JP2023046012A - 導電性シート - Google Patents
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Abstract
【課題】高い導電性と通気性、及び取り扱い性の良さが両立でき、レドックスフロー電池の電極などの用途に適した、導電性シートを提供すること。【解決手段】本発明の導電性シートは、導電性シートが繊度の異なる2種類以上の芯鞘型複合繊維を含む繊維集合体を含み構成されている。繊度が大きい繊維、小さい繊維の2種類以上の芯鞘型複合繊維を含むことで、繊度が大きい繊維のみで構成された繊維集合体と比較して繊維交点が多いため強度が優れ、取り扱い性に優れる。また、繊度の大きい芯鞘型複合繊維を含んでいることにより、繊度が小さい繊維のみで構成された繊維集合体と比較して孔径が大きいことから、導電性シートが高い通気性を有し、燃料電池のガス拡散層などの高い通気性を要求される用途、また、レドックスフロー電池の電極などの高い通液性を要求される用途に適した導電性シートである。【選択図】なし
Description
本発明は、導電性シートに関する。
従来から、レドックスフロー電池の電極には、導電性を有するシート状物が用いられている。
このような導電性を有するシート状物として、特表2018-510473号公報(特許文献1)には、織紙又は不織紙、フェルト、マット及び布のうちの少なくとも1つである、非導電性ポリマー微粒子繊維から構成された多孔質基材と、多孔質基材の細孔内に埋め込まれ、前記多孔質基材の前記非導電性ポリマー微粒子繊維の表面に直接付着させた導電性炭素微粒子とを含む多孔質電極を有する、液体フロー電池用の膜電極複合体が開示されている。また、実施例において、前記多孔質基材に含まれる非導電性ポリマー微粒子繊維は、コアシース型(芯鞘型)の複合繊維を用いていた。さらに、特許文献1に開示されているような、多孔質基材に導電性炭素微粒子を含む導電性シートは、レドックスフロー電池の電極の他、燃料電池のガス拡散層などにも用いられるものであった。
しかしながら特許文献1に開示されているような導電性シートにおいて、導電性向上のために多くの導電性炭素微粒子を付与すると、多孔質基材に導電性炭素微粒子が充填されることで通気度が低下し、例えば燃料電池のガス拡散層に用いる際にガス拡散性が低下するおそれがあった。また、液体フロー電池の電極など、液体に浸漬させる用途に用いる際に、導電性シートの通気性が低下すると導電性シートを通液しにくくなることでイオン伝導性が低下するおそれがあった。また、通気度を高めるために、導電性シートに含まれる繊維の繊度を大きくすることで孔径を大きくすることを検討したが、導電性シートに含まれる繊維の繊度を大きくすると、繊維同士の交点が少なくなることで導電性シートの強度が低下し、取り扱い性が劣ることがあった。
本発明は、このような状況下においてなされたものであり、高い導電性と通気性、及び取り扱い性の良さが両立でき、レドックスフロー電池の電極などの用途に適した、導電性シートを提供することを目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は、「繊度の異なる2種類以上の芯鞘型複合繊維を含む繊維集合体と、前記繊維集合体の構成繊維の表面に付着した導電性物質を含む、導電性シート。」である。
本発明の請求項2にかかる発明は、「構成繊維の総量における繊度の異なる2種類以上の芯鞘型複合繊維の合計の割合が、50mass%以上である繊維集合体を含む、請求項1に記載の導電性シート。」である。
本発明の請求項3にかかる発明は、「導電性シートに含まれるすべての芯鞘型複合繊維の繊度が5.0dtex以上である、請求項1又は2に記載の導電性シート。」である。
本発明の請求項4にかかる発明は、「導電性シートに含まれる導電性物質が炭素である、請求項1~3のいずれか1項に記載の導電性シート。」である。
本発明の請求項5にかかる発明は、「導電性シートに含まれる導電性物質に、粒径が30μm以上の粒子状の炭素を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の導電性シート」である。
本発明の請求項6にかかる発明は、「導電性物質の含有量が、5g/m2以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の導電性シート。」である。
本発明の請求項7にかかる発明は、「表面抵抗率が50(Ω/□)以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の導電性シート。」である。
本発明の請求項8にかかる発明は、「通気度が50cm3/cm2・s以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の導電性シート。」である。
