JP2007079493A - ヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料及びその製造方法、電子写真感光体、電子写真装置並びにプロセスカートリッジ - Google Patents

ヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料及びその製造方法、電子写真感光体、電子写真装置並びにプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】 電子写真感光体の構成材料として使用した場合に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が本来的に有する高い光感度に基づく良好な電子写真特性を付与することができ、結着樹脂中における分散性に優れ、ポジゴースト、かぶりなどの画質欠陥の抑制の点で有効な電荷発生材料及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料は、電子写真感光体の構成材料として使用されるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と電子輸送性顔料との混合顔料であって、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶と電子輸送性顔料と所定の溶剤とを含む混合物を湿式粉砕処理することにより得られ、且つCuKα特性X線を用いたX線回折パターンにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有することを特徴とする。
【選択図】 図6

Description

本発明は、電子写真感光体の構成材料として使用されるヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料及びその製造方法、並びにそのヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を用いた電子写真感光体、電子写真装置及びプロセスカートリッジに関する。
近年、電子写真技術の発展は著しく、レーザ光又はLEDを光源とする電子写真方式の画像形成は、高速・高画質という利点を有することから、複写機及び光プリンタ等の分野において広く利用されている。電子写真装置に用いられる電子写真感光体(以下、場合により単に「感光体」という)としては、従来の無機光導電材料を用いた無機感光体に比べ、安価で製造性及び廃棄性の点で優れた利点を有する有機光導電材料を用いた有機感光体が主流を占める様になってきている。中でも、露光により電荷を発生する電荷発生層と電荷を輸送する電荷輸送層とを積層させた機能分離型の有機感光体は、電子写真特性の点で優れており、種々の提案がなされ、実用化されている。
その中で、近年、光記録用材料および光電変換材料などの電子材料として有用なフタロシアニン化合物が、感光体における電荷発生材料として広範に用いられている。
一般に、フタロシアニン化合物は、その製造方法または処理方法の相違により、幾つかの結晶型に分かれること及びその結晶型が異なるとフタロシアニン化合物の光電変換特性に大きな影響を及ぼすことが知られている。フタロシアニン化合物の結晶型については、例えば、無金属フタロシアニン結晶について見ると、α型、β型、π型、γ型、X型等の結晶型が知られている。さらにまた、ガリウムフタロシアニン結晶に関しても、その結晶型と電子写真特性について多くの報告がなされており、CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを有する極めて高感度のヒドロキシガリウムフタロシアニン及びそれを用いた感光体が、光感度、繰り返し特性及び環境安定性に優れていることが報告されている(例えば、特許文献1、2、非特許文献1を参照)。
一方、上述した電子写真技術の進展に伴い、環境負荷低減のため装置の小型化・省エネルギー化が進められている。例えば、帯電方式は、コロトロン方式に代わり、オゾン発生量が少なく帯電効率の高い接触帯電方式が主流になりつつある。また、装置の小型化のため、除電用のイレーズ装置を設けずに、帯電、露光、現像、転写を行った後、感光体を除電することなく次の帯電を行うイレーズレスの電子写真装置も採用されつつある。
しかし、接触帯電方式をイレーズレスの電子写真装置に採用し、反転現像方式により連続して画像形成を行うと、高い光感度特性を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に特有なフォトメモリー性の影響により、2サイクル目の露光部の感度が非露光部に較べて高くなり、印字する画像として太い文字部やソリッド部とハーフトーンが混在するような画像を出力すると、ハーフトーン画像部に1サイクル目の露光部分が重なった場合には、1サイクル目の露光部分の濃度が高まるためにポジゴーストが発生し易くなる。このポジゴーストの発生は、機能分離型感光体の感度を高めるために電荷発生層の膜厚を厚くした場合に一層顕著となる。また、近年における電子写真装置の小型化とプロセススピードの高速化、さらには小型タンデム方式のフルカラー電子写真装置の高速化要求の高まり等から、上記ポジゴーストによる画質低下は品質上最も重要な課題の一つとなっており、更なる改善が望まれている。
そこで、感光体の感度の向上とポジゴーストの抑制とを両立させるための検討が幾つかなされている。例えば特許文献3には、感光体の電荷発生層にフタロシアニン及び有機電子アクセプターを含有させる技術が開示されている。また、特許文献4にはフタロシアニンの顔料化時に有機電子アクセプターを添加する技術が開示されている。また、特許文献5には、フタロシアニンの顔料化時にn型電荷輸送顔料を添加する技術が開示されている。
特開平5−263007号公報 特開平7−53892号公報 特開平7−104495公報 特開2001−040237公報 特開平5−333575公報 Journal of Imaging Science and Technology,Vol.40,No.3,May/June,249(1996)
しかし、上記特許文献3、4に記載の技術により感光体を作製する場合、塗布液調製時の分散処理時に有機電子アクセプターがフタロシアニン顔料表面から脱離したり、顔料の洗浄時に有機電子アクセプターが溶出してしまう。そのため、この方法で感光体に目的の機能を十分に付与することは必ずしも容易ではなく、得られた感光体をイレーズレスの電子写真装置に適用してもポジゴーストの発生を十分に抑制することができないことが多い。また、このような感光体において、感光体のリーク耐性を高めるために導電性支持体と感光層との間に金属酸化物微粒子を含有する下引層を設けると、ゴーストの発生が顕著となる傾向にある。
また、上記特許文献5に記載の技術の場合、ポジゴーストの抑制の点では有効ではあるが、顔料化工程における粗大粒子の生成や結晶の凝集体の混入により粒子径が不均一となり易く、また、一次粒子径が大きくなり易いという欠点がある。そのため、この方法で得られる顔料を電子写真感光体の構成材料として用いると、感度、帯電性、暗減衰率等の特性のばらつき、あるいは結着樹脂中における分散性の低下などが起こりやすくなり、かぶりや黒点・白点などの画像欠陥が発生するという別の問題が生じてしまう。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子写真感光体の構成材料として使用した場合に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が本来的に有する高い光感度に基づく良好な電子写真特性を付与することができ、結着樹脂中における分散性に優れ、ポジゴースト、かぶりなどの画質欠陥の抑制の点で有効な電荷発生材料及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、当該電荷発生材料を構成材料として使用した電子写真感光体、並びに当該電子写真感光体を備える電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶と電子輸送性顔料と所定の溶剤を含む混合物を、得られる混合顔料が特定のX線回折パターンを示すように湿式粉砕処理することによって、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の結晶型を変換させつつ、得られるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料中に電子輸送性顔料を含有させ、且つ微細化することができることを見出した。そして、そのようにして得られるヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を電子写真感光体の構成材料として用いることによって上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料は、電子写真感光体の構成材料として使用されるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と電子輸送性顔料との混合顔料であって、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶と電子輸送性顔料と所定の溶剤とを含む混合物を湿式粉砕処理することにより得られ、且つCuKα特性X線を用いたX線回折パターンにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有することを特徴とする。
本発明によれば、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶と電子輸送性顔料と所定の溶剤とを含む混合物とを、得られる混合顔料のX線回折パターンが上記条件を満たすように湿式粉砕処理することにより、該ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を高感度な結晶型に変換させつつ、当該ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料中に電子輸送性顔料を取込み、且つ微細化することができる。そのため、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を電子写真感光体の構成材料として用いることで、電子写真感光体に十分な帯電特性、光感度及び低暗減衰性を付与することができ、ポジゴースト、かぶりなどの画質欠陥を十分に防止することが可能となる。
