JP2023132195A - 電池用非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、及びリチウム二次電池の製造方法 - Google Patents

電池用非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、及びリチウム二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温環境下で保存されても直流抵抗の増加を抑制することができる電池用非水電解液を提供する。【解決手段】本開示の電池用非水電解液は、式(I)で表される化合物(I)と、式(II)で表される化合物(II)と、カルボン酸エステル化合物(III)とを含む。JPEG2023132195000016.jpg38159式(I)中、R11は酸素原子等であり、R12は式(i-1)で表される基又は式(i-2)で表される基等であり、*は結合位置を示し、R13は酸素原子等であり、R14は炭素数1~6のアルキル基等である。式(II)中、Mはアルカリ金属であり、Yは遷移元素等であり、bは1~3の整数であり、mは2~4の整数であり、nは0~8の整数であり、qは0又は1であり、R21は炭素数1~10のアルキレン基等であり、R22はハロゲン原子等であり、Q1及びQ2は、それぞれ独立に、酸素原子等である。【選択図】なし

Description

本開示は、電池用非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、及びリチウム二次電池の製造方法に関する。
従来より、リチウム二次電池の性能を向上させる観点から、電池用非水電解液に用いられる非水溶媒及び電解質について種々の検討がなされている。
特許文献1は、カルボン酸エステルを用いた非水電解質二次電池(以下、「リチウム二次電池」ともいう。)において、ガス発生量を抑えることができる二次電池用非水電解質(以下、「電池用非水電解液」ともいう。)を開示している。特許文献1に開示の電池用非水電解液は、カルボン酸エステルと、リチウムビスオキサラトボレートと、非水溶媒とを含む。カルボン酸エステルの濃度は、非水溶媒の体積に対して、0.01体積%以上10体積%未満である。リチウムビスオキサラトボレートの濃度は、0.01M以上0.2M未満である。
国際公開第2021/153349号
リチウム二次電池の電池特性は、高温環境下での充放電によって低下する。そのため、高温環境下での充放電によるリチウム二次電池の電池特性の低下を抑制することができる電池用非水電解液が求められている。換言すると、高温環境下でリチウム二次電池が保存されても(すなわち、電池特性の劣化を促進させる環境にリチウム二次電池を曝しても)、直流抵抗の増加を抑制することができる電池用非水電解液が求められている。
本開示の一態様の目的は、高温環境下でリチウム二次電池が保存されても、リチウム二次電池の直流抵抗の増加を抑制することができる電池用非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、及びリチウム二次電池の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 下記式(I)で表される化合物(I)と、
下記式(II)で表される化合物(II)と、
カルボン酸エステル化合物(III)と、
を含む、電池用非水電解液。
〔式(I)中、
11は、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基、又は炭素数2~6のアルケニレン基であり、
12は、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数2~6のアルケニレン基、式(i-1)で表される基、又は式(i-2)で表される基であり、
*は、結合位置を示し、
式(i-1)中、R13は、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数2~6のアルケニレン基、又はオキシメチレン基であり、
式(i-2)中、R14は、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数2~6のアルケニル基である。
式(II)中、
Mは、アルカリ金属であり、
Yは、遷移元素、周期律表の13族元素、14族元素、又は15族元素であり、
bは、1~3の整数であり、
mは、2~4の整数であり、
nは、0~8の整数であり、
qは、0又は1であり、
21は、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数1~10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6~20のアリーレン基、又は炭素数6~20のハロゲン化アリーレン基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、qが1でmが2~4の場合にはm個のR21はそれぞれが結合していてもよい。)であり、
22は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数6~20のハロゲン化アリール基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、nが2~8の場合はn個のR22はそれぞれが結合して環を形成していてもよい。)であり、
及びQは、それぞれ独立に、酸素原子又は炭素原子である。〕
<2> 下記式(IV)で表される化合物(IV)を更に含む、前記<1>に記載の電池用非水電解液。
〔式(IV)中、R41及びR42は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はトリフルオロメチル基を表す。〕
<3> 前記カルボン酸エステル化合物(III)の含有量が、電池用非水電解液の全量に対して、0.01質量%~5質量%である、前記<1>又は<2>に記載の電池用非水電解液。
<4> 前記カルボン酸エステル化合物(III)は、プロピオン酸メチルを含む、前記<1>~<3>のいずれか1つに記載の電池用非水電解液。
<5> 正極と、
リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な負極活物質を含む負極と、
前記<1>~<4>のいずれか1つに記載の電池用非水電解液と
を備える、リチウム二次電池前駆体。
<6> 前記<1>~<5>のいずれか1つに記載のリチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施して得られた、リチウム二次電池。
<7> 前記<5>に記載のリチウム二次電池前駆体を準備する工程と、
前記リチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施す工程と
を含む、リチウム二次電池の製造方法。
本開示の一態様によれば、高温環境下でリチウム二次電池が保存されても、リチウム二次電池の直流抵抗の増加を抑制することができる電池用非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、及びリチウム二次電池の製造方法が提供される。
本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の一例である、ラミネート型電池の一例を示す概略斜視図である。 図1に示すラミネート型電池に収容される積層型電極体の、厚さ方向の概略断面図である。 本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の別の一例である、コイン型電池の一例を示す概略断面図である。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
〔電池用非水電解液〕
