JP2023116861A - ウエーハの加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウエーハの分割予定ラインに対応した内部に改質層を形成した場合であっても、分割予定ラインが蛇行したり、ウエーハに反りが生じたり、デバイスが保護シートから剥離したり、個々のデバイスに分割する際にデバイスの一部に欠け(チッピング)が生じたりするという問題が生じないウエーハの加工方法を提供する。【解決手段】複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて表面に形成されたウエーハを個々のデバイスチップに分割するウエーハの加工方法であって、ウエーハの表面に保護シートを配設する保護シート配設工程と、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を分割予定ラインに対応する内部に位置付けて照射して分割の起点となる改質層を分割予定ラインに沿って内部に形成する改質層形成工程と、を少なくとも備え、該改質層形成工程において、ウエーハの表面に配設された保護シートを加熱し柔軟性を持たせ、改質層の形成によって生じる膨張を許容する。【選択図】図3
Description
本発明は、複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて表面に形成されたウエーハを個々のデバイスチップに分割するウエーハの加工方法に関する。
IC、LSI等の複数のデバイスが、分割予定ラインによって区画されて表面に形成されたウエーハは、ダイシング装置、レーザー加工装置によって個々のデバイスチップに分割され、携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
レーザー加工装置は、ウエーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハの分割予定ラインにレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段と、から概ね構成されていて、ウエーハに形成された分割予定ラインに沿ってレーザー加工を施すことができる。
レーザー加工装置を使用して個々のデバイスチップに分割する場合、例えば、ウエーハの表面に保護シートを配設し、該保護シート側をチャックテーブルに保持してウエーハの裏面側からウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を分割予定ラインに対応する内部に位置付けて照射して、分割予定ラインに沿った内部に改質層を形成する(例えば特許文献1を参照)。
上記した特許文献1に記載のレーザー加工装置によって、ウエーハの分割予定ラインに対応した内部に沿って改質層を形成すると、該改質層が膨張し、該膨張に伴いウエーハには、微小な変形が生じる。しかし、保護シートに貼着され保持されたウエーハは、該保護シートの作用によって位置の変化が規制され、該改質層の膨張に伴うウエーハの変化に追従できず、分割予定ラインが蛇行したり、ウエーハに反りが生じたりし、さらには、デバイスが保護シートから剥離したり、デバイスの一部に欠け(チッピング)が生じたりするという問題がある。
ウエーハの表面に貼着される保護シートは、粘着層が全面に存在するタイプの保護シート、外周に粘着層がありデバイスの領域に粘着層が存在しないタイプの保護シート、粘着層を備えず熱圧着によりウエーハの表面に貼着されるタイプの保護シート等が存在するが、いずれのタイプにおいても、多かれ少なかれ上記した問題は生じ得る。特に、デバイスの電極にバンプ(電極突起)が配設されたウエーハにおいては、該バンプが、保護シートの貼着面に食い込むことで、改質層の膨張に伴うウエーハの変化に追従できず、上記の問題が生じやすい。
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、レーザー光線を照射することにより、ウエーハの分割予定ラインに対応した内部に改質層を形成した場合であっても、分割予定ラインが蛇行したり、ウエーハに反りが生じたり、デバイスが保護シートから剥離したり、個々のデバイスに分割する際にデバイスの一部に欠け(チッピング)が生じたりするという問題が生じないウエーハの加工方法を提供することにある。
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて表面に形成されたウエーハを個々のデバイスチップに分割するウエーハの加工方法であって、ウエーハの表面に保護シートを配設する保護シート配設工程と、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を分割予定ラインに対応する内部に位置付けて照射して分割の起点となる改質層を分割予定ラインに沿って内部に形成する改質層形成工程と、を少なくとも備え、該改質層形成工程において、ウエーハの表面に配設された保護シートを加熱し柔軟性を持たせ、改質層の形成によって生じる膨張を許容するウエーハの加工方法が提供される。
