JP5286644B2 - ポリエステル樹脂およびこれを含むポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、光弾性係数や屈折率が低く、光学等方性に優れたポリエステル樹脂に関し、特に光学等方性や光反射性に優れた光学ポリエステルフィルムに関する。
屈折率の異なるポリマーを交互に積層したフィルムは、特定の波長の光を効率良く反射させることができ、光フィルターや反射体として利用されている。また光学等方性に優れたフィルムは、液晶ディスプレイ等において位相差フィルムなどとして利用されている。
例えば、特許文献1では、ポリエチレンナフタレート樹脂(以下PEN)に共重合ポリエステルを積層した光反射性フィルムが、特許文献2ではポリエステル樹脂にナイロンやアクリルを積層した光反射性繊維が、特許文献3ではPENと共重合ポリエステルを積層した多層光学フィルムが、特許文献4では透明性に優れたPEN共重合ポリエステルからなる写真用フィルムが提案されている。
しかしながら、特許文献1、3に記載のポリエステルはTgが異なるポリエステル同士を積層しているために加工性に劣り、特許文献2のポリマーの組み合わせはポリマー同士の接着性が劣るために積層フィルムに転用することは不適であり、さらに特許文献1、3、4に記載のポリエステルは光弾性係数が大きく、液晶ディスプレイ等には使用することができない。
特開2000−141567号公報(第2項) WO98/46815号パンフレット(第2〜5項) 特表平9−506837号公報(第2〜6項) 特開平6−295014号公報(第2項)
本発明の目的は、上記した従来の課題を解決し、光弾性係数が低く、積層フィルムとした際に優れた光反射性を示すポリエステル樹脂およびこれを含むポリエステルフィルムを提供することにある。
前記した本発明の目的は、少なくとも脂環族ジカルボン酸成分を全ジカルボン酸成分に対して5〜80モル%およびスピログリコールおよびスピログリコール成分を全グリコール成分に対し5〜80モル%含むポリエステル樹脂であり、下記式( 1 ) 、( 2 ) を満足するポリエステル樹脂によって達成される。
65℃≦示差走査熱量測定によるガラス転移点温度≦90℃・・・(1)
1.500≦ナトリウムD線での屈折率≦1.570・・・(2)
本発明によれば、液晶ディスプレイに好適な低光弾性係数を有したポリエステルフィルムを得ることができ、また光反射性に優れた積層ポリエステルフィルムを得ることができる。
本発明のポリエステル樹脂は、少なくとも脂環族ジカルボン酸成分を全ジカルボン酸成分に対して5〜80モル%およびスピログリコール成分を全グリコール成分に対し5〜80モル%含むポリエステル樹脂であり、ガラス転移点温度( 以下T g ) が6 5 〜 9 0 ℃ の範囲であり、かつナトリウムD 線での屈折率が1 . 5 0 0 〜 1 . 5 7 0 の範囲を有するものである。
Tgが65℃未満の場合、耐熱性が不足するために光学特性が経時変化しやすく、またポリエチレンテレフタレート(以下PET)等と積層製膜する際には積層樹脂間のTg差が大きくなるために製膜安定性が損なわれる。積層フィルムとする場合、本発明のポリエステル樹脂のTgを積層ポリマーのTgと合致させることが好ましく、積層ポリマーのTg(Tg1)と本発明のポリエステル樹脂のTg(Tg2)の差(|Tg1−Tg2|)が10℃以内、さらには5℃以内であることが好ましい。
Tgが90℃を超える場合には、PET等を積層する際にTg差が大きくなりすぎるために製膜安定性が損なわれ、またポリエステル樹脂の屈折率を低くすることが困難になってくる。よって本発明のポリエステル樹脂のTgは、70〜85℃の範囲が好ましく、さらには75〜85℃の範囲が好ましい。
本発明のポリエステル樹脂の屈折率については、1.500未満とすることはポリエステル樹脂では困難であり、1.570を超える場合には、積層ポリマーとの屈折率差が小さくなるため、得られた積層フィルムの光反射性が小さくなる。本発明のポリエステル樹脂の屈折率は、1.510〜1.560の範囲であることが好ましい。なお、本発明における屈折率は、23℃の条件にてナトリウムD線を用いて測定した屈折率を指す。
前記した特性を与えるためには、ポリエステル樹脂は少なくとも脂環族ジカルボン酸成
分を全ジカルボン酸成分に対して5〜80モル%およびスピログリコール成分を全グリコール成分に対し5〜80モル%含むことが必要である。ポリエステル樹脂に含まれる芳香環はTgを高める効果があるが、同時に屈折率を高め、光弾性係数を高める効果がある。
光弾性係数が大きい場合、フィルムに応力が作用した際に位相差が大きく変化するため、液晶ディスプレイ用途のフィルムには不適である。
そこで、本発明のポリエステル樹脂は、この芳香環成分を脂環族ジカルボン酸成分や脂環族ジオールで置換することにより、屈折率や光弾性係数を低減させている。 本発明における脂環族ジカルボン酸成分としては、シクロヘキサンジカルボン酸成分やデカリンジカルボン酸成分等を挙げることができる。特に入手の容易性や重合反応性の観点からはシクロヘキサンジカルボン酸成分が好ましい。シクロヘキサンジカルボン酸成分は、シクロヘキサンジカルボン酸やそのエステルを原料として用いることができる。
なお、シクロヘキサンジカルボン酸成分など脂環族成分にはシス型、トランス型など存在するが、本発明ではシス型比率が90〜50モル%であることが好ましい。トランス型比率が高いと光弾性係数が大きくなるため劣る傾向にある。
