JP2023111767A - 積層フィルム、ラミネート紙容器および蓋材付き容器 - Google Patents

積層フィルム、ラミネート紙容器および蓋材付き容器 Download PDF

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Abstract

【課題】ガスバリア性に優れるとともに、紙容器などの被着体の形状への低温での成形加工性(追従性)に優れる積層フィルムを提供する。【解決手段】第1の表層と、ガスバリア層と、第2の表層としての接着層とをこの順に備え、ガスバリア層が、融点が175℃以下であり、エチレン由来の構成単位の含有割合が35モル%以上であるガスバリア性樹脂を含有する、積層フィルム。【選択図】図1

Description

本開示は、積層フィルム、ラミネート紙容器および蓋材付き容器に関する。
近年、プラスチックによる海洋汚染問題などの環境問題は、大きな社会課題となっている。包装分野においては、環境配慮の観点から、包装材料のプラスチック使用量の削減や、プラスチック容器から紙容器への変更、リサイクル性の向上などが求められている。紙容器については、廃棄物の減容化が可能であり、プラスチック容器の代替として注目されている。
紙容器の内容物の保存性を向上させるため、ガスバリア性を有するフィルムが紙容器の内面にラミネートされている(特許文献1参照)。ラミネートされたフィルムを紙容器から剥離することにより、紙容器とフィルムとを分別して廃棄することが可能であり、リサイクル性に優れる。
特開2020-146996号公報
紙容器の内面にフィルムをラミネートする際には、フィルムを加熱して軟化させ、真空成形または加圧成形などの成形手法で容器へ密着させている。従来のフィルムは、ガスバリア性を付与するため、エチレン-ビニルアルコール共重合体およびナイロンなどの高融点のガスバリア性樹脂を含有するガスバリア層を備える。この場合、容器形状への追従性または容器への密着性という観点から、高融点のガスバリア性樹脂を加熱軟化させる必要があり、フィルムは例えば200℃超の温度で成形されている。しかしながら、フィルムを高温で成形すると、加熱部材へのフィルムの溶着やピンホールの発生が問題となることがある。このような観点から、本開示者らは低温での成形を検討したが、この場合、フィルムの成形加工性(追従性)が充分ではなかった。
本開示の課題は、ガスバリア性に優れるとともに、紙容器などの被着体の形状への低温での成形加工性(追従性)に優れる積層フィルムを提供することにある。
本開示の積層フィルムは、第1の表層と、ガスバリア層と、第2の表層としての接着層とをこの順に備え、ガスバリア層が、融点が175℃以下であり、エチレン由来の構成単位の含有割合が35モル%以上であるガスバリア性樹脂を含有する。
本開示によれば、ガスバリア性に優れるとともに、紙容器などの被着体の形状への低温での成形加工性(追従性)に優れる積層フィルムを提供できる。本開示の積層フィルムは、紙容器だけでなく、各種の被着体に対しても適用することができる。
図1は、積層フィルムの一実施形態の模式断面図である。 図2は、積層フィルムの一実施形態の模式断面図である。 図3は、積層フィルムの一実施形態の模式断面図である。 図4は、一実施形態の蓋材付き紙製容器を示す垂直断面図である。 図5は、一実施形態の紙製容器を示す斜視図である。 図6は、一実施形態の紙製容器を示す平面図である。 図7は、一実施形態の紙製容器を作製するためのブランク材を示す展開図である。 図8は、一実施形態の紙製容器の製造方法を示す断面図である。 図9は、一実施形態の紙製容器の製造方法を示す断面図である。 図10は、一実施形態の紙製容器の製造方法を示す断面図である。 図11は、一実施形態の紙製容器の第1変形例を示す斜視図である。 図12は、第1変形例を作製するためのブランク材を示す展開図である。 図13は、一実施形態の紙製容器の第2変形例を示す斜視図である。 図14は、第2変形例を作製するためのブランク材を示す展開図である。 図15は、一実施形態の紙製容器の第3変形例を示す斜視図である。 図16は、第3変形例を作製するためのブランク材を示す展開図である。 図17は、第3変形例を作製するためのブランク材の他の例を示す展開図である。 図18は、第3変形例を作製するためのブランク材の他の例を示す展開図である。 図19は、一実施形態の紙製容器を示す垂直断面図である。
以下、図面を参照して本実施形態について説明する。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術的思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ紙製容器を正立させた状態(図4)における上方および下方のことをいう場合がある。なお、本明細書中、「表面」とは、内容物と向かい合う側の面、または紙製容器を正立させた際に上方を向く面のことをいう場合がある。
以下の説明において、登場する各成分(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィン、α-オレフィン、低温成形性樹脂、接着性樹脂およびガスバリア性樹脂などの各種樹脂、アンチブロッキング剤、ならびに添加剤)は、それぞれ1種用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
[積層フィルム]
本開示の積層フィルムは、第1の表層と、ガスバリア層と、第2の表層としての接着層とをこの順に備える。ガスバリア層は、融点が175℃以下であり、エチレン由来の構成単位の含有割合が35モル%以上であるガスバリア性樹脂を含有する。
積層フィルムは、該フィルムに優れた成形加工性を付与する中間層をさらに備えてもよい。積層フィルムは、例えば中間層とガスバリア層との密着性を向上させる層間密着層をさらに備えてもよい。
図1~図3に、本開示の積層フィルムの一実施形態を示す。
図1の積層フィルム100は、第1の表層110と、ガスバリア層116と、第2の表層としての接着層118とをこの順に備える。積層フィルム100において、第1の表層110は一方の最外層であり、接着層118は、他方の最外層である。積層フィルム100を紙容器などの被着体に貼付する際に、接着層118は、被着体に接する層である。
図2の積層フィルム100は、第1の表層110と、中間層112と、層間密着層114と、ガスバリア層116と、第2の表層としての接着層118とをこの順に備える。図3の積層フィルム100は、第1の表層110と、第1の中間層112aと、第1の層間密着層114aと、ガスバリア層116と、第2の層間密着層114bと、第2の中間層112bと、第2の表層としての接着層118とをこの順に備える。
<第1の表層>
本開示の積層フィルムは、第1の表層を備える。
第1の表層は、一実施形態において、ポリオレフィンを含有する。
ポリオレフィンは、少なくとも、オレフィン由来の構成単位を有する重合体であり、オレフィン由来の構成単位のみを有してもよく、オレフィン由来の構成単位と、それ以外のモノマー由来の構成単位とを有してもよい。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンが好ましい。本開示においてポリエチレンとは、全繰返し構成単位中、エチレン由来の構成単位の含有割合が50モル%以上の重合体をいう。この重合体において、エチレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。上記含有割合は、NMR法により測定できる。
本開示において、ポリエチレンは、エチレンの単独重合体でもよく、エチレンと、エチレン以外のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体でもよい。エチレン以外のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンおよび6-メチル-1-ヘプテン等の炭素数3以上20以下のα-オレフィン;酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニル等のビニルモノマー;(メタ)アクリル酸;ならびに(メタ)アクリル酸メチルおよび(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンが挙げられる。
本開示において、上記ポリエチレンの密度は以下のとおりである。
高密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.945g/cm3以上である。高密度ポリエチレンの密度の上限は、例えば0.965g/cm3である。中密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.928g/cm3以上0.945g/cm3未満である。低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3以上0.928g/cm3未満である。直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3以上0.928g/cm3未満である。超低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3未満である。超低密度ポリエチレンの密度の下限は、例えば0.860g/cm3である。ポリエチレンの密度は、JIS K7112、特にB法またはD法(23℃)、に準拠して測定する。
低密度ポリエチレンは、通常、高圧重合法によりエチレンを重合して得られるポリエチレン(高圧法低密度ポリエチレン)である。直鎖状低密度ポリエチレンは、通常、低圧重合法(例:チーグラー・ナッタ触媒またはメタロセン触媒を用いた重合法)によりエチレンおよび少量のα-オレフィンを重合して得られるポリエチレンである。
密度または分岐が異なるポリエチレンは、重合方法を適宜選択することによって得られる。例えば、重合触媒として、チーグラー・ナッタ触媒などのマルチサイト触媒、またはメタロセン触媒などのシングルサイト触媒を用いて、気相重合、スラリー重合、溶液重合および高圧イオン重合のいずれかの方法により、1段または2段以上の多段で重合を行うことが好ましい。
シングルサイト触媒とは、均一な活性種を形成しうる触媒であり、通常、メタロセン系遷移金属化合物または非メタロセン系遷移金属化合物と活性化用助触媒とを接触させることにより、調製される。シングルサイト触媒は、マルチサイト触媒に比べて、活性点の構造が均一であるため、高分子量かつ均一度の高い構造を有する重合体を得ることができるため好ましい。シングルサイト触媒としては、メタロセン触媒が好ましい。メタロセン触媒は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第IV族の遷移金属化合物と、助触媒と、必要により有機金属化合物と、必要により担体とを含む触媒である。遷移金属化合物における遷移金属としては、例えば、ジルコニウム、チタンおよびハフニウムが挙げられ、ジルコニウムおよびハフニウムが好ましい。
