移動体通信システムの規格化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、無線区間についてはロングタームエボリューション(Long Term Evolution:LTE)と称し、コアネットワークおよび無線アクセスネットワーク(以下、まとめて、ネットワークとも称する)を含めたシステム全体構成については、システムアーキテクチャエボリューション(System Architecture Evolution:SAE)と称される通信方式が検討されている(例えば、非特許文献1~8)。この通信方式は3.9G(3.9 Generation)システムとも呼ばれる。
LTEのアクセス方式としては、下り方向はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、上り方向はSC-FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)が用いられる。また、LTEは、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)とは異なり、回線交換を含まず、パケット通信方式のみになる。
非特許文献1(5章)に記載される、3GPPでの、LTEシステムにおけるフレーム構成に関する決定事項について、図1を用いて説明する。図1は、LTE方式の通信システムで使用される無線フレームの構成を示す説明図である。図1において、1つの無線フレーム(Radio frame)は10msである。無線フレームは10個の等しい大きさのサブフレーム(Subframe)に分割される。サブフレームは、2個の等しい大きさのスロット(slot)に分割される。無線フレーム毎に1番目および6番目のサブフレームに下り同期信号(Downlink Synchronization Signal)が含まれる。同期信号には、第一同期信号(Primary Synchronization Signal:P-SS)と、第二同期信号(Secondary Synchronization Signal:S-SS)とがある。
3GPPでの、LTEシステムにおけるチャネル構成に関する決定事項が、非特許文献1(5章)に記載されている。CSG(Closed Subscriber Group)セルにおいてもnon-CSGセルと同じチャネル構成が用いられると想定されている。
物理報知チャネル(Physical Broadcast Channel:PBCH)は、基地局装置(以下、単に「基地局」という場合がある)から移動端末装置(以下、単に「移動端末」という場合がある)などの通信端末装置(以下、単に「通信端末」という場合がある)への下り送信用のチャネルである。BCHトランスポートブロック(transport block)は、40ms間隔中の4個のサブフレームにマッピングされる。40msタイミングの明白なシグナリングはない。
物理制御フォーマットインジケータチャネル(Physical Control Format Indicator Channel:PCFICH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PCFICHは、PDCCHsのために用いるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルの数を、基地局から通信端末へ通知する。PCFICHは、サブフレーム毎に送信される。
物理下り制御チャネル(Physical Downlink Control Channel:PDCCH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PDCCHは、後述のトランスポートチャネルの1つである下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL-SCH)のリソース割り当て(allocation)情報、後述のトランスポートチャネルの1つであるページングチャネル(Paging Channel:PCH)のリソース割り当て(allocation)情報、DL-SCHに関するHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)情報を通知する。PDCCHは、上りスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)を運ぶ。PDCCHは、上り送信に対する応答信号であるAck(Acknowledgement)/Nack(Negative Acknowledgement)を運ぶ。PDCCHは、L1/L2制御信号とも呼ばれる。
物理下り共有チャネル(Physical Downlink Shared Channel:PDSCH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PDSCHには、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL-SCH)、およびトランスポートチャネルであるPCHがマッピングされている。
物理マルチキャストチャネル(Physical Multicast Channel:PMCH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PMCHには、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)がマッピングされている。
物理上り制御チャネル(Physical Uplink Control Channel:PUCCH)は、通信端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PUCCHは、下り送信に対する応答信号(response signal)であるAck/Nackを運ぶ。PUCCHは、CQI(Channel Quality Indicator)レポートを運ぶ。CQIとは、受信したデータの品質、もしくは通信路品質を示す品質情報である。またPUCCHは、スケジューリングリクエスト(Scheduling Request:SR)を運ぶ。
物理上り共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel:PUSCH)は、通信端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PUSCHには、トランスポートチャネルの1つである上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL-SCH)がマッピングされている。
物理HARQインジケータチャネル(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel:PHICH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PHICHは、上り送信に対する応答信号であるAck/Nackを運ぶ。物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel:PRACH)は、通信端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PRACHは、ランダムアクセスプリアンブル(random access preamble)を運ぶ。
下り参照信号(リファレンスシグナル(Reference Signal):RS)は、LTE方式の通信システムとして既知のシンボルである。以下の5種類の下りリファレンスシグナルが定義されている。セル固有参照信号(Cell-specific Reference Signal:CRS)、MBSFN参照信号(MBSFN Reference Signal)、UE固有参照信号(UE-specific Reference Signal)であるデータ復調用参照信号(Demodulation Reference Signal:DM-RS)、位置決定参照信号(Positioning Reference Signal:PRS)、チャネル状態情報参照信号(Channel State Information Reference Signal:CSI-RS)。通信端末の物理レイヤの測定として、リファレンスシグナルの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)測定がある。
非特許文献1(5章)に記載されるトランスポートチャネル(Transport channel)について、説明する。下りトランスポートチャネルのうち、報知チャネル(Broadcast Channel:BCH)は、その基地局(セル)のカバレッジ全体に報知される。BCHは、物理報知チャネル(PBCH)にマッピングされる。
下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL-SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。DL-SCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が可能である。DL-SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。準静的なリソース割り当ては、パーシステントスケジューリング(Persistent Scheduling)ともいわれる。DL-SCHは、通信端末の低消費電力化のために通信端末の間欠受信(Discontinuous reception:DRX)をサポートする。DL-SCHは、物理下り共有チャネル(PDSCH)へマッピングされる。
ページングチャネル(Paging Channel:PCH)は、通信端末の低消費電力を可能とするために通信端末のDRXをサポートする。PCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が要求される。PCHは、動的にトラフィックに利用できる物理下り共有チャネル(PDSCH)のような物理リソースへマッピングされる。
マルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)は、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知に使用される。MCHは、マルチセル送信におけるMBMS(Multimedia Broadcast Multicast Service)サービス(MTCHとMCCH)のSFN合成をサポートする。MCHは、準静的なリソース割り当てをサポートする。MCHは、PMCHへマッピングされる。
上りトランスポートチャネルのうち、上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL-SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。UL-SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。UL-SCHは、物理上り共有チャネル(PUSCH)へマッピングされる。
ランダムアクセスチャネル(Random Access Channel:RACH)は、制御情報に限られている。RACHは、衝突のリスクがある。RACHは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)へマッピングされる。
HARQについて説明する。HARQとは、自動再送要求(Automatic Repeat reQuest:ARQ)と誤り訂正(Forward Error Correction)との組合せによって、伝送路の通信品質を向上させる技術である。HARQには、通信品質が変化する伝送路に対しても、再送によって誤り訂正が有効に機能するという利点がある。特に、再送にあたって初送の受信結果と再送の受信結果との合成をすることで、更なる品質向上を得ることも可能である。
再送の方法の一例を説明する。受信側にて、受信データが正しくデコードできなかった場合、換言すればCRC(Cyclic Redundancy Check)エラーが発生した場合(CRC=NG)、受信側から送信側へ「Nack」を送信する。「Nack」を受信した送信側は、データを再送する。受信側にて、受信データが正しくデコードできた場合、換言すればCRCエラーが発生しない場合(CRC=OK)、受信側から送信側へ「Ack」を送信する。「Ack」を受信した送信側は次のデータを送信する。
非特許文献1(6章)に記載される論理チャネル(ロジカルチャネル:Logical channel)について、説明する。報知制御チャネル(Broadcast Control Channel:BCCH)は、報知システム制御情報のための下りチャネルである。論理チャネルであるBCCHは、トランスポートチャネルである報知チャネル(BCH)、あるいは下り共有チャネル(DL-SCH)へマッピングされる。
ページング制御チャネル(Paging Control Channel:PCCH)は、ページング情報(Paging Information)およびシステム情報(System Information)の変更を送信するための下りチャネルである。PCCHは、通信端末のセルロケーションをネットワークが知らない場合に用いられる。論理チャネルであるPCCHは、トランスポートチャネルであるページングチャネル(PCH)へマッピングされる。
