JP2023034236A - 4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を含有するフィルム、並びにその製造方法及び用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】4-メチル-1-ペンテン(共)重合体に由来する優れた離型性を実現するフィルムであって、マテリアルリサイクルに適したモノマテリアルであり、かつ、離型フィルムとして十分なレベルにまでしわが抑制された、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体フィルムを提供する。【解決手段】横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率が3%以下であり、横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率の和が6%以下である、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を90質量%以上含むフィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を含有するフィルムに関し、より具体的には、リサイクル性、剥離性に優れるとともに、皺の発生が効果的に抑制され、離型フィルムとして特に好ましく用いることができる、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を含有するフィルムに関する。
近年、環境保護、省資源等の観点から、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体等のプラスチック材料のリサイクル、好ましくはマテリアルリサイクル、が求められている。4-メチル-1-ペンテン(共)重合体フィルムの主要な用途である離型フィルム等は、工場内等の限られた場所で用いられるため使用後の回収が容易であり、マテリアルリサイクルを実施しやすい。
ところで、半導体封止工程等に用いられる離型フィルムは、熱膨張が大きいと皺が発生してしまうため、熱膨張の抑制が重要である。熱膨張の抑制等を目的として、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体層/耐熱樹脂層/4-メチル-1-ペンテン(共)重合体層の三層構成で、延伸ポリエステルフィルム等を耐熱性樹脂層に使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この様な構成のフィルムはモノマテリアルではないので、マテリアルリサイクルを行うことが困難である。
上記構成において4-メチル-1-ペンテン(共)重合体層のみを単層フィルムとして使用すれば、モノマテリアルなのでマテリアルリサイクルに適し、また4-メチル-1-ペンテン(共)重合体に由来する優れた離型性を実現することができる。しかしながら、当該4-メチル-1-ペンテン(共)重合体層は無延伸であるため、単層フィルムとすると皺を生じやすく、離型フィルム、特に加熱を伴う成形プロセスにおける離型フィルム、として使用すると、成形物の外観等に皺により悪影響を与える場合がある。
高分子フィルムの皺抑制の一手段として、高分子フィルムを適宜延伸することが一般に有効とされている。しかしながら、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体フィルムは、延伸むらや破断、亀裂が生じやすいなど延伸加工性に劣り、これを解決するために各種の延伸方法や延伸用原反が提案されているが(例えば、特許文献2及び3参照)、これらの手法を以てしても、破断、亀裂なく均一な延伸を行うことは必ずしも容易ではなく、また離型フィルムとして十分なレベルで皺を抑制することはできなかった。
特開2017-100397号公報 特開昭61-228931号公報 特開2011-088339号公報
本発明は、上述の従来技術の限界に鑑みてなされたものであり、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体に由来する優れた離型性を実現するフィルムであって、マテリアルリサイクルに適したモノマテリアルであり、かつ、離型フィルムとして十分なレベルにまで皺が抑制された、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を含有するフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を所定量含むフィルムであって、横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率、及び横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率の和がそれぞれ所定値以下であるフィルムが、従来技術を超えた高いレベルで、離型性、モノマテリアル、及び皺の抑制を実現し、時期課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明及びその各態様は、下記[1]から[8]に記載のとおりである。
[1]
横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率が3%以下であり、横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率の和が6%以下である、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を90質量%以上含むフィルム。
[2]
上記フィルムが単層フィルムである、[1]に記載のフィルム。
[3]
縦(MD)方向及び横(TD)方向の延伸倍率がいずれも1.01倍以上であって、縦(MD)方向の延伸倍率×横(TD)方向の延伸倍率で表される面積倍率が1.02~2.00倍である二軸延伸フィルムである、[1]又は[2]に記載のフィルム。
[4]
前記横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率が0%以上である、[1]から[3]のいずれか一項に記載のフィルム。
