JP2023125150A - 媒体搬送装置、記録装置、および媒体搬送装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】媒体に適切なたわみが形成されるように、第1搬送部と第2搬送部とによる媒体の搬送を調整できない虞がある。【解決手段】媒体搬送装置10は、媒体Pを搬送する第1搬送部PR1と、第1搬送部PR1に対して、第1搬送部PR1が媒体Pを搬送する搬送方向の下流に設けられ、媒体Pを搬送方向の下流に搬送する第2搬送部PR2と、搬送方向において、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2との間に位置し、媒体Pのたわみが所定量Dになったことを検出可能なたわみ検出部82と、を備える。【選択図】図4
Description
本開示は、媒体搬送装置、記録装置、および媒体搬送装置の制御方法に関する。
特許文献1には、用紙を搬送する第1搬送部の一例である中間ローラーおよび従動ローラーと、用紙を搬送方向下流となる記録ヘッドに向けて搬送する第2搬送部の一例である搬送駆動ローラーおよび搬送従動ローラーと、を備える記録装置が開示されている。中間ローラー、従動ローラー、搬送駆動ローラー、および搬送従動ローラーは媒体の一例である用紙を搬送する媒体搬送装置を構成する。また、この記録装置では、用紙が中間ローラーと搬送駆動ローラーとの間に位置するときには、中間ローラーおよび従動ローラーと搬送駆動ローラーおよび搬送従動ローラーとによって用紙を搬送することが開示されている。また、このとき、中間ローラーと搬送駆動ローラーとの間に位置する用紙にはたわみが形成されている。
しかしながら、特許文献1に開示される記録装置の媒体搬送装置では、第1搬送部と第2搬送部との間に位置する媒体に形成されるたわみの程度を把握できないので、媒体に適切なたわみが形成されるように、第1搬送部と第2搬送部とによる媒体の搬送を調整できない虞がある。
媒体搬送装置は、媒体を搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部に対して、前記第1搬送部が前記媒体を搬送する搬送方向の下流に設けられ、前記媒体を前記搬送方向の下流に搬送する第2搬送部と、前記搬送方向において、前記第1搬送部と前記第2搬送部との間に位置し、前記媒体のたわみが所定量になったことを検出可能なたわみ検出部と、を備える。
記録装置は、上述の媒体搬送装置と、前記媒体搬送装置により搬送される前記媒体に記録を行う記録部と、を備える。
媒体搬送装置の制御方法は、媒体を搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部に対して、前記第1搬送部が前記媒体を搬送する搬送方向の下流に設けられ、前記媒体を前記搬送方向の下流に搬送する第2搬送部と、前記搬送方向において、前記第1搬送部と前記第2搬送部との間に位置し、前記媒体のたわみが所定量になったことを検出可能なたわみ検出部と、を備える媒体搬送装置の制御方法であって、前記第1搬送部と前記第2搬送部とにより前記媒体を搬送することと、前記たわみ検出部の検出結果に基づいて、前記第1搬送部と前記第2搬送部とにより前記媒体を搬送するときの、前記第1搬送部による前記媒体の搬送量および前記第2搬送部による前記媒体の搬送量のいずれかを調整することと、を含む。
以下、本開示を実施形態に基づいて説明する。各図において同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。なお、本明細書において、「同じ」、「同一」とは、完全に同じであることを指すのみならず、測定誤差を考慮して同じである場合、部材の製造ばらつきを考慮して同じである場合、および、機能を損なわない範囲で同じである場合を含むものとする。よって、例えば、「両者の寸法が同じである」とは、測定誤差、部材の製造ばらつきを考慮し、両者の寸法差が、一方の寸法の±10パーセント以内、さらに好ましくは±5パーセント以内、特に好ましくは±3パーセント以内であることを指す。
また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向とする。向きを特定する場合には、正の方向を「+」、負の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用し、各図の矢印が向かう向きを+方向、矢印の反対方向を-方向として説明する。
また、Z軸方向は、重力方向を示し、+Z方向は鉛直上向き、-Z方向は鉛直下向きを示す。また、X軸,Y軸を含む平面をX-Y面、X軸,Z軸を含む平面をX-Z面、Y軸,Z軸を含む平面をY-Z面として説明する。また、X-Y面は水平面となる。さらに、正方向及び負方向を限定しない3つのX、Y、Zの空間軸については、X軸、Y軸、Z軸として説明する。
尚、各図においてX軸方向は装置幅方向であり、媒体Pが搬送される搬送方向と交差する方向、即ち媒体幅方向でもある。X軸方向のうち-X方向は装置前面をユーザーと対面させた際にユーザーから見て右方向となり、また+X方向は同左方向となる。本実施形態において装置の周囲を構成する側面のうち操作部5が設けられた側面が装置前面となる。
Y軸方向は装置奥行き方向である。Y軸方向のうち-Y方向は装置前面から装置背面に向かう方向であり、後述する媒体収容カセットを装着する際のカセット移動方向となる。またY軸方向のうち+Y方向は装置背面から装置前面に向かう方向であり、後述する媒体収容カセットを離脱する際のカセット移動方向となる。
1.実施形態1
図1に示すように、本実施形態に係るプリンター1は、装置本体2の上部に、スキャナー部3を備える、所謂複合機である。装置本体2は、記録用紙に代表される媒体Pにインクを吐出して記録を行う機能を有し、スキャナー部3は、原稿を読み取る機能を有する。よって、プリンター1は、媒体Pにインクを吐出して記録するインクジェット方式の記録装置の一例である。媒体Pは、例えば、枚葉の印刷用紙である。インクは液体の一例である。
図1に示すように、本実施形態に係るプリンター1は、装置本体2の上部に、スキャナー部3を備える、所謂複合機である。装置本体2は、記録用紙に代表される媒体Pにインクを吐出して記録を行う機能を有し、スキャナー部3は、原稿を読み取る機能を有する。よって、プリンター1は、媒体Pにインクを吐出して記録するインクジェット方式の記録装置の一例である。媒体Pは、例えば、枚葉の印刷用紙である。インクは液体の一例である。
装置本体2は、第1媒体収容カセット50および第2媒体収容カセット49を着脱可能に備える。図1は、各媒体収容カセット50,49を装置本体2に装着した装着状態を示している。各媒体収容カセット50,49は、装置本体2に設けられた不図示のガイド部によって、装置本体2においてY軸方向に案内される。
また、装置本体2は、装置後方上部から媒体Pをセットし、給送することが可能に構成されている。装置本体2には、装置後方上部から媒体Pをセットする際の媒体セット口(不図示)を開閉するカバー7が設けられる。
装置本体2は、装置前面に、プリンター1の各種操作を行う操作部5を備える。操作部5は、表示部と複数の操作ボタンを備える。操作部5の下側には、記録が行われて排出される媒体Pを受ける排出トレイ6が設けられる。排出トレイ6は、装置本体2の内部に収容された状態と、装置本体2から+Y方向に引き出された状態と、を取り得る。