本発明の請求項1にかかる発明は、導電性シートが繊度の異なる2種類以上の芯鞘型複合繊維を含む繊維集合体を含み構成されている。繊度が大きい繊維、小さい繊維の2種類以上の芯鞘型複合繊維を含むことで、繊度が大きい繊維のみで構成された繊維集合体と比較して繊維交点が多いため強度が優れ、取り扱い性に優れる。また、繊度の大きい芯鞘型複合繊維を含んでいることにより、繊度が小さい繊維のみで構成された繊維集合体と比較して孔径が大きいことから、繊維集合体、及び前記繊維集合体を含む導電性シートが高い通気性を有し、燃料電池のガス拡散層などの高い通気性を要求される用途、また、レドックスフロー電池の電極などの高い通液性を要求される用途に適した導電性シートである。さらに、繊度の大きい芯鞘型複合繊維を含んでいることにより、繊度が小さい繊維のみで構成された繊維集合体と比較して繊維集合体の表面積が小さく、孔径が大きいことで、導電性物質が繊維集合体の構成繊維に沿って凝集分布し、導電性物質同士が密に接して存在することができ、導電性物質同士が密に接していることによる電気伝導が起こりやすく、高い導電性を有する。
本発明の請求項2にかかる発明は、導電性シートに含まれる繊維集合体の、構成繊維の総量における繊度の異なる2種類以上の芯鞘型複合繊維の合計の割合が50mass%以上であることから、芯鞘型複合繊維を多く含み、芯鞘型複合繊維により構成繊維が強固に融着されていることから、より取り扱い性に優れる導電性シートである。
本発明の請求項3にかかる発明は、導電性シートに含まれるすべての芯鞘型複合繊維の繊度が5.0dtex以上と大きい繊維であることで、繊維集合体の表面積が小さく、かつ孔径が大きい傾向があることから、高い通気性と高い導電性を両立できる導電性シートである。
本発明の請求項4にかかる発明は、導電性シートを構成する導電性物質が炭素である。炭素は同じく導電性物質である金属と異なり、腐食せず電気抵抗の増大が起こりにくいことから、高い導電性を維持できる導電性シートである。
本発明の請求項5にかかる発明は、導電性シートを構成する導電性物質に、粒径が30μm以上と大きい粒子状の炭素を含む。粒径が大きい粒子状の炭素を含むことで、炭素などの導電性物質間の接点が原因となる電気抵抗増大が起こりにくく、少ない粒子数で導電性シートが高い導電性を有することができる。また、粒子状の炭素の粒径が大きいことで導電性物質間が大きな隙間を生じている傾向があることから、高い通気性を有する導電性シートである。
本発明の請求項6にかかる発明は、導電性シートに含まれる導電性物質の含有量が5g/m2以上と多いことから、高い導電性を有する導電性シートである。
本発明の請求項7にかかる発明は、表面抵抗率が50(Ω/□)以下と低いことから、高い導電性を有する導電性シートである。
本発明の請求項8にかかる発明は、導電性シートの通気度が50cm3/cm2・s以上と高い通気性を有する導電性シートであることから、燃料電池のガス拡散層などの高い通気性を要求される用途、レドックスフロー電池の電極などの高い通液性を要求される用途に適した導電性シートである。
本発明の導電性シートは、繊度の異なる2種類以上の芯鞘型複合繊維を含む繊維集合体を含む。これにより、繊度が大きい繊維のみで構成された繊維集合体と比較して繊維交点が多いため強度が優れ、繊維集合体、及び前記繊維集合体を含む導電性シートは取り扱い性に優れる。また、繊度の大きい芯鞘型複合繊維を含んでいることにより、繊度が小さい繊維のみで構成された繊維集合体と比較して孔径が大きいことから、繊維集合体、及び前記繊維集合体を含む導電性シートは高い通気性を有し、燃料電池のガス拡散層などの高い通気性を要求される用途、また、レドックスフロー電池の電極などの高い通液性を要求される用途に適した導電性シートである。さらに、繊度の大きい芯鞘型複合繊維を含んでいることにより、繊度が小さい繊維のみで構成された繊維集合体と比較して繊維集合体の表面積が小さく、孔径が大きいことで、導電性物質が繊維集合体の構成繊維に沿って凝集分布し導電性物質同士が密に接して存在することができ、これにより導電性物質同士が密に接していることによる電気伝導が起こりやすく、高い導電性を有する。
以下、本発明の導電性シートに含まれる芯鞘型複合繊維について説明するが、この説明は、導電性シートを構成する繊維構造体に含まれる2種類以上の芯鞘型複合繊維のすべてに該当する説明である。
前記芯鞘型複合繊維の芯成分に含まれる樹脂は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をシアノ基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、エポキシ系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、ニトリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリル樹脂など)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂など)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂など)、セルロース系樹脂(レーヨン繊維など)、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステル樹脂あるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)、ビニロン系樹脂(酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂など)、ポリフェニレンサルファイド樹脂などの有機樹脂であることができる。これらの中でも、耐熱性に優れ、かつ汎用性が高いポリエステル系樹脂や、燃料電池のガス拡散層や液体フロー電池の電極に用いる際に耐薬品性に優れるポリオレフィン系樹脂が好ましい。