該保護シート配設工程の後、該改質層形成工程の前にウエーハの裏面を研削して所望の厚みに仕上げる研削工程を備え、該研削工程において、ウエーハの表面に配設された保護シートを該加熱時よりも低い温度状態として硬化させ、該改質層形成工程のときと比べウエーハの保持力を強化することができる。また、該改質層形成工程の後、ウエーハの裏面を研削して所望の厚みに仕上げると共に、個々のデバイスチップに分割する分割工程を備え、該分割工程において、ウエーハの表面に配設された保護シートを該加熱時よりも低い温度状態として硬化させ、該改質層形成工程のときと比べウエーハの保持力を強化することができる。さらに、該保護シート配設工程において、該保護シートは、熱圧着シートであることが好ましい。
本発明のウエーハの加工方法は、複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて表面に形成されたウエーハを個々のデバイスチップに分割するウエーハの加工方法であって、ウエーハの表面に保護シートを配設する保護シート配設工程と、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を分割予定ラインに対応する内部に位置付けて照射して分割の起点となる改質層を分割予定ラインに沿って内部に形成する改質層形成工程と、を少なくとも備え、該改質層形成工程において、ウエーハの表面に配設された保護シートを加熱し柔軟性を持たせ、改質層の形成によって生じる膨張を許容するものであることから、レーザー光線を照射することにより、ウエーハの分割予定ラインに対応した内部に改質層を形成した場合であっても、分割予定ラインが蛇行したり、ウエーハに反りが生じたり、デバイスの剥離、チッピング等が発生したりすることが防止される。
以下、本発明に基づいて構成されるウエーハの加工方法に係る実施形態について、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1には、本実施形態のウエーハの加工方法によって加工されるウエーハ10と、ウエーハ10の表面10aに貼着される保護シートTが示されている。ウエーハ10は、例えば、シリコン(Si)のウエーハであり、複数のデバイス12が分割予定ライン14によって区画され表面10aに形成されている。また、右方側にウエーハ10の一部を拡大して示すように、ウエーハ10のデバイス12に配設される複数の電極には、突起形状をなす複数のバンプ16が形成されている。
本実施形態のウエーハの加工方法を実施するに際しては、図1に示すように、ウエーハ10の表面10aに保護シートTを配設し、ウエーハ10と保護シートTとを一体とする(保護シート配設工程)。保護シート配設工程によって配設される保護シートTの種類、及びウエーハ10に保護シートTを配設する方法は特に限定されず、例えば、粘着層が全面に存在するタイプの保護シート、外周に粘着層がありデバイスの領域に粘着層が存在しないタイプの保護シート、粘着層を備えず熱圧着によりウエーハの表面に貼着されるタイプの保護シートのいずれかから選択することができる。
図1に加え、図2も参照しながら、該保護シート配設工程においてウエーハ10に配設される保護シートTが、熱圧着シートである場合について説明する。該熱圧着シートは、例えば、ポリオレフィン系シート、又はポリエステル系シートであり、ポリオレフィン系シートである場合は、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリスチレンシートのいずれかから選択されることが好ましい。また、該熱圧着シートが、ポリエステル系シートである場合は、ポリエチレンテレフタレートシート、ポリエチレンナフタレートシートから選択されることが好ましい。上記の各熱圧着シートは、加熱することで軟化すると共に粘着力を発揮するシートである。本実施形態では、保護シートTが、ポリエチレンシートである場合について説明する。
図1に示すように、ウエーハ10の表面10aにポリエチレンシートからなる保護シートTを合わせ、図2に示す熱圧着装置20に搬送する。本実施形態の熱圧着装置20は、上面が平坦なテーブル22と、加熱ローラ24とを備えている。加熱ローラ24は、内部に図示を省略する加熱ヒータ及び温度センサを備えており、加熱ローラ24の表面を所望の温度に制御することができる。熱圧着ローラ24は、図示を省略する支持手段によって支持され、保護シートTが粘着力を発揮しても保護シートTが加熱ローラ24を巻き込まないように、表面にフッ素樹脂がコーティングされている。