[5]
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を90質量%以上含む原反フィルムを二軸延伸する工程を有する、[1]から[4]のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法であって、前記二軸延伸を、50℃以上、前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体の融点未満の温度で実施する、上記製造方法。
[6]
前記二軸延伸する工程の後に、前記二軸伸延の温度以上、前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体の融点未満の温度で熱固定処理を実施する工程を更に有する、[5]に記載の製造方法。
[7]
離型フィルムである、[1]から[4]のいずれか一項に記載のフィルム。
[8]
半導体封止工程用離型フィルムである、[1]から[4]のいずれか一項に記載のフィルム。
本発明のフィルムは、高いレベルの離型性、リサイクル性、及び皺抑制性能を兼ね備えるなど、従来技術の限界を超えた技術的効果を実現するものである。本発明のフィルムを、例えば半導体封止用の離型フィルムとして用いると、半導体チップ等を樹脂封止等して得られる成形品を容易に離型できるとともに、皺などによる外観不良のない成形品を、高い生産性で製造することができ、かつ、当該離型フィルムをマテリアルリサイクルすることができる等、実用上高い価値を有する技術的効果を実現することができる。
本発明の一実施例における、皺の評価方法を説明する模式図である。 本発明のフィルムを用いた樹脂封止半導体の製造方法の一例を示す模式図である。
本発明は、横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率が3%以下であり、横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率の和が6%以下である、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を90質量%以上含むフィルム、である。
ここで、横(TD)方向とは、フィルムの面内であって、フィルムの製造時の長手方向に対して直行する方向をいい、以下、単に「横方向」「TD方向」ともいう。また、縦(MD)方向とは、フィルムの製造時の長手方向をいい、以下、単に「縦方向」「MD方向」ともいう。
本発明のフィルムは、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を90質量%以上含むので、実質的のモノマテリアルであり、リサイクル性に優れ、マテリアルリサイクルが可能である。本発明のフィルムは、製造プロセスで用いる離型フィルムとして好ましく使用することができるが、この様な離型フィルムは製造プロセスが実施される工場等で使用されるため使用後の回収が比較的容易である。したがってリサイクル性に優れることの経済面、環境面での意義が特に大きい。
リサイクル性の観点から、本発明のフィルムは4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を95質量%以上含むことが好ましく、98質量%以上含むことが特に好ましい。
本発明のフィルムは4-メチル-1-ペンテン(共)重合体のみから構成されていてもよいが、本発明の目的、特にリサイクル性、を損なわない範囲で、かつ4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を90質量%以上含む、という要件に反しない限りにおいて、他の成分を含んでいてもよい。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体
本発明のフィルムに用いられる4-メチル-1-ペンテン(共)重合体は、4-メチル-1-ペンテンの単独重合体であってもよく、また4-メチル-1-ペンテンと、それ以外のオレフィン、好ましくは炭素原子数2~20のα-オレフィン(但し、4-メチル-1-ペンテンを除く。以下同じ。)、との共重合体であってもよい。
4-メチル-1-ペンテンと、炭素原子数2~20のα-オレフィンとの共重合体の場合、4-メチル-1-ペンテンと共重合される炭素原子数2~20のオレフィンは、4-メチル-1-ペンテンに可とう性を付与し得る。炭素原子数2~20のα-オレフィンの例には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等が含まれる。これらのオレフィンは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合せて用いてもよい。
4-メチル-1-ペンテンと、炭素原子数2~20のα-オレフィンとの共重合体の場合、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位の割合が96質量%以上であり、それ以外の炭素原子数2~20のオレフィンに由来する構成単位の割合が4質量%以下であることが好ましい。炭素原子数2~20のα-オレフィン由来の構成単位の含有量が少なくすることで、共重合体を硬く、すなわち貯蔵弾性率E’が高くすることができ、封止工程等における皺が発生の抑制等に有利である。一方、炭素原子数2~20のα-オレフィン由来の構成単位の含有量が多くすることで、共重合体を軟らかく、すなわち貯蔵弾性率E’を低くすることができ、金型追従性等を向上させるのに有利である。
