JP2023121109A - 共重合ポリエステル樹脂及びその製造方法 - Google Patents

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Katsunori Ono
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Abstract

【課題】リン化合物を特定量共重合させた共重合ポリエステル樹脂であって、マスターチップとして用いることが好適であって、ベース樹脂中の分散性に優れるとともに、熱安定性にも優れる共重合ポリエステル樹脂を提供しようとするものである。【解決手段】全酸成分を100モル%とするときに、ジカルボン酸成分を70モル%以上含み、全グリコール成分を100モル%とするときに、エチレングリコールを70モル%以上含むポリエステル樹脂中に、酸成分として特定の有機リン化合物がリン原子の含有量として5000~40000ppmとなる量共重合されており、かつ下記(1)~(4)の特性値を同時に満足する共重合ポリエステル樹脂。(1)ジエチレングリコールの共重合量が10モル%以下(2)ガラス転移温度が70~78℃(3)カルボキシル末端基量が43当量/t以下(4)密度が1.336~1.378g/cm3【選択図】なし

Description

本発明は、特定のリン化合物が特定量共重合され、難燃性、耐加水分解性に優れ、マスターチップとして用いることが好適な共重合ポリエステル樹脂及びその製造方法に関するものである。
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記することがある)はその優れた機械的特性及び化学的特性のため、衣料用、産業用等の繊維(安全ネット、カーテン、エアバッグ、寝具の中綿等、摩擦帯電ろ材)のほか、磁気テープ用、コンデンサー用、印刷受容用、フレキシブルフラットケーブル用に使用される基材フィルムあるいはボトル等の成形物用として広く用いられている。近年、火災予防の観点から合成繊維や各種プラスチック製品への難燃性付与の要請が強まっている。
そして、ポリエステル樹脂に難燃性を付与するにはリン化合物を用いることが行われており、繊維、フィルム、ボトル等を製造する際には、リン化合物が高濃度に添加されたポリエステル樹脂であるマスターチップを使用することが広く行われている。
例えば、特許文献1には、反応型リン系難燃剤として9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキシドに代表される有機リン系化合物を共重合したリン含有量の高い共重合ポリエステル樹脂を難燃マスターチップとすることが示されている。そして、難燃マスターチップを熱可塑性樹脂のベース樹脂に配合して溶融混練し、難燃性を有する樹脂を得る技術が示されている。
また、特許文献2では、30000ppm程度以上の高濃度のリン化合物を共重合により含有するポリエステル樹脂の製造方法であって、高重合度のポリエステル樹脂を得ることが可能であり、重合過程で副生するジエチレングリコールの量を特定の数値以下に抑え、着色の少ない難燃性ポリエステル樹脂を得る方法が提案されている。そして、この難燃性ポリエステル樹脂をマスターチップとして使用することが示されている。
難燃性ポリエステル樹脂をマスターチップとして使用する際には、リン系化合物を高濃度に含有することが必要であり、また、長期保管により経時劣化しないことが必要となる。ポリエステル樹脂中にリン系化合物を共重合させる場合、リン系化合物の共重合量が増えると、得られる共重合樹脂は加水分解が生じやすいものとなる。このような共重合樹脂を難燃マスターチップとして、熱可塑性樹脂のベース樹脂に配合すると、ベース樹脂中への分散性に劣るとともに、ベース樹脂の強度低下を生じやすくなり、得られる繊維、フィルム、成形体等は、強度等の特性値に劣るものとなる。
このため、リン系化合物を高濃度に含有する共重合ポリエステル樹脂の場合、耐加水分解性を有するものとすることが重要である。
特許文献1、2記載の難燃マスターチップでは、特定のリン化合物を高濃度に共重合したポリエステル樹脂が記載されているが、耐加水分解性を十分に有していないものであったため、製造直後は問題なく使用できるが、長期間(例えば1年間)保管した後で使用すると、加水分解が進行しており、ベース樹脂に添加すると、ベース樹脂の強度低下が生じ、強度等の特性値の劣る製品となるという問題があった。
特開2005-194499号公報 WO2013/140947号公報
本発明は、上記の問題点を解決し、リン化合物を特定量共重合させた共重合ポリエステル樹脂であって、マスターチップとして用いることが好適であって、ベース樹脂中の分散性や取扱い性に優れるとともに、長期間保管後であっても加水分解が生じることがなく、経時劣化の少ない共重合ポリエステル樹脂を提供しようとするものである。また、このような本発明の共重合ポリエステル樹脂を得ることができる製造方法を提供しようとするものである。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定のリン化合物を用いて特定の特性値を満足するものとすることにより、リン化合物を高濃度に含有する共重合ポリエステル樹脂でありながら耐加水分解性に優れるとともに、マスターチップとして用いる際にベース樹脂中の分散性に優れるとともに、取扱い性にも優れる共重合ポリエステル樹脂を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の(A)~(B)を要旨とするものである。
