JP2023167888A - 燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エミッションの悪化を抑制しつつ、筒内噴射弁から燃料を1サイクルに3回以上噴射させて燃焼室内で燃料を成層燃焼させる機会を充分に確保する。【解決手段】本開示の燃焼噴射制御装置は、予め定められた実行条件が成立しているときに、内燃機関の燃焼室で成層燃焼が行われるように当該燃焼室内に筒内噴射弁から燃料を1サイクルに3回以上噴射させるものであり、1サイクルにおける初回噴射の開始時期を燃焼室の点火プラグ周辺の空燃比を決定する最終噴射の開始時期に基づいて進角させると共に、初回噴射の開始時期の進角を内燃機関の温度に応じて設定される進角ガード値により制限し、初回噴射と最終噴射との間の中間噴射の開始時期を初回噴射および最終噴射に影響を与えないように調整する。【選択図】図3
Description
本開示は、内燃機関の燃焼室内に筒内噴射弁から燃料を噴射させる燃料噴射制御装置に関する。
従来、1つの吸気行程において筒内噴射弁から燃焼室内に燃料を複数の時期に分割して噴射させる内燃機関の制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この制御装置は、1回目の噴射の開始時期について、燃焼室を形成するピストンが吸気上死点付近にあってもピストン頂面に筒内噴射弁の噴霧が干渉しないクランク角である進角限界を取得し、1回目の噴射の終了時期について、燃焼室を開閉する吸気弁の傘部に筒内噴射弁の噴霧が干渉しないクランク角である遅角限界を取得する。更に、当該制御装置は、取得した進角限界および遅角限界に基づいて1回目の噴射期間を設定し、1回目の噴射期間が筒内噴射弁の噴射についてリニアリティを確保できる最小噴射期間よりも短い場合、1つの吸気行程における燃料の分割噴射を禁止する。
上記従来の内燃機関の制御装置によれば、分割噴射における1回目の噴射の開始時期および終了時期を適切に設定してピストン頂部や吸気弁傘部に噴霧が衝突することによるエミッションの悪化を抑制することができる。しかしながら、上記内燃機関では、進角限界および遅角限界に基づいて設定された1回目の噴射期間が最小噴射期間よりも短い場合、分割噴射が禁止されてしまうので、分割噴射により燃焼室内で燃料を成層燃焼させて触媒の暖機を図る機会等を充分に確保し得なくなってしまう。
そこで、本開示は、エミッションの悪化を抑制しつつ、筒内噴射弁から燃料を1サイクルに3回以上噴射させて燃焼室内で燃料を成層燃焼させる機会を充分に確保することを主目的とする。
本開示の燃料噴射制御装置は、予め定められた実行条件が成立しているときに、内燃機関の燃焼室で成層燃焼が行われるように前記燃焼室内に筒内噴射弁から燃料を1サイクルに3回以上噴射させる燃焼噴射制御装置であって、前記1サイクルにおける初回噴射の開始時期を前記燃焼室の点火プラグ周辺の空燃比を決定する最終噴射の開始時期に基づいて進角させると共に、前記初回噴射の開始時期の進角を前記内燃機関の温度に応じて設定される進角ガード値により制限し、前記初回噴射と前記最終噴射との間の中間噴射の開始時期を前記初回噴射および前記最終噴射に影響を与えないように調整するものである。
本開示の燃料噴射制御装置は、予め定められた実行条件の成立に応じて、燃焼室内に筒内噴射弁から燃料を1サイクルに3回以上噴射させるときに、当該1サイクルにおける初回噴射の開始時期を燃焼室の点火プラグ周辺の空燃比を決定する最終噴射の開始時期に基づいて進角させると共に、当該初回噴射の開始時期の進角を内燃機関の温度に応じて設定される進角ガード値により制限する。更に、当該燃料噴射制御装置は、初回噴射と最終噴射との間の中間噴射の開始時期を初回噴射および最終噴射に影響を与えないように調整する。これにより、最終噴射の噴射期間および噴射量を要求に応じて確保しつつ、初回噴射により燃焼室内に噴射される燃料がピストン等に付着しないように、初回噴射および中間噴射の開始時期を設定することができる。この結果、本開示の燃料噴射制御装置によれば、エミッションの悪化を抑制しつつ、筒内噴射弁から燃料を1サイクルに3回以上噴射させて燃焼室内で燃料を成層燃焼させる機会を充分に確保することが可能となる。
