JP2023031881A - デュアルインターフェースカードおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ICモジュール及びアンテナの電気的な接続信頼性と、ICモジュールのカードへの接着性とを確保しつつ、効率的で低コストにアンテナ形成できるデュアルインターフェースカード及びその製造方法を提供する。【解決手段】デュアルインターフェースカード1は、カード基体2と複数の第1端部81を有するアンテナ8と、ICチップ及び複数の端子73aを有するICモジュール7と、を備える。ICモジュール7は、対向する端子73a及び第1端部81が電気的に接続されるようにカード基体2に設けられた凹部9に配置される。第1端部81は、アンテナ線83による凹部9の外周から中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成され、かつ、その一部が凹部9に露出している。凹部9の外周から中心に向かう範囲における第1端部81は、凹部9の外周から中心に向かう方向に直交する方向へ沿って互いに凸状に広がる形状の輪郭に沿うように形成される。【選択図】図1

Description

本発明は、外部機器との接触通信および非接触通信が可能なデュアルインターフェースカードに関する。
従来、ICカードとして、カード表面の外部接続端子を通じて電気信号の入出力を行う接触ICカードや、アンテナを介して電磁誘導等により電気信号の入出力を行う非接触ICカードが用いられている。また、これらに加えて、カードが備える単一のICチップにより、接触ICカードの機能と非接触ICカードの機能とのいずれをも実現できる接触および非接触共用ICカード、すなわちデュアルインターフェースカードも用いられている。中でも、デュアルインターフェースカードは、金融決済時には入出力データの外部漏洩の抑制に効果的な接触ICカードとして使用でき、部屋への入退室時や駅の改札機等に対しては近接状態でデータのやり取りを行う利便性の高い非接触ICカードとして使用できる。このため、デュアルインターフェースカードについても、市場での普及が進んでいる。
ところで、デュアルインターフェースカードの製造は以下のようにして行われる。まず、特許文献1に記載されるように、1または複数のコアシートを含むカード基材を形成し、当該カード基材の表面から、ICモジュールを埋め込む埋め込み予定領域を切削する。そして、当該ICモジュールを、埋め込み予定領域に埋め込む。ここで1または複数のコアシートのうちの1つに導線が配置されており、導線が、前記非接触通信機能を提供するための巻線アンテナ部、およびICモジュールの端子と電気的に接触している接触端子部を形成しており、その接触端子部は、例示的にはメアンダ型状に配置されている。
また、特許文献2には、上述したデュアルインターフェースカードの製造において、凹部に実装されるICモジュールの端子それぞれに対応する所定の領域に、被覆導線の両端が凹部の外周から中心に向かう方向にメアンダ状に折れ曲がりながら進んで密集配置されることにより形成される電極部が設けられる。ここで、当該電極部では、第1の折り返し点と次の第2の折り返し点との間の被覆導線の軌跡が、第1、第2の折り返し点に比べ中央において前記凹部の中心へ突出しており、例示的には当該軌跡が円弧状または折れ線状である。
ICモジュールの端子と電気的接続を図るためのアンテナ端部の構成は、典型的には特許文献1に記載されるように、図9(a)に示すメアンダ状となる。ここで、アンテナ8を構成するアンテナ線83は、上端および下端が略円弧状の屈曲部を形成し、屈曲部以外の部分が上下方向に沿った略直線状となる。ここで、カード基体に埋め込まれるICモジュールの外形は典型的には略矩形状であり、ICモジュールを埋設するための凹部をエンドミルの切削加工で形成する場合、アンテナ端部81pを露出させるためのエンドミルの動作方向は、アンテナ線83の直線状部分に平行な上下方向となる。
特開2019-219732号公報 特許第6442003号公報
このとき、特許文献2にも記載されているように、エンドミルの刃がアンテナ線83の一部に食い込むことによって、図9(a)のアンテナ端部81pのC部の拡大図である図9(b)に示すように、アンテナ線83の一部が細長く枝分かれしてしまう。このようなアンテナ線83の分岐部分をヒゲと称することがある。ヒゲが生じると、これがICモジュールの端子とアンテナ端部81pとの間に挟まれることにより、ICモジュールとアンテナ8との電気的接続が阻害される可能性がある。また、ヒゲを挟み込むことにより、ICモジュールがカード基体の表面から飛び出してしまい、規格を逸脱したICカードとなるおそれがある。
一方、特許文献2に例示されているように、アンテナ端部のアンテナ線の直線状部分を図9(c)のアンテナ端部81qのように上下方向に対して傾斜させることが考えられる。しかし、この場合、アンテナ線83が配置されない領域DS1およびDS2がアンテナ端部81qの左上および右下に形成されてしまう。したがって、ICモジュールとの電気的な接続を図るための領域が実質的に狭くなる。さらに、領域DS1およびDS2は、ICモジュールをカード基体に接着する際に、アンテナ線83が存在しない分だけ隙間が空くこととなり、ICモジュールとカード基体との密着性を阻害し得る。また、アンテナ端部のアンテナ線の直線状部分を円弧状または折れ線状に変更すると、アンテナ線の軌跡が複雑となり、アンテナ線の消費量や加工時間の増加につながるため、なるべく直線状部分を増やすことが好ましい。
これらを考慮すると、アンテナ端部は、ICモジュールとの電気的接続を良好に図れるとともに、ICモジュールとの電気的接続に寄与しない領域への配置を抑制して、できる限り狭い範囲に配置させることが、材料コストの低減、アンテナ線のカード基体への埋め込み作業の効率化および上述したヒゲの抑制の観点から好ましい。
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ICモジュールおよびアンテナの電気的な接続信頼性と、ICモジュールのカードへの接着性とを確保しつつ、効率的かつ低コストにアンテナ形成できるデュアルインターフェースカードおよびその製造方法を提供することを課題とする。
本実施の形態による、外部機器との接触通信および非接触通信が可能なデュアルインターフェースカードは、カード基体と、前記カード基体の内部に配置された、複数の端部を有するアンテナと、ICチップおよび当該ICチップと電気的に接続された複数の端子を有するICモジュールと、を備え、前記ICモジュールは、互いに対向する前記複数の端子および前記複数の端部が、それぞれ電気的に接続されるように前記カード基体に設けられた凹部に配置され、前記複数の端部は、前記アンテナを構成するアンテナ線による、前記凹部の外周から中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成され、かつ、その一部が前記凹部に露出しており、前記凹部の外周から中心に向かう範囲における前記複数の端部は、前記凹部の外周から中心に向かう方向に直交する方向へ沿って互いに凸状に広がる形状の輪郭に沿うように形成されている。
また、本実施の別の形態による、デュアルインターフェースカードにおいて、前記凹部は、外周側に形成された略同一深さの第1凹部と、前記第1凹部よりも中央側に形成され、前記第1凹部よりも深い第2凹部と、から構成されてもよい。
また、本実施の別の形態によるデュアルインターフェースカードにおいて、前記ICモジュールは、互いに対向する前記複数の端子および前記複数の端部が、異方導電性フィルムを介してそれぞれ電気的に接続されてもよい。
また、本実施の別の形態によるデュアルインターフェースカードにおいて、前記外周は、前記カード基体の短辺および長辺と略平行な辺を有する略矩形であり、前記複数の端部は、前記アンテナを構成するアンテナ線による、前記凹部の前記カード基体の短辺と略平行な辺である前記外周から中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成されてもよい。
また、本実施の別の形態によるデュアルインターフェースカードにおいて、前記凹部の外周から中心に向かう範囲における前記複数の端部のうち、前記複数の端子と重畳する一の領域の前記凹部の外周から中心に向かう方向に直交する方向の幅が、他の領域の前記凹部の外周から中心に向かう方向に直交する方向の幅よりも大きくてもよい。
また、本実施の別の形態によるデュアルインターフェースカードにおいて、前記端部は屈曲部と、当該屈曲部以外の部分とから構成され、前記屈曲部以外の部分のうち前記端子と重畳する部分を第1の部分とし、前記端部の屈曲部以外の部分のうち前記端子と重畳しない部分を第2の部分とするとき、前記第1の部分の前記アンテナ線の配列ピッチは、前記第2の部分の前記アンテナ線の配列ピッチよりも狭くてもよい。
