JP2023046870A - 成形体、ブランク、成形体製造方法、及び金型 - Google Patents

成形体、ブランク、成形体製造方法、及び金型 Download PDF

Info

Publication number
JP2023046870A
JP2023046870A JP2021155703A JP2021155703A JP2023046870A JP 2023046870 A JP2023046870 A JP 2023046870A JP 2021155703 A JP2021155703 A JP 2021155703A JP 2021155703 A JP2021155703 A JP 2021155703A JP 2023046870 A JP2023046870 A JP 2023046870A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
region
pad
holder
mold
blank
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021155703A
Other languages
English (en)
Inventor
聡 白神
Satoshi Shiragami
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2021155703A priority Critical patent/JP2023046870A/ja
Publication of JP2023046870A publication Critical patent/JP2023046870A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】割れやしわが抑制された成形体の提供を目的とする。また、前記成形体を得るためのブランク、成形体製造方法及び金型の提供も目的とする。【解決手段】この成形体は、第1領域部と第2領域部と第3領域部とを備える。第1稜線及び第2稜線及び第3稜線が前記角部において互いに接続され、第1領域部及び第3領域部によって形成される外形線の全長をL1(mm)とし、第2領域部及び第3領域部によって形成される外形線の全長をL2(mm)として、下記の(式1)を満たす。第2領域部及び第3領域部間の、第3稜線の延長方向に沿った隣接部分の全長をL3(mm)とし、全長L3から第3稜線の長さを除いた非接合部分の長さをL4(mm)として、下記の(式2)を満たす。L1>1.1×L2・・・(式1)0.8×L3<L4<0.9×L3・・・(式2)【選択図】図1

Description

本発明は、金属板を成形加工した成形体と、この成形体を得るためのブランクおよび成形体製造方法と、この成形加工に用いられる金型と、に関する。
例えば自動車部品や家電部品などを製造するために、金属板をプレス加工して成形体を得ることが広く行われている。これら成形体は、一体物でありながら複雑な形状を有する場合が多い。例えば自動車のダッシュパネルにおいては、大まかに言って、第1領域部、第2領域部、第3領域部の3つの領域により構成されるものがある。ここで、前記第1領域部は、略長方形の平板状を有する。前記第2領域部は、第1領域部の一側縁に対して一体に連なり、なおかつ側面視で第1領域部に対して傾斜している。前記第3領域部は、第1領域部の他の側縁に対して一体に連なり、なおかつ側面視で第2領域部と同じ方向に傾斜している。第2領域部と第3領域部の傾斜方向は互いに同じである。加えて、前記第3領域部には、自動車のタイヤの一部を収める凹部となるホイールハウスが形成されている。
このような成形体を製造する場合、まず始めに、第1領域部及び第2領域部を有する部材と、第3領域部を有する部材とを予め用意し、続いて、これら部材間をスポット溶接等により接合することが考えられる。しかし、軽量化やコスト削減の観点からは、金属板をプレス成形することにより第1領域部~第3領域部を一体成形することが好ましい。
ところが、このような複雑形状を有する成形体をプレス成形で得る場合、前記第3領域部に局所的な圧縮応力が作用し、その結果として、しわが発生するおそれがある。このような品質不良を抑制するためには、第3領域部に引っ張りを加えながら絞り成形をすることが考えられる。
しかし、高張力鋼板をはじめとする成形性の低い金属板を用いる場合、第2領域部及び第3領域部の形状によっては、絞り成形で加えた引っ張りによって鋼板に割れが発生するおそれがある。そのため、例えば特許文献1に開示されているように、絞り成形を適用しにくい成形条件であっても、割れの発生を抑制しつつ効率的に成形するための技術が検討されている。
特開2015-110237号公報
しかしながら、前記ダッシュパネルの例で言えば、例えば引っ張り強度が980MPa以上である高張力鋼板に対して大きなホイールハウスを形成する場合、成形難易度が格段に高くなる。この場合、上記特許文献1に開示の技術をもってしても、割れやしわを生じることなく安定して成形体を得ることは、容易ではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、割れやしわが抑制された成形体の提供を目的とする。また、本発明は、前記成形体を得るためのブランク、成形体製造方法及び金型の提供も目的とする。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、以下の態様を採用する。
(1)本発明の一態様に係る成形体は、
角部を間に挟んで並ぶ第1稜線及び第2稜線を有する第1領域部と、
前記第1稜線を介して前記第1領域部に一体に連なり、前記第1領域部の表裏面の一方側に傾斜した第2領域部と、
前記第2稜線を介して前記第1領域部に一体に連なり、前記角部に連なる第3稜線を介して前記第2領域部に部分的かつ一体的に連なり、前記第1領域部に対して前記一方側に傾斜した第3領域部と、
を備え、
前記第1稜線及び前記第2稜線及び前記第3稜線が前記角部において互いに接続され、
前記第1領域部及び前記第3領域部によって形成される外形線の全長をL1(mm)とし、前記第2領域部及び前記第3領域部によって形成される外形線の全長をL2(mm)として、下記の(式1)を満たし、
前記第2領域部及び前記第3領域部間の、前記第3稜線の延長方向に沿った隣接部分の全長をL3(mm)とし、前記全長L3から前記第3稜線の長さを除く非接合部分の長さをL4(mm)として、下記の(式2)を満たす。
L1>1.1×L2・・・(式1)
0.8×L3<L4<0.9×L3・・・(式2)
ここで、第1領域部が平面状であり、第1領域部が、互いに直交するX軸およびY軸によって形成される平面上に位置するとする。X軸方向が、第1領域部及び第2領域部が並ぶ方向であるとし、Y軸方向が、第1領域部及び第3領域部が並ぶ方向であるとする。この場合、第1領域部及び第2領域部が、第1稜線をX軸方向に挟んで並び、第1領域部及び第3領域部が、第2稜線をY軸方向に挟んで並び、第2領域部及び第3領域部が、第3稜線および非接合部分をY軸方向に挟んで並ぶ。また、第1領域部において、第1稜線は、X軸方向の端縁となり、第2稜線は、Y軸方向の端縁となる。
そしてこの場合、第1領域部及び第3領域部によって形成される外形線(以下、第1外形線という)は、第1領域部及び第3領域部におけるX軸方向の両端縁のうち、X軸方向の第1側に位置する端縁によって形成される外形線である。第2領域部及び第3領域部によって形成される外形線(以下、第2外形線という)は、第2領域部及び第3領域部におけるX軸方向の両端縁のうち、X軸方向の第2側に位置する端縁によって形成される外形線である。ここで、X軸方向の第1側は、第2領域部に対して第1領域部が位置する側であり、X軸方向の第2側は、第1領域部に対して第2領域部が位置する側である。第1稜線は、第1領域部に対しては第2側に位置し、第2領域部に対しては第1側に位置する。第1外形線及び第2外形線は、いずれもY軸方向に延びる。第1外形線の全長L1は、第1外形線のY軸方向の長さである。全長L1は、第1領域部の第1側の端縁についてのY軸方向の長さと、第3領域部の第1側の端縁についてのY軸方向の長さと、の合計である。第2外形線の全長L2は、第2外形線のY軸方向の長さである。全長L2は、第2領域部の第2側の端縁についてのY軸方向の長さと、第3領域部の第2側の端縁についてのY軸方向の長さと、の合計である。第2外形線には、前述の非接合部分は含まれず、非接合部分がY軸方向に大きくなると、第2外形線の全長L2が短くなる。
上記(1)に記載の成形体によれば、第2領域部及び第3領域部が第1領域部に一体に連なってかつ、第2領域部及び第3領域部が第1領域部に対して共に同じ方向に傾斜している。ここで、式1及び式2を満たす非接合部分が設けられている。式1を満たす場合、第2外形線の全長L2が第1外形線の全長L1に対して適度に短いことから、前述の非接合部分のY軸方向の大きさが適度に確保されていると言える。式2を満たす場合、前述の非接合部分が、第3稜線に対して過度に小さすぎたり過度に大きすぎたりせず、非接合部分のY軸方向の大きさが適度に確保されていると言える。そのため、この成形体を平板状のブランクからプレス成形によって得る際に、第3稜線の延在方向に沿って第2領域部及び第3領域部間が全て繋がっている場合に生じる、しわの発生を抑制できる。加えて、プレス成形の際、第3稜線の位置では、第2領域部及び第3領域部間が互いに近付く圧縮方向の力が作用し、第3稜線の位置に引っ張りが生じないため、割れも生じない。したがって、この成形体の第2領域部及び第3領域部間には、しわや割れが生じていない。
(2)上記(1)の態様において、前記成形体が、引張強度が980MPa以上の鋼板からなるものであってもよい。
上記(2)の場合、成形性の低い高張力鋼板をブランクとして製造された成形体であっても、プレス成形時の前記第3稜線には圧縮方向の力が作用するため、割れが生じておらず、その健全性が確保されている。
(3)上記(1)または(2)に記載の態様において、前記成形体の板厚が0.8mm以上2.3mm以下であってもよい。
上記(3)の場合、例えばダッシュパネルのような自動車部品としてこの成形体を広く用いることができる。
(4)上記(1)~(3)の何れか1項に記載の態様において、前記成形体として以下の構成を採用してもよい:
前記第3領域部を間に挟んで前記第1領域部と反対側に位置し、前記第3領域部に対し第4稜線を介して一体に連なる第4領域部をさらに備え、
前記第4領域部が、前記第1領域部から前記第2領域部に向かう並び方向に向かって、前記第2領域部と同じ方向に傾斜する傾斜部を含む。
上記(4)の場合、第1領域部及び第2領域部が形成されたブランクにおいて、第2領域部の傾斜方向と同じ方向に向かって、第4領域部を第1領域部に対して相対的に移動させることで、ブランクのうちの第1領域部と第4領域部との間に位置する部分が必然的に前記一方側に傾斜することを利用して、第3領域部を形成することができる。ここで、第4領域部が傾斜部を含むため、例えば、第4領域部を第1領域部に対して相対的に移動させるときに併せて第4領域部に傾斜部を形成することで、第3領域部の形成時における第3領域部内の材料流れを、第2領域部に向かわせることができる。そのため、得られた成形体は、第3稜線が圧縮方向の力が作用されながら成形されたものであるため、割れがより確実に抑制されている。
(5)本発明の一態様に係るブランクは、以下の構成を採用してもよい:
上記(1)~(4)の何れか1項に記載の成形体に成形される平板状のブランクであって、前記非接合部分に対応する切欠きを有する。
上記(5)のブランクをプレス成形して上記(1)の成形体を製造した際、非接合部分に対応する位置に切欠きがあるため、切欠きが無い場合に生じるしわの発生を抑制できる。加えて、ブランクのうち、切欠きに連なって第3稜線となる位置には、圧縮方向の力が作用するため、割れも生じない。したがって、このブランクを用いて上記(1)~(4)の何れか1項の成形体を製造した場合、第2領域部及び第3領域部間にしわや割れが生じない。
(6)上記(5)に記載の態様において、前記切欠きの端部における離間寸法をW1(mm)として、下記の式3を満たしてもよい。
W1>L1-L2・・・(式3)
上記(6)の場合、切欠きが式3を満たすことにより、ブランクのうちで第2領域部に対応する部分と第3領域部に対応する部分との間における大きな干渉を確実に避けられるので、より確実に、しわや割れを抑制することが可能になる。
(7)本発明の一態様に係る成形体製造方法は、上記(4)に記載の成形体を製造する方法であって、
前記第1領域部に対応する第1領域対応部と、前記第2領域部に対応する第2領域対応部と、前記第3領域部に対応する第3領域対応部と、前記第4領域部に対応する第4領域対応部と、前記非接合部分に対応する切欠きとを有するブランクを準備する準備工程と、
前記第1領域対応部に対して前記第2領域対応部を前記一方側に傾斜させる第2領域部形成工程と、
前記第1領域対応部に対する前記第2領域対応部の傾斜を固定したまま、前記第1領域対応部に対し、前記第4領域対応部を前記一方側に向かって相対移動させることで、前記第3領域対応部を前記第1領域対応部に対して前記一方側に傾斜させる第3領域部形成工程と、
を有する。
上記(7)に記載の成形体製造方法によれば、まず準備工程で切欠きを有するブランクを準備する。続く第2領域部形成工程では、ブランクに第2領域部を形成する。続く第3領域部形成工程では、ブランクに第3領域部を形成する。この時、ブランクに、非接合部分に対応する位置に切欠きがあるため、切欠きが無い場合に生じるしわの発生を抑制できる。加えて、ブランクのうち、切欠きに連なって第3稜線となる位置には、圧縮方向の力が作用するため、割れも生じない。したがって、この成形体製造方法によれば、第2領域部及び第3領域部間にしわや割れが生じない。
