JP2023118403A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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友宏 珍部
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貴彦 堤
Takahiko Tsutsumi
孝志 井上
Takashi Inoue
武 明樂
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Abstract

【課題】自動変速を作動させる作動油の粘性が高くなり、油圧の指示値に対する実圧の追従性が悪化する状況において、駆動力の伝達応答性を向上させ、意図せずエンジンが停止することを回避する。【解決手段】自動変速機の制御装置は、エンジンの動力を車輪に伝達する駆動力伝達経路に配置され、摩擦係合要素の係合状態を変更することで所望の変速段を形成する。摩擦係合要素のうち、走行レンジを形成する走行レンジ形成要素の一部を走行レンジへの切り替え以前に係合させる走行レンジ待機制御部、摩擦係合要素を作動させる作動油の粘度が油圧の指示値に対する応答遅れを生じる応答遅れ状態であるか否かを判定する作動油状態判定部を備える。走行レンジ待機制御部は、応答遅れ状態であると判定されたときに、作動油の油温が閾値以上となった後にブレーキ要素を係合させる油圧の指示値をブレーキ要素の解放状態が維持される油圧から上昇させる。【選択図】図5

Description

本発明は、自動変速機の制御装置に関する。
従来、動力源としてのエンジンの出力を車両の車輪に伝達するための駆動力伝達経路に配置された自動変速機が知られている。自動変速機は、駆動力伝達経路において、駆動力伝達方向に沿ってエンジンよりも下流側に配置されている。自動変速機は、複数の摩擦係合要素の係合状態の組み合わせを変更することで、パーキング(P)レンジやニュートラル(N)レンジといった非走行レンジと前進や後進が可能となる走行レンジとの切り替えを行ったり、任意の変速段を実現したりしている。
自動変速機における摩擦係合要素は、作動油(ATF:Automatic Transmission Fluid)によって作動し、その油圧を制御することによって所望の係合状態となる。自動変速機は、走行レンジを実現するために係合状態とされる複数の摩擦係合要素装置のうちの一部を走行レンジへ移行する操作が行われるタイミングに先行して係合しておくことがある(例えば、特許文献1参照)。自動変速機は、摩擦係合要素としてブレーキ要素を備え、このブレーキ要素やクラッチ要素が走行レンジを実現するために係合状態とされる摩擦係合要素のうちの一部の要素に相当することがある。そして、これらのブレーキ要素やクラッチ要素が、走行レンジへ切り替わるタイミングに先行して係合されることがある。これにより、運転者が走行レンジを選択する操作を行ったときに、自動変速機は応答性良く、即座に走行レンジに切り替わることができ、駆動力の伝達の応答性を向上させることができる。
特開2012-17822号公報
ところで、車両が置かれている環境によっては、自動変速機を制御するための作動油の粘性が高くなり、油圧の指示値に対する実圧の追従性が悪化することがある。ブレーキ要素やクラッチ要素を係合状態とする場合、油圧の指示値を徐々に上昇させることで、これらの要素を滑らかに係合させることができる。しかしながら、油圧の指示値に対する実圧の追従性が悪化した状況では、ブレーキ要素等が意図しないタイミングで突然係合状態となることが想定される。
ここで、自動変速機に含まれる要素の一部はエンジンから延びるエンジン出力軸と連動する状態とされており、その特性によっては、非走行レンジにおいてもエンジン出力軸と連動する要素に影響を及ぼすことがある。このため、ブレーキ要素等の摩擦係合要素が意図しないタイミングで突然係合状態となると、その影響がエンジン出力軸と連動する要素に影響を与え、エンジンが停止することがある。
特許文献1では、このような現象に対する措置は何ら検討されていない。
そこで、本発明は、自動変速を作動させる作動油の粘性が高くなり、油圧の指示値に対する実圧の追従性が悪化する状況において、駆動力の伝達の応答性を向上させると共に、意図せずエンジンが停止することを回避することを目的とする。
