JP2023016530A - イムノクロマト試験片 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インフルエンザウイルスA、インフルエンザウイルスB、および重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2を同時かつ高感度に検出し得るイムノクロマト試験片を提供する。【解決手段】 本発明は、測定試料中のインフルエンザウイルスA、B(Flu-A、B)のヌクレオカプシドタンパク質(Nタンパク質)とそれぞれ特異的に結合する抗体A1、B1とセルロース系着色微粒子A、Bとの複合体を担持したコンジュゲーションパッド1と、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のNタンパク質と特異的に結合する抗体C1とセルロース系着色微粒子Cとの複合体を担持したコンジュゲーションパッド2と、Flu-A、BのNタンパク質と特異的に結合する抗体A2、B2を固定したテストラインA、Bを具備したメンブレン1と、SARS-CoV-2のNタンパク質と特異的に結合する抗体C2を固定したテストラインCを具備したメンブレン2と、から構成されるイムノクロマト試験片である。【選択図】なし

Description

本発明は、インフルエンザウイルスA(Flu-A)のヌクレオカプシドタンパク質(Nタンパク質)、インフルエンザウイルスB(Flu-B)のNタンパク質、および重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome)コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のNタンパク質を同時かつ高感度に検出し得るイムノクロマト試験片、およびイムノクロマト試験片を含むキットに関する。
インフルエンザは冬期に流行する感染症で、高熱、上気道炎、倦怠感などの臨床症状を呈するが、それらの症状のみではSARS-CoV-2、アデノ、RSなど他のウイルスに起因する感染症と区別することは容易ではない。ここで、SARS-CoV-2は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスであり、2020年初より世界中で急速に流行している。
インフルエンザウイルスは分節状のマイナス鎖RNAをゲノム遺伝子とするウイルスで、HA、NA、PA、PB1、PB2、M、NP、NSの8分節から成る。インフルエンザウイルスは、構成するタンパク質のうち、マトリックスタンパク質(M1)とNタンパク質(NP)の抗原性の違いにより、A型、B型およびC型に分類される。該タンパク質は抗原性がそれぞれ異なるため、異なる型の間で交差反応を示さない。
インフルエンザに対する治療薬として、オセルタミビルリン酸塩、ザナミビル水和物、ペラミビル水和物、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物、アマンタジン塩酸塩が用いられているが、M2阻害剤であるアマンタジン塩酸塩はB型インフルエンザウイルスの感染増殖を阻害しないためA型インフルエンザの治療にのみ用いられる。さらに前4者はノイラミニダーゼ(NA)阻害剤として同一の作用点を示す治療薬であるが、インフルエンザの型によって解熱時間やウイルス残存率などの有効性に差異があることが指摘されている(非特許文献1)。従って、インフルエンザの型の鑑別は、その後の適切な治療薬選択のために重要である。
SARS-CoV-2は、一般的なコロナウイルスと同様に、ヌクレオカプシドおよび当該ヌクレオカプシドを取り囲むエンベロープで構成され、前記ヌクレオカプシドには、ウイルスゲノム(RNA)および当該ウイルスゲノムに結合するヌクレオカプシドタンパク質(Nタンパク質)が含まれ、前記エンベロープには、脂質および当該脂質に結合するスパイクタンパク質(Sタンパク質)、膜タンパク質(Mタンパク質)、およびエンベロープタンパク質(Eタンパク質)が含まれる。Nタンパク質は、ウイルスコアの形成、並びに、ウイルスゲノムのパッケージングおよび転写等に関与するタンパク質であり、セリン(S)/アルギニン(R)リッチな領域を有するリンカーを介してN末端ドメイン(NTD)およびC末端ドメイン(CTD)が結合した構造を有する。非特許文献2には、Nタンパク質が多量にリン酸化されることが記載され、リン酸化部位のマッピングが示されている。Nタンパク質のアミノ酸配列は株間で保存されているため、Nタンパク質は診断マーカー等として使用される。
