JP2023123360A - 半導体装置の製造方法、半導体装置およびそれを有する無線通信装置 - Google Patents

半導体装置の製造方法、半導体装置およびそれを有する無線通信装置 Download PDF

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Abstract

【課題】異なる電気的特性を有する複数種類の半導体素子を必要とする回路の動作を安定させ、かつ、材料の使用量を減らす半導体装置及びその製造方法を提供する。【解決手段】半導体装置101は、基材1上に、FETが複数配置される、第1の領域10及び第2の領域20を含む。第1の領域のFET30は、半導体層とゲート電極とを絶縁するゲート絶縁層及びゲート絶縁層とは異なる位置で半導体層と接する第1のオーバーコート層11を基材上に備える。第2の領域のFET40は、半導体層とゲート電極とを絶縁するゲート絶縁層及びゲート絶縁層とは異なる位置で半導体層と接する第2のオーバーコート層21を基材上に備える。第1の領域の半導体素子と第2の領域の半導体素子との電気伝導性が相異する。半導体装置の製造方法は、第1のオーバーコート層を形成した後に、一部が第1のオーバーコート層の上に重なるように第2のオーバーコート層を形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体装置、その製造方法およびそれを用いた無線通信装置に関する。
近年、低コスト、大面積、フレキシブル、ベンダブルな電子製品の実現を目指して、有機半導体を用いた電界効果型トランジスタ(以下、FET)が盛んに検討されている。電子製品としては、例えば、ディスプレイやセンサ、中でもRFID(Radio Frequency IDentification)技術を用いた無線通信システムが注目されている。RFIDタグは、FETで構成された回路を有するICチップと、リーダ/ライタとの無線通信するためのアンテナを有する。タグ内に設置されたアンテナが、リーダ/ライタから送信される搬送波を受信し、ICチップ内の駆動回路が動作する。
RFIDタグは、物流管理、商品管理、万引き防止などの様々な用途での利用が期待されており、交通カードなどのICカード、商品タグなど一部で導入が始まっている。
今後、あらゆる商品でRFIDタグを使用するためには、製造コストの低減が必要である。そこで、RFIDタグの製造プロセスにおいて、真空や高温を使用するプロセスから脱却し、塗布・印刷技術を用いた、フレキシブルで安価なプロセスを利用することが検討されている。その一例として、ICチップ内の駆動回路には、成形性に優れた有機半導体を半導体層として用いた電界効果型トランジスタ(以下、FETという)が提案されている。有機半導体をインクとして利用することで、インクジェット技術やスクリーニング技術等により、フレキシブル基板上に直接、FETなどの回路パターンを形成することが可能になる。そこで、従来の無機半導体に換わり、カーボンナノチューブ(CNT)や有機半導体を用いたFETが盛んに検討され、それらを用いた回路の検討も行われている(例えば、特許文献1参照)。
RFIDタグ内の駆動回路は、その消費電力を抑制するなどのため、p型FETとn型FETとからなる相補型回路で構成するのが一般的である。しかし、CNTを用いたFETは、大気中では通常p型半導体素子の特性を示すことが知られている。また、有機半導体を用いたFETは、単一チャネルである。このため、同一材料では相補型回路を構成できず、p型FETとn型FETとで材料を別々に選択しなければならない。これに起因して、相補型回路の製造プロセスが煩雑になり、RFIDタグの生産の効率低下と製造コストの増加という問題が生ずる。
そこで、例えば、CNTを用いたFETにおいては、p型FETを形成した後に、p型特性をn型特性に改質するためのn型改質ポリマーの層を半導体層の上に形成する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特に、特許文献2の技術では、n型特性に改質したいFETを隣同士に配置し、一括してn型改質層を形成することにより、比較的容易なプロセスで相補型回路を作製することができる。
国際公開第2009/139339号 国際公開第2020/026786号
しかしながら、特許文献2に記載のようにn型改質を行いたいFETを集約配置し、一括してn型改質層を形成する場合、回路機能に応じてFET周辺の配線や電極形状・凹凸状況などがFETごとに異なるため、n型改質ポリマーの濡れ広がり量を制御することが難しいとう問題があった。そのため、n型改質層の膜厚がFETごとに不均一になり、回路内のFET特性ばらつきが増加し、回路の連続動作不良が発生しやすくなるため、安定した特性に必要な膜厚形成に必要なn型改質層材料の使用量が増加するという課題があった。
そこで本発明は、相補型回路に代表される、異なる電気的特性を有する複数種類の半導体素子を必要とする回路において回路動作を安定させ、かつ材料の使用量を減らすことができる半導体装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成をとる。
[1]基材上に、少なくとも、半導体素子が2個以上配置される第1の領域と、半導体素子が2個以上配置される第2の領域と、を含み、前記第1の領域の半導体素子は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極、ソース電極とドレイン電極とに接する半導体層、前記半導体層と前記ゲート電極とを絶縁するゲート絶縁層、および前記ゲート絶縁層とは異なる位置で前記半導体層と接する第1のオーバーコート層、を基材上に備え、前記第2の領域の半導体素子は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極、ソース電極と前記ドレイン電極とに接する半導体層、前記半導体層と前記ゲート電極とを絶縁するゲート絶縁層、および前記ゲート絶縁層とは異なる位置で前記半導体層と接する第2のオーバーコート層、を基材上に備え、前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性が相異する、半導体装置の製造方法であって、 第1のオーバーコート層を形成する工程の後に、第2のオーバーコート層を、その一部が前記第1のオーバーコート層の上に重なるように形成する工程を有する半導体装置の製造方法。
[2]前記第1のオーバーコート層と前記第2のオーバーコート層により前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性が相異する、[1]に記載の半導体装置の製造方法。
[3]前記第1のオーバーコート層が前記第1の領域の半導体素子の2個以上にわたって連続する長尺状となるように配置され、前記第2のオーバーコート層を、その一部が前記長尺状の第1のオーバーコート層の長辺に沿って前記第1のオーバーコート層上に重なるように形成する、[1]または[2]に記載の半導体装置の製造方法。
[4]前記長尺状の第1のオーバーコート層がストライプ形状となるように配置される、[3]に記載の半導体装置の製造方法。
[5]前記半導体層が、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル、フラーレン、グラフェン、ナノダイヤモンドの中から選ばれるいずれか1種類以上の半導体材料を含有する、[1]~[4]のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
[6]前記半導体層がカーボンナノチューブを含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
[7]前記第2のオーバーコート層が、窒素原子およびリン原子の中から選ばれるいずれか1種以上を有する電子供与性化合物を含有する、[1]~[6]のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
[8]前記半導体装置は無線通信装置である、[1]~[7]のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
[9]基材上に、少なくとも、半導体素子が2個以上配置される第1の領域と、半導体素子が2個以上配置される第2の領域と、を含む半導体装置であって、前記第1の領域の半導体素子は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極、前記ソース電極と前記ドレイン電極とに接する半導体層、前記半導体層と前記ゲート電極とを絶縁するゲート絶縁層、および前記ゲート絶縁層とは異なる位置で前記半導体層と接する第1のオーバーコート層、を前記基材上に備え、前記第2の領域の半導体素子は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極、前記ソース電極と前記ドレイン電極とに接する半導体層、前記半導体層と前記ゲート電極とを絶縁するゲート絶縁層、および前記ゲート絶縁層とは異なる位置で前記半導体層と接する第2のオーバーコート層と、を前記基材上に備え、前記第1のオーバーコート層と前記第2のオーバーコート層により前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性が相異する半導体装置であって、前記第2のオーバーコート層の一部が前記第1のオーバーコート層の上に重なる、半導体装置。
[10]前記第1のオーバーコート層が前記第1の領域の半導体素子の2個以上にわたって連続する長尺状となるように配置され、前記第2のオーバーコート層が、その一部が前記長尺状の第1のオーバーコート層の長辺に沿って前記第1のオーバーコート層上に重なるように長尺状に配置される、[9]に記載の半導体装置。
[11]前記第2のオーバーコート層の厚みに対し、前記第2のオーバーコート層の短尺方向の幅が10倍以上50倍以下である、[9]または[10]に記載の半導体装置。
[12]前記第2のオーバーコート層の厚みが5μm以上30μm以下である、[9]~[11]のいずれかに記載の半導体装置。
[13]前記第2のオーバーコート層の前記半導体層と接する面とは反対側の表面が膨らむように湾曲した形状を有する、[9]~[12]のいずれかに記載の半導体装置。
[14]前記半導体装置がセンサである、[9]~[13]のいずれかに記載の半導体装置。
[15][9]~[13]のいずれかに記載の半導体装置と、アンテナと、を少なくとも有する無線通信装置。
本発明の半導体装置の製造方法によれば、材料・製造コストの増大を抑制し、連続した動作安定性を有する半導体装置を製造することができる。
