JP2023054576A - 電子写真感光体、それを備えたプロセスカートリッジおよび画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、それを備えたプロセスカートリッジおよび画像形成装置 Download PDF

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【課題】良好な電気特性を有し、かつ良好な耐久性と良好な耐光性とを兼ね備えた電子写真感光体、それを備えたプロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供することを課題とする。【解決手段】導電性支持体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層を少なくとも備えるか、または該積層型感光層およびその上に積層された表面保護層を少なくとも備えた電子写真感光体であり、前記電荷輸送層および前記表面保護層の双方またはいずれか一方の層が、光吸収剤を含有し、前記電子写真感光体の最表面層が、シリカフィラーを含有し、波長600nmの光に対して50%以上の透過率を有し、かつ波長600nmの光に対する透過率T600と波長550nmの光に対する透過率T550との比率T600/T550が1.10以上2.20以下であることを特徴とする電子写真感光体により、上記の課題を解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、良好な電気特性を有し、かつ良好な耐久性と良好な耐光性とを兼ね備えた電子写真感光体、それを備えたプロセスカートリッジおよび画像形成装置に関する。
電子写真技術を用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置(電子写真装置)は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などに多用されている。
この電子写真プロセスに用いられる電子写真感光体(以下「感光体」ともいう)は、基体上に光導電性材料を含有する感光層が積層されて構成され、有機系光導電性材料を主成分とする感光層を備えた感光体(「有機系感光体」ともいう)が広く用いられている。
感光体の欠点として、耐光性が挙げられる。感光体は、通常の使用時には、蛍光灯などの外部光に曝されることはないが、感光体や周辺部材などの交換パーツのメンテナンスの際や、機内において紙詰まりが起こり紙を取り出す際には、外部光に曝される。感光体が外部光に曝された場合、大きなダメージが与えられ、画像上問題となることがある。
この欠点を克服する手段として、感光層に紫外線吸収剤を添加する方法(例えば、特開2016-143024公報:特許文献1)や、同じく感光層に特定の波長を吸収する材料を添加する方法(例えば、特開平10-048856公報:特許文献2)が提案されている。
特開2016-143024号公報 特開平10-048856号公報
画像形成装置が曝される室内の蛍光灯の光は分光分布を有し、主に波長500~700nmに分光吸収を有する紫外吸収剤を感光層に含有させることで、感光体の耐光性を向上させることができる。しかしながら、画像形成装置内の除電光が波長550~650nmの間に分光分布の極大値を有する場合、紫外吸収剤によってこの範囲内の光の透過率が抑制されると、電荷発生層に到達する除電光が抑制され、除電の効率が低下して残留電位が上昇するという問題につながる。
また、近年のローラ帯電による接触帯電方式の増加やデジタル複写機およびプリンタなどの電子写真装置のロングライフ化、小型化および高速化に伴って、有機感光体は、その表面がより摩耗され易い、厳しい条件下に曝されている。このような課題に対して、感光体の最表面層に、フィラーとしてシリカやアルミナ、ポリエチレンテレフタレート(PTFE)のような微粒子を添加することで耐刷性を向上させる検討がされている。
しかしながら、フィラーの添加によって感光層の透過率が低下する傾向にあり、フィラーを含有する感光層に、耐光性を向上させるために紫外線吸収剤を添加すると、残留電位の上昇を引き起こすため、耐光性と耐刷性を両立するのが難しいことが知られている。
そこで、本発明は、良好な電気特性を有し、かつ良好な耐久性と良好な耐光性とを兼ね備えた電子写真感光体、それを備えたプロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、感光体の最表面層に特定の光吸収剤およびシリカフィラーを含有させ、シリカフィラーの分散状態を制御して、感光層の透過率を最適化することで、耐久性と外部光による劣化防止を両立して、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、導電性支持体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層を少なくとも備えるか、または該積層型感光層およびその上に積層された表面保護層を少なくとも備えた電子写真感光体であり、
前記電荷輸送層および前記表面保護層の双方またはいずれか一方の層が、光吸収剤を含有し、
前記電子写真感光体の最表面層が、シリカフィラーを含有し、波長600nmの光に対して50%以上の透過率を有し、かつ波長600nmの光に対する透過率T600と波長550nmの光に対する透過率T550との比率T600/T550が1.10以上2.20以下である
ことを特徴とする電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、上記の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段、露光により形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段および前記電子写真感光体に残留するトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも1種とを備えることを特徴とするプロセスカートリッジが提供される。
さらに、本発明によれば、上記の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像によって形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録媒体上に定着して画像を形成する定着手段と、前記電子写真感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段と、前記電子写真感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段を少なくとも備えたことを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によれば、良好な電気特性を有し、かつ良好な耐久性と良好な耐光性とを兼ね備えた電子写真感光体、それを備えたプロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供することができる。
本発明の感光体(積層型感光体)1の要部の構成を示す概略断面図である。 本発明の画像形成装置100の要部の構成を示す模式側面図である。
(1)感光体
本発明の感光体は、導電性支持体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層を少なくとも備えるか、または該積層型感光層およびその上に積層された表面保護層を少なくとも備えた電子写真感光体であり、
前記電荷輸送層および前記表面保護層の双方またはいずれか一方の層が、光吸収剤を含有し、
前記電子写真感光体の最表面層が、シリカフィラーを含有し、波長600nmの光に対して50%以上の透過率を有し、かつ波長600nmの光に対する透過率T600と波長550nmの光に対する透過率T550との比率T600/T550が1.10以上2.20以下である
ことを特徴とする。
まず、本発明の特徴である、電荷輸送層および表面保護層の双方またはいずれか一方の層に含有される「光吸収剤」および感光体の最表面層に含まれる「シリカフィラー」ならびに最表面層の光透過率について説明し、その後で(1)感光体の各構成、その感光体を備えた(2)プロセスカートリッジおよび(3)画像形成装置について説明する。