また、前記芯鞘型複合繊維の鞘成分に含まれる樹脂は、芯成分に含まれる樹脂と同様の樹脂であることができるが、芯成分と同様に、耐熱性に優れ、かつ汎用性が高いポリエステル系樹脂や、耐薬品性に優れること、また、相対的に融点が低く、導電性物質を芯鞘型複合繊維に付着させる際に容易に付着させることができるポリオレフィン系樹脂が好ましい。また、鞘成分は繊維集合体の構成繊維同士の接着に寄与できるように、芯成分よりも融点が低い樹脂で構成されているのが好ましく、また、鞘成分と芯成分との融点の差が大きいと、鞘成分が融解しても芯成分が融解せず、強度の優れた導電性シートであることができることから、鞘成分の融点が芯成分の融点よりも20℃以上低いのがより好ましく、100℃以上低いのが更に好ましい。
なお、上述の通り、本発明の導電性シートは、繊度の異なる2種類以上の芯鞘型複合繊維から構成されているが、2種類以上の芯鞘型複合繊維の構成樹脂は、同じであっても芯鞘型複合繊維の種類ごとに異なっていてもよい。
また、前記芯鞘型複合繊維における芯成分と鞘成分との体積比は、特に限定するものではないが、接着に関与できる鞘成分が多く、導電性シートの取り扱い性に寄与でき、また、芯鞘型複合繊維自体の強度を維持できるように、(芯成分):(鞘成分)=15:85~85:15であるのが好ましく、(芯成分):(鞘成分)=20:80~70:30であるのがより好ましく、(芯成分):(鞘成分)=25:75~45:55であるのが更に好ましい。
前記芯鞘型複合繊維の繊度は、大きければ大きいほど、繊維集合体の表面積が小さく孔径が大きい傾向があり、繊維集合体の表面積が小さく孔径が大きいと、導電性シートの導電性物質が繊維集合体の構成繊維に沿って凝集分布し導電性物質同士が密に接して存在することができ、これにより導電性物質同士が密に接して存在することによる電気伝導が起こりやすく導電性が優れることから、導電性シートに含まれるすべての芯鞘型複合繊維の繊度が5.0dtex以上が好ましく、5.5dtex以上がより好ましく、6.0dtex以上が更に好ましい。前記芯鞘型複合繊維の繊度の上限としては、前記芯鞘型複合繊維の繊度が大きすぎると前記芯鞘型複合繊維を含む繊維集合体の繊維交点が少なくなる傾向があり、これにより導電性シートの機械的強度が低下するおそれがあることから、導電性シートに含まれるすべての芯鞘型複合繊維の繊度の上限は35dtex以下が好ましい。なお、本発明における繊度は、JIS L 1015(2010)「化学繊維ステープル試験方法」8.5.1に記載のA法に規定されている方法により測定できる。
また、前記芯鞘型複合繊維の繊維長は特に限定するものではないが、芯鞘型複合繊維が均一に分散し、また、芯鞘型複合繊維の機械的強度が優れるように、30~110mmが好ましく、40~80mmがより好ましく、50~70mmが更に好ましい。なお、本発明における繊維長は、JIS L 1015(2010)「化学繊維ステープル試験方法」8.4に記載のB法に規定されている方法により測定できる。
本発明の導電性シートを構成する繊維集合体の構成繊維の総量における、繊度の異なる2種類以上の芯鞘型複合繊維の合計の割合は、高ければ高いほど、繊維交点で繊維同士が強固に接着できより強度が優れ、繊維集合体、及び前記繊維集合体を含む導電性シートの取り扱い性に優れることから、50mass%以上が好ましく、70mass%以上がより好ましく、90mass%以上が更に好ましい。
また、繊維集合体に含まれる2種類以上の芯鞘型複合繊維のうち、最も繊度が大きい芯鞘型複合繊維の繊度と、最も繊度が小さい芯鞘型複合繊維の繊度の差は、大きければ大きいほど、導電性シートの導電性と通気性の両方が優れる傾向があることから、3.0dtex以上が好ましく、4.0dtex以上がより好ましく、5.0dtex以上が更に好ましい。一方、最も繊度が大きい芯鞘型複合繊維の繊度と、最も繊度が小さい芯鞘型複合繊維の繊度の差が大きすぎると、繊維集合体の強度が低下するおそれがあることから、10dtex以下が好ましい。
更に、繊維集合体に含まれる2種類以上の芯鞘型複合繊維の総量における、繊度が10dtex以上の芯鞘型複合繊維の割合は、高ければ高いほど、導電性シートの導電性と通気性の両方が優れる傾向があることから、50mass%以上が好ましく、70mass%以上がより好ましく、80mass%以上が更に好ましい。前記繊度が10dtex以上の芯鞘型複合繊維の割合が大きすぎると、繊維集合体の強度が低下するおそれがあることから、90mass%以下が好ましい。
本発明の導電性シートに含まれる繊維集合体に、繊度の異なる2種類以上の芯鞘型複合繊維以外の繊維を含んでいてもよい。具体的には、1種類の樹脂のみから構成された単繊維や、芯鞘型複合繊維以外の2種類以上の樹脂から構成された複合繊維(海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型、バイメタル型など)であることができる。なお、前記芯鞘型複合繊維以外の繊維の繊度は、導電性シートの導電性及び機械的強度が優れるように、2~35dtexが好ましく、2~20dtexがより好ましく、2~10dtexが更に好ましい。また、前記芯鞘型複合繊維以外の繊維の繊維長については、特に限定するものではないが、30~110mmが好ましく、40~80mmがより好ましく、50~70mmが更に好ましい。
