JP2023128395A - 炭化タングステンの製造方法 - Google Patents

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浩一郎 平田
Koichiro Hirata
淳二 阿部
Junji Abe
淑子 山口
Yoshiko Yamaguchi
耕 畠山
Ko Hatakeyama
哉智 田村
Chikatomo Tamura
チョンプーヌット ウィラセラニー
Wiraseranee Chompunoot
諒祐 菅原
Ryosuke Sugawara
悠人 菅原
Yuto SUGAWARA
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Abstract

【課題】炭化工程を簡単にしつつ、高い歩留まりで炭化タングステンを製造することができる炭化タングステンの製造方法を提供する。【解決手段】炭化タングステンの製造方法は、炭素と酸化タングステンとを混合して造粒物を製造する造粒工程と、製造した造粒物を熱処理炉に投入し、熱処理炉の反応領域に不活性ガスを供給しつつ加熱して、酸化タングステンを炭化して炭化タングステンを製造する炭化工程S05と、を有する。炭化工程S05においては、反応領域内の温度が1500℃未満の場合には、供給する不活性ガスの流速を0.1m/min以下とし、反応領域内の温度が1500℃以上の場合には、供給する不活性ガスの流速を0.4m/min以下とする。【選択図】図1

Description

本発明は、炭化タングステンの製造方法に関する。
炭化タングステンは、炭素と酸化タングステンを反応させることで製造することができる。具体的には、酸化タングステンを還元、炭化することで製造できる。
酸化タングステンとしてWOを用いて、直接炭化法により炭化タングステンとしてWCを製造する場合、WOは、次式により還元、炭化され、WCとなる。
WO+3C→ W+3CO (A)
2W+C→WC (B)
C+C→2WC (C)
(A)の還元過程で、COが放出されWを生成する。(B)、(C)のようにWとCとが反応する炭化過程でWCが生成される。
特許文献1には、上記反応を行うために、2段式の回転炭化炉を設け、窒素雰囲気(1300℃~1600℃)で1段目の炭化を行った後、水素雰囲気(1400℃~1700℃)で2段目の炭化を行い、WCを生成することが記載されている。また、特許文献2には、COによってWOがWCに炭化される気相浸炭による炭化タングステンの製造方法が記載されている。気相浸炭では、CO雰囲気(800~1000℃)でWOとCOを時間オーダーで反応させ、WCを生成する。また、特許文献3-5にも、不活性ガス雰囲気での1段目の炭化と、水素雰囲気での2段目の炭化とにより、WCを生成することが記載されている。
特許第2617140号公報 特許第3963649号公報 特開平03-208811号公報 特開2005-335997号公報 特開2006-176405号公報
特許文献1、3-5に記載の方法は、炭化タングステンを製造することができるが、窒素雰囲気で炭化した後に、水素雰囲気でさらに炭化を行う。窒素雰囲気のみで炭化しても(B)、(C)の過程が進み難く、生成する炭化物はWC、WCの混合状態となり、WC炭化率の低い炭化物しか得られない。1段目で得られた炭化物に対して水素雰囲気で2段目の炭化を行うことで、(B)、(C)の過程を促進し、WC炭化率を高める。このため、炭化のステップが2段階となり、かつ、水素雰囲気で炭化するために装置が必要となる。さらに、水素ガスを使用することでランニングコストがかかる。特許文献2に記載の気相浸炭法を用いた製造方法は、低温で反応させるため製造に時間がかかる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、炭化工程を簡単にしつつ、高い歩留まりで炭化タングステンを製造することができる炭化タングステンの製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る炭化タングステンの製造方法は、炭素と酸化タングステンとを混合して造粒物を製造する造粒工程と、製造した造粒物を熱処理炉に投入し、前記熱処理炉の反応領域に不活性ガスを供給しつつ加熱して、酸化タングステンを炭化して炭化タングステンを製造する炭化工程と、を有し、前記炭化工程においては、前記反応領域内の温度が1500℃未満の場合には、供給する前記不活性ガスの流速を0.1m/min以下とし、前記反応領域内の温度が1500℃以上の場合には、供給する前記不活性ガスの流速を0.4m/min以下とする。
本発明にかかる炭化タングステンの製造方法は、炭化工程を簡単にしつつ、高い歩留まりで炭化タングステンを製造することができるという効果を奏する。
図1は、炭化タングステンの製造方法を示すフローチャートである。 図2は、ロータリーキルンを含む炭化装置の一例を示す模式図である。 図3は、WOの温度による重量変化の一例を示すグラフである。 図4は、篩粒度と造粒物の全炭素量との測定結果の一例を示すグラフである。 図5は、実施例の試験結果を示す表である。 図6は、他の実験例の結果を示す表である。 図7は、他の実験例の結果を示すグラフである。 図8は、他の実験例の結果を示すグラフである。 図9は、他の実験例の結果を示すグラフである。
