JP2023057594A - 高炉の操業方法、装入方法制御装置及び装入方法制御プログラム - Google Patents

高炉の操業方法、装入方法制御装置及び装入方法制御プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP2023057594A
JP2023057594A JP2021167142A JP2021167142A JP2023057594A JP 2023057594 A JP2023057594 A JP 2023057594A JP 2021167142 A JP2021167142 A JP 2021167142A JP 2021167142 A JP2021167142 A JP 2021167142A JP 2023057594 A JP2023057594 A JP 2023057594A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ore
furnace
blast furnace
terrace
angle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021167142A
Other languages
English (en)
Inventor
航尚 松田
Kosho Matsuda
浩 三尾
Hiroshi Mio
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2021167142A priority Critical patent/JP2023057594A/ja
Publication of JP2023057594A publication Critical patent/JP2023057594A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Blast Furnaces (AREA)
  • Manufacture Of Iron (AREA)

Abstract

Figure 2023057594000001
【課題】鉱石テラスの傾斜角を管理して、高炉の安定操業を実現する。
【解決手段】 鉱石層とコークス層とを炉内に交互に形成し、炉頂での堆積形状を炉中心側に向かって下向きに傾斜させる高炉の操業方法において、炉内に形成される鉱石層の鉱石テラス傾斜角を複数の炉径方向のそれぞれについて取得し、前記取得された複数の鉱石テラス傾斜角に基づき決定した代表値を操業管理指標として、前記代表値が基準範囲を満足するように操業する高炉の操業方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、高炉の操業方法、装入方法制御装置及び装入方法制御プログラムに関する。
高炉には、鉱石層を形成するための鉱石層装入原料(以下、鉱石原料という)とコークス層を形成するためのコークス層装入原料(以下、コークス原料という)とが交互に層状に装入される。高炉装入物の堆積形状は高炉の操業に非常に大きな影響を与える。装入された鉱石原料は、高炉下部で溶融するため、羽口から導入された還元ガスはコークス層を介して炉内を上昇する。高炉を安定操業するためには、炉内に均一にガスを分配させることが好ましく、それを実現可能なコークス層を形成することが求められている。
炉頂での堆積形状を炉中心側に向かって下向きに傾斜させる高炉の操業方法では、炉壁近傍の鉱石層に鉱石の安息角よりも小さい鉱石テラスが形成される。特許文献1には、鉱石テラス傾斜角を±15度の範囲に収め、かつ、炉頂近傍の装入物層のテラス先端から炉壁までの距離を炉径で除した相対距離を、0.1~0.6の範囲に収めるように、旋回シュートを制御する鉱石テラスの形成方法が開示されている。
特開平11-92808号公報
既述の通り、特許文献1では、炉壁側に向かうにつれて下方に傾斜する鉱石テラス(鉱石テラス傾斜角が負の値となる鉱石テラスであって、以下、「マイナス鉱石テラス」ともいう)を形成することを許容している。マイナス鉱石テラスが形成される高炉の操業方法では、鉱石テラスの肩部とコークステラスの肩部の半径方向での位置を一致させなければ、コークス層の炉径方向または炉周方向における厚みが不均一になってしまい、還元ガス流れに偏りが生じてしまう。しかしながら、鉱石原料の粒度分布、装入シュートの摩耗等によって、鉱石テラスの肩部が意図している位置からズレて形成される場合がある。この場合、コークスを意図した位置に装入できたとしても鉱石層に積層されるコークス層の炉径方向または炉周方向における厚みが不均一になったり、還元ガスの流れに偏りが生じて、高炉の安定操業が阻害される。