上記の目的は、駆動源であるエンジンの動力を車輪に伝達する駆動力伝達経路に配置され、複数の摩擦係合要素の係合状態を変更することで所望の変速段を形成する自動変速機の制御装置であって、複数の前記摩擦係合要素のうち、走行レンジを形成する走行レンジ形成要素の一部を走行レンジへの切り替え以前に係合させる走行レンジ待機制御を行う走行レンジ待機制御部と、前記走行レンジ待機制御を開始するときに、前記摩擦係合要素を作動させる作動油の粘度が油圧の指示値に対する応答遅れを生じる応答遅れ状態であるか否かを判定する作動油状態判定部と、を、備え、前記走行レンジ待機制御部は、前記作動油の粘度が応答遅れ状態であると判定されたときに、前記作動油の油温が予め定められた閾値以上となった後に前記走行レンジ形成要素に含まれるブレーキ要素を係合させる油圧の指示値を当該ブレーキ要素の解放状態が維持される油圧から上昇させる、自動変速機の制御装置によって達成される。
上記の自動変速機の制御装置において、前記走行レンジ待機制御部は、前記作動油の粘度が応答遅れ状態であると判定されたときに、前記作動油の油温が予め定められた閾値以上となると共に、前記作動油の油圧の指示値を係合開始前の状態として待機する予め定められた待機期間が経過した後に前記走行レンジ形成要素に含まれるブレーキ要素を係合させる油圧の指示値を上昇させる態様とすることができる。
また、上記の自動変速機の制御装置において、応答遅れ状態と判定されたときに設定される前記待機期間は、前記走行レンジ待機制御を開始するときの前記作動油の粘度が油圧の指示値に追従する応答追従状態であるときに設定される待機期間よりも長い態様とすることができる。
本明細書開示の発明は、自動変速を作動させる作動油の粘性が高くなり、油圧の指示値に対する実圧の追従性が悪化する状況において、駆動力の伝達の応答性を向上させると共に、意図せずエンジンが停止することを回避することができる。
図1は実施形態の自動変速機の制御装置を備えたハイブリッド車両の構成の一例を模式的に説明する概略図である。 図2(A)は自動変速機の一例を示す骨子図であり、図2(B)は自動変速においてブレーキB2が係合することで回転数変動が生じる要素を示す骨子図であり、図2(C)は自動変速機においてブレーキB2が係合することでイナーシャ変化が生じる要素を示す骨子図である。 図3は図2に示す自動変速機によって実現される変速段と摩擦係合要素の係合解放状態との関係を示す図である。 図4は実施形態の自動変速機の制御装置が実行する制御の一例を示すフローチャートである。 図5は実施形態の自動変速機の制御装置が実行する制御に伴う各値の変化を示すタイムチャートの一例である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては細部が省略されて描かれている場合もある。
(実施形態)
[車両の構成]
図1は、本発明が適用されるハイブリッド車両(以下、単に、「車両」という)1の概略構成図である。車両1は、エンジン12から車輪24までの駆動力伝達経路10と、車両1の各種制御を行うECU(Electronic Control Unit)100を備える。ECU100は、後に詳述するように、自動変速機17の制御装置としての機能を有する。
駆動力伝達経路10には、車両1の車体に固定された非回転部材であるトランスミッションケース11内において、エンジン12に近い側から順に、K0クラッチ13、モータジェネレータ(MG)14、トルクコンバータ15、オイルポンプ16及び自動変速機(A/T)17を備えている。また、駆動力伝達経路には、自動変速機17の出力軸18と連結されたプロペラシャフト19、このプロペラシャフト19に連結された差動歯車装置20、この差動歯車装置20に連結された車軸21を備えている。車軸21は差動歯車装置20の両側に設けられており、それぞれ、車輪24が装着されている。
エンジン12の動力は、K0クラッチ13が係合された場合に、エンジン12とK0クラッチ13とを連結するエンジン出力軸22から、K0クラッチ13、トルクコンバータ15、変速機入力軸23及び自動変速機17へ伝達される。そして、エンジン12の動力は、自動変速機17からプロペラシャフト19、差動歯車装置20及び車軸21を順次介して車輪24へ伝達される。