本発明の実施の形態1に係る製造方法により得られる半導体装置を示した概略平面図 本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示した模式断面図 本発明の実施の形態1に係る製造方法により得られる半導体装置の変形例1を示した概略平面図および断面図 本発明の実施の形態1に係る製造方法により得られる半導体装置の変形例2を示した概略平面図および断面図 本発明の実施の形態2に係る製造方法により得られる半導体装置を示した概略平面図および断面図 本発明の実施の形態3に係る製造方法により得られる半導体装置を示した模式図および概略平面図 第2のオーバーコート層の形状例を示した模式断面図 無線通信装置の一例を示すブロック図 連続動作の安定性の評価にて使用したリングオシレータの回路図 本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法を示す模式図 本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法を示す模式図 折り曲げ耐性の評価方法を説明する模式斜視図
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではなく、発明の目的を達成でき、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の変更は当然ありえる。
本発明の半導体装置の製造方法は、基材上に、少なくとも、半導体素子が2個以上配置される第1の領域と、半導体素子が2個以上配置される第2の領域と、を含み、第1の領域の半導体素子は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極、ソース電極とドレイン電極とに接する半導体層、半導体層とゲート電極とを絶縁するゲート絶縁層、およびゲート絶縁層とは異なる位置で半導体層と接する第1のオーバーコート層、を基材上に備え、第2の領域の半導体素子は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極、ソース電極とドレイン電極とに接する半導体層、半導体層とゲート電極とを絶縁するゲート絶縁層、およびゲート絶縁層とは異なる位置で半導体層と接する第2のオーバーコート層、を基材上に備え、第1の領域の半導体素子と第2の領域の半導体素子との電気伝導性が相異する、半導体装置の製造方法であって、第1のオーバーコート層を形成する工程の後に、第2のオーバーコート層を、その一部が第1のオーバーコート層の上に重なるように形成する工程を有する。
<半導体装置の製造方法>
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る製造方法により得られる半導体装置の構成を示す模式図である。図1(a)は第1および第2のオーバーコート層形成前、(b)は第1および第2のオーバーコート層形成後の、概略平面図をそれぞれ示す。
半導体装置101は、基材1の上に、4個のFET30が基材1の長手方向に列をなして配置される第1の領域10を2箇所と、4個のFET40が基材1の長手方向に列をなして配置される第2の領域20を1箇所有する。半導体装置101において、2箇所の第1の領域10は基材1の短手方向の上下に分かれ、基材1の中央で長手方向に延びる第2の領域20を挟むように設けられている。また、図1(b)において、半導体装置101は、第1の領域10にある4個のFET30を覆うように、第1のオーバーコート層11が設けられ、第2の領域20にある4個のFET40を覆うように、第2のオーバーコート層21が設けられる。
第1の領域のFET30と第2の領域のFET40は、電気伝導性が互いに相違する。電気伝導性の違いとは、例えば、n型半導体特性とp型半導体特性といったトランジスタの導電型の違いが挙げられる。これにより、例えば、各FET間を所望の回路動作するように配線でつなぎ合わせ、相補型回路を構成することができる。
2つのFET間で電気伝導性が相違しているかどうかは、半導体装置内の半導体素子単体の電気伝導性、例えばトランジスタ特性を評価することで判断できる。また、X線光電子分光(XPS)によって、半導体層や電極、第1および第2のオーバーコート層に含まれる元素を同定することで、それらの組み合わせから半導体素子の電気伝導性が第1および第2のオーバーコート層によって異なっているかを判断することができる。
図2は、図1に示す半導体装置の製造方法を示す模式断面図であり、図1におけるI-I’線断面を表す。以下にその詳細を説明するが、以下の説明において「公知の塗布方法」とは、例えば、インクジェット法、印刷法、イオンプレーティング法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法などを指す。
まず、(a)基材1上に、下部導電膜2を形成する。下部導電膜2の形成方法としては、抵抗加熱蒸着法、電子線ビーム法、スパッタリング法、メッキ法、CVD法等の方法が挙げられる。また、公知の塗布方法により、導電体と感光性有機成分を含有するペーストのような感光性導電ペーストを基板上に塗布した後、塗布膜を乾燥させて溶剤を除去する方法が挙げられる。下部導電膜2の材料としては、導電性の観点から、銀、銅及び金が好ましく、コスト、安定性の観点から銀であることがより好ましい。
次に、(b)下部導電膜2をパターン加工して、ゲート電極3を形成する。この際、図示はしないが、他の回路やアンテナと接続するための下部配線も形成することができる。パターン加工の方法としては、公知のフォトリソグラフィによるパターン加工(フォトリソ加工)が好ましい。下部導電膜2が感光性を有しない場合は、フォトレジストを用いた公知のパターン加工が利用できる。感光性導電ペーストを基板1の上に塗布して下部導電膜2を形成した場合は、その感光性導電膜をフォトリソ加工することができる。こうして、基板1の上に、導電性パターンであるゲート電極3が形成される。
次に、(c)ゲート電極3の上にゲート絶縁層4を形成する。ゲート絶縁層4の作製方法は、特に制限はないが、例えば、原料組成物をゲート電極3が形成された基板上に公知の塗布方法で塗布し、乾燥することで得られたコーティング膜を必要に応じ熱処理する方法が挙げられる。この際、図示はしないが、下部配線と、後述する上部配線とを接続する部分に対して、ゲート絶縁層4を除去してコンタクトホールを形成する。
次に、(d)ゲート絶縁層4の上のチャネル領域を覆うように半導体層5を形成する。半導体層5の作製方法は、特に制限はないが、例えば、半導体材料をインクジェット塗布によりチャネル領域に着滴させ、乾燥させる方法が挙げられる。チャネル領域とは、半導体材料が形成するネットワークがソース電極とドレイン電極とを接続する範囲を指す。ソース電極とドレイン電極との間隔は、キャリアの移動方向の長さであって、チャネル長という。一方、ソース電極とドレイン電極との間においてチャネル長の方向と直交する方向に沿った長さをチャネル幅という。
次に、(e)ゲート絶縁層4上に半導体層5を覆いながら上部導電膜6を形成する。上部導電膜6の形成方法としては、下部導電膜2の形成方法と同様の方法が挙げられるが、フォトリソグラフィによる電極のパターン加工ができ、より生産性を向上させられる観点から、感光性導電ペーストを基板上に公知の塗布方法で塗布した後、塗布膜を乾燥させて溶剤を除去する方法が好ましい。乾燥法としては、オーブン、ホットプレート、赤外線などを用いた乾燥法が挙げられる。
次に、(f)上部導電膜6をパターン加工して、ソース電極7とドレイン電極8を形成する。この際、図示はしないが、他の回路やアンテナと接続するための上部配線も形成することができる。上部導電膜6が導電体と感光性有機成分を含有するペーストにより形成された場合は、直接露光および現像を含む工程を通してソース電極7とドレイン電極8を形成することができる。
露光法としては、通常のフォトリソグラフィ法で行われるように、フォトマスクを介して露光する方法が一般的である。また、レーザー光等で直接描画する方法を用いても構わない。露光装置としては、例えば、ステッパー露光機又はプロキシミティ露光機が挙げられる。この際使用される活性光源としては、例えば、近紫外線、紫外線、電子線、X線又はレーザー光等が挙げられるが、紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ又は殺菌灯が挙げられるが、超高圧水銀灯が好ましい。
現像法としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ現像液を用いて、基板を静置又は回転させながら現像液をスプレーする方法、基板を現像液中に浸漬する方法などが挙げられる。現像により得られたパターンは、水やアルコール水溶液によるリンス処理を施しても構わない。
さらに、必要に応じて、得られたパターンをキュアすることも好ましい。キュアする方法としては、例えば、オーブン、イナートオーブン、ホットプレート若しくは赤外線等による加熱乾燥又は真空乾燥が挙げられる。この形成方法により、微細な配線パターンを簡便に形成することができる。
次に、(g)第1の領域10のFETの半導体層5を覆うように第1のオーバーコート層11を形成する。第1のオーバーコート層11の作製方法は、特に制限はないが、例えば、原料組成物を公知の塗布方法で塗布し、乾燥することで得られたコーティング膜を必要に応じ熱処理する方法が挙げられる。
最後に、(h)第2の領域20のFETの半導体層5を覆うように第2のオーバーコート層21を形成する。この際、第2のオーバーコート層21は、その一部が第1のオーバーコート層11に重なるように形成される。第2のオーバーコート層21の作製方法は、特に制限はないが、第1のオーバーコート層と同様に、例えば、原料組成物を公知の塗布方法で塗布し、乾燥することで得られたコーティング膜を必要に応じ熱処理する方法が挙げられる。公知の塗布方法の中でも、一定のクリアランスを保持しながら基材に触れることなく塗布可能な、ブレードコート法、スリットダイコート法、インクジェット法、ドロップキャスト法、ディスペンサ法などの塗布方法が好ましい。前工程にて形成した第1のオーバーコート層の破損や剥離の可能性を抑制できるためである。
図2に示すFETはトップコンタクト型(ソース電極およびドレイン電極と半導体層の上部とが接する型)のFETであるが、ボトムコンタクト型(ソース電極およびドレイン電極と半導体層の底部とが接する型)のFETであってもよい。この場合、工程(e)および(f)を工程(d)の前に行うことで、ボトムコンタクト型のFETを製造することができる。
図1、2に示す構成の半導体装置において、第2のオーバーコート層21を第1のオーバーコート層11と重ならないように塗布形成する場合、基材1の短手方向の上下に分かれた第1のオーバーコート層11の間に第2のオーバーコート層21を塗布形成する必要がある。そのため、回路サイズが小さくなればなるほど高精度の塗布制御が要求される。