4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位の割合は、96~99質量%であることがより好ましく、それ以外の炭素原子数2~20のオレフィンに由来する構成単位の割合は、4~1質量%であることが特に好ましい。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体は、炭素原子数2~20のα-オレフィン以外の共重合成分をから導かれる構成単位を有していてもよい。炭素原子数2~20のα-オレフィン以外の共重合成分としては、例えば、炭素原子数20超のα-オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能ビニル化合物、水酸基含有オレフィン、ハロゲン化オレフィンが挙げられる。環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能ビニル化合物、水酸基含有オレフィンおよびハロゲン化オレフィンの例として、特開2013-169685号公報の段落[0035]~[0041]に記載の化合物を挙げることができる。これらの、炭素原子数2~20のα-オレフィン以外の共重合成分も、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合せて用いてもよい。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体は、当業者において公知の方法で製造することができる。例えば、チーグラ・ナッタ触媒、メタロセン系触媒等の公知の触媒を用いた方法により製造されうる。4-メチル-1-ペンテン(共)重合体は、結晶性の高い(共)重合体であることが好ましい。結晶性の共重合体としては、アイソタクチック構造を有する共重合体、シンジオタクチック構造を有する共重合体のいずれであってもよいが、特にアイソタクチック構造を有する共重合体であることが物性の点からも好ましく、また入手も容易である。さらに、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体は、フィルム状に成形でき、金型成形時の温度や圧力等に耐える強度を有していれば、立体規則性や分子量も、特に制限されない。4-メチル-1-ペンテン共重合体は、例えば、三井化学株式会社製TPX(登録商標)等、市販の共重合体であってもよい。
上述の様に、本発明のフィルムは、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体のみから構成されていてもよく、また本発明の目的、特にリサイクル性、を損なわない範囲で、かつ4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を90質量%以上含む、という要件に反しない限りにおいて、他の成分を含んでいてもよい。
他の成分には特に制限は無く、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体又はそれに類似する材料系のフィルムにおいて従来から慣用されている延伸助剤等の添加剤や、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体以外の各種樹脂を含有していてもよい。
延伸助剤の好ましい例としては、石油樹脂、テルペン樹脂等を挙げることができる。
またそれ以外の添加剤としては、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、核剤、滑剤、顔料、染料、老化防止剤、塩酸吸収剤、無機または有機の充填剤、有機系または無機系の発泡剤、架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、難燃剤等を挙げることができる。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体以外の樹脂としては、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体以外の熱可塑性ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、熱可塑性ビニル芳香族系樹脂等の熱可塑性樹脂、また、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂等を例示することができる。
これら他の成分も、1種類のみを使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明のフィルムは、リサイクル性や製造コスト等の観点から、単層のフィルムであることが好ましいが、本発明の要件、特に4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を90質量%以上含むこと、を充足する限りにおいて、多層フィルム(積層体)であることを排除するものではない。多層フィルムである場合においては、多層フィルム全体の質量を基準として、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を90質量%以上含む。
多層フィルムである場合においては、その全ての層が4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を含むものであってもよく、その一部の層のみが4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を含むものであってもよいが、多層フィルム全体の質量を基準として4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を90質量%以上含むため、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を含有する少なくとも1の層が、多層フィルムの主要部を占める。
多層フィルムが4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を含む層以外の層(以下、「他の層」ともいう。)を有する場合の当該他の層として、例えばマット層(表面に凹凸を設けた層)、離型層、導電層、帯電防止層、光学コーティング層、粘着層、接着層、ガスバリア層等を挙げることができるが、これらには制限されない。
本発明のフィルムの厚みには特に制限は無いが、例えば10~300μmであることが好ましく、30~150μmであることがより好ましい。本発明のフィルムの厚みが上記範囲にあると、巻物として使用する際のハンドリング性が良好であるとともに、フィルムの廃棄量が少ないため好ましい。
