラクトバチルス・バタタス(Lactobacillus batatas)、ラクトバチルス・ババリカス(Lactobacillus bavaricus)、ラクトバチルス・ビファメンタス(Lactobacillus bifermentans)、ラクトバチルス・ビフィズス(Lactobacillus bifidus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ブンチネリ(Lactobacillus buchnerii)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・キャンテナフォルメ(Lactobacillus catenaforme)、ラクトバチルス・カセイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・セロビオスス(Lactobacillus cellobiosus)、ラクトバチルス・コリノイデス(Lactobacillus collinoides)、ラクトバチルス・コンフスス(Lactobacillus confusus)、ラクトバチルス・コプロフィルス(Lactobacillus coprophilus)、ラクトバチルス・コリニフォルミス(Lactobacillus coryniformis)、ラクトバチルス・コリノイデス(Lactobacillus corynoides)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・クルヴァトゥス(Lactobacillus curvatus)、デルブリュック-デルブルエキ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・デシデオサス(Lactobacillus desideosus)、ラクトバチルス・ダイバージェンス(Lactobacillus divergens)、ラクトバチルス・エンテリイ(Lactobacillus enterii)、ラクトバチルス・ファルシミニス(Lactobacillus farciminis)、ラクトバチルス・フェルメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・フリジダス(Lactobacillus frigidus)、ラクトバチルス・フルクティヴォランス(Lactobacillus fructivorans)、ラクトバチルス・ゲッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ハロトレランス(Lactobacillus halotolerans)、ラクトバチルス・ヘルヴェティクス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ヘテロヒオキー(Lactobacillus heterohiochii)、ラクトバチルス・ヒルガルディ(Lactobacillus hilgardii)、ラクトバチルス・ホルドニアエ(Lactobacillus hordniae)、ラクトバチルス・イヌリヌス(Lactobacillus inulinus)、ラクトバチルス・イエンセニイ(Lactobacillus jensenii)、ラクトバチルス・ユグリティ(Lactobacillus jugurti)、ラクトバチルス・カンドレリ(Lactobacillus kandleri)、ラクトバチルス・ケフィア(Lactobacillus kefir)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)ラクトバチルス・ライヒナマニ(Lactobacillus leichmannii)、ラクトバチルス・リンドネリ(Lactobacillus lindneri)、ラクトバチルス・マレフェルメンタンス(Lactobacillus malefermentans)、ラクトバチルス・マリ(Lactobacillus mali)、ラクトバチルス・マルタロミカス(Lactobacillus maltaromicus)、ラクトバチルス・マイナー(Lactobacillus minor)、ラクトバチルス・ミナタス(Lactobacillus minutus)、ラクトバチルス・ノビリス(Lactobacillus nobilis)、ラクトバチルス・ムリナス(Lactobacillus murinus)、ラクトバチルス・ペントサス(Lactobacillus pentosus)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・プスエドプランタラム(Lactobacillus pseudoplantarum)、ラクトバチルス・レウテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ロゴサエ(Lactobacillus rogosae)、ラクトバチルス・トレランス(Lactobacillus tolerance)、ラクトバチルス・トルクエンス(Lactobacillus torquens)、ラクトバチルス・ルミニス(Lactobacillus ruminis)、ラクトバシラス-サケ(Lactobacillus sake)、ラクトバチルス・サリヴァリゥス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・サンフランシスコ(Lactobacillus sanfrancisco)、ラクトバチルス・シャーペアエ(Lactobacillus sharpeae)、ラクトバチルス・トリコデス(Lactobacillus trichodes)、ラクトバチルス・バクチノステルカス(Lactobacillus vaccinostercus)、ラクトバチルス・ヴィリデセンス(Lactobacillus viridescens)、ラクトバチルス・ヴィトゥリニス(Lactobacillus vitulinus)、ラクトバチルス・キシロサス(Lactobacillus xylosus)、ラクトバチルス・ヤマナシエンシス(Lactobacillus yamanashiensis)、ラクトバチルス・ザアエ(Lactobacillus zeae)等があげられる。このうち、ラクトバチルス・プランタラムは食経験が豊富であり、それが産生するバクテリオシンであるプランタリシン(Plantaricin)は世界中で広く利用されているので、好ましい。
ラクトバチルス・プランタラムとしては、TUA1478L株、TUA1490L株(FERM P-21709)、及びTUA2424L株からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。このうち、耐酸性能および消化管上皮細胞の膜を堅牢化する能力(バリア修復能と同義)が高いことから、腸内炎症を予防可能なTUA2424L株が好ましい。
本発明で用いる微生物が、バクテリオシンを産生するのが好ましい。バクテリオシンは、細菌類が産生する、おもに同種や類縁種に対する抗菌活性をもったタンパク質やペプチドの総称である。
ラクトコッカス・ラクチスとしては、バクテリオシンの一種であるナイシン(Nisin)を産生できるものが好ましい。
ラクトバチルス・プランタラムとしては、プランタリシン(Plantaricin)-EF,プランタリシン-JK,プランタリシン-NC8αβ、プランタリシン-J51等のバクテリオシンを産生できるものが好ましい。なかでも、プランタリシン-JK、プランタリシン-N、プランタリシン-A、およびプランタリシン-EFを産生できるTUA1478L株、プランタリシン-NC8αβ、プランタリシン-A、およびプランタリシン-EFを産生できるTUA1490L株、及びプランタリシン-EFを産生できるTUA2424L株が好ましい。