なお、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料により上述の効果が得られる理由は必ずしも明確ではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を電子写真感光体の構成材料として用いた場合、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料とバインダー樹脂との界面において電子輸送性顔料が極めて効果的に作用し、当該界面における電荷(エレクトロン)の注入性が改善され、また、顔料表面に存在する電荷トラップが低減されるものと考えられる。そして、かかる電子輸送性顔料の作用により、一層高水準の光感度、並びに繰返し使用しても鮮明な複写画像を安定的に得るための耐久性を電子写真感光体に付与することができ、また、ヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料のエレクトロン残存性に起因すると考えられるポジゴーストの発生を防止することができるものと考えられる。さらに、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の場合、電子輸送性顔料をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料中に取込む際に微細化しているので、優れた分散性を有している。そのため、ヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を含む塗布液の調製時又は電子写真感光体の製造時に粗大粒子や凝集体の生成を十分に抑制することができ、かぶりや黒点/白点等の画質欠陥を防止することができるものと考えられる。
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料は、600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有することが好ましい。
一般的に、フタロシアニン顔料は、その結晶中の分子配列によってフタロシアニン分子間の相互作用が変化し、結果として分子配列の状態が分光吸収スペクトルに反映されるという性質を有している。そして、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料が810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有する場合、当該混合顔料は感光層中で一層優れた分散性を示し、その結果、感光体の光感度、帯電特性及び暗減衰特性を更に向上させることができるようになり、ゴースト及びかぶり等の画質欠陥の発生を生じることなく更に長期にわたって安定した画質品質を得ることが可能となる。
なお、600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて、通常840〜870nmの範囲にピーク波長を有する従来のV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(CuKα特性X線を用いたX線回折パターンにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料)のように、839nmを超える範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と電子輸送性顔料とを感光層に含有させた場合、暗電流の増大やかぶり等が発生しやすくなる傾向にある。これは、吸収波長が長波長側にシフトしていることから、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は分子間の相互作用が比較的強い状態にあり、結晶中を電荷が流れやすい状態となっているためであると本発明者らは推察する。
また、810nm未満の範囲において最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(810〜839nmの範囲や839nmを超える範囲にピークが存在するが、より吸光度の高いピークが810nm未満の範囲に存在する場合のものを含む)と電子輸送性顔料とを感光層に含有させた場合、感度の低下や残留電位の上昇等が発生しやすくなる傾向にある。これは、吸収波長が短波長側にシフトしていることから、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は分子間の相互作用が比較的弱い状態にあり、結晶中を電荷が流れ難い状態となっているためであると本発明者らは推察する。
したがって、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料が810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有する場合、当該混合顔料を含有する感光層において、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と電子輸送性顔料との分子間の相互作用の程度が電荷の移動に対してより好ましい状態となっていることも上記の効果が得られる要因の一つであると本発明者らは考えている。
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料において、電子輸送性顔料の添加量は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶1質量部に対して0.001〜0.1質量部であるであることが好ましい。電子輸送性顔料の添加量が0.001質量部未満であると、ポジゴースト等の画質欠陥を生じやすくなる傾向にあり、他方、0.1質量部を超えると、ヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の分散性が低下してかぶり等の画質欠陥を生じたり、感光体の帯電特性、光感度、暗減衰特性が低下したりする等の問題が生じる傾向にある
また、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の製造方法は、電子写真感光体の構成材料として使用されるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と電子輸送性顔料との混合顔料を製造する方法であって、得られる混合顔料が、CuKα特性X線を用いたX線回折パターンにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有するように、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶と、電子輸送性顔料と、所定の溶剤を含む混合物を湿式粉砕処理する湿式粉砕処理工程を備えることを特徴とする。
上記製造方法によれば、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶と電子輸送性顔料と所定の溶剤とを含む混合物を、得られる混合顔料のX線回折パターンが上記特定条件を満たすように湿式粉砕処理することにより、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の結晶型を変換させつつ、当該顔料中に電子輸送性顔料を取込み、且つ微細化することができるため、上述した優れた特性を有する本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を有効に得ることが可能となる。
上記製造方法は、湿式粉砕処理工程の前段に、粗ガリウムフタロシアニンをアシッドペースティング処理して、ブラッグ角度(2θ±0.2°)6.9°、13.2〜14.2°、16.5°、26.0°及び26.4°、又は、7.0°、13.4°、16.6°、26.0°及び26.7°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を得るアシッドペースティング処理工程を更に有することが好ましく、該アシッドペースティング処理工程により得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を、前記湿式粉砕処理工程に供することが好ましい。
上記のアシッドペースティング処理工程により得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を上記湿式粉砕処理工程に供することにより、湿式粉砕処理工程での処理時間を短縮することができ、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の製造効率を向上させることができる。
このような効果が得られる理由としては、上記のアシッドペースティング処理工程により得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の結晶構造が、上記湿式粉砕処理工程によって電子写真感光体用の光導電物質として優れた性能を発現する結晶型に変換される上でより好適な構造であることと、上記湿式粉砕処理工程において電子輸送性顔料が存在する場合であっても粗大粒子又は凝集体をより形成しにくい構造であるためと考えられる。
また、本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、該導電性支持体上に設けられており、上記本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を含有する感光層と、を備えることを特徴とする。
本発明の電子写真感光体によれば、上記本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を感光層に含有させることにより、帯電特性、光感度及び低暗減衰特性を十分に改善することができ、かぶりやポジゴースト等の画質欠陥を生じることなく長期にわたって安定した画像品質を得ることが可能となる。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と感光層との間に、金属酸化物微粒子を含有する下引層を更に備えていてもよい。