複数ある感染症診断法の中でも迅速・簡便・安価であるイムノクロマト法は最も普及した技術の1つである。イムノクロマト法とは毛細管現象を利用した免疫測定法であり、インフルエンザ検査などにおいて世界的に普及している。イムノクロマト法を用いて測定対象物質を検出する手法の一つとしては、抗原抗体反応を利用したサンドイッチ法が挙げられる。サンドイッチ法では測定対象物質に対してエピトープの異なる2種類の抗体を利用する。一方の抗体は、金コロイド、着色ラテックス粒子、蛍光粒子等の検出粒子と感作した検出抗体として使用する。他方の抗体は、多孔質支持体の表面に線状に固定した捕捉抗体としてテストラインを形成する。加えて、前記検出抗体を特異的に捕捉する抗体を多孔質支持体の表面の、前記テストラインとは異なる位置に線状に固定しコントロールラインを形成する。測定試料中に含まれる測定対象物質は、多孔質支持体の一端(上流側)から展開し、検出抗体と免疫複合体を形成しながら移動し、テストライン上で捕捉抗体と接触して捕捉され発色する。測定対象物質と免疫複合体を形成しなかった遊離の検出粒子と感作した検出抗体はテストライン上を通過し、コントロールラインの抗体に捕捉され発色する。これらの発色強度を目視で確認することで測定対象物質の有無を判定することができる。従来のインフルエンザの検出には抗NP抗体(特許文献1および2)などが特に用いられていた。
現在、インフルエンザおよびSARS-CoV-2の検査は、項目ごとに個別の検査キットを用いて行われている。このため、例えば、高熱、上気道炎、倦怠感などの臨床症状を示した患者のSARS-CoV-2の検査が陰性であった場合、インフルエンザの検査を行うために、再度、患者から検体を採取する必要がある。検体は、鼻腔や咽頭から綿棒等を用いて採取するが、患者にとっては苦痛を伴い、負担を強いられることになる。
特開2007-285749号公報 国際公開第2005/007698号
J Infect. 2008 Jan;56(1):51-57. Epub 2007 Oct 15. Klann et al., Molecular Cell, 80(1), 2020, pp.164-174
本発明は、Flu-AのNタンパク質、Flu-BのNタンパク質、およびSARS-CoV-2のNタンパク質を同時かつ高感度に検出し得るイムノクロマト試験片、イムノクロマト試験片を含むキットを提供することを課題とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、Flu-AのNタンパク質と特異的に結合する抗体A1と検出粒子との複合体、およびFlu-BのNタンパク質と特異的に結合する抗体B1と検出粒子との複合体を担持したコンジュゲーションパッド1と、SARS-CoV-2のNタンパク質と特異的に結合する抗体C1と検出粒子との複合体を担持したコンジュゲーションパッド2と、Flu-AのNタンパク質と特異的に結合する抗体A2を線状に固定したテストラインA、Flu-BのNタンパク質と特異的に結合する抗体B2を線状に固定したテストラインB、および前記抗体A2またはB2と特異的に結合する抗体D1を線状に固定したコントロールライン1を具備したメンブレン1と、SARS-CoV-2のNタンパク質と特異的に結合する抗体C2を線状に固定したテストラインC、および前記抗体C2と特異的に結合する抗体D2を線状に固定したコントロールライン2を具備したメンブレン2を使用することで、Flu-AのNタンパク質、Flu-BのNタンパク質、およびSARS-CoV-2のNタンパク質を同時かつ高感度に検出し得るイムノクロマト試験片を得られることを見出した。また、検出粒子としてセルロース系着色微粒子を使用することにより、Flu-AのNタンパク質、Flu-BのNタンパク質、およびSARS-CoV-2のNタンパク質をさらに高感度で検出できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、代表的な本発明は以下の通りである。
1. (1)吸収パッド1と、
(2)測定試料中のインフルエンザウイルスA(Flu-A)のヌクレオカプシドタンパク質(Nタンパク質)と特異的に結合する抗体A2を線状に固定したテストラインA、インフルエンザウイルスB(Flu-B)のNタンパク質と特異的に結合する抗体B2を線状に固定したテストラインB、および前記抗体A2またはB2と特異的に結合する抗体D1を線状に固定したコントロールライン1を具備したメンブレン1と、