本発明で用いる微生物としては、プランタリシンA,NC8-IF等のフェロモン;PlnN、OrfZ2等の他のペプチドを産生することができるものもまた好ましい。このうち、膜堅牢化作用を有するので、プランタリシンAを産生するラクトバチルス・プランタラムが好ましい。
本発明の生菌剤に含まれる微生物が、腸管定着因子を生合成する遺伝子を有すると、腸管内に定着して長期間効果を発揮できるので好ましい。腸管定着因子としては、レクチン、リポテイコ酸及びEF-Tu(翻訳成長因子(Translation elongation factor Tu))があげられる。
後述するとおり、本発明者らは、TUA1478L株、TUA1490L株、及びTUA2424L株にはEF-Tu合成遺伝子が存在することを確認した。したがって、これら3株は、腸管に定着可能であると考えられることから、腸内菌叢において増殖可能であり、より長期間効果を発揮すると思われる。
本発明の生菌剤に用いる微生物としては、ラクトバチルス属が好ましく、ラクトバチルス・プランタラムがより好ましく、ラクトバチルス・プランタラム TUA2424L株が特に好ましい。
<保護剤>
本発明の生菌剤は、少なくとも、シリカとグルタミン酸ナトリウム(MSG)とを含む保護剤により処理されている。この保護剤で前記微生物を処理することにより、微生物の耐酸性を向上させることができる。特に、処理条件により、菌体内にケイ素原子が取り込まれることにより、より高い耐酸性を得ることができる。グルタミン酸ナトリウムもまた、処理条件により、菌体内に取り込まれる。グルタミン酸ナトリウムは、乾燥時の生菌数減少を抑制するという役割も果たすと考えられる。
シリカ及びグルタミン酸ナトリウムの量は、微生物を保護するのに十分量であれば特に限定されない。例えば、シリカの量は、乾燥菌体1gに対して、0.01~5.0gであると、細胞内透過量および浸透圧等の観点で好ましい。乾燥菌体1gに対して、0.1~1.0であると、安定性および経済性の観点でより好ましい。グルタミン酸ナトリウムの量は、乾燥菌体1gに対して、0.01~10.0gであると、細胞内透過量、および浸透圧等の観点で好ましい。乾燥菌体1gに対して、0.15g~3.5gであると、安定性および経済性の観点でより好ましい。
保護剤が、さらにグルタミンを含むと、さらに耐酸性が向上するので好ましい。処理条件により、グルタミンも菌体内に取り込まれる。グルタミンの量は、乾燥菌体1gに対して、0.01~2.5gであると、細胞内透過量および浸透圧等の観点で好ましい。乾燥菌体1gに対して、0.2~2.5gであると、安定性および経済性の観点でより好ましい。
保護剤が、さらにアルギニン塩酸塩を含むと、さらに耐酸性が向上するので好ましい。処理条件によっては、アルギニン塩酸塩も菌体内に取り込まれる。アルギニン塩酸塩の量は、乾燥菌体1gに対して、0.01~10.0gであると、細胞内透過量および浸透圧等の観点で好ましい。乾燥菌体1gに対して、0.1~3.5gであると、安定性および経済性の観点でより好ましい。
保護剤が、さらにセルロースを含むと、より安定して乾燥粉体を調製できるので好ましい。セルロースの量は、乾燥菌体1gに対して、1g~20gであると、特により安定して乾燥粉体を調製できるので好ましい。
保護剤が、さらにグルタミンとアルギニン塩酸塩とを含むと、さらに特に耐酸性が向上するので好ましい。グルタミンとアルギニン塩酸塩とを、重量比にして、2:1~2:3の割合にすると、安定性および経済性の観点で好ましい。
保護剤が、さらにグルタミンとセルロースとを含むと、より安定して乾燥粉体を調製できるので好ましい。
保護剤が、さらにアルギニン塩酸塩とセルロースとを含むと、より安定して乾燥粉体を調製できるので好ましい。
保護剤が、さらにスキムミルクを含むと、乾燥時の生菌数減少を抑制できるので好ましい。スキムミルクの量は、乾燥菌体1gに対して、0.5g~20gであると、細胞内透過量および浸透圧等の観点で好ましい。乾燥菌体1gに対して、1g~10gであると、安定性および経済性の観点でより好ましい。
保護剤が、シリカ、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン及びスキムミルクを含むと、耐酸性を付与する細胞内透過量および浸透圧等の観点で好ましい。特に、保護剤が、シリカ、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン及びスキムミルクのみからなるのが好ましい。このとき、保護剤が、スキムミルク100質量部に対し、シリカを1~10質量部、グルタミン酸ナトリウムを10~50質量部、及びグルタミンを10~50質量部を含むと、安定性および経済性の観点で好ましい。
保護剤が、シリカ、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン、アルギニン塩酸塩及びスキムミルクを含むと、より耐酸性を付与する細胞内透過量および浸透圧等の観点で好ましい。特に、保護剤が、シリカ、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン、アルギニン塩酸塩及びスキムミルクのみからなるのが好ましい。このとき、保護剤が、スキムミルク100質量部に対し、シリカを1~10質量部、グルタミン酸ナトリウムを10~50質量部、グルタミンを10~50質量部、及びアルギニン塩酸塩を10~50質量部を含むと、安定性および経済性の観点で好ましい。
なお、セルロースは、保護剤として、シリカ及びグルタミン酸ナトリウムと一緒に菌体を処理するのに使用することもできるし、賦形剤として、乾燥後の菌体と一緒にして生菌剤を構成してもよい。
<更なる有効成分>
本発明の生菌剤は、前記微生物に加え、更なる有効成分として、バクテリオシン、多糖、オリゴ糖等を含んでもよい。本発明の生菌剤を、ヒトを除く動物用のサプリメントや飼料等の形態とする場合、本発明の生菌剤がバクテリオシン及び/又は多糖を含むと、バクテリオシンの悪玉菌駆除効果、および悪玉菌凝集を介する腸内菌叢改善による炎症誘導低減効果の相乗効果を発揮できる。本発明の生菌剤を、ヒトや動物用のサプリメント等の形態とする場合、本発明の生菌剤がオリゴ糖を含むと、善玉菌の増加による腸内菌叢を改善することができる。
バクテリオシンは、Paul D. Cotterの分類(Nat. Rev. Microbiol. 2005 Volume3 (10), pp777-88)によると、ClassIとClassIIとの2つのクラスに分類されている。本発明で用いることができるバクテリオシンとしては、ClassI、ClassIIb及びClassIIcに属するバクテリオシンがあげられる。具体的には、ナイシン(Nisin)、ガセリシン(Gassericin)、プランタリシン(Plantaricin)、及びサブチリン(Subtilin)からなる群から選ばれる少なくとも1種を好適に用いることができる。なお、各バクテリオシンの名前の後ろにアルファベットが附されていない場合、そのバクテリオシンの総称を意味する(例えば、用語「ナイシン」は、NisinA, NisinZ等を包含する概念である)。このうち、食経験が豊富であり、世界中で広く利用されているので、ナイシン、プランタリシンが好ましい。
本発明の生菌剤がバクテリオシンを含む場合、バクテリオシンの含有量を、生菌剤の全質量に対して、0.001~0.1質量%程度とすると、悪玉菌を駆除する抗菌効果の観点で好ましい。0.01~0.05質量%が、安定性および経済性の観点でより好ましい。