本開示の電池用非水電解液(以下、単に「非水電解液」ともいう)は、下記式(I)で表される化合物(I)と、下記式(II)で表される化合物(II)と、カルボン酸エステル化合物(III)とを含む。化合物(I)、化合物(II)及びカルボン酸エステル化合物(III)の各々の詳細については後述する。
以下、化合物(I)を「環状スルホン酸化合物(I)」ともいい、化合物(II)を「環状ジカルボニル化合物(II)」ともいう。
本開示の非水電解液は、上記の構成を有するので、高温環境下でリチウム二次電池が保存されても、リチウム二次電池の直流抵抗の増加を抑制することができる。
この効果は、以下の理由によると推測されるが、これに限定されない。
本開示の非水電解液を用いたリチウム二次電池を充電又は放電(以下、「充放電」という。)すると、負極の表面及び正極の表面には固体電解質界面層(SEI:Solid Electrolyte Interphase)膜(以下、「SEI膜」という。)が形成されると考えられる。
以下、負極のSEI膜と、正極のSEI膜とを区別しない場合、負極のSEI膜、及び正極のSEI膜を単に「SEI膜」という場合がある。
SEI膜は、主として、非水電解液中のリチウムイオンと、リチウム二次電池の充放電によって分解された非水電解液の分解物とによって形成されると考えられる。
SEI膜が形成されると、リチウム二次電池が高温環境下で保存されても、リチウム二次電池の充放電サイクルにおいて、本来の電池反応ではない副反応は進行しにくくなると考えられる。「電池反応」とは、正極と負極にリチウムイオンが出入り(インターカレート)する反応を示す。副反応は、負極による非水電解液の還元分解反応、正極による非水電解液の酸化分解反応、正極活物質中の金属元素の溶出等を含む。
本開示の非水電解液を用いたリチウム二次電池では、高温環境下で保存された後の充放電サイクルにおいても、SEI膜は厚膜化しにくい。そのため、非水電解液中のリチウムイオンは消費されにくい。
以上の理由により、本開示の非水電解液は、リチウム二次電池が高温環境下で保存されても、直流抵抗の増加を抑制することができると推測される。
(化合物(I))
本開示の非水電解液は、下記式(I)で表される環状スルホン酸化合物(I)を含む。
式(I)中、
11は、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基、又は炭素数2~6のアルケニレン基であり、
12は、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数2~6のアルケニレン基、式(i-1)で表される基、又は式(i-2)で表される基であり、
*は、結合位置を示し、
式(i-1)中、R13は、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数2~6のアルケニレン基、又はオキシメチレン基であり、
式(i-2)中、R14は、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数2~6のアルケニル基である。
式(I)中、R11は、炭素数2~3のアルキレン基、ビニレン基、又は酸素原子であることが好ましく、トリメチレン基、ビニレン基、又は酸素原子であることがより好ましく、酸素原子であることが特に好ましい。
環状スルホン酸化合物(I)では、R11が、酸素原子であることが好ましい。これにより、熱的及び化学的に安定な無機塩構造が形成されやすくなる。そのため、高温下において、SEI膜の耐久性を損なうSEI膜の成分の溶出、及びSEI膜の変質などは起こりにくい。その結果、SEI膜の耐久性、及びリチウム二次電池の電池特性は向上する。
式(I)中、R12は、式(i-1)で表される基又は式(i-2)で表される基であることが好ましい。
式(i-1)中、R13は、炭素数1~3のアルキレン基、炭素数1~3のアルケニレン基、又はオキシメチレン基であることが好ましく、オキシメチレン基であることがより好ましい。
式(i-2)中、R14は、炭素数1~3のアルキル基、又は炭素数2~3のアルケニル基であることが好ましく、プロピル基であることがより好ましい。
環状スルホン酸化合物(I)の具体例としては、式(I-1)~(I-8)で表される化合物が挙げられる。
以下、式(I-1)で表される化合物を「環状スルホン酸化合物(I-1)」ともいい、式(I-2)で表される化合物を「環状スルホン酸化合物(I-2)」ともいう。
非水電解液は、環状スルホン酸化合物(I)を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
非水電解液は、環状スルホン酸化合物(I-1)を含有することが好ましい。これにより、非水電解液は、環状スルホン酸化合物(I-1)を含有しない場合よりも、リチウム二次電池が高温環境下で保存されても、直流抵抗の増加をより抑制することができる。
環状スルホン酸化合物(I)の含有量は、非水電解液の全量に対し、好ましくは0.01質量%~5.0質量%、より好ましくは0.05質量%~3.0質量%、さらに好ましくは0.10質量%~2.0質量%である。
環状スルホン酸化合物(I)の含有量が上記範囲内であれば、SEI膜がリチウムイオンの伝導度を損なうことなく、リチウム二次電池は動作し得る。さらに、SEI膜が環状スルホン酸構造を含むことに伴い、リチウム二次電池の電池特性は向上する。
環状スルホン酸化合物(I)の含有量が上記範囲内であれば、SEI膜は、十分量の環状スルホン酸構造を含む。これにより、熱的及び化学的に安定な無機塩又は高分子構造は形成されやすくなる。そのため、高温下において、SEI膜の耐久性を損なうSEI膜の成分の溶出、及びSEI膜の変質などは起こりにくい。その結果、SEI膜の耐久性、及びリチウム二次電池の電池特性は向上する。
(化合物(II))
本開示の非水電解液は、下記式(II)で表される環状ジカルボニル化合物(II)を含む。
式(II)中、
Mは、アルカリ金属であり、
Yは、遷移元素、周期律表の13族元素、14族元素、又は15族元素であり、
bは、1~3の整数であり、
mは、2~4の整数であり、
nは、0~8の整数であり、
qは、0又は1であり、
21は、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数1~10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6~20のアリーレン基、又は炭素数6~20のハロゲン化アリーレン基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、qが1でmが2~4の場合にはm個のR21はそれぞれが結合していてもよい。)であり、
22は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数6~20のハロゲン化アリール基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、nが2~8の場合はn個のR22はそれぞれが結合して環を形成していてもよい。)であり、
及びQは、それぞれ独立に、酸素原子又は炭素原子である。
Mは、アルカリ金属である。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。中でも、Mは、リチウムであることが好ましい。
Yは、遷移元素、周期律表の13族元素、14族元素、又は15族元素である。Yとしては、Al、B、V、Ti、Si、Zr、Ge、Sn、Cu、Y、Zn、Ga、Nb、Ta、Bi、P、As、Sc、Hf又はSbであることが好ましく、Al、B又はPであることがより好ましい。YがAl、B又はPの場合、アニオン化合物の合成が比較的容易になり、製造コストを抑えることができる。
bは、アニオンの価数及びカチオンの個数を表す。bは、1~3の整数であり、1であることが好ましい。bが3以下であれば、アニオン化合物の塩が混合有機溶媒に溶解しやすい。
m及びnの各々は、配位子の数に関係する値である。m及びnの各々は、Mの種類によって決まる。mは、2~4の整数である。nは、0~8の整数である。