また、本発明の電子写真感光体は、感光層が電荷発生層及び電荷輸送層を含む多層構造を有し、電荷発生層が上記本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を含有するものであってもよい。
また、本発明の電子写真装置は、上記本発明の電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段と、電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を電子写真感光体から被転写媒体に転写する転写手段と、を備えることを特徴とする。
かかる電子写真装置は、本発明の電子写真感光体を備えることにより、十分な帯電特性、光感度及び低暗減衰特性を達成し、ポジゴースト及びかぶり等の画質欠陥を生じることなく長期にわたって安定した画像品質を得ることが可能なものとなっている。
特に、本発明の画像形成装置は、帯電手段が電子写真感光体に接触するように配置された電圧が印加される帯電部材を有し、帯電、露光、現像、転写を行った後、電子写真感光体を除電することなく次の帯電を行うイレーズレス電子写真装置である場合に、ポジゴーストの発生を防止するのに有効である。
また、本発明のプロセスカートリッジは、上記本発明の電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させる帯電手段、電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段、及び電子写真感光体上に残存したトナーを除去するクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1種と、を備えることを特徴とする。
かかるプロセスカートリッジは、本発明の電子写真感光体を備えることにより、十分な帯電特性、光感度及び低暗減衰特性を達成し、ポジゴースト及びかぶり等の画質欠陥を生じることなく長期にわたって安定した画像品質を得ることが可能なものとなっている。
本発明によれば、電子写真感光体の構成材料として用いた場合に、電子写真感光体に十分な帯電特性、光感度及び低暗減衰性を付与することができ、ポジゴースト及びかぶり等の画質欠陥の防止に有効なヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料及びその製造方法が提供可能となる。また、本発明によれば、十分な帯電特性、光感度及び低暗減衰特性を有し、ポジゴースト及びかぶり等の画質欠陥を生じることなく長期にわたって安定した画像品質を得ることが可能な電子写真感光体、並びにその電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジ及び電子写真装置が提供可能となる。
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
(ヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料及びその製造方法)
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と電子輸送性顔料との混合顔料であって、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶と電子輸送性顔料と所定の溶剤とを含む混合物を湿式粉砕処理することにより得られ、且つCuKα特性X線を用いたX線回折パターンにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有する。
また、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の製造方法は、得られる混合顔料が、CuKα特性X線を用いたX線回折パターンにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有するように、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶と、電子輸送性顔料と、所定の溶剤を含む混合物を湿式粉砕処理する湿式粉砕処理工程を備える。
本発明で用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、クロロガリウムフタロシアニン、又はガリウムフタロシアニン・ダイマーの粗結晶を、アシッドペースティング処理や粉砕処理等によって微細化したものが好ましく、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)6.9°、13.2〜14.2°、16.5°、26.0°及び26.4°、又は、7.0°、13.4°、16.6°、26.0°及び26.7°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(以下、「I型ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶」という)を用いることが好ましい。I型ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、従来公知の方法によって得ることができる。以下にその一例を示す。
先ず、o−フタロジニトリルまたは1,3−ジイミノイソインドリンと三塩化ガリウムとを所定の溶媒中で反応させる方法(I型クロロガリウムフタロシアニン法);o−フタロジニトリル、アルコキシガリウムおよびエチレングリコールを所定の溶媒中で加熱し反応させてフタロシアニン二量体(フタロシアニン・ダイマー)を合成する方法(フタロシアニン・ダイマー法)、等により粗ガリウムフタロシアニンを製造する。上記の反応における溶媒としては、α−クロロナフタレン、β−クロロナフタレン、α−メチルナフタレン、メトキシナフタレン、ジメチルアミノエタノール、ジフェニルエタン、エチレングリコール、ジアルキルエーテル、キノリン、スルホラン、ジクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミドなどの不活性且つ高沸点の溶剤を用いることが好ましい。
次に、上記の工程で得られた粗ガリウムフタロシアニンについてアシッドペースティング処理を行うことによって、粗ガリウムフタロシアニンを微粒子化するとともにI型ヒドロキシガリウムフタロシアニンに変換する。ここで、アシッドペースティング処理とは、具体的には、粗ガリウムフタロシアニンを硫酸などの酸に溶解させたものあるいは硫酸塩などの酸塩としたものを、アルカリ水溶液、水または氷水中に注ぎ、再結晶させることをいう。このアシッドペースティング処理に用いる酸としては硫酸が好ましく、中でも濃度70〜100%(特に好ましくは95〜100%)の硫酸がより好ましい。
また、本発明で用いられる電子輸送性顔料は有機顔料又は無機顔料のいずれであってもよい。
電子輸送性を有する有機顔料としては、例えば、電子輸送性多環キノン系顔料、電子輸送性ペリレン系顔料、電子輸送性フタロシアニン系顔料、電子輸送性アゾ系顔料、電子輸送性インジゴ顔料、電子輸送性キナクリドン顔料などが挙げられる。これらの中でも、電子輸送性多環キノン系顔料、電子輸送性ペリレン系顔料、電子輸送性フタロシアニン系顔料及び電子輸送性アゾ系顔料が好ましい。
電子輸送性多環キノン系顔料としては、例えば、臭素化アントアントロン等の多環キノン系顔料などが挙げられる。電子輸送性多環キノン系顔料の具体例を下記表1に示す。
Figure 2007079493
また、電子輸送性ペリレン系顔料としては、例えば、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料などが挙げられる。電子輸送性ペリレン系顔料の具体例を下記表2及び表3に示す。
Figure 2007079493
Figure 2007079493
Figure 2007079493
また、電子輸送性フタロシアニン系顔料としては、例えば、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するフタロシアニン顔料などが挙げられる。電子輸送性フタロシアニン系顔料の具体例を下記表5に示す。
Figure 2007079493
また、電子輸送性アゾ系顔料としては、例えば、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料などが挙げられる。電子輸送性アゾ系顔料の具体例を下記表6〜11に示す。
Figure 2007079493
Figure 2007079493
Figure 2007079493
Figure 2007079493
Figure 2007079493
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一方、前記電子輸送性を有する無機顔料としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタンなどが挙げられる。
本発明においては、これらの電子輸送性顔料のうちの1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。また、電子輸送性顔料は、適宜合成したものであってもよく、あるいは市販品であってもよい。
本発明においては、上記の電子輸送性顔料の中でも、電子移動性が高い点で、電子輸送性多環キノン顔料、電子輸送性ペリレン系顔料、電子輸送性フタロシアニン系顔料、電子輸送性アゾ系顔料を用いることが好ましい。
湿式粉砕処理における電子輸送性顔料の添加量は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶1質量部に対して0.001〜0.1質量部であるであることが好ましい。電子輸送性顔料の添加量が0.001質量部未満であると、ポジゴースト等の画質欠陥を生じやすくなる傾向にあり、他方、0.1質量部を超えると、ヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の分散性が低下してかぶり等の画質欠陥を生じたり、感光体の帯電特性、光感度、暗減衰特性が低下したりする等の問題が生じる傾向にある
本発明にかかる湿式粉砕処理工程においては、得られる混合顔料が、CuKα特性X線を用いたX線回折パターンにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有するように、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶と、電子輸送性顔料と、所定の溶剤を含む混合物を湿式粉砕処理する。
