JP2023150249A - コーティング液 - Google Patents

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Hiroki Sakamoto
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Abstract

【課題】光触媒と親和性が高く、透明性を維持し、光触媒効果を損なわず、耐クラック性や密着性に優れ、低温で硬化し、水分散液と混合しても経時安定性にも優れたコーティングを得るためのコーティング液を提供すること。【解決手段】 チタン酸化物ナノ粒子、アモルファスシリカ、水、及び炭素数4以下のアルコール類を含有し、前記チタン酸化物ナノ粒子は表面にアセトキシ基が結合しており、示差熱熱重量同時測定装置によって600℃まで昇温させた場合の200℃以上における質量減少率が5質量%以上であり、且つ、平均粒子径1~10nmであり、前記アモルファスシリカは、残存酸分が100ppm以下であり、残留する有機基が5~35質量%であり、且つ、平均粒子径が50nm以下であることを特徴とする、コーティング液。【選択図】なし

Description

本発明は、光触媒コーティング液に関する。
光触媒であるチタニアは屈折率が高いため光の散乱が多く、チタニアによるコーティングを施した場合、そのコーティングが白濁しやすい。そのため、透明性の高い塗膜を得るためには粒径の小さいチタニアナノ粒子を使用することが必須であるが、粒径が小さいほど凝集性が高く、均一性の高い塗膜が得られにくい。
また、一般的にチタニアナノ粒子は粒子が基材上に接触しているだけの状態であるため密着性が悪い。そこで、チタニアを塗料化する際には補助的な成分であるバインダが必要である。
かかるバインダには、通常の塗布性、密着性、及び耐クラック性等に加えて、光が透過する透明性、光触媒作用に対する耐劣化性等が必要になる。そのため、通常のバインダを使用することができず、結合エネルギーが大きく分解され難いフッ素樹脂、シリカゾル、又はポリシロキサン等を使用することが多い(例えば、非特許文献1)。
しかしながら、フッ素樹脂は親水性であるチタニアとの親和性が悪く、透明性を有するコーティング液を作成することが困難である。
また、シリカは添加量を増やすとチタニアとの相互作用が増し、透明性及び液の安定性を損ない、ゲル化しやすくなる。また、チタニア及びシリカは共に粒子であるため、基材との密着性及び耐クラック性が向上しない。
また、シリカより柔軟性が期待されるオルガノポリシロキサン化合物のうち、2つの有機基(ここでは有機基はメチル基やフェニル基を指し、加水分解して有機成分が揮発するアルコキシ基は含まない)を有するシリコーン系材料は柔軟性、塗布性、透明性等に優れるが、その分チタニアの表面もコーティングされてしまい光触媒活性が大幅に低下する。
同じく、特許文献1には、1つの有機基を有するシロキサン化合物をバインダとする開示はあるが、添加量が少ないとバインダとしての機能を果たさず、添加量が多いとシリコーン系と同じく光触媒活性が低下する。
バインダはチタニアとの親和性が必要であり、加えてチタニアと混合した場合の液の経時安定性、透明性、光触媒の活性を阻害しないこと、耐クラック性、基材との密着性など、多くの物性を兼ね備える必要があるため、適したものを見つけることは困難である。また、汎用性を高めるためには、低温硬化性が望ましい。
国際公開第96/029375号明細書
吉本哲夫「光触媒膜の新展開 光触媒の固定化法」表面技術 50.3(1999):242-246.
上記のような事情に鑑み、本発明の目的とするところは、光触媒と親和性が高く、透明性を維持し、光触媒効果を損なわず、耐クラック性や密着性に優れ、低温で硬化し、水分散液と混合しても経時安定性にも優れたコーティングを得るためのコーティング液を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、所定のチタン酸化物ナノ粒子、アモルファスシリカ、及び溶媒を含有するコーティング液とすることにより、上記課題を解決できることを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のコーティング液を提供する。
項1.
チタン酸化物ナノ粒子、アモルファスシリカ、水、及び炭素数4以下のアルコール類を含有し、
前記チタン酸化物ナノ粒子は表面にアセトキシ基が結合しており、示差熱熱重量同時測定装置によって600℃まで昇温させた場合の200℃以上における質量減少率が5質量%以上であり、且つ、平均粒子径1~10nmであり、
前記アモルファスシリカは、残存酸分が100ppm以下であり、残留する有機基が5~35質量%であり、且つ、平均粒子径が50nm以下であることを特徴とする、コーティング液。
項2.
前記チタン酸化物ナノ粒子質量(M)に対するアモルファスシリカ質量(M)の質量比(M/M)が0.1~2.0である、項1に記載のコーティング液。
項3.
前記アルコール類は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-ブタノール及びtert-ブチルアルコールからなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記コーティング液中に含まれる前記アルコール類の質量は、前記水及び前記アルコール類の合計質量を100質量%として10質量%以上である、項1又は2に記載のコーティング液。
項4.
項1~3の何れかに記載のコーティング液により形成される塗膜。
項5.