(8)上記(7)に記載の態様において、前記準備工程が、前記ブランクに前記切欠きを形成する切欠き形成工程を含んでもよい。
上記(8)の場合、準備工程で予め切欠きを形成しておくことで、第2領域部形成工程から第3領域部形成工程への移行を、中断なくスムーズに行える。
(9)本発明の他の態様に係る成形体製造方法は、上記(4)に記載の成形体を製造する方法であって、
前記第1領域部に対応する第1領域対応部と、前記第2領域部に対応する第2領域対応部と、前記第3領域部に対応する第3領域対応部と、前記第4領域部に対応する第4領域対応部とを備えるブランクを準備する準備工程と、
前記第1領域対応部の表裏面の一方側に前記第2領域対応部を傾斜させる第2領域部形成工程と、
前記第2領域対応部及び前記第3領域対応部間に、前記非接合部分に対応する切欠きを形成する切欠き形成工程と、
前記第1領域対応部に対する前記第2領域対応部の傾斜を固定したまま、前記第1領域対応部に対し、前記第4領域対応部を前記一方側に向かって相対移動させることで、前記第3領域対応部を前記第1領域対応部に対して前記一方側に傾斜させる第3領域部形成工程と、
を有する。
上記(9)に記載の成形体製造方法によれば、まず準備工程でブランクを準備する。続く第2領域部形成工程では、ブランクに第2領域部を形成する。続く切欠き形成工程では、ブランクに切欠きを形成する。続く第3領域部形成工程では、ブランクに第3領域部を形成する。この時、ブランクに、非接合部分に対応する位置に切欠きがあるため、切欠きが無い場合に生じるしわの発生を抑制できる。加えて、ブランクのうち、切欠きに連なって第3稜線となる位置には、圧縮方向の力が作用するため、割れも生じない。したがって、この成形体製造方法によれば、第2領域部及び第3領域部間にしわや割れが生じない。
切欠きは、上記(8)のように準備工程で形成してもよいし、上記(9)のように第2領域部形成工程及び第3領域部形成工程間にある切欠き形成工程で形成してもよい。
(10)上記(7)~(9)の何れか1項に記載の態様において、
前記第3領域部形成工程で、前記第4領域対応部を材料流れ制御手段によって拘束しながら前記相対移動させることにより、前記第3領域対応部から前記切欠きに向かう材料流れを形成してもよい。
上記(10)の場合、第4領域対応部を材料流れ制御手段で拘束することにより、第3領域対応部を第2領域部に向かわせる材料流れを、形成することができる。これにより、ブランクのうちで切欠きに連なって第3稜線となる部分に、圧縮方向の力をより確実に作用させることができる。したがって、より確実に割れを抑制することができる。
(11)本発明の一態様に係る金型は、
前記第1領域部に対応する第1領域対応部と、前記第2領域部に対応する第2領域対応部と、前記第3領域部に対応する第3領域対応部と、前記第4領域部に対応する第4領域対応部とを備えるブランクより、上記(4)に記載の成形体を製造する金型であって、
互いに対向する第1金型及び第2金型を備え、
前記第1金型は、
前記第1領域対応部が配置される第1領域ホルダ面と、前記第1領域ホルダ面に連なり前記第1領域ホルダ面に対して傾斜し前記第2領域部を成形する第2領域ホルダ面と、前記第1領域ホルダ面に連なり前記第1領域ホルダ面に対して傾斜し前記第3領域部を成形する第3領域ホルダ面と、を有するホルダと、
前記ホルダに隣接配置され、前記第4領域対応部が載置される第4領域パッド面を有する第1パッドと、を備え、
前記第2金型は、
前記第1領域ホルダ面に対向する第1領域パッド面、及び、前記第2領域ホルダ面に対向する第2領域パッド面を有する第2パッドと、
前記第2パッドに隣接配置され、前記第4領域パッド面に対向する第4領域ダイス面を有するダイスと、
を備える。
上記(11)に記載の金型によれば、一例として、以下に示す製造方法によって成形体を製造することができる。
まず、ブランクを、第1金型(ホルダ及び第1パッド)に配置する。この時、第1領域対応部が第1領域ホルダ面に位置し、第2領域対応部が第2領域ホルダ面に位置し、第4領域対応部が第4領域パッド面に位置するように、ブランクを位置決めする。
続いて、ホルダに対して第2パッドを押し当てて、ホルダと第2パッドとの間にブランクを挟み込む。これにより、ブランクに第1領域部及び第2領域部が形成される。
ブランクに予め切欠きが形成されている場合には、金型を開かないまま、第3領域部及び第4領域部の成形に移る。一方、第3領域部及び第4領域部を形成する前のブランクに切欠きが形成されていない場合には、一旦、金型を開いて成形途中のブランクを取り出し、切欠きを形成する。続いて、切欠きが形成されたブランクを、再び配置して金型を閉じる。
その後、第1金型に第2金型を押し当てる。これにより、第1領域対応部を第1領域ホルダ面及び第1領域パッド面の間に挟持し、第2領域対応部を第2領域ホルダ面及び第2領域パッド面の間に挟持し、第4領域対応部を第4領域パッド面及び第4領域ダイス面の間に挟持する。この状態で、ホルダ及び第2パッドの組み合わせに対し、第1パッド及びダイスの組み合わせを前記一方側に相対移動させる。これにより、第3領域部及び第4領域部が形成される。この時、ブランクに、非接合部分に対応する位置に切欠きがあるため、切欠きが無い場合に生じるしわの発生を抑制できる。加えて、ブランクのうち、切欠きに連なって第3稜線となる位置には、圧縮方向の力が作用するため、割れも生じない。
(12)上記(11)に記載の態様において、前記第2パッドは、前記第1領域パッド面を有する先行パッドと、前記第2領域パッド面を有する後行パッドを備えていてもよい。
上記(12)に記載の金型によれば、上記(11)に記載の金型と同様に割れやしわの抑制された成形体を製造することができる。
さらにこの金型によれば、第2領域部形成工程において第2パッドをホルダに押し当てるときに、まず、先行パッドをホルダに向けて押し当てることで、第1領域対応部を第1領域ホルダ面及び第1領域パッド面間に挟持する。これにより、ブランクがホルダに対して固定される。続いて、後行パッドをホルダに押し当てることで、第2領域対応部を第1領域対応部に対して傾斜させる。これにより、ブランクに第1領域部及び第2領域部が形成される。
(13)上記(11)又は(12)に記載の態様において、前記ホルダは、前記第1領域ホルダ面を有するブランクホルダと、前記ブランクホルダに隣接配置され前記第3領域ホルダ面を有するパンチと、を備えていてもよい。
上記(13)に記載の金型によれば、上記(11)に記載の金型と同様に割れやしわの抑制された成形体を製造することができる。
さらにこの金型によれば、第3領域部及び第4領域部を形成するときに、ブランクホルダ及び第2パッドの組み合わせに対し、第1パッド及びダイスの組み合わせを、前記一方側に相対移動させる。また、ブランクホルダ及び第2パッドの組み合わせに対し、パンチを、前記一方側とは反対向きに相対的に移動させる。これにより、パンチをブランクの第3領域対応部に押し付けて、第3領域部及び第4領域部が形成される。
(14)本発明のさらに他の態様に係る成形体製造方法は、
上記(11)に記載の金型を用いて前記成形体を製造する方法であって、
前記第1領域ホルダ面に前記第1領域対応部が位置し、前記第2領域ホルダ面に前記第2領域対応部が位置し、前記第4領域パッド面に第4領域対応部が位置するように、前記ブランクを前記第1金型に配置する配置工程と、
前記ホルダに対して前記第2パッドを押し当てて前記第2領域部を成形する第2領域部形成工程と、
前記非接合部分に対応する切欠きが前記ブランクに形成されている状態で前記第1金型に前記第2金型を押し当てて、前記第1領域対応部を前記第1領域ホルダ面及び前記第1領域パッド面の間に挟持し、前記第2領域対応部を前記第2領域ホルダ面及び前記第2領域パッド面の間に挟持し、前記第4領域対応部を前記第4領域パッド面及び前記第4領域ダイス面の間に挟持した状態で、前記第1パッド及び前記ダイスを、前記ホルダ及び前記第2パッドに対して、前記一方側に向かって相対的に移動させて前記第3領域部を成形する第3領域部形成工程と、
を有する。
上記(14)の成形体製造方法によれば、上記(11)と同じ作用効果を得ることができる。したがって、割れやしわの抑制された成形体を製造することができる。
(15)本発明のさらに他の態様に係る成形体製造方法は、
上記(12)に記載の金型を用いて前記成形体を製造する方法であって、
前記第1領域ホルダ面に前記第1領域対応部が位置し、前記第2領域ホルダ面に前記第2領域対応部が位置し、前記第4領域パッド面に第4領域対応部が位置するように、前記ブランクを前記第1金型に配置する配置工程と、
前記ホルダに対して前記第2パッドを押し当てて前記第2領域部を成形する第2領域部形成工程と、
前記非接合部分に対応する切欠きが前記ブランクに形成されている状態で前記第1金型に前記第2金型を押し当てて、前記第1領域対応部を前記第1領域ホルダ面及び前記第1領域パッド面の間に挟持し、前記第2領域対応部を前記第2領域ホルダ面及び前記第2領域パッド面の間に挟持し、前記第4領域対応部を前記第4領域パッド面及び前記第4領域ダイス面の間に挟持した状態で、前記第1パッド及び前記ダイスを、前記ホルダ及び前記第2パッドに対して、前記一方側に向かって相対的に移動させて前記第3領域部を成形する第3領域部形成工程と、
を有し、
前記第2領域部形成工程では、前記先行パッドを前記ホルダに押し当てて、前記第1領域対応部を前記第1領域ホルダ面及び前記第1領域パッド面の間に挟持した後、前記後行パッドを前記ホルダに押し当てて、前記第2領域部を成形する。
上記(15)の成形体製造方法によれば、上記(12)と同じ作用効果を得ることができる。したがって、割れやしわの抑制された成形体を製造することができる。
(16)本発明のさらに他の態様に係る成形体製造方法は、
上記(13)に記載の金型を用いて前記成形体を製造する方法であって、
前記第1領域ホルダ面に前記第1領域対応部が位置し、前記第2領域ホルダ面に前記第2領域対応部が位置し、前記第4領域パッド面に第4領域対応部が位置するように、前記ブランクを前記第1金型に配置する配置工程と、
前記ホルダに対して前記第2パッドを押し当てて前記第2領域部を成形する第2領域部形成工程と、
前記非接合部分に対応する切欠きが前記ブランクに形成されている状態で前記第1金型に前記第2金型を押し当てて、前記第1領域対応部を前記第1領域ホルダ面及び前記第1領域パッド面の間に挟持し、前記第2領域対応部を前記第2領域ホルダ面及び前記第2領域パッド面の間に挟持し、前記第4領域対応部を前記第4領域パッド面及び前記第4領域ダイス面の間に挟持した状態で、前記第1パッド及び前記ダイスを、前記ホルダ及び前記第2パッドに対して、前記一方側に向かって相対的に移動させて前記第3領域部を成形する第3領域部形成工程と、
を有し、
前記第3領域部形成工程では、前記ブランクホルダに対して前記パンチを前記一方側に位置させた状態で、前記第1パッド及び前記ダイスを、前記ブランクホルダ及び前記第2パッドに対して、前記一方側に向かって相対的に移動させるとともに、前記パンチを、前記ブランクホルダ及び前記第2パッドに対して、前記一方側とは反対向きに相対的に移動させて前記第3領域部を成形する。
上記(16)の成形体製造方法によれば、上記(13)と同じ作用効果を得ることができる。したがって、割れやしわの抑制された成形体を製造することができる。
上記各態様によれば、割れやしわが抑制された成形体を提供できる。また、上記各態様によれば、前記成形体を得るためのブランク、成形体製造方法及び金型も提供できる。
本発明の第1実施形態に係る成形体であるダッシュパネルの概略構成を説明する斜視図である。 同実施形態の成形体製造方法を説明するフローチャートである。 同成形体製造方法で用いられるブランクの斜視図である。 同成形体製造方法により得られた中間成形品の斜視図である。 同成形体製造方法により得られた成形体の斜視図である。 図3Aに示した切欠き付きブランクにおける第1領域対応部~第4領域対応部を説明するための平面図である。 同成形体製造方法で用いられる金型の構成を示す斜視図である。 同金型を用いた成形体製造方法における配置工程を説明するための斜視図である。 同金型を用いた成形体製造方法における第2領域部形成工程を説明する斜視図である。 同金型を用いた成形体製造方法における第3領域部形成工程を説明する斜視図である。 同金型を用いた成形体製造方法における第3領域部形成工程の詳細を説明する部分拡大斜視図である。 同金型を用いた成形体製造方法における第3領域部形成工程の詳細を説明する部分拡大図であって、(a)が縦断面図で(b)が斜視図である。 図10Aの続きを説明する部分拡大図であって、(a)が縦断面図で(b)が斜視図である。 図10Bの続きを説明する部分拡大図であって、(a)が縦断面図で(b)が斜視図である。 図10Cの続きを説明する部分拡大図であって、(a)が縦断面図で(b)が斜視図である。 同実施形態に係る材料流れ制御条件の設定手順を説明するフローチャートである。 同実施形態に係る材料流れ制御条件の設定手順を説明する図であり、予めドロービードの構成を設定してから切欠き付きブランクの構成を決定する手順を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る材料流れ制御条件の設定手順を説明する図であり、予め、切欠き付きブランクの構成を設定してドロービードの構成を決定する手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る成形体製造方法を説明するフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る金型を用いた成形体製造方法を説明するための斜視図である。 第3実施形態に係る金型を用いた成形体製造方法における第1領域部形成工程を説明する斜視図である。 同金型を用いた成形体製造方法における第2領域部形成工程を説明する斜視図である。 同金型を用いた成形体製造方法における第3領域部形成工程を説明する斜視図である。 同金型を用いた成形体製造方法における第4領域部形成工程を説明する斜視図である。 本発明の第4実施形態に係る金型を用いた成形体製造方法を説明するための斜視図である。 図17に示す金型を用いた成形体製造方法における第1領域部形成工程を説明するための断面図である。 図17に示す金型を用いた成形体製造方法における第3領域部形成工程の前半を説明するための断面図である。 図17に示す金型を用いた成形体製造方法における第3領域部形成工程の後半を説明するための断面図である。