図2に示すように、装置本体2は、記録ヘッド9と、媒体搬送装置10と、制御部90と、を備える。記録ヘッド9は記録部の一例である。媒体搬送装置10は、媒体Pを搬送方向に搬送する。媒体搬送装置10は、媒体給送経路K1,K2,K3、第1媒体搬送経路FR1、反転経路RR、第2媒体搬送経路FR2、第3媒体搬送経路FR3、および第4媒体搬送経路FR4を備える。尚、図2では第2媒体収容カセット49の図示は省略する。
媒体給送経路K1は第1媒体収容カセット50から媒体Pを給送する。媒体給送経路K2は第1媒体収容カセット50の下の第2媒体収容カセット49から媒体Pを給送する。媒体給送経路K3は装置後方上部から手差しでセットされる媒体Pを給送する。プリンター1において、各媒体給送経路K1,K2,K3によって給送される媒体Pは、反転経路RRを構成する反転ローラー21を介して搬送駆動ローラー16に搬送される。そして媒体Pは搬送駆動ローラー16によって、記録ヘッド9による記録領域に搬送される。
第1媒体搬送経路FR1は、記録ヘッド9と対向する経路であって、媒体Pに記録を行う際の媒体Pの搬送方向である+Y方向およびその反対の-Y方向に媒体Pを搬送可能である。本実施形態において第1媒体搬送経路FR1は、搬送方向において、搬送駆動ローラー16と第1排出駆動ローラー23との間の媒体搬送経路である。
反転経路RRは、媒体Pの面を反転させる経路である。本実施形態において反転経路RRは、搬送方向において、従動ローラー14aと従動ローラー14cとの間の媒体搬送経路である。第2媒体搬送経路FR2は、記録が行われた媒体Pを反転経路RRに案内する経路である。本実施形態において第2媒体搬送経路FR2は、従動ローラー14dを経由する経路であって、搬送方向において、搬送駆動ローラー16と従動ローラー14aとの間の媒体搬送経路である。
第3媒体搬送経路FR3は、第2媒体搬送経路FR2に対して鉛直下方に位置し、記録が行われた媒体Pを反転経路RRに案内する経路である。第3媒体搬送経路FR3には、不図示の第6モーターにより回転駆動される反転駆動ローラー25と、従動回転する従動ローラー26と、が設けられる。反転駆動ローラー25、従動ローラー26、および第6モーターは媒体搬送装置10を構成する。本実施形態において第3媒体搬送経路FR3は、反転駆動ローラー25を経由する経路であって、搬送方向において、第2排出駆動ローラー27と従動ローラー14aとの間の媒体搬送経路である。
第4媒体搬送経路FR4は、搬送方向において、従動ローラー14cと搬送駆動ローラー16との間の媒体搬送経路である。尚、第2媒体搬送経路FR2および第4媒体搬送経路FR4における搬送駆動ローラー16から続く搬送駆動ローラー側領域は共通の領域である。
媒体給送経路K1において、媒体Pは、不図示の第1モーターにより回転駆動される給送ローラー11により給送される。給送ローラー11、および第1モーターは媒体搬送装置10を構成する給送機構の一例である。給送ローラー11は揺動軸12aを中心に揺動する支持部材12に支持され、支持部材12の揺動により給送ローラー11が第1媒体収容カセット50に収容される媒体Pに対して進退する。
尚、第1媒体収容カセット50の下に設けられる第2媒体収容カセット49(図1参照)に対しても、第1媒体収容カセット50と同じように、第2媒体収容カセット49に対応する位置に給送機構が設けられる。これにより、第2媒体収容カセット49に収容される媒体Pは、媒体給送経路K2に給送される。
給送ローラー11の下流に位置する反転ローラー21は、不図示の第2モーターにより回転駆動されることで、媒体Pを湾曲反転させる。反転ローラー21の周囲には、反転ローラー21の周面との間に媒体Pを挟むように、従動ローラー14a,14b,14c,14dが設けられる。
反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dは、媒体Pを搬送方向の下流に向けて搬送する第1搬送部の一例であり、媒体搬送装置10を構成する。媒体給送経路K1、K2を介して給送される媒体Pは、反転経路RR、および第4媒体搬送経路FR4を介して搬送駆動ローラー16に送られる。また、媒体給送経路K3を介して給送される媒体Pは、第4媒体搬送経路FR4を介して搬送駆動ローラー16に送られる。以後の説明において、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dを第1搬送部PR1と呼ぶことがある。
第2媒体搬送経路FR2を介して-Y方向に沿って送られる媒体Pは、反転経路RR、および第4媒体搬送経路FR4を介して搬送駆動ローラー16に送られる。同様に第3媒体搬送経路FR3を介して-Y方向に沿って送られる媒体Pは、反転経路RR、および第4媒体搬送経路FR4を介して搬送駆動ローラー16に送られる。
不図示の第3モーターにより回転駆動される搬送駆動ローラー16に送られた媒体Pは、搬送駆動ローラー16と、従動回転する搬送従動ローラー17とによってニップされ、記録ヘッド9と対向する記録領域に搬送され、記録が行われる。搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17は、媒体Pを搬送方向の下流に向けて搬送する第2搬送部の一例であり、媒体搬送装置10を構成する。搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17は、記録ヘッド9に対して搬送方向の上流に設けられる。以後の説明において、搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17を第2搬送部PR2と呼ぶことがある。
図3に示すように、媒体搬送装置10は、第4媒体搬送経路FR4の-Z方向側内面を画定する経路形成部材71を備える。経路形成部材71は、搬送方向において、搬送駆動ローラー側領域より従動ローラー14cに近い位置に設けられる。尚、経路形成部材71は、その上面によって第4媒体搬送経路FR4の-Z方向側内面を画定し、その下面によって第2媒体搬送経路FR2の+Z方向側内面の一部を画定する。
また、媒体搬送装置10は、第4媒体搬送経路FR4の+Z方向側内面を画定する経路形成部材72を備える。経路形成部材72は、搬送方向において、経路形成部材71と比較して搬送駆動ローラー16に近い搬送駆動ローラー側領域に設けられる。よって、経路形成部材72は、第2媒体搬送経路FR2のうち搬送駆動ローラー側領域の+Z方向側内面を画定する。
また、媒体搬送装置10は、第4媒体搬送経路FR4の-Z方向側内面を画定する経路形成部材73を備える。経路形成部材73は搬送方向において、経路形成部材71と比較して搬送駆動ローラー16に近い搬送駆動ローラー側領域に設けられる。よって、経路形成部材73は、第2媒体搬送経路FR2のうち搬送駆動ローラー側領域の-Z方向側内面を画定する。