本発明における脂環族グリコールとしては、スピログリコール成分やイソソルビド成分が好ましく、特に得られるポリエステルの色調の観点からスピログリコール成分が好ましい。ここでスピログリコールとは3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを指す。
本発明において、例えばPETの場合、テレフタル酸成分(芳香環成分)をシクロヘキサンジカルボン酸等で置換するとTgが低下する。そこでスピログリコール成分やイソソルビド成分など脂環族グリコール成分をエチレングリコール成分に置換することでTgが上昇し、結果として本発明のTgを実現することができる。Tgを上昇させる効果はスピログリコール成分やイソソルビド成分において顕著である。
本発明のポリエステル樹脂は、固有粘度が0.65〜1.0の範囲であることが好ましい。固有粘度が0.65未満の場合、ポリエステル樹脂が脆くなるために好ましくなく、固有粘度が1.0を超える場合にはその溶融粘度が高くなるため、精度の良い積層が困難になる。
本発明のポリエステル樹脂は、屈折率や光弾性係数を低下させるために、ポリエステル樹脂1kg中に含有される芳香環モル数を4.8モル以下とすることが好ましい。4.8モルを超える場合には屈折率や光弾性係数が増大する傾向にあるため好ましくない。なお、本発明における芳香環モル数とはベンゼン環モル数を基本単位としている。本発明における定義をPETとPENを例にして説明する。
PETの場合、基本繰り返し単位の分子量は192であるため、ポリマー1kg当たりの基本繰り返し単位数は5.2となる。基本繰り返し単位中にテレフタル酸成分(ベンゼン環1個相当)は1モル含まれるため、PETの芳香環モル数は5.2と計算される。一方、PENの場合、基本繰り返し単位の分子量は242であり、ポリマー1kg当たりの基本繰り返し単位数は4.1である。基本繰り返し単位中にナフタレンジカルボン酸成分は1モル含まれるが、ナフタレン環はベンゼン環2個に相当するため、PENの芳香環モル数は8.2モルと計算する。
本発明のポリエステル樹脂は、少なくとも脂環族ジカルボン酸成分を全ジカルボン酸成分に対して5〜80モル%およびスピログリコール成分を全グリコール成分に対し5〜80モル%含むが、その他ジカルボン酸成分としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分から選択される少なくとも一種のジカルボン酸成分を全ジカルボン酸成分に対して20〜95モル%含有することが好ましい。またグリコール成分については、エチレングリコール成分をグリコール成分として20〜95モル%含有することが好ましい。前記した芳香族ジカルボン酸成分が20モル%未満の場合、Tgを65℃以上にすることが難しくなったり、例えばPETやPENと積層する際にはこれらの樹脂との層間接着性が悪化してくる。同様にエチレングリコール成分が20モル%未満の場合、PETやPENと積層した際、これらの樹脂との層間接着性が悪化してくる。一方、芳香族ジカルボン酸成分が95モル%を超える場合、屈折率や光弾性係数を低減することが難しくなり、エチレングリコール成分が95モル%を超える場合にはTgを65℃以上にすることが難しくなる。
本発明のポリエステル樹脂において、脂環族ジカルボン酸成分、スピログリコールの含有量は、前記記載よりそれぞれ5 〜 8 0 モル% の範囲が必要であり、さらに8 〜 5 0 モル% が好ましい。
本発明のポリエステル樹脂は、非晶性であることが好ましく、また前記した共重合範囲では実質的に非晶性である。本発明における非晶性とは、DSC測定において融解熱量が4J/g以下であることをいう。このような非晶性のポリエステル樹脂はフィルム製造においてその光学特性が変化しにくく、好ましい。
一方、このような非晶性ポリエステル樹脂は乾燥によって熱融着し、塊を作りやすい傾向がある。そこで、結晶性ポリエステル樹脂を5〜50重量%含ませることで乾燥による塊形成を抑制することができる。そのような結晶性ポリエステル樹脂としては、示差走査熱量測定における結晶融解熱量が4J/g以上であることが好ましい。
結晶性ポリエステルを含ませる方法としては、ベント式押出機による溶融混練が好ましい。すなわち、結晶性ポリエステルと本発明のポリエステル樹脂をベント式押出機で溶融混練してペレットを得る方法である。結晶性ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートやこれらの共重合体を挙げることができるが、ポリエチレンテレフタレートが一番好ましい。
本発明のポリエステル樹脂に含有される芳香族ジカルボン酸成分は、前記した種類から少なくとも選択されるが、屈折率や光弾性係数の観点からテレフタル酸成分やイソフタル酸成分が好ましく、これらは同時に使用してもかわまない。特にテレフタル酸成分はその他ポリエステル樹脂との接着性等の観点から主に使用することが好ましい。その他ジカルボン酸成分としては、特性の許す限り従来公知のものを共重合しても構わない、グリコール成分についても同様である。このような成分としては、例えばアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸やそのエステル、4,4’−ビスフェニレンジカルボン酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸やそのエステル、ジエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のグリコール成分を挙げることができる。さらに無機粒子、有機粒子、染料、顔料、帯電防止剤、酸化防止剤、ワックス等を含有させても構わない。