トルクコンバータ15は、流体式伝動装置であり、ポンプ翼車15aに入力された駆動力を自動変速機17側へ流体を介して伝達する。このポンプ翼車15aは、エンジン12の駆動力をトルクコンバータ15に入力する入力側回転要素であり、K0クラッチ13とエンジン出力軸22とを順次介してエンジン12に連結されている。トルクコンバータ15のタービン翼車15bは、トルクコンバータ15の出力側回転要素であり、自動変速機17の入力回転部材である変速機入力軸23にスプライン嵌合等によって相対回転不能に連結されている。トルクコンバータ15は、ロックアップクラッチ26を備える。ロックアップクラッチ26は、ポンプ翼車15aとタービン翼車15bとの間に設けられた直結クラッチであり、油圧制御により係合状態、スリップ状態及び解放状態とされる。
モータジェネレータ14は、電動機の一例であり、電気エネルギから機械的な駆動力を発生させる発動機としての機能及び機械的なエネルギから電気エネルギを発生させる発電機としての機能を有する。モータジェネレータ14は、エンジン12の代替として、又はエンジン12と共に走行用の駆動力を発生させる走行用駆動力源とすることができる。また、モータジェネレータ14は、エンジン12により発生させられた駆動力や車輪24側から入力される被駆動力(機械的エネルギー)から回生により電気エネルギを発生させ、その電気エネルギを、インバータ60を介して蓄電装置61に蓄積することができる。モータジェネレータ14は、ポンプ翼車15aに連結されており、電動機MGとポンプ翼車15aとの間では、相互に動力が伝達される。これにより、モータジェネレータ14は、エンジン12と同様に、変速機入力軸23に動力伝達可能に連結されている。
オイルポンプ16はポンプ翼車15aに連結された機械式ポンプであり、ロックアップクラッチ26のトルク容量制御、K0クラッチ13の係合及び解放制御、駆動力伝達経路10の各部への潤滑油供給のための作動油圧を発生させる。なお、車両1は、機械式のオイルポンプ16とは別に、電動オイルポンプ51を備えている。電動オイルポンプ51は、オイルポンプ16から作動油圧を得難い状況において作動油圧を得ることができる。
K0クラッチ13は、重ねて配置された複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型の油圧式摩擦係合要素である。K0クラッチ13は、オイルポンプ16が発生する油圧を元圧として設けられた油圧制御回路50によって係合解放制御される。K0クラッチ13は、解放状態において相対回転可能な1対のクラッチ回転部材、つまり、クラッチハブ及びクラッチドラムを備え、そのクラッチ回転部材の一方(クラッチハブ)はエンジン出力軸22に相対回転不能に連結されている。一方、クラッチ回転部材の他方(クラッチドラム)はトルクコンバータ15のポンプ翼車15aに相対回転不能に連結されている。これにより、K0クラッチ13は、係合状態では、エンジン出力軸22を介してポンプ翼車15aをエンジン12と一体的に回転させる。その一方で、K0クラッチ13は、その解放状態では、ポンプ翼車15aとエンジン12との間の動力伝達を遮断する。また、K0クラッチ13は、エンジン12とモータジェネレータ14との間で駆動力伝達経路10を断接する。
自動変速機17は、駆動力伝達経路10において、モータジェネレータ14よりも車輪24側に配置されている。エンジン12とモータジェネレータ14との間には、K0クラッチ13が配置されているが、K0クラッチ13が係合状態となることで、自動変速機17は、エンジン12と連結されエンジン12の駆動力が伝達される状態となる。
自動変速機17は、複数の摩擦係合要素の係合状態を変更することで所望の変速段を形成することができる。自動変速機17における摩擦係合要素は、例えば油圧によって作動するクラッチやブレーキであり、これらの何れかの掴み替えにより(すなわち摩擦係合要素の係合と解放とにより)変速が実行され、複数の変速段(ギヤ段)を選択的に成立させる。本実施形態の自動変速機17は、遊星歯車式多段変速機である。自動変速機17は、公知の車両によく用いられるいわゆるクラッチツゥクラッチ変速を行う有段変速機であり、変速機入力軸23の回転を変速して出力軸18から出力する。この変速機入力軸23は、トルクコンバータ15のタービン翼車15bによって回転駆動されるタービン軸である。自動変速機17では、クラッチ及びブレーキのそれぞれの係合制御により、運転者のアクセル操作や車速V等に応じて所定の変速段が成立させられる。
[走行レンジ形成要素]