また、本実施の別の形態によるデュアルインターフェースカードにおいて、前記端部の前記屈曲部以外の部分が前記外周に沿う直線に対して傾斜していてもよい。
また、本実施の別の形態によるデュアルインターフェースカードにおいて、前記端子のいずれかにおける、前記屈曲部以外の部分の前記外周に沿う直線に対して傾斜している傾斜角の値は、5度以上、20度以下であってもよい。
本実施の別の形態によるデュアルインターフェースカードの製造方法は、第1基材に対して、熱圧を掛けながらアンテナ線を埋め込み、前記第1基材の一方の面に複数の端部を有するアンテナを形成するアンテナ形成工程と、アンテナが形成された前記第1基材に対して、前記アンテナを挟むように第2基材を積層する積層工程と、前記第1基材と前記第2基材とが積層された積層体をカードサイズのカード基体に打ち抜く打抜工程と、前記カード基体に、ICモジュールを埋設するための凹部を形成する凹部形成工程と、ICチップおよび当該ICチップと電気的に接続された複数の端子を有するICモジュールを準備するICモジュール準備工程と、互いに対向する前記複数の端子および前記複数の端部が、それぞれ電気的に接続されるように、導電性接着剤を介して前記ICモジュールを前記カード基体の前記凹部に接着するICモジュール接着工程と、を備え、前記複数の端部は、前記アンテナを構成するアンテナ線による、前記凹部の外周から中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成され、かつ、その一部が前記凹部に露出しており、前記凹部の外周から中心に向かう範囲における前記複数の端部は、前記凹部の外周から中心に向かう方向に直交する方向へ沿って互いに凸状に広がる形状の輪郭に沿うように形成されている。
本実施の形態によれば、ICモジュールおよびアンテナの電気的な接続信頼性と、ICモジュールのカードへの接着性とを確保しつつ、効率的かつ低コストにアンテナ形成できるデュアルインターフェースカードおよびその製造方法を提供することができる。
第1実施形態に係るデュアルインターフェースカードの構造を説明する平面図である。 図1に対応するデュアルインターフェースカードの構造を説明する断面図である。 アンテナ線の端部の構造の詳細を説明する図である。 ICモジュール並びにICモジュールおよびアンテナの接続を説明する図である。 第2実施形態に係るデュアルインターフェースカードの構造を説明する図3に対応する平面図である。 第3実施形態に係るデュアルインターフェースカードの構造を説明する図3に対応する平面図である。 第4実施形態に係るデュアルインターフェースカードの構造を説明する図3に対応する平面図である。 第5実施形態に係るデュアルインターフェースカードの構造を説明する図3に対応する平面図である。 従来技術に係るアンテナ端部を説明する図である。
以下、図面等を参照して、本開示のデュアルインターフェースカードの一例について説明する。ただし、本開示のデュアルインターフェースカードは、以下に説明する実施形態や実施例には限定されない。
なお、以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、各図において、部材の断面を示すハッチングを適宜省略する。本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
1.第1実施形態
本開示のデュアルインターフェースカードの第1実施形態の一例について説明する。ここで、説明の便宜上、デュアルインターフェースカード1についてXYZ座標系を設定する。まず、図1(a)や図2(b)等に示すように、デュアルインターフェースカード1の主面の法線方向にZ軸をとる。そして、ICモジュール7の外部接続端子71が配置されていない側の主面から、当該外部接続端子71が配置されている側の主面に向かう方向を+Z方向または厚さ方向の上方とし、その反対方向を-Z方向または厚さ方向の下方とする。
また、デュアルインターフェースカード1を+Z方向から見たとき、デュアルインターフェースカード1の両短辺およびZ軸に垂直な直線をX軸とし、外部接続端子71に近い側の一の短辺から他の短辺に向かう方向を+X方向または右方向とし、その反対方向を-X方向または左方向とする。さらに、X軸およびZ軸に垂直な軸をY軸とし、外部接続端子71から遠い側の一の長辺から他の長辺に向かう方向を+Y方向または上方とし、その反対方向を-Y向または下方とする。
ここで、図1(a)は、デュアルインターフェースカード1を+Z方向から見た平面図であり、図1(b)は、図1(a)のデュアルインターフェースカード1のうち、外部接続端子71付近を拡大したアンテナ8の配置を説明する図である。ただし、アンテナ8の構成をわかり易くするため、ICモジュール7を省略し、カード基体2に埋まっているアンテナ線83を破線ではなく実線で表記している。すなわちアンテナ8を透視した図としている。本来は、凹部9の外周93よりも外側の領域では、アンテナ8は露出していない。一方、図2(a)は、図1(b)のデュアルインターフェースカード1をA-A線に沿った面で切った断面を-Y方向から見た図である。図2(a)は、ICモジュール7を省略した図であり、図2(b)は、図2(a)において、ICモジュール7が搭載された状態の図である。
図1(a)に示すように、デュアルインターフェースカード1は、+Z方向側からの平面視において、4隅に丸みを備えた略矩形状の薄板の形態を有する。また、デュアルインターフェースカードの+Z方向側の表面には、中心よりもやや左上、すなわち中心よりも-X方向寄りでありかつ+Y方向寄りに外部接続端子71を含むICモジュール7が視認される。ICモジュール7は、図2(a)や図2(b)に示すように、カード基体2に形成された凹部9の中に埋設され、外部接続端子71の+Z方向側の表面がカード基体2の+Z方向側の表面と略同一面となるように配置されている。このようなデュアルインターフェースカード1の形態は、ICカードの国際規格であるISO/IEC7816に準拠している。
図2(a)に示すように、デュアルインターフェースカード1のカード本体を構成するカード基体2は、-Z方向側から見て順に、オーバーシート層6、コア層5、コア層4およびオーバーシート層3が積層されて一体化したものである。典型的には、オーバーシート層6および3が透明色の基材であり、コア層5および4が白色の基材であるが、これには限定されない。また、コア層5および4の間には、アンテナ8を構成するアンテナ線83が両者に挟まれるように配置されている。
このアンテナ8を構成するアンテナ線83は、凹部9のうち、比較的浅く形成されている第1凹部91の底面91aの領域において、その一部が露出しており、当該領域以外では、カード基体2の内部に完全に埋設されている。言い換えると、アンテナ線83は、カード基体2の内部に埋設されているが、カード基体2を切削して凹部9を形成する工程で、アンテナ線83の一部が断線しない程度に一緒に切削され、そのアンテナ線83の切削面が第1凹部91の底面91aに露出している。なお、凹部9には、外周93側に形成された略同一深さの第1凹部91の他に、第1凹部91よりも中央側に形成され、当該第1凹部91よりも深い第2凹部92をさらに備えている。
ICモジュール7は、図2(b)に示すように、外部接続端子71およびこれを支持する基板72が前述した凹部9の第1凹部91の底面91aに載置されるように埋設され、基板72とカード基体2の第1凹部91の底面91aとが、導電接着層11を介して機械的に接合される。ちなみに、第2凹部92には、ICモジュール7のうち、突起状部位であるICチップ体74が収納されている。また、基板72の外部接続端子71とは反対側の面には、ICモジュール7が内部に備えるICチップとの電気的接続がされた端子73aが設けられている。このとき、カード基体2の凹部9にICモジュール7を埋設する際の熱圧の作用により、底面91aに露出したアンテナ線83と端子73aとが、導電接着層11を介して電気的に接続する。
ここで、大部分がカード基体2の内部に埋設され、その一部が第1凹部91から露出するように形成されているアンテナ8のアンテナ線83の両端部は、図1(b)の第1端部81や第2端部82に示すような形態を備えている。すなわち、アンテナ8の両端部である第1端部81および第2端部82は、Z軸に沿った平面視において第1凹部91とその一部が重畳するように、X軸方向に沿って並んで配置されている。第1端部81および第2端部82は、それぞれ、アンテナ線83が第1凹部91の外周93から凹部9の中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成されている。言い換えると、第1端部81および第2端部82は、いわゆるジグザグ形状、メアンダ形状または蛇腹形状と称される構造を備えるように形成されている。このように、凹部9において露出している単位面積当たりのアンテナ線83の露出面積を高めることで、ICモジュール7の端子73aとアンテナ8との電気的接続の信頼性を向上できる。