経路形成部材72には、たわみ検出部82が設けられる。換言すると、たわみ検出部82は、搬送方向において、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dと、搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17と、の間に位置する。たわみ検出部82は、第4媒体搬送経路FR4において、たわみが所定量Dになった媒体Pを検出可能に設けられる。たわみ検出部82は、搬送方向において、第4媒体搬送経路FR4の中央より搬送駆動ローラー16側に設けられる。たわみ検出部82は、第4媒体搬送経路FR4における媒体Pの搬送方向において、経路形成部材71より下流に設けられる。
第4媒体搬送経路FR4に位置する媒体Pの+Z方向側の面を第1面とし、媒体Pの-Z方向側の面を第2面としたとき、本実施形態のたわみ検出部82は、たわみ検出部82が有する切片が媒体Pの第1面に接触することで、たわみが所定量Dになった媒体Pを検出するメカ接点式センサーである。媒体Pの第1面は上面の一例である。
ここで、媒体Pにおいて、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dと搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17との間に位置する領域の態様について、図3から図6を用いて説明する。図3における媒体Pの上述の領域は、X軸に沿う方向から見て、中央が経路形成部材71に近づく方向である下方にたわんだ態様S1である。この場合、たわみ検出部82は媒体Pの第1面を検出しない。
図4における媒体Pの上述の領域は、X軸に沿う方向から見て、中央が二点鎖線で示す態様S1と比較して経路形成部材71に近づく方向である下方にたわみ、中央より搬送方向の下流側が態様S1と比較して経路形成部材72に近づく方向である上方にたわんだ態様S2である。態様S2は態様S1と比較してたわみの程度が大きい。この場合、たわみ検出部82は媒体Pの第1面に接触する。すなわち、態様S2であるときの媒体Pが、たわみが所定量Dになった媒体Pであり、たわみ検出部82はたわみが所定量Dになった媒体Pを検出する。
図5における媒体Pの上述の領域は、X軸に沿う方向から見て、中央が二点鎖線で示す態様S1と比較して経路形成部材71に近づく方向である下方にわずかにたわんだ態様S3である。態様S3は態様S1と比較してたわみの程度が小さい。この場合、たわみ検出部82は媒体Pの第1面を検出しない。
図6における媒体Pの上述の領域は、X軸に沿う方向から見て、中央が二点鎖線で示す態様S1と比較して下方にたわんで第2面が経路形成部材71に接触し、中央より搬送方向の下流側が態様S1と比較して上方にたわんで第1面が経路形成部材72に接触する態様S4である。態様S4は態様S1および態様S2と比較してたわみの程度が大きい。この場合、たわみ検出部82は媒体Pの第1面に接触する。
経路形成部材73には、端部検出部81が設けられる。端部検出部81は、媒体Pの搬送方向下流側の端である先端および上流側の端である後端のいずれかを検出可能に設けられる。端部検出部81は、第4媒体搬送経路FR4における媒体Pの搬送方向において、搬送駆動ローラー16から上流に所定距離離れた位置に設けられる。端部検出部81は、第4媒体搬送経路FR4における媒体Pの搬送方向において、たわみ検出部82より下流に設けられる。
本実施形態の端部検出部81は、光を出射する発光部と、発光部から出射された光を検出可能な受光部と、を有する光電センサーである。媒体Pが端部検出部81の+Z方向側に有るとき、発光部から出射される光は媒体Pの第2面に反射され、端部検出部81の受光部に検出される。媒体Pが端部検出部81の+Z方向側にないとき、発光部から出射される光は媒体Pの第2面に反射されないので、端部検出部81の受光部に検出されない。
これにより、プリンター1の媒体搬送装置10は、媒体Pの先端および後端のいずれかが、搬送駆動ローラー16から上流に所定距離離れた位置に位置することを検出する。また、プリンター1の媒体搬送装置10は、媒体Pの先端および後端のいずれかが、搬送駆動ローラー16から上流に所定距離離れた位置を通過するタイミングを検出可能である。
また、プリンター1の媒体搬送装置10は、媒体Pの先端が端部検出部81に検出されたタイミングと、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dが媒体Pを搬送するときの搬送速度TS1と、に基づいて、媒体Pの先端が搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17に到達するタイミングを算出することが可能である。また、プリンター1の媒体搬送装置10は、媒体Pの先端が端部検出部81に検出されてから、搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17が媒体Pを搬送する搬送量TL2を調整することで、第1媒体搬送経路FR1の所定の位置に媒体Pを搬送することが可能である。
図2に示すように、記録ヘッド9を備えるキャリッジ8は、X軸方向に延びるキャリッジガイド軸19にガイドされつつ、不図示の駆動源によってX軸方向に往復移動する。記録ヘッド9は、キャリッジ8の移動動作に伴い、媒体Pに対してインクを吐出する。プリンター1は、搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17による媒体Pの搬送および搬送の停止と、記録ヘッド9によるX軸方向に往復移動しながらのインクの吐出と、を繰り返すことで、媒体Pに所望の画像や文字等を記録する。
記録ヘッド9と対向する位置には媒体支持部材18が設けられる。記録ヘッド9により記録の行われる媒体Pは、媒体支持部材18によって支持される。媒体支持部材18は第1媒体搬送経路FR1を構成する。媒体支持部材18の下流には、不図示の第4モーターにより回転駆動される第1排出駆動ローラー23と、従動回転する第1排出従動ローラー24とが設けられる。
第1排出駆動ローラー23の下流には、従動ローラー29が設けられ、更にその下流には、不図示の第5モーターにより回転駆動される第2排出駆動ローラー27と、従動回転する第2排出従動ローラー28とが設けられる。媒体支持部材18、第1排出駆動ローラー23、第1排出従動ローラー24、第2排出駆動ローラー27、第2排出従動ローラー28、第4モーター、および第5モーターは媒体搬送装置10を構成する。
記録ヘッド9により第1面に記録が行われた媒体Pの第2面に記録を行う場合、媒体Pは反転経路RRに搬送される。その際の媒体搬送経路は、本実施形態では第2媒体搬送経路FR2および第3媒体搬送経路FR3のいずれかを選択できる。揺動軸22aを中心に揺動可能なフラップ22は、媒体Pの搬送先を第2媒体搬送経路FR2および第3媒体搬送経路FR3のいずれかに切り替える。フラップ22は媒体搬送装置10を構成する。
図2に示すように、制御部90は、CPU(Central Processing Unit)91と、メモリー92とを有する。CPU91は、メモリー92に記憶された各種プログラムを実行することができ、例えば、各種の判断や各種の命令等を行なうことができる。メモリー92には、例えば、媒体Pを搬送するプログラム等の各種プログラムや、各種テーブル、増速率αを設定するための初期値Aiや調整値Am、所定量Dの値、増加量δ等が記憶されている。メモリー92は、記憶部の一例である。