本発明のフィルムが多層フィルムである場合の、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を含む層の厚みも、10~300μmであることが好ましく、30~150μmであることがより好ましい。
フィルムの熱寸法変化率
本発明においては、上記の発明の課題を解決するために、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を所定量以上含むフィルムであって、その横(TD)方向の熱寸法変化率が所定値以下であり、かつ、その横(TD)方向の熱寸法変化率と縦(MD)方向の熱寸法変化率との和が所定値以下である、フィルムが提供される。
すなわち、本発明のフィルムにおいては、横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率が3%以下であり、横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率の和が6%以下である。
本発明のフィルムにおいては、横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率が3%以下であり、横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率の和が6%以下であることにより、加熱時の皺の発生を有効に抑制することができ、例えば半導体チップ等の封止用の離型フィルムとして用いると、半導体チップ等を樹脂封止等して得られる成形品を良好な外観で製造することができる。
本発明のフィルムにおける上記の横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率及び縦(MD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率は、それぞれ横(TD)方向及び縦(MD)方向に、0.005Nの荷重をかけた状態で23℃5分間保持後、23℃から150℃まで10℃/分の昇温速度で昇温して測定した、23℃時のサンプル長及び150℃時のサンプル長から算出した熱寸法変化率である。
より具体的には、適切な大きさに切り出したフィルムサンプルについて、熱機械分析装置を用い、測定方向(横(TD)方向、又は縦(MD)方向)に0.005Nの荷重をかけた状態で23℃5分間保持後、23℃から150℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、測定方向の23℃時及び150℃のサンプル長(荷重点の間の距離)を測定し、下記式(1)により、熱寸法変化率を算出する。
熱寸法変化率(%)(23→150℃) = {[(L-L)/L]×100}
・・・(1)
:23℃時のサンプル長(mm)
:150℃時のサンプル長(mm)
上記条件に従う限りにおいて、測定に用いる装置や操作等の測定方法の詳細には特に制限はなく、当該技術分野において慣用する方法によって適宜測定を行うことができるが、例えば本願明細書実施例に記載の方法によって測定することが好ましい。
上記横(TD)方向の熱寸法変化率、並びに上記横(TD)方向の熱寸法変化率と縦(MD)方向の熱寸法変化率の和が、それぞれ所定値以下であることで皺の発生が抑制されるメカニズムは必ずしも明らかではないが、比較的熱膨張/収縮の小さいフィルムを用いることにより、プロセス時の加熱/冷却によるフィルム表面における不均一な熱膨張/収縮が抑制されることと何らかの関連があるものと推測される。
本発明のフィルムは、一層効果的に皺の発生を抑制する等の観点から、そのTD方向(横方向)の23℃から150℃までの熱寸法変化率が2.5%以下であることが好ましく、2.0%以下であることより好ましく、1.5%以下であることが更に好ましくい。一方、本発明のフィルムは、吸着エラーを防止する等の観点から、そのTD方向(横方向)の23℃から150℃までの熱寸法変化率が0%以上、好ましくは0%を超えることが好ましい。
本発明のフィルムは、一層効果的に皺の発生を抑制する等の観点から、その横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率の和が、5.0%以下であることが好ましく、4.5%以下であることが特に好ましい。
また、横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率の和は、-2%以上であることが好ましく、-1%以上であることがより好ましく、0%以上であることが特に好ましい。
本発明のフィルムにおいては、横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率が3%以下であり、横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率の和が6%以下である、という上記条件を満たす限りにおいて、その縦(MD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率には特に制限は無いが、上記条件の達成を容易ならしめ、皺の発生等を一層有効に抑制する、等の観点からは、5%以下であることが好ましく、4%以下であることがより好ましい。また、本発明のフィルムの縦(MD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率は、-2%以上であることが好ましく、-1%以上がより好ましく、0%以上であることが特に好ましい。
上述の様に、本発明のフィルムは単層フィルムであっても多層フィルム(積層体)であってもよいが、多層フィルムである場合にあっては、上記の熱寸法変化率は、いずれも多層フィルム全体について定義され、測定されるものである。
尤も、多層フィルム全体について上記の熱寸法変化率を実現する観点からは、多層フィルムを構成する各層の少なくとも一部は、上記の熱寸法変化率の条件を充足することが好ましく、中でも多層フィルムである場合にその主要部を占める4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を含有する層が上記の熱寸法変化率の条件を充足することが等に好ましい。
多層フィルムを構成する各層の全てが、上記の熱寸法変化率の条件を充足することが特に好ましい。