(A)全酸成分を100モル%とするときに、ジカルボン酸成分を70モル%以上含み、全グリコール成分を100モル%とするときに、エチレングリコールを70モル%以上含むポリエステル樹脂中に、酸成分として下記式(a)で表わされる有機リン化合物がリン原子の含有量として5000~40000ppmとなる量共重合されており、かつ下記(1)~(4)の特性値を同時に満足することを特徴とする共重合ポリエステル樹脂。
(1)ジエチレングリコールの共重合量が10モル%以下
(2)ガラス転移温度が70~78℃
(3)カルボキシル末端基量が43当量/t以下
(4)密度が1.336~1.378g/cm
(B)(A)記載の共重合ポリエステル樹脂の製造方法であって、
数平均重合度が2~20のエチレンテレフタレートオリゴマー、エチレングリコール及び式(a)で表されるリン化合物を、全グリコール成分/全酸成分のモル比が1.5~2.5となるように添加した条件下で、240~260℃でエステル化反応を行い、続いて温度270~290℃の条件下で重縮合反応を行い、さらに、(ガラス転移温度-15)℃~(ガラス転移温度+70)℃の温度で熱処理することを特徴とする、共重合ポリエステル樹脂の製造方法。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、特定のリン化合物を特定量共重合させることにより十分な難燃性を付与したポリエステル樹脂であり、マスターチップとして使用することが好適なものである。
そして、本発明の共重合ポリエステル樹脂は、ジエチレングリコール量、カルボキシル末端基量が特定数値以下であり、かつガラス転移温度及び密度が特定の範囲であるため、耐加水分解性に優れるとともに、マスターチップとして使用する際には、ベース樹脂への分散性や取扱性に優れるものとなる。このため、マスターチップとして長期保管後も良好に使用することができ、難燃性、強度等の特性値に優れた製品を得ることが可能となる。
そして、本発明の製造方法によれば、上記のような本発明の共重合ポリエステル樹脂を効率よく得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、全酸成分を100モル%とするときに、ジカルボン酸成分を70モル%以上含み、全グリコール成分を100モル%とするときに、エチレングリコールを70モル%以上含むものである。つまり、ポリエステルを構成する繰り返し単位の70モル%以上がエチレンテレフタレート単位である。エチレンテレフタレート単位の割合が70モル%未満であると、ポリエステルに特有の良好な機械的特性や化学的特性が低下する。
中でも、本発明の共重合ポリエステル樹脂は、全酸成分を100モル%とするときに、ジカルボン酸成分を80モル%以上含み、全グリコール成分を100モル%とするときに、エチレングリコールを80モル%以上含むものであることが好ましい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂には、下記式(a)で示されるリン化合物が、酸成分中にポリエステル中のリン原子の含有量として5000~40000ppmとなる量共重合されており、中でもリン原子の含有量は、7000~35000ppmであることが好ましく、さらには、10000~35000ppmであることが好ましい。
上記のリン化合物を用い、かつ後述する(1)~(4)の特性値を満足する共重合ポリエステル樹脂とすることにより、マスターチップとしてベース樹脂中に添加した際の分散性や取扱い性に優れるとともに、加水分解が生じにくく、長期保管後であっても問題なく使用することができるという効果を奏するものとなる。
上記リン化合物の共重合割合がリン原子の含有量として5000ppm未満では、十分な難燃性能が得られない。一方、40000ppmを超えると、得られるポリエステル樹脂の結晶性が低下し、取扱い性が低下する。また、共重合ポリエステルの重合度を十分に上げることが困難となり、繊維用途に使用する場合には、紡糸性が悪くなったり、得られる繊維は強度が低いものとなる。
なお、本発明で使用する式(a)で示されるリン化合物は、嵩高い構造であるため、共重合量を増加させるほど、重縮合が進みにくく、得られる共重合ポリエステル樹脂はまた、カルボキシ末端基量やジエチレングリコールの副生量が増加しやすいものであった。
そして、共重合ポリエステル樹脂のカルボキシル末端基量やジエチレングリコールの副生量が増加すると、加水分解が生じやすい樹脂となり、長期保管後の使用が困難となることが判明した。
式(a)で示されるリン化合物を高濃度に含有し、かつ共重合ポリエステル樹脂のカルボキシル末端基量やジエチレングリコールの副生量が一定数値以下のものとするには、後述する本発明の製造方法を採用することにより、本発明の共重合ポリエステル樹脂を得ることが可能となる。
次に、本発明の共重合ポリエステル樹脂の(1)~(4)の特性値について説明する。(1)の特性値として、全グリコール成分を100モル%とするときに、ジエチレングリコール(以下、DEGと略記することがある )の含有量(共重合量)が、10モル%以下であることが必要である。中でもDEGの含有量は8モル%以下であることが好ましく、さらには7モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることが最も好ましい。なお、本発明の共重合ポリエステル樹脂中のDEGの量は、共重合時に生じる副生成物の量も含まれる。