本発明のポリエステル樹脂は、金属成分としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、Zn、Co、Mnから選択される元素を含有することが好ましい。これらの金属元素を含有することでポリエステル樹脂をフィルム成形する際の静電印加性が向上する。なおアルカリ金属の場合、Naはポリエステル樹脂を黄色く着色しやすく、Kがよい。アルカリ土類金属ではCaは異物を形成し易く、Mgがよい。Zn、Co、MnではMnが異物や色調の点から好ましい。このなかでもMgとMnが樹脂の透明性の観点から好ましく、特にMnが好ましい。
前記した金属化合物は、エステル交換反応触媒で兼ねても構わない。特にマンガン化合物はエステル交換反応での活性が強く、好ましい。金属化合物はポリエステルに可溶なものが好ましく、水酸化物や塩化物、酢酸塩が好ましく、特に酢酸塩が好ましい。
これら金属化合物をポリエステル樹脂に含有させる場合、リン化合物を併用することが好ましい。リン化合物については、特に限定されないが、例えばリン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系化合物等を挙げることができ、中でもこれらのエステル化合物が異物形成抑制の観点から好ましい。
さらに、本発明のポリエステル組成物は、耐熱安定剤を含有していることが好ましく、特に3価のリンを含む耐熱安定剤を0.01〜2.0重量%含有することが好ましい。該耐熱安定剤の含有量が0.01重量%未満である場合、耐熱性の向上効果が小さく、2.0重量%を超える場合には効果の顕著な向上が見られず、経済的に無駄である。
前記した3価のリンを含む耐熱安定剤としては、市販の耐熱安定剤を適用することができ、例えばトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4―ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1―ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4―ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト等を挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明のポリエステル樹脂は、重合触媒としてチタン化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物を用いることができる。このうち、得られるポリエステルの色調が良好なゲルマニウム化合物やアンチモン化合物が好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、前記したポリエステル樹脂を含むものであり、光弾性係数や屈折率が小さく、液晶ディスプレイ用途等に好適に使用できる。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、屈折率の異なるポリエステル樹脂と積層することで優れた光反射性を発揮するものである。本発明の積層ポリエステルフィルムは、本発明のポリエステル樹脂を少なくとも1層含むポリエステルフィルムであるが、優れた光反射性を得るためには、本発明のポリエステル樹脂とPETとを交互に積層することが好ましい。本発明のポリエステル樹脂は屈折率がPETよりも低く、非晶性であるためにフィルムを延伸しても屈折率はほとんど変化しない。そのため本発明のポリエステル樹脂層とPET層との界面で光を効率良く反射するのである。
光反射率は高い方がもちろん好ましいが、90%であれば光反射性フィルムとして好ましい。優れた光反射性を得るためには、総積層数を250層以上とすることが好ましい。
このような積層フィルムを得る方法は、2台以上の押出機を用いて、異なる流路から送り出されたポリマーを多層積層装置に送り込むことで実現する。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を挙げることができる。特に積層厚みの精度から、マルチマニホールドダイやフィードブロックを用いることが好ましい。このようにして積層されたポリマーは口金からシート状に押し出され、冷却ドラムなどによって冷却され、未延伸シートを得ることができる。厚み斑や表面状態の良好な未延伸シートを得るには、静電印加法によることが好ましい。
得られた未延伸シートは、次いで一軸または二軸延伸することができる。二軸延伸では同時二軸延伸や逐次二軸延伸をおこなうことができる。
次に本発明のポリエステル樹脂およびフィルムの製造方法について詳しく説明する。
本発明のポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールとをエステル化させて低重合体を合成し、次いでこれを縮重合する方法とジカルボン酸エステルとジオールとをエステル交換反応させて低重合体を合成し、次いでこれを縮重合する方法を用いることができる。スピログリコールは酸成分によって分解しやすいため、これを用いる場合には、その分解を避けるためにエステル交換反応によって重合することが好ましい。