制御部90は、媒体搬送装置10に設けられてもよいし、外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。また、外部機器は、例えば、プリンター1とケーブル等を介して通信される場合、無線通信される場合、例えばインターネット等のようなネットワークを介してプリンター1と接続される場合等がある。
また、CPU91とメモリー92とは、一体化されて、1つのユニットとして構成されるが、例えば、CPU91が媒体搬送装置10に設けられ、メモリー92が外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよいし、メモリー92がプリンター1に内蔵され、CPU91が外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。
制御部90は、プリンター1の全体を制御する。例えば、制御部90は、スキャナー部3の不図示の読み取り機構を制御することで、原稿を読み取る。また、例えば、制御部90は、媒体搬送装置10が備える給送ローラー11、反転ローラー21、搬送駆動ローラー16、第1排出駆動ローラー23、第2排出駆動ローラー27、反転駆動ローラー25、およびフラップ22のいずれかを制御することで、媒体Pを搬送方向および搬送方向の反対方向のいずれかに搬送する。
また、例えば、媒体Pに記録を行う場合、制御部90は、搬送駆動ローラー16を制御することで記録ヘッド9の記録領域に向けて媒体Pを所定距離分搬送し、キャリッジ8を移動させる駆動源を制御することでX軸方向にキャリッジ8を往復移動させながら、記録ヘッド9を制御することで、媒体支持部材18に支持された媒体Pに向けて、所定のタイミングでインクを吐出させる。そして、制御部90は、搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17による所定距離分の媒体Pの搬送および搬送の停止と、記録ヘッド9によるX軸方向に往復移動しながらのインクの吐出と、を繰り返すことで、媒体Pに記録を行う。
記録ヘッド9による記録の品質を確保するためには、記録ヘッド9が記録を行う記録領域に高い搬送精度で媒体Pを搬送することが必要になる。本実施形態の搬送駆動ローラー16には、周面の一部が粗面となるよう加工された金属製のローラー、周面に金属粒が設けられた金属製のローラー等の所謂ノンスリップローラーが採用される。
一方、本実施形態の反転ローラー21は媒体Pに接触する周面をEPDM等のゴム部材で形成した所謂ゴムローラーである。また、反転ローラー21は、搬送駆動ローラー16を含む他のローラーと比較して大径に形成される。このため、反転ローラー21の周面と媒体Pとのスリップ、反転ローラー21の寸法ばらつき等に起因して、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dによる媒体Pの搬送精度は、搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17による媒体Pの搬送精度より低くなる虞がある。
また、本実施形態において、搬送方向における第4媒体搬送経路FR4の寸法は、搬送方向における媒体Pの寸法より小さい。このため、搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17は、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dに搬送される媒体Pを、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dと同じタイミングで、搬送方向の下流となる記録ヘッド9が記録を行う記録領域に搬送する。
この場合、媒体Pにおいて、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dと搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17との間に位置する領域に、例えば図5に示す態様S3よりたわみがなくなりつっぱりが生じると、記録ヘッド9の記録領域に搬送される媒体Pの搬送精度が低下する虞がある。あるいは、媒体Pにおいて、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dと搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17との間に位置する領域が、例えば図6に示す態様S4のように大きくたわむと、媒体Pにしわが発生する虞がある。
本実施形態の制御部90は、たわみ検出部82の検出結果に基づいて、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dと搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17とにより媒体Pを搬送するときの、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dによる媒体Pの搬送量TL1、および搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17による媒体Pの搬送量TL2のいずれかを調整する。
その結果、媒体Pにおいて、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dと搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17との間に位置する領域に適切なたわみが形成される。本実施形態では、制御部90は、たわみの程度が図3に示す態様S1を含む図5に示す態様S3と図4に示す態様S2との間となるように、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dと搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17とにより媒体Pを搬送するときの、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dによる媒体Pの搬送量TL1、および搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17による媒体Pの搬送量TL2のいずれかを調整する。
次に、図7に示すフローチャートを参照して、本実施形態において、プリンター1の媒体搬送装置10が、たわみ検出部82の検出結果に基づいて、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dと搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17とにより媒体Pを搬送するときの、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dによる媒体Pの搬送量TL1の調整を行うときの処理の流れについて説明する。
本実施形態において、制御部90が、たわみ検出部82の検出結果に基づいて、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dによる媒体Pの搬送量TL1の調整を行うときの処理の流れは、媒体搬送装置の制御方法に該当する。