本発明は、鉱石テラスの傾斜角を適切に管理して、鉱石層に積層されるコークス層の層厚のバラツキを抑制することで、高炉の安定操業を実現することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る高炉の操業方法は、(1)鉱石層とコークス層とを炉内に交互に形成し、炉頂での堆積形状を炉中心側に向かって下向きに傾斜させる高炉の操業方法において、炉内に形成される鉱石層の鉱石テラス傾斜角を複数の炉径方向のそれぞれについて取得し、前記取得された複数の鉱石テラス傾斜角に基づき決定した代表値を操業管理指標として、前記代表値が基準範囲を満足するように操業する高炉の操業方法。
(2)前記代表値は、前記取得された複数の鉱石テラス傾斜角のうちの最小値であることを特徴とする(1)に記載の高炉の操業方法。
(3)前記基準範囲は、0°以上であることを特徴とする(2)に記載の高炉の操業方法。
(4)前記基準範囲は、5°以上であることを特徴とする(2)に記載の高炉の操業方法。
(5)前記高炉が備える旋回シュートの総ノッチ数をn、ノッチ番号をk、ノッチ番号kにおける前記旋回シュートの傾動角をθk、ノッチ番号kにおける前記旋回シュートの旋回数をSk、前記旋回シュートの総旋回数をTとすると、式(1)に基づき算出される第1角度と、鉱石テラス傾斜角である第2角度との関係である関係情報を予め求めておき、前記関係情報から、前記第2角度が前記基準範囲を満足するときの該第2角度に対応する前記第1角度を求め、この求めた前記第1角度を満足するように、前記旋回シュートの傾動角、前記旋回シュートの旋回数及び前記旋回シュートの総旋回数の少なくとも1つを調整して操業する、(2)ないし(4)のいずれか1つに記載の高炉の操業方法。

Figure 2023057594000002
(6)それぞれの炉径方向における鉱石テラス傾斜角を、2次元プロフィールメータを用いて取得した鉱石層の堆積形状に基づいて算出することを特徴とする(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の高炉の操業方法。
(7)それぞれの炉径方向における鉱石テラス傾斜角を、3次元プロフィールメータを用いて取得した鉱石層の堆積形状に基づいて算出することを特徴とする(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の高炉の操業方法。
(8)鉱石層とコークス層とを炉内に交互に層状に形成し、炉頂での堆積形状を炉中心側に向かって下向きに傾斜させる高炉の操業に用いられる装入方法制御装置において、炉内に形成される鉱石層の鉱石テラス傾斜角を複数の炉径方向のそれぞれについて取得する取得部と、前記取得部が取得した複数の鉱石テラス傾斜角に基づき決定した代表値を操業管理指標として、前記代表値が基準範囲を満足するように操業する操業制御部と、を有する装入方法制御装置。
(9)鉱石層とコークス層とを炉内に交互に層状に形成し、炉頂での堆積形状を炉中心側に向かって下向きに傾斜させる高炉の操業に用いられる装入方法制御プログラムにおいて、炉内に形成される鉱石層の鉱石テラス傾斜角を複数の炉径方向のそれぞれについて取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得した複数の鉱石テラス傾斜角に基づき決定した代表値を操業管理指標として、前記代表値が基準範囲を満足するように操業する操業ステップと、をプロセスコンピュータに実行させるための装入方法制御プログラム。
本発明によれば、マイナス鉱石テラスの発生を抑制できる。これにより、鉱石層に積層されるコークス層の層厚が適切に管理されるため、高炉の安定操業を実現することができる。
高炉(ベルレス式高炉)の概略図である。 炉内堆積層の最上部に堆積したコークス層及び鉱石層の、炉壁近傍における拡大図である。 装入方法制御装置の機能ブロック図である。 装入方法制御プログラムのシーケンスを示すフローチャートである。 改善アクションの実施前後の各方位における鉱石テラス傾斜角(°)のデータである。