本開示において、ポリエチレンとしては、バイオマス由来のポリエチレン(以下「バイオマスポリエチレン」ともいう)を用いてもよい。すなわち、ポリエチレンを得るための原料として、化石燃料から得られるエチレン等に代えて、バイオマス由来のエチレン等を用いてもよい。バイオマスポリエチレンは、カーボンニュートラルな材料であるため、積層フィルムによる環境負荷を低減できる。バイオマスポリエチレンは、例えば、特開2013-177531号公報に記載されている方法により製造できる。市販されているバイオマスポリエチレンを使用してもよい。ポリエチレンとしては、メカニカルリサイクルまたはケミカルリサイクルによりリサイクルされたポリエチレンを用いてもよい。これにより、積層フィルムによる環境負荷を低減できる。
第1の表層は、一実施形態において、紙容器の内容物と接する層である。
紙容器用積層フィルムは、例えば、真空成形または加圧成形により紙容器にラミネートするに際して、熱板等の加熱部材で加熱軟化させた後に成形して、紙容器に密着させる。また、紙容器の内容物を加熱する際に、紙容器ごと電子レンジで加熱することが主流となっている。したがって、第1の表層の耐熱性は高いことが好ましい。
第1の表層は、耐熱性および成形加工性のバランスの観点から、直鎖状低密度ポリエチレンを含有することが好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンを含有することがより好ましい。これにより、例えば、積層フィルムの耐熱性を向上でき、例えば電子レンジでの加熱に耐えうるラミネート紙容器を良好に製造できる。また、例えば第1の表層と後述する蓋材とを良好にヒートシールできる。
第1の表層に含まれる直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3以上0.928g/cm3未満、より好ましくは0.915g/cm3以上0.928g/cm3未満である。
第1の表層を構成するポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、製膜性および加工性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上50g/10分以下、より好ましくは0.2g/10分以上30g/10分以下、さらに好ましくは0.3g/10分以上10g/10分以下、特に好ましくは0.5g/10分以上5.0g/10分以下である。ポリエチレンのMFRは、JIS K7210:1999に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定する。
例えばインフレーション法により積層フィルムを製造する場合、第1の表層を構成するポリエチレンのMFRは、製膜性および加工性という観点から、好ましくは0.5g/10分以上5.0g/10分以下である。例えばTダイ法により積層フィルムを製造する場合、第1の表層を構成するポリエチレンのMFRは、製膜性および加工性という観点から、好ましくは3.0g/10分以上20g/10分以下である。
第1の表層を構成するポリエチレンの融点(Tm)は、耐熱性という観点から、好ましくは100℃以上140℃以下、より好ましくは105℃以上140℃以下、さらに好ましくは108℃以上140℃以下である。ポリエチレンのTmは、JIS K7121に準拠した示差走査熱量測定(DSC)により得られる融解ピーク温度である。
第1の表層は、ポリエチレン等のポリオレフィンを主成分として、すなわちポリエチレン等のポリオレフィンを50質量%超の割合で含有することが好ましい。第1の表層におけるポリエチレン等のポリオレフィンの含有割合は、第1の表層の総質量に対して、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。これにより、例えば、積層フィルムの耐熱性および成形加工性を向上できる。
第1の表層における直鎖状低密度ポリエチレンの含有割合は、一実施形態において、第1の表層の総質量に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上または90質量%以上である。これにより、例えば、積層フィルムの耐熱性および成形加工性のバランスをより向上できる。
第1の表層が低密度ポリエチレンをさらに含有する場合は、第1の表層における直鎖状低密度ポリエチレンの含有割合は、第1の表層の総質量に対して、好ましくは40質量%以上80質量%以下、より好ましくは45質量%以上75質量%以下、さらに好ましくは50質量%以上70質量%以下である。これにより、例えば、積層フィルムの耐熱性および成形加工性のバランスをより向上できる。
第1の表層における低密度ポリエチレンの含有割合は、第1の表層の総質量に対して、好ましくは20質量%以上60質量%以下、より好ましくは25質量%以上55質量%以下、さらに好ましくは30質量%以上50質量%以下である。これにより、例えば、積層フィルムの耐熱性および成形加工性のバランスをより向上できる。
第1の表層は、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、架橋剤、アンチブロッキング剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、染料および改質用樹脂が挙げられる。
第1の表層の厚さは、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上40μm以下、さらに好ましくは15μm以上30μm以下である。これにより、例えば、積層フィルムの耐熱性および剛性のバランスを向上できる。第1の表層の厚さが下限値以上であると、例えば、ラミネート紙容器に蓋材を熱シールした場合に充分なシール強度を得ることができる。
積層フィルム全体の厚さに対する第1の表層の厚さの割合は、好ましくは5%以上40%以下、より好ましくは10%以上35%以下、さらに好ましくは15%以上30%以下である。厚さの割合が下限値以上であると、例えば、ラミネート紙容器に蓋材を熱シールした場合に充分なシール強度を得ることができる。
一実施形態において、第1の表層は、本開示の積層フィルムの一方の最外層を構成する。一実施形態において、本開示の積層フィルムを紙容器の表面に密着成形した場合に、第1の表層は、紙容器中に収容される内容物と接する層である。
第1の表層は、電子線照射されていてもよい。これにより、例えば、第1の表層の架橋密度を向上でき、その結果、積層フィルムの耐熱性が向上し、より高温短時間で加熱ラミネートが可能となる。電子線照射の吸収線量は、例えば、20kGy以上130kGy以下である。
<中間層>
本開示の積層フィルムは、一実施形態において、中間層を備える。中間層は、一実施形態において、積層フィルムに優れた成形加工性(例えば容器形状への追従性)を付与する層である。以下、中間層を「成形層」ともいう。
成形層は、低温で成形できる樹脂(以下「低温成形性樹脂」ともいう)を含有することが好ましい。これにより、例えば、積層フィルムの例えば200℃以下での成形加工性を向上でき、例えば積層フィルムの容器形状への追従性(例えば深絞り成形性)を向上できる。低温成形性樹脂としては、例えば、アイオノマー樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体およびエチレン-酢酸ビニル共重合体が挙げられる。これらの中でも、アイオノマー樹脂が好ましい。
アイオノマー樹脂しては、例えば、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体の分子間が、該共重合体の酸部分と金属イオンとの塩形成によってイオン架橋された樹脂が挙げられる。アイオノマー樹脂の分子鎖間を架橋する金属陽イオンとしては、例えば、Na+、Zn2+が挙げられる。
アイオノマー樹脂のMFRは、製膜性および加工性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上50g/10分以下、より好ましくは0.2g/10分以上30g/10分以下、さらに好ましくは0.3g/10分以上10g/10分以下、特に好ましくは0.5g/10分以上5.0g/10分以下である。アイオノマー樹脂のMFRは、JIS K7210:1999に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定する。
アイオノマー樹脂の融点(Tm)は、低温成形性という観点から、好ましくは80℃以上120℃以下、より好ましくは80℃以上115℃以下、さらに好ましくは80℃以上110℃以下である。Tmは、JIS K7121に準拠したDSCにより得られる融解ピーク温度である。
成形層における低温成形性樹脂の含有割合は、成形層の総質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。これにより、例えば、積層フィルムの成形加工性を向上できる。
成形層は、上記添加剤を含有してもよい。
成形層は、1層でもよく、2層以上の複数層でもよい。
成形層の厚さは、好ましくは5μm以上60μm以下、より好ましくは10μm以上50μm以下、さらに好ましくは15μm以上40μmである。これにより、例えば、積層フィルムの成形加工性を向上できる。成形層が複数層である場合は、複数層の合計の厚さを、成形層の厚さとする。
積層フィルム全体の厚さに対する成形層の厚さの割合は、好ましくは10%以上50%以下、より好ましくは15%以上45%以下、さらに好ましくは20%以上40%以下である。
<層間密着層>
本開示の積層フィルムは、例えばガスバリア層と成形層との間などの任意の層間に、層間密着層をさらに備えてもよい。これにより、任意の層間の密着性、例えば、ガスバリア層と成形層との密着性を向上できる。
層間密着層は、例えば、接着性樹脂を含有する。接着性樹脂としては、例えば、変性ポリオレフィン、ビニル樹脂、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂が挙げられる。これらの中でも、接着性およびリサイクル性という観点から、変性ポリエチレンおよび変性ポリプロピレンなどの変性ポリオレフィンが好ましく、酸変性ポリエチレンおよび酸変性ポリプロピレンなどの酸変性ポリオレフィンがより好ましく、酸変性ポリエチレンがさらに好ましい。
変性ポリオレフィンとしては、例えば、不飽和カルボン酸、またはその酸無水物、エステルもしくは金属塩による、ポリオレフィンの変性物(具体的にはグラフト変性物)が挙げられる。不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸およびフマル酸が挙げられ、不飽和カルボン酸の無水物としては、例えば、無水マレイン酸が挙げられる。変性ポリオレインとしては、具体的には、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンなどの無水マレイン酸変性ポリエチレンが挙げられる。
変性ポリオレフィンとしては、その他、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体などのエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ならびにエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