以下に、本発明の一実施形態である炭化タングステン粉末の製造方法について、添付した図面を参照して具体的に説明する。なお、本実施形態である炭化タングステン粉末の製造方法は、たとえば、超硬合金からなる切削工具や耐摩耗工具等の原料として用いられる炭化タングステン粉末を製造するものであるが、炭化タングステン粉末の用途は任意であってよい。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
本実施形態である炭化タングステン粉末の製造方法は、いわゆる直接炭化法であり、以下の(1)式で示すように、酸化タングステンと炭素とを混合して熱処理することにより、酸化タングステンの還元反応と、還元反応で得られたタングステンメタルの炭化反応とを連続的に進行させて炭化タングステンを得る。 なお、式(1)におけるaは任意の正数であってよい。
WO+(4-a)C→WC+(3-2a)CO+aCO・・・(1)
式(1)は、酸化タングステンとしてWOを用い、炭化タングステンとしてWCが得られる場合の反応式であるが、本実施形態で用いる酸化タングステンは、WOに限られず任意の組成の酸化タングステンであってよく、言い換えれば、Wxaya(xa、yaは任意の正数)の化学式で表される酸化タングステンであってよい。同様に、本実施形態で製造される炭化タングステンは、WCに限られず任意の組成の炭化タングステンであってよく、言い換えれば、Wxbyb(xb、ybは任意の正数)の化学式で表される炭化タングステンであってよい。
図1を用いて、炭化タングステンの製造方法について、説明する。図1は、炭化タングステンの製造方法を示すフローチャートである。
本実施形態の炭化タングステンの製造方法は、炭素と酸化タングステンを原材料として加工することで、炭化タングステンを製造する。炭化タングステンの製造方法は、炭素と酸化タングステンを混合して造粒物を製造する造粒工程と、製造した造粒物を熱処理炉に投入し、熱処理炉の反応領域に不活性ガスを供給しつつ加熱して、酸化タングステンを炭化して炭化タングステンを製造する炭化工程と、を有する。
より詳しくは本実施形態では、図1に示すように、酸化タングステン粉末と炭素粉末とを混合して混合粉末を得る混合工程S01と、得られた混合粉末に水を加えて混錬して湿潤粉末を得る混錬工程S02と、得られた湿潤粉末を造粒して造粒物を得る成形工程S03と、得られた造粒物を乾燥する乾燥工程S04と、乾燥された造粒物を熱処理して造粒物を炭化する炭化工程(熱処理工程)S05と、を含む。本実施形態の例では、混合工程S01、混錬工程S02、成形工程S03、及び乾燥工程S04が、上述の造粒工程に相当し、炭化工程S05が、上述の炭化工程に相当する。
(造粒工程)
(混合工程S01)
混合工程においては、酸化タングステン粉末と炭素粉末とを混合する。
酸化タングステン粉末と炭素粉末との混合比率は、酸化タングステンに対する炭素のモル比C/Wを4に近い値にすることが好ましく、3.50以上4.00以下の範囲とすることがより好ましく、3.70以上3.90以下の範囲とすることが更に好ましい。3.50未満であるとカーボン過少になり、炭化が不十分なWCがWC粉末に混入する場合があり、4.00を超えるとカーボン過多になり、余剰CがWC粉末に混入する場合があって好ましくない。
また、原料に使用する酸化タングステン粉末としては、例えばパラタングステン酸アンモニウム(APT)を焼成し得られた粉末を用いることができる。炭素粉末としては、カーボンブラック、グラファイトカーボン等を用いることができる。さらに、混合機には、一般的な羽根つきの混合機の他、メディア混合、例えばボールミルなどを用いることができる。
(混錬工程S02)
次に、混合工程S01で混合された炭素と酸化タングステンとに、水分を供給して混合物(湿潤粉末)とする混錬工程を実行する。具体的には、混合物混合工程S01で得られた酸化タングステン粉末と炭素粉末の混合粉末に、純水を添加して混錬し、混合物を得る。ここで純水とは電気伝導率が1mS/m以下の水である。水の精製方法は限定されず、蒸留、イオン交換、膜処理などが適用できる。
混錬工程S02においては、供給する水分を調整し、所定の加水率とすることが好ましい。具体的には、加水率を25mass%以上30mass%以下とすることが好ましく、26.5mass%以上29.2mass%以下とすることがより好ましく、27.8mass%以上29.2mass%以下とすることが更に好ましい。ここで、加水率(mass%)は、(水添加量(kg))×100/(投入した酸化タングステンの量(kg)+投入した炭素量(kg))で算出することができる。
また、純水の添加量は、炭素の比表面積によって異ならせてもよい。例えば、30m/g以上の炭素の場合には、酸化タングステン粉末と炭素粉末の混合粉末重量に対して、0.25倍以上0.35倍以下であることが望ましい。また、10m/g以上、30m/g未満の炭素の場合には、酸化タングステン粉末と炭素粉末の混合粉末重量に対して、0.15倍以上0.25倍以下であることが望ましい。10m/g未満の炭素の場合には、酸化タングステン粉末と炭素粉末の混合粉末重量に対して、0.05倍以上0.15倍以下であることが望ましい。加水率、水の添加量が、下限未満であると水分過少により、所望の粒度に造粒できない場合があり、上限を超えると水分過多になり、湿潤粉末が装置内壁面などに付着するため、製造効率が低下する場合があって好ましくない。
純水の添加方法は、酸化タングステン粉末と炭素粉末を混合しているところに、滴下する方法などがある。また、純水添加後、混錬することにより、均一な湿潤粉末とすることができる。