本発明の導電性シートに含まれる繊維集合体の種類は、例えば、不織布や織物、編物であることができる。これらの中でも、高い空隙率を実現できる不織布が好ましい。
本発明の導電性シートに含まれる繊維集合体の目付は、特に限定するものではないが、導電性及び機械的強度が優れる導電性シートであるように、5~200g/m2が好ましく、10~150g/m2がより好ましく、15~100g/m2が更に好ましい。なお、本発明の目付は、JIS L 1913(2010)「一般不織布試験方法」の6.2に規定されている単位面積当たりの質量により求められる単位面積当たりの質量を目付と定義する。
本発明の導電性シートに含まれる繊維集合体の厚さは、特に限定するものではないが、導電性及び機械的強度が優れる導電性シートであるように、20~1000μmが好ましく、30~700μmがより好ましく、80~500μmが更に好ましい。なお、本発明の厚さは、JIS B 7502(2016)「マイクロメータ」の3.1に規定されている外側マイクロメータ(測定範囲:0~25mm)を用いて、無作為に選んで測定した10点の平均値をいう。
本発明の導電性シートは、繊維集合体の構成繊維の表面に導電性物質が付着している。導電性物質同士が接することで電気伝導が起こり、導電性物質を含む導電性シートが導電性を有する。
本発明の導電性シートを構成する導電性物質は、例えば、炭素、金属、金属酸化物、導電性ポリマーなどであることができる。これらの中でも導電性物質が炭素であると、比較的高い導電性を有し、かつ金属と異なり、腐食せず電気抵抗の増大が起こりにくいことから、導電性シートが高い導電性を維持でき好ましい。
本発明の導電性シートを構成する導電性物質の形状は、例えば、球状(略球状や真球状)、針状、平板状、多面体状、羽毛状、鱗片状などの粒子状や、繊維状などであることができる。
また、導電性物質が炭素である場合、具体的には導電性を有する炭素であればよく、例えば、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレンなどであることができる。
前記炭素が下記の繊維状でない粒子状の場合、粒径が30μm以上と大きい炭素を含んでいると、粒径が小さい炭素と比べて導電性シートにおける導電性物質同士の接触箇所が少なく、これにより導電性物質間の接点が原因となる電気抵抗増大が起こりにくく導電性シートが高い導電性を有し、また、炭素の粒径が大きいことで導電性物質間に大きな隙間を生じている傾向があることから、高い通気性を有する導電性シートであり好ましい。
また、導電性シートに含まれる導電性物質における、粒径が30μm以上の炭素の割合は、高ければ高いほど、より高い導電性及び通気性を有する導電性シートであることができることから、70mass%以上が好ましく、75mass%以上がより好ましく、80mass%以上が更に好ましい。なお、炭素の粒径の上限は、炭素が導電性シートから脱落するおそれがあることから、1mm以下が好ましい。また、導電性物質の粒径は、100~30000倍の電子顕微鏡写真から、50個の球状の粒子サイズを測定した値の平均であり、対象となる導電性物質の粒径に合わせて適宜倍率を変更し測定できる。なお、球状でない粒子状の導電性物質の粒子サイズは、電子顕微鏡写真における、粒子の面積を求め、粒子の面積を同じ面積の真円に換算した時の真円の直径を粒子サイズとする。また、繊維直径に対する繊維長のアスペクト比が100未満の繊維状の導電性物質は、粒子状の導電性物質とみなし、上記の方法で粒子サイズを求める。
前記導電性物質が炭素繊維など、繊維直径に対する繊維長のアスペクト比が100以上の繊維状の場合、導電性物質の繊維径が30μm以上であるのが好ましい。前記繊維径の上限は、導電性物質が導電性シートから脱落するおそれがあることから、1mm以下が好ましい。なお、繊維径は、100~30000倍の電子顕微鏡写真から、50本の繊維状の導電性物質の直径を各々測定した値の平均である。
本発明の導電性シートにおける導電性物質の含有量は、多ければ多いほど、より抵抗が低く、導電性が優れる導電性シートであることができることから、5g/m2以上が好ましく、10g/m2以上がより好ましく、25g/m2以上が更に好ましい。一方、導電性シートにおける導電性物質の含有量が多すぎると、導電性シートの通気度が低下するおそれがあること、および、導電性シートから導電性物質が脱落するおそれがあることから、200g/m2以下が好ましい。
本発明の導電性シートは、導電性物質が繊維集合体の構成繊維の表面に付着している。導電性物質の繊維集合体の構成繊維の表面への付着は、例えば、芯鞘型複合繊維の表面に存在する鞘成分の融解固化又は軟化変形による付着、バインダによる付着などが挙げられるが、導電性物質が繊維集合体に強固に付着しているように、芯鞘型複合繊維の表面に存在する鞘成分の融解固化又は軟化変形による付着とバインダによる付着の両方により、導電性物質が繊維集合体の構成繊維の表面に付着しているのが好ましい。
