JP2023067738A - 熱可塑性樹脂および光学部材 - Google Patents

熱可塑性樹脂および光学部材 Download PDF

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Tatsuya Oyama
健太 今里
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Abstract

【課題】適切な屈折率およびアッベ数を有し、かつ、耐熱性および耐熱安定性に優れた熱可塑性樹脂およびそれを含む光学部材を提供する。【解決手段】下記式(1)で表される構成単位を含む、熱可塑性樹脂。JPEG2023067738000028.jpg23103(式(1)中、Yは2価の脂肪族基または脂環族基を表し、R1およびR2は、それぞれ独立に炭化水素基を表し、Wはカルボニル基またはジカルボン酸から水酸基を除いた残基である。)【選択図】なし

Description

本発明は、適切な屈折率およびアッベ数を有し、かつ、耐熱性および耐熱安定性に優れた熱可塑性樹脂およびそれからなる光学部材に関する。
カメラ、ビデオカメラあるいはカメラ付携帯電話、テレビ電話あるいはカメラ付ドアホンなどには、撮像モジュールが用いられている。近年、この撮像モジュールに用いられる光学系では、特に小型化が求められている。光学系を小型化していくと光学系の色収差が大きな問題となる。そこで、光学レンズの屈折率を高く、かつアッベ数を小さくして高分散にした光学レンズ材料と、屈折率を低くかつアッベ数を大きくして低分散にした光学レンズ材料を組み合わせることで、色収差の補正を行うことができることが知られている。
近年、撮影モジュールに使用される光学素子の種類はより多くなっており、様々なバランスの屈折率とアッベ数を有する光学レンズ向け樹脂の要望が強くなっている。しかしながら、屈折率を低くかつアッベ数を大きくして低分散にした光学レンズ材料に関しては、耐熱性とのバランスが取れた熱可塑性樹脂の報告は少ない。
例えば、特許文献1には2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンを用いた高いアッベ数を有するポリカーボネートを開示している。しかしながら、耐熱安定性の指標である5%重量減少温度が熱可塑性樹脂としては不十分であり、優れた光学特性を有する水素化ビスフェノールA骨格を有した構造を導入するには耐熱性の改善が求められている。本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、適切な屈折率およびアッベ数を有し、かつ、耐熱性および耐熱安定性に優れた熱可塑性樹脂およびそれを含む光学部材を提供することを目的とする。
特許第4485717号公報
本発明が解決しようとする課題は、適切な屈折率およびアッベ数を有し、かつ、耐熱性および耐熱安定性に優れた熱可塑性樹脂およびそれを含む光学部材を提供することにある。
本発明者らはこの目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する熱可塑性樹脂が前記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、以下の通りである。
≪態様1≫
下記式(1)で表される構成単位を含む、熱可塑性樹脂。
Figure 2023067738000001
(式(1)中、Yは2価の脂肪族基または脂環族基を表し、RおよびRは、それぞれ独立に炭化水素基を表し、Wは下記式(2)または(3)で表される群より選ばれる少なくとも一つである。)
Figure 2023067738000002
Figure 2023067738000003
(式中、Xは2価の連結基を示す。)
≪態様2≫
前記式(1)で表される構成単位が、下記式(4)である、態様1に記載の熱可塑性樹脂。
Figure 2023067738000004
(式中、RおよびR、Wは前記式(1)と同じである。)
≪態様3≫
前記式(1)で表される構成単位が、前記熱可塑性樹脂を構成する全構成単位の5mol%~100mol%を占める、態様1または2に記載の熱可塑性樹脂。
≪態様4≫
前記式(1)におけるRおよびRがエチル基である、態様1~3に記載の熱可塑性樹脂。
≪態様5≫
下記式(5)で表される構成単位をさらに含む態様1~4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂。
Figure 2023067738000005
(式(5)中、RおよびRは、同一又は異なって、水素原子又は炭素原子数1~10の炭化水素基を表し、LおよびLはそれぞれ独立に2価の連結基を示し、mおよびnはそれぞれ独立に0または1を示す。)
≪態様6≫
前記式(1)中、Wが前記式(2)である、態様1~5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂。
≪態様7≫
5%重量減少温度が350℃以上である態様1~6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂。
≪態様8≫
ガラス転移温度が125~180℃である態様1~7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂。
≪態様9≫
比粘度が0.12~0.45である態様1~8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂。
≪態様10≫
屈折率が1.450~1.650である態様1~9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂。
≪態様11≫