なお、混合工程S01や混錬工程S02において、粉末を混合、混錬する条件は任意であってよいが、例えば、混合機の回転部の周速(周速度)を、5.9m/s以上10m/s以下とすることが好ましく、5.9m/s以上8m/s以下とすることがより好ましい。回転部の周速は、周速度(m/s)=チョッパー(回転部)の外径(mm)×3.14×チョッパー(回転部)の回転数(rpm)/1000/60で、算出することができる。例えば、混合機のチョッパーの回転数を、1400rpm以上2400rpm以下とし、チョッパー外径を80mmとすると、周速度を5.9m/s~10m/sとすることができる。5.9m/s未満であると混合、混錬が不十分になる場合があり、10m/sを超えるとそれ以上混合、混錬の向上はなく非効率になるため好ましくない。
なお、混合や混錬の際の上記の条件は、後述の造粒方法の種類(例えば押出造粒や攪拌造粒)を問わず、適用できる。
(成形工程S03)
次に、混錬工程S02で得られた混合物を造粒して造粒物を生成する成形工程を実行する。
ここで、造粒物の大きさは、その後の工程における取り扱い性を考慮して適宜設定することが好ましい。例えば、本実施形態では、造粒物の大きさは、0.5mm以上3.0mm以下の範囲内に設定してよい。なお、造粒方法は、押出造粒や、撹拌造粒などが適用できる。0.5mm未満であると後段の炭化工程にて炉内での造粒物流動性が向上せず、安定した処理ができない場合があり、3.0mmを超えると後段の炭化工程にて炭化が不十分になる場合があって好ましくない。
押出造粒を行う場合、例えば、混錬工程S02で得られた混合物を、開口が形成された部材に向けて加圧することで、その部材の開口から混合物を押し出し、開口から押し出された棒状の混合物を切断することで、粒状の造粒物を得る。押出造粒を適用することで、造粒物の大きさを均一に近づけることができ、これにより後段の炭化工程で均一な反応が可能になる。なお、混合物を加圧する機器は任意であってよいが、例えば、スクリュー、プランジャ、ローラなどを用いてよい。また、押し出し用の開口が形成される部材も任意のものであってよいが、例えば、複数の開口が形成された板状の部材を用いてよく、押し出し用の開口の大きさは、所望する造粒物の大きさに合わせて設定されてよい。
攪拌造粒を行う場合、例えば、混錬工程S02で得られた混合物を、加水を停止した後、チョッパーによる撹拌を所定の時間、例えば、3分以上10分以下、好ましくは5分以上8分以下行うことで、混合物を造粒させた造粒物を作製できる。3分未満では造粒が不十分となる場合があり、10分を超えると造粒物が大きくなりすぎる場合があって好ましくない。
(乾燥工程S04)
次に、成形工程S03で得られた造粒物に含まれた水分を除去するために、乾燥を行う。使用する乾燥機に特に制限はないが、乾燥工程S04での造粒物の崩れを抑制するためには、造粒物を動かさない方式の乾燥機であるベルトコンベア式の乾燥機が望ましい。また、乾燥温度は110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。
なお、例えば攪拌造粒を行う場合には、乾燥した造粒物を篩分ける篩分工程を行うことが好ましい。篩分工程では、0.1mmの目開きの篩を用いて、造粒物を0.1mm未満と、0.1mm以上に篩い分けてもよい。0.1mm未満の造粒物は、0.1mm以上の造粒物に比して炭素含有量が低く、0.1mm未満の造粒物を含めたままの造粒物を炭化工程で炭化すると炭化が不均一になる。ただし、篩分工程における閾値となる造粒物の大きさは、0.1mmに限られず、所望の造粒物の大きさに合わせて任意に設定してよい。すなわち、篩分工程では、得られた造粒物を、所定の大きさ未満のものと、所定の大きさ以上のものに篩い分けてよい。また、篩分工程は、攪拌造粒の場合にのみ適用されることに限られず、例えば押出造粒などどのような造粒方法にも適用されてよい。また逆に、篩分工程は必須でなく、攪拌造粒の場合にも適用されなくてもよい。
篩分工程を行った場合には、所定の大きさ(ここでは0.1mm)未満に分類された篩下造粒物の全炭素量(Total Corbon:TC)を測定するTC測定を行い、計測した全炭素量から炭素と酸化タングステンとの割合を算出し、算出した割合に基づいて、成分を調整して、篩下造粒物を混合工程の混合機に再度投入する。これにより、篩下造粒物を再度造粒することができ、材料を効率よく使用することができる。
次に、篩分工程で所定の大きさ(ここでは0.1mm)以上に分類された篩上造粒物の全炭素量を測定するTC測定を行い、計測した全炭素量から炭素と酸化タングステンとの割合を算出し、所定の割合になっていることを確認して、造粒工程を終了してよい。つまり、TCを測定した篩上造粒物を、熱処理工程に進む造粒物とする。すなわち、篩上造粒物を、炭化タングステンの製造に用いる造粒物としてよい。
(炭化工程S05)
次に、炭化工程(熱処理工程)について説明する。炭化工程においては、乾燥した造粒物を熱処理炉に装入して熱処理を行うことにより、上述の(1)式に示すように、酸化タングステンの還元反応と、還元反応で得られたタングステンメタルの炭化反応とを連続的に進行させて炭化タングステンを得る。本実施形態においては、不活性ガス雰囲気下での1段階の炭化工程S05で炭化タングステンを得ることが可能であり、2段階目以降の炭化工程を行うことなく、WC炭化率を高めることができる。
(熱処理炉の構成)
