JP2023126139A - ポリエステル樹脂組成物、それを用いてなる積層ポリエステルフィルム、多層積層フィルム - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物、それを用いてなる積層ポリエステルフィルム、多層積層フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2023126139A
JP2023126139A JP2023005593A JP2023005593A JP2023126139A JP 2023126139 A JP2023126139 A JP 2023126139A JP 2023005593 A JP2023005593 A JP 2023005593A JP 2023005593 A JP2023005593 A JP 2023005593A JP 2023126139 A JP2023126139 A JP 2023126139A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester resin
resin composition
mol
dicarboxylic acid
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023005593A
Other languages
English (en)
Inventor
博二 小島
Hiroji Kojima
朋也 灘波
Tomoya Namba
純 坂本
Jun Sakamoto
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Publication of JP2023126139A publication Critical patent/JP2023126139A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

【課題】光学特性、耐熱性、製膜性に優れた、二軸延伸フィルム、特に積層フィルムに好適なポリエステル樹脂組成物及びそれを用いてなるフィルム、積層フィルムを提供する。【解決手段】芳香族ジカルボン酸単位、脂環族ジカルボン酸単位、アルキレングリコール単位、およびイソソルビド単位を有するポリエステルであって、全ジカルボン酸成分に対して芳香族ジカルボン酸成分を30mol%以上90mol%以下、脂環族ジカルボン酸成分を10mol%以上70mol%以下含有し、全ジオール成分に対してエチレングリコールを40mol%以上90mol%以下、イソソルビド成分を10mol%以上60mol%以下含有するポリエステル樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明はポリエステル樹脂組成物、それを用いてなる積層ポリエステルフィルム、多層積層フィルムに関する。
屈折率の異なるポリマーを交互に積層したフィルムは、特定の波長の光を効率良く反射させることができ、光フィルタや反射体として利用されている。光の反射効率を上げるためには、屈折率差を大きくすることが有効であり、高屈折率のポリエステルとしては、ポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレートを主とした結晶性ポリエステル樹脂組成物が使用されている。
一方で、低屈折率のポリエステルとしては、共重合により結晶性を抑制した非晶性ポリエステル樹脂組成物が使用されている。
例えば特許文献1には結晶性ポリエステルからなる熱可塑性樹脂Aと該結晶性ポリエステルとは異なる共重合ポリエステルである熱可塑性樹脂Bを交互に積層した積層フィルムについて記載があり、この熱可塑性樹脂Bとして、イソソルビドを5mol%、シクロヘキサンジメタノールを24mol%含有するポリエステル樹脂組成物が開示されている。
特許文献2には、イソソルビドを7~20mol%含有する結晶性のポリエステル樹脂について開示されており、実施例にはテレフタル酸、エチレングリコール、イソソルビドを含有するポリエステル樹脂について詳細に開示されている。
特許文献3には、イソソルビドを5~90mol%含有するポリエステル樹脂にについて開示されており、実施例にはイソソルビドを5~56mol%含有するポリエステル樹脂について詳細に開示されている。
特開2020-192812号公報 特表2018-538419号公報 特開2012-67289号公報
特許文献1では、ジカルボン酸成分が芳香族化合物であり、特許文献2ではジカルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸であることに加え、共重合量が少なく、結晶性であり、特許文献3では、ジカルボン酸成分として脂肪族ジカルボン酸を共重合し、イソソルビド成分を共重合しているが、ガラス転移温度が低いため、これらの技術では、低屈折率化が不十分であり、光学用の二軸延伸フィルム、特に他のポリエステルとの積層ポリエステルフィルム、多層積層ポリエステルフィルムとした際の光学特性、製膜性において不十分であり、フィルムとしての所望の特性を得ることは困難であった。
本発明の目的は、前記従来技術の課題を克服し、光学特性、耐熱性、製膜性に優れた、二軸延伸フィルム、特に積層フィルムに好適なポリエステル樹脂組成物及びそれを用いてなる、積層ポリエステルフィルム、多層積層フィルムを提供することにある。
上記課題を解決すべく検討を行った結果、本発明により、低屈折率性、耐熱性、製膜性に優れたポリエステル樹脂組成物及びそれを用いてなる積層ポリエステルフィルム、多層積層フィルムを見出した。
すなわち本発明の目的は以下の手段によって達成される。