また、アンテナ線83の第1端部81および第2端部82において、折り返し構造の上端および下端の屈曲部以外の部分が、それぞれ第1凹部91の外周93に沿う辺93aおよび93bに平行な直線m1およびm2、すなわちY軸と平行な直線に沿って配置されている。さらに第1端部81および第2端部82は、凹部9の外周93から中心に向かう方向に直交する方向へ沿って互いに凸状に広がる形状の輪郭に沿うように形成されている。すなわち、第1端部81および第2端部82は、+Y方向側および-Y方向側のそれぞれに向けて凸形状となる略円弧の曲線と、-X方向側および+X方向側のそれぞれについてY軸に沿った略直線の線分とで囲まれた図形の形状の輪郭に沿うように形成されている。このような形状は俵形状と称される場合がある。
また、第1端部81および第2端部82のうち、アンテナ線83が凹部9から露出している部分である第1露出部84および第2露出部85も、上述した図形の一部を形成する、2箇所の曲線と2箇所の線分とで囲まれた図形の輪郭に沿うように形成されている。よって、第1端部81および第2端部82、または第1露出部84および第2露出部85、をアンテナ線83の使用量を低減しながら比較的コンパクトに形成できるため、アンテナ線83に熱圧を掛けながら基材に埋め込む作業を効率的にできる。
また、第1端部81および第2端部82がこのような形状であることにより、これらを構成するアンテナ線83の折り返し構造の屈曲部以外の部分のY軸に沿った長さは、第1凹部91のX軸に沿った所定の地点において最大となる。一方、凹部9の上に埋設されるICモジュール7の端子73aや73bも、第1凹部91のX軸に沿った所定の範囲に含まれるように配置されている。よって、Z軸方向に沿って、ICモジュール7の端子73aおよび73bとそれぞれ重畳する第1端部81および第2端部82のアンテナ線83は、屈曲部以外の部分のY軸に沿った長さが比較的長いため、ICモジュール7とアンテナ8との電気的接続が良好に行える。
一方、ICモジュール7の端子73aおよび73bからX軸に沿って離間した第1端部81および第2端部82のアンテナ線83は、屈曲部以外の部分のY軸に沿った長さが比較的短いため、アンテナ線83の使用量を低減でき、当該アンテナ線83のカード基体2への埋め込み作業の効率化が図れる。また、特に第1凹部91の外周93に沿った箇所や第1凹部91と第2凹部92との境界付近をエンドミルで切削加工する際に、アンテナ線83の切削領域が狭いため、アンテナ線83の意図しない分岐の発生を抑制できる。
以下に、本実施形態のデュアルインターフェースカード1の構成およびその製造方法の詳細を説明する。
(a)カード基体
カード基体2は、デュアルインターフェースカード1を構成する、ICモジュール7を除くカード本体を指す。カード基体2は、前述したとおり、典型的には厚さ方向の-Z方向側の一端からオーバーシート層6、コア層5、コア層4およびオーバーシート層3がこの順に積層された構成を有している。また、コア層5およびコア層4の間には、ループ形状に巻かれ、被覆導線等から形成されたアンテナ8が配置されている。カード基体2は、凹部9が形成される前のもの、および凹部9の形成後のものの両方を指すことがあり、アンテナ8を含まないもの、およびこれを含むものの両方を指す場合がある。また、アンテナ8の第1端部81および第2端部82は、前述したようにアンテナ線83が所定の形状に加工されて配置されている。
ただし、カード基体2の層構成は、これに限らず、オーバーシート層、コア層、オーバーシート層の3層構成、コア層、コア層の2層構成、または、オーバーシート層、コア層、アンテナが形成されたコア層、コア層、オーバーシート層の5層構成等であってもよい。また、カード基体2のオーバーシート層3または6のコア層4または5とは反対側の表面に印刷や磁気ストライプの埋め込みがされていてもよく、コア層4または5のオーバーシート層3または6との隣接表面に印刷がされていてもよい。
カード基体2の厚さは、ISO/IEC7816等の規格に準拠する観点からは、0.76mm以上、0.84mm以下であることが好ましいが、この範囲外であってもよい。
(i)コア層
コア層4および5としては、白色または着色された各種のプラスチックシートを幅広く使用することができ、以下にあげる単独のフィルムあるいはそれらの複合フィルムを使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET-G(テレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、等である。コアシートの厚さは、カードの全体厚さを勘案して適宜に選択することができるが、例えば、0.25mm以上、0.38mm以下程度とすることができる。なお、後述するように、コア層4または5のいずれかの表面上に、両コア層に挟まれる位置関係となるようにアンテナ8を配置する必要がある。
(ii)オーバーシート層
オーバーシート層3および6としては、通常、コア層と同質の材料を使用するが、厚さが0.05mm以上、0.10mm以下程度の透明材料が使用されることが多い。コア層およびオーバーシート層の積層体を熱プレス等で一体化する際のカールの発生を防止する観点からは、オーバーシート層3および6の厚さが同一であることが好ましいが、必ずしも同一でなくてもよい。
オーバーシート層の材料は、熱により接着性を有するものであればよいが、オーバーシート層自体が熱による接着性を有しない場合でも、熱等により接着力を発生させる公知の接着剤の層をコア層およびオーバーシート層の間に追加形成することで両者を一体化できる。また、デュアルインターフェースカード1を磁気カードとして使用する場合には、オーバーシート層3および6のいずれかまたは両方について、コア層4および5とは反対の主面側に磁気テープを熱転写等によりあらかじめ埋め込んでおいてもよい。
(iii)アンテナシート
本実施形態では、後述するように、コア層5の一方の面に、アンテナ8を形成し、当該アンテナ8を構成するアンテナ線83の端部である第1端部81および第2端部82が、それぞれ所定の形状に加工されて配置されている。このようなコア層5へのアンテナ8の形成は、アンテナ線83に対して所定の熱圧を掛け、コア層5およびアンテナ線83の被覆物を溶融しながらアンテナ線83をコア層5に埋め込むことによって行う。アンテナ8がコア層5に埋め込まれた中間生成物を、アンテナシート12と称することがある。アンテナシート12は、それのみでデュアルインターフェースカード1を製造するための部品として市場に流通させることができ、あるいは、コア層5等のシート材を加工業者に供給し、これを当該加工業者がアンテナシート12に加工して供給元に納品する、という商形態が存在し得る。
アンテナシート12の形成方法の詳細は後述するが、概略として以下のようになる。まず、コア層5の表面に、絶縁体部材で被覆された被覆導線を、第1端部81または82のいずれか一方を始点とし、他方を終点として、巻き線形成機により埋め込む。すなわち、コア層5に対して所定の熱圧を加えながら、図1(a)に示すようなループ形状にアンテナ供給ヘッドを描画させ、当該アンテナ供給ヘッドから供給されたアンテナ線83をコア層5に順次、埋め込む。
ここで、アンテナ線83の始点および終点のいずれかとなる第1端部81および第2端部82は、後述する所定の形状となるように、ICモジュール7の搭載予定位置の左右方向に並んで、その一部がICモジュール7の端子73aおよび73bと重畳するように配置される。そして、巻き線形成機は、アンテナ8の終点となる第1端部81または第2端部82のいずれかを形成後にアンテナ線83を切断する。このようにしてアンテナ8が形成されたコア層5(アンテナシート12)を得る。
(iv)アンテナ
コア層5に形成されたアンテナ8は、その第1端部81および第2端部82に、ICモジュール7の端子73aおよび73bがそれぞれ電気的に接続することにより、ICモジュール7が備えるICチップおよびアンテナ8が非接触通信の通信回路を構成する。当該通信回路は、例えば、ISO/IEC18092やISO/IEC144443等で規定される13.56MHzのHF周波数帯域を用いて近接通信を行うものでもよい。または、それ以外の、例えば920MHzのUHF周波数帯域や125KHzのLF周波数帯域、マイクロ波の2.45GHzを用いて通信を行うものでもよい。
外部機器であるリーダライタ等にデュアルインターフェースカード1をかざしたときに、当該通信回路にはリーダライタが形成する磁界等により電流が発生して、ICチップに電力を供給する。これにより、ICチップは駆動可能となり、リーダライタと非接触による情報の送受信をしたり、メモリに対する情報の読み出しや書き換え等を行なう。
アンテナ8を構成するアンテナ線83は、典型的には、銅線の周囲が絶縁体部材で被覆された被覆導線により形成される。なお、これ以外にも、Cu-Ni、Cu-Cr、Cu-Zn、Cu-Sn、Cu-Be等の銅合金線、または鉄、ステンレス、アルミ等の種々の金属線、金属合金線を選択することもできる。デュアルインターフェースカード1は、被覆導線を用いることにより、例えば銅箔エッチング方式等に比較して安価に製造できる。