本実施形態では、熱処理炉として、ロータリーキルンを用いる。図2を用いて、熱処理工程に用いる炭化装置の一例を説明する。図2は、ロータリーキルンを含む炭化装置の一例を示す模式図である。図2に示す炭化装置10は、ロータリーキルン11と、材料投入装置18と、ガス供給装置20と、排出管24と、を含む。
ロータリーキルン11は、キルン本体12と、ヒータ14と、駆動部16と、を含む。キルン本体12は、中空の筒状部材であり、材料投入装置18により、造粒物が投入される。キルン本体12は、筒形状の中心軸が水平に沿って配置され、かつ、材料が投入される側の端部が、他方の端部よりも鉛直方向上側となるように、水平方向に対して傾いていることが好ましい。ヒータ14は、キルン本体12を加熱する。ヒータ14でキルン本体12の外周を加熱する構造を有し、キルン本体12を加熱装置で加熱する構造等を用いることができる。バーナによる加熱装置を補完的に使用してもよい。ヒータ14は、キルン本体12を1300℃以上2000℃以下の範囲で加熱することができる。ヒータ14は、キルン本体12の筒形状の両端を除いた距離Lの範囲に配置される。ヒータ14が配置されている距離Lの範囲が加熱領域となる。ヒータ14が配置されている距離Lの範囲がWOを炭化する反応領域である。
駆動部16は、キルン本体12を筒形状の中心軸を回転軸として、回転させる。駆動部16は、駆動源30と、伝達機構32と、を含む。駆動源30は、モータ等の回転力を発生させる機器である。伝達機構32は、駆動源30の回転量をキルン本体12に伝達する。伝達機構32は、例えば、駆動源30とキルン本体12の両方に掛けられた無端ベルトである。伝達機構32としてはギヤを組み合わせた構造も用いることができる。
材料投入装置18は、材料貯留部21と、供給管22と、を含む。材料貯留部21は、造粒工程で作成した造粒物を貯留している。供給管22は、材料貯留部21とキルン本体12とを接続し、材料貯留部21からキルン本体12に造粒物を供給する。
ガス供給装置20は、ガス供給源40と、供給管42と、排出管44と、を含む。ガス供給源40は、不活性ガスを供給する供給源である。不活性ガスは、例えば窒素(N)である。以下の説明において、不活性ガスは窒素ガスと記載する。供給管42は、ガス供給源40とキルン本体12とを接続する。供給管42は、キルン本体12の、供給する供給管22が接続されている端部とは反対側の端部に接続されている。排出管44は、キルン本体12の、造粒物を供給する供給管22が接続されている端部に接続されている。
排出管24は、キルン本体12の供給管22が接続されている端部とは反対側の端部に接続されている。排出管24は、キルン本体12を通過して炭化された対象物が排出される。
炭化装置10は、材料投入装置18からキルン本体12に造粒物を供給する。キルン本体12は、ヒータ14で加熱されつつ、駆動部16で回転方向54に回転される。キルン本体12に供給された造粒物は、キルン本体12の回転により、搬送経路52に沿って、供給管22から排出管24に向けて移動する。搬送経路52を移動する造粒物は、距離Lの範囲で加熱される。また、炭化装置10は、ガス供給装置20から、キルン本体12に窒素ガス流れ方向60の向き、つまり搬送経路52とは逆方向に窒素が供給される。炭化装置10は、キルン本体12を通過して炭化された炭化物を排出管24から排出し、回収する。また、キルン本体12のガスは、排出管44から排出される。
なお、炭化タングステンの製造に用いる炭化装置10の構成は、以上に限られず任意であってよい。
(炭化工程の処理条件)
次に炭化工程の必要な処理条件に付いて説明する。炭化工程では、炭化装置10で下記処理条件を満足させつつ、炭化処理を行う。処理条件は、炉内窒素ガス流速と、加熱温度(反応領域の温度)との組み合わせである。
炉内窒素ガス流速は、ロータリーキルン11のキルン本体12を流れる窒素の流速であり、反応領域に供給される窒素ガス(不活性ガス)の流速といえる。炉内窒素ガス流速は、キルン本体12の断面積とガス供給装置20からの窒素ガスの供給量で算出される。具体的には、炉内窒素ガス流速(m/min)=Nの流量(L/min)×10/キルン本体12の断面積(cm)で算出される。本実施形態ではキルン本体12内が反応領域であるため、炉内窒素ガス流速は、ガス供給装置20からの窒素ガスの供給量を、窒素ガスが流れる方向から見た反応領域の断面積で除した値として算出されるといえる。ここでの反応領域の断面積は、窒素ガスが流れる方向から見た反応領域の各位置における断面積の平均値を用いてよい。ただし、炉内窒素ガス流速は、このように算出されることに限られず任意の方法で取得されてよく、例えば流速計などを用いて測定されてもよい。
加熱温度(反応領域の温度)は、炭化工程時における反応領域内の温度を指し、例えば反応領域に設置された温度計によって測定されてよい。
なお、反応領域は、本実施形態においては、上述のように、キルン本体12においてヒータ14が配置されている距離Lの範囲の空間である。ただし、反応領域は、それに限られず、炭化工程時の熱処理炉(本実施形態ではロータリーキルン11)内において、酸化タングステンが炭化可能な温度(例えば1300℃)以上に加熱されている空間を指してよい。
本実施形態の炭化工程においては、加熱温度(反応領域の温度)が1500℃未満の場合には、炉内窒素ガス流速を0.1m/min以下とし、加熱温度が1500℃以上の場合には、炉内窒素ガス流速を0.4m/min以下とする。