項1~3の何れかに記載のコーティング液を使用して製造された抗菌剤又は抗ウイルス剤。
以上にしてなる本発明に係るコーティング液によれば、光触媒と親和性が高く、透明性を維持し、光触媒効果を損なわず、耐クラック性や密着性に優れ、低温で硬化し、水分散液と混合しても経時安定性にも優れたコーティングを得ることができる。
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。また、本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、A以上B以下を意味する。
本明細書において、「低温硬化性」とは、10~100℃の低温で硬化させることができることを意味する。
本明細書において、「光触媒活性」とは、親水性、有機物分解性能、抗菌・抗ウイルス性能等、光触媒が有する特性を総称した特性を意味する。
(1.コーティング液)
本発明のコーティング液は、チタン酸化物ナノ粒子、アモルファスシリカ、水、及び炭素数4以下のアルコール類を含む。
(1.1.チタン酸化物ナノ粒子)
本明細書において、「チタニア」、「酸化チタン」及び「チタン酸化物」には、二酸化チタン(TiO)のみならず、三酸化二チタン(Ti)、一酸化チタン(TiO)、Ti、Ti等の二酸化チタンより酸素欠損した組成のものも含むものとする。また、末端OH基に代表されるような、一部酸化チタンの合成に起因するTi-O-Ti以外の基を有するものも含まれるものとする。さらに、末端OH基に有機酸等が結合したものも含まれるものとする。
チタン酸化物ナノ粒子において、表面に存在する少なくとも一部のチタン原子にアセトキシ基が結合している。通常、水、無機酸、及び遊離した有機酸等は200℃以下でほとんど揮発する。一方、本発明で使用するチタン酸化物ナノ粒子は、表面に存在する少なくとも一部のチタン原子にアセトキシ基が結合していることから、200~600℃の範囲で徐々に脱離する。具体的には、約260℃をピークとして200~600℃の範囲で徐々に脱離する。
このように、本発明で使用するチタン酸化物ナノ粒子は、表面に存在する少なくとも一部のチタン原子にアセトキシ基が結合していることから、乾燥又は焼成時にチタン酸化物同士の凝集を抑制できるためクラック、剥がれ等が起こりにくく塗布性及び透明性に特に優れる結果光触媒活性にも優れる。換言すると、チタン酸化物ナノ粒子の表面に存在する少なくとも一部のチタン原子にアセトキシ基が結合していない場合、コーティングの十分な塗布性及び透明性を得ることができない。
なお、通常は、アセトキシ基を有していると光触媒活性は低下するのが技術常識であるが、本発明のコーティング液は上記のとおりクラック、剥がれ等の抑制効果が特に優れているためアセトキシ基を有しているにもかかわらず光触媒活性も向上させることができる。
また、チタン酸化物ナノ粒子は、表面に存在するチタン原子にアセトキシ基が大量に結合していることが好ましい。表面に存在する少なくとも一部のチタン原子にアセトキシ基が存在している場合は、上記のとおり200~600℃の範囲で徐々に離脱することから、示差熱熱重量同時測定装置(TG-DTA)によって昇温させた場合に200℃以上での質量減少率が大きい。つまり、本発明において、示差熱熱重量同時測定装置(TG-DTA)によって昇温させた場合に200℃以上での質量減少率は、表面に存在するチタン原子にアセトキシ基が結合している数の指標を意味する。
このため、示差熱熱重量同時測定装置(TG-DTA)によって600℃まで昇温させた場合の200℃以上における質量減少率は5質量%以上であり、7~20質量%であることが好ましい。尚、上記の質量減少率は、昇温操作において200℃時の質量に対する、600℃時のチタン酸化物ナノ粒子の質量減少率を表すものであるとする。この際、示差熱熱重量同時測定装置(TG-DTA)の詳細な条件は、雰囲気:空気、昇温速度:3℃/分である。なお、単純に親水性による防汚効果を意図している場合や、高い透明性が不要である場合は、質量減少率が上記範囲外である有するチタン酸化物も使用することができる。
チタン酸化物ナノ粒子の平均粒子径は、透明性、塗布性、親水性及び光触媒活性の観点から、1~10nmが好ましく、0.5~6nmがより好ましい。また、通常平均粒子径が小さい場合、加熱時の収縮が大きいため、クラックや基板からの剥離が起こりやすいが、本発明においては、チタン酸化物は平均粒子径が小さいにも関わらず塗布性に優れる。チタン酸化物の平均粒子径は、電子顕微鏡(TEM)観察により測定する。なお、単純に親水性による防汚効果を意図している場合や、高い透明性が不要である場合は、上記範囲外の平均粒子径を有するチタン酸化物も使用することができる。
チタン酸化物ナノ粒子の比表面積は、透明性、塗布性、親水性及び光触媒活性を考慮し、95~500m/gとすることが好ましく、200~400m/gとすることがより好ましい。チタン酸化物の比表面積はBET法により測定する。なお、単純に親水性による防汚効果を意図している場合や、高い透明性が不要である場合は、上記範囲外の比表面積を有するチタン酸化物も使用することができる。
また、上記チタン酸化物ナノ粒子は、N、Cl及びS元素を、それぞれいずれも0~5000ppm、より好ましくは0~1000ppmの濃度で含んでいてもよい。チタン酸化物ナノ粒子中のN、Cl及びS元素の濃度をかかる範囲とすることにより、基材の腐食等を抑えやすい。
上記の構成は、TiCl、TiOSO等の酸性チタニア前駆体由来の不純物が存在しないか、又はごく少量であることを意味する。上記チタン酸化物のN、Cl及びS元素の濃度はWDX(蛍光X線)により測定することができる。
上記チタン酸化物ナノ粒子は、上記のとおり表面に存在する少なくとも一部のチタン原子にアセトキシ基が結合しているものであるが、このアセトキシ基は、-OCOCHで表される基でチタン原子と結合していることが好ましい。
