JP2007080742A - 固体高分子電解質型燃料電池用炭素繊維シート及びその製造方法 - Google Patents

固体高分子電解質型燃料電池用炭素繊維シート及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 固体高分子電解質型燃料電池のガス拡散層用として適している炭素繊維シート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 厚さが100〜350μm、目付が50〜100g/m2、比抵抗値が0.2〜10mΩ・cm、炭素含有率が94質量%以上、平均細孔径が7〜15μm、ガス透過性が3000〜28500ml/cm2・minである炭素繊維シートとする。この炭素繊維シートにおいて、炭素のX線結晶サイズは2.1〜4.8nmであることが好ましい。この炭素繊維シートは、ポリアクリロニトリル系酸化繊維と、残炭率0.5〜25質量%のバインダー繊維と、残炭率0.5〜25質量%の樹脂とを含み、前記バインダー繊維と樹脂との合計含有量が5〜25質量%である酸化繊維シートを、不活性雰囲気下1400〜2300℃で炭素化することにより製造できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、固体高分子電解質型燃料電池のガス拡散層用電極に適した炭素繊維シート及びその製造方法に関する。
固体高分子電解質型燃料電池のガス拡散層用電極として、炭素繊維を使用したシート(炭素繊維シート)が開発・応用されている。
炭素繊維シートは一般には、炭素繊維の短繊維とバインダー樹脂及び/又はバインダー繊維とを混抄して炭素繊維抄紙シートを得、この抄紙シートに、炭素化時に残炭率の高い熱硬化性樹脂を30〜80%含有させ、熱硬化・成型して中間基材を得、この中間基材を、不活性ガス雰囲気下1000℃以上の高温にて焼成することにより製造される(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1には、炭素繊維抄紙シートに含発泡剤熱硬化性樹脂を40〜80質量%含有せしめて熱硬化させた中間基材を炭素化することにより、燃料電池等の電極材に使用する多孔質炭素材を製造する技術が開示されている。
特許文献2には、炭素繊維抄紙シートに、熱硬化性樹脂と炭素粉末とを混合したものを含浸して中間基材を得(中間基材中の炭素繊維100質量部に対する熱硬化性樹脂の含有量30〜250質量部、炭素粉末の含有量10〜160質量部)、この中間基材を炭素化することにより、固体高分子電解質型燃料電池のガス拡散体(細孔径25〜55μm)用の多孔質炭素板を製造する技術が開示されている。
燃料電池においては、反応ガスである水素と酸素(又は空気)とを反応させる。この反応により水が生成される。燃料電池は、この反応エネルギーを電気エネルギーとして取り出すものである。燃料電池の電極は、前記電気エネルギーを取り出すために導電性を有すると共に、反応ガスを電極を透過させて触媒のある反応部に供給するためにガス拡散層を有することが要求される。ガス拡散層としては、できるだけガスの透過性の良い素材が必要となり、その改良が進められている。
ガス透過性改良のための一方法として、電極に形成してあるガスが通過する細孔径を拡大する方法がある。しかしながら細孔径が、大きすぎたり、分布が不均一の場合、ガス拡散層内を透過して反応部に拡散する反応ガスの拡散量が不均一になり、結果として触媒と反応ガスの接触効率が低下し、最終的に電池性能が低下する問題がある。
以上のように、従来の製造方法では何れも、より小さい細孔を有し且つガス透過性に優れるガス拡散層用炭素材は得られていない。
特開平10−167855号公報 (段落番号[0001]、[0010]〜[0020]) 特開2004−311431号公報 (段落番号[0001]、[0041]〜[0051])