ポリエステル樹脂中のDEGの量が10モル%を超える場合、耐加水分解性に劣るものとなり、マスターチップとし、長期保管後に使用するとベース樹脂への分散性に劣るとともに、得られる製品は強度等の特性値に劣るものとなる。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、(2)の特性値として、ガラス転移温度(以下、Tgと略記することがある)が70~78℃であり、中でも72~78℃であることが好ましく、さらには73~77℃であることが好ましい。本発明の共重合ポリエステル樹脂は、樹脂中のリン原子の含有量が15000ppm以上である場合には、結晶性が低くなり、融点を有していないものとなるが、ガラス転移温度が上記範囲のものであることで、マスターチップとして使用する際の取扱い性に優れ、ベース樹脂への分散性にも優れ、長期保管後も問題なく使用することが可能となる。
そして、本発明の共重合ポリエステル樹脂は、(3)の特性値として、カルボキシル末端基濃度が43当量/t以下であり、中でも40当量/t以下であることが好ましく、さらには35当量/t以下であることが好ましく、30当量/t以下であることが最も好ましい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、カルボキシル末端基濃度が43当量/t以下であることにより、加水分解が生じにくいものとなる。特に、本発明の共重合ポリエステル樹脂においては、(1)と(3)の特性値を同時に満足することにより、耐加水分解性に優れた性能を有するものとなる。
さらに、(4)の特性値として、密度が1.336~1.378g/cmであることが必要であり、中でも1.340~1.375g/cmであることが好ましい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂において、(4)の特性値を満足することにより、マスターチップとした際に、ベース樹脂中に混練する際の分散性に優れるものとなる。特に溶融紡糸により長繊維や短繊維を得る場合には、マスターチップの分散性が悪い場合、糸切れが生じやすくなり、操業性に劣るものとなる。
長繊維や短繊維を得ることができたとしても、強度、伸度に劣るものとなる。また、このような短繊維を湿式不織布用途に使用すると、糸切れに起因する膠着欠点が発生するため水中での繊維の分散性が劣るものとなる。乾式不織布用途に使用すると、カーディグ工程での操業性が劣るものとなる。射出成形等により成形品を得る場合にも、ベース樹脂への分散性に劣るため、強度等の特性値に劣るものとなりやすい。
上記したように、(1)~(4)の特性値が上記範囲外である場合、耐加水分解性に劣るため、長期保管すると加水分解が生じやすくなり、ベース樹脂中への分散性が悪化し、製品を得る際の操業性が悪化するとともに、得られる製品は強度等の特性値が劣るものとなる。また、ベース樹脂、マスターチップ、必要に応じて顔料等を同時に添加して溶融混練すると、顔料等の無機粒子がベース樹脂とマスターチップからなる樹脂中に均一に分散せず、凝集を生じやすくなる。
また、本発明の共重合ポリエステル樹脂の溶融粘度は、マスターチップとして使用する際には、ベース樹脂の溶融粘度と近い値とすることが好ましく、280℃での溶融粘度が1400dPa・s~2200dPa・sとすることが好ましい。なお、溶融粘度は、フローテスター(島津製作所製、型式CFT-500)にて、ノズル径1.0mm、ノズル長10mmのノズルを用い、剪断速度1000sec-1の時の溶融粘度を測定するものである。
なお、本発明の共重合ポリエステル樹脂は、マスターチップとして使用せず、本発明の共重合ポリエステル樹脂のみを用いて、溶融紡糸や射出成型などを行っても操業性よく、強度等の特性値に優れた製品を得ることができる。
次に、本発明の共重合ポリエステル樹脂の製造方法について説明する。本発明の製造方法においては、エステル化反応、重縮合反応を行うが、これらの反応時の条件を以下の(イ)~(ハ)とすることが、本発明の共重合ポリエステル樹脂を得る際に重要な要素となる。
(イ)数平均重合度が2~20のエチレンテレフタレートオリゴマー、エチレングリコール及び式(a)で表されるリン化合物を、全グリコール成分/全酸成分のモル比が1.3~2.5となるように添加した条件下で、240~260℃でエステル化反応を行い、
(ロ)続いて温度270~290℃の条件下で重縮合反応を行い、
(ハ)さらに、(ガラス転移温度-15)℃~(ガラス転移温度+70)℃の温度で熱処理する。
まず、(イ)の条件は、エチレンテレフタレートオリゴマー、エチレングリコール及び式(a)で表されるリン化合物を用いてエステル化反応を行うが、このとき、エチレンテレフタレートオリゴマーとしては、数平均重合度が2~20のものを使用する。そして、全グリコール成分/全酸成分のモル比が1.3~2.5となるように添加した条件下でエステル化反応を行う。全グリコール成分/全酸成分のモル比は、中でも1.4~2.3であることが好ましい。
全グリコール成分/全酸成分のモル比を上記範囲内にコントロールし、240~260℃でエステル化反応を行うことにより、式(a)に示すリン化合物を5000~40000ppmとなる量共重合させることができるとともに、以降の(ロ)、(ハ)の条件で重縮合反応と熱処理を行うことにより、得られる共重合ポリエステル樹脂は、上記した(1)~(4)の特性値を満足するものとなる。
