JP2023058011A - 熱可塑性エラストマー組成物、成形品、発泡成形品の製造方法および発泡成形品 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物、成形品、発泡成形品の製造方法および発泡成形品 Download PDF

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【課題】柔軟性、高温剛性、軽量性、制振性に優れた成形品を得ることのできる熱可塑性エラストマー組成物を提供すること。【解決手段】示差走査熱量測定(DSC)による融点が200℃以上のポリアミド樹脂(A)、反応性官能基を有する芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物とを含む共重合体(B)、および(B)成分以外の芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物とを含む共重合体(C)を配合してなる熱可塑性エラストマー組成物であって、ポリアミド樹脂(A)、共重合体(B)、および共重合体(C)の組成比(重量比)が(A):(B)=50:50~75:25、(B):(C)=90:10~25:75、(A):((B)+(C))=40:60~60:40であり、透過型電子顕微鏡観察におけるモルフォロジーにおいて、黒色または白色の分散相の平均粒子径が1.0μm以下である熱可塑性エラストマー組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂、反応性官能基を有する芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物とを含む共重合体(B)、および(B)成分以外の芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物とを含む共重合体(C)からなる熱可塑性エラストマー組成物およびそれを用いた成形品に関するものである。
従来、柔軟性を有する高分子材料としては、天然ゴムまたは合成ゴム等のゴム類に架橋剤や補強剤などを配合して高温高圧下で架橋したものが汎用的に用いられている。しかしながら、このようなゴム類は、高温高圧下で長期にわたって架橋及び成形を行う工程が必要であり、加工性に劣るといった課題があった。また、架橋したゴムは熱可塑性を示さないため、熱可塑性樹脂のようにリサイクル成形が一般的に不可能である。そのため、通常の熱可塑性樹脂と同じように射出成形、熱プレス成形、および押出成形等の汎用の溶融成形技術を利用して成形品を容易に製造することのできる熱可塑性エラストマーが近年種々開発されている。
特許文献1には、剛性と耐衝撃性のバランスが良い熱可塑性樹脂組成物として、アルコキシシリル基、アミノ基、酸無水物基、およびカルボキシル基の群から選ばれた少なくとも1種の基を有する変性極性ジエン系重合体0.5~50重量%と、極性樹脂50~99.5%の合計100重量%を主成分とする熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
特開2006-291117号公報
しかしながら、上記特許文献1において具体的に開示された例は、反応性官能基を有するジエン系共重合体とポリアミド6からなる樹脂組成物であるが、この場合、ポリアミドの配合量が多く、十分な柔軟性を付与することができなかった。
本発明は、容易に成形することができ、ポリアミドとエラストマーの特性を両立した成形品を得ることができる熱可塑性エラストマー組成物を提供することを課題とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
(1)示差走査熱量測定(DSC)による融点が200℃以上のポリアミド樹脂(A)、反応性官能基を有する芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物とを含む共重合体(B)、および(B)成分以外の芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物とを含む共重合体(C)を配合してなる熱可塑性エラストマー組成物であって、ポリアミド樹脂(A)、共重合体(B)、および共重合体(C)の組成比(重量比)が(A):(B)=50:50~75:25、(B):(C)=90:10~25:75、(A):((B)+(C))=40:60~60:40であり、透過型電子顕微鏡観察におけるモルフォロジーにおいて、黒色または白色の分散相の平均粒子径が1.0μm以下である熱可塑性エラストマー組成物。
(2)前記共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物がイソプレン、ブタジエン、エチレン・ブチレン、およびエチレン・プロピレンから選ばれる少なくとも1種に由来する重合体ブロックである(1)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(3)前記熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対し結晶核剤(D)を0.01~10重量部配合してなる(1)または(2)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(4)前記結晶核剤(D)がアミド系ワックスである(3)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(5)前期熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対し水素化石油樹脂(E)を0.01~20重量部配合してなる(1)~(4)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(6)(1)~(5)のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品。
(7)熱可塑性エラストマー組成物を発泡させる工程を含む、(1)~(5)のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる発泡成形品の製造方法。
(8)(1)~(5)のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる発泡成形品。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、汎用の溶融成形技術を利用して容易に成形することができ、ポリアミド樹脂と熱可塑性エラストマー両方の特性を両立した成形品を得ることができる。すなわち、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は柔軟性、高温状態における剛性(高温剛性)、軽量性、制振性およびリサイクル性に優れ、例えば、自動車用途、電気・電子用途、民生用途等に展開することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は示差走査熱量測定(DSC)による融点が200℃以上のポリアミド樹脂(A)(以下、ポリアミド樹脂(A)と略記することがある)、反応性官能基を有する芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物とを含む共重合体(B)(以下、共重合体(B)と略記することがある)、および(B)成分以外の芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物とを含む共重合体(C)(以下、共重合体(C)と略記することがある)を配合してなる熱可塑性エラストマー組成物である。