変性ポリオレフィンのMFRは、製膜性および加工性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上50g/10分以下、より好ましくは0.2g/10分以上30g/10分以下、さらに好ましくは0.3g/10分以上10g/10分以下、特に好ましくは0.5g/10分以上5.0g/10分以下である。変性ポリオレフィンのMFRは、例えば変性ポリエチレンの場合は、JIS K7210:1999に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定するが、測定温度は変性ポリオレフィンの融点に応じて変更してもよい。
層間密着層における接着性樹脂の含有割合は、層間密着層の総質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、85質量%以上、または90質量%以上である。これにより、例えば、各層間の密着性を向上できる。
層間密着層は、上記添加剤を含有してもよい。
層間密着層は、1層でもよく、2層以上の複数層でもよい。
層間密着層の厚さは、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上40μm以下、さらに好ましくは15μm以上30μm以下である。これにより、例えば、各層間の密着性、耐熱性および剛性のバランスをより向上できる。層間密着層が複数層である場合は、複数層の合計の厚さを、層間密着層の厚さとする。
積層フィルム全体の厚さに対する層間密着層の厚さの割合は、好ましくは5%以上40%以下、より好ましくは10%以上35%以下、さらに好ましくは15%以上30%以下である。
<ガスバリア層>
本開示の積層フィルムは、ガスバリア層を備える。これにより、例えば、積層フィルムの酸素バリア性などのガスバリア性を向上できる。ガスバリア層は、ガスバリア性樹脂を含有する。以下、ガスバリア層を単に「バリア層」ともいう。
ガスバリア性樹脂としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、および(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。これらの中でも、酸素バリア性および/または水蒸気バリア性という観点から、エチレン-ビニルアルコール共重合体(以下「EVOH」ともいう)が好ましい。
EVOH等のガスバリア性樹脂においてエチレン由来の構成単位の含有割合(エチレン共重合比率)は、好ましくは35モル%以上、より好ましくは35モル%以上50モル%以下、さらに好ましくは37モル%以上47モル%以下である。エチレン共重合比率が下限値以上であると、例えば、積層フィルムの成形加工性、具体的には低温成形時の追従性を向上できるとともに、ガスバリア性を向上できる。エチレン共重合比率が上限値以下であると、例えば、積層フィルムのガスバリア性を向上でき、例えば42モル%以下でもよい。エチレン共重合比率は、NMR法により測定する。
EVOH等のガスバリア性樹脂の融点(Tm)は、好ましくは175℃以下、より好ましくは130℃以上173℃以下、さらに好ましくは140℃以上170℃以下、特に好ましくは150℃以上168℃以下である。Tmが上限値以下であると、例えば、積層フィルムの成形加工性、具体的には低温成形時の追従性を向上できるとともに、ガスバリア性を向上できる。Tmは、JIS K7121に準拠したDSCにより得られる融解ピーク温度である。
EVOH等のガスバリア性樹脂の結晶化温度(Tc)は、好ましくは152℃以下、より好ましくは110℃以上148℃以下、さらに好ましくは115℃以上140℃以下である。Tcが上限値以下であると、例えば、積層フィルムの成形加工性、具体的には低温成形時の追従性を向上できる。Tcは、JIS K7121に準拠したDSC(冷却速度:5℃/分)により得られる結晶化ピーク温度である。
エチレン共重合比率が35モル%以上であり、かつTmが175℃以下のガスバリア性樹脂(特にEVOH)を用いることにより、積層フィルムにおけるガスバリア性を向上できるとともに、例えば200℃以下での成形時における成形加工性(例えば容器形状への追従性)を向上できる。
EVOH等のガスバリア性樹脂のMFRは、製膜性および加工性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上50g/10分以下、より好ましくは0.2g/10分以上30g/10分以下、さらに好ましくは0.3g/10分以上10g/10分以下、特に好ましくは0.5g/10分以上5.0g/10分以下である。ガスバリア性樹脂のMFRは、JIS K7210:1999に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定する。
ガスバリア性樹脂層におけるガスバリア性樹脂の含有割合は、ガスバリア性樹脂層の総質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、85質量%以上、または90質量%以上である。これにより、例えば、積層フィルムのガスバリア性を向上できる。
バリア層は、上記添加剤を含有してもよい。
バリア層は、1層でもよく、2層以上の複数層でもよい。
バリア層の厚さは、好ましくは1μm以上30μm以下、より好ましくは3μm以上20μm以下、さらに好ましくは5μm以上15μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、バリア層による効果を向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、被着体への積層フィルムのラミネート時の追随性の低下を抑制できる。バリア層が複数層である場合は、複数層の合計の厚さを、バリア層の厚さとする。
積層フィルム全体の厚さに対するバリア層の厚さの割合は、好ましくは1%以上30%以下、より好ましくは3%以上20%以下、さらに好ましくは5%以上15%以下である。
<接着層>
本開示の積層フィルムは、接着層を備える。接着層は、積層フィルムを紙容器などの被着体に貼付する際に、被着体と接する層であり、一実施形態において、紙、プラスチック、金属、セラミックまたは木材などとの接着性を有する。
接着層は、例えば、接着性樹脂を含有する。接着性樹脂としては、例えば、変性ポリオレフィン、ビニル樹脂、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂が挙げられる。これらの中でも、接着性およびリサイクル性という観点から、変性ポリエチレンおよび変性ポリプロピレンなどの変性ポリオレフィンが好ましく、酸変性ポリエチレンおよび酸変性ポリプロピレンなどの酸変性ポリオレフィンがより好ましく、酸変性ポリエチレンがさらに好ましい。
変性ポリオレフィンとしては、例えば、不飽和カルボン酸、またはその酸無水物、エステルもしくは金属塩による、ポリオレフィンの変性物(具体的にはグラフト変性物)が挙げられる。不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸およびフマル酸が挙げられ、不飽和カルボン酸の無水物としては、例えば、無水マレイン酸が挙げられる。変性ポリオレインとしては、具体的には、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンなどの無水マレイン酸変性ポリエチレンが挙げられる。
変性ポリオレフィンとしては、その他、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体などのエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ならびにエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
変性ポリオレフィンのMFRは、製膜性および加工性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上50g/10分以下、より好ましくは0.2g/10分以上30g/10分以下、さらに好ましくは0.3g/10分以上10g/10分以下、特に好ましくは0.5g/10分以上5.0g/10分以下である。変性ポリオレフィンのMFRは、例えば変性ポリエチレンの場合は、JIS K7210:1999に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定するが、測定温度は変性ポリオレフィンの融点に応じて変更してもよい。
接着層における接着性樹脂の含有割合は、接着層の総質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、85質量%以上、または90質量%以上である。これにより、例えば、積層フィルムと被着体との接着性を向上できる。
接着層は、アンチブロッキング剤をさらに含有してもよい。これにより、例えば、積層フィルムと被着体との接着強度を調整でき、被着体からの積層フィルムの剥離性(具体的には被着体に積層フィルムを高温で成形して密着させた場合の剥離性)を向上でき、したがってラミネート紙容器のリサイクル性を向上できる。また、積層フィルム同士のブロッキングを抑制できる。
アンチブロッキング剤としては、例えば、無機化合物系のアンチブロッキング剤および樹脂粒子系のアンチブロッキング剤が挙げられる。無機化合物系のアンチブロッキング剤としては、具体的には、シリカ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタンおよび酸化亜鉛等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウム等の炭酸塩、硫酸カルシウムおよび硫酸バリウム等の硫酸塩、ケイ酸塩、ゼオライト、カオリン、タルクおよび珪藻土が挙げられる。上記樹脂粒子としては、具体的には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、メチルメタクリレート-スチレン共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂およびフェノール樹脂等の樹脂成分により構成される樹脂粒子が挙げられる。樹脂粒子は、架橋物でもよく、非架橋物でもよい。
アンチブロッキング剤の平均粒子径は、好ましくは1.0μm以上15.0μm以下、より好ましくは2.0μm以上12.5μm以下、さらに好ましくは3.0μm以上10.0μm以下である。平均粒子径が下限値以上であると、例えば、被着体からの積層フィルムの剥離性を向上できる。平均粒子径が上限値以下であると、例えば、接着層からのアンチブロッキング剤の脱落を抑制できる。
本開示において、平均粒子径は、各層の厚さ方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、無作為に選択した100個の粒子の非凝集体について測定した粒子径の平均値(算術平均径)を意味する。
接着層におけるアンチブロッキング剤の含有割合は、接着層の総質量に対して、好ましくは0.1質量%以上30.0質量%以下、より好ましくは0.15質量%以上20.0質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以上10.0質量%以下、特に好ましくは0.2質量%以上2.5質量%以下である。含有割合が下限値以上であると、例えば、被着体からの積層フィルムの剥離性(具体的には被着体に積層フィルムを高温で成形して密着させた場合の剥離性)を向上できる。含有割合が上限値以下であると、例えば、接着層からのアンチブロッキング剤の脱落を抑制できる。