アンテナ線83の直径は、非接触の通信回路としての特性を確保できる限りにおいて、特段の制限はないが、例えば、0.03mm以上、0.30mm以下とすることができ、好ましくは、0.05mm以上、0.15mm以下とすることができる。後者の範囲とすることで、埋め込み加工による熱圧や切削加工による外力への耐久性が向上でき、良好な通信特性を確保できる。
次に、第1端部81および第2端部82の構成の詳細を説明する。図3は、図1(b)におけるアンテナ8の第1端部81の構成を説明する拡大図である。図3において-X方向側から+X方向に向けて延びているアンテナ8の一端は、その後、前記凹部の外周93から中心に向けた繰り返しの折り返し構造を構成する。すなわち、アンテナ線83は、-X方向側から+X方向に向けて、折り返し構造が複数回連続するように延びている。
当該折り返し構造は、+Y方向側および-Y方向側の端、すなわち上端および下端において略円弧状の屈曲部を有し、上端の屈曲部と下端の屈曲部とを結ぶ屈曲部以外の部分が略直線状または略曲線状である。ただし、屈曲部以外の部分は、アンテナ線83のコア層5への埋め込み加工の作業効率やアンテナ線83の材料節約の観点から、なるべく略直線状に形成することが好ましい。
また、当該折り返し構造の屈曲部以外の部分は、凹部9の外周93の辺93aに沿う、Y軸に略平行な直線m1に沿って配置されており、隣り合う屈曲部以外の部分同士のジグザグ形状の配列ピッチp1が略一定である。さらには、第1端部81の全体がY軸に沿った方向の最大幅がH1であり、X軸に沿った方向の幅がW1となるような、所定の2箇所の曲線と2箇所の線分とで囲まれた図形の輪郭に沿うように形成されている。当該図形は、+Y方向側および-Y方向側のそれぞれに向けて凸形状となる略円弧の曲線を有し、-X方向側および+X方向側のそれぞれにY軸に沿った略直線の線分を有する。ただし、凸形状は、略円弧の曲線であることに限定されず、複数の略円弧状の曲線の組み合わせであってもよく、階段状の折れ線で形成された形状でもよい。また、複数の線分と複数の曲線の組み合わせにより形成されてもよい。
その結果、第1端部81の-X方向側および+X方向側の端では、アンテナ線83のY軸に沿った方向の長さがH1より短くなっている。第1端部81の一部である、アンテナ線83が実際に第1凹部91において露出する第1露出部84についても同様に、上記図形の一部となる所定形状の図形の輪郭に沿うように形成される。さらに、第1露出部84の-X方向側の端、すなわち外周93において、アンテナ線83のY軸に沿った方向の長さがH1より短い。
第1端部81が沿う上記図形の輪郭において、+Y方向側および-Y方向側のそれぞれに向けて凸形状となる曲線が略円弧であるとき、その円弧の半径R1は任意に定められる。R1は、例えば、W1の1/2倍以上であり、10倍以下とすることが好ましく、W1の3/4倍以上であり、5倍以下とすることがさらに好ましい。R1が前者の範囲であることにより、ICモジュール7およびアンテナ8の良好な電気的接続が図れ、かつ、アンテナ線83の材料消費の低減とカード基体2への埋め込み作業の効率化が図れる。また、R1が後者の範囲であることにより、ICモジュール7およびアンテナ8の相対的な位置ずれに対する電気的接続の変化が最低限に抑制でき、かつ、アンテナ線83の一層の材料削減と埋め込み作業の高速化が図れる。
平面視におけるICモジュール7の典型的な輪郭形状は、4隅に丸みを有する略矩形である。この場合は、凹部9の輪郭形状もICモジュール7の輪郭形状と略同一形状となり、詳細には、ICモジュール7のカード基体2に対する搭載位置精度を考慮して、ICモジュール7の輪郭形状よりも約0.1mmから0.2mm程度、大きめの輪郭形状とすることが多い。この場合は、凹部9の外周93が、カード基体2の短辺および長辺と略平行な辺を有する略矩形となり、第1端部81および第2端部82は、アンテナ線83による、凹部9のカード基体2の短辺と略平行な辺である外周93から中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成される。
一方、ICモジュール7および凹部9の輪郭形状が楕円形等である場合は、凹部9の外周93の辺に沿う直線は、当該辺が円弧等の曲線であることから、当該辺の中心部分に対する接線を指す。通常、ICモジュール7の輪郭は、上下左右が対称となるように構成されることが多いため、左右方向に第1端部81および第2端部82を形成している場合は、凹部9の外周93の辺に沿う直線は、Y軸に平行な直線となる。
また、第1端部81のアンテナ線83のジグザグ形状の配列ピッチp1は、巻き線形成機の能力や、コア層5へアンテナ線83を埋め込んだ後のアンテナシート12の品質等にも依存するが、0.50mm以下であることが好ましく、0.25mm以下であることがさらに好ましい。ピッチp1が前者の範囲であることにより、第1端部81における単位面積当たりのアンテナ線83の露出面積が向上でき、ICモジュール7の端子73aとの電気的接続の領域を拡張できる。これにより、電気的な接続信頼性が上がるとともに、アンテナ線83と端子73aとの接点部分の電気抵抗を下げることができる。また、ピッチp1が後者の範囲であることにより、上述した効果をさらに大きくできる。
なお、本実施形態では、第1端部81のX方向に沿った領域のうち、+X方向側の端は第1凹部91と第2凹部92との境界と略同一位置であり、-X方向側の端は凹部9の外周93である第1凹部91の端よりも-X方向側にある。このように、第1端部81の+X方向側の端が第1凹部91と第2凹部92との境界と略同一位置であるか、これよりも-X方向側にある場合は、第2凹部92の切削時にアンテナ線83を切削しないか、アンテナ線83の切削量を低減することができる。このため、切削する深さが深いほど生じやすくなるアンテナ線83の分岐、すなわちヒゲの発生を抑制できる。
また、第1端部81のX方向に沿った領域のうち、-X方向側の端が凹部9の外周93である第1凹部91の端よりも-X方向側にあることにより、アンテナ8のコア層5に対する配置ずれや凹部9の形成位置のずれがあっても、アンテナ線83の密集した領域が途切れずに存在する。このため、ICモジュール7の端子73aとの確実な電気的接続が図れる。ただし、第1端部81のX方向に沿った領域のうち、+X方向側の端が第1凹部91と第2凹部92との境界よりも+X方向側にあってもよく、-X方向側の端が凹部9の外周93である第1凹部91の端よりも+X方向側にあってもよい。
上述の説明は、アンテナ8の第1端部81およびこれと電気的に接続するICモジュール7の端子73aとの関係についてのものであるが、同様の関係が第2端部82およびこれと電気的に接続する端子73bとの間にも成り立つ。また、当該実施形態では、ICモジュール7と電気的な接続を図るためのアンテナ8の端部として第1端部81および第2端部82の2箇所である前提で説明したが、アンテナ8の端部は3箇所以上設けてもよく、これに対応するICモジュール7の端子数もこれと同数設けてもよい。
(b)ICモジュール
次に、ICモジュール7の主要な構成要素の各部について、主に図2(b)や図4に基づいて説明する。図4(a)は、図1(a)と同様に、+Z方向側からICモジュール7の外部接続端子71側を見た図である。図4(b)は、ICモジュール7を図4(a)とは反対側の-Z方向側から見た図である。ここでは、内部を透視できるよう、ICチップ体74のモールド部74bの大半を省略して記載している。また、図4(c)は、図2(b)の端子73a付近のB部を拡大した断面図である。
ICモジュール7は、カード基体2に対して形成された凹部9に埋設され、ICモジュール7の端子73aおよび73bがアンテナ8の第1端部81および第2端部82とそれぞれ電気的に接続することで、非接触通信の通信回路を形成できる。このとき、ICモジュール7が備える外部接続端子71を通じて、接触式リーダライタ等と接触通信を行うことができる。
基板72はガラスエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の可撓性を有する樹脂フィルムの表裏に銅箔が接着剤を介して貼り込まれ、当該樹脂フィルムの表裏面に貼り込まれた銅箔を、所定のパターンを形成するように残存させたものである。具体的には、当該樹脂フィルムの一方の銅箔面に外部接続端子71を、他方の銅箔面に端子73aおよび73bを形成するように、感光材の塗付、所定パターンが形成されたフィルム版の載置、露光、非感光部位のエッチング除去、を順次行う。これにより、当該樹脂フィルムの表裏面に所定のパターンの銅箔が一部残存した基板72が形成される。また、基板72にはあらかじめ、外部接続端子71へのワイヤボンディングのための貫通孔であるボンディングホール76が複数箇所設けられている。