本発明者は、上記問題を解決するために種々検討しているうちに、以下のことを知得し、本発明を完成するに到った。
1.ポリアクリロニトリル(PAN)系酸化繊維を原料として用いることにより、
(1)酸化繊維は繊維表面にも酸素含有表面官能基を多く有し親水性が高く、水分散性良好のため、繊維分散性の良いペーパーが得られる。
(2)焼成後の繊維直径がより細くなり、繊維間の均一な空隙(細孔)形成に寄与する。
2.バインダー効果があり且つ残炭率の低い繊維を用いて酸化繊維を抄紙後に、バインダー効果があり且つ残炭率の低い樹脂を、繊維と樹脂との合計量で5〜25質量%含有させて樹脂含浸シートを得、この樹脂含浸シートを熱圧縮処理して酸化繊維シートを得た後、この酸化繊維シートを炭素化することにより、該樹脂と繊維は、その大部分が消失して繊維間の交差部のみに残留し、その結果、均一な空隙(細孔)を発生させることができ、得られる炭素繊維シートは、固体高分子電解質型燃料電池のガス拡散層用電極として適している。
従って、本発明の目的とするところは、上記問題を解決した固体高分子電解質型燃料電池用炭素繊維シート及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成する本発明は、以下に記載するものである。
〔1〕 厚さが100〜350μm、目付が50〜100g/m2、比抵抗値が0.2〜10mΩ・cm、炭素含有率が94質量%以上、平均細孔径が7〜15μm、ガス透過性が3000〜28500ml/cm2・minである固体高分子電解質型燃料電池用炭素繊維シート。
〔2〕 炭素のX線結晶サイズが2.1〜4.8nmである〔1〕に記載の固体高分子電解質型燃料電池用炭素繊維シート。
〔3〕 ポリアクリロニトリル系酸化繊維と、残炭率0.5〜25質量%のバインダー繊維とを混抄して酸化繊維抄紙シートを得、次いで得られた酸化繊維抄紙シートに残炭率0.5〜25質量%の樹脂を、前記バインダー繊維と樹脂との合計量で5〜25質量%含浸させて樹脂含浸シートを得た後、前記樹脂含浸シートを熱圧縮処理して酸化繊維シートを得、その後、不活性雰囲気下1400〜2300℃で前記酸化繊維シートを炭素化することを特徴とする固体高分子電解質型燃料電池用炭素繊維シートの製造方法。
本発明の固体高分子電解質型燃料電池用炭素繊維シートは、平均細孔径が小さく且つガス透過性が良好であるので、固体高分子電解質型燃料電池のガス拡散層用として適している。
本発明の固体高分子電解質型燃料電池用炭素繊維シートの製造方法によれば、PAN系酸化繊維を原料として用い、抄紙時又は抄紙後に、バインダー効果があり且つ残炭率の低い繊維又は樹脂を所定量含有させて酸化繊維シートを得、このシートを炭素化しているので、上記物性の炭素繊維シートを容易に得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の固体高分子電解質型燃料電池用炭素繊維シートは、厚さが100〜350μm、目付が50〜100g/m2、比抵抗値が0.2〜10mΩ・cm、炭素含有率が94質量%以上、平均細孔径が7〜15μm、ガス透過性が3000〜28500ml/cm2・minである。
炭素繊維シートの平均細孔径は、一般に大きい方がガス透過性は向上する。しかし、平均細孔径(A)が大きすぎると、反応ガスの基材(繊維表面)への接触効率は低下し、電池性能は低下する。そのため、平均細孔径(A)は15μm以下が良い。平均細孔径(A)が7μm未満の場合、生成される水分の凝縮により、細孔が閉塞しガス透過性が低下し、電池性能の低下を来す。
ガス透過性(B)は、上式で示される範囲以外では、電池性能が低下する。