本発明で用いることができる多糖としては、Eschericha coli等のグラム陰性細菌を凝集させる性質を有するものが好ましい。グラム陰性細菌を凝集させる性質を有するか否かは、国際公開第2019/177172号に開示の方法により特定することができる。具体的には、プルラン、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、アラビックガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、コンドロイチン、タラガム、ローカストビーンガム、アルギン酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、又はアンモニウム塩)、アルギン酸エステル及びこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を好適に用いることができる。このうち、費用対効果の観点で、アラビックガム、プルラン、キサンタンガムが好ましい。
本発明の生菌剤が多糖を含む場合、多糖の含有量を、生菌剤の飼料添加量に対して、10~1000ppm程度とすると、安定した増体効果発揮できる点で好ましい。10~200ppmがより費用対効果の観点で好ましい。
オリゴ糖としては、キシロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖から選ばれる少なくとも1種を好適に用いることができる。このうち、費用対効果の観点で、フラクトオリゴ糖が好ましい。
本発明の生菌剤がオリゴ糖を含む場合、オリゴ糖の含有量を、生菌剤の全質量に対して、0.1~50質量%程度とすると、安定性および経済性の観点で好ましい。10~20質量%がより費用対効果の観点で好ましい。
<任意成分>
本発明の生菌剤は、酸化防止剤、例えば、クエン酸、アスコルビン酸、ビタミンE;ビタミン類、例えば、ビタミンA、B1、B2;ミネラル類、例えば、カルシウム、マグネシウム、マンガン;フレーバー等の各種成分を含んでもよい。このような任意成分の含有量は、生菌剤の全質量を基準にして、通常、0.01~10質量%程度である。
〔生菌剤の製造方法〕
本発明の生菌剤は、(a)ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、ラクトバチルス・(Lactbacillus)属に属する微生物、又はこれらの混合微生物を培養し、(b)培養終了後、得られた培養物に、少なくともシリカ及びグルタミン酸ナトリウムを含む保護剤を添加して混合し、(c)得られた混合物を放置して保護剤を菌体内に取り込ませることにより製造することができる。
<(a)培養>
本発明において使用する微生物の培養には、一般的なMRS培地、GYP培地、BLB培地等の乳酸菌用培地やこれらの改良培地を用いることができる。培地は、前記微生物の増殖を妨げない安全な物質をさらに含んでもよいが、牛海綿状脳症予防の観点から、動物由来材料を含まないのが好ましい。
培養条件は特に限定されないが、ラクトコッカス・ラクチスについては、一般に、温度は30~39℃が好ましく、培地のpHは4.5~7.5が好ましく、培養時間は5~30時間が好ましい。ラクトバチルス属については、一般に、温度は35~37℃が好ましく、培地のpHは5.5~6.5が好ましく、培養時間は10~25時間が好ましい。これ以外の条件でも、培地等他の条件を組み合わせて実施することができる。培養は、十分な生菌数が得られるまで行うのが良い。目安としては、10^10cfu/mL程度である。十分な生菌数が得られたかどうかは、例えば、適当に段階希釈した培養液の波長610nmにおける濁度が0.1以上となることを確認することにより、判断できる。
<菌体回収>
このようにして培養した培養物を、ろ過や遠心分離、膜分離に掛けて、菌体を分離し、回収した菌体を保護剤で処理して生菌剤とすることもできるし、上で培養した培養物そのものを、後述する保護剤で処理して生菌剤とすることができる。培養物から菌体を分離するための条件は、当業者であれば適宜決定することができる。
<(b)保護剤の添加及び混合>
培養を止めてから、前記保護剤を、培養物又は回収した菌体に添加する。保護剤は、一度に全量を添加してもよいし、少しずつ分けて添加してもよい。保護剤は、そのままの形態で添加してもよいし、水に溶解ないし分散させて液状の形態で添加してもよい。液状の形態で添加する方が、菌体全体にまんべんなく行き渡らせることができるので好ましい。例えば、保護剤を、乾燥菌体1gに対して、固形分として1~20gとなる量で添加するのが好ましく、1~10gとなる量で添加するのがより好ましい。
保護剤を全量添加後、撹拌混合し、菌体に保護剤を接触させる。撹拌は、バッチ式の場合、例えば少なくとも2時間、回転数10~200rpmで、連続式の場合、例えば少なくとも1時間、回転数50~100rpmで行うと、泡立ちせず、マイルドに攪拌できる。
<(c)保護剤の菌体内への取り込み>
工程(b)の後、菌体と保護剤との混合物を所定時間放置する。これにより、保護剤を菌体内に取り込むことができる。すなわち、一般的に、生菌剤を製造するとき、生菌を発酵させる工程に続いて次の乾燥工程を開始するまでの待ち時間には菌体を10℃程度で保存することにより生菌数を維持する。このとき、菌体を保護剤と接触させることにより、菌体内に保護剤が取り込まれ、菌体はより強い耐酸性を得る。ただし、保護剤を添加しただけでは、保護剤は菌体内に取り込まれない。保護剤を添加した後、数時間、少なくともアミノ酸は2時間以上、Siは10時間以上保存することで菌体内に保護剤が取り込まれることが分かった。その結果、本発明の生菌剤は、それが投与された生体内で、生菌数を高く維持することができる。したがって、10℃であれば10~18時間程度接触させておくのが好ましく、10~16時間程度がより好ましい。菌体の増殖や代謝、保護剤の取り込み速度は、最適温度から下がるにつれて低下する。そのため、保存温度を例えば4℃に下げるのであれば12~22時間程度が好ましく、20時間程度がより好ましい。逆に保存温度を例えば20℃に上げるのであれば10~16時間程度が好ましく、14時間程度がより好ましい。費用対効果の観点から、10℃で10~16時間程度保管するのが特に好ましい。菌体内に保護剤が取り込まれたか否かは、透過型電子顕微鏡で観察したり、保護剤取込前後の保護剤の上清濃度の変化を測定したりすることにより確認することができる。
<(d)乾燥>
菌体と保護剤とを接触させた後、菌体を乾燥してもよい。乾燥は、噴霧乾燥(Spray Dryer(SD))、凍結乾燥(Freeze Dry(FD))、撹拌凍結乾燥(Freeze Granulation- Freeze Dry(FG))又は常温真空乾燥により行うのが良い。噴霧乾燥、凍結乾燥、又は撹拌凍結乾燥により行うのがなお良い。なかでも、凍結乾燥は、費用対効果の観点で好ましい。撹拌凍結乾燥は、より効率的に製造できる点で好ましい。
乾燥温度は、主に微生物の種類によって決められるが、ラクトコッカス・ラクチスの場合、-20℃~+25℃が好ましく、ラクトバチルス属の場合、-20℃~+30℃が好ましい。
乾燥後の生菌剤の水分含量が、5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下がより好ましい。なお、本明細書において、水分含量は、恒温乾燥器を用いて105℃で240分間乾燥させ、乾燥前後の重量差から水分含量を測定することができる。
<(e)任意成分添加>
