JP2023028717A - 磁性粉組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁性粉とワックスの相互分散性に優れた磁性粉組成物、及び該磁性粉組成物を含有し、耐擦過性と画像濃度に優れた磁性トナーに関すること。【解決手段】磁性粉、炭化水素ワックス、及びワックス分散剤を含有する磁性粉組成物であって、前記磁性粉の含有量が50質量%以上であり、前記炭化水素ワックスの含有量が5質量%以上であり、前記ワックス分散剤の含有量が2質量%以上であり、前記ワックス分散剤が、塩基性窒素含有基原料と数平均分子量が500以上5,000以下のワックス親和性基原料との反応物である、磁性粉組成物、並びに結着樹脂及び該磁性粉組成物を含有する磁性トナー。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられるトナー等に用いられる磁性粉組成物、及び該磁性粉組成物を含有した磁性トナーに関する。
特許文献1には、感光体へのトナー融着や接触帯電部材汚染を抑制し、カブリの発生や濃度薄を抑制する磁性トナーとして、結着樹脂、ワックス及び磁性酸化鉄を少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粒子とを有する磁性トナーであって、該結着樹脂は、溶融粘度が10,000Pa・sとなる温度T10,000が120℃以上150℃以下であるポリエステル樹脂Aを含有し、該磁性酸化鉄20質量部を酢酸エチル80質量部に分散させた後、静置し、磁性酸化鉄の沈殿部分の体積について経時変化を測定した酢酸エチル沈降試験において、静置して10分後の酢酸エチル/磁性酸化鉄混合物の体積をEtA、磁性酸化鉄の沈殿部分の体積をVEtAとしたとき、VEtAとEtAとの比VEtA/EtAが0.80以下であり、該磁性酸化鉄20質量部をイソプロピルアルコール80質量部に分散させた後、静置し、磁性酸化鉄の沈殿部分の体積について経時変化を測定したイソプロピルアルコール沈降試験において、静置して10分後の磁性酸化鉄の沈殿部分の体積をVIPAとしたとき、VIPAとVEtAとの比VIPA/VEtAが1.20以上2.50以下であることを特徴とする磁性トナーが開示されている。
引用文献2には、少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤としての低分子量ポリピロピレン又はフィッシャートロプシュワックスを含有する静電荷現像用トナーにおいて、該トナーが、酸価が40mgKOH/g以下であるロジン変性マレイン酸樹脂を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている。
文献3には、ワックスによる感光体、現像スリーブ、キャリア等へのフィルミングの発生、トナーの流動性の低下、ブロッキング等の問題がなく、帯電特性、低温定着性、耐オフセット性に優れ、良質の現像画像を長期間にわたり得ることができる、静電荷像現像用二成分系現像剤として、少なくとも着色剤、離型剤、及び樹脂組成物を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、離型剤として示差走査熱量計により測定された吸熱曲線の最大ピーク温度が80℃~130℃であるワックスを含有し、樹脂組成物として、酸価5~20mgKOH/gで、THF不溶分が5~25重量%の熱可塑性ポリエステルを主成分として含有し、かつエチレンユニットが60~80重量%、(メタ)アクリル酸エステルユニットが18~30重量%、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルユニットが1~10重量%からなる「エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/(メタ)アクリル酸グリシジルエステル共重合体」を、トナー全重量に対して0.1~5重量%含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている。
引用文献4には、結着樹脂(A)、ワックス(B)、及びワックス分散剤(C)を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記ワックス(B)の融点が70℃以上105℃以下であり、前記トナーの示差走査熱量計によるワックス(B)由来の吸熱ピークの吸熱量ΔH1が4J/g以上かつ15J/g以下であり、前記トナーをヘキサンで洗浄した後のトナーの示差走査熱量計によるワックス(B)由来の吸熱ピークの吸熱量ΔH2がΔH2/ΔH1>0.4の関係式を満たす、静電荷像現像用トナーが開示され、低温定着性及び耐久性に優れることが開示されているが、磁性粉は使用されていない。
特開2011-13353号公報 特開2009-31736号公報 特開2004-69872号公報 特開2019-184931号公報
電子写真技術を応用し、磁気マーキング印刷を行い、裏面から磁気を読み取れるようにするためには、トナーに磁性粉を多量に添加する必要がある。さらに、印刷後、搬送ローラーを通過した後に、磁気信号を読み取る必要があるため、画像の劣化を抑える必要があり、画像表面の耐擦過性も重要である。耐擦過性を向上させるためには、多量のワックスを配合する必要がある。
しかしながら、従来の磁性トナーの技術では、多量の磁性粉とワックスを含有する場合にこれらをトナー中に均一に分散させるには不十分である。
本発明は、磁性粉とワックスの相互分散性に優れた磁性粉組成物、及び該磁性粉組成物を含有し、耐擦過性と画像濃度に優れた磁性トナーに関する。
本発明は、
〔1〕 磁性粉、炭化水素ワックス、及びワックス分散剤を含有する磁性粉組成物であって、前記磁性粉の含有量が50質量%以上であり、前記炭化水素ワックスの含有量が5質量%以上であり、前記ワックス分散剤の含有量が2質量%以上であり、前記ワックス分散剤が、塩基性窒素含有基原料と数平均分子量が500以上5,000以下のワックス親和性基原料との反応物である、磁性粉組成物、並びに
〔2〕 結着樹脂及び前記〔1〕記載の磁性粉組成物を含有する磁性トナー