高温剛性および成形加工性に優れる特性を有するポリアミド樹脂(A)に、反応性官能基を有する共重合体(B)を特定の比率で配合することにより、ポリアミド樹脂(A)と共重合体(B)が適度に反応し、組成物の柔軟性が向上し、加えてポリアミド樹脂(A)と共重合体(C)との相溶性が向上する。さらに共重合体(B)と共重合体(C)を特定の比率で配合することで、共重合体(B)と共重合体(C)が適度に作用し、ポリアミド樹脂(A)と共重合体(C)の相溶性が向上し、配合するポリアミド樹脂(A)の結晶性と共重合体(C)の柔軟性を両立することが可能となる。さらに、ポリアミド樹脂(A)の配合量と共重合体(B)および共重合体(C)の配合量の合計とを特定の比率とすることで、分散相の平均粒子径を1.0μm以下にすることができ、ポリアミド樹脂(A)の結晶性と共重合体(C)の柔軟性を両立した熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。さらに、係るモルフォロジーを有する組成物は、ガスバリア性にも優れる。
本発明に用いられるポリアミド樹脂(A)は、DSCによる融点が200℃以上のポリアミド樹脂である。
ここで、本発明におけるポリアミド樹脂(A)のDSCによる融点は、次の方法により求めることができる。まず、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC-7)を用い、2点公正(インジウム、鉛)、ベースライン補正を行う。ポリアミド樹脂のサンプルを8~10mg秤量し、サンプルを昇温速度20℃/分の条件で昇温し、昇温過程において観察される融解吸熱ピークを融点とする。
ポリアミド樹脂(A)の融点が200℃より低いと、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の高温剛性が低下する。ポリアミド樹脂(A)の融点は205℃以上が好ましく、210℃以上が好ましい。
一方、ポリアミド樹脂(A)の融点の上限は、特に制限はないが、350℃以下であることが共重合体(C)の機械特性を低下させない傾向にあるので好ましく、より好ましくは320℃以下、さらに好ましくは300℃以下である。
ポリアミド樹脂(A)の融点を上記範囲にする手段としては、例えば、融点の異なるポリアミド樹脂から所望の融点を有するものを選択する方法や、ポリアミド樹脂の重合度や共重合比などを調整する方法が挙げられる。
ポリアミド樹脂(A)は、融点が上記の条件を満たすポリアミド樹脂であれば、特に制限はないが、一般的に、アミノ酸、ラクタムまたはジアミンとジカルボン酸を主たる原料として得ることができる。その原料の代表例としては、例えば、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸;ε-カプロラクタム、ω-ラウロラクタムなどのラクタム;テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、5-メチルノナメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン;メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン;1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4- ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2 -ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂環族ジアミン;アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2-クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸が挙げられる。本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマーまたはコポリマーを用いることができる。かかるポリアミド樹脂を2種以上使用してもよい。
本発明において好ましく用いられるポリアミド樹脂(A)の具体的な例としては、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ポリアミド6T/6)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ(2-メチルペンタメチレン)テレフタルアミドコポリマー(ポリアミド6T/M5T)、ポリキシリレンアジパミド(ポリアミドXD6)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。とりわけ好ましいものとしては、ポリアミド6、ポリアミド610、ポリアミド66が挙げられる。
ポリアミド樹脂(A)の重合度には特に制限がないが、樹脂濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が、1.5~7.0の範囲であることが好ましい。相対粘度が1.5以上であれば、成形時のポリアミド樹脂組成物の溶融粘度が適度に高くなり、成形時の空気の巻き込みを抑制し、成形性をより向上させることができる。一方、相対粘度が7.0以下であれば、成形時の熱可塑性エラストマー組成物の溶融粘度が適度に低くなり、成形性をより向上させることができる。
ポリアミド樹脂(A)のアミノ末端基量には特に制限が無いが、1.0×10-5~12.0×10-5mol/gの範囲であることが好ましい。アミノ末端基量が、1.0×10-5~12.0×10-5mol/gの範囲であれば、十分な重合度が得られ、成形品の機械強度を向上させることができる。ここで、ポリアミド樹脂(A)のアミノ末端基量は、ポリアミド樹脂(A)をフェノール・エタノール混合溶媒(83.5:16.5(体積比))に溶解し、0.02N塩酸水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
本発明のポリアミド樹脂(A)の配合量は、ポリアミド樹脂(A)と共重合体(B)との割合(重量比)(A):(B)が50:50~75:25であり、かつポリアミド樹脂(A)と共重合体(B)および共重合体(C)の合計との割合(重量比)(A):((B)+(C))が40:60~60:40である。(A):(B)が50:50よりもポリアミド樹脂(A)の割合が少なくなると、ポリアミド樹脂(A)の特徴である結晶性や高温剛性が発現しないため好ましくない。(A):(B)は50:50~75:25が好ましく、55:45~75:25がより好ましく、60:40~75:25がさらに好ましい。また、(A):(B)が75:25よりもポリアミド(A)の割合が多くなると、共重合体(C)との相溶性が低下し柔軟性が低下するため好ましくない。さらにポリアミド(A)と共重合体(B)および共重合体(C)の合計との割合について、(A):((B)+(C))が40:60よりもポリアミド樹脂(A)の割合が少なくなると、分散相の平均粒子径が1.0μmよりも大きくなり、ポリアミド樹脂(A)の特徴である結晶性や高温剛性が発現しない。一方、(A):((B)+(C))が60:40よりもポリアミド樹脂(A)の割合が多くなると、柔軟性が低下するため好ましくない。(A):((B)+C))は40:60~60:40が好ましく、40:60~55:45がより好ましく、40:60~53:47がさらに好ましい。