図1は、本発明の一実施形態である高炉の操業方法に用いられる高炉の概略図である。高炉1は、ベルレス式の高炉であり、羽口2と、環状管3と、ブローパイプ4と、微粉炭吹き込み用ランス5と、旋回シュート6と、プロフィールメータ7と、コントローラ8とを備える。羽口2は、高炉1の炉周方向に沿って、炉下部に複数設けられている。環状管3は高炉1の下部を包囲するように配設されている。ブローパイプ4は環状管3の周方向に間欠的に設けられるとともに、それぞれが異なる羽口2に接続されている。微粉炭吹き込み用ランス5は、各ブローパイプ4を挿通しており、各ブローパイプ4の内部には、微粉炭吹き込み用ランス5の先端が延出している。
旋回シュート6は、上下方向に延びる軸周りに回転し、鉱石原料とコークス原料とを、交互に装入する。鉱石原料及びコークス原料はそれぞれ複数回に分けて装入してもよいし、それぞれ1回で装入してもよい。炉内には鉱石層とコークス層が交互に形成されるが、一層の鉱石層を形成するのに行う原料装入を鉱石チャージと定義し、この鉱石チャージを1回の原料装入によって達成することを「1ダンプ装入」と定義し、この鉱石チャージを複数回の原料装入によって達成することを「複数回ダンプ装入」と定義する。
鉱石原料には焼結鉱、ペレット、塊鉱石、非焼成含炭塊成鉱を用いることができる。また、鉱石原料には、鉱石以外のもの(例えば小塊コークス等の還元補助剤)が含まれていてもよい。コークス原料には、コークスの他、フェローコークスが含まれていてもよい。旋回シュート6の駆動方式は、順傾動、逆傾動及び順傾動と逆傾動の組み合わせのうちいずれであってもよい。なお、順傾動とは、旋回シュート6を炉壁側から炉中心側に向かって駆動する駆動方式のことである。
プロフィールメータ7は、鉱石層及びコークス層の堆積形状を取得する。具体的には、プロフィールメータ7は、測定点毎にプロフィールメータ7と鉱石層(またはコークス層)の表面との距離の波形を取得する。図2は、炉内堆積層の最上部に堆積したコークス層及び鉱石層の、炉壁近傍における拡大図である。図2を参照して、鉱石層の炉壁側には、炉径方向の水平面(図に破線で示す)に対して傾斜角θで傾斜した符号Tで示す鉱石テラスが形成される。この鉱石テラスの傾斜角θは、鉱石の安息角よりも小さい。旋回シュート6を制御することによって、傾斜角θの大きさを変えて、鉱石テラスに堆積するコークスの層厚を調整することができる。傾斜角θの大きさは、後述するコントローラ8によって算出される。
プロフィールメータ7には、2次元プロフィールメータ、或いは3次元プロフィールメータを用いることができる。2次元プロフィールメータの場合、一回の測定で特定の炉径方向における堆積形状が取得される。したがって、2次元プロフィールメータを複数設置することにより、複数の炉径方向における鉱石層の堆積形状を取得することができる。また、2次元プロフィールメータを炉周方向に走行させる走行機構を設けることにより、1台の2次元プロフィールメータで複数の炉径方向における鉱石層の堆積形状を取得することができる。なお、2次元プロフィールメータを用いる場合、複数の炉径方向について取得された堆積形状を用いて、測定していない領域の堆積形状を補間することにより、鉱石層の堆積形状を推定してもよい。
3次元プロフィールメータは、炉周方向所定角度毎に炉径方向における鉱石層の堆積形状を取得する。3次元プロフィールメータの測定間隔(所定角度)は、適宜設定することができる。3次元プロフィールメータの測定間隔が広い場合は、上述の2次元プロフィールメータを用いる場合と同様に、測定していない領域の堆積形状を補間する補間処理を行ってもよい。また、3次元プロフィールメータの測定データは炉周方向角度に応じて取得されるものに限られず、例えば格子状の測定点について測定されてもよく、この場合は炉周方向角度の測定データに加工してから以降の工程に用いることができる。
ここで、堆積形状の取得には、プロフィールメータ7から生の測定データを受信することのみならず、適宜生データを加工(例えば補間)して取得することも含まれる。
コントローラ8は、プロフィールメータ7が取得した鉱石層の堆積形状に基づいて測定方位ごとに鉱石テラスの傾斜角θを算出し、算出した各鉱石テラス傾斜角θのうち最小値を求める。この鉱石テラス傾斜角θの最小値は、後述する「代表値」として用いることができる。
