JP2023161303A - アルミニウム合金箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】箔の伸びを確保しつつ、良好な成形性を有するアルミニウム合金箔を提供する。【解決手段】Fe:0.8質量%以上1.8質量%以下、Si:0.01質量%以上0.08質量%以下、Cu:0.005質量%以上0.05質量%以下を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有し、圧延方向に対して0°、45°、90°の各方向の伸びが30%以上であり、かつ、前記3方向のうち1方向以上において、単軸引張試験における引張方向ひずみの最大値が45%以上である。【選択図】なし

Description

この発明は、成形加工に供することができるアルミニウム合金箔に関する。
圧延性に優れる8000系アルミニウム合金は、医薬品や食品、リチウムイオン電池等の包装材など成形加工用のアルミニウム合金箔として広く用いられている。昨今、小さく薄い材料の加工が求められており、また、難加工形状を含む多岐にわたる形状の製品が存在する。これら厳しい条件での加工においても破断しないための成形性向上が要求されている。成形の重要なパラメータとして伸びが挙げられるが、加工時は多軸変形下で成形が行われることが多い。そのため、圧延方向に対し平行な方向だけでなく、45°や90°といった各方向の伸びも求められる。また、用途によって形状は多岐にわたり、製品によっては局所的に変形が集中する加工が実施される場合もある。
例えば、特許文献1では、成分範囲を規定するとともに、結晶粒の粒径を規定し、さらに、Cube方位の面積率を規定することで成形性を高めるとしている。
また、特許文献2では、(111)面、(100)面、(110)面、および、(311)面のそれぞれを示す各回折強度の比率を規定する成形性を高めるとしている。
特開2018-115376号公報 特開2012-052158号公報
我々は、成形性の良好な材料の開発に取組んでいる。しかし、従来のアルミニウム合金箔では成形性が充分であるとはいえない。
開発を推進していく中で成形性が良好な材料の特徴の1つとして、局所的な領域での変形能が高いことがあげられることを見出した。つまり、成形性が高い箔材料には、引張試験における局所部での変形能(局部変形能)が高いことが求められると思われる。
本発明は上記課題を背景としてなされたものであり、全伸びだけでなく、局所的な領域での変形能が高いことを特徴としている。
すなわち、本発明のアルミニウム合金箔のうち、第1の形態は、Fe:0.8質量%以上1.8質量%以下、Si:0.01質量%以上0.08質量%以下、Cu:0.005質量%以上0.05質量%以下を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有し、圧延方向に対して0°、45°、90°の各方向の伸びが30%以上であり、かつ、前記3方向のうち1方向以上において、単軸引張試験における引張方向ひずみの最大値(局部変形能)が45%以上であることを特徴とする。
他の形態のアルミニウム合金箔の発明は、前記形態の発明において、さらに方位差15°以上の大傾角粒界で囲まれた結晶粒の平均粒径が15μm以下であり、前記結晶粒に関し、最大結晶粒径/平均結晶粒径≦3.0であることを特徴とする。
他の形態のアルミニウム合金箔の発明は、前記形態の発明において、さらにCu方位密度が30以上であり、Cube方位密度が6以下であることを特徴とする。
以下に、本発明で規定する内容について説明する。
圧延方向に対して0°、45°、90°の伸びが30%以上である
本発明のアルミニウム合金箔では、上記伸び特性を満たすことで、全方位での優れた伸び特性が期待される。
圧延方向に対して0°、45°、90°方向のうち1方向以上において、単軸引張試験における引張方向ひずみの最大値(局部変形能)が45%以上である。
少なくとも一方向において引張方向ひずみの最大値(局部変形能)が45%以上であることにより、良好な成形性が得られる。例えば、成形時に成形高さを十分に得ることができる。上記最大値が45%未満であると、例えば、成形高さを十分に得ることができない。なお、同様の理由で、60%以上であるのが一層望ましい。上記最大値は、例えば、後述するDIC解析方法により求めることができる。