本実施形態では、例えば、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dと搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17とにより媒体Pを搬送するとき、搬送駆動ローラー16と反転ローラー21とは同じタイミングで駆動される。本実施形態では、搬送量TL1と搬送量TL2との関係を、TL1=TL2*(1+α/100)と表したときの増速率αを変更することで、搬送量TL1を調整する。尚、搬送量TL1の調整は、本実施形態のように搬送量TL1そのものを変更することで調整してもよいし、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dによる媒体Pの搬送速度TS1を変更することで調整してもよい。
ステップS11において、制御部90は、今回の電源ONがプリンター1の初回電源ONか否かを確認する。今回の電源ONが初回電源ONである場合、ステップS11はYESになり、制御部90は処理をステップS12に移行する。今回の電源ONが初回電源ONでない場合、ステップS11はNOになり、制御部90は処理をステップS13に移行する。
ステップS12において、制御部90は、メモリー92から初期値Aiを読み出し、第1搬送部PR1の増速率αを初期値Ai[%]に設定する。反転ローラー21の周面と媒体Pとのスリップに起因して、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dによる媒体Pの実際の搬送量は、搬送量TL1よりスリップ量分少なくなる。この場合、媒体Pにおいて、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dと搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17との間に位置する領域につっぱりが生じる虞がある。また、媒体Pの搬送頻度が増えるにつれて、反転ローラー21の周面と媒体Pとのスリップ量は、ばらつきが大きくなる、あるいは増加する虞がある。
このため、本実施形態では、第1搬送部PR1の増速率αの初期値Aiは例えば2[%]に設定される。ステップS12の処理を行うと、制御部90は処理をステップS14に移行する。
ステップS13において、制御部90は、メモリー92から調整値Amを読み出し、第1搬送部PR1の増速率αを調整値Am[%]に設定する。調整値Amは実行された媒体Pの搬送動作において変更され、メモリー92に保存された第1搬送部PR1の増速率αである。ステップS13の処理を行うと、制御部90は処理をステップS14に移行する。
ステップS14において、制御部90は、媒体Pの搬送があるか否かを確認する。媒体Pの搬送がある場合、ステップS14はYESになり、制御部90は処理をステップS15に移行する。媒体Pの搬送がない場合、ステップS14はNOになり、制御部90は、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dと搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17とにより媒体Pを搬送するときの処理を終了する。
ステップS15において、制御部90は、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2とにより媒体Pの搬送を行う。反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dにより搬送される媒体Pが第4媒体搬送経路FR4に進入する。そして、媒体Pの先端が搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17によるニップ位置に到達したときのたわみの程度は、例えば図3に示す態様S1である。
また、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dと搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17とにより媒体Pを搬送するときの、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dによる媒体Pの搬送量TL1は、下記の式で表される。
TL1=TL2*(1+α/100)[mm]
ステップS15の処理を行うと、制御部90は処理をステップS16に移行する。
TL1=TL2*(1+α/100)[mm]
ステップS15の処理を行うと、制御部90は処理をステップS16に移行する。
ステップS16において、制御部90は、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2とによる媒体Pの搬送中に、たわみが所定量Dになった媒体Pのたわみ検出部82による検出があったか否かを確認する。搬送中の媒体Pのたわみが態様S1より大きくなり、たわみが所定量Dである態様S2になると、図4に示すように、媒体Pはたわみ検出部82により検出される。この場合、ステップS16はYESになり、制御部90は処理をステップS17に移行する。搬送中の媒体Pのたわみの程度が態様S1,S3のように態様S2より小さいと、媒体Pはたわみ検出部82により検出されない。この場合、ステップS16はNOになる。
ステップS17において、制御部90は、第1搬送部PR1の搬送誤差βの計算を行う。媒体Pの先端が搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17によるニップ位置に到達したときから媒体Pがたわみ検出部82に検出されるまでの間に搬送された搬送量を同時搬送量Y[mm]、たわみ検出部82によって検出される所定のたわみ量を所定量D[mm]としたとき、搬送誤差βは、下記の式で表される。
β=D/Y*100[%]
ここで、同時搬送量Yは0より大きく、所定量Dは0より大きい値なので、搬送誤差βは0より大きい値になる。ステップS17の処理を行うと、制御部90は処理をステップS18に移行する。
β=D/Y*100[%]
ここで、同時搬送量Yは0より大きく、所定量Dは0より大きい値なので、搬送誤差βは0より大きい値になる。ステップS17の処理を行うと、制御部90は処理をステップS18に移行する。
ステップS18において、制御部90は、第1搬送部PR1の増速率αを補正する。その結果、α=α-β[%]に設定される。例えば、増速率α=Ai=2[%]、所定量D=2[mm]、同時搬送量Y=200[mm]であった場合の搬送誤差β=1[%]となる。その結果、第1搬送部PR1の増速率αは2[%]より小さい1[%]に設定される。制御部90は、第1搬送部PR1の増速率αを同時搬送量Yとたわみ検出部82により検出された所定量Dとから算出される搬送誤差βに基づいて補正することにより、第1搬送部PR1による搬送量TL1を減らす。換言すると、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2とによる媒体Pの搬送中に、たわみ検出部82が所定量Dのたわみを検出した場合、制御部90は、同時搬送量Yとたわみ検出部82により検出された所定量Dとから算出される搬送誤差βに基づいて、第1搬送部PR1による搬送量TL1を減らす。ステップS18の処理を行うと、制御部90は処理をステップS20に移行する。