エステル化反応温度が240℃未満であると反応系内で固化しやすく、エステル化反応が十分に進まなくなるため好ましくない。一方、エステル化反応温度が260℃を超えると熱分解が進みやすく、カルボキシル末端基量の高い共重合ポリエステル樹脂となり、耐加水分解性に乏しいものとなる。
(ロ)の条件は、270~290℃の条件下で重縮合反応を行う。重縮合反応の温度が270℃未満であると重縮合反応が進行せず、共重合ポリエステル樹脂を得ることができない。一方、290℃を超えると、ポリエステル樹脂の熱分解が進みやすく、カルボキシル末端基量の高い共重合ポリエステル樹脂となり、耐加水分解性に乏しいものとなる。
また、得られる共重合ポリエステル樹脂の溶融粘度を調整するには、重縮合反応時の温度や重縮合反応時間を調整することにより可能となる。
(ハ)の条件は、重縮合反応後の共重合ポリエステル樹脂に、(ガラス転移温度-15)℃~(ガラス転移温度+70)℃の温度で熱処理を行う。熱処理工程は、上記温度の範囲であれば、低温度域での予備熱処理を経た後、高温度域での熱処理を行う2段階熱処理を行ってもよい。この条件で熱処理を行うことにより、得られる共重合ポリエステル樹脂の密度を本発明の範囲内に調整することができる。
また、熱処理により得られる共重合ポリエステル樹脂の水分率を50ppm以下にすることが好ましい。
熱処理温度が上記範囲未満であると、ポリエステル樹脂の非晶部分の体積緩和が進みにくくなるため、得られる共重合ポリエステル樹脂の密度が低いものとなる。
一方、熱処理温度が上記範囲を超えるとポリエステル樹脂の非晶部分の体積緩和が進みすぎてしまうためとなり、得られる共重合ポリエステル樹脂の密度が高いものとなる。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、マスターチップとして使用することが好適なものであるが、ベース樹脂としては、ポリエステル樹脂を使用することが好適である。中でも繊維を得る際に使用する場合には、ベース樹脂としては結晶性を有するポリエステル樹脂が好適であり、中でもポリエチレンテレフタレートが好適である。なお、結晶性を有するものであれば、ポリエチレンテレフタレートの酸成分やグリコール成分中に共重合成分を含むものであってもよい。
さらには、ベース樹脂は、上記のような結晶性を有するポリエステル樹脂であれば、ペットボトル等のリサイクルポリエステル原料を用いて得られた再生ポリエステル樹脂であってもよく、本発明の共重合ポリエステル樹脂とともに使用することが可能である。
本発明の共重合ポリエステル樹脂を用いて繊維を製造する場合は、例えば本発明の共重合ポリエステルをベース樹脂中に添加し、溶融紡糸する工程を含む製造方法によって繊維を製造することができる。本発明の共重合ポリエステル樹脂を含有する繊維としては、例えばモノフィラメント、マルチフィラメント等のいずれであってもよく、長繊維、短繊維等のいずれであってもよい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は耐加水分解性に優れるため、難燃繊維用途のベース樹脂にマスターチップとして添加し、ベース中に均一に混練できるとともに、難燃剤が凝集することなく均一に分散した繊維を得ることができるため、操業性、難燃性とともに品位、特性値も優れたものとなる。さらに、必要に応じて顔料等の無機粒子を添加することが可能である。
顔料成分としては、酸化鉄、群青、酸化チタン等の無機系顔料、シアニン系、ポリアゾ系、アンスラキノン系、カーボンブラック、系等の有機系顔料が挙げられる。目的とする発色を得るためには、これらの有色顔料を適宜選定し、単独またはブレンドして使用することができる。また、繊維の摩擦抵抗を低減するために滑剤としてシリカ化合物なども添加することができる。
また、繊維の製造においては、一般的に長繊維(マルチフィラメント)を製造する方が困難度が高いが、本発明の共重合ポリエステル樹脂を用いると、例えば単糸繊度0.3~30デシテックス、単糸数2~300、総繊度5~350、強度1~5cN/デシテックス、伸度10~400%の特性値を有するマルチフィラメントを得ることができる。
短繊維の場合は、例えば単糸繊度0.3~25.0デシテックス、強度1.0~6.0cN/デシテックス、伸度20~200%の特性値を有する短繊維を得ることができる。
次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の各種の特性値等の測定、評価方法は次の通りである。
(a)ポリエステル樹脂の組成
得られたポリエステル樹脂を、重水素化トリフルオロ酢酸と重水素化クロロホルムとの容量比が1/11の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製JNM-ECZ400R/S1型NMR装置にて1H-NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンのピークの積分強度から、共重合成分の種類と含有量を求めた。
(b)リン原子の含有量
得られたポリエステル樹脂を300℃で溶融成形して、直径3cm×厚み1cmの円盤状の成形板とし、リガク社製の蛍光X線分析装置 ZSX Primusを用いて、検量線法により定量分析を行い、含有量を求めた。
(c)カルボキシル末端基濃度