本発明のアルミニウム合金箔は、Fe:0.8質量%以上1.8質量%以下、Si:0.01質量%以上0.08質量%以下、Cu:0.005質量%以上0.05質量%以下を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有する。
以下に、各成分の限定理由について説明する。
Fe:0.8質量%以上1.8質量%以下
Feは、鋳造時にAl-Fe系金属間化合物として晶出する。これらは焼鈍時に再結晶の核となり再結晶粒を微細化する効果がある。また、圧延時の結晶粒分断の促進にも寄与する。ただし、含有量が過小であると、粗大な金属間化合物の分布密度が低くなり微細化の効果が低く、最終的な結晶粒径分布も不均一となる。一方、含有量が過剰になると、結晶粒微細化の効果が飽和もしくは低下し、さらに鋳造時に生成されるAl-Fe系化合物のサイズが非常に大きくなり、箔の延性と圧延性が低下する。このため、Fe含有量の下限0.8質量%、上限を1.8質量%に定める。同様の理由で、下限を1.0質量%、上限を1.6質量%とするのが望ましい。
Si:0.01質量%以上0.08質量%以下
Siは、鋳造時に粗大な金属間化合物を晶出する。粗大な金属間化合物の生成を防ぐため含有量は抑制したい。含有量が過大になると、化合物サイズの粗大化、及び密度の低下を招き、圧延性、伸び特性が低下する懸念がある。一方で、含有量が過小であると、高純度の地金を使用する必要があり、製造コストが大幅に増加する。このため、Si含有量は、下限を0.01質量%、上限を0.08質量%とするのが望ましい。同様の理由で、下限を0.01質量%、上限を0.05質量%とするのが一層望ましい。
Cu:0.005質量%以上0.05質量%以下
Cuは、アルミニウム中に固溶し強度を増加、伸びを低下させる。また、Al-Fe系合金で報告される冷間圧延中の過度な加工軟化を抑制する効果がある。ただし、含有量が過小であると、加工軟化抑制の効果が低く、室温での再結晶による結晶粒粗大化を招く可能性がある。一方、含有量が過大になると、伸びが明瞭に低下する。このため、Cu含有量の下限を0.005質量%、上限を0.05質量%とする。同様の理由で、下限を0.005質量%、上限を0.01質量%とするのが一層望ましい。
・方位差15°以上の大傾角粒界に囲まれた結晶粒について、平均粒径が15μm以下、かつ最大粒径/平均粒径≦3.0
塑性加工した際に局所的な変形を抑制しつつ(なるべく均一変形させる)、局所部での変形能の向上により伸びや成形性の向上が期待できる。塑性加工時の成形性向上のためには、なるべく均一変形させることにより局所変形を抑制することが重要だが、局所変形が起きた際に、その局所部での変形能(局部変形能)が高くなるような材料が望ましい。
局部変形能の向上には影響因子の一つとして結晶粒径が挙げられ、局部変形能を向上させるには平均結晶粒径が15μm以下であることが望ましい。また、結晶粒の粒度分布が不均一である場合、局所的な変形を生じ易くなり伸びが低下することが予想される。そのため、平均結晶粒径を15μm以下とするだけでなく、最大粒径/平均粒径≦3.0とすることも併せることで高い成形性を得ることができる。
・Cu方位密度30以上かつCube方位密度6以下
集合組織もまた箔の局部変形能に影響を及ぼす。局部変形能のような変形の局所化は、材料厚みの薄い部分など材料として弱い部分で生じやすい。塑性加工に伴い生じる材料の表面あれは材料厚みの不均一さととらえることができ、表面あれの発達による材料厚み不均一さの顕在化は局部変形能の低下に繋がる。表面あれは結晶粒単位の変形、不均一さと関係している。そのため結晶方位が比較的揃っていれば、変形に伴う結晶粒の変形や回転は同様であるが、方位のバラつきが大きければ塑性変形に伴い、各結晶粒の変形や回転に不均一さが生じ、表面あれが発達し材料厚みが不均一となり局部変形能の低下につながる。そのため、結晶方位は集積していた方が局部変形能の向上につながる。箔は材料厚さが薄いため、その製造過程で圧延率は比較的高くなり、圧延集合組織が発達しやすい。しかし、同時にCube方位が発達すると、結晶方位のバラつきが大きくなり局部変形能の向上に対し適さない。そのため、Cube方位密度6以下かつCu方位密度30以上であるのが望ましい。
本発明によれば、高い成形性を有するアルミニウム合金箔の提供が可能になる。
本発明の実施例における限界成形高さ試験で用いる角型ポンチの平面形状を示す図である。
以下に、本発明のアルミニウム合金箔の実施形態について説明する。