<光吸収剤>
光吸収剤は、外部光の光波長成分による電荷発生物質への作用を効果的に遮断する機能を有する。
蛍光灯やLEDなどの外部光が感光体にダメージを与える要因は、外部光が電荷輸送層を透過し、その透過した光が電荷発生物質に作用して電荷トラップを発生することにある。一般的な蛍光灯は、波長440nm、490nm、550nm、580nmおよび620nm付近の光波長成分を有し、白色LEDは、波長460nmおよび500~700nmの光波長成分を有することから、これらの光が電荷輸送層を透過すると、電荷発生材料に作用して電荷トラップを発生させることになる。
本発明では、光吸収剤が外部光を吸収して、電荷トラップの発生を抑える。
したがって、電荷輸送層および前記表面保護層の双方またはいずれか一方の層に含有する光吸収剤は、波長400~700nmに分光吸収を有する化合物であるのが好ましい。
より好ましい光吸収剤の分光吸収は、波長450~550nmの範囲である。
一方、波長550~650nmの光波長成分は、感光体を露光して静電潜像を形成するLEDやレーザ光および感光体に残留する表面電荷を除電するLEDなどで使われるため透過する必要があるため、感光体の最表面層の波長600nmの光に対する透過率および波長600nmの光に対する透過率T600と波長550nmの光に対する透過率T550との比率T600/T550が設定される。これらの透過率T600および比率T600/T550については、<最表面層の光透過率>の項で説明する。
光吸収剤は、上記のような光物性を有し、かつ本発明の効果を阻害しない化合物であれば特に限定されず、例えば、ペリミジン化合物、アゾキノン化合物およびピラゾロン化合物が挙げられる。
具体的には、光吸収剤としては、下記構造式(A):
Figure 2023054576000002
で表されるペリミジン化合物(ペリミジン化合物(A))、下記構造式(B):
Figure 2023054576000003
で表されるアゾキノン化合物(アゾキノン化合物(B))および下記構造式(C):
Figure 2023054576000004
で表されるピラゾロン化合物(ピラゾロン化合物(C))から選択される化合物が挙げられ、本発明においてこれらを好適に用いることができる。
ペリミジン化合物(A)としては、実施例1で用いているようなペリミジン化合物(A)(C.I.Solvent Red179、AmericanDyestuff製 製品名:Amesolve RedA)が挙げられ、アゾキノン化合物(B)としては、実施例4で用いているようなアゾキノン化合物(B)(保土谷化学工業株式会社製、製品名:EAC-39)が挙げられる。
また、ピラゾロン化合物は、例えば、特許第4041741号に記載の方法により合成することができる。
電荷輸送層における光吸収剤の含有量は、電荷輸送層の全固形分中に対して0.05~1.00質量%であるのが好ましい。
光吸収剤の含有量が0.05質量%未満では、耐光性への効果が十分に得られないことがある。一方、光吸収剤の含有量が1.00質量%を超えると、感光体の電気特性が悪化することがある。
より好ましい光吸収剤の含有量は0.15~0.40質量%であり、特に好ましくは0.20~0.35質量%である。
<シリカフィラー>
シリカフィラーの「シリカ」とは、二酸化珪素(SiO2)を意味する。
本発明において好適に用いられるシリカフィラーは、製法由来に限定されず、四塩化ケイ素を燃焼して得られるヒュームドシリカ、プラズマなどの高エネルギーによりシリカを気相中で微粒子化するアーク法シリカなどの乾式法シリカ;ケイ酸ナトリウム水溶液を原料としてアルカリ条件で合成した沈降法シリカ、酸性条件で合成したゲル法シリカなどの湿式法シリカなどの湿式法シリカ;酸性ケイ酸をアルカリ性にして重合することで得られるコロイダルシリカ;有機シラン化合物の加水分解によって得られるゾルゲル法シリカなどが挙げられる。
シリカフィラーは、感光体の電気特性を向上させるために、表面処理剤で表面処理されてもよい。
表面処理剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、N-メチル-ヘキサメチルジシラザン、N-エチル-ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチル-N-プロピルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、又はポリジメチルシロキサンが挙げられる。
これらの中でも、ジメチルジクロロシランおよびヘキサメチルジシラザンは、シリカ粒子表面の水酸基との反応性が良好であるため、シリカフィラー表面の水酸基量を減らすことができ、その結果、水分(湿度)による感光体の電気特性の低下を抑制することができることから特に好ましい。
本発明においては、上記の表面処理剤で処理したシリカフィラーを用いることができるが、表面処理剤で処理された市販のシリカ微粒子を用いることもできる。市販のシリカ微粒としては、例えば、日本アエロジル株式会社の製品名:R972、R972V、R974、R976、RX200、NX130、NX90G、NX90S、NAX50、RX50;キャボットジャパン株式会社の製品名:TS610、TG709F、TG6110G、株式会社アドマテックスの製品名:YA010Cが挙げられる。
シリカフィラーは、30nm以下の平均一次粒子径を有するのが好ましい。
シリカフィラーの平均一次粒子径が30nmを超えると、感光層中に生成する凝集構造が大きくなることより、クリーニング不良等の問題が発生し易くなることがある。シリカフィラーの平均一次粒子径が小さすぎると、シリカフィラーの凝集力が強く、解砕し難く、その分散性が低下することがあるので、その下限は7nm程度である。
なお、平均一次粒子径は、シリカ粒子を走査型電子顕微鏡観察によって30000~300000倍、例えば10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によってフェレ方向平均径としての測定値である。
シリカフィラーは、感光体の最表面層の全固形分に対して7~18質量%の割合で含まれるのが好ましい。
シリカフィラーの含有量が感光体の最表面層の全固形分に対して7質量%未満では、耐刷性への効果が十分に得られないことがある。一方、シリカフィラーの含有量が18重量%を超えると、感光体の電気特性が悪化することがある。
より好ましいシリカフィラーの含有量は7~15質量%であり、特に好ましくは8~13質量%である。
シリカフィラーは、凝集せずに電荷輸送層および表面保護層中に均一に分散分布していることが好ましい。
シリカフィラーの分散状態の制御は、電荷輸送層用塗布液や表面保護層用塗布液の調製における分散処理のシェア条件(分散方法、分散時間、メディア径やメディア量、メディアの材質)を調整することにより行うことができる。具体的には、実施例において記載する。
<最表面層の光透過率>
感光体の最表面層は、波長600nmの光に対して50%以上の透過率を有し、かつ波長600nmの光に対する透過率T600と波長550nmの光に対する透過率T550との比率T600/T550が1.10以上2.20以下である。
波長600nmの光に対する透過率T600が50%未満では、除電の効率が低下して残留電位が上昇することがある。その上限は、85%程度である。
波長600nmの光に対する透過率T600と波長550nmの光に対する透過率T550との比率T600/T550が1.10未満では、外部光が感光体にダメージを与えて画像不良を引き起こすことがある。一方、比率T600/T550が2.20を超えると、残留電位の上昇を引き起こすことがある。
好ましい比率T600/T550は、1.10以上1.50以下であり、より好ましくは1.15以上1.30 以下である。
<感光体>
本発明の感光体は、導電性支持体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層を少なくとも備えるか、または該積層型感光層およびその上に積層された表面保護層を少なくとも備える。
以下に図面を用いて、本発明の感光体を説明するが、本発明は、これらにより限定されるものではない。
図2は、本発明の感光体(積層型感光体)1の要部の構成を示す概略断面図である。