フィルムの横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率、並びに横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率の和は、フィルムの材質や製造条件を適宜変更、設定することにより調整することができる。
特に、フィルムの製造にあたり、延伸、好ましくは二軸延伸、を行い、延伸倍率、延伸温度等の延伸の際の条件を適宜設定することで、フィルムの熱寸法変化率を適宜調整することができる。また、延伸後のフィルムを所定温度で一定時間保持する、いわゆる熱セット処理を適宜採用することによっても、フィルムの熱寸法変化率を適宜調整することができる。
フィルムの好ましい物性等
本発明のフィルムは、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を90質量%以上含むことで、優れた離型性を実現することができる。
離型性の度合いは、使用の目的や形態に応じて適宜設定すればよく、特に制限は無いが、離型性の目安としてしばしば用いられる水に対する接触角で表すと、通常90°から130°であり、好ましくは95°から120°であり、より好ましくは98°から115°、更に好ましくは100°から110°である。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を90質量%以上含むことで、あるいはその含有割合をそれ以上に設定することで、上述の水接触角が実現される場合が多いが、更に離型性を向上し得る添加剤(離型剤)を使用したり、表面処理を行ったりしてもよい。
使用し得る離型剤の種類には特に制限は無く、シリコーン系離型剤、メラミン系離型剤、ポリオレフィン系離型剤、エポキシ系離型剤、アクリル系離型剤、フッ素系離型剤、セルロース系離型剤、パラフィン系離型剤、エポキシ-メラミン系離型剤及びこれらの組み合わせからなる群より選択された少なくとも一つを適宜使用することができる。
これら離型剤は、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体をはじめとする本発明のフィルムを構成する樹脂中に添加してもよいが、本発明のフィルムに塗布してもよい。
また、本発明のフィルムの表面は、必要に応じて凹凸形状を有していてもよく、それにより離型性を更に向上させることができる。フィルムの表面に凹凸を付与する方法は、特に制限はないが、エンボス加工等の一般的な方法が採用できる。
本発明のフィルムは、プロセス用離型フィルムとして好適に使用することができ、この場合、成形時の金型の温度(典型的には120~180℃)に耐え得る耐熱性を有することが好ましい。かかる観点から、本発明のフィルムを構成する4-メチル-1-ペンテン(共)重合体は結晶性であることが好ましく、また当該4-メチル-1-ペンテン(共)重合体の融点は190℃以上であることが好ましく、200℃以上240℃以下であることがより好ましい。
結晶性であり、及び/又は上記範囲の融点を有する4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を用いることにより、樹脂封止工程等において皺の発生を一層有効に抑制し、皺が成形品に転写されて外観不良を生じる等の現象を一層効果的に抑制することができる。
本発明のフィルムを構成する、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を含有する樹脂は、JISK7221に準じて示差走査熱量測定(DSC)によって測定した第1回昇温工程での結晶融解熱量が15J/g以上、60J/g以下であることが好ましく、20J/g以上、50J/g以下であることがより好ましい。15J/g以上であると、樹脂封止工程等での熱プレス成形に耐え得る耐熱性及び離型性をより効果的に発現することが可能であることに加え、寸法変化率も抑制することができるため、皺の発生を一層効果的に防止することができる。一方、前記結晶融解熱量が60J/g以下であると、フィルムが適切な硬度となるため、樹脂封止工程等においてフィルムの金型への十分な追随性を得ることができるため、フィルムの破損を一層効果的に抑制できる。
延伸フィルム
本発明のフィルムは、無延伸フィルムであってもよいが、無延伸の4-メチル-1-ペンテン(共)重合体フィルムは熱膨張による熱寸法変化率が大きい場合が多いため、熱寸法変化率を適切に制御することや、硬度を適切な値に制御すること等の観点から、延伸フィルムを用いることが好ましい。
本実施形態における延伸フィルムは、一軸延伸フィルムであってもよく、二軸延伸フィルムであってもよい。一軸延伸フィルムである場合には、縦延伸、横延伸のいずれであっても良いが、横延伸により、横(TD)方向の熱膨張率を低下させ、又は負とすることが比較的容易であることから、少なくとも横(TD)方向に延伸が行われたものであることが望ましい。
上記実施形態の延伸フィルムを得るための方法、装置にも特に限定は無く、当業界において公知の方法で延伸を行えばよい。例えば、無延伸の原反フィルムを、加熱ロールやテンター式延伸機で延伸することができる。
上記原反フィルムを製造する方法にも特に限定は無く、例えば、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を90質量%含有する原料樹脂を、押出成型、プレス成型等の方法により成膜することで、原反フィルムを製造することができる。
原反フィルムの厚みには特に制限は無く、用途、延伸倍率等を考慮のうえ適宜設定すればよいが、通常10~360μmであり、好ましくは30~180μmである。
延伸倍率には特に限定はなく、熱寸法変化率を適切に制御し、好適な機械的性質を実現するために適切な値を適宜設定すればよいが、縦(MD)方向、及び横(TD)方向ともに1.01倍以上であることが好ましい。
縦(MD)方向、及び横(TD)方向の延伸倍率のいずれかが、1.01~1.50倍であることがより好ましく、1.01~1.35倍であることが特に好ましい。
縦(MD)方向、及び横(TD)方向の延伸倍率の双方が、上記のより好ましい範囲にあることが更に好ましく、上記の特に好ましい範囲にあることが一層好ましい。