本実施形態のアルミニウム合金箔の製造では、先ずは所定の組成に調製された鋳塊を溶製する。鋳塊であるスラブは均質化処理を行った後、熱間圧延を行い、さらに冷間圧延を行う。冷間圧延では、所望により1回以上の中間焼鈍を行うことができる。最後の中間焼鈍後の最終冷間圧延では、所定の圧下率で圧延を行って、所定の厚さのアルミニウム合金箔を得る。冷間圧延後のアルミニウム合金箔には最終焼鈍を行って、実施形態の合金箔とする。実施形態のアルミニウム合金箔には、成形加工を行うことができる。以下に、各工程について説明する。
・所定組成
アルミニウム合金箔の組成としては、Fe:0.8質量%以上1.8質量%以下、Si:0.01質量%以上0.08質量%以下、Cu:0.005質量%以上0.05質量%以下を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成が望ましい。
・鋳造:スラブ厚さ:600mm以上750mm以下
鋳塊を得るための鋳造は、常法により行うことができるが、スラブ厚さを所定の厚さとするのが望ましい。スラブ厚さは、鋳造時の冷却速度に影響し、鋳造時に生成する晶出物や結晶粒のサイズ, 分布に影響する。また、スラブ厚みが異なると最終箔までの圧延率も変化する。
鋳造後における結晶粒の微細均一化は, 最終焼鈍後の箔の微細均一化に寄与すると考える。また, スラブ厚み変量による圧延率の変化は最終箔における集合組織の発達にも寄与する。これら, 結晶粒サイズや集合組織の集積度合いは局部変形能に影響を及ぼし, つまりは成形性にも寄与すると考える。このため、スラブ厚さは、600mm以上とするのが望ましい。但し、スラブ厚さが750mmを超えると、鋳造時の冷却速度が低下し、鋳造時に生成する晶出物や結晶粒径の粗大化を引き起こしやすくなる。
・均質化処理:480℃~540℃×8時間以上
均質化処理は、鋳塊のミクロ偏析の解消と金属間化合物の分布状態を調整することを目的としており、最終焼鈍後のアルミニウム合金箔において微細均一な結晶粒組織を得るために重要な処理となる。
均質化処理の温度が480℃未満であると、結晶粒微細化が不十分であり、540℃を超えると、結晶粒の粗大化を招く。処理時間が8時間未満であると、均質処理が不十分となる。
・熱間圧延
:仕上り温度230℃~280℃
均質化処理後の鋳塊を熱間圧延する場合、その仕上がり温度が重要となる。仕上がり温度を適正にして再結晶を抑制する(熱延板をファイバー組織とする)。ただし、仕上がり温度が280℃を超えると熱間圧延後に板の一部で再結晶を生じ、最終製品における理想的な集合組織が得にくくなる。またファイバー粒と再結晶粒が混在する不均一な組織は、最終製品における結晶粒組織の不均一さにも寄与し、成形性の低下を招くおそれがある。一方、圧延仕上がり温度が230℃未満で仕上げるには熱間圧延中の温度も極めて低温となるため、板のサイドにクラックが発生し生産性が大幅に低下する懸念がある。このため、熱間圧延の仕上がり温度は上記範囲が望ましい。
:圧延率99.2%以上
スラブから熱間圧延仕上がりまでの間の圧延率を99.2%以上として, 鋳造時に生成した晶出物を細かく分断させるのが望ましい。また,圧延率を高くすること熱延後でファイバー組織とさせる。
・冷間圧延
熱間圧延後には、冷間圧延が行われ、その途中に1回以上の中間焼鈍を行うことができる。
・中間焼鈍:300~400℃×3時間以上
冷間圧延により硬化した材料を軟化(圧延性を回復)させる。また、Feの析出を促進し固溶Fe量を低下させる。
中間焼鈍の温度が300℃未満では再結晶が完了せず結晶粒組織が不均一になるリスクがある、また、中間焼鈍の温度が400℃を超える高温では再結晶粒の粗大化を生じ、最終的な結晶粒サイズも大きくなる。処理時間が3時間未満の場合でも、再結晶が不完全であり、またFeの析出が不十分となる恐れがある。
中間焼鈍にはコイルを炉に投入し一定時間保持するバッチ焼鈍(Batch Ann
ealing)と、連続焼鈍ライン(Continuous Annealing Line、以下CAL焼鈍という)により材料を急加熱・急冷する2種類の方式がある。中間焼鈍を負荷する場合、いずれの方法でも良い。
例えば、バッチ焼鈍では、300~400℃で3時間以上、CAL焼鈍では、昇温速度:100~250℃/秒、加熱温度:420~470℃、保持時間なしまたは保持時間:5秒以下、冷却速度:20~200℃/秒の条件を採用することができる。ただし、本実施形態としては、中間焼鈍の有無、中間焼鈍を行う場合の条件等は特定のものに限定されるものではない。