湿式粉砕処理に使用される溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−アミルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルiso−ブチルケトンなどのケトン類;ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの溶剤の使用量は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料1質量部に対して、1〜200質量部であることが好ましく、1〜100質量部であることがより好ましく、5〜50質量部であることが更に好ましく、10〜30質量部であることが特に好ましい。
湿式粉砕処理に用いられる装置としては、振動ミル、自動乳鉢、サンドミル、ダイノーミル、コボールミル、アトライター、遊星ボールミル、ボールミルなどのメデイアを分散媒体として使用する装置を用いることができる。
使用されるメディアは球形メディアであることが好ましく、その外径は0.1〜3.0mmが好ましく、0.2〜2.5mmがより好ましい。メディアの外形が3.0mmより大きい場合、粉砕効率が低下するため粒子径が小さくならずに凝集体が生成し易い傾向にある。また、メディアの外径が0.1mmより小さい場合、メディアとヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料とを分離し難くなる傾向にある。更に、メディアが球形状でなく、円柱状や不定形状等、他の形状の場合、粉砕効率が低下するとともに、粉砕によってメディアが磨耗し易く、磨耗粉が不純物となりヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の特性を劣化させ易くなる傾向がある。
また、メディアの材質は特に制限されないが、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料中に混入した場合にも画質欠陥を発生し難いものが好ましく、ガラス、ジルコニア、アルミナ、メノー等が好ましい。
上記メディアの使用量は、使用する装置によっても異なるが、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料1質量部に対して50質量部以上であることが好ましく、55〜100質量部であることがより好ましい。また、メディアの外径が小さくなると、同じ質量(使用量)でも装置内に占めるメディア密度が高まり、混合溶液の粘度が上昇して粉砕効率が変化するため、メディア外径を小さくするに従い、適宜メディア使用量と溶剤使用量とをコントロールすることによって最適な混合比で湿式処理を行うことが望ましい。
また、湿式粉砕処理装置の容器(被処理物である混合物及びメディアが収容される容器)の材質についても特に制限されないが、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料中に混入した場合にも画質欠陥を発生し難いものが好ましく、ガラス、ジルコニア、アルミナ、メノー、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド等が好ましい。また、鉄、ステンレスなどの金属容器の内面にガラス、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド等をライニングしたものであっても良い。
湿式粉砕処理工程における処理時間、処理温度などの条件は、得られる混合顔料がCuKα特性X線を用いたX線回折パターンにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有する限り特に制限されないが、処理時間は、通常5〜500時間の範囲、好ましくは7〜300時間の範囲である。処理時間が5時間未満であると、結晶変換が完結せず、電子写真特性の低下、特に感度不足が生じやすくなる傾向にある。また、処理時間が500時間を超えると、粉砕ストレスの影響による感度低下、生産性低下、メディアの摩滅粉の混入などが生じやすくなる傾向にある。
また、湿式粉砕処理の温度は、好ましくは0〜100℃であり、より好ましくは5〜80℃であり、特に好ましくは10〜50℃である。温度が低い場合には、結晶転移の速度が遅くなる傾向にあり、また、温度が高すぎる場合には、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の溶解性が高くなり結晶成長しやすく微粒化が困難となる傾向にある。
なお、処理時間については、湿式粉砕処理開始から所定時間経過後の被処理物について分光吸収スペクトルを測定することで、処理の進行度合いをモニターすることができる。より具体的には、被処理物について測定された600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有するものとなるまで湿式粉砕処理を継続する。これにより、混合顔料粒子が均一に微粒子化した状態で湿式粉砕処理を完了することが可能となる。更に、複数ロットの繰り返し湿式粉砕処理を実施する場合には、ロット間の品質のばらつきを抑制することが可能となる。
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の製造方法においては、前記湿式粉砕処理後、更に溶剤による洗浄及び/又は加熱乾燥を行うことが好ましい。このような、溶剤による洗浄や加熱乾燥によって、ヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の不純物濃度をコントロールすることができる。
溶剤による洗浄処理により不純物濃度をコントロールする場合、使用する溶剤としては、例えば、水、エタノール、メタノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶剤、及びこれらの混合溶剤等、並びに二酸化炭素や窒素等の超臨界流体等が挙げられる。また、洗浄方法としては、公知の方法を特に制限なく使用することができるが、洗浄効率の観点から、セラミックフィルター、超音波洗浄器、ソックスレー抽出器、又は流路径が10〜1000μmのマイクロミキサー等を使用する洗浄方法が効果的である。
また、加熱乾燥により不純物濃度をコントロールする場合、加熱乾燥の温度としては、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは100〜180℃である。加熱温度が50℃未満であると、ヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の諸特性に影響を及ぼす不純物を完全に除去することが困難となる傾向にあり、200℃を越えると、ヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の感度が著しく低下する傾向にある。また、加熱乾燥の処理時間は、処理するヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の重量に応じて適宜調節することが好ましい。
加熱乾燥によりヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の不純物を効率良く除去するためには、ヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の加熱乾燥を減圧下で行うことが好ましい。減圧下で加熱乾燥を行う場合には、加熱乾燥の温度を常圧下で行う場合よりも低温にすることができるという利点がある。このときの加熱乾燥の温度は、減圧の程度にもよるが、50℃〜200℃の範囲であることが好ましい。
また、加熱乾燥は不活性気体の存在下で行うことが好ましい。不活性気体としては、周期律表第0族のヘリウム、ネオン、アルゴン等、及び窒素等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を混合して使用することができる。これら不活性気体の存在下で加熱乾燥を行うことにより、空気中の酸素によりヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料が酸化されるのを防止し、高温での加熱乾燥が可能となるという利点がある。また、加熱乾燥は光を遮断した状態で行うことも好ましい。これにより、加熱乾燥の際にヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料が光疲労するのを防止することができる。
(電子写真感光体)
図1(a)は、本発明の電子写真感光体の第一実施形態を示す模式断面図である。図1(a)に示す電子写真感光体100は、電荷発生材料を含有する層(電荷発生層1)と電荷輸送材料を含有する層(電荷輸送層2)とに機能が分離された積層型感光層6を備えるものであり、導電性支持体3上に電荷発生層1、電荷輸送層2が順次積層された構造を有している。そして、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料は、電荷発生材料として電荷発生層1に含有される。
以下、電子写真感光体100の各構成要素について詳述する。
導電性支持体3としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属製のもの;ポリマー製シート、紙、プラスチック、ガラス等の基体上に、アルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着することで導電処理したもの;酸化インジウム、酸化錫などの導電性金属化合物を上記基体上に蒸着することで導電処理したもの;金属箔を上記基体上にラミネートすることで導電処理したもの;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫−酸化アンチモン粉、金属粉、沃化銅等を結着樹脂に分散し、上記基体上に塗布することで導電処理したもの等が挙げられる。また、導電性支持体3の形状は、ドラム状、シート状、プレート状のいずれであってもよい。
導電性支持体3として金属パイプ基材を用いる場合、その表面は素管のままであってもよいが、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング、着色処理などの表面処理により基材表面を粗面化しておくことが好ましい。このように、基材表面を粗面化することにより、レーザービーム等の可干渉光源を用いた場合に発生し得る感光体内での干渉光による木目状の濃度斑を防止することができる。