(3)Flu-AのNタンパク質と特異的に結合する抗体A1とセルロース系着色微粒子Aとの複合体、およびFlu-BのNタンパク質と特異的に結合する抗体B1とセルロース系着色微粒子Bとの複合体を担持したコンジュゲーションパッド1と、
(4)サンプルパッドと、
(5)測定試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のNタンパク質と特異的に結合する抗体C1とセルロース系着色微粒子Cとの複合体を担持したコンジュゲーションパッド2と、
(6)SARS-CoV-2のNタンパク質と特異的に結合する抗体C2を線状に固定したテストラインC、および前記抗体C2と特異的に結合する抗体D2を線状に固定したコントロールライン2を具備したメンブレン2と、
(7)吸収パッド2と、
から構成されることを特徴とするイムノクロマト試験片。
2. 前記吸収パッド1、前記メンブレン1、前記コンジュゲーションパッド1、前記サンプルパッド、前記コンジュゲーションパッド2、前記メンブレン2、および前記吸収パッド2が順に連接配置されていることを特徴とする1.に記載のイムノクロマト試験片。
3. 前記テストラインAとテストラインBの発色が異なり、かつテストラインAまたはテストラインBの発色とテストラインCの発色とが同じであることを特徴とする1.または2.に記載のイムノクロマト試験片。
4. 前記テストラインA/テストラインB/テストラインCの発色がそれぞれ赤/青/赤、赤/青/青、青/赤/赤、青/赤/青のいずれかであることを特徴とする1.~3.のいずれかに記載のイムノクロマト試験片。
5. 前記テストラインAとテストラインBの発色が同じで、かつテストラインCの発色とは異なることを特徴とする1.または2.に記載のイムノクロマト試験片。
6. 前記テストラインA/テストラインB/テストラインCの発色がそれぞれ赤/赤/青、または青/青/赤であることを特徴とする1.、2.または5.のいずれかに記載のイムノクロマト試験片。
7. 1.~6.のいずれかに記載のイムノクロマト試験片、測定試料採取具、フィルター、測定試料希釈液からなることを特徴とするイムノクロマトキット。
本発明のイムノクロマト試験片は、特定の抗体、および検出粒子を、特定の配置で担持させているため、同時かつ高感度にFlu-AのNタンパク質、Flu-BのNタンパク質、およびSARS-CoV-2のNタンパク質を検出することができる。
本発明のイムノクロマト試験片の一例を示す図(上面図)である。 本発明のイムノクロマト試験片の一例を示す図(側面図)である。
本発明のイムノクロマト試験片は測定試料中のインフルエンザウイルスA(Flu-A)のヌクレオカプシドタンパク質(Nタンパク質)、インフルエンザウイルスB(Flu-B)のNタンパク質、および重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome)コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のNタンパク質を検出するための試験片である。
本発明において、Flu-Aは、H1N1、H1N2、H2N2、H2N3、H3N2、H3N8、H4N6、H5N1、H5N2、H6N2、H7N1、H7N7、H7N9、H8N4、H9N2、H10N7、H11N6、H12N5、H13N6、H14N5、H15N8、およびH16N3の各亜型を含む、公知の全てのFlu-A株を対象とする。
本発明において、Flu-B型は、抗原的・遺伝系統的に異なる2つのグループ、すなわち山形系統およびビクトリア系統に分類されるが、いずれの系統のウイルス株も含む、公知の全てのFlu-B株を対象とする。
本発明において、SARS-CoV-2のNタンパク質は、GenBankアクセッション番号(MN908947)に開示されたアミノ酸配列を有するものを指す。なお、SARS-CoVのNタンパク質は、GenBankアクセッション番号(AY278741)に開示されたアミノ酸配列を有するものを指す。
本発明において、測定試料は、生物試料であってもよく非生物試料であってもよい。また、測定試料には、採取したままの試料のみならず、当該試料に対して夾雑物の除去等の前処理を施したものも含まれる。