(1)芳香族ジカルボン酸単位、脂環族ジカルボン酸単位、アルキレングリコール単位、およびイソソルビド単位を有するポリエステルであって、全ジカルボン酸成分に対して芳香族ジカルボン酸成分を30mol%以上90mol%以下、脂環族ジカルボン酸成分を10mol%以上70mol%以下含有し、全ジオール成分に対してエチレングリコールを40mol%以上90mol%以下、イソソルビド成分を10mol%以上60mol%以下含有するポリエステル樹脂組成物。
(2)ガラス転移温度が60℃以上100℃以下である(1)記載のポリエステル樹脂組成物。
(3)溶融状態からの結晶化エネルギーが5J/g未満である(1)または(2)記載のポリエステル樹脂組成物。
(4)屈折率が1.55以下である(1)~(3)のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
(5)脂環族ジカルボン酸成分とイソソルビド成分のモル比が0.60以上5.00以下である(1)~(4)のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
(6)脂環族ジカルボン酸成分が、シクロヘキサンジカルボン酸成分である(1)~(5)記載のポリエステル樹脂組成物。
(7)窒素流通下で280℃、24時間熱処理したときのHFIP不溶物が、ポリエステル樹脂組成物に対して5重量%以下である(6)に記載のポリエステル樹脂組成物。
(8)(1)~(7)のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物を80重量%以上含むポリエステルフィルム。
(9)(8)に記載のポリエステルフィルムからなる層を少なくとも1層以上含む積層ポリエステルフィルム。
(10)層数が50以上である(9)に記載の多層積層ポリエステルフィルム。
(11)脂環族ジカルボン酸成分とイソソルビド成分のモル比が0.60以上5.00以下である(8)~(10)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
本発明によれば、光学特性、耐熱性、製膜性に優れたポリエステル樹脂組成物を提供することができ、さらに、それを用いてなるフィルム、積層フィルムを提供することができる。これらのフィルムは液晶ディスプレイなどの光学用途に適用することができ、特に、屈折率分布を制御した多層積層フィルム用途に提供することができ、光の反射特性に優れる。
本発明におけるポリエステル樹脂組成物は、芳香族ジカルボン酸単位、脂肪族ジカルボン酸単位、アルキレングリコール単位、およびイソソルビド単位を有するポリエステルであって、全ジカルボン酸成分に対して芳香族ジカルボン酸成分を30mol%以上90mol%以下、脂環族ジカルボン酸成分を10mol%以上70mol%以下含有し、全ジオール成分に対してエチレングリコールを40mol%以上90mol%以下、イソソルビド成分を10mol%以上60mol%以下含有する必要がある。
本発明のポリエステル樹脂組成物の芳香族ジカルボン酸成分含有量は、屈折率制御、耐熱性の点から全ジカルボン酸成分に対して30mol%以上90mol%以下含有する必要があり、さらには30mol%以上75mol%以下の範囲であることが屈折率制御や耐熱性の点から好ましい。
本発明における芳香族ジカルボン酸成分として、具体的には、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分、2,6-ナフタレンジカルボン酸成分を挙げることができるが、屈折率制御、製膜性の点からテレフタル酸成分であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物の脂環族ジカルボン酸成分含有量は、屈折率制御、耐熱性の点から10mol%以上70mol%以下である必要があり、さらには25mol%70mol%以下であることが光学特性の点から好ましい。
本発明における脂環族ジカルボン酸成分として、具体的には、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸成分、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸成分、デカリン酸成分などを挙げることができるが、屈折率制御、製膜性の点から1,4-シクロヘキサンジカルボン酸成分であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物のエチレングリコール成分は、屈折率制御、結晶性、溶融粘度、製膜性の点から全ジオール成分に対して、エチレングリコールの含有量が40mol%以上90mol%以下であることが必要であり、さらには60mol%以上90mol%以下であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物のイソソルビド成分の含有量としては、屈折率制御、耐熱性の点から、全ジオール成分に対して10mol%以上60mol%以下であることが必要であり、さらには10mol%以上40mol%以下であることが製膜性の点から好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物の屈折率は、光学特性の点から1.55以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂組成物を低屈折率化するには、脂環族ジカルボン酸成分や、イソソルビド成分の含有量を増やすことで達成できるが、脂環族ジカルボン酸成分の含有量を増やすことが効率よく低屈折率化できる。