また、前記進角ガード値は、前記内燃機関の温度が低いほど遅角側の値に設定されてもよい。これにより、内燃機関の温度が低く、燃料を瞬時に気化させること困難であるときに、初回噴射により燃焼室内に噴射される燃料がピストン等に付着するのを良好に抑制すると共に、内燃機関の温度が高く、燃料を瞬時に気化させ得るときに、初回噴射の開始時期の進角が必要以上に制限されてしまうのを抑制することが可能となる。
更に、前記燃料噴射制御装置は、前記内燃機関の回転数、負荷率、前記温度および目標空燃比に基づいて、前記初回噴射、前記中間噴射および前記最終噴射の噴射量と、前記初回噴射および前記中間噴射の仮の開始時期と、前記最終噴射の開始時期とを設定し、前記初回噴射の仮の開始時期を前記進角ガード値により制限して前記初回噴射の開始時期を設定し、前記中間噴射の仮の開始時期を前記初回噴射の前記開始時期および前記噴射量と前記筒内噴射弁に供給される前記燃料の圧力とに応じた前記初回噴射の終了時期により制限して前記中間噴射の開始時期を設定するものであってもよい。
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本開示の燃料噴射制御装置が適用される内燃機関であるエンジン10を示す概略構成図である。同図に示すエンジン10は、エンジンブロック11に形成された複数の燃焼室(気筒)12における炭化水素系燃料と空気との混合気の燃焼に伴うピストン13の往復運動をクランクシャフト(出力軸)14の回転運動へと変換する多気筒ガソリンエンジン(例えば、直列4気筒エンジンあるいはV型6気筒エンジン)である。エンジン10は、当該エンジン10のみを動力発生源とする車両やハイブリッド車両に搭載される。
エンジン10は、図1に示すように、エンジンブロック11、複数の燃焼室12、ピストン13およびクランクシャフト14に加えて、エアクリーナ15と、吸気管16と、電子制御式のスロットルバルブ17と、サージタンクおよび複数の吸気ポートを有する吸気マニホールド18と、それぞれ対応する吸気ポートを開閉する複数の吸気弁19iと、それぞれ対応する排気ポートを開閉する排気弁19eと、それぞれ対応する吸気ポート内に燃料を噴射する複数のポート噴射弁20pと、それぞれ対応する燃焼室12内に燃料を直接噴射する複数の筒内噴射弁20dと、複数の点火プラグ21と、排気通路を形成する排気管22とを含む。本実施形態において、筒内噴射弁20dは、電磁式のニードル弁である。
また、エンジン10は、排ガス浄化装置として、それぞれ排気管22に組み込まれた上流側浄化装置23および下流側浄化装置24を含む。上流側浄化装置23は、エンジン10の各燃焼室12からの排ガス中のCO(一酸化炭素)やHC、NOxといった有害成分を浄化するNOx吸蔵型の排ガス浄化触媒(三元触媒)を含むものである。下流側浄化装置24は、排ガス中の粒子状物質(微粒子)を捕集するパティキュレートフィルタ(GPF)を含み、上流側浄化装置23の下流側に配置される。本実施形態において、パティキュレートフィルタは、NOx吸蔵型の排ガス浄化触媒(三元触媒)を担時した多孔質フィルタである。すなわち、下流側浄化装置24は、三元触媒の浄化機能と粒子状物質の捕集機能とを有する四元触媒として構成されている。
更に、エンジン10は、エンジンブロック11等を冷却するための冷媒循環通路25と、電動ポンプ26と、ラジエータ27とを含む。電動ポンプ26は、冷媒循環通路25で冷却水(LLC)を循環させる。ラジエータ27は、走行風や図示しない電動ファンからの空気との熱交換によりエンジンブロック11等から熱を奪った冷却水を冷却する。また、冷媒循環通路25には、水温センサ25tが設置されている。水温センサ25tは、エンジンブロック11から熱を奪った(流出した)冷却水の水温Twを検出する。