またそれだけでなく、第2のオーバーコート層の濡れ広がり量の制御が難しくなるという問題もある。第2のオーバーコート層を塗布形成する際、FETの半導体層を覆うと同時に電極や配線も同時に覆い形成される。しかしながら、回路設計に応じ電極サイズや配線の数などは変化するため、第2のオーバーコート層の濡れ広がり量は電極や配線の形状、凹凸の影響を受ける。そのため、回路を構成するTFT毎にオーバーコート層の濡れ広がり量を制御することは困難である。
第2のオーバーコート層は、FETを保護する保護層としての機能や、半導体層に対する正孔または電子のドーピング層としての機能を有する。十分な保護効果やドーピング効果を発揮するには、第2のオーバーコート層は一定以上の厚さが必要となる。濡れ広がり量が制御できない状態では第2のオーバーコート層の膜厚がばらつきやすくなるため、ばらつきを考慮した上で十分となる厚さの層を形成する必要がある。そうすると、材料使用量が増加するだけでなく、半導体装置そのもののサイズや厚みが増加する。
一方で、第1のオーバーコート層を形成した後、第2のオーバーコート層をその一部が第1のオーバーコート層と重なるように形成することで、第1のオーバーコート層を、第2のオーバーコート層の濡れ広がりを抑制する隔壁として利用することができる。その結果、第2のオーバーコート層材料の使用量を抑えつつ、FET特性変化に必要な厚さの層を形成することができる。また、第1のオーバーコート層が隔壁となることで、第2のオーバーコート層を塗布形成する際、FETの電極や配線の形状、凹凸の影響を抑えることができる。そのため、膜厚がより均一な第2のオーバーコート層を形成しやすくなり、回路動作が安定する。
本実施の形態1では、工程(g)および(h)において、第1のオーバーコート層11が第1の領域10の半導体素子の2個以上(この例では4個)にわたって連続する長尺状となるように配置され、第2のオーバーコート層21を、その一部が長尺状の第1のオーバーコート層11の長辺に沿って第1のオーバーコート層11上に重なるように形成されている。これにより、さらに第2のオーバーコート層の膜厚を均一形成しやすくなる。
また、本実施の形態1では、長尺状の第1のオーバーコート層11がストライプ形状(この例では2列)となるように配置されている。これにより、長尺状の第2のオーバーコート層21の両側の長辺を長尺状の第1のオーバーコート層11に重なるように形成することができる。そのため、第2のオーバーコート層21の一方のみの長辺が第1のオーバーコート層11に重なる場合よりも、より第2のオーバーコート層の膜厚を均一に形成しやすくなる。
第1の領域のFET30と第2の領域のFET40とは、第1のオーバーコート層と第2のオーバーコート層により電気伝導性が相違することが好ましい。電気伝導性の違いとは、例えば、n型半導体特性とp型半導体特性といったトランジスタの導電型の違いが挙げられる。オーバーコート層によりFETの電気伝導性が相違するとは、各オーバーコート層がその直下にあるFETに与える作用により、第1のオーバーコート層を有するFETと第2のオーバーコート層を有するFETとで電気伝導性が相違することをいう。このような構成によれば、異なる半導体材料を用いたり、異なる仕事関数の電極材料を用いたりすることなくFETの電気伝導性を変化させることができるので、図2に示す工程(f)までを同一材料で一括形成できる。
(変形例1)
図3は、本発明の実施の形態1に係る製造方法により得られる半導体装置の変形例1を示す模式図である。図3(a)は第1および第2のオーバーコート層形成前の概略平面図、(b)は第1および第2のオーバーコート層形成後の概略平面図、(c)はII-II’線における模式断面図をそれぞれ示す。
図3(a)に示すように、半導体装置201は、基材1の上に、5個のFET130が基材1の長手方向に千鳥状に列をなして配置される第1の領域110を2箇所と、5個のFET140が基材1の長手方向に千鳥状に列をなして配置される第2の領域120を1箇所有する。
また、図3(b)において、半導体装置201は、千鳥状に列をなして配置されたFET130およびFET140上に、第1のオーバーコート層111および第2のオーバーコート層121が、それぞれ折れ曲がるように配置される。そして、図3(c)に示すように第2のオーバーコート層は第1のオーバーコート層に重なるように形成される。
このような半導体装置201の構成および製造方法は、上記の点を除いて実施の形態1におけるものと同様である。
(変形例2)
図4は、本発明の実施の形態1に係る製造方法により得られる半導体装置の変形例2を示す模式図である。図4(a)は第1および第2のオーバーコート層形成前の概略平面図、(b)は第1および第2のオーバーコート層形成後の概略平面図、(c)はIII-III’線における模式断面図をそれぞれ示す。
図4(a)に示すように、半導体装置301は、基材1の上に、4個のFET230が基材1の長手方向に列をなして配置される第1の領域210を2箇所と、4個のFET240が基材1の長手方向に列をなして配置される第2の領域220を1箇所有する。また、図4(b)において、半導体装置301は、この基材1上のうち、2つの第1の領域210にある合計8個のFET230を覆うように、第1のオーバーコート層211が基材1の右側端部で折れ曲がったメアンダ形状に設けられる。また、第2の領域220にある4個のFET240を覆うように、第2のオーバーコート層221が設けられる。
このような半導体装置301の構成および製造方法は、上記の点を除いて実施の形態1におけるものと同様である。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る製造方法により得られる半導体装置を示す模式図である。図5(a)は第1および第2のオーバーコート層形成前の概略平面図、(b)は第1および第2のオーバーコート層形成後の概略平面図、(c)はIV-IV’線における模式断面図をそれぞれ示す。
図5(a)に示すように、半導体装置401では、図1(a)に示す実施の形態1の構成と比べ、第1の領域310が第2の領域320の片側(基材1の短手方向の上側)にのみ存在する。この場合は、図5(b)、(c)に示すように、第1の領域が存在しない側にはダミーパターン331を形成することが好ましい。このダミーパターン331を設けることで、実施の形態1に係る製造方法と同様の効果を得ることができる。
製造プロセスを簡易にする観点から、ダミーパターン331は、第1のオーバーコート層311と同一材料で形成することが好ましく、また、第1のオーバーコート層311の形成と同一プロセスで形成することが好ましい。第1のオーバーコート層311とダミーパターン331とが同一材料から構成されるとは、それぞれに含まれる元素の中で最も含有モル比率が高い元素が同一であることをいう。元素の種類と含有比率は、X線光電子分光(XPS)によって、同定することができる。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3に係る製造方法により得られる半導体装置の一構成例を示す模式図である。図6(a)に示すように、本実施の形態3では、ロール状に巻かれた連続する樹脂基材9の上に、複数の半導体装置501が連続的に並んでいる。
樹脂基材9は長手方向と短手方向とを有し、半導体装置501は、樹脂基材9上の長手方向に列をなすように形成されている。この例では列数は3である。
図6(b)および(c)は、図6(a)において破線領域Vで囲まれた半導体装置501が2つ含まれた領域を抜粋した模式図である。図6(b)は第1および第2のオーバーコート層形成前の概略平面図、(c)は第1および第2のオーバーコート層形成後の概略平面図をそれぞれ示す。
それぞれの半導体装置501は、樹脂基材9の上に、4個のFET430が基材9の長手方向に列をなして配置される第1の領域410を2箇所と、4個のFET440が樹脂基材9の長手方向に列をなして配置される第2の領域420を1箇所有する。半導体装置501において、2箇所の第1の領域410は樹脂基材9の短手方向の上下に分かれ、樹脂基材9の中央で長手方向に延びる第2の領域420を挟むように設けられている。
図6(c)に示すように、2つの半導体装置501における合計4箇所の第1の領域410上には、それぞれ第1のオーバーコート層411が形成される。一方、合計2箇所の第2の領域420上には、両方にまたがって第2のオーバーコート層421が形成される。
第2のオーバーコート層421は、第1のオーバーコート層411に重なるように形成される。したがって、半導体装置501において第2のオーバーコート層421は最上層となる。そのため、樹脂基材9がロール状に巻かれた際に、樹脂基材9の裏面側と第2のオーバーコート層421とが接触しながら巻かれる。そのため、一般には第2のオーバーコート層421は擦れによる剥がれが起こりやすい。しかし本実施の形態3においては、複数の半導体装置501に対し共通する第2のオーバーコート層421を形成しているので、で第2のオーバーコート層421がより長尺となり、剥離が起きづらい。
本実施の形態3において、個別のFETの製造方法は、基材が長尺状であることを除いて実施の形態1におけるものと同様である。すなわち、本実施の形態3では、長尺の樹脂基材9をロール・トゥ・ロールにて搬送しながら、図2に示すのと同じ工程が行われる。
<半導体装置>
本発明の実施の形態に係る半導体装置は、基材上に、少なくとも、半導体素子が2個以上列をなして配置される第1の領域と、半導体素子が2個以上列をなして配置される第2の領域と、を含む半導体装置であって、第1の領域の半導体素子は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極、ソース電極と前記ドレイン電極とに接する半導体層、半導体層とゲート電極とを絶縁するゲート絶縁層、およびゲート絶縁層とは異なる位置で半導体層と接する第1のオーバーコート層、を基材上に備え、第2の領域の半導体素子は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極、ソース電極とドレイン電極とに接する半導体層、半導体層とゲート電極とを絶縁するゲート絶縁層、およびゲート絶縁層とは異なる位置で半導体層と接する第2のオーバーコート層、を基材上に備え、第1のオーバーコート層と第2のオーバーコート層により第1の領域の半導体素子と第2の領域の半導体素子との電気伝導性が相異する半導体装置であって、第2のオーバーコート層の一部が第1のオーバーコート層の上に重なる、半導体装置である。