接着層を形成する樹脂組成物中でのアンチブロッキング剤の分散性を高くするために、アンチブロッキング剤と熱可塑性樹脂とを含有するマスターバッチを用いてもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィンが挙げられる。マスターバッチにおけるアンチブロッキング剤の含有割合は、好ましくは1質量%以上70質量%以下、より好ましくは2質量%以上65質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上60質量%以下である。
接着層は、直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種をさらに含有する態様でもよい。これにより、例えば、積層フィルムと被着体との接着強度を調整でき、被着体からの積層フィルムの剥離性(具体的には被着体に積層フィルムを高温で成形して密着させた場合の剥離性)を向上でき、したがってラミネート紙容器のリサイクル性を向上できる。
直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンのMFRは、第1の表層を構成するポリエチレンのMFRとして説明した範囲を適用することができる。また、直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンの融点(Tm)は、好ましくは100℃以上140℃以下、より好ましくは100℃以上130℃以下、さらに好ましくは100℃以上120℃以下である。
上記態様の場合の接着層における直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンの合計含有割合は、接着層の総質量に対して、好ましくは1質量%以上40質量%以下、より好ましくは5質量%以上35質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上30質量%以下である。含有割合が下限値以上であると、例えば、被着体からの積層フィルムの剥離性(具体的には被着体に積層フィルムを高温で成形して密着させた場合の剥離性)を向上できる。
接着層は、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体などのエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体をさらに含有する態様でもよい。このような共重合体は融点が低い。これにより、例えば、例えば、被着体と積層フィルムとの密着性(具体的には被着体に積層フィルムを低温で成形して密着させた場合の接着性)を向上できる。特に、エチレン-アクリル酸メチル共重合体が好ましい。
エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体のMFRは、製膜性および加工性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上50g/10分以下、より好ましくは0.2g/10分以上30g/10分以下、さらに好ましくは0.3g/10分以上10g/10分以下、特に好ましくは0.5g/10分以上5.0g/10分以下である。エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体のMFRは、JIS K7210:1999に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定する。
エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体の融点(Tm)は、成形加工性および接着性という観点から、好ましくは60℃以上100℃以下、より好ましくは60℃以上90℃以下、さらに好ましくは60℃以上80℃以下である。Tmは、JIS K7121に準拠したDSCにより得られる融解ピーク温度である。
エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体において(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の含有割合は、好ましくは5質量%以上40質量%以下、より好ましくは10質量%以上35質量%以下、さらに好ましくは15質量%以上30質量%以下である。上記含有割合は、NMR法により測定する。
上記態様の場合の接着層におけるエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体の含有割合は、接着層の総質量に対して、好ましくは1質量%以上40質量%以下、より好ましくは5質量%以上35質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上30質量%以下である。含有割合が下限値以上であると、例えば、被着体に対する積層フィルムの密着性(具体的には被着体に積層フィルムを低温で成形して密着させた場合の接着性)を向上できる。
接着層は、上記添加剤を含有してもよい。
接着層には、表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、接着層と、紙容器などの被着体との接着強度を向上できる。表面処理の方法としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスおよび窒素ガスなどのガスを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的処理;ならびに化学薬品を用いた酸化処理などの化学的処理が挙げられる。これらの中でも、コロナ放電処理が好ましい。
本開示の積層フィルムの接着層面における濡れ張力は、好ましくは40mN/m以上、より好ましくは43mN/m以上65mN/m以下、さらに好ましくは45mN/m以上60mN/m以下である。濡れ張力が下限値以上であると、例えば、被着体と積層フィルムとの密着性(具体的には被着体に積層フィルムを低温で成形して密着させた場合の接着性)を向上できる。濡れ張力は、例えば、上記表面処理により調整できる。
濡れ張力は、JIS K6768:1999に準拠した方法により測定される。濡れ張力の測定は、温度23℃、相対湿度50%の環境で行う。具体的には、パシフィック化学社製のテンションチェッカー(TC-B-48.0)を用いて測定を行う。接着層表面の幅方向に対して試薬を塗布し、2秒後に液膜が破れるか否かを目視で判定し、破れなかった時のぬれ張力を、その表面のぬれ張力とする。
接着層としては、例えば、
・酸変性ポリエチレンと、アンチブロッキング剤、直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種とを含有し、濡れ張力が40mN/m以上である接着層、
・酸変性ポリエチレンと、アンチブロッキング剤、直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種と、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体とを含有する接着層、
・酸変性ポリエチレンと、アンチブロッキング剤、直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種と、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体とを含有し、濡れ張力が40mN/m以上である接着層、
が挙げられる。
このような接着層を有する積層フィルムは、例えば、紙容器などの被着体に対して、低温で成形した場合でも被着体に対する密着性に優れ、高温で成形した場合でも被着体からの剥離性に優れる。
接着層の厚さは、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上40μm以下、さらに好ましくは15μm以上30μm以下である。これにより、例えば、被着体に対する接着性、剥離性および剛性のバランスをより向上できる。
積層フィルム全体の厚さに対する接着層の厚さの割合は、好ましくは5%以上40%以下、より好ましくは10%以上35%以下、さらに好ましくは15%以上30%以下である。
[積層フィルムの層構成]
本開示の積層フィルムは、一実施形態において、第1の表層と、成形層と、層間密着層と、バリア層と、第2の表層としての接着層とをこの順に備える。接着層は、例えば、紙容器などの被着体とラミネートされる。
本開示の積層フィルムは、一実施形態において、第1の表層と、第1の成形層と、第1の層間密着層と、バリア層と、第2の層間密着層と、第2の成形層と、第2の表層としての接着層とをこの順に備える。
本開示の積層フィルム全体の厚さは、好ましくは30μm以上、より好ましくは40μm以上300μm以下、さらに好ましくは50μm以上200μm以下である。積層フィルム全体の厚さが下限値以上であると、その強度を向上できる。
本開示の積層フィルムは、電子線照射されていてもよい。これにより、例えば、積層フィルムの架橋密度を向上でき、その結果、積層フィルムの耐熱性が向上し、より高温短時間で加熱ラミネートが可能となる。電子線照射の吸収線量は、例えば、20kGy以上130kGy以下である。
本開示の積層フィルムは、ガスバリア性に優れ、しかも低温での成形加工性にも優れる。本開示の積層フィルムは、例えば、140℃以上200℃以下の成形温度で、紙容器などの被着体の形状に対する追従性に優れ、また、紙容器などの被着体との密着性にも優れている。したがって、本開示の積層フィルムは、紙容器用ラミネートフィルムとして好適である。
本開示の積層フィルムの、23℃および65%RHの条件下での酸素透過度は、好ましくは20cc/m2・day・atm以下、より好ましくは15cc/m2・day・atm以下、さらに好ましくは10cc/m2・day・atm以下である。酸素透過度の測定条件の詳細は、実施例欄に記載する。
本開示の積層フィルムは、紙容器だけでなく、各種の被着体に対しても適用することができる。被着体としては、例えば、紙容器およびプラスチック容器や、金属、セラミックまたは木材などから構成される各種部材(例えば容器)が挙げられる。被着体としては、例えば、コンデンサーや半導体集積回路、ウェハー、発光素子などの電子部材も挙げられる。
[積層フィルムの製造方法]
本開示の積層フィルムは、一実施形態において、共押出樹脂フィルムであり、該フィルムを構成する各層は、共押出樹脂層である。共押出樹脂フィルムは、例えば、インフレーション法またはTダイ法により、各層を構成する材料を製膜することにより作製できる。積層フィルムは、例えば、第1の表層を構成する材料と、成形層を構成する材料と、層間密着層を構成する材料と、バリア層を構成する材料と、接着層を構成する材料とを、インフレーション法およびTダイ法等の従来公知の方法により共押出製膜して得ることができる。
本開示の積層フィルムは、その中のいずれかの層の形成材料等を、積層フィルムを構成するための別の層の表面にコーティングして、必要に応じて乾燥させることにより、積層フィルム中の積層構造を形成し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