加えて、エンジン10は、排ガスのエネルギを利用して吸入空気を圧縮する過給機28と、当該過給機28により圧縮された空気を冷却する液冷式のインタークーラ29とを含む。過給機28は、ターボチャージャであり、タービンホイール28tと、コンプレッサホイール28cと、タービンホイール28tおよびコンプレッサホイール28cを一体に連結するタービンシャフト28sと、ウェイストゲートバルブ28wと、ブローオフバルブ28bとを含む。タービンホイール28tは、上流側浄化装置23の上流側に位置するように排気管22に形成されたタービンハウジング内に回転自在に配置される。コンプレッサホイール28cは、エアクリーナ15とスロットルバルブ17との間に位置するように吸気管16に形成されたコンプレッサハウジング内に回転自在に配置される。
上述のように構成されるエンジン10は、図示しないCPU,ROM,RAM、入出力インターフェース等を有するマイクロコンピュータや、各種駆動回路、各種ロジックIC等を含むエンジン電子制御装置(以下、「エンジンECU」という。)100により制御される。エンジンECU100は、図2に示すように、クランク角センサ14aやエアフローメータ16a、吸気圧センサ16p、過給圧センサ16c、吸気温センサ16t、スロットル開度センサ17o、サージ圧センサ18p、温度センサ18t、燃圧センサ20t、上流側空燃比センサ22f、下流側空燃比センサ22r、排ガス温度センサ22t、水温センサ25t等の検出値を図示しない入力ポートを介して取得する。
クランク角センサ14aは、クランクシャフト14の回転位置(クランクポジション)を検出する。エアフローメータ16aは、吸気管16のコンプレッサホイール28cの上流側で吸入空気量Qaを検出する。吸気圧センサ16pは、吸気管16のコンプレッサホイール28cの上流側における吸気圧Pinを検出する。過給圧センサ16cは、吸気管16のコンプレッサハウジングとインタークーラ29との間でコンプレッサホイール28cにより圧縮された空気の圧力である過給圧Pcを検出する。吸気温センサ16tは、吸気管16のコンプレッサホイール28cの上流側で吸気温度Tinを検出する。スロットル開度センサ17oは、スロットルバルブ17の開度THを検出する。サージ圧センサ18pは、サージタンク内の空気の圧力であるサージ圧Psを検出し、温度センサ18tは、サージタンク内の空気の温度であるサージ温度Tsを検出する。燃圧センサ20tは、図示しない燃料ポンプから各筒内噴射弁20dに供給される燃料の圧力Pfを検出する。上流側空燃比センサ22fは、上流側浄化装置23の上流側で当該上流側浄化装置23に流入する排ガスの空燃比である上流側空燃比AFfを検出し、下流側空燃比センサ22rは、上流側浄化装置23の下流側で下流側浄化装置24に流入する排ガスの空燃比である下流側空燃比AFrを検出する。排ガス温度センサ22tは、排気管22の上流側浄化装置23と下流側浄化装置24との間の部分を流通する排ガスの温度Tegを検出する。
エンジンECU100は、クランク角センサ14aからのクランクポジションに基づいてエンジン10(クランクシャフト14)の回転数Neを算出すると共に、エアフローメータ16aからの吸入空気量Qaとエンジン10の回転数Neとに基づいて負荷率KLを算出する。負荷率KLは、エンジン10の1サイクルあたりの行程容積に対する1サイクル中に実際に吸入される空気の容積の割合である。そして、エンジンECU100は、回転数Neや負荷率KL等に基づいて、スロットルバルブ17や、複数のポート噴射弁20pおよび複数の筒内噴射弁20d、複数の点火プラグ21等を制御する。更に、エンジンECU100は、冷却水を圧送する電動ポンプ26や、過給機28のウェイストゲートバルブ28wおよびブローオフバルブ28bを制御する。