・最終冷間圧延:圧延率 95%以上
結晶粒は冷間圧延の過程でも微細化されるため(Grain Subdivision)、中間焼鈍後から最終厚みまでの最終冷間圧延率が高い程、結晶粒は微細化される。また冷間圧延率が高い程、Cu方位をより発達出来る。そのため、最終冷間圧延率は高い方が望ましく、具体的には最終冷間圧延率を95%以上とすることが望ましい。しかし最終冷間圧延率95%未満とすると、最終焼鈍後の再結晶粒径が粗大・不均一化し局部変形能が悪化し、高延性ひいては高成形性を達成することが難しくなる。
・最終冷間圧延後の厚さ
最終冷間圧延によって所望の厚さとすることができる。本実施形態としては特に厚さが限定されるものではないが、例えば10~40μmの厚さを示すことができる。
・最終焼鈍:250℃~350℃×10時間以上
最終冷間圧延後の箔を完全軟化させるために、最終焼鈍が行われる。箔圧延後の最終焼鈍は例えば、250℃~350℃で実施すればよい。最終焼鈍の温度が低いと軟質化が不十分である。350℃を超えると、箔の変形や経済性の低下などが問題となる。最終焼鈍の時間は、10時間未満では最終焼鈍の効果が不十分である。
実施形態のアルミニウム合金箔は、圧延方向に対して0°、45°、90°の各方向の伸びが30%以上の伸び特性を有している。
上記伸び特性は、製造工程においてスラブ厚さを600mm~750mmとし鋳造時に生成する晶出物や結晶粒のサイズ, 分布および最終箔までの圧延率を制御することで、最終箔における結晶粒径や集合組織を適正化することにより得ることができる。
さらに実施形態のアルミニウム合金箔は、前記3方向のうち1方向以上において、単軸引張試験における引張方向ひずみの最大値(局部変形能)が45%以上である。
当該ひずみは。例えば、DIC解析方法により測定することができる。DIC測定は、試験材にスプレーなどを用いて速乾性塗料を塗布し、表面にランダムパターンを予め描いておき、それを塑性変形、例えば単軸引張試験に供した際のパターンの変化を光学センサで読み取って変形中のひずみ分布を測定する。パターンの変化は例えば連続でカメラにより撮影することができる。DIC解析では、小さな標点間でのひずみを計測して局所部のひずみを取得することができる。
本実施形態では、さらに以下の特性を有しているのが望ましい。
・方位差15°以上の大傾角粒界に囲まれた結晶粒について、平均粒径が15μm以下、かつ最大粒径/平均粒径≦3.0
上記特性は、製造工程においてスラブ厚さや圧延率を適切に制御にすることにより得ることができる。
・Cu方位密度30以上かつCube方位密度6以下
上記Cube方位密度、Cu方位密度は、製造工程において、最終冷間圧延率を95%以上にすることにより得ることができる。
以下に、本発明の実施例を説明する。
表1に示す組成のアルミニウム合金(残部がAlとその他の不可避不純物)を常法により溶製し、表1に示す厚みのスラブを得た。当該スラブに対して、500℃で8時間以上保持する均質化処理を行った。
均質化処理後のスラブに対し、表1に示す圧下率の熱間圧延によって、5mmの仕上がり厚みで熱間圧延を行った。熱間圧延仕上り温度は235℃~284℃とした。
次いで熱間圧延材を冷間圧延した。冷間圧延では、供試材No.8を除いて、板厚が2.8mmになった状態(冷間圧延率44.4%)で、中間焼鈍を行った。中間焼鈍は、360℃×3時間の条件でバッチ炉で行った。その後、仕上げ厚さ40μmになるまで最終冷間圧延を行った。最終冷間圧延の圧下率は98.6%であった。試験材No.8は、中間焼鈍を行うことなく仕上げ厚さまで圧延した。よって最終冷間圧延は99.2%であった。
冷間圧延を完了したアルミニウム合金箔に対しては、最終焼鈍を行った。最終焼鈍は300℃×20時間の条件により行った。
得られた供試材に対し、以下の項目についてそれぞれ評価を行い、評価結果を表2に示した。
伸び率
伸び率は引張試験にて測定した。引張試験は、JIS Z2241に準拠し、圧延方向に対して0°、45°、90°の各方向の伸びを測定できるように、JIS5号試験片を採取し、万能引張試験機(島津製作所社製 AGS-X 10kN)で引張り速度5mm/min.にて試験を行った。