以下、金属板を成形加工した成形体と、この成形体を得るための成形体製造方法と、この成形加工に用いられる金型との各実施形態を、図面に基づいて説明する。各実施形態では、金属板の一例である高張力鋼板から、成形体の一例であるダッシュパネルを製造する場合を例示して説明する。ただし、本発明は、高張力鋼板のみに限らず、その他の金属板に適用してもよい。また、本発明が製造対象とする成形体は、ダッシュパネルのみに限らず、その他の構造部品であってもよい。さらには、本発明を適用して得られた成形体は、そのまま最終製品として用いてもよいし、または、トリミング等の後加工が加えられる中間製品であってもよい。
<第1実施形態>
[成形体]
以下、図1~図13を参照して本発明の第1実施形態について説明するが、先ずは図1を用いて成形体を説明する。
図1は、本実施形態で製造対象とする成形体であるダッシュパネル100の概略構成を説明する斜視図である。このダッシュパネル100は、自動車部品である。
なお、以下の説明において、例えば図1に示すように、互いに直交するX軸方向(第1方向)、Y軸方向(第2方向)、Z軸方向(第3方向)を用いて各方向を説明する場合がある。例えば、ダッシュパネル100のプレス成形方向は、Z軸方向(第3方向)である。
また、X軸とZ軸によって定義される平面を第1平面、X軸とY軸によって定義される平面を第2平面、Y軸とZ軸によって定義される平面を第3平面として説明する場合がある。
ダッシュパネル100は、板厚tが1.2mmで引張強度が980MPaの高張力鋼板(金属板)を打ち抜き加工して切欠き付きブランクB100(後述)を得た後、この切欠き付きブランクB100を冷間でプレス成形(パッド絞り成形)して得たものである。
板厚tは、0.8mm~2.3mmの範囲より適宜選定可能である。ここで言う板厚tは、切欠き付きブランクB100の時点での厚みであるが、ダッシュパネル100に加工した後も基本的には大きく変わらないため、ダッシュパネル100の厚みも0.8mm~2.3mmの範囲内となる。なお板厚tとしては、例えば、後述する主壁部10におけるY軸方向における中央位置において、X軸方向の両端および中央の3点で測定した板厚の平均値を採用することができる。
また、図3Aに示す切欠き付きブランクB100の引張強度は980MPa超であってもよく、逆に、980MPa未満であってもよい。切欠き付きブランクB100の引張強度が高くなると成形性が低くなるため、引張強度が980MPa以上の高張力鋼板に本発明を適用した場合に、しわや割れを抑制する効果を最も高く発揮できる。なお引張強度としては、例えば、後述する主壁部10におけるX軸方向及びY軸方向の両方向における中央位置から、試験片を切り出し、その試験片で測定した引張強度を採用することができる。ここで、一般的に鋼板の引張強度は異方性を有している。そこで、前述の試験片を切り出すにあたって複数の試験片を切り出し、各試験片において互いに異なる方向についての引張強度を測定した上で、測定結果のうちの最も高い値を、その切欠き付きブランクB100における引張強度として採用することもできる。
図1に示すように、ダッシュパネル100は、主壁部(第1領域部)10と、主壁部10と第1接続部(第1稜線)11を介して接続された傾斜壁部(第2領域部)20と、主壁部10のY軸方向の両側に配置されてこの主壁部10に第2接続部(第2稜線)12を介して接続された一対の第1サイド壁部(第3領域部)30と、第1サイド壁部30を間に挟んで主壁部10とは反対側に第4接続部14を介して接続された第2サイド壁部(第4領域部)40と、を備えている。ダッシュパネル100は、Y軸方向に対称である。
傾斜壁部20と第1サイド壁部30との間は、第3接続部(第3稜線)13を介して繋がっているが、第3接続部13の延在方向には切欠き50が形成されている。したがって、傾斜壁部20と第1サイド壁部30との間は、部分的に繋がっている。
第1接続部11は、主壁部10及び傾斜壁部20間を繋ぐ折り目であり、Y軸方向に沿って略直線状に形成されている。第1接続部11をY軸方向に垂直な縦断面で見た場合、曲面状の頂部を有する鈍角の逆V字形状をなしている。
第2接続部12は、主壁部10及び各第1サイド壁部30間を繋ぐ折り目であり、平面視で曲線状に形成されている。第2接続部12をX軸方向に垂直な縦断面で見た場合、曲面状の頂部を有する鈍角の逆V字形状をなしている。第2接続部12は、平面視で、X軸方向及びY軸方向の両方向に傾斜する方向に延びている。
第4接続部14は、第1サイド壁部30及び第2サイド壁部40間を繋ぐ折り目であり、平面視で直線状に形成されている。第4接続部14をX軸方向に垂直な縦断面で見た場合、曲面状の底部を有する鈍角のV字形状をなしている。
第3接続部13は、傾斜壁部20及び第1サイド壁部30間を繋ぐ折り目であり、平面視で直線状に形成されている。第3接続部13をX軸方向に垂直な縦断面で見た場合、曲面状の頂部を有する鈍角の逆V字形状をなしている。
主壁部10は、Z軸方向と直交する面方向、すなわちX軸とY軸により定義される第2平面に沿って延在する平面状に形成されている。主壁部10は、平面視した場合、X軸方向に沿って第1接続部11に近接するにしたがって幅寸法(Y軸方向の寸法)が次第に小さくなる略台形に形成されている。
傾斜壁部20は、X軸方向における端縁が第1接続部11を介して主壁部10に一体に接続されている。傾斜壁部20は、主壁部10に対してZ軸方向に傾斜している。図1において、主壁部10の表裏面のうち、図1において見える面を表面とし、その反対側を向く面を裏面とした場合、裏面が向いている一方側に向かって、傾斜壁部20は傾斜している。
傾斜壁部20は、平面視した場合に、第1接続部11から離間するにしたがって幅寸法が次第に大きくなる略台形の平面状に形成されている。
第1サイド壁部30は、Y軸方向における端縁が第2接続部12を介して主壁部10に一体に接続されている。第1サイド壁部30は、主壁部10に対して前記一方側に向かって傾斜している。つまり、第1サイド壁部30は、傾斜壁部20と同じ方向である前記一方側に向かって傾斜している。したがって、傾斜壁部20と一対の第1サイド壁部30とが同じ方向に傾斜しているため、これら3壁部により区画された凹所である内方空間100Pが形成されている。
第1サイド壁部30内には、凹曲面壁部30Aと凸曲面壁部30Bが形成されている。これら凹曲面壁部30Aと凸曲面壁部30Bとの間には、稜線15が形成されている。
凹曲面壁部30Aは、内方空間100Pに向かって膨らむ壁部であり、図1において紙面手前側が凹曲面となり、またその裏側が凸曲面となっている。凹曲面壁部30Aは、第2接続部12と、稜線15と、第4接続部14と、第3接続部13と、切欠き50とにより区画された壁部である。凹曲面壁部30Aは、ダッシュパネル100の素材となる切欠き付きブランクB100(後述)をプレス成形した際に、一部が増肉されるため、切欠き付きブランクB100の時点よりも厚肉の厚肉部が形成されている。したがって、凹曲面壁部30Aは、塑性加工されていない主壁部10よりも肉厚となっている。
凹曲面壁部30Aに形成された凹所は、このダッシュパネル100を自動車に組み付けた際に、タイヤの一部が収まるホイールハウスとなる。すなわち、このダッシュパネル100では、主壁部10の両側に一対のホイールハウスが一体に形成されている。
凸曲面壁部30Bは、凹曲面壁部30Aと反対側に向かって膨らむ壁部であり、図1において紙面手前側が緩やかな凸曲面となり、またその裏側が緩やかな凹曲面となっている。凸曲面壁部30Bは、稜線15と第4接続部14とにより区画された壁部である。凸曲面壁部30Bは、稜線15を介して凹曲面壁部30Aと一体に形成されている。また、凸曲面壁部30Bは、第4接続部14を介して第2サイド壁部40と一体に形成されている。
第2サイド壁部40は、サイド平坦部40A及びサイド傾斜部40Bを有する。
サイド平坦部40Aは、平坦で矩形であり、主壁部10と略平行をなす。
サイド傾斜部40Bは、稜線16を介して、サイド平坦部40Aに対し一体に連なっている。サイド傾斜部40Bは、平坦で矩形であり、前記傾斜壁部20と同じく前記一方側に向かって傾斜している。
稜線16は、サイド平坦部40A及びサイド傾斜部40B間を繋ぐ折り目であり、Y軸方向に沿って略直線状に形成されている。稜線16をY軸方向に垂直な縦断面で見た場合、曲面状の頂部を有する鈍角の逆V字形状をなしている。
切欠き50は、傾斜壁部20及び第1サイド壁部30間に形成された三角形状の空間である。より具体的には、凹曲面壁部30Aの端縁50bと、傾斜壁部20の端縁50aとを二辺に持ち、なおかつ底辺が開放された三角形状の空間である。端縁50a,50bは共に直線形状をなす。また、端縁50aの方が端縁50bよりも短い。端縁50a,50bはそれらの頂部において繋がっており、前記頂部が、小さな曲率半径を持つ円弧状となっている。前記頂部は、前記第3接続部13に連なっている。そして、第3接続部13の延長方向に沿って切欠き50が形成されている。端縁50aは、前記頂部に近付くにしたがってダッシュパネル100の幅方向中央(Y軸方向中央)に近付くように傾斜している。同様に、端縁50bも、前記頂部に近付くにしたがってダッシュパネル100の幅方向中央に近付くように傾斜している。このように端縁50a,50bは同一方向に向かって傾斜しているが、これら端縁50a,50b間は、第3接続部13に最も近い前記頂部から離れるに従って幅寸法が徐々に広くなる逆V字形状をなしている。
上述したように、本発明を適用して得られた成形体は、そのまま最終製品として用いてもよいし、または、トリミング等の後加工が加えられる中間製品であってもよい。本実施形態のダッシュパネル100は、図1の時点では中間製品であり、さらにハッチングを付した部分がトリミングで除かれて最終製品となる。
以上説明のように、本実施形態のダッシュパネル100は、図1に示す角部Cを間に挟んで並ぶ第1接続部(第1稜線)11及び第2接続部(第2稜線)12を有する主壁部(第1領域部)10と;第1接続部11を介して主壁部10に一体に連なり、主壁部10の表裏面の前記一方側に傾斜した傾斜壁部(第2領域部)20と;第2接続部12を介して主壁部10に一体に連なり、角部Cに連なる第3接続部(第3稜線)13を介して傾斜壁部20に部分的かつ一体的に連なり、主壁部10に対して前記一方側に傾斜した第1サイド壁部(第3領域部)30と;を備える。
そして、第1接続部11及び第2接続部12及び第3接続部13が、角部Cにおいて互いに接続されている。
主壁部10及び第1サイド壁部30によって形成される外形線OL1(以下、第1外形線という)の全長をL1(mm)とし、傾斜壁部20及び第1サイド壁部30によって形成される外形線OL2(以下、第2外形線という)の全長をL2(mm)とした場合、下記の(式4)を満たす。
L1>1.1×L2・・・(式4)
ここで第1外形線OL1は、主壁部10及び第1サイド壁部30におけるX軸方向の両端縁のうち、X軸方向の第1側に位置する端縁によって形成される外形線である。第2外形線OL2は、傾斜壁部20及び第1サイド壁部30におけるX軸方向の両端縁のうち、X軸方向の第2側に位置する端縁によって形成される外形線である。ここで、X軸方向の第1側は、傾斜壁部20に対して主壁部10が位置する側であり、X軸方向の第2側は、主壁部10に対して傾斜壁部20が位置する側である。第1接続部11は、主壁部10に対しては第2側に位置し、傾斜壁部20に対しては第1側に位置する。
第1外形線OL1及び第2外形線OL2は、いずれもY軸方向に延びる。
第1外形線OL1の全長L1は、第1外形線OL1のY軸方向の長さであり、主壁部10の第1側の端縁についてのY軸方向の長さL11と、第1サイド壁部30の第1側の端縁についてのY軸方向の長さL12と、の合計である。ただし図示の例では、Y軸方向に2つの第1サイド壁部30が配置されているため、第1外形線OL1の全長L1は、2つの第1サイド壁部30それぞれの長さL12を含む。
第2外形線OL2の全長L2は、第2外形線OL2のY軸方向の長さであり、傾斜壁部20の第2側の端縁についてのY軸方向の長さL21と、第1サイド壁部30の第2側の端縁についてのY軸方向の長さL22と、の合計である。ただし図示の例では、Y軸方向に2つの第1サイド壁部30が配置されているため、第2外形線OL2の全長L2は、2つの第1サイド壁部30それぞれの長さL22を含む。また、第2外形線OL2には、前述の切欠き50は含まれず、切欠き50がY軸方向に大きくなると、第2外形線OL2の全長L2が短くなる。