本発明の生菌剤が賦形剤(例えばセルロース)等の任意成分を含む場合、任意成分は、工程(c)の前に添加してもよいし、工程(c)の途中で添加してもよいし、工程(c)の後に添加してもよい。例えば、工程(c)の前と後とに分けて添加してもよい。賦形剤の殺菌工程を簡素化できる費用対効果の観点で、工程(c)の後に添加するのが好ましい。工程(d)を行う場合、工程(d)の後に添加するのがよい。
〔用途〕
<サプリメント>
本発明の生菌剤は、サプリメントの形態でヒトや動物に投与することもできる。ヨーグルト等に含ませて摂取することもできる。10^10cfu/gの生菌数がある生菌剤の場合は、前記微生物を、投与対象の体重1kg当たり、0.1mg~10gとなる量で、好ましくは1mg~1gとなる量で生菌剤に含ませるのがよい。本発明の生菌剤の1回あたりの摂取量、使用量又は投与量は、対象の体重等に応じて適宜調整されるが、例えば、3~5g/kg体重となるよう、本発明の生菌剤を摂取、使用又は投与するのが好ましい。本発明の生菌剤の一日当たりの摂取量、使用量又は投与量もまた、対象の体重等により異なるが、例えば、18~30g/成人(体重60kgとして)であることが好ましい。
なお、本明細書において、「サプリメント」とは、健康の保持、回復又は増進、あるいは病気の予防又は改善などを目的として、ヒト又は動物が摂取するものを指す。
本発明のサプリメントを摂取できる動物としては、牛、羊、山羊等の反芻動物、馬、豚、鶏、犬、魚等の単胃動物があげられる。
<抗生物質>
本発明の生菌剤は抗菌活性を有するので、抗生物質として使用することもできる。本発明の生菌剤を含む抗生物質は、薬剤耐性菌の問題を回避することができ、安全に使用できる。10^10cfu/gの生菌数がある生菌剤の場合は、投与対象の体重1kg当たり、前記微生物を、投与対象の体重1kg当たり、0.001g~1gとなる量で、好ましくは0.01g~1gcfuとなる量で生菌剤に含ませるのがよい。
<家畜の成長促進剤>
背景技術の欄に記載したとおり、従来、家畜の成長促進剤としては、主に抗生物質が使用されて来たが、薬剤耐性菌や環境汚染の観点から、利用が禁止されている国もある。本発明の生菌剤は、抗菌活性を有するので、従来の家畜の成長促進用抗生物質に代わる、家畜の成長促進用剤としても使用することができる。本発明の成長促進剤によれば、薬剤耐性菌や環境汚染といった問題を回避することができる。このとき、前記微生物を、投与対象の体重1kg当たり、10^7~10^10cfuとなる量で、好ましくは10^8~10^9cfuとなる量で生菌剤に含ませるのがよい。
<反芻動物のルーメンにおけるメタン生成抑制>
本発明の生菌剤に含まれるラクトコッカス・ラクチスは、バクテリオシンの一種であるナイシンを生成する。ナイシンは、反芻動物のルーメンにおいてメタン生成抑制効果があることが知られている(非特許文献9)。ラクトバチルス属の微生物、特にラクトバチルス・プランタラムは、バクテリオシンの一種であるプランタリシンを生成する。したがって、本発明の生菌剤は、反芻動物のルーメンにおけるメタン発生抑制剤としても使用することができる。
有効投与量は、動物の種類や体重等に依存するが、例えば、牛へ投与する場合、1日あたり体重1kgに対して、前記微生物が、好ましくは10^6~10^9cfu、より好ましくは10^7~10^8cfuである。
<飼料>
本発明の生菌剤は、動物にそのまま与えることもできるし、トウモロコシ、大豆粉、米ぬか、魚粉、ビール酵母等の賦形剤ないし希釈剤と一緒にして飼料として与えることもできる。本発明の飼料はまた、飼料に含まれ得る任意の添加剤を含んでもよい。本発明の飼料は、毎日連続して摂取するのが適当である。
本発明の飼料を投与できる動物としては、牛、羊、山羊等の反芻動物、馬、豚、鶏、犬、魚等の単胃動物があげられる。本発明の飼料を、単胃動物に与えるのが特に好ましい。
有効投与量は、動物の種類や体重等に依存するが、例えば、鶏へ投与する場合、1日あたり体重1kgに対して、前記微生物が、好ましくは10^7~10^10cfu、より好ましくは10^8~10^9cfuである。
試験例1:Nisin生産菌株であるLactococcus lactisの抗菌スペクトル
試薬品NisinAおよびNisinZ生産菌の培養上清液の抗菌スペクトルを比較した。NisinAは、Sigma-Aldrich社製の試薬(Nisin含量2.5質量%, balance sodium chloride and denatured milk solids) を使用した。またNisinZ生産菌は、Lactococcus lactis AJ110212 (FERM BP-8552)を用いた。BD Difco 社製のLactobacilli MRS 培地を用いて、NisinZ生産菌株を、常法により30℃において100rpmにて20時間、培養した。培養液は、分光光度計(ADVANTEC社製Biophoto-recorderTVS062CA)にて波長610nmにてOptical densityを測定、26倍希釈で0.1以上となることを確認することにより、十分量の菌体が得られたと判断した。得られた培養液を遠心分離(6,000G x10min, 4℃)にて、菌体画分を除去し、上清画分をフィルター濾過(ADVANTEC社DISMIC-25CS、0.20 μLフィルターユニット)して、無菌上清液を取得した。
検定菌は、以下の菌株を利用した。培地、培養温度は菌株の末尾のカッコ内に記載した。MRS培地はDifco 社製のLactobacilli MRS Brothを、GAM 培地及びLB培地は、日水製薬社製のものを、NB培地はDifco社製のものを用いた。検定菌はLactobacillus sakei JCM1157(MRS,37℃)、Lactobacillus acidophilus JCM1132(MRS,37℃)、Lactobacillus salivarius JCM1231(MRS,37℃)、Bifidobacterium thermophilum JCM1207(GAM,37℃)、Bacteroides fragilis JCM11019(GAM,37℃)、Clostridium perfringens ATCC10873(GAM,37℃)、Enterococcus faecalis JCM5803(MRS,30℃)、Escherichia coli ATCC700926 (LB, 37℃)、Salmonella enterica IAM1648(NB,37℃)を用いた。最小生育阻止強度は、Mayr-Harting, A. et al., Methods Microbiol. 197 2, 7A, pp315-422に記載のSpot-on-lawn methodを用いて、阻止円の大きさにて、定性的に判断した。結果を表1に示した。この結果、試薬品NisinAとNisinZ生産菌の抗菌スペクトルに殆ど差がないことが確認された。よって、NisinZ生産菌 Lactococcus lactis FERM BP-8552 は、生菌剤として用いることができると考えられる。
Figure 2023179810000002
試験例2:Caco-2細胞を用いたLactococcus lactis の膜堅牢化試験
J.Nutr.(2009) volume 139(5), pp965-974の記載に従って、乳酸菌の培養上清液を膜堅牢化能を評価した。試薬品としてNisinAおよびQuercetin、並びに乳酸菌としてNisinZ生産菌Lactococcus lactis FERM BP-8552を用いた。乳酸菌はMRS培地にて30℃で20時間、静置培養後、培養液を遠心分離(6,000G x10mi n, 4℃)にて、菌体画分を除去し、上清画分をフィルター濾過(ADVANTEC社DISMIC-25CS、0.20 μLフィルターユニット)して、無菌上清液を取得した。