また、エンジンECU100は、複数のポート噴射弁20pおよび複数の筒内噴射弁20dを制御する燃料噴射制御装置として機能し、予め定められた成層燃焼実行条件の成立に応じて、エンジン10の各燃焼室12で成層燃焼が行われるように各筒内噴射弁20dから燃料を1サイクルに3回以上噴射させる。本実施形態において、成層燃焼実行条件は、上流側浄化装置23および下流側浄化装置24の暖機が必要なときに成立するものである。例えば、成層燃焼実行条件は、エンジン10のソーク時間が所定時間以上であるとき、燃料カットが所定時間継続されたとき、ハイブリッド車両においてエンジン10の運転が所定時間以上停止されたとき等に成立する。
続いて、上記成層燃焼実行条件の成立に応じて、エンジン10の各燃焼室12で成層燃焼が行われるように各筒内噴射弁20dから燃料を1サイクルに3回噴射させるときの燃料噴射量および燃料噴射時期の設定手順について説明する。図3は、成層燃焼実行条件がしているときに、エンジンECU100により各筒内噴射弁20dの燃料噴射量および燃料噴射時期を設定するために1サイクルごとに実行されるルーチンの一例を示すフローチャートである。
エンジンECU100は、図3のルーチンの実行タイミングが到来すると、別途算出または設定されたエンジン10の回転数Ne、負荷率KLおよび目標空燃比AFtag、水温センサ25tにより検出された水温Tw、燃圧センサ20tにより検出された燃料の圧力(燃圧)Pfといった各筒内噴射弁20dの燃料噴射量および燃料噴射時期の設定に必要なデータを取得する(ステップS100)。ステップS100の処理の後、エンジンECU100は、ステップS100にて取得した回転数Ne、負荷率KLおよび水温Twに基づいて、1サイクル中に各筒内噴射弁20dから燃焼室12内に噴射されるべき燃料の総噴射量Qtを導出する(ステップS110)。ステップS110において、エンジンECU100は、実験・解析を経て予め適合された図示しない総噴射量導出マップからステップS100にて取得した回転数Ne、負荷率KLおよび水温Twに対応した各燃焼室12における総噴射量Qtを導出する。
次いで、エンジンECU100は、ステップS100にて取得した回転数Ne、負荷率KLおよび水温Twに基づいて、各筒内噴射弁20dから燃焼室12内に1サイクルにおける最後(ここでは、3回目)に噴射されるべき燃料の量である噴射量Qfを設定する(ステップS120)。ステップS120において、エンジンECU100は、実験・解析を経て予め適合された図示しない最終噴射量導出マップからステップS100にて取得した回転数Ne、負荷率KLおよび水温Twに対応した値を導出して各燃焼室12における最終噴射による噴射量Qfに設定する。
更に、エンジンECU100は、ステップS100にて取得した回転数Ne、負荷率KLおよび水温Twに基づいて分配比kを導出する(ステップS130)。分配比kは、1サイクルにおける初回噴射および中間噴射(2回目の噴射)により各燃焼室12内に噴射されるべき燃料の量に対する初回噴射による噴射量の割合を示すものである。ステップS130において、エンジンECU100は、実験・解析を経て予め適合された図示しない分配比設定マップからステップS100にて取得した回転数Ne、負荷率KLおよび水温Twに対応した分配比を導出する。分配比kを導出した後、エンジンECU100は、ステップS110にて導出した総噴射量Qtから最終噴射による噴射量Qfを減じた値に分配比kを乗じて初回噴射による噴射量Qi(=k・(Qt-Qf))を算出すると共に、総噴射量Qtから最終噴射による噴射量Qfを減じた値に比(1-k)を乗じて中間噴射による噴射量Qm(=(1-k)・(Qt-Qf))を算出する(ステップS140)。