外部接続端子71には、図4(a)に示すように、ISO/IEC7816―2規格で定められた、外部端子の各区画が画定されている。これらの各区画とICチップ74aとは、図4(b)に示すように、基板72に設けられた上述のボンディングホール76を通じて、金ワイヤ等のワイヤ75によって結線されている。また、端子73aおよび73bとICチップ74aとの間も同様に、ワイヤ75によって結線されている。これらのボンディングホール76やワイヤ75は、モールド部74bによって被覆保護されている。
基板72の、外部接続端子71の形成面とは反対側の面に、ICチップ体74が配置されている。ICチップ体74は、基板72に接着剤を介して接着、固定されたICチップ74aと、結線のためのボンディング用のワイヤ75と、これらを保護するための封止樹脂であるモールド部74bとから構成される。ICチップ74aは、接触通信、非接触通信の両方の動作を制御するためのCPUと、RAMやROM、EEPROM、フラッシュメモリー等の記憶装置と、接触通信および非接触通信の入力信号解読と出力信号生成を行うインターフェース回路や電力発生回路等の各種回路と、を備えている。なお、各種回路はICチップ74aとは別個の素子として設けられていてもよい。
モールド部74bは、ICチップ74aやワイヤ75を外力負荷や環境負荷から保護するために、これらを被覆する突起状部位として設けられる。モールド部74bとして、紫外線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂等が使用される。
(c)導電接着層
カード基体2に対してICモジュール7を埋設するための凹部9を、エンドミルによる切削加工等によって形成した後、ICモジュール7を当該凹部9に埋設固定し、電気的、機械的に接続する導電接着層11について説明する。導電接着層11は、図4(c)に示すように、アンテナ線83の一部が切削されて底面91aに露出している部分のコア層5と、ICモジュール7の基板72および基板72に形成された端子73aとに挟まれるように配置される、液状またはテープ状の部材である。
導電接着層11は、あらかじめ、ICモジュール7の基板72の外部接続端子71とは反対側の面に塗付、貼付されていてもよく、カード基体2の凹部9の切削後の底面91a上に塗付、貼付されていてもよい。
典型的な導電接着層11は、ICモジュール7と切削済みのカード基体2との機械的接続を兼ねるため、基板72の裏面の全面または凹部9のうちの第1凹部91に対応する部位に塗付、貼付されていてもよい。こうすることで、ICチップ74aおよびアンテナ8の電気的接続と、ICモジュール7およびカード基体2の機械的接続とを同一種類の導電接着層11で行うことができ、工程の簡略化に寄与する。
しかし、導電接着層11が、基板72の裏面のうち、端子73aおよび73bの領域のみを覆うように塗付、貼付され、その他の基板72の裏面には、導電性を有しない別の接着剤が塗付、貼付されていてもよい。当該別の接着剤が導電性を考慮しなくてもよいことにより、より機械的接続に有利なものを選定し易くできるからである。
電気的接続と機械的接続との兼用が図れる導電接着層11としては、ACF(Anisotropic Conductive Film)、すなわち、異方導電性フィルムや、ACP(異方導電性ペースト)を使用できる。また、その他、エポキシ樹脂中に銀粒子をフィラーとして分散した、いわゆる導電性ペースト等を使用できる。中でも、ACFを使用すれば、ICモジュール7の基板72の裏面全体にACFを熱ラミネートしておき、当該ICモジュール7を切削済みのカード基体2の凹部9に埋設後、これを所定温度、荷重でヒートプレスすることができる。こうすることで、ICチップ74aとアンテナ8との電気的接続が容易に図れる。さらには、ICモジュール7のカード基体2への機械的接続も同時に図れるため、ICモジュール7のカード基体2への実装工程を簡易化することができる。
導電接着層11としてACFを使用した際の、ICチップ74aおよびアンテナ8の電気的接続と、ICモジュール7およびカード基体2の機械的接続とは、図4(c)に基づいて以下のように説明できる。導電接着層11は、接着成分を含有するバインダーである接着剤11bの中に、球状樹脂または球状金属の周りに金属膜が形成された導電粒子11aが分散した構成を有している。ここで、アンテナ線83が一部、露出しているコア層5と、ICモジュール7の基板72および基板72に形成された端子73aと、に挟まれるように配置された導電接着層11が圧縮されるように、基板72に対して+Z方向から-Z方向に向かう熱圧を掛ける。
その結果、導電接着層11のうち、特に間隔が狭い、コア層5と端子73aとに挟まれた部位に強い熱圧が掛かり、この部位の導電接着層11の導電粒子11aが、導電接着層11の厚さ方向に沿ってコア層5の露出したアンテナ線83および端子73aから押し付けられる。また、導電粒子11aが小さい場合は、導電粒子11aが導電接着層11の厚さ方向に沿ってアンテナ線83から端子73aまで数珠つなぎに重なる。すなわち、導電粒子11aを介して、露出したアンテナ線83と端子73aとが導通する。
一方、コア層5と、端子73aの存在しない領域の基板72との間では、導電粒子11aが導電接着層11の厚さ方向に沿ってアンテナ線83および端子73aから押し付けられる程度、または、数珠つなぎに重なる程度にまでは圧縮されない。しかしながら、その熱圧によって生じた接着剤11bの接着力によって、コア層5と基板72とが機械的に接続される。
(d)デュアルインターフェースカード1の製造方法
次に、上述したカード基体2、ICモジュール7および導電接着層11を用いた、デュアルインターフェースカード1の製造方法の一例を説明する。
まず、オーバーシート層6または3とは隣接しない側の、コア層5または4のいずれかの表面に、絶縁体部材で被覆された被覆導線をアンテナ線83として、第1端部81または第2端部82のいずれか一方を始点とし、いずれか他方を終点として、巻き線形成機により埋め込む。具体的には、例えば、コア層5に対して所定の熱圧を加えながら、図1(a)に示すようなループ形状にアンテナ供給ヘッドを描画させ、当該アンテナ供給ヘッドから供給されたアンテナ線83をコア層5に順次、埋め込む。
ここで、ICモジュール7の搭載予定位置の左右の所定位置に、第1端部81および第2端部82が左右方向に並ぶようにアンテナ線83を配置し、その終点でアンテナ線83を切断する。第1端部81および第2端部82は、アンテナ8を構成するアンテナ線83による、凹部9の外周93から中心に向けた、繰り返しの折り返し構造によって構成されるように、巻き線形成機の動きを変更してアンテナ線83の配置位置を調整する。ここで、アンテナ線83の当該折り返し構造の屈曲部以外の部分が外周93に沿う直線であるY軸に沿うように、アンテナ8がコア層5に埋め込み形成される。
また、第1端部81および第2端部82が、それぞれ凹部9の外周93から中心に向かう方向に直交する方向へ沿って互いに凸状に広がる形状の輪郭に沿うようにアンテナ8がコア層5に埋め込み形成される。すなわち、第1端部81および第2端部82は、+Y方向側および-Y方向側のそれぞれに向けて凸形状となる略円弧の曲線と、-X方向側および+X方向側のそれぞれにY軸に沿った略直線の線分とで囲まれた図形形状の輪郭に沿うようにアンテナ8がコア層5に埋め込まれる。
次に、図2に示すとおり、厚さ方向の下側からオーバーシート層6、コア層5、コア層4およびオーバーシート層3をこの順に重ねる。その後、カードが縦横に多面付けで配置された大判シートの積層体の単位で、厚さ方向の上下からステンレス板で挟み込み、当該ステンレス板を介して、当該積層体に対して熱圧を加える。このとき、コア層5には事前にアンテナ8が形成されている。
このような熱プレス工程を経ることにより、積層体の各層が一体化した大判シート単位のカード基体を得ることができる。また、オーバーシート層、コア層のいずれかが、所定温度で熱融着しない耐熱性を有する場合には、各層間に所定温度で熱融着する接着シートを挟み、あるいは、接着剤を塗付した上で、これらを熱プレス工程に掛けることにより、一体化した大判シート単位のカード基体を得る。
上記により得られた、カードが縦横に多面付けで配置された大判シート単位のカード基体を、打ち抜き機によりISO/IEC7816のカードサイズであるカード基体2として打ち抜く。また、当該カード基体2にICモジュール7を埋設するための凹部9を、エンドミルによる切削加工にて形成する。これにより、切削済みのカード基体2が得られる。凹部9は、ICモジュール7の平板状の基板72を収納するための第1凹部91と、凸状のICチップ体74を収納するための第2凹部92との2段で構成されることは前述したとおりである。