コントローラ8が行う処理は、プログラムによって実現可能であり、各種処理を実現するために予め用意されたプログラムが補助記憶装置に格納され、CPU等のプロセスコンピュータが補助記憶装置に格納された当該プログラムを主記憶装置に読み出し、主記憶装置に読み出された当該プログラムをプロセスコンピュータが実行することで、実現される。
また、上記プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された状態で、プロセスコンピュータ(例えば、サーバ)に提供することも可能である。コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD-ROM等の光ディスク、DVD-ROM等の相変化型光ディスク、MO(MagnetOptical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。また、本発明の目的のために特別に設計されて構成された集積回路(ICチップ等)等のハードウェア装置も記録媒体として含まれる。
本発明者らは、鉱石テラスの傾斜角θが0°以上となるように、高炉を操業することにより、還元ガスの偏りが抑制され、高炉の安定操業が実現されることを発見した。すなわち、鉱石テラスの傾斜角θが0°未満になると、既述の通り鉱石層に積層されるコークス層の炉径方向または炉周方向における厚みのバラツキが大きくなり、高炉の安定操業が阻害される。したがって、複数の炉径方向のそれぞれについて鉱石テラス傾斜角θを取得し、これらの鉱石テラス傾斜角θの最小値を代表値として、当該代表値が0°以上(基準範囲)となるように操業管理を行うことにより、高炉の安定操業を実現することができる。なお、「鉱石テラス傾斜角θの最小値が0°以上となるか否か」を操業管理指標とする場合、3次元プロフィールメータの測定間隔(所定間隔)は、例えば、45度以下に設定するのが好ましい。
ここで、「複数の炉径方向」とは、炉中心から炉壁に向かって延びる仮想線のことである。炉直径上には、炉中心から炉壁に向かって延びる第1の炉径方向と、炉中心から炉壁に向かって延びる、第1の炉径方向とは向きが180度異なる第2の炉径方向とが存在するが、本明細書では炉直径上に存在するこれら二つの炉径方向を夫々独立した炉径方向と扱うものとする。したがって、炉直径上に並ぶ第1の炉径方向及び第2の炉径方向のそれぞれの方向について鉱石テラス傾斜角を取得することも上述の「複数の炉径方向のそれぞれについて鉱石テラスの傾斜角θを取得」に含まれる。
コントローラ8は、各炉径方向における鉱石テラス傾斜角θを互いに比較し、その最小値を代表値とすることができる。鉱石テラス傾斜角θの最小値を代表値とすることにより、各炉径方向において取得したデータの中で最も小さい鉱石テラス傾斜角θが0°以上に改善されるため、炉周方向全体を適正範囲に向かってシフトさせることができる。結果的に、上述の効果(ガスの均一な分配)を高めることができる。なお、各炉径方向の鉱石テラス傾斜角θが均一となるようなアクションをさらに実施して、ガス分配の均一性を高めてもよい。
ここで、鉱石テラス傾斜角θの測定間隔が広い場合には、マイナス鉱石テラスを見過ごすおそれがある。例えば、90°間隔で測定した鉱石テラス傾斜角θが全て0°以上であっても、これらの測定位置の間にマイナス鉱石テラスが存在している場合がある。この場合、鉱石層に積層されるコークス層の炉径方向または炉周方向における厚みのバラツキが大きくなり、高炉の安定操業が阻害されるおそれがある。そこで、本発明者等は、鉱石テラス傾斜角θの測定間隔が広い場合にも適用し得る操業方法について、以下の通り検討した。
表1は、4000~5000m級の実炉にて行った複数の操業実績に基づき取得した「高炉操業の安定度を評価する指標」の一例であるσ送風圧力(hPa)及び通気性指標(-)と、鉱石テラス傾斜角(°)と、の関係である。表1に示す操業番号1~7の結果はすべて、炉内のある特定の方位で測定・算出されたものである。表1には、鉱石テラスの上に形成されたコークステラスの傾斜角(°)も示す。
Figure 2023057594000003