また、エンジンECU100は、ステップS100にて取得した回転数Ne、負荷率KLおよび水温Twに基づいて、各燃焼室12における初回噴射、中間噴射および最終噴射の仮の噴射開始時期τitmp,τmtmp,τftmpを導出する(ステップS150)。ステップS150において、エンジンECU100は、実験・解析を経て予め適合された図示しない仮噴射開始時期導出マップからステップS100にて取得した回転数Ne、負荷率KLおよび水温Twに対応した仮の噴射開始時期τitmp,τmtmp,τftmpを導出する。仮噴射開始時期導出マップは、最終噴射の仮の噴射開始時期τftmpを1サイクルにおける圧縮上死点前の圧縮行程(いわゆるセンター噴射の場合、圧縮上死点後の膨張行程)に設定し、初回噴射および中間噴射の仮の噴射開始時期τitmp,τmtmpを最終噴射の仮の噴射開始時期τftmpに基づいて進角させて1サイクルにおける吸気行程に設定するように作成されている。本実施形態において、エンジンECU100は、導出した最終噴射の仮の噴射開始時期τftmpをそのまま最終噴射の噴射開始時期τfに設定する(ステップS160)。これにより、各筒内噴射弁20dによって燃料を噴射開始時期τfからステップS110にて導出された噴射量Qfだけ燃焼室12内に噴射することで、点火時における点火プラグ21周辺の空燃比を適正に決定することができる。
更に、エンジンECU100は、ステップS100にて取得した水温Twに基づいて初回噴射の噴射開始時期τiの進角を制限するための進角ガード値τigを設定する(ステップS170)。ステップS170において、エンジンECU100は、実験・解析を経て予め適合された図4に例示する進角ガード値設定マップからステップS100にて取得した水温Twに対応した値を導出して進角ガード値Tigに設定する。進角ガード値設定マップは、図示するように、水温Twが低いほど進角ガード値Tigを遅角側の値に規定すると共に、水温Twが十分に高まっているときに初回噴射の噴射開始時期τiの進角を実質的に制限しない値(例えば、BTDC450°)に規定するように作成されている。続いて、エンジンECU100は、ステップS150にて導出した初回噴射の仮の噴射開始時期τitmpと、ステップS170にて設定した進角ガード値τigとのうちの遅角側の値を初回噴射の噴射開始時期τiに設定する(ステップS180)。そして、エンジンECU100は、ステップS180にて設定した初回噴射の噴射開始時期τiに応じた当該初回噴射の噴射終了時期に基づいて中間噴射の噴射開始時期τmを設定(調整)し(ステップS190)、図3のルーチンを終了させる。
ステップS190において、エンジンECU100は、ステップS180にて設定した初回噴射の噴射開始時期τiと、ステップS140にて算出した初回噴射による噴射量Qiと、各筒内噴射弁20dに供給される燃料の圧力Pfとに基づいて初回噴射の噴射終了時期を導出する。更に、ステップS190において、エンジンECU100は、当該噴射終了時期を予め定められた最小インターバル(筒内噴射弁20dのプリチャージ時間)だけ遅角させた値と、ステップS150にて導出した仮の噴射開始時期τmtmpとのうちの遅角側の値を中間噴射の噴射開始時期τiに設定する。これにより、中間噴射の噴射開始時期τmは、初回噴射および最終噴射に影響を与えないように、すなわち初回噴射の噴射終了時期および最終噴射の噴射開始時期τfに干渉しないように設定(調整)されることになる。
上述のように、燃料噴射制御装置としてのエンジンECU100は、予め定められた成層燃焼実行条件の成立に応じて、各筒内噴射弁20dから燃焼室12内に燃料を1サイクルに3回噴射させるときに、当該1サイクルにおける初回噴射の噴射開始時期τiを燃焼室12の点火プラグ21周辺の空燃比を決定する最終噴射の噴射開始時期τfに基づいて進角させると共に(ステップS150-S160)、当該初回噴射の噴射開始時期τiの進角をエンジン10の温度を示す水温Twに応じて設定される進角ガード値により制限する(ステップS170-S180)。更に、エンジンECU100は、初回噴射と最終噴射との間の中間噴射の噴射開始時期τmを初回噴射および最終噴射に影響を与えないように調整する(ステップS190)。