なお、ダッシュパネル100において、第2サイド壁部40の長さは、上記の全長L1,L2には含まれない。ただし、第2サイド壁部40における、全長L1に沿った長さ寸法と、全長L2に沿った長さ寸法とが同じ場合には、第2サイド壁部40の寸法を上記の式4における全長L1、L2に含めてもよい。
加えて、傾斜壁部20及び第1サイド壁部30間の、第3接続部13の延長方向に沿った隣接部分の全長をL3(mm)とし、この全長L3から第3接続部13の長さを除く切欠き(非接合部分)50の長さをL4(mm)として、下記の(式5)を満たす。なお、上記端縁50a,50bのように長さが互いに異なる場合には、それらの平均値を求めてL4とする。そして、求めたL4に第3接続部13の長さを加えることでL3とする。
0.8×L3<L4<0.9×L3・・・(式5)
さらに、この切欠き付きブランクB100(後述)において非接合部分となる各切欠きB50は、その端部における離間寸法をW1(mm)とした場合に、上述した全長L1(mm),L2(mm)に対し、下記の式6を満たす。ここで、離間寸法W1は、上記端縁50a,50b間の離間寸法である。
W1>L1-L2・・・(式6)
上記構成を持つダッシュパネル100によれば、傾斜壁部20及び第1サイド壁部30が主壁部10に一体に連なってかつ、傾斜壁部20及び第1サイド壁部30が主壁部10に対して共に同じ方向(前記一方側)に傾斜している。ここで、式4及び式5を満たす切欠き50が設けられている。式1を満たす場合、第2外形線OL2の全長L2が第1外形線OL1の全長L1に対して適度に短いことから、前述の切欠き50のY軸方向の大きさが適度に確保されていると言える。式2を満たす場合、前述の切欠き50が、第3接続部13に対して過度に小さすぎたり過度に大きすぎたりせず、切欠き50のY軸方向の大きさが適度に確保されていると言える。そのため、このダッシュパネル100を平板状の切欠き付きブランクB100からプレス成形によって得る際に、第3接続部13の延在方向に沿って傾斜壁部20及び第1サイド壁部30間が全て繋がっている場合に生じる、しわの発生を抑制できる。加えて、プレス成形の際、第3接続部13の位置には、傾斜壁部20及び第1サイド壁部30が互いに近付く圧縮方向の力が作用し、第3接続部13の位置に引っ張りが生じないため、割れも生じない。したがって、このダッシュパネル100の傾斜壁部20及び第1サイド壁部30間には、しわや割れが生じていない。
また、ダッシュパネル100は、引張強度が980MPa以上の鋼板からなる。このように、ダッシュパネル100が、成形性の低い高張力鋼板を切欠き付きブランクB100として製造された成形体であっても、プレス成形時の第3接続部13には圧縮方向の力が作用するため、割れが生じておらず、その健全性が確保されている。
また、ダッシュパネル100の板厚が1.2mmであり、0.8mm以上2.3mm以下の厚み範囲内にある。成形体の厚みをこの範囲とすることで、例えば本実施形態のダッシュパネル100のような自動車部品として、本発明を広く適用することができる。
また、ダッシュパネル100は、第1サイド壁部30を間に挟んで主壁部10と反対側に位置し、第1サイド壁部30に対し第4接続部(第4稜線)14を介して一体に連なる第2サイド壁部(第4領域部)40をさらに備える。そして、第2サイド壁部40が、主壁部10から傾斜壁部20に向かう並び方向に向かって、傾斜壁部20と同じ方向に傾斜する傾斜部となるサイド傾斜部40Bを含んでいる。
この構成によれば、傾斜壁部20及び第1サイド壁部30が形成された切欠き付きブランクB100において、傾斜壁部20の傾斜方向と同じ方向に向かって、第2サイド壁部40を主壁部10に対して相対的に移動させることで、第1サイド壁部30を形成することができる。ここで、第2サイド壁部40がサイド傾斜部40Bを含むため、例えば、第2サイド壁部40を主壁部10に対して相対的に移動させるときに併せて第2サイド壁部40にサイド傾斜部40Bを形成することで、第1サイド壁部30の形成時における第1サイド壁部30内の材料流れを、傾斜壁部20に向かわせることができる。そのため、得られたダッシュパネル100は、第3接続部13に圧縮方向の力が作用されながら成形されたものであるため、割れがより確実に抑制されている。
[成形体製造方法及び金型]
以下、図2~図4を参照して、ダッシュパネル100を製造するための成形体製造方法を説明する。図2は、本実施形態の成形体製造方法を説明するフローチャートである。図3Aは、同成形体製造方法で用いられる切欠き付きブランクB100の斜視図である。図3Bは、同成形体製造方法により得られた中間成形品の斜視図である。図3Cは、同成形体製造方法により得られた成形体であるダッシュパネル100の斜視図である。図4は、図3Aに示した切欠き付きブランクB100における第1領域対応部~第4領域対応部を説明するための平面図である。
図2に示すように、本実施形態の成形体製造方法は、切欠き付きブランク準備工程(準備工程)S1と、切欠き付きブランクセット工程(配置工程)S2と、中間成形体成形工程(第2領域部形成工程)S3と、最終成形体成形工程(第3領域部形成工程)S4と、成形体取り出し工程S5と、を有する。なお、成形体取り出し工程S5後に得られた成形体が、図1に示したダッシュパネル100である。
以下に、各工程の詳細を説明する。
(1)切欠き付きブランク準備工程S1
切欠き付きブランク準備工程では、板厚tが1.2mmで引張強度980MPaの高張力鋼板(金属板)を加工して、切欠き付きブランクB100を準備する。なお、板厚tとしてここでは1.2mmを例示しているが、必要に応じて、0.8mm以上2.3mm以下の厚み範囲内より選定してもよい。また、引張強度についても、必要に応じて980MPa超又は980MPa未満の鋼板を選定してもよい。
切欠き付きブランクB100の形成方法は、打ち抜き加工が好適であるが、打ち抜き加工に代えて、機械加工、プラズマ切断、レーザ切断など、その他の加工手段を採用してもよい。
切欠き付きブランクB100は、図3A及び図4に示すように、矩形形状とされた高張力鋼板(金属板)に、2箇所の切欠きB50が形成された外形を有する。
図4に示すように、切欠き付きブランクB100は、主壁対応部B10と、一対の傾斜壁対応部B20と、一対の第1サイド壁対応部B30と、一対の第2サイド壁対応部B40と、一対の切欠きB50と、一対の第1接続部対応部B11と、一対の第2接続部対応部B12と、一対の第3接続部対応部B13と、一対の第4接続部対応部B14と、を有する。
主壁対応部B10は、プレス成形後に主壁部10となる部位である。傾斜壁対応部B20は、プレス成形後に傾斜壁部20となる部位である。第1サイド壁対応部B30は、プレス成形後に第1サイド壁部30となる部位である。第2サイド壁対応部B40は、プレス成形後に第2サイド壁部40となる部位である。切欠きB50は、プレス成形後に切欠き50となる部位である。第1接続部対応部B11は、プレス成形後に第1接続部11となる部位である。第2接続部対応部B12は、プレス成形後に第2接続部12となる部位である。第3接続部対応部B13は、プレス成形後に第3接続部13となる部位である。第4接続部対応部B14は、プレス成形後に第4接続部14となる部位である。なお、第2サイド壁対応部B40の一部は、プレス成形時に移動して第1サイド壁部30の一部になる。
一対の切欠きB50は、切欠き付きブランクB100の幅方向(Y軸方向)中央に対し左右対称位置に配置されている。各切欠きB50は、それぞれ、傾斜壁対応部B20及び第1サイド壁対応部B30間に位置する。
一対の切欠きB50は、前記幅方向中央に対して対称形状を有する。ブランクB100において各切欠きB50が形成されていない方におけるY軸方向に沿った外形線(X軸方向の第1側の外形線)を符号E1で示し、ブランクB100において各切欠きB50が形成されている方におけるY軸方向に沿った外形線(X軸方向の第2側の外形線)を符号E2で示した場合、各切欠きB50は、外形線E2において開放している。
各切欠きB50は、傾斜壁対応部B20及び第1サイド壁対応部B30間に形成された三角形状の空間である。より具体的には、第1サイド壁対応部B30の端縁B50bと、傾斜壁対応部B20の端縁B50aとを二辺に持ち、なおかつ底辺が開放された三角形状の空間である。端縁B50a,B50bは、共に直線形状をなす。また、端縁B50aの方が端縁B50bよりも短い。端縁B50a,B50bは、それらの頂部において繋がっており、前記頂部が、小さな曲率半径を持つ円弧状となっている。前記頂部は、前記第3接続部対応部B13に連なっている。そして、第3接続部対応部B13の延長方向に沿って切欠きB50が形成されている。端縁B50aは、前記頂部に近付くにしたがって切欠き付きブランクB100の幅方向中央に近付くように傾斜している。同様に、端縁B50bも、前記頂部に近付くにしたがって切欠き付きブランクB100の幅方向中央に近付くように傾斜している。このように端縁B50a,B50bは同一方向に向かって傾斜しているが、これら端縁B50a,B50b間は、第3接続部対応部B13に最も近い前記頂部から離れるに従って幅寸法が徐々に広くなる逆V字形状をなしている。
切欠きB50の構成(位置、形状、大きさ)は、まず、切欠きB50が形成されていない矩形のブランクからダッシュパネル100を形成する場合を想定し、第1サイド壁部30を形成する際の材料流れによって発生すると予想されるしわの位置、形状、大きさを求めておき、この結果に基づいて設定する。ここで、しわの位置、形状、大きさは、CAE(computer aided engineering)による数値計算で求めてもよいし、または、実際に試作した結果に基づいて求めてもよい。
そして、しわが発生する部位を切欠きB50として設定する。これにより、第1サイド壁対応部B30をプレス成形する際の圧縮力を、切欠きB50を閉じる力として吸収できるので、傾斜壁対応部B20及び第1サイド壁対応部B30間に材料が集中してしわとなることを抑制できる。
切欠きB50は、逆V字形に限定されることなく、第1サイド壁部30を成形する際の材料流れ(材料の変位)に応じて設定することが可能である。また、切欠きB50は、最終製品となる前に除去される領域に含まれていることが好適である。例えば本実施形態では、図4にハッチングで示した部分が、トリミングプレス装置(不図示)を用いた後加工によって除去される。
(2)切欠き付きブランクセット工程S2
本工程では、切欠き付きブランク工程で得た切欠き付きブランクB100を、後述の金型D100にセットする。すなわち、図6に示すように、切欠き付きブランクB100を金型D100に配置して位置決めする。
(3)中間成形体成形工程S3
本工程では、前記金型によって、切欠き付きブランクB100をプレス成形して中間成形品W100を形成する。
本工程の説明の前に、図5の斜視図を参照しながら、金型(以下、金型D100)について説明する。
金型D100は、不図示のプレス成形装置に装着されて成形体製造装置を構成する。
金型D100は、上金型U100(第2金型)と、この上金型U100に対して矢印UD方向に沿って相対移動可能な下金型L100(第1金型)とを備える。
下金型L100は、符号P1に示す上下方向(Z軸方向)に移動可能なホルダL101と、ホルダL101のY軸方向における両側に配置されて符号P2に示す上下方向(Z軸方向)に移動可能な下パッドL102,L103(第1パッド)と、を備える。
ホルダL101は、ホルダ頂面L101a(第1領域ホルダ面)と、ホルダ第1傾斜面L101b(第2領域ホルダ面)と、ホルダ第2傾斜面L101c(第3領域ホルダ面)と、を備える。ホルダ頂面L101aには、切欠き付きブランクB100の主壁対応部B10が配置される。ホルダ第1傾斜面L101b及びホルダ第2傾斜面L101cは、いずれもホルダ頂面L101aに連なり、かつ、いずれもホルダ頂面L101aに対して傾斜している。ホルダ第1傾斜面L101bは、傾斜壁部20を成形する。ホルダ第2傾斜面L101cは、第1サイド壁部30を成形する。
下パッド102,103は、パッド頂面L102a,L103a(第4領域パッド面)を備える。パッド頂面L102a,L103aには、切欠き付きブランクB100の第2サイド壁対応部B40が載置される。
上金型U100は、上パッドU101(第2パッド)と、上パッドU101を吊り下げ支持するパッド緩衝機構(不図示)と、上パッドU101のY軸方向における両側に間隔をあけて配置されたダイスU102,U103と、ダイスU102,U103を吊り下げ支持するダイス緩衝機構(不図示)と、を備える。
上パッドU101は、パッド底面U101a(第1領域パッド面)と、パッド傾斜面U101b(第2領域パッド面)と、を備える。パッド底面U101aは、ホルダ頂面L101aに対向する。パッド傾斜面U101bは、ホルダ第1傾斜面L101bに対向する。
ダイスU102,U103は、ダイス第1底面U102a,U103a(第4領域ダイス面)と、ダイス第2底面U102b,U103b(第3領域ダイス面)と、を備えている。ダイス第1底面U102a,U103aは、パッド頂面L102a,L103aに対向する。ダイス第2底面U102b,U103bは、ホルダ第2傾斜面L101cに対向する。
前記パッド緩衝機構及び前記ダイス緩衝機構は、プレス成形時の力を受け止める機構であり、プレスクッション、ガスシリンダ、バネなどを採用できる。
金型D100の上記各構成は、主壁形成部D10と、傾斜壁成形部D20と、第1サイド壁成形部D30と、第2サイド壁成形部D40と、第1接続部成形部D11と、第2接続部成形部D12と、を構成する。