感光体1は、導電性支持体11上に、下引き層18および電荷発生物質12を含有する電荷発生層15と、電荷輸送物質13、バインダ着樹脂17、シリカフィラー19および光吸収剤20を含有する電荷輸送層16とがこの順で積層された感光層(積層型感光層)14を備えている。
本発明の感光体は、感光層14上に表面保護層を備えていてもよい。表面保護層については<表面保護層>の項で説明する。
<導電性支持体11>
導電性支持体(「導電性基体」または「基体」ともいう)11は、感光体の電極としての機能と支持部材としての機能とを有し、その構成材料は、当該技術分野で用いられる材料であれば特に限定されない。
具体的には、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス鋼およびチタンなどの金属材料、ならびに表面に金属箔ラミネート、金属蒸着処理または導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布した、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンおよびポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙ならびにガラスなどが挙げられる。これらの中でも、加工の容易性の点からアルミニウムが好ましく、JIS3003系、JIS5000系およびJIS6000系などのアルミニウム合金が特に好ましい。
導電性支持体の形状は、図2に示すような円筒状(ドラム状)に限定されず、シート状、円柱状、無端ベルト状などであってもよい。
また、導電性支持体の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、レーザ光による干渉縞防止のために、陽極酸化皮膜処理、薬品もしくは熱水などによる表面処理、着色処理、または表面を粗面化するなどの乱反射処理が施されていてもよい。
<下引き層18>
本発明の感光体は、導電性支持体11と積層型感光層14との間に下引き層(「中間層」ともいう)を備えるのが好ましい。
下引き層は、一般に、基体の表面の凸凹を被覆し均一にして、積層型感光層の成膜性を高め、感光層の導電性支持体からの剥離を抑え、基体と感光層との接着性を向上させる。具体的には、基体からの感光層への電荷の注入が防止され、感光層の帯電性の低下を防ぎ、画像のかぶり(いわゆる黒ぽち)を防止することができる。
下引き層は、例えば、バインダ樹脂を適当な溶剤に溶解または分散させて下引き層用塗布液を調製し、この塗布液を基体の表面に塗布し、乾燥により有機溶剤を除去することによって形成することができる。
バインダ樹脂としては、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラニン樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。バインダ樹脂は、下引き層上に感光体層を形成する際に用いられる溶剤に対して溶解や膨潤などが起こらないこと、導電性支持体との接着性に優れること、可撓性を有することなどの特性が要求されることから、上記のバインダ樹脂の中でも、ポリアミド樹脂が好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂およびピペラジン系化合物を含有したポリアミド樹脂が好ましい。
アルコール可溶性ナイロン樹脂としては、例えば、6-ナイロン、66-ナイロン、610-ナイロン、11-ナイロンおよび12-ナイロンなどの単独重合または共重合ナイロン、N-アルコキシメチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させたタイプなどが挙げられる。
また、バインダ樹脂を架橋する硬化剤を用いて、硬化膜としてもよい。硬化剤としては、塗液の保存安定性や電気特性の観点からブロック化イソシアネートが好ましい。
溶剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノールなどの低級アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、2-ブタノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテルなどのエーテル類、塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素類が挙げられる。これらの溶剤は、バインダ樹脂の溶解性、下引き層の表面平滑性などから適切な溶剤を選択し、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、例えば、非ハロゲン系有機溶剤を好適に用いることができる。
下引き層用塗布液は、金属酸化物粒子を含んでいてもよい。金属酸化物粒子は、下引き層の体積抵抗値を容易に調節することができ、電荷発生層への電荷の注入をさらに抑制することができると共に、各種環境下において感光体の電気特性を維持することができる。
金属酸化物粒子に用いることができる材料としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび酸化スズなどが挙げられる。
下引き層用塗布液におけるバインダ樹脂と金属酸化物粒子との合計質量Aと溶剤の質量Bとの比率(A/B)としては、例えば、1/99~30/70程度が好ましく、2/98~40/60程度が特に好ましい。
また、バインダ樹脂の質量Cと金属酸化物粒子の質量Dとの比率(C/D)としては、例えば、90/10~1/99程度が好ましく、70/30~5/95程度が特に好ましい。
下引き層用塗布液の塗布方法は、塗布液の物性および生産性などを考慮に入れて最適な方法を適宜選択すればよく、例えば、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などが挙げられる。
これらの中でも、浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に基体を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって基体の表面に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、感光体の製造に好適に用いることができる。浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置が設けられていてもよい。
自然乾燥により塗膜中の溶剤を除去してもよいが、加熱により強制的に塗膜中の溶剤を除去してもよい。
このような乾燥工程における温度は、使用した溶剤を除去し得る温度であれば特に限定されないが、50~140℃程度が適当であり、80~130℃程度が特に好ましい。
乾燥温度が50℃未満では、乾燥時間が長くなることがあり、また溶剤が充分に蒸発せず感光体層中に残ることがある。また、乾燥温度が約140℃を超えると、感光体の繰り返し使用時の電気的特性が悪化して、得られる画像が劣化することがある。
このような温度条件は、下引き層のみならず、後述する感光層などの層形成や他の処理においても共通する。
下引き層の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは0.01~20μm、より好ましくは0.05~10μmである。
下引き層の膜厚が0.01μm未満であると、導電性基体側からの電子の注入のブロッキング性および、光散乱による干渉縞対策に対する十分な効果が得られないことがある。一方、下引き層の膜厚が20μmを超えると、連続印字した際の感度変化が大きくなり、ひいては画像濃度の変化が大きくなることがある。
<電荷発生層15>
電荷発生層15は、画像形成装置などの電子写真装置において、半導体レーザのような光ビームなどの光出射装置で照射された光を吸収することによって電荷を発生する機能を有し、電荷発生物質を主成分とし、必要に応じてバインダ樹脂や添加剤を含有する。