本発明の実施の形態に係る半導体装置では、第1のオーバーコート層と第2のオーバーコート層により第1の領域の半導体素子と第2の領域の半導体素子との電気伝導性が相異するので、異なる半導体材料を用いたり、異なる仕事関数の電極材料を用いたりすることなく電気伝導性を変化させることができる。また、第1のオーバーコート層の上に第2のオーバーコート層の一部が重なっているかは、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などで半導体装置用基板の断面を観察することで確認することができる。
本発明の実施の形態に係る半導体装置は、図1に示す半導体装置101のように第1のオーバーコート層11が第1の領域10の半導体素子の2個以上(この例では4個)にわたって連続する長尺状となるように配置され、第2のオーバーコート層21を、その一部が長尺状の第1のオーバーコート層11の長辺に沿って第1のオーバーコート層11上に重なる構造を有することが好ましい。このような構成を有することで、第1のオーバーコート層11が第2のオーバーコート層21に対する隔壁としての機能を有しやすくなり、第2のオーバーコート層21の膜厚をより均一に保ちやすくなり半導体装置の動作安定性が向上する。
また、本発明の実施の形態に係る半導体装置は、上述した、図3~5に示す半導体装置201、301、401のような形態や、図6に示す樹脂基材上に配置した複数の半導体装置501のような形態をとることができる。
(基材)
基材は、少なくとも電極系が配置される面が絶縁性を備える基材であれば、いかなる材質のものでもよい。基材としては、より安価でロール・トゥ・ロールによる製造プロセスの採用のため、単位面積あたりのコストが低く、フレキシブル性に優れる材料が好ましい。例えば、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、シクロオレフィン樹脂などの樹脂、または、ポリプロピレン(PP)を含む樹脂基材が好適に用いられるが、これらに限定されない。
これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、PPS、ポリフェニレンサルフォン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミドまたはPIの中から選択される少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましく、低価格の観点からはPETフィルムが好ましい。
また、樹脂基材と、電極や配線との密着性の観点からは、ポリサルフォン樹脂、PPS樹脂も好ましい。これは、電極や配線中の金属原子が、これらの樹脂に含まれる硫黄原子と強く相互作用するためと推定される。
樹脂基材の厚みは25μm以上100μm以下であることが好ましい。この範囲にあることで、耐久性と適度な柔軟性とを有し得る。
(ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極および配線)
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極および配線は、一般的に電極として使用されうる導電性材料であれば、いかなるものでもよい。そのような導電性材料としては、例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)などの導電性金属酸化物が挙げられる。また、白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、パラジウム、モリブデン、アモルファスシリコンやポリシリコンなどの金属、これらの中から選択される複数の金属の合金、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質が挙げられる。また、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との錯体、ヨウ素などのドーピングによって導電率を向上させた導電性ポリマーが挙げられる。さらには、炭素材料、有機成分と導電体とを含有する材料などが挙げられる。
有機成分と導電体とを含有する材料は、電極の柔軟性が増し、屈曲時にも密着性が良く電気的接続が良好となる。有機成分としては、特に制限はないが、モノマー、オリゴマーもしくはポリマー、光重合開始剤、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、シランカップリング剤、消泡剤、顔料などが挙げられる。電極の折り曲げ耐性向上の観点からは、オリゴマーもしくはポリマーが好ましい。しかし、電極および配線の導電性材料は、これらに限定されるものではない。これらの導電性材料は、単独で用いてもよいが、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。
また、電極の幅、厚み、および各電極間の間隔(例えばソース電極とドレイン電極との間隔)はFETの仕様により任意に設定できる。例えば、各電極の幅は5μm以上、1mm以下に設定することが好ましい。各電極の厚みは0.01μm以上、100μm以下に設定することが好ましい。ソース電極とドレイン電極との間隔は1μm以上、500μm以下に設定することが好ましい。しかし、これらのサイズは、上記のものに限らない。
さらに、配線の幅および厚みも任意である。具体的には、配線の厚みは0.01μm以上、100μm以下に設定することが好ましい。配線の幅は5μm以上、500μm以下に設定することが好ましい。しかし、これらのサイズは、上記のものに限らない。
(ゲート絶縁層)
ゲート絶縁層に用いられる材料は、ゲート電極3とソース電極7およびドレイン電極8との間の絶縁が確保できれば特に限定されないが、酸化シリコン、アルミナ等の無機材料;ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール(PVP)等の有機高分子材料;あるいは無機材料粉末と有機材料の混合物を挙げることができる。中でもケイ素と炭素の結合を含む有機化合物を含むものが好ましく、ポリシロキサンが特に好ましい。
絶縁層は、フォトリソグラフィ法によるパターン加工性を付与するため、感光性有機成分を含有することが好ましい。感光性有機成分としては、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤、光酸発生剤、増感剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、などが挙げられる。
絶縁層の膜厚は0.05~5μmが好ましく、0.1~1μmがより好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、均一な薄膜形成が容易になる。膜厚は、原子間力顕微鏡、エリプソメトリ法、分光反射率法などにより測定できる。
絶縁層は、単層でも複数層でもよい。また、1つの層を複数の絶縁性材料から形成してもよいし、複数の絶縁性材料を積層して複数の絶縁層を形成しても構わない。
(半導体層)
半導体層に用いられる材料は、半導体性を示す材料であれば特に限定されず、インクジェット塗布プロセスが適用できるものであれば良い。有機半導体及び/又はカーボン材料が好ましい例として挙げられる。特に、カーボン材料が好ましく、その具体例としては、カーボンナノチューブ(以下、CNTという)、グラフェン、フラーレンなどが挙げられるが、塗布プロセスへの適性や高移動度の点でCNTが好ましい。
CNTとしては、1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNTのいずれを用いてもよく、これらを2種以上用いてもよい。半導体の特性を示すという観点から単層CNTを用いることが好ましく、中でも単層CNTが半導体型単層CNTを90重量%以上含むことがより好ましい。さらに好ましくは単層CNTが半導体型単層CNTを95重量%以上含むことである。
半導体型単層CNTの含有比率は、可視-近赤外吸収スペクトルの吸収面積比により算出できる。CNTは、アーク放電法、化学気相成長法(CVD法)、レーザー・アブレーション法等の方法により得ることができる。
中でも、半導体層の形成の容易性から、半導体層に用いられる材料はCNTが好ましい。さらに、表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したCNT(以下、CNT複合体という)は、溶液中での分散安定性に優れ、高移動度が得られるため、特に好ましい。ここで、共役系重合体とは、繰り返し単位が共役構造をとり、重合度が2以上の化合物を指す。
共役系重合体がCNTの表面の少なくとも一部に付着した状態とは、CNT表面の一部、あるいは全部を共役系重合体が被覆した状態を意味する。共役系重合体がCNTを被覆できるのはそれぞれの共役系構造に由来するπ電子雲が重なることによって相互作用が生じるためと推測される。CNTが共役系重合体で被覆されているか否かは、被覆されたCNTの反射色が被覆されていないCNTの色から共役系重合体の色に近づくことで判別できる。定量的にはX線光電子分光法(XPS)などの元素分析によって、付着物の存在とCNTに対する付着物の質量比を同定することができる。
CNT複合体は、CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体を付着させることにより、CNTの保有する高い電気的特性を損なうことなくCNTを溶液中に均一に分散することが可能になる。また、CNTが均一に分散した分散液を用いて塗布法により、均一に分散したCNT膜を形成することが可能になる。これにより、高い半導体特性を実現できる。
共役系重合体をCNTに付着させる方法は、(I)溶融した共役系重合体中にCNTを添加して混合する方法、(II)共役系重合体を溶媒中に溶解させ、この中にCNTを添加して混合する方法、(III)CNTを溶媒中で予め超音波等で予備分散しておいた所に共役系重合体を添加し混合する方法、(IV)溶媒中に共役系重合体とCNTを入れ、この混合系に超音波を照射して混合する方法等が挙げられる。本発明では、複数の方法を組み合わせてもよい。
本発明において、CNTの長さは、設定されたソース電極とドレイン電極間隔よりも短いことが好ましい。CNTの平均長さは、ソース電極とドレイン電極間隔によるが、好ましくは2μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。一般に市販されているCNTは長さに分布があり、ソース電極とドレイン電極間隔よりも長いCNTが含まれることがあるため、CNTをソース電極とドレイン電極間隔よりも短くする工程を加えることが好ましい。例えば、硝酸、硫酸などによる酸処理、超音波処理、または凍結粉砕法などにより短繊維状にカットする方法が有効である。またフィルターによる分離を併用することは、純度を向上させる点でさらに好ましい。
また、CNTの直径は特に限定されないが、0.5nm以上100nm以下が好ましく、1nm以上50nm以下がより好ましい。