エステル交換法の場合、原料として例えばテレフタル酸ジメチル、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコール、スピログリコールを所定のポリマー組成となるように反応缶へ仕込む。この際には、エチレングリコールを全ジカルボン酸成分に対して1.7〜2.3モル倍添加すれば反応性が良好となる。これらを150℃程度で溶融したのち酢酸マグネシウムおよび三酸化アンチモンをそれぞれエステル交換反応、重合触媒として添加する。150℃では、これらのモノマー成分は均一な溶融液体となる。次いで反応容器内を235℃まで昇温しながらメタノールを留出させ、エステル交換反応を実施する。このようにしてエステル交換反応が終了した後トリメチルリン酸等のエステル交換反応触媒失活剤を添加する。
触媒の添加が終了したら反応物を重合装置へ仕込み、装置内温度をゆっくり285℃まで昇温しながら装置内圧力を常圧から133Pa以下まで減圧する。重合反応の進行に従って反応物の粘度が上昇する。所定の撹拌トルクとなった時点で反応を終了し、重合装置からポリエステルを水槽へ吐出する。吐出されたポリエステルは水槽で急冷され、カッターでチップとする。
このようにしてポリエステル樹脂を得ることができるが、上記は一例であって、モノマーや触媒および重合条件はこれに限定されるわけではない。
つぎにポリエステルフィルムの製膜について説明する。
製膜方法には、厚み斑が良好なT−ダイ法を好ましく用いることができる。
ポリエステル樹脂の溶融押し出しには単軸あるいは二軸押出スクリューのついたエクストルーダ型溶融押出装置等が使用できる。積層フィルムとするには、2台以上の押出機を用い、マルチマニホールドダイやフィードブロック等で溶融ポリエステルを積層し、押し出すことで製造することができる。
キャスト方法は溶融したポリエステル樹脂をギアーポンプで計量した後にTダイ口金から吐出させ、冷却されたドラム上に、それ自体公知の密着手段である静電印加法、エアーチャンバー法、エアーナイフ法、プレスロール法などでドラムなどの冷却媒体に密着冷却固化させて室温まで急冷し、未延伸のフィルムを得ること好ましい。特に平面性や均一な厚みを得るには、静電印加法が特に好ましく用いられる。
得られた未延伸フィルムは、さらに一軸延伸、二軸延伸することができる。
二軸延伸の延伸方式は特には限定されず、逐次二軸延伸方式、同時二軸延伸方式などの方法を用いることができる。
逐次二軸延伸により延伸する場合は、得られた未延伸フィルムをポリエステル樹脂の(ガラス転移温度Tg−30℃)以上、(ガラス転移温度Tg+50℃)以下に加熱されたロール群上で接触昇温させて、長手方向に1.1〜4.0倍延伸し、これをいったん冷却した後に、テンタークリップに該フィルムの端部を噛ませて幅方向にポリエステル樹脂の(ガラス転移温度Tg+5℃)以上、(ガラス転移温度Tg+50℃)の温度雰囲気下の中で1.1〜4.0倍延伸し、二軸配向したポリエステル樹脂フィルムを得るのである。
延伸の終了した二軸配向フィルムはさらにTg+50℃〜Tg+150℃の範囲の温度で熱処理すると寸法安定性が向上する。
このようにして得られたポリエステルフィルムは、光弾性係数が低く、液晶ディスプレイ用フィルムとして好適である。またPET等を交互に積層したフィルムは光反射性に優れ、反射材用途に好適である。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)ポリエステルの熱特性(ガラス転移点、結晶融解熱量)
測定するサンプルを約10mg秤量し、アルミニウム製パン、パンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製 DSC7型)によって測定した。測定においては窒素雰囲気中で20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温した後液体窒素を用いて急冷し、再び窒素雰囲気中で20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温する。この2度目の昇温過程でガラス転移点を測定した。
また、結晶融解熱量は、2度目の昇温過程で現れる結晶融解ピークの面積から算出した。
(2)ポリエステルの屈折率
ポリエステル樹脂を溶融押し出しすることで厚さ100μmの未延伸シートを得る。
ついで光源としてナトリウムD線を用い23℃の温度条件にて株式会社アタゴ製 「アッベ式屈折率計 NAR−4T」で屈折率を測定した。
(3)固有粘度
固有粘度はオルトクロロフェノールを溶媒とし、25℃で測定した。
(4)光弾性係数(×10−12Pa−1
短辺1cm長辺7cmのサンプルを切り出した。このサンプルの厚みをd(μm)とする。このサンプルを(株)島津製作所社製TRANSDUCER U3C1−5Kを用いて、上下1cmずつをチェックに挟み長辺方向に1kg/mm(9.81×10Pa)の張力(F)をかけた。この状態で、ニコン(株)社製偏光顕微鏡5892を用いて位相差R(nm)を測定した。光源としてはナトリウムD線(589nm)を用いた。これらの数値を光弾性係数=R/(d×F)にあてはめて光弾性係数を計算した。
光弾性係数が100未満の場合を合格とした。
(5)反射率
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotometer)にφ60積分球130−0632((株)日立製作所)および10°傾斜スペーサーを取り付け反射率のピーク値を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187nm〜2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として付属のBaSO板を用いた。なお、本評価法では相対反射率となるため、反射率は100%以上となる場合もある。