本発明のポリエステル樹脂組成物のガラス転移温度は、示差走査熱量計(Q2000型、TAインスツルメント社製)によって測定した。測定においては窒素雰囲気中で300℃まで昇温、5分間保持した後、急冷、再び窒素雰囲気中で20℃から16℃/分の速度で300℃昇温、5分間保持した後、16℃/分の速度で冷却する。さらに16℃/分の速度で昇温したときの中間点ガラス転移温度(各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と,ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度)であり、60℃以上100℃以下であることが製膜性の点で好ましい。さらには、70℃以上90℃以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂組成物のガラス転移温度を下げたい場合は脂環族ジカルボン酸成分を増量し、ガラス転移温度を上げたい時はイソソルビド成分を増量することで目的のガラス転移温度にすることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物の結晶化エネルギーは、示差走査熱量計(Q2000型、TAインスツルメント社製)によって測定した。測定においては窒素雰囲気中で300℃まで昇温、5分間保持した後、急冷、再び窒素雰囲気中で20℃から16℃/分の速度で300℃昇温、5分間保持した後、16℃/分の速度で冷却する。さらに16℃/分の速度で300℃昇温、5分間保持したあと、16℃/分で冷却したときに観察される結晶化に由来する結晶化エネルギー(ベースラインからのピーク面積)であり、光学特性の点から5J/g未満であることが好ましい。さらには結晶化エネルギーが検出不可(非晶性)であることが好ましい。結晶化エネルギーを5J/g未満とするためには、共重合成分である脂環族ジカルボン酸成分、およびイソソルビド成分の含有量を増やすことで達成できる。
本発明のポリエステル樹脂組成物の脂環族ジカルボン酸成分とイソソルビド成分のモル比(脂環族ジカルボン酸成分/イソソルビド成分)は、0.60以上5.00以下であることが製膜性、光学特性の点から好ましく、さらには0.8以上4.5以下、であることが結晶性の点から好ましく、とくに1.25以上3.00以下にすると製膜性の点でより好ましい。
本発明のポリエステルは、耐熱性の点から窒素流通下で280℃、24時間熱処理したときのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)不溶物が、ポリエステル樹脂組成物に対して5重量%以下であることが好ましく、さらには3重量%以下であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、従来公知の方法によって製造することができる。
以下に具体的な製造例を示すが、これに限定されない。
テレフタル酸ジメチル56.3重量部、エチレングリコール45.6重量部、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル23.7重量部、イソソルビド12.6重量部を反応容器に仕込み、150℃で溶解後、攪拌しながらエステル交換反応触媒を添加する。
エステル交換反応触媒としては、チタンアルコキシド、チタンキレート化合物、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウムなどの酢酸金属塩など、公知のエステル交換能を有する化合物を用いることができ、酢酸マンガン4水和物であれば、0.05~0.06重量部をエチレングリコール溶液として添加すれば十分に反応が進行する。
エステル交換反応触媒添加後は、3~4時間かけて、副生物であるメタノールを留去させながら240℃まで昇温する。エステル交換反応終了の目安は副生物であるメタノールの留出量が理論量(100%反応するとテレフタル酸ジメチルと1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルの合計のモル量の2倍モル量のメタノールが発生)に対して90%以上であることが好ましい。エステル交換反応終了後、耐熱安定剤である各種リン化合物や、酸化防止剤などを添加することができる。
リン化合物としては、例えばリン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系化合物等を挙げることができ、リン酸、亜リン酸、トリメチルホスフェート、エチルジエチルホスホノアセテートなど、公知のリン化合物を使用することができる。このようなリン化合物の含有量としては、リン元素としてポリエステル樹脂組成物に対して重量換算で30ppm以上100ppm以下を目安とすると良い。
リン化合物等の添加物の添加終了後、反応生成物を重縮合用装置に移行し、重縮合反応触媒を添加する。重縮合反応触媒としては、公知の化合物を使用することができ、例えば、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド、二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アルミニウム触媒などを挙げることができる。重縮合触媒の添加量としては、テトラブトキシチタネートの場合、0.022重量部程度で十分である。
重縮合反応触媒を添加後、装置内を133Pa以下まで減圧しながら、3~4時間かけて290℃まで昇温し、副生物を留去しながら重縮合反応をすすめ、反応物が所定の粘度になったところで反応を終了し、溶融ポリエステルを水槽へ吐出する。吐出されたポリエステルは水槽で急冷され、カッターでチップとする。
このようにしてポリエステル樹脂組成物を得ることができるが、上記は一例であって、原料や触媒および重合条件はこれに限定されるわけではない。
本発明のポリエステルフィルムは、本発明のポリエステル樹脂組成物を80重量%以上含んでいることが、耐熱性、光学特性の点から好ましい。