qは、0又は1である。qが0の場合、キレートリングが五員環となり、qが1の場合、キレートリングが六員環となる。
21は、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数1~10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6~20のアリーレン基、又は炭素数6~20のハロゲン化アリーレン基を表す。これらのアルキレン基、ハロゲン化アルキレン基、アリーレン基又はハロゲン化アリーレン基は、その構造中に置換基、ヘテロ原子を含んでいてもよい。具体的には、これらの基の水素原子の代わりに、置換基を含んでもよい。置換基としては、ハロゲン原子、鎖状又は環状のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アシル基、アミド基、又は水酸基が挙げられる。これらの基の炭素元素の代わりに、窒素原子、硫黄原子、又は酸素原子が導入された構造であってもよい。qが1でmが2~4である場合、m個のR21はそれぞれが結合していてもよい。そのような例としては、エチレンジアミン四酢酸のような配位子を挙げることができる。
22は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のハロゲン化アリール基を表す。これらのアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基又はハロゲン化アリール基は、R21と同様に、その構造中に置換基、ヘテロ原子を含んでいてもよく、nが2~8のときにはn個のR22は、それぞれ結合して環を形成してもよい。R22としては、電子吸引性の基が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。
、及びQは、それぞれ独立に、O、又はSを表す。つまり、配位子はこれらヘテロ原子を介してYに結合することになる。
環状ジカルボニル化合物(II)の具体例としては、下記式(II-1)で表される化合物が挙げられる。
以下、式(II-1)で表される化合物を「環状ジカルボニル化合物(II-1)」ともいう。
環状ジカルボニル化合物(II)の含有量は、非水電解液の全量に対し、好ましくは0.01質量%~10質量%、より好ましくは0.05質量%~5.0質量%、さらに好ましくは0.10質量%~3.0質量%、特に好ましくは0.10質量%~2.0質量%である。
環状ジカルボニル化合物(II)の含有量が上記範囲内であれば、SEI膜がリチウムカチオンの伝導度を損なうことなく、リチウム二次電池は動作し得る。さらにSEI膜が環状ジカルボニル構造を含むことに伴い、リチウム二次電池の電池特性は、向上する。
環状ジカルボニル化合物(II)の含有量が上記範囲内であれば、SEI膜は、環状ジカルボニル構造を主体とする構造を十分量含む。これにより、熱的及び化学的に安定な無機塩又は高分子構造は形成されやすくなる。そのため、高温下において、SEI膜の耐久性を損なうSEI膜の成分の溶出、及びSEI膜の変質などは起こりにくい。その結果、SEI膜の耐久性、及びリチウム二次電池の高温保存後特性は、向上する。
(カルボン酸エステル化合物(III))
本開示の非水電解液は、カルボン酸エステル化合物(III)を含む。
カルボン酸エステル化合物(III)は、炭素数3~6の鎖状のカルボン酸エステルを含むことが好ましく、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、又はピバリン酸メチルを含むことがより好ましく、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル又はプロピオン酸プロピルを含むことが更に好ましく、プロピオン酸メチルを含むことが特に好ましく、プロピオン酸メチルであることが一層好ましい。
カルボン酸エステル化合物(III)がプロピオン酸メチルを含むことで、リチウム二次電池の直流抵抗を低減することができる。
プロピレン酸メチルは、下記式(III-1)で表される。プロピレン酸エチルは、下記式(III-2)で表される。プロピオン酸プロピルは、下記式(III-3)で表される。以下、プロピレン酸メチルを「プロピレン酸メチル(III-1)」ともいう。
カルボン酸エステル化合物(III)の含有量は、特に限定されず、非水電解液の全量に対し、0.01質量%~5質量%であることが好ましい。カルボン酸エステル化合物(III)の含有量が上記範囲内であれば、リチウム二次電池の直流抵抗を低減できると同時に、高温環境下におけるリチウム二次電池の直流抵抗の上昇を抑制することができる。
高温環境下におけるリチウム二次電池の直流抵抗の上昇をより抑制する観点から、カルボン酸エステル化合物(III)の含有量は、非水電解液の全量に対し、より好ましくは0.1質量%~5質量%、さらに好ましくは1質量%~5質量%、特に好ましくは2質量%~5質量%である。
(化合物(IV))
本開示の非水電解液は、下記式(IV)で表される化合物(IV)を含有することが好ましい。
式(IV)中、R41及びR42は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はトリフルオロメチル基を表す。
以下、「化合物(IV)」を「スルホンイミドリチウム化合物(IV)」ともいう。
非水電解液は、環状スルホン酸化合物(I)、環状ジカルボニル化合物(II)及びカルボン酸エステル化合物(III)に加えて、スルホンイミドリチウム化合物(IV)を更に含有することで、リチウム二次電池が高温環境下で保存されても、直流抵抗の増加をより抑制することができる。
この効果は、以下の理由によると推測される。
スルホンイミドリチウム化合物(IV)は、リチウム二次電池が高温環境下で保存された後、負極上で非水電解液が還元分解する前に、正極によって酸化分解され、SEI膜を形成しやすい。これにより、正極での非水電解液の分解は抑制される。その結果、高温環境下でリチウム二次電池が保存されても、リチウム二次電池の直流抵抗の増加をより抑制することができると推測される。
スルホンイミドリチウム化合物(IV)の具体例として、下記式(IV-1)~(IV-2)で表される化合物が挙げられる。式(IV-1)で表される化合物を「スルホンイミドリチウム化合物(IV-1)」ともいい、式(IV-2)で表される化合物を「スルホンイミドリチウム化合物(IV-2)」ともいう。
非水電解液は、スルホンイミドリチウム化合物(IV-1)を含有することが好ましい。これにより、非水電解液は、スルホンイミドリチウム化合物(IV-2)を含有し、かつスルホンイミドリチウム化合物(IV-1)を含有しない場合よりも、リチウム二次電池が高温環境下で保存されても、直流抵抗の増加をより抑制することができる。
非水電解液がスルホンイミドリチウム化合物(IV)を含有する場合、スルホンイミドリチウム化合物(IV)の含有量は、非水電解液の全量に対し、好ましくは0.1質量%~10.0質量%、より好ましくは0.2質量%~5.0質量%、さらに好ましくは0.3質量%~3.0質量%、特に好ましくは0.3質量%~2.0質量%、より一層好ましくは0.3質量%~1.0質量%である。
スルホンイミドリチウム化合物(IV)の含有量が上記範囲内であれば、SEI膜がリチウムカチオンの伝導度を損なうことなく、リチウム二次電池は動作し得る。さらにSEI膜がスルホンイミドを主体とする構造を含むことに伴い、リチウム二次電池の電池特性は、向上する。
スルホンイミドリチウム化合物(IV)の含有量が上記範囲内であれば、SEI膜は、スルホンイミドを主体とする構造を十分量含む。これにより、熱的及び化学的に安定な高分子構造は形成されやすくなる。そのため、高温下において、SEI膜の耐久性を損なうSEI膜の成分の溶出、及びSEI膜の変質などは起こりにくい。その結果、SEI膜の耐久性は向上する。更に、リチウム二次電池の直流抵抗の上昇は、高温環境下で保存されてもより抑制され得る。
