JP2023026106A - ホスホリルコリン基又はその類似基含有重合性化合物、化合物の製造方法及び重合体、並びに化合物を用いた樹脂組成物 - Google Patents

ホスホリルコリン基又はその類似基含有重合性化合物、化合物の製造方法及び重合体、並びに化合物を用いた樹脂組成物 Download PDF

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Akimichi Hirata
学士 丸山
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Abstract

【課題】優れた生体適合性を有し、熱や活性エネルギー線に対する重合性や硬化性が高く、ホスホリルコリン基又はその類似基を有する重合性化合物、それらの製造方法及びそれらを用いた重合体、硬化性樹脂組成物等を提供する。【解決手段】本発明の化合物は、分子内に不飽和基2個以上とホスホリルコリン基及び/又はホスホリルコリン類似基1個以上を有する重合性化合物、及び分子内に不飽和基1個とホスホリルコリン基及び/又はホスホリルコリン類似基2個以上を有する重合性化合物である。【選択図】なし

Description

本発明は、ホスホリルコリン基又はその類似基含有重合性化合物、化合物の製造方法及び重合体、並びに該重合性化合物及び/又はその重合体を用いた樹脂組成物に関する。
ホスホリルコリン基は生体膜を構成するリン脂質と同じ構造を有しており、それ及びその類似基(ホスホリルコリン類似基)を有する材料は、血液適合性、補体非活性化、生体物質非吸着性等の生体適合性に優れ、又保湿性、防汚性、抗菌性が高く、人工血管、人工臓器、人工関節、人工軟骨組織等の医療材料、医療用具、医療機器等の医療用デバイスや培養薬、外用薬、化粧品、コンタクトレンズ用の生体適合性材料として研究開発が活発に行われている。
このような広く用いられる材料は、十分な強度や耐加水分解性、生体適合性が要求されている。近年では、ホスホリルコリン基又はその類似基を有する重合性化合物(モノマー)を合成し、得られたモノマーを用いて様々な重合方法により高分子膜やヒドロゲル等目的に応じた高分子材料が製造されている。例えば、特許文献1には、重合性化合物としてホスホリルコリン基含有の(メタ)アクリレートを合成した後、眼用シリコーンモノマーとを共重合させることにより眼用ソフトコンタクトレンズに利用可能な材料が開示されている。特許文献2には、高周波プラズマ又はエキシマ光を照射することで前処理された眼用レンズ材料の表面に親水性モノマーとしてホスホリルコリン基やその類似基等の双性イオン性基含有化合物を接触させ、波長250~500nmの紫外線を照射し、眼用レンズ材料の表面にグラフト重合させることにより、高酸素透過性、表面水濡れ性、表面潤滑性、保水性、耐汚染性と生体適合性を有する親水性表面の眼用レンズ材料が開示されている。特許文献3には、ホスホリルコリン基を含むモノマーと架橋剤としてのN,N’-メチレンビスアクリルアミドとがラジカル重合させられて生体適合性ヒドロゲルが作製される方法が開示されている。
特開2011-246666号公報 特開2011-081394号公報 特開2020-180240号公報
しかしながら、特許文献1~3に記載のホスホリルコリン基又はその類似基を有する重合性化合物の不飽和基は全て(メタ)アクリレート基であり、このようなモノマーから得られる重合体等には加水分解されやすいエステル構造が存在し、生体材料としては耐加水分解性が低い欠点がある。又、(メタ)アクリレート基の活性エネルギー線に対する硬化性が十分ではないため、高安全性の可視光線やLED光源を用いた場合、得られる重合体や硬化物中の残存モノマーが多い問題や、材料表面へのホスホリルコリン基又はその類似基のグラフト率が低い等の問題が頻発しており、強度も生体適合性も満足できる材料を得ることが難しかった。ホスホリルコリン基又はその類似基を有する単官能モノマーの重合性問題と硬化性問題は、汎用の(メタ)アクリレート系や(メタ)アクリルアミド系のモノマーと共重合することにより改善される可能性があるが、共重合モノマーを使用することで得られる重合体や硬化物中のホスホリルコリン基又はその類似基の含有率が低下し、生体適合性等の機能を十分に提供できない懸念があった。更に、特許文献3には、架橋構造を有するヒドロゲルを取得するため、不飽和基を2個有する架橋剤としてN,N’-メチレンビスアクリルアミドが使用されているが、N,N’-メチレンビスアクリルアミドは変異原性が陽性と確認された化合物であるため、得られたヒドロゲルの人体等に対する安全性が懸念されている。
上述のように、重合性や硬化性が高く、容易に架橋構造を形成できるホスホリルコリン基又はその類似基を有する多官能モノマーや高濃度のホスホリルコリン基又はその類似基を有する単官能モノマーはまだ報告されていない現状である。
そこで、本発明は、分子内に不飽和基2個以上と、ホスホリルコリン基及び/又はホスホリルコリン類似基1個以上を有する重合性化合物(以下ホスホリルコリン基又はその類似基を有する多官能モノマーと称し、又は多官能タイプモノマーと略称する。)と、分子内に不飽和基1個と、ホスホリルコリン基及び/又はホスホリルコリン類似基2個以上を有する重合性化合物(以下ホスホリルコリン基又はその類似基を有する単官能モノマーと称し、又は単官能タイプモノマーと略称する。)を提供することを課題とする。又、前記各種ホスホリルコリン基及び/又はホスホリルコリン類似基を有する重合性化合物(多官能タイプモノマーと単官能タイプモノマー)の製造方法を提供することを第二の課題とする。更に、前記各種ホスホリルコリン基及び/又はホスホリルコリン類似基を有する重合性化合物を用いて重合してなる重合体やヒドロゲル等、該重合性化合物及び/又はその重合体を含有する重合性或いは硬化性樹脂組成物を提供することを第三の課題とする。
本発明者らはこれらの課題を解決するために鋭意検討を行った結果、分子内に不飽和基として(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、マレイミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基2個以上を有し、且つ、生体適合性官能基としてホスホリルコリン基及び/又はホスホリルコリン類似基1個以上を有するホスホリルコリン基又はその類似基を有する多官能モノマー(多官能タイプモノマー)と、分子内に不飽和基として(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、マレイミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基1個を有し、且つ、生体適合性官能基としてホスホリルコリン基及び/又はホスホリルコリン類似基2個以上を有するホスホリルコリン基又はその類似基を有する単官能モノマー(単官能タイプモノマー)を見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)分子内に不飽和基2個以上と、ホスホリルコリン基及び/又はホスホリルコリン類似基1個以上を有する重合性化合物、
(2)分子内に不飽和基1個と、ホスホリルコリン基及び/又はホスホリルコリン類似基2個以上を有する重合性化合物、
(3)一般式(1)で示される前記(1)に記載の重合性化合物、
Figure 2023026106000001
(式中、R、RとRはそれぞれ独立に、炭素数1~24の直鎖状のアルキレン基或いはヒドロキシアルキレン基;炭素数2~24の直鎖状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルキレン基、或いはヒドロキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36のヒドロキシル基で置換されてもよい、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素或いは脂環式エーテル基;炭素数6~24のヒドロキシル基で置換されてもよい、芳香族炭化水素を表す(但し、Rは、存在しなくてもよい。)。RとRはそれぞれ独立に、ビニル基;アリル基;マレイミド基;炭素数1~6の直鎖状のアルキル基;炭素数2~6のアルケニル基を表す。Aは(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、マレイミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基である。mは1~10の整数であり、Yはm価の連結基を表す。)
(4)一般式(2)で示される前記(1)に記載の重合性化合物、
Figure 2023026106000002
(式中、R、RとRはそれぞれ独立に、炭素数1~24の直鎖状のアルキレン基或いはヒドロキシアルキレン基;炭素数2~24の直鎖状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルキレン基、或いはヒドロキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36のヒドロキシル基で置換されてもよい、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素或いは脂環式エーテル基;炭素数6~24のヒドロキシル基で置換されてもよい、芳香族炭化水素を表す(但し、Rは、存在しなくてもよい)。RとR10はそれぞれ独立に、ビニル基;アリル基;マレイミド基;炭素数1~6の直鎖状のアルキル基;炭素数2~6のアルケニル基を表す。Bは(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、マレイミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基である。nは1~100の整数であり、Zはn価の連結基を表す。)
(5)一般式(3)で示される前記(1)に記載の重合性化合物、
Figure 2023026106000003
(式中、R11、R12とR13はそれぞれ独立に、炭素数1~24の直鎖状のアルキレン基或いはヒドロキシアルキレン基;炭素数2~24の直鎖状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルキレン基、或いはヒドロキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36のヒドロキシル基で置換されてもよい、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素或いは脂環式エーテル基;炭素数6~24のヒドロキシル基で置換されてもよい、芳香族炭化水素を表す(但し、R11及び/又はR13は、存在しなくてもよい)。R14とR15はそれぞれ独立に、ビニル基;アリル基;マレイミド基;炭素数1~6の直鎖状のアルキル基;炭素数2~6のアルケニル基を表す。DとEはそれぞれ独立に、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、マレイミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基である。)
(6)一般式(4)で示される前記(2)に記載の重合性化合物、
Figure 2023026106000004
(式中、R16とR17はそれぞれ独立に、炭素数1~24の直鎖状のアルキレン基或いはヒドロキシアルキレン基;炭素数2~24の直鎖状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルキレン基、或いはヒドロキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36のヒドロキシル基で置換されてもよい、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素或いは脂環式エーテル基;炭素数6~24のヒドロキシル基で置換されてもよい、芳香族炭化水素を表す。R18、R19とR20はそれぞれ独立に、ビニル基;アリル基;マレイミド基;炭素数1~6の直鎖状のアルキル基;炭素数2~6のアルケニル基;炭素数6~24のヒドロキシル基で置換されてもよい、芳香族炭化水素を表す。Fは(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、マレイミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基である。iは2~10の整数表す。)
(7)水酸基を有する化合物と2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキソホスホランを反応させ、ジオキサホスホラン基を有する化合物を合成する第一工程と、
第三級アミノ基を有するアミン化合物を用いて、第一工程で得られるジオキサホスホラン基を有する化合物を開環させる第二工程を