σ送風圧力(hPa)及び通気性指標(-)は、高炉の操業状況の良否を示す指標であり、σ送風圧力(hPa)及び通気性指標(-)が低いときに安定操業が実現されていると考えることができる。σ送風圧力(hPa)とは、送風圧力の時系列変化における標準偏差である。送風圧力とは、環状管3の前で測定される熱風の圧力のことである。通気性指標(-)は、炉内通気抵抗指数(K)のことであり、例えば、下記(A)式により算出することができる。
Figure 2023057594000004

・・・(A)
ただし、PおよびPはそれぞれ送風圧力および炉頂圧力(kPa)、Vはボッシュガス量(Nm/分)である。
例えば、上述の操業実績では、σ送風圧力(hPa)が26(hPa)以下であること及び通気性指標(-)が2.5(-)以下であることを、安定操業の一基準(以下、「安定操業条件」ともいう)として考えることができる。すなわち、σ送風圧力(hPa)が26(hPa)以下であって、かつ、通気性指標(-)が2.5(-)以下であるとき、炉内の還元ガスが適切に分配され、鉱石原料が炉径方向に均一に還元されていると考えることができる。安定操業でない場合には、還元ガスの流れに偏りが生じるため、σ送風圧力(hPa)が26(hPa)を超過するとともに、通気性指標(-)が2.5(-)を超過すると考えることができる。したがって、表1の例では、「安定操業条件」を、「σ送風圧力:26(hPa)」及び「通気性指標:2.5(-)」に設定することができる。表1に基づいて、σ送風圧力:26(hPa)以下及び通気性指標:2.5(-)以下を満足するときの鉱石テラス傾斜角θの最小値は、4°超である。
ここで、本発明者らは、表1の操業番号5~7において、鉱石テラス傾斜角θが2°~4°(0°以上の値)であるにも関わらず、安定操業条件を満足しない理由について、1/3ベルレス試験装置を用いた冷間モデル試験により考察した。1/3ベルレス試験装置とは、ベルレス式炉頂装入装置を模した実炉の1/3サイズの模型実験装置(半径1800mm程度)である。冷間モデル試験によって、炉周方向において、鉱石テラス傾斜角が2°程度の標準偏差があり、最大で4°程度のバラつきを有することがわかった。以上の実験結果から、取得した鉱石テラス傾斜角θの最小値が5°以上となるように高炉を操業すれば、鉱石テラス傾斜角θの測定間隔を仮に広くしても、マイナス鉱石テラスが見過ごされる可能性は低いため、より効果的に高炉の安定操業を実現することができる。
また、鉱石テラス傾斜角θの基準範囲の上限値については、特に限定されないが、鉱石の安息角に基づいて適宜設定することができる。例えば、鉱石の安息角が27°である場合、鉱石テラス傾斜角θの基準範囲の上限値を26°以下に設定することができる。なお、鉱石の安息角は、鉱石の含有成分等によって変動する。
鉱石テラス傾斜角θの最小値が基準範囲を満たさない場合、コントローラ8は、これを改善する改善アクションを実施する。コントローラ8は、以下の改善アクション1~3のいずれかを実施することができる。ただし、これらの改善アクション1~3は例示であり、本発明はこれらに限られない。
(改善アクション1)
鉱石ダンプにおいて、炉壁側に全ノッチを1ノッチだけずらして、外振りに変更する。炉壁側に全ノッチを1ノッチずらすことにより、鉱石原料がより炉壁に近接した領域に装入されるため、鉱石テラス傾斜角θを大きくすることができる。
(改善アクション2)
高炉のストックラインを下げる。ストックラインを下げることにより、炉壁側に投入される鉱石原料が増加するため、鉱石テラス傾斜角θを大きくすることができる。
(改善アクション3)
改善アクション3は、以下の(A)乃至(C)からなる。
(A)下記の式(1)に基づき算出される第1角度と、鉱石テラス傾斜角である第2角度との関係(以下、関係情報とも称す)を予め求めておく。関係情報は、操業実績に基づき求めてもよいし、実験装置(例えば、既述の1/3ベルレス試験装置)の試験結果に基づき求めてもよい。
(B)関係情報から、第2角度が基準範囲(上述の実施形態では、0°以上又は5°以上)を満足するときの該第2角度に対応する第1角度を求める。
(C)(B)で求めた第1角度を満足するように、旋回シュートの傾動角、旋回シュートの旋回数及び旋回シュートの総旋回数の少なくとも1つを調整して操業する。
ここで、式(1)においては、高炉が備える旋回シュートの総ノッチ数をn、ノッチ番号をk、ノッチ番号kにおける旋回シュートの傾動角をθk、ノッチ番号kにおける旋回シュートの旋回数をSk、旋回シュートの総旋回数をTとする。