に関する。
本発明の磁性粉組成物は、磁性粉とワックスの相互分散性に優れており、該磁性粉組成物を用いて耐擦過性と画像濃度に優れた磁性トナーが得られるという効果を奏するものである。
本発明の磁性粉組成物は、磁性粉、炭化水素ワックス、及び特定のワックス分散剤を含有するものである。本発明の磁性粉組成物が磁性粉とワックスの相互分散性に優れる理由は定かではないが、次のように推察される。
本発明におけるワックス分散剤は、塩基性窒素含有基原料とワックス親和性基原料との反応物であり、炭化水素基等の炭化水素ワックスと親和性の高い基を有することで、炭化水素ワックスと強い親和性を持つことができる。一方、磁性粉は、親水性が高く、疎水性の炭化水素ワックスと相互分散し難いが、磁性粉の表面に酸性基が存在することから、ワックス分散剤が、親水性でこれらの酸性基と相互作用しやすい塩基性窒素含有基を有することで、強固に磁性粉と親和することができる。このように構造が最適化されたワックス分散剤を用いることで、疎水性の炭化水素ワックスと親水性の磁性粉との相互分散性が高い磁性粉組成物を得ることができる。
そして、このような磁性粉とワックス分散剤、ワックス分散剤と炭化水素ワックスのそれぞれの相互作用がこれらをトナー中に配合した際にも発現することで、トナー粒子中に多量の磁性粉とワックスを配合してもこれらを分散性よく含有させることができ、その結果、トナーの耐擦過性や画像濃度が向上するものと考えられる。
磁性粉としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄又は二価金属と酸化鉄との化合物、鉄、コバルト、ニッケル等のような金属、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金の粉体、これら粉体の混合物等が挙げられる。
磁性粉の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上であり、そして、好ましくは2μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
磁性粉の含有量は、磁性粉組成物中、50質量%以上であり、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは93質量%以下、より好ましくは92質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。
炭化水素ワックスとしては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス等のポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、これらのワックスの酸化物等が挙げられる。
炭化水素ワックスの融点は、トナーに用いた際のトナーの耐擦過性の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上であり、そして、トナーに用いた際のトナーの定着性の観点から、好ましくは105℃以下、より好ましくは103℃以下、さらに好ましくは101℃以下である。
炭化水素ワックスの含有量は、磁性粉組成物中、5質量%以上であり、好ましくは6質量%以上、より好ましくは7質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは17質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
ワックス分散剤は、塩基性窒素含有基原料と特定の数平均分子量を有するワックス親和性基原料との反応物である。
塩基性窒素含有基は、好ましくは、アミノ基(-NH2、-NHR、-NRR')、イミノ基(=NH)、シアノ基(-CN)、アゾ基(-N=N-)、ジアゾ基(=N2)、及びアジ基(-N3)から選ばれる少なくとも1種である。ここで、R、R'は炭素数1以上5以下の炭化水素基を表す。これらの中では、ワックス分散性の観点からは、イミノ基又はアミノ基が好ましく、アミノ基がより好ましい。
塩基性窒素含有基原料において塩基性窒素含有基以外に含まれる官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、ホルミル基、アセタール基、オキシム基、チオール基等が挙げられる。塩基性窒素含有基原料における塩基性窒素含有基の窒素原子が占める割合は、ワックス分散性の観点から、ヘテロ原子の個数換算で、好ましくは70個数%以上、より好ましくは80個数%以上、さらに好ましくは90個数%以上、さらに好ましくは95個数%以上、さらに好ましくは100個数%である。
上記塩基性窒素含有基を有する塩基性窒素含有基原料としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の(ポリ)エチレンポリアミン類、数平均分子量250以上15,000以下のポリエチレンイミン等のポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート等のポリアミノアルキルメタクリレート等が挙げられる。これらの中では、(ポリ)エチレンポリアミン類及びポリエチレンイミンが好ましく、(ポリ)エチレンポリアミン類がより好ましく、テトラエチレンペンタミン又はペンタエチレンヘキサミンがさらに好ましく、ペンタエチレンヘキサミンがさらに好ましい。
ワックス親和性基としては、炭素数16以上の炭化水素鎖を有する基、炭素数2以上22以下のジカルボン酸由来の構成単位及び炭素数2以上22以下のジオール由来の構成単位の重合体鎖を有する基等が挙げられる。
上記ワックス親和性基を有するワックス親和性基原料としては、例えば、反応性の官能基を有する炭素数16以上の炭化水素、炭素数16以上のヒドロキシカルボン酸の重合体、炭素数2以上22以下のジオールと炭素数2以上22以下のジカルボン酸の重合体、反応性の官能基を有する炭素数16以上のアルキル(メタ)アクリレートの重合体等が挙げられる。