Caco-2 細胞(ヒト消化管上皮細胞(ECACC、Code86010202))を、二層式のTranswell システムに播種し,37℃においてDMEM培地で培養した。培養12日目に、TNF-αを添加し、Tight Junctionのバリア機能を低下させた。培養14日目に、試験物質を添加し、同じ温度において24時間培養後、Millicell ER S-2(Millipore社製)を用いて、経上皮電気抵抗値TER(Ω*cm2)を測定することにより、バリア機能の修復(recovery ratio%)を評価した。結果を図1に示した。この結果からも、Lactococcus lactis FERM BP-8552 は、生菌剤として用いることができると考えられる。
実施例3:Lactococcus lactis を含む生菌剤の調製
(培養)
Lactococcus lactis FERM BP-8552は、以下のように、BD Difco 社製Lactobacilli MRS Broth培地を用いて、培養し、その後に粉体化した。すなわち、プレシード培養(坂口フラスコ, 50ml)およびシード培養(坂口フラスコ, 1L)を経て、メイン培養(発酵槽、20L)を実施した。NisinZ生産菌Lactococcus lactis FERM BP-8552を、30℃において100rpmにて培養した。培養は、20時間を目安とし、培養終了時は、島津製作所社製の分光光度計UVmini-1240にて濁度(Optical density、波長 610nm)を測定し、培養液の26倍希釈が、0.1以上となることを確認することにより、十分量の菌体が得られたと判断した。
(菌体画分の分離)
培養液(20L)を遠心分離機にて菌体画分を分離した。遠心機は、ベックマン・コールターAvanti J-Eを用い、温度15℃、遠心速度6,750G, 時間15分で実施した。ここで得られた培養液(20L)の菌体画分は、乾燥菌体として、20g相当量(10^12 cfu/g)であった。
(粉体前調製液)
シリカ 3g(EVONIC社製Carplex CS-7)、Skim milk 100g(BD社製)、及びグルタミン酸ナトリウム30g (味の素株式会社製)(乾燥菌体1gに対し、シリカ 0.15g、Skim milk 5.0g、及びグルタミン酸ナトリウム1.5gに相当)を水に混合した保護剤液1,000mlを調製し、これに菌体画分を添加して粉体前調製液1,200mlを調製して、4℃の冷蔵庫内で20時間静置した。
(粉体化)
以下の3つの方法で、実施した。
・Spray Dryer(SD)による粉体化:粉体前調製液に1/2量相当のセルロースパウダーを賦形剤として混合し、入口温度84℃、出口温度54℃にてスプレー・ドライヤーにて水分を除去し、粉体を調製した。
・Freeze Dry(FD)による粉体化:常法により、20時間、凍結減圧乾燥機を用いて、粉体前調製液から水分を除去し、粉体を調製した。
・Freeze Grunulation- Freeze Dry(FG)による粉体化:粉体前調製液をスターラーで攪拌しながら液体窒素中へ噴霧し、凍結粒子化し、粉体前調製液の乾物質量の1/2量相当のセルロースパウダーを混合し、凍結減圧乾燥にて粉体化した。
(生菌数評価)
生菌数の測定は、3つの粉体化方法により得られた粉体サンプル0.01gを生理食塩水1mlに懸濁し、順次、生理食塩水で10倍希釈し、希釈液0.1 mlをMRS寒天プレートに塗抹し、37℃で、24時間培養し、生成したコロニー数から、colony formed unit (cfu) /g を測定することにより行った。結果を表2に示した。
Figure 2023179810000003
試験例4:Lactococcus lactis を含む生菌剤の耐酸性試験
(人工胃液処理)
0.2% NaClおよび0.2% pepsin(from Porcine stomach Mucosa, 1:5,000, 2,500unit/mg)を含む純水1mlをpH1.5に調整して、耐酸性処理液を調製した。その後、実施例3においてFD法により乾燥して得られた乳酸菌粉体0.02gを加えて、37℃で2時間の耐酸性処理を実施した。
生菌数の測定は、耐酸性処理サンプルを遠心分離後、沈殿画分に生理食塩水1mlを加えて懸濁し、順次、生理食塩水で10倍希釈し、希釈液0.1 mlをMRS寒天プレートに塗抹し、30℃で、24時間培養し、生成したコロニー数から、colony formed unit (cfu) /g を測定することにより行った。
抗菌活性は、検定菌としてLactobacillus sakei JCM1157を用い、実施例1に記載した抗菌活性を評価する方法により評価した。阻止円の大きさにて、定性的に判断した。結果を表3に示した。
この結果、保護剤としてシリカ及びグルタミン酸ナトリウムを添加することで、生菌数が高く維持され、また抗菌活性も高く維持されることが確認された。
Figure 2023179810000004
試験例5:保護剤の菌体内への取り込み
透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope, TEM)を用いたEDX解析(Energy dispersive X-ray spectroscopy)によって、実施例3においてFD法により乾燥して得られた菌体内のSi元素を分析した。TEM画像を図2に示した。図2Aの中央に存在するひょうたん型の黒色の影が菌体そのものを示す。図2Bは、ケイ素が菌体内に存在することを示す。白色の複数の点がケイ素元素の存在を示す。なお、色の濃淡は、取り込み量とは関係がない。この結果から、通常は菌体内に存在しないSiが菌体内部に取り込まれていることが確認された。この現象により、実施例3の生菌剤に耐酸性が付与されている可能性が示唆された。
試験例6:サルモネラ感染鶏へのLactococcus lactis を含む生菌剤の給与試験
表4に示す組成の飼料マトリックス12kgに、実施例3でFD法により乾燥した菌体3.0 x 10^10 cfu (0.63g) と賦形剤Cellulose 5gとを混ぜ合わせた生菌剤5.63gを添加することにより、試験飼料を作製した。飼料中の生菌数の最終濃度は3 x 10^6 cfu/g とし、1日齢ブロイラーを感染試験用飼育設備へ導入後(6羽/反復、2反復/試験区)、Salmonella enterica(SE)を2日齢ブロイラーに経口投与し、試験飼料を21日間給与し、トリの増体効果(Body Weight Gain;BWG)及び飼料効率(Feed Conversion Ratio;FCR = Feed/BWG)を評価した。結果は、無添加区を100として示した。結果を表5に示す。
2週齢までは、生菌剤を給与することによるトリの増体効果が観察されたが、それ以降は、効果が観られなかった。
Figure 2023179810000005
Figure 2023179810000006
試験例7:酸性条件下でのLactobacillus plantarumの生育実験(菌株選定)