本開示の積層フィルムは、そのうちのいずれか2層以上を構成するための2枚以上のフィルムをあらかじめ別々に作製しておき、接着剤を用いてこれらフィルムを、ドライラミネート法、押出ラミネート法、ホットメルトラミネート法およびウェットラミネート法のいずれかによって貼り合わせて積層し、あるいは、接着剤を用いずに、サーマル(熱)ラミネート法等によって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。このとき、接着剤として、層間密着層を形成可能な接着性樹脂を用いてもよい。
[ラミネート紙容器]
本開示のラミネート紙容器は、紙容器と、紙容器の表面に積層された成形フィルムとを備えている。成形フィルムは、本開示の積層フィルムから成形されており、積層フィルムの接着層が紙容器の表面に接している。本開示のラミネート紙容器は、例えば、乳飲料、果実飲料および酒などの飲料、ならびにご飯、総菜、精肉および乳製品などの食品等、広い分野の容器として使用可能である。ラミネート紙容器は、チルド食品用や冷凍食品用の容器であってもよく、あるいは、テイクアウト用の容器として使用することができる。
ラミネート紙容器を、以下「紙製容器」とも記載することがある。
ラミネート紙容器は、積層フィルムを加熱して軟化させ、真空成形または加圧成形などの成形手法で紙容器へ密着させることにより、製造できる。加熱温度は、例えば140℃以上200℃以下であり、140℃以上190℃以下でもよく、140℃以上180℃以下でもよい。
[蓋材付き紙製容器]
以下、本開示の積層フィルムを紙製容器の作製に適用した実施形態について説明する。
図4に示すように、本実施の形態による蓋材付き紙製容器1は、紙製容器10と、紙製容器10を密封する蓋材50とを備えている。ここでは、まず、紙製容器10について説明する。
<紙製容器>
図4~図6に示すように、紙製容器10は、紙容器20と、紙容器20の表面に積層された成形フィルム40とを備えている。成形フィルム40は、本開示の積層フィルムから成形されており、積層フィルムの接着層が紙容器20の表面に接している。このうち紙容器20は、例えば、後述するブランク材30を組み立てることにより作製できる。
(紙容器)
紙容器20は、例えば、底部21と、底部21に折れ線(第1折れ線)22を介して連結された複数の側部23と、各々の側部23にそれぞれ折れ線(第2折れ線)24を介して連結された複数のフランジ片25とを有している。
紙容器20の深さは特に限定されないが、例えば1cm以上でもよく、1.5cm以上でもよく、2cm以上でもよく、10cm以下でもよく、8cm以下でもよく、6cm以下でもよく、4cm以下でもよい。
このうち底部21は、例えば、平面視略矩形状をもっている。なお、底部21が、平面視において八角形状等の多角形状をもっていてもよい。
底部21と側部23とを連結する折れ線(第1折れ線)22は、ミシン目状に形成されていてもよく、ハーフカット線であってもよい。これにより、側部23を底部21に対して折り曲げやすくすることができる。なお、折れ線22がミシン目状に形成されている場合、後述するキャビティ側型60の吸引孔61から空気を吸引することにより、折れ線22近傍において、成形フィルム40が紙容器20に押しつけられる。これにより、成形フィルム40と紙容器20との密着性を向上できる。
各々の側部23は、それぞれ底部21から上方に延びている。図示された例においては、紙容器20は4つの側部23を有しており、側部23は、全体として逆四角錐台形状に形成されている。しかしながら、これに限られるものではなく、側部23が、全体として逆八角錐台形状等の多角錐台形状に形成されていてもよい。
複数の側部23同士は、互いに連続することなく隣り合っている。すなわち、各側部23同士が重なり合うことなく、互いに隣り合っている。これにより、紙容器20の全周にわたって、側部23と成形フィルム40との密着性を向上できるようになっている。また、各側部23同士が重なり合うことなく、互いに隣り合っていることにより、紙容器20に成形フィルム40を接着する際に、成形フィルム40にピンホール等が生じることを抑制できるようになっている。なお、各側部23間には、空気が通過するための微少な隙間が形成されており、後述するキャビティ側型60の吸引孔61から空気を吸引することにより、成形フィルム40が紙容器20に押しつけられるように構成されている。
側部23とフランジ片25とを連結する折れ線(第2折れ線)24は、折れ線22と同様に、ミシン目状に形成されていてもよく、ハーフカット線であってもよい。これにより、フランジ片25を側部23に対して折り曲げやすくすることができる。なお、折れ線24がミシン目状に形成されている場合、後述するキャビティ側型60の吸引孔61から空気を吸引することにより、折れ線24近傍において、成形フィルム40が紙容器20に押しつけられる。これにより、成形フィルム40と紙容器20との密着性を向上できる。
各々のフランジ片25は、例えば、それぞれ側部23の上端から側方に向けて水平に突出している。図示された例においては、紙容器20は4つのフランジ片25を有しており、フランジ片25は、全体として環状に形成されている。
複数のフランジ片25同士は、例えば、互いに連続することなく隣接している。すなわち、各フランジ片25同士が重なり合うことなく、互いに隣接している。これにより、紙容器20の全周にわたって、フランジ片25と成形フィルム40との密着性を向上できるようになっている。また、各フランジ片25同士が重なり合うことなく、互いに隣接していることにより、紙容器20に成形フィルム40を接着する際に、成形フィルム40にピンホール等が生じることを抑制できるようになっている。さらに、各フランジ片25同士が重なり合うことなく、互いに隣接していることにより、紙製容器10の成形フィルム40のうち、フランジ片25に対応する領域に蓋材50をシールする際に、成形フィルム40と蓋材50との密着性を向上できるようになっている。これにより、蓋材50のシール不良が発生することを抑制できるようになっている。なお、本明細書中「隣接」とは、互いに隣り合う部材(例えば、フランジ片25)同士が全体にわたり隙間なく接触している場合の他、以下の(1)または(2)に該当する場合も含む。
(1)一の部材の一部のみが他の部材に対して接触した状態で、一の部材と他の部材とが互いに隣り合っていること。
(2)一の部材と他の部材とが互いに接触していない状態で、一の部材と他の部材とが互いに隣り合っている場合に、一の部材と他の部材との間の隙間の少なくとも一部が、一の部材および他の部材に対して成形フィルム40を接着する際に、成形フィルム40(後述する積層フィルム40a)が入り込むことができない程度の隙間であること。
次に、紙容器20と、成形フィルム40との間の接着強度の一例について説明する。
底部21と成形フィルム40との間の接着強度、および側部23と成形フィルム40との間の接着強度は、例えば、それぞれ0.05N/15mm以上0.4N/15mm以下であってもよい。これらの接着強度が0.05N/15mm以上であることにより、成形フィルム40が紙容器20から意図せず剥離してしまうことを抑制できる。とりわけ、蓋材付き紙製容器1の紙製容器10から蓋材50を取り外す際に、成形フィルム40が紙容器20の底部21または側部23から意図せず剥離してしまうことを抑制できる。また、これらの接着強度が0.4N/15mm以下であることにより、紙容器20をリサイクルする際に、紙容器20と成形フィルム40とを容易に分離できる。なお、底部21と成形フィルム40との間の接着強度と、側部23と成形フィルム40との間の接着強度とが互いに異なっていてもよい。例えば、側部23と成形フィルム40との間の接着強度が、底部21と成形フィルム40との間の接着強度よりも大きくなっていてもよい。また、接着強度は、JIS Z 0238:1998に準拠して、15mm巾の短冊状にカットしたサンプルについて、引張試験機(例えば、株式会社オリエンテック社製、テンシロン万能材料試験機:RTC1310A)を用いて、剥離速度50mm/minで、90°剥離試験を行うことにより測定できる。
フランジ片25と成形フィルム40との間の接着強度は、例えば、1.0N/15mm以上であってもよい。これにより、紙製容器10から蓋材50を取り外す際に、成形フィルム40がフランジ片25から剥離してしまうことを抑制できる。このため、蓋材50の開封性が低下することを抑制できる。
また、フランジ片25と成形フィルム40との間の接着強度は、例えば、5.0N/15mm以下であってもよい。これにより、紙容器20をリサイクルする際に、紙容器20から成形フィルム40を剥離することが困難になってしまうことを抑制できる。なお、この場合、成形フィルム40が剥離された紙容器20に紙剥け(紙容器の一部が剥がれること)が生じていてもよい。
ここで、紙容器20の表面(後述するブランク材30の表面)の少なくとも一部に、ヒートシール剤が塗布されていてもよい。これにより、紙容器20と成形フィルム40との間の接着強度を容易に調整できる。このため、所望の接着強度を容易に得ることができる。本実施の形態では、フランジ片25(後述するフランジ片パネル35)上にヒートシール層Hが設けられている。このヒートシール層Hは、フランジ片25(後述するフランジ片パネル35)上にヒートシール剤を塗布することにより形成されたものである。ヒートシール剤は、インキであってもよい。ヒートシール剤としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)を含有するものを使用することができる。また、ヒートシール剤としては、ビニル系、アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、塩素化EVA系、塩素化PP系、塩酢ビ系、ポリオール系、ポリエチレンイミン系、デンプン系、硝化綿系、ゴム系樹脂等を含んでいてもよい。さらに、ヒートシール剤は、グラビア印刷法、フレキソ印刷法またはオフセット印刷法等により、フランジ片25(後述するフランジ片パネル35)上に塗布されてもよい。なお、図5等において、ヒートシール層Hが設けられた領域を網掛けで示している。
ヒートシール層Hの単位面積当たりの重量(すなわち、フランジ片25(後述するフランジ片パネル35)上に塗布されたヒートシール剤の塗布量)は、0.1g/m2以上10.0g/m2以下であってもよい。フランジ片25(後述するフランジ片パネル35)上に塗布されたヒートシール剤の塗布量が0.1g/m2以上であることにより、フランジ片25と成形フィルム40との間の接着強度を所望の強度まで容易に大きくすることができる。このため、紙製容器10から蓋材50を取り外す際に、成形フィルム40がフランジ片25から剥離してしまうことを抑制でき、蓋材50の開封性が低下することを抑制できる。また、フランジ片25(後述するフランジ片パネル35)上に塗布されたヒートシール剤の塗布量が10.0g/m2以下であることにより、フランジ片25と成形フィルム40との間の接着強度が大きくなり過ぎることを抑制できる。このため、紙容器20をリサイクルする際に、紙容器20から成形フィルム40を剥離することが困難になってしまうことを抑制できる。
(ブランク材)