炭素数2以上22以下のジオールと炭素数2以上22以下のジカルボン酸の重合体としては、例えば、エチレングリコールとセバシン酸との重合体、1,4-ブタンジオールとフマル酸との重合体、1,6-ヘキサンジオールとフマル酸との重合体、1,10-デカンジオールとセバシン酸との重合体、1,12-ドデカンジオールとテトラデカン二酸との重合体等も挙げられる。
反応性の官能基としては、カルボキシ基、エポキシ基、ハロゲノ基、ホルミル基、イソシアネート基等が挙げられる。カルボキシ基は、その無水物であってもよい。これらの中でも、入手性及び反応性の観点から、カルボキシ基もしくはその無水物、エポキシ基、又はイソシアネート基が好ましく、カルボキシ基もしくはその無水物、又はイソシアネート基がより好ましく、カルボキシ基又はその無水物がさらに好ましい。
また、ワックス親和性基原料としては、炭素数16以上24以下のクロロアルカン、炭素数16以上24以下のアルケニルコハク酸無水物、炭素数16以上24以下のアルケニルグリシジルエーテル、炭素数16以上24以下のアルキルイソシアネート、炭素数16以上24以下のヒロドキシカルボン酸の重合体、エポキシ変性された炭素数16以上24以下のポリアルキル(メタ)アクリレート、塩素化ポリオレフィン等も挙げられる。
これらの中でも、ワックス親和性基原料としては、原料の入手性及び反応性の観点、並びにトナーに用いた際のトナーの耐擦過性及び画像濃度をより向上させる観点から、反応性の官能基を有する炭素数16以上の炭化水素、又は反応性の官能基を有する炭素数16以上24以下のアルキル(メタ)アクリレートの重合体が好ましく、反応性の官能基を有する炭素数16以上の炭化水素がより好ましく、反応性の官能基を有するポリオレフィンがさらに好ましい。該ポリオレフィンの中でも、ポリエチレン骨格及び/又はポリプロピレン骨格を有するものがさらに好ましく、ワックス分散剤の高融点化の観点からは、ポリプロピレン骨格を有するものがさらに好ましい。反応性の官能基を有するポリオレフィンとしては、無水マレイン酸変性ポリオレフィンが好ましく、無水マレイン酸変性ポリプロピレンがより好ましい。無水マレイン酸変性ポリオレフィンは、反応性の観点、並びにトナーに用いた際のトナーの耐擦過性及び画像濃度をより向上させる観点から、片末端無水マレイン酸変性であることが好ましい。
ポリプロピレン骨格を有するワックス親和性基原料としては、例えば、ユーメックス100TS、ユーメックス110TS、ユーメックス1001、ユーメックス1010(以上、三洋化成工業(株)製)、ハードレン13-LP、ハードレン13-LLP、ハードレン14-LWP、ハードレン15-LP、ハードレン15-LLP、ハードレン16-LP、ハードレンDX-526P、ハードレンCY-9122P、ハードレンCY-9124P、ハードレンHM-21P、ハードレンM-28P、ハードレンF-2P、ハードレンF-6P、トーヨータックM-100、トーヨータックM-300、トーヨータックM-312、トーヨータックPMAH1000P、トーヨータックPMA-F2(以上、東洋紡(株)製)、スーパークロンC、スーパークロンL-206、スーパークロン813A、スーパークロン803M、スーパークロン803MW、スーパークロン803LT、スーパークロン1026、スーパークロン803L、スーパークロン814H、スーパークロン390S、スーパークロン814B、スーパークロン360T、スーパークロン370M、スーパークロン2027MB、スーパークロン822、スーパークロン892L、スーパークロン930、スーパークロン842LM、スーパークロン851L(以上、日本製紙(株)製)、X-10065、X-10088、X-10082、X-10087、X-10053、X-10052(以上、BakerHughes社製)等が挙げられる。
ワックス親和性基原料の数平均分子量は、ワックス分散性の観点から、5,000以下であり、好ましくは3,000以下、より好ましくは2,000以下であり、そして、トナーに用いた際のトナーの耐擦過性及び画像濃度をより向上させる観点から、500以上であり、好ましくは700以上、より好ましくは800以上である。
ワックス分散剤の融点は、トナーに用いた際のトナーの耐擦過性をより向上させる観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、さらに好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上であり、そして、ワックス分散性の観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは140℃以下、さらに好ましくは130℃以下、さらに好ましくは120℃以下である。
ワックス分散剤の含有量は、磁性粉組成物中、2質量%以上であり、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは17質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
磁性粉組成物において、磁性粉とワックス分散剤の質量比(磁性粉/ワックス分散剤)は、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは7以上、さらに好ましくは10以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、さらに好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下である。
また、磁性粉組成物において、炭化水素ワックスとワックス分散剤の質量比(炭化水素ワックス/ワックス分散剤)は、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上、さらに好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.2以上であり、そして、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下である。