本発明に用いられる共重合体(B)は、反応性官能基を有する芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物とを含む共重合体である。
共重合体(B)における反応性官能基とは、特に制限されないが、例えば、アミノ基、カルボキシル基、カルボキシル金属塩、水酸基、酸無水物、エポキシ基、イソシアネート基、メルカプト基、オキサゾリン基、スルホン酸基などから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。この中でもアミノ基、カルボキシル基、カルボキシル金属塩、エポキシ基、酸無水物基、オキサゾリン基は反応性が高く、しかも分解、架橋などの副反応が少ないため好ましく用いられる。
上記記載の酸無水物基を構成する酸無水物とは、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水エンディック酸、無水シトラコン酸、1-ブテン-3,4-ジカルボン酸無水物などを挙げることができる。これらは2種類以上同時に併用しても差し支えない。このうち、無水マレイン酸、無水イタコン酸が好適に用いられる。
芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックは、芳香族ビニル系化合物に由来するユニットが60重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上から構成される重合体ブロックである。
芳香族ビニル系化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,6-ジメチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、α-メチル-o-メチルスチレン、α-メチル-m-メチルスチレン、α-メチル-p-メチルスチレン、β-メチル-o-メチルスチレン、β-メチル-m-メチルスチレン、β-メチル-p-メチルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、α-メチル-2,6-ジメチルスチレン、α-メチル-2,4-ジメチルスチレン、β-メチル-2,6-ジメチルスチレン、β-メチル-2,4-ジメチルスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン、2,6-ジクロロスチレン、2,4-ジクロロスチレン、α-クロロ-o-クロロスチレン、α-クロロ-m-クロロスチレン、α-クロロ-p-クロロスチレン、β-クロロ-o-クロロスチレン、β-クロロ-m-クロロスチレン、β-クロロ-p-クロロスチレン、2,4,6-トリクロロスチレン、α-クロロ-2,6-ジクロロスチレン、α-クロロ-2,4-ジクロロスチレン、β-クロロ-2,6-ジクロロスチレン、β-クロロ-2,4-ジクロロスチレン、o-t-ブチルスチレン、m-t-ブチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-クロロメチルスチレン、m-クロロメチルスチレン、p-クロロメチルスチレン、o-ブロモメチルスチレン、m-ブロモメチルスチレン、p-ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、インデン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらの中でも、工業的な入手性やガラス転移温度の点から、スチレン、α-メチルスチレン、およびこれらの混合物が好ましい。
共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロックは、共役ジエン系化合物に由来するユニットが60重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上から構成される重合体ブロックである。
共役ジエン系化合物としては例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ヘキサジエンなどがあげられる。これらの内から1種または2種以上が選択されて使用される。
好ましくはイソプレン、ブタジエン、ブタジエンの水素添加物であるエチレン・ブテン、およびイソプレンの水素添加物であるエチレン・プロピレンである。芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロックの割合に関しては、特に制限はないが、柔軟性の点から、共重合体(B)における芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックの含有量が10~50重量%であることが好ましく、10~40重量%であることがより好ましい。芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックの含有量が、10重量%以上であると、十分な機械的物性が発現され、50重量%以下とすることで、柔軟性を得ることができる。
共重合体(B)の分子量には特に制限はないが、成形加工性、流動性、ゴム弾性などの面から、GPC測定による重量平均分子量で5,000~400,000であることが好ましく、10,000~200,000であることがより好ましい。重量平均分子量が5,000以上であると、十分な機械的物性が発現され、一方、400,000以下とすることで成形品の加工性および流動性に優れる。
本発明における共重合体(B)の配合量は、ポリアミド樹脂(A)と共重合体(B)との割合(重量比)(A):(B)が50:50~75:25であり、共重合体(B)と共重合体(C)との割合(重量比)(B):(C)が90:10~25:75であり、さらにポリアミド樹脂(A)と共重合体(B)および共重合体(C)の合計との割合(重量比)(A):((B)+(C))が40:60~60:40である。(A):(B)が50:50よりも共重合体(B)が多くなると、ポリアミド樹脂(A)と共重合体(B)の反応が過剰に進み、ポリアミド樹脂の特徴である結晶性や高温剛性が発現しない。一方、(A):(B)が75:25よりも共重合体(B)が少なくなると、柔軟性が低下する。(A):(B)は50:50~75:25が好ましく、55:45~75:25がより好ましく、60:40~75:25がさらに好ましい。また、(B):(C)は90:10よりも共重合体(B)が多くなると、共重合体(C)の特性が発現せず、(B):(C)は25:75よりも共重合体(B)が少なくなると、ポリアミド樹脂(A)と共重合体(B)との反応性が低下し、分散相の平均粒子径が1.0μmよりも大きくなり、かつ柔軟性が低下する。(B):(C)は90:10~25:75が好ましく、80:20~25:75がより好ましく、75:25~25:75がさらに好ましい。さらに(A):((B)+(C))は40:60よりも((B)+(C))が多くなると、ポリアミド樹脂(A)の特徴である結晶性や高温剛性が発現しない。また、(A):((B)+(C))=60:40よりも((B)+(C))が少なくなると、ポリアミド樹脂(A)との相溶性が低下し、分散相の平均粒子径が1.0μmよりも大きくなり、かつ柔軟性が低下する。(A):((B)+(C))は40:60~60:40が好ましく、40:60~55:45がより好ましく、40:60~53:47がさらに好ましい。