縦(MD)方向、及び横(TD)方向の延伸倍率のいずれかが1.01倍以上であることで、フィルムの熱寸法変化、特に熱膨張、を一層効果的に抑制することができる。
一方、縦(MD)方向、及び横(TD)方向の延伸倍率のいずれかが1.50倍以下であることで、フィルムの熱収縮を一層効果的に抑制することができる。また、破断、亀裂なく均一な延伸を行うことが容易である。
上記実施形態においては、縦(MD)方向の延伸倍率×横(TD)方向の延伸倍率で表される面積倍率が1.02~2.00倍であることが好ましい。
縦(MD)方向の延伸倍率×横(TD)方向の延伸倍率が1.02倍以上であることで、フィルムの熱寸法変化、特に熱膨張、を一層効果的に抑制することができる。
一方、縦(MD)方向の延伸倍率×横(TD)方向の延伸倍率が2.00倍以下であることで、フィルムが熱収縮しない程度に、熱膨張を抑制することができる。また、破断、亀裂なく均一な延伸を行うことが容易である。
縦(MD)方向の延伸倍率×横(TD)方向の延伸倍率で表される面積倍率は、1.03倍以上1.60倍未満であることが特に好ましい。
二軸延伸を行う場合の延伸の順序にも特に制限は無く、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれを採用してもよい。
逐次二軸延伸を行う場合、縦(MD)方向の延伸を先に行ってもよく、横(TD)方向の延伸を先に行ってもよい。
延伸の具体的方法、装置等については特に制限は無く、当該技術分野において慣用されている方法を適宜採用することができる。例えば、縦(MD)方向の延伸については、ロールの周速差などを利用して延伸することが可能であり、横(TD)方向の延伸については、テンターで延伸するのが一般的であるが、エキスパンダーロールやクロスガイダーで延伸することもできる。
生産性の観点から、上述の各種延伸方法を採用することが好ましいが、生産量が少ない場合や、多品種少量生産を行う場合には、バッチ式で延伸を行うことも好ましい。
延伸を行う温度にも特に限定は無く、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を90質量%含有する原料樹脂の物性等を考慮して適宜設定すればよいが、50℃以上で延伸することが好ましく、80℃以上で延伸することが特に好ましい。上記温度以上で延伸することで、延伸後の歪みが少なく、熱寸法変化の小さな延伸フィルムを効率的に製造することができる。
また、原料樹脂で使用する4-メチル-1-ペンテン(共)重合体の融点未満の温度で延伸することが好ましく、融点より20℃以上低い温度で延伸することが特に好ましい。 上記の様に、好ましい延伸温度は4-メチル-1-ペンテン(共)重合体の融点により変動し得るので値を特定することは難しいが、例えば、通常の4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を使用する場合、230℃未満程度で延伸することが好ましく、210℃未満程度で延伸することが特に好ましい。上記温度未満で延伸することで、破断等を十分に抑制しながら、効率的に延伸フィルムを製造することができる。
上記延伸工程の後、好ましくは二軸延伸工程の後に、延伸後のフィルムを所定温度で一定時間保持する、熱固定処理(熱セット処理)を行うことで、フィルムの熱寸法変化率を適宜調整することができる。
熱固定処理の温度にも特に制限は無いが、歪みを効果的に除去する観点から、二軸延伸工程の温度以上であることが好ましく、原料樹脂で使用する4-メチル-1-ペンテン(共)重合体の融点未満の温度であることが好ましい。例えば、50℃以上230℃以下の温度で熱固定処理することが好ましく、80℃以上210℃以下の温度で熱固定処理することが好ましい。
熱固定処理の時間にも特に限定は無いが、通常5~300秒であり、10~120秒であることが特に好ましい。
延伸前の原反フィルムには、引張降伏点が有っても無くてもかまわないが、本実施形態の前述した延伸倍率の範囲内においては、降伏点を有するフィルムであっても好ましく用いることが出来る。
なお、延伸前のフィルムが降伏点を有する場合は、亀裂を防止する観点から降伏点に達しない程度に延伸倍率を設定することが好ましい。降伏点の有無は原反フィルムについて引張応力/ひずみ特性を測定することで確認できる。より具体的には、原反フィルムの引張降伏点の有無は、JIS K7161に倣い引張応力/ひずみ特性を測定し、応力が増加しないのに、ひずみが増加する点を降伏点としてその有無を確認することができる。
なお、延伸後フィルムについて同様の測定を行うことでも、原反フィルムにおける引張降伏点の有無を推定できる。この場合、延伸後フィルムについて同様の測定で降伏点の存在が観測されれば、原反フィルムにおいても降伏点が存在していたものと推定される。
製造プロセス
本発明のフィルムは、プロセス用離型フィルムとして好ましく用いることができ、特に好ましくは、金型内に半導体チップ等を配置して樹脂を注入成形する際に、半導体チップ等と金型内面との間に配置して使用することができる。本発明フィルムをプロセス用離型フィルムとして用いることで、金型からの離型不良、バリの発生等を効果的に防止することができる。
上記製造プロセスに用いる樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよいが、当該技術分野においては熱硬化性樹脂が広く用いられており、特にエポキシ系の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
上記製造プロセスとしては、半導体チップの封止が最も代表的であるが、これに限定されるものではなく、本発明のフィルムは、繊維強化プラスチック成形プロセス、プラスチックレンズ成形プロセス等にも適用することができる。
図2は、本発明のフィルムを用いた樹脂封止半導体の製造方法の一例を示す模式図である。