電荷発生物質としては、当該分野で用いられる化合物を使用でき、具体的には、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料およびトリスアゾ系顔料などのアゾ系顔料;インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ系顔料;ペリレンイミドおよびペリレン酸無水物などのペリレン系顔料;アントラキノンおよびピレンキノンなどの多環キノン系顔料;チタニルフタロシアニンなどの金属フタロシアニンおよび無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料;スクアリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素などの有機光導電性材料;ならびにセレンおよび非晶質シリコンなどの無機光導電性材料などが挙げられ、露光波長域に感度を有するものを適宜選択して用いることができる。これらの電荷発生物質は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの電荷発生物質の中でも、下記一般式(ア):
Figure 2023054576000005
(式中、X1、X2、X3およびX4は、同一または異なって、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基であり、r、s、yおよびzは、同一または異なって0~4の整数である)
で表されるチタニルフタロシアニンを用いることが好ましい。
チタニルフタロシアニンは、現在一般的に用いられているレーザ光およびLED光の発信波長域(近赤外光)で高い電荷発生効率と電荷注入効率とを有する電荷発生物質であり、光を吸収することにより多量の電荷を発生させると共に、発生した電荷をその内部に蓄積することなく電荷輸送物質に効率よく注入することができる。
一般式(ア)で表されるチタニルフタロシアニンは、例えば、Moser, Frank HおよびArthur L. ThomasによるPhthalocyanine Compounds、Reinhold Publishing Corp.、New York、1963に記載されている方法などの公知の製造方法によって製造することができる。
例えば、一般式(ア)で表されるチタニルフタロシアニン化合物のうち、r、s、yおよびzが0である無置換のチタニルフタロシアニンの場合は、フタロニトリルと四塩化チタンとを、加熱融解するかまたはα-クロロナフタレンなどの適当な溶剤中で加熱反応させることによってジクロロチタニルフタロシアニンを合成した後、塩基または水で加水分解することによって得られる。
また、イソインドリンとテトラブトキシチタンなどのチタニウムテトラアルコキシドとを、N-メチルピロリドンなどの適当な溶剤中で加熱反応させることによっても、チタニルフタロシアニン組成物を製造することができる。
電荷発生層の形成方法としては、電荷発生物質を導電性支持体上に真空蒸着する方法、および溶剤中に電荷発生物質を分散して得られる電荷発生層用塗布液を導電性支持体上に塗布する方法などがある。これらの中でも、バインダ樹脂を溶剤中に混合して得られるバインダ樹脂溶液中に、電荷発生物質を従来公知の方法によって分散させ、電荷発生層用塗布液を導電性支持体上に塗布する方法が好ましい。以下、この方法について説明する。
バインダ樹脂としては、特に限定されず、当該分野で公知の樹脂をいずれも使用でき、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフェノキシ、ポリビニルブチラールおよびポリビニルホルマールなどの樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などを挙げることができる。
共重合体樹脂としては、例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体樹脂およびアクリロニトリル-スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶剤としては、例えば、ジクロロメタンおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン(THF)およびジオキサンなどのエーテル類、1,2-ジメトキシエタンなどのエチレングリコールのアルキルエーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類、またはN,N-ジメチルホルムアミドおよびN,N-ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
電荷発生物質とバインダ樹脂との配合比率は、電荷発生物質の割合が10~99質量%の範囲にあることが好ましい。
電荷発生物質の割合が10質量%未満であると、感度が低下することがある。一方、電荷発生物質の割合が99質量%を超えると、電荷発生層の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大し、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少して画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが多く発生することがある。
バインダ樹脂溶液中に電荷発生物質を分散させる前に、予め電荷発生物質を粉砕機によって粉砕処理してもよい。粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルおよび超音波分散機などを挙げることができる。
電荷発生物質をバインダ樹脂溶液中に分散させる際に用いられる分散機としては、ペイントシェーカ、ボールミルまたはサンドミルなどを挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器および分散機を構成する部材の摩耗などによる不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択すればよい。
電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、下引き層用塗布液の塗付方法と同様の方法が挙げられ、浸漬塗布法が特に好ましい。
電荷発生層の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは0.05~5μmであり、より好ましくは0.1~1μmである。
電荷発生層の膜厚が0.05μm未満では、光吸収の効率が低下し、感光体の感度が低下することがある。一方、電荷発生層の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷移動が積層型感光層表面の電荷を消去する過程の律速段階となり感光体の感度が低下することがある。
<電荷輸送層16>
電荷輸送層16は、電荷発生物質で発生した電荷を受入れて感光体の表面まで輸送する機能を有し、電荷輸送物質およびバインダ樹脂、光吸収剤、シリカフィラー、必要に応じて添加剤を含有する。
本発明の感光体では、光吸収剤は、電荷輸送層および表面保護層の双方またはいずれか一方の層に含有することが必須要件であり、感光体が光吸収剤を含有しない表面保護層を有する場合には、光吸収剤は電荷輸送層の必須成分になり、一方、感光体が光吸収剤を含有する表面保護層を有する場合には、光吸収剤は電荷輸送層の任意成分になる。
また、本発明の感光体では、シリカフィラーは、感光体の最表面層に含有することが必須要件であり、感光体がシリカフィラーを含有する表面保護層を有する場合には、シリカフィラーは電荷輸送層の任意成分になり、一方、感光体が表面保護層を有さない場合には、シリカフィラーは電荷輸送層の必須成分になる。
電荷輸送物質としては、当該分野で用いられる化合物を使用できる。
具体的には、カルバゾール誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、ベンジジン誘導体、これらの化合物から誘導される基を主鎖または側鎖に有するポリマー(ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリ-1-ビニルピレン、エチルカルバゾール-ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリ-9-ビニルアントラセンなど)、ポリシランなどが挙げられる。これらの電荷輸送物質は1種を単独でまたは2種以上を組み合せて使用することができる。