(他の添加剤)
本開示の非水電解液は、他の添加剤を含んでもよい。これにより、リチウム二次電池の充放電サイクルにおいて、副反応の進行を抑制することができる。その結果、リチウム二次電池の電池性能は向上する。
非水電解液は、他の添加剤を一種単独で含んでもいてもよいし、二種以上を含んでいてもよい。
他の添加剤としては、特に制限はなく、公知のものを任意に用いることができる。
他の添加剤としては、例えば、特開2019-153443号公報の段落0042~0055に記載の添加剤を用いることができる。
本開示の非水電解液が他の添加剤を含む場合、添加剤の含有量は、非水電解液の全量に対し、好ましくは0.001質量%~10質量%、より好ましくは0.005質量%~5質量%が、更に好ましくは0.01質量%~2質量%、特に好ましくは0.1質量%~2質量%、一層好ましくは0.1~1質量%である。
(電解質)
非水電解液は、一般的に、電解質を含有する。
本開示の非水電解液における電解質の濃度は、好ましくは0.1mol/L~3mol/L、より好ましくは0.5mol/L~2mol/Lである。
電解質は、リチウム塩を含むことが好ましく、LiPFを含むことがより好ましい。
電解質がLiPFを含む場合、電解質中に占めるLiPFの比率は、好ましくは10質量%~100質量%、より好ましくは50質量%~100質量%、さらに好ましくは70質量%~100質量%である。
電解質がLiPFを含む場合、電解質は、LiPF以外の化合物を更に含んでいてもよい。
LiPF以外の化合物としては、テトラアルキルアンモニウム塩、リチウム塩(即ち、LiPF以外のリチウム塩)等が挙げられる。
テトラアルキルアンモニウム塩としては、(CNPF、(CNBF、(CNClO、(CNAsF、(CSiF、(CNOSO(2k+1)(k=1~8の整数)、(CNPF[C(2k+1)(6-n)(n=1~5、k=1~8の整数)などが挙げられる。
リチウム塩としては、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiOSO(2k+1)(k=1~8の整数)、LiPF[C(2k+1)(6-n)(n=1~5、k=1~8の整数)、LiC(SO)(SO)(SO)、LiN(SOOR10)(SOOR11)、LiN(SO12)(SO13)(ここでR~R13は互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原子又は炭素数1~8のパーフルオロアルキル基である)等が挙げられる。
(非水溶媒)
非水電解液は、一般的に、非水溶媒を含有する。
本開示の非水電解液における非水溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
非水溶媒としては、種々公知のものを適宜選択することができ、カルボン酸エステル化合物(III)を含まないことが好ましい。
非水溶媒としては、例えば、特開2017-45723号公報の段落0069~0087に記載の非水溶媒を用いることができる。
非水溶媒は、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物を含むことが好ましい。環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物は、それぞれ、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
環状カーボネート化合物としては、例えば、エチレンカーボネート(以下、「EC」ともいう。)、プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート等が挙げられる。
これらのうち、環状カーボネート化合物は、誘電率が高い、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートを含むことが好ましい。黒鉛を含む負極活物質を使用したリチウム二次電池の場合は、非水溶媒は、エチレンカーボネートを含むことがより好ましい。
鎖状カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート(以下、「DMC」ともいう。)、エチルメチルカーボネート(以下、「EMC」ともいう。)、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、メチルペンチルカーボネート、エチルペンチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、メチルヘプチルカーボネート、エチルヘプチルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、メチルヘキシルカーボネート、エチルヘキシルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、メチルオクチルカーボネート、エチルオクチルカーボネート、ジオクチルカーボネート等が挙げられる。
環状カーボネートと鎖状カーボネートの組み合わせとして、具体的には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、プロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネートなどが挙げられる。
環状カーボネートと鎖状カーボネートの組み合わせは、特に限定されない。非水溶媒は、ECと、DMCと、EMCとを含むことが好ましく、ECと、DMCと、EMCとからなることがより好ましい。
リチウム二次電池の負極活物質が黒鉛を含む場合、非水溶媒がECを含むことで、リチウムイオンが円滑で効率良く移動できる負極のSEI膜を形成することができる。ECは、常温で固体であるため、溶融しても粘度が高い。ECに粘度の低いDMC及びEMCを混合させることで、非水溶媒は適度な粘度になる。これにより、非水電解液中のリチウムイオンは、高速で移動しやすくなると考えられる。その結果、リチウム二次電池の電池性能は向上する。
環状カーボネート化合物と鎖状カーボネート化合物との混合割合(環状カーボネート化合物:鎖状カーボネート化合物)は、質量比で、好ましくは5:95~80:20、より好ましくは10:90~70:30、更に好ましくは15:85~55:45である。このような混合割合にすることによって、非水電解液の粘度上昇を抑制し、後述する電解質の解離度を高めることができるため、リチウム二次電池の充放電特性に関わる非水電解液の伝導度を高めることができる。更に、電解質の溶解度をより高めることができる。よって、常温又は低温での電気伝導性に優れた非水電解液とすることができるため、常温から低温でのリチウム二次電池の負荷特性を改善することができる。
非水溶媒は、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物以外のその他の化合物を含んでいてもよい。
この場合、非水溶媒に含まれるその他の化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
その他の化合物としては、環状スルホン化合物、環状エーテル化合物、鎖状エーテル化合物、鎖状リン酸エステル化合物、アミド化合物、鎖状カーバメート化合物、環状アミド化合物、環状ウレア化合物、ホウ素化合物、ポリエチレングリコール誘導体、等が挙げられる。
これらの化合物については、特開2017-45723号公報の段落0069~0087の記載を適宜参照できる。
非水溶媒中に占める、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物の割合は、好ましくは80質量%~100質量%、より好ましくは90質量%~100質量%、更に好ましくは95質量%~100質量%である。
非水溶媒として、ECと、DMCと、EMCとを含む場合、ECと、DMCと、EMCとの混合割合は、特に限定されず、体積比で、30:35:35であることが好ましい。