上記のCNTを被覆する共役系重合体としては、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリ-p-フェニレン系重合体、ポリ-p-フェニレンビニレン系重合体、チオフェンユニットとヘテロアリールユニットを繰り返し単位中に有するチオフェン-ヘテロアリーレン系重合体などが挙げられ、これらを2種以上用いてもよい。上記重合体は、単一のモノマーユニットが並んだもの、異なるモノマーユニットをブロック共重合したもの、ランダム共重合したもの、また、グラフト重合したものなどを用いることができる。
また、半導体層は、CNT複合体と有機半導体を混合して用いてもよい。有機半導体中にCNT複合体を均一に分散させることにより、有機半導体そのものの特性を維持しつつ、高い移動度を実現することが可能となる。
また半導体層は、さらに絶縁性材料を含んでいてもよい。ここで用いられる絶縁性材料としては、本発明の絶縁材料組成物や、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリマー材料が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
半導体層は単層でも複数層でもよく、膜厚は1nm以上200nm以下が好ましく、100nm以下がさらに好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、均一な薄膜形成が容易になり、さらにゲート電圧によって制御できないソース・ドレイン間電流を抑制し、FETのオンオフ比をより高くすることができる。膜厚は、原子間力顕微鏡やエリプソメトリ法などにより測定できる。
(第1のオーバーコート層)
第1のオーバーコート層は、第1の領域における半導体素子の半導体層に対してゲート絶縁層が形成された側の反対側に形成される。半導体層に対してゲート絶縁層が形成された側の反対側とは、例えば、半導体層の下側にゲート絶縁層を有する場合は、半導体層の上側を指す。第1のオーバーコート層を形成することにより、擦れなどの物理ダメージや大気中の水分や酸素から半導体素子を保護したり、例えば、p型半導体特性を示すCNT-FETのオン電流やオフ電流を調整したりすることができる。すなわち、第1のオーバーコート層は、保護層や特性調整層としての機能を有することができる。
保護層としての第1のオーバーコート層は、例えば、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン、ポリアクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー等の有機ポリマーなどから構成されることが好ましい。
また、特性調整層としての第1のオーバーコート層は、電子求引性化合物を含有することが好ましい。電子求引性化合物としては、1つの炭素-炭素二重結合または1つの共役系に、ハロゲン原子、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基、スルフィニル基、スルホニル基およびイミド基から選ばれる基が少なくとも2つ以上結合した構造を有する化合物を含有することが好ましい。上述の構造は1つの炭素-炭素二重結合または1つの共役系のπ軌道の電子密度に大きく影響を与える。1つの炭素-炭素二重結合または1つの共役系といった構造は、CNTまたはグラフェンなどの半導体材料とπ-π相互作用や電荷移動相互作用をしやすいため、化合物はCNTまたはグラフェンなどの半導体材料と強く電子的に相互作用できると推定される。
共役系とは、多重結合が2個あるいはそれ以上共役している系のことである。多重結合中のπ電子は単結合を通して相互作用し非局在化している。共役系の構造は、例えば、二重結合および/または三重結合が、単結合、非共有電子対を有する原子または空のp軌道を有する原子により連結された構造である。
第1のオーバーコート層は、さらにポリマーを含有することが好ましい。ポリマーとしては、例えば、保護層として上述したポリマーや、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂などが挙げられる。化合物がポリマー中に分布することで、半導体材料と相互作用する化合物の量や強さを調整でき半導体特性の調整がしやすくなる。
第1のオーバーコート層は、有機ポリマーや電子求引性化合物以外に他の化合物を含有していてもよい。他の化合物としては、例えば、第1のオーバーコート層を塗布で形成する場合における、溶液の粘度やレオロジーを調節するための増粘剤やチクソ剤などが挙げられる。
(第2のオーバーコート層)
第2のオーバーコート層は、第2の領域における半導体素子の半導体層に対してゲート絶縁層が形成された側の反対側に形成される。半導体層に対してゲート絶縁層が形成された側の反対側とは、例えば、半導体層の下側にゲート絶縁層を有する場合は、半導体層の上側を指す。第2のオーバーコート層を形成することにより、例えば、通常はp型半導体特性を示すCNT-FETを、n型半導体特性を示す半導体素子へ転換できる。
第2のオーバーコート層は、窒素原子およびリン原子の中から選ばれるいずれか1種以上を有する電子供与性化合物を含有することが好ましい。そのような有機化合物としてはいかなる有機化合物でもよいが、例えば、アミド系化合物、イミド系化合物、ウレア系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、アニリン系化合物、ニトリル系化合物、アルキルホスフィン系化合物などを挙げることができる。
第2のオーバーコート層は、さらにポリマーを含有することが好ましい。これは、ポリマーにより酸素遮蔽性が高まることに加え、塗布法により第2のオーバーコート層を形成するプロセスにおいて、穏和なアニーリング条件での乾燥による製膜が可能なり、かつ密着性も向上するためである。第2のオーバーコート層に含まれるポリマーとしては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、オレフィンポリマー、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリカーボネート、ビニルアルコール系樹脂、フェノール系樹脂などがあげられる。
第2のオーバーコート層は、電子供与性化合物やポリマー以外に他の化合物を含有していてもよい。他の化合物としては、例えば、第2のオーバーコート層を塗布で形成する場合における、溶液の粘度やレオロジーを調節するための増粘剤やチクソ剤などが挙げられる。窒素原子およびリン原子の中から選ばれるいずれか1種以上を有する電子供与性化合物を含有する組成物を塗布形成する場合、電子供与性化合物がオーバーコート層を形成していないFETにも影響を及ぼしトランジスタ特性を変動させてしまう。詳細なメカニズムは不明だが、塗布形成時の乾燥工程において一部の電子供与性化合物が塗膜から遊離しオーバーコート層を形成していないFETの半導体層に付着するためと考えられる。そのため、これら電子供与性化合物を含有する組成物を第2のオーバーコート層に適用することで、前工程において第1のオーバーコート層にて、第2のオーバーコート層を形成しないFETを保護することができるため、そのトランジスタ特性変動を抑制することができ、半導体装置が安定動作しやすくなる。
第1のオーバーコート層が第1の領域の半導体素子の2個以上にわたって連続する長尺状となるように配置され、第2のオーバーコート層が、その一部が長尺状の第1のオーバーコート層の長辺に沿って第1のオーバーコート層上に重なるように長尺状に配置されるとき、第2のオーバーコート層の幅は、第2のオーバーコート層の厚みに対し10倍以上50倍以下であることが好ましい。第2のオーバーコート層の幅とは、隣接した半導体素子に対して形成された連続する第2のオーバーコート層の、連続する方向に対し直行する方向における第2のオーバーコート層の太さを指す。
第2のオーバーコート層が上記のように長尺状となるように配置される場合は、第2のオーバーコート層の短尺方向の幅が10倍以上50倍以下とすることが好ましい。この範囲とすることで、トランジスタ特性変動を抑制しつつ、回路面積を低減した半導体装置を得ることができる。また、第2のオーバーコート層の柔軟性を確保でき、屈曲時にも半導体層との密着性が良好となる。そのため、半導体素子に折り曲げなどの外力がかかった際に、第2絶縁層に空隙やクラックが発生し、その酸素遮蔽性が低下するといった事象を抑制することができる。
第2のオーバーコート層の厚みは5.0μm以上であることがより好ましい。この範囲の膜厚であることにより、酸素遮蔽性を高めることができトランジスタ特性変動抑制がされやすくなる。また、第2のオーバーコート層の厚みの上限としては30μm以下であることが好ましい。この範囲の膜厚であることで、第2のオーバーコート層の柔軟性がより良好となる。
また、第2のオーバーコート層の厚みの上限を30μm以下とすることは、実施の形態3のように長尺の樹脂基材上に複数の半導体装置が形成されている場合に特に有効である。ロール状に巻き取られた樹脂基材では、第2のオーバーコート層が重なるように巻き取られる。その際、経時変化によりロール内部で巻締まりが発生し、第2のオーバーコート層が擦れて剥がれやすくなるが、第2のオーバーコート層の厚みを30μm以下とすることで、第2のオーバーコート層の柔軟性や屈曲性、密着性が保たれ、剥がれを抑制できるため好ましい。また、この範囲の膜厚にすることで、第2のオーバーコート層が重なりながら巻き取られた際に発生するゲージバンドの発生も抑制することができる。
第2のオーバーコート層の膜厚とは、半導体層と接する面とその反対側の表面までの膜厚を意味する。第2のオーバーコート層の表面が湾曲した形状を有する場合は、半導体層と接する面から垂直方向への最大厚みを第2のオーバーコート層の膜厚とする。第2のオーバーコート層の膜厚の測定はその断面を電子顕微鏡で観察して計測することができる。
第2のオーバーコート層は、半導体層と接する面と反対側の表面が膨らむように湾曲した形状を有することが好ましい。第2のオーバーコート層が連続する長尺状となるように配置される場合は、半導体層上の第2のオーバーコート層の短尺方向の断面において、半導体層と接する面とは反対側の表面が弓なりに湾曲した形状となり、少なくとも半導体層と接する領域上の長尺方向において同様の断面が連続する形状であることが好ましい。
ただし、第2のオーバーコート層の長尺方向の両端近傍においては、必ずしも同様の断面形状を有する必要はなく、長尺方向に湾曲し、徐々に膜厚が低下していても構わない。このように半導体層と接する面とは反対側の表面が膨らむように湾曲した形状を有することで、同じ厚みを有する矩形形状に比べ第2のオーバーコート層の体積を少なくすることができるため、使用する材料量を低減できる。また、第2のオーバーコート層の表面積も少なくすることができるため外気に触れる面積が減少し、酸素遮蔽性を向上させることができる。