前記共重合体(B)の反応性官能基の導入量としては、共重合体(B)100重量部に対して、好ましくは、0.1~20重量部であり、より好ましくは0.1~10重量部、さらに好ましくは0.1~5重量部である。反応性官能基の導入量を0.1重量部以上とすることにより、ポリアミド樹脂(A)との反応性を高めることができる。一方、反応性官能基の量を20重量部以下とすることにより、高温剛性の低下を抑制できる。
本発明に用いられる共重合体(C)とは、(B)成分以外の芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物とを含む共重合体である。すなわち、反応性官能基を有さない芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物とを含む共重合体である。
共重合体(C)における芳香族ビニル系化合物としては、前述の共重合体(B)で述べた化合物と同様の化合物であることが好ましい。
共重合体(C)における共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物としては、前述の共重合体(B)で述べた化合物と同様の化合物に由来する重合体ブロックであることが好ましい。
本発明のブロック共重合体(C)は、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物から構成されている限り、その構造には特に制限はなく、例えば、直鎖状、分岐状、星状などの構成のいずれも選択可能である。
芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物の割合に関しては、特に制限はないが、柔軟性の点から、共重合体(C)における芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックの含有量が10~50重量%であることが好ましく、10~40重量%であることがより好ましい。芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックの含有量が、10重量%以上であると、十分な機械的物性が発現され、50重量%以下とすることで、柔軟性を得ることができる。
また、共重合体(C)の分子量には特に制限はないが、成形加工性、流動性、ゴム弾性などの面から、GPC測定による重量平均分子量で5,000~400,000であることが好ましく、10,000~200,000であることがより好ましい、重量平均分子量が5,000以上であると、十分な機械的物性が発現され、一方、400,000以下とすることで成形品の加工性および流動性に優れる。
本発明における共重合体(C)の配合量は、共重合体(B)と共重合体(C)との割合(重量比)が90:10~25:75であり、さらにポリアミド樹脂(A)と共重合体(B)および共重合体(C)の合計との割合(重量比)(A):((B)+(C))が40:60~60:40である。(B):(C)は90:10よりも共重合体(C)が少なくなると、共重合体(C)の特性が発現せず、(B):(C)は25:75よりも共重合体(C)が多くなると、ポリアミド樹脂(A)と共重合体(B)との反応性が低下し、分散相の平均粒子径が1.0μmよりも大きくなり、かつ柔軟性が低下する。(B):(C)は90:10~25:75が好ましく、80:20~25:75がより好ましく、75:25~25:75がさらに好ましい。さらに(A):((B)+(C))は40:60よりも((B)+(C))の割合が多くなると、ポリアミド樹脂の特徴である結晶性や高温剛性が発現しない。また、(A):((B)+(C))=は60:40よりも((B)+(C))の割合が少なくなると、ポリアミド樹脂(A)と共重合体(B)との相溶性が低下し、分散相の平均粒子径が1.0μmよりも大きくなり、かつ柔軟性が低下する。(A):((B)+(C))は40:60~60:40が好ましく、40:60~55:45がより好ましく、40:60~53:47がさらに好ましい。
なお、本発明において、(B)成分にも(C)成分にも該当する化合物であって、反応性官能基を有するものは(B)成分として扱う。
本発明に用いる共重合体(B)および共重合体(C)は、ガラス転移温度が-60℃~30℃の範囲であることが好ましい。
共重合体(B)および共重合体(C)のガラス転移温度は、以下の方法により求めることができる。絶乾状態に保った共重合体(B)または共重合体(C)を用いて作成した80mm×80mm×1mmtの平板から40mm×8mm×1mmtの短冊を切り出し、粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ製、DMS6100)を使用して、窒素雰囲気下、周波数100Hz、昇温速度2℃/分の条件で測定し、貯蔵弾性率と損失弾性率を求める。損失弾性率を貯蔵弾性率で除することで、損失正接を求めることができる。求めた損失正接のピーク温度をガラス転移温度とする。
この時得られたガラス転移温度は、-60℃~30℃の範囲にあることが好ましく、-50℃~30℃の範囲にあることがより好ましく、-45℃~30℃の範囲にあることがさらに好ましい。ガラス転移温度が-60℃未満または30℃を超えると、測定周波数100Hzにおける23℃の損失正接の値が低くなり、制振性を発現しなくなる。ガラス転移点を-60℃~30℃の範囲にする方法としては、例えば共重合体(B)および共重合体(C)の共重合比などを調整する方法などが挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察されるモルフォロジーにおいて、黒色または白色の分散相の平均粒子径が1.0μm以下であることを特徴とする。
ここで、熱可塑性エラストマー組成物中の分散相の平均粒子径は、次の方法により求めることができる。組成物ペレットからウルトラミクロトームを用いて、超薄切片を切り出し、その超薄切片について、リンタングステン酸や四酸化ルテニウムなどでの染色を行い、日立製作所社製H-7100型透過型電子顕微鏡を用いて観察し、画像解析にて算出することができる。画像解析の方法としては、Scion Corporation社製画像解析ソフト「Scion Image」を使用して、画像中に存在する白色または黒色に染色された分散相の長径および短径の平均値を算出し、長径と短径の平均値として平均粒子径を算出することができる。
分散相の平均粒子径は1.0μm以下であり、800nm以下がより好ましく、500nm以下がさらに好ましい。熱可塑性エラストマー組成物中の平均粒子径が1.0μmを超えると、高温剛性と、柔軟性を両立することができない。
熱可塑性エラストマー組成物中の分散相の平均粒子径の下限に特に制限はないが、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上がさらに好ましい。
分散相の平均粒子径を1.0μm以下にする方法としては、例えば、ポリアミド樹脂(A)と反応性官能基を有するゴム質重合体(B)を配合することで、ポリアミド樹脂(A)と共重合体(B)が反応し、ポリアミド樹脂(A)と共重合体(C)との相溶性が向上する。さらに高せん断応力を加え溶融混練することで、ポリアミド樹脂(A)と共重合体(B)の反応がより進み分散相の平均粒子径を1.0μm以下とすることができる。詳細については、後述する。
本発明のモルフォロジーについては、リンタングステン酸で染色した場合、ポリアミド樹脂(A)が黒色に染色され、四酸化ルテニウムで染色した場合、共重合体(B)および(C)が黒色に染色される。したがって、たとえばリンタングステン酸で染色したときに、分散相が黒色で観察された場合、その分散相は主にポリアミド樹脂(A)で構成されると判断でき、分散相が白色で観察された場合、その分散相は主に共重合体(C)で構成されると判断できる。