アッベ数が20~65である態様1~10のいずれかに記載の熱可塑性樹脂。
≪態様12≫
態様1~11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂から形成される光学部材。
≪態様13≫
光学レンズである態様12に記載の光学部材。
本発明の熱可塑性樹脂は、光学特性に優れ、成型性と耐熱性および耐熱安定性とのバランスに優れるため、光学レンズ、プリズム、光ディスク、透明導電性基板、光カード、シート、フィルム、光ファイバー、光学膜、光学フィルター、ハードコート膜等の光学部材に用いることができ、特に携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、パソコン、デジタルカメラ、ビデオカメラ、車載カメラ、又は監視カメラに用いるための光学レンズに極めて有用であり、そのため、その奏する産業上の効果は格別である。
実施例1で得られたポリカーボネート樹脂のH NMRである。 実施例4で得られたポリカーボネート樹脂のH NMRである。 実施例5で得られたポリカーボネート樹脂のH NMRである。
本発明をさらに詳しく説明する。
<熱可塑性樹脂>
本発明の熱可塑性樹脂は、下記式(1)で表される構成単位を含む熱可塑性樹脂である。
Figure 2023067738000006
(式(1)中、Yは2価の脂肪族基または脂環族基を表し、RおよびRは、それぞれ独立に炭化水素基を表し、Wは下記式(2)または(3)で表される群より選ばれる少なくとも一つである。)
Figure 2023067738000007
Figure 2023067738000008
(式中、Xは2価の連結基を示す。)
前記式(1)において、Yは2価の脂肪族基または脂環族基を表す。2価の脂肪族基としては好ましくは炭素数1~12、より好ましくは炭素数3~10の分岐していてもよいアルキレン基が挙げられる。2価の脂環族基としては好ましくは炭素数4~18、より好ましくは炭素数5~15の脂環族基を有する構造のものが挙げられる。
Yの構造の具体例として、下記構造式(1-a)で表されるものが好ましく挙げられ、これらのうち、合成上の観点からイソプロピリデン基(下記式(4))であることが特に好ましい。
Figure 2023067738000009
(式(1-a)中、*は結合部位を示す。)
Figure 2023067738000010
(式中、RおよびR、Wは前記式(1)と同じである。)
前記式(1)において、RおよびRは、それぞれ独立に炭化水素基を表し、炭素数1~7の直鎖のアルキル基、炭素数3~7の分岐したアルキル基またはアリール基が好ましく、炭素数1~7の直鎖のアルキル基またはアリール基がより好ましく、炭素数1~7の直鎖のアルキル基がさらに好ましく、メチル基またはエチル基が特に好ましい。
前記式(1)において、Wは前記式(2)および前記式(3)で表される群より選ばれる少なくとも1つである。Wが前記式(2)である場合、前記式(1)はカーボネート単位となり、Wが前記式(3)である場合、前記式(1)はエステル単位となる。
前記式(1)は、ジヒドロキシ化合物と炭酸エステルなどのカーボネート前駆物質、またはジヒドロキシ化合物とジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とから得ることができる。
本発明における式(1)で表される構成単位を含む熱可塑性樹脂において、熱可塑性樹脂を構成する全構成単位中、前記式(1)で表される構成単位を、5mоl%以上、10mol%以上、15mol%以上、20mol%以上、25mol%以上、30mol%以上で含んでいてもよく、100mol%以下、90mol%以下、80mol%以下、70mol%以下、60mol%以下または50mol%以下で含んでいてもよい。本発明の熱可塑性樹脂において、前記式(1)で表される構成単位を、熱可塑性樹脂を構成する全構成単位中、好ましくは10mol%以上100mol%以下、より好ましくは20mol%以上100mol%以下、さらに好ましくは30mol%以上100mol%以下、特に好ましくは40mol%以上100mol%以下で含むことができる。前記式(1)で表される構成単位の割合が前記範囲であると適切な屈折率およびアッベ数を有し、かつ、耐熱性および耐熱安定性に優れるため好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂において、さらに下記式(5)で表される構成単位を含むことができる。
Figure 2023067738000011
(式(5)中、RおよびRは、同一又は異なって、水素原子又は炭素原子数1~10の炭化水素基を表し、LおよびLはそれぞれ独立に2価の連結基を示し、mおよびnはそれぞれ独立に0または1を示す。)
前記式(5)においてRおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、芳香族基を含んでいてもよい炭素原子数1~10の炭化水素基を示し、水素原子、メチル基、フェニル基、ナフチル基が好ましく、水素原子、メチル基、フェニル基がより好ましく、水素原子、メチル基がさらに好ましい。
前記式(5)において、L、Lはそれぞれ独立に2価の連結基を示し、炭素数1~12のアルキレン基であると好ましく、炭素数1~4のアルキレン基であるとより好ましく、エチレン基であるとさらに好ましい。L、Lの連結基の長さを調整することによって、樹脂のガラス転移温度(Tg)を調整することができる。
<熱可塑性樹脂の物性>
本発明の熱可塑性樹脂の5%重量減少温度は、窒素雰囲気下で昇温速度20℃/分での5%重量減少温度であり、350℃以上であることが好ましく、360℃以上であるとより好ましく、370℃以上であるとさらに好ましく、380℃以上であると特に好ましい。5%重量減少温度が350℃以上であると耐熱安定性が高い。