ウエーハ10を上記の熱圧着装置20に搬送したならば、保護シートTが貼着された側を上方に、裏面10b側を下方に向けて、テーブル22の上面に載置する。次いで、加熱ローラ24の上記した加熱ヒータを作動し、加熱ローラ24の表面を、保護シートTを構成するポリエチレンシートの溶融温度(120℃~140℃)近傍まで加熱し、ウエーハ10上の保護シートTの手前側端部に位置付けて上方から押圧する。次いで、加熱ローラ24を矢印R1で示す方向に回転させると共に、矢印R2で示す方向に移動させて、ウエーハ10の表面10aに保護シートTを熱圧着して一体とする。該保護シート配設工程が完了した後は、該加熱ヒータの作動は停止され、保護シートTの温度は、熱圧着装置20が配設された室温(例えば23℃)まで低下する。なお、保護シートTとして、粘着層が全面に存在するタイプの保護シート、外周に粘着層がありデバイスの領域に粘着層が存在しないタイプの保護シートが選択された場合は、加熱する必要がないことから、ウエーハ10の表面10aに載置した後に、上方から押圧するのみで、保護シート配設工程が完了する。
上記したように保護シート配設工程を実施しウエーハ10と保護シートTとを一体としたならば、図3に示すレーザー加工装置30(一部のみを示している)に搬送する。レーザー加工装置30は、図3(a)に示す保持手段32と、保持手段32に保持されるウエーハ10にレーザー光線LBを照射するレーザー光線照射手段34(図3(b)を参照)とを備えている。保持手段32は、通気性を有するポーラス材からなる吸着チャック32aと、該吸着チャック32aを囲繞して支持する枠体32bとを備えている。レーザー光線照射手段34は、ウエーハ10に対して透過性を有する波長のレーザー光線LBを照射する手段であり、集光器34aによってレーザー光線LBを集光し、保持手段32に保持されるウエーハ10に照射する。該枠体32bには、図示を省略する吸引源が接続され、吸着チャック32aの上面に負圧を生成する。また、本実施形態の保持手段32には、加熱手段36が配設されている。該加熱手段36は、吸着チャック32aの内部、又は吸着チャック32aと枠体32bとの間に内蔵される加熱ヒータであり、図示を省略する電力供給源に接続されて、吸着チャック32aの上面を所望の温度(例えば35~50℃)に加熱することができる。レーザー加工装置30は、保持手段32とレーザー光線照射手段34とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、保持手段32とレーザー光線照射手段34とを相対的にX軸方向と直交するY軸方向に加工送りするY軸送り手段と、該保持手段を回転させる回転駆動手段とを備えている(いずれも図示は省略する)。
レーザー加工装置30に搬送されたウエーハ10は、保護シートTが熱圧着された表面10a側が下方に向けられ、保持手段32に載置されて、吸引保持される。次いで、保持手段32に配設された加熱手段36を作動して、ウエーハ10の表面10aに配設された保護シートTを加熱する。この保護シートTを加熱する際の温度は、保護シートTが十分な柔軟性を発揮する温度であり、例えばT=50℃とする。次いで、保持手段32に保持されたウエーハ10について、レーザー加工装置30に配設されたアライメント手段(図示は省略する)を用いてアライメントが実施され、表面10aに形成された分割予定ライン14の位置を検出する。尚、該アライメント手段は、赤外線を照射してウエーハ10の裏面10b側から表面10aに形成された分割予定ライン14を検出する手段であり、検出された分割予定ライン14の位置の情報は、図示しない制御手段に記憶される。
次いで、制御手段に記憶された分割予定ライン14の位置情報に基づき、上記の回転駆動手段によって保持手段32を回転して所定方向の分割予定ライン14をレーザー加工装置30のX軸方向に整合させる。所定方向の分割予定ライン14の加工開始位置の直上にレーザー光線照射手段34の集光器34aを位置付け、ウエーハ10の分割予定ライン14に対応する内部にレーザー光線LBの集光点を位置付けて照射し、図3(b)に示すように、保護シートTに対して熱エネルギーQを与えて加熱しながら、保持手段32と共にウエーハ10をX軸方向に加工送りしてウエーハ10の分割予定ライン14に沿って分割の起点となる改質層100を形成する。尚、上記した実施形態では、アライメントを、保持手段32を加熱した後に実施するように説明したが、保持手段32を加熱する前に実施してもよい。