本発明の磁性粉組成物は、磁性粉とワックスの相互分散性が良好であるため、高温下での貯蔵弾性率が低い。磁性粉組成物の150℃での貯蔵弾性率は、トナーに用いた際のトナーの耐擦過性の観点から、好ましくは200Pa以上、より好ましくは400Pa以上、さらに好ましくは600Pa以上であり、そして、ワックス分散性向上の観点から、好ましくは20,000Pa以下、より好ましくは15,000Pa以下、さらに好ましくは10,000Pa以下、さらに好ましくは8,000Pa以下である。
本発明の磁性粉組成物は、本発明の効果が妨げられない範囲で、その他の成分をさらに含んでいてもよい。その他の成分としては、炭化水素ワックス以外のワックス、前記ワックス分散剤以外のワックス分散剤、界面活性剤等が挙げられる。
本発明の磁性粉組成物は、磁性粉、炭化水素ワックス及びワックス分散剤と、必要に応じて前記その他の成分を、炭化水素ワックスの融点以上の温度で混合することによって得ることが好ましい。成分の混合順序には特に限定されない。また混合方法も公知の混合方法によって行うことができる。
本発明においては、さらに、結着樹脂と本発明の磁性粉組成物を含有する磁性トナーを提供する。
結着樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である非晶質ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
なお、樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最大ピーク温度との比、即ち[軟化点/吸熱の最大ピーク温度]の値で定義される結晶性指数によって表わされる。結晶性樹脂は、結晶性指数が0.6以上、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上であり、そして、1.4以下、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下の樹脂である。
一方、非晶質樹脂は、吸熱ピークが観測されないか、観測される場合は、結晶性指数が1.4を超える、好ましくは1.5を超える、より好ましくは1.6以上の樹脂であるか、または、0.6未満、好ましくは0.5以下の樹脂である。
樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。なお、吸熱の最大ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を指す。結晶性樹脂においては、吸熱の最大ピーク温度を融点とする。
アルコール成分は、定着性の観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むことが好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、式(I):
Figure 2023028717000001
(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である)
で表される化合物が好ましい。式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
他のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、グリセリン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
カルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸系化合物、脂肪族ジカルボン酸系化合物、3価以上のカルボン酸系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、保存性の観点から、芳香族ジカルボン酸系化合物を含有していることがより好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。これらの中では、低温定着性の観点から、テレフタル酸又はイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上であり、そして、100モル%以下、好ましくは90モル%以下である。
脂肪族ジカルボン酸系化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基で置換されていてもよいコハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸系化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられ、これらの中では、トリメリット酸系化合物が好ましい。
3価以上のカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、耐久性の観点から、0モル%以上、好ましくは5モル%以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下である。
なお、アルコール成分とカルボン酸成分とともに、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いてもよい。PETは、エチレングリコールとテレフタル酸の等モル重縮合物として、PETを構成するエチレングリコールとテレフタル酸をそれぞれアルコール成分とカルボン酸成分としてみなす。
PETは、重縮合反応において、アルコール成分及びカルボン酸成分と反応し、樹脂の構造中に取り込まれるが、この際、その一部の解重合により生成するエチレングリコールとテレフタル酸が原料モノマーとして、重縮合反応に供されポリエステル樹脂に取り込まれる。
そこで、本発明においては、PETは、従来用いられているPETに比べて比較的低IV値、即ち低分子量のPETであることが好ましい。本発明では、低IV値(低分子量)のPETをポリエステル樹脂に導入することにより、PETの解重合がより均一に進行する。