ここで、第1凹部91の深さは、アンテナ8の第1端部81および第2端部82の埋設深さと対応付けられている。すなわち、第1凹部91を切削加工により形成したとき、第1凹部91の底面91aには、第1端部81および第2端部82のアンテナ線83の一部が露出する。言い換えると、カード基体2の外部接続端子71の露出する側の表面から第1凹部91の底面91aまでの深さをd1とし、当該表面から第1端部81および第2端部82のいずれか一方のアンテナ線83の上端までの距離をd2とする。また、当該表面から当該一方のアンテナ線83の下端までの距離をd3とする。このとき、d1、d2およびd3の各値について、d2<d1<d3が成り立つ。これが満たされない場合、切削加工によってアンテナ線83が断線するか、底面91aから露出しない不具合が生じてしまうからである。
また、外部接続端子71の表面が、カード基体2の非切削領域の表面と略同一面となるように凹部9が形成される。ここで、ICモジュール7の基板72の厚さは0.07mm以上、0.2mm以下程度であり、ICチップ体74の厚さは0.45mm以上、0.75mm以下程度である。また、導電接着層11の厚さは通常0.03mm以上、0.2mm以下程度である。これらを考慮して、第1凹部91の深さは通常0.1mm以上、0.4mm以下程度であり、第2凹部92の深さは通常0.48mm以上、0.78mm以下程度となる。なお、第2凹部92の深さは、第1凹部91の深さよりも深い。
一方、カード基体2の製造および凹部9を形成するための切削加工とは別に、ICモジュール7への導電接着層11の貼付を行う。ICモジュール7としては、通常、1列取りまたは2列取りで連続的に長尺のテープに当該ICモジュール7が形成されているモジュールテープを使用する。このモジュールテープの外部接続端子71の形成面とは反対側の面に、テープ状のACFを一定の熱圧を加えながら貼り込んでいく。その後、ACFが貼り込まれたモジュールテープを、角に丸みを有する略長方形状のICモジュール7として打ち抜き機で打ち抜くことで、導電接着層11の貼付がされたICモジュール7を得る。
その後、凹部9が形成されたカード基体2に対し、導電接着層11の貼付がされたICモジュール7を埋設し、外部接続端子71に所定のヒートブロックを押し当てて、カード基体2側に向けて所定時間、所定の熱圧を加える。これにより、ACFで構成された導電接着層11を溶融させることにより、ICモジュール7の端子73aおよび73bとアンテナ8の第1端部81および第2端部82との電気的接続を図るとともに、ICモジュール7とカード基体2との機械的接続を図る。ACFは、その品種や組成により、加える時間や熱圧条件に差異はあるが、一例としては、時間を0.5秒以上、10.0秒以下、温度を150℃以上、250℃以下、圧力を20MPa以上、100MPa以下とすることができる。
(e)第1実施形態のデュアルインターフェースカードについて
以上をまとめると、第1実施形態のデュアルインターフェースカード1は、カード基体2と、当該カード基体2の内部に配置された、少なくとも複数の端部である第1端部81および第2端部82を有するアンテナ8と、を備える。さらに、デュアルインターフェースカード1は、ICチップ74a並びに当該ICチップ74aと電気的に接続された複数の端子73aおよび73bを有するICモジュール7を備える。ICモジュール7は、互いに対向する複数の端子73aおよび73b並びに複数の第1端部81および第2端部82が、それぞれ電気的に接続されるようにカード基体2に設けられた凹部9に配置される。
複数の端部である第1端部81および第2端部82は、アンテナ8を構成するアンテナ線83による、凹部9の外周93から中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成され、かつ、その一部が凹部9に露出している。また、アンテナ8の折り返し構造の屈曲部以外の部分が外周93の辺93aや93bに沿う直線に沿っており、かつ、複数の第1端部81および第2端部82が所定形状の輪郭に沿うように形成されている。
所定形状とは、凹部9の外周93から中心に向かう範囲における第1端部81および第2端部82が、凹部9の外周93から中心に向かう方向に直交する方向へ沿って、+Y方向側および-Y方向側の両方向に向けて互いに凸状に広がる図形形状である。また、第1端部81および第2端部82のうち、アンテナ線83が凹部9から露出している部分である第1露出部84および第2露出部85も、上述した所定形状の一部を形成する。
よって、本実施形態のデュアルインターフェースカード1は、第1端部81および第2端部82をアンテナ線83の使用量を低減しながら比較的コンパクトに形成できるため、アンテナ線83に熱圧を掛けながら基材に埋め込む作業を効率的にできる。また、第1端部81および第2端部82を構成するアンテナ線83の折り返し構造の屈曲部以外の部分のY軸に沿った長さを、ICモジュール7の端子73aや73bと重畳する領域付近で比較的長く配置し、重畳しない領域付近で比較的短く配置できる。
さらには、エンドミルによる切削加工の際に、アンテナ線83の切削量を低減できるため、アンテナ線83の意図しない分岐の発生を抑制できる。その結果、本実施形態のデュアルインターフェースカード1においては、ICモジュール7およびアンテナ8の電気的な接続信頼性と、ICモジュール7のカード基体2への接着性とを確保しつつ、効率的かつ低コストにアンテナ8を形成できる。
2.第2実施形態
次に、本開示の第2実施形態に係るデュアルインターフェースカードについて説明する。
図5は、第2実施形態のデュアルインターフェースカードに関する、図3に対応するアンテナ8の第1端部81aの構成を示す図である。本実施形態のデュアルインターフェースカードの第1端部81aは、第1実施形態の第1端部81とは異なる図形の輪郭に沿っている。第1端部81aの全体がY軸に沿った方向の最大幅がH1であり、X軸に沿った方向の幅がW1である。第1端部81aは、図5にて一点鎖線で示している、ICモジュール7の端子73aと重畳する部分において、Y軸に沿った方向の幅が最大幅H1となり、当該重畳する部分以外の部分において、Y軸に沿った方向の幅が最大幅H1よりも小さくなるようにアンテナ線83が配置される。
また、端子73aの-X方向側の略半分の部分と重畳する第1端部81aの-X方向側の部分を第1部分AR11とし、端子73aの+X方向側の略半分の部分と重畳する第1端部81aの第1部分AR11よりも+X方向側である部分を第2部分AR12とする。このとき、第1部分AR11は、-X方向側から+X方向側に進むにつれて第1端部81aのY軸に沿った方向の幅が、+Y方向側および-Y方向側のそれぞれについて直線状の輪郭に沿って漸次大きくなるように形成される。一方、第2部分AR12は、-X方向側から+X方向側に進むにつれて第1端部81aのY軸に沿った方向の幅が、+Y方向側および-Y方向側のそれぞれについて略円弧状の輪郭に沿って漸次小さくなるように形成される。
端子73aは、第1端部81aのX軸に沿った方向の略中央よりも+X方向寄りに配置される。このため、第1部分AR11は、第2部分AR12よりもX軸に沿った幅が大きく、第1端部81aが沿う図形は、Y軸方向に沿って見ると略線対称であるが、X軸方向に沿って見ると非対称である。以上のように、第1端部81aが沿う図形は、+Y方向側および-Y方向側のそれぞれに向けて凸形状となる略直線の線分および略円弧の曲線が結合した部分と、-X方向側および+X方向側のそれぞれにY軸に沿った略直線の線分とで囲まれたものとなる。
ただし、第1端部81aが沿う図形はこれに限定されず、第1部分AR11は、-X方向側から+X方向側に進むにつれて第1端部81aのY軸に沿った方向の幅が、+Y方向側および-Y方向側のそれぞれについて略円弧状の輪郭に沿って漸次大きくなるように形成されてもよい。また、第2部分AR12は、-X方向側から+X方向側に進むにつれて第1端部81aのY軸に沿った方向の幅が、+Y方向側および-Y方向側のそれぞれについて略直線状の輪郭に沿って漸次小さくなるように形成されてもよい。
さらには、第1部分AR11および第2部分AR12の間に、端子73aの略中央部分と重畳する第3部分AR13をさらに備え、当該第3部分AR13において、-X方向側から+X方向側に進むにつれて第1端部81aのY軸に沿った方向の幅が、略同一の最大幅H1を維持するように形成されてもよい。
なお、上述の説明は、第1端部81aについてのものであるが、+X方向側に並んで配置される第2端部についても同様にあてはまる。このとき、第2端部は、第1端部81aと左右対称に、すなわち、Y軸に沿った直線に対して線対称に形成されることが好ましいが、第2端部は、第1端部81aと左右対称ではなく、第1端部81aをXY平面上に沿って平行移動した形状として形成されてもよい。この点は、以降の実施形態についても共通する。
このように、第1端部81aが、ICモジュール7の端子73aと重畳する部分において、Y軸に沿った方向の幅が最大幅H1となり、当該重畳する部分以外の部分において、Y軸に沿った方向の幅が最大幅H1よりも小さくなるようにアンテナ線83が配置される。これにより、以下の効果が得られる。すなわち、端子73aと重畳する部分でのY軸に沿ったアンテナ線83の長さが比較的長いため、ICモジュール7およびアンテナ8の良好な電気的接続が図れる。