該所定の分割予定ライン14に沿って改質層100を形成したならば、ウエーハ10をY軸方向に分割予定ライン14の間隔だけ割り出し送りして、Y軸方向で隣接する未加工の分割予定ライン14を集光器34aの直下に位置付ける。そして、上記したのと同様にしてレーザー光線LBの集光点をウエーハ10の分割予定ライン14に対応する内部に位置付けて照射し、ウエーハ10をX軸方向に加工送りして改質層100を形成する。同様にして、ウエーハ10をX軸方向、及びY軸方向に加工送りして、X軸方向に沿うすべての分割予定ライン14に沿って改質層100を形成する。次いで、ウエーハ10を90度回転させて、既に改質層100を形成した分割予定ライン14に直交する方向の未加工の分割予定ライン14をX軸方向に整合させる。そして、残りの各分割予定ライン14に対応する内部に、上記したのと同様にしてレーザー光線LBの集光点を位置付けて照射して、ウエーハ10の表面10aに形成された全ての分割予定ライン14に沿って改質層100を形成する(改質層形成工程)。なお、上記の実施形態では、ウエーハ10に配設された保護シートTを加熱し柔軟性を持たせる手段として、保持手段32に配設した加熱手段36を使用する例を示したが、保護シートTを加熱して柔軟性を持たせる手段はこれに限定されない。例えば、レーザー加工装置30において保持手段3が配設される領域は、通常、密閉された空間に形成されるものであることから、ウエーハ10を保持する保持手段3が配設される空間を加熱することで、該保護シートTを加熱するようにしてもよい。
上記した改質層形成工程によって複数の改質層100が形成されることにより、改質層100が形成された分割予定ライン14が膨張し、ウエーハ10の形態が変化する。本実施形態では、上記したように、改質層形成工程を実施する際に、保護シートTが温められて柔軟性を有する状態とされている。これにより、改質層100の膨張に起因するウエーハ10の形態の変化が許容されて、分割予定ライン14が蛇行したり、ウエーハに反りが生じたり、デバイスの剥離、チッピング等が発生したりすることが防止される。
本発明は、上記した改質層形成工程を実施する前に、ウエーハ10の裏面10bを研削して所望の厚みに仕上げる研削工程を備えることを含み、上記した改質層形成工程を実施した後に、ウエーハ10の裏面10bを研削して所望の厚みに仕上げると共に、個々のデバイスチップに分割する分割工程を備えることを含む。以下に、該研削工程、及び該分割工程について説明する。
上記した保護シート配設工程の後であって、改質層形成工程を実施する前に、ウエーハ10の裏面10bを研削して所望の厚みに仕上げる研削工程を実施する。より具体的には、保護シート配設工程が施され、保護シートTと一体にされたウエーハ10を、図4に示す研削装置40(一部のみを示している)に搬送する。図4(a)、(b)に示すように、研削装置40は、チャックテーブル42と、チャックテーブル42に吸引保持されたウエーハ10の裏面10bを研削するための研削手段44と、を備えている。チャックテーブル42は、通気性を有するポーラス材で形成された吸着チャック42aと、該吸着チャック42aを囲繞して保持する枠体42bとを備えている。該枠体42bには、図示を省略する吸引源が接続され、該吸引源を作動することで、吸着チャック42aの上面に負圧を生成する。研削手段44は、図示しない回転駆動機構により回転させられる回転スピンドル44aと、回転スピンドル44aの下端に装着されたホイールマウント44bと、ホイールマウント44bの下面に取り付けられる研削ホイール44cと、研削ホイールの下面に環状に配設された複数の研削砥石44dと、を備えている。
研削装置40にウエーハ10を搬送したならば、図4(a)に示すように、ウエーハ10の裏面10b側を上方に、保護シートT側を下方に向けてチャックテーブル42上に載置して、吸引保持する。次いで、図4(b)に示すように、研削手段44の回転スピンドル44aを矢印R3で示す方向に、例えば3000rpmで回転させつつ、チャックテーブル42を矢印R4で示す方向に、例えば300rpmで回転させる。そして、図示しない研削水供給手段により、研削水をウエーハ10の裏面10b上に供給しつつ、研削砥石44dをウエーハ10の裏面10bに当接し、研削ホイール44cを、例えば0.1μm/秒の研削送り速度で、矢印R5で示す方向に下降させて研削送りする。この際、図示しない測定ゲージによりウエーハ10の厚みを測定しながら研削を進めることができ、ウエーハ10の裏面10bを所定量研削してウエーハ10を所定の厚さとする。ウエーハ10が所定の厚さになったならば、研削手段40を停止し、洗浄、乾燥処理等を経て、ウエーハ10の裏面10bを研削する研削工程が完了する。