(6)剥離性
JIS K5600(2002年)に従って試験を行った。なお、フィルムを硬い素地とみなし、2mm間隔で25個の格子状パターンを切り込んだ。また、約75mmの長さに切ったテープを格子の部分に接着し、テープを60°に近い角度で0.5〜1.0秒の時間で引き剥がした。ここで、テープにはセキスイ製セロテープ(登録商標)No.252(幅18mm)を用いた。評価結果は、格子1つ分が完全に剥離した格子の数で表した。また、試験フィルムの厚みが100μmより薄い場合には、厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム(東レ製“ルミラー”T60)に試験フィルムを接着剤で強固に貼りあわせしたサンプルを剥離試験に用いた。この際には、試験サンプルを貫通しないように試験サンプルの面に格子を切り込んでテストを実施した。剥離個数が4個以下を合格とした。
実施例1
(ポリエステルの合成)
テレフタル酸ジメチルを67.6重量部、シス/トランス比率が72/28である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを17.4重量部、エチレングリコールを54重量部、スピログリコールを20重量部、酢酸マンガン四水塩を0.04重量部、三酸化アンチモンを0.02重量部それぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。
撹拌しながら反応内容物の温度を235℃までゆっくり昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出したのち、トリメチルリン酸を0.02重量部含んだエチレングリコール溶液および旭電化工業(株)製ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト)0.05重量部を添加した。トリメチルリン酸を添加した後10分間撹拌してエステル交換反応を終了した。その後エステル交換反応物を重合装置に移行した。
次いで重合装置内容物を撹拌しながら減圧および昇温し、エチレングリコールを留出させながら重合をおこなった。なお、減圧は90分かけて常圧から133Pa以下に減圧し、昇温は90分かけて235℃から285℃まで昇温した。
重合装置の撹拌トルクが所定の値に達したら重合装置内を窒素ガスにて常圧へ戻し、重合装置下部のバルブを開けてガット状のポリマーを水槽へ吐出した。水槽で冷却されたポリエステルガットはカッターにてカッティングし、チップとした。
このようにしてポリエステルAを得た。得られたポリエステルAの固有粘度は0.78であった。
同様にテレフタル酸ジメチルを100重量部、エチレングリコールを64重量部用いる以外は前記と同様にしてPET樹脂を重合した。得られたPET樹脂の固有粘度は0.65でありTgは80℃であり、結晶融解熱ピークは観察されなかった。。
(単層2軸延伸フィルムの製膜)
ポリエステルチップを真空乾燥したが、一部に塊状物が見られたため、これを崩してから、押出機に供給した。押出機に供給されたポリエステルは280℃で溶融されて金属不織布フィルターによって濾過されたのち、Tダイから溶融シートとして押し出した。溶融シートは静電印加法(電極は直径0.15ミリのタングステンワイヤーを使用)によって表面温度が25℃に制御された鏡面ドラム上で冷却固化され、未延伸シートとなった。該未延伸シートを用いて光弾性係数を測定した。
光弾性係数は85×10−12Pa−1であった。
(積層ポリエステルフィルムの製膜)
前記ポリエステルAおよびPET樹脂をそれぞれ真空乾燥した後、2台の押出機にそれぞれ供給した。
ポリエステルAおよびPET樹脂は、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、101層のフィードブロックにて合流させた。このとき、積層フィルムの両表層がPET樹脂層となるようにし、積層厚みはポリエステルA層/PET樹脂層が1/2となるように交互に積層した。すなわちポリエステルA層は50層、PET層は51層となるように交互に積層した。
このようにして得られた101層からなる積層体を、ダイに供給し、シート状に押し出し、静電印加(直流電圧8kV)にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、ロール式縦延伸機に導き、90℃に加熱されたロール群によって加熱し、周速の異なるロール間で長手方向に3倍に延伸した。縦方向に延伸が終了したフィルムは、次いでテンター式横延伸機に導いた。フィルムはテンター内で100℃の熱風で予熱し、横方向に3.3倍に延伸した。延伸されたフィルムはそのままテンター内で200℃の熱風にて熱処理した。このようにして厚さ50μmのフィルムを得ることができた。得られたフィルムの特性を表1に示す。本発明のポリエステル樹脂は光弾性係数が100未満であり、屈折率も低いために積層フィルムとした際には優れた光反射性を有していた。
実施例2、3、5〜7、参考例4
テレフタル酸ジメチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコール、スピログリコールの量比を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。得られたポリエステル樹脂からは結晶融解熱ピークは観察されなかった。さらに実施例1で重合したPET樹脂を用い、同様の条件で積層フィルムを得た。