PETのIV値は、上記の観点から、好ましくは0.40以上、より好ましくは0.45以上、さらに好ましくは0.50以上、さらに好ましくは0.55以上であり、そして、低温定着性及び解重合の均一化の観点から、好ましくは0.85以下、より好ましくは0.80以下、さらに好ましくは0.75以下、さらに好ましくは0.70以下、さらに好ましくは0.65以下である。IV値とは固有粘度であり、分子量の指標となる。PETのIV値は、重縮合時間等により調整することができる。
IV値が0.40以上0.85以下のPETの市販品としては、RAMAPET L1(Indorama Ventures社製、IV値:0.60)、RAMAPET BF3067(Indorama Ventures社製、IV値:0.65)、RAMAPET N2G(Indorama Ventures社製、IV値:0.75)、TRN-NTJ(帝人(株)製、IV値:0.53)、TRN-RTJC(帝人(株)製、IV値:0.64)、RAMAPET S1(Indorama Ventures社製、IV値:0.84)等が挙げられる。
低IV値のPETの含有量は、重縮合に供されるPETの総量中、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
原料中のPETは、アルコール成分及びPET中のエチレングリコール単位の合計100モルに対して、粉砕性の観点から、好ましくは5モル以上、より好ましくは15モル以上、さらに好ましくは20モル以上、さらに好ましくは30モル以上であり、そして、好ましくは60モル未満、より好ましくは55モル以下となる量で、カルボン酸成分及びアルコール成分と重縮合させることが好ましい。
なお、PETはテレフタル酸-エチレングリコ-ルのユニット(Mw:192)を1モルとして換算する。従って、PETのモル数=エチレングリコール単位のモル数=テレフタル酸単位のモル数である。
アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、適宜含有されていてもよい。
カルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステル樹脂の軟化点を調整する観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.75以上であり、そして、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.15以下である。
非晶質ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、好ましくは130℃以上、より好ましくは170℃以上、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下の温度で重縮合させて製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。重合禁止剤としては、tert-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
なお、本発明において、ポリエステル樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステル樹脂であってもよい。変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、特開平11-133668号公報、特開平10-239903号公報、特開平8-20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステル樹脂が挙げられるが、変性されたポリエステル樹脂のなかでは、ポリエステル樹脂をポリイソシアネート化合物でウレタン伸長したウレタン変性ポリエステル樹脂が好ましい。
非晶質ポリエステル樹脂の軟化点は、保存安定性の観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下である。
なお、非晶質ポリエステル樹脂は、低温定着性及び耐擦過性の観点から、軟化点の異なる樹脂からなるものであってもよい。2種の樹脂の軟化点の差は、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは15℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下である。
軟化点が高い方の非晶質ポリエステル樹脂(樹脂H)の軟化点は、トナーの耐擦過性及び保存性を向上させる観点から、好ましくは110℃以上、より好ましくは115℃以上であり、そして、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下である。
また、軟化点が低い方の非晶質ポリエステル樹脂(樹脂L)の軟化点は、トナーの耐擦過性を向上させる観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上であり、そして、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは125℃以下、より好ましくは120℃以下である。
樹脂Hと樹脂Lの質量比(樹脂H/樹脂L)は、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、さらに好ましくは25/75以上、さらに好ましくは30/70以上であり、そして、好ましくは95/5以下、より好ましくは85/15以下、さらに好ましくは75/25以下、さらに好ましくは70/30以下である。
非晶質ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、保存安定性の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは65℃以下である。
非晶質ポリエステル樹脂の酸価は、低温定着性の観点から、好ましくは0.1mgKOH/g以上、より好ましくは1mgKOH/g以上であり、そして、吸湿性の観点から、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは20mgKOH/g以下、さらに好ましくは10mgKOH/g以下である。