共有制御チャネル(Common Control Channel:CCCH)は、通信端末と基地局との間の送信制御情報のためのチャネルである。CCCHは、通信端末がネットワークとの間でRRC接続(connection)を有していない場合に用いられる。下り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL-SCH)へマッピングされる。上り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである上り共有チャネル(UL-SCH)へマッピングされる。
マルチキャスト制御チャネル(Multicast Control Channel:MCCH)は、1対多の送信のための下りチャネルである。MCCHは、ネットワークから通信端末への1つあるいはいくつかのMTCH用のMBMS制御情報の送信のために用いられる。MCCHは、MBMS受信中の通信端末のみに用いられる。MCCHは、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
個別制御チャネル(Dedicated Control Channel:DCCH)は、1対1にて、通信端末とネットワークとの間の個別制御情報を送信するチャネルである。DCCHは、通信端末がRRC接続(connection)である場合に用いられる。DCCHは、上りでは上り共有チャネル(UL-SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL-SCH)にマッピングされる。
個別トラフィックチャネル(Dedicated Traffic Channel:DTCH)は、ユーザ情報の送信のための個別通信端末への1対1通信のチャネルである。DTCHは、上りおよび下りともに存在する。DTCHは、上りでは上り共有チャネル(UL-SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL-SCH)へマッピングされる。
マルチキャストトラフィックチャネル(Multicast Traffic channel:MTCH)は、ネットワークから通信端末へのトラフィックデータ送信のための下りチャネルである。MTCHは、MBMS受信中の通信端末のみに用いられるチャネルである。MTCHは、マルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
CGIとは、セルグローバル識別子(Cell Global Identifier)のことである。ECGIとは、E-UTRANセルグローバル識別子(E-UTRAN Cell Global Identifier)のことである。LTE、後述のLTE-A(Long Term Evolution Advanced)およびUMTS(Universal Mobile Telecommunication System)において、CSG(Closed Subscriber Group)セルが導入される。
CSG(Closed Subscriber Group)セルとは、利用可能な加入者をオペレータが特定しているセル(以下「特定加入者用セル」という場合がある)である。特定された加入者は、PLMN(Public Land Mobile Network)の1つ以上のセルにアクセスすることが許可される。特定された加入者がアクセスを許可されている1つ以上のセルを「CSGセル(CSG cell(s))」と呼ぶ。ただし、PLMNにはアクセス制限がある。
CSGセルは、固有のCSGアイデンティティ(CSG identity:CSG ID)を報知し、CSGインジケーション(CSG Indication)にて「TRUE」を報知するPLMNの一部である。予め利用登録し、許可された加入者グループのメンバーは、アクセス許可情報であるところのCSG IDを用いてCSGセルにアクセスする。
CSG IDは、CSGセルまたはセルによって報知される。LTE方式の通信システムにCSG IDは複数存在する。そして、CSG IDは、CSG関連のメンバーのアクセスを容易にするために、通信端末(UE)によって使用される。
通信端末の位置追跡は、1つ以上のセルからなる区域を単位に行われる。位置追跡は、待受け状態であっても通信端末の位置を追跡し、通信端末を呼び出す、換言すれば通信端末が着呼することを可能にするために行われる。この通信端末の位置追跡のための区域をトラッキングエリアと呼ぶ。
3GPPにおいて、Home-NodeB(Home-NB;HNB)、Home-eNodeB(Home-eNB;HeNB)と称される基地局が検討されている。UTRANにおけるHNB、およびE-UTRANにおけるHeNBは、例えば家庭、法人、商業用のアクセスサービス向けの基地局である。非特許文献2には、HeNBおよびHNBへのアクセスの3つの異なるモードが開示されている。具体的には、オープンアクセスモード(Open access mode)と、クローズドアクセスモード(Closed access mode)と、ハイブリッドアクセスモード(Hybrid access mode)とが開示されている。
また3GPPでは、リリース10として、ロングタームエボリューションアドヴァンスド(Long Term Evolution Advanced:LTE-A)の規格策定が進められている(非特許文献3、非特許文献4参照)。LTE-Aは、LTEの無線区間通信方式を基本とし、それにいくつかの新技術を加えて構成される。
LTE-Aシステムでは、100MHzまでのより広い周波数帯域幅(transmission bandwidths)をサポートするために、二つ以上のコンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)を集約する(「アグリゲーション(aggregation)する」とも称する)、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)が検討されている。CAについては、非特許文献1に記載されている。
CAが構成される場合、UEはネットワーク(Network:NW)と唯一つのRRC接続(RRC connection)を有する。RRC接続において、一つのサービングセルがNASモビリティ情報とセキュリティ入力を与える。このセルをプライマリセル(Primary Cell:PCell)と呼ぶ。下りリンクで、PCellに対応するキャリアは、下りプライマリコンポーネントキャリア(Downlink Primary Component Carrier:DL PCC)である。上りリンクで、PCellに対応するキャリアは、上りプライマリコンポーネントキャリア(Uplink Primary Component Carrier:UL PCC)である。
UEの能力(ケーパビリティ(capability))に応じて、セカンダリセル(Secondary Cell:SCell)が、PCellとサービングセルの組を形成するために構成される。下りリンクで、SCellに対応するキャリアは、下りセカンダリコンポーネントキャリア(Downlink Secondary Component Carrier:DL SCC)である。上りリンクで、SCellに対応するキャリアは、上りセカンダリコンポーネントキャリア(Uplink Secondary Component Carrier:UL SCC)である。
一つのUEに対して、一つのPCellと、一つ以上のSCellとからなるサービングセルの組が構成される。
また、LTE-Aでの新技術としては、より広い帯域をサポートする技術(Wider bandwidth extension)、および多地点協調送受信(Coordinated Multiple Point transmission and reception:CoMP)技術などがある。3GPPでLTE-Aのために検討されているCoMPについては、非特許文献1に記載されている。
モバイルネットワークのトラフィック量は、増加傾向にあり、通信速度も高速化が進んでいる。LTEおよびLTE-Aが本格的に運用を開始されると、更に通信速度が高速化されることが見込まれる。
また、3GPPにおいて、将来の膨大なトラフィックに対応するために、スモールセルを構成するスモールeNB(以下「小規模基地局装置」という場合がある)を用いることが検討されている。例えば、多数のスモールeNBを設置して、多数のスモールセルを構成することによって、周波数利用効率を高めて、通信容量の増大を図る技術などが検討されている。具体的には、UEが2つのeNBと接続して通信を行うデュアルコネクティビティ(Dual Connectivity;略称:DC)などがある。DCについては、非特許文献1に記載されている。
デュアルコネクティビティ(DC)を行うeNBのうち、一方を「マスターeNB(略称:MeNB)」といい、他方を「セカンダリeNB(略称:SeNB)」という場合がある。
さらに、高度化する移動体通信に対して、2020年以降にサービスを開始することを目標とした第5世代(以下「5G」という場合がある)無線アクセスシステムが検討されている。例えば、欧州では、METISという団体で5Gの要求事項がまとめられている(非特許文献5参照)。
5G無線アクセスシステムでは、LTEシステムに対して、システム容量は1000倍、データの伝送速度は100倍、データの処理遅延は10分の1(1/10)、通信端末の同時接続数は100倍として、更なる低消費電力化、および装置の低コスト化を実現することが要件として挙げられている。
このような要求を満たすために、周波数を広帯域で使用してデータの伝送容量を増やすこと、および周波数利用効率を上げてデータの伝送速度を上げることが検討されている。これらを実現するために、空間多重を可能とする、多素子アンテナを用いたMIMO(Multiple Input Multiple Output)およびビームフォーミングなどの技術が検討されている。
LTE-AにおいてもMIMOの検討は引き続き行われており、MIMOの拡張として、リリース13から、2次元のアンテナアレイを用いるFD(Full Dimension)-MIMOが検討されている。FD-MIMOについては、非特許文献7に記載されている。
5G無線アクセスシステムは、2020年から予定されているサービスの開始当初は、LTEシステムと混在して配置されることが検討されている。LTEシステムに対応する基地局(以下「LTE基地局」という場合がある)と、5G無線アクセスシステムに対応する基地局(以下「5G基地局」という場合がある)とを、デュアルコネクティビティ(DC)構成で接続し、LTE基地局をMeNBとし、5G基地局をSeNBとする構成が考えられている。
この構成では、セル範囲の大きいLTE基地局で制御プレイン(C-plane)データを処理し、LTE基地局と5G基地局とでユーザプレイン(U-plane)データを処理することが考えられている。本構成の一例は、非特許文献8に記載されている。
実施の形態1.
図2は、3GPPにおいて議論されているLTE方式の通信システム200の全体的な構成を示すブロック図である。図2について説明する。無線アクセスネットワークは、E-UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)201と称される。通信端末装置である移動端末装置(以下「移動端末(User Equipment:UE)」という)202は、基地局装置(以下「基地局(E-UTRAN NodeB:eNB)」という)203と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。
ここで、「通信端末装置」とは、移動可能な携帯電話端末装置などの移動端末装置だけでなく、センサなどの移動しないデバイスも含んでいる。以下の説明では、「通信端末装置」を、単に「通信端末」という場合がある。
移動端末202に対する制御プロトコル、例えば無線リソース制御(Radio Resource Control;略称:RRC)と、ユーザプレイン、例えばPDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)とが基地局203で終端するならば、E-UTRANは1つあるいは複数の基地局203によって構成される。
移動端末202と基地局203との間の制御プロトコルRRC(Radio Resource Control)は、報知(Broadcast)、ページング(paging)、RRC接続マネージメント(RRC connection management)などを行う。RRCにおける基地局203と移動端末202との状態として、RRC_IDLEと、RRC_CONNECTEDとがある。
RRC_IDLEでは、PLMN(Public Land Mobile Network)選択、システム情報(System Information:SI)の報知、ページング(paging)、セル再選択(cell re-selection)、モビリティなどが行われる。RRC_CONNECTEDでは、移動端末はRRC接続(connection)を有し、ネットワークとのデータの送受信を行うことができる。またRRC_CONNECTEDでは、ハンドオーバ(Handover:HO)、隣接セル(Neighbour cell)の測定(メジャメント(measurement))などが行われる。
基地局203は、eNB207と、Home-eNB206とに分類される。通信システム200は、複数のeNB207を含むeNB群203-1と、複数のHome-eNB206を含むHome-eNB群203-2とを備える。またコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)と、無線アクセスネットワークであるE-UTRAN201とで構成されるシステムは、EPS(Evolved Packet System)と称される。コアネットワークであるEPCと、無線アクセスネットワークであるE-UTRAN201とを合わせて、「ネットワーク」という場合がある。