炭素繊維シートの厚さが0.10mm未満の場合は、シート強度が低下する。炭素繊維シートの厚さが0.35mmを超える場合は、厚さ方向の通電性が低下する。表面の毛羽が増大する。
炭素繊維シートの目付が30g/m2未満の場合は、シート強度が低下する。炭素繊維シートの目付が100g/m2を超える場合は、上記厚さの薄層シートが作製が困難になる。
炭素繊維シートの嵩密度は0.25〜0.45g/m3が好ましい。炭素繊維シートの嵩密度が0.25g/m3未満の場合は、シート強度が低下する。通電性が低下する。炭素繊維シートの嵩密度が0.45g/m3を超える場合は、シート強度が低下する。表面の毛羽が増大する。
炭素繊維シートの比抵抗値は低い方がよいが、0.2mΩ・cm未満のものは作製が困難である。炭素繊維シートの比抵抗値10mΩ・cmを超える場合は、電池性能が低下する。
炭素繊維シートの炭素含有率が94質量%未満の場合は、通電性が低下する。長期の電池作動時に繊維劣化を生じ易い。
炭素繊維シートの強度は6〜40N/cmが好ましい。炭素繊維シートの強度が6N/cm未満の場合は、シートの取扱性が低下する。炭素繊維シートの強度が40N/cmを超えるものは作製が困難である。
炭素繊維シートの炭素のX線結晶サイズは2.1nm〜4.8nmが好ましい。炭素繊維シートの炭素のX線結晶サイズが2.1nm未満の場合は、通電性が低下する。炭素繊維シートの炭素のX線結晶サイズが4.8nmを超える場合は、微粉末が発生しやすい。
本発明の固体高分子電解質型燃料電池用炭素繊維シートは、その物性が上記範囲内であれば、その製造方法は特に限定されるものではないが、例えばPAN系酸化繊維と、炭素化時に残炭率が低いバインダー用繊維と混抄して酸化繊維抄紙シートを得、この酸化繊維抄紙シートを、炭素化時に低残炭率の樹脂溶液に含浸して樹脂含浸シートを得、この樹脂含浸シートを圧縮成型して酸化繊維シートを得、この酸化繊維シートを炭素化することにより製造することができる。
以下、本発明固体高分子電解質型燃料電池用炭素繊維シートの製造方法の一例について詳細に説明する。
〔原料の酸化繊維〕
炭素繊維シート製造用原料の酸化繊維の種類としては、PAN系の酸化繊維を用いる。このPAN系酸化繊維を用いることにより高強度の素材が得られる。
原料繊維のPAN系酸化繊維は、例えば市販のPAN系繊維を空気中、200〜300℃の温度で処理することにより環化反応を生じさせ、酸素結合量を増加させて不融化、難燃化させる耐炎化処理によって得られるものを用いることができる。
上記PAN系繊維は、例えばアクリロニトリルの単独重合体又はアクリロニトリルを95質量%以上含有する単量体を重合した共重合体を含む紡糸溶液を、湿式又は乾湿式紡糸法において紡糸・水洗・乾燥・延伸等の処理を行うことによっても得ることができる。共重合する単量体としては、アクリル酸メチル、イタコン酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸等が好ましい。
PAN系酸化繊維の平均綿長(カット長)は3〜15mmが好ましい。平均綿長が3mm未満の場合は、酸化繊維同士が絡み難いため、得られる炭素繊維シート強度が低下する。平均綿長が15mmを超える場合は、繊維の均一分散性が低下し、それに伴い得られる酸化繊維シート及び炭素繊維シートの強度が低下する。
PAN系酸化繊維の繊度は0.5〜1.5dtexが好ましく、0.9〜1.3dtexがより好ましい。繊度が0.5dtex未満の場合は、酸化繊維同士の開繊性が悪く、混抄時、酸化繊維の均質な分散が難しい。繊度が1.5dtexを超える場合は、強度の高い炭素繊維シートが得られない。
PAN系酸化繊維の乾強度は5mN/dtex以上が好ましい。乾強度は高いほど得られる酸化繊維シート及び炭素繊維シートの強度が向上する。乾強度が5mN/dtex未満の場合は、シートを製造するに際し繊維切れが多発し、抄紙加工が難しい。