非晶質ポリエステル樹脂の含有量は、結着樹脂中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
結着樹脂の含有量は、トナー中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは65質量%以下、より好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
トナー中の磁性粉組成物の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは70質量部以上、より好ましくは100質量部以上、さらに好ましくは110質量部以上であり、そして、好ましくは1000質量部以下、より好ましくは900質量部以下、さらに好ましくは700質量部以下、さらに好ましくは500質量部以下、さらに好ましくは400質量部以下である。
また、磁性粉の含有量は、トナー中、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
炭化水素ワックスの含有量は、トナー中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは6質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
また、炭化水素ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上であり、そして、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下、さらに好ましくは75質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下である。
ワックス分散剤の含有量は、トナー中、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
なお、磁性粉、炭化水素ワックス、ワックス分散剤のトナー中の含有量は、トナー粒子中の含有量を意味し、外添剤はトナー粒子に含めない。
本発明の磁性トナーは、結着樹脂及び磁性粉組成物以外に、荷電制御剤、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を含有していてもよい。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリヱント化学工業(株)製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料;4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリヱント化学工業(株)製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリヱント化学工業(株)製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業(株)製)等;スチレン-アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」、「FCA-201-PS」(藤倉化成(株)製)等が挙げられる。
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリヱント化学工業(株)製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(保土谷化学工業(株)製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット(株)製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「ボントロンE-304」(以上、オリヱント化学工業(株)製)、「TN-105」(保土谷化学工業(株)製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電安定性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
トナーの製造方法としては、溶融混練法、乳化転相法、重合法、乳化凝集法等の方法が知られているが、本発明の磁性トナーは、磁性粉を比較的多く含有するため、溶融混練法により製造することで、本発明の効果が顕著に発揮される。従って、本発明のトナーは、結着樹脂及び磁性粉組成物を含む原料の溶融混練物を粉砕する工程を含む方法により得られた粉砕トナーであることが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーは、例えば、結着樹脂、磁性粉組成物、荷電制御剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。なお、トナーの製造において、磁性粉組成物は、予め調製したものを用いても、磁性粉、炭化水素ワックス及びワックス分散剤を所定の配合比で、直接結着樹脂と混合して用いてもよい。
本発明のトナーには、転写性を向上させるために、外添剤を用いることが好ましい。外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、メラミン系樹脂微粒子、ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子等の樹脂粒子等の有機微粒子が挙げられ、2種以上が併用されていてもよい。これらの中では、シリカが好ましく、トナーの転写性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであることがより好ましい。
シリカ粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
外添剤の平均粒子径は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上であり、そして、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは150nm以下、さらに好ましくは90nm以下である。