主壁形成部D10は、図1に示したダッシュパネル100のうちの主壁部10を形成する部分である。傾斜壁成形部D20は、ダッシュパネル100のうちの傾斜壁部20を形成する部分である。第1サイド壁成形部D30は、ダッシュパネル100のうちの第1サイド壁部30を形成する部分である。第2サイド壁成形部D40は、ダッシュパネル100のうちの第2サイド壁部40を形成する部分である。第1接続部成形部D11は、ダッシュパネル100のうちの第1接続部11を形成する部分である。第2接続部成形部D12は、ダッシュパネル100のうちの第2接続部12を形成する部分である。
主壁形成部D10、傾斜壁成形部D20、第1サイド壁成形部D30、第2サイド壁成形部D40、第1接続部成形部D11、第2接続部成形部D12は、下金型L100に形成された各成形面と、上金型U100に形成された各成形面とが互いに対向することによって構成される。
すなわち、主壁形成部D10、傾斜壁成形部D20、第1接続部成形部D11は、図5に示すように、ホルダL101の成形面と上パッドU101の成形面により構成されている。例えば、主壁形成部D10は、ホルダ頂面L101aと、パッド底面U101aと、によって構成される。傾斜壁成形部D20は、ホルダ第1傾斜面L101bと、パッド傾斜面U101bと、によって構成される。また、第2接続部成形部D12は、ホルダL101のY軸方向における両側に形成されたエッジにより構成されている。
また、第1サイド壁成形部D30は、ホルダL101の成形面とダイスU102,U103の各成形面とにより構成されている。第1サイド壁成形部D30は、ホルダ第2傾斜面L101cと、ダイス第2底面U102b,U103b(第3領域ダイス面)と、によって構成される。
なお、第1サイド壁成形部D30は、凹曲面壁部30Aを成形する凹曲面壁部D30Aと、凸曲面壁部30Bを成形する凸曲面壁部D30Bとを備える。これら凹曲面壁部D30A及び凸曲面壁部D30Bは、共に、ホルダL101のY軸方向における両側部と、ダイスU102及びダイスU103とに形成されている。
第2サイド壁成形部D40は、下パッドL102,L103の各成形面と、ダイスU102,U103の各成形面とにより構成されている。第2サイド壁成形部D40は、パッド頂面L102a,L103aと、ダイス第1底面U102a,U103aと、によって構成される。
上記金型D100は、更にドロービードD50(材料流れ制御手段)を備えている。ドロービードD50は、中間成形品W100の第2サイド壁対応部W40を部分的に強く挟圧する。この挟圧により、第1サイド壁対応部W30から第1サイド壁部30を形成する際に、第1サイド壁対応部W30から傾斜壁対応部W20に向かう材料流れを制御する。
ドロービードD50は、X軸方向に沿って長い凸状体であり、下パッドL102上に、X軸方向に沿って一対が並んで配置されている。同様に、下パッドL103上にも、一対のドロービードD50がX軸方向に沿って並んで配置されている。一対のドロービードD50は、下パッドL102及びダイスU102の一方だけに設けてもよいし、または両方に設けてもよい。同様に、下パッドL103及びダイスU103の一方だけに設けてもよいし、または両方に設けてもよい。ドロービードD50は、第2サイド壁成形部D40(パッド頂面L102a,L103a、ダイス第1底面U102a,U103a)に設けられている。
以上説明の構成を有する金型D100を用いて、図3Aに示したブランクB100から図3Bに示す中間成形品W100を成形する本工程(中間成形体成形工程S3)を、図6及び図7を用いて説明する。
まず、前工程で図6を用いて説明したように、下金型L100上に切欠き付きブランクB100をセットする。下金型L100に切欠き付きブランクB100をセットする際には、例えば、第1接続部成形部D11や第2接続部成形部D12を基準として位置決めすることが好ましい。
次に、図7に示すように、下金型L100を矢印UD方向に上昇させる。これにより、上金型U100及び下金型L100間に切欠き付きブランクB100を挟み込んでプレス成形する。
すなわち、上パッドU101及びダイスU102,U103を同じ高さ位置に配置した状態で、切欠き付きブランクB100が載置されたホルダL101及び下パッドL102,L103を、同時に上方に向かって移動させる。そして、上金型U100及び下金型L100間を完全に閉じることにより、中間成形品W100が形成される。
中間成形品W100は、図3Bに示すように、主壁対応部W10と、主壁対応部W10に第1接続部対応部W11を介して接続された傾斜壁対応部W20と、主壁対応部W10に第2接続部対応部W12を介して接続された第1サイド壁対応部W30とを備えている。
以上により、中間成形体成形工程S3が完了するが、金型D100は閉じたまま次工程に移る。
(4)最終成形体成形工程S4
本工程では、前工程で得た中間成形品W100を、金型D100にセットしたままの状態で、さらにプレス成形(パッド絞り成形)してダッシュパネル100を得る。
以下、図8を含めて図面を参照しながら本工程の詳細を説明する。なお、図8は、図7に示す状態の後、下パッドL102及びダイスU102の組み合わせと、下パッドL103及びダイスU103の組み合わせとを、ホルダL101及び上パッドU101の組み合わせに対して相対的に下降させるパッド絞り成形を行うことにより、ダッシュパネル100を成形した状態を示す斜視図である。
本工程は、上記中間成形体成形工程S3が終了した状態から開始される。
中間成形体成形工程S3が終了した状態の中間成形品W100は、図7に示すように、主壁対応部W10及び傾斜壁対応部W20がホルダL101及び上パッドU101間に保持されている。また、左右の第1サイド壁対応部W30は、ダイスU102及び下パッドL102間と、ダイスU103及び下パッドL103間とのそれぞれにおいて挟圧されている。
次に、ホルダL101及び上パッドU101に対して、ダイスU102及び下パッドL102と、ダイスU103及び下パッドL103とを、図8の矢印TP1方向に下降させる。この結果、第1サイド壁部30が形成されてダッシュパネル100が製造される。
第1サイド壁部30を成形する際、第2サイド壁対応部W40は、ドロービードD50によって強く挟圧されている。これにより、第2サイド壁対応部W40内においてドロービードD50で挟圧されている部分とその周囲部分との間において挟圧の度合いに差が生じる。これにより、第1サイド壁対応部W30から第1サイド壁部30を形成する際に、第1サイド壁対応部W30から傾斜壁対応部W20に向かう方向に材料流れを形成することができる。
以下、本工程において凹曲面壁部30Aが成形されていく過程を、図9~図10Dを参照して説明する。
図9は、金型D100を用いた成形体製造方法において第1サイド壁部30が形成されていく過程の詳細を説明する部分拡大斜視図である。図10Aは、第1サイド壁部30が形成されていく初期の段階を説明する部分拡大図であって、(a)が縦断面図で(b)が斜視図である。図10Bは、図10Aの続きを説明する部分拡大図であって、(a)が縦断面図で(b)が斜視図である。図10Cは、図10Bの続きを説明する部分拡大図であって、(a)が縦断面図で(b)が斜視図である。図10Dは、図10Cの続きを説明する部分拡大図であって、(a)が縦断面図で(b)が斜視図である。
上述したように、第1サイド壁対応部W30を第1サイド壁部30に成形する際には、第2サイド壁対応部W40をドロービードD50によって部分的に強く挟圧する。
この挟圧を維持したままプレス成形を進めていくと、図9に示すように、第1サイド壁対応部W30の形状が徐々に変化していく。ここで、図9に示す符号WL1、WL2、WL3、WL4は、それぞれ、中間成形品W100の時点(符号WL1)から始まって符号WL2(第1段階)、符号WL3(第2段階)、そしてダッシュパネル100の時点(符号WL4)の順番に外形が変化していく様子を示している。同様に、図9に示す符号ML2、ML3は、凹曲面壁部30Aが徐々に形成されていく過程を示しており、符号ML2が前記第1段階に対応し、符号ML3が前記第2段階に対応する。
まず、図10A(a)に示すように、凹曲面壁部30Aの形成開始前は、中間成形品W100の第1サイド壁対応部W30を示す断面は、Y軸方向に沿って見たときに、主壁対応部W10と傾斜壁対応部W20とが第1接続部対応部W11において連なった断面形状を有している。
次に、図10B(a)に示すように、凹曲面壁部30Aが形成され始めた前記第1段階では、凹曲面壁部30Aが形成されていく途上の成形線ML2が形成される。
ここで、中間成形品W100の第1サイド壁対応部W30に形成された屈曲部(凹曲面壁部30Aが形成される前の状態における屈曲部)をなす2直線の各寸法G11とG12の合計寸法と、成形線ML2の寸法G13の寸法差(G11+G12>G13)によって肉余りが生じる。このような肉余りはしわの原因となるが、本実施形態では前もって切欠きW50を形成しているため、しわの発生が抑制される。
すなわち、図10B(b)の矢印T50に示すように、第1サイド壁対応部W30の端縁B50aが端縁B50bに向かって移動し、切欠きW50の間隔が縮小する。その結果、第1サイド壁対応部W30に形成された肉余りに起因したしわ等の面外変形が生じたり、過度の圧縮応力が発生したりすることが抑制される。
次に、図10C(a)に示すように、凹曲面壁部30Aの形成が進んだ前記第2段階では、凹曲面壁部30Aが形成されていく途上の成形線ML3が形成される。
ここで、中間成形品W100の第1サイド壁対応部W30に形成された屈曲部をなす2直線の各寸法G11とG12の合計寸法と、成形線ML3の寸法G14の寸法差(G11+G12>G14)によってさらに大きな肉余りが生じる。
しかし、図10C(b)の矢印T50に示すように、第1サイド壁対応部W30の端縁B50aが端縁B50bに向かってさらに移動し、切欠きW50の間隔がさらに縮小する。その結果、しわや過度の圧縮応力がこの時点でも抑制され続ける。
次に、図10D(a)に示すように、さらにプレス成形を進めて行くと、凹曲面壁部30Aを有する稜線15および第3接続部13が形成される。この時点でも、図10D(b)の矢印T50に示すように、第1サイド壁対応部W30の端縁B50aが端縁B50bに向かってさらに移動するが、切欠きW50の間隔がさらに縮小することで肉余り発生が抑制され続ける。しかも、第3接続部13においては圧縮方向の力しか作用しないため、割れも生じない。したがって、複雑な形状を持ちながらも、割れやしわの発生が抑制されたダッシュパネル100の製造が可能になる。
以上説明のように、本実施形態の成形体製造方法は、以下に纏めるとおり、切欠き付きブランク準備工程(準備工程)S1と、中間成形体成形工程(第2領域部形成工程)S3と、最終成形体成形工程(第3領域部形成工程)S4と、を行う。
切欠き付きブランク準備工程S1では、切欠き付きブランクB100を準備する。この切欠き付きブランク準備工程S1は、矩形のブランクに切欠きB50を形成する切欠き形成工程を含む。このようにして準備された切欠き付きブランクB100は、主壁部(第1領域部)10に対応する主壁対応部(第1領域対応部)B10と、傾斜壁部(第2領域部)20に対応する傾斜壁対応部(第2領域対応部)B20と、第1サイド壁部(第3領域部)30に対応する第1サイド壁対応部(第3領域対応部)B30と、第2サイド壁部(第4領域部)40に対応する第2サイド壁対応部(第4領域対応部)B40と、前記非接合部分に対応する切欠きB50と、を有する。
中間成形体成形工程(第2領域部形成工程)S3では、主壁対応部W10に対して傾斜壁対応部W20を前記一方側に傾斜させる。
最終成形体成形工程(第3領域部形成工程)S4では、主壁対応部W10に対する傾斜壁対応部W20の傾斜を固定したまま、主壁対応部W10に対し、第1サイド壁対応部W30を前記一方側に向かって相対移動させる。この時、第2サイド壁対応部W40をドロービード(材料流れ制御手段)D50によって拘束しながら前記相対移動させることにより、第1サイド壁対応部W30から切欠きW50に向かう材料流れを形成する。
上記成形体製造方法によれば、まず切欠き付きブランク準備工程S1で、切欠きB50を有する切欠き付きブランクB100を準備する。続いて中間成形体成形工程S3では、切欠き付きブランクB100に傾斜壁部20を形成する。続いて最終成形体成形工程S4では、切欠き付きブランクB100に第1サイド壁部30を形成する。この時、切欠き付きブランクB100に、非接合部分に対応する位置に切欠きB50があるため、切欠きB50が無い場合に生じるしわの発生を抑制できる。加えて、切欠き付きブランクB100のうち、切欠きB50に連なって第3接続部(第3稜線)13となる位置には、圧縮方向の力が作用するため、割れも生じない。したがって、この成形体製造方法によれば、傾斜壁部20及び第1サイド壁部30間にしわや割れが生じない。
なお、本実施形態では、切欠き付きブランク準備工程S1において矩形のブランクに切欠きB50を形成したが、切欠きB50を形成するタイミングを、例えば以下のように変えてもよい。
すなわち、この場合の成形体製造方法は、準備工程と、中間成形体成形工程(第2領域部形成工程)と、切欠き形成工程と、最終成形体成形工程(第3領域部形成工程)と、を行う。
前記準備工程では、切欠きB50が形成されていない矩形のブランクを準備する。このブランクは、主壁部(第1領域部)10に対応する主壁対応部(第1領域対応部)B10と、傾斜壁部(第2領域部)20に対応する傾斜壁対応部(第2領域対応部)B20と、第1サイド壁部(第3領域部)30に対応する第1サイド壁対応部(第3領域対応部)B30と、第2サイド壁部(第4領域部)40に対応する第2サイド壁対応部(第4領域対応部)B40と、を有する。