ステップS20において、制御部90は、算出により取得した第1搬送部PR1の増速率αをメモリー92に保存する。その結果、Am=α[%]になる。
ステップS16において、搬送中の媒体Pのたわみの程度が態様S1,S3のように態様S2より小さく、たわみ検出部82に媒体Pが検出されない場合、ステップS16はNOになり、制御部90は処理をステップS21に移行する。たわみ検出部82に媒体Pが検出されない場合、反転ローラー21の周面と媒体Pとのスリップ量が想定より大きく、図5に示す態様S3よりたわみがなくなりつっぱりが生じている虞がある。
このため、ステップS21において、制御部90は、メモリー92から増加量δを読み出し、第1搬送部PR1の増速率αを増加量δ分大きく設定する。その結果、α=α+δ[%]に設定される。増加量δは0より大きく、増速率αより小さい値であり、例えば0.2[%]である。換言すると、制御部90は、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2とによる媒体Pの搬送中に、たわみ検出部82が所定量Dのたわみを検出しなかった場合、第1搬送部PR1による搬送量TL1を増やす。ステップS21の処理を行うと、制御部90は処理をステップS20に移行する。
本実施形態において、例えば、媒体Pが枚葉であり、図7に示す制御部90の処理の流れにおいて、媒体Pを1枚搬送する毎に制御部90がステップS16の処理を行い、ステップS16が連続してNOになるとする。この場合、制御部90は、媒体Pを1枚搬送する毎にステップS21の処理を行う。換言すると、制御部90は、媒体Pが枚葉であり、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2とによる媒体Pの搬送中に、たわみ検出部82が所定量Dのたわみを検出しなかった場合、第1搬送部PR1による搬送量TL1を増やす処理を、媒体Pを1枚搬送する毎に行う。
次に、媒体Pが枚葉であり、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2とによる媒体Pの搬送中に、たわみ検出部82が所定量Dのたわみを検出しなかった場合、第1搬送部PR1による搬送量TL1を増やす処理を、所定量Dのたわみが検出されない媒体Pの搬送が2枚以上の所定枚数M枚連続する場合に制御部90が行う処理の流れを、図8に示すフローチャートを参照して説明する。ここでは、図8に示すフローチャートにおいて制御部90が行う処理のうち、図7に示すフローチャートにおいて制御部90が行う処理が異なるステップS23からステップS26について説明する。
尚、図8に示す本実施形態では、ステップS23からステップS26において制御部90が行う処理の都合上、ステップS11がYESになり、制御部90がステップS12の処理に移行する前に、媒体Pの搬送枚数カウンターiをi=0に設定するステップS22が行われる。また、制御部90がステップS18からステップS20の処理に移行する前に、媒体Pの搬送枚数カウンターiをi=0にリセットするステップS19が行われる。
図8に示すように、ステップS16において、たわみ検出部82に媒体Pが検出されない場合、ステップS16はNOになり、制御部90は処理をステップS23に移行する。
ステップS23において、制御部90は、搬送枚数カウンター処理を行う。その結果、i=i+1になる。ステップS23の処理を行うと、制御部90は処理をステップS24に移行する。
ステップS24において、制御部90は、たわみ検出部82による媒体Pの検出がない状態がM枚連続か否かを確認する。たわみ検出部82による媒体Pの検出がない状態がM枚連続している場合、i=Mである。本実施形態において、Mは例えば1000枚である。i=Mでない場合、ステップS24はNOになり、制御部90は処理をステップS14に移行する。ステップS24において、i=Mである場合、ステップS24はYESになり、制御部90は処理をステップS25に移行する。
ステップS25において、制御部90は、媒体Pの搬送枚数カウンターiをi=0にリセットする。ステップS25の処理を行うと、制御部90は処理をステップS26に移行する。
ステップS26において、制御部90は、メモリー92から初期値Aiを読み出し、第1搬送部PR1の増速率αを初期値Aiに設定する。その結果、α=Ai[%]に設定される。初期値Aiは設定される増速率αの中で最も大きい値である。換言すると、制御部90は、媒体Pが枚葉であり、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2とによる媒体Pの搬送中に、たわみ検出部82が所定量Dのたわみを検出しなかった場合に第1搬送部PR1による搬送量TL1を増やす処理を、所定量Dのたわみが検出されない媒体Pの搬送が2枚以上の所定枚数連続する場合に行う。ステップS26の処理を行うと、制御部90は処理をステップS20に移行する。
以上述べたように、実施形態1に係る媒体搬送装置、記録装置、および媒体搬送装置の制御方法によれば、以下の効果を得ることができる。
媒体搬送装置10は、媒体Pを搬送する第1搬送部PR1と、第1搬送部PR1に対して、第1搬送部PR1が媒体Pを搬送する搬送方向の下流に設けられ、媒体Pを搬送方向の下流に搬送する第2搬送部PR2と、搬送方向において、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2との間に位置し、媒体Pのたわみが所定量Dになったことを検出可能なたわみ検出部82と、を備える。これによれば、たわみ検出部82を備えることにより第1搬送部PR1と第2搬送部PR2との間にある媒体Pのたわみの状態を把握することができる。
媒体搬送装置10は、第1搬送部PR1および第2搬送部PR2を制御可能な制御部90を備え、制御部90は、たわみ検出部82の検出結果に基づいて、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2とにより媒体Pを搬送するときの、第1搬送部PR1による媒体Pの搬送量TL1および第2搬送部PR2による媒体Pの搬送量TL2のいずれかを調整する。これによれば、たわみ検出部82の検出結果に基づいて、第1搬送部PR1による媒体Pの搬送量TL1および第2搬送部PR2による媒体Pの搬送量TL2のいずれかを調整することで、媒体Pのたわみを適切な状態に調整できる。
制御部90は、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2とによる媒体Pの搬送中に、たわみ検出部82が所定量Dのたわみを検出した場合、媒体Pの先端が第2搬送部PR2に到達したときから媒体Pがたわみ検出部82に検出されるまでの間に搬送された同時搬送量Yと所定量Dとから算出される搬送誤差βに基づいて、第1搬送部PR1による搬送量TL1を減らす。これによれば、同時搬送量Yと所定量Dとから算出される搬送誤差βに基づいて、第1搬送部PR1による搬送量TL1を正確に補正できるので、媒体Pのたわみを適切な状態に調整できる。例えば、第2搬送部PR2による搬送量TL2に対して第1搬送部PR1による搬送量TL1が多い場合であっても、搬送誤差βを算出することで、第1搬送部PR1の実際の搬送量を把握できる。そして、後続の媒体Pを搬送するときに、搬送誤差βに基づいて第1搬送部PR1による搬送量TL1を調整することで、第2搬送部PR2の実際の搬送量と第1搬送部PR1の実際の搬送量とを同じに調整できる。これにより、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2との間にある媒体Pがたわみ過ぎてしまう状態が連続することを回避できる。さらには、第1搬送部PR1の実際の搬送量に調整ができることで、媒体Pにつっぱりが生じる手前の媒体搬送の状態に速やかに切替えることができる。すなわち、媒体Pにつっぱりが生じずに適切なたわみが形成される増速率αの導出ができ、速やかに自動更新することができる。