これらの種々の電荷輸送物質の中でも、電気特性、耐久性および化学的安定性において、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体およびこれらの化合物が複数種結合したものが好ましく、波長300~480nmの範囲に光吸収があり、電荷輸送物質として広範囲に吸収があるためスチルベン誘導体がより好ましく、下記の一般式(I):
Figure 2023054576000006
(式中、R1、R2、R5およびR6は、同一または異なって、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはアラルキル基であり、m、n、pおよびqは、同一または異なって、0~3の整数であり、R3およびR4は、同一または異なって、水素原子またはアルキル基である。)
で表されるスチルベン化合物が,残留電位上昇、感度悪化が少なく、良好な電子写真特性を発現できる点で特に好ましい。
一般式(I)における置換基R1、R2、R5およびR6について説明する。
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなどの炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、tert-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシなどの炭素数が1~6のアルコキシ基が挙げられる。
アリール基としては、例えばフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、フルオレニル、ビフェニリル、o-テルフェニルなどが挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル、トリチルなどが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
置換基R1、R2、R5およびR6の指数を示すm、n、pおよびqは、同一または異なって、0~3の整数であり、この指数が2以上のとき、各置換基は互いに異なっていてもよい。
また、一般式(I)における置換基R3およびR4のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルなどの炭素数1~3のアルキル基が挙げられる。
一般式(I)で表されるスチルベン化合物は、例えば、特許第3272257号公報に記載の方法により合成することができる。
一般式(I)で表されるスチルベン化合物としては、例えば、下記の化合物(1)~(3)が挙げられ、積層型感光層にした時の耐刷性の点で化合物(1)が特に好ましい。
Figure 2023054576000007
電荷輸送層の形成方法としては、バインダ樹脂を溶剤中に混合して得られるバインダ樹脂溶液中に、電荷輸送物質を従来公知の方法によって分散させ、電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に塗布する方法が好ましい。以下、この方法について説明する。
バインダ樹脂としては、特に限定されず、当該技術分野で用いられる結着性を有する樹脂を使用することができ、電荷輸送物質との相溶性に優れるものが好ましい。
具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル重合体樹脂およびそれらの共重合体樹脂、ならびにポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、ポリフェニレンオキサイドなどの樹脂、これらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂などが挙げられる。これらのバインダ樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレートおよびポリフェニレンオキサイドは、体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れ、かつ成膜性、電位特性などにも優れるので好ましく、ポリカーボネートおよびポリアリレートがより好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。
溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびモノクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタンおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびジメトキシメチルエーテルなどのエーテル類;、並びに、N,N-ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。また、必要に応じてアルコール類、アセトニトリルまたはメチルエチルケトンなどの溶剤をさらに加えて使用することもできる。これらの溶剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、例えば、非ハロゲン系有機溶剤を好適に用いることができる。
電荷輸送物質の質量Gとバインダ樹脂の質量Hとの比率(G/H)としては、例えば、10/12~10/30程度が好ましい。
電荷輸送層の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは20~40μm、より好ましくは25~40μm程度である。
電荷輸送層の膜厚が20μm未満であると、耐光性への効果が十分に得られないことがある。一方、電荷輸送層の膜厚が40μmを超えると、電気特性が悪化することがある。
<表面保護層(図1には図示せず)>
本発明の感光体1は、感光層14上に表面保護層を有していてもよい。
表面保護層は、感光体の耐久性を向上させる機能を有し、バインダ樹脂、光吸収剤、シリカフィラー、必要に応じて添加剤を含有する。
本発明の感光体では、光吸収剤は、電荷輸送層および表面保護層の双方またはいずれか一方の層に含有することが必須要件であり、感光体が光吸収剤を含有しない電荷輸送層を有する場合には、光吸収剤は表面保護層の必須成分になり、一方、感光体が光吸収剤を含有する電荷輸送層を有する場合には、光吸収剤は表面保護層の任意成分になる。
また、本発明の感光体では、シリカフィラーは、感光体の最表面層に含有することが必須要件であり、感光体が表面保護層を有する場合には、シリカフィラーは表面保護層の必須成分になる。
また、保護層は、電気特性安定化のために、電荷輸送層と同一の1種または2種以上の電荷輸送物質を含有してもよい。
バインダ樹脂としては、電荷輸送層に例示のバインダ樹脂が挙げられ、これらの中でも、摩耗特性、電気的特性を考慮した場合、ポリカーボネート、ポリアリレートが特に好ましい。
光吸収剤およびシリカフィラーについては、電荷輸送層に準ずる。
保護層の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは3~7μm、より好ましくは4~6μm程度である。
保護層の膜厚が3μm未満では、耐久性および耐光性への効果が十分に得られないことがある。一方、保護層の膜厚が7μmを超えると、電気特性が悪化することがある。
(2)プロセスカートリッジ
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の感光体と、前記感光体を帯電させる帯電手段、露光により形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段および前記電子写真感光体に残留するトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも1種とを備えることを特徴とする。
例えば、本発明のプロセスカートリッジは、本発明の感光体、帯電装置、現像装置およびクリーニング装置が支持部材に一体化されることで構成される。このようなプロセスカートリッジが画像形成装置100に組み込まれることにより、プロセスカートリッジの構成要素である各部が画像形成装置100に備えられることになる。
プロセスカートリッジが画像形成装置100に脱着可能であることにより、消耗時の交換が容易になる。
(3)画像形成装置100