〔バインダー繊維〕
酸化繊維抄紙シートを作製するに際しては、PAN系酸化繊維と、バインダー繊維とを混抄する。酸化繊維抄紙シート中の好ましいバインダー繊維の含有量は3〜20質量%である。このバインダー繊維としては、後工程の炭素化処理時における残炭率が0.5〜25質量%のものが用いられる。具体的には、ポリエステル(PET)、ナイロン、レーヨン、ビニロン、オレフィン系繊維等が用いられる。
〔酸化繊維抄紙シート〕
上記混抄により得られる酸化繊維抄紙シートは、その厚さが0.10〜0.35mmである。酸化繊維抄紙シートの厚さが0.10mm未満の場合は、シート強度が低下する。この酸化繊維抄紙シートから得られる炭素繊維シートの強度も低下する。酸化繊維抄紙シートの厚さが0.35mmを超える場合は、得られる炭素繊維シートの厚さ方向の通電性が低下する。
酸化繊維抄紙シートの目付は50〜250g/m2である。酸化繊維抄紙シートの目付が50g/m2未満の場合は、シート強度が低下する。酸化繊維抄紙シートの目付が250g/m2を超える場合は、上記厚さの薄層の酸化繊維抄紙シート及び炭素繊維シートが作製困難である。
〔含浸用樹脂〕
上記酸化繊維抄紙シートへの含浸用樹脂としては、バインダー繊維と同様に残炭率が0.5〜25質量%の樹脂が用いられる。この含浸用樹脂の使用に際しては、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルローズ、メタクリル酸メチル樹脂等を水溶液又は水分散液として、酸化繊維抄紙シートを連続的に浸漬させることができる。
酸化繊維抄紙シート中のバインダー繊維と、酸化繊維抄紙シートへの含浸用樹脂との合計の含有量は、5〜25質量%である。バインダー繊維と含浸用樹脂との合計含有量が5質量%未満の場合は、シート強度が低下し、このシートを用いての後工程の圧縮処理、炭素化処理において不具合が起こり、炭素繊維シートの製造は難しい。バインダー繊維と含浸用樹脂との合計含有量が25質量%を超える場合は、炭素化処理時にシート強度が低下する。得られる炭素繊維シートの平均細孔径(A)が前述の15μmより大きくなる。細孔径のばらつきが大きくなり、平均細孔径(A)及びガス透過性(B)が前述の式の範囲から逸脱する。
〔圧縮熱処理〕
上記樹脂処理された酸化繊維抄紙シート(樹脂含浸シート)を圧縮熱処理することにより、炭素化処理用中間原料の酸化繊維シートにする。酸化繊維抄紙時に混合されるバインダー繊維及び酸化繊維抄紙シートへの含浸用樹脂の熱的特性により、圧縮熱処理の最適条件は多少異なるが、以下の条件で処理することが好ましい。
圧縮熱処理時における処理温度は100〜350℃、好ましくは110〜250℃である。処理温度が100℃未満の場合は、得られる酸化繊維シートについての賦形性向上、強度向上、薄層化等の効果が得られない。処理温度が350℃を超える場合は、得られる酸化繊維シートについて賦形性、強度等の繊維性能が劣化する。処理温度が350℃を超える場合は、圧縮熱処理時において蓄熱又は発火等のトラブルを生ずる危険性がある。
圧縮熱処理時における処理圧力は0.5〜50MPa、好ましくは2〜30MPaである。処理圧力が0.5MPa未満の場合は、得られる酸化繊維シートについての賦形性向上、強度向上、薄層化等の効果が得られない。処理圧力が50MPaを超える場合は、得られる酸化繊維シートについて賦形性、強度等の繊維性能が劣化する。圧縮熱処理雰囲気は特に限定されないが、酸素20体積%以下の雰囲気が好ましい。
〔炭素化処理〕
上記圧縮熱処理された酸化繊維シートを、不活性雰囲気中で焼成して炭素化処理することにより本発明の固体高分子電解質型燃料電池用炭素繊維シートは得られる。