制御部90は、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2とによる媒体Pの搬送中に、たわみ検出部82が所定量Dのたわみを検出しなかった場合、第1搬送部PR1による搬送量TL1を増やす。これによれば、たわみ検出部82が所定量Dのたわみを検出しなかった場合には第1搬送部PR1による搬送量TL1を増やすことで、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2との間にある媒体Pにつっぱりが生じないように媒体Pのたわみの状態を調整できる。
たわみ検出部82は、媒体Pの第1面と対向する位置に配置されるメカ接点式センサーで構成される。これによれば、媒体Pのたわみが所定量Dよりも小さいときは、媒体搬送装置10を、たわみ検出部82により電力が消費されない構成にできる。
プリンター1は、媒体搬送装置10と、媒体搬送装置10により搬送される媒体Pに記録を行う記録ヘッド9と、を備える。これによれば、プリンター1は、媒体搬送装置10により搬送される媒体Pに記録ヘッド9による記録を行うことができる。
第2搬送部PR2は、記録ヘッド9に対して、搬送方向の上流に設けられる。これによれば、プリンター1は、第2搬送部PR2により精度よく搬送される媒体Pに記録を行うことができる。
媒体搬送装置の制御方法は、媒体Pを搬送する第1搬送部PR1と、第1搬送部PR1に対して、第1搬送部PR1が媒体Pを搬送する搬送方向の下流に設けられ、媒体Pを搬送方向の下流に搬送する第2搬送部PR2と、搬送方向において、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2との間に位置し、媒体Pのたわみが所定量Dになったことを検出可能なたわみ検出部82と、を備える媒体搬送装置10の制御方法であって、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2とにより媒体Pを搬送することと、たわみ検出部82の検出結果に基づいて、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2とにより媒体Pを搬送するときの、第1搬送部PR1による媒体Pの搬送量TL1および第2搬送部PR2による媒体Pの搬送量TL2のいずれかを調整することと、を含む。これによれば、たわみ検出部82の検出結果に基づいて、第1搬送部PR1による媒体Pの搬送量TL1および第2搬送部PR2による媒体Pの搬送量TL2のいずれかを調整することで、媒体Pのたわみを適切な状態に調整できる。
媒体搬送装置の制御方法において、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2とによる媒体Pの搬送中に、たわみ検出部82が所定量Dのたわみを検出した場合、媒体Pの先端が第2搬送部PR2に到達したときから媒体Pがたわみ検出部82に検出されるまでの間に搬送された同時搬送量Yと所定量Dとから算出される搬送誤差βに基づいて、第1搬送部PR1による搬送量TL1を減らし、媒体Pの搬送中に、たわみ検出部82が所定量Dのたわみを検出しなかった場合、第1搬送部PR1による搬送量TL1を増やす。これによれば、たわみ検出部82の検出結果に基づいて、第1搬送部PR1による媒体Pの搬送量TL1を調整することで、媒体Pのたわみを適切な状態に調整できる。
媒体Pが枚葉であり、媒体Pの搬送中に、たわみ検出部82が所定量Dのたわみを検出しなかった場合に第1搬送部PR1による搬送量TL1を増やす処理を、枚葉の媒体Pを1枚搬送する毎に行う。これによれば、媒体Pのたわみがなくなりつっぱりが生じた状態で媒体Pが搬送される頻度を低減できる。
媒体Pが枚葉であり、媒体Pの搬送中に、たわみ検出部82が所定量Dのたわみを検出しなかった場合に第1搬送部PR1による搬送量TL1を増やす処理を、所定量Dのたわみが検出されない媒体Pの搬送が2枚以上の所定枚数連続する場合に行う。これによれば、媒体Pのたわみがなくなりつっぱりが生じた状態で媒体Pが搬送される頻度を低減できる。
本開示の上記実施形態に係る媒体搬送装置、記録装置、および媒体搬送装置の制御方法は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。また、上記実施形態および以下に説明する他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。以下、他の実施形態について説明する。
上記実施形態において、媒体Pは枚葉の印刷用紙でなくてもよい。例えば、媒体Pはロール状に巻き重ねられた長尺の印刷用紙であってもよい。この場合、図7に示す制御部90の処理の流れにおいて、制御部90が行うステップS16の処理を、媒体Pを所定の長さ搬送する毎に行ってもよい。
上記実施形態において、たわみ検出部82は、媒体Pの第2面を検出することで、たわみが所定量Dになった媒体Pを検出してもよい。この場合、例えば、たわみ検出部82が第4媒体搬送経路FR4において経路形成部材71に近づく方向にたわんだ媒体Pの第2面を検出するように、たわみ検出部82を経路形成部材71に設けてもよい。
上記実施形態において、たわみ検出部82はメカ接点式センサーでなくてもよい。例えば、たわみ検出部82は、光を出射する発光部と、発光部から出射された光を検出可能な受光部と、を有する光電センサーであってもよい。この場合、たわみ検出部82は、発光部から出射され媒体Pの第1面および第2面のいずれかに反射される光を、端部検出部81の受光部で受光することで、たわみが所定量Dになった媒体Pを検出してもよい。
上記実施形態において、媒体Pが枚葉である場合、制御部90は、図7に示す処理の流れにおいて、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2とによる媒体Pの搬送中に、たわみが所定量Dになった媒体Pのたわみ検出部82による検出があったか否かを確認するステップS16の処理を、媒体Pを1枚搬送する毎に行わなくてもよい。例えば、制御部90は、ステップS16の処理を、媒体Pを2枚以上の所定枚数搬送する毎に行ってもよい。
上記実施形態において、媒体搬送装置10が、媒体Paと、搬送方向の寸法が媒体Paより大きい媒体Pbと、を搬送する場合、制御部90は、図7に示す処理の流れにおいて行うステップS16の処理の頻度を、媒体Paを搬送する場合と媒体Pbを搬送する場合とで異ならせてもよい。例えば、制御部90は、媒体Paを搬送する場合にステップS16の処理をNa枚搬送する毎に行い、媒体Pbを搬送する場合にステップS16の処理をNa枚より多いNb枚搬送する毎に行ってもよい。