前記生物試料としては、特に限定されないが例えば血液、血清、血漿、骨髄液、リンパ液、涙、鼻汁、鼻腔洗浄液、鼻腔拭い液、唾液、うがい液、喀痰、咽頭拭い液、汗、気管吸引液、気管支洗浄液、胸水、腹水、羊水、腸管洗浄液、尿、糞便、細胞抽出液、組織抽出液、臓器抽出液等が挙げられる。前記非生物試料としては、特に限定されないが例えば蛇口、取っ手、手すり、つり革、スイッチ、壁、床、机、椅子、便座等の環境表面から採取した試料等が挙げられる。
本発明のイムノクロマト試験片の構成は、イムノクロマト試験片の測定試料溶液の添加部(滴下部)を上流側として、前記添加部を有するサンプルパッド、コンジュゲーションパッド、メンブレン、吸収パッドの順に連接配置されている。次いで、本発明のイムノクロマト試験片の一例を、図面を参照して説明する。図1および2において、1はサンプルパッド、21はコンジュゲーションパッド1、22はコンジュゲーションパッド2、31はメンブレン1、32はメンブレン2、41は吸収パッド1、42は吸収パッド2、5はバッキングシート、6~7はテストラインA~B、8はテストラインC、91はコントロールライン1、92はコントロールライン2、10は粘着シートをそれぞれ示す。
図1および図2の例では、イムノクロマト試験片は、幅3~5mm(好ましくは4mm程度)、長さ80~160mm(好ましくは100mm程度)の細長い短冊状の形態をしている。なお、イムノクロマト試験片のコンジュゲーションパッド1には測定試料中のFlu-AのNタンパク質と特異的に結合する抗体A1とセルロース系着色微粒子Aとの複合体、およびFlu-BのNタンパク質と特異的に結合する抗体B1とセルロース系着色微粒子Bとの複合体が、コンジュゲーションパッド2にはSARS-CoV-2のNタンパク質と特異的に結合する抗体C1とセルロース系着色微粒子Cとの複合体がそれぞれ担持されている。また、イムノクロマト試験片のメンブレン1の上流側の端部から約8mmの位置にFlu-AのNタンパク質と特異的に結合する抗体A2を線状に固定したテストラインA、前記端部から約10mmの位置にFlu-BのNタンパク質と特異的に結合する抗体B2を線状に固定したテストラインB、前記端部から約14mmの位置に前記抗体A2またはB2と特異的に結合する抗体D1を線状に固定したコントロールライン1が形成される。また、イムノクロマト試験片のメンブレン2の上流側の端部から約8mmの位置にSARS-CoV-2のNタンパク質と特異的に結合する抗体C2を線状に固定したテストラインC、前記端部から約14mmの位置に前記抗体C2と特異的に結合する抗体D2を線状に固定したコントロールライン2が形成される。
本発明で用いるサンプルパッドは、測定試料を速やかに吸収した後、下流のコンジュゲーションパッド、メンブレン、吸収パッドへ展開できる材質のものであれば、特に限定されないが、例えばセルロース製のろ紙または不織布、ガラス製のろ紙または不織布、ポリエステル製のろ紙または不織布、ポリエチレン製のろ紙または不織布が挙げられる。これらの中でも、セルロース製のろ紙が好ましい。また、前記サンプルパッドの厚さは、0.1~2.0mmが好ましく、0.2~1.0mmがより好ましい。厚さが小さいと、下流での測定試料の流れが不均一となり測定精度が低下することがある。一方、厚さが大きいと、下流への展開が遅くなり測定時間が長くなることがある。また、下流への展開に必要となる測定試料量が多くなる。
本発明で用いるコンジュゲーションパッド1および2は、測定試料中のFlu-AのNタンパク質と特異的に結合する抗体A1とセルロース系着色微粒子Aとの複合体、Flu-BのNタンパク質と特異的に結合する抗体B1とセルロース系着色微粒子Bとの複合体、およびSARS-CoV-2のNタンパク質と特異的に結合する抗体C1とセルロース系着色微粒子Cとの複合体を乾燥状態で保持でき、かつ測定試料の下流への展開と共に前記複合体を速やかに放出することができる材質のものであれば、特に限定されないが、例えばセルロース製のろ紙または不織布、ガラス製のろ紙または不織布、ポリエステル製のろ紙または不織布、ポリエチレン製のろ紙または不織布が挙げられる。これらの中でも、ガラス製のろ紙が好ましい。また、前記コンジュゲーションパッド1および2の厚さは、0.1mm~2.0mmが好ましく、0.2mm~1.0mmがより好ましい。厚さが小さいと、目的量の前記複合体を乾燥状態で保持できないことがある。一方、厚さが大きいと、下流への展開が遅くなり測定時間が長くなることがある。また、下流への展開に必要となる測定試料量が多くなる。