炉内窒素ガス流速と反応領域の温度との組み合わせをこのように調整することで、1回の炭化処理で高いWC炭化率を実現することができ、炭化工程を簡単にしつつ、高い歩留まりで炭化タングステンを製造できる。さらに言えば、炭化タングステンを製造する際には、(1)式に示す反応によってCOガスが生成するが、本実施形態のように不活性ガスの炉内ガス流速を抑えることで、COガスの排出を抑制して、COガスを還元剤として利用することができ、(1)式に示す反応をさらに促進することができる。(1)式で示すように反応後ガスとしてはCOとCOが発生するが、温度が高いほどCOガスの比率が高くなる。そのため、1500℃以上の場合には1500℃未満の場合と比較して窒素ガス流速を速くすることができる。なお、不活性ガスは、造粒物の進行方向とは逆方向(向流)とすることが好ましい。
以下、加熱温度を1500℃未満とする場合の炭化工程の条件を第1条件とし、加熱温度を1500℃以上とする場合の炭化工程の条件を第2条件として、第1条件と第2条件についてより具体的に説明する。
(第1条件)
第1条件においては、炉内窒素ガス流速を、0.1m/min以下とすることが好ましい。上限を超えるとCOガスにする還元効果を利用できず炭化反応が十分に進行しない場合があって好ましくない。
また、第1条件においては、反応領域内の温度を1300℃以上1500℃未満とすることが好ましい。下限未満であると炭化反応が十分に進行しない可能性があって好ましくない。
また、第1条件においては、造粒物を加熱温度に保持する時間である保持時間を、10分以上90分以下とすることが好ましい。なお、保持時間は、窒素ガスが供給されつつ加熱温度に加熱された反応領域内に、造粒物が存在し続ける時間を指してよい。下限未満であると炭化反応が十分に進行しない可能性があり、上限を超えると生産性が低下するため好ましくない。
第1条件をこのように設定することで、1回の炭化処理で高いWC炭化率を実現することができ、炭化工程を簡単にしつつ、高い歩留まりで炭化タングステンを製造できる。
(第2条件)
第2条件においては、炉内窒素ガス流速を、0.4m/min以下とすることが好ましい。上限を超えるとCOガスにする還元効果を利用できず炭化反応が十分に進行しない場合があって好ましくない。
また、第2条件においては、反応領域内の温度を1500℃以上2000℃以下とすることが好ましく、1700℃以上2000℃以下とすることがより好ましい。下限未満であると炭化反応が十分に進行しない可能性があり、上限を超えると消費電力が増大するため、生産コストが高くなってしまい好ましくない。
また、第2条件においては、保持時間を、10分以上90分以下とすることが好ましい。下限未満であると炭化反応が十分に進行しない可能性があり、上限を超えると生産性が低下するため好ましくない。
第2条件をこのように設定することで、1回の炭化処理で高いWC炭化率を実現することができ、炭化工程を簡単にしつつ、高い歩留まりで炭化タングステンを製造できる。
例えば、加熱温度を1700℃以上、保持時間を10分以上とすることにより、生成した炭化タングステンの1次粒子の粒成長が促進され、平均粒径が0.6 μmを超える炭化タングステン粉末を適切に得ることが可能となる。
(本実施形態の効果)
本実施形態では、上記条件で炭化工程を実行することで、1回の炭化処理で、高いWC炭化率を実現することができる。具体的には、炭化率を99.5%以上とすることができる。
本実施形態に係る製造方法は、炭素と酸化タングステンとを混合して造粒物を製造する造粒工程と、製造した造粒物を熱処理炉に投入し、熱処理炉の反応領域に不活性ガスを供給しつつ加熱して、酸化タングステンを炭化して炭化タングステンを製造する炭化工程と、を有する。そして、炭化工程においては、反応領域内の温度が1500℃未満の場合には、供給する不活性ガスの流速を0.1m/min以下とし、反応領域内の温度が1500℃以上の場合には、供給する不活性ガスの流速を0.4m/min以下とする。本実施形態において、熱処理炉内への不活性ガスの炉内ガス流速を所定以下としているので、(1)式に示す反応で生成したCOガスが熱処理炉から排出されることが抑制され、このCOガスを還元剤として作用させ、酸化タングステンの還元反応を促進することができ、炭化タングステン粉末を効率良く製造することが可能となる。さらに、本実施形態では、酸化タングステン粉末と炭素粉末の混合物を造粒する造粒工程を備えているので、炭化工程において造粒物の取り扱いが比較的容易となり、炭化タングステン粉末をさらに効率良く製造することができる。
炭化工程においては、反応領域内の温度が1500℃未満の場合には、供給する不活性ガスの流速を0.1m/min以下とすることが好ましく、反応領域内の温度が1500℃以上の場合には、供給する不活性ガスの流速を0.4m/min以下とすることが好ましい。温度に応じて不活性ガスの流速をこの範囲とすることで、炭化タングステン粉末を効率良く製造することが可能となる。
炭化工程においては、反応領域内の温度を1700℃以上2000℃以下とすることが好ましい。加熱温度をこの範囲とすることで、(1)式に示す反応によって生成した炭化タングステンの1次粒子の粒成長が促進され、平均粒径が0.6μmを超える炭化タングステン粉末を適切に得ることが可能となる。
また、本実施形態においては、熱処理炉としてロータリーキルン炉を用いているので、高温条件で安定して熱処理することができる。また、酸化タングステン粉末と炭素粉末の混合粉末を効率的に加熱することができ、(1)式に示す反応を促進でき、炭化タングステン粉末をさらに効率良く製造することができる。