さらに、上記チタン酸化物ナノ粒子の結晶形は、アナターゼ型であることが好ましい。アナターゼ型を採用することにより、光触媒活性を向上させやすくなる。また、同様の理由から、アナターゼ型以外の結晶形は存在せず、アナターゼ型100%であることが好ましい。
かかるチタン酸化物ナノ粒子は、平均粒子径及び比表面積を調整することができ、また、分散性に優れるため透明性及び塗布性に優れるものである。また、上記チタン酸化物ナノ粒子は、光触媒活性にも優れている。
上記したチタン酸化物ナノ粒子は、例えば、
(A)チタンを含む物質、酢酸及び水を混合して分散液を得る工程、及び
(B)前記工程(A)で得られた分散液を、80℃より高い温度で1時間以上加熱する工程を備え、且つ、
前記工程(A)において、前記チタンを含む物質と前記酢酸との混合比率は、前記チタンを含む物質中のチタン1モルに対して前記酢酸中のアセトキシ基が1モル以上である方法により得ることができる。
工程(A)では、特定量のチタンを含む物質、特定量の酢酸及び水を混合して分散液を得る。
使用するチタンを含む物質は、加熱によりチタン酸化物(酸化チタン)となる物質であれば特に制限はない。つまり、チタンを含む物質としては、酸化チタン及び/又は酸化チタン前駆体が好ましく、具体的には、酸化チタン;水酸化チタン;チタンアルコキシド;三塩化チタン、四塩化チタン等のハロゲン化チタン(特に塩基で中和したもの);金属チタン等が挙げられる。これらのチタンを含む物質は単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
これらのなかでも、得られるチタニアの分散性、塗布性、親水性、光触媒活性等の観点から、チタンアルコキシド、水酸化チタン又はハロゲン化チタン(特に塩基で中和したもの)が好ましく、特に純度、分散性、塗布性、親水性、及び光触媒活性の観点からチタンアルコキシドがより好ましい。
チタンアルコキシドとしては、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn-ブトキシド、チタンテトラn-プロポキシド、及びチタンテトラエトキシド等が挙げられ、コスト、副生成物の水溶性、塗布性、親水性、光触媒性等の観点から、チタンテトライソプロポキシドが好ましい。
なお、チタンアルコキシドと酢酸との組合せによっては、得られるチタン酸化物を触媒として水に溶けにくいエステル化合物が遊離することがある。チタニア自身には問題はない(例えば、チタンテトラn-ブトキシドと酢酸の組合せにおいて、混合し加熱した段階で酢酸ブチルが生じ遊離する)が、均一な分散液を得る観点からは、水溶性に優れる有機酸アルコキシドが得られる有機酸とチタンアルコキシドとの組合せを採用することが好ましい。
ハロゲン化チタン(四塩化チタン、三塩化チタン等)については、不純物(ハロゲン)、量産時の反応器の腐食、結晶性制御、塗布性、親水性、及び光触媒性等の観点から、塩基で中和し、沈殿物の洗浄を行ってから用いることが好ましい。その場合、得られるチタン酸化物の分散性の観点から、乾燥を行わずに用いることが好ましい。
なお、酸化チタン又は金属チタン等の固体を用いる場合、酸化チタン粉末又は金属チタン粉末の平均粒子径は100nm以下とすることが好ましく、50nm以下とすることがより好ましい。下限値は特に設定されず、通常1nm程度とするとよい。なお、粒径が大きい場合は遊星ボールミル又はペイントシェーカー等を用いて乾式又は湿式で粉砕して用いることもできる。酸化チタン、金属チタン等の固体の平均粒子径は、電子顕微鏡(SEM又はTEM)観察により測定する。
分散液中のチタンを含む物質の濃度は、生産性、反応液の粘度、塗布性、親水性、及び光触媒活性等の観点から、0.01~5mol/Lとすることが好ましく、0.05~3mol/Lとすることがより好ましい。
酢酸の使用量は、分散性、塗布性、親水性、光触媒性及びコスト等の観点から、チタンを含む物質中のチタン1モルに対して、カルボキシ基を1.5モル以上、好ましくは2モル以上含むように調整することが好ましい。酢酸を多く用いるほど経時安定性及び塗布性等が向上する。なお、上限値は特に制限されず、チタンを含む物質中のチタン1モルに対して通常4モルである。
分散液中の酢酸の濃度は、分散性、塗布性、親水性、光触媒性及びコスト等の観点から、0.02~10mol/Lとすることが好ましく、0.1~7mol/Lとすることがより好ましい。
反応溶媒としては、水等の水性溶媒を主成分(具体的には、例えば50質量%以上)として用いることが好ましいが、反応時にアルコール又はエステルを含んでいてもよい。
例えばチタンテトライソプロポキシドを原料として用いた場合、酢酸との反応によりイソプロパノールが生じる。また、加熱により酢酸イソプロピルが生じることもある。つまり、工程(A)により得られる分散液中には、アルコール又はエステルを添加してもよいし、系中で発生していてもよい。このアルコール又はエステルについては、100℃以下の開放系における加熱により除去してもよいし、減圧により除去してもよいし,反応液中に残留していてもよい。
なお、分散液中にアルコールが含まれる場合には、得られるチタン酸化物の平均粒子径が小さくなる傾向にあり、平均粒子径を制御するために、意図的にアルコールを添加してもよい。
本発明においては、通常チタン酸化物の水熱合成反応に用いることが多い硝酸、塩酸、硫酸等の無機酸(特に無機強酸)は、得られるチタン酸化物の結晶形をアナターゼ型としやすく貯蔵安定性にも優れるものとできる一方で、これらの無機酸(特に、無機強酸)は装置の腐食を促進する上に、不純物、排水等の観点からも、用いないことが好ましい。ただし、原料の分散性、均一性等を高め取扱いを容易にする場合には、効果を損なわない範囲で、例えば、0.01mol/L以下の範囲で補助的に使用することもできる。この場合、分散液中のN、Cl及びS元素の濃度がいずれも0.01mol/L以下となる。