本発明の画像形成装置は、本発明の感光体と、感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する(可視像化する)現像手段と、現像によって形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、転写されたトナー像を記録媒体上に定着して画像を形成する定着手段と、感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段と、感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段を少なくとも備えたことを特徴とする。
以下、図面に基づいて本発明の画像形成装置およびその動作について説明するが、以下の記載内容に限定されるものではない。
図2は、本発明の画像形成装置100の要部の構成を示す模式側面図である。
図2の画像形成装置(レーザプリンタ)100は、本発明の感光体1(図1の図番1に相当)と、露光手段(半導体レーザ)31と、帯電手段(帯電器)32と、現像手段(現像器)33と、転写手段(転写帯電器)34と、搬送ベルト(図示せず)と、定着手段(定着器)35と、クリーニング手段(クリーナ)36とを含んで構成される。符号51は記録媒体(記録紙または転写紙)を示す。
感光体1は、画像形成装置100本体に回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって回転軸線44回りに矢符41方向に回転駆動される。駆動手段は、例えば電動機と減速歯車とを含んで構成され、その駆動力を感光体1の芯体を構成する導電性支持体に伝えることによって、感光体1を所定の周速度で回転駆動させる。帯電手段(帯電器)32、露光手段31、現像手段(現像器)33、転写手段(転写帯電器)34およびクリーニング手段(クリーナ)36は、この順序で、感光体1の外周面に沿って、矢符41で示される感光体1の回転方向上流側から下流側に向って設けられる。
帯電器32は、感光体1の外周面(図2の感光体F01に相当)を均一に所定の電位に帯電させる帯電手段である。帯電手段としては、例えば、帯電チャージャーによるコロナ帯電方式のような非接触帯電方式、および例えば、帯電ローラもしくは帯電ブラシによる接触帯電方式が挙げられる。
露光手段31は、半導体レーザを光源として備え、光源から出力されるレーザビーム光を、帯電器32と現像器33との間の感光体1の表面に照射することによって、帯電された感光体1の外周面に対して画像情報に応じた露光を施す。光は、主走査方向である感光体1の回転軸線44の延びる方向に繰返し走査され、これらが結像して感光体1の表面に静電潜像が順次形成される。すなわち、帯電器32により均一に帯電された感光体1の帯電量がレーザビームの照射および非照射によって差異が生じて静電潜像が形成される。
現像器33は、露光によって感光体1の表面に形成される静電潜像を、現像剤(トナー)によって現像する現像手段であり、感光体1を臨んで設けられ、感光体1の外周面にトナーを供給する現像ローラ33aと、現像ローラ33aを感光体1の回転軸線44と平行な回転軸線まわりに回転可能に支持すると共にその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング33bとを備える。
転写帯電器34は、現像によって感光体1の外周面に形成される可視像であるトナー像を、図示しない搬送手段によって矢符42方向から感光体1と転写帯電器34との間に供給される記録媒体である転写紙51上に転写させる転写手段である。転写帯電器34は、例えば、帯電手段を備え、転写紙51にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー像を転写紙51上に転写させる接触式の転写手段である。
クリーナ36は、転写帯電器34による転写動作後に感光体1の外周面に残留するトナーを除去し回収する清掃手段であり、感光体1の外周面に残留するトナーを剥離させるクリーニングブレード36aと、クリーニングブレード36aによって剥離されたトナーを収容する回収用ケーシング36bとを備える。また、このクリーナ36は、図示しない除電ランプと共に設けられる。
また、画像形成装置100には、感光体1と転写帯電器34との間を通過した転写紙51が搬送される下流側に、転写された画像を定着させる定着手段である定着器35が設けられる。定着器35は、図示しない加熱手段を有する加熱ローラ35aと、加熱ローラ35aに対向して設けられ、加熱ローラ35aに押圧されて当接部を形成する加圧ローラ35bとを備える。
符号37は、転写紙と感光体を分離する分離手段、符号38は、画像形成装置の前記の各手段を収容するハウジングを示す。
この画像形成装置100による画像形成動作は、次のようにして行われる。
まず、感光体1が駆動手段によって矢符41方向に回転駆動されると、露光手段31による光の結像点よりも感光体1の回転方向上流側に設けられる帯電器32によって、感光体1の表面が正の所定電位に均一に帯電される。
次いで、露光手段32から、感光体1の表面に対して画像情報に応じた光が照射される。感光体1は、この露光によって、光が照射された部分の表面電荷が除去され、光が照射された部分の表面電位と光が照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、静電潜像が形成される。
露光手段33による光の結像点よりも感光体1の回転方向下流側に設けられる現像器33から、静電潜像の形成された感光体1の表面にトナーが供給されて静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
感光体1に対する露光と同期して、感光体1と転写帯電器34との間に、転写紙51が供給される。転写帯電器34によって、供給された転写紙51にトナーと逆極性の電荷が与えられ、感光体1の表面に形成されたトナー像が、転写紙51上に転写される。
トナー像の転写された転写紙51は、搬送手段によって定着器35に搬送され、定着器35の加熱ローラ35aと加圧ローラ35bとの当接部を通過する際に加熱および加圧され、トナー像が転写紙51に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された転写紙51は、搬送手段によって画像形成装置100の外部へ排紙される。
一方、転写帯電器34によるトナー像の転写後も感光体1の表面上に残留するトナーは、クリーナ36によって感光体1の表面から剥離されて回収される。このようにしてトナーが除去された感光体1の表面の電荷は、除電ランプからの光によって除去され、感光体1の表面上の静電潜像が消失する。その後、感光体1はさらに回転駆動され、再度帯電から始まる一連の動作が繰返されて連続的に画像が形成される。
上記の画像形成装置100は、モノクロの画像形成装置(プリンタ)であるが、例えば、カラー画像を形成できる中間転写方式のカラー画像形成装置であってもよい。具体的には、トナー像がそれぞれ形成される複数の電子写真感光体を所定方向(例えば水平方向Hまたは略水平方向H)に並設した構成、所謂タンデム式のフルカラー画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置100は、他のカラー画像形成装置、複写機、複合機またはファクシミリ装置であってもよい。
以下に、図面に基づき実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
(下引き層の形成)
酸化チタン(石原産業株式会社製、製品名:タイベークTTO-D-1)3質量部および共重合ポリアミド(ナイロン)(東レ株式会社製、製品名:アミラン(登録商標)、グレード:CM8000)2質量部を、メチルアルコール25質量部に加え、ペイントシェーカにて8時間分散処理して下引き層用塗布液3リットルを調製した。
得られた下引き層用塗布液を塗布槽に満たし、導電性支持体11として直径30mm、長さ255mmのアルミニウム製のドラム状支持体を浸漬した後に引き上げ、得られた塗膜を自然乾燥させて、導電性支持体11上に膜厚1μmの下引き層18を形成した。
(電荷発生層の形成)
予め、電荷発生物質として使用する、下記構造式で表されるチタニルフタロシアニンを調製した。
Figure 2023054576000008