第2のオーバーコート層が半導体層と接する面と反対側の表面が膨らむように湾曲した形状を有する場合の断面の例を図7に示す。なお、これらの断面例により本発明が限定されるものではない。図7(a)では第2のオーバーコート層121の表面形状が(楕)円弧形状になっている。図7(b)では第2のオーバーコート層121の表面形状が、第1のオーバーコート層に重なる端部が直線形状をとりつつ上部が(楕)円弧になっている。図7(c)では第2のオーバーコート層121の表面形状が、半径の異なる複数の円弧が組み合ってなる形状になっている。図7(d)では第2のオーバーコート層121の表面形状が、2か所こぶを有するような円弧形状になっている。こぶの数は2か所には限定されず、3か所以上であってもよい。
<半導体装置の適用可能性>
本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、各種電子機器のIC、RFIDタグなどの無線通信装置、ディスプレイ用TFTアレイ、センサ、開封検知システムなどに適用可能である。
<無線通信装置>
次に、本発明の実施の形態に係る製造方法を用いて作製した半導体装置を含む無線通信装置について説明する。この無線通信装置は、例えば商品タグ、万引き防止タグ、各種チケットやスマートカードのような、無線電波を用いて情報の通信を行う装置である。
無線通信装置は、上述の半導体装置と、アンテナと、を少なくとも有するものである。この無線通信装置は、アンテナが受信する無線電波を用いて動作する装置である。無線通信装置の例としては、特に制限はないが、(1)アダプタによる有線接続を用いず非接触でエネルギーの給電を行う給電装置、(2)センシングに用いられるような搬送波を一部変調して電気通信を行う装置、(3)リーダ/ライタに搭載されたアンテナから送信される搬送波を受信することで情報のやりとりを行う装置、などが挙げられる。(3)のより具体的な例としては、商品タグ、万引防止タグ、各種チケットやスマートカードなどの、非接触型タグであるRFID(Radio Frequency IDentification)タグが挙げられる。
無線通信装置の具体的な動作を、RFIDタグを例に挙げて説明する。例えば、図8に示すようなものが挙げられる。これは、アンテナ50で受信した外部からの変調波信号の整流を行い各部に電源を供給する電源生成部と、上記変調波信号を復調して制御回路へ送る復調回路と、制御回路から送られたデータを変調してアンテナに送り出す変調回路と、復調回路で復調されたデータの記憶回路への書込み、および記憶回路からデータを読み出して変調回路への送信を行う制御回路と、で構成され、各回路部が電気的に接続されている。
上記復調回路、制御回路、変調回路、記憶回路は上述の半導体装置を含んでもよく、さらにコンデンサ、抵抗素子、ダイオードを含んでいても良い。上記電源生成部は、コンデンサと、ダイオードとから構成される。
アンテナ、コンデンサ、抵抗素子、ダイオードは、一般的に使用されるものであればよく、用いられる材料、形状は特に限定はされない。また、上記の各構成要素を電気的に接続する材料も、一般的に使用されうる導電材料であればいかなるものでもよい。各構成要素の接続方法も、電気的に導通を取ることができれば、いかなる方法でもよい。各構成要素の接続部の幅や厚みは、任意である。
<商品タグ>
次に、本発明の実施の形態に係る製造方法を用いて作製した半導体装置を含む無線通信装置を含有する商品タグについて説明する。この商品タグは、例えば基体と、この基体によって被覆された上記無線通信装置とを有している。
基体は、例えば、平板状に形成された、紙などの非金属材料によって形成されている。例えば、基体は、2枚の平板状の紙を貼り合わせた構造をしており、この2枚の紙の間に、上記無線通信装置が配置されている。上記無線記憶装置の記憶回路に、例えば、商品を個体識別する個体識別情報が予め格納されている。
この商品タグと、リーダ/ライタとの間で、無線通信を行う。リーダ/ライタとは、無線により、商品タグに対するデータの読み取りおよび書き込みを行う装置である。リーダ/ライタは、商品の流通過程や決済時に、商品タグとの間でデータのやり取りを行う。リーダ/ライタには、例えば、携帯型のものや、レジに設置される固定型のものがある。本発明の実施の形態に係る商品タグに対しては、リーダ/ライタは公知のものが利用できる。
本発明の実施の形態に係る商品タグは、識別情報返信機能を備えている。これは、商品タグが、所定のリーダ/ライタから、個体識別情報の送信を要求するコマンドを受けたときに、自身が記憶している個体識別情報を無線により返信する機能である。リーダ/ライタからの1度のコマンドで、多数の商品タグから、各タグの個体識別情報が送信される。この機能により、例えば、商品の精算レジにおいて、非接触で多数の商品を同時に識別することが可能となる。それゆえ、バーコードでの識別と比較して、決済処理の容易化や迅速化を図ることができる。
また、例えば、商品の会計の際に、リーダ/ライタが、商品タグから読み取った商品情報をPOS(Point of sale system、販売時点情報管理)端末に送信することが可能である。この機能により、POS端末において、その商品情報によって特定される商品の販売登録をすることもできるため、在庫管理の容易化や迅速化を図ることができる。
<センサ>
本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を用いて、各種センサを得ることができる。各種センサとは、例えば、温度、水分、ガス、光、電磁波、放射線、圧力などを検出するセンサが挙げられる。本発明は、上記センサが半導体センサであり、その半導体センサを製造する場合に好適に利用できる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定して解釈されるものではない。実施例における各評価法を以下の[1]~[3]で説明する。
[1]厚みの測定
第2のオーバーコート層の膜厚を測定した。測定には、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて半導体装置内の第2のオーバーコート層が形成された任意のFETの5箇所の断面を観察し、第2のオーバーコート層の厚みをそれぞれ計測し、平均値および標準偏差を算出した。
[2]連続動作の安定性の評価
半導体装置として図9に示す回路図のリングオシレータについて、電源装置(Keysight Technologies社、E36311A)を用いて電源電圧を5V印加し、信号発生器((株)エヌエフ回路設計ブロック、WF1974)を用いて矩形波(1kHz、5V)を入力信号として入力し、オシロスコープ(Keysight Technologies社、DSOX1204A)を用いてその出力波形を大気中(23℃、湿度40%)で観測した。その出力波形の振幅が4.5V以下になった時を動作NGと判断し、入力信号の印加開始から出力波形がNGとなるまでの連続動作時間を下記のように判定した。評価A~Dであれば、連続動作時間が長く、良好な連続動作の安定性を有する半導体装置であるとした。
(連続動作時間)
A:30分以上
B:30分より短く、15分以上
C:15分より短く、10分以上
D:10分より短く、5分以上
E:2分より短く、1分以上
F:1分より短い。
[3]耐屈曲性評価
図11を参照して説明する。半導体装置を形成した基板1について、半導体装置を形成した面上の中央部に直径30mmの金属円柱29を固定し、この円柱に沿って、円柱の抱き角0°(サンプルが平面の状態)の状態に置き(図11(a)参照)、円柱への抱き角が180°(円柱で折り返した状態)となるまで(図11(b)参照)、折り曲げ動作を行った。耐屈曲性は、曲げ動作前後の半導体装置の第1のオーバーコート層および第2のオーバーコート層を光学顕微鏡で観察し、以下の基準で評価を行った。
A(良好):折り曲げ動作を500回繰り返しても第1のオーバーコート層および第2のオーバーコート層に剥がれ、欠けが見られない。
B(可):折り曲げ動作を100回繰り返しても第1のオーバーコート層および第2のオーバーコート層に剥がれ、欠けが見られない。
C(不可):折り曲げ動作の繰り返しが100回未満で、第1のオーバーコート層および第2のオーバーコート層の少なくとも一部に剥がれ、欠けが見られた。
[4]幅の計測
第2のオーバーコート層の幅を測定した。測定には、光学顕微鏡ECLIPSE L200N((株)ニコンインステック製)を用いて、光学顕微鏡を用いて半導体装置内の第2のオーバーコート層が形成された任意のFETの5箇所の幅を観察し、第2のオーバーコート層の幅をそれぞれ計測し平均値を算出した。
調整例1:ポリシロキサン溶液A
3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(SucSi)13.12g(0.05モル)、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(AcrSi)93.73g(0.40モル)およびフェニルトリメトキシシラン(PheSi)109.06g(0.55モル)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、沸点146℃)215.91gに溶解し、これに、水54.90g、リン酸0.864gを撹拌しながら加えた。得られた溶液をバス温105℃で2時間加熱し、内温を90℃まで上げて、主として副生するメタノールからなる成分を留出せしめた。次いでバス温130℃で2時間加熱し、内温を118℃まで上げて、主として水とメタノールからなる成分を留出せしめた後、室温まで冷却し、固形分濃度26.0質量%のポリシロキサン溶液Aを得た。得られたポリシロキサン溶液Aを10gはかり取り、PGMEA0.83gを混合して、室温にて2時間撹拌し、ポリシロキサン溶液A(固形分濃度24質量%)を得た。
調整例2:ゲート絶縁層材料溶液A
ポリシロキサン溶液Aを10gはかり取り、DPHA(商品名「KAYARAD」、日本化薬(株)製;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)を1.04g、OXE-01(商品名「イルガキュア」、BASF(株)製)を0.15gとPGMEA4.60gを混合して、室温にて2時間撹拌し、ネガ型感光性を有する絶縁層材料溶液A(固形分濃度23質量%)を得た。
調整例3:カルボキシル基を有する化合物Aの合成
共重合比率(質量基準):エチルアクリレート(以下、「EA」)/メタクリル酸2-エチルヘキシル(以下、「2-EHMA」)/スチレン(以下、「St」)/グリシジルメタクリレート(以下、「GMA」)/アクリル酸(以下、「AA」)=20/40/20/5/15。