含む前記(1)~(6)のいずれか一項に記載の重合性化合物の製造方法、
(8)前記(1)~(5)いずれか一項に記載の重合性化合物由来の構造単位を有する重合体、
(9)前記(1)~(5)いずれか一項に記載の重合性化合物及び/又は前記(8)に記載の重合体を含有する熱重合性及び/又は活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、
(10)前記(1)~(5)いずれか一項に記載の重合性化合物由来の構造単位を有するヒドロゲル、
(11)前記(1)~(5)のいずれか一項に記載の重合性化合物由来の構造単位を有するコンタクトレンズ
を提供する。
本発明の重合性化合物は、分子内に重合性不飽和基2個以上と生体適合性のホスホリルコリン基又はその類似基1個以上を有する多官能タイプモノマーと、分子内に重合性不飽和基1個と生体適合性のホスホリルコリン基又はその類似基2個以上を有する単官能タイプモノマーであり、これらのモノマーは熱及び/又は活性エネルギー線に対して重合性も硬化性も高く、生体適合性に優れることが特徴である。又、多官能タイプモノマーは架橋剤としても用いられ、重合体や架橋構造を有するヒドロゲルを容易に取得することができる。前記の多官能タイプモノマーは親水性や生体適合性が期待でき、それを含有する重合性や硬化性樹脂組成物と、それを用いて重合や硬化してなる重合体、ヒトロゲルも親水性や生体適合性が期待でき、化粧品や日用品、医療、医薬分野を含め幅広い分野における原料や材料としての利用が期待できる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の重合性化合物(1)は、下記一般式(5)で表されるホスホリルコリン基又はその類似基を有する多官能タイプモノマー(1)である。
Figure 2023026106000005
一般式(5)中、Aは(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、マレイミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基である。Aは、リン酸エステル型アニオンとアンモニウム型カチオンから構成される両性イオン(ベタイン構造)と連結することにより、不飽和基を有する両性イオンの構造体が形成されている。このような不飽和基を有する両性イオン構造体m個が、連結基Yを介して連結されている。mは1~10の整数である。
mが1である場合、重合性化合物(1)の分子内に不飽和基Aが1個存在する。又、R、RとRはそれぞれ独立に、炭素数1~24の直鎖状のアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数2~24の直鎖状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルケニル基;炭素数3~36の分岐状のアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルケニル基;炭素数3~36のヒドロキシル基で置換されてもよい、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素或いは脂環式エーテル基;炭素数6~24のヒドロキシル基で置換されてもよい、芳香族炭化水素を表す(但し、Rは、存在しなくてもよい。)。RとRはそれぞれ独立に、ビニル基;アリル基;マレイミド基;炭素数1~6の直鎖状のアルキル基;炭素数2~6のアルケニル基を表す。なお、R~Rのいずれかに、1個以上のアリル基、ビニル基、あるいはマレイミド基を有する。
mは2~10の整数であることが好ましい。この場合、重合性化合物(1)の分子内に同一種類又は異なる種類の不飽和基Aが2~10個存在する。又、R、RとRはそれぞれ独立に、炭素数1~24の直鎖状のアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数2~24の直鎖状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルケニル基;炭素数3~36の分岐状のアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルケニル基;炭素数3~36のヒドロキシル基で置換されてもよい、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素或いは脂環式エーテル基;炭素数6~24のヒドロキシル基で置換されてもよい、芳香族炭化水素を表す。RとRはそれぞれ独立に、ビニル基;アリル基;マレイミド基;炭素数1~6の直鎖状のアルキル基;炭素数2~6のアルケニル基を表す。
重合性化合物(1)の不飽和基Aは、メタクリレート基、アクリレート基、メタクリルアミド基とアクリルアミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基であることが好ましい。Aがこれらの不飽和基である場合、熱や活性エネルギー線照射によるラジカル重合が温和な条件下で容易に進行することができ、更に、ラジカル重合可能な多種多様なモノマーと共重合することができ、目的に応じた様々な重合体や架橋性硬化物(ヒドロゲルを含む)を得ることができる。
又、重合性化合物(1)の不飽和基Aは、少なくとも1個以上はメタクリルアミド基又はアクリルアミド基であることがより好ましく、少なくとも1個以上はアクリルアミド基であることが最も好ましい。メタクリルアミド基とアクリルアミド基は親水性も耐加水分解性も高く、耐加水分解性に優れており、生体適合性がより期待できる。更に、アクリルアミド基は紫外線(UV)等の活性エネルギー線に対する感度(硬化性)が上記した不飽和基Aの中で最も高く、安全性が高い可視光線、LED光源を用いても、速やかに重合が進行することができ、未重合や未硬化のモノマーが殆ど残らないため、生体材料として好適に用いることができ、医療や医薬分野への応用に好適である。
本発明の重合性化合物(2)は、下記一般式(6)で表されるホスホリルコリン基又はその類似基を有する多官能タイプモノマー(2)である。
Figure 2023026106000006
一般式(6)中、Bは(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、マレイミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基である。Bは、アンモニウム型カチオンとリン酸エステル型アニオンから構成される両性イオン(ベタイン構造)と連結することにより、不飽和基を有する両性イオンの構造体が形成されている。このような不飽和基を有する両性イオン構造体n個が、連結基Zを介して連結されている。nは1~100の整数である。
nが1である場合、重合性化合物(2)の分子内に不飽和基Bが1個存在する。又、R、RとRはそれぞれ独立に、炭素数1~24の直鎖状のアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数2~24の直鎖状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルケニル基;炭素数3~36の分岐状のアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルケニル基;炭素数3~36のヒドロキシル基で置換されてもよい、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素或いは脂環式エーテル基;炭素数6~24のヒドロキシル基で置換されてもよい、芳香族炭化水素を表す(但し、Rは、存在しなくてもよい)。RとR10はそれぞれ独立に、ビニル基;アリル基;マレイミド基;炭素数1~6の直鎖状のアルキル基;炭素数2~6のアルケニル基を表す。なお、R~R10のいずれかに、1個以上のビニル基、アリル基あるいはマレイミド基を有する。
nは2~100の整数であることが好ましい。この場合、重合性化合物(2)の分子内に同一種類又は異なる種類の不飽和基Bが2~100個存在する。又、R、RとRはそれぞれ独立に、炭素数1~24の直鎖状のアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数2~24の直鎖状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルケニル基;炭素数3~36の分岐状のアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルケニル基;炭素数3~36のヒドロキシル基で置換されてもよい、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素或いは脂環式エーテル基;炭素数6~24のヒドロキシル基で置換されてもよい、芳香族炭化水素を表す。RとR10はそれぞれ独立に、ビニル基;アリル基;マレイミド基;炭素数1~6の直鎖状のアルキル基;炭素数2~6のアルケニル基を表す。
重合性化合物(2)の不飽和基Bは、メタクリレート基、アクリレート基、メタクリルアミド基とアクリルアミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基であることが好ましい。Bがこれらの不飽和基である場合、熱や活性エネルギー線照射によるラジカル重合が温和な条件下で容易に進行することができ、又、ラジカル重合可能な多種多様なモノマーと共重合することができ、目的に応じた様々な重合体や架橋性硬化物(ヒドロゲルを含む)を得ることができる。
重合性化合物(2)の不飽和基Bは、少なくとも1個以上はメタクリルアミド基又はアクリルアミド基であることがより好ましく、少なくとも1個以上はアクリルアミド基であることが最も好ましい。メタクリルアミド基とアクリルアミド基は重合性も親水性も高く、耐加水分解性に優れており、生体適合性がより期待できる。更に、アクリルアミド基は紫外線(UV)等の活性エネルギー線に対する感度(硬化性)が上記した不飽和基Bの中で最も高く、安全性が高い可視光線、LED光源を用いても、速やかに重合が進行することができ、未重合や未硬化のモノマーが殆ど残らないため、生体材料として好適に用いられ、医療や医薬分野への応用に好適である。
本発明の重合性化合物(3)は、下記一般式(7)で表されるホスホリルコリン基又はその類似基を有する多官能タイプモノマー(3)である。
Figure 2023026106000007
一般式(7)中、DとEはそれぞれ独立に、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、マレイミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基である。又、R11、R12とR13はそれぞれ独立に、炭素数1~24の直鎖状のアルキレン基ヒドロキシアルキレン基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数2~24の直鎖状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルケニル基;炭素数3~36の分岐状のアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルケニル基;炭素数3~36のヒドロキシル基で置換されてもよい、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素或いは脂環式エーテル基;炭素数6~24のヒドロキシル基で置換されてもよい、芳香族炭化水素を表す(但し、R11及び/又はR13は、存在しなくてもよい)。R14とR15はそれぞれ独立に、ビニル基;アリル基;マレイミド基;炭素数1~6の直鎖状のアルキル基;炭素数2~6のアルケニル基を表す。
重合性化合物(3)の不飽和基DとEは、それぞれ独立に、メタクリレート基、アクリレート基、メタクリルアミド基とアクリルアミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基であることが好ましい。不飽和基DとEがこれらの不飽和基である場合、熱や活性エネルギー線照射によるラジカル重合が温和な条件下で容易に進行することができ、更に、ラジカル重合可能な多種多様なモノマーと共重合することができ、目的に応じた様々な重合体や架橋性硬化物(ヒドロゲルを含む)を得ることができる。
又、重合性化合物(3)の不飽和基DとEのうち、少なくとも1個以上はメタクリルアミド基又はアクリルアミド基であることがより好ましく、少なくとも1個以上はアクリルアミド基であることが最も好ましい。メタクリルアミド基とアクリルアミド基は重合性も親水性も高く、耐加水分解性に優れており、生体適合性がより期待できる。更に、アクリルアミド基は紫外線(UV)等の活性エネルギー線に対する感度(硬化性)が上記した不飽和基DとEの中で最も高く、高安全性の可視光線やLED光源を用いても、速やかに重合が進行することができ、未反応や未硬化のモノマーが殆ど残らないため、生体材料として好適に用いることができ、医療や医薬分野への応用に好適である。