eNB207は、移動管理エンティティ(Mobility Management Entity:MME)、あるいはS-GW(Serving Gateway)、あるいはMMEおよびS-GWを含むMME/S-GW部(以下「MME部」という場合がある)204とS1インタフェースにより接続され、eNB207とMME部204との間で制御情報が通信される。一つのeNB207に対して、複数のMME部204が接続されてもよい。eNB207間は、X2インタフェースにより接続され、eNB207間で制御情報が通信される。
Home-eNB206は、MME部204とS1インタフェースにより接続され、Home-eNB206とMME部204との間で制御情報が通信される。一つのMME部204に対して、複数のHome-eNB206が接続される。あるいは、Home-eNB206は、HeNBGW(Home-eNB GateWay)205を介してMME部204と接続される。Home-eNB206とHeNBGW205とは、S1インタフェースにより接続され、HeNBGW205とMME部204とはS1インタフェースを介して接続される。
一つまたは複数のHome-eNB206が一つのHeNBGW205と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。HeNBGW205は、一つまたは複数のMME部204と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。
MME部204およびHeNBGW205は、上位装置、具体的には上位ノードであり、基地局であるeNB207およびHome-eNB206と、移動端末(UE)202との接続を制御する。MME部204は、コアネットワークであるEPCを構成する。基地局203およびHeNBGW205は、E-UTRAN201を構成する。
さらに3GPPでは、以下のような構成が検討されている。Home-eNB206間のX2インタフェースはサポートされる。すなわち、Home-eNB206間は、X2インタフェースにより接続され、Home-eNB206間で制御情報が通信される。MME部204からは、HeNBGW205はHome-eNB206として見える。Home-eNB206からは、HeNBGW205はMME部204として見える。
Home-eNB206が、HeNBGW205を介してMME部204に接続される場合および直接MME部204に接続される場合のいずれの場合も、Home-eNB206とMME部204との間のインタフェースは、S1インタフェースで同じである。
基地局203は、1つのセルを構成してもよいし、複数のセルを構成してもよい。各セルは、移動端末202と通信可能な範囲であるカバレッジとして予め定める範囲を有し、カバレッジ内で移動端末202と無線通信を行う。1つの基地局203が複数のセルを構成する場合、1つ1つのセルが、移動端末202と通信可能に構成される。
図3は、本発明に係る通信端末である図2に示す移動端末202の構成を示すブロック図である。図3に示す移動端末202の送信処理を説明する。まず、プロトコル処理部301からの制御データ、およびアプリケーション部302からのユーザデータが、送信データバッファ部303へ保存される。送信データバッファ部303に保存されたデータは、エンコーダー部304へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部303から変調部305へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコーダー部304でエンコード処理されたデータは、変調部305にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部306へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ307から基地局203に送信信号が送信される。
また、移動端末202の受信処理は、以下のように実行される。基地局203からの無線信号がアンテナ307により受信される。受信信号は、周波数変換部306にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部308において復調処理が行われる。復調後のデータは、デコーダー部309へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部301へ渡され、ユーザデータはアプリケーション部302へ渡される。移動端末202の一連の処理は、制御部310によって制御される。よって制御部310は、図3では省略しているが、各部301~309と接続している。
図4は、本発明に係る基地局である図2に示す基地局203の構成を示すブロック図である。図4に示す基地局203の送信処理を説明する。EPC通信部401は、基地局203とEPC(MME部204など)、HeNBGW205などとの間のデータの送受信を行う。他基地局通信部402は、他の基地局との間のデータの送受信を行う。EPC通信部401および他基地局通信部402は、それぞれプロトコル処理部403と情報の受け渡しを行う。プロトコル処理部403からの制御データ、ならびにEPC通信部401および他基地局通信部402からのユーザデータおよび制御データは、送信データバッファ部404へ保存される。
送信データバッファ部404に保存されたデータは、エンコーダー部405へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部404から変調部406へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコードされたデータは、変調部406にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部407へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ408より一つもしくは複数の移動端末202に対して送信信号が送信される。
また、基地局203の受信処理は以下のように実行される。一つもしくは複数の移動端末202からの無線信号が、アンテナ408により受信される。受信信号は、周波数変換部407にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部409で復調処理が行われる。復調されたデータは、デコーダー部410へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部403あるいはEPC通信部401、他基地局通信部402へ渡され、ユーザデータはEPC通信部401および他基地局通信部402へ渡される。基地局203の一連の処理は、制御部411によって制御される。よって制御部411は、図4では省略しているが、各部401~410と接続している。
図5は、本発明に係るMMEの構成を示すブロック図である。図5では、前述の図2に示すMME部204に含まれるMME204aの構成を示す。PDN GW通信部501は、MME204aとPDN GWとの間のデータの送受信を行う。基地局通信部502は、MME204aと基地局203との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。PDN GWから受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、PDN GW通信部501から、ユーザプレイン通信部503経由で基地局通信部502に渡され、1つあるいは複数の基地局203へ送信される。基地局203から受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、基地局通信部502から、ユーザプレイン通信部503経由でPDN GW通信部501に渡され、PDN GWへ送信される。
PDN GWから受信したデータが制御データであった場合、制御データは、PDN GW通信部501から制御プレイン制御部505へ渡される。基地局203から受信したデータが制御データであった場合、制御データは、基地局通信部502から制御プレイン制御部505へ渡される。
HeNBGW通信部504は、HeNBGW205が存在する場合に設けられ、情報種別によって、MME204aとHeNBGW205との間のインタフェース(IF)によるデータの送受信を行う。HeNBGW通信部504から受信した制御データは、HeNBGW通信部504から制御プレイン制御部505へ渡される。制御プレイン制御部505での処理の結果は、PDN GW通信部501経由でPDN GWへ送信される。また、制御プレイン制御部505で処理された結果は、基地局通信部502経由でS1インタフェースにより1つあるいは複数の基地局203へ送信され、またHeNBGW通信部504経由で1つあるいは複数のHeNBGW205へ送信される。
制御プレイン制御部505には、NASセキュリティ部505-1、SAEベアラコントロール部505-2、アイドルステート(Idle State)モビリティ管理部505-3などが含まれ、制御プレインに対する処理全般を行う。NASセキュリティ部505-1は、NAS(Non-Access Stratum)メッセージのセキュリティなどを行う。SAEベアラコントロール部505-2は、SAE(System Architecture Evolution)のベアラの管理などを行う。アイドルステートモビリティ管理部505-3は、待受け状態(アイドルステート(Idle State);LTE-IDLE状態、または、単にアイドルとも称される)のモビリティ管理、待受け状態時のページング信号の生成および制御、傘下の1つあるいは複数の移動端末202のトラッキングエリアの追加、削除、更新、検索、トラッキングエリアリスト管理などを行う。
MME204aは、1つまたは複数の基地局203に対して、ページング信号の分配を行う。また、MME204aは、待受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility control)を行う。MME204aは、移動端末が待ち受け状態のとき、および、アクティブ状態(Active State)のときに、トラッキングエリア(Tracking Area)リストの管理を行う。MME204aは、UEが登録されている(registered)追跡領域(トラッキングエリア:Tracking Area)に属するセルへ、ページングメッセージを送信することで、ページングプロトコルに着手する。MME204aに接続されるHome-eNB206のCSGの管理、CSG IDの管理、およびホワイトリストの管理は、アイドルステートモビリティ管理部505-3で行われてもよい。
次に通信システムにおけるセルサーチ方法の一例を示す。図6は、LTE方式の通信システムにおいて通信端末(UE)が行うセルサーチから待ち受け動作までの概略を示すフローチャートである。通信端末は、セルサーチを開始すると、ステップST601で、周辺の基地局から送信される第一同期信号(P-SS)、および第二同期信号(S-SS)を用いて、スロットタイミング、フレームタイミングの同期をとる。
P-SSとS-SSとを合わせて、同期信号(Synchronization Signal:SS)という。同期信号(SS)には、セル毎に割り当てられたPCIに1対1に対応するシンクロナイゼーションコードが割り当てられている。PCIの数は504通りが検討されている。この504通りのPCIを用いて同期をとるとともに、同期がとれたセルのPCIを検出(特定)する。
次に同期がとれたセルに対して、ステップST602で、基地局からセル毎に送信される参照信号(リファレンスシグナル:RS)であるセル固有参照信号(Cell-specific Reference Signal:CRS)を検出し、RSの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)の測定を行う。参照信号(RS)には、PCIと1対1に対応したコードが用いられている。そのコードで相関をとることによって他セルと分離できる。ステップST601で特定したPCIから、該セルのRS用のコードを導出することによって、RSを検出し、RSの受信電力を測定することが可能となる。
次にステップST603で、ステップST602までで検出された一つ以上のセルの中から、RSの受信品質が最もよいセル、例えば、RSの受信電力が最も高いセル、つまりベストセルを選択する。
次にステップST604で、ベストセルのPBCHを受信して、報知情報であるBCCHを得る。PBCH上のBCCHには、セル構成情報が含まれるMIB(Master Information Block)がマッピングされる。したがってPBCHを受信してBCCHを得ることで、MIBが得られる。MIBの情報としては、例えば、DL(ダウンリンク)システム帯域幅(送信帯域幅設定(transmission bandwidth configuration:dl-bandwidth)とも呼ばれる)、送信アンテナ数、SFN(System Frame Number)などがある。
次にステップST605で、MIBのセル構成情報をもとに該セルのDL-SCHを受信して、報知情報BCCHの中のSIB(System Information Block)1を得る。SIB1には、該セルへのアクセスに関する情報、セルセレクションに関する情報、他のSIB(SIBk;k≧2の整数)のスケジューリング情報が含まれる。また、SIB1には、トラッキングエリアコード(Tracking Area Code:TAC)が含まれる。