なお、炭化率は、製造した炭化物に対してX線回折分析(XRD)を測定し、W、WC、WCの各成分のピーク位置での強度(IW、W2C、WC)を算出し、強度に基づいて、炭化率を算出した。ここで、Wのピーク位置(2θ)は、40.29とし、WCのピーク位置(2θ)は、39.46とし、WCのピーク位置(2θ)は、35.68とした。WC炭化率(%)は、(IWC/(I+IW2C+IWC))×100で算出できる。
炭化率を99.5%以上とすることができることで、1次炭化のみで、窒素雰囲気で炭化した後に水素雰囲気でさらに炭化を行う2段階の炭化工程を含む製造方法と同等のWC炭化率を達成できるようになった。また、ロータリーキルンによる直接炭化が、1次炭化のみで行えることから、炉設備の数を減らし、Hを用いないためコストが削減できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態の炭化装置10は、ガス供給装置20を用い、ロータリーキルン11に窒素を供給したが、酸化タングステンと炭素の反応に寄与しない気体であればよく、アルゴン等の種々の不活性ガスを用いることができる。また例えば、本実施形態では、熱処理炉としてロータリーキルン炉を用いるものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の構造の熱処理炉を用いてもよい。
(攪拌造粒を行った場合の効果)
補足として、攪拌造粒を行った場合の効果について説明する。造粒工程においては、炭素と酸化タングステンとに、加水率が26.5mass%以上29.2mass%以下となるように水分を供給して混合物とし、混合物を攪拌造粒することにより造粒物を製造し、製造した造粒物を篩分することで、0.1mm以下の造粒物を除去することが好ましい。攪拌造粒しつつ、かつ製造した造粒物を篩分けすることで、造粒物の大きさを均一に近づけることができ、これにより後段の炭化工程で均一な反応が可能になる。
本実施形態では、加水ステップでの加水率を調整し、加水率を26.5mass%以上29.2mass%以下、好ましくは、加水率を27.8mass%以上29.2mass%以下として、造粒物を作製することで、粒径が0.1mm以上の造粒物を高効率(高い歩留まり)で製造することができる。具体的には、造粒工程で0.1mm以上となる造粒物の割合を90%以上、好ましくは98mass%以上とすることができる。つまり、混合ステップで製造を行う0.1mm未満の造粒物の割合を10%未満、好ましくは2mass%未満とすることができる。これにより、炭化工程で炭化させる造粒物を効率よく製造することができ、炭化タングステンを効率よく製造することができる。
また、本実施形態では、加水率を26.5mass%以上29.2mass%以下、好ましくは、加水率を27.8mass%以上29.2mass%以下として、造粒物を作成し、かつ、篩分ステップで、0.1mm以上の粒径の造粒物を抽出し、抽出した造粒物を炭化工程で炭化することで、効率よく、多くの炭化タングステンを製造することができる。また、炭化工程で未炭化のタングステンが、装置に悪影響を与えることを抑制できる。
ここで、0.1mm以上の粒径の造粒物を抽出し、炭化工程を行うことによる効果について説明する。炭化工程では、酸化タングステンは、窒素雰囲気で加熱される。そこで、BRUKER製の熱分析装置を用いて、窒素雰囲気内で、昇華温度を測定した。測定では、試料1として、25mgのWOをアルミナ皿に測り取り、熱分析装置に設置した。次に、熱分析装置の空間内にNを100ml/Lで流しながら、10℃/minで室温から1300℃まで昇温し、WOの重量減少を測定した。この結果を図3に示す。
図3は、WOの温度による重量変化の一例を示すグラフである。図3は、横軸が温度(℃)であり、縦軸が重量変化量(mg)である。図3に示すように、N中のWOは1200℃付近から急激に重量が減少し、昇華することがわかった。この結果から、未反応WOつまり炭化されずに残留するWOがロータリーキルンの管内に存在した場合、1200℃付近で昇華し、壁面に鋳つく可能性がある。
次に、造粒物を作製し、作製した造粒物を粒径の範囲で篩い分け、各粒径範囲の全炭素量(Total Carbon:TC)を測定した。試料として、3つの試料を作製し、それぞれ下記条件で造粒物を作製した。
試料2は、炭素と酸化タングステン(WO)とのモル比(C/W)を3.78とし、加水率を27.8mass%とし、混合ステップを20分、加水ステップを37分、造粒ステップを10分、乾燥ステップを20分行い、造粒物を作製した。
試料3は、炭素と酸化タングステン(WO)とのモル比(C/W)を3.75とし、加水率を27.8mass%とし、混合ステップを5.5分、加水ステップを23.5分、造粒ステップの13分、乾燥ステップを20分行い、造粒物を作製した。
試料4は、炭素と酸化タングステン(WO)とのモル比(C/W)を3.72とし、加水率を27.8mass%とし、混合ステップを5.5分、加水ステップを24.5分、造粒ステップを10分、乾燥ステップを20分行い、造粒物を作製した。