上記工程(A)で得られる分散液のpHは、装置の腐食、取扱いの安全性及び分散性等を考慮し、2以上6未満とすることが好ましく、2.1~5とすることがより好ましい。
工程(A)における分散液の作製方法は特に制限はなく、チタンを含む物質、有機酸及び水(溶媒)を同時に混合してもよいし、逐次混合してもよい。特に、凝集して大きな塊を形成しにくく攪拌を継続できるようにするために、酢酸及び水(溶媒)を混合した後に、攪拌しながらチタンを含む物質を添加することが好ましい。
工程(B)においては、工程(A)で得られた分散液を80℃より高い温度で1時間以上加熱する。
工程(B)は、常圧下に行ってもよいし、密閉容器内で加圧下に行ってもよい。但し、チタン酸化物ナノ粒子の平均粒子径を小さくするためには、常圧下に行うことが好ましく、具体的には0.09~0.11MPaが好ましい。なお、加圧下に行う場合は、光触媒活性が高く、且つ透明性の高い膜が形成しやすくするために、0.2MPa以下(0.11~0.2MPa)において短時間(例えば5~30分程度)の反応を行うことが好ましい。
加熱の際には、チタンを含む物質と酢酸と水とを十分に反応させやすい観点から、撹拌することが好ましい。攪拌の方法は特に制限はなく、常法に従うことができる。また、攪拌時間は、チタンを含む物質と酢酸と水とを十分に反応させる観点から、1時間以上が好ましく、1.5時間以上がより好ましい。攪拌時間の上限値は特に制限されないが、通常240時間である。
加熱温度は、塗布性、耐クラック性等の観点から、80℃超とすることが好ましく、82℃以上とすることがより好ましい。なお、加熱温度の上限値は特に制限されず、例えば、常圧で反応する場合は通常120℃である。
このような工程(B)で得られる分散液のpHは、装置の腐食や取扱いの安全性及び分散性等を考慮し、2以上6未満とすることが好ましく、2.1~5とすることがより好ましい。
工程(B)の後、常法により、チタン酸化物ナノ粒子を沈殿及び遠心分離すること等により、チタン酸化物ナノ粒子を回収することができる。一方、後述するコーティング液の製造方法を考慮すれば、沈殿、遠心分離等の単離工程は行わずに、得られた分散液をそのまま使用することが好ましい。
上記したチタン酸化物ナノ粒子の濃度は、塗布性、透明性、膜強度、光触媒活性等の観点から、本発明のコーティング液の総量を100質量%として、TiO換算で0.01~3質量%とすることが好ましく、0.02~2.5質量%とすることがより好ましく、0.05~1.5質量%とすることがさらに好ましい。複数種のチタン酸化物ナノ粒子を使用する場合は、その総量が上記範囲となるように調整することが好ましい。なお、TiO換算濃度は、チタン酸化物を焼成して当モル量のTiOになったと仮定した場合の濃度であり、チタン酸化物が有する有機基(アセトキシ基)の分子量には左右されない。
また、本発明のコーティング液において、オルガノポリシロキサン化合物とチタン酸化物との配合割合は、SiO2/TiO2換算質量比として0.1~1が好ましく、0.2~0.8がより好ましく、0.25~0.75がさらに好ましい。なお、TiO/SiO換算質量比は、オルガノポリシロキサン化合物及びチタン酸化物を焼成して当モル量のSiO及びTiOになったと仮定した場合の配合割合であり、オルガノポリシロキサン化合物が有する有機基の分子量や末端アルコキシ基の加水分解及び縮合状態、及びチタン酸化物が有する有機基(アセトキシ基)の分子量には左右されない。
一般的に、TiO/SiO換算質量比は、大きいほど光触媒活性を高くしやすく、小さいほど塗布性、透明性、膜強度等を高くしやすい。一方、本発明においては、TiO/SiO換算質量比を小さくしても十分な光触媒活性を有するし、TiO/SiO換算質量比を大きくしても十分な塗布性、透明性、膜強度、耐クラック性、及び密着性等を有する。
(1.2.アモルファスシリカ)
本明細書において、アモルファスシリカはシリカ前駆体であるシランアルコキシド、もしくはその重合体とは区別されるものとする。シランアルコキシドはテトラアルコキシドの場合はケイ素原子1つに対して炭素原子4つ以上、トリアルコキシドの場合はケイ素原子1つに対して炭素原子3つ以上(多くの場合は、残りの官能基は有機基であるため4つ以上)、テトラアルコキシドの低分子量重合体であるオリゴマーであってもケイ素原子1つに対して炭素原子2つ以上残留している。例えば、テトラメトキシシランSi(OCHが直鎖状に縮合した10量体の場合、ケイ素原子10に対して炭素原子は22であり、分子量1107である。これが完全に加水分解し、脱水縮合したとすると10SiOとなり、分子量は601相当となる。つまり、加熱減量を有機基とすると(アルコキシ基が加水分解してから縮合する場合、アルコールが脱離してから水が脱離するため、2つを切り分けできない)、有機基は45.7質量%含むとみなせ、実際に600℃以上に焼成した場合、残分は54.3質量%と予想できる。これに対して、本発明で使用するアモルファスシリカは十分に加水分解と脱水縮合が行われており、残留する有機基とみなせる加熱減量が5質量%以上35質量%以下であり、シリカナノ粒子よりは表面の有機基が多く、上記のシランアルコキシドやそのオリゴマーよりは表面の有機基が少ない。また、残留する有機基とみなせる加熱減量は7質量%以上35質量%以下であることが好ましく、10質量%以上35質量%以下であることがより好ましい。
また、アモルファスシリカにおける残存酸分はシリカ同士もしくはシリカとチタニアの結合を促進し液の安定性を阻害し、また、残存酸の種類が塩酸などの強酸である場合は基材を腐食する恐れがあることから、100質量ppm以下であり、85質量ppm以下であることが好ましく、50質量ppm以下であることがより好ましい。残存酸分が100質量ppmを超えると、シリカとチタニアの液のゲル化もしくは不均一化が起こりやすくなってしまう。もしくは強酸の残存酸分が多いと基材の腐食の原因になる恐れがある。残存酸分の下限値としては特に限定はなく、例えば0質量ppmとすることもできる。