図2(A)は、自動変速機17の構成を示している。自動変速機17は、トルクコンバータ15(図1参照)のタービン軸に連結された変速機入力軸23の回転を多段階で変速して出力軸18から出力する。自動変速機17は、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置52、ダブルピニオン型の第2遊星歯車装置54、シングルピニオン型の第3遊星歯車装置56、及びシングルピニオン型の第4遊星歯車装置58を備える。第1遊星歯車装置52及び第2遊星歯車装置54は、いわゆるラビニヨ型の遊星歯車列を構成している。自動変速機17はまた、4つのクラッチC1~C4及び2つのブレーキB1、B2を備えている。
ここで図3を参照すると、自動変速機17において実現される変速段と、各摩擦係合要素の係合状態の組み合わせが示されている。自動変速機17は、摩擦係合要素の係合状態の組み合わせによって変速比γ(=変速機入力回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が異なる前進10速のギヤ段(第1速ギヤ段「1st」~第10速ギヤ段「10th」)を成立させる。変速機入力回転速度NINは変速機入力軸23の回転速度で、出力軸回転速度NOUTは出力軸18の回転速度であり、出力軸回転速度NOUTは車速Vに対応する。自動変速機17は、また、後進段「R」を選択することもできる。
車両1が走行を開始するとき、通常、変速段として1stが選択されるが、図3によれば、変速段としての1stは、クラッチC1、クラッチC2及びブレーキB2が係合状態とされることで実現される。また、車両1が後進するための後進段Rは、クラッチC1、クラッチC3及びブレーキB2が係合状態とされることで実現される。そこで、本明細書では、クラッチC1、クラッチC2及びブレーキB2が前進時の走行レンジ形成要素となる。また、クラッチC1、クラッチC3及びブレーキB2が後進時の走行レンジ形成要素となる。これらのクラッチやブレーキは、油圧制御回路50内のリニアソレノイドバルブ等の調圧によりトルク容量、つまり係合力が変化させられて、係合制御される。
ここで、図2(B)及び図2(C)を参照してブレーキB2の性質について説明する。図2(B)中、太線で示された要素は、ブレーキB2の係合状態が変化することで回転数変動が生じる要素であり、図2(C)中、太線で示された要素は、ブレーキB2の係合状態が変化することでイナーシャ変化が生じる要素である。図2(C)中、太線で示された要素は、変速機入力軸23を含んでいることから、この変速機入力軸23がエンジン出力軸22と連結された状態であると、イナーシャ変化の影響がエンジン12に及ぶことが想定される。このため、ブレーキB2の係合のさせ方によっては、イナーシャ変化の影響がエンジン12に及び、この結果、エンジン12が停止する、いわゆるエンストが起こる可能性がある。
[自動変速機の制御装置]
図1に戻り、車両1が備えるECU100について説明する。ECU100は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えたいわゆるマイクロコンピュータを含む。CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両1の各種制御を実行する。ECU100は、例えば、エンジン12の出力制御、モータジェネレータ14の駆動制御及び回生制御、自動変速機17の変速制御、ロックアップクラッチ26のトルク容量制御、K0クラッチ13のトルク容量制御等を実行する。ECU100は、必要に応じてエンジン制御用や電動機制御用や油圧制御用(変速制御用)等に分けて構成され、本実施形態においては、自動変速機17の制御装置としての機能を有する。以下の説明では、自動変速機17の制御装置としての機能を中心に説明する。
ECU100は、図1において、その機能ブロックが示されているように、シフトポジション判定部101、走行レンジ待機制御部102及び作動油状態判定部103を備えている。
シフトポジション判定部101は、車両1が備えるシフトポジションセンサ63により検出された「P」,「N」,「D」,「R」,「S」ポジション等のシフトレバー64のシフトポジションを判定する。