次に、紙容器20を作製するためのブランク材30の一例について説明する。図7に示すように、ブランク材30は、例えば、底部パネル31と、底部パネル31に第1折れ線32を介して連結された複数の側部パネル33と、各々の側部パネル33にそれぞれ第2折れ線34を介して連結された複数のフランジ片パネル35とを備えている。図示された例においては、ブランク材30は、側部パネル33およびフランジ片パネル35を4つずつ備えている。ブランク材30の底部パネル31、第1折れ線32、側部パネル33、第2折れ線34およびフランジ片パネル35は、それぞれ紙容器20の底部21、折れ線(第1折れ線)22、側部23、折れ線(第2折れ線)24およびフランジ片25に対応するものである。
ブランク材30の底部パネル31、側部パネル33およびフランジ片パネル35は、一体に形成されている。このようなブランク材30は、ブランク材30を構成する紙材料に対して打ち抜き加工等を施すことによって作製することができる。
また、側部パネル33同士の間に隙間36が形成されている。この場合、各々の側部パネル33は、それぞれ台形状に形成されている。また、各々の側部パネル33は、それぞれ底部パネル31から延びる一対の側縁33aを有している。そして、側部パネル33の側縁33a同士の間に隙間36が形成されている。これにより、上述した紙製容器10において、各側部23同士が重なり合うことはなく、互いに隣り合うようになっている(図5および図6参照)。図示された例においては、各々の側部パネル33において、一対の側縁33aは、それぞれ、第1折れ線32側から第2折れ線34側に向かうにつれて、互いに離間する方向に延びている。
このようなブランク材30を構成する紙材料としては、例えば、各種の板紙、コート紙、カード紙、アイボリー紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙、コートボール等の加工紙等を使用することができる。紙材料の坪量は、例えば、150g/m2以上600g/m2以下である。
(成形フィルム)
次に、図4~図6により、成形フィルム40について説明する。この成形フィルム40は、紙容器20を保護する役割を果たす。また、成形フィルム40は、容器形状をもっており、紙容器20の表面の全面を覆っている。これにより、紙製容器10に充填された内容物が、紙製容器10から漏れ出すことを抑制している。成形フィルム40は、例えばヒートシール(熱溶着)により、紙容器20に接着されている。
成形フィルム40は、本開示の積層フィルム40aから形成されている。
(蓋材)
次に、蓋材50について説明する。蓋材50は、紙製容器10の成形フィルム40のうち、例えば、フランジ片25に対応する領域に全周にわたってシールされている。
このような蓋材50は、例えば、PET/シーラント、延伸ナイロン(ONY)/シーラント、PET/延伸ナイロン(ONY)/シーラント、PET/PE/シーラント、Kコート延伸ナイロン(KONY)/PE/シーラント、などの層構成の積層体を用いることができる。また、蓋材50を構成する積層体は、例えば、成形層にエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)などのガスバリア性材料を積層した積層体であってもよい。蓋材50は、例えば、PET/PE/エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)/PE/シーラント、などの層構成の積層体を用いることができる。
蓋材50は、例えば以下の層構成の積層体から作製されてもよい。
(外側)透明蒸着層付きポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/ナイロンフィルム(15μm)/ポリエチレンフィルム(40μm)(内側)
なお、蓋材50を構成する積層体には、いわゆるイージーピール性を発現させることができる樹脂材料を用いることが好ましい。また、上記各層は常法に従い、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、押出コーティング法その他のコーティング法によって形成される。
このような構成からなる蓋材付き紙製容器1では、まず、紙製容器10内に内容物が充填される。次に、紙製容器10の成形フィルム40のうち、フランジ片25に対応する領域に蓋材50がシールされる。これにより、内容物が充填された蓋材付き紙製容器1が得られる。なお、蓋材付き紙製容器1は、チルド食品用や冷凍食品用の容器であってもよく、あるいは、テイクアウト用の容器として使用することができる。また、内容物としては、惣菜、精肉、乳製品等の食品であってもよい。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、紙製容器10の製造方法および蓋材付き紙製容器1の製造方法について、図8~図10を用いて説明する。
(紙容器の製造方法)
まず、ブランク材30を準備する。この際、まず、紙材料を準備し、この紙材料の所定の位置に、ヒートシール剤を塗布する。ヒートシール剤は、グラビア印刷法、フレキソ印刷法またはオフセット印刷法等により塗布してもよい。このようにして、紙材料の所定の位置に、ヒートシール層Hが設けられる。次に、紙材料をレーザー等により打ち抜くことによって、ブランク材30が得られる。
次に、図8に示すように、ブランク材30を、キャビティ側型60に装着する。このキャビティ側型60には、吸引孔61が形成されており、吸引孔61から空気を吸引することによって、ブランク材30がキャビティ側型60に装着される。この際、ブランク材30の側部パネル33が、第1折れ線32に沿って底部パネル31に対して折り曲がる。同様に、ブランク材30のフランジ片パネル35が、第2折れ線34に沿って側部パネル33に対して折り曲がる。これにより、キャビティ側型60に装着された紙容器20が得られる。
次いで、紙容器20の表面に成形フィルム40を積層する。この際、まず、図9に示すように、成形フィルム40を構成する積層フィルム40aが、紙容器20の上方に配置される。次に、積層フィルム40aが、コア側型62(図10参照)によって加熱される。そして、積層フィルム40aがコア側型62によって十分に加熱された後、吸引孔61から空気が吸引される。これにより、積層フィルム40aが、紙容器20に吸い付けられる。また、この際、コア側型62が、積層フィルム40aを紙容器20に押しつける。これにより、積層フィルム40aが、紙容器20に密着する。
その後、積層フィルム40aは、コア側型62設けられた切断機構63によって所望の形状に切断される。これにより、図10に示すように、紙容器20に積層された成形フィルム40が得られる。このようにして、紙製容器10が得られる。
また、紙製容器10を作製することと並行して、蓋材50を準備する。この際、所定の積層体をドライラミネート法等によって作製する。その後、当該積層体を刃物等により所定の形状に打ち抜くことにより、蓋材50を作製する。
次に、紙製容器10に内容物を充填し、蓋材50によって紙製容器10を密閉する。この際、まず、紙製容器10に内容物(図示せず)を充填する。次に、成形フィルム40のうちフランジ片25に対応する位置に、蓋材50を載置する。
次いで、図示しないシール熱板等によって、蓋材50を成形フィルム40にシールする。この際、例えば窒素ガス等により、紙製容器10内の空気を置換してもよい。
このようにして、紙製容器10と、紙製容器10を密閉する蓋材50とを備える、蓋材付き紙製容器1が得られる。
以上のように本実施の形態によれば、フランジ片25と成形フィルム40との間の接着強度が、例えば、1.0N/15mm以上であってもよい。これにより、蓋材付き紙製容器1の紙製容器10から蓋材50を取り外す際に、成形フィルム40がフランジ片25から剥離してしまうことを抑制できる。このため、蓋材50の開封性が低下することを抑制できる。また、蓋材50の開封性が低下することを抑制できるため、蓋材50を紙製容器10から取り外す際に、紙製容器10に変形が生じてしまうことを抑制できる。このため、蓋材付き紙製容器1の実用性を向上できる。
また、本実施の形態によれば、底部21と成形フィルム40との間の接着強度、および側部23と成形フィルム40との間の接着強度が、例えば、それぞれ0.05N/15mm以上0.4N/15mm以下であってもよい。これにより、成形フィルム40が紙容器20から意図せず剥離してしまうことを抑制できる。とりわけ、紙製容器10から蓋材50を取り外す際に、成形フィルム40が紙容器20の底部21または側部23から意図せず剥離してしまうことを抑制できる。また、紙容器20をリサイクルする際に、紙容器20と成形フィルム40とを容易に分離できる。
また、成形フィルム40が紙容器20から意図せず剥離してしまうことを抑制できるため、蓋材付き紙製容器1の密閉性を向上できる。すなわち、成形フィルム40が紙容器20から意図せず剥離してしまった場合、紙容器20が容器としての形状を保持できなくなる可能性があり、紙容器20が座屈してしまう場合がある。この場合、蓋材50および成形フィルム40に対して意図しない力が加えられ、蓋材50が紙製容器10から意図せず取り外されてしまう可能性がある。これに対して本実施の形態では、成形フィルム40が紙容器20から意図せず剥離してしまうことを抑制できるため、蓋材50が紙製容器10から意図せず取り外されてしまうことを抑制できる。このため、蓋材付き紙製容器1の密閉性を向上できる。この結果、蓋材付き紙製容器1のバリア性を高めることができ、内容物のロングライフ化を図ることができる。このため、フードロスを低減できる。
また、本実施の形態によれば、フランジ片25と成形フィルム40との間の接着強度が、例えば、5.0N/15mm以下であってもよい。これにより、紙容器20をリサイクルする際に、紙容器20から成形フィルム40を剥離することが困難になってしまうことを抑制できる。
さらに、本実施の形態によれば、フランジ片25上に、ヒートシール層Hが設けられている。これにより、フランジ片25と成形フィルム40との間の接着強度を容易に調整できる。このため、所望の接着強度を容易に得ることができる。
<紙製容器の変形例>
次に、図11~図18により、本実施の形態による紙製容器10の変形例について説明する。図11~図18において、図4~図10に示す実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
(紙製容器の第1変形例)
上述した実施の形態において、フランジ片25(フランジ片パネル35)上に、ヒートシール層Hが設けられている例について説明したが、これに限られない。例えば、図11に示すように、ヒートシール層Hが、底部21の周縁(すなわち、折れ線22)に沿って設けられていてもよい。すなわち、ヒートシール剤が、底部21の周縁(すなわち、折れ線22)に沿って、底部21上に塗布されていてもよい。この場合、図12に示すように、ブランク材30において、ヒートシール層Hが、底部パネル31の周縁(すなわち、第1折れ線32)に沿って設けられていてもよい。すなわち、ブランク材30において、ヒートシール剤が、底部パネル31の周縁(すなわち、第1折れ線32)に沿って、底部パネル31上に塗布されていてもよい。
ここで、底部21の周縁近傍では、紙容器20と成形フィルム40との間に隙間が形成されやすい。このため、底部21の周縁近傍をきっかけとして、成形フィルム40が紙容器20から意図せず剥離してしまう可能性がある。
これに対して、ヒートシール剤が底部21の周縁に沿って底部21上に塗布されていることにより、底部21の周縁近傍において、紙容器20と成形フィルム40との間の接着強度を大きくすることができる。このため、成形フィルム40が紙容器20から意図せず剥離してしまうことを抑制できる。