ここで、上記の研削工程を実施する際には、ウエーハ10の表面10aに配設された保護シートTを、上記した改質層形成工程を実施する際に実施される加熱時よりも低い温度状態として硬化させ、改質層形成工程のときに比してウエーハの保持力が強化された状態とする。上記した加熱時よりも低い温度状態とは、例えば、保護シートTの温度が20~25℃となる状態である。ウエーハ10を、改質層形成工程を実施する際に実施される加熱時よりも低い温度状態として保護シートTを硬化させて、ウエーハ10を保持する保持力を強化した状態とする手段は特に限定されない。該手段としては、例えば、チャックテーブル42内に20℃程度に冷却された冷却水を循環させる循環路を形成して、吸着チャック42aの上面が常に20℃になるように維持し、保護シートT=20℃とする手段を採用することができる。また、他の手段としては、研削装置40のチャックテーブル42が配設される空間の温度が20℃になるように調整して、ウエーハ10の表面10aに貼着された保護シートTが20℃で維持されるように冷却するものであってもよい。
上記した実施形態によれば、改質層形成工程を実施する際にウエーハ10の表面10aに配設された保護シートTを加熱し柔軟性を持たせ、改質層100の形成によって生じる膨張を許容する状態としつつ、その前に実施される研削工程においては、保護シートTを、改質層形成工程を実施する際の加熱時よりも低い温度状態として硬化させ、該改質層形成工程のときに比してウエーハ10の保持力を強化している。これにより、研削工程において、ウエーハ10が保護シートT上で動いたり、保護シートTから剥がれたりすることが防止されると共に、改質層形成工程を実施する際には、改質層100の膨張に起因するウエーハ10の形態の変化が許容されて、分割予定ライン14が蛇行したり、ウエーハに反りが生じたり、デバイスの剥離、チッピング等が発生したりすることが防止される。
上記した改質層形成工程を実施した後、ウエーハ10の裏面10bを研削して所望の厚みに仕上げると共に、該改質層100を起点として、個々のデバイスチップに分割する分割工程を実施する。該分割工程について、図5を参照しながら説明する。
改質層形成工程を実施した後に実施される分割工程は、上記した研削工程において使用された研削装置40を使用することができる。上記した改質層形成工程が実施され、分割の起点となる改質層100を分割予定ライン14に沿って内部に形成されたウエーハ10は、図5に示す研削装置40(図4に示した研削装置40と同一であり、一部のみを示し、詳細についての説明は省略する)に搬送され、保護シートT側を下方に向けて、チャックテーブル42に載置されて吸引保持される。
次いで、図5(a)に示すように、研削手段44の回転スピンドル44aを矢印R3で示す方向に、例えば3000rpmで回転させつつ、チャックテーブル42を矢印R4で示す方向に、例えば300rpmで回転させる。そして、図示しない研削水供給手段により、研削水をウエーハ10の裏面10b上に供給しつつ、研削砥石44dをウエーハ10の裏面10bに当接し、研削ホイール44cを、例えば0.1μm/秒の研削送り速度で、矢印R5で示す方向に下降させて研削送りする。この際、図示しない測定ゲージによりウエーハ10の厚みを測定しながら研削を進めることができ、ウエーハ10の裏面10bを所定量研削して、ウエーハ10を所定の仕上がり厚みとする。このような研削を実施することにより、ウエーハ10には外力が付与されて、図5(b)に示すように、前記の改質層100を起点としてウエーハ10が個々のデバイスチップ12’に分割される(分割工程)。そして、研削手段40を停止し、洗浄、乾燥処理等を経て、適宜の次工程を実施する装置、例えば、ピックアップ工程を実施するピックアップ装置に搬送される。
ここで、上記の分割工程を実施する際には、ウエーハ10の表面10aに配設された保護シートTを、上記した改質層形成工程を実施する際に実施される加熱時よりも低い温度状態として硬化させ、改質層形成工程のときに比してウエーハの保持力が強化された状態とする。上記した加熱時よりも低い温度状態とは、上記した研削工程時と同様に、例えば、保護シートTの温度が20~25℃となる状態である。ウエーハ10を、改質層形成工程を実施する際に実施される加熱時よりも低い温度状態として保護シートTを硬化させて、ウエーハ10を保持する保持力を強化した状態とする手段としては、例えば、チャックテーブル42内に20℃程度に冷却された冷却水を循環させる循環路を形成して、吸着チャック42aの上面が常に20℃になるように維持し、保護シートT=20℃とする手段を採用することができる。また、他の手段としては、研削装置40のチャックテーブル42が配設される空間の温度が20℃になるように調整して、ウエーハ10の表面10aに貼着された保護シートTが20℃で維持されるように冷却するものであってもよい。