外添剤の含有量は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、外添剤で処理する前のトナー100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは12μm以下である。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。また、トナーを外添剤で処理している場合には、外添剤で処理する前のトナー粒子の体積中位粒径をトナーの体積中位粒径とする。
本発明のトナーは、一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定することができる。
〔磁性粉の平均粒径〕
平均粒径とは、個数平均粒径のことである。
個数平均粒径は、走査型電子顕微鏡にて撮影倍率5000~50000倍の適切な倍率で、粒径(長径と短径の平均値)を100個の粒子について測定し、それらの平均値を平均粒径とする。
〔磁性粉組成物の貯蔵弾性率〕
レオメーター(MCR-302、アントンパール社製)により測定する(Strain:0.01%~1%温度に対して対数で変化させる、周波数:6.28rad/sec)。上部は直径25mmのパラレルプレート、下部は直径40mm、深さ7mmのディスポーザブルカップを装着し、試料2gを、150℃に加熱/放置する。パラレルプレートとカップで挟んだ後、70℃まで降温する。その後、190℃まで5℃/minで昇温し、150℃で貯蔵弾性率(G'150)を求める。
〔ワックス及びワックス分散剤の融点〕
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最大ピーク温度を離型剤の融点とする。
〔ワックス親和性基原料の数平均分子量〕
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、分散性基原料をテトラヒドロフランに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(Mw 5.0×102)、A-1000(Mw 1.01×103)、A-2500(Mw 2.63×103)、A-5000(Mw 5.97×103)、F-1(Mw 1.02×104)、F-2(Mw 1.81×104)、F-4(Mw 3.97×104)、F-10(Mw 9.64×104)、F-20(Mw 1.90×105)、F-40(Mw 4.27×105)、F-80(Mw 7.06×105)、F-128(Mw 1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:TSKgel GMHXL+TSKgel G3000HXL(東ソー(株)製)
〔PETのIV値〕
フェノール/テトラクロロエタン(質量比)が60/40の混合溶媒に、4g/Lの濃度にて溶解し、ウベローデ型粘度計にて測定を行い、下記式に従って算出することで求めることができる。
IV=(-1+√(1+4kη))/(2kC)
〔式中、k=0.33、C=0.004g/mLであり、η=(t1/t0)-1(t0:溶媒のみの落下秒数、t1:試料溶液の落下秒数)である。〕
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最大ピーク温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温(20℃)から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した試料をそのままの温度で1分間維持する。その後、昇温速度10℃/minで180℃まで昇温しながら吸熱ピークを測定する。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔外添剤の平均粒子径〕
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
〔トナーの体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマン・コールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマン・コールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
ワックス分散剤の製造例
冷却管、窒素導入管、撹拌機、脱水管及び熱電対を装備した2リットル容の四つ口フラスコに、表1に示す、塩基性窒素含有基原料、ワックス親和性基原料、及び溶媒を入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。反応容器内を150℃に加温して1時間保持した後、160℃に昇温して1時間保持し、さらに、フラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaに減圧して溶剤を留去しながら反応を行った。IR分析から、PPSA由来の酸無水物のピーク(1780cm-1)が消失し、イミド結合由来のピーク(1700cm-1)が生じたことを確認して、分散剤D1~D8を得た。融点を表1に示す。
Figure 2023028717000002
樹脂製造例1
表2に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー、及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃まで昇温し、その後235℃で6時間重縮合させた後、10kPaに減圧し、さらに1時間反応させた。その後、210℃まで降温して無水トリメリット酸を添加し、210℃で1時間重縮合させた。さらに、210℃で10kPaの減圧下にて表2に記載の軟化点に達するまで反応を行って、非晶質ポリエステル樹脂(樹脂A1、A4、A5)を得た。物性を表2に示す。
樹脂製造例2