本発明は熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対し結晶核剤(D)を0.01~10重量部配合してなることが好ましい。
結晶核剤(D)はポリアミド樹脂(A)の結晶核の形成を高める作用であるものであれば特に限定されない。結晶核剤(D)としては、例えば、脂肪酸金属塩、ベンジリデンソルビトール、キナクリドン、シアニンブルー、アミド系ワックスなどの有機系結晶核剤、タルク、クレー、シリカ、グラファイトなどの無機系結晶核剤などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。ポリアミド樹脂の結晶を緻密にする観点からアミド系ワックスが好ましい。
本発明における結晶核剤(D)の配合量は熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対して、0.01~10重量部が好ましい。配合量を0.01重量部以上とすることで、ポリアミド樹脂(A)の結晶性が向上し、高温剛性が向上する。一方で、配合量を10重量部以下とすることで、結晶核剤の自己凝集を抑制できるため好ましい。結晶核剤の配合量は、0.1~7.0重量部が好ましく、0.5~6.0重量部がより好ましく、0.5~5.0重量部がさらに好ましい。
本発明は熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対し、水素化石油樹脂(E)を0.01~20重量部配合してなることが好ましい。
水素化石油樹脂(E)とは、石油ナフサを熱分解して必要な留分を採取した残りの留分のうち、主としてC留分やC留分から不飽和炭化水素を単離することなく、酸性触媒により固化した石油樹脂、を水素化した樹脂である。
前記水素化石油樹脂としては、例えば、石油ナフサの熱分解で生成するペンテン、イソプレン、ピペリン、1,3-ペンタジエン等のC留分を共重合して得られるC系石油樹脂の水添化樹脂である、水添ジシクロペンタジエン系樹脂及び部分水添芳香族変性ジシクロペンタジエン系樹脂や、石油ナフサの熱分解で生成するインデン、ビニルトルエン、α-またはβ-メチルスチレン等のC留分を共重合して得られるC系水素化石油樹脂、前記C留分と前記C留分の共重合水素化石油樹脂が挙げられる。
前記水添ジシクロペンタジエン系樹脂の市販品としては、例えば、ドーネックス(株)製エスコレッツ(登録商標)5300,5400シリーズ;イーストマンケミカルジャパン(株)製Eastotac(登録商標)Hシリーズが挙げられる。
前記部分水添芳香族変性ジシクロペンタジエン系樹脂の市販品としては、例えば、トーネックス(株)製エスコレッツ(登録商標)5600シリーズが挙げられる。
前記C9系水素化石油樹脂の市販品としては、例えば、荒川化学工業(株)製アルコン(登録商標)P及びMシリーズ;イーストマンケミカル社製Polystolynが挙げられる。
留分とC留分の共重合水素化石油樹脂としては、例えば、出光興産(株)製アイマーブ(登録商標)シリーズが挙げられる。
共重合体(B)および(C)との相溶性の観点からC系水素化石油樹脂が好ましい。本発明における水素化石油樹脂(E)の配合量は、熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対して、0.01~20重量部が好ましい。配合量を0.01重量部以上にすることで、共重合体(B)および(C)のガラス転移温度を高温側にシフトさせることができ、熱可塑性エラストマー組成物の測定周波数100Hzにおける23℃での損失正接の値を高めることができる。一方で20重量部以下とすることで、ブリードアウトによる表面タックを抑制できるため好ましい。水素化石油樹脂の配合量は0.01~20重量部が好ましく、0.1~20重量部がより好ましく、1~15重量部がさらに好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、測定周波数100Hzにおける23℃の損失正接の値が0.1以上であることが好ましい。
熱可塑性エラストマー組成物の損失正接は、以下の方法により求めることができる。絶乾状態に保った熱可塑性エラストマー組成物を用いて作成した80mm×80mm×1mmtの平板から40mm×8mm×1mmtの短冊を切り出し、粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ製、DMS6100)を使用して、窒素雰囲気下、周波数100Hz、昇温速度2℃/分の条件で測定し、貯蔵弾性率と損失弾性率を求める。測定温度23℃における損失弾性率を貯蔵弾性率で除することで、23℃における損失正接を求めることができる。測定周波数100Hzにおける23℃の損失正接を0.1以上とすることで、得られる熱可塑性エラストマー組成物が制振性を発現することができる。測定周波数100Hzおよび測定温度23℃における損失正接を0.1以上とする方法としては、例えば熱可塑性エラストマー組成物の測定周波数100Hzにおけるガラス転移温度を-50℃~30℃にする方法などが挙げられる。
この時、熱可塑性エラストマー組成物のガラス転移温度は、-50℃~30℃が好ましく、-45℃~30℃がより好ましく、-45℃~25℃がさらに好ましい。熱可塑性エラストマー組成物のガラス転移温度を-50℃~30℃にする方法としては、共重合体(B)および共重合体(C)としてガラス転移点が-60℃~30℃の範囲にある共重合体を使用する方法や、前述の水素化石油樹脂(E)を配合する方法が挙げられる。なお、熱可塑性エラストマー組成物の損失正接の値が最大となる温度(損失正接のピーク温度)を、熱可塑性エラストマーのガラス転移温度とする。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、その特性を損なわない範囲で、必要に応じて、前記成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、および成分(E)以外のその他の成分を配合しても構わない。その他の成分としては、例えば、充填剤、銅化合物、カリウム化合物、前記成分(A)以外の熱可塑性樹脂、前記成分(C)以外の反応性官能基を有さないゴム質重合体、各種添加剤類を挙げることができる。
例えば、充填剤を配合することにより、成形品の強度および寸法安定性を向上させることができる。ただし、本発明における充填剤は、前述の無機系結晶核剤は含まない。充填剤の形状は、繊維状であっても、非繊維状であってもよく、繊維状充填剤と非繊維状充填剤を組み合わせて用いてもよい。繊維状充填剤としては、例えば、ガラス繊維、ガラスミドルファイバー、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硝酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石こう繊維、金属繊維などが挙げられる。非繊維状充填剤としては、例えば、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケートなどの珪酸塩;アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの金属炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物;ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素および炭化珪素などが挙げられる。これらは中空であってもよい。また、これら繊維状および/または非繊維状充填剤をカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械物性を得る観点において好ましい。カップリング剤としては、例えば、イソシアネート系化合物、有機シラン化合物、有機チタネート化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物が挙げられる。