次にステップST606で、通信端末は、ステップST605で受信したSIB1のTACと、通信端末が既に保有しているトラッキングエリアリスト内のトラッキングエリア識別子(Tracking Area Identity:TAI)のTAC部分とを比較する。トラッキングエリアリストは、TAIリスト(TAI list)とも称される。TAIはトラッキングエリアを識別するための識別情報であり、MCC(Mobile Country Code)と、MNC(Mobile Network Code)と、TAC(Tracking Area Code)とによって構成される。MCCは国コードである。MNCはネットワークコードである。TACはトラッキングエリアのコード番号である。
通信端末は、ステップST606で比較した結果、ステップST605で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれるTACと同じならば、該セルで待ち受け動作に入る。比較して、ステップST605で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれなければ、通信端末は、該セルを通して、MMEなどが含まれるコアネットワーク(Core Network,EPC)へ、TAU(Tracking Area Update)を行うためにトラッキングエリアの変更を要求する。
コアネットワークを構成する装置(以下「コアネットワーク側装置」という場合がある)は、TAU要求信号とともに通信端末から送られてくる該通信端末の識別番号(UE-IDなど)をもとに、トラッキングエリアリストの更新を行う。コアネットワーク側装置は、通信端末に更新後のトラッキングエリアリストを送信する。通信端末は、受信したトラッキングエリアリストに基づいて、通信端末が保有するTACリストを書き換える(更新する)。その後、通信端末は、該セルで待ち受け動作に入る。
スマートフォンおよびタブレット型端末装置の普及によって、セルラー系無線通信によるトラフィックが爆発的に増大しており、世界中で無線リソースの不足が懸念されている。これに対応して周波数利用効率を高めるために、小セル化し、空間分離を進めることが検討されている。
従来のセルの構成では、eNBによって構成されるセルは、比較的広い範囲のカバレッジを有する。従来は、複数のeNBによって構成される複数のセルの比較的広い範囲のカバレッジによって、あるエリアを覆うように、セルが構成されている。
小セル化された場合、eNBによって構成されるセルは、従来のeNBによって構成されるセルのカバレッジに比べて範囲が狭いカバレッジを有する。したがって、従来と同様に、あるエリアを覆うためには、従来のeNBに比べて、多数の小セル化されたeNBが必要となる。
以下の説明では、従来のeNBによって構成されるセルのように、カバレッジが比較的大きいセルを「マクロセル」といい、マクロセルを構成するeNBを「マクロeNB」という。また、小セル化されたセルのように、カバレッジが比較的小さいセルを「スモールセル」といい、スモールセルを構成するeNBを「スモールeNB」という。
マクロeNBは、例えば、非特許文献7に記載される「ワイドエリア基地局(Wide Area Base Station)」であってもよい。
スモールeNBは、例えば、ローパワーノード、ローカルエリアノード、ホットスポットなどであってもよい。また、スモールeNBは、ピコセルを構成するピコeNB、フェムトセルを構成するフェムトeNB、HeNB、RRH(Remote Radio Head)、RRU(Remote Radio Unit)、RRE(Remote Radio Equipment)またはRN(Relay Node)であってもよい。また、スモールeNBは、非特許文献7に記載される「ローカルエリア基地局(Local Area Base Station)」または「ホーム基地局(Home Base Station)」であってもよい。
図7は、マクロeNBとスモールeNBとが混在する場合のセルの構成の概念を示す図である。マクロeNBによって構成されるマクロセルは、比較的広い範囲のカバレッジ701を有する。スモールeNBによって構成されるスモールセルは、マクロeNB(マクロセル)のカバレッジ701に比べて範囲が小さいカバレッジ702を有する。
複数のeNBが混在する場合、あるeNBによって構成されるセルのカバレッジが、他のeNBによって構成されるセルのカバレッジ内に含まれる場合がある。図7に示すセルの構成では、参照符号「704」または「705」で示されるように、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジ702が、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ701内に含まれる場合がある。
また、参照符号「705」で示されるように、複数、例えば2つのスモールセルのカバレッジ702が、1つのマクロセルのカバレッジ701内に含まれる場合もある。移動端末(UE)703は、例えばスモールセルのカバレッジ702内に含まれ、スモールセルを介して通信を行う。
また図7に示すセルの構成では、参照符号「706」で示されるように、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ701と、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジ702とが複雑に重複する場合が生じる。
また、参照符号「707」で示されるように、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ701と、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジ702とが重複しない場合も生じる。
さらには、参照符号「708」で示されるように、多数のスモールeNBによって構成される多数のスモールセルのカバレッジ702が、1つのマクロeNBによって構成される1つのマクロセルのカバレッジ701内に構成される場合も生じる。
2018年~2020年の商用化を目指す将来の無線アクセス方式である第5世代(5G)には、LTE-Aシステムに対応するLTE基地局と、5Gシステムに対応する5G基地局とが混在して配置されるアーキテクチャが考えられている。
LTE-Aでは、デュアルコネクティビティ(Dual Connectivity;略称:DC)の構成によって、2つの基地局をMeNB(Master eNB)と、SeNB(Secondary eNB)との主従関係にする。MeNBは、マスター基地局装置に相当し、SeNBは、セカンダリ基地局装置に相当する。制御プレイン(C-plane)データは、MeNBのみで処理し、ユーザプレイン(U-plane)データは、MeNBとSeNBとで処理することが考えられている。
図8は、従来の通信システム10の構成を示す図である。MeNBである第1基地局11(以下「BS#1」という場合がある)は、S1インタフェースによってコアネットワーク15と接続され、Xnインタフェースによって、SeNBである第2基地局12(以下「BS#2」という場合がある)と接続される。他の基地局から独立して設置される第3基地局13(以下「BS#3」という場合がある)は、S1インタフェースによってコアネットワーク15と接続される。
5Gでは、LTE-Aに加えて、使用する周波数が異なる複数の基地局が接続される。また、各基地局のデータ量も多い。
そこで、MeNB11をLTE-Aとした構成が考えられている。その理由は、LTE-Aは比較的広いセル半径をカバーできるからである。具体的には、LTE-Aでは、使用している周波数が低く、また既存の基地局のために、既に配置されている基地局が多いので、平面的に見て比較的広い範囲でセルをカバーできるからである。
SeNB12としては、5Gの無線方式の基地局が割り当てられる。このとき、使用する周波数が6GHz以下の低SHF(Super High Frequency)である基地局(以下「低SHF基地局」という場合がある)と、使用する周波数が6GHzを超える高SHFである基地局(以下「高SHF基地局」という場合がある)とが同時に配置される可能性が高い。
この場合、DC構成では、MeNB11に対して、1台のSeNB12、例えば低SHF基地局しか割り当てることができない。もう1台の基地局、例えば高SHF基地局は、他の基地局から独立したスタンドアローン(Standalone)の基地局13としてしか配置できない。すなわち、1台のMeNB11に対して、複数のSeNB12を接続するような構成がとれない。
したがって、移動端末(以下「UE」という場合がある)14側で3台以上の基地局と同時に通信を行うことが可能な状態であっても、制御プレイン(C-plane)情報の通信経路を1つに集約することができず、UE14側で複数の制御プレイン(C-plane)情報の不整合が発生しないような制御が必要となってしまう。
また、複数のSeNB12を接続した場合でも、1台のMeNB11に制御プレイン(C-plane)情報が集中してしまい、MeNB11の処理能力がネットワークのボトルネックになる可能性がある。
本実施の形態では、MeNBに相当する1台の基地局が、SeNBとして接続される複数の基地局の制御プレイン(C-plane)データの処理を実行できる構成とする。また、ユーザプレイン(U-plane)データの処理に関しても同様に、MeNBに相当する1台の基地局が処理を実行できる構成とする。
すなわち、本実施の形態では、コアネットワークから与えられるUEとの通信に関する情報のうち、通信の制御に関する制御プレイン(C-plane)データは、MeNBに相当する1台の基地局を介してUEと送受信される。これによって、複数の基地局と同時に通信が可能な通信端末の制御プレイン(C-plane)データの処理を簡易化することが可能となる。
図9は、本発明の実施の形態1における通信システム20の構成を示す図である。通信システム20は、第1基地局21(以下「BS#1」という場合がある)、第2基地局22(以下「BS#2」という場合がある)、第3基地局23(以下「BS#3」という場合がある)、および移動端末(UE)24を備えて構成される。BS#1は、MeNBとして設置される。BS#2は、第1SeNB(以下「SeNB#1」という場合がある)として設置される。BS#3は、第2SeNB(以下「SeNB#2」という場合がある)として設置される。
MeNBは、マスター基地局装置に相当する。マスター基地局装置は、主たる処理を行う。主たる処理は、例えば、デュアルコネクティビティ(DC)における集約処理である。第1SeNBおよび第2SeNBは、セカンダリ基地局装置に相当する。第1SeNBおよび第2SeNBは、それぞれ、MeNBに接続される。
1台のUE24が、3台の基地局21~23、すなわちBS#1、BS#2およびBS#3と同時に通信している。3台の基地局は、例えば、BS#1がLTE-Aの基地局であり、BS#2が5Gの基地局であり、BS#3が5Gの基地局であることが考えられる。BS#1とBS#2との間、およびBS#1とBS#3との間には、それぞれ、直接通信可能なインタフェース、ここではXnインタフェースが設けられている。
UE24は、BS#1と制御プレイン(C-plane)データの通信を行う。また、UE24は、BS#1、BS#2およびBS#3と、それぞれ、ユーザプレイン(U-plane)データの通信を行う。
図10は、本発明の実施の形態1の通信システム20で使用される送受信波の周波数の一例を示す図である。図10において、横軸は周波数fを示す。本実施の形態では、例えば図10に示すように、MeNBとして設置される第1基地局21、SeNB#1として設置される第2基地局22、およびSeNB#2として設置される第3基地局23は、それぞれ異なる周波数帯域の送受信波を使用する。
図11は、本発明の実施の形態1の通信システム20で使用される送受信波形の一例を示す図である。図12は、図11に示す例で使用される送受信波の周波数の一例を示す図である。図11および図12では、各基地局21~22およびUE24が、送受信のアンテナにアレーアンテナを適用する場合を示す。この場合、図11に示すように、指向性を有するビーム形状の送受信波形31~35が使用される。これによって、空間分離性を高めることができる。
したがって、図12に示すように、同一の周波数帯域で複数の基地局を同時に割り当てることが可能になる。図12に示す例では、MeNBと、2つのSeNBとは、異なる周波数帯域の送受信波を使用するが、SeNB#1とSeNB#2とは、同一の周波数帯域の送受信波を使用する。
図13は、本発明の実施の形態1の通信システム20におけるデータの流れの一例を示す図である。図13に示すように、ユーザプレイン(U-plane)データは、例えば、各基地局、すなわち第1基地局21(以下「BS#1」という場合がある)、第2基地局(以下「BS#2」という場合がある)および第3基地局(以下「BS#3」という場合がある)と、上位装置( Next Generation Core Network)であるコアネットワーク装置25との通信によって送受信されるとともに、各基地局とUE24との通信によって送受信される。
ユーザプレイン(U-plane)データは、これに限定されず、1つの基地局、例えばBS#1と、上位装置であるコアネットワーク装置25との通信によって送受信されるとともに、BS#1とUE24との通信と、BS#2またはBS#3を経由したBS#1とUE24との通信とによって送受信されてもよい。
本実施の形態では、制御プレイン(C-plane)データは、BS#1とUE24との通信のみによって送受信される。BS#1とUE24との通信は、BS#1とUE24との直接通信であってもよいし、他の基地局、例えばBS#3またはBS#4を経由したものであってもよい。
図14は、本発明の実施の形態1の通信システムの他の例である通信システム20Aにおけるデータの流れの一例を示す図である。図14に示す通信システム20Aは、図13に示す通信システム20と同一の構成を含んでいるので、同一の構成には同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