炭素化処理は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下、最高温度1400〜2300℃で行う。なお、昇温下で炭素化する場合の昇温速度は200℃/min以下が好ましい。炭素化処理時の最高温度が1400℃未満の場合は、炭素繊維固有の特性向上、すなわち耐熱性向上、強度向上、電気伝導性向上等の効果が発現されない。炭素化処理時の最高温度が2300℃を超える場合は、繊維強度の劣化が起こり、その劣化に伴い、微粉末が多発する。最高温度での炭素化処理時間は0.5〜20分が好ましい。
炭素化処理時には、酸化繊維シート中の酸化繊維は質量換算で50〜60%が繊維の形態を保ち残留する。一方バインダー繊維は、溶融しながら炭素化し、質量換算で0.5〜25%が残留する。溶融したバインダー繊維は、炭素化により生成する炭素繊維間を繋ぎとめる効果(バインダー効果)が発現する。このバインダー効果により、炭素繊維シートの賦形性及び強度が向上するとともに、より薄層化された炭素繊維シートが得られる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、各物性の測定は次の方法によった。
[バインダー繊維と樹脂との合計含有量]
抄紙時の混合工程における酸化繊維、バインダー繊維の各投入質量(配合量)、樹脂処理時における樹脂含浸量(配合量)から、次式
[(バインダー繊維の配合量)+(樹脂の配合量)]×100/[(酸化繊維の配合量)+(バインダー繊維の配合量)+(樹脂の配合量)]
を用いてバインダー繊維と樹脂との合計含有量(質量%)を算出した。
[繊維特性:繊度、平均繊維長(カット長)]
JIS L 1015に基づいて測定した。
[酸化繊維シート、炭素繊維シートの強力]
つかみ間隔100mmとし、引っ張り速度30mm/minで引っ張ったときの破断強力を強力(N/cm)とした。
[シート厚さ]
直径5mmの円形圧板で厚さ方向に1.2Nの荷重(61.9kPa)を負荷したときの厚さを測定した。
[シート目付]
200mm×250mmのフェルトを120℃で1時間乾燥した後の質量値より算出した。
[シート嵩密度]
上記フェルト目付とフェルト厚さとから算出した。
[残炭率]
熱質量分析(TGA)にて、窒素流量100ml/min、昇温速度10℃/min、室温から900℃まで昇温した時の質量変化から残炭率(質量%)を算出した。
[平均細孔径]
水銀ポロジメーター(Quantachrome社製 PoreMaster−60)を用いて水銀圧入法により、容積基準メジアン細孔直径を求め、これを平均細孔径(μm)とした。
[ガス透過性]
JIS P 8117に準拠し、ガーレー法にて100mmH2Oの圧力下での1cm2、1分当たりの通気流量(ml/cm2・min)を測定した。
[X線結晶サイズ]
2Θ=26°付近のピークにおける広角X線測定結果から以下に示すシェラーの式
Lc(nm)=kλ/β・COSΘ
k:装置定数(本測定では0.9)
λ:X線波長(0.154nm)
β:2Θ=26°付近のピークの半値幅
Θ:ピークの位置(°)
を用いて算出した。
[炭素含有率]
CHNコーダー(カルボエルバ社製、EA1108、CHNS−0)により炭素繊維シートの炭素含有率(質量%)を測定した。
[比抵抗値]
2枚の50mm角(厚さ10mm)の金メッキした電極で、炭素繊維シートを電極が全面接触するように挟み、荷重1MPaを厚さ方向にかけたときの厚さ方向の電気抵抗値R(Ω)を測定し、下式
比抵抗値(Ωcm)=R×(S/L)
S:接触面積 5×5=25cm2
L:測定時のシートの厚さ(荷重1MPa)
により求めた。
[電池特性]
炭素繊維シートを50cm角にカットし、これに触媒(Pt−Rt)を0.2mg/cm2担持させた。高分子電解質膜(ナフィオン117)の両面に、上記触媒を担持させた炭素繊維シートを接合してセルを構成した。セルに水素及び空気を供給し、温度80℃、電流密度1.6A/cm2でのセル電圧(V)を測定し、この測定値を初期性能(電池特性)として表示した。