窒素雰囲気の反応容器中に、150gのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下、「DMEA」)を仕込み、オイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、20gのEA、40gの2-EHMA、20gのSt、15gのAA、0.8gの2,2’-アゾビスイソブチロニトリルおよび10gのDMEAからなる混合物を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに6時間重合反応を行った。その後、1gのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加して、重合反応を停止した。引き続き、5gのGMA、1gのトリエチルベンジルアンモニウムクロライドおよび10gのDMEAからなる混合物を、0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間付加反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで、カルボキシル基を有する化合物Aを得た。
調整例4:感光性導電性ペーストA
100mlクリーンボトルに、上記により得られた化合物Aを10g炭素-炭素二重結合を有する化合物であるライトアクリレートBP-4EA(共栄社化学(株)製)を1.5g、光重合開始剤OXE-01(BASFジャパン株式会社製)0.5g、γ-ブチロラクトン(三菱ガス化学株式会社製)を10g入れ、自転-公転真空ミキサー“あわとり練太郎”(登録商標)(ARE-310;(株)シンキー製)で混合し、感光性樹脂溶液22gを得た。得られた感光性樹脂溶液13.0gと、平均粒子径0.20μmのAg粒子30.0gとを混ぜ合わせ、3本ローラー“EXAKT M-50”(商品名、EXAKT社製)を用いて混練し、43gの感光性導電ペーストAを得た。
調整例5:半導体溶液A
半導体溶液の作製では、まず、P3HT(アルドリッチ株式会社製、ポリ(3-ヘキシルチオフェン))を2.0mg含有するクロロホルム溶液(10ml)に、CNT(CNI社製、単層CNT、純度95%)を1.0mg加え、氷冷しながら、超音波ホモジナイザー(東京理化器械株式会社製、VCX-500)を用いて出力20%で4時間超音波撹拌した。これにより、CNT分散液A11(溶媒に対するCNT複合体濃度が0.96g/lのもの)を得た。
つぎに、メンブレンフィルター(孔径10μm、直径25mm、ミリポア社製オムニポアメンブレン)を用いて、上記CNT分散液A11の濾過を行い、長さ10μm以上のCNT複合体を除去した。これによって得られた濾液に、o-DCB(和光純薬工業株式会社製)を5ml加えた後、ロータリーエバポレーターを用いて、低沸点溶媒であるクロロホルムを留去し、これにより、溶媒をo-DCBで置換して、CNT分散液B11を得た。CNT分散液B11(1ml)に、o-DCBを3ml加え、これにより、半導体溶液A(溶媒に対するCNT複合体濃度が0.03g/lのもの)を得た。
調整例6:オーバーコート層溶液A
ポリメチルメタクリレート(富士フィルム和光純薬株式会社製)7.5gをシクロヘキサノン22.5gに溶解し、ポリマー溶液Aを調整した。次に、ポリマー溶液Aにp-ベンゾキノン(東京化成工業株式会社製)0.225gを添加し、ハイブリッドミキサーで処理することで、オーバーコート層溶液Aを得た。
調整例7:オーバーコート層溶液B
p-ベンゾキノンの代わりにp-クロラニル(東京化成工業株式会社製)を用いたこと以外は組成物の調整例7と同様にして、オーバーコート層溶液Bを得た。
調整例8:オーバーコート層溶液C
ポリメチルメタクリレート(富士フィルム和光純薬株式会社製4.5gをN,N-ジメチルホルムアミ25.5gに溶解し、ポリマー溶液Bを調製した。次に、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン(東京化成工業株式会社製)1gをN,N-ジメチルホルムアミド9.0gに溶解し、化合物溶液Aを調製した。ポリマー溶液B13.6gに化合物溶液A6.0gを添加し、オーバーコート層溶液Cを得た。
調整例9:オーバーコート層溶液D
N,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミンの代わりにN,N,N’,N’-テトラメチルベンジジン(東京化成工業株式会社製)を用いたこと以外は調整例8と同様にして、オーバーコート層溶液Dを得た。
調整例10:オーバーコート層溶液E
ポリマー溶液Bの代わりにポリメチルメタクリレート(富士フィルム和光純薬株式会社製10gをN,N-ジメチルホルムアミ20gに溶解し、ポリマー溶液Cを用いた以外は調整例7と同様にして、オーバーコート層溶液Eを得た。
調整例11:オーバーコート層溶液F
ポリマー溶液Bの代わりにポリメチルメタクリレート(富士フィルム和光純薬株式会社製12gをN,N-ジメチルホルムアミ18gに溶解し、ポリマー溶液Dを用いた以外は調整例7と同様にして、オーバーコート層溶液Fを得た。
(実施例1)
実施例1では、図5に示す半導体装置において、回路部が、ボトムゲート-トップコンタクト構造の電界効果型トランジスタを組み合わせてなるリングオシレータを有するタイプの半導体装置を作製した。
本実施例1の半導体装置の作製では、上述した実施の形態2に例示されるように、FETを形成後、第1の領域のFETに対し第1のオーバーコート層を形成することでp型のFETとし、第2の領域のFETに対し第2のオーバーコート層を形成することで、n型のFETとした。そして、それらを含むインバータを形成し、このインバータを用いて、発振回路であるリングオシレータを作製した。
図8は、本実施例1におけるリングオシレータの構成を示す模式平面図である。このリングオシレータ27は、インバータ26を直列に21段分接続することによって構成されるものとした。なお、図8では、リングオシレータ27の構成を簡略に示すために、21個のインバータ26のうち、繰り返しの構成となるインバータ26の図示は省略している。また、これらのインバータ26を各々構成する複数組のFETは、配線(図示せず)によって接続される。
具体的な半導体装置の作製方法を、図10を参照して説明する。まず、PETフィルム製の基板1(幅35mm、長さ120mm、膜厚50μm)上に、抵抗加熱法により、銅を全面に真空蒸着した。その上にフォトレジスト(商品名「LC100-10cP」、ローム・アンド・ハース(株)製)をスリット塗布で全面印刷し、100℃で4分、熱風乾燥炉にて加熱乾燥した。作製したフォトレジスト膜を、ゲート電極3がデザインされたフォトマスクを介して、露光量40mJ/cm(波長365nm換算)で、全線露光を行った。フォトマスクにデザインされたゲート電極幅は50μmとした。露光した後、2.38重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で30秒間現像し、次いで水で1分間洗浄した。その後、混酸(商品名SEA-5、関東化学(株)製)で30秒間エッチング処理した後、水で30秒間洗浄した。フォトレジスト剥離液(商品名AZリムーバ100、メルクパフォーマンスマテリアルズ(株)製)に2分間浸漬してレジストを剥離し、水で30秒間洗浄後、水滴をエアナイフで除去した。その後、80℃で60秒間、熱風乾燥炉にて加熱乾燥することで、ゲート電極3を形成した(図10(a))。
その後、ゲート絶縁層となるゲート絶縁層溶液Aをスピンコート塗布で印刷し、100℃で2分熱風乾燥炉にて加熱乾燥した。作製したゲート絶縁層膜を、フォトマスクを介して、露光量80mJ/cm(波長365nm換算)で、全線露光した。露光した後、2.38重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で30秒間現像し、次いで水で1分間洗浄し、ゲート絶縁層からコンタクトホール部分の電極を露出させた。その後、IR乾燥炉にて窒素雰囲気下150℃で10分間熱処理することによって、膜厚0.5μmのゲート絶縁層4を形成した(図10(b))。
上記のようにゲート絶縁層が形成された基板上において、ゲート電極に対する投影上に位置するゲート絶縁層上に、それぞれ100plの半導体溶液Aをインクジェット法で塗布し、IR乾燥炉で窒素気流下、150℃で30分間の熱処理を行うことによって半導体層5を形成した(図10(c))。
つぎに、上記ゲート絶縁層が形成されたPETフィルム製の基板上に感光性導電性ペーストAをスクリーン印刷にて塗布し、熱風乾燥炉にて100℃で4分間プリベークを行った。その後、ソース電極7、ドレイン電極8がデザインされたフォトマスクを介して、露光量80mJ/cm(波長365nm換算)で全線露光を行った。露光した後、0.5%のNaCO溶液で30秒間現像し、超純水で60秒間洗浄後、IR乾燥炉にて150℃で10分間キュアを行った。これにより、ソース電極7、ドレイン電極8を形成した(図10(d))。ソース電極およびドレイン電極の幅は1000μmとし、これらの電極間の距離は20μmとした。以後、基板1の上側の列を第1の領域10、下側の列を第2の領域20とする。また、第1の領域のFET30と第2の領域のFET40との素子間距離L1は600μmとした。
つぎに、上記半導体層が形成されたPETフィルム製の基板上に、オーバーコート層溶液Aを、第1の領域10の半導体層5上に、半導体層5を覆うようにスクリーン印刷法で長尺状に塗布した。その後、窒素気流下、110℃で30分熱処理して、第1のオーバーコート層11およびダミーパターン31を形成した(図10(e))。
つぎに、上記半導体層が形成されたPETフィルム製の基板上に、オーバーコート層溶液Cを、第2の領域20の半導体層5上に、半導体層5を覆い、かつ一部が第1のオーバーコート層に重なるように、ディスペンサ塗布法で長尺状に塗布した。その後、窒素気流下、110℃で30分熱処理して、第2のオーバーコート層21を形成した(図10(f))。こうして半導体装置を得た。得られた半導体装置を用い、上記評価方法[1]~[3]に従い、評価を行った。[1]~[4]の結果を表1に示す。また、SEMを用いて作製した半導体装置の断面を観察し、第1のオーバーコート層に第2のオーバーコート層が重なっていることを観察した。
Figure 2023123360000002
(実施例2~4)
実施例2~4では、第1のオーバーコート層および第2のオーバーコート層形成時のオーバーコート層溶液を表1に記載のようにそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、半導体装置を作成し、実施例1の[1]~[4]と同様の評価をした。評価結果を、表1に示す。また、SEMを用いて作製した実施例2~4の半導体装置それぞれの断面を観察し、実施例2~4の半導体装置は、第1のオーバーコート層11に第2のオーバーコート層21が重なっていることを観察した。