この場合、底部21(底部パネル31)上に塗布されたヒートシール剤の塗布量は、0.1g/m2以上10.0g/m2以下であってもよい。底部21(底部パネル31)上に塗布されたヒートシール剤の塗布量が0.1g/m2以上であることにより、底部21と成形フィルム40との間の接着強度を所望の強度まで容易に大きくすることができる。このため、成形フィルム40が紙容器20から意図せず剥離してしまうことを抑制できる。また、底部21(底部パネル31)上に塗布されたヒートシール剤の塗布量が10.0g/m2以下であることにより、底部21と成形フィルム40との間の接着強度が大きくなり過ぎることを抑制できる。このため、紙容器20をリサイクルする際に、紙容器20から成形フィルム40を剥離することが困難になってしまうことを抑制できる。
(紙製容器の第2変形例)
また、図13に示すように、ヒートシール層Hが、折れ線22を跨ぐように、底部21上および側部23上に設けられていてもよい。すなわち、ヒートシール剤が、折れ線22を跨ぐように、底部21上および側部23上に塗布されていてもよい。この場合、図14に示すように、ブランク材30において、ヒートシール層Hが、第1折れ線32を跨ぐように、底部パネル31上および側部パネル33上に設けられていてもよい。すなわち、ブランク材30において、ヒートシール剤が、第1折れ線32を跨ぐように、底部パネル31上および側部パネル33上に塗布されていてもよい。この場合においても、底部21の周縁(すなわち、折れ線22)近傍において、紙容器20と成形フィルム40との間の接着強度を大きくすることができる。このため、成形フィルム40が紙容器20から意図せず剥離してしまうことを抑制できる。
この場合、底部21(底部パネル31)上および/または側部23(側部パネル33)上に塗布されたヒートシール剤の塗布量は、0.1g/m2以上10.0g/m2以下であってもよい。底部21(底部パネル31)上および/または側部23(側部パネル33)上に塗布されたヒートシール剤の塗布量が0.1g/m2以上であることにより、底部21および/または側部23と、成形フィルム40との間の接着強度を所望の強度まで容易に大きくすることができる。このため、成形フィルム40が紙容器20から意図せず剥離してしまうことを抑制できる。また、底部21(底部パネル31)上および/または側部23(側部パネル33)上に塗布されたヒートシール剤の塗布量が10.0g/m2以下であることにより、底部21および/または側部23と、成形フィルム40との間の接着強度が大きくなり過ぎることを抑制できる。このため、紙容器20をリサイクルする際に、紙容器20から成形フィルム40を分離することが困難になってしまうことを抑制できる。
(紙製容器の第3変形例)
さらに、図15に示すように、ヒートシール層Hが、底部21上、側部23上およびフランジ片25上に設けられていてもよい。すなわち、ヒートシール剤が、底部21上、側部23上およびフランジ片25上に塗布されていてもよい。図示された例においては、ヒートシール剤は、紙容器20の表面の全面に塗布されている。また、フランジ片25上に設けられたヒートシール層Hの単位面積当たりの重量が、側部23上に設けられたヒートシール層Hの単位面積当たりの重量よりも大きくなっていてもよい。すなわち、フランジ片25上へのヒートシール剤の塗布量が、側部23上へのヒートシール剤の塗布量よりも多くなっていてもよい。さらに、側部23上に設けられたヒートシール層Hの単位面積当たりの重量が、底部21上に設けられたヒートシール層Hの単位面積当たりの重量よりも大きくなっていてもよい。すなわち、側部23上へのヒートシール剤の塗布量が、底部21上へのヒートシール剤の塗布量よりも多くなっていてもよい。
この場合、図16に示すように、ブランク材30において、ヒートシール剤は、底部パネル31上、側部パネル33上およびフランジ片パネル35上に塗布されていてもよい。図示された例においては、ヒートシール剤は、ブランク材30の表面の全面に塗布されている。また、フランジ片パネル35上に設けられたヒートシール層Hの単位面積当たりの重量が、側部パネル33上に設けられたヒートシール層Hの単位面積当たりの重量よりも大きくなっていてもよい。すなわち、フランジ片パネル35上へのヒートシール剤の塗布量が、側部パネル33上へのヒートシール剤の塗布量よりも多くなっていてもよい。さらに、側部パネル33上に設けられたヒートシール層Hの単位面積当たりの重量が、底部パネル31上に設けられたヒートシール層Hの単位面積当たりの重量よりも大きくなっていてもよい。すなわち、側部パネル33上へのヒートシール剤の塗布量が、底部パネル31上へのヒートシール剤の塗布量よりも多くなっていてもよい。
本変形例によれば、紙製容器10において、紙容器20と成形フィルム40との間の接着強度を容易に調整できる。このため、所望の接着強度を容易に得ることができる。
ここで、蓋材50の開封性を向上させるためには、フランジ片25と成形フィルム40との間の接着強度を大きくすることが好ましい。一方、紙容器20のリサイクル性を向上させるためには、側部23と成形フィルム40との間の接着強度、および底部21と成形フィルム40との間の接着強度を小さくすることが好ましい。しかしながら、側部23と成形フィルム40との間の接着強度、および底部21と成形フィルム40との間の接着強度を小さくした場合、紙製容器10から蓋材50を取り外す際に、成形フィルム40が紙容器20の底部21または側部23から意図せず剥離してしまう可能性がある。とりわけ、側部23と成形フィルム40との間の接着強度を小さくした場合、紙製容器10から蓋材50を取り外す際に、成形フィルム40のうち、側部23に接着している部分をきっかけとして、成形フィルム40が紙容器20から剥離しやすくなる。このため、蓋材50の開封性を向上させつつ、紙容器20のリサイクル性を向上させるためには、フランジ片25と成形フィルム40との間の接着強度を、側部23と成形フィルム40との間の接着強度よりも大きくし、かつ、側部23と成形フィルム40との間の接着強度が所定の接着強度を有するように、側部23と成形フィルム40との間の接着強度を、底部21と成形フィルム40との間の接着強度よりも大きくすることが好ましい。
本変形例では、フランジ片25上へのヒートシール剤の塗布量が、側部23上へのヒートシール剤の塗布量よりも多くなっており、側部23上へのヒートシール剤の塗布量が、底部21上へのヒートシール剤の塗布量よりも多くなっている。このため、フランジ片25と成形フィルム40との間の接着強度を、側部23と成形フィルム40との間の接着強度よりも大きくすることができ、側部23と成形フィルム40との間の接着強度を、底部21と成形フィルム40との間の接着強度よりも大きくすることができる。これにより、紙製容器10から蓋材50を取り外す際に、成形フィルム40が紙容器20のフランジ片25、側部23および底部21から剥離してしまうことを抑制できる。また、紙容器20をリサイクルする際に、紙容器20と成形フィルム40とを容易に分離できる。このため、蓋材50の開封性が低下することを抑制できるとともに、紙容器20をリサイクルする際に、紙容器20と成形フィルム40とを容易に分離できる。
なお、図17および図18に示すように、ヒートシール剤は、ブランク材30の表面の全面に、所定のパターンで塗布されていてもよい。例えば、図17に示すように、ヒートシール剤は、水玉模様を呈するように、ブランク材30の表面に塗布されていてもよい。また、図18に示すように、ヒートシール剤は、ブランク材30の表面にストライプ状に塗布されていてもよい。なお、ヒートシール剤が構成するパターン形状は、特に限定されない。図示はしないが、ヒートシール剤は、ヒートシール剤が塗布されていない領域が水玉模様を呈するように、ブランク材30の表面に塗布されていてもよい。また、ヒートシール剤は、市松模様等の他の模様を呈するように、ブランク材30の表面に塗布されていてもよく、ブランク材30の表面に格子状に塗布されていてもよい。また、この際、図示はしないが、ブランク材30から作製される紙容器20においても、ヒートシール剤は、紙容器20の表面の全面に、所定のパターンで塗布される。なお、ヒートシール剤は、所定のパターンでブランク材30の表面の一部分に塗布されていてもよい。
(紙製容器の第4変形例)
また、上述した実施の形態において、紙容器20の表面にヒートシール層Hを設ける(ヒートシール剤を塗布する)ことにより、紙容器20と成形フィルム40との間の接着強度を調整する例について説明したが、これに限られない。例えば、成形フィルム40を加熱する温度を変更することにより、接着強度を調整してもよい。すなわち、接着強度を大きくしたい場合には、成形フィルム40の加熱温度を高くしてもよい。一方、接着強度を小さくしたい場合には、成形フィルム40の加熱温度を低くしてもよい。この場合においても、紙容器20と成形フィルム40との間の接着強度を容易に調整できる。なお、コア側型62が、積層フィルム40aを紙容器20に押しつける際の圧力または時間を変更することにより、紙容器20と成形フィルム40との間の接着強度を調整してもよい。
本開示は上記実施の形態および各変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態および各変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態および各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
本開示は、例えば以下の[1]~[11]に関する。
[1]第1の表層と、ガスバリア層と、第2の表層としての接着層とをこの順に備え、ガスバリア層が、融点が175℃以下であり、エチレン由来の構成単位の含有割合が35モル%以上であるガスバリア性樹脂を含有する、積層フィルム。
[2]ガスバリア性樹脂が、エチレン-ビニルアルコール共重合体である、上記[1]に記載の積層フィルム。
[3]ガスバリア層におけるガスバリア性樹脂の含有割合が、ガスバリア性樹脂層の総質量に対して、80質量%以上である、上記[1]または[2]に記載の積層フィルム。
[4]第1の表層が、ポリオレフィンを含有する、上記[1]~[3]のいずれかに記載の積層フィルム。
[5]接着層が、変性ポリオレフィンを含有する、上記[1]~[4]のいずれかに記載の積層フィルム。
[6]第1の表層とガスバリア層との間に、アイオノマー樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体およびエチレン-酢酸ビニル共重合体から選択される少なくとも1種の樹脂を含有する中間層をさらに備える、上記[1]~[5]のいずれかに記載の積層フィルム。
[7]中間層とガスバリア層との間に、変性ポリオレフィンを含有する層間密着層をさらに備える、上記[6]に記載の積層フィルム。
[8]23℃および65%RHの条件下での酸素透過度が、20cc/m2・day・atm以下である、上記[1]~[7]のいずれかに記載の積層フィルム。
[9]紙容器に密着成形させるための、上記[1]~[8]のいずれかに記載の積層フィルム。
[10]紙容器と、紙容器の表面に積層された成形フィルムとを備え、成形フィルムが、上記[1]~[9]のいずれかに記載の積層フィルムから成形されており、積層フィルムの接着層が紙容器の表面に接している、ラミネート紙容器。