結果を表1に示す。実施例2,3はTgがPETよりもそれぞれ10℃以上異なるために積層フィルムを2軸延伸する際に若干のムラが発生したが本発明の範囲であったので満足すべき特性を示した。参考例4も満足すべき特性を示したが、芳香環モル数が大きいために光弾性率が若干増加した。また実施例5は屈折率が十分低いために優れた光反射性を示したが、共重合成分量が増加したためにPETとの相溶性が低下し、層間剥離性が弱くなった。実施例6は固有粘度が0.65であり、製膜時の積層性に若干のムラが見られ、屈折率の割に反射率は大きくはなかった。実施例7は固有粘度が0.95と高いために製膜時の積層性に若干のムラが見られ、屈折率の割に反射率は大きくなかった。
実施例8
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルのシス/トランス比率が15/85である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを用いる以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。実施例1に比較して1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルのトランス比率が高いため、光弾性係数は実施例1よりも高い値となった。なお、該ポリエステル樹脂の結晶融解熱ピークは観察されなかった。
実施例9
テレフタル酸ジメチルを66.4重量部、デカリンジカルボン酸ジメチルを29重量部、エチレングリコールを57重量部、スピログリコールを7重量部、酢酸マンガン四水塩を0.04重量部、三酸化アンチモンを0.02重量部それぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。
撹拌しながら反応内容物の温度を235℃までゆっくり昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出したのち、トリメチルリン酸を0.02重量部含んだエチレングリコール溶液および旭電化工業(株)製ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト)0.05重量部を添加した。トリメチルリン酸を添加した後10分間撹拌してエステル交換反応を終了した。その後エステル交換反応物を重合装置に移行した。
次いで重合装置内容物を撹拌しながら減圧および昇温し、エチレングリコールを留出させながら重合をおこなった。なお、減圧は90分かけて常圧から133Pa以下に減圧し、昇温は90分かけて235℃から285℃まで昇温した。
重合装置の撹拌トルクが所定の値に達したら重合装置内を窒素ガスにて常圧へ戻し、重合装置下部のバルブを開けてガット状のポリマーを水槽へ吐出した。水槽で冷却されたポリエステルガットはカッターにてカッティングし、チップとした。
このようにしてポリエステルIを得た。ポリエステルIの結晶融解熱ピークは観察されなかった。得られたポリエステルIを用い、実施例1と同様の方法によってポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。デカリンジカルボン酸成分を用いた場合、シクロヘキサンジカルボン酸成分用いた実施例2のポリエステル樹脂より光弾性係数を小さくすることができた。
参考例10
テレフタル酸ジメチルを77重量部、シス/トランス比率が72/28である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを20重量部、エチレングリコールを62重量部、イソソルビドを7.3重量部、酢酸マンガン四水塩を0.04重量部、三酸化アンチモンを0.02重量部それぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。
撹拌しながら反応内容物の温度を235℃までゆっくり昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出したのち、トリメチルリン酸を0.02重量部含んだエチレングリコール溶液および旭電化工業(株)製ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト)0.05重量部を添加した。トリメチルリン酸を添加した後10分間撹拌してエステル交換反応を終了した。その後エステル交換反応物を重合装置に移行した。
次いで重合装置内容物を撹拌しながら減圧および昇温し、エチレングリコールを留出させながら重合をおこなった。なお、減圧は90分かけて常圧から133Pa以下に減圧し、昇温は90分かけて235℃から285℃まで昇温した。
重合装置の撹拌トルクが所定の値に達したら重合装置内を窒素ガスにて常圧へ戻し、重合装置下部のバルブを開けてガット状のポリマーを水槽へ吐出した。水槽で冷却されたポリエステルガットはカッターにてカッティングし、チップとした。
このようにしてポリエステルJを得た。得られたポリエステルJから結晶融解熱ピークは観察されなかった。得られたポリエステルJを用い、実施例1と同様の方法によってポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。イソソルビドを用いた場合はスピログリコールを用いた場合よりもTgが上がり易いが、屈折率の低下は少ないかった。