(実施例5)
実施例5では、第1のオーバーコート層11を形成時にダミーパターン31を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、半導体装置を作成し、実施例1の[1]~[4]と同様の評価をした。評価結果を、表1に示す。また、SEMを用いて作製した実施例5の半導体装置の断面を観察し、実施例5の半導体装置は、第1のオーバーコート層11に第2のオーバーコート層21が重なっていることを観察した。
(実施例6、7)
実施例6、7では、第1の領域のFET30と第2の領域のFET40との素子間距離L1を0.2mm縮めたデザインに変更し、第1のオーバーコート層および第2のオーバーコート層形成時のオーバーコート層溶液を表1に記載のようにそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、半導体装置を作成し、実施例1の[1]~[4]と同様の評価をした。評価結果を、表1に示す。また、SEMを用いて作製した実施例6、7の半導体装置それぞれの断面を観察し、実施例6、7の半導体装置は、第1のオーバーコート層11に第2のオーバーコート層21が重なっていることを観察した。
(実施例8)
実施例8では、第2のオーバーコート層のディスペンサ塗布および熱処理工程を2回繰り返して重ね塗り形成したこと以外は実施例7と同様にして、半導体装置を作成し、実施例1の[1]~[4]と同様の評価をした。評価結果を、表1に示す。また、SEMを用いて作製した実施例8の半導体装置それぞれの断面を観察し、実施例8の半導体装置は、第1のオーバーコート層11に第2のオーバーコート層21が重なっていることを観察した。
(比較例1)
比較例1では、オーバーコート層溶液Cがオーバーコート層11に重ならないように、オーバーコート層溶液Cの濡れ広がりを考慮し、第1の領域のFET30と第2の領域のFET40との素子間距離L1を実施例5よりも0.8mm広げたデザインに変更したこと以外は実施例5と同様にして、半導体装置を作成し、実施例1の[1]~[4]と同様の評価をした。評価結果を、表1に示す。また、SEMを用いて作製した比較例1の半導体装置の断面を観察し、比較例1の半導体装置は、第1のオーバーコート層11に第2のオーバーコート層21が重なっていないことを観察した。比較例1では実施例1と同量の第2オーバーコート層溶液の塗布量では濡れ広がりにより膜厚が薄くなり、かつ膜厚が不均一なため回路の連続動作安定性が不良となった。
(比較例2)
比較例2では、第1の領域のFET30と第2の領域のFET40との素子間距離L1を実施例1よりも1.2mm広げたデザインに変更し、第2のオーバーコート層溶液塗布時の吐出量が実施例1の2倍となるように変更したこと以外は比較例1と同様にして、半導体装置を作成し、実施例1の[1]~[4]と同様の評価をした。評価結果を、表1に示す。また、SEMを用いて作製した比較例2の半導体装置それぞれの断面を観察し、比較例2の半導体装置は、第1のオーバーコート層11に第2のオーバーコート層21が重なっていないことを観察した。比較例2では比較例1同様に第2のオーバーコート層21溶液の濡れ広がりにより、膜厚は不均一であった。また、第2のオーバーコート層は、その膜厚ばらつきの影響が少なくなる程度まで厚く形成されたため、動作安定性は改善したが、材料使用量増加した。回路サイズはL1の広がりに伴い実施例1よりも2倍程度大きくなっていた。
1 基材
2 下部導電膜
3 ゲート電極
4 ゲート絶縁層
5 半導体層
6 上部導電膜
7 ソース電極
8 ドレイン電極
9 樹脂基材
10 第1の領域
11 第1のオーバーコート層
20 第2の領域
21 第2のオーバーコート層
26 インバータ
27 リングオシレータ
29 金属円柱
30 FET
31 ダミーパターン
40 FET
50 アンテナ
101 半導体装置
110 第1の領域
111 第1のオーバーコート層
120 第2の領域
121 第2のオーバーコート層
130 FET
140 FET
201 半導体装置
210 第1の領域
211 第1のオーバーコート層
220 第2の領域
221 第2のオーバーコート層
230 FET
240 FET
301 半導体装置
310 第1の領域
311 第1のオーバーコート層
320 第2の領域
321 第2のオーバーコート層
330 FET
340 FET
401 半導体装置
410 第1の領域
411 第1のオーバーコート層
420 第2の領域
421 第2のオーバーコート層
430 FET
440 FET
501 半導体装置

Claims (15)

  1. 基材上に、少なくとも、半導体素子が2個以上配置される第1の領域と、半導体素子が2個以上配置される第2の領域と、を含み、
    前記第1の領域の半導体素子は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極、前記ソース電極と前記ドレイン電極とに接する半導体層、前記半導体層と前記ゲート電極とを絶縁するゲート絶縁層、および前記ゲート絶縁層とは異なる位置で前記半導体層と接する第1のオーバーコート層、を前記基材上に備え、
    前記第2の領域の半導体素子は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極、前記ソース電極と前記ドレイン電極とに接する半導体層、前記半導体層と前記ゲート電極とを絶縁するゲート絶縁層、および前記ゲート絶縁層とは異なる位置で前記半導体層と接する第2のオーバーコート層と、を前記基材上に備え、
    前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性が相異する、半導体装置の製造方法であって、
    前記第1のオーバーコート層を形成する工程の後に、前記第2のオーバーコート層を、その一部が前記第1のオーバーコート層の上に重なるように形成する工程を有する、
    半導体装置の製造方法。
  2. 前記第1のオーバーコート層と前記第2のオーバーコート層により前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性が相異する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記第1のオーバーコート層が前記第1の領域の半導体素子の2個以上にわたって連続する長尺状となるように配置され、前記第2のオーバーコート層を、その一部が前記長尺状の第1のオーバーコート層の長辺に沿って前記第1のオーバーコート層上に重なるように形成する、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記長尺状の第1のオーバーコート層がストライプ形状となるように配置される、請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記半導体層が、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル、フラーレン、グラフェン、ナノダイヤモンドの中から選ばれるいずれか1種類以上の半導体材料を含有する、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記半導体層がカーボンナノチューブを含有する、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記第2のオーバーコート層が、窒素原子およびリン原子の中から選ばれるいずれか1種以上を有する電子供与性化合物を含有する、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記半導体装置は無線通信装置である、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  9. 基材上に、少なくとも、半導体素子が2個以上配置される第1の領域と、半導体素子が2個以上配置される第2の領域と、を含む半導体装置であって、
    前記第1の領域の半導体素子は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極、前記ソース電極と前記ドレイン電極とに接する半導体層、前記半導体層と前記ゲート電極とを絶縁するゲート絶縁層、および前記ゲート絶縁層とは異なる位置で前記半導体層と接する第1のオーバーコート層、を前記基材上に備え、
    前記第2の領域の半導体素子は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極、前記ソース電極と前記ドレイン電極とに接する半導体層、前記半導体層と前記ゲート電極とを絶縁するゲート絶縁層、および前記ゲート絶縁層とは異なる位置で前記半導体層と接する第2のオーバーコート層と、を前記基材上に備え、
    前記第1のオーバーコート層と前記第2のオーバーコート層により前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性が相異する
    半導体装置であって、
    前記第2のオーバーコート層の一部が前記第1のオーバーコート層の上に重なる、
    半導体装置。
  10. 前記第1のオーバーコート層が前記第1の領域の半導体素子の2個以上にわたって連続する長尺状となるように配置され、前記第2のオーバーコート層が、その一部が前記長尺状の第1のオーバーコート層の長辺に沿って前記第1のオーバーコート層上に重なるように長尺状に配置される、請求項9に記載の半導体装置。
  11. 前記第2のオーバーコート層の厚みに対し、前記第2のオーバーコート層の短尺方向の幅が10倍以上50倍以下である、請求項10に記載の半導体装置。
  12. 前記第2のオーバーコート層の厚みが5μm以上30μm以下である、請求項9~11のいずれかに記載の半導体装置。
  13. 前記第2のオーバーコート層の前記半導体層と接する面とは反対側の表面が膨らむように湾曲した形状を有する、請求項9~11のいずれかに記載の半導体装置。
  14. 前記半導体装置がセンサである、請求項9~11のいずれかに記載の半導体装置。
  15. 請求項9~11のいずれかに記載の半導体装置と、アンテナと、を少なくとも有する無線通信装置。
JP2023015133A 2022-02-24 2023-02-03 半導体装置の製造方法、半導体装置およびそれを有する無線通信装置 Pending JP2023123360A (ja)

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