図2(a)に示すように、本発明のフィルム15を、ロール状の巻物からロール16-1およびロール16-2により、上金型13内に供給する。次いで、フィルム15を上金型13の内面に配置する。必要に応じて、上金型13内面を12a吸引口から真空引きして、フィルム15を上金型13内面に密着させてもよい。モールディング成形装置の下金型14に、基板上に配置した半導体チップ17が配置されており、その半導体チップ17上に封止樹脂を配するか、又は半導体チップ17を覆うように液状封止樹脂を注入することで、排気吸引され密着されたフィルム15を配置した上金型13と下金型14との間に封止樹脂18が収容される。次に図2(b)に示すように、上金型13と下金型14とを、本発明のフィルム15を介して型閉じし、封止樹脂18を硬化させる。
型閉め硬化により、図2(c)に示すように封止樹脂18が金型内に流動化し、封止樹脂18が空間部に流入し半導体チップ17の側面周囲を囲むようにして充填され、封止された半導体チップ17(半導体パッケージ17-2)を上金型13と下金型14とが型開きして取り出す。型開きし、成形品を取り出した後、フィルム15を複数回繰り返して利用するか、新たなフィルムを供給し、次の、樹脂モールディング成形に付される。
本発明のフィルムを上金型に密着させ、金型と封止樹脂との間に介在させ、樹脂モールドすることにより金型への樹脂の付着を防ぎ、金型の樹脂モールド面を汚さず、かつ成形品を容易に離型させることができる。
なお、(離型)フィルムは一回の樹脂モールド操作ごとに新たに供給して樹脂モールドすることもできるし複数回の樹脂モールド操作ごとに新たに供給して樹脂モールドすることもできる。
封止樹脂としては、液状樹脂であっても、常温で固体状の樹脂であってもよいが、樹脂封止時液状となるものなどの封止材を適宜採用できる。封止樹脂材料として、具体的には、主としてエポキシ系(ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂など)が用いられ、エポキシ樹脂以外の封止樹脂として、ポリイミド系樹脂(ビスマレイミド系)、シリコーン系樹脂(熱硬化付加型)など封止樹脂として通常使用されているものを用いることができる。また、樹脂封止条件としては、使用する封止樹脂により異なるが、例えば硬化温度120℃~180℃、成形圧力10~50kg/cm、硬化時間1~60分の範囲で適宜設定することができる。
フィルム15を上金型13の内面に配置する工程と、半導体チップ17を配置する工程の前後は、特に限定されず、同時に行ってもよいし、半導体チップ17を配置した後、フィルム15を配置してもよいし、フィルム15を配置した後、半導体チップ17を配置してもよい。
このように、フィルム15は、離型性の高い4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を使用しているので、半導体パッケージ17-2を容易に離型することができる。また、フィルム15は、適度な柔軟性を有するので、金型形状に対する追従性に優れながらも、成形金型13及び14の熱によって皺になり難い。このため、封止された半導体パッケージ17-2の樹脂封止面に皺が転写されたり、樹脂が充填されない部分(樹脂欠け)が生じたりすることなく、外観の良好な封止された半導体パッケージ17-2を得ることができる。
また、図2で示したような、固体の封止樹脂材料18を加圧加熱する圧縮成型法に限らず、流動状態の封止樹脂材料を注入するトランスファーモールド法を採用してもよい。
本発明のフィルムは、半導体素子を樹脂封止する工程に限らず、成型金型、プレス等を用いて各種成形品を成形および離型する工程、例えばLED素子の樹脂封止工程、FPC(フレキシブルプリント回路基板)のプレス工程、塗工基材の製造工程、CFRP等の繊維強化プラスチック成形および離型工程、プラスチックレンズ成形および離型工程等においても、離型フィルム等として好ましく使用できる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これにより何ら限定
されるものではない。
以下の実施例/比較例において、物性/特性の評価は下記の方法で行った。
(熱寸法変化率)
フィルムサンプルをフィルムの長手方向および幅方向にそれぞれ長さ20mm、幅4mmに切り出し、TAインスツルメンツ社製TMA(熱機械分析装置、製品名:Q400)を用い、チャック間距離8mmにて0.005Nの荷重をかけた状態で23℃5分間保持後、23℃から150℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させ、それぞれの方向の寸法変化を測定し、下記式(1)により寸法変化率を算出した。

熱寸法変化率(%)(23→150℃) = {[(L-L)/L]×100}
・・・(1)
:23℃時のサンプル長(mm)
:150℃時のサンプル長(mm)
(皺の評価)
図1に示す様に、フィルム抑え枠1と真空吸着エリア2を含む金型4の間にフィルム5を挟み、全体を面状ヒーター(図示せず。)で加熱した。フィルム5の表面温度を計測して、150℃に到達したところで真空吸着を行った。その後、真空吸着エリア2上のフィルム5の皺の有無について、以下の基準に従い評価した。
〇:フィルムに皺が全くない。
×:フィルムに皺がある。
(降伏点(引張降伏点)の有無)
株式会社エー・アンド・デイ製恒温槽付引張試験機「RTC-1225」を用い、サンプル幅15mm、チャック間距離50mm、速度300mm/minの条件で、引張試験を実施した。
測定温度は、160℃、及び200℃とした。
JIS K7161に倣い、応力が増加しないのに、ひずみが増加する点を降伏点として、その有無を確認した。
[実施例1]
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体フィルム原反(無延伸フィルム)として、オピュラン(登録商標)X44B(厚み50μm、三井化学東セロ株式会社製:4-メチル-1-ペンテン(共)重合体:99質量%以上)を用い、バッチ二軸延伸機(Bruckner社製 KARO IV)で逐次二軸延伸を行った。より具体的には、まず原反製膜時のMD方向に延伸したのち、TD方向を延伸した。
詳細な延伸条件は、以下のとおりである。
チャック間距離:MDとTD方向とも180mm
予熱温度:160℃
予熱時間:60秒
延伸温度:160℃
延伸倍率
MD方向:1.05倍
TD方向:1.02倍
延伸速度:1%/秒