平均粒子径は、シリカの場合はチタニアより屈折率が低く、同じ粒径でも白濁しにくいため、透明性を出すためにはチタニアナノ粒子より大きくてもよい。以上を考慮し、アモルファスシリカの平均粒子径は50nm以下であり、30nm以下であることが好ましい。平均粒子径の下限値としては特に限定はなく、例えば1nmとすることができる。
(1.3.水及び炭素数4以下のアルコール類)
本発明のコーティング液は、さらに水及び炭素数4以下のアルコール類を含む。
水としては特に制限はなく、蒸留水、水道水、工業用水、イオン交換水、脱イオン水、純水、電解水等の各種の水を用いることができるが、陰イオンが正に帯電したチタン酸化物ナノ粒子の分散を妨げることから、蒸留水、イオン交換水、脱イオン水、純水が好ましい。
水は、水及び炭素数4以下のアルコール類の総量を100質量%として、5~65質量%含まれることが好ましく、10~60質量%含まれることがより好ましく、15~55質量%含まれることがさらに好ましいい。水及び炭素数4以下のアルコール類の総量を100質量%として、水の含有量を5質量%以上とすることにより、水に対する親和性の高い酸化チタンナノ粒子の十分な分散性を得ることができる。また、水の含有量を65質量%以下とすることにより、アモルファスシリカの凝集が抑制され、コーティング液の沈殿又は白濁の発生を抑制することができることから、コーティング液の塗布性及び透明性を向上させることができる。
チタニアは水と親和性が高く、アモルファスシリカは有機溶媒と親和性が高いため、親水性の高い有機溶媒を使用することが好ましい。よって、水と有機溶媒の分散性、透明性のために最適な比率はチタニアとアモルファスシリカの比率によって変動する。
有機溶媒としては、炭素数が4以下のアルコール類を使用する。かかるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール等の一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール等が挙げられ、エーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、3-メトキシ-1,2-プロパンジオール、1,3-ジメトキシ-2-プロパノール、トリメトキシメタン等が挙げられ、ケトンとしては、例えば、アセチルアセトン等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
上記の中でもメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-ブタノール、tert-ブチルアルコールが好ましい。
さらに、本発明のコーティング液を塗布する際の安全性、およびチタニアとの親和性を考慮し、少なくともエタノールを含むことが好ましい。このため、本発明においては、炭素数4以下のアルコール類の総量を100質量%として、エタノールを50~100質量%含むことが好ましく、60~100質量%含むことがより好ましい。
ただし、チタニア濃度が低い(具体的には、1質量%未満)の場合、有機溶媒の許容性が上がり、エタノール以外の有機溶媒、例えば2-プロパノールや1-プロパノールを多く含んでいても十分に均一に分散する。また、使用時の安全性に問題のない場合はメタノールを主成分に用いてもよい。
(1.4.その他の成分)
本発明のコーティング液は、その効果及び目的を損なわない範囲内で、その他の成分を含むことも好ましい。かかる成分としては、特に限定はなく、消臭性、抗菌性、抗ウイルス性、及び可視光応答性などを考慮し、液の均一性、塗膜の透明性、及び液の経時安定性を損なわない範囲で、金属イオン(例えば銀、銅、鉄、ニッケル、マンガン、クロム、スズ、ニオブ、バナジウム、タンタル、タングステン、モリブデンなど)、金属ナノ粒子(例えば銀、銅、金、白金など)、又は有機物(各種消臭剤、抗菌剤、抗ウイルス剤)を加えてもよい。液の経時安定性の観点からは水、有機溶媒に対する溶解性のない金属ナノ粒子を加えることが好ましい。
(2.コーティング液の製造方法)
本発明のコーティング液の製造方法は特に制限されず、アモルファスシリカ分散液にチタン酸化物ナノ粒子を添加することにより、得ることができる。一方、コーティングの透明性、光触媒活性、耐クラック性及び密着性等を考慮し、上記のようにしてアモルファスシリカ分散液と、チタン酸化物ナノ粒子分散液をそれぞれ製造した後、これら2種の液、もしくは溶媒(水及び炭素数4以下のアルコール類)を加えた3種を混合することで製造することができる。混合方法は特に制限されず、常法にしたがうことができる。
アモルファスシリカ分散液は水が少なく有機溶媒が多いほうが安定であり、チタン酸化物ナノ粒子分散液は水が多く有機溶媒が少ないほうが安定であるため、それぞれ安定な溶媒比で調製し、本工程において、好ましいSiO/TiO換算質量比となるように混合しつつ、好ましい溶媒比となるように適宜溶媒を添加することもできる。
アモルファスシリカ分散液とチタン酸化物ナノ粒子の分散液、および溶媒の混合する順序としては、アモルファスシリカ分散液とチタン酸化物ナノ粒子の分散液を最終の組成に合わせて最大限希釈した後、これら2液を混合することが好ましい。アモフファスシリカとチタン酸化物が濃い状態で接触した場合、不可逆な沈殿が生じる恐れがあるからである。
混合の際の本発明のコーティング液とチタン酸化物の分散液との混合割合は、特に制限されるわけではないが、上記のとおり、アモルファスシリカとチタン酸化物ナノ粒子との配合割合がSiO/TiO換算質量比として0.1~1.0(好ましくは0.2~0.8、より好ましくは0.25~0.75)となるように調整することが好ましい。
(3.コーティング液の用途)