バインダの種類は、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシルなど)、エチレン-エチルアクリレート共重合体などのエチレン-アクリレート共重合体、各種ゴムおよびその誘導体[例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)など]、ポリエチレングリコール(PEG)、セルロース誘導体[例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど]、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体などであることができる。これらの中でも、耐薬品性に優れ導電性物質を長期間安定して付着していることができるため、アクリル系樹脂であるのが好ましい。なお、これらのバインダを導電性シートに1種類のみ含んでいてもよく、また、2種類以上含んでいてもよい。
本発明の導電性シートの表面抵抗率は、低ければ低いほど、より導電性が優れる導電性シートであることができることから、50(Ω/□)以下が好ましく、25(Ω/□)以下がより好ましく、10(Ω/□)以下が更に好ましい。表面抵抗率の下限は、特に限定するものではないが0.05(Ω/□)以上が現実的である。なお、本発明の表面抵抗率は、JIS K 7194(1994)「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」により測定できる抵抗率のことである。
本発明の導電性シートの通気度は、通気度が高ければ高いほど、燃料電池のガス拡散層などの高い通気性を要求される用途、レドックスフロー電池の電極などの高い通液性を要求される用途に適した導電性シートであることができることから、50(cm3/cm2・s)以上が好ましく、70(cm3/cm2・s)以上がより好ましく、100(cm3/cm2・s)以上が更に好ましい。通気度の上限は、特に限定するものではないが、500(cm3/cm2・s)以下が現実的である。なお、本発明の通気度は、JIS L 1913(2010)「一般不織布試験方法」の6.8.1に規定されているフラジール形法により測定できる。
本発明の導電性シートの目付は、特に限定するものではないが、導電性及び機械的強度が優れる導電性シートであるように、10~200g/m2が好ましく、15~150g/m2がより好ましく、20~100g/m2が更に好ましい。
本発明の導電性シートの厚さは、特に限定するものではないが、導電性及び機械的強度が優れる導電性シートであるように、20~1000μmが好ましく、30~700μmがより好ましく、100~500μmが更に好ましい。
次に、本発明の導電性シートの製造方法について説明する。
まず、繊度の異なる2種類以上の芯鞘型複合繊維を含む繊維集合体を準備する。
繊維集合体が織物や編物である場合、繊維を、織るあるいは編むことで調製できる。
繊維集合体が不織布である場合、まず、芯鞘型複合繊維をはじめとした繊維から乾式法(例えば、カード法、エアレイ法など)や湿式法により繊維ウエブを形成する。その後、繊維ウエブに含まれる芯鞘型複合繊維の表面に存在する鞘成分を融解固化して繊維同士を融着して結合する。なお、芯鞘型複合繊維の表面に存在する鞘成分を融解するために加熱する方法として、例えば、カレンダーロールにより加熱加圧する方法、熱風乾燥機により加熱する方法、無圧下で赤外線を照射する方法などを用いることができる。また、繊維ウエブの構成繊維同士の結合を強固にすることを目的として、繊維ウエブに含まれる芯鞘型複合繊維の表面に存在する鞘成分を融解固化して繊維同士を融着して結合する他に、ニードルや水流によって繊維同士を絡合してもよいし、バインダにより繊維同士を結合してもよい。
このとき、後述する混合液を繊維集合体が含有しやすくするなどの目的のために、繊維集合体をプラズマ処理、スルホン化処理やフッ素ガス処理など、公知の方法で親水化処理してもよい。
次に、繊維集合体の構成繊維の表面に導電性物質を付着させる。前記繊維集合体の構成繊維の表面に導電性物質を付着させる方法は、例えば、芯鞘型複合繊維の表面に存在する鞘成分を融解固化又は軟化により変形させて付着させる方法や、バインダにより付着させる方法があるが、芯鞘型複合繊維の表面に存在する鞘成分を融解固化又は軟化により変形させて付着させる方法とバインダにより付着させる方法を併用するのが好ましい。この中のバインダにより付着させる方法は適宜選択できるが、例えば、
1.溶媒あるいは分散媒にバインダと導電性物質を混合してなる導電性物質混合液(以降、混合液と称することがある)を用意し、繊維集合体を混合液に浸漬する、
2.繊維集合体に混合液をスプレーする、
3.グラビアロールを用いたキスコータ法などの塗工方法を用いて、繊維集合体の一方の主面あるいは両主面に混合液を塗布する
ことを行った後、混合液を含んだ繊維集合体を乾燥して、混合液中の溶媒や分散媒を除去する方法であることができる。
1.溶媒あるいは分散媒にバインダと導電性物質を混合してなる導電性物質混合液(以降、混合液と称することがある)を用意し、繊維集合体を混合液に浸漬する、
2.繊維集合体に混合液をスプレーする、
3.グラビアロールを用いたキスコータ法などの塗工方法を用いて、繊維集合体の一方の主面あるいは両主面に混合液を塗布する
ことを行った後、混合液を含んだ繊維集合体を乾燥して、混合液中の溶媒や分散媒を除去する方法であることができる。