走行レンジ待機制御部102は、上述した走行レンジ形成要素の一部を走行レンジへの切り替え以前に係合させる走行レンジ待機制御を行う。具体的に、走行レンジ待機制御とは、シフトポジションが「P」や「N」である非走行レンジである状態で、自動変速機17が走行レンジである1st又はRを実現するために係合されるクラッチC2及びブレーキB2を係合しておく制御である。非走行レンジにおいてクラッチC2及びブレーキB2を係合しておくことで、例えばその後に「D」ポジションとされたときにクラッチC1を係合すれば、前進するための走行レンジ形成要素の全てが係合状態となり、車両1は即座に前進することができる。また、非走行レンジにおいてクラッチC2及びブレーキB2を係合しておくことで、例えばその後に「R」ポジションとされたときにクラッチC3を係合すれば、後進するための走行レンジ形成要素の全てが係合状態となり、車両1は即座に後進することができる。
作動油状態判定部103は、外気温センサ53により計測される外気温の値や、油温センサ50aにより計測される油温の値に基づき、自動変速機17を作動させる作動油の粘度が油圧の指示値に対する応答遅れを生じる応答遅れ状態であるか、または、油圧の指示値に追従する応答追従状態であるかを判定する。車両1が置かれている環境の温度に起因して作動油の温度が低下し、作動油の粘度が高くなると、作動油の流動性は低下して油圧の指示値に対する応答遅れが生じるようになる。
作動油の粘度が応答遅れ状態となっているときに、仮に、走行レンジ待機制御部102が走行レンジ待機制御を実行し、ブレーキB2を係合させるための油圧の指示値を出力すると、実油圧の上昇が油圧の指示値に対して遅れることが想定される。そこで、走行レンジ待機制御部102は、作動油状態判定部103の判定結果を考慮して、走行レンジ待機制御の内容を変更する。以下、図4及び図5を参照して、走行レンジ待機制御について説明する。
[走行レンジ待機制御]
図5に示すタイムチャートを参照すると、時刻t1において、エンジン12を始動させるためのスタータ駆動指令が出されるものとする。図5に示すタイムチャートに表れている時間帯において、シフトポジションは「P」又は「N」の非走行レンジである。ECU100は、スタータ駆動指示が出されたタイミングで走行レンジ待機制御を開始する。なお、エンジン12は、時刻t1でクランキングによって回転を開始し、時刻t2から時刻t3にかけて完爆に向けて回転数を上昇させる。そして、時刻t4以後は、アイドリング回転数を維持する。また、ECU100は、時刻t3においてK0クラッチ13に対して係合指示を出す。モータジェネレータ14の回転数は時刻t3から上昇し始め、時刻t4においてエンジン回転数と一致する。
ECU100は、ステップS1において、エンジン12が極低温時始動であるか否かを判定する。ここで、極低温時始動とは、車両1が自動変速機17の作動油が応答遅れ状態となる環境下で始動することを意味しており、本実施形態では、外気温センサ53によって計測された外気温が、予め設定された外気温閾値以下である場合に、極低温時始動と判定される。外気温閾値は、予めシミュレーションや実機による適合により、作動油が応答遅れを生じる状態となる外気温を調べておき、これに基づいて設定されている。ステップS1において、外気温に基づく極低温時始動判定に代えて、作動油の油温に基づいて極低温時始動であるか否かを判定するようにしてもよい。
ECU100は、ステップS1において肯定判定(Yes判定)をした場合、ステップS2へ進む。ECU00は、ステップS2において、極低温時待機制御を選択する。一方、ECU100は、ステップS1において否定判定(No判定)をした場合、ステップS3へ進む。ECU100は、ステップS3において、通常待機制御を選択する。
ここで、再び図5を参照すると、ECU100は、スタータ駆動指示が終了する時刻t3において、電動オイルポンプ(EOP)51の駆動指示を行う。電動オイルポンプ51の駆動指示が、スタータ駆動指示が終了した後に行われるのは、スタータの駆動と電動オイルポンプ51の駆動は、双方、電力消費を伴うため、これらが同じタイミングで駆動されることを回避するためである。電動オイルポンプ51の駆動指示が行われる期間は、時刻t3から時刻t5までである。これは、時刻t4でブレーキB2の係合油圧指示が出されるためである。時刻t4においてエンジン12は稼働し始めているが、機械式のオイルポンプ16(図1参照)が作動し、オイルが吐出されるようになるまでにタイムラグがある。そこで、時刻t3から時刻t4の間において電動オイルポンプ51を稼働させている。