得られた共重合ポリエステル樹脂0.15gをベンジルアルコール10mlに溶解し、この溶液にクロロホルム10mlを加えた後、1/10規定の水酸化カリウムベンジルアルコール溶液で滴定して求めた。
(d)ガラス転移温度
得られた共重合ポリエステル樹脂を、パーキンエルマー社製示差走査型熱量計(Diamond DSC)を用いて、窒素気流中、温度範囲25℃~280℃、昇温(降温)速度20℃/分、試料量8mgで測定した。
(e)溶融粘度
前記した方法により測定した。
(f)密度
得られた共重合ポリエステル樹脂を、島津製作所社製AUX220、SMK-401を用いて5回測定し、得られた数値の最大値と最小値を除いた3点の測定値の平均値とした。
(g)水分率
得られた共重合ポリエステル樹脂(ペレット)を5g採取し、試料とした。カールフィッシャー電量滴定法により水分重量を定量し、下記式により水分率を算出し、単位換算した値を測定値とした。
水分率(μg/g)= A/W
A:試料の水分量(μg)
W:試料重量(g)
(h)繊維製造の操業性(切糸)
溶融紡糸工程における切れ糸回数で操業性を評価した。紡糸量1トンあたりの切れ糸回数が3回未満を合格(○)とし、3回以上を不合格(×)とした。
(i)繊維の強伸度
得られたポリエステル繊維を用い、テンシロンRTC-1210(オリエンテック社製)を用いてJIS L 1013に基づいて測定した。
(j)繊維の難燃性
JIS1091:1999(E-1試験片)に準拠して限界酸素指数(LOI)で評価した。
(k)短繊維の水中分散性
2000cmのビーカーに30℃の水1kgを秤取し、得られた短繊維5.0gを投入し、DCスターラー(攪拌ペラは3枚スクリュー型で直径は約50mm)を用いて回転数500rpm、攪拌時間2分間の条件で攪拌し、攪拌後の分散状態を下記の評価基準で、目視にて判断した。なお、◎~〇であれば合格とした。
評価 結束繊維の数
◎: 0個
○: 0~2個
△: 2~5個
×: 5個以上
(l)成形片引張強度
ISO527に準じたダンベル片を成形して、引張速度5mm/minで引張試験を行った。
(m)成形片の難燃性
127mm×12.7mm×厚み0.3mmの板状試験片を作製し、表1に示すUL94(米国Under Writers Laboratories Inc.で定められた規格)の基準に従って評価した。いずれの基準にも満たない場合は、not V-2 とした。実用上、難燃性はV-1であることが好ましく、V-0であることがより好ましい。
実施例1
〔共重合ポリエステル樹脂の製造〕
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%のエチレンテレフタレートオリゴマー(数平均重合度:5)を得た。
エチレンテレフタレートオリゴマー50.1質量部をエステル化反応器に仕込み、続いて、式(a)で示すリン化合物のエチレングリコール溶液(リン化合物10.9質量部、エチレングリコール6.9質量部)を17.2質量部投入し、混合物を得た。このとき、混合物中の全グリコール成分/全酸成分のモル比(以下、G/Aと略記することがある)が1.42となるように投入した。
そして、温度250℃でエステル化反応を行い、得られた反応生成物を重縮合反応器(以下、PC缶と略記することがある)へ圧送した後、重合触媒として三酸化アンチモンを得られるポリエステル樹脂の酸成分1モルに対して、2.0×10-4mol、PC缶を減圧にして60分後に最終圧力1.0hPa、温度280℃で4時間、重縮合反応を行った。
得られた共重合ポリエステル樹脂をストランド状に払出し、冷却水で冷却した後、カッターでチッピングを行い、ペレット化した。乾燥機を用い、ペレット状の共重合ポリエステル樹脂を80℃にて予備熱処理した後、130℃で熱処理を実施し、マスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を得た。
〔長繊維の製造〕
ベース樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(溶融粘度;1850dPa・s)を58質量部用い、得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂(樹脂の製造から1ヵ月以上経過していないもの)を42質量部用いた。これらをブレンドして同時にエクストルーダー型溶融紡糸機に投入し、温度305℃で溶融混練した後、濾過粒度10μmのフィルターを備えた紡糸ノズル(孔径0.2mm、孔数36ホール)より紡出した。
紡出した糸条を1100m/分の紡糸速度で巻き取り、総繊度274dtexのマルチフィラメント糸(未延伸糸)を得た。その後、延伸倍率3.4倍で延伸を施し、総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)を得た。
〔短繊維の製造〕
ベース樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(溶融粘度;1850dPa・s)を58質量部用い、得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂(樹脂の製造から1ヵ月以上経過していないもの)を42質量部用いた。これらをブレンドして同時にエクストルーダー型溶融紡糸機に投入し、孔吐出量250g/分、紡糸温度290℃、紡糸速度1100m/分で溶融紡糸を行った。得られた未延伸糸を収束し、50ktexのトウとし、延伸温度70℃、延伸倍率3.0倍の条件で延伸した。延伸後、温度120℃のヒートドラムにて熱セットを行い、その後、界面活性剤を塗布した後、5mmにカットし、繊度1.0dtexの短繊維を得た。