本発明の重合性化合物(4)は、下記一般式(8)で表されるホスホリルコリン類似基を有する多官能タイプモノマー(4)又は単官能タイプモノマー(5)である。
Figure 2023026106000008
一般式(8)中、Fは(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、マレイミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基1個を有するi価の有機基である。Fは、i個のリン酸エステル型アニオンとアンモニウム型カチオンから構成される両性イオン(ベタイン構造)と連結することにより、分子内に不飽和基1個以上と両性イオン2個以上を有する構造体が形成されている。又、R16は、i個の前記ベタイン構造に共有されていてもよい。iは2~10の整数である。R16とR17はそれぞれ独立に、炭素数1~24の直鎖状のアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数2~24の直鎖状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルケニル基;炭素数3~36の分岐状のアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルケニル基;炭素数3~36のヒドロキシル基で置換されてもよい、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素或いは脂環式エーテル基;炭素数6~24のヒドロキシル基で置換されてもよい、芳香族炭化水素を表す。R18、R19とR20はそれぞれ独立に、ビニル基;アリル基;マレイミド基;炭素数1~6の直鎖状のアルキル基;炭素数2~6のアルケニル基;炭素数6~24のヒドロキシル基で置換されてもよい、芳香族炭化水素を表す。又、R18、R19とR20がビニル基、アリル基、マレイミド基から選択されるいずれか1個以上の不飽和基である場合、重合性化合物(4)は多官能タイプモノマー(4)である。R18、R19とR20のいずれもが不飽和基を有さない場合、重合性化合物(4)は単官能タイプモノマー(5)である。
重合性化合物(4)の不飽和基Fは、メタクリレート基、アクリレート基、メタクリルアミド基とアクリルアミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基であることが好ましい。重合性化合物(4)がこれらの不飽和基を有する場合、熱や活性エネルギー線照射によるラジカル重合が温和な条件下で容易に進行することができ、更に、ラジカル重合可能な多種多様なモノマーと共重合することができ、目的に応じた様々な重合体や架橋性硬化物(ヒドロゲルを含む)を得ることができる。
又、重合性化合物(4)の不飽和基Fはメタクリルアミド基又はアクリルアミド基であることがより好ましく、アクリルアミド基であることが最も好ましい。メタクリルアミド基とアクリルアミド基は重合性も親水性も高く、耐加水分解性に優れており、生体適合性がより期待できる。更に、アクリルアミド基は紫外線(UV)等の活性エネルギー線に対する感度(硬化性)が上記した不飽和基Fの中で最も高く、高安全性の可視光線やLED光源を用いても、速やかに重合反応を進行することができ、未反応や未硬化のモノマーが殆ど残らないため、生体材料として好適に用いることができ、医療や医薬分野への応用に好適である。
本発明の重合性化合物(1)~(4)の製造方法は、下記二つの工程を含む。第一工程は、水酸基を有する化合物と2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキソホスホランを反応させ、ジオキサホスホラン基を有する化合物を合成する工程である。第二工程は、第三級アミノ基を有するアミン化合物を用いて、第一工程で得られるジオキサホスホラン基を有する化合物を開環させ、目的の重合性化合物(1)~(4)を合成する工程である。
第一工程の原料である水酸基を有する化合物が不飽和基を有するアルコールであり、かつ、第二工程の原料である第三級アミノ基を有するアミン化合物が分子内に第三級アミン基1個以上(m個、mは1~10の整数である。)を有するアミン化合物である場合、第一工程と第二工程の反応により重合性化合物(1)(多官能タイプモノマー(1))を製造することができる。なお、不飽和基を有するアルコールは、特に限定されないが、分子内に不飽和基1個以上と水酸基1個以上を有する化合物が好ましい。又、分子内に第三級アミノ基1個以上を有するアミン化合物は、分子内に不飽和基を有しても、有さなくてもよい。
第一工程の原料である水酸基を有する化合物が分子内に水酸基1個以上(n個、nは1~100の整数である。)を有するアルコール化合物であり、かつ、第二工程の原料である第三級アミノ基を有するアミン化合物が不飽和基を有するアミン化合物である場合、第一工程と第二工程の反応により重合性化合物(2)(多官能タイプモノマー(2))を製造することができる。なお、不飽和基を有するアミン化合物は、特に限定されないが、分子内に不飽和基1個以上と第三級アミノ基1個以上を有する化合物が好ましい。又、分子内に水酸基1個以上を有するアルコール化合物は、分子内に不飽和基を有しても、有さなくてもよい。
第一工程の原料である水酸基を有する化合物が分子内に不飽和基1個と水酸基1個を有するアルコールであり、かつ、第二工程の原料である第三級アミノ基を有するアミン化合物が分子内に第三級アミノ基1個と不飽和基1個以上を有するアミン化合物である場合、第一工程と第二工程の反応により重合性化合物(3)(多官能タイプモノマー(3))を製造することができる。なお、第一工程の水酸基を有する化合物の不飽和基と第二工程のアミン化合物の不飽和基は同一であっても、異なってもよい。又、第二工程のアミン化合物における置換基(R13~R15)が不飽和基を1個以上有する場合、3官能以上の不飽和基を有する多官能タイプモノマー(3-1)を製造することができ、置換基(R13~R15)が不飽和基を有さない場合、2官能の不飽和基を有する多官能タイプモノマー(3-2)を製造することができる。
第一工程の原料である水酸基を有する化合物が分子内に不飽和基1個と水酸基2個以上を有するアルコールであり、かつ、第二工程の原料である第三級アミノ基を有するアミン化合物が分子内に第三級アミノ基1個と不飽和基1個以上を有するアミン化合物である場合、第一工程と第二工程の反応により重合性化合物(4)(多官能タイプモノマー(4))を製造することができる。なお、アミン化合物における置換基(R18~R20)は同一又は異なる不飽和基を1個以上有する。
第一工程の原料である水酸基を有する化合物が分子内に不飽和基1個と水酸基2個を有するアルコールであり、かつ、第二工程の原料である第三級アミノ基を有するアミン化合物が分子内に第三級アミノ基1個以上を有し、不飽和基を有さないアミン化合物である場合、第一工程と第二工程の反応により重合性化合物(4)(単官能タイプモノマー(5))を製造することができる。
第一工程は、水酸基を有する化合物と2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキソホスホランを反応させ、ジオキサホスホラン基を有する化合物を合成する工程である。第一工程に用いる不飽和基を有するアルコールは、分子内に(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、マレイミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基1個以上及び水酸基1個以上を有することが特徴である。具体的に、不飽和基を有するアルコールの不飽和基は(メタ)アクリレート基である場合、不飽和基を有するアルコールとして、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリルプロピルアクリレート、(メタ)アクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、モノペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等が挙げあれる。
又、不飽和基を有するアルコールの不飽和基は(メタ)アクリルアミド基である場合、不飽和基を有するアルコールとして、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジ(2,3-ジヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
更に、不飽和基を有するアルコールの不飽和基はアリル基、ビニル基或いはマレイミド基である場合、不飽和基を有するアルコールとして、エチレングリコールモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ネオペンチルグリコールモノアリルエーテル、ソルビトールトリアリルエーテル、2-(1-ヒドロキシアリル)フェノール、4-アリル-1,2-ジヒドロキシベンゼン、4-アリル-1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,5-ジヒドロキシ-2-プロピル-6-アリルアントラキノン、アリルアルコール、p-アリルフェノール、4-ビニルフェノール、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、N-(2-ヒドロキシエチル)マレイミド、3-ヒドロキシフェニルマレイミド、4-ヒドロキシフェニルマレイミド等が挙げられる。
前記の各種不飽和基を有するアルコールは、任意の1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。又、安価な工業品を容易に調達できる観点と重合性や硬化性が高い観点から、不飽和基としてメタクリレート基、アクリレート基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基のいずれか1個以上を有すること好ましい。耐加水分解性が優れ、低皮膚刺激性と低臭気の観点から、不飽和基としてメタクリルアミド基及び/又はアクリルアミド基を有することがより好ましい。これらの不飽和基を有するアルコールの中でも、N-ヒドロキシエチルアクリルアミドとN-ヒドロキシエチルメタクリルアミドは、皮膚刺激の代表値(P.I.I.値)がいずれも0.0であり、経口毒性もいずれも>2000mg/Kg(ラット)と安全性が高いため、特に好ましい。
前記の第一工程に用いる分子内に水酸基1個以上を有するアルコール化合物は、分子内に一級又は二級の水酸基1個以上を有する化合物である。具体的には、分子内に水酸基1~100個(nは1~100の整数を表す。)を有することが好ましい。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロパノール、t-ブチルアルコール、9-デセン-1-オール、1-オクタコサノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル、4-ジメチルアミノ-1-ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の分子内に一級又は二級の水酸基1個を有する単官能アルコール化合物、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,3-アダマンタンジオール、アダマンタンジメタノール、2-ヒドロキシベンジルアルコール、2-(2-ヒドロキシエチル)フェノール、ステアリルジエタノールアミン、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソソルビド、シクロヘキサンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジオール、ノルボルネンジメタノール、ノルボルネンジオール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、スピログリコール、ジオキサングリコール、1,4:3,6-ジアンヒドロソルビトール、1,4:3,6-ジアンヒドロアンニトール、1,4:3,6-ジアンヒドロイジトール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添テルペンジフェノール及びこれらのEO、PO、カプロラクトン変性物などの脂環状骨格を有するジオール等の分子内に一級又は二級の水酸基2個を有する二官能アルコール化合物、グリセリン、ブタントリオール、1,3,5-シクロヘキサントリオール、1,3,5-アダマンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、1,2,9-ノナントリオール、1,2,7-ヘプタントリオール、ペンタエリトリトール、エリスリトール、1,1,3,3-プロパンテトラオール、ソルビタン、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、スクロース、エストリオール、ペイミン、カルシトリオール、ポリグリセリン等の分子内に一級又は二級の水酸基3個以上を有する多官能アルコール化合物が挙げられる。これらのアルコール化合物は1種又は2種以上を含有することも可能である。