なお、混合液中にバインダが粒子状等の固体で存在している場合、上述の乾燥を行う際に固体のバインダを融解固化あるいは軟化により変形させることで、バインダにより繊維集合体に導電性物質を付着させるのが好ましい。このとき、混合液中に存在するバインダ粒子の形状は適宜選択するが、例えば、球状(略球状や真球状)、針状、平板状、多面体状、羽毛状などから適宜選択することができる。溶媒あるいは分散媒の種類は適宜選択するが、例えば、水、アルコール類、エーテル類などを、単独あるいは混合して使用することができる。
また、混合液にはバインダや導電性物質の凝集を防止し分散性を向上させるため、例えば、界面活性剤(例えば、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤など)などを添加しても良く、添加量は適宜調整する。
混合液を含んだ繊維集合体を乾燥させる方法は、適宜選択するが、例えば、近赤外線ヒータ、遠赤外線ヒータ、ハロゲンヒータなどの加熱手段へ供することにより溶媒あるいは分散媒を除去する方法、また、熱風あるいは送風などにより溶媒あるいは分散媒を除去する方法などを使用できる。また、混合液を含んだ繊維集合体を、例えば、室温(25℃)に放置する方法、減圧条件下に曝す方法、溶媒あるいは分散媒が揮発可能な温度以上の雰囲気下に曝す方法など、公知の方法を用いることができる。
以下、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(不織布Aの調製方法)
芯鞘型複合繊維A(芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)、鞘成分が低融点ポリエチレンテレフタレート(融点:120℃)、繊度:15dtex、繊維長:51mm)80mass%と、芯鞘型複合繊維B(芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)、鞘成分が低融点ポリエチレンテレフタレート(融点:120℃)、繊度:6dtex、繊維長:51mm)20mass%を混合し、乾式法により繊維ウエブを調製した。
その後、前記繊維ウエブを温度150℃の熱風で処理し、芯鞘型複合繊維A及びBの鞘成分のみが融着した不織布A(目付:17g/m2、厚さ:125μm)を調製した。なお、不織布Aは繊維のみから構成されていた。
(混合液aの調製)
以下の配合で、混合液aを調製した。
導電性物質A(鱗片状黒鉛、粒径:30μm):12質量%
導電性物質B(球状カーボンブラック、粒径:700nm):2質量%
アクリルバインダ:1質量%
水:85質量%
(混合液aの不織布Aへの塗布及び乾燥)
導電性物質Aと導電性物質Bの合計の質量が27g/m2になるように、混合液aを不織布Aに塗布した。
その後、混合液aが塗布された不織布Aを、乾燥機に供することで、不織布Aに塗布された混合液aの水を除去して、導電性シート(目付:44g/m2、厚さ:186μm)を調製した。
(不織布Aの調製方法)
芯鞘型複合繊維A(芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)、鞘成分が低融点ポリエチレンテレフタレート(融点:120℃)、繊度:15dtex、繊維長:51mm)80mass%と、芯鞘型複合繊維B(芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)、鞘成分が低融点ポリエチレンテレフタレート(融点:120℃)、繊度:6dtex、繊維長:51mm)20mass%を混合し、乾式法により繊維ウエブを調製した。
その後、前記繊維ウエブを温度150℃の熱風で処理し、芯鞘型複合繊維A及びBの鞘成分のみが融着した不織布A(目付:17g/m2、厚さ:125μm)を調製した。なお、不織布Aは繊維のみから構成されていた。
(混合液aの調製)
以下の配合で、混合液aを調製した。
導電性物質A(鱗片状黒鉛、粒径:30μm):12質量%
導電性物質B(球状カーボンブラック、粒径:700nm):2質量%
アクリルバインダ:1質量%
水:85質量%
(混合液aの不織布Aへの塗布及び乾燥)
導電性物質Aと導電性物質Bの合計の質量が27g/m2になるように、混合液aを不織布Aに塗布した。
その後、混合液aが塗布された不織布Aを、乾燥機に供することで、不織布Aに塗布された混合液aの水を除去して、導電性シート(目付:44g/m2、厚さ:186μm)を調製した。
(実施例2)
まず、実施例1と同じ不織布Aを準備した。
(混合液bの調製)
以下の配合で、混合液bを調製した。
導電性物質A(鱗片状黒鉛、粒径:30μm):24質量%
導電性物質B(球状カーボンブラック、粒径:700nm):4質量%
アクリルバインダ:2質量%
水:70質量%
(混合液bの不織布Aへの塗布及び乾燥)
導電性物質Aと導電性物質Bの合計の質量が54g/m2になるように、混合液bを不織布Aに塗布した。
その後、混合液bが塗布された不織布Aを、乾燥機に供することで、不織布Aに塗布された混合液bの水を除去して、導電性シート(目付:71g/m2、厚さ:201μm)を調製した。
まず、実施例1と同じ不織布Aを準備した。
(混合液bの調製)
以下の配合で、混合液bを調製した。
導電性物質A(鱗片状黒鉛、粒径:30μm):24質量%
導電性物質B(球状カーボンブラック、粒径:700nm):4質量%
アクリルバインダ:2質量%
水:70質量%
(混合液bの不織布Aへの塗布及び乾燥)
導電性物質Aと導電性物質Bの合計の質量が54g/m2になるように、混合液bを不織布Aに塗布した。