次に、それぞれの試料で作製した造粒物を、粒径毎に篩分けた。具体的には、目開きが異なる篩を用いて、粒径の小さい造粒物を分離することで、各目開きの間の粒径の造粒物とした。篩の目開は、0.1mm、0.25mm、0.5mm、1.0mm、1.7mmとした。つまり、造粒物を0.1mm未満、0.1mm以上0.25mm未満、0.25mm以上0.5mm未満、0.5mm以上1.0mm未満、1.0mm以上1.7mm未満、1.7mm以上に分類した。
次に分類したそれぞれの造粒物について、全炭素量(mass%)をLeco社製 WC-200で測定した。測定した結果を図4に示す。図4は、篩粒度と造粒物の全炭素量との測定結果の一例を示すグラフである。図4に示すように、粒径が0.1mm未満の造粒物は、TC値、つまり炭素の割合が10%以下、3つの試料の平均値8.9mass%であった。これに対して、粒径が0.1mm以上の造粒物は、いずれもTC値が15%を超え、平均値が、16.6mass%であった。
以上より、材料のモル比(C/W)が異なる3つのいずれの試料でも粒径が0.1mm未満の場合、炭素量が少なくなることが分かる。また、材料のモル比(C/W)が異なる3つのいずれの試料でも粒径が0.1mm以上では、モル比(C/W)が安定し、投入した材料のモル比に対応する成分比となることが分かる。したがって、粒径が0.1mm未満の造粒物は、炭素量が少ないため、酸化タングステンの炭化に必要な炭素が不足し、ロータリーキルンでの炭化時に未反応の酸化タングステンとなる。このため、粒径が0.1mm未満の造粒物が投入されると、未反応の酸化タングステンが1200℃を超えて昇華し、炉内に鋳付きを生じる。
以上より、粒径が0.1mm以上の造粒物を高い割合で製造することで、炉内に鋳つきを生じにくくできる。また、粒径が0.1mm以上の造粒物を高い割合で製造することで、炭化タングステンを高い歩留まりで製造でき、未反応の酸化タングステンが混入することも抑制できる。また、造粒物の製造時に、0.1mm未満の造粒物を篩分けで除去することで、ロータリーキルン内での鋳付きを好適に抑制できる。
(実施例)
次に、具体的な実施例を用いて、炭化タングステンの製造方法について、説明する。図5は、実施例の試験結果を示す表である。
(製造条件)
原料に使用する酸化タングステン粉末は、パラタングステン酸アンモニウム(APT)を焼成し得られた粉末を用いた。炭素はカーボンブラック(C.B.)を用いた。酸化タングステン粉末と炭素粉末を図5に示す配合比率で混合して混合粉末を得た。ここで加熱温度が高いほどC/Wの値は大きくした。これは、炭化温度が高いほど(1)式の反応ガス中のCO濃度は低くなる、つまり(1)式中のaの値は小さくなるためである。この混合粉末に純水を加え湿潤粉末としたのち、押出造粒にて粒径1.0~1.5mmの造粒物を作製した。
作製した造粒物を、窒素雰囲気中のロータリーキルン炉内に装入し熱処理を行った。ロータリーキルン11の傾斜度は0.5~3.0°、キルン本体の回転は5rpmとした。ロータリーキルン11内の窒素ガス流速、加熱温度、保持時間は図5の通りとした。
(評価)
以上の製造方法で製造した各例の炭化タングステンについて、炭化率の評価を行った。炭化率は、上述したXRDで計測した結果に基づいて、算出した。本実験例では、炭化物のXRD測定は、PANalytical製オールインワン多目的X線回折装置Empyreanによって行った。
図5に示すように、比較例1においては、熱処理時における加熱温度が1300℃、炉内窒素ガス流速が0.4m/分と本実施形態の範囲外であり、炭化が十分に進行せず炭化率が97.1%となった。比較例2-5も同様の理由で炭化率が99.5%未満となった。 これに対して、本発明例1-19では熱処理時における加熱温度、炉内窒素ガス流速、保持時間が本実施形態の範囲内であり、いずれも炭化が十分に進行し、炭化率は99.5%以上となった。以上のことから、本発明例によれば、直接炭化法によって、炭化率が99.5%以上となる炭化タングステン粉末を、低コストで安定して製造することが可能な炭化タングステン粉末の製造方法を提供可能であることが確認された。このように、本発明例によると、高い歩留まりで炭化タングステンを製造できることが分かった。
(オプションの評価)
オプションの評価として、各例の炭化タングステンの平均粒径を測定した。平均粒径は、フィッシャー法によって測定した。
図5に示すように、熱処理時における加熱温度を1700℃以上とした本発明例5、8、12-18においては、生成した炭化タングステン粉末の平均粒径が0.6μm以上となることが分かる。すなわち、加熱温度を1700℃以上とすることで、直接炭化法によって、平均粒径が0.6μmを超える炭化タングステン粉末を、低コストで安定して製造することが可能な炭化タングステン粉末の製造方法を提供可能であることが確認された。
(他の実験例)
次に、他の実験例を用いて、造粒物の製造方法、つまり炭化タングステン製造用の造粒物製造方法について説明する。図6は、他の実験例の結果を示す表であり、図7から図9は、他の実験例の結果を示すグラフである。なお、以降の実験例は、本願発明の一例を示す実験例であり、その内容に本願発明や実施形態が限定されるわけではない。
(実験例1)
実験例1では、加水率と造粒物の粒径分布の関係を確認した。実験例1では、WOを3.8kgと、炭素としてC/WO比に対応した量のカーボンブラックを混練機に投入し、チョッパーを1400rpm(周速度5.9m/s)で回転させ、混合した。その後、それぞれの試験での加水率に調整し、10分間造粒を行い、110℃で20分乾燥した。乾燥した造粒物の重量を測定し、その後、目開きが0.1mmの篩で篩分けを行い、粒径0.1mm未満の造粒物の割合と、粒径0.1mm以上の造粒物の割合と、を測定した。