前記の分子内に水酸基1個以上を有するアルコール化合物は、分子内に一級又は二級の水酸基2個以上と繰り返す単位(骨格)を有するポリオール化合物でもよい。具体的には、ポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のエーテル骨格を有するポリエーテルポリオール、ポリ1,2-ブタジエンポリオール、水添1,2-ポリブタジエンポリオール、ポリ1,4-ブタジエンポリオール、水添1,4-ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水添ポリイソプレンポリオール等のオレフィン骨格を有するポリオレフィンポリオール、炭素数1~12の直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素又は芳香環骨格又は複素環骨格を有するポリオールと炭酸ジエステルからなるカーボンネート骨格を有するポリカーボネートポリオール、脂肪族、芳香族カルボン酸と各種グリコールからなる炭素数1~12の直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素又は芳香環又は複素環のエステル骨格有するポリエステルポリオール、シリコーン骨格に水酸基を導入したポリシリコーンポリオール、水酸基含有(メタ)アクリロイルモノマーの単独重合及びそれと他の共重合可能のモノマーと共重合することで得られるアクリル骨格を有するポリアクリルポリオール等が挙げられる。又、前記各種ポリオールの分子量は300~10,000であることが好ましい。これらのポリオール化合物は1種又は2種以上を含有することも可能である。
第一工程に用いる水酸基を有する化合物は、前記の不飽和基を有するアルコール、単官能アルコール化合物、二官能アルコール化合物、多官能アルコール化合物、ポリオール化合物から選択される1種又は2種以上を併用することができる。
第一工程において、水酸基を有する化合物と2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキソホスホランの反応は、水酸基を有する化合物が有する水酸基と2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキソホスホランとが化学量論的に進行するため、水酸基と2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキソホスホランは1.0:1.0モル比の配合量で使用することができ、又、どちらかを過剰に用いることで反応の完結が促進されるため、好ましい。一般的に、水酸基を有する化合物の水酸基1モルに対して、2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキソホスホランは0.8~3.0倍モルの範囲で用いられる。又、前記範囲は、1.0~2.0倍モルの範囲が好ましく、1.05~1.5倍モルの範囲が特に好ましい。
第一工程において、反応の進行を促進するため、反応で発生する塩化水素を積極的に反応系内から除去することが好ましい。例えば、乾燥窒素やヘリウム等不活性ガスを反応系内に吹き込みながら反応を行うことや無機系や有機系アルカリを中和剤として反応系内に加えことが挙げられる。第一工程の反応に用いられる中和剤は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。無機系アルカリとしては、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム等を用いることができる。又、有機系アルカリを用いる場合、活性水素を有さない第三級アミンであることが好ましく、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、メチルジイソプロピルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルアリルアミン等を用いることができる。中和剤の使用量は2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキソホスホランの使用量に対して1.0~10.0倍モルであり、好ましくは1.2~5.0倍モルであり、より好ましくは1.5~3.0倍モルである。中和剤の使用量は1.0倍モル未満である場合、反応完結時に発生する塩化水素を全量に中和することができず、又、10倍モル超を用いる場合、中和に使用されてない中和剤が不純物として多くに含むこととなり、回収や分離する必要があり、好ましくない。更に、回収や分離しやすい観点から、中和剤としてトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、メチルジイソプロピルアミン等の低沸点第三級アミン用いることが特に好ましい。
第一工程において、必要に応じて非プロトン性溶媒を用いることができる。例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル、トルエン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド等が挙げられる。又、反応で発生する塩化水素を中和剤で中和してなる中和塩を反応溶液から析出させ、ろ過等により容易に反応系から除去できる観点から、反応溶媒はジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン等の非極性のものであることが好ましい。第一工程の反応に用いられる溶媒は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。又、反応溶媒の使用量は特に限定されないが、原料の溶解性、反応速度や溶媒回収の容易性等の観点から、反応原料(中和剤を含む)の合計質量に対して10~500%、好ましくは20~300%、より好ましくは50~200%である。
第一工程において、原料の仕込み(混合)と反応は、-30℃~80℃の温度で行うことができ、又、-20℃~60℃の温度で行うことが好ましく、-10℃~40℃の温度で行うことがより好ましい。温度が-30℃未満である場合、原料の種類によって反応液から原料が析出する可能性や反応速度が著しく低下する可能性があり、その結果、反応を完結するまでの所要時間が極めて長くなるため、好ましくない。又、温度が80℃を超えると、反応速度が速く、発生する反応熱により反応液の温度が更に高くなり、反応速度を制御し難くなり、副反応が多発し、高純度の目的生成物を高収率で取得することができなくなるため、好ましくない。反応時間は温度によって変動するが、一般的には0.1~48時間であり、又、0.2~24時間であることが好ましく、0.5~12時間であることがより好ましい。
第一工程において、原料、中和剤及び溶媒の混合方法は特に限定するものではないが、反応熱を発生するため、原料の混合は水酸基を有するアルコール中に、又は水酸基を有するアルコールと中和剤及び/又は溶媒との混合液中に、2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキソホスホランを連続的に滴下する或いは間歇的に加える方法が好ましい。又、混合温度は使用する原料の品種によって変動するが、反応速度を適宜に制御し、副反応を抑制するため、-30℃~30℃であることが好ましく、-20℃~10℃であることがより好ましく、-10℃~0℃であることが最も好ましい。第一工程の反応は原料の混合と同時に進行するため、原料の品種によって、混合終了後、直ちに中和塩をろ過したり、反応溶媒を回収したり、反応液の処理を行うことができる。又、反応を完結させるため、混合後、反応液の温度を上げ、残反応を行うことが好ましい。その際の反応温度は-20℃~80℃であり、0℃~60℃であることが好ましく、10℃~40℃であることがより好ましい。残反応の温度によって必要な反応時間は変動するが、好ましくは0.1~40時間であり、より好ましくは0.2~20時間であり、最も好ましくは0.5~10時間である。
第二工程は、第一工程で製造したジオキサホスホラン基を有する化合物を用いて、分子内に第三級アミノ基1個以上を有するアミン化合物と反応させ、ホスホリルコリン基類似基を有する重合性化合物(1)~(4)を合成する工程である。第一工程で得られたジオキサホスホラン基を有する化合物を含む反応液は、第一工程の反応後に精製せず、そのまま第二工程に用いることもできるが、中和塩をろ過等により除去、溶媒を蒸留により回収、分離等の精製を行うことが好ましい。第一工程で得られた反応液を精製することにより、純度80%以上のジオキサホスホラン基を有する化合物を取得することができる。高純度のジオキサホスホラン基を有する化合物を第二工程に用いて、第三級アミン化合物と反応させることにより高純度のホスホリルコリン基又はその類似基を有する多官能タイプモノマー(1)~(4)と単官能タイプモノマー(5)を製造することができる。なお、第一工程に用いた中和剤が、第二工程で使用する原料の第三級アミン化合物と同じである場合、第一工程で残存する未反応の第三級アミンは除去せず、ジオキサホスホラン基を有する化合物とともに第二工程に用いることができる。
第二工程に用いるアミン化合物は、分子内に第三級アミノ基1個以上を有するアミン化合物である。具体的には、分子内に第三級アミノ基m個(mは1~10の整数を表す。)を有することが好ましい。又、アミン化合物が有するm個の第三級アミノ基における置換基はそれぞれ独立に、同一であっても、異なってもよく、アミン化合物の分子内には不飽和基を有しても、有さなくてもよい。
第二工程に用いる不飽和基を有するアミン化合物は、分子内に(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、マレイミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基1個以上及び第三級アミノ基1個以上を有することが特徴である。具体的には、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノオクチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノオクチル(メタ)アクリレート、N,N-メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アリルアミン、ジエチル(メタ)アリルアミン、ジブチル(メタ)アリルアミン、ジ(メタ)アリルメチルアミン、ジ(メタ)アリルエチルアミン、ジ(メタ)アリルブチルアミン、トリ(メタ)アリルアミン、N,N-ジメチルビニルアミン、N,N-ジエチルビニルアミン、N,N-ジブチルビニルアミン、N,N-ジメチルビニルアミン、N,N-ジエチルビニルアミン、N,N-ジブチルビニルアミン、N,N-ジメチル-4-ビニルアニリン、N-[4-メチル-7-(ジメチルアミノ)クマリン-3-イル]マレインイミド、7-ジエチルアミノー3-(4-マレイミドフェニル)-4-メチルクマリン等が挙げられる。又、これらの不飽和基を有するアミン化合物は1種又は2種以上を併用することができる。
前記の不飽和基を有するアミン化合物は、安価な工業品を容易に調達できる観点と重合性や硬化性が高い観点から、不飽和基としてメタクリレート基、アクリレート基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基から選択されるいずれか1個以上を有することが好ましく、又耐加水分解性に優れる観点からメタクリルアミド基及び/又はアクリルアミド基を有することがより好ましい。中でも、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが特に好ましい。