電荷発生層1は、電荷発生材料としての本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料と結着樹脂とを含有するものである。
上記結着樹脂としては、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリイミド、ポリエステルカーボネート、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、酢酸ビニル単独重合体又は共重合体、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリブタジエン、ポリウレタン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、及びこれらの部分架橋硬化物等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
電荷発生層1における本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料と結着樹脂との配合比(重量比)は、好ましくは40:1〜1:4であり、より好ましくは20:1〜1:2である。本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の配合量が結着樹脂の配合量の40倍を超えると、電子写真感光体の製造工程において使用される分散液中の混合顔料の分散性が不十分となる傾向にあり、他方、結着樹脂の配合量の1/4未満であると、電子写真感光体の感度が不十分となる傾向にある。
また、電荷発生層1は、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料以外の他の電荷発生材料を含有していてもよい。ここで、電荷発生層1に用いられる他の電荷発生材料としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、縮環芳香族系顔料等を用いることができるが、金属含有又は無金属のフタロシアニンを用いることが好ましく、中でも、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ジクロロスズフタロシアニン顔料又はオキシチタニルフタロシアニン顔料を用いることが特に好ましい。また、これらの他の電荷発生材料の配合量は、電荷発生層中に含まれる物質全量を基準として50重量%以下であることが好ましい。
なお、電荷発生層1上に電荷輸送層2などの他の層を更に成膜する場合には、その塗工液に使用される溶剤によって電荷発生層1が溶解あるいは膨潤することのないように、電荷発生層1の結着樹脂と、電荷発生層1の上に塗布される塗布液の溶剤と、の組み合わせを適宜選択することが好ましい。また、電荷発生層1の結着樹脂と後述する電荷輸送層2の結着樹脂とは、互いの屈折率同士が近いものを組み合わせて使用することが好ましく、具体的には、互いの屈折率の差が1以下であることが好ましい。このように屈折率の近い結着樹脂を組み合わせて用いると、電荷発生層1と電荷輸送層2との界面での光の反射が抑制され、干渉縞防止効果が向上する傾向にある。
電荷発生層1は、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料および結着樹脂を所定の溶剤に加え、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ダイノーミル、ジェットミル、コボールミル、ロールミル、超音波分散機、ゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、アルティマイザー、マイルダーなどを用いて混合、分散させることにより得られる塗工液を、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法などにより塗布し、乾燥することによって得ることができる。ここで、電荷発生層1の塗工液に用いる溶剤としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、水などが挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いもよい。このようにして得られる電荷発生層1の膜厚は、良好な電気特性と画質とを得る観点から、0.05〜5μmであることが好ましく、0.1〜1μmであることがより好ましい。電荷発生層1の膜厚が0.05μm未満であると、感度が低下する傾向にあり、膜厚が5μmを超えると、帯電性の不良などの弊害が生じやすくなる傾向がある。
電荷輸送層2は電荷輸送材料と結着樹脂とを含有するものである。電荷輸送層2に使用される電荷輸送材料としては、電荷を輸送する機能を有するものであれば特に制限なく使用することができる。例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(P−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等の正孔輸送物質、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送物質等が挙げられる。更に、電荷輸送材料としては、以上例示した化合物の基本構造を主鎖又は側鎖に有する重合体等も使用することができる。これらの電荷輸送材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
電荷輸送層2に使用される結着樹脂としては、公知のものを特に制限なく使用することができるが、電気絶縁性のフィルムを形成することが可能な樹脂を用いることが好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−カルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーワックス、ポリウレタン等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂が電荷輸送材料との相溶性、溶剤への溶解性、強度の点で優れているので好ましく用いられる。
また、結着樹脂と電荷輸送材料との配合比(重量比)は電気特性低下、膜強度低下に考慮しつつ任意に設定することができる。
更に、電荷輸送層2の膜厚は5〜50μmであることが好ましく、10〜35μmであることがより好ましい。
電荷輸送層2の形成用の塗布液に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。電荷輸送層2の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
図1(b)は、本発明の電子写真感光体の第二実施形態を示す模式断面図である。図1(b)に示す電子写真感光体110は、導電性支持体3と感光層6との間に下引層4を備えること以外は図1(a)に示した電子写真感光体100と同様の構造を有するものである。
この下引層4は、感光層6の帯電時において、導電性支持体3から感光層6への電荷の注入を防止する機能を有する。また、下引層4は、感光層6を導電性支持体3に対して一体的に接着保持させる接着層としても機能する。更に、この下引層4は、導電性支持体3の光反射を防止する機能を有する。
下引層4は、結着樹脂、有機あるいは無機の粉末、電子輸送性物質等から任意に選択された材料により構成される。ここで、結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子樹脂化合物、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。そして、これらの化合物は単独で、あるいは複数の化合物の混合物として、あるいは重縮合物として用いることができる。更にこれらの中でも、ジルコニウムキレート化合物、シランカップリング剤は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れているため好ましい。
上記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらの中でも特に好ましく用いられるシリコン化合物としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
下引層4中には、電気特性の向上や光散乱性の向上などの目的により、各種の有機化合物の微粉末もしくは無機化合物の微粉末を添加することができる。特に、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料やアルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子などが有効である。添加微粉末の粒径は0.01〜2μmのものが用いられる。微粉末は必要に応じて添加されるが、その添加量は下引層4の固形分の総量を基準として10〜90重量%であることが好ましく、30〜80重量%であることがより好ましい。
また、下引層4中には、先に説明した電子輸送性物質、電子輸送性顔料等を含有させることも低残留電位化や環境安定性の観点から有効である。更に、下引層4の膜厚は0.01〜30μmであることが好ましく、0.05〜25μmであることがより好ましい。
また、下引層4を形成するための塗布液を調製する際に、微粉末状の物質を添加する場合には、樹脂成分を溶解した溶液中に添加して分散処理が行われる。この分散処理方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの方法を用いることができる。
この下引層4は導電性支持体3上に下引層4を形成するための塗布液を塗布し、乾燥させることにより形成することができる。このときの塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
図1(c)は、本発明の電子写真感光体の第三実施形態を示す模式断面図である。図1(c)に示す電子写真感光体120は、感光層6上に保護層5を備えること以外は図1(a)に示した電子写真感光体100と同様の構成を有するものである。