本発明の熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度(Tg)は125℃以上、130℃以上、135℃以上、または140℃以上であってもよく、180℃以下、175℃以下、170℃以下、165℃以下、160℃以下であってもよい。125~180℃であることが好ましく、130~170℃であるとより好ましく、135~160℃であるとさらに好ましい。ガラス転移温度が上記範囲内であると、耐熱性と成形性のバランスに優れるため好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂の比粘度は、0.12~0.45であることが好ましく、0.14~0.40であるとより好ましく、0.16~0.40であるとさらに好ましい。比粘度が上記範囲内であると成形性と機械強度のバランスに優れるため好ましい。
比粘度の測定方法は、熱可塑性樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度(ηSP)を、オストワルド粘度計にて測定し、以下の式から算出する。
比粘度(ηSP)=(t-t)/t
(tは、塩化メチレンの落下秒数、tは、試料溶液の落下秒数)
本発明の熱可塑性樹脂の屈折率は、温度:20℃、波長:587.56nmで測定した場合に、1.450以上、1.460以上、1.470以上、1.480以上、1.490以上、または1.500以上であってもよく、1.650以下、1.640以下、1.630以下、1.620以下、1.610以下または1.600以下であってもよい。
本発明の熱可塑性樹脂の屈折率は、1.450~1.650であることが好ましく、1.460~1.600であるとより好ましく、1.470~1.590であるとさらに好ましく、1.480~1.580であると特に好ましく、1.490~1.570であると最も好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂のアッベ数は、20以上、21以上、22以上、23以上、24以上または25以上であってもよく、65以下、64以下、63以下、62以下、61以下、60以下または59以下であってもよい。アッベ数(νd)は、20~65であることが好ましく、35~63であることがより好ましく、40~60であるとさらに好ましい。
ここで、アッベ数は、温度:20℃、波長:486.13nm、587.56nm、656.27nmの屈折率から、下記式を用いて算出する:
νd=(nd-1)/(nF-nC)
nd:波長587.56nmにおける屈折率、
nF:波長486.13nmにおける屈折率、
nC:波長656.27nmにおける屈折率を意味する。
<熱可塑性樹脂の原料>
(式(1)のジオール成分)
式(1)の原料となるジオール成分は、主として下記式(a)で表されるジオール成分であり、単独で使用してもよく、又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
Figure 2023067738000012
式(a)における、Y、RおよびRは、式(1)におけるY、RおよびRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
以下に、前記式(a-1)で表されるジヒドロキシ化合物の代表的な具体例を示すが、本発明の前記式(1)に用いられる原料としては、それらによって限定されるものではない。なお、Prはプロピル基を、Buはブチル基を表す。
Figure 2023067738000013
なかでも下記式(a’-1)、下記式(a’-2)がより好ましく、下記式(a’-2)がさらに好ましい。これらは単独で使用してもよく、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2023067738000014
Figure 2023067738000015
式(a)で表されるジオールは、下記式(6)で表されるジケトンと、下記式(7)で表されるトリオールを脱水環化反応させることによって得られる。
Figure 2023067738000016
Figure 2023067738000017
式(6)中Yは、式(1)におけるYと同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(7)中、Rは、炭化水素基を表す。Rとしての炭化水素基は、炭素数1~7の直鎖のアルキル基、炭素数3~7の分岐したアルキル基またはアリール基を表す。一実施形態としては、Rは、炭素数1~7の直鎖のアルキル基または炭素数3~7の分岐したアルキル基を表す。但し、Rとしての炭化水素基は、エーテル結合を含まない。
式(7)におけるRとしては、前記式(1)におけるRおよびRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
(前記式(1)のカーボネート成分)
本発明の熱可塑性樹脂の前記式(1)で表される単位に使用するカーボネート成分としては、ホスゲン、カーボネートエステルがあげられる。カーボネートエステルは、置換されていてもよい炭素数6~10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1~4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス(m-クレジル)カーボネート、ジナフチルカーボネートなどの炭酸ジアリール、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどの炭酸ジアルキル、エチルフェニルカーボネート、シクロヘキシルフェニルカーボネートなどの炭酸アルキルアリール、または、ジビニルカーボネート、ジイソプロぺニルカーボネート、ジプロペニルカーボネートなどの炭酸ジアルケニルなどが挙げられ、なかでも炭酸ジアリールが好ましく、ジフェニルカーボネートがより好ましい。