本発明の積層フィルムにおいては、積層フィルムを構成するポリエステル樹脂層の少なくとも一つが本発明のポリエステル樹脂組成物を80重量%以上含有することが好ましく、かつもう一方のポリエステル樹脂層が結晶性ポリエステル樹脂から構成されることが好ましい。本発明のポリエステル樹脂組成物を80重量%以上含有する層は、熱処理工程において、配向が緩和されることにより、高い光学等方性(面方向・面直方向共に同じ屈折率)を発現することができる。一方、結晶性ポリエステル樹脂の場合においては、延伸工程で強く配向させることにより、面方向の屈折率(面内屈折率)と面直方向の屈折率(面直屈折率)の差を大きくすることができる。そして、本発明のポリエステル樹脂組成物を80重量%以上含有するポリエステル層と、結晶性ポリエステル樹脂の層の面直方向の屈折率を同じにすることで、面方向に屈折率差を設けることができる。
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法を、本発明のポリエステル樹脂組成物、結晶性ポリエステル樹脂を用いた例にとって以下に説明するが、これに限定されるものではない。
また、複数のポリエステル樹脂からなる積層フィルムを作製する場合には、本発明のポリエステル樹脂組成物、非晶性ポリエステル樹脂など複数の樹脂を2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出し、積層装置に送り込む。積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、本発明の構成を効率よく得るためには、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、任意の層厚み構成を形成することも可能となる。
積層数は50層以上が好ましく、更に好ましくは100層以上であり、800層以上であればより好ましい。積層数の上限は3000層が装置の複雑化の観点から好ましい。
このようにして所望の層構成に形成した溶融多層積層体をダイへと導き、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出し、冷却固化し、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させたりする方法も好ましい。このようにして得られたキャスティングフィルムは、二軸延伸されることが好ましい。ここで、二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2~15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかに本発明のポリエステル組成物を用いた場合には、2~7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては多層積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度~ガラス転移温度+50℃の範囲が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸をいい、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2~15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかに本発明のポリエステル樹脂組成物を用いた場合には、2~7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては多層積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度~ガラス転移温度+120℃の範囲が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。熱処理を行うことにより、フィルムの寸法安定性が向上する。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)ポリエステル樹脂組成物、フィルム中の共重合成分の測定
NMRによりポリエステル樹脂組成物、多層積層ポリエステルフィルム中のテレフタル酸成分、イソソルビド成分、エチレングリコール成分、その他共重合成分の含有量を求めた。ポリエステル樹脂組成物、または多層積層ポリエステルフィルムをサンプリングした後、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)/重クロロホルム(体積比1/1)に溶解し、1H-NMRを用いて定量した。定量後、脂環族ジカルボン酸成分とイソソルビド成分のモル比(脂環族ジカルボン酸成分/イソソルビド成分)を算出した。
(2)ポリエステル樹脂組成物、フィルムの熱特性(ガラス転移温度、溶融状態からの結晶化エネルギー)
測定するサンプルを約10mg秤量し、アルミニウム製パン、パンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(Q2000型、TAインスツルメント社製)によって測定した。測定においては窒素雰囲気中で300℃まで昇温、5分間保持した後、急冷、再び窒素雰囲気中で20℃から16℃/分の速度で300℃昇温、5分間保持した後、16℃/分の速度で冷却する。16℃/分の速度で昇温したときの中間点ガラス転移温度(各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と,ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度)、16℃/分で冷却したときに観察される結晶化に由来する結晶化エネルギー(ベースラインからのピーク面積)を測定した。
(3)屈折率(光学特性)
ポリエステル樹脂組成物をベント付き二軸押出機にて280℃の溶融状態とした後、ギヤポンプおよびフィルターを介して、T-ダイに導いてシート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、厚み100μmの未延伸シートを得た。