粒径0.1mm未満の造粒物の割合(mass%)は、(粒径0.1mm未満の造粒物の重量(kg)/篩分け前の全体の造粒物の重量(kg))×100で算出した。粒径0.1mm以上の造粒物の割合(mass%)は、(粒径0.1mm以上の造粒物の重量(kg)/篩分け前の全体の造粒物の重量(kg))×100で算出した。
実験例1では、加水率が異なる3つの試験を実施した。試験No.1は、加水率を24.5%とした。試験No.2は、加水率を27.8%とした。試験No.3は、加水率を29.0%とした。それぞれの試験での、造粒物の粒径が0.1mm未満(0.1mmアンダー)と、粒径が0.1mm以上(0.1mmオーバー)と、の割合を図7に示す。
(実験例2)
実験例2では、チョッパー回転数(周速度)を試験毎に変化させ、加水率を27.8%とした以外の条件は、試験No.6の造粒時間以外、実験例1と同様とした。実験例2では、チョッパー回転数(周速度)が異なる3つの試験を実施した。試験No.4は、チョッパー回転数1400rpm、周速度を5.9m/sとした。試験No.5は、チョッパー回転数1900rpm、周速度を8m/sとした。試験No.6は、チョッパー回転数2400rpm、周速度を10m/sとし、造粒時間を3分とした。それぞれの試験での、造粒物の粒径が0.1mm未満(0.1mmアンダー)と、粒径が0.1mm以上(0.1mmオーバー)と、の割合を図8に示す。
(実験例3)
実験例3では、チョッパー回転数(周速度)を1900rpm(8m/s)とし、造粒時間を5分とし、加水率を試験毎に変化させた以外の条件は、実験例1と同様とした。実験例3では、加水率が異なる3つの試験を実施した。試験No.7は、加水率を26.5%とした。試験No.8は、加水率を27.8%とした。試験No.9は、加水率を29.2%とした。それぞれの試験での、造粒物の粒径が0.1mm未満(0.1mmアンダー)と、粒径が0.1mm以上(0.1mmオーバー)と、の割合を図9に示す。
図6及び図7により、試験No.1からNo.3に示すように、加水率が24.5%の場合、0.1mm未満の造粒物の割合が10mass%を超えることがわかる。また、チョッパーの回転数1400rpm(周速度5.9m/s)の場合、加水率を27.8mass%以上29.2mass%以下とすることで、0.1mm未満の造粒物の割合を2mass%未満にでき、炭化工程に進める造粒物を高い割合で製造できることが分かる。
図6及び図8により、いずれのチョッパー回転数、周速度でも、0.1mmアンダーの割合は2.5mass%以下になることがわかる。また、チョッパー回転数を1400rpm~1900rpm(周速度で5.9m/s~8.0m/s)とすることで、0.1mm未満の割合を2mass%以下になることがわかる。
図6及び図9により、試験No.7からNo.9に示すように、チョッパー回転数を1900rpm(周速度で8.0m/s)とした場合、加水率を26.5mass%~29.2mass%とすることで、0.1mm未満の造粒物の割合を4.0mass%以下とできることが分かる。また、加水率を27.8mass%以上29.2mass%以下とすることで、0.1mm未満の造粒物の割合を2mass%未満にでき、炭化工程に進める造粒物を高い割合で製造できることが分かる。
以上より、加水率を調整することで、造粒物の歩留まりを高くできることが分かる。また、加水率に加え、混練機の撹拌のために回転する回転部の周速度を調整することで、造粒物の歩留まりをさらに高くできることが分かる。以上より、本実施形態の条件で製造を行うことで、効果を得ることができることがわかる。
10 炭化装置
11 ロータリーキルン
12 キルン本体
14 ヒータ
16 駆動部
18 材料投入装置
20 ガス供給装置
21 材料貯留部
22 供給管
30 駆動源
32 伝達機構
40 ガス供給源
42 供給管
44 排出管
52 搬送経路
54 回転方向
60 窒素ガス流れ方向

Claims (4)

  1. 炭素と酸化タングステンとを混合して造粒物を製造する造粒工程と、
    製造した造粒物を熱処理炉に投入し、前記熱処理炉の反応領域に不活性ガスを供給しつつ加熱して、酸化タングステンを炭化して炭化タングステンを製造する炭化工程と、を有し、
    前記炭化工程においては、
    前記反応領域内の温度が1500℃未満の場合には、供給する前記不活性ガスの流速を0.1m/min以下とし、
    前記反応領域内の温度が1500℃以上の場合には、供給する前記不活性ガスの流速を0.4m/min以下とする、
    炭化タングステンの製造方法。
  2. 前記炭化工程においては、前記反応領域内の温度を1700℃以上2000℃以下とする、請求項1に記載の炭化タングステンの製造方法。
  3. 前記造粒工程においては、押出造粒により前記造粒物を製造する、請求項1又は請求項2に記載の炭化タングステンの製造方法。
  4. 前記造粒工程においては、炭素と酸化タングステンとに、加水率が26.5mass%以上29.2mass%以下となるように水分を供給して混合物とし、前記混合物を攪拌造粒することにより前記造粒物を製造し、製造した前記造粒物を篩分することで、0.1mm以下の造粒物を除去する、請求項1又は請求項2に記載の炭化タングステンの製造方法。
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