実施例11
実施例1で用いたポリエステルAおよびPET樹脂を用い、積層総数を251層とする以外は同様にして積層ポリエステルフィルムを製膜した。得られた積層ポリエステルフィルムの厚みは50μmであった。結果を表1に示す。積層数を実施例1の101層から251層と増加させたため光反射層が増え、優れた光反射性を示した。
実施例12
旭電化工業(株)製ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト)を用いない以外は実施例1と全く同様にして多層積層フィルムを得た。
耐熱性が実施例1よりも低いために溶融粘度が製膜中に変化しやすく、製膜時の積層性に若干のムラが見られ、光反射率は実施例1よりも低いものであった。
実施例13
旭電化工業(株)製ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト)の添加量を0.01重量部とする以外は実施例1と全く同様にして多層積層フィルムを得た。
耐熱性が実施例1よりも低いために溶融粘度が製膜中に変化しやすく、製膜時の積層性に若干のムラが見られ、光反射率は実施例1よりも低いものであった。
実施例14
テレフタル酸ジメチルを56.1重量部、シス/トランス比率が72/28である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを24.8重量部、エチレングリコールを52重量部、スピログリコールを25.1重量部、酢酸マンガン四水塩を0.04重量部、三酸化アンチモンを0.02重量部それぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。
撹拌しながら反応内容物の温度を235℃までゆっくり昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出したのち、トリメチルリン酸を0.02重量部含んだエチレングリコール溶液および旭電化工業(株)製ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト)0.05重量部を添加した。トリメチルリン酸を添加した後10分間撹拌してエステル交換反応を終了した。その後エステル交換反応物を重合装置に移行した。
次いで重合装置内容物を撹拌しながら減圧および昇温し、エチレングリコールを留出させながら重合をおこなった。なお、減圧は90分かけて常圧から133Pa以下に減圧し、昇温は90分かけて235℃から285℃まで昇温した。
重合装置の撹拌トルクが所定の値に達したら重合装置内を窒素ガスにて常圧へ戻し、重合装置下部のバルブを開けてガット状のポリマーを水槽へ吐出した。水槽で冷却されたポリエステルガットはカッターにてカッティングし、チップとした。
このようにしてポリエステルKを得た。ポリエステルKの特性を表1に示す。
次ぎにポリエステルKを75重量部、実施例1で得たポリエチレンテレフタレートチップを25重量部の割合で混合し、L/Dが42のベント式2軸押出機で混練し、混練チップLを得た。
実施例1のポリエステルAの代わりにポリエステルLを用い、実施例1と同様にしてフィルムを得た。ポリエステルLは、真空乾燥においても熱融着による塊状物を生成することがなく、スムーズに製膜することができた。
得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例15
実施例1のポリエステルAを95重量部、実施例1のポリエチレンテレフタレートチップを5重量部の割合で実施例14のベント式2軸混練機で混練し、このポリエステルをポリエステルAの代わりに用いて実施例1と同様にフィルムを得た。
該ポリエステルは、真空乾燥におけるチップ融着が実施例1よりも少ないが、塊状物は存在したためにこれを崩す作業が必要であった。
実施例16
テレフタル酸ジメチルを34.1重量部、シス/トランス比率が72/28である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを35.2重量部、エチレングリコールを44重量部、スピログリコールを39.5重量部、酢酸マンガン四水塩を0.04重量部、三酸化アンチモンを0.02重量部それぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。
撹拌しながら反応内容物の温度を235℃までゆっくり昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出したのち、トリメチルリン酸を0.02重量部含んだエチレングリコール溶液および旭電化工業(株)製ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト)0.05重量部を添加した。トリメチルリン酸を添加した後10分間撹拌してエステル交換反応を終了した。その後エステル交換反応物を重合装置に移行した。
次いで重合装置内容物を撹拌しながら減圧および昇温し、エチレングリコールを留出させながら重合をおこなった。なお、減圧は90分かけて常圧から133Pa以下に減圧し、昇温は90分かけて235℃から285℃まで昇温した。
重合装置の撹拌トルクが所定の値に達したら重合装置内を窒素ガスにて常圧へ戻し、重合装置下部のバルブを開けてガット状のポリマーを水槽へ吐出した。水槽で冷却されたポリエステルガットはカッターにてカッティングし、チップとした。