Figure 2023057594000005
ノッチ番号とは、旋回シュート6で予め設定した傾動角を番号付けして表わした数値であり、ノッチ番号kの数値が大きくなるほど装入原料が炉中心側に、数値が小さくなるほど炉壁側に装入されることを意味する。ノッチ番号k及び旋回数Skの一例を示す。
Figure 2023057594000006
上述のように高炉の操業を行うことによって、炉壁側に投入される鉱石原料が増加するため、鉱石テラス傾斜角θを大きくすることができる。
本実施形態では、ベルレス式高炉を例に挙げて説明したが、本発明はベル高炉にも適用することができる。ベル高炉の場合、炉内を落下する鉱石原料に衝突して、落下軌跡を修正するムーバブルアーマーの角度を調整したり、ベルの開速度を調整することにより、改善アクションとすることができる。
改善アクション後、鉱石テラス傾斜角θの最小値が基準範囲を満たすか、再度判定を行う。その結果、鉱石テラス傾斜角θの最小値が基準範囲を満たさない場合には、さらに改善アクションを行う。すなわち、鉱石テラス傾斜角θの最小値が基準範囲を満たすまで、改善アクションを繰り返し実施する。
本発明は、また別の観点によれば、図3に示す装入方法制御装置により実現される。装入方法制御装置10は、取得部11と、操業制御部12とを有する。取得部11は、炉内に形成される鉱石層の鉱石テラス傾斜角を、複数の炉径方向のそれぞれについて取得する。すなわち、取得部11は、鉱石層の堆積形状を取得するとともに、それぞれの炉径方向における鉱石テラス傾斜角を算出する。取得部11は、プロフィールメータ7及びコントローラ8が協働することによって実現される。操業制御部12は、取得部11が取得した複数の鉱石テラス傾斜角のうち最小値(代表値)を操業管理指標として、この最小値が基準範囲を満足するように操業する。操業制御部12は、コントローラ8によって実現される。処理の詳細は、上述したから説明を繰り返さない。
図4は、上述のプログラムによって実現される処理を示したフローチャートである。説明が重複するため、処理の概要のみ説明する。取得部11(プロフィールメータ7)は、鉱石層の堆積形状を取得する(ステップS101)。取得部11(コントローラ8)は、取得した堆積形状に基づきそれぞれの炉径方向について鉱石テラス傾斜角θを算出する(ステップS102)。操業制御部12(コントローラ8)は、算出した複数の鉱石テラス傾斜角の最小値を代表値として決定する(ステップS103)。操業制御部12(コントローラ8)は、決定した代表値が基準範囲を満たすか否かを判別する(ステップS104)。代表値が基準範囲を満たす場合(ステップS104 Yes)、処理を終了する。代表値が基準範囲を満たさない場合(ステップS104 No)、処理はステップS105に進む。ステップS105において、操業制御部12(コントローラ8)は上述したアクションを実行して、処理はステップS101に戻る。なお、ステップS101~S102が請求項9に記載の「取得ステップ」に相当し、ステップS103~S105が請求項9に記載の「操業ステップ」に相当する。
本発明の高炉の操業方法について、実施例を示して詳細に説明する。1/3ベルレス試験装置を用いて実高炉と同一の条件で高炉原料を層状に装入して、複数の炉径方向における鉱石テラス傾斜角(°)を調べた。1/3ベルレス試験装置については、上述したため、説明を繰り返さない。高炉原料の平均粒径は実炉の約1/3とし、装入量は実炉の約1/27とした。コークス装入を1チャージ当たり1ダンプで行い、コークスの1チャージ当たりの装入量は約1.3tとした。また、鉱石装入を1チャージ当たり1ダンプで行い、鉱石の1チャージ当たりの装入量は約7.3tとした。
鉱石層の堆積形状を3次元プロフィールメータで測定し、この測定した3次元堆積形状を炉周方向10°間隔ずつ切り出し、各方位(炉径方向に相当する)における堆積形状を取得した。各方位における堆積形状を取得した後、各方位の鉱石テラス傾斜角(°)を算出した。代表値は鉱石テラス傾斜角(°)の最小値とした。図5に、各方位における改善アクションの実施前後の鉱石テラス傾斜角(°)をプロットした。本実施例では、既述の改善アクション3を実施した。