[実施例1〜4、比較例1〜6]
表1〜2に示す条件で、PAN系酸化繊維とバインダー繊維とを混抄し、表1〜2に示す目付、厚さの酸化繊維抄紙シートを得た。バインダー繊維の残炭率は、PETが1.2質量%、セルローズが8.5質量%であった。
得られた酸化繊維抄紙シートを表1〜2に示す条件で、樹脂水溶液(樹脂濃度5質量%)に浸漬させ、120℃で乾燥させ、酸化繊維100質量部に対して表1〜2に示す配合量を添着せしめ、表1〜2に示す温度、圧力にて加圧処理を行い、表1〜2に示す目付、厚さの酸化繊維シートを得た。含浸用樹脂の残炭率は、PVAが12.5質量%、フェノール樹脂が21.4質量%であった。
得られた酸化繊維シートを昇温速度100℃/min、窒素気流中にて昇温後、表1〜2に示す昇温後温度(最高温度)、同温度の保持時間で炭素化し、表1〜2に示す物性の炭素繊維シートを得た。
Figure 2007080742
Figure 2007080742
表1〜2に示すように、実施例1〜4においては良好な物性の炭素繊維シートが得られた。
しかし、比較例1においては酸化繊維の繊度が小さいため、ガス透過性は平均細孔径から求まる下限値よりも低く、電池特性も低く、良好な物性の炭素繊維シートは得られなかった。比較例2においては酸化繊維の繊度が大きいため、ガス透過性は平均細孔径から求まる上限値よりも高く、電池特性も低く、良好な物性の炭素繊維シートは得られなかった。
比較例3においては炭素化処理時の最高温度が低いため、炭素含有率が少なく、X線結晶サイズが小さく、比抵抗値が高く、電池特性が低く、良好な物性の炭素繊維シートは得られなかった。比較例4においては酸化繊維抄紙シートへの樹脂含浸量が多く、惹いては酸化繊維シートにおけるバインダー繊維と樹脂との合計含有量が41質量%と多いため、平均細孔径が小さく、ガス透過性は平均細孔径から求まる下限値よりも低く、電池特性も低く、良好な物性の炭素繊維シートは得られなかった。
比較例5においてはバインダー繊維の配合量も樹脂の配合量も少ないため、酸化繊維シートの強度が低下し、炭素化処理時においてシートが切断し、炭素繊維シートは得られなかった。比較例6においては酸化繊維抄紙シートへの樹脂含浸量が多く、惹いては酸化繊維シートにおけるバインダー繊維と樹脂との合計含有量が31質量%と多いため、平均細孔径が大きく、ガス透過性は平均細孔径から求まる上限値よりも高く、電池特性も低く、良好な物性の炭素繊維シートは得られなかった。
表1〜2中、×で示す箇所が本発明の構成から逸脱している。

Claims (3)

  1. 厚さが100〜350μm、目付が50〜100g/m2、比抵抗値が0.2〜10mΩ・cm、炭素含有率が94質量%以上、平均細孔径が7〜15μm、ガス透過性が3000〜28500ml/cm2・minである固体高分子電解質型燃料電池用炭素繊維シート。
  2. 炭素のX線結晶サイズが2.1〜4.8nmである請求項1に記載の固体高分子電解質型燃料電池用炭素繊維シート。
  3. ポリアクリロニトリル系酸化繊維と、残炭率0.5〜25質量%のバインダー繊維とを混抄して酸化繊維抄紙シートを得、次いで得られた酸化繊維抄紙シートに残炭率0.5〜25質量%の樹脂を、前記バインダー繊維と樹脂との合計量で5〜25質量%含浸させて樹脂含浸シートを得た後、前記樹脂含浸シートを熱圧縮処理して酸化繊維シートを得、その後、不活性雰囲気下1400〜2300℃で前記酸化繊維シートを炭素化することを特徴とする固体高分子電解質型燃料電池用炭素繊維シートの製造方法。
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