本発明のコーティング液は分散性に優れ、低温で硬化し、透明性を維持し、耐クラック性や密着性に優れるものであるため、緻密なコーティングが可能であり、各種基材(ガラス基材、金属基材(ステンレス基材、アルミニウム基材等)、樹脂基材(ポリエチレンテレフタラート基材、ポリカーボネート基材、ポリメタクリル酸メチル基材、ポリエチレン基材、ポリ塩化ビニル基材等)、セラミック基材(アルミナ基材等)等)の上に適用することで、塗膜として有用である。
本発明のコーティング液は、分散性に優れ、低温で硬化し、透明性を維持し、光触媒効果を損なわず、耐クラック性や密着性に優れ、水分散液と混合しても経時安定性にも優れるものであるため、緻密なコーティングが可能であり、各種基材(ガラス基材、金属基材(ステンレス基材、アルミニウム基材等)、樹脂基材(ポリエチレンテレフタラート基材、ポリカーボネート基材、ポリメタクリル酸メチル基材、ポリエチレン基材、ポリ塩化ビニル基材等)、セラミック基材(アルミナ基材等)等)の上に適用することで、光触媒として有用である。
特に抗菌剤、抗ウイルス剤、防カビ剤又は消臭剤として用いる場合、通常のチタン酸化物や有機系化合物の場合、基材から脱離することが予想されるため、密着性の良い本発明のコーティングが有用となる。
各種基材の上に適用する場合、本発明のコーティング液は、用途に応じて粘度を調整すればよい。例えば、スピンコート、ディップコート、又はスプレー等に用いる場合は低粘度、刷毛塗り又はスキージ法等に用いる場合はそれより粘度を高く調整し、スクリーン印刷に用いる場合は、さらに粘度を高く調製し、流動性を抑制することが好ましい。また、コーティングした後に、必要に応じて、50~550℃程度で加熱してもよい。加熱温度は高い方が基材密着性が高まるが、基材の耐熱性を考慮して決定する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
実施例で使用したチタニアゾルについては、以下の方法で調製した。
チタンテトライソプロポキシド142.1g(0.5mol)に酢酸120g(2mol)を加え60分撹拌し、水を538g加えて分散液を得た。当該分散液は、チタンテトライソプロポキシドの濃度は0.625mol/L、酢酸の濃度は2.5mol/L、pHは2.2であった。半透明の沈殿が発生したが、60分間撹拌した後に加熱を行ったところ70℃で沈殿がすべて解膠し、液中で分散状態となった。なお、この分散液において、無機酸の濃度、N、Cl及びS元素の濃度はいずれも0mol/Lである。
その後、常圧(0.10MPa)で、98℃で3時間撹拌したのち冷却し、1か月放置したところ、有機分散剤を使うことなく半透明の均一なチタニアゾルが得られた。このチタニアゾルに超音波分散を加えたところ、粘度が低減され、透明性が増した。得られたチタニアゾルの加熱残分(200℃)は5.7質量%であった。加熱残分(700℃)は5.0質量%であった。このため、得られた液のTiO換算濃度は5.0質量%であることが理解できる。
得られたチタニアゾルの分散液を乾燥し、チタン酸化物ナノ粒子(チタニアナノ粒子)を得たところ、BET比表面積は265m/gであり、TEM観察による平均粒子径は約3nmであり、X線回折で結晶性を解析したところ、アナターゼ型100%であった(他の結晶形は存在しなかった)。
また、得られたチタニアゾルを、水分計を用いて200℃で保持し質量減少率がなくなるまで乾燥したチタン酸化物ナノ粒子(チタニアナノ粒子)のTG-DTAを、空気雰囲気下3℃/分の昇温条件で600℃まで昇温させて測定したところ、200℃以上での質量減少率は12.5質量%であった。この200℃以上での質量減少率は、主に酢酸が脱離することによる質量減少率に相当する。遊離した酢酸は200℃以下でほとんど揮発することから、200℃以上における質量減少率が12.5質量%であることが、チタン酸化物ナノ粒子に大量のアセチトキシ基が-OCOCHの形でチタン原子と結合していることを示唆している。
次いで、得られたチタニアゾルを水で希釈し、TiO換算濃度2.0質量%のチタン酸化物ナノ粒子を含む分散液を調製した(以下Aとする)
また、シリカ系材料(アモルファスシリカ)の質量減少率は、200℃で乾燥した後に、600℃に加熱した値を用いた。この質量減少率は末端の有機基の比率を表す。
(実施例1)
アモルファスシリカ(18質量%、質量減少率33.3質量%、残存酸分0.085質量%、平均粒子径20nm)をエタノールで希釈し、2質量%の分散液を得た(B1)。A:B1:エタノール=1:0.5:0.5で混合し、チタニア1.0質量%、シリカ0.5質量%を含む半透明の分散液を得た。液は24時間後もゲル化は見られなかった。この分散液をアルミ皿に滴下し、常温で336h乾燥したところ、わずかにヘイズはあるが透明な塗膜が得られた。この塗膜に対して、綿棒を用いた摩擦試験を行ったところ、傷及び剥離は見られなかった。また、この分散液を20mLガラス容器内側に塗布し、100℃で1h乾燥したところ、内側が透明な塗膜でコーティングされた。このガラス容器を4×10-4質量%のメチレンブルー溶液で満たし、紫外光を照射すると塗膜が透明であるためガラスの裏側から照射したにもかかわらずメチレンブルーが40分で分解し透明な液となった。
(実施例2)
アモルファスシリカ(10質量%、質量減少率32.8質量%、残存酸分0.025質量%、平均粒子径20nm)エタノールで希釈し、2質量%の分散液を得た(B2)。A:B2:エタノール=1:0.5:0.5で混合し、チタニア1.0質量%、シリカ0.5質量%を含む半透明の分散液を得た。液は24時間後もゲル化は見られなかった。この分散液をアルミ皿に滴下し、常温で336h乾燥したところ、透明な塗膜が得られた。この塗膜に対して、綿棒を用いた摩擦試験を行ったところ、傷及び剥離は見られなかった。また、この分散液を20mLガラス容器内側に塗布し、100℃で1h乾燥したところ、内側が透明な塗膜でコーティングされた。このガラス容器を4×10-4質量%のメチレンブルー溶液で満たし、紫外光を照射すると塗膜が透明であるためメチレンブルーが30分で分解し透明な液となった。