ジイミノイソインドリン29.2gおよびスルホラン200mlを混合し、さらにチタニウムテトライソプロポキシド17.0gを加え、窒素雰囲気下、140℃で2時間反応させた。得られた反応混合物を放冷した後、析出物を濾取し、クロロホルムおよび2%の塩酸水溶液で順次洗浄し、さらに水およびメタノールで順次洗浄し、乾燥させて青紫色の結晶物25.5gを得た。
得られた化合物の化学分析の結果、上記構造式で表されるチタニルフタロシアニンであることを確認した(収率88.5%)。
得られたチタニルフタロシアニン1質量部およびブチラール樹脂(積水化学株式会社製、製品名:エスレックBM-2)1質量部を、メチルエチルケトン98質量部に加え、ペイントシェーカにて2時間分散処理して電荷発生層用塗布液3リットルを調製した。
得られた電荷発生層用塗布液を、下引き層形成の場合と同様の浸漬法で、下引き層18上に塗布し、得られた塗膜を自然乾燥させて、膜厚0.3μmの電荷発生層15を形成した。
(電荷輸送層の形成)
次いで、シリカ粒子(数平均一次粒径16nm、ジメチルジクロロシラン表面処理、日本アエロジル株式会社製、製品名:AEROSIL(登録商標)R972)70.0gをテトラヒドロフラン390gに加えて懸濁混合し、さらに直径2mmのガラスビーズ(162g、混合液の20体積%程度)を加え、ボールミルにて15時間撹拌処理し、その後ガラスビーズを取り除いた。得られたシリカフィラー懸濁液を、自転・公転方式ミキサー(シンキー株式会社製、あわとり練太郎 大気圧タイプ、型式:ARE-310)を用いて10分間、脱泡処理した。
次いで、得られたシリカフィラー懸濁液に、電荷輸送物質としてスチルベン化合物(1)250g、ポリカーボネート(帝人化成株式会社製、製品名:TS2050)375g、光吸収剤としてペリミジン化合物(A)(C.I.Solvent Red179、AmericanDyestuff製 製品名:Amesolve RedA)1.75g、テトラヒドロフラン2400gを加えてボールミルにて30時間、撹拌処理した。得られた混合液を、粒子分散装置(マイクロフルイディックス社製、型式:マイクロフルイダイザーM110P)を用いて6Pass分散処理した。得られた混合液を温度20℃の条件下で1週間静置し、電荷輸送層用塗布液3207gを調製した。
得られた電荷輸送層用塗布液を、下引き層形成の場合と同様の浸漬法で、電荷発生層15上に塗布し、得られた塗膜を温度120℃で1時間乾燥させて、膜厚30μmの電荷輸送層を形成し、図1に示す感光体1を得た。
電荷輸送物質には、特許第3272257号公報に記載の方法に基づいて予め調製しておいたスチルベン化合物化合物(1)を使用した。
(実施例2)
電荷輸送層用塗布液の調製において、シリカ粒子(数平均一次粒径16nm、ジメチルジクロロシラン表面処理、日本アエロジル株式会社製、製品名:AEROSIL(登録商標)R972)の代わりに、シリカ粒子(数平均一次粒径16nm、ジメチルジクロロシラン表面処理、日本アエロジル株式会社製、製品名:AEROSIL(登録商標)アドマファインNX-130)を用いること以外は、実施例1と同様にして実施例2の感光体1を作製した。
(実施例3)
電荷輸送層の形成において、塗布時間を調整して、電荷輸送層の膜厚30μmを28μmにすること以外は、実施例1と同様にして、実施例3の感光体1を作製した。
(実施例4)
電荷輸送層用塗布液の調製において、光吸収剤としてペリミジン化合物(A)の代わりに、アゾキノン化合物(B)(保土谷化学工業株式会社製、製品名:EAC-39)を用いること以外は、実施例1と同様にして実施例4の感光体1を作製した。
(実施例5)
電荷輸送層用塗布液の調製において、シリカ粒子(数平均一次粒径16nm、ジメチルジクロロシラン表面処理、日本アエロジル株式会社製、製品名:AEROSIL(登録商標)R972)の代わりに、シリカ粒子(数平均一次粒径40nm、ヘキサメチルジシラザン表面処理、日本アエロジル株式会社製、製品名:AEROSIL(登録商標)RX50)を用いること以外は、実施例1と同様にして実施例5の感光体1を作製した。
(実施例6)
電荷輸送層用塗布液のシリカフィラー懸濁液の調製において、シリカ粒子70.0gおよびテトラヒドロフラン390gをそれぞれ40.0gおよび220gに変更すること、電荷輸送層用塗布液の調製において、ペリミジン化合物(A)1.75gおよびテトラヒドロフラン2400gをそれぞれ1.70gおよび2450gに変更すること以外は、実施例1と同様にして実施例6の感光体1を作製した。
(実施例7)
電荷輸送層用塗布液のシリカフィラー懸濁液の調製において、シリカ粒子70.0gおよびテトラヒドロフラン390gをそれぞれ47.0gおよび260gに変更すること、電荷輸送層用塗布液の調製において、ペリミジン化合物(A)1.75gおよびテトラヒドロフラン2400gをそれぞれ1.70gおよび2435gに変更すること以外は、実施例1と同様にして実施例7の感光体1を作製した。
(実施例8)
電荷輸送層用塗布液のシリカフィラー懸濁液の調製において、シリカ粒子70.0gおよびテトラヒドロフラン390gをそれぞれ138gおよび765gに変更すること、電荷輸送層用塗布液の調製において、ペリミジン化合物(A)1.75gおよびテトラヒドロフラン2400gをそれぞれ1.90gおよび2295gに変更すること以外は、実施例1と同様にして実施例8の感光体1を作製した。
(実施例9)
電荷輸送層用塗布液のシリカフィラー懸濁液の調製において、シリカ粒子70.0gおよびテトラヒドロフラン390gをそれぞれ147gおよび815gに変更すること、電荷輸送層用塗布液の調製において、ペリミジン化合物(A)1.75gおよびテトラヒドロフラン2400gをそれぞれ1.90gおよび2280gに変更すること以外は、実施例1と同様にして実施例9の感光体1を作製した。
(実施例10~13)
電荷輸送層の形成において、塗布時間を調整して、電荷輸送層の膜厚30μmをそれぞれ18μm、20μm、40μmおよび42μmにすること以外は、実施例1と同様にして、実施例10~13の感光体1を作製した。
(比較例1)
電荷輸送層用塗布液の調製において、光吸収剤としてペリミジン化合物(A)を用いないこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の感光体1を作製した。
(比較例2)
電荷輸送層用塗布液の調製において、光吸収剤としてペリミジン化合物(A)1.75gおよびテトラヒドロフラン2400gをそれぞれ1.55gおよび2500gに変更すること以外は、実施例1と同様にして比較例2の感光体1を作製した。
(比較例3)
電荷輸送層用塗布液のシリカフィラー懸濁液の調製において、シリカ粒子70.0gおよびテトラヒドロフラン390gをそれぞれ111gおよび615gに変更すること、電荷輸送層用塗布液の調製において、ペリミジン化合物(A)1.75gおよびテトラヒドロフラン2400gをそれぞれ3.70gおよび2350gに変更すること以外は、実施例1と同様にして比較例3の感光体1を作製した。
(比較例4)
電荷輸送層用塗布液のシリカフィラー懸濁液の調製において、シリカ粒子70.0gおよびテトラヒドロフラン390gをそれぞれ157gおよび875gに変更すること、電荷輸送層用塗布液の調製において、ペリミジン化合物(A)1.75gおよびテトラヒドロフラン2400gをそれぞれ4.35gおよび2270gに変更すること以外は、実施例1と同様にして比較例4の感光体1を作製した。
実施例1~13および比較例1~4の感光体1について、電荷輸送層の主要構成材料とその含有量ならびに膜厚を表1に示す。
[評価]
下記の項目で実施例1~13および比較例1~4で作製した感光体1を評価した。
評価2および3では、試験用に改造したデジタル複写機(シャープ株式会社製、型式:MX-B455W)のユニットに各感光体1を装着して評価した。
[評価1:透過率]
紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製、型式:UV-2450)を用いて、温度20℃、相対湿度50%の環境中で、各感光体1の最表面層である電荷輸送層の波長550nmおよび600nmの光に対する透過率T550(%)およびT600(%)を測定し、その比率T600/T550を算出した。
[評価2:電気特性(感度)]
デジタル複写機から現像器を取り外し、代わりに現像部位に表面電位計(トレック・ジャパン社製、型式:model344)を装着し、温度25℃、相対湿度50%の環境中で、通紙の実写エージングを5000枚行い、エージング直後の除電後の感光体表面の残留電位Vr(-V)を測定した。