改善アクション実施前においては、図5に白抜きのプロット(丸印)で示す通り、鉱石テラス傾斜角の最小値が-1°であった。このとき、上述の式(1)によって算出される第1角度は47°であった。そこで、5°以上とすべく、第1角度と第2角度との関係(「関係情報」に相当)から、第2角度が基準範囲を満足するときの該第2角度(5°)に対応する第1角度=50°を求め、この第1角度(50°)を満足する式(1)に基づいて、旋回シュートの傾斜角θを調整することにより、改善アクション3を模擬した。
その結果、図5に黒塗のプロット(丸印)で示す通り、鉱石テラス傾斜角の最小値が5°(破線で示す)以上となった。すなわち、全方位において、鉱石テラス傾斜角が基準範囲を満足する結果となった。
1/3ベルレス試験装置によって得られた結果を踏まえ、実炉において、鉱石ダンプを変更した操業を行い、操業が安定するか否かを検討した。対象高炉は4000~5000m級の高炉で、上記1/3ベルレス試験における、改善アクション実施前と同じ装入条件で操業を行っていた。この時、鉱石テラス傾斜角の最小値が基準範囲(5°)を下回っていたため、第1角度=50°を満足する式(1)に基づいて、旋回シュートの傾斜角θを調整することにより、改善アクション3を実施した。その結果、炉内全体の送風圧力の変動が10%低下して通気抵抗も2%低下したことから、炉内ガス流れが均一化して安定操業が可能となることを確認した。
1 高炉 2 羽口 3 環状管 4 ブローパイプ
5 微粉炭吹き込み用ランス 6 旋回シュート 7 プロフィールメータ
8 コントローラ 10 装入方法制御装置 11 取得部 12 操業制御部

Claims (9)

  1. 鉱石層とコークス層とを炉内に交互に形成し、炉頂での堆積形状を炉中心側に向かって下向きに傾斜させる高炉の操業方法において、
    炉内に形成される鉱石層の鉱石テラス傾斜角を複数の炉径方向のそれぞれについて取得し、
    前記取得された複数の鉱石テラス傾斜角に基づき決定した代表値を操業管理指標として、前記代表値が基準範囲を満足するように操業する高炉の操業方法。
  2. 前記代表値は、前記取得された複数の鉱石テラス傾斜角のうちの最小値であることを特徴とする請求項1に記載の高炉の操業方法。
  3. 前記基準範囲は、0°以上であることを特徴とする請求項2に記載の高炉の操業方法。
  4. 前記基準範囲は、5°以上であることを特徴とする請求項2に記載の高炉の操業方法。
  5. 前記高炉が備える旋回シュートの総ノッチ数をn、
    ノッチ番号をk、
    ノッチ番号kにおける前記旋回シュートの傾動角をθk、
    ノッチ番号kにおける前記旋回シュートの旋回数をSk、
    前記旋回シュートの総旋回数をTとすると、
    式(1)に基づき算出される第1角度と、鉱石テラス傾斜角である第2角度との関係である関係情報を予め求めておき、
    前記関係情報から、前記第2角度が前記基準範囲を満足するときの該第2角度に対応する前記第1角度を求め、
    この求めた前記第1角度を満足するように、前記旋回シュートの傾動角、前記旋回シュートの旋回数及び前記旋回シュートの総旋回数の少なくとも1つを調整して操業する、請求項2ないし4のいずれか1つに記載の高炉の操業方法。

    Figure 2023057594000007
  6. それぞれの炉径方向における鉱石テラス傾斜角を、2次元プロフィールメータを用いて取得した鉱石層の堆積形状に基づいて算出することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の高炉の操業方法。
  7. それぞれの炉径方向における鉱石テラス傾斜角を、3次元プロフィールメータを用いて取得した鉱石層の堆積形状に基づいて算出することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の高炉の操業方法。
  8. 鉱石層とコークス層とを炉内に交互に層状に形成し、炉頂での堆積形状を炉中心側に向かって下向きに傾斜させる高炉の操業に用いられる装入方法制御装置において、
    炉内に形成される鉱石層の鉱石テラス傾斜角を複数の炉径方向のそれぞれについて取得する取得部と、
    前記取得部が取得した複数の鉱石テラス傾斜角に基づき決定した代表値を操業管理指標として、前記代表値が基準範囲を満足するように操業する操業制御部と、
    を有する装入方法制御装置。
  9. 鉱石層とコークス層とを炉内に交互に層状に形成し、炉頂での堆積形状を炉中心側に向かって下向きに傾斜させる高炉の操業に用いられる装入方法制御プログラムにおいて、