ECU100は、ステップS2で選択した極低温時待機制御において、予め定められた待機期間が経過するまで、ブレーキB2を係合させる油圧の指示値の上昇を待機する。本実施形態では、時刻t4から時刻t8までの期間が待機期間として設定されている。この待機期間は、作動油の応答遅れが解消される期間として、予めシミュレーション又は実機による適合により設定されている。図5を参照すると、待機期間の初期である時刻t4から時刻t5における油圧の指示値は、その後の油圧の指示値よりも高い値とされている。これは、時刻t4までの期間において作動油は流動していないことから、流動していない作動油が流動し始めるように高めの指示値を与えるためである。この指示値の指令は、後に説明する通常待機制御においても同様に実施される。時刻t4から時刻t8までの油圧の指示値は、ブレーキB2の係合が開始される前の状態、つまり、この状態からさらに油圧を上昇させることで、ブレーキB2の係合が徐々に開始される値に設定されている。なお、この状態は、パック詰め状態と称されることがある。
ECU100は、ステップS2に引き続いて実施するステップS4において、待機期間が経過したか否か、つまり、時刻t8が経過したか否かを判定する。ECU100は、ステップS4で肯定判定した場合、ステップS5へ進む。一方、ECU100は、ステップS4で否定判定した場合、ステップS4で肯定判定するまでステップS4の処理を繰り返す。
ECU100は、ステップS5において、油温センサ50aの検出値に基づいて作動油の油温(ATF油温)が予め定めた閾値以上であるか否かを判定する。この閾値は、作動油の応答遅れが生じない油温として予め設定されている。図5を参照すると、時刻t7において、作動油の油温が閾値よりも高くなっている。このように作動油の油温が閾値よりも高くなった場合に、ECU100は、ステップS5において肯定判定を行う。ECU100は、ステップS5において肯定判定した場合、ステップS6へ進む。一方、ECU100は、ステップS5で否定判定した場合、ステップS5で肯定判定するまでステップS5の処理を繰り返す。ステップS5における作動油の油温は、作動油の油温と相関性を有する値を用いて推定するようにしてもよい。作動油の油温は、例えば、外気温、エンジン12の稼働時の作動油の油温、作動油が循環する流路に蓄積されていた熱量、エンジン12を循環する冷却水の温度の変化等に基いて推定される値を用いる等、従来公知の方法により推定できる。
なお、図5に示す例では、時刻t8よりも早いタイミングである時刻t7において作動油の油温が閾値を超えた例を示しているが、時刻t8よりも遅れたタイミングで油温が閾値を超える場合もある。また、本実施形態では、作動油の油温が閾値を超えたか否かと、待機期間が経過したか否かの二つの判定項目を設定しているが、これらの判定項目のいずれか一方のみを設定するようにしてもよい。また、ステップS4とステップS5は、その順番を問わず、ステップS4とステップS5の順番を入れ替えてもよいし、同時に実行するようにしてもよい。
ECU100は、ステップS6において、ブレーキB2を係合状態とするために、ブレーキB2を係合するための油圧の指示値を徐々に上昇させる。具体的に、時刻t8から油圧の指示値を徐々に上昇させる。時刻t8では、作動油の応答遅れが生じる状態が解消し、指示値への実圧の追従性が確保されているため、ブレーキB2が意図しないタイミングで突然係合状態となり、エンジン12が停止することが回避される。
一方、ECU100は、ステップS3で選択した通常待機制御においても、予め定められた待機期間が経過するまで、ブレーキB2を係合させる油圧の指示値の上昇を待機する。通常待機制御を実施する場合、作動油の粘度は油圧の指示値に追従する応答追従状態である。このため、通常待機制御における待機期間は、極低温時待機制御における待機期間よりも短い時刻t4から時刻t6までの期間が設定されている。つまり、極低温時待機制御では、通常待機制御よりも長い待機期間が設定されている。なお、時刻t4から時刻t6の期間は、ブレーキB2の係合を開始することができるパック詰めが完了する期間として設定されている。
ECU100は、ステップS3に引き続いて実施するステップS7において、待機期間が経過したか否か、つまり、時刻t7が経過したか否かを判定する。ECU100は、ステップS7で肯定判定した場合、ステップS6へ進む。一方、ECU100は、ステップS7で否定判定した場合、ステップS7で肯定判定するまでステップS7の処理を繰り返す。ステップS6の処理の内容はステップS5を経た場合と同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