得られた結果を、下記の基準で評価した。
<評価基準>
VG:Vr<40
高感度を要求される高速の複合機もしくはプリンタにおいても問題なく使用可
G :40≦Vr<60
中低速の複合機もしくはプリンタにおいては問題なく使用可
NB:60≦Vr<100
低速で安価な複合機もしくはプリンタの場合であれば、やや濃度は薄いものの 問題なく使用可
B :100≦Vr
感度が悪いため、濃度が薄く、実使用上問題あり
[評価3:光暴露]
感光体表面の一部分以外を黒紙でマスクし、マスクしていない部分に、照度400Luxに調整した白色蛍光灯の光を5分間照射し、その後、5分間放置し、A4用紙にハーフトーン画像を1枚出力し、得られた画像を目視観察した。
得られた結果を、下記の基準で評価した。
<評価基準>
VG:照射部分と非照射部分に差なし
G :照射部分と非照射部分に僅かに差が見られるが、大差なし
NB:照射部分と非照射部分に若干の差が見られる(実使用では問題なし)
B :照射部分と非照射部分に大きな差が見られる(実使用上問題あり)
[総合評価]
評価2および3の評価結果に基づいて、下記の基準で総合評価した。
なお、総合評価においてVG、GおよびNBでは、評価1の波長600nmの光に対する透過率T600(%)が50%以上であり、かつ波長550nmの光に対する透過率T550(%)との比率T600/T550が1.10以上2.20以であることは必須要件とする。
VG:全ての項目でVG判定(非常に良好)
G :いずれかの項目でG判定を含むものの、全ての項目でG判定以上
(高画質な複合機もしくはプリンタ以外の場合であれば問題なく使用可)
NB:いずれかの項目でNB判定を含むものの、全ての項目でNB判定以上
(安価な複合機もしくはプリンタの場合であれば問題なく使用可)
B :いずれかの項目にB判定があり、実使用不可
得られた評価結果を表2に示す。
Figure 2023054576000009
Figure 2023054576000010
表1および表2から次のことがわかる。
(1)電荷輸送層に光吸収剤およびシリカフィラーを合わせて含有する感光体(実施例1~13)は、電荷輸送層に光吸収剤を含有していない感光体(比較例1)、電荷輸送層にシリカフィラーを含有していない感光体(比較例2)に比べて、良好な電気特性でかつ外部光による光暴露耐性に優れた特性であること
(2)電荷輸送層において、波長600nmの光に対する透過率が50%以上で、かつ波長600nmの光に対する透過率T600と波長550nmの光に対する透過率T550との比率T600/T550が1.10以上2.20以下である感光体(実施例1~13)は、T600が50%未満、または比率T600/T550が2.20未満である感光体に比べて、良好な電気特性でかつ外部光による光暴露耐性に優れた特性であること
(3)波長600nmの光に対する透過率T600は、実施例2および3の結果から60%以上が好ましいこと、実施例1の結果から70%以上が好ましいこと
(4)最表面層(電荷輸送層)に含有するシリカフィラーの平均一次粒子径は、実施例5の結果から、30nm以下が好ましく、30nm以上になる残留電位が大きくなる傾向にあり、電気特性が悪化すること
(5))最表面層(電荷輸送層)に含有するシリカフィラーの含有量は、実施例6~9の結果から、7~18質量%が好ましく、7質量%未満では、耐光性への効果が十分ではなく、18質量%を超えると、電気特性が悪化すること
(6)最表面層(電荷輸送層)の膜厚は、実施例10~13の結果から、20μm~40μmが好ましく。膜厚が20μm未満では、耐光性への効果が十分ではなく、40μm超えると、電気特性が悪化すること
1 電子写真感光体(積層型電子写真感光体)
11 導電性支持体
12 電荷発生物質
13 電荷輸送物質
14 感光層(積層型感光層)
15 電荷発生層
16 電荷輸送層
17 バインダ樹脂
18 下引き層
19 シリカフィラー
20 光吸収剤
31 露光手段(半導体レーザ)
32 帯電手段(帯電器)
33 現像手段(現像器)
33a 現像ローラ
33b ケーシング
34 転写手段(転写帯電器)
35 定着手段(定着器)
35a 加熱ローラ
35b 加圧ローラ
36 クリーニング手段(クリーナ)
36a クリーニングブレード
36b 回収用ケーシング
37 分離手段
38 ハウジング
41、42 矢符
44 回転軸線
51 記録媒体(記録紙または転写紙)
100 画像形成装置(レーザプリンタ)

Claims (9)

  1. 導電性支持体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層を少なくとも備えるか、または該積層型感光層およびその上に積層された表面保護層を少なくとも備えた電子写真感光体であり、
    前記電荷輸送層および前記表面保護層の双方またはいずれか一方の層が、光吸収剤を含有し、
    前記電子写真感光体の最表面層が、シリカフィラーを含有し、波長600nmの光に対して50%以上の透過率を有し、かつ波長600nmの光に対する透過率T600と波長550nmの光に対する透過率T550との比率T600/T550が1.10以上2.20以下である
    ことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記比率T600/T550が、1.10以上1.50以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記光吸収剤が、波長400~700nmに分光吸収を有する化合物である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記光吸収剤が、下記構造式(A):
    Figure 2023054576000011
    で表されるペリミジン化合物、下記構造式(B):
    Figure 2023054576000012
    で表されるアゾキノン化合物および下記構造式(C):
    Figure 2023054576000013
    で表されるピラゾロン化合物から選択される請求項1~3のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  5. 前記シリカフィラーが、30nm以下の平均一次粒子径を有する請求項1~4のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  6. 前記シリカフィラーが、前記電子写真感光体の最表面層の全固形分に対して7~18質量%の割合で含まれる請求項1~5のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  7. 前記電荷輸送層が、20μm以上40μm以下の膜厚を有する請求項1~6のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  8. 請求項1~7のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段、露光により形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段および前記電子写真感光体に残留するトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも1種とを備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  9. 請求項1~7のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像によって形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録媒体上に定着して画像を形成する定着手段と、前記電子写真感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段と、前記電子写真感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段を少なくとも備えたことを特徴とする画像形成装置。
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