保護層5は、電子写真感光体120の帯電時の電荷輸送層2の化学的変化を防止したり、感光層6の機械的強度を更に改善する為に用いられる。この保護層5は、導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させた塗布液を感光層6上に塗布することにより形成される。 この導電性材料は特に限定されるものではなく、例えば、N,N’−ジメチルフェロセン等のメタロセン化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン化合物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫とアンチモン、硫酸バリウムと酸化アンチモンとの固溶体の担体、上記金属酸化物の混合物、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛又は硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を混合したもの、あるいは、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、又は硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を被覆したもの等が挙げられる。
保護層5に使用する結着樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の公知の樹脂が用いられる。また、これらは必要に応じて互いに架橋させて使用することもできる。
保護層5の膜厚は1〜20μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。
保護層5を形成するための塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。また、保護層5を形成するための塗布液に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独であるいは2種以上を混合して用いることができるが、この塗布液が塗布される感光層6を溶解しにくい溶剤を用いることが好ましい。
以上、本発明の電子写真感光体の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の電子写真感光体は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、図2(a)に示す電子写真感光体130のように、導電性支持体3と感光層6との間に下引層4を備え、更に感光層6上に保護層5を備えるものであってもよい。
また、上記の実施形態の電子写真感光体100、110、及び120においては、感光層6が積層構造を有している場合について説明したが、例えば、図2(b)に示す電子写真感光体140のように、感光層6が単層構造を有するものであってもよい。なお、この場合にも、導電性支持体3と感光層6との間に下引層4を備えていてもよく、感光層6上に保護層5を備えていてもよく、下引層4及び保護層5の両方を備えていてもよい。
以上説明した本発明の電子写真感光体は、近赤外光もしくは可視光に発光するレーザービームプリンター、デジタル複写機、LEDプリンター、レーザーファクシミリなどの電子写真装置や、このような電子写真装置に備えられるプロセスカートリッジに搭載することができる。また本発明の電子写真感光体は一成分系、二成分系の正規現像剤あるいは反転現像剤とも合わせて用いることができる。また本発明の電子写真感光体は帯電ローラーや帯電ブラシを用いた接触帯電方式の電子写真装置に搭載されて、電流リークの発生が少ない良好な特性が得られる。
(電子写真装置及びプロセスカートリッジ)
図3及び図4は、それぞれ本発明の電子写真装置の好適な一実施施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。
図3に示す電子写真装置200は、本発明の電子写真感光体7と、電子写感光体7をコロナ放電方式により帯電させる帯電手段8と、帯電手段8に接続された電源9と、帯電手段8により帯電される電子写真感光体7を露光して静電潜像を形成する露光手段10と、露光手段10により形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段11と、現像手段11により形成されたトナー像を被転写体20に転写する転写手段12と、クリーニング手段13と、除電器14と、定着装置15とを備える。
また、図4に示す電子写真装置210は、本発明の電子写真感光体7を接触方式により帯電させる帯電手段8を備えていること以外は、図3に示した電子写真装置200と同様の構成を有する。なお、この場合には、除電器14が設けられていないものもある。
ここで、帯電手段8としては、例えばローラー状、ブラシ状、フィルム状又はピン電極状の導電性又は半導電性の帯電部材を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器などの非接触型帯電器などが用いられる。
露光手段10としては、前記電子写真感光体表面に、半導体レーザ、LED(light emitting diode)、液晶シャッターなどの光源を所望の像様に露光できる光学系装置などが用いられる。
現像手段11としては、一成分系、二成分系などの正規又は反転現像剤を用いた従来公知の現像手段などが用いられる。
転写手段12としては、ベルト、ローラー、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器などが用いられる。
なお、図3及び4には示していないが、本発明の電子写真装置は中間転写手段を備えるものであってもよい。本発明にかかる中間転写手段としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のものや、ベルト状以外にドラム状のものを用いることもできる。また、導電性支持体上にゴム、エラストマー、樹脂などを含む弾性層と少なくとも1層の被覆層とが積層された構造を有するものを使用することができる。その材料として使用される材料は、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、フッ素樹脂等の樹脂に対して、導電性のカーボン粒子や金属粉等を分散混合させたもの等が挙げられる。
また、本発明の電子写真装置は、カラートナーの各色に対応した画像形成ユニットを複数備えるいわゆるタンデム方式の電子写真装置としてもよい。例えば、カラートナーがブラック(K)、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)の4色である場合、各色トナーに対応して電子写真感光体、帯電装置、露光装置、現像装置及びクリーニング装置を備える4つの画像形成ユニットを中間転写媒体の移動方向に周りに配置した構成とすることが出来る。各ユニットにおいて作成されたトナー像は中間転写体上に重ねて一次転写され、最終的に一次転写されたトナー像は記録媒体上に2次転写され、さらに定着装置により記録媒体上に定着され画像形成される。
特にタンデム方式の複数の電子写真感光体として、それぞれ本発明の電子写真感光体を使用した場合、各色間での感光体の感度のばらつきを抑制できるため、カラー画像特有の色むらの発生を抑制するのに特に有利となる。
図5は、本発明のプロセスカートリッジの好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。プロセスカートリッジ300は、本発明の電子写真感光体7とともに、帯電手段8、現像手段11、クリーニング手段13、露光のための開口部18、及び除電器14を、取り付けレール16を用いて組み合わせて一体化したものである。そして、このプロセスカートリッジ300は、転写手段12と、定着装置15と、図示しない他の構成部分とからなる電子写真装置本体に対して着脱自在としたものであり、電子写真装置本体とともに電子写真装置を構成するものである。なお、除電器14を設けずにイレーズレス方式としてもよい。
以上説明した本発明の電子写真装置及びプロセスカートリッジにおいては、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を用いた電子写真感光体を備えているため、画質欠陥を生じることなく長期間にわたって安定した画像品質を得ることできる。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[顔料の調製]
(合成例1:I型ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の合成)
1,3−ジイミノイソインドリン30質量部及び三塩化ガリウム9.1質量部をジメチルスルホキシド230質量部に加え、160℃で6時間攪拌しながら反応させて赤紫色結晶を得た。得られた結晶をジメチルスルホキシドで洗浄した後、イオン交換水で洗浄し、乾燥してI型クロロガリウムフタロシアニンの粗結晶28質量部を得た。
次に、得られたI型クロロガリウムフタロシアニンの粗結晶10質量部を60℃に加熱した硫酸(濃度97%)300質量部に十分に溶解させた溶液を、25%アンモニア水600質量部とイオン交換水200質量部との混合溶液中に滴下してヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を析出させた。この結晶を濾過により採取し、イオン交換水で洗浄した後、乾燥してI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶8質量部を得た。得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶について、X線回折装置(理学電機社製X線回折装置Miniflex)を用いてX線回折スペクトルの測定を行った結果、ブラッグ角度(2θ±0.2°)6.9°、13.2〜14.2°、16.5°、26.0°及び26.4°に回折ピークを有することを確認した。
(合成例2)
合成例1で得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶1質量部を、電子輸送性顔料として下記構造式(A)で示される電子輸送性多環キノン系顔料のジブロモアントアントロン顔料(モノライトレッド2Y)0.1質量部、N,N−ジメチルホルムアミド15質量部、及び外径0.9mmのガラス製球形状メディア55質量部とともに、ガラス製ボールミルを使用して25℃で144時間湿式粉砕処理した。