上記実施形態において、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2とにより媒体Pを搬送するときの、第1搬送部PR1による媒体Pの搬送量TL1および第2搬送部PR2による媒体Pの搬送量TL2のいずれかを調整する制御部90の処理を、第2媒体搬送経路FR2を搬送される媒体Pの搬送に適用してもよい。この場合、搬送駆動ローラー16および搬送従動ローラー17は第1搬送部PR1の一例であり、反転ローラー21および従動ローラー14a,14b,14c,14dは第2搬送部PR2の一例である。そして、たわみ検出部82は、第2媒体搬送経路FR2における媒体Pの搬送方向において、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2との間に位置するように設けられ、第2媒体搬送経路FR2において、たわみが所定量Dになった媒体Pを検出可能に設けられる。そして、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2とによる媒体Pの搬送中に、制御部90は、たわみ検出部82の検出結果に基づいて、第2搬送部PR2による媒体Pの搬送量TL2を調整することで、媒体Pのたわみを適切な状態に調整してもよい。あるいは、第1搬送部PR1と第2搬送部PR2とによる媒体Pの搬送中に、制御部90は、たわみ検出部82の検出結果に基づいて、第1搬送部PR1による媒体Pの搬送量TL1および第2搬送部PR2による媒体Pの搬送量TL2を調整することで、媒体Pのたわみを適切な状態に調整してもよい。
1…プリンター、2…装置本体、3…スキャナー部、5…操作部、6…排出トレイ、7…カバー、8…キャリッジ、9…記録ヘッド、10…媒体搬送装置、11…給送ローラー、12…支持部材、12a…揺動軸、14a,14b,14c,14d…従動ローラー、16…搬送駆動ローラー、17…搬送従動ローラー、18…媒体支持部材、19…キャリッジガイド軸、21…反転ローラー、22…フラップ、22a…揺動軸、23…第1排出駆動ローラー、24…第1排出従動ローラー、25…反転駆動ローラー、26…従動ローラー、27…第2排出駆動ローラー、28…第2排出従動ローラー、29…従動ローラー、49…第2媒体収容カセット、50…第1媒体収容カセット、71,72,73…経路形成部材、81…端部検出部、82…たわみ検出部、90…制御部、91…CPU、92…メモリー、FR1…第1媒体搬送経路、FR2…第2媒体搬送経路、FR3…第3媒体搬送経路、FR4…第4媒体搬送経路、K1,K2,K3…媒体給送経路、P…媒体、S1,S2,S3,S4…態様、α…増速率、β…搬送誤差、δ…増加量、Ai…初期値、Am…調整値、D…所定量。
Claims (11)
- 媒体を搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部に対して、前記第1搬送部が前記媒体を搬送する搬送方向の下流に設けられ、前記媒体を前記搬送方向の下流に搬送する第2搬送部と、
前記搬送方向において、前記第1搬送部と前記第2搬送部との間に位置し、前記媒体のたわみが所定量になったことを検出可能なたわみ検出部と、
を備える、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 前記第1搬送部および前記第2搬送部を制御可能な制御部を備え、
前記制御部は、前記たわみ検出部の検出結果に基づいて、前記第1搬送部と前記第2搬送部とにより前記媒体を搬送するときの、前記第1搬送部による前記媒体の搬送量および前記第2搬送部による前記媒体の搬送量のいずれかを調整する、
ことを特徴する請求項1に記載の媒体搬送装置。 - 前記制御部は、前記第1搬送部と前記第2搬送部とによる前記媒体の搬送中に、前記たわみ検出部が前記所定量のたわみを検出した場合、前記媒体の先端が前記第2搬送部に到達したときから前記媒体が前記たわみ検出部に検出されるまでの間に搬送された搬送量と前記所定量とから算出される搬送誤差に基づいて、前記第1搬送部による前記搬送量を減らす、
ことを特徴する請求項2に記載の媒体搬送装置。 - 前記制御部は、前記第1搬送部と前記第2搬送部とによる前記媒体の搬送中に、前記たわみ検出部が前記所定量のたわみを検出しなかった場合、前記第1搬送部による前記搬送量を増やす、
ことを特徴する請求項2または請求項3に記載の媒体搬送装置。 - 前記たわみ検出部は、前記媒体の上面と対向する位置に配置されるメカ接点式センサーで構成される、
ことを特徴する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の媒体搬送装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の媒体搬送装置と、
前記媒体搬送装置により搬送される前記媒体に記録を行う記録部と、
を備える、
ことを特徴とする記録装置。 - 前記第2搬送部は、前記記録部に対して、前記搬送方向の上流に設けられる、
ことを特徴とする請求項6に記載の記録装置。 - 媒体を搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部に対して、前記第1搬送部が前記媒体を搬送する搬送方向の下流に設けられ、前記媒体を前記搬送方向の下流に搬送する第2搬送部と、
前記搬送方向において、前記第1搬送部と前記第2搬送部との間に位置し、前記媒体のたわみが所定量になったことを検出可能なたわみ検出部と、
を備える媒体搬送装置の制御方法であって、
前記第1搬送部と前記第2搬送部とにより前記媒体を搬送することと、
前記たわみ検出部の検出結果に基づいて、前記第1搬送部と前記第2搬送部とにより前記媒体を搬送するときの、前記第1搬送部による前記媒体の搬送量および前記第2搬送部による前記媒体の搬送量のいずれかを調整することと、
を含む、
ことを特徴する媒体搬送装置の制御方法。 - 前記第1搬送部と前記第2搬送部とによる前記媒体の搬送中に、前記たわみ検出部が前記所定量のたわみを検出した場合、前記媒体の先端が前記第2搬送部に到達したときから前記媒体が前記たわみ検出部に検出されるまでの間に搬送された搬送量と前記所定量とから算出される搬送誤差に基づいて、前記第1搬送部による前記搬送量を減らし、
前記媒体の前記搬送中に、前記たわみ検出部が前記所定量のたわみを検出しなかった場合、前記第1搬送部による前記搬送量を増やす、
ことを特徴とする請求項8に記載の媒体搬送装置の制御方法。 - 前記媒体が枚葉であり、前記媒体の前記搬送中に、前記たわみ検出部が前記所定量のたわみを検出しなかった場合に前記第1搬送部による前記搬送量を増やす処理を、枚葉の前記媒体を1枚搬送する毎に行う、
ことを特徴とする請求項9に記載の媒体搬送装置の制御方法。 - 前記媒体が枚葉であり、前記媒体の前記搬送中に、前記たわみ検出部が前記所定量のたわみを検出しなかった場合に前記第1搬送部による前記搬送量を増やす処理を、前記所定量のたわみが検出されない前記媒体の搬送が2枚以上の所定枚数連続する場合に行う、
ことを特徴とする請求項9に記載の媒体搬送装置の制御方法。
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