得られた未延伸シートの屈折率について、JIS K7142(1996)A法に従って屈折率を測定した。
(4)ゲル化率
ポリエステル組成物1gを凍結粉砕して直径300μm以下の粉体状とし、真空乾燥する。この試料を、オーブン中で、窒素下、280℃で6時間熱処理する。これを、50mlのオルトクロロフェノール(OCP)中、80~150℃の温度で0.5時間溶解させる。続いて、ブフナー型ガラス濾過器(最大細孔の大きさ20~30μm)で濾過し、洗浄・真空乾燥する。濾過前後の濾過器の重量の増分より、フィルターに残留したOCP不溶物の重量を算出し、OCP不溶物のポリエステル組成物重量(1g)に対する重量分率を求め、ゲル化率(%)とした。
ゲル化率1.0%以下を合格とした。
(5)積層フィルムの反射率
日立製作所製 分光光度計(U-3410 Spectrophotometer)にφ60積分球130-0632((株)日立製作所)および10°傾斜スペーサーを取り付け反射率のピーク値を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187nm~2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として付属のBaSO板を用いた。なお、本評価法では相対反射率となるため、反射率は100%以上となる場合もある。
反射率90%以上のものを合格とした。
反射率90%未満・・・×
反射率90%以上・・・○
反射率95%以上・・・◎ 。
(6)製膜性(フローマークの有無)
得られた積層フィルムにおいてフローマークの有無で製膜性を判断した。
(7)HFIP不溶物量(重量%)
ポリエステル組成物0.5gを凍結粉砕して直径300μm以下の粉体状とし、真空乾燥する。この試料を、オーブン中で、窒素下、280℃で24時間熱処理する。これを、50mlのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)で溶解させる。続いて、ブフナー型ガラス濾過器(最大細孔の大きさ20~30μm)で濾過し、洗浄・真空乾燥する。濾過前後の濾過器の重量の増分より、フィルターに残留したOCP不溶物の重量を算出し、HFIP不溶物のポリエステル組成物重量(0.5g)に対する重量分率を求めた。
実施例1
テレフタル酸ジメチル56.6重量部、エチレングリコール45.6重量部、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル23.8重量部、イソソルビド12.6重量部を反応容器に仕込み150℃で溶解した後、攪拌しながら酢酸マンガン4水和物0.060重量部を添加し、エステル交換反応を開始した。3.5時間かけてメタノールを留出させながら235℃まで昇温し、エステル交換反応を終了した。ジエチルホスホノ酢酸エチル0.011重量部を添加し、余剰のエチレングリコールを留去させた。
反応物を重縮合反応用容器に移行し、240℃から昇温しながら、133Pa以下まで減圧し、余剰のエチレングリコールを留去させながら285℃まで昇温した。所定の溶融粘度になったところで、水槽に吐出し、ストランドカッターにてチップ化した。
得られたポリエステル樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は86℃、溶融状態からの結晶化ピークが検出されなかったため結晶化エネルギー(ΔHmc)は0J/gとし、屈折率1.55、ゲル化率0%であった。
ポリエステル樹脂組成物およびポリエチレンテレフタレート樹脂(ガラス転移温度77.7℃)をそれぞれ真空乾燥した後、2台の押出機にそれぞれ供給した。ポリエステル樹脂組成物およびポリエチレンテレフタレート樹脂は、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルターを介した後、101層のフィードブロックにて合流させた。このとき、積層フィルムの両表層がPET樹脂層となるようにし、積層厚みはポリエステル樹脂組成物A層/PET樹脂層が1/2となるように交互に積層した。すなわちポリエステル樹脂組成物層は50層、ポリエチレンテレフタレート樹脂層は51層となるように交互に積層した。このようにして得られた101層からなる積層体をダイに供給し、シート状に押し出し、静電印加(直流電圧8kV)にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。得られたキャストフィルムは、ロール式縦延伸機に導き、90℃に加熱されたロール群によって加熱し、周速の異なるロール間で長手方向に3倍に延伸した。縦方向に延伸が終了したフィルムは、次いでテンター式横延伸機に導いた。フィルムはテンター内で100℃の熱風で予熱し、横方向に3.3倍に延伸した。延伸されたフィルムはそのままテンター内で200℃の熱風にて熱処理した。このようにして厚さ50μmのフィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、フローマークもなく、反射率100%と光学特性は良好であった。
実施例2~7,比較例1~8
共重合成分を変更する以外は、実施例1と同様にしてポリエステル組成物、および積層フィルムを得た。評価結果を表1に示す。
実施例2は、共重合比率を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物、および積層フィルムを得た。ポリマー物性、フィルム物性ともに問題ないが、屈折率が実施例1に比べ低くなっているにもかかわらず、反射率は実施例1に劣る結果となった。原因としてはポリエチレンテレフタレート樹脂(ガラス転移温度77.7℃)に対してガラス転移温度が60.5℃と約17℃低いため、ポリエチレンテレフタレート樹脂との流動特性の差が大きくなり、積層ムラが発生したためと推定する。