上記した実施形態によれば、改質層形成工程を実施する際に、改質層100の膨張に起因するウエーハ10の形態の変化が許容されて、分割予定ライン14が蛇行したり、ウエーハに反りが生じたり、デバイスの剥離、チッピング等が発生したりすることが防止されると共に、改質層形成工程を実施した後に実施される分割工程においては、保護シートTを、改質層形成工程を実施する際の加熱時よりも低い温度状態として硬化させ、該改質層形成工程のときに比してウエーハ10の保持力を強化している。これにより、上記の分割工程において、ウエーハ10が保護シートT上で動いたり、保護シートTから剥がれたりすることが防止される。
10:ウエーハ
10a:表面
10b:裏面
12:デバイス
12’:デバイスチップ
14:分割予定ライン
20:熱圧着装置
22:テーブル
24:加熱ローラ
30:レーザー加工装置
32:保持手段
32a:吸着チャック
32b:枠体
34:レーザー光線照射手段
34a:集光器
36:加熱手段
40:研削装置
42:チャックテーブル
42a:吸着チャック
42b:枠体
44:研削手段
44a:回転スピンドル
44b:ホイールマウント
44c:研削ホイール
44d:研削砥石
100:改質層
T:保護シート
10a:表面
10b:裏面
12:デバイス
12’:デバイスチップ
14:分割予定ライン
20:熱圧着装置
22:テーブル
24:加熱ローラ
30:レーザー加工装置
32:保持手段
32a:吸着チャック
32b:枠体
34:レーザー光線照射手段
34a:集光器
36:加熱手段
40:研削装置
42:チャックテーブル
42a:吸着チャック
42b:枠体
44:研削手段
44a:回転スピンドル
44b:ホイールマウント
44c:研削ホイール
44d:研削砥石
100:改質層
T:保護シート
Claims (4)
- 複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて表面に形成されたウエーハを個々のデバイスチップに分割するウエーハの加工方法であって、
ウエーハの表面に保護シートを配設する保護シート配設工程と、
ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を分割予定ラインに対応する内部に位置付けて照射して分割の起点となる改質層を分割予定ラインに沿って内部に形成する改質層形成工程と、
を少なくとも備え、
該改質層形成工程において、ウエーハの表面に配設された保護シートを加熱し柔軟性を持たせ、改質層の形成によって生じる膨張を許容するウエーハの加工方法。 - 該保護シート配設工程の後、該改質層形成工程の前にウエーハの裏面を研削して所望の厚みに仕上げる研削工程を備え、
該研削工程において、ウエーハの表面に配設された保護シートを該加熱時よりも低い温度状態として硬化させ、該改質層形成工程のときと比べウエーハの保持力を強化する請求項1に記載のウエーハの加工方法。 - 該改質層形成工程の後、ウエーハの裏面を研削して所望の厚みに仕上げると共に、個々のデバイスチップに分割する分割工程を備え、
該分割工程において、ウエーハの表面に配設された保護シートを該加熱時よりも低い温度状態として硬化させ、該改質層形成工程のときと比べウエーハの保持力を強化する請求項1に記載のウエーハの加工方法。 - 該保護シート配設工程において、該保護シートは、熱圧着シートである請求項1から3のいずれかに記載のウエーハの加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022019197A JP2023116861A (ja) | 2022-02-10 | 2022-02-10 | ウエーハの加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023116861A true JP2023116861A (ja) | 2023-08-23 |
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ID=87579787
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JP2022019197A Pending JP2023116861A (ja) | 2022-02-10 | 2022-02-10 | ウエーハの加工方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023116861A (ja) |
-
2022
- 2022-02-10 JP JP2022019197A patent/JP2023116861A/ja active Pending
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