非水電解液中に占める非水溶媒の割合は、好ましくは60質量%~99質量%、より好ましくは70質量~97質量%、さらに好ましくは70質量~90質量%である。
本開示の非水電解液は、電池用の非水電解液として用いられるが、特に、リチウム二次電池用の非水電解液として好適に用いられる。
〔リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池〕
本開示のリチウム二次電池前駆体は、
正極と、
リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な負極活物質を含む負極と、
本開示の非水電解液と、
を含む。
本開示のリチウム二次電池は、本開示のリチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施して得られたリチウム二次電池である。
本開示において、「リチウム二次電池前駆体」とは、製造後、充電及び放電がなされる前のリチウム二次電池を意味する。「リチウム二次電池」とは、リチウム二次電池前駆体に対し、充電及び放電が施された電池を意味する。
本開示のリチウム二次電池前駆体は、本開示の非水電解液を含む。このため、本開示のリチウム二次電池前駆体によれば、本開示の非水電解液による効果と同様の効果が奏される。
本開示のリチウム二次電池に含まれ得る各構成要素は、基本的に、本開示のリチウム二次電池前駆体に含まれ得る各構成要素と同様である。
本開示のリチウム二次電池において、正極(特に正極活物質)及び/又は負極(特に負極活物質)の表面には、好ましくは、SEI膜が形成されている。
<負極>
負極は、負極活物質及び負極集電体を含んでもよい。
負極活物質としては、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属もしくは合金、リチウムイオンのドープ及び脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ及び脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ及び脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれた少なくとも1種(単独で用いてもよいし、これらの2種以上を含む混合物を用いてもよい)を含むことが好ましい。
リチウム(又はリチウムイオン)との合金化が可能な金属もしくは合金としては、シリコン、シリコン合金、スズ、スズ合金等が挙げられる。
リチウムイオンのドープ及び脱ドープが可能な酸化物としては、チタン酸リチウム、酸化シリコン(好ましくはSiOx(Xは、0.5以上1.6未満を表す)、より好ましくはSiO)等が挙げられる。
これらの中でも、負極のSEI膜の形成性をより向上させ、リチウム二次電池の直流抵抗をより低減させる観点から、負極活物質は、リチウムイオンをドープ及び脱ドープすることが可能な炭素材料を含むことが好ましい。このような炭素材料としては、カーボンブラック、活性炭、黒鉛材料(人造黒鉛、天然黒鉛)、非晶質炭素材料、等が挙げられる。炭素材料の形態は、繊維状、球状、ポテト状、フレーク状のいずれであってもよい。
非晶質炭素材料として、ハードカーボン、コークス、1500℃以下で焼成されたメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチカーボンファイバー(MCF)等が挙げられる。
黒鉛材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。人造黒鉛としては、黒鉛化MCMB、黒鉛化MCF等が挙げられる。黒鉛材料としては、ホウ素を含有するもの等が挙げられる。黒鉛材料としては、金属(例えば、金、白金、銀、銅、スズ等)で被覆したもの、非晶質炭素で被覆したもの、非晶質炭素と黒鉛を混合したものも使用することができる。
これらの炭素材料は、1種類で使用してもよく、2種類以上混合して使用してもよい。
炭素材料は、X線解析で測定した(002)面の面間隔d(002)が0.340nm以下であることが好ましい。炭素材料は、真密度が1.70g/cm以上である黒鉛又はそれに近い性質を有する高結晶性炭素材料を含むことが好ましい。このような炭素材料を使用すると、リチウム二次電池のエネルギー密度は向上する。
負極集電体の材質は、特に限定されず、公知のものを任意に用いることができる。負極集電体の材質としては、金属材料(例えば、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等)が挙げられ、中でも、加工しやすさの点から銅を含むことが好ましく、銅であることがより好ましい。
負極は、負極集電体と、負極集電体の表面の少なくとも一部に設けられた負極活物質層と、を含んでもよい。
負極活物質層は、少なくとも1種の負極活物質を含む。負極活物質層における負極活物質は、上述した炭素材料を含むことが好ましい。
負極活物質が炭素材料を含む場合、炭素材料の含有量は、負極のSEI膜の形成性をより向上させ、リチウム二次電池の直流抵抗をより低減させる観点から、負極活物質層の全量に対し、好ましくは70質量%~100質量%、より好ましくは80質量%~100質量%、更に好ましくは90質量%~100質量%である。
負極活物質層は、バインダーを更に含んでいてもよい。
バインダーとしては、スチレンブタジエン(SBR)ゴム(例えば、SBRラテックス)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンゴム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、及びジアセチルセルロースからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。バインダーは、SBRラテックス及びカルボキシメチルセルロースを含むことが好ましい。
負極活物質層がバインダーを更に含む場合、バインダーの含有量は、負極活物質層の全量に対し、好ましくは1質量%~20質量%であり、より好ましくは1質量%~10質量%であり、更に好ましくは1質量%~5質量%である。
負極全体に対するSiの含有量は、5質量%以下であることが好ましい。
負極全体に対するSiの含有量が5質量%以下である場合には、負極のSEI膜の形成性がより向上し、リチウム二次電池の直流抵抗がより低減される。
<正極>
正極は、正極活物質及び正極集電体を含んでもよい。
正極活物質としては、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、リチウムと遷移金属とからなる複合酸化物(以下、単に「リチウム複合酸化物」ともいう。)、導電性高分子材料等が挙げられる。
遷移金属硫化物としては、MoS、TiS等が挙げられる。
遷移金属酸化物としては、MnO、V等が挙げられる。
リチウム複合酸化物としては、LiCoO、LiMnO、LiMn、LiNiO、LiNiCo(1-X)〔0<X<1〕、α-NaFeO型結晶構造を有するLi1+αMe1-α(Meは、Mn、Ni及びCoを含む遷移金属元素、1.0≦(1+α)/(1-α)≦1.6)、LiNiCoMn〔x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0<z<1〕(例えば、LiNi0.33Co0.33Mn0.33、LiNi0.5Co0.2Mn0.3等)、LiFePO、LiMnPO等が挙げられる。
導電性高分子材料としては、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアセン、ジメルカプトチアジアゾール、ポリアニリン複合体等が挙げられる。
これらの中でも、正極活物質は、リチウム複合酸化物を含むことが好ましい。負極がリチウム金属又はリチウム合金を含む場合は、正極として炭素材料を用いることもできる。正極として、リチウム複合酸化物と、炭素材料との混合物を用いることもできる。