前記第二工程に用いる分子内に第三級アミノ基1個以上を有するアミン化合物は、分子内に第三級アミノ基1個を有する単官能アミン化合物と第三級アミノ基2個以上を有する多官能アミン化合物である。単官能アミン化合物として、具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルエチルアミン、メチルジエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、N,N-ジメチルヘキシルアミン、N,N-ジメチルラウリルアミン、トリヘキシルアミン、トリ-n-オクチルアミン、トリノニルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジオクタデシルメチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチル-1-ナフチルアミン、N,N-ジエチル-1-ナフチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール等が挙げられる。これらの単官能アミン化合物は1種又は2種以上を含有することも可能である。
分子内に第三級アミノ基2個以上を有する多官能アミン化合物として、具体的には、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-ジアミノブタン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1,4-ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、ビス[2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル]エーテル、N,N,N’,N'',N''-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N'',N''-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N-メチル-N,N-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アミン、トリス[2-(ジメチルアミノ)エチル]アミン、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミ、N,N,N’,N'',N''-ペンタキス(2-ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が挙げられる。これらの多官能アミン化合物は1種又は2種以上を含有することも可能である。
前記の分子内に第三級アミノ基1個以上を有するアミン化合物は、第三級アミノ基2個以上と繰り返す単位(骨格)を有するポリアミン化合物でもよい。具体的には、N,N-ジエチルグリシジルアミン等のN,N-ジアルキルグリシジルアミン、N,N-ジベンジルグリシジルアミンによる慣用のポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリシリコーンポリオール、ポリアクリルポリオールのキャッピングにより得られるポリエーテルポリアミン、ポリオレフィンポリアミン、ポリカーボネートポリアミン、ポリエステルポリアミン、ポリシリコーンポリアミン、ポリアクリルポリアミン等が挙げられる。又、前記各種の不飽和基を有するアミン化合物が、単独重合若しくは他の共重合可能の不飽和基を有する化合物との共重合により得られるポリアミンが挙げられる。前記各種ポリアミンの分子量は300~10,000であることが好ましい。これらのポリアミン化合物は1種又は2種以上を含有することも可能である。
第二工程に用いる第三級アミノ基を有する化合物は、前記の不飽和基を有するアミン化合物、単官能アミン化合物、多官能アミン化合物、ポリアミンル化合物から選択される1種又は2種以上を併用することができる。
第二工程において、第一工程で得られるジオキサホスホラン基を有する化合物とアミン化合物の反応は、アミン化合物が有する第三級アミノ基がジオキサホスホラン基を有する化合物の環状構造(-1,3,2-ジオキソホスホラン)を開環させ、リン酸エステル型アニオンとアンモニウム型カチオンから構成される両性イオン(ホスホリルコリン基類似基)が形成されることを特徴とし、この反応はアミン化合物が有する第三級アミノ基とジオキサホスホラン基を有する化合物の環状構造とが化学量論的に進行するものであり、アミン化合物が有する第三級アミノ基の合計モル数とジオキサホスホラン基を有する化合物の環状構造の合計モル数は、1:1モル比の配合量で使用することができ、又、どちらかを過剰に用いることで反応の完結が促進されるため、好ましい。一般的に、ジオキサホスホラン基を有する化合物の環状構造1モルに対して、アミン化合物が有する第三級アミノ基は0.8~20.0倍モルの範囲で用いられる。又、前記範囲は1.0~10.0倍モルの範囲が好ましく、1.1~5.0倍モルの範囲が特に好ましい。
第二工程において、必要に応じて非プロトン性溶媒を用いることができる。例えば、第一工程と同様に、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル、トルエン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。又、原料であるアミン化合物等は極性の高いものが多いため、第二工程の反応溶媒はアセトン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等の極性溶媒が好ましい。第二工程の反応溶媒は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。反応溶媒の使用量は特に限定されないが、原料の溶解性、反応速度や溶媒回収の容易性等の観点から、反応原料の合計に対して10~5000質量%、好ましくは100~3000質量%、より好ましくは200~1000質量%である。なお、第一工程に用いた溶媒と第二工程で使用する溶媒が同じである場合、第一工程の反応終了後、溶媒を回収、分離等をせず、第一工程の生成物と共に第二工程に用いることができる。
第二工程において、反応は40~150℃の温度で行うことができる。又、反応温度は50~120℃の範囲内であることが好ましく、60~100℃の範囲内であることがより好ましい。反応温度が40℃未満である場合、原料の種類、反応液の濃度等によって反応速度が極めて低くなる恐れがあり、反応が完結しない可能性もあるため、好ましくない。反応温度が150℃を超えると、副反応や目的化合物であるホスホリルコリン基又はその類似基を有する重合性化合物(1)~(4)の重合トラブルが発生しやすくなるため、好ましくない。反応時間は反応温度によって変動するが、一般的には1~168時間であり、4~120時間であることが好ましく、8~72時間であることがより好ましい。
第二工程において、原料と溶媒を仕込む方法は特に限定するものではないが、反応速度がやや遅いため、全ての原料と溶媒(必要な場合)を反応容器に加え、加熱する方法が一般的である。又、低沸点の原料や溶媒を用いた場合、反応を促進するため、反応オ-トクレ-ブ等加圧可能な装置を用いる加圧下で実施することができる。
第二工程の反応終了後、反応液中の溶媒や未反応の原料を蒸留により回収、分離し、更に貧溶媒による洗浄、沈殿、結晶等の精製を行い、淡黄色液体や白色固体として目的の重合性化合物(1)~(4)を取得することができる。
前記の第一工程と第二工程の反応はラジカル重合禁止剤の存在下で行うことが好ましい。重合禁止剤としては公知の物が使用できるが、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert-ブチルハイドロキノン、2,6-ジ-tert-ブチルパラハイドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、2,4-ジメチル-6-tertブチルフェノ-ル、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノ-ル化合物、N-イソプロピル-N'-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、N-(1-メチルヘプチル)-N'-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、N,N'-ジフェニル-パラ-フェニレンジアミン、N,N'-ジ-2-ナフチル-パラ-フェニレンジアミン等のパラフェニレンジアミン類、チオジフェニルアミン等のアミン化合物、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、アセトアミドテトラメチルピペリジン-1-オキシル等のピペリジン-1-オキシルフリーラジカル化合物類等を例示することができる。これらの重合禁止剤は、1種又は2種以上を併用しても構わない。又、重合禁止剤の添加量は、第一工程及び/又は第二工程の反応液に含有される不飽和基を有するアルコール、不飽和基を有するアミン化合物、及び不飽和基を有する中間体の合計質量に対して1~10000ppm、好ましくは5~5000ppm、より好ましくは10~3000ppmである。
本発明の重合性化合物(1)~(4)の具体例を下記に示す。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
重合性化合物(1)(多官能タイプモノマー(1-1)~(1-24))
Figure 2023026106000009
多官能タイプモノマー(1-1)
Figure 2023026106000010
多官能タイプモノマー(1-2)
Figure 2023026106000011
多官能タイプモノマー(1-3)
Figure 2023026106000012
多官能タイプモノマー(1-4)
Figure 2023026106000013
多官能タイプモノマー(1-5)
Figure 2023026106000014
多官能タイプモノマー(1-6)
Figure 2023026106000015
多官能タイプモノマー(1-7)
Figure 2023026106000016
多官能タイプモノマー(1-8)
Figure 2023026106000017
多官能タイプモノマー(1-9)
Figure 2023026106000018
多官能タイプモノマー(1-10)
Figure 2023026106000019
多官能タイプモノマー(1-11)
Figure 2023026106000020
多官能タイプモノマー(1-12)
Figure 2023026106000021
多官能タイプモノマー(1-13)
Figure 2023026106000022
多官能タイプモノマー(1-14)
Figure 2023026106000023
多官能タイプモノマー(1-15)
Figure 2023026106000024
多官能タイプモノマー(1-16)
Figure 2023026106000025
多官能タイプモノマー(1-17)
Figure 2023026106000026
多官能タイプモノマー(1-18)
Figure 2023026106000027
多官能タイプモノマー(1-19)
Figure 2023026106000028
多官能タイプモノマー(1-20)
Figure 2023026106000029
多官能タイプモノマー(1-21)
Figure 2023026106000030
多官能タイプモノマー(1-22)
Figure 2023026106000031
多官能タイプモノマー(1-23)
Figure 2023026106000032
多官能タイプモノマー(1-24)
重合性化合物(2)(多官能タイプモノマー(2-1)~(2-14))
Figure 2023026106000033
多官能タイプモノマー(2-1)
Figure 2023026106000034
多官能タイプモノマー(2-2)
Figure 2023026106000035
多官能タイプモノマー(2-3)
Figure 2023026106000036
多官能タイプモノマー(2-4)
Figure 2023026106000037
多官能タイプモノマー(2-5)
Figure 2023026106000038
多官能タイプモノマー(2-6)
Figure 2023026106000039
多官能タイプモノマー(2-7)
Figure 2023026106000040
多官能タイプモノマー(2-8)
Figure 2023026106000041
多官能タイプモノマー(2-9)
Figure 2023026106000042
多官能タイプモノマー(2-10)

Figure 2023026106000043
多官能タイプモノマー(2-11)
Figure 2023026106000044
多官能タイプモノマー(2-12)
Figure 2023026106000045
多官能タイプモノマー(2-13)
Figure 2023026106000046
多官能タイプモノマー(2-14)
重合性化合物(3)(多官能タイプモノマー(3-1)~(3-10))
Figure 2023026106000047
多官能タイプモノマー(3-1)
Figure 2023026106000048
多官能タイプモノマー(3-2)
Figure 2023026106000049
多官能タイプモノマー(3-3)
Figure 2023026106000050