(実施例3)
アモルファスシリカ(20質量%、質量減少率9.3質量%、平均粒子径12nm)をエタノールで希釈し、2質量%の分散液を得た(B3)。A:B3:エタノール=1:0.5:0.5で混合し、チタニア1.0質量%、シリカ0.5質量%を含むやや白濁した半透明の分散液を得た。液は24時間後もゲル化は見られなかった。この分散液をアルミ皿に滴下し、常温で336h乾燥したところ、わずかにヘイズはあるが透明な塗膜が得られた。この塗膜に対して、綿棒を用いた摩擦試験を行ったところ、傷及び剥離は見られなかった。この分散液を20mLガラス容器内側に塗布し、100℃で1h乾燥したところ、内側が半透明な塗膜でコーティングされた。このガラス容器を4×10-4質量%のメチレンブルー溶液で満たし、紫外光を照射するとメチレンブルーが45分で分解し透明な液となった。
(実施例4)
A:B2=1:1で混合し、チタニア1.0質量%、シリカ1.0質量%を含む半透明の分散液を得る以外は実施例2と同様に試験を行った。液は24時間後もゲル化は見られなかった。この分散液をアルミ皿に滴下し、常温で336h乾燥したところ、ほぼ透明な塗膜が得られた。この塗膜に対して、綿棒を用いた摩擦試験を行ったところ、傷及び剥離は見られなかった。この分散液を20mLガラス容器内側に塗布し、100℃で1h乾燥したところ、内側が透明な塗膜でコーティングされた。このガラス容器を4×10-4質量%のメチレンブルー溶液で満たし、紫外光を照射するとメチレンブルーが40分で分解し透明な液となった。
(実施例5)
A:B2:エタノール=1:0.25:0.75で混合し、チタニア1.0質量%、シリカ0.25質量%を含む半透明の分散液を得る以外は実施例2と同様に試験を行った。液は24時間後もゲル化は見られなかった。この分散液をアルミ皿に滴下し、常温で336h乾燥したところ、透明な塗膜が得られた。この塗膜に対して、綿棒を用いた摩擦試験を行ったところ、傷及び剥離は見られなかった。この分散液を20mLガラス容器内側に塗布し、100℃で1h乾燥したところ、内側が透明な塗膜でコーティングされた。このガラス容器を4×10-4質量%のメチレンブルー溶液で満たし、紫外光を照射するとメチレンブルーが40分で分解し透明な液となった。
(実施例6)
A:B2:エタノール=1:0.1:0.9で混合し、チタニア1.0質量%、シリカ0.1質量%を含む半透明の分散液を得る以外は実施例2と同様に試験を行った。液は24時間後もゲル化は見られなかった。この分散液をアルミ皿に滴下し、常温で336h乾燥したところ、透明な塗膜が得られた。この塗膜に対して、綿棒を用いた摩擦試験を行ったところ、わずかに傷はみられるものの、剥離は見られなかった。この分散液を20mLガラス容器内側に塗布し、100℃で1h乾燥したところ、内側が透明な塗膜でコーティングされた。このガラス容器を4×10-4質量%のメチレンブルー溶液で満たし、紫外光を照射するとメチレンブルーが40分で分解し透明な液となった。
(実施例7)
A:B2:エタノール=0.5:1.0:0.5で混合し、チタニア0.5質量%、シリカ1.0質量%を含む半透明の分散液を得る以外は実施例2と同様に試験を行った。液は24時間後もゲル化は見られなかった。この分散液をアルミ皿に滴下し、常温で336h乾燥したところ、透明な塗膜が得られた。この塗膜に対して、綿棒を用いた摩擦試験を行ったところ、わずかに傷はみられるものの、剥離は見られなかった。この分散液を20mLガラス容器内側に塗布し、100℃で1h乾燥したところ、内側が透明な塗膜でコーティングされた。このガラス容器を4×10-4質量%のメチレンブルー溶液で満たし、紫外光を照射するとメチレンブルーが40分で分解し透明な液となった。
(比較例1)
A:エタノール=1:1で希釈し、チタニア1.0質量%の半透明の分散液を得た。液は24時間後もゲル化は見られなかった。この分散液をアルミ皿に滴下し、常温で336h乾燥したところ、ほぼ透明な塗膜が得られた。この塗膜に対して、綿棒を用いた摩擦試験を行ったところ、塗膜の剥離が見られ、白濁した筋が見られた。この分散液を20mLガラス容器内側に塗布し、100℃で1h乾燥したところ、内側が透明な塗膜でコーティングされた。このガラス容器を4×10-4質量%のメチレンブルー溶液で満たし、紫外光を照射するとメチレンブルーが35分で分解し透明な液となった。
(比較例2)
シリカゾル(34質量%、質量減少率4質量%、平均粒子径25nm)をエタノールで希釈し、2質量%の分散液を得た(BR2)。A:BR2:エタノール=1:0.5:0.5で混合し、チタニア1.0質量%、シラン化合物0.5質量%を含む白濁した分散液が得られた。液は10分後にゲル化した。この分散液をゲル化する前にアルミ皿に滴下し、常温で336h乾燥したところ、白濁した塗膜が得られた。この塗膜に対して、綿棒を用いた摩擦試験を行ったところ、完全に剥離した。この分散液を20mLガラス容器内側に塗布し、100℃で1h乾燥したところ、一部塗膜の剥離が見られた。このガラス容器を4×10-4質量%のメチレンブルー溶液で満たし、紫外光を照射するとメチレンブルーの分解に50分かかった。
(比較例3)
メチルトリメトキシシラン(質量減少率56質量%)をエタノールで希釈し、2質量%の分散液を得た(BR3)。A:BR3:エタノール=1:0.5:0.5で混合し、チタニア1.0質量%、シラン化合物0.5質量%を含む半透明の分散液が得られた。液は24時間後もゲル化は見られなかった。この分散液をゲル化する前にアルミ皿に滴下し、常温で336h乾燥したところ、透明な塗膜が得られた。この塗膜に対して、綿棒を用いた摩擦試験を行ったところ、剥離はしなかったが傷が見られた。この分散液を20mLガラス容器内側に塗布し、100℃で1h乾燥したところ、内側が半透明な塗膜でコーティングされた。このガラス容器を4×10-4質量%のメチレンブルー溶液で満たし、紫外光を照射するとメチレンブルーの分解に50分かかった。