    炉内に形成される鉱石層の鉱石テラス傾斜角を複数の炉径方向のそれぞれについて取得する取得ステップと、
    前記取得ステップで取得した複数の鉱石テラス傾斜角に基づき決定した代表値を操業管理指標として、前記代表値が基準範囲を満足するように操業する操業ステップと、
    をプロセスコンピュータに実行させるための装入方法制御プログラム。

JP2021167142A 2021-10-12 2021-10-12 高炉の操業方法、装入方法制御装置及び装入方法制御プログラム Pending JP2023057594A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021167142A JP2023057594A (ja) 2021-10-12 2021-10-12 高炉の操業方法、装入方法制御装置及び装入方法制御プログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021167142A JP2023057594A (ja) 2021-10-12 2021-10-12 高炉の操業方法、装入方法制御装置及び装入方法制御プログラム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023057594A true JP2023057594A (ja) 2023-04-24

Family

ID=86054800

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021167142A Pending JP2023057594A (ja) 2021-10-12 2021-10-12 高炉の操業方法、装入方法制御装置及び装入方法制御プログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023057594A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104133945A (zh) 一种高炉布料过程径向矿焦比的控制方法
WO2016190155A1 (ja) 高炉への原料装入装置
JP2023057594A (ja) 高炉の操業方法、装入方法制御装置及び装入方法制御プログラム
JP7502610B2 (ja) 高炉の操業方法、装入方法制御装置、装入方法制御プログラム
JP6943339B2 (ja) ベルレス高炉の原料装入方法および高炉操業方法
CA1154966A (en) Process for blast furnace operation
JP2022137614A (ja) 高炉の操業方法、装入方法制御装置及び装入方法制御プログラム
JP7393637B2 (ja) 高炉の操業方法
JP2022137869A (ja) 高炉の操業方法、装入方法制御装置及び装入方法制御プログラム
JP7151228B2 (ja) 高炉の操業方法
JP6627718B2 (ja) 高炉への原料装入方法
JP3787240B2 (ja) 高炉中心部への装入物装入方法
JP2023160192A (ja) 高炉の操業方法、制御装置、プログラム
JP2022126369A (ja) 高炉原料装入制御方法、高炉原料装入制御装置、高炉原料装入制御プログラム
JP7393636B2 (ja) 高炉の操業方法
JP3514120B2 (ja) 高炉炉頂装入物の分布制御方法
JPS62224608A (ja) ベルレス式高炉の操業方法
JP2021121689A (ja) ベル・アーマー方式の高炉における鉱石層崩れ量の推定方法
JP5056563B2 (ja) 高炉操業方法
JP2012072471A (ja) 炉頂バンカー及びこれに使用した高炉への原料装入方法
JP2006131979A (ja) ベルレス高炉へのコークス装入方法
JP4211617B2 (ja) ベルレス高炉の鉱石装入方法
JPS6041122B2 (ja) 高炉操業法
JP6627717B2 (ja) 高炉への原料装入方法
JP3846451B2 (ja) ベルレス高炉の原料装入方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240617