多官能タイプモノマー(3-4)
Figure 2023026106000051
多官能タイプモノマー(3-5)
Figure 2023026106000052
多官能タイプモノマー(3-6)

Figure 2023026106000053
多官能タイプモノマー(3-7
Figure 2023026106000054
多官能タイプモノマー(3-8)
Figure 2023026106000055
多官能タイプモノマー(3-9)
Figure 2023026106000056
多官能タイプモノマー(3-10)
重合性化合物(4)(多官能タイプモノマー4-1~4-7)
Figure 2023026106000057
多官能タイプモノマー(4-1)
Figure 2023026106000058
多官能タイプモノマー(4-2)
Figure 2023026106000059
多官能タイプモノマー(4-3)
Figure 2023026106000060
多官能タイプモノマー(4-4)
Figure 2023026106000061
多官能タイプモノマー(4-5)
Figure 2023026106000062
多官能タイプモノマー(4-6)
Figure 2023026106000063
多官能タイプモノマー(4-7)
重合性化合物(4)(単官能タイプ(5-1)~(5-5))
Figure 2023026106000064
単官能タイプモノマー(5-1)
Figure 2023026106000065
単官能タイプモノマー(5-2)
Figure 2023026106000066
単官能タイプモノマー(5-3)
Figure 2023026106000067
単官能タイプモノマー(5-4)

Figure 2023026106000068
単官能タイプモノマー(5-5)
以下、本発明を合成実施例と評価実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定するものではない。なお、特記しない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<分析装置>
ESI-MS:トリプル四重極 LC-MS(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製TSQ QUANTUM ACCESS MAX)
FI-IR分光光度計:Nicolet iS50(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)
GPC:Prominence-I LC-2030C(島津製作所株式会社製)
実施例、参考例及び比較例に用いる水酸基を有する化合物(a)、COP、中和剤(b)、第三級アミノ基を有するアミン化合物(c)、溶媒(d)及び重合禁止剤(e)は以下の通りである。
(1)水酸基を有する化合物(a)
(a-1)不飽和基を有するアルコール化合物
a-1-1:N-ヒドロキシエチルアクリルアミド(KJケミカルズ株式会社の登録商標「HEAA」、「Kohshylmer」)
a-1-2:2-ヒドロキシエチルアクリレート
a-1-3:4-ヒドロキシブチルアクリレート
a-1-4:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
a-1-5:N-ヒドロキシイソプロピルメタクリルアミド
a-1-6:N-ヒドロキシエチルメタクリルアミド
a-1-7:1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート
a-1-8:2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート
a-1-9:エチレングリコールモノアリルエーテル
a-1-10:N-(2-ヒドロキシエチル)マレイミド
a-1-11:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
a-1-12:N-メチル-N-ヒドロキシエチルアクリルアミド
a-1-13:グリセリンジアクリレート
a-1-14:モノペンタエリスリトールアクリレート
a-1-15:エチレングリコールモノビニルエーテル
a-1-16:アリルアルコール
a-1-17:p-アリルフェノール
a-1-18:ジヒドロキシエチルアクリルアミド
a-1-19:ジヒドロキシイソプロピルアクリルアミド
a-1-20:ジヒドロキシイソプロピルメタクリルアミド
a-1-21:アクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル
a-1-22:メタクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル
a-1-23:ジ(2,3-ジヒドロキシプロピル)アクリルアミド
a-1-24:ジ(2,3-ジヒドロキシプロピル)メタクリルアミド
a-1-25:4-アリル-1,2-ジヒドロキシベンゼン
a-1-26:4-アリル-1,3-ジヒドロキシベンゼン
a-1-27:グリセリンモノメタクリレート
(a-2)不飽和基を有しないアルコール化合物
a-2-1:イソプロピルアルコール
a-2-2:ジエチレングリコールモノメチルエーテル
a-2-3:1,3-ブチレングリコール
a-2-4:トリエチレングリコール
a-2-5:2-(2-ヒドロキシエチル)フェノール
a-2-6:1,4-シクロヘキサンジメタノール
a-2-7:ジエチレングリコール
a-2-8:イソソルビド
a-2-9:ジオキサングリコール
a-2-10:グリセリン
a-2-11:ペンタエリトリトール
a-2-12:1,3,5-シクロヘキサントリオール
a-2-13:1,1,3,3-プロパンテトラオール
a-2-14:トリメチロールエタン
(2)COP:2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホラン
(3)中和剤(b)
b-1:炭酸カリウム
b-2:炭酸水素ナトリウム
b-3:水酸化ナトリウム
b-4:トリエチルアミン
b-5:N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン
b-6:N,N-ジエチルアリルアミン
(4)第三級アミノ基を有するアミン化合物(c)
(c-1)不飽和基と第三級アミノ基を有するアミン化合物
c-1-1:N,N-ジエチルアリルアミン
c-1-2:N,N-ジアリルメチルアミン
c-1-3:N,N-ジアリルエチルアミン
c-1-4:N,N-ジアリルブチルアミン
c-1-5:N,N-ジメチルアリルアミン
c-1-6:トリアリルアミン
c-1-7:N,N-ジメチルビニルアミン
c-1-8:N,N-ジメチル-4-ビニルアニリン
c-1-9:ジメチルアミノエチルアクリレート(KJケミカルズ株式会社の登録商標「DMAEA」、「Kohshylmer」)
c-1-10:ジメチルアミノエチルメタクリレート
c-1-11:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(KJケミカルズ株式会社の登録商標「DMAPAA」、「Kohshylmer」)
c-1-12:ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド
c-1-13:N-[4-メチル-7-(ジメチルアミノ)クマリン-3-イル]マレインイミド
(c-2)不飽和基を有さず、第三級アミノ基を有するアミン化合物
c-2-1:トリメチルアミン
c-2-2:トリエチルアミン
c-2-3:N,N-ジメチルヘキシルアミン
c-2-4:N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン
c-2-5:N,N,N’,N’-テトラエチルエチレンジアミン
c-2-6:N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ジアミノプロパン
c-2-7:N,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-ジアミノブタン
c-2-8:N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン
c-2-9:トリエチレンジアミン
c-2-10:1,4-ジメチルピペラジン
c-2-11:N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン
c-2-12:2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール
c-2-13:トリス[2-(ジメチルアミノ)エチル]アミン
c-2-14:1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン
(5)溶媒(d)
d-1:テトラヒドロフラン
d-2:ジイソピロピルエーテル
d-3:アセトン
d-4:メチルエチルケトン
d-5:酢酸エチル
d-6:クロロホルム
d-7:アセトニトリル
d-8:N,N-ジメチルホルムアミド
d-9:ジメチルアセトアミド
d-10:メチルホルムアミド
d-11:N-メチル-2-ピロリドン
d-12:3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド(KJケミカルズ株式会社の登録商標「KJCMPA」)
(6)重合禁止剤(e)
e-1:チオジフェニルアミン
e-2:ハイドロキノン
e-3:ハイドロキノンモノメチルエーテル
e-4:2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル
e-5:4-tert-ブチルカテコ-ル
e-6:ジブチルヒドロキシトルエン
e-7:スチリル化-N-アミノビフェニ-ル
e-8:4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-m-クレゾ-ル)
<実施例1> 多官能タイプモノマー(1-1)の合成
(第一工程)攪拌機、温度計、滴下ロートと窒素導入管を備えた500mLの四つ口フラスコに、ヒドロキシエチルアクリルアミド(a-1-1)34.5g(300mmol)、トリエチルアミン(b-4)33.4g(330mmol、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(e-3)34mg、溶媒としてテトラヒドロフラン(d-1)170gを加え、乾燥窒素を吹き込みながら、混合液を撹拌し、-20℃に冷却した。滴下ロートから2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホラン(COP)41.1g(330mmol)と溶媒(d-1)60gの混合液をフラスコにゆっくり滴下し、反応を行った。なお、滴下中、フラスコ中の反応液の温度を-20℃に維持し、反応液を撹拌し続け、反応の進行に伴い、トリエチルアミン塩酸塩が白い沈殿物として析出した。滴下終了後、反応液の温度を徐々に20℃に昇温し、更に20℃で4時間撹拌を続けた。反応終了後、沈殿物を濾別し、ろ液を減圧濃縮して、溶媒(d-1)を回収し、無色液体のジオキサホスホラン基を有する化合物(中間体1)66.4gを得た。ガスクロマトグラフィー(GC)分析により該中間体の純度は98%であり、収率は96%と算出された。
(第二工程)攪拌機、温度計とコンデンサーを付けた1000mLの四つ口フラスコに第一工程で得られた中間体1 65.0g(287mmol)、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(c-2-4)15.9g(137mmol)、溶媒としてアセトニトリル(d-7)405g、重合禁止剤としてチオジフェニルアミン(e-1)32mgを加え、82℃で還流させながら反応液を120時間撹拌し続けた。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、溶媒(d-7)を回収した。残った反応液にアセトンとジイソプロピレンエーテルの混合液(1/1質量比)500mLを加え、30分撹拌により洗浄を行い、その後静置し、二層分離した液体の上澄みをデカンテーションにより除去した。洗浄作業を更に2回行った後、温度を40℃に昇温し、減圧下で揮発成分を除去し、温度を室温に戻し、圧力を常圧に戻し、淡黄色液体状の生成物65gを得た。液体クロマトグラフィー(LC)分析により生成物の純度は96%であり、収率は80%であった。又、下記とおり、エレクトロスプレーイオン化質量分析装置(ESI-MS)と赤外吸収スペクトル(IR)の解析により該生成物は目的の多官能タイプモノマー(1-1)であることを確認した。
ESI-MS:m/z=560[M+H]、582[M+Na]
IR:1658cm-1(CONHのC=O)、1625cm-1(CH=CH-のC=C)、1230cm-1(O-P=OのP-O)、1050-1080cm(P-O-CのC-O)