前記中間成形体成形工程(第2領域部形成工程)では、上記実施形態と同様に、主壁対応部W10に対して傾斜壁対応部W20を前記一方側に傾斜させる。この後、前記ブランクを金型D100から一旦取り出す。
前記切欠き形成工程では、金型D100から取り出した前記ブランクに対し、傾斜壁対応部W20及び第1サイド壁対応部W30間の位置に、前記非接合部分に対応する切欠きB50を形成する。
最終成形体成形工程(第3領域部形成工程)S4では、上記実施形態と同様に、主壁対応部W10に対する傾斜壁対応部W20の傾斜を固定したまま、主壁対応部W10に対し、第1サイド壁対応部W30を前記一方側に向かって相対移動させる。
この成形体製造方法によっても、傾斜壁部20及び第1サイド壁部30間にしわや割れが生じない。
<成形条件設定方法>
次に、図11~図13を参照して、本実施形態に係る切欠き付きブランクB100、ドロービードD50に係る成形条件、切欠き付きブランクB100の構成、ドロービードD50の構成を設定する手順について、説明する。
以下、図11を参照して、成形条件設定方法の一例を説明する。図11は、成形条件設定手順の一例を説明するフローチャートである。
まず、ダッシュパネル100の構成と、切欠付きブランクB100の構成と、第1プレス成形条件と、ドロービードD50の構成と、第2プレス成形条件とを設定する(ステップS11)。
ここで、ダッシュパネル100の構成としては、例えば、ダッシュパネル100の三次元形状、材料特性、肉厚(又は肉厚分布)等が対象となる。ダッシュパネル100の肉厚は、例えば、切欠付きブランクB100の板厚で代用可能である。
材料特性としては、例えば、ヤング率、降伏強度(耐力)、引張試験における応力と歪の関係(応力-歪曲線等)が対象となる。材料特性が既知である場合には、材料特性に代えて、金属材料の材質等を設定してもよい。
切欠付きブランクB100の構成としては、鋼板(金属板)の板厚、鋼種(材質)、外形形状(切欠きW50を除く)、切欠きW50の構成(例えば、形状、配置等)が対象とされる。
第1プレス成形条件としては、例えば、中間成形体成形工程において金型D100が中間成形品W100を成形するための三次元形状等が対象となる。
ドロービードD50の構成としては、最終成形体成形工程において金型D100が中間成形品W100からダッシュパネル100を成形する際の、ダッシュパネル100を成形するための三次元形状や、第2サイド壁対応部W40に対する挟圧状態(例えば、ドロービードD50の配置、ドロービードD50の幅、高さ、断面形状等)が対象とされる。
第2プレス成形条件としては、最終成形体成形工程において用いる金型D100の三次元形状や、中間成形品W100からダッシュパネル100に成形する際の第2サイド壁対応部W40の形状変化等が対象とされる。
なお、必要に応じて、ダッシュパネル100の構成、切欠付きブランクB100の構成、第1プレス成形条件、ドロービードD50の構成、第2プレス成形条件に、種々の条件を付加してもよい。また、それぞれの設定条件の内容は、必要に応じて任意に設定できる。
ステップS11を実施したら、ステップS12に移行する。
次に、中間成形品W100の構成を算出する(ステップS12)。
中間成形品W100の構成は、例えば、切欠付きブランクB100の構成、中間成形体成形工程における第1プレス成形条件に基づいて有限要素法を用いて算出する。
中間成形品W100の構成としては、例えば、中間成形品W100の三次元形状、中間成形品W100における成形用切欠きW50の形状、位置等が対象とされる。
なお、中間成形品W100の構成を算出する際に、有限要素法に代えて実験結果による算出等、有限要素法以外の手法によって中間成形品W100の構成を算出してもよい。
ステップS12を実施したら、ステップS13に移行する。
次いで、ダッシュパネル100の第1サイド壁対応部W30における応力を算出する(ステップS13)。
最終成形体成形工程でダッシュパネル100を成形する際に第1サイド壁対応部W30に発生する応力は、例えば、中間成形品W100の構成、ダッシュパネル100の構成、ドロービードD50の構成、第2プレス成形条件に基づいて有限要素法を用いて算出する。
第1サイド壁対応部W30における応力の算出は、例えば、中間成形品W100の構成及びドロービードD50の構成から、最終成形体成形工程において金型D100が中間成形品W100からダッシュパネル100を成形する際に、中間成形品W100に対する金型D100の接触(押圧)順序、押圧力の分布、ドロービードD50による材料流れの制御状態から材料流れを算出し、その結果に基づいて、成形されたダッシュパネル100の第1サイド壁対応部W30における応力分布を算出する。
なお、ダッシュパネル100の第1サイド壁対応部W30における応力を算出する際に、有限要素法に代えて実験結果による算出等、有限要素法以外の手法によって第1サイド壁対応部W30に発生する応力を算出してもよい。
ステップS13を実施したら、ステップS14に移行する。
次に、ダッシュパネル100における第1サイド壁対応部W30の応力を評価する(ステップS14)。
第1サイド壁対応部W30の応力評価は、「第1サイド壁対応部W30の応力 ≦ 設定圧縮応力」であるかどうかにより行う。
「第1サイド壁対応部W30の応力 ≦ 設定圧縮応力」である(ステップS14:Yes)場合には、ステップS11で設定した成形条件を設定してフローチャートを終了する。また、「第1サイド壁対応部W30の応力 ≦ 設定圧縮応力」でない(ステップS14:No)場合にはステップS15に移行する。
切欠き付きブランクB100の構成、ドロービードD50の構成を見直す(ステップS15)。
切欠き付きブランクB100の構成、ドロービードD50の構成を見直す場合には、第1サイド壁対応部W30の応力分布等を考慮して、切欠き付きブランクB100の構成とドロービードD50の構成のいずれか、又は切欠き付きブランクB100の構成とドロービードD50の構成の双方を見直してもよい。
ステップS15を実施したらステップS11に移行する。
上記ステップS11~ステップS15を繰り返して実行する。
なお、上記成形条件の設定方法では、切欠き付きブランクB100の構成、ドロービードD50の構成の両方を見直し可能であることを前提としている。しかしながら、以下に示す変形例のように、切欠き付きブランクB100の構成と、ドロービードD50の構成と、のうちの一方のみを見直しすることを前提として、成形条件の設定方法することも可能である。
<切欠き付きブランクB100の構成の設定>
次に、図12を参照して、予めドロービードD50の構成を設定(固定)して、そのドロービードD50に適した切欠き付きブランクB100の構成を決定する手順の一例について説明する。図13は、第1実施形態に係る予めドロービードD50の構成を設定してから切欠き付きブランクB100の構成を決定する手順の一例を示すフローチャートである。
図12に示すフローチャートにおけるステップS21~S25は、それぞれ、図11に示すフローチャートにおけるS11~S15に対応する。
両者の相違点として、ステップS21において各条件を設定するときに、まず、切欠き付きブランクB100の構成を仮の構成とし、ドロービードD50の構成を固定された構成とする点が挙げられる。
その後、ステップS24:Noとなり、ステップS25に移行した場合には、切欠き付きブランクB100の構成のみを見直し、ドロービードD50の構成は見直さない。
<ドロービードD50の構成の設定>
次に、図13を参照して、予め切欠き付きブランクB100の構成を設定(固定)して、その切欠き付きブランクB100の構成に応じたドロービードD50の構成を決定する手順の一例について説明する。図13は第1実施形態に係る予め切欠き付きブランクB100の構成を設定してドロービードD50の構成を決定する手順の一例を示すフローチャートである。
図13に示すフローチャートにおけるステップS31~S35は、それぞれ、図11に示すフローチャートにおけるS11~S15に対応する。
両者の相違点として、ステップS31において各条件を設定するときに、まず、ドロービードD50の構成を仮の構成とし、切欠き付きブランクB100の構成を固定された構成とする点が挙げられる。
その後、ステップS34:Noとなり、ステップS35に移行した場合には、ドロービードD50の構成のみを見直し、切欠き付きブランクB100の構成は見直さない。
本実施形態に係るダッシュパネル100、成形体製造方法によれば、切欠き付きブランク形成工程において、切欠きB50が形成された切欠き付きブランクB100を準備し、中間成形体成形工程(第2領域部形成工程)において、切欠き付きブランクB100から中間成形品W100を形成し、成形体成形工程(第3領域部形成工程)において、中間成形品W100の主壁対応部W10及び傾斜壁対応部W20を保持して、中間成形品W100の第1サイド壁対応部W30を主壁対応部W10に対して下方に相対移動させてダッシュパネル100を成形する際に、第1サイド壁対応部W30をドロービードD50によって挟圧するとともに第1サイド壁対応部W30に切欠きW50に向かう材料流れを生じさせるので、第1サイド壁対応部W3030に圧縮応力が生じるのが抑制され、第1サイド壁部30にしわ等の面外変形が発生するのを抑制することができる。
その結果、ダッシュパネル100を、所望の品質を確保しつつ効率的かつ安定して製造することができる。
また、絞り成形が困難なダッシュパネル100(製品)の強度を効率的に向上することができる。
また、本実施形態に係るダッシュパネル100、成形体製造方法によれば、成形体成形工程において、中間成形品W100の第1サイド壁対応部W30が凹曲面壁部30Aに成形される際に肉余りが生じても、切欠きW50の第1サイド壁対応部W30側の縁部が矢印T50方向に変位するので、第1サイド壁対応部W30にしわ等の面外変形が生じたり、圧縮応力が発生したりするのが抑制される。
また、本実施形態に係るダッシュパネル100、成形体製造方法によれば、成形体成形工程において、中間成形品W100の第1サイド壁対応部W30に発生する圧縮応力を、所定値(例えば、しわが形成される圧縮応力(許容可能な圧縮応力))以下に制御するので、ダッシュパネル100の第1サイド壁部30の品質を確実に確保することができる。
また、本実施形態に係るダッシュパネル100、成形体製造方法によれば、切欠きW50が後工程で除去されるため、ダッシュパネル100が製品や部品としてとして流通する際に残留しないように構成されているので、ダッシュパネル100を設計する際の自由度を向上することが可能となり、製品や部品の性能、強度を充分に発揮することができる。
また、本実施形態に係るダッシュパネル100、成形体製造方法によれば、引張強度980MPa以上の高張力鋼からなる鋼板を絞り成形して形成することが困難なダッシュパネル100を安定して成形することができる。
また、本実施形態に係る成形条件設定方法によれば、第1サイド壁対応部W30における材料流れを算出することにより、切欠き付きブランクB100の構成、ドロービードD50の構成を効率的に決定することができる。
また、本実施形態に係る切欠き付きブランクB100の構成の設定方法によれば、予め決定したドロービードD50の構成に基づいて第1サイド壁対応部W30における材料流れを算出することにより切欠き付きブランクB100の構成を決定するので、切欠き付きブランクB100の構成を効率的に決定することができる。
また、本実施形態に係るドロービードD50の構成の設定方法によれば、予め決定した切欠き付きブランクB100の構成に基づいて第1サイド壁対応部W30における材料流れを算出することによりドロービードD50の構成を決定するので、ドロービードD50の構成を効率的に決定することができる。
<第2実施形態>
以下、図14を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図14は、第2実施形態に係る成形体製造工程の概略を説明するフローチャートである。
本実施形態に係る成形体製造工程は、図14に示すように、切欠き付きブランク準備工程(ステップS101)と、中間成形体成形工程(第2領域部形成工程)(ステップS102)と、成形体成形工程(第3領域部形成工程)(ステップS103)とを備えている。図14に示す「切欠き付きブランクをセット」、「中間成形品をセット」、「成形体取り出し」は、それぞれ、中間成形体成形工程(ステップS102)、成形体成形工程(ステップS103)におけるハンドリングを示している。
本実施形態に係る成形体製造工程では、ダッシュパネル100を製造する際に、中間成形体成形工程と最終成形体成形工程を同一ステーションで成形する金型D100を用いたのに対して、第1成形工程で切欠き付きブランクB100から中間成形品W100を形成する第1プレス成形型と、第2成形工程で中間成形品W100からダッシュパネル100を形成する第2プレス成形型とを準備して、第1プレス成形型によって中間成形品W100を形成し、第1プレス成形型から取り出した中間成形品W100を第2プレス成形型にセットし、第2プレス成形型によってプレス成形(パッド絞り成形)してダッシュパネル100を形成するように構成されている。
第1プレス成形型は、上記第1実施形態に係る中間成形体成形工程で中間成形品W100を形成し終えた成形形状部を備えている。
また、第2プレス成形型は、上記第1実施形態に係る成形体成形工程において中間成形品W100からダッシュパネル100を形成する際に用いられる成形形状部及び機能を備えている。
その他は、上記第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
<第3実施形態>