銅化合物としては例えば、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、酢酸銅、銅アセチルアセトナート、炭酸銅、ほうフッ化銅、クエン酸銅、水酸化銅、硝酸銅、硫酸銅、シュウ酸銅等が挙げられる。銅化合物として、これらを2種以上含有してもよい。これら銅化合物のなかでも、工業的に入手できるものが好ましく、ハロゲン化銅が好適である。ハロゲン化銅としては、例えば、ヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅などが挙げられる。銅化合物として、より好ましくはヨウ化銅である。
カリウム化合物としては、例えば、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、フッ化カリウム、酢酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、硝酸カリウムなどが挙げられる。カリウム化合物として、これらを2種以上含有してもよい。これらカリウム化合物の中でも、ヨウ化カリウムが好ましい。カリウム化合物を含むことにより、成形品の表面外観、耐候性および耐金型腐食性を向上させることができる。
カリウム化合物は、銅の遊離や析出を抑制するため、銅化合物とカリウム化合物を併用することによって、銅化合物とポリアミド樹脂(A)との反応を促進する効果があると考えられている。
熱可塑性樹脂類としては、例えば、前記成分(A)以外のポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂やABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリアルキレンオキサイド樹脂等が挙げられる。かかる熱可塑性樹脂を2種以上配合することも可能である。なお、前記成分(A)以外のポリアミド樹脂を配合する場合、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対し、4重量部以下が好ましい。
前記成分(C)以外の反応性官能基を有さないゴム質重合体としては、例えば、(C)以外のスチレン系ゴム、オレフィン系樹脂、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、フッ素系ゴム、ニトリル系ゴム、ビニル系ゴム、ウレタン系ゴム、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、アイオノマーなどが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。
ゴム質重合体の構造は特に限定されず、例えば、ゴムからなる少なくとも1つの層と、それとは異種の重合体からなる1つ以上の層からなる、いわゆるコアシェル型と呼ばれる多層構造体であってもよい。多層構造体を構成する層の数は、2層以上であればよく、3層以上または4層以上であってもよいが、内部に1層以上のゴム層(コア層)を有することが好ましい。多層構造体のゴム層を構成するゴムの種類は、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル成分、シリコーン成分、スチレン成分、ニトリル成分、共役ジエン成分、ウレタン成分、エチレン成分、プロピレン成分、イソブテン成分などを重合させて得られるゴムが挙げられる。多層構造体のゴム層以外の層を構成する異種の重合体の種類は、熱可塑性を有する重合体であれば特に限定されるものではないが、ゴム層よりもガラス転移温度が高い重合体が好ましい。熱可塑性を有する重合体としては、例えば、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位、不飽和カルボン酸単位、不飽和グリシジル基含有単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、脂肪族ビニル単位、芳香族ビニル単位、シアン化ビニル単位、マレイミド単位、不飽和ジカルボン酸単位およびその他のビニル単位などを含有する重合体が挙げられる。
各種添加剤類としては、例えば、着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、エチレンビスステアリルアミドや高級脂肪酸エステルなどの離型剤、可塑剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤などが挙げられる。
次に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法について説明する。本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、例えば、ポリアミド樹脂(A)、共重合体(B)、共重合体(C)および必要に応じてその他の成分を一括混練する方法などが挙げられる。混練装置としては、例えば、バンバリーミキサー、ロール、押出機などの公知の混練装置を採用することができる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物に各種添加剤類などのその他の成分を配合する場合、これらを任意の段階で配合することができる。例えば、二軸押出機により本発明の熱可塑性エラストマー組成物を製造する場合、ポリアミド樹脂(A)、共重合体(B)および共重合体(C)を配合する際にその他の成分を同時に配合する方法や、ポリアミド樹脂(A)、共重合体(B)、共重合体(C)を溶融混練中にサイドフィードなどの手法によりその他の成分を配合する方法や、あらかじめポリアミド樹脂(A)および共重合体(B)にその他の成分を配合して溶融混練後、共重合体(C)を配合する方法などが挙げられる。特に、本発明においては、分散相を平均粒子径1.0μm以下とするモルフォロジーを得るために、高せん断応力で溶融混練することが好ましい。高せん断応力で混練することで、ポリアミド樹脂(A)と共重合体(B)が適度に反応し、ポリアミド樹脂(A)と共重合体(C)との相溶性が向上することで、分散相の平均粒子径を1.0μm以下にすることができる。高せん断応力での混練は例えば、高回転数で混練を行う方法、押出機のL/Dに対しニーディングゾーンのL/Dが20%以上である押出機を用いる方法、押出機中での滞留時間を長くする方法などが挙げられる。回転数としては、170rpm以上が好ましく、190rpmがより好ましく、200rpmがさらに好ましい。上限として特に規定はないが、樹脂の分解を抑制する観点から600rpm以下が好ましい。押出機のL/Dに対するニーディングゾーンのL/Dの割合としては、20%以上が好ましく、25%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましい。上限として、生産性の観点から60%以下が好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、任意の方法により成形して成形品を得ることが可能であり、成形形状は、任意の形状が可能である。成形方法としては、例えば、押出成形、射出成形、中空成形、カレンダ成形、圧縮成形、真空成形、発泡成形、ブロー成形、回転成形等が挙げられる。成形形状としては、例えば、ペレット形状、板状、繊維状、ストランド状、フィルムまたはシート状、パイプ状、中空状、箱状などの形状が挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、発泡成形をすることが好ましい。発泡成形の方法として、例えば、熱可塑性エラストマー組成物を溶融混練する際に熱可塑性エラストマーを発泡させる発泡剤を添加し、溶融混練後成形する方法や、熱可塑性エラストマー組成物を発泡させる発泡剤を成形前に本発明の熱可塑性エラストマー組成物とドライブレンドし、成形する方法である化学発泡や、熱可塑性エラストマー組成物中に超臨界ガスを含侵させて成形する方法や、オートクレーブ内で成形した熱可塑性エラストマー組成物に超臨界ガスを含侵させて発泡させる方法である物理発泡が挙げられる。生産性および品質の観点から物理発泡が好ましい。