図14に示すように、制御プレイン(C-plane)データは、MMEに相当するコアネットワーク装置25とBS#1との通信によって送受信される。
制御プレイン(C-plane)データは、BS#1とUE24との間の通信によって送受信されてもよい。また、制御プレイン(C-plane)データは、図14に示すように、BS#1とUE24との間の通信に加えて、BS#2およびBS#3の無線リソースを介したUE24との通信によって送受信されてもよい。
図15は、本発明の実施の形態1の通信システムにおいて、通信を開始するまでの処理に関するシーケンスの一例を示す図である。図15では、BS#1とUEとがConnected状態から、BS#2とBS#3とを追加するシーケンスを示している。
ステップST11において、BS#1、BS#2、BS#3およびUEは、Connected状態である。
ステップST12において、BS#1は、リソース割当て要求をBS#2に通知する。ステップST13において、BS#2は、要求応答をBS#1に通知する。
ステップST14において、BS#1は、BS#2の追加要求をUEに通知する。ステップST15において、UEは、追加要求応答をBS#1に通知する。UEは、指定されたBS#2の同期信号を測定する。
ステップST16において、UEは、BS#2の下りリンク(DL)と同期をとる。
ステップST17において、BS#2は、チャネル制御、例えば、PDCCHをUEに通知する。
ステップST18において、UEは、PDCCHで指定された下り信号のリソース割当て状態に基づいて、ユーザプレイン(U-plane)データの導通を開始する。
ステップST19において、BS#1は、リソース割当て要求をBS#3に通知する。ステップST20において、BS#3は、要求応答をBS#1に通知する。
ステップST21において、BS#1は、BS#3の追加要求をUEに通知する。ステップST22において、UEは、追加要求応答をBS#1に通知する。UEは、指定されたBS#3の同期信号を測定する。
ステップST23において、UEは、BS#3の下りリンク(DL)と同期をとる。
ステップST24において、BS#3は、チャネル制御、例えば、PDCCHをUEに通知する。
ステップST25において、UEは、PDCCHで指定された下り信号のリソース割当て状態に基づいて、ユーザプレイン(U-plane)データの導通を開始する。
基地局の削除に関しても、BS#1の削除指示がUEに送信されて実行される。
5G規格対応のUEおよび基地局は、送受信のアンテナにアレーアンテナを適用する可能性がある。その場合、指向性を持ったビーム形状の送受信波形を使用することによって、空間分離性を高めることができる。したがって、図13に示すような同一周波数帯域で複数の基地局を同時に割り当てられる可能性もある。
ビームを扱う場合は、図15のステップST14におけるBS#2の追加要求信号、およびステップST21におけるBS#3の追加要求信号に、どのビームを使用するかの選択情報、例えばビームIDが追加されることもある。その場合、PDCCHを受信するビームを選択することができ、PDCCH情報を全ビームに送信する必要がなく、チャネルリソースを効率的に使用することができる。
または、PDCCHにビームの選択情報を追加することもできる。その場合、ビーム制御に関しては、BS#1が考慮する必要がないので、BS#1に複数の基地局が接続された場合に、BS#1のリソース割当て処理が軽減され、システムとして、処理負荷の分散を図ることができ、BS#1が既存のLTE-A基地局などの処理能力が限られている装置であっても、ボトルネックにならずに処理できる可能性がある。
以上のように本実施の形態によれば、コアネットワークから与えられるUEとの通信に関する情報のうち、制御プレイン(C-plane)データは、MeNBを介してUEと送受信される。これによって、UEが複数の基地局と通信する場合の制御プレイン(C-plane)データの処理を簡易化することができる。
具体的には、本実施の形態では、コアネットワークによって、MeNBに制御プレイン(C-plane)データが与えられる。コアネットワークから与えられた制御プレイン(C-plane)データは、MeNBによって、UEに与えられるとともに、複数のSeNBを経由してUEに与えられる。これによって、複数の基地局と同時に通信が可能なUEの制御プレイン(C-plane)データの処理を簡易化することが可能となる。
実施の形態1 変形例1.
実施の形態1の変形例1として、制御プレイン(C-plane)データの処理の一部を、MeNB以外の基地局、例えば後述するBS#2に分散させる構成がある。図16は、本発明の実施の形態1の変形例1における通信システム40の構成を示す図である。通信システム40は、第1基地局41(以下「BS#1」という場合がある)、第2基地局42(以下「BS#2」という場合がある)、第3基地局43(以下「BS#3」という場合がある)、第4基地局44(以下「BS#4」という場合がある)、移動端末(UE)45およびコアネットワーク46を備えて構成される。
本変形例では、BS#1がLTE-A用の基地局であり、BS#2、BS#3およびBS#4が5G用の基地局である場合を示している。5G規格用のRRCメッセージは、BS#2でまとめて送受信することを特徴としている。
BS#1とBS#2とは、基地局間インタフェース、具体的にはXnインタフェースによって接続される。また、BS#2とBS#3、ならびにBS#2とBS#4は、基地局間インタフェース、具体的にはXnインタフェースによって接続される。BS#1とコアネットワーク46とは、S1インタフェースによって接続される。
BS#1は、BS#1用のRRCメッセージ、およびBS#2を追加するための制御プレイン(C-plane)情報を扱う。
他方、BS#2は、BS#2、BS#3およびBS#4用の制御プレイン(C-plane)情報を扱う。UE45は、BS#1およびBS#2と、制御プレイン(C-plane)情報の送受信を行う。
図16に示すような構成にすることによって、BS#1に、5Gなどの新しいシステム用のRRCメッセージ対応をすることが不要となり、5Gなどの新しいシステムが接続されるシステム構成においても、新しいシステムの導入が簡易にできる。
図17は、本発明の実施の形態1の変形例1の通信システム40におけるデータの流れの一例を示す図である。図17では、RRC処理機能の配置の例を示している。BS#1は、例えばLTE-Aの第1無線システム(以下「第1システム」という場合がある)である。BS#2、BS#3およびBS#4は、例えば5Gの第2無線システム(以下「第2システム」という場合がある)である。
BS#1は、第1システム用RRC処理の機能を有する。BS#2は、第2システム用RRC処理の機能を有する。第1システム用のRRCメッセージは、BS#1とUEとの間で送受信してもよいし、BS#2の無線リソースを介して、UEと通信してもよい。
他方、第2システム用RRC処理の機能は、BS#2が有している。第2システム用のRRCメッセージは、BS#2とUEとの間で送受信してもよいし、BS#3およびBS#4の無線リソースを介して、UEと通信してもよい。第2システム用制御プレイン(C-plane)情報は、コアネットワーク46とBS#2との間の通信によって送受信される。コアネットワーク46とBS#2との間の通信は、コアネットワーク46とBS#2との直接通信でもよいし、BS#1を経由した通信でもよい。
RRC処理機能を無線システム毎に分けることによって、無線システム毎の独立性を維持できるので、新たなシステムを導入したときも、他の無線システムに与える影響を最小限にすることが可能である。
また、無線システム間でデュアルコネクティビティのような複数の基地局を関連させて接続することによって、UEの接続性を改善することができるとともに、セルの追加および削除をスムーズに行うことができる。ここで、「UEの接続性」とは、UEの基地局との接続のし易さのことをいう。
図18は、本発明の実施の形態1の変形例1の通信システム40におけるセルの配置の一例を示す図である。例えば、図18に示すように、BS#1が、例えばセル半径が500mのマクロセル51を構成し、BS#2が、例えばセル半径が200mのマイクロセル52を構成し、BS#3およびBS#4が、例えばセル半径が50mのスモールセル53,54を構成する場合、BS#1とUEとの間の接続は、広範囲で維持できる。
図18に示す例では、BS#1のセル51内には、他の第2基地局42AであるBS#2’が存在する。BS#2’は、例えばBS#2と同様に、セル半径が200mのマイクロセル52Aを構成する。BS#2’のセル52A内には、第5基地局45であるBS#5が存在する。BS#5は、例えばBS#3およびBS#4と同様に、例えばセル半径が50mのスモールセル55を構成する。
BS#1のセル51内には、多数の基地局42,42A,43~45が存在することになるので、全ての基地局42,42A,43~45に対して、実施の形態1に示す複数の基地局用の制御プレイン(C-plane)データを処理するのは、BS#1の処理負荷が大きくなってしまう。
そこで、本変形例では、BS#2に、BS#2の制御プレイン(C-plane)データの処理と、BS#2のセル52の配下の基地局であるBS#3およびBS#4の制御プレイン(C-plane)データの処理とを実行させる。これによって、BS#1の処理の負荷を軽減することができる。また、BS#2’においても、BS#2’の制御プレイン(C-plane)データの処理と、BS#2’のセル52Aの配下の基地局であるBS#5の制御プレイン(C-plane)データの処理とを実行させることが好ましい。これによって、BS#1の処理の負荷をさらに軽減することができる。
図19は、本発明の実施の形態1の変形例1の通信システム40において、通信を開始するまでの処理に関するシーケンスの一例を示す図である。図19では、複数の基地局との接続を確立するためのシーケンス例を示している。図19では、BS#1とUEがConnected状態から、BS#2、BS#3およびBS#4を追加するシーケンスを示している。
ステップST31において、BS#1とUEとは、Connected状態である。
ステップST32において、BS#1は、リソース割当て要求をBS#2に通知する。ステップST33において、BS#2は、要求応答をBS#1に通知する。
ステップST34において、BS#1は、BS#2の追加要求をUEに通知する。ステップST35において、UEは、追加要求応答をBS#1に通知する。UEは、指定されたBS#2の同期信号を測定する。
ステップST36において、UEは、BS#2の下りリンク(DL)と同期をとる。
ステップST37において、BS#2は、チャネル制御、例えばPDCCHをUEに通知する。
ステップST38において、UEは、PDCCHで指定された下り信号のリソース割当て状態に基づいて、ユーザプレイン(U-plane)データの導通を開始する。
ステップST39において、BS#2は、リソース割当て要求をBS#3に通知する。ステップST40において、BS#3は、要求応答をBS#2に通知する。
ステップST41において、BS#2は、BS#3の追加要求をUEに通知する。
ステップST42において、UEは、追加要求応答をBS#2に通知する。UEは、指定されたBS#3の同期信号を測定する。
ステップST43において、UEは、BS#3の下りリンク(DL)と同期をとる。
ステップST44において、BS#3は、チャネル制御、例えばPDCCHをUEに通知する。
ステップST45において、UEは、PDCCHで指定された下り信号のリソース割当て状態に基づいて、ユーザプレイン(U-plane)データの導通を開始する。
ステップT46において、BS#2は、リソース割当て要求をBS#4に通知する。ステップST47において、BS#4は、要求応答をBS#2に通知する。
ステップST48において、BS#2は、BS#4の追加要求をUEに通知する。
ステップST49において、UEは、追加要求応答をBS#2に通知する。UEは、指定されたBS#3の同期信号を測定する。
ステップST50において、UEは、BS#4の下りリンク(DL)と同期をとる。
ステップST51において、BS#4は、チャネル制御、例えばPDCCHをUEに通知する。
ステップST52において、UEは、PDCCHで指定された下り信号のリソース割当て状態に基づいて、ユーザプレイン(U-plane)データの導通を開始する。
基地局の削除に関しても、基地局の追加と同様に、BS#2の削除は、BS#1からUEへの指示によって行う。また、BS#3およびBS#4の削除は、BS#2の指示によって行う。
BS#3およびBS#4の接続中に、BS#2が削除される場合は、BS#2から、BS#3およびBS#4の基地局の削除指示の後、BS#2を削除するシーケンスとしてもよい。また、BS#1からのBS#2の削除の指示によって、BS#3およびBS#4が同時に削除されてもよい。
前述のBS#2を追加するときに、BS#2を第2システムのRRC処理機能を有効とするメッセージを、UEへ通知する、BS#2の追加要求指示に含ませる。また、BS#1からBS#2へのリソース割当て要求指示に、RRC処理機能を有効とするメッセージを含ませる。無効な場合は、BS#2は、第2システムのRRC処理機能を有効とせずに、図9に示す実施の形態1のBS#2と同じ役割となる。
以上の本変形例によれば、図19に示すシーケンスが実行される。具体的には、SeNBであるBS#2,BS#3,BS#4に対する無線リソース制御(RRC)処理は、図19に示すように、BS#2,BS#3,BS#4のうちの1つ、例えばBS#2によって行われる。これによって、BS#1の制御プレイン(C-plane)データの処理の負荷を軽減することができる。したがって、基地局の追加処理などのシーケンス処理の時間を短縮化することができるので、処理の遅延を抑えることができる。
実施の形態1 変形例2.