Lactobacillus plantarum TUA1478L, TUA1490L, およびTUA2424LをMRS培地にて、37℃で静置培養した。また対照として、特許文献1において生菌剤として利用されているBacillus subtilis C3102株をLB培地にて、ADVANTEC社製Biophoto-recorderTVS062CAを用いて、30℃で、振盪培養(70rpm)した。各菌体は培養終了後、分光光度計にて、波長 610nmにてOptical densityを測定、26倍希釈で0.1以上となることを確認することにより、十分量の菌体が得られたと判断した。その後、遠心分離して得られた菌体画分をpH2に調製した生理食塩水中に懸濁し、0.5時間、1時間、2時間、4時間、37℃で静置し、耐酸性試験を実施した。その後、遠心分離にて、菌体回収後、上述の培地および培養方法で、ADVANTEC社製Biophoto-recorderTVS062CAを用いて、波長610nmにおいて濁度を測定することにより、生育率を評価した。結果は、図3に示した。以上のように、特許文献1において生菌剤として利用されているBacillus subtilis C3102株に比べ、Lactobacillus plantarumの3株は、耐酸性が強く、かつ生育が早いことが確認された。
試験例8:Caco-2細胞を用いたLactobacillus plantarumの膜堅牢化試験
J.Nutr.(2009) volume 139(5), pp965-974の記載に従って、乳酸菌の培養上清液を膜堅牢化能を評価した。試薬品としてQuercetin、乳酸菌として、Plantaricin Aを産生するLactobacillus plantarum JCM1057、Lactobacillus plantarum TUA1490L, およびTUA2424L を用いた。
MRS培地にて37℃で20時間、静置培養後、培養液を遠心分離(6,000G x10mi n, 4℃)にて、菌体画分を除去し、上清画分をフィルター濾過(ADVANTEC社DISMIC-25CS、0.20 μLフィルターユニット)して、無菌上清液を取得した。Caco-2 細胞(ヒト消化管上皮細胞(ECACC、Code86010202))を、二層式のTranswell システムに播種し,37℃においてDMEM培地で培養した。培養12日目に、TNF-αを添加し、Tight Junctionのバリア機能を低下させた。培養14日目に、試験物質を添加し、同じ温度において24時間培養後、Millicell ER S-2(Millipore社製)を用いて、経上皮電気抵抗値TER(Ω*cm2)を測定することにより、バリア機能の修復(recovery ratio%)を評価した。結果を図4に示した。
試験例9:Lactobacillus plantarumのバクテリオシン生合成遺伝子の確認(ゲノム解析)
Lactobacillus plantarum TUA1478L, TUA1490L, TUA2424Lの全ゲノムデータを取得した。
NCBIに登録されている9株のPlantaricin遺伝子群(アミノ酸配列)をクエリとして、Lactobacillus plantarum TUA1478L, TUA1490L, TUA2424Lのゲノム(塩基配列)に対するtBLASTn検索を実施した。参照したNCBI登録株は、Lactobacillus plantarum V90、YM 4-3、YM 5-2、8P-A3、C11、J51、NC8、PCS20、423である。本検索により、アライメント領域の相同性(% identity)が90%以上、かつ、クエリ配列の全長の中でアライメントが得られた領域長の割合(query coverage)が90%であるレコードを抽出し、各遺伝子について、9株の中でアライメント領域がより長く、相同性も高いレコードの情報を用いて、マニュアル作業でオペロン構造を整理した。その結果を図5に示した。TUA1478L 株にはPlantaricin-JK、Plantaricin-N、Plantaricin-A、およびPlantaricin-EFの生合成遺伝子が、TUA 2424L株にはPlantaricin-EFの生合成遺伝子が、 TUA 1490L株にはPlantaricin-NC8αβ、Plantaricin-A、およびPlantaricin-EFの生合成遺伝子が存在することを確認した。
試験例10:Lactobacillus plantarum のMucin層の接着因子EFTu遺伝子の確認(ゲノム解析)
Lactobacillus plantarum 3株 TUA1478L, TUA1490L, TUA2424Lの全ゲノムデータを取得した。下記のサイトにてNCBI登録されているWCFS1株を参考にし、これら3株について、Translation elongation factor Tu(EF-Tu)合成遺伝子の全長、相同性を評価した。すなわち、3株のゲノム配列に対して、NCBI参照株の対象遺伝子の塩基配列をクエリとしたBLAST検索を実施し、3株のゲノム配列上で、アライメントが得られた領域(推定遺伝子領域)の塩基配列を抽出した。得られた推定遺伝子の塩基配列について、EMBOSS(Needle)を用いてNCBI参照株の遺伝子配列とのアライメントを作成し、相同性を算出した。その結果、3株には、Mucin層の接着因子であるEF-Tu合成遺伝子が存在し、相同性が99%以上あることを確認した。結果を表6に示した。これらの結果から、上記Lactobacillus plantarum3株は腸管に定着可能であると考えられる。
NCBI登録参照株 : Lactobacillus plantarum WCFS1
URL : https://www.ncbi.nlm.nih.gov/assembly/GCF_000203855.3
Figure 2023179810000007
実施例11:Lactobacillus plantarumを含む生菌剤の調製
(培養)
Lactobacillus plantarum TUA1478L, TUA1490L, TUA2424Lは、以下のように、BD Difco 社製Lactobacilli MRS Broth培地を用いて、培養し、その後に粉体化した。すなわち、プレシード培養(ファルコンチューブ,50ml)およびシード培養(メジウム瓶, 1L)を経て、メイン培養(発酵槽、20L)を実施した。培養は、温度37℃で静置にて20時間、行った。培養終了時は、島津製作所社製の分光光度計UVmini-1240にて濁度(Optical density、波長 610nm)を測定し、培養液の51倍希釈液が0.18以上となることを確認することにより、十分量の菌体が得られたと判断した。
(菌体画分の分離)
培養液(20L)を遠心分離機にて菌体画分を分離した。遠心機は、ベックマン・コールターAvanti J-Eを用い、温度15℃、遠心速度6,750G, 時間15分で遠心分離した。得られた培養液(20L)の菌体画分は、乾燥菌体として、20g相当量(10^12 cfu/g)であった。
(粉体前調製液)
表Aに示した量の保護剤(単位g)を水に混合した保護剤液1,000mlに、菌体画分(乾燥菌体として、20g相当量)を添加して粉体前調製液1,200mlを調製して、4℃の冷蔵庫内で20時間静置した。なお、各保護剤成分の濃度は、乾燥菌体1gに対し、シリカ 0.35g(EVONIC社製Carplex CS-7)、Skim milk 5.0g(BD社製)、アルギニン塩酸塩1.5g(味の素株式会社製)、グルタミン酸ナトリウム1.5g (味の素株式会社製)およびグルタミン1.0g(味の素株式会社製)に相当する。
Figure 2023179810000008
(粉体化)
以下の3つの方法で、実施した。
・Spray Dryer(SD)による粉体化:入り口の温度84℃、出口温度54℃にてスプレー・ドライヤーにて粉体前調製液から水分を除去し、粉体を調製した。
・Freeze Dry(FD)による粉体化:粉体前調製液に保護剤液中固形分の1/2量相当(表A)のセルロースパウダーを賦形剤として混合し、常法により、20時間、凍結減圧乾燥機を用いて、水分を除去し、粉体を調製した。