(前記式(1)のジカルボン酸成分)
本発明の熱可塑性樹脂の前記式(1)で表される単位に使用するジカルボン酸成分は主として、式(b)で表されるジカルボン酸、またはそのエステル形成性誘導体が好ましく用いられる。
Figure 2023067738000018
前記式(b)において、Xは2価の連結基を示す。
以下、前記式(b)で表されるジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体の代表的具体例を示すが、本発明の前記式(b)に用いられる原料としては、それらによって限定されるものではない。
本発明の熱可塑性樹脂に使用するジカルボン酸成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸成分、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の単環式芳香族ジカルボン酸成分、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9-ビス(カルボキシメチル)フルオレン、9,9-ビス(1-カルボキシエチル)フルオレン、9,9-ビス(1-カルボキシプロピル)フルオレン、9,9-ビス(2-カルボキシプロピル)フルオレン、9,9-ビス(2-カルボキシ-1-メチルエチル)フルオレン、9,9-ビス(2-カルボキシ-1-メチルプロピル)フルオレン、9,9-ビス(2-カルボキシブチル)フルオレン、9,9-ビス(2-カルボキシ-1-メチルブチル)フルオレン、9,9-ビス(5-カルボキシペンチル)フルオレン、9,9-ビス(カルボキシシクロヘキシル)フルオレン、2,2’-ビス(カルボキシメトキシ)-1,1’-ビナフチル等の多環式芳香族ジカルボン酸成分、2,2’-ビフェニルジカルボン酸等のビフェニルジカルボン酸成分、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,6-デカリンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸成分が挙げられる。これらは単独または二種類以上組み合わせて用いても良い。また、エステル形成性誘導体としては酸クロライドや、メチルエステル、エチルエステル、フェニルエステル等のエステル類を用いてもよい。
(前記式(5)の成分)
本発明の熱可塑性樹脂は、さらに前記式(5)の構成単位を有していてもよく、前記式(5)の原料となるジヒドロキシ化合物成分を以下に示す。これらは単独で使用してもよく、または二種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の前記式(5)の原料となるジヒドロキシ化合物成分は、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン等が例示され、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレンが特に好ましい。これらは単独で使用してもよく、または二種以上組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の熱可塑性樹脂には、必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤等の添加剤を配合することができる。
本発明の熱可塑性樹脂は、例えばジヒドロキシ化合物成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法やジオール成分にジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を反応させる方法等により製造される。以下にその具体例を示す。
<製造方法>
(ポリカーボネート樹脂の製造方法)
本発明の熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂である場合はそれ自体公知の反応手段、例えばジヒドロキシ化合物成分とカーボネート前駆物質を溶融重合法によって反応させて得られる。ポリカーボネート樹脂を製造するに当たっては、必要に応じて触媒、末端停止剤、酸化防止剤等を使用してもよい。
(ポリエステル樹脂の製造方法)
本発明の熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂である場合はそれ自体公知の反応手段、例えばジヒドロキシ化合物成分とジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とをエステル化反応もしくはエステル交換反応させ、得られた反応生成物を重縮合反応させ、所望の分子量の高分子量体とすればよい。
(ポリエステルカーボネート樹脂の製造方法)
本発明の熱可塑性樹脂がポリエステルカーボネート樹脂である場合は、ジヒドロキシ化合物成分およびジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、カーボネートエステルなどのカーボネート前駆物質とを反応させることにより製造することができる。重合方法は前記ポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂と同様の方法を用いることができる。
<光学部材>