実施の形態1の変形例2として、図16に示す実施の形態1の変形例1の構成において、BS#2に複数のコンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)がある場合に、RRCメッセージを選択したCCで通信する例を示す。本変形例の通信システムは、図16に示す実施の形態1の変形例1の通信システム40と構成が同一であるので、構成の図示および共通する説明を省略する。
図20~図22は、本発明の実施の形態1の変形例2の通信システムで使用される送受信波の周波数の一例を示す図である。図20~図22において、横軸は周波数fを示す。図20では、BS#1で使用される送受信波の周波数を示す。図21では、BS#2で使用される送受信波の周波数を示す。図22では、BS#3およびBS#4で使用される送受信波の周波数を示す。
図20に示すように、BS#1は、1種類の送受信波を使用して、第1システム用RRCメッセージを送受信する。BS#1で使用される送受信波の帯域幅BW1は、例えば20MHzである。
図21に示すように、BS#2は、2つのCCを扱っている。そこで、本変形例では、RRCメッセージをCC#1またはCC#2のいずれかで送信するようにする。これによって、UEは、全てのCCの変調処理および復調処理を行うことなく、必要なRRC情報を得ることができる。
図21に示すBS#2で使用される送受信波の帯域幅BW2は、例えば100MHzである。本変形例では、BS#2で使用される2つのCCのうち、CC#1を使用して、第2システム用RRCメッセージが送受信される。
また本変形例では、RRCが割当てられていないBS#2のCC#2を、他のBS#3およびBS#4と同等の扱いとする。これによって、ユーザプレイン(U-plane)リソースの管理を簡易化することが可能である。
図22に示すBS#3で使用される送受信波の帯域幅BW3は、例えば100MHzである。BS#3で第2システム用RRCメッセージを送受信する場合は、CC#0からCC#7のいずれか、または複数のCCにマッピングされる。CCの一部のみでRRCを扱うことによって、RRCがマッピングされていないCCのユーザプレイン(U-plane)リソースの管理を簡易化することが可能である。
実施の形態1 変形例3.
実施の形態1の変形例3として、実施の形態1の構成と実施の形態1の変形例1の構成とを組合せた方法を示す。実施の形態1では、第2システム用のRRC処理機能をBS#1で実行している。他方、実施の形態1の変形例1では、第2システム用のRRC処理機能をBS#2で実行している。
図23は、第2システム用のRRC処理機能をBS#2からBS#1に変更する処理に関するシーケンスの一例を示す図である。
ステップST61において、BS#2とUEとの間で、第2システム用RRC通信を行う。
ステップST62において、BS#1は、第2システム用RRC処理の解放指示をBS#2に通知する。
ステップST63において、BS#2は、対応可能の応答をBS#1に通知する。
ステップST64において、BS#1は、第2システム用RRC処理の変更指示をUEに通知する。第2システム用RRC処理の変更指示は、第2システム用RRC処理がBS#2からBS#1に変更する指示である。具体的な指示内容の一例としては、第2システム用のRRCメッセージを扱う無線リソースの変更、およびメッセージフォーマットの変更などである。
ステップST65において、BS#1とUEとの間で、第2システム用RRC通信を行う。
図24は、第2システム用のRRC処理機能をBS#1からBS#2に変更する処理に関するシーケンスの一例を示す図である。
ステップST71において、BS#1とUEとの間で、第2システム用RRC通信を行う。
ステップST72において、BS#1は、第2システム用RRC処理の追加指示をBS#2に通知する。
ステップST73において、BS#2は、対応可能の応答をBS#1に通知する。
ステップST74において、BS#1は、第2システム用のRRC処理の変更指示をUEに通知する。第2システム用のRRC処理の変更指示は、第2システム用RRC処理がBS#1からBS#2に変更する指示である。具体的な指示内容の一例としては、第2システム用のRRCメッセージを扱う無線リソースの変更、およびメッセージフォーマットの変更などである。
ステップST75において、BS#2とUEとの間で、第2システム用RRC通信を行う。
以上のように、RRC処理を行う基地局およびリソースを変更することを可能にすることによって、UEの通信状態およびUEの対応機能、基地局の負荷状態、接続端末数などに合わせて、RRC処理の負荷を分散することが可能となる。
また、UE側の通信状態に合わせて、遅延の少ない高速通信が求められる状況において、BS#2を使用することによって、遅延を抑えて、第2システム用のRRC処理を実行することも可能となる。
他方、UE側で遅延などを気にせず、RRCのメッセージの数を減らすなどの省電力を図るような使い方をする場合は、第1システム用RRC処理と第2システム用RRC処理とを1箇所にまとめて、BS#1からRRCメッセージを送受信するようにすることも有効である。
実施の形態2.