・Freeze Grunulation- Freeze Dry(FG)による粉体化:粉体前調製液をスターラーで攪拌しながら液体窒素中へ噴霧し、凍結粒子化し、保護剤液の乾物質量の1/2量相当のセルロースパウダー(表A)を混合し、凍結減圧乾燥にて粉体化した。
(生菌数評価)
生菌数の測定は、3つの粉体化方法により得られた粉体サンプル0.02gを生理食塩水1mlに懸濁し、順次、生理食塩水10倍希釈し、希釈液0.1 mlをMRS寒天プレートに塗抹し、37℃で、24時間培養し、生成したコロニー数 から、colony formed unit (cfu) /g を測定することにより行った。結果を表7に示す。なお、表中の「+」は、Skim milkからシリカについては、各成分を含むことを意味し、セルロースについては、各保護剤の残部を意味する。
Figure 2023179810000009
試験例12:保護剤検討の菌体内への取り込み
走査透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope, STEM)を用いたEDS(Energy Dispersive X-ray Spectrometer)解析にて、実施例11において得られたLactobacillus plantarum TUA2424L株菌体内の元素を分析した。結果を図6に示す。図6Aは、菌体の全体像を示す。図6Aの矢印方向の拡大図が、図6Cである。図6Cの矢印に沿って左端から右端まで水平方向にSiの存否を分析したのが図6Bである。40~45ポイント付近のピークがSiの存在を示す。この結果から、菌体中央部にSiが高濃度で存在する事を確認した。この現象により、実施例11の生菌剤に耐酸性が付与されている可能性が示唆された。
試験例13:Lactobacillus plantarumの酸耐性遺伝子の確認
実施例10と同様に、NCBI登録されているWCFS1株を参考にし、これら3株について、耐酸性に関与する遺伝子Glutamate decarboxylase "gadB"およびGlutamine synthetase合成遺伝子の全長、相同性を評価した。TUA1478L, TUA1490Lの2株には、上記の2つの酵素合成遺伝子が存在し、相同性が99%以上であることを確認した。またTUA 2424L株は、Glutamate decarboxylase合成遺伝子が存在し、相同性が99%以上であることを確認した。一方、Glutamine synthetaseについては、TUA 2424L株のゲノムにおいて、コンティグ末端で当該遺伝子の後半約410bpの相同配列が検出された。結果を表8に示す。当該遺伝子の前半約940bpは、本件の全ゲノムシーケンス解析において塩基配列が決定されていない領域(コンティグ間のギャップ領域)に含まれる可能性が示唆され、Glutamine synthetase遺伝子の全長配列を確認することはできなかった。これらの結果から、TUA1478L, TUA1490L、TUA 2424Lの3株は耐酸性機能として遺伝子が付与されていると考えられる。
Figure 2023179810000010
試験例14:Lactobacillus plantarumを含む生菌剤の耐酸性試験
(人工胃液処理)
Merck Millipore社製の純水製造装置を用いて製造した純水に、0.2% NaClおよび0.2% pepsin(from Porcine stomach Mucosa, 1:5,000, 2,500unit/mg)を加え、pH1.5に調整し、人口胃液とした。
実施例11と同様にして、Lactobacillus plantarum を培養し、菌体画分を分離し、下記表B(単位g)に記載の量の保護剤を水に混合した保護剤液1000mLに、前記菌体画分を添加して、Lactobacillus plantarum の粉体前調製液1200mLを調製し、その粉体前調製液をFD法で粉体化することにより、Lactobacillus plantarum の生菌剤を調製した。なお、各保護剤成分の濃度は、乾燥菌体1gに対し、シリカ 0.35g(EVONIC社製Carplex CS-7)、Skim milk 5.0g(BD社製)、アルギニン塩酸塩1.5g(味の素株式会社製)、グルタミン酸ナトリウム1.5g (味の素株式会社製)およびグルタミン1.0g(味の素株式社製)に相当する。
Figure 2023179810000011
このようにして調製した生菌剤を、前記人口胃液に投入し、37℃で2~4時間の酵素処理を行い、生菌数を測定した。結果を表9に示す。表中の「+」は、各成分を含むことを意味する。なお、「2~4時間」は、生菌剤が鶏の胃に到達してから腸を通過するまでの時間を想定している。
Figure 2023179810000012
参考例15:コーティングしたArabic Gum(Coated-AG)の調製
被覆型飼料用添加剤の調製コア材として、Arabic Gum(和光純薬社製)を使用し、被覆剤として、菜種硬化油(融点67℃)を使用した。粉末ないし顆粒状にしたコアに、融点より高い温度に加熱することにより液状とした被覆剤の所定量を噴霧することにより、被覆型飼料用添加剤を得た。本コーティングでは、コア75質量部に対して菜種硬化油25質量部を被覆した。
参考例16:Coated-AGの腸溶性試験
(人工胃液処理)
Merck Millipore社製の純水製造装置を用いて製造した純水に、0.2% NaClおよび0.2% pepsin(from Porcine stomach Mucosa ,1:5,000, 2,500unit/mg)を加え、pH2に調整後、参考例15で調製した被覆型飼料用添加剤(コアはArabic Gum)を投入し、37℃で2時間酵素処理を行った。なお、「2時間」は、飼料が鶏の胃に到達してから通過するまでの時間を想定している。
(人工腸液処理)
人工胃液処理後、0.2% trypsin(from Porcine Pancreas, 1:5,000, 4,500unit/mg)を加え、pH6に調整後、37℃で2時間酵素処理を行った。なお、「2時間」は、飼料が鶏の腸に到達してから通過するまでの時間を想定している。両処理工程のサンプルは、上清画分を抽出し、ゲルろ過クロマトグラフィー(Shodex社製カラムOHpak SB-803HQ)を用いて、示差屈折率検出器(島津製作所製 RID-20A)にて測定し、溶出率を算出した。また、両処理におけるpH調整剤として塩酸及び水酸化ナトリウムを使用した。結果を図7に示す。この結果から、Arabic Gumを菜種硬化油層でコーティングすることにより、トリの腸管での徐放性を満足することが分かった。
試験例17:サルモネラ感染鶏へのLactobacillus plantarumを含む生菌剤の給与試験
実施例11でFG法により粉体化して調製した生菌剤を、表4に示す組成の飼料マトリックス中に、生菌剤濃度が1.0 x 10^6 cfu/gとなるように添加することにより、試験飼料を作製した。1日齢ブロイラーを感染試験用飼育設備へ導入後(6羽/反復、2反復/試験区)、Salmonella enterica(SE)を2日齢ブロイラーに経口投与し、試験飼料を21日間給与し、トリの増体効果及び飼料効率を評価した。生菌剤を単独で使用した場合の効果は弱いが、Coated-AGとの併用で増体効果が増強された。
Figure 2023179810000013
参考例18:サルモネラ感染鶏へのCoated-NisinAおよびCoatedプルランの供与試験
(Coated-NisinAおよびCoatedプルランの調製)