ステップS6において、ブレーキB2の係合を開始することで、ブレーキB2はその後、係合状態となる。なお、ここでは、説明を省略したが、クラッチC2についても係合状態としておく。クラッチC2については、その構造上、イナーシャ変化を生じさせることがなく、仮に、急激に結合状態となってもエンジン12を停止させることがない。そのため、クラッチC2は、ブレーキB2を係合させるときのような格別の制御をすることなく、係合状態とすることができる。
本実施形態では、自動変速機17は、このように非走行レンジにおいて、走行レンジ形成要素の一部であるクラッチC2とブレーキB2を走行レンジへの切り替え以前に係合させておく。そして、自動変速機17は、その後にシフトポジションが例えば「D」レンジに変更されたときに、即座にクラッチC1を結合すると、1stの変速段を実現し、車両1を即座に走行状態とすることができる。また、自動変速機17は、シフトポジションが「R」レンジに変更されたときに、属座にクラッチC3を結合すると、後進段Rを実現し、車両1を即座に後進状態とすることができる。
[効果]
本実施形態では、自動変速機17が備える複数の摩擦係合要素のうち、走行レンジを形成する走行レンジ形成要素の一部であるクラッチC2とブレーキB2を走行レンジへの切り替え以前に係合させる。このため、駆動力の伝達の応答性が高い。また、ブレーキB2を作動させる作動油が応答遅れ状態にあるときに、作動油の油温が閾値以上となった後にブレーキB2を係合させる油圧の指示値を上昇させる。これにより、ブレーキB2が急激に結合状態となり、エンジン12を停止させることが回避される。
上記実施形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
1 ハイブリッド車両(車両) 10 駆動力伝達経路
11 トランスミッションケース 12 エンジン
13 K0クラッチ 14 モータジェネレータ
15 トルクコンバータ 17 自動変速機(A/T)
18 出力軸 19 プロペラシャフト
20 作動歯車装置 21 車軸
22 エンジン出力軸 23 変速機入力軸
24 車輪 50 油圧制御回路
50a 油温センサ 51 電動オイルポンプ(EOP)
53 外気温センサ 63 シフトポジションセンサ
100 制御装置(ECU) 101 シフトポジション判定部
102 走行レンジ待機制御部 103 作動油状態判定部

Claims (3)

  1. 駆動源であるエンジンの動力を車輪に伝達する駆動力伝達経路に配置され、複数の摩擦係合要素の係合状態を変更することで所望の変速段を形成する自動変速機の制御装置であって、
    複数の前記摩擦係合要素のうち、走行レンジを形成する走行レンジ形成要素の一部を走行レンジへの切り替え以前に係合させる走行レンジ待機制御を行う走行レンジ待機制御部と、
    前記走行レンジ待機制御を開始するときに、前記摩擦係合要素を作動させる作動油の粘度が油圧の指示値に対する応答遅れを生じる応答遅れ状態であるか否かを判定する作動油状態判定部と、
    を、備え、
    前記走行レンジ待機制御部は、前記作動油の粘度が応答遅れ状態であると判定されたときに、前記作動油の油温が予め定められた閾値以上となった後に前記走行レンジ形成要素に含まれるブレーキ要素を係合させる油圧の指示値を当該ブレーキ要素の解放状態が維持される油圧から上昇させる、
    自動変速機の制御装置。
  2. 前記走行レンジ待機制御部は、前記作動油の粘度が応答遅れ状態であると判定されたときに、前記作動油の油温が予め定められた閾値以上となると共に、前記作動油の油圧の指示値を係合開始前の状態として待機する予め定められた待機期間が経過した後に前記走行レンジ形成要素に含まれるブレーキ要素を係合させる油圧の指示値を上昇させる、
    請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
  3. 応答遅れ状態と判定されたときに設定される前記待機期間は、前記走行レンジ待機制御を開始するときの前記作動油の粘度が油圧の指示値に追従する応答追従状態であるときに設定される待機期間よりも長い、
    請求項2に記載の自動変速機の制御装置。
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