以下、図15、図16A~図16Dを参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
図15は、本実施形態に係る金型を用いた成形体製造方法を説明するための斜視図である。図16A~図16Dは、第3実施形態に係る金型を用いた成形体製造方法における第1領域部形成工程~第4領域部形成工程を説明する斜視図である。
なお、この第3実施形態に係る金型D500においては、第1実施形態に係る金型D100における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態の金型D500は、不図示のプレス成形装置に装着されて成形体製造装置を構成する。金型D500は、図15に示すように、上金型U500と、この上金型U500と矢印UD方向に沿って相対移動可能な下金型L100とを備える。
金型D500は、図4に示した切欠き付きブランクB100から、図1に示したダッシュパネル(成形体)100を製造する金型である。
下金型L100は、第1実施形態に係る金型D100と同様に、ホルダL101と、下パッドL102,L103と、を備えている。
上金型U500は、上パッドU501と、ダイスU102,U103と、を備えている。ダイスU102,U103については、第1実施形態に係る金型D100と同様の構成である。一方、上パッドU501は、パッド底面U101aを有する先行パッドU501Aと、パッド傾斜面U101bを有する後行パッドU501Bと、を備えている。これらの先行パッドU501Aと後行パッドU501Bとは、互いに独立して昇降可能である。
第1実施形態に係る金型D100では、上パッドU101が一体的であったため、金型D100と金型D500とでは、上パッドU101,U501について構成が異なっている。
この金型D500を用いて切欠き付きブランクB100よりダッシュパネル100を製造する場合、基本的には、上記第1実施形態に係る製造方法と同様に、(1)切欠き付きブランク準備工程S1、(2)切欠き付きブランクセット工程S2、(3)中間成形体成形工程S3、(4)最終成形体成形工程S4を実施する。ただし、上記第1実施形態に係る製造方法と同様に、切欠きB50を形成するタイミングを、中間成形体成形工程S3と最終成形体成形工程S4との間にすることも可能である。
以下、本実施形態に係る製造方法について、上記第1実施形態に係る主たる相違点を中心に説明する。
本実施形態に係る製造方法では、(2)切欠き付きブランクセット工程S2において、図15に示すように、上金型U500において、先行パッドU501Aを、後行パッドU501Bに対して下方(下金型L100寄り)に位置させていてもよい。
その後、(3)中間成形体成形工程S3において、先行パッドU501AをホルダL101に向けて移動させることで、図16Aに示すように、主壁対応部B10をホルダL101及び先行パッドU501間に挟み込んで固定する(ブランク固定工程)。
続いて、後行パッドU501Bを、ホルダL101に向けて移動させる。これにより、図16Bに示すように、切欠き付きブランクB100に主壁部10及び傾斜壁部20が形成される。
次いで、ダイスU102、U103の組み合わせを、下パッドL102,L103の組み合わせに向けて移動させる。これにより、図16Cに示すように、第2サイド壁対応部B40がパッド頂面L102a、L103a及びダイス第1底面U102a、U103a間に挟み込まれる。
その後、(4)最終成形体成形工程S4において、図16Dに示すように、ホルダL101及び上パッドU501の組み合わせに対して下パッドL102、L103及びダイスU102、U103の組み合わせを、前記一方側に向かって相対移動させる(第3領域部形成工程)。これにより、第1サイド壁部30及び第2サイド壁部40が形成される。
<第4実施形態>
以下、図17~図20を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。
図17は、本実施形態に係る金型を用いた成形体製造方法を説明するための斜視図である。図18~図20は、本実施形態に係る金型を用いた成形体製造方法を説明する図である。
なお、この第4実施形態に係る金型D600においては、第3実施形態に係る金型D500における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態の金型D600は、不図示のプレス成形装置に装着されて成形体製造装置を構成する。金型D600は、図17に示すように、上金型U500と、この上金型U500と矢印UD方向に沿って相対移動可能な下金型L600とを備える。
金型D600は、図4に示した切欠き付きブランクB100から、図1に示したダッシュパネル(成形体)100を製造する金型である。
上金型U500は、第3実施形態に係る金型D500と同様に、上パッドU501と、ダイスU102,U103と、を備えている。ただし、上パッドU501については、第1実施形態に係る金型D100の上パッドU101と同様の構成であってもよい(つまり上パッドが、先行パッドU501Aと後行パッドU501Bとに分割されていない構成であってもよい)。
下金型L600は、ホルダL601と、下パッドL102,L103と、を備えている。下パッドL102,L103については、第1実施形態に係る金型D100と同様の構成である。一方、ホルダL601は、ホルダ頂面L101aを有するブランクホルダL601Aと、ブランクホルダL601Aに隣接配置されホルダ第2傾斜面L101cを有するパンチL601Bと、を備えている。これらのブランクホルダL601AとパンチL601Bとは、互いに独立して昇降可能である。なお本実施形態では、ブランクホルダL601Aは、ホルダ第1傾斜面L101bを更に備える。また本実施形態では、一対のパンチL601Bが、ブランクホルダL601Aを間に挟んで対称に設けられている。
第3実施形態に係る金型D500では、ホルダL101が一体的であったため、金型D500と金型D600とでは、ホルダL101,L601について構成が異なっている。
この金型D600を用いて切欠き付きブランクB100よりダッシュパネル100を製造する場合、基本的には、上記第1実施形態や上記第3実施形態に係る製造方法と同様に、(1)切欠き付きブランク準備工程S1、(2)切欠き付きブランクセット工程S2、(3)中間成形体成形工程S3、(4)最終成形体成形工程S4を実施する。ただし、上記第1実施形態や上記第3実施形態に係る製造方法と同様に、切欠きB50を形成するタイミングを、中間成形体成形工程S3と最終成形体成形工程S4との間にすることも可能である。
以下、本実施形態に係る製造方法について、上記第3実施形態に係る主たる相違点を中心に説明する。
本実施形態に係る製造方法では、(3)中間成形体成形工程S3において、図18に示すように、パッドU501(先行パッドU501A、後行パッドU501B)及びダイスU102、U103の組み合わせを、ホルダL601及び下パッドL102,L103の組み合わせに向けて移動させる。これにより、切欠き付きブランクB100に主壁部10及び傾斜壁部20が形成され、かつ、第2サイド壁対応部B40がパッド頂面L102a、L103a及びダイス第1底面U102a、U103a間に挟み込まれる。なおこのとき、パンチL601Bは、ブランクホルダL601Aに対して下方に配置されている。
その後、(4)最終成形体成形工程S4において、図19に示すように、ブランクホルダL601A及び上パッドU501の組み合わせに対して下パッドL102、L103及びダイスU102、U103の組み合わせを、前記一方側(下方)に向かって相対移動させる。また図20に示すように、パンチL601Bを、ブランクホルダL601A及び上パッドU501に対して、前記一方側とは反対向き(上方)に相対的に移動させる。これにより、切欠き付きブランクB100の第1サイド壁対応部W30がホルダ第2傾斜面L101c及びダイス第2底面U102b,U103bに挟持される。これにより、第1サイド壁部30及び第2サイド壁部40が形成される。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、上記実施形態においては、成形体が、ダッシュパネル100である場合について説明したが、その他の種々の製品や部品に適用可能である。
また、ダッシュパネル100の主壁部10や傾斜壁部20に凸形状や凹形状、孔等が形成されていてもよい。また、切欠き付きブランクB100に孔等が形成されていてもよい。
また、上記実施形態においては、中間成形品W100の第1サイド壁対応部W30に形成された第1接続部対応部W11の延長上にある屈曲を反対側に向かって膨出する凹曲面壁部30Aに成形する場合について説明したが、ドーム状壁部に成形するかどうかは任意に設定することが可能であり、第1サイド壁対応部W30を成形する際に余肉が生じる種々のダッシュパネル100に適用することができる。また、余肉が生じないダッシュパネル100に対して適用してもよい。
すなわち、ダッシュパネル100がドーム状壁部を備えるかどうか、第1サイド壁部30をどのような3次元形状とするかについては任意に設定できる。
また、上記実施形態においては、金型D100が主壁部10と直交する方向に進退してダッシュパネル100を成形する場合について説明したが、金型D100が主壁部10に対して進退(相対移動)する方向は任意に設定することが可能であり、例えば、金型D100が主壁部10に対して直交方向に対して傾斜する方向に移動して中間成形品、ダッシュパネル100を成形してもよい。
上記実施形態では、図1に示したダッシュパネル100において、ハッチングで示した部分を後工程で除去するものとした。しかし、この形態のみに限らず、第2サイド壁部40及び切欠き50を部品として残してもよい。
また、上記実施形態においては、成形条件設定、切欠き付きブランクB100の構成、ドロービードD50の構成を設定する際に、図11~図13に示すフローチャートを適用する場合について説明したが、図11~図13に示すフローチャートは例示であり、設定手順については必要に応じて任意に設定することができる。また、設定する設定条件や設定条件の内容については、適宜設定することが可能である。
また、上記実施形態においては、成形条件設定、切欠き付きブランクB100の構成、ドロービードD50の構成を設定する際に、中間成形品の構成、ダッシュパネル100の第1サイド壁部30における応力を有、限要素法を用いて算出する場合について説明したが、例えば、実験による算出等、有限要素法以外の手法によって算出してもよい。
また、上記第1実施形態においては、パッド絞り成形により塑性加工する場合について説明したが、本発明と同様の作用を有する種々のプレス成形型に適用してもよい。
また、上記実施形態においては、金型D100によって中間成形品W100を成形する場合に、上金型U100が下金型L100に対して前進する場合について説明したが、例えば、下金型L100が上金型U100に対して上昇してもよいし、上金型U100と下金型L100が互いに相対移動する構成としてもよい。
また、上記実施形態においては、金型D100によってダッシュパネル100を成形する場合に、下パッドL102、L103及びダイスU102、U103がホルダL101及び上パッドU101に対して下降する場合について説明したが、例えば、ホルダL101及びブランクホルダがU101下パッドL102、L103及びダイスU102、U103に対して上昇してもよいし、下パッドL102、L103及びダイスU102、U103とホルダL101及び上パッドU101が互いに相対移動する構成としてもよい。
この発明によれば、割れやしわが抑制された成形体を提供できる。また、この発明によれば、前記成形体を得るためのブランク、成形体製造方法及び金型も提供できる。したがって、産業上の利用可能性は大である。
100 ダッシュパネル(成形体)
10 主壁部(第1領域部)
11 第1接続部
12 第2接続部
13 第3接続部
20 傾斜壁部(第2領域部)
30 第1サイド壁部(第3領域部)
40 第2サイド壁部(第4領域部)
50,B50 切欠き
B100 切欠き付きブランク
D100、D500 金型
L100、L500 下金型
L101 ホルダ
L102、L103 下パッド(第1パッド)
U100、U500 上金型
U101 上パッド
U102、U103 ダイス
W100 中間成形品

Claims (16)

  1. 角部を間に挟んで並ぶ第1稜線及び第2稜線を有する第1領域部と、
    前記第1稜線を介して前記第1領域部に一体に連なり、前記第1領域部の表裏面の一方側に傾斜した第2領域部と、
    前記第2稜線を介して前記第1領域部に一体に連なり、前記角部に連なる第3稜線を介して前記第2領域部に部分的かつ一体的に連なり、前記第1領域部に対して前記一方側に傾斜した第3領域部と、
    を備え、
    前記第1稜線及び前記第2稜線及び前記第3稜線が前記角部において互いに接続され、
    前記第1領域部及び前記第3領域部によって形成される外形線の全長をL1(mm)とし、前記第2領域部及び前記第3領域部によって形成される外形線の全長をL2(mm)として、下記の(式1)を満たし、
    前記第2領域部及び前記第3領域部間の、前記第3稜線の延長方向に沿った隣接部分の全長をL3(mm)とし、前記全長L3から前記第3稜線の長さを除く非接合部分の長さをL4(mm)として、下記の(式2)を満たす
    ことを特徴とする成形体。
    L1>1.1×L2・・・(式1)
    0.8×L3<L4<0.9×L3・・・(式2)
  2. 引張強度が980MPa以上の鋼板からなる