<実施例2~27> 多官能タイプモノマー(1-2)~(1-27)の合成
実施例1において、第一工程の原料である水酸基を有する化合物を表1に示すアルコールに変更し、第二工程の原料である第三級アミノ基を有するアミン化合物を表2に示すアミン化合物に変更し、第一工程と第二工程に用いられる溶媒、重合禁止剤等及び各工程の反応条件を表1と2に示すとおりに変更し、実施例1と同様に第一工程と第二工程の反応を行い、それぞれの生成物の同定はESI-MSとIR分析により行った。各工程の反応収率を表1と2に示す。実施例16と17の第二工程の反応は、耐圧容器を用い、全ての原料、中間体を加えた後、耐圧容器を密閉して、所定温度で磁気スターラーにより所定時間の撹拌を実施した。なお、第一工程反応後に生成する中間体を精製せず、第二工程に用いることができる。又、反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留により回収、再使用することができる。更に、目的化合物の状態、溶解性などの物性に応じて、中和、洗浄、抽出、再結晶、イオン交換樹脂処理、クロマトグラフィーなどの公知方法により精製を行うことができる。
Figure 2023026106000069
Figure 2023026106000070
<実施例28> 多官能タイプモノマー(2-1)の合成
(第一工程)攪拌機、温度計、滴下ロートと窒素導入管を備えた500mLの四つ口フラスコに、イソプロパノール(a-2-1)18.0g(300mmol)、トリエチルアミン(b-4)30.3g(300mmol)、溶媒としてメチルエチルケトン(d-4)220gを加え、乾燥窒素を吹き込みながら、混合液を撹拌し、-30℃に冷却した。滴下ロートから2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホラン(COP)30.1g(240mmol)と溶媒(d-4)35gの混合液をフラスコにゆっくり滴下し、反応を行った。なお、滴下中、フラスコ中の反応液の温度を-30℃に維持し、反応液を撹拌し続け、反応の進行に伴い、トリエチルアミン塩酸塩が白い沈殿物として析出した。滴下終了後、反応液の温度を徐々に10℃に昇温し、更に10℃で5時間撹拌を続けた。反応終了後、沈殿物を濾別し、ろ液を減圧濃縮して、溶媒(d-4)と残りの原料(a-2-1)を回収し、無色液体のジオキサホスホラン基を有する化合物(中間体28)41.6gを得た。GC分析により該中間体の純度は98%であり、収率は94%と算出された。
(第二工程)攪拌機、温度計とコンデンサーを付けた1000mLの四つ口フラスコに第一工程で得られた中間体28 41.6g(255mmol)、N,N-ジアリルメチルアミン(c-1-2)85.2g(766mmol)、溶媒としてアセトニトリル(d-7)254g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(e-3)85mgを加え82℃で還流させながら反応液を36時間撹拌し続けた。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、溶媒(d-7)を回収した。残った反応液にアセトンとジイソプロピレンエーテルの混合液(1/1質量比)500mLを加え、30分撹拌により洗浄を行い、その後静置し、二層分離した液体の上澄みをデカンテーションにより除去した。洗浄作業を更に2回行った後、温度を40℃に昇温し、減圧下で揮発成分を除去し、温度を室温に戻し、圧力を常圧に戻し、淡黄色液体状の生成物57.6gを得た。LC分析により生成物の純度は96%であり、収率は86%であった。又、下記のとおり、エレクトロスプレーイオン化質量分析装置(ESI-MS)と赤外吸収スペクトル(IR)の解析により該生成物は目的の多官能タイプモノマー(2-1)であることを確認した。
ESI-MS:m/z=236[M+H]、258[M+Na]
IR:2955cm-1(CH-のC-H)、1635cm-1(CH=CH-CH-のC=C)、1230cm-1(O-P=OのP-O)、1050-1080cm(P-O-CのC-O)
<実施例29~45> 多官能タイプモノマー(2-2)~(2-18)の合成
実施例28において、第一工程の原料である水酸基を有する化合物を表3に示すアルコールに変更し、第二工程の原料である第三級アミノ基を有するアミン化合物を表4に示すアミン化合物に変更し、第一工程と第二工程に用いられる溶媒、重合禁止剤等及び各工程の反応条件を表3と4に示すとおりに変更し、実施例28と同様に第一工程と第二工程の反応を行い、それぞれの生成物の同定はESI-MSとIR分析により行った。各工程の反応収率を表3と4に示す。実施例35と43の第二工程の反応は、耐圧容器を用い、全ての原料、中間体を加えた後、耐圧容器を密閉して、所定温度で磁気スターラーにより所定時間の撹拌を実施した。なお、第一工程反応後に生成する中間体を精製せず、第二工程に用いることができる。又、反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留により回収、再使用することができる。更に、目的化合物の状態、溶解性などの物性に応じて、中和、洗浄、抽出、再結晶、イオン交換樹脂処理、クロマトグラフィーなどの公知方法により精製を行うことができる。
Figure 2023026106000071
Figure 2023026106000072
<実施例46> 多官能タイプモノマー(3-1)の合成
(第一工程)攪拌機、温度計、滴下ロートと窒素導入管を備えた500mLの四つ口フラスコに、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド(a-1-1)34.8g(300mmol)、トリエチルアミン(b-4)33.3g(330mmol)、溶媒としてテトラヒドロフラン(d-1)200g、重合禁止剤としてハイドロキノン(e-2)70mgを加え、乾燥窒素を吹き込みながら、混合液を撹拌し、-20℃に冷却した。滴下ロートから2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホラン(COP)39.5g(315mmol)と溶媒(d-1)47gの混合液をフラスコにゆっくり滴下し、反応を行った。なお、滴下中、フラスコ中の反応液の温度を-20℃に維持し、反応液を撹拌し続け、反応の進行に伴い、トリエチルアミン塩酸塩が白い沈殿物として析出した。滴下終了後、反応液の温度を徐々に40℃に昇温し、更に40℃で2時間撹拌を続けた。反応終了後、沈殿物を濾別し、ろ液を減圧濃縮して、溶媒(d-1)を回収し、無色液体のジオキサホスホラン基を有する化合物(中間体46)65.3gを得た。GC分析により該中間体の純度は98%であり、収率は96%と算出された。
(第二工程)攪拌機、温度計とコンデンサーを付けた1000mLの四つ口フラスコに第一工程で得られた中間体46 60g(275mmol)、ジメチルアミノエチルアクリレート(c-1-9)78.8g(550mmol)、溶媒としてアセトニトリル(d-7)278gを加え82℃で還流させながら反応液を80時間撹拌し続けた。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、溶媒(d-7)を回収した。残った反応液にアセトンとジイソプロピレンエーテルの混合液(1/1質量比)500mLを加え、30分撹拌により洗浄を行い、その後静置し、二層分離した液体の上澄みをデカンテーションにより除去した。洗浄作業を更に2回行った後、温度を40℃に昇温し、減圧下で揮発成分を除去し、温度を室温に戻し、圧力を常圧に戻し、淡黄色液体状の生成物89.1gを得た。LC分析により生成物の純度は97%であり、収率は86%であった。又、下記とおり、エレクトロスプレーイオン化質量分析装置(ESI-MS)と赤外吸収スペクトル(IR)の解析により該生成物は目的の多官能タイプモノマー(3-1)であることを確認した。
ESI-MS:m/z=365[M+H]、387[M+Na]
IR:1750cm-1(COOのC=O)、1655cm-1(CONHのC=O)、1625cm-1(CH=CH-CH-のC=C)、1230cm-1(O-P=OのP-O)、1050-1080cm(P-O-CのC-O)
<実施例47~67> 多官能タイプモノマー(3-2)~(3-22)の合成
実施例46において、第一工程の原料である水酸基を有する化合物を表5に示すアルコールに変更し、第二工程の原料である第三級アミノ基を有するアミン化合物を表6に示すアミン化合物に変更し、第一工程と第二工程に用いられる溶媒、重合禁止剤等及び各工程の反応条件を表5と6に示すとおりに変更し、実施例46と同様に第一工程と第二工程の反応を行い、それぞれの生成物の同定はESI-MSとIR分析により行った。各工程の反応収率を表5と6に示す。実施例55と63の第二工程の反応は、耐圧容器を用い、全ての原料、中間体を加えた後、耐圧容器を密閉して、所定温度で磁気スターラーにより所定時間の撹拌を実施した。なお、第一工程反応後に生成する中間体を精製せず、第二工程に用いることができる。又、反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留により回収、再使用することができる。更に、目的化合物の状態、溶解性などの物性に応じて、中和、洗浄、抽出、再結晶、イオン交換樹脂処理、クロマトグラフィーなどの公知方法により精製を行うことができる。
Figure 2023026106000073
Figure 2023026106000074
<実施例68> 多官能タイプモノマー(4-1)の合成
(第一工程)攪拌機、温度計、滴下ロートと空気導入管を備えた500mLの四つ口フラスコに、アクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル(a-1-21)14.6g(100mmol)、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(b-5)25.6g(220mmol)、溶媒としてテトラヒドロフラン(d-1)150g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(e-3)14.6mgを加え、乾燥空気を吹き込みながら、混合液を撹拌し、-25℃に冷却した。滴下ロートから2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホラン(COP)31.4g(220mmol)と溶媒(d-1)29gの混合液をフラスコにゆっくり滴下し、反応を行った。なお、滴下中、フラスコ中の反応液の温度を-25℃に維持し、反応液を撹拌し続け、反応の進行に伴い、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン塩酸塩が白い沈殿物として析出した。滴下終了後、反応液の温度を徐々に35℃に昇温し、更に35℃で8時間撹拌を続けた。反応終了後、沈殿物を濾別し、ろ液を減圧濃縮して、溶媒(d-1)を回収し、無色液体のジオキサホスホラン基を有する化合物(中間体68)35.2gを得た。GC分析により該中間体の純度は96%であり、収率は94%と算出された。
(第二工程)攪拌機、温度計とコンデンサーを付けた1000mLの四つ口フラスコに第一工程で得られた中間体68 35g(95.6mmol)、N,N-ジアリルメチルアミン(c-1-2)43.4g(390mmol)、溶媒としてアセトニトリル(d-7)392gを加え82℃で還流させながら反応液を160時間撹拌し続けた。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、溶媒(d-7)を回収した。残った反応液にアセトンとジイソプロピレンエーテルの混合液(1/1質量比)500mLを加え、30分撹拌により洗浄を行い、その後静置し、二層分離した液体の上澄みをデカンテーションにより除去した。洗浄作業を更に2回行った後、温度を40℃に昇温し、減圧下で揮発成分を除去し、温度を室温に戻し、圧力を常圧に戻し、淡黄色液体状の生成物50.6gを得た。LC分析により生成物の純度は94%であり、収率は84%であった。又、下記とおり、エレクトロスプレーイオン化質量分析装置(ESI-MS)と赤外吸収スペクトル(IR)の解析により該生成物は目的の多官能タイプモノマー(4-1)であることを確認した。
ESI-MS:m/z=582[M+H]、604[M+Na]
IR:1750cm-1(COOのC=O)、1635cm-1(CH=CH-CH-のC=C)、1620cm-1(CH=CH-CH-のC=C)、1230cm-1(O-P=OのP-O)、1050-1080cm(P-O-CのC-O)
<実施例69~81> 多官能タイプモノマー(4-2)~(4-13)の合成