より詳細には、エンジンECU100は、エンジン10の回転数Ne、負荷率KL、水温Twおよび目標空燃比AFtagに基づいて、初回噴射、中間噴射および最終噴射による噴射量Qi,Qm,Qfと、初回噴射および中間噴射の仮の噴射開始時期τitmp,τmtmpと、最終噴射の噴射開始時期τfとを設定する(ステップS100-S160)。また、エンジンECU100は、初回噴射の仮の噴射開始時期τitmpを進角ガード値τigにより制限して初回噴射の噴射開始時期τiを設定する(ステップS170-S180)。更に、エンジンECU100は、中間噴射の仮の噴射開始時期τmtmpを初回噴射の噴射開始時期τiおよび噴射量Qiと各筒内噴射弁20dに供給される燃料の圧力Pfとに応じた初回噴射の噴射噴射終了時期により制限して中間噴射の噴射開始時期τmを設定する(ステップS190)。
これにより、最終噴射の噴射噴射期間τfおよび噴射量Qfを要求に応じて確保しつつ、初回噴射により燃焼室12内に噴射される燃料がピストン13の頂部等に付着しないように、初回噴射および中間噴射の噴射開始時期τi,τmを設定することができる。この結果、エンジン10では、PN(パティキュレートナンバー)の増加といったエミッションの悪化を抑制しつつ、各筒内噴射弁20dから燃料を1サイクルに3回噴射させて燃焼室12内で燃料を成層燃焼させる機会、すなわち触媒暖機の機会を充分に確保することが可能となる。
また、エンジン10において、進角ガード値τigは、エンジン10の温度すなわち水温Twが低いほど遅角側の値に設定される(ステップS170)。これにより、エンジン10すなわち各燃焼室12内の温度が低く、燃料を瞬時に気化させること困難であるときに、初回噴射により各燃焼室内1に噴射される燃料がピストン13の頂部等に付着するのを良好に抑制すると共に、各燃焼室12内の温度が高く、燃料を瞬時に気化させ得るときに、初回噴射の開始時期τiの進角が必要以上に制限されてしまうのを抑制することが可能となる。
なお、上記実施形態において、中間噴射は、1回だけ行われるが、これに限られるものではない。すなわち、中間噴射の回数を複数回にして、各筒内噴射弁20dから燃焼室12内に燃料を1サイクルに例えば4回あるいは5回噴射させてもよい。
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
本開示の発明は、内燃機関の製造産業等において利用可能である。
10 エンジン、12 燃焼室、13 ピストン、20d 筒内噴射弁、20t 燃圧センサ、21 点火プラグ、23 上流側浄化装置、24 下流側浄化装置、25 冷媒循環通路、25t 水温センサ、100 エンジン電子制御装置(エンジンECU)。
Claims (1)
- 予め定められた実行条件が成立しているときに、内燃機関の燃焼室で成層燃焼が行われるように前記燃焼室内に筒内噴射弁から燃料を1サイクルに3回以上噴射させる燃焼噴射制御装置であって、
前記1サイクルにおける初回噴射の開始時期を前記燃焼室の点火プラグ周辺の空燃比を決定する最終噴射の開始時期に基づいて進角させると共に、前記初回噴射の開始時期の進角を前記内燃機関の温度に応じて設定される進角ガード値により制限し、前記初回噴射と前記最終噴射との間の中間噴射の開始時期を前記初回噴射および前記最終噴射に影響を与えないように調整する燃料噴射制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2022079420A JP2023167888A (ja) | 2022-05-13 | 2022-05-13 | 燃料噴射制御装置 |
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2022
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