正極活物質は、1種類で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
正極は導電性助剤を更に含んでもよい。導電性助剤としては、炭素材料(例えば、カーボンブラック、アモルファスウィスカー、グラファイト等)が挙げられる。
正極集電体の材質は、特に限定されず、公知のものを任意に用いることができる。
正極集電体の材質としては、例えば、金属材料(例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、タンタル等)、炭素材料(例えば、カーボンクロス、カーボンペーパー等)等が挙げられる。
正極は、正極集電体と、正極集電体の表面の少なくとも一部に設けられた正極活物質層と、を含んでもよい。
正極活物質層は、正極活物質を少なくとも1種含む。正極活物質は、リチウム複合酸化物を含むことが好ましい。
正極活物質層がリチウム複合酸化物を含む場合、リチウム複合酸化物の含有量は、正極活物質層の全量に対し、好ましくは70質量%~100質量%、より好ましくは80質量%~100質量%である。
正極活物質層は、導電助剤を更に含んでいてもよい。
正極活物質層は、バインダーを更に含んでいてもよい。
バインダーとしては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、フッ素樹脂、ゴム粒子等が挙げられる。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。ゴム粒子としては、スチレン-ブタジエンゴム粒子、アクリロニトリルゴム粒子等が挙げられる。これらの中でも、正極活物質層の耐酸化性を向上させる観点から、正極活物質層のバインダーはフッ素樹脂を含むことが好ましい。
正極活物質層がバインダーを含む場合、バインダーの含有量は、正極活物質層の全量に対し、好ましくは1質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~10質量%である。
<セパレータ>
本開示のリチウム二次電池前駆体は、負極と正極との間にセパレータを含むことが好ましい。
セパレータは、正極と負極とを電気的に絶縁し、且つリチウムイオンを透過する膜である。セパレータとしては、多孔性膜、高分子電解質等が挙げられる。
多孔性膜としては、微多孔性高分子フィルムが好適に使用される。多孔性膜の材質としては、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル等が挙げられる。特に、多孔質膜の材質は、多孔性ポリオレフィンを含むことが好ましい。具体的には多孔質膜は、多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルム、又は多孔性のポリエチレンフィルムと、ポリプロピレンフィルムとの多層フィルムであることが好ましい。多孔性ポリオレフィンフィルム上には、熱安定性に優れる他の樹脂がコーティングされてもよい。
高分子電解質としては、リチウム塩を溶解した高分子、電解液で膨潤させた高分子等が挙げられる。
本開示の非水電解液は、高分子を膨潤させて高分子電解質を得る目的で使用されてもよい。
<リチウム二次電池前駆体の構成>
本開示のリチウム二次電池前駆体の形状は、特に限定されず、円筒型、コイン型、角型、ラミネート型、フィルム型、その他任意の形状であってもよい。リチウム二次電池前駆体の基本構造は、リチウム二次電池前駆体の形状によらず同じであり、目的に応じて設計変更を施すことができる。
なお、本開示のリチウム二次電池に基本構造についても、本開示のリチウム二次電池前駆体の基本構造を参照できる。
本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の例として、ラミネート型電池が挙げられる。
図1は、本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の一例である、ラミネート型電池の一例を示す概略斜視図であり、図2は、図1に示すラミネート型電池に収容される積層型電極体の厚さ方向の概略断面図である。
ラミネート型電池1は、ラミネート外装体8を備える。ラミネート外装体8の内部には、本開示の非水電解液(図1中では不図示)及び積層型電極体(図1中では不図示)が収納されている。ラミネート外装体8の周縁部は封止されている。つまり、ラミネート外装体8の内部は密閉されている。ラミネート外装体8の材質としては、例えばアルミニウムが用いられる。
積層型電極体は、図2に示されるように、正極板5と負極板6とがセパレータ7を介して交互に積層されてなる。正極板5、負極板6、及びセパレータ7は、本開示の非水電解液に含浸されている。
積層型電極体における複数の正極板5は、いずれも正極タブを介して正極端子2と電気的に接続されており(不図示)、この正極端子2の一部が上記ラミネート外装体8の周端部から外側に突出している(図1参照)。ラミネート外装体8の周端部において正極端子2が突出する部分は、絶縁シール4によってシールされている。
同様に、上記積層型電極体における複数の負極板6は、いずれも負極タブを介して負極端子3と電気的に接続されており(不図示)、この負極端子3の一部が上記ラミネート外装体8の周端部から外側に突出している(図1参照)。ラミネート外装体8の周端部において負極端子3が突出する部分は、絶縁シール4によってシールされている。
なお、上記一例に係るラミネート型電池では、正極板5の数が5枚、負極板6の数が6枚となっており、正極板5と負極板6とがセパレータ7を介し、両側の最外層がいずれも負極板6となる配置で積層されている。しかし、ラミネート型電池における、正極板の数、負極板の数、及び配置については、この一例には限定されず、種々の変更がなされてもよいことは言うまでもない。
本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の別の一例として、コイン型電池も挙げられる。
図3は、本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の別の一例であるコイン型電池の一例を示す概略斜視図である。
図3に示すコイン型電池では、円盤状負極12、非水電解液を注入したセパレータ15、円盤状正極11、必要に応じて、ステンレス、又はアルミニウムなどのスペーサー板17、18が、この順序に積層された状態で、正極缶13(以下、「電池缶」ともいう)と封口板14(以下、「電池缶蓋」ともいう)との間に収納される。正極缶13と封口板14とはガスケット16を介してかしめ密封する。
この一例では、セパレータ15に注入される非水電解液として、本開示の非水電解液を用いる。
本開示のリチウム二次電池の用途は、特に限定されず、例えば、ノート型パソコン、モバイルパソコン、携帯電話、ヘッドホンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、電子手帳、電卓、ラジオ、バックアップ電源用途、モーター、自動車、電気自動車、バイク、電動バイク、自転車、電動自転車、照明器具、ゲーム機、時計、電動工具、カメラ等、小型携帯機器、大型機器等が挙げられる。
〔リチウム二次電池の製造方法〕
本開示のリチウム二次電池の製造方法は、
前述した本開示のリチウム二次電池前駆体を準備する工程(以下、「準備工程」ともいう)と、
上記リチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施す工程と、
を含む。
準備工程は、予め製造された本開示のリチウム二次電池前駆体を充電及び放電を施す工程に供するために単に準備するだけの工程であってもよいし、本開示のリチウム二次電池前駆体を製造する工程であってもよい。
リチウム二次電池前駆体については前述のとおりである。
充電及び放電を施す工程において、リチウム二次電池前駆体に対する充電及び放電は、公知の方法に従って行うことができる。