物理発泡の際に用いる超臨界ガスとしては、熱可塑性エラストマー組成物に溶け込むことができ、かつ不活性であればよく、特に制限はないが、安全性、コスト面から、二酸化炭素、窒素が好ましい。超臨界ガスは、熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対して、0.01~20重量部用いることが好ましく、0.05~10重量部がより好ましい。
本発明の成形品は柔軟性、高温剛性、軽量性に優れることから、例えば、自動車用途や電気電子用途、民生用途などに好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。各実施例及び比較例における評価は次の方法で行った。
(1)ポリアミド樹脂の融点
各実施例および比較例で使用するポリアミド樹脂の融点をDSCにより求めた。まず、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC-7)を用い、2点校正(インジウム、鉛)、ベースライン補正を行った。ポリアミド系樹脂を8~10mg秤量し、昇温速度20℃/分の条件で昇温させ、昇温工程において観察される融解吸熱ピーク温度を融点とした。
(2)共重合体(B)および共重合体(C)のガラス転移温度
各実施例および比較例で使用する共重合体(B)および共重合体(C)のガラス転移温度を粘弾性測定により求めた。まず、絶乾状態に保った共重合体(B)または共重合体(C)を用いて作成した80mm×80mm×1mmtの平板から40mm×8mm×1mmtの短冊を切り出し、粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ製、DMS6100)を使用して、窒素雰囲気下、周波数100Hz、昇温速度2℃/分の条件で測定し、貯蔵弾性率と損失弾性率を求めた。損失弾性率を貯蔵弾性率で除することで、損失正接を求めた。求めた損失正接のピーク温度をガラス転移温度とした。
(3)熱可塑性エラストマー組成物中の分散相の平均粒子径
各実施例および比較例により得られたペレットから、ウルトラミクロトームを用いて、超薄切片を切り出し、その超薄切片について、リンタングステン酸で染色を行った後、日立製作所社製H-7100型透過型電子顕微鏡を用いて10,000倍に拡大し観察を行った。白色または黒色の分散相の平均粒子径については画像解析にて算出した。画像解析の方法としては、Scion Corporation社製画像解析ソフト「Scion Image」を使用して、画像中に存在する分散径の長径および短径の平均値を算出し、長径と短径の平均値として平均粒子径を算出した。
(4)柔軟性:ショアD硬度
各実施例および比較例により得られた80mm×80mm×3mmtの角板を3枚重ね、温度23℃、湿度50%の雰囲気下で、ASTM D2240-05に従い、デュロメータ-硬さ試験機(タイプD)を用いて、ショアD硬度を評価した。
(5)高温剛性:融点および融解熱量
各実施例および比較例により得られた樹脂組成物ペレットの融点をDSC測定により求めた。まず、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC-7)を用い、2点校正(インジウム、鉛)、ベースライン補正を行った。樹脂組成物を8~10mg秤量し、昇温速度20℃/分の条件で昇温させ、昇温工程において観察される融解吸熱ピーク温度を融点とした。さらに融解吸熱ピーク温度の面積から融解熱量を求めた。
(6)軽量性:比重
各実施例および比較例により得られた80mm×80mm×3mmtの角板から10mm×80mm×3mmtの短冊を切り出し、それを用いてISO1183:1987に従い、比重を測定した。
(7)生産性:ブロッキング
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃で15時間真空乾燥させた。その際のペレット同士の固着(ブロッキング)を確認した。
(8)ガスバリア性:酸素透過係数
各実施例および比較例により得られた80mm×80mm×3mmtの平板を用いてJIS K7126 A法(差圧法)(1987年版)に従い、GTR-10(ヤナコ分析工業製)を用いて、温度23℃、差圧0.15MPaで酸素透過係数を評価した。
(9)損失正接:制振性
各実施例および比較例により得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて作成した80mm×80mm×1mmtの平板から40mm×8mm×1mmtの短冊を切り出し、粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ製、DMS6100)により、窒素雰囲気下、測定周波数100Hz、昇温速度2℃/分にて測定し、貯蔵弾性率と損失弾性率を求めた。損失弾性率を貯蔵弾性率で除することで、損失正接を求めた。23℃における損失正接の値および損失正接の値が最大となる温度(損失正接のピーク温度)を求めた。
各実施例および比較例に用いた原料と略号を以下に示す。
PA6:ポリアミド6樹脂「東レ(株)製“アミラン”(登録商標)」(融点224℃、樹脂濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中25℃における相対粘度2.70)(ポリアミド樹脂(A)に該当する。)
PA12:ポリアミド12樹脂「ダイセル エボニック(株)“DAIAMID”(登録商標)」(融点178℃)
SEBS-g-MAH:無水マレイン酸変性スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体「クレイトンポリマージャパン(株)製“クレイトン”(登録商標)FG1924(スチレン含量13.9%、Tg=-55℃)(共重合体(B)に該当する。)
SIS:スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体「クレイトンポリマージャパン(株)製“クレイトン”(登録商標)D1161(スチレン含量15%、Tg=-50℃)(共重合体(C)に該当する。)」
SBS:スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体「クレイトンポリマージャパン(株)製“クレイトン”(登録商標)D1102(スチレン含量29%、Tg=-90℃)(共重合体(C)に該当する。)」
SEBS:スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体「クレイトンポリマージャパン(株)製“クレイトン”(登録商標)G1645VO(スチレン含量13%、Tg=-25℃)(共重合体(C)に該当する。)」