得られた二軸延伸フィルムについて、上記方法で熱寸法変化率の測定、及び皺の評価を行った。結果を表1に示す。
同じく二軸延伸フィルムを用いて、上記方法で引張降伏点の有無を確認した。160℃及び200℃において引張降伏点が観測され、原反フィルムが引張降伏点を有していたことが確認できた。
(実施例2、及び4から6)
実施例1で使用した引張降伏点を有する4-メチル-1-ペンテン(共)重合体フィルム原反を使用して、延伸温度及び/又は延伸倍率を表1に示すとおりに変更したことを除くほか、実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを製造し、評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1で使用した引張降伏点を有する4-メチル-1-ペンテン(共)重合体フィルム原反を使用して、逐次二軸延伸に代えて同時二軸延伸を行った(原反製膜時のMD方向とTD方向を同時に延伸した)ことを除くほか、実施例2と同様(装置、チャック間距離、予熱温度、予熱時間、及び延伸速度には、変更なし)にして二軸延伸フィルムを製造し、評価した。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1で使用した引張降伏点を有する4-メチル-1-ペンテン(共)重合体フィルム原反を使用して、実施例6と同じ方法で延伸した後、チャッキングしたまま温度200℃で60秒間保持して熱セットを行った。
熱セット後の二軸延伸フィルムについて、上記方法で熱寸法変化率の測定、及び皺の評価を行った。結果を、表1に示す。
(比較例1)
実施例1で使用した引張降伏点を有する4-メチル-1-ペンテン(共)重合体フィルム原反(無延伸フィルム)について、二軸延伸等を行わず、そのまま熱寸法変化率の測定、及び皺の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1で使用した引張降伏点を有する4-メチル-1-ペンテン(共)重合体フィルム原反(無延伸フィルム)を、160℃、延伸倍率1.10倍で、MD方向に一軸延伸した。
得られた一軸延伸フィルムについて、上記方法で熱寸法変化率の測定、及び皺の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1で使用した引張降伏点を有する4-メチル-1-ペンテン(共)重合体フィルム原反を使用して、延伸温度及び延伸倍率を表1に示すとおりに変更したことを除くほか、実施例3と同様にして二軸延伸フィルムを製造した。結果を表1に示す。
延伸の際亀裂が生じ、皺や熱寸法変化率の評価に使用可能な延伸フィルムは得られなかった。
Figure 2023034236000001
本発明のフィルムは、従来技術では実現できなかった高いレベルで、離型性、リサイクル性、及び皺抑制性能を兼ね備えるものであり、これを例えば半導体封止用の離型フィルムとして用いると、半導体チップ等を樹脂封止等して得られる成形品を容易に離型できるとともに、皺などによる外観不良のない成形品を、高い生産性で製造することができ、かつ、当該離型フィルムをマテリアルリサイクルすることができる等実用上高い価値を有する技術的効果を実現できるので、半導体プロセス産業をはじめとする産業の各分野において、高い利用可能性を有する。
また、本発明のフィルムは、半導体封止に限らず、LED樹脂封止、FPCプレス、塗工基材、繊維強化プラスチック成形プロセス等にも用いることができるので、これらのプロセスを伴う、半導体産業以外の産業の各分野においても、高い利用可能性を有する。
1:フィルム抑え枠
2:真空吸着エリア
4:金型
5:フィルム
12a:吸引口
13:上金型
14:下金型
15:フィルム
16-1、16-2:ロール
17:半導体チップ
17-2:半導体パッケージ
18:封止樹脂

Claims (8)

  1. 横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率が3%以下であり、横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率の和が6%以下である、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を90質量%以上含むフィルム。
  2. 上記フィルムが単層フィルムである、請求項1に記載のフィルム。
  3. 縦(MD)方向及び横(TD)方向の延伸倍率がいずれも1.01倍以上であって、縦(MD)方向の延伸倍率×横(TD)方向の延伸倍率で表される面積倍率が1.02~2.00倍である二軸延伸フィルムである、請求項1又は2に記載のフィルム。
  4. 前記横(TD)方向の23℃から150℃までの熱寸法変化率が0%以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルム。
  5. 4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を90質量%以上含む原反フィルムを二軸延伸する工程を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法であって、前記二軸延伸を、50℃以上、前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体の融点未満の温度で実施する、上記製造方法。
  6. 前記二軸延伸する工程の後に、前記二軸伸延の温度以上、前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体の融点未満の温度で熱固定処理を実施する工程を更に有する、請求項5に記載の製造方法。
  7. 離型フィルムである、請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルム。
  8. 半導体封止工程用離型フィルムである、請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルム。
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