5Gでは、ビーム制御の概念が加わる可能性がある。また基地局の配置間隔が狭くなる。これによって、1つのセル内の基地局の数が増えることがある。また、種々のタイプの基地局が混在して配置されることがある。例えば、URLLC(Ultra-Reliability and Low Latency Communication)の基地局、または周波数が異なる複数の基地局が混在して配置されることがある。このようなことが起こると、報知されるべき、基地局に関する情報が増える。これをマクロ基地局1台で送信すると、マクロ基地局の処理が大きくなるという問題がある。
この問題を解決するために、本実施の形態では、報知情報を基本情報と付加情報とに分ける。そして、基本情報は、セル半径の大きいBS#1から送信し、付加情報は、BS#1のセル内に設置され、セル半径がBS#1よりも小さい、またはBS#1と同等のBS#2から送信する構成とする。
これによって、1つの基地局から送信される報知情報の量を減らし、負荷を分散させることができる。また、報知情報の内容を各基地局で必要な情報に絞ることによって、送信する情報の情報量を減らし、結果として、報知情報が全無線リソースに占める割合を減らすことができる。したがって、システムの効率化を図ることができる。
図25は、本発明の実施の形態2における通信システム60の構成を示す図である。通信システム60は、第1基地局61(以下「BS#1」という場合がある)、第2基地局62(以下「BS#2」という場合がある)、第3基地局63(以下「BS#3」という場合がある)、第4基地局64(以下「BS#4」という場合がある)と、移動端末(UE)65とを備えて構成される。
BS#1は、例えばセル半径が500mのマクロセル71を構成する。BS#2は、例えばセル半径が200mのマイクロセル72を構成する。BS#3およびBS#4は、例えばセル半径が50mのスモールセル73,74を構成する。
例えば、各基地局61~64が他の基地局から独立して、スタンドアローン(Standalone)の基地局として設置される構成の場合は、各基地局61~64から、報知情報BrI#1~BrI#3が送信される。図60では、図面が錯綜して理解が困難になることを避けるために、第4基地局64から送信される報知情報の記載を省略しているが、実際には、第4基地局64からも報知情報が送信される。
しかし、本実施の形態では、実施の形態1の変形例1で示したBS#1のセルの配下で、複数の基地局がUE65に接続される構成を前提とする。本構成では、BS#1から全基地局の設定情報を報知情報BrI#1として送信することも可能であるが、報知情報を効率的に送信するために、BS#1からは、BS#1の設定情報、およびBS#2の初期接続に必要な情報のみを報知情報BrI#1として送信する。BS#2用の報知情報のうち、BS#2の初期接続に必要な情報以外の報知情報と、BS#3用およびBS#4用の報知情報とは、BS#2から送信する。
このように本実施の形態では、各SeNB用の報知情報、すなわちBS#2用、BS#3用およびBS#4用の報知情報は、少なくとも一部が、複数のSeNBのうちの1つ、具体的にはBS#2によってUEに通知される。
この構成によって、BS#1は、セルの配下の全ての基地局用の報知情報を送信する必要がなくなり、BS#1の報知情報BrI#1のデータ量を減らすことができる。これによって、BS#1の無線リソースに占める報知情報BrI#1の割合を減らすことが可能となる。また、BS#1の報知情報BrI#1の送信周期を短くすることによって、UEのBS#1への初期接続にかかる時間を短くすることが可能となる。
各SeNB用の報知情報は、後述する図26に示すようにBS#2からUEに直接通知されてもよいし、後述する図27および図28に示すようにBS#2から他の基地局を経由してUEに通知されてもよい。
BS#2の初期接続に必要な情報としては、例えば、LTE-Aで使用されている報知情報のSIB1(Cell access and cell reselection related info, scheduling info list)、SIB2(radio resource configuration that is common for all UEs)などが挙げられる。また、5G用基地局では、送受信ビームに関する情報も付加されると考えられ、それらは付加情報になる。付加情報は、前述のBS#2の初期接続に必要な情報以外の報知情報に相当する。
図26は、本発明の実施の形態2の通信システム60において、報知情報を取得する処理に関するシーケンスの一例を示す図である。図26では、UEがBS#1、BS#2、BS#3、BS#4用の報知情報を取得する処理に関するシーケンスの一例を示す。
ステップST81において、BS#1は、BS#1用報知情報をUEに通知する。UEは、BS#1用の制御情報を、BS#1から通知された報知情報から読み取る。
ステップST82において、BS#1とUEとの間で通信を行う。
ステップST83において、BS#1は、BS#2用報知情報の基本情報をUEに通知する。UEは、BS#2への接続が必要になった場合、BS#1の報知情報のうち、BS#2用報知情報の基本情報を読み取り、BS#2にアクセスするための情報を得る。
ステップST84において、BS#2は、BS#2用報知情報の付加情報をUEに通知する。UEは、BS#2の報知情報から、BS#2の付加情報を読み取る。
ステップST85において、BS#2とUEとの間で通信を行う。
ステップST86において、BS#2は、BS#3用報知情報およびBS#4用報知情報をUEに通知する。UEがBS#3またはBS#4への接続が必要になった場合は、BS#2から通知される報知情報から、BS#3用の制御情報またはBS#4用の制御情報を読み取る。
ステップST87において、BS#3とUEとの間で通信を行う。ステップST88において、BS#4とUEとの間で通信を行う。
図27は、UEの要求に基づいて報知情報を通知する処理に関するシーケンスの一例を示す図である。図27では、BS#2がUEの報知情報要求に対応した例を示している。
ステップST91において、BS#1は、BS#1用報知情報をUEに通知する。
ステップST92において、BS#1とUEとの間で通信を行う。
ステップST93において、BS#1は、BS#2用報知情報の基本情報をUEに通知する。
ステップST94において、BS#2は、BS#2用報知情報の付加情報をUEに通知する。
ステップST95において、BS#2とUEとの間で通信を行う。
ステップST96において、UEは、BS#3用の報知情報要求をBS#2に通知する。
ステップST97において、BS#2は、報知情報を通知するための無線リソース割当て情報をUEに通知する。
ステップST98において、BS#2は、該当する無線リソースでBS#3用の報知情報をUEに通知する。
ステップST99において、BS#3とUEとの間で通信を行う。
図27に示す処理を行うことによって、報知情報の無線リソースの占有率を減らすことができる。特に、5Gでは、ビーム制御などによる基地局設定情報の増加、ならびにmMTC(massive Machine Type Connection)およびURLLC(Ultra-Reliability and Low Latency Communication)などの各種シナリオの対応による基地局設定情報の増加がある。したがって、初期接続に必要な情報のみをブロードキャストで送信し、その他の情報をUEに個別に送信することよって、効率を上げることが可能となる。
図28は、UEの要求に基づいて報知情報を通知する処理に関するシーケンスの他の例を示す図である。図28では、UEから要求された報知情報を、要求を受信した基地局ではなく、他の基地局の無線リソースを使用して通知する方法を示している。
ステップST101において、BS#1とUEとは、通信状態である。
ステップST102において、BS#2とUEとは、通信状態である。
ステップST103において、BS#3とUEとは、通信状態である。
ステップST104において、UEは、BS#4用報知情報要求をBS#2に通知する。
ステップST105において、BS#2は、報知情報通知リソース確保要求をBS#3に通知する。具体的には、BS#2は、BS#3の無線リソースを使用して報知情報を通知する。BS#2は、BS#3に、報知情報のサイズおよび使用無線リソース情報などを指示する。
ステップST106において、BS#3は、無線リソースを確保できた場合、確保できた無線情報をBS#2に通知する。
ステップST107において、BS#2は、該当の報知情報の割り当て情報をUEに通知する。
ステップST108において、BS#3は、BS#4用の報知情報をUEに通知する。
5Gでは、アレーアンテナを使用することによって、送受信のアンテナ波形でビームを形成し、アンテナの指向性を高める構成も考えられている。この構成によって、空間多重が可能となる。空間多重が可能なビームリソースを報知情報に適用することによって、更に報知情報の無線リソースに占める割合を減らすことが可能になる。
また、UEからの報知情報要求を受信する基地局、およびUEからの報知情報要求を送信する基地局は、自由に選択できる構成にすることが好ましい。これによって、更に無線リソースの有効活用が可能となる。
高信頼性が必要な通信においては、同一の報知情報を複数の基地局から送信することも、データの信頼性を向上させる方法として有効な構成である。
また、本実施の形態においても、実施の形態1の変形例2のように、CC(Component Carrier)単位で報知情報を送信する無線リソースを決めることが好ましい。これによって、空いた無線リソースを活用できるので、周波数利用効率を改善することができる。
実施の形態3.
ユーザプレイン(U-plane)データの処理に関して、LTE-Aまでのデュアルコネクティビティのスプリットベアラ(Split Bearer)構成では、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)機能をMeNB(Master eNB)に配置し、SeNB(Secondary eNB)がRLCより下位のレイヤの処理を行う構成が規格化されている。
このような構成では、PDCPの暗号化などが1箇所に集約しているので、処理の簡易化を図ることができる。他方、5Gでは、実施の形態1のような複数の基地局が1つのUEと通信を行う構成が考えられる。この場合、デュアルコネクティビティ構成を3台以上の複数の基地局には適用することができないので、3台目以降は、他の基地局から独立した構成とする必要がある。したがって、PDCPなどの処理の簡易化を図ることができないという問題がある。
この問題を解決するために、本実施の形態では、実施の形態1に対するユーザプレイン(U-plane)データの処理方法として、BS#1のPDCPから分割したデータを、BS#2およびBS#3のRLC以下のレイヤで処理する。
図29は、本発明の実施の形態3における通信システム80の構成を示すブロック図である。通信システム80は、第1基地局81(以下「BS#1」という場合がある)、第2基地局82(以下「BS#2」という場合がある)、第3基地局83(以下「BS#3」という場合がある)、UE84および上位装置85を備えて構成される。BS#1は、PDCP処理部、RLC処理部、MAC処理部およびPHY処理部を備える。BS#2およびBS#3は、RLC処理部、MAC処理部およびPHY処理部を備える。UE84は、BS#1に対応するPDCP処理部、RLC処理部、MAC処理部およびPHY処理部と、BS#2に対応するRLC処理部、MAC処理部およびPHY処理部と、BS#3に対応するRLC処理部、MAC処理部およびPHY処理部とを備える。上位装置85は、コアネットワーク装置およびサービングゲートウェイ(Serving Gateway;略称:SGW)を含む。
BS#1とBS#2、およびBS#1とBS#3は、デュアルコネクティビティのオプション3Cの構成(スプリットベアラ)相当になる。
BS#1は、上位装置85から、ユーザプレイン(U-plane)データを受信する。BS#1のPDCP処理部によるPDCP処理によって、ROHC(Robust Header Compression)および暗号化処理が行われる。
PDCP SN(Sequence Number)を付与された後、BS#1のRLC処理部、BS#2のRLC処理部、BS#3のRLC処理部に、データを分割して送信する。
各基地局でRLC処理、MAC処理、およびPHY処理を実行した後、UE84向けに送信される。UE84は、各基地局対応のPHY処理、MAC処理、およびRLC処理をそれぞれ実行し、その後、1つのPDCPに集約する。上りデータに関しては、前述の逆の手順を経ることになる。
このような構成にすることによって、UEが複数の基地局と接続したシステムであっても、UEのPDCP暗号化などの処理を簡易化することができる。
図30は、本発明の実施の形態3の通信システムの他の例である通信システム80Aの構成を示すブロック図である。図30に示す通信システム80Aは、図29に示す通信システム80と同一の構成を含んでいるので、同一の構成には同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