また、第2部分AR12では、アンテナ線83が沿う図形が略円弧を含まない略台形とすることができるので、端子73aと重畳しない部分でのY軸に沿ったアンテナ線83の長さが一層短くできる。よって、アンテナ線83の使用量の一層の低減を図りつつ、アンテナ線83の埋め込み作業のさらなる効率的が図れる。さらには、切削加工時のアンテナ線83の意図しない分岐が抑制できる。
3.第3実施形態
次に、本開示の第3実施形態に係るデュアルインターフェースカードについて説明する。
図6は、第3実施形態のデュアルインターフェースカードに関する、図3に対応するアンテナ8の第1端部81bの構成を示す図である。本実施形態のデュアルインターフェースカードの第1端部81bは、前述した各実施形態の第1端部とは異なる図形の輪郭に沿っている。第1端部81bの全体がY軸に沿った方向の最大幅がH21であり、X軸に沿った方向の幅がW1である。第1端部81bは、図6にて一点鎖線で示している、ICモジュール7の端子73aと重畳する部分において、Y軸に沿った方向の幅が最大幅H21となり、当該重畳する部分以外の部分において、Y軸に沿った方向の幅が最大幅H21よりも小さくなるようにアンテナ線83が配置される。
また、端子73aと重畳しない第1端部81bの-X方向側の部分を第1部分AR21とし、端子73aと重畳する、第1部分AR21の+X方向側である第1端部81bの部分を第2部分AR22とする。また、端子73aと重畳しない、第2部分AR22の+X方向側である第1端部81bの部分を第3部分AR23とする。このとき、第1部分AR21および第3部分AR23では、第1端部81bのY軸に沿った方向の幅が略一定のH22であり、H22の値はH21の値よりも小さい。一方、第2部分AR22では、第1端部81bのY軸に沿った方向の幅が略一定の最大幅H21である。
これより、第1端部81bが沿う図形は、第1部分AR21を構成する第1の略矩形部分と、第2部分AR22を構成する第2の略矩形部分と、第3部分AR23を構成する第3の略矩形部分とが結合した図形となる。ここで、第2の略矩形部分は、第1の略矩形部分および第3の略矩形部分よりもY軸に沿った方向の幅が大きいため、第1端部81bが沿う図形は、略十字型となる。ただし、第1部分AR21および第3部分AR23のY軸に沿った方向の幅が互いに同一である必要はなく、H21よりも短い、互いに異なる幅であってもよい。
一方、第1端部81bが沿う図形は、第1部分AR21を構成する図形が、第1の略矩形部分ではなく、第2部分AR22に向いた辺を幅H21とする下底とし、-X方向側に向いた辺をH21よりも狭い上底とする略台形部分であるとしてもよい。同様に、第3部分AR23を構成する図形が、第3の略矩形部分ではなく、第2部分AR22に向いた辺を幅H21とする下底とし、+X方向側に向いた辺をH21よりも狭い上底とする略台形部分であるとしてもよい。
すなわち、第1端部81bが沿う図形を略8角形としてもよい。第1端部81bをこのような形状とすることにより、万一、X軸に沿った方向の端子73aの位置が第2部分AR22の範囲から逸脱したとしても、端子73aと重畳する第1端部81bの面積の減少を滑らかに抑えることができる。したがって、ICモジュール7の位置ずれの影響を抑制しつつ、ICモジュール7およびアンテナ8の良好な電気的接続が図れる。
第2部分AR22のX軸に沿った幅は、端子73aのX軸に沿った幅に対して、ICモジュール7の搭載ずれ等を考慮して、多少広めに設定することが好ましい。第2部分AR22のX軸に沿った幅をDar22とし、端子73aのX軸に沿った幅をD73aとするとき、例えばDar22は、D73aの101%以上、300%以下とすることが好ましく、110%以上、200%以下とすることがさらに好ましい。特に後者の範囲とすることで、アンテナ線83の配置ずれやカード基体2の抜き位置ずれ、ICモジュール7の搭載位置ずれ等を考慮しても十分にICモジュール7およびアンテナ8の良好な電気的接続が図れ、アンテナ線83の使用量の低減および埋め込み作業の効率的が図れるからである。
このように、ICモジュール7の端子73aと重畳する部分において、Y軸に沿った方向の幅が最大幅H1の略一定幅となり、当該重畳する部分以外の部分において、Y軸に沿った方向の幅が最大幅H1よりも小さい略一定幅となるようにアンテナ線83が配置される。これにより、以下の効果が得られる。すなわち、端子73aと重畳する部分でのY軸に沿ったアンテナ線83の長さが一定幅で長いため、ICモジュール7の搭載位置のずれ等の影響を受けることなく、ICモジュール7およびアンテナ8の良好な電気的接続が図れる。また、端子73aと重畳しない部分でのY軸に沿ったアンテナ線83の長さが一定幅で短いため、アンテナ線83の使用量の一層の低減を図りつつ、アンテナ線83の埋め込み作業のさらなる効率的が図れる。さらには、切削加工時のアンテナ線83の意図しない分岐が抑制できる。
4.第4実施形態
次に、本開示の第4実施形態に係るデュアルインターフェースカードについて説明する。
図7は、第4実施形態のデュアルインターフェースカードに関する、図3に対応するアンテナ8の第1端部81cの構成を示す図である。本実施形態のデュアルインターフェースカードの第1端部81cは、第1実施形態の第1端部81と同様の図形の輪郭に沿っている。すなわち、当該図形は、+Y方向側および-Y方向側のそれぞれに向けて凸形状となる略円弧の曲線を有し、-X方向側および+X方向側のそれぞれにY軸に沿った略直線の線分を有する。しかし、第1端部81cのアンテナ線83における、隣り合う折り返し構造の屈曲部以外の部分の配列ピッチが、第1端部81cの領域により変わっている点が第1実施形態の第1端部81とは異なる。
すなわち、図7にて一点鎖線で示している、端子73aと重畳しない第1端部81cの-X方向側の部分を第1部分AR31とし、端子73aと重畳する、第1部分AR31の+X方向側である第1端部81cの部分を第2部分AR32とする。また、端子73aと重畳しない、第2部分AR32の+X方向側である第1端部81cの部分を第3部分AR33とする。このとき、第1部分AR31では、第1端部81cを構成するアンテナ線83の、隣り合う折り返し構造の屈曲部以外の部分の配列ピッチが略一定のp31であり、第2部分AR32では、同様の配列ピッチが略一定のp32であり、第3部分AR33では、同様の配列ピッチが略一定のp33である。
ここで、p32の値は、p31およびp33の値よりも小さくなっている。また、典型的にはp31およびp33の値は同一であり得るが、互いに異なる値であってもよい。言い換えると、第1端部81cのうち、端子73aと重畳する部分のアンテナ線83の折り返し構造の屈曲部以外の部分の配列ピッチは、端子73aと重畳しない他の部分の当該配列ピッチよりも狭くなっている。
このように、第1端部81cが、ICモジュール7の端子73aと重畳する部分において、アンテナ線83の折り返し構造の屈曲部以外の部分の配列ピッチが他の部分と比べて狭く配置されていることにより、ICモジュール7およびアンテナ8の電気的接続に係る接触面積が増加できる。このため、ICモジュール7およびアンテナ8の一層の良好な電気的接続が図れる。また、端子73aと重畳しない部分での当該配列ピッチが広く配置されていることにより、アンテナ線83の使用量の一層の低減を図りつつ、アンテナ線83の埋め込み作業のさらなる効率的が図れる。さらには、切削加工時のアンテナ線83の意図しない分岐が抑制できる。
5.第5実施形態
次に、本開示の第5実施形態に係るデュアルインターフェースカードについて説明する。
図8は、第5実施形態のデュアルインターフェースカードに関する、図3に対応するアンテナ8の第1端部81dの構成を示す図である。本実施形態のデュアルインターフェースカードの第1端部81dは、第1実施形態の第1端部81と同様の図形の輪郭に沿っている。すなわち、当該図形は、+Y方向側および-Y方向側のそれぞれに向けて凸形状となる略円弧の曲線を有し、-X方向側および+X方向側のそれぞれにY軸に沿った略直線の線分を有する。しかし、アンテナ線83の折り返し構造の屈曲部以外の部分が、図1(b)における、凹部9の外周93の辺93aに沿う直線、すなわちY軸と平行である直線m1に対して所定角度である角度θだけ、時計回りに傾斜している点が、第1実施形態の第1端部81とは異なる。
ここで、第1端部81cの全体がY軸に沿った方向の幅がH1であり、X軸に沿った方向の幅がW1となるような矩形の輪郭に沿うように配置されている。すなわち、当該折り返し構造の屈曲部以外の部分の長さは、第1端部81dのX方向に沿った略中央付近では、略同一長さとなる。しかしながら、-X方向側の端付近や+X方向側の端付近では、それぞれ-X方向や+X方向に向かうにつれて漸次、当該折り返し構造の屈曲部以外の部分の長さが短くなっている。