Figure 2007079493
次いで、上記の湿式粉砕処理により得られた結晶をアセトンを用いて洗浄し、乾燥して、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料1質量部を得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料のX線回折スペクトルを図6に示す。また、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)、及びBET式の比表面積測定器(フローソープII2300、島津製作所社製)を用いて測定したBET比表面積の結果を表12に示す。
(合成例3)
合成例2におけるジブロモアントアントロン顔料0.01質量部に代えて、下記構造式(B−1)及び(B−2)で示される化合物の混合物であるベンズイミダゾールペリレン顔料0.05質量部を使用した以外は、合成例2と同様にしてヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を調製した。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料についてX線回折スペクトルを測定し、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有することを確認した。また、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の600〜900nmの波長域でのλMAX、及びBET比表面積の結果を表12に示す。
Figure 2007079493
Figure 2007079493
(合成例4)
合成例2におけるジブロモアントアントロン顔料0.1質量部に代えて、下記構造式(C−3)で示されるビスアゾ顔料0.01質量部を使用した以外は、合成例2と同様にしてヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を調製した。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料についてX線回折スペクトルを測定し、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有することを確認した。また、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の600〜900nmの波長域でのλMAX、及びBET比表面積の結果を表12に示す。
Figure 2007079493
(合成例5)
合成例2におけるジブロモアントアントロン顔料0.1質量部に代えて、ジクロロスズフタロシアニン顔料0.05質量部を使用した以外は、合成例2と同様にしてヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を調製した。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料についてX線回折スペクトルを測定し、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有することを確認した。また、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の600〜900nmの波長域でのλMAX、及びBET比表面積の結果を表12に示す。
(比較合成例1)
1,3−ジイミノイソインドリン30質量部及び三塩化ガリウム9.1質量部をキノリン230質量部中にて、200℃において3時間攪拌しながら反応させ、赤紫色結晶を得た。次いで、アセトン、メタノールにより洗浄した後、湿ケーキを乾燥して、I型クロロガリウムフタロシアニンの粗結晶28質量部を得た。得られたI型クロロガリウムフタロシアニンの粗結晶3質量部を硫酸(濃度97%)60質量部に60℃にて溶解後、5℃の蒸留水450質量部中に滴下して結晶を析出させた。蒸留水、希アンモニア水等で洗浄後乾燥して、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶2.5質量部を得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶0.5質量部をジメチルホルムアミド15質量部および直径1mmのガラスビーズ30質量部と共に24時間ミリングした後、結晶を分離した。次いで、メタノールで洗浄後、乾燥してCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料0.4質量部を得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の600〜900nmの波長域でのλMAX、及びBET比表面積の結果を表12に示す。
(比較合成例2)
合成例2におけるジブロモアントアントロン顔料の添加量を0.1質量部から0.5質量部に変更したこと以外は、合成例2と同様にしてヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を調製した。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料のX線回折スペクトルを図7に示す。また、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の600〜900nmの波長域でのλMAX、及びBET比表面積の結果を表1に示す。
(比較合成例3)
チタニルオキシフタロシアニン18質量部とジブロモアントアントロン2質量部をガラスビーズと共にペイントシェーカーで15時間、乾式ミリング処理してアモルファス体18質量部を得た。得られたアモルファス体1質量部と水30質量部、0-ジクロロベンゼン2質量部をフラスコに入れ、50℃で加熱撹拌した。1時間後撹拌を停止、室温まで放冷した後、溶媒を除去し、乾燥してチタニルオキシフタロシアニンとジブロモアントアントロンの混合顔料を得た。得られた混合顔料の600〜900nmの波長域でのλMAX、及びBET比表面積の結果を表12に示す。
Figure 2007079493
[電子写真感光体の作製]
(実施例1)
先ず、導電性支持体として、肉厚50μmのアルミニウム製シートを用意した。
次に、酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製試作品:比表面積値15m/g)100質量部をトルエン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603:信越化学社製)1.25質量部を添加して更に2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で2時間焼き付けを行い、表面処理酸化亜鉛顔料を得た。
次に、得られた表面処理酸化亜鉛顔料60質量部と硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部とブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)15質量部とをメチルエチルケトン85質量部に溶解した。この溶液38質量部とメチルエチルケトン25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散処理を行った。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部及びシリコーン樹脂粒子(トスパール145(GE東芝シリコーン社製)3.4質量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて上記アルミニウムシート上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ25μmの下引層を形成した。
次に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)1質量部を酢酸n−ブチル100質量部に溶解させた溶液と、合成例2で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料2質量部とを混合し、ガラスビーズとともにサンドミルで3時間分散処理し、電荷発生層形成用塗布液を調製した。得られた塗布液を前記下引層上に浸漬塗布し、100℃で10分間加熱乾燥し、膜厚0.20μmの電荷発生層を形成した。
さらに、電荷輸送物質としてN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチル)−[1,1’ビフェニル]−4,4’−ジアミン4質量部、結着樹脂としてビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:30,000)6質量部、テトラヒドロフラン80質量部、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2質量部を混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。この塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、120℃で40分間加熱乾燥して、膜厚25μmの電荷輸送層を形成し、目的の電子写真感光体シートを作製した。
また、導電性支持体として外径30mmφの円筒状のアルミニウム製基体を用いたこと以外は、電子写真感光体シートの作製と同様の手順により、下引層、電荷発生層、電荷輸送層を順次作製し、目的の電子写真感光体ドラムを作製した。
(実施例2)
合成例2で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の代わりに、合成例3のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を使用した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体シートおよび電子写真感光体ドラムを作製した。
(実施例3)