    ことを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  3. 板厚が0.8mm以上2.3mm以下である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の成形体。
  4. 前記第3領域部を間に挟んで前記第1領域部と反対側に位置し、前記第3領域部に対し第4稜線を介して一体に連なる第4領域部をさらに備え、
    前記第4領域部が、前記第1領域部から前記第2領域部に向かう並び方向に向かって、前記第2領域部と同じ方向に傾斜する傾斜部を含む
    ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の成形体。
  5. 請求項1~4の何れか1項に記載の成形体に成形される平板状のブランクであって、
    前記非接合部分に対応する切欠きを有する
    ことを特徴とするブランク。
  6. 前記切欠きの端部における離間寸法をW1(mm)として、下記の式3を満たすことを特徴とする請求項5に記載のブランク。
    W1>L1-L2・・・(式3)
  7. 請求項4に記載の成形体を製造する方法であって、
    前記第1領域部に対応する第1領域対応部と、前記第2領域部に対応する第2領域対応部と、前記第3領域部に対応する第3領域対応部と、前記第4領域部に対応する第4領域対応部と、前記非接合部分に対応する切欠きとを有するブランクを準備する準備工程と、
    前記第1領域対応部に対して前記第2領域対応部を前記一方側に傾斜させる第2領域部形成工程と、
    前記第1領域対応部に対する前記第2領域対応部の傾斜を固定したまま、前記第1領域対応部に対し、前記第4領域対応部を前記一方側に向かって相対移動させることで、前記第3領域対応部を前記第1領域対応部に対して前記一方側に傾斜させる第3領域部形成工程と、
    を有することを特徴とする成形体製造方法。
  8. 前記準備工程が、前記ブランクに前記切欠きを形成する切欠き形成工程を含む
    ことを特徴とする請求項7に記載の成形体製造方法。
  9. 請求項4に記載の成形体を製造する方法であって、
    前記第1領域部に対応する第1領域対応部と、前記第2領域部に対応する第2領域対応部と、前記第3領域部に対応する第3領域対応部と、前記第4領域部に対応する第4領域対応部とを備えるブランクを準備する準備工程と、
    前記第1領域対応部の表裏面の一方側に前記第2領域対応部を傾斜させる第2領域部形成工程と、
    前記第2領域対応部及び前記第3領域対応部間に、前記非接合部分に対応する切欠きを形成する切欠き形成工程と、
    前記第1領域対応部に対する前記第2領域対応部の傾斜を固定したまま、前記第1領域対応部に対し、前記第4領域対応部を前記一方側に向かって相対移動させることで、前記第3領域対応部を前記第1領域対応部に対して前記一方側に傾斜させる第3領域部形成工程と、
    を有することを特徴とする成形体製造方法。
  10. 前記第3領域部形成工程で、前記第4領域対応部を材料流れ制御手段によって拘束しながら前記相対移動させることにより、前記第3領域対応部から前記切欠きに向かう材料流れを形成する
    ことを特徴とする請求項7~9の何れか1項に記載の成形体製造方法。
  11. 前記第1領域部に対応する第1領域対応部と、前記第2領域部に対応する第2領域対応部と、前記第3領域部に対応する第3領域対応部と、前記第4領域部に対応する第4領域対応部とを備えるブランクより、請求項4に記載の成形体を製造する金型であって、
    互いに対向する第1金型及び第2金型を備え、
    前記第1金型は、
    前記第1領域対応部が配置される第1領域ホルダ面と、前記第1領域ホルダ面に連なり前記第1領域ホルダ面に対して傾斜し前記第2領域部を成形する第2領域ホルダ面と、前記第1領域ホルダ面に連なり前記第1領域ホルダ面に対して傾斜し前記第3領域部を成形する第3領域ホルダ面と、を有するホルダと、
    前記ホルダに隣接配置され、前記第4領域対応部が載置される第4領域パッド面を有する第1パッドと、を備え、
    前記第2金型は、
    前記第1領域ホルダ面に対向する第1領域パッド面、及び、前記第2領域ホルダ面に対向する第2領域パッド面を有する第2パッドと、
    前記第2パッドに隣接配置され、前記第4領域パッド面に対向する第4領域ダイス面を有するダイスと、
    を備えることを特徴とする金型。
  12. 請求項11に記載の金型であって、
    前記第2パッドは、前記第1領域パッド面を有する先行パッドと、前記第2領域パッド面を有する後行パッドを備えている
    ことを特徴とする金型。
  13. 請求項11又は12に記載の金型であって、
    前記ホルダは、
    前記第1領域ホルダ面を有するブランクホルダと、前記ブランクホルダに隣接配置され前記第3領域ホルダ面を有するパンチと、を備えている
    ことを特徴とする金型。
  14. 請求項11に記載の金型を用いて前記成形体を製造する方法であって、
    前記第1領域ホルダ面に前記第1領域対応部が位置し、前記第2領域ホルダ面に前記第2領域対応部が位置し、前記第4領域パッド面に第4領域対応部が位置するように、前記ブランクを前記第1金型に配置する配置工程と、
    前記ホルダに対して前記第2パッドを押し当てて前記第2領域部を成形する第2領域部形成工程と、
    前記非接合部分に対応する切欠きが前記ブランクに形成されている状態で前記第1金型に前記第2金型を押し当てて、前記第1領域対応部を前記第1領域ホルダ面及び前記第1領域パッド面の間に挟持し、前記第2領域対応部を前記第2領域ホルダ面及び前記第2領域パッド面の間に挟持し、前記第4領域対応部を前記第4領域パッド面及び前記第4領域ダイス面の間に挟持した状態で、前記第1パッド及び前記ダイスを、前記ホルダ及び前記第2パッドに対して、前記一方側に向かって相対的に移動させて前記第3領域部を成形する第3領域部形成工程と、
    を有することを特徴とする成形体製造方法。
  15. 請求項12に記載の金型を用いて前記成形体を製造する方法であって、
    前記第1領域ホルダ面に前記第1領域対応部が位置し、前記第2領域ホルダ面に前記第2領域対応部が位置し、前記第4領域パッド面に第4領域対応部が位置するように、前記ブランクを前記第1金型に配置する配置工程と、
    前記ホルダに対して前記第2パッドを押し当てて前記第2領域部を成形する第2領域部形成工程と、
    前記非接合部分に対応する切欠きが前記ブランクに形成されている状態で前記第1金型に前記第2金型を押し当てて、前記第1領域対応部を前記第1領域ホルダ面及び前記第1領域パッド面の間に挟持し、前記第2領域対応部を前記第2領域ホルダ面及び前記第2領域パッド面の間に挟持し、前記第4領域対応部を前記第4領域パッド面及び前記第4領域ダイス面の間に挟持した状態で、前記第1パッド及び前記ダイスを、前記ホルダ及び前記第2パッドに対して、前記一方側に向かって相対的に移動させて前記第3領域部を成形する第3領域部形成工程と、
    を有し、
    前記第2領域部形成工程では、前記先行パッドを前記ホルダに押し当てて、前記第1領域対応部を前記第1領域ホルダ面及び前記第1領域パッド面の間に挟持した後、前記後行パッドを前記ホルダに押し当てて、前記第2領域部を成形する
    ことを特徴とする成形体製造方法。
  16. 請求項13に記載の金型を用いて前記成形体を製造する方法であって、
    前記第1領域ホルダ面に前記第1領域対応部が位置し、前記第2領域ホルダ面に前記第2領域対応部が位置し、前記第4領域パッド面に第4領域対応部が位置するように、前記ブランクを前記第1金型に配置する配置工程と、
    前記ホルダに対して前記第2パッドを押し当てて前記第2領域部を成形する第2領域部形成工程と、
    前記非接合部分に対応する切欠きが前記ブランクに形成されている状態で前記第1金型に前記第2金型を押し当てて、前記第1領域対応部を前記第1領域ホルダ面及び前記第1領域パッド面の間に挟持し、前記第2領域対応部を前記第2領域ホルダ面及び前記第2領域パッド面の間に挟持し、前記第4領域対応部を前記第4領域パッド面及び前記第4領域ダイス面の間に挟持した状態で、前記第1パッド及び前記ダイスを、前記ホルダ及び前記第2パッドに対して、前記一方側に向かって相対的に移動させて前記第3領域部を成形する第3領域部形成工程と、
    を有し、
    前記第3領域部形成工程では、前記ブランクホルダに対して前記パンチを前記一方側に位置させた状態で、前記第1パッド及び前記ダイスを、前記ブランクホルダ及び前記第2パッドに対して、前記一方側に向かって相対的に移動させるとともに、前記パンチを、前記ブランクホルダ及び前記第2パッドに対して、前記一方側とは反対向きに相対的に移動させて前記第3領域部を成形する
    ことを特徴とする成形体製造方法。
JP2021155703A 2021-09-24 2021-09-24 成形体、ブランク、成形体製造方法、及び金型 Pending JP2023046870A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021155703A JP2023046870A (ja) 2021-09-24 2021-09-24 成形体、ブランク、成形体製造方法、及び金型

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021155703A JP2023046870A (ja) 2021-09-24 2021-09-24 成形体、ブランク、成形体製造方法、及び金型

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023046870A true JP2023046870A (ja) 2023-04-05

Family

ID=85778241

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021155703A Pending JP2023046870A (ja) 2021-09-24 2021-09-24 成形体、ブランク、成形体製造方法、及び金型

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023046870A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7494883B2 (ja) 2021-11-18 2024-06-04 Jfeスチール株式会社 プレス成形方法およびプレス成形品の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7494883B2 (ja) 2021-11-18 2024-06-04 Jfeスチール株式会社 プレス成形方法およびプレス成形品の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101716601B1 (ko) 프레스 성형 부재의 제조 방법 및 프레스 성형 장치
KR102407168B1 (ko) 프레스 부품의 제조 방법 및 제조 장치
JP4766084B2 (ja) ワークの曲げ加工方法および装置
KR101914980B1 (ko) 프레스 성형 방법
KR101863482B1 (ko) 프레스 성형품 및 이것을 구비한 자동차용 구조 부재, 및 그 프레스 성형품의 제조 방법 및 제조 장치
TWI590885B (zh) A method of manufacturing a press-formed product and a press-formed product, and a manufacturing apparatus of the press-formed product
KR20150042838A (ko) 프레스 성형품의 스프링백 억제 대책 방법 및 해석 장치
KR20190056438A (ko) 프레스 성형품의 제조 방법 및 제조 장치
KR20200108069A (ko) 프레스 성형용의 금속판, 프레스 성형 장치 및 프레스 부품의 제조 방법
TW201703893A (zh) 壓製成形品之製造方法、壓製成形品、模具及壓製裝置
TWI606874B (zh) 壓製成形品之製造方法、壓製成形品及壓製裝置
JP2023046870A (ja) 成形体、ブランク、成形体製造方法、及び金型
CN107635684A (zh) 冲压成型方法及冲压成型模具
JP6665612B2 (ja) プレス成形品の製造方法及びプレス装置
JP6323414B2 (ja) プレス成形方法
KR20150093207A (ko) 입체 가장자리가 형성된 금속 부품의 제조 방법 및 제조용 금형
KR101834850B1 (ko) 프레스 성형 방법, 및 프레스 성형 부품의 제조 방법
JP7283439B2 (ja) プレス部品の製造方法、及び金属板
KR102450454B1 (ko) 프레스 성형 방법
JP6702522B1 (ja) 湾曲部材の製造方法
JP6733772B1 (ja) プレス成形方法
JP6759645B2 (ja) プレス成形品を製造する方法及びプレス装置
KR20210141652A (ko) 프레스 성형 방법
JP7243670B2 (ja) プレス部品の製造方法、及び金属板
JP2017056462A (ja) プレス成形用金型、及びプレス成形方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240520