本発明の光学部材は、上記の熱可塑性樹脂から形成される。そのような光学部材としては、上記の熱可塑性樹脂が有用となる光学用途であれば、特に限定されないが、光学レンズ、光ディスク、透明導電性基板、光カード、シート、フィルム、光ファイバー、レンズ、プリズム、光学膜、基盤、光学フィルター、ハードコート膜等を挙げることができる。
<光学レンズ>
本発明の光学部材として、特に光学レンズを挙げることができる。このような光学レンズとしては、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、パソコン、デジタルカメラ、ビデオカメラ、車載カメラ、監視カメラ等のための光学レンズを挙げることができる。
本発明の光学レンズは、射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、溶融押出成形、キャスティング等の任意の方法により成形、加工することができるが、射出成形が特に好適である。
射出成形の成形条件は特に限定されないが、成形機のシリンダー温度は180~320℃が好ましく、220~300℃がより好ましく、240~280℃が特に好ましい。また、金型温度は70~130℃が好ましく、80~125℃がより好ましく、90~120℃が特に好ましい。射出圧力は5~170MPaが好ましく、50~160MPaがより好ましく、100~150MPaが特に好ましい。
本発明を以下の実施例でさらに具体的に説明をするが、本発明はこれによって限定されるものではない。
[実施例1]
2,2-ビス(4-オキソシクロヘキシル)プロパン-ビス(トリメチロールプロパンアセタール)(以下、DSPと省略することがある)を6.6質量部(20mоl%)、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(以下、BPEFと省略することがある)24.56質量部(80mоl%)、ジフェニルカーボネート(以下、DPCと省略することがある)15.15質量部(101mоl%)、及び触媒として濃度60mmol/Lの濃度で炭酸水素ナトリウムを2.94×10-4質量部(5.00×10-3mоl%)、濃度274mmol/Lの濃度でテトラメチルアンモニウムヒドロキシド1.92×10-3質量部(3.01×10-2mоl%)を加え、窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、5分間かけて減圧度を20kPaに調整した。40℃/hrの昇温速度で250℃まで昇温を行い、フェノールの流出量が70%になった後で40kPa/hrで減圧し、所定の電力に到達するまで重合反応を行い、反応終了後フラスコから樹脂を取り出した。得られたポリカ―ボネート樹脂を、HNMRにより分析し、DSP成分が全モノマーに対して20mоl%、BPEF成分が全モノマー成分に対して80mоl%導入されていることを確認した。該ポリカ―ボネート樹脂を用いて、共重合比、比粘度、屈折率、アッベ数、Tg、5%重量減少温度を評価し、結果を表1に示した。
Figure 2023067738000019
[実施例2]
DSPとBPEFの比率を50:50(mol%)に変更した以外は変更したこと以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂を製造した。該熱可塑性樹脂を用いて、共重合比、比粘度、屈折率、アッベ数、Tg、5%重量減少温度を評価し、結果を表1に示した。
[実施例3]
DSPとBPEFの比率を70:30(mol%)に変更した以外は変更したこと以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂を製造した。該熱可塑性樹脂を用いて、共重合比、比粘度、屈折率、アッベ数、Tg、5%重量減少温度を評価し、結果を表1に示した。
[実施例4]
モノマーをDSPのみに変更したこと以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂を製造した。該熱可塑性樹脂を用いて、共重合比、比粘度、屈折率、アッベ数、Tg、5%重量減少温度を評価し、結果を表1に示した。
[実施例5]
BPEFの代わりに9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン(以下、「BCF」と省略することがある)を使用し、DSPとBCFの比率を80:20(mol%)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂を製造した。該熱可塑性樹脂を用いて、共重合比、比粘度、屈折率、アッベ数、Tg、5%重量減少温度を評価し、結果を表1に示した。なお、BCFは、以下の化学構造を有する。
Figure 2023067738000020
[比較例1]
DSPの代わりに水素化ビスフェノールA(以下、「HBPA」と省略することがある)を使用し、HBPAとBPEFの比率を30:70(mol%)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂を製造した。該熱可塑性樹脂を用いて、共重合比、比粘度、屈折率、アッベ数、Tg、5%重量減少温度を評価し、結果を表1に示した。なお、HBPAは、以下の化学構造を有する。
Figure 2023067738000021
[比較例2]
DSPの代わりにHBPAを使用し、HBPAとBPEFの比率を49:51(mol%)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂を製造した。該熱可塑性樹脂を用いて、共重合比、比粘度、屈折率、アッベ数、Tg、5%重量減少温度を評価し、結果を表1に示した。
得られた熱可塑性樹脂について下記の方法で評価を行った。
<比粘度測定>
20℃で塩化メチレン100mlに得られた樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t-t)/t
(tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数)
<共重合比>
得られた樹脂を日本電子(株)製JNM-ECZ400Sを用いてHNMR測定することによって、各の熱可塑性樹脂組成比を算出した。溶媒はCDClを用いた。
<光学特性>
(屈折率)
各樹脂の3mm厚試験片を作製し研磨した後、島津製作所製のカルニュー精密屈折計KPR-2000を使用して、20℃における屈折率nd(587.56nm)を測定した。
(アッベ数)
アッベ数の測定波長は、486.13nm、587.56nm、656.27nmの屈折率から下記の式を用いて算出した。
νd=(nd-1)/(nF-nC)
nd:波長587.56nmでの屈折率、
nF:波長486.13nmでの屈折率、
nC:波長656.27nmでの屈折率を意味する。
<耐熱性>
(ガラス転移温度(Tg))
得られた樹脂をTAインスツルメント製の示差熱・熱重量同時測定装置Discovery SDT650により、昇温速度20℃/minで測定した。試料は5mg程度で測定した。
<耐熱安定性>
(5%重量減少温度)
得られた樹脂をTAインスツルメント製の示差熱・熱重量同時測定装置Discovery SDT650により、窒素雰囲気下で、昇温速度20℃/minで測定し、5%重量減少温度を測定した。試料は5mg程度で測定した。
Figure 2023067738000022
実施例1~5で得られた熱可塑性樹脂は、HBPAと同等の優れたアッベ数を維持しつつ、かつ5%重量減少温度が370℃以上と高く、Tgが125~180℃の間にあるため成形性と耐熱安定性とのバランスに優れ光学レンズとして優れる。これに対して、比較例の熱可塑性樹脂は、光学特性に優れ、Tgも140℃以上と高いものの、5%重量減少温度が低いため、耐熱安定性に問題がある。
DSPのような構造は、優れた光学特性を維持しつつ、熱による分解を押さえることができるため、高耐熱安定化に効果的である。
本発明の熱可塑性樹脂は、適切な屈折率およびアッベ数を有し、かつ、耐熱性および耐熱安定性に優れることから、光学材料として好適に用いられ、具体的に光学レンズ、プリズム、光ディスク、透明導電性基板、光カード、シート、フィルム、光ファイバー、光学膜、光学フィルター、ハードコート膜等の光学部材として用いることができ、特に光学レンズ材料として極めて有用である。

Claims (13)

  1. 下記式(1)で表される構成単位を含む、熱可塑性樹脂。
    Figure 2023067738000023
    (式(1)中、Yは2価の脂肪族基または脂環族基を表し、RおよびRは、それぞれ独立に炭化水素基を表し、Wは下記式(2)または(3)で表される群より選ばれる少なくとも一つである。)
    Figure 2023067738000024
    Figure 2023067738000025
    (式中、Xは2価の連結基を示す。)
  2. 前記式(1)で表される構成単位が、下記式(4)である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
    Figure 2023067738000026
    (式中、RおよびR、Wは前記式(1)と同じである。)
  3. 前記式(1)で表される構成単位が、前記熱可塑性樹脂を構成する全構成単位の5mol%~100mol%を占める、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂。
  4. 前記式(1)におけるRおよびRがエチル基である、請求項1~3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂。
  5. 下記式(5)で表される構成単位をさらに含む請求項1~4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂。
    Figure 2023067738000027
    (式(5)中、RおよびRは、同一又は異なって、水素原子又は炭素原子数1~10の炭化水素基を表し、LおよびLはそれぞれ独立に2価の連結基を示し、mおよびnはそれぞれ独立に0または1を示す。)
  6. 前記式(1)中、Wが前記式(2)である、請求項1~5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂。
  7. 5%重量減少温度が350℃以上である請求項1~6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂。
  8. ガラス転移温度が125~180℃である請求項1~7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂。
  9. 比粘度が0.12~0.45である請求項1~8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂。
  10. 屈折率が1.450~1.650である請求項1~9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂。
  11. アッベ数が20~65である請求項1~10のいずれかに記載の熱可塑性樹脂。
  12. 請求項1~11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂から形成される光学部材。
  13. 光学レンズである請求項12に記載の光学部材。
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