SEPS:スチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体「クレイトンポリマージャパン(株)製“クレイトン”(登録商標)G1730(スチレン含量20%、Tg=-45℃)(共重合体(C)に該当する。)」
アミド系ワックス:エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物「“ライトアマイド”WH-255」(共栄社化学(株)、融点255℃)(結晶核剤(D)に該当する。)
水素化石油樹脂:C系水素化石油樹脂「“アルコン”P-140」(荒川化学工業(株))(水素化石油樹脂(E)に該当する。)
[実施例1~10、12、比較例1~6]
表1に記載の原料を、シリンダー温度を250℃に設定し、ニーディングゾーンを2つ設けたスクリューアレンジとし、スクリュー回転数を250rpmとした2軸スクリュー押出機(JSW社製TEX30XSSST)(L/D=45.5(ここでのLは原料供給口から吐出口までの長さ、Dはスクリューの直径である。)、ニーディングゾーンの割合:30%)に供給して溶融混練し、ダイから吐出後のガットを10℃に温調した水を満たした冷却バス中に15秒間かけて通過させることで急冷し構造を固定化した後、ストランドカッターでペレタイズしペレットを得た。得られたペレットを、住友重機械工業(株)製射出成形機(SE-75DUZ-C250)を用いて、金型温度30℃、射出速度40mm/秒、冷却時間60秒の成形条件で、80mm×80mm×3mmtの角板および80mm×80mm×1mmtの角板を成形した。なお、射出成形機の温度は、ホッパ下から先端に向かって、240℃-245℃-250℃-250℃に設定した。得られたペレットまたは成形品を用いて前記方法により評価した結果を表1に示した。
[実施例11]
表1に記載の原料を使用し、実施例1と同様の条件でペレタイズしペレットを得た。得られたペレットを、(株)日本製鋼所製物理発泡成形機を用いて、金型温度30℃、射出速度40mm/秒、冷却時間60秒、超臨界流体として炭酸ガスを用いた成形条件で、80mm×80mm×3mmtの角板および80mm×80mm×1mmtの角板をコアバック成形した。なお、射出成形機の温度は、ホッパ下から先端に向かって、240℃-245℃-250℃-250℃に設定した。また、得られたペレットまたは成形品を用いて前記方法により評価した結果を表1に示した。
[比較例7]
表1に記載の原料を使用し、スクリュー回転数を150rpmとした以外は実施例1と同様の条件でペレタイズしペレットを得た。得られたペレットを、住友重機械工業(株)製射出成形機(SE-75DUZ-C250)を用いて、金型温度30℃、射出速度40mm/秒、冷却時間60秒の成形条件で、80mm×80mm×3mmtの角板および80mm×80mm×1mmtの角板を成形した。なお、射出成形機の温度は、ホッパ下から先端に向かって、240℃-245℃-250℃-250℃に設定した。得られたペレットまたは成形品を用いて前記方法により評価した結果を表1に示した。
Figure 2023058011000001
Figure 2023058011000002
以上の結果から、DSC測定による融点が200℃以上のポリアミド樹脂(A)、反応性官能基を有する芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物とを含む共重合体(B)、および(B)成分以外の芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物とを含む共重合体(C)を配合してなる熱可塑性エラストマー組成物であって、(A)、(B)、(C)の組成比(重量比)が(A):(B)=50:50~75:25、(B):(C)=90:10~25:75、(A):((B)+(C))=40:60~60:40配合した熱可塑性エラストマー組成物が得られた。これらの熱可塑性エラストマー組成物は、透過型電子顕微鏡による観察をすると分散相の平均粒子径が1.0μm以下であった。その熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性、高温剛性、軽量性に優れ、かつ乾燥時のブロッキングが発生しないことがわかった。また、係る特性を有するエラストマー化合物は、制振性に優れる特性も有することがわかった。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品は、柔軟性、高温剛性、軽量性、および制振性に優れ、かつ乾燥時のブロッキングを起こさず、さらに容易に製造可能である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、これらの特性を活かして種々の成形品に広く用いることができ、特に、自動車用途や電気電子用途、民生用途などに好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 示差走査熱量測定(DSC)による融点が200℃以上のポリアミド樹脂(A)、反応性官能基を有する芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物とを含む共重合体(B)、および(B)成分以外の芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物とを含む共重合体(C)を配合してなる熱可塑性エラストマー組成物であって、ポリアミド樹脂(A)、共重合体(B)、および共重合体(C)の組成比(重量比)が(A):(B)=50:50~75:25、(B):(C)=90:10~25:75、(A):((B)+(C))=40:60~60:40であり、透過電子顕微鏡観察におけるモルフォロジーにおいて、黒色または白色の分散相の平均粒子径が1.0μm以下ある熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記共役ジエン系化合物を主体とする重合体ブロック及び/またはその水素添加物がイソプレン、ブタジエン、エチレン・ブチレン、およびエチレン・プロピレンから選ばれる少なくとも1種に由来する重合体ブロックである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対し結晶核剤(D)を0.01~10重量部配合してなる請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記結晶核剤(D)がアミド系ワックスである請求項3に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 前期熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対し水素化石油樹脂(E)を0.01~20重量部配合してなる請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品。
  7. 請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物を発泡させる工程を含む、発泡成形品の製造方法。
  8. 請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる発泡成形品。
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