コアとしてNisinA(Sigma-Aldrich社製の試薬(Nisin含量2.5質量%, balance sodium chloride and denatured milk solids)を使用し、被覆剤として、菜種硬化油(融点67℃)及び天然樹脂Shellacを使用した。粉末ないし顆粒状にしたコアに、融点より高い温度に加熱することにより液状とした被覆剤の所定量を噴霧することにより、被覆型飼料用添加剤を得た。コーティングは、コア77質量部に対して、第一層(内側層)としてShellacを5質量部、第2層(外側層)として菜種硬化油を17質量部噴霧することにより行った。同様に、コアとしてプルラン(Carbosynth Limited社製)を用いて、参考例15と同様に被覆型飼料用添加剤を得た。各々得られたサンプルを参考例16と同様に、腸溶性試験を実施した。Arabic Gumと同様、本法でコーティングすることにより、トリの腸管での徐放性を満足することが分かった。
(トリにおけるサルモネラ感染試験)
Coated-NisinAを単独、またはCoated-プルランと組合せ、飼料マトリックス中に、各コア剤の添加量が10ppmとなるように添加した飼料を作製した。0日齢ブロイラーを感染試験用飼育設備へ導入後(2反復/試験区、6羽/反復)、Salmonella enterica(SE)を10^7個/羽、ゾンデで2日齢ブロイラーのそ嚢(そのう)内へ投与し、試験飼料を21日間給与し、増体効果及び飼料効率を評価した。表11に結果を示した。その結果、Coated-ナイシン区およびCoated-ナイシン+Coated-プルラン区ともに、増体効果(BWG)および飼料効率(FCR)改善効果を示した。実施例17の結果と対比すると、ProbioticsもしくはProbiotics酸性物質であるNisinの単独よりも多糖であるArabic Gum もしくはPullulanとの併用の方が増体効果があることが示唆された。
Figure 2023179810000014
参考例19(冷蔵保存工程)
Lactobacillus plantarum TUA2424L菌体を、MRS培地を用いて、37℃で培養した。培養後、遠心分離機SS-1500X(佐久間製作所)を用いて、遠心分離(6000rpm, 10min)を行い、上清画分を除去し、菌体画分を得た。乾燥菌体量が10g/L となるように、MSG3%を溶解した生理食塩水に分散後に放置した。温度(10、20、30℃)、グルコース(Glc、0.6%)添加の有無の各条件における経過時間ごとのグルタミン酸(Glu)取り込み量を表12に示した。
Glu取り込み量は、下記の要領で経過時間ごとの上清中のグルタミン酸濃度を測定したのちに、下式にしたがって算出した。すなわち、遠心分離機SS-1500X(佐久間製作所)にて遠心分離(6000rpm, 10min)を行って得た上清画分を純水にて50倍希釈して、王子計測機器(株)社製のオフラインバイオセンサーBF-7Dを用いて測定し、希釈倍率から上清画分中のグルタミン酸濃度を算出して、経過時間ごとのグルタミン酸濃度とした。

Glu取り込み量(菌体当たり、%, g/g)= A/B × 100

A=Glu濃度 g/L(0時間)-Glu濃度 g/L(各経過時間)
B=菌体量 10 g/L

表12より低温保存時のグルタミン酸取込量が多く、またグルコースを含んで代謝の活発な培養液のグルタミン酸取込量が多いことが分かった。
Figure 2023179810000015

Claims (24)

  1. ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、ラクトバチルス(Lactbacillus)属に属する微生物、又はこれらの混合微生物を含む生菌剤であって、前記微生物が、少なくともシリカ及びグルタミン酸ナトリウムを含む保護剤で処理されてなる前記生菌剤。
  2. 微生物が、ラクトコッカス ラクチス(Lactococcus lactis)である請求項1記載の生菌剤。
  3. 微生物が、Nisinを産生する微生物である請求項2記載の生菌剤。
  4. 微生物が、ラクトバチルス属(Lactbacillus)に属する微生物である請求項1記載の生菌剤。
  5. 微生物が、バクテリオシンを産生する微生物である請求項4記載の生菌剤。
  6. 微生物が、腸管上皮膜の堅牢性を強化する物質を産生する微生物である請求項4又は5記載の生菌剤。
  7. 腸管上皮膜の堅牢性を強化する物質が、バクテリオシン又はフェロモンである請求項6記載の生菌剤
  8. 腸管上皮膜の堅牢性を強化する物質が、プランタリシン(Plantaricin)である請求項6記載の生菌剤。
  9. 微生物が、腸管定着因子を生合成する遺伝子を有する請求項4記載の生菌剤。
  10. 腸管定着因子が、レクチン、リポテイコ酸、又はEFTuである請求項9記載の生菌剤。
  11. 微生物が、ラクトバチルス プランタム(Lactbacillus plantarum)である請求項4~10のいずれか1項記載の生菌剤。
  12. 前記微生物が、ラクトコッカス・ラクチス FERM BP-8552、ラクトバチルス・プランタラム TUA1478L、ラクトバチルス・プランタラム TUA1490L、及びラクトバチルス・プランタラム TUA2424Lからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載の生菌剤。
  13. 保護剤が、さらに、グルタミンを含む、請求項1~12のいずれか1項記載の生菌剤。
  14. 保護剤が、さらに、アルギニン塩酸塩を含む、請求項1~13のいずれか1項記載の生菌剤。
  15. 保護剤が、さらに、セルロースを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の生菌剤。
  16. 保護剤が、シリカ、スキムミルク、グルタミン酸ナトリウム、及びグルタミンを含む、請求項1~12のいずれか1項記載の生菌剤。
  17. 保護剤が、スキムミルク100質量部に対し、シリカを1~10質量部、グルタミン酸ナトリウムを10~50質量部、及びグルタミンを10~50質量部を含む、請求項16に記載の生菌剤。
  18. 保護剤が、シリカ、スキムミルク、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン及びアルギニン塩酸塩を含む、請求項1~12のいずれか1項記載の生菌剤。
  19. 保護剤が、スキムミルク100質量部に対し、シリカを1~10質量部、グルタミン酸ナトリウムを10~50質量部、グルタミンを10~50質量部、及びアルギニン塩酸塩を10~50質量部を含む、請求項18に記載の生菌剤。
  20. 請求項1~19のいずれか1項記載の生菌剤を含む、サプリメント。
  21. 請求項1~19のいずれか1項記載の生菌剤を含む、飼料。
  22. (a)ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、ラクトバチルス・(Lactbacillus)属に属する微生物、又はこれらの混合微生物を培養し、
    (b)培養終了後、得られた培養物に、少なくともシリカ及びグルタミン酸ナトリウムを含む保護剤を添加して混合し、
    (c)得られた混合物を放置して保護剤を菌体内に取り込ませることにより生菌剤を得る、
    生菌剤の製造方法。
  23. 工程(c)の後、噴霧乾燥、凍結乾燥、又は撹拌凍結乾燥により乾燥する工程(d)をさらに含む、請求項22記載の製造方法。
  24. 請求項1~19のいずれか1項記載の生菌剤を家畜に投与することを含む、家畜の増体効果および飼料効率を増大する方法。
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