表2に示す原料モノマー及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃まで昇温し、その後235℃で6時間重縮合させた。さらに、235℃で10kPaの減圧下にて表2に記載の軟化点に達するまで反応を行って、非晶質ポリエステル樹脂(樹脂A2)を得た。物性を表2に示す。
樹脂製造例3
表2に示す原料モノマー及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、180℃で1時間保温した後に180℃から230℃まで10℃/hで昇温し、その後230℃で5時間重縮合させた。さらに、230℃で10kPaの減圧下にて表2に記載の軟化点に達するまで反応を行って、非晶質ポリエステル樹脂(樹脂A3)を得た。物性を表2に示す。
Figure 2023028717000003
実施例A1~A13及び比較例A1~A4
150℃に加熱したホットプレートの上にアルミカップをのせて、表3に示すワックス、磁性粉、及びワックス分散剤をアルミカップに入れて、スパチュラで撹拌して分散体を作製した。
得られた分散体の分散状態を目視にて観察した後、分散体2gを、直径40mm、深さ7mmのディスポーザブルカップにいれ、パラレルプレートとカップで挟んだ後、150℃での貯蔵弾性率を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2023028717000004
表3の結果より、実施例A1~A13の磁性粉組成物は、貯蔵弾性率が低く、ワックス分散剤の効果によるワックスと磁性粉の相互分散性が良好であることが分かる。一方、比較例A1~A4の磁性粉組成物は、貯蔵弾性率が高く、150℃でも粉体の状態のままで、ワックスと磁性粉の相互分散性が悪い。
実施例B1~B17及び比較例B1~B3
表4に示す結着樹脂、ワックス、磁性粉、及びワックス分散剤と、負帯電性荷電制御剤「T-77」(保土谷化学工業(株)製)0.5質量部をヘンシェルミキサーにて5分間撹拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
同方向回転二軸押出機「PCM-30」(池貝鉄工社製)を使用した。同方向回転二軸押出機の運転条件は、バレル設定温度 100℃、軸回転数 200r/min(軸の回転の周速 0.30m/sec)、混合物供給速度 10kg/hであった。
得られた混練物を冷却し、IDS粉砕・分級機(日本ニューマチック社製)を用いて体積中位粒径(D50)が所定の粒径(10μm)になるように粉砕・分級を行い、体積中位粒径(D50)が9.8~10.3μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部と、外添剤として疎水性シリカ「R972」(日本アエロジル社製、疎水化処理剤:DMDS、平均粒子径:16nm)1.0質量部をヘンシェルミキサーにて3分間混合して、磁性トナーを得た。
試験例
レーザープリンター「SateraLBP221」(キャノン社製)を改造して未定着画像の画像上のトナー付着量を0.5mg/cm2に合わせて印刷した。未定着画像を、120℃に設定した恒温槽に2分間入れて、定着させ、定着画像の画像濃度を色彩計「GretagMacbeth Spectroeye」(グレタグ社製)で測定した。結果を表4に示す。
その後、摩擦堅牢度試験機「RT-300」(大栄科学精器製作所社製)を用いて、600gの重りで定着画像を100回往復擦り、再度、画像濃度を測定した。下記式から擦り前後の濃度保持率を測定し、耐擦過性を評価した。結果を表4に示す。
濃度保持率(%)=擦り後画像濃度/擦り前画像濃度×100
Figure 2023028717000005
表4の結果より、実施例A1~A13の磁性粉を用いて得られた実施例B1~B17の磁性トナーは、比較例A1~A3の磁性粉を用いて得られた比較例B1~B3の磁性トナーに比べて、耐擦過性に優れ、画像濃度も高いことが分かる。
なかでも、実施例B1、B9、B10の対比から、結着樹脂の酸価が低いほど、結着樹脂よりも分散剤と磁性粉との相互作用が強くなることで、ワックスの分散性が向上し、耐擦過性も画像濃度も向上することが分かる。
本発明の磁性粉組成物は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられるトナー等に用いられる。

Claims (10)

  1. 磁性粉、炭化水素ワックス、及びワックス分散剤を含有する磁性粉組成物であって、前記磁性粉の含有量が50質量%以上であり、前記炭化水素ワックスの含有量が5質量%以上であり、前記ワックス分散剤の含有量が2質量%以上であり、前記ワックス分散剤が、塩基性窒素含有基原料と数平均分子量が500以上5,000以下のワックス親和性基原料との反応物である、磁性粉組成物。
  2. 磁性粉とワックス分散剤の質量比(磁性粉/ワックス分散剤)が、3以上30以下である、請求項1記載の磁性粉組成物。
  3. 炭化水素ワックスとワックス分散剤の質量比(炭化水素ワックス/ワックス分散剤)が、0.8以上4.0以下である、請求項1又は2記載の磁性粉組成物。
  4. 150℃での貯蔵弾性率が200Pa以上20,000Pa以下である、請求項1~3いずれか記載の磁性粉組成物。
  5. ワックス親和性基原料が、反応性の官能基を有するポリオレフィンである、請求項1~3いずれか記載の磁性粉組成物。
  6. 結着樹脂及び請求項1~5いずれか記載の磁性粉組成物を含有する磁性トナー。
  7. 炭化水素ワックスの含有量が、結着樹脂100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下である、請求項6記載の磁性トナー。
  8. 磁性粉の含有量が、30質量%以上80質量%以下である、請求項6又は7記載の磁性トナー。
  9. 炭化水素ワックスの含有量が、3質量%以上20質量%以下である、請求項6~8いずれか記載の磁性トナー。
  10. ワックス分散剤の含有量が、1.5質量%以上20質量%以下である、請求項6~9いずれか記載の磁性トナー。
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