合成例2で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の代わりに、合成例4のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を使用した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体シートおよび電子写真感光体ドラムを作製した。
(実施例4)
合成例2で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の代わりに、合成例5のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を使用した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体シートおよび電子写真感光体ドラムを作製した。
(比較例1)
合成例2で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の代わりに、比較合成例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を使用した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体シートおよび電子写真感光体ドラムを作製した。
(比較例2)
合成例2で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の代わりに、比較合成例2のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を使用した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体シートおよび電子写真感光体ドラムを作製した。
(比較例3)
合成例2で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の代わりに、比較合成例3のチタニルオキシフタロシアニン混合顔料を使用した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体シートおよび電子写真感光体ドラムを作製した。
[使用初期の電子写真特性の評価試験]
実施例1〜4及び比較例1〜3の電子写真感光体シートの電子写真特性を評価するために、以下の手順で電子写真特性の測定を行った。先ず、20mmφの小面積マスクを使用し、20℃、50%RHの環境下において、静電複写紙試験装置(EPA8200、川口電機社製)を用いて−5.0kVのコロナ放電により感光体を負帯電させた。次いで、干渉フィルターを用いて780nmに分光したハロゲンランプ光を感光体表面上において5.0μW/cmとなるように調整して照射した。このときの初期表面電位V[V]、表面電位がVの1/2になるまでの半減露光量E1/2[μJ/cm]、及び暗減衰率(DDR、表面電位V0から1秒後の表面電位をV1としたときに{(V0−V1)/V0}×100で表される値[%])をそれぞれ測定した。得られた結果を表13に示す。
[画質評価試験]
先ず、実施例1〜4及び比較例1〜3の電子写真感光体ドラムを日本電気社製レーザープリンタ PR1000に装着し、以下の画質評価試験を実施した。なお、このレーザープリンタは、帯電、露光、現像、転写を行った後、除電なしで次の帯電を行うイレーズレス方式の電子写真装置であり、除電器を備えていないこと以外は図4に示す電子写真装置と同様の構成を有するものである。また、このレーザープリンタにおいては、帯電装置としてローラー帯電器(BCR)、露光装置として780nmの半導体レーザーを使用したROS、現像方式として1成分系反転現像方式、転写装置としてローラー帯電器(BTR)を採用した。
上記のレーザープリンタを用い、20℃/50%RHの環境下で、初期にドラム1周分「G」の文字パターンを印字した後、1ドット1スペースの全面ハーフトーン画像および全面白の画像(バックグラウンド画像)を出力してその画像を目視およびルーペで観察し、ポジゴーストおよびかぶりを評価した。次に、約2mm幅の線を縦横7mmおきに印字した画像を2万枚出力した後、上記と同様にドラム1周分「G」の文字パターンを印字した後、1ドット1スペースの全面ハーフトーン画像およびバックグラウンド画像を出力してポジゴーストおよびかぶりを評価した。得られた結果を表13に示す。なお、表13の「かぶり」の欄中、「A」はかぶりが認められなかったこと、「B」はかぶりが僅かに認められたが、実用上問題の無いレベルであったこと、「C」はかぶりがはっきりと認められたことをそれぞれ意味する。また、表13の「ポジゴースト」の欄中、「A」はポジゴーストが認められなかったこと、「B」はポジゴーストが僅かに認められたが、実用上問題の無いレベルであったこと、「C」はポジゴーストがはっきりと認められたことをそれぞれ意味する。
[電荷発生層用塗布液の分散性評価試験]
実施例1〜4及び比較例1〜3で用いた電荷発生層用塗布液について、以下のようにして分散性の評価を行った。
各実施例又は比較例と同様の手順でガラスプレート上に電荷発生層を形成し、顕微鏡を用いて電荷発生層中の構成成分の分散状態を観察した。得られた結果を表2に示す。なお、表13中、「A」は電荷発生層中に凝集体が認められず、また、電荷発生層の表面状態が良好であったことを意味し、「B」は凝集体が認められたこと、又は、電荷発生層の表面がざらついていたことを意味する。
Figure 2007079493
(a)〜(c)は、それぞれ本発明の電子写真感光体の第一〜第三実施形態を示す模式断面図である。 (a)〜(b)は、それぞれ本発明の電子写真感光体の他の実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電子写真装置の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。 本発明の電子写真装置の他の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。 本発明のプロセスカートリッジの好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。 合成例2で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の粉末X線回折図である。 比較合成例2で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の粉末X線回折図である。
符号の説明
1…電荷発生層、2…電荷輸送層、3…導電性支持体、4…下引層、5…保護層、6…感光層、7…電子写真感光体、8…帯電手段、9…電源、10…露光手段、11…現像手段、12…転写手段、13…クリーニング手段、14…除電器、15…定着装置、16…取り付けレール、18…露光のための開口部、20…被転写体、100,110,120,130,140…電子写真感光体、200,210…電子写真装置、300…プロセスカートリッジ。

Claims (7)

  1. 電子写真感光体の構成材料として使用されるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と電子輸送性顔料との混合顔料であって、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶と電子輸送性顔料と所定の溶剤とを含む混合物を湿式粉砕処理することにより得られ、且つCuKα特性X線を用いたX線回折パターンにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有することを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料。
  2. 600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有することを特徴とする、請求項1に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料。
  3. 電子写真感光体の構成材料として使用されるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と電子輸送性顔料との混合顔料を製造する方法であって、
    得られる混合顔料が、CuKα特性X線を用いたX線回折パターンにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有するように、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶と、電子輸送性顔料と、所定の溶剤を含む混合物を湿式粉砕処理する湿式粉砕処理工程を備えることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料の製造方法。
  4. 導電性支持体と、
    該導電性支持体上に設けられており、請求項1又は2に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料を含有する感光層と、
    を備えることを特徴とする電子写真感光体。
  5. 請求項4に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段と、
    前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を前記電子写真感光体から被転写媒体に転写する転写手段と、
    を備えることを特徴とする電子写真装置。
  6. 前記帯電手段が、前記電子写真感光体に接触配置されており電圧が印加される帯電部材を有し、前記電子写真装置は、帯電、露光、現像及び転写を順次行った後、前記電子写真感光体を除電することなく次の帯電を行うイレーズレス電子写真装置であることを特徴とする、請求項5に記載の電子写真装置。
  7. 請求項4に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させるための帯電手段、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段、及び前記電子写真感光体上に残存したトナーを除去するクリーニング手段から選ばれる少なくとも1種と、
    を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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