実施例68において、第一工程の原料である水酸基を有する化合物を表7に示すアルコールに変更し、第二工程の原料である第三級アミノ基を有するアミン化合物を表8に示すアミン化合物に変更し、第一工程と第二工程に用いられる溶媒、重合禁止剤等及び各工程の反応条件を表7と8に示すとおりに変更し、実施例68と同様に第一工程と第二工程の反応を行い、それぞれの生成物の同定はESI-MSとIR分析により行った。各工程の反応収率を表7と8に示す。実施例69と70の第二工程の反応は、耐圧容器を用い、全ての原料、中間体を加えた後、耐圧容器を密閉して、所定温度で磁気スターラーにより所定時間の撹拌を実施した。なお、第一工程反応後に生成する中間体を精製せず、第二工程に用いることができる。又、反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留により回収、再使用することができる。更に、目的化合物の状態、溶解性などの物性に応じて、中和、洗浄、抽出、再結晶、イオン交換樹脂処理、クロマトグラフィーなどの公知方法により精製を行うことができる。
Figure 2023026106000075
Figure 2023026106000076
<実施例82> 単官能タイプモノマー(5-1)の合成
(第一工程)攪拌機、温度計、滴下ロートと窒素導入管を備えた1000mLの四つ口フラスコに、グリセリンモノメタクリレート(a-1-27)32.0g(200mmol)、トリエチルアミン(b-4)60.7g(600mmol)、溶媒としてテトラヒドロフラン(d-1)250g、重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン(e-6)32mgを加え、乾燥窒素を吹き込みながら、混合液を撹拌し、-20℃に冷却した。滴下ロートから2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホラン(COP)68.6g(480mmol)と溶媒(d-1)73gの混合液をフラスコにゆっくり滴下し、反応を行った。なお、滴下中、フラスコ中の反応液の温度を-20℃に維持し、反応液を撹拌し続け、反応の進行に伴い、トリエチルアミン塩酸塩が白い沈殿物として析出した。滴下終了後、反応液の温度を徐々に35℃に昇温し、更に35℃で12時間撹拌を続けた。反応終了後、沈殿物を濾別し、ろ液を減圧濃縮して、溶媒(d-1)を回収し、無色液体のジオキサホスホラン基を有する化合物(中間体82)72.2gを得た。GC分析により該中間体の純度は95%であり、収率は92%と算出された。
(第二工程)攪拌機、温度センサーを付けた1000mLのガラス製耐圧容器(オートクレーブ)に第一工程で得られた中間体82 72g(193mmol)、液体トリメチルアミン(c-2-1)228g(3860mmol)、溶媒としてアセトニトリル(d-7)300gを加え、容器を密閉し、90℃のオイルバスで加熱し、反応液を24時間撹拌し続けた。反応終了後、常圧に戻し、反応液を減圧濃縮し、溶媒(d-7)を回収した。残った反応液にアセトン500mLを加え、30分撹拌し、-20℃の冷蔵庫で10時間を静置し、白色沈殿物の析出を確認した。沈殿物を吸引ろ過により分離し、-20℃のアセトンで2回を洗浄し、別の容器に移して常温で真空乾燥を行い、極めて吸湿性の高い白色粉末79.3gを得た。LC分析により生成物の純度は98%であり、収率は82%であった。又、下記とおり、エレクトロスプレーイオン化質量分析装置(ESI-MS)と赤外吸収スペクトル(IR)の解析により該生成物は目的の単官能タイプモノマー(5-1)であることを確認した。
ESI-MS:m/z=492[M+H]、514[M+Na]
IR:1750cm-1(COOのC=O)、1620cm-1(CH=CH-CH-のC=C)、1230cm-1(O-P=OのP-O)、1050-1080cm(P-O-CのC-O)
<実施例82~96> 単官能タイプモノマー(5-2)~(5-15)の合成
実施例82において、第一工程の原料である水酸基を有する化合物を表9に示すアルコールに変更し、第二工程の原料である第三級アミノ基を有するアミン化合物を表10に示すアミン化合物に変更し、第一工程と第二工程に用いられる溶媒、重合禁止剤等及び各工程の反応条件を表9と10に示すとおりに変更し、実施例82と同様に第一工程と第二工程の反応を行い、それぞれの生成物の同定はESI-MSとIR分析により行った。各工程の反応収率を表9と10に示す。なお、第一工程反応後に生成する中間体を精製せず、第二工程に用いることができる。又、反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留により回収、再使用することができる。更に、目的化合物の状態、溶解性などの物性に応じて、中和、洗浄、抽出、再結晶、イオン交換樹脂処理、クロマトグラフィーなどの公知方法により精製を行うことができる。
Figure 2023026106000077
Figure 2023026106000078
以上説明してきたように、本発明の化合物は、分子内に不飽和基とホスホリルコリン基及び/又はホスホリルコリン類似基を有する重合性化合物であり、生体適合性に優れ、熱や活性エネルギー線に対する重合性や硬化性が高い特徴を有する。また、分子内に不飽和基2個以上を有する多官能タイプモノマーは架橋剤としても用いることができ、分子内に不飽和基1個とホスホリルコリン基及び/又はホスホリルコリン類似基2個以上を有する単官能タイプモノマーは高い生体適合性を提供することができる。これらの化合物は、血液適合性、補体非活性化、生体物質非吸着性等の生体適合性に優れ、又保湿性、防汚性、抗菌性が高く、人工血管、人工臓器、人工関節、人工軟骨組織等の医療材料、医療用具、医療機器等の医療用デバイスや培養薬、外用薬、化粧品、コンタクトレンズ用の生体適合性材料の原料として、極めて多様な分野において好適に使用することができる。

Claims (11)

  1. 分子内に不飽和基2個以上と、ホスホリルコリン基及び/又はホスホリルコリン類似基1個以上を有する重合性化合物。
  2. 分子内に不飽和基1個と、ホスホリルコリン基及び/又はホスホリルコリン類似基2個以上を有する重合性化合物。
  3. 一般式(1)で示される請求項1に記載の重合性化合物。
    Figure 2023026106000079
    (式中、R、RとRはそれぞれ独立に、炭素数1~24の直鎖状のアルキレン基或いはヒドロキシアルキレン基;炭素数2~24の直鎖状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルキレン基、或いはヒドロキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36のヒドロキシル基で置換されてもよい、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素或いは脂環式エーテル基;炭素数6~24のヒドロキシル基で置換されてもよい、芳香族炭化水素を表す(但し、Rは、存在しなくてもよい。)。RとRはそれぞれ独立に、ビニル基;アリル基;マレイミド基;炭素数1~6の直鎖状のアルキル基;炭素数2~6のアルケニル基を表す。Aは(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、マレイミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基である。mは1~10の整数であり、Yはm価の連結基を表す。)
  4. 一般式(2)で示される請求項1に記載の重合性化合物。
    Figure 2023026106000080
    (式中、R、RとRはそれぞれ独立に、炭素数1~24の直鎖状のアルキレン基或いはヒドロキシアルキレン基;炭素数2~24の直鎖状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルキレン基、或いはヒドロキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36のヒドロキシル基で置換されてもよい、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素或いは脂環式エーテル基;炭素数6~24のヒドロキシル基で置換されてもよい、芳香族炭化水素を表す(但し、Rは、存在しなくてもよい)。RとR10はそれぞれ独立に、ビニル基;アリル基;マレイミド基;炭素数1~6の直鎖状のアルキル基;炭素数2~6のアルケニル基を表す。Bは(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、マレイミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基である。nは1~100の整数であり、Zはn価の連結基を表す。)
  5. 一般式(3)で示される請求項1記載の重合性化合物。
    Figure 2023026106000081
    (式中、R11、R12とR13はそれぞれ独立に、炭素数1~24の直鎖状のアルキレン基或いはヒドロキシアルキレン基;炭素数2~24の直鎖状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルキレン基、或いはヒドロキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36のヒドロキシル基で置換されてもよい、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素或いは脂環式エーテル基;炭素数6~24のヒドロキシル基で置換されてもよい、芳香族炭化水素を表す(但し、R11及び/又はR13は、存在しなくてもよい)。R14とR15はそれぞれ独立に、ビニル基;アリル基;マレイミド基;炭素数1~6の直鎖状のアルキル基;炭素数2~6のアルケニル基を表す。DとEはそれぞれ独立に、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、マレイミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基である。)
  6. 一般式(4)で示される請求項2に記載の重合性化合物。
    Figure 2023026106000082
    (式中、R16とR17はそれぞれ独立に、炭素数1~24の直鎖状のアルキレン基或いはヒドロキシアルキレン基;炭素数2~24の直鎖状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルキレン基、或いはヒドロキシアルキレン基;炭素数3~36の分岐状のアルケニル基、ヒドロキシアルケニル基或いはアルキレンオキシアルキレン基;炭素数3~36のヒドロキシル基で置換されてもよい、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素或いは脂環式エーテル基;炭素数6~24のヒドロキシル基で置換されてもよい、芳香族炭化水素を表す。R18、R19とR20はそれぞれ独立に、ビニル基;アリル基;マレイミド基;炭素数1~6の直鎖状のアルキル基;炭素数2~6のアルケニル基;炭素数6~24のヒドロキシル基で置換されてもよい、芳香族炭化水素を表す。Fは(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、マレイミド基から選択されるいずれか1種の不飽和基である。iは2~10の整数表す。)
  7. 水酸基を有する化合物と2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキソホスホランを反応させ、ジオキサホスホラン基を有する化合物を合成する第一工程と、
    第三級アミノ基を有するアミン化合物を用いて、第一工程で得られるジオキサホスホラン基を有する化合物を開環させる第二工程を
    含む請求項1~6のいずれか一項に記載の重合性化合物の製造方法。
  8. 請求項1~5のいずれか一項に記載の重合性化合物由来の構造単位を有する重合体。
  9. 請求項1~5のいずれか一項に記載の重合性化合物及び/又は請求項8に記載の重合体を含有する熱重合性及び/又は活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  10. 請求項1~5のいずれか一項に記載の重合性化合物由来の構造単位を有するヒドロゲル。
  11. 請求項1~5のいずれか一項に記載の重合性化合物由来の構造単位を有するコンタクトレンズ。
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CN116462704A (zh) * 2023-04-23 2023-07-21 广州夏刚科技有限公司 一种强效清洁洗面奶及其制备方法
CN116462704B (zh) * 2023-04-23 2023-11-07 广州领康化妆品有限公司 一种强效清洁洗面奶及其制备方法

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