本工程では、リチウム二次電池前駆体に対し、充電及び放電のサイクルを、複数回繰り返してもよい。
前述のとおり、この充電及び放電により、リチウム二次電池前駆体における正極(特に正極活物質)及び/又は負極(特に負極活物質)の表面に、好ましくはSEI膜が形成される。
以下、本開示に係る実施形態を、実施例を参照して詳細に説明する。なお、本開示は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネート(以下、「EC」)と、ジメチルカーボネート(以下、「DMC」)と、エチルメチルカーボネート(以下、「EMC」)とを、EC:DMC:EMC=30:35:35(体積比)で混合した。これにより、非水溶媒として混合溶媒を得た。
得られた混合溶媒に対し、電解質としてのLiPFを、最終的に得られる非水電解液中の濃度が1.2mol/リットルとなるように溶解させ、電解液(以下、「基本電解液」ともいう。)を得た。
得られた基本電解液に対し、環状スルホン酸化合物(I)としての環状スルホン酸化合物(I-1)と、環状ジカルボニル化合物(II)としての下記環状ジカルボニル化合物(II-1)と、カルボン酸エステル化合物(III)としての下記プロピオン酸メチル(III-1)とを、最終的に得られる非水電解液の全量に対する含有量が表1に記載の含有量(質量%)となるように添加し、非水電解液を得た。
<正極の作製>
正極活物質としてLi(Ni0.5Co0.2Mn0.3)(94質量%)、導電助剤としてカーボンブラック(3質量%)、及び結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)(3質量%)を添加した混合物を得た。得られた混合物を、N-メチルピロリドン溶媒中に分散させ、正極合材スラリーを得た。
正極集電体として厚さ20μmのアルミニウム箔を準備した。
得られた正極合材スラリーをアルミニウム箔上に塗布し、乾燥後、プレス機で圧延し、シート状の正極を得た。正極は、正極集電体と正極活物質層とからなる。
<負極の作製>
負極活物質としてグラファイト(96質量%)、導電助剤としてカーボンブラック(1質量%)、増粘剤として純水中で分散したカルボキシメチルセルロースナトリウムを固形分で1質量%、及び結着材として純水中で分散したスチレンーブタジエンゴムの(SBR)を固形分で2質量%を混合し、負極合材スラリーを得た。
負極集電体として厚さ10μmの銅箔を準備した。
得られた負極合材スラリーを銅箔上に塗布し、乾燥後、プレス機で圧延し、シート状の負極を得た。負極は、負極集電体と負極活物質層とからなる。
<セパレータの準備>
セパレータとして、多孔性ポリエチレンフィルムを準備した。
<リチウム二次電池前駆体の作製>
負極を直径14mmで、正極を直径13mmで、セパレータを直径17mmで、それぞれ円盤状に打ち抜いた。これにより、コイン状の負極、コイン状の正極、及びコイン状のセパレータをそれぞれ得た。
得られたコイン状の負極、コイン状のセパレータ、及びコイン状の正極を、この順序でステンレス製の電池缶(サイズ:2032サイズ)内に積層した。次いで、この電池缶内に非水電解液20μLを注入し、セパレータと正極と負極とを非水電解液に含漬させた。
次に、正極上にアルミニウム製の板(厚さ1.2mm、直径16mm)及びバネを乗せ、ポリプロピレン製のガスケットを介して、電池缶蓋をかしめることにより、電池を密封した。
以上により、図3で示す構成を有するコイン型のリチウム二次電池前駆体(即ち、充電及び放電が施される前のリチウム二次電池)を得た。リチウム二次電池前駆体のサイズは、直径20mm、高さ3.2mmであった。
<リチウム二次電池の作製>
上記リチウム二次電池前駆体に対し、25℃~70℃の温度範囲下、1.5V~4.2Vの充電、5時間~50時間の保持、4.2Vまでの充電、及び2.5Vまでの放電を、この順に施し、リチウム二次電池を得た。
<初期放電容量の評価>
上記で得られたリチウム二次電池を、25℃の恒温槽中、4.2Vまで充電し、次いで2.5Vまで放電し、放電容量[mAh](以下、「初期放電容量」という。)を測定した。
<初期抵抗の評価>
次に、初期放電容量測定後のリチウム二次電池を、3.7Vで充電し、次いで恒温槽内で-20℃に冷却し、放電レート0.1C~0.6C各々における「CC10s放電」による各電圧低下量(=放電開始前の電圧-放電開始後10秒目の電圧)と、各電流値(即ち、放電レート0.1C~0.6Cに相当する各電流値)と、に基づき、初期抵抗値(-20℃)としての直流抵抗[Ω]を測定した。
<高温保存後抵抗の測定>
次に、初期抵抗値測定後のリチウム二次電池を4.2Vまで充電し、充電したリチウム二次電池を60℃の恒温槽内で7日間保存した(以下、この操作を「高温保存」という。)。
高温保存後のリチウム二次電池の放電容量[mAh]を、25℃の恒温槽中、2.5Vまで放電し、次いで4.2Vまで充電し、さらに2.5Vまで放電した。
次に、2.5Vまで放電したリチウム二次電池を、3.7Vで充電し、次いで恒温槽内で-20℃に冷却し、放電レート0.1C~0.6C各々における「CC10s放電」による各電圧低下量(=放電開始前の電圧-放電開始後10秒目の電圧)と、各電流値(即ち、放電レート0.1C~0.6Cに相当する各電流値)と、に基づき、高温保存後抵抗値(-20℃)としての直流抵抗[Ω]を測定した。
後述の比較例1についても同様にして、高温保存後容量測定後のリチウム二次電池の抵抗値(-20℃)を測定した。
<抵抗増加率>
実施例1及び比較例1の各々の抵抗増加率を下記式によって求めた。抵抗増加率は、初期抵抗値(-20℃)に対する高温保存後抵抗値(-20℃)の割合を示す。
抵抗増加率=(高温保存後抵抗値(-20℃)/初期抵抗値(-20℃))×100(%)
<抵抗増加率(相対値)>
実施例1の抵抗増加率(相対値)を下記式によって求めた。実施例1の抵抗増加率(相対値)は、比較例1の抵抗増加率に対する実施例1の抵抗増加率の割合を示す。実施例1の抵抗増加率(相対値)の測定結果を表1に示す。添加増加率(相対値)の許容範囲は、57%以下である。
実施例1の抵抗増加率(相対値)=(実施例1の抵抗増加率/比較例1の抵抗増加率)×100(%)
〔実施例2~6、比較例2~12〕
基本電解液に対して、下記環状スルホン酸化合物化合物(I-1)、下記環状スルホン酸化合物化合物(I-2)、下記環状ジカルボニル化合物化合物(II-1)、下記プロピレン酸メチル化合物(III-1)、下記スルホンイミドリチウム化合物(IV-1)、下記スルホンイミドリチウム化合物(IV-2)、及び下記化合物(C-1)を、最終的に得られる非水電解液の全量に対する含有量が表1に示す値となるように添加したことの他は、実施例1と同様の操作を行った。
実施例2~6、比較例2~12の抵抗増加率(相対値)の測定結果を表1に示す。
Figure 2023132195000013
表1中、「-」は、該当する成分を含有しないことを意味する。「各添加剤の含有量」は、リチウム二次電池用非水電解液の全量に対する添加剤の含有量(質量%)を示す。
比較例2及び比較例3の非水電解液は、環状スルホン酸化合物(I)を含有し、環状ジカルボニル化合物(II)及びカルボン酸エステル化合物(III)を含有しなかった。そのため、比較例2及び比較例3のリチウム二次電池の抵抗増加率(相対値)は、80%以上であった。
比較例4の非水電解液は、環状ジカルボニル化合物(II)を含有し、環状スルホン酸化合物(I)及びカルボン酸エステル化合物(III)を含有しなかった。そのため、比較例4のリチウム二次電池の抵抗増加率(相対値)は、68%であった。
比較例5及び比較例6の非水電解液は、環状スルホン酸化合物(I)、環状ジカルボニル化合物(II)及びカルボン酸エステル化合物(III)を含有しなかった。そのため、比較例5及び比較例6のリチウム二次電池の抵抗増加率(相対値)は、79%以上であった。
比較例7の非水電解液は、カルボン酸エステル化合物(III)を含有し、環状スルホン酸化合物(I)及び環状ジカルボニル化合物(II)を含有しなかった。そのため、比較例7のリチウム二次電池の抵抗増加率(相対値)は、107%であった。