〔射出成形体の製造〕
ベース樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(相対粘度;1.360)を58質量部用い、マスターチップとして、得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を42質量部用いた。
これらをブレンドして射出成形機に投入して試験片(ISO527に準じたダンベル片)を成形し、引張強度と難燃性を評価した。
〔加速試験後の繊維の製造〕
得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂に、以下に示す加速試験を行った。そして、加速試験後のマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いた以外は、上記と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維を得た。
(加速試験)
恒温恒湿槽(IX―110、ヤマト科学社製)を用いて、マスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を、温度が50℃、湿度が90%の条件下で1ヵ月処理した。
実施例2
〔共重合ポリエステル樹脂の製造、繊維の製造〕
エステル化反応器に投入する、エチレンテレフタレートオリゴマー、リン化合物、エチレングリコールの量を表2に示すものに変更し、重縮合反応時間を5.5時間に変更した以外は、実施例1と同様にしてマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を得た。
ベース樹脂として、実施例1で用いたポリエチレンテレフタレートを76質量部用い、マスターチップとして、得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を24質量部、カーボンブラックを1質量部用いた以外は、実施例1と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維を得た。
〔射出成形体の製造〕
得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして試験片(ISO527に準じたダンベル片)を成形し、引張強度と難燃性を評価した。
〔加速試験後の繊維の製造〕
得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いた以外は、実施例1と同様の加速試験を行い、加速試験後のマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いて、上記と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維を得た。
実施例3
〔共重合ポリエステル樹脂の製造、繊維の製造〕
エステル化反応器に投入する、エチレンテレフタレートオリゴマー、リン化合物、エチレングリコールの量を表2に示すものに変更し、重縮合反応時間を5時間に変更した以外は、実施例1と同様にしてマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を得た。
ベース樹脂として、実施例1で用いたポリエチレンテレフタレートを71質量部用い、マスターチップとして、得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を29質量部用いた以外は、実施例1と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維を得た。
〔射出成形体の製造〕
ベース樹脂として、実施例1で用いたポリエチレンテレフタレートを71質量部用い、マスターチップとして、得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を29質量部用いた以外は、実施例1と同様にして試験片(ISO527に準じたダンベル片)を成形し、引張強度と難燃性を評価した。
〔加速試験後の繊維の製造〕
得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いた以外は、実施例1と同様の加速試験を行い、加速試験後のマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いて、上記と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維を得た。
実施例4
〔共重合ポリエステル樹脂の製造、繊維の製造〕
エステル化反応器に投入する、エチレンテレフタレートオリゴマー、リン化合物、エチレングリコールの量を表2に示すものに変更し、重縮合反応時間を5.5時間に変更し、ペレット状の共重合ポリエステル樹脂の熱処理を70℃(一段階)で行った以外は、実施例1と同様にしてマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を得た。