傾斜角θは、2度以上、20度以下であることが好ましく、5度以上、15度以下であることがさらに好ましい。また、傾斜角θは、すべての当該折り返し構造の屈曲部以外の部分において、厳密に同じである必要はなく、上述の範囲でばらついてもよい。傾斜角θが前者の範囲であることにより、アンテナ線83が凹部9の切削加工時のエンドミルの移動方向であるY軸に沿う方向に対する傾斜を有するため、アンテナ線83の意図しない分岐を一層、抑制できるからである。
また、第1端部81cの+X方向側の端が第1凹部91と第2凹部92との境界よりも+X方向側にある場合は、第2凹部92の切削時にアンテナ線83を切削し、これが途中で断線する。しかし、傾斜角θが前者の範囲内であれば、アンテナ線83の断線領域を低減することができ、アンテナ8とICモジュール7の端子73aとの確実な電気的接続が図れる。
一方、傾斜角θが後者の範囲であることにより、アンテナ線83の分岐であるヒゲの発生の抑制を良好に図ることができる。また、第1端部81の+X方向側の端が第1凹部91と第2凹部92との境界よりも+X方向側にある場合でも、第2凹部92の切削時にアンテナ線83を切削によるアンテナ線83の断線領域を一層低減できる。その結果、アンテナ8とICモジュール7の端子73aとの電気的接続の信頼性をさらに向上できる。
特に、+X方向側の端が第1凹部91と第2凹部92との境界よりも+X方向側にある場合は、この領域にはアンテナ線83のうち、折り返し構造の屈曲部を含み当該屈曲部以外の部分を含まないように配置することが好ましい。このようにすることで、第2凹部92の切削時にエンドミルの移動方向であるY軸に沿った方向から大きく角度がずれている屈曲部からのアンテナ線83の分岐は生じにくく、結果的に品質向上に寄与するからである。
本実施形態では、当該傾斜角θは、屈曲部以外の部分が直線m1に対して時計回りに傾斜する角度としている。しかし、上記に挙げたθは、屈曲部以外の部分が直線m1に対して反時計回りに傾斜する角度に置き換えても何ら差支えはない。屈曲部以外の部分が反時計回りに傾斜していても、時計回りに傾斜している場合と同様の作用効果が得られるからである。
以上、本開示において説明した各実施形態や各変形例は、矛盾が生じない限りにおいて、その一部または全部を互いに組み合わせて実施することが可能であり、その組み合わせた内容も当然に本開示に含まれる。例えば、第3実施形態の第1端部81bにおいて、第1部分AR21、第2部分AR22および第3部分AR23の輪郭形状を平行四辺形とし、第5実施形態の第1端部81dのように、アンテナ線83の折り返し構造の屈曲部以外の部分が、直線m1に対して角度θだけ傾斜していてもよい。
また、第2実施形態の第1端部81a、第3実施形態の第1端部81b、または、第5実施形態の第1端部81dにおいて、ICモジュール7の端子73aと重畳するアンテナ線83を以下のような構成としてもよい。すなわち、当該アンテナ線83を、第4実施形態の第1端部81cのように、折り返し構造の屈曲部以外の部分の配列ピッチを、他の部分と比べて狭く配置してもよい。このように各実施形態や各変形例が組み合わされても、それぞれの実施形態や各変形例の作用効果が同様に得られるからである。
1 デュアルインターフェースカード
2 カード基体
3、6 オーバーシート層
4、5 コア層
7 ICモジュール
8 アンテナ
9 凹部
11 導電接着層
11a 導電粒子
11b 接着剤
71 外部接続端子
72 基板
73a、73b 端子
74 ICチップ体
74a ICチップ
74b モールド部
74p パッド
75 ワイヤ
76 ボンディングホール
81、81b、81c、81d 第1端部
81p、81q アンテナ端部
82、82b 第2端部
83 アンテナ線
84 第1露出部
85 第2露出部
91 第1凹部
91a 底面
92 第2凹部
93 外周
93a、93b 辺

Claims (9)

  1. 外部機器との接触通信および非接触通信が可能なデュアルインターフェースカードであって、
    カード基体と、
    前記カード基体の内部に配置された、複数の端部を有するアンテナと、
    ICチップおよび当該ICチップと電気的に接続された複数の端子を有するICモジュールと、を備え、
    前記ICモジュールは、互いに対向する前記複数の端子および前記複数の端部が、それぞれ電気的に接続されるように前記カード基体に設けられた凹部に配置され、
    前記複数の端部は、前記アンテナを構成するアンテナ線による、前記凹部の外周から中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成され、かつ、その一部が前記凹部に露出しており、
    前記凹部の外周から中心に向かう範囲における前記複数の端部は、前記凹部の外周から中心に向かう方向に直交する方向へ沿って互いに凸状に広がる形状の輪郭に沿うように形成されている、デュアルインターフェースカード。
  2. 前記凹部は、外周側に形成された略同一深さの第1凹部と、前記第1凹部よりも中央側に形成され、前記第1凹部よりも深い第2凹部と、から構成される、請求項1に記載のデュアルインターフェースカード。
  3. 前記ICモジュールは、互いに対向する前記複数の端子および前記複数の端部が、異方導電性フィルムを介してそれぞれ電気的に接続される、請求項1または請求項2に記載のデュアルインターフェースカード。
  4. 前記外周は、前記カード基体の短辺および長辺と略平行な辺を有する略矩形であり、前記複数の端部は、前記アンテナを構成するアンテナ線による、前記凹部の前記カード基体の短辺と略平行な辺である前記外周から中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のデュアルインターフェースカード。
  5. 前記凹部の外周から中心に向かう範囲における前記複数の端部のうち、前記複数の端子と重畳する一の領域の前記凹部の外周から中心に向かう方向に直交する方向の幅が、他の領域の前記凹部の外周から中心に向かう方向に直交する方向の幅よりも大きい、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のデュアルインターフェースカード。
  6. 前記端部は屈曲部と、当該屈曲部以外の部分とから構成され、
    前記屈曲部以外の部分のうち前記端子と重畳する部分を第1の部分とし、前記端部の屈曲部以外の部分のうち前記端子と重畳しない部分を第2の部分とするとき、
    前記第1の部分の前記アンテナ線の配列ピッチは、前記第2の部分の前記アンテナ線の配列ピッチよりも狭い、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のデュアルインターフェースカード。
  7. 前記端部の前記屈曲部以外の部分が前記外周に沿う直線に対して傾斜している、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のデュアルインターフェースカード。
  8. 前記端子のいずれかにおける、前記屈曲部以外の部分の前記外周に沿う直線に対して傾斜している傾斜角の値は、5度以上、20度以下である、請求項7に記載のデュアルインターフェースカード。
  9. 外部機器との接触通信および非接触通信が可能なデュアルインターフェースカードの製造方法であって、
    第1基材に対して、熱圧を掛けながらアンテナ線を埋め込み、前記第1基材の一方の面に複数の端部を有するアンテナを形成するアンテナ形成工程と、
    アンテナが形成された前記第1基材に対して、前記アンテナを挟むように第2基材を積層する積層工程と、
    前記第1基材と前記第2基材とが積層された積層体をカードサイズのカード基体に打ち抜く打抜工程と、
    前記カード基体に、ICモジュールを埋設するための凹部を形成する凹部形成工程と、
    ICチップおよび当該ICチップと電気的に接続された複数の端子を有するICモジュールを準備するICモジュール準備工程と、
    互いに対向する前記複数の端子および前記複数の端部が、それぞれ電気的に接続されるように、導電性接着剤を介して前記ICモジュールを前記カード基体の前記凹部に接着するICモジュール接着工程と、を備え、
    前記複数の端部は、前記アンテナを構成するアンテナ線による、前記凹部の外周から中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成され、かつ、その一部が前記凹部に露出しており、
    前記凹部の外周から中心に向かう範囲における前記複数の端部は、前記凹部の外周から中心に向かう方向に直交する方向へ沿って互いに凸状に広がる形状の輪郭に沿うように形成されている、デュアルインターフェースカードの製造方法。
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