比較例8、比較例9、比較例11及び比較例12の非水電解液は、環状スルホン酸化合物(I)及びカルボン酸エステル化合物(III)を含有し、環状ジカルボニル化合物(II)を含有しなかった。そのため、比較例8、比較例9、比較例11及び比較例12のリチウム二次電池の抵抗増加率(相対値)は、59%以上であった。
比較例10の非水電解液は、環状ジカルボニル化合物(II)及びカルボン酸エステル化合物(III)を含有し、環状スルホン酸化合物(I)を含有しなかった。そのため、比較例10のリチウム二次電池の抵抗増加率(相対値)は、58%であった。
これにより、比較例2~比較例12の非水電解液は、高温環境下でリチウム二次電池が保存されても、リチウム二次電池の直流抵抗の増加を抑制することができないことがわかった。
実施例1~実施例6の非水電解液は、環状スルホン酸化合物(I)と、環状ジカルボニル化合物(II)と、カルボン酸エステル化合物(III)とを含有する。そのため、実施例1~実施例6のリチウム二次電池の抵抗増加率(相対値)は、58%未満であった。これにより、実施例1~実施例6の非水電解液は、高温環境下でリチウム二次電池が保存されても、リチウム二次電池の直流抵抗の増加を抑制することができることがわかった。
実施例2の非水電解液は、環状スルホン酸化合物(I-1)の代わりに環状スルホン酸化合物(I-2)を含有することの他は、実施例1の非水電解液と同様である。実施例3の非水電解液は、環状スルホン酸化合物(I-1)の代わりに環状スルホン酸化合物(I-2)を含有することの他は、実施例5の非水電解液と同様である。実施例3の非水電解液は、環状スルホン酸化合物(I-1)の代わりに環状スルホン酸化合物(I-2)を含有することの他は、実施例6の非水電解液と同様である。
実施例1と実施例2とを対比すると、実施例1の抵抗増加率(相対値)は、実施例2の抵抗増加率(相対値)より低かった。実施例3と実施例5とを対比すると、実施例3の抵抗増加率(相対値)は、実施例5の抵抗増加率(相対値)より低かった。実施例4と実施例6とを対比すると、実施例4の抵抗増加率(相対値)は、実施例6の抵抗増加率(相対値)より低かった。
これらの結果から、環状スルホン酸化合物(I-1)を含有する非水電解液は、環状スルホン酸化合物(I-2)を含有する非水電解液よりも、高温環境下でリチウム二次電池が保存されても、リチウム二次電池の直流抵抗の増加をより抑制することができることがわかった。
実施例1の非水電解液は、スルホンイミドリチウム化合物(IV)を含有しないことの他は、実施例3及び実施例4の非水電解液と同様である。実施例2の非水電解液は、スルホンイミドリチウム化合物(IV)を含有しないことの他は、実施例5及び実施例6の非水電解液と同様である。
実施例3及び実施例4と実施例1とを対比すると、実施例3及び実施例4の抵抗増加率(相対値)は、実施例1の抵抗増加率(相対値)より低かった。実施例5及び実施例6と実施例2とを対比すると、実施例5及び実施例6の抵抗増加率(相対値)は、実施例2の抵抗増加率(相対値)より低かった。
これらの結果から、スルホンイミドリチウム化合物(IV)を含有する非水電解液は、スルホンイミドリチウム化合物(IV)を含有しない非水電解液よりも、高温環境下でリチウム二次電池が保存されても、リチウム二次電池の直流抵抗の増加をより抑制することができることがわかった。
1 ラミネート型電池
2 正極端子
3 負極端子
4 絶縁シール
5 正極板
6 負極板
7 セパレータ
8 ラミネート外装体
11 正極
12 負極
13 正極缶
14 封口板
15 セパレータ
16 ガスケット
17、18 スペーサー板

Claims (7)

  1. 下記式(I)で表される化合物(I)と、
    下記式(II)で表される化合物(II)と、
    カルボン酸エステル化合物(III)と
    を含む、電池用非水電解液。

    〔式(I)中、
    11は、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基、又は炭素数2~6のアルケニレン基であり、
    12は、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数2~6のアルケニレン基、式(i-1)で表される基、又は式(i-2)で表される基であり、
    *は、結合位置を示し、
    式(i-1)中、R13は、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数2~6のアルケニレン基、又はオキシメチレン基であり、
    式(i-2)中、R14は、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数2~6のアルケニル基である。
    式(II)中、
    Mは、アルカリ金属であり、
    Yは、遷移元素、周期律表の13族元素、14族元素、又は15族元素であり、
    bは、1~3の整数であり、
    mは、2~4の整数であり、
    nは、0~8の整数であり、
    qは、0又は1であり、
    21は、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数1~10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6~20のアリーレン基、又は炭素数6~20のハロゲン化アリーレン基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、qが1でmが2~4の場合にはm個のR21はそれぞれが結合していてもよい。)であり、
    22は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数6~20のハロゲン化アリール基(これらの基は、構造中に置換基、又はヘテロ原子を含んでいてもよく、nが2~8の場合はn個のR22はそれぞれが結合して環を形成していてもよい。)であり、
    及びQは、それぞれ独立に、酸素原子又は炭素原子である。〕
  2. 下記式(IV)で表される化合物(IV)を更に含む、請求項1に記載の電池用非水電解液。

    〔式(IV)中、R41及びR42は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はトリフルオロメチル基を表す。〕
  3. 前記カルボン酸エステル化合物(III)の含有量が、電池用非水電解液の全量に対して、0.01質量%~5質量%である、請求項1又は請求項2に記載の電池用非水電解液。
  4. 前記カルボン酸エステル化合物(III)は、プロピオン酸メチルを含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の電池用非水電解液。
  5. 正極と、
    リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な負極活物質を含む負極と、
    請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電池用非水電解液と
    を備える、リチウム二次電池前駆体。
  6. 請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のリチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施して得られた、リチウム二次電池。
  7. 請求項5に記載のリチウム二次電池前駆体を準備する工程と、
    前記リチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施す工程と
    を含む、リチウム二次電池の製造方法。
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