ベース樹脂として、実施例1で用いたポリエチレンテレフタレートを77質量部用い、マスターチップとして、得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を23質量部用いた以外は、実施例1と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維を得た。
〔射出成形体の製造〕
ベース樹脂として、実施例1と同様のポリエチレンテレフタレートを77質量部用い、マスターチップとして、得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を23質量部用いた以外は、実施例1と同様にして試験片(ISO527に準じたダンベル片)を成形し、引張強度と難燃性を評価した。
〔加速試験後の繊維の製造〕
得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いた以外は、実施例1と同様の加速試験を行い、加速試験後のマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いて、上記と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維を得た。
実施例5、比較例5、6
〔共重合ポリエステル樹脂の製造〕
エステル化反応温度を表2に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にしてマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を得た。
〔繊維の製造、射出成形体の製造、加速試験後の繊維の製造〕
得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維、試験片の製造を行った。
実施例6、比較例7、8
〔共重合ポリエステル樹脂の製造〕
重縮合反応温度を表2に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にしてマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を得た。
〔繊維の製造、射出成形体の製造、加速試験後の繊維の製造〕
得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維、試験片の製造を行った。
実施例7
〔共重合ポリエステル樹脂の製造、繊維の製造〕
エステル化反応器に投入する、エチレンテレフタレートオリゴマー、リン化合物、エチレングリコールの量を表2に示すものに変更し、重縮合反応時間を3.3時間に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合ポリエステル樹脂を得た。
得られた共重合ポリエステル樹脂のみを用いた以外は、実施例1と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維を得た。
〔射出成形体の製造〕
得られた共重合ポリエステル樹脂のみを用いた以外は実施例1と同様にして試験片(ISO527に準じたダンベル片)を成形し、引張強度と難燃性を評価した。
〔加速試験後の繊維の製造〕
得られた共重合ポリエステル樹脂のみを用いた以外は、実施例1と同様の加速試験を行い、加速試験後の共重合ポリエステル樹脂を用いて、上記と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維を得た。
比較例1
〔共重合ポリエステル樹脂の製造、繊維の製造〕
エステル化反応器に投入する、エチレンテレフタレートオリゴマー、リン化合物、エチレングリコールの量を表2に示すものに変更し、重縮合反応時間を4時間に変更した以外は、実施例1と同様にしてマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を得た。
そして、得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維を得た。
〔射出成形体の製造〕
得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして試験片(ISO527に準じたダンベル片)を成形し、引張強度と難燃性を評価した。
〔加速試験後の繊維の製造〕
得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂に、以下に示す加速試験を行った。そして、加速試験後のマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いた以外は、上記と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維を得た。
比較例2
〔共重合ポリエステル樹脂の製造、繊維の製造〕
エステル化反応器に投入する、エチレンテレフタレートオリゴマー、リン化合物、エチレングリコールの量を表2に示すものに変更し、重縮合反応時間を8時間に変更した以外は、実施例1と同様にしてマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を得た。
そして、得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維を得た。
〔射出成形体の製造〕
得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして試験片(ISO527に準じたダンベル片)を成形し、引張強度と難燃性を評価した。