その後、混合液bが塗布された不織布Aを、乾燥機に供することで、不織布Aに塗布された混合液bの水を除去して、導電性シート(目付:71g/m2、厚さ:201μm)を調製した。
(実施例3)
まず、実施例1と同じ不織布Aを準備した。
(混合液cの調製)
以下の配合で、混合液cを調製した。
導電性物質A(鱗片状黒鉛、粒径:30μm):8質量%
導電性物質B(球状カーボンブラック、粒径:700nm):1質量%
アクリルバインダ:1質量%
水:90質量%
(混合液cの不織布Aへの塗布及び乾燥)
導電性物質Aと導電性物質Bの合計の質量が9g/m2になるように、混合液cを不織布Aに塗布した。
その後、混合液cが塗布された不織布Aを、乾燥機に供することで、不織布Aに塗布された混合液cの水を除去して、導電性シート(目付:26g/m2、厚さ:140μm)を調製した。
まず、実施例1と同じ不織布Aを準備した。
(混合液cの調製)
以下の配合で、混合液cを調製した。
導電性物質A(鱗片状黒鉛、粒径:30μm):8質量%
導電性物質B(球状カーボンブラック、粒径:700nm):1質量%
アクリルバインダ:1質量%
水:90質量%
(混合液cの不織布Aへの塗布及び乾燥)
導電性物質Aと導電性物質Bの合計の質量が9g/m2になるように、混合液cを不織布Aに塗布した。
その後、混合液cが塗布された不織布Aを、乾燥機に供することで、不織布Aに塗布された混合液cの水を除去して、導電性シート(目付:26g/m2、厚さ:140μm)を調製した。
(実施例4)
(不織布Bの調製方法)
芯鞘型複合繊維A(芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)、鞘成分が低融点ポリエチレンテレフタレート(融点:120℃)、繊度:15dtex、繊維長:51mm)40mass%と、芯鞘型複合繊維B(芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)、鞘成分が低融点ポリエチレンテレフタレート(融点:120℃)、繊度:6dtex、繊維長:51mm)10mass%と、単繊維C(ポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)1成分のみで構成、繊度:3.3dtex、繊維長:51mm)50mass%を混合し、乾式法により繊維ウエブを調製した。
その後、前記繊維ウエブを温度150℃の熱風で処理し、芯鞘型複合繊維A及びBの鞘成分のみが融着した不織布B(目付:17g/m2、厚さ:119μm)を調製した。なお、不織布Bは繊維のみから構成されていた。
(混合液cの不織布Bへの塗布及び乾燥)
まず、実施例3と同じ混合液cを準備した。
次に、導電性物質Aと導電性物質Bの合計の質量が10g/m2になるように、混合液cを不織布Bに塗布した。
その後、混合液cが塗布された不織布Bを、乾燥機に供することで、不織布Bに塗布された混合液cの水を除去して、導電性シート(目付:27g/m2、厚さ:135μm)を調製した。
(不織布Bの調製方法)
芯鞘型複合繊維A(芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)、鞘成分が低融点ポリエチレンテレフタレート(融点:120℃)、繊度:15dtex、繊維長:51mm)40mass%と、芯鞘型複合繊維B(芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)、鞘成分が低融点ポリエチレンテレフタレート(融点:120℃)、繊度:6dtex、繊維長:51mm)10mass%と、単繊維C(ポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)1成分のみで構成、繊度:3.3dtex、繊維長:51mm)50mass%を混合し、乾式法により繊維ウエブを調製した。
その後、前記繊維ウエブを温度150℃の熱風で処理し、芯鞘型複合繊維A及びBの鞘成分のみが融着した不織布B(目付:17g/m2、厚さ:119μm)を調製した。なお、不織布Bは繊維のみから構成されていた。
(混合液cの不織布Bへの塗布及び乾燥)
まず、実施例3と同じ混合液cを準備した。
次に、導電性物質Aと導電性物質Bの合計の質量が10g/m2になるように、混合液cを不織布Bに塗布した。
その後、混合液cが塗布された不織布Bを、乾燥機に供することで、不織布Bに塗布された混合液cの水を除去して、導電性シート(目付:27g/m2、厚さ:135μm)を調製した。
(比較例1)
実施例1に記載の芯鞘型複合繊維Aのみを用いて、乾式法により繊維ウエブを調製した。
その後、前記繊維ウエブを温度150℃の熱風で処理し、芯鞘型複合繊維Aの鞘成分のみが融着した不織布C(目付:18g/m2、厚さ:140μm)を調製した。なお、不織布Cは繊維のみから構成されていた。
次に、実施例1と同じ混合液aを準備した。
次に、混合液aを不織布Cに塗布したところ、不織布Cが破れ、導電性シートを製造することができなかった。
実施例1に記載の芯鞘型複合繊維Aのみを用いて、乾式法により繊維ウエブを調製した。
その後、前記繊維ウエブを温度150℃の熱風で処理し、芯鞘型複合繊維Aの鞘成分のみが融着した不織布C(目付:18g/m2、厚さ:140μm)を調製した。なお、不織布Cは繊維のみから構成されていた。
次に、実施例1と同じ混合液aを準備した。