実施例3は、共重合比率を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物、および積層フィルムを得た。ポリマー物性は問題なく、フィルム物性も許容範囲ではあるが、フローマークが観測された。フローマークが発生した原因としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂に対してガラス転移温度が104℃と約27℃高いため、流動特性に差が大きくなったため推定する。
実施例4は、共重合比率を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物、および積層フィルムを得た。ポリマー物性、フィルム物性ともに問題ないが、屈折率が実施例1に比べ低くなっているにもかかわらず、反射率は実施例1に劣る結果となった。原因としてはポリエチレンテレフタレート樹脂に対してガラス転移温度が99.6℃と約22℃高いため、ポリエチレンテレフタレート樹脂との流動特性の差が大きくなり、積層ムラが発生したためと推定する。
実施例5は、共重合比率を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物、および積層フィルムを得た。ポリマー物性、フィルム物性ともに問題ないが、屈折率が実施例1に比べ低くなっているにもかかわらず、反射率は実施例1に劣る結果となった。原因としてはポリエチレンテレフタレート樹脂に対してガラス転移温度が100℃と約23℃高いため、ポリエチレンテレフタレート樹脂との流動特性の差が大きくなり、積層ムラが発生したためと推定する。
実施例6は、共重合比率を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物、および積層フィルムを得た。ポリマー物性、フィルム物性ともに問題ないが、シクロヘキサンジカルボン酸成分が本発明の下限であることから、屈折率が実施例1に比べて高く、反射率も低くなっている。
実施例7は脂環族ジカルボン酸としてデカリン酸ジメチル(HNDC)を使用し、共重合比率を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物、および積層フィルムを得た。ポリマー物性、フィルム物性ともに問題ない品位であった
比較例1はイソソルビドの代わりにスピログリコールを添加した以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物、および積層フィルムを得た。ポリマー物性においては、ゲル化率が高く耐熱性に劣るものであった。
比較例2はシクロヘキサンジカルボン酸成分を添加せず、イソソルビドの添加量を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物および積層フィルムを得た。共重合成分が少なく、結晶性のポリエステル樹脂組成物になってしまったため、積層フィルムとした際に、配向結晶化による屈折率の上昇に伴う反射率の低下が観測された。
比較例3は、シクロヘキサンジカルボン酸成分の代わりにシクロヘキサンジメタノールを添加し、共重合比率を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物、および積層フィルムを得た。得られたポリエステル樹脂組成物は脂環族ジカルボン酸成分を含んでいないため、屈折率が高く、積層フィルムとした際の反射特性に劣るものとなった。
比較例4は、脂環族ジカルボン酸成分の代わりにセバシン酸ジメチルと添加し、共重合比率を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物、および積層フィルムを得た。ポリエステル樹脂組成物はガラス転移温度が36.9℃と低く、フローマークによる厚みムラが激しく正確な反射特性を測定することができなかった。
比較例5はイソソルビドの添加量を変更し、共重合比率を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物、および積層フィルムを得た。ポリエステル樹脂組成物は、イソソルビドの含有量が本願の発明の範囲より多く、フローマークによる厚みムラが激しく、正確な反射特性を測定することができなかった。
比較例6はシクロヘキサンジカルボン酸ジメチルの添加量を変更し共重合比率を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物、および積層フィルムを得た。ポリエステル樹脂組成物はシクロヘキサンジカルボン酸成分、テレフタル酸成分の含有量が本願の範囲外で有り、フローマークによる厚みムラが激しく、正確な反射特性を測定することができなかった。
比較例7はシクロヘキサンジカルボン酸ジメチルの添加量を変更し、共重合比率を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物、および積層フィルムを得た。ポリエステル樹脂組成物はシクロヘキサンジカルボン酸成分、テレフタル酸成分の含有量が本願の範囲外で有り、フローマークによる厚みムラが激しく、正確な反射特性を測定することができなかった。
比較例8はイソソルビドを添加せず、共重合比率を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物、および積層フィルムを得た。ポリエステル樹脂組成物は、イソソルビドを共重合していないため、8J/gの結晶化エネルギーが検出された。その結果、延伸時の配向結晶化による屈折率の上昇に伴う反射率の低下が観測された。
Figure 2023126139000001

Claims (11)