このようにしてポリエステルMを得た。ポリエステルMの特性を表1に示す。
次ぎにポリエステルMを50重量部、実施例1で得たポリエチレンテレフタレートチップを50重量部の割合で混合し、L/Dが42のベント式2軸押出機で混練し、混練チップLを得た。
実施例1のポリエステルAの代わりにポリエステルMを用い、実施例1と同様にしてフィルムを得た。ポリエステルMは、真空乾燥においても熱融着による塊状物を生成することがなく、スムーズに製膜することができた。
得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例17
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルのシス/トランス比率が50/50である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを用いる以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。実施例1に比較して1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルのトランス比率が高いため、光弾性係数は実施例1よりも高い値となった。なお、該ポリマーの結晶融解ピークは観察されなかった。
比較例1
実施例1のPET樹脂の重合において、イソフタル酸ジメチルを15重量部、テレフタル酸ジメチルを85重量部とする以外は同様にしてイソフタル酸成分を15モル%含むポリエステルKを重合した。実施例1におけるポリエステルAの代わりにポリエステルKを用い、積層フィルムを得た。結果を表1に示すが、脂環族ジカルボン酸成分、脂環族ジオール成分のいずれも含有しないために光弾性係数が大きく、積層フィルムの反射率も小さいものであった。
比較例2〜比較例4
ポリエステル原料の量比や種類を偏光することで各種ポリエステルを重合した。これらのポリエステルを用い、実施例1と同様にPETと積層したフィルムを得た。結果を表1に示す。脂環族ジカルボン酸成分または脂環族ジオール成分のいずれかのみを含有する比較例2,3では光弾性係数またはガラス転移点が本発明の範囲を満たすことができず、積層性や剥離性が劣るものであった。
Figure 0005286644

Claims (12)

  1. 少なくとも脂環族ジカルボン酸成分を全ジカルボン酸成分に対して5〜80モル%およびスピログリコール成分を全グリコール成分に対し5〜80モル%含むポリエステル樹脂であり、下記式(1)、(2)を満足するポリエステル樹脂。
    65℃≦示差走査熱量測定によるガラス転移点温度≦90℃・・・(1)
    1.500≦ナトリウムD線での屈折率≦1.570・・・(2)
  2. 脂環族ジカルボン酸成分がシクロヘキサンジカルボン酸成分である請求項1に記載のポリエステル樹脂。
  3. 固有粘度が0.65〜1.0の範囲である請求項1または2に記載のポリエステル樹脂。
  4. ポリエステル繰り返し単位に含まれる芳香環モル数がポリエステル樹脂1kg当たりに換
    算して4.8モル以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂。
  5. 2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分から選択
    される少なくとも一種のジカルボン酸成分を全ジカルボン酸成分に対して20〜95モル
    %含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂。
  6. エチレングリコール成分をグリコール成分として20〜95モル%含有する請求項1〜
    5のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂。
  7. 求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂に3価のリンを含む耐熱安定剤をポリエステル組成物に対して0.01〜2.0重量%配合してなる樹脂組成物。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂、あるいは請求項7記載のポリエステル樹脂組成物(A)および示差走査熱量測定による結晶融解熱量が4J/g以上であるポリエステル樹脂(B)を含み、ポリエステル樹脂(B)を得られるポリエステル樹脂組成物に対して5〜50重量%含有するポリエステル樹脂組成物。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂、あるいは請求項7、または8記載のポリエステル樹脂組成物を含むポリエステルフィルム。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂、あるいは請求項7、または8記載のポリエステル樹脂組成物を少なくとも1層含む積層ポリエステルフィルム。
  11. 請求項1〜のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂、あるいは請求項7、または8記載のポリエステル樹脂組成物とポリエチレンテレフタレート樹脂とを交互に積層した積層ポリエステルフィルム。
  12. 光反射率が90%以上である請求項11に記載の積層ポリエステルフィルム。
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