伸び率の算出について以下の通りである。まず試験前に試験片長手中央に試験片垂直方向に2本の線を標点距離である50mm間隔でマークする。試験後にアルミニウム合金箔の破断面をつき合わせてマーク間距離を測定し、そこから標点距離(50mm)を引いた伸び量(mm)を標点間距離(50mm)で除して伸び率(%)を求めた。
局部変形能
前項の伸び率測定同様の条件の引張試験にて測定を行った。試験片はJIS5号試験片を用い、試験片平行部に艶消しの白色速乾性塗料をスプレーにて下地として塗布した後、黒色の速乾性塗料をスプレーにて塗布しドット状のランダムパターンを付与した。引張試験中での試験片の様子をCCDカメラにて連続的に撮影し、Correlated Solutions社製のVIC ?3D を用いて試験片平行部における引張方向ひずみの面分布を解析した。表2の局部変形能の項には、引張方向0°、45°、90°(圧延方向に対し)のうち、試験片破断までに最大の局部ひずみを示した箇所のひずみ値を示した。
結晶粒径
箔表面を電解研磨した後、SEM(Scanning Electron Microscope)-EBSDにて結晶方位解析を行い、結晶粒間の方位差が15°以上の結晶粒界をHAGBs(大傾角粒界)と規定し、HAGBsで囲まれた結晶粒の大きさを測定した。倍率×900で視野サイズ90×180μmを3視野測定し、平均結晶粒径、及び大粒径/平均粒径を粒径比として算出した。一つ一つの結晶粒径は円相当径にて算出し、平均結晶粒径の算出にはEBSDのArea法(Average by Area Fraction Method)を用いた。尚、解析にはTSL Solutions社のOIM Analysisを使用した。
結果は、平均結晶粒径、粒径比として表2に示した。
結晶方位密度
Cube方位は{001}<100>、Cu方位は{112}<111>を代表方位とした。それぞれの方位密度はX線回折法において、{111}、{200}、{220}の不完全極点図を測定し、その結果を用いて3次元方位分布関数(ODF;Orientation Distribution Function)を計算し、各結晶方位密度の評価を行った。
結果は、Cube方位密度、Cu方位密度として表2に示した。
角筒張出し高さ
角筒張出し高さは角筒成形試験にて評価した。試験は万能薄板成形試験器(ERICHSEN社製 モデル142/20)にて行い、厚さ40μmのアルミ箔を、図1に示す形状を有する角型ポンチ(一辺の長さL=37mm、角部の面取り径R=4.5mm)を用いて行った。試験条件として、シワ抑え力は10kN、ポンチの上昇速度(成形速度)の目盛は1とし、そして箔の片面(ポンチが当たる面)に鉱物油を潤滑剤として塗布した。箔に対し装置の下部から上昇するポンチが当たり、箔が成形されるが、3回連続成形した際に割れやピンホールがなく成形できた最大のポンチの上昇高さをその材料の角筒張出し高さ(mm)と規定した。ポンチの高さは0.5mm間隔で変化させた。
測定結果は表2に示した。
表2に示すように、本願発明の実施例No.1~8では、比較例に比して角筒張出し高さが大きく、優れた成形性を有している。それに対し、本発明の組成もしくは塑性加工に伴う局部変形能の何れか又は両方が範囲外である比較例No.9~15は、角筒張出し高さが小さく、成形性に劣っている。
Figure 2023161303000001
Figure 2023161303000002

Claims (3)

  1. Fe:0.8質量%以上1.8質量%以下、Si:0.01質量%以上0.08質量%以下、Cu:0.005質量%以上0.05質量%以下を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有し、圧延方向に対して0°、45°、90°の各方向の伸びが30%以上であり、かつ、前記3方向のうち1方向以上において、単軸引張試験における引張方向ひずみの最大値(局部変形能)が45%以上であることを特徴とするアルミニウム合金箔。
  2. 方位差15°以上の大傾角粒界で囲まれた結晶粒の平均粒径が15μm以下であり、前記結晶粒に関し、最大結晶粒径/平均結晶粒径≦3.0であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金箔。
  3. Cu方位密度が30以上であり、Cube方位密度が6以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム合金箔。
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