  1. 芳香族ジカルボン酸単位、脂環族ジカルボン酸単位、アルキレングリコール単位、およびイソソルビド単位を有するポリエステルであって、全ジカルボン酸成分に対して芳香族ジカルボン酸成分を30mol%以上90mol%以下、脂環族ジカルボン酸成分を10mol%以上70mol%以下含有し、全ジオール成分に対してエチレングリコールを40mol%以上90mol%以下、イソソルビド成分を10mol%以上60mol%以下含有するポリエステル樹脂組成物。
  2. ガラス転移温度が60℃以上100℃以下である請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 溶融状態からの結晶化エネルギーが5J/g未満である請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 屈折率が1.55以下である請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 脂環族ジカルボン酸成分とイソソルビド成分のモル比が0.60以上5.00以下である請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  6. 脂環族ジカルボン酸成分が、シクロヘキサンジカルボン酸成分である請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  7. 窒素流通下で280℃、24時間熱処理したときのHFIP不溶物が、ポリエステル樹脂組成物に対して5重量%以下である請求項6に記載のポリエステル樹脂組成物。
  8. 請求項1記載のポリエステル樹脂組成物を80重量%以上含むポリエステルフィルム。
  9. 請求項8に記載のポリエステルフィルムからなる層を少なくとも1層以上含む積層ポリエステルフィルム。
  10. 層数が50以上である請求項9に記載の多層積層ポリエステルフィルム。
  11. 脂環族ジカルボン酸成分とイソソルビド成分のモル比が0.60以上5.00以下である請求項8に記載のポリエステルフィルム。
JP2023005593A 2022-02-28 2023-01-18 ポリエステル樹脂組成物、それを用いてなる積層ポリエステルフィルム、多層積層フィルム Pending JP2023126139A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022028981 2022-02-28
JP2022028981 2022-02-28

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023126139A true JP2023126139A (ja) 2023-09-07

Family

ID=87887039

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023005593A Pending JP2023126139A (ja) 2022-02-28 2023-01-18 ポリエステル樹脂組成物、それを用いてなる積層ポリエステルフィルム、多層積層フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023126139A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI784015B (zh) 聚酯薄膜及其製備方法
JP5286644B2 (ja) ポリエステル樹脂およびこれを含むポリエステルフィルム
KR20130102530A (ko) 다층 광학 필름
JP5140968B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物およびそれを用いたフィルム
JP2007169424A (ja) ポリエステルフィルム
US5545364A (en) Process for the preparation of heat resistant polyester film
JPH04270727A (ja) ポリエステル組成物
JP7124283B2 (ja) ポリエステルフィルム
JP2008303271A (ja) ポリエステルの製造方法およびそれを用いたフィルム
JP2013249364A (ja) ポリエステルの製造方法およびそれを用いたフィルム
JP4839684B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2010253831A (ja) 光学用フィルムのフィルムロール
JP2023126139A (ja) ポリエステル樹脂組成物、それを用いてなる積層ポリエステルフィルム、多層積層フィルム
JP6243179B2 (ja) 積層フィルム
JP7144746B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物およびフィルム
JP6874358B2 (ja) ポリエステル組成物およびその二軸延伸ポリエステルフィルム
JP2012171329A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルムロールおよびその製造方法
JP5186745B2 (ja) ポリエステル組成物およびそれを用いたフィルム
JP2004034451A (ja) 熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法
JP2013164523A (ja) 光学機能フィルム用ポリエステルフィルム
JP7306154B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物およびフィルム
JP5533170B2 (ja) ポリエステル成形体の製造方法
JP2010174089A (ja) 光学用ポリエステル樹脂
JP2021001251A (ja) ポリエステルフィルム
JP6374214B2 (ja) 塗布層付積層フィルム