〔加速試験後の繊維の製造〕
得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂に、以下に示す加速試験を行った。そして、加速試験後のマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いた以外は、上記と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維を得た。
比較例3、4
〔共重合ポリエステル樹脂の製造、繊維の製造〕エステル化反応器に投入する、エチレン グリコールの量を表2に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして共重合ポリエステル樹脂を得た。
そして、得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維を得た。
〔射出成形体の製造〕
得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして試験片(ISO527に準じたダンベル片)を成形し、引張強度と難燃性を評価した。
〔加速試験後の繊維の製造〕
得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂に、以下に示す加速試験を行った。そして、加速試験後のマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いた以外は、上記と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維を得た。
比較例9
〔共重合ポリエステル樹脂の製造〕
乾燥機を用いて熱処理を予備熱処理を行うことなく、60℃で行った以外は、実施例1と同様にしてマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を得た。
〔繊維の製造、射出成形体の製造、加速試験後の繊維の製造〕
得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維試験片の製造を行った。
比較例10
〔共重合ポリエステル樹脂の製造〕
乾燥機を用いて熱処理を、80℃にて予備熱処理をした後、150℃で行った以外は、実施例1と同様にしてマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を得た。
〔繊維の製造、射出成形体の製造、加速試験後の繊維の製造〕
得られたマスターチップ用共重合ポリエステル樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして総繊度82dtexのマルチフィラメント糸(延伸糸)、繊度1.0dtexの短繊維試験片の製造を行った。
実施例1~7、比較例1~10で得られたポリエステル樹脂組成物の特性値、得られたマルチフィラメント糸(長繊維)と短繊維の特性値と操業性の評価、引張強度を表2、3に示す。
なお、実施例1~7、比較例1~10で用いた加速試験前の共重合ポリエステル樹脂は、樹脂の製造から1か月を経過していないものを使用した。
表2、3から明らかなように、実施例1~7で得られた共重合ポリエステル樹脂は、本発明で規定する特性値を満足するものであったため、ベース樹脂中への分散性が良好であり、糸切れが生じることなく溶融紡糸を行うことが可能であった。また、得られた繊維は、強度、伸度に優れており、様々な用途に使用することができるものであった。そして、耐加水分解性に優れており、加速試験後においても、糸切れが生じることなく溶融紡糸を行うことが可能であり、得られた繊維は、強度、伸度に優れていた。短繊維については水中での分散性も良好であった。
一方、比較例1~10で得られた共重合ポリエステル樹脂は、本発明で規定する特性値を満足しないものであっため、ベース樹脂への分散性や耐加水分解性に劣るものであった。

Claims (2)

  1. 全酸成分を100モル%とするときに、ジカルボン酸成分を70モル%以上含み、全グリコール成分を100モル%とするときに、エチレングリコールを70モル%以上含むポリエステル樹脂中に、酸成分として下記式(a)で表わされる有機リン化合物がリン原子の含有量として5000~40000ppmとなる量共重合されており、かつ下記(1)~(4)の特性値を同時に満足することを特徴とする共重合ポリエステル樹脂。
    (1)ジエチレングリコールの共重合量が10モル%以下
    (2)ガラス転移温度が70~78℃
    (3)カルボキシル末端基量が43当量/t以下
    (4)密度が1.336~1.378g/cm

  2. 請求項1記載の共重合ポリエステル樹脂の製造方法であって、
    数平均重合度が2~20のエチレンテレフタレートオリゴマー、エチレングリコール及び式(a)で表されるリン化合物を、全グリコール成分/全酸成分のモル比が1.3~2.5となるように添加した条件下で、240~260℃でエステル化反応を行い、続いて温度270~290℃の条件下で重縮合反応を行い、さらに、(ガラス転移温度-15)℃~(ガラス転移温度+70)℃の温度で熱処理することを特徴とする、共重合ポリエステル樹脂の製造方法。
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