次に、混合液aを不織布Cに塗布したところ、不織布Cが破れ、導電性シートを製造することができなかった。
(比較例2)
実施例1に記載の芯鞘型複合繊維Bのみを用いて、乾式法により繊維ウエブを調製した。
その後、前記繊維ウエブを温度150℃の熱風で処理し、芯鞘型複合繊維Bの鞘成分のみが融着した不織布D(目付:17g/m2、厚さ:120μm)を調製した。なお、不織布Dは繊維のみから構成されていた。
次に、実施例1と同じ混合液aを準備した。
次に、導電性物質Aと導電性物質Bの合計の質量が27g/m2になるように、混合液aを不織布Dに塗布した。
その後、混合液aが塗布された不織布Dを、乾燥機に供することで、不織布Dに塗布された混合液aの水を除去して、導電性シート(目付:44g/m2、厚さ:180μm)を調製した。
実施例1に記載の芯鞘型複合繊維Bのみを用いて、乾式法により繊維ウエブを調製した。
その後、前記繊維ウエブを温度150℃の熱風で処理し、芯鞘型複合繊維Bの鞘成分のみが融着した不織布D(目付:17g/m2、厚さ:120μm)を調製した。なお、不織布Dは繊維のみから構成されていた。
次に、実施例1と同じ混合液aを準備した。
次に、導電性物質Aと導電性物質Bの合計の質量が27g/m2になるように、混合液aを不織布Dに塗布した。
その後、混合液aが塗布された不織布Dを、乾燥機に供することで、不織布Dに塗布された混合液aの水を除去して、導電性シート(目付:44g/m2、厚さ:180μm)を調製した。
導電性シートを構成する不織布(繊維集合体)の繊維組成、目付、導電性シートにおける導電性物質の担持量、導電性シートの目付、厚さを、以下の表1に示す。なお、比較例1の導電性シートは製造工程で不織布が破れ製造することができなかったため、導電性シート目付、厚さについては、×と表記した。
また、次の方法で実施例1~4及び比較例2の導電性シートの物性を測定した。
(導電性シートの表面抵抗率測定)
上述の方法により、導電性シートの表面抵抗率を測定した。
上述の方法により、導電性シートの表面抵抗率を測定した。
(導電性シートの通気度測定)
上述の方法により、導電性シートの通気度を測定した。
上述の方法により、導電性シートの通気度を測定した。
導電性シートの表面抵抗率及び通気度の測定結果を、以下の表2に示す。
実施例1の導電性シートと、実施例1と導電性物質の含有量が同じで、繊度が小さい芯鞘型複合繊維のみで構成された比較例2の導電性シートを比較すると、実施例1の導電性シートは、表面抵抗率が低く、かつ通気度が高かった。また、実施例1と導電性物質の含有量が同じで、繊度が大きい芯鞘型複合繊維のみで構成された比較例1の不織布からは、製造工程で不織布が破れることで導電性シートが製造することができなかった一方、実施例1の導電性シートはそのようなことがなく取り扱い性が優れるものであった。なお、比較例1の不織布から導電性シートが製造できなかった理由は、繊度が大きい芯鞘型複合繊維のみで構成されていることで、繊維交点に存在する芯鞘型複合繊維同士の接着点が少なく、不織布の強度が十分でなかったためと考えられた。
これらのことから、実施例の導電性シートは、高い導電性と通気性、及び取り扱い性の良さが両立でき、レドックスフロー電池の電極などの用途に適したものであった。
これらのことから、実施例の導電性シートは、高い導電性と通気性、及び取り扱い性の良さが両立でき、レドックスフロー電池の電極などの用途に適したものであった。
本発明の導電性シートは、燃料電池のガス拡散層やレドックスフロー電池の電極、リチウムイオン電池などの電極、電気二重層キャパシタなどの電極などに適している。また、本発明の導電性シートは導電性が高く、通気性に優れるので、センサーシートや電極を補強するための支持体としても使用できる。
Claims (8)
- 繊度の異なる2種類以上の芯鞘型複合繊維を含む繊維集合体と、前記繊維集合体の構成繊維の表面に付着した導電性物質を含む、導電性シート。
- 構成繊維の総量における繊度の異なる2種類以上の芯鞘型複合繊維の合計の割合が、50mass%以上である繊維集合体を含む、請求項1に記載の導電性シート。
- 導電性シートに含まれるすべての芯鞘型複合繊維の繊度が5.0dtex以上である、請求項1又は2に記載の導電性シート。
- 導電性シートに含まれる導電性物質が炭素である、請求項1~3のいずれか1項に記載の導電性シート。
- 導電性シートに含まれる導電性物質に、粒径が30μm以上の粒子状の炭素を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の導電性シート。
- 導電性物質の含有量が、5g/m2以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の導電性シート。
- 表面抵抗率が50(Ω/□)以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の導電性シート。
- 通気度が50cm3/cm2・s以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の導電性シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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