(比較例4)
シランカップリング剤である3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(質量減少率74%)をエタノールで希釈し、2質量%の分散液を得た(BR4)。A:BR4:エタノール=1:0.5:0.5で混合し、チタニア1.0質量%、シラン化合物0.5質量%を含む半透明の分散液が得られた。液は24時間後もゲル化は見られなかった。この分散液をゲル化する前にアルミ皿に滴下し、常温で336h乾燥したところ透明な塗膜が得られた。この塗膜に対して、綿棒を用いた摩擦試験を行ったところ、剥離はしなかったが傷が見られた。この分散液を20mLガラス容器内側に塗布し、100℃で1h乾燥したところ、内側が透明な塗膜でコーティングされた。このガラス容器を4×10-4質量%のメチレンブルー溶液で満たし、紫外光を照射すると50分かかってもメチレンブルーの分解が完了しなかった。
(比較例5)
乾燥したシリカナノ粒子(ヒュームドシリカ、平均粒子径8nm)をエタノールで希釈し、2質量%の白濁した分散液を得た(BR5)。A:BR5:エタノール=1:0.5:0.5で混合し、チタニア1.0質量%、シラン化合物0.5質量%を含む白濁した分散液が得られた。液は24時間後には沈殿が見られた。この分散液を沈殿が生じる前にアルミ皿に滴下し、常温で336h乾燥したところ、白濁した塗膜が得られた。この塗膜に対して、綿棒を用いた摩擦試験を行ったところ、一部剥離し、白濁したスジが見られた。この分散液を20mLガラス容器内側に塗布し、100℃で1h乾燥したところ、白濁した塗膜が得られた。このガラス容器を4×10-4質量%のメチレンブルー溶液で満たし、紫外光を照射するとメチレンブルーの分解に50分かかった。
(比較例6)
シリカ前駆体としてアルコキシシランオリゴマー(質量減少率59%)をエタノールで希釈し、2質量%の分散液を得た(BR6)。A:BR6:エタノール=1:0.5:0.5で混合し、チタニア1.0質量%、シリカ0.5質量%を含む白濁した分散液が得られた。液は16時間後にゲル化した。この分散液をゲル化する前にアルミ皿に滴下し、常温で336h乾燥したところ、白濁した塗膜が得られた。この塗膜に対して、綿棒を用いた摩擦試験を行ったところ、クラックが生じ、一部が剥離した。
(比較例7)
アモルファスシリカ(21質量%、質量減少率37%、残存酸分0.35%、平均粒子径20nm)をエタノールで希釈し、2質量%の分散液を得た(BR7)。A:BR7:エタノール=1:0.5:0.5で混合し、チタニア1.0質量%、シリカ0.5質量%を含む半透明の分散液を得たが、24時間後にはゲル化した。この分散液をアルミ皿に滴下し、常温で336h乾燥したところ、白濁した塗膜が得られた。この塗膜に対して、綿棒を用いた摩擦試験を行ったところ、傷・剥離は見られなかった。
このように、末端の有機基が一定の範囲内のアモルファスシリカを用いた場合に、透明性、液の安定性、塗膜の強度、及び光触媒性を両立できる。各実施例において形成される塗膜は微細な多孔質構造となるため、メチレンブルーの分解速度についてはチタニア単体緻密な塗膜を形成する場合より高くなった。
一方で、末端の有機基が少ないシリカを用いた場合はチタニアとシリカ、シリカと基材の密着性が不足するせいか塗膜の強度が不足し、末端の有機基が多すぎるシリカもしくはシリカ前駆体を用いた場合は、チタニアとシリカの反応が速すぎる、もしくは結合が強すぎるせいか液の安定性や塗膜の透明性が不足する傾向にあることが確認された。
(実験例8、比較例8)
実施例2と比較例1の分散液にチタニアに対して5質量%のAgナノ粒子を担持し、さらに水で5倍に希釈してそれぞれ実施例8の抗ウイルス剤、比較例8の抗ウイルス剤とし、画用紙に60g/mで刷毛塗りした。
乾燥後、Qβファージ(ノンエンベロープウイルス)を用いてISO 21702に準じて暗所下での抗ウイルス性試験を行った。その結果、実施例8の抗ウイルス剤を用いた抗ウイルス活性は2.1、比較例8の抗ウイルス剤を用いた抗ウイルス活性は1.7であり、実施例8の方は比較例8より抗ウイルス活性が優れ、一般的な抗ウイルス活性を有するという基準値2.0(99%不活性化)を上回った。

Claims (5)

  1. チタン酸化物ナノ粒子、アモルファスシリカ、水、及び炭素数4以下のアルコール類を含有し、
    前記チタン酸化物ナノ粒子は表面にアセトキシ基が結合しており、示差熱熱重量同時測定装置によって600℃まで昇温させた場合の200℃以上における質量減少率が5質量%以上であり、且つ、平均粒子径1~10nmであり、
    前記アモルファスシリカは、残存酸分が100ppm以下であり、残留する有機基が5~35質量%であり、且つ、平均粒子径が50nm以下であることを特徴とする、コーティング液。
  2. 前記チタン酸化物ナノ粒子質量(M)に対するアモルファスシリカ質量(M)の質量比(M/M)が0.1~2.0である、請求項1に記載のコーティング液。
  3. 前記アルコール類は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-ブタノール及びtert-ブチルアルコールからなる群より選択される少なくとも一種であり、
    前記コーティング液中に含まれる前記アルコール類の質量は、前記水及び前記アルコール類の合計質量を100質量%として10質量%以上である、請求項1又は2に記載のコーティング液。
  4. 請求項1~3の何れか1項に記載のコーティング液により形成される塗膜。
  5. 請求項1~3の何れか1項に記載のコーティング液を使用して製造された抗菌剤又は抗ウイルス剤。
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