[11]上記[10]に記載のラミネート紙容器と、ラミネート紙容器を密封する蓋材とを備える、蓋材付き容器。
以下、実施例に基づき本開示の積層フィルムを具体的に説明するが、本開示の積層フィルムは実施例により何ら限定されない。
[積層フィルムの作製]
積層フィルムの作製に用いた材料を以下に記載する。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
密度:0.926g/cm3、MFR:1.7g/10分、融点:127℃、日本ポリエチレン(株)製、商品名:ハーモレックスNF384A
高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)
密度:0.919g/cm3、MFR:2.0g/10分、融点:108℃、日本ポリエチレン(株)製、商品名:ノバテックLD LF405
アイオノマー
イオンタイプ:Na+、密度:0.940g/cm3、MFR:1.3g/10分、融点:97℃、三井・ダウ ポリケミカル(株)製、商品名:ハイミラン1601
接着性樹脂
酸変性ポリエチレン(酸変性PE)、密度:0.903g/cm3、MFR:1.7g/10分、三井化学(株)製、商品名:アドマーNF557
ガスバリア性樹脂
エチレン-ビニルアルコール共重合体、密度:1.140g/cm3、MFR:2.5g/10分、融点:165℃、結晶化温度:145℃、エチレン共重合比率:44モル%、(株)クラレ製、商品名:エバールE173B
ガスバリア性樹脂
エチレン-ビニルアルコール共重合体、密度:1.130g/cm3、MFR:1.9g/10分、融点:165℃、結晶化温度:143℃、エチレン共重合比率:44モル%、(株)クラレ製、商品名:エバールSP292B
ガスバリア性樹脂
エチレン-ビニルアルコール共重合体、密度:1.16g/cm3、MFR:2.0g/10分、融点:160℃、結晶化温度:134℃、エチレン共重合比率:38モル%、(株)クラレ製、商品名:エバールXEP-1393B
ガスバリア性樹脂
エチレン-ビニルアルコール共重合体、密度:1.06g/cm3、MFR:1.8g/10分、融点:183℃、結晶化温度:158℃、エチレン共重合比率:32モル%、(株)クラレ製、商品名:エバールFS201B
アンチブロッキング剤(AB剤)含有マスターバッチ
シリカ4質量%含有、密度:0.949g/cm3、MFR:1.6g/10分、住友化学(株)製、商品名:スミカセンA-20
[積層フィルム(A)の作製]
第1の表層としてLLDPE(ハーモレックスNF384A)60質量%とLDPE(ノバテックLD LF405)40質量%との混合物、
成形層としてアイオノマー(ハイミラン1601)、
層間密着層として接着性樹脂(アドマーNF557)、
バリア層としてガスバリア性樹脂(エバールE173B)、および
接着層(第2の表層)として接着性樹脂(アドマーNF557)95質量%とアンチブロッキング剤含有マスターバッチ(スミカセンA-20)5質量%との混合物を、
インフレーション成形法により共押出製膜し、第1の表層、成形層、層間密着層、バリア層および接着層をこの順に備える、厚さ100μmの積層フィルムを得た。第1の表層の厚さは20μm、成形層の厚さは30μm、層間密着層の厚さは20μm、バリア層の厚さは10μm、接着層の厚さは20μmである。積層フィルムの接着層面にコロナ処理を施し、濡れ張力が48mN/mとなるよう調整した。このようにして、積層フィルム(A)を得た。
[積層フィルム(B)~(C)、(E)の作製]
バリア層の配合組成を表1に記載したとおりに変更したこと以外は[積層フィルム(A)の作製]と同様にして、積層フィルム(B)~(C)、(E)を作製した。
[積層フィルム(D)の作製]
第1の表層としてLLDPE(ハーモレックスNF384A)60質量%とLDPE(ノバテックLD LF405)40質量%との混合物、
成形層1としてアイオノマー(ハイミラン1601)、
層間密着層1として接着性樹脂(アドマーNF557)、
バリア層としてガスバリア性樹脂(エバールXEP-1393B)、
層間密着層2として接着性樹脂(アドマーNF557)、
成形層2としてアイオノマー(ハイミラン1601)、および
接着層(第2の表層)として接着性樹脂(アドマーNF557)95質量%とアンチブロッキング剤含有マスターバッチ(スミカセンA-20)5質量%との混合物を、
インフレーション成形法により共押出製膜し、第1の表層、成形層1、層間密着層1、バリア層、層間密着層2、成形層2および接着層をこの順に備える、厚さ100μmの積層フィルムを得た。第1の表層の厚さは20μm、成形層1の厚さは15μm、層間密着層1の厚さは10μm、バリア層の厚さは10μm、層間密着層2の厚さは10μm、成形層2の厚さは15μm、接着層の厚さは20μmである。積層フィルムの接着層面にコロナ処理を施し、濡れ張力が48mN/mとなるよう調整した。このようにして、積層フィルム(D)を得た。
[積層フィルム(F)の作製]
第1の表層としてLLDPE(ハーモレックスNF384A)60質量%とLDPE(ノバテックLD LF405)40質量%との混合物、
ポリエチレン層1としてLLDPE(ハーモレックスNF384A)、
成形層としてアイオノマー(ハイミラン1601)、
ポリエチレン層2としてLLDPE(ハーモレックスNF384A)、および
接着層(第2の表層)として接着性樹脂(アドマーNF557)95質量%とアンチブロッキング剤含有マスターバッチ(スミカセンA-20)5質量%との混合物を、
インフレーション成形法により共押出製膜し、第1の表層、ポリエチレン層1、成形層、ポリエチレン層2および接着層をこの順に備える、厚さ100μmの積層フィルムを得た。第1の表層の厚さは20μm、ポリエチレン層1の厚さは15μm、成形層の厚さは30μm、ポリエチレン層2の厚さは15μm、接着層の厚さは20μmである。積層フィルムの接着層面にコロナ処理を施し、濡れ張力が48mN/mとなるよう調整した。このようにして、積層フィルム(F)を得た。
Figure 2023111767000002
Figure 2023111767000003
[評価]
実施例または比較例で得られた積層フィルムと、紙容器(120mm×160mm×30mm(高さ))とを用意した。紙容器は、坪量260g/m2の原紙(Nパールカード、三菱製紙社製)を用いて作製した。真空成形機を用いて、積層フィルムの接着層が紙容器の表面に接するように積層フィルムを配置して、積層フィルムを紙容器に密着させた。成形条件は、加熱温度150℃、加熱時間3sとした。このようにして、図19に示すような、紙容器と、紙容器の形状に成形された成形フィルムと、を備えるラミネート紙容器を作製した。
<追従性>
積層フィルムの紙容器に対する追従性を、外観に基づき評価した。「〇」は、積層フィルムが紙容器の形状に良好に追従して密着しており、紙容器への追従性が高いことを意味する。「×」は、積層フィルムが紙容器の形状に充分に追従しておらず、積層フィルムが紙容器の一部(コーナー部分など)に密着しておらず、紙容器への追従性が低いことを意味する。
<ガスバリア性>
容器のガスバリア性を評価するために、容器法にて23℃および40%RHの条件下で酸素透過度(cc/m2・day・atm)を測定した。積層フィルムのガスバリア性の湿度依存性を評価するため、フィルム法にて23℃および65%RH、23℃および90%RHそれぞれの条件で測定を行った。酸素透過度測定装置(MOCON社製、OX-TRAN2/20)を用いて、積層フィルムの接着層が酸素供給側になるようにセットして、JIS K7126-2に準拠して測定を行った。容器法についても、JIS K7126-2に準拠して測定を行った。
Figure 2023111767000004
融点が175℃以下であり、エチレン共重合比率が35モル%以上のガスバリア性樹脂を含有するバリア層を備える積層フィルムは、ガスバリア性を有しながら、低温成形(150℃)での追従性に優れる(実施例1~3)。また、上記ガスバリア性樹脂を用いる場合、フィルムの層数に依存しない(実施例3、4)。融点が183℃であり、エチレン共重合比率が32モル%のガスバリア性樹脂を含有するバリア層を備える積層フィルムは、ガスバリア性には優れるが、低温成形での充分な追従性は有していない(比較例1)。バリア層を備えない積層フィルムは、低温成形での追従性は優れるが、ガスバリア性を有していない(比較例2)。
10 紙製容器
20 紙容器
21 底部
22 折れ線
23 側部
24 折れ線
25 フランジ片
40 成形フィルム
H ヒートシール層
100 積層フィルム
110 第1の表層
112、112a、112b 中間層(成形層)
114、114a、114b 層間密着層
116 ガスバリア層
118 接着層(第2の表層)

Claims (11)

  1. 第1の表層と、ガスバリア層と、第2の表層としての接着層とをこの順に備え、
    前記ガスバリア層が、融点が175℃以下であり、エチレン由来の構成単位の含有割合が35モル%以上であるガスバリア性樹脂を含有する、
    積層フィルム。
  2. 前記ガスバリア性樹脂が、エチレン-ビニルアルコール共重合体である、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記ガスバリア層における前記ガスバリア性樹脂の含有割合が、前記ガスバリア性樹脂層の総質量に対して、80質量%以上である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記第1の表層が、ポリオレフィンを含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  5. 前記接着層が、変性ポリオレフィンを含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  6. 前記第1の表層と前記ガスバリア層との間に、
    アイオノマー樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体およびエチレン-酢酸ビニル共重合体から選択される少なくとも1種の樹脂を含有する中間層
    をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  7. 前記中間層と前記ガスバリア層との間に、変性ポリオレフィンを含有する層間密着層をさらに備える、請求項6に記載の積層フィルム。
  8. 23℃および65%RHの条件下での酸素透過度が、20cc/m2・day・atm以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  9. 紙容器に密着成形させるための、請求項1~8のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  10. 紙容器と、
    前記紙容器の表面に積層された成形フィルムと
    を備え、
    前記成形フィルムが、請求項1~9のいずれか一項に記載の積層フィルムから成形されており、前記積層フィルムの接着層が前記紙容器の表面に接している、
    ラミネート紙容器。
  11. 請求項10に記載のラミネート紙容器と、
    前記ラミネート紙容器を密封する蓋材と
    を備える、蓋材付き容器。
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