通信システム80Aは、図29に示す第2基地局82に代えて、第2基地局82Aを備えて構成される。第2基地局82Aは、図29の第2基地局82の構成に、さらにデータ分割処理部(「SPLIT処理部」ともいう)を備える。
図30に示すように、BS#2にデータ分割処理部を設けることによって、BS#2からBS#3に、BS#1からのPDCPデータを転送する構成もある。この構成の場合、BS#1は、BS#2との接続のみに対応したユーザプレイン(U-plane)インタフェースに対応すればよく、LTEのデュアルコネクティビティのオプション3Cの仕様を変更せずに、対応することが可能となる。
以上のように本実施の形態によれば、コアネットワークから与えられるUEとの通信に関する情報のうち、ユーザプレイン(U-plane)データは、MeNBに相当する1台の基地局BS#1を介してUEと送受信される。具体的には、ユーザプレイン(U-plane)データは、コアネットワークによってMeNBに与えられ、MeNBによって、UEに与えられるとともに、複数のSeNBを経由してUEに与えられる。これによって、UEが複数の基地局と通信する場合のユーザプレイン(U-plane)データの処理を簡易化することができる。
図31は、本発明の実施の形態3の通信システムのさらに他の例である通信システム90の構成を示すブロック図である。通信システム90は、第1基地局91(以下「BS#1」という場合がある)、第2基地局92(以下「BS#2」という場合がある)、第3基地局93(以下「BS#3」という場合がある)、第4基地局94(以下「BS#4」という場合がある)、UE95、第1コアネットワーク96および第2コアネットワーク97を備えて構成される。第1コアネットワーク96は、LTE-A用のコアネットワークである。第2コアネットワーク97は、5G用のコアネットワークである。
BS#1およびBS#2は、PDCP処理部、RLC処理部、MAC処理部およびPHY処理部を備える。BS#3およびBS#4は、RLC処理部、MAC処理部およびPHY処理部を備える。UE95は、BS#1に対応するPDCP処理部、RLC処理部、MAC処理部およびPHY処理部と、BS#2に対応するPDCP処理部、RLC処理部、MAC処理部およびPHY処理部と、BS#3に対応するRLC処理部、MAC処理部およびPHY処理部と、BS#4に対応するRLC処理部、MAC処理部およびPHY処理部とを備える。
図31では、実施の形態1の変形例1に対するユーザプレイン(U-plane)データの処理方法として、例えばLTE-AのBS#1は、LTE用のコアネットワーク(Core Network)と接続され、例えば5GのBS#2は、5G用コアネットワークに接続し、例えば5GのBS#3およびBS#4は、BS#2のPDCP処理部から分割されたユーザプレイン(U-plane)データを処理する構成を示す。
BS#1がLTE-A用基地局、BS#2、BS#3およびBS#4が5G用基地局である場合の構成の一例である。
PDCP処理部の機能は、LTE-A用と5G用とで異なる可能性がある。また、PDCP処理部が、LTE-A用と5G用とで同一の機能であった場合においても、5G用のユーザプレイン(U-plane)データのデータ量は、LTE用のユーザプレイン(U-plane)データのデータ量と比較して、数十倍になる可能性があり、従来のLTE-Aの基地局のPDCP処理部の性能がボトルネックになってしまう可能性がある。その場合、5G用のPDCP処理は、5Gの基地局で実行する必要が出てくる。
図31に示す例では、前述のような問題を解決するために、5Gシステムのユーザプレイン(U-plane)データのPDCP処理をBS#2で実行し、その配下のBS#3、BS#4のRLC処理部に、ユーザプレイン(U-plane)データを送信する構成としている。
BS#1は、LTE-A用のコアネットワークである第1コアネットワーク96に接続されている。BS#1は、第1コアネットワーク96から受信したユーザプレイン(U-plane)データを、BS#1内のPDCP処理部、RLC処理部、MAC処理部、PHY処理部で処理した後、UE95に送信する。
BS#2は、5G用のコアネットワーク(Next Generation Core Network)である第2コアネットワーク97に接続されている。BS#2は、第2コアネットワーク97から受信したユーザプレイン(U-plane)データを、BS#2内のPDCP処理部でPDCPのROHC、暗号化、SN(Sequence Number)付与などの処理を実行する。
PDCP処理を行った後のデータを、BS#2内のRLC処理部、BS#3のRLC処理部、およびBS#4のRLC処理部に分割して送信する。各基地局のRLC処理部、MAC処理部、PHY処理部で処理した後、UE95に送信される。
UE95は、各基地局対応のPHY処理、MAC処理、RLC処理をそれぞれ実行し、その後、LTE-A用PDCPと5G用PDCPとの2つに集約する。
本構成により、LTE-A基地局の処理能力によらず、PDCP処理の簡易化を図ることができる。また、BS#1とBS#2の接続インタフェースが「Non Ideal Network」と呼ばれるデータ処理の遅延規定の保証がとれないネットワークを利用した場合でも、5Gのデータを問題なく送受信することが可能となる。
以上のように図31に示す例では、SeNBであり、第2システムであるBS#2,BS#3,BS#4に対するユーザプレイン(U-plane)データは、BS#2,BS#3,BS#4のうちの1つ、例えばBS#2を介してUEと送受信される。
具体的には、第2システムのユーザプレイン(U-plane)データは、コアネットワークによって、代表するSeNB(BS#2)に与えられ、代表するSeNBによって、UEに与えられるとともに、同一システムの複数のSeNBを経由してUEに与えられる。
これによって、異なる通信システム間でデータ処理の遅延規定の保証が取れないようなネットワークを利用した場合でも、UEが複数の基地局と通信する場合のユーザプレイン(U-plane)データの処理を簡易化することができる。
実施の形態4.
従来のデュアルコネクティビティ構成では、UEは、各基地局の測定結果を、測定報告(Measurement Report)として、MeNBに通知する。
これに対し、前述の実施の形態1のように、複数の基地局が通信システムを構成する場合、測定報告をBS#1のみに通知すると、BS#1に処理が集中するおそれがある。
特に、5Gシステムでは、指向性のあるアレーアンテナを使用することによって、送受信信号にビーム特性をもたせることがあるので、ビーム制御に関わる測定情報などが増加することがある。したがって、従来に比べて、多数の測定(Measurement)処理が必要となる。
本実施の形態では、実施の形態1の変形例1の構成において、BS#2とUEとの通信が確立される前は、BS#2に接続するための測定結果をBS#1に報告する。
BS#2とUEとの通信が確立された後は、BS#1に対する測定報告は、BS#1に通知し、BS#2、BS#3およびBS#4に対する測定報告は、BS#2に通知する。
図32は、本発明の実施の形態4における通信システムの測定報告処理に関するシーケンスの一例を示す図である。
UEがBS#1とCONNECTED状態となっている場合に、ステップST111において、UEは、BS#1およびBS#2に関する測定情報を測定報告(Measurement Report)として、BS#1に通知する。
ステップST112において、BS#1は、BS#2に関する測定情報に基づいて、UEとの通信が可能かどうかを判断するために、基地局の追加要求(Addition Request)をBS#2に通知する。具体的には、BS#1は、BS#2の追加要求をBS#2に通知する。
ステップST113において、BS#2は、基地局の追加が可能な場合、正常応答として、追加要求応答(Addition Request Acknowledge)(以下「追加要求Ack」という場合がある)をBS#1に通知する。
ステップST114において、BS#1は、基地局の追加要求として、RRC接続再設定(RRC Connection Reconfiguration)メッセージをUEに通知する。具体的には、BS#1は、BS#2の追加要求をUEに通知する。ステップST114のRRC接続再設定メッセージに、BS#2およびBS#3,4の測定報告をBS#2に通知することを指示する情報を含めてもよい。
ステップST115において、UEは、BS#2との通信確立完了後、追加完了通知として、RRC接続再設定完了(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージをBS#1に通知する。
ステップST116において、UEは、BS#2との通信確立後、BS#1に関する測定情報を、BS#1に対する測定報告(Measurement Report)としてBS#1に通知する。
ステップST117において、UEは、BS#2、BS#3およびBS#4に関する測定情報を、BS#2に対する測定報告(Measurement Report)としてBS#2に通知する。
ステップST118において、BS#2は、BS#3に関する測定情報に基づいて、BS#3とUEとの通信が可能かどうかを判断するために、基地局の追加要求(Addition Request)をBS#3に通知する。具体的には、BS#2は、BS#3の追加要求をBS#3に通知する。
ステップST119において、BS#3は、基地局の追加が可能な場合、正常応答として、追加要求AckをBS#2に通知する。
ステップST120において、BS#2は、基地局の追加要求として、RRC接続再設定(RRC Connection Reconfiguration)メッセージをUEに通知する。具体的には、BS#2は、BS#3の追加要求をUEに通知する。
ステップST121において、UEは、BS#3との通信確立完了後、追加完了通知として、RRC接続再設定完了(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージをBS#2に通知する。
ステップST122において、BS#2は、BS#2、BS#3およびBS#4に関する測定情報を、測定報告(Measurement Report)としてUEに通知する。
ステップST123において、BS#2は、BS#4に関する測定情報に基づいて、BS#4とUEとの通信が可能かどうかを判断するために、基地局の追加要求(Addition Request)をBS#4に通知する。具体的には、BS#2は、BS#4の追加要求をBS#3に通知する。
ステップST124において、BS#4は、基地局の追加が可能な場合、正常応答として、追加要求AckをBS#2に通知する。
ステップST125において、BS#2は、基地局の追加要求として、RRC接続再設定(RRC Connection Reconfiguration)メッセージをUEに通知する。具体的には、BS#2は、BS#4の追加要求をUEに通知する。
ステップST126において、UEは、BS#4との通信確立完了後、追加完了通知として、RRC接続再設定完了(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージをBS#2に通知する。
ステップST127において、UEは、BS#4との通信確立後、BS#1に関する測定情報を、BS#1に対する測定報告(Measurement Report)としてBS#1に通知する。
ステップST128において、UEは、BS#2、BS#3およびBS#4に関する測定情報を、BS#2に対する測定報告(Measurement Report)としてBS#2に通知する。
前述の処理によって、例えばLTE-AのBS#1と、例えば5GのBS#2、BS#3およびBS#4とで無線システムが異なる場合でも、無線システム毎に測定情報を扱えることが可能となる。したがって、他の無線システムの測定情報のサイズなどに影響がなく、システムを構築することができる。
また、UEが測定報告(Measurement Report)を通知する基地局を選択できるようにしてもよい。例えば、BS#3およびBS#4の無線リソースを使用して、BS#2、BS#3およびBS#4用の測定報告(Measurement Report)を通知してもよい。
本構成で、測定報告先を設定する方法としては、RRCメッセージを使用する方法がある。この方法を用いることによって、ビーム制御などで測定情報が増えた場合でも、空き無線リソースを利用して、測定報告を通知することが可能となる。
測定報告の通知先の基地局との通信が削除された場合は、前述のRRCメッセージによって、測定報告の通知先を変更してもよいし、通知先の変更前に戻ってもよい。
前述の各実施の形態およびその変形例は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において、各実施の形態およびその変形例を自由に組合せることができる。また各実施の形態およびその変形例の任意の構成要素を適宜変更または省略することができる。
本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、本発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。