本発明で用いるメンブレン1および2は、測定試料を精度よく均一に展開できるものであれば、特に限定されないが、例えばセルロース、セルロース誘導体、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、またはナイロン製のメンブレンが挙げられる。これらの中でも、ニトロセルロース製のメンブレンが好ましい。
本発明で用いる吸収パッド1および2は、上流より展開してきた測定試料を速やかに吸収した後、逆流しないよう保持できるものであれば、特に限定されないが、例えばセルロース製のろ紙または不織布、ガラス製のろ紙または不織布、ポリエステル製のろ紙または不織布、ポリエチレン製のろ紙または不織布が挙げられる。これらの中でも、セルロース製のろ紙が好ましい。また、前記吸収パッド1および2の厚さは、0.2mm~5.0mmが好ましく、0.5mm~2.0mmがより好ましい。厚さが小さいと、測定試料の滴下量によっては一度吸収パッドに吸収された測定試料がメンブレン側に逆流することがある。一方、厚さが大きいと、イムノクロマト試験片およびイムノクロマト試験片を覆うハウジングケースのサイズも大きくなり、POCTの観点から好ましくない。
なお、本発明で用いる抗体A1~C1、抗体A2~C2、抗体D1~D2はモノクローナル抗体であってもポリクローナル抗体であってもよいが、モノクローナル抗体が好ましい。抗体は、任意のアイソタイプ、例えばIgG、IgA、IgD、IgE、IgM等であることができるが、IgGが好ましい。また、抗体は、市販品を用いてもよいし、別途公知の方法で製造してもよい。
前記セルロース系着色微粒子A~Cは、大量の水酸基を有するため、多くの反応性染料を共有結合により保持することができるだけでなく、濃染化した後も水などへの安定分散性を保持することができる。セルロース系着色微粒子として、再生セルロース、精製セルロース、天然セルロース等を用いることができるし、一部誘導体化されたセルロースを用いてもよい。前記セルロース系着色微粒子の質量の20~90質量%はセルロース由来であることが好ましく、20~80質量%がより好ましく、20~70質量%がさらに好ましい。
前記セルロース系着色微粒子A~Cの平均粒子径は、特に限定されないが、100nm~1000nmが好ましく、200nm~800nmがより好ましい。平均粒子径が大きいと、下流への展開が遅くなり、測定時間が長くなる。また、メンブレン上に捕捉されやすくなり、バックグラウンド自体が発色してしまうことでテストラインおよびコントロールラインでの発色が不明瞭になる。一方、平均粒子径が小さいと、物理吸着または化学結合できる抗体量が低下し、測定感度が低下する。
前記セルロース系着色微粒子としては、旭化成社製の着色セルロースナノビーズ(NanoAct(登録商標))が挙げられる。前記セルロース系着色微粒子の色は、特に限定されないが、例えば赤、橙、黄、緑、青、紺、紫、黒、蛍光が挙げられる。特に、NanoAct(登録商標)赤(RE2)の粒子濃度1質量%でのODは240、NanoAct(登録商標)青(BL2)の粒子濃度1質量%でのODは265、NanoAct(登録商標)緑(GR1)の粒子濃度1質量%でのODは160、NanoAct(登録商標)黒(KR1)の粒子濃度1質量%でのODは150であるため、赤および青が好ましい。
前記セルロース系着色微粒子A~Cへの前記抗体A1~C1の結合量は、セルロース系着色微粒子と抗体の仕込み質量比を調整することで制御でき特に限定されないが、セルロース系着色微粒子と抗体との仕込み質量比は1:0.01~1:1が好ましく、1:0.02~1:0.5がより好ましく、1:0.02~1:0.2がさらに好ましい。質量比が前記範囲を外れると、セルロース系着色微粒子への抗体の結合量が不十分となるとか、セルロース系着色微粒子への抗体の結合量が増えすぎ、抗原抗体反応に寄与しない抗体が増えるため、測定感度が低下することがある。
前記抗体A1~C1と前記セルロース系着色微粒子A~Cとの結合方法は特に限定されないが、疎水結合による物理吸着または共有結合による化学結合で感作するのが好ましく、操作が簡便でありかつコストも安い物理吸着がより好ましい。なお、感作効率を向上させるため、セルロース系着色微粒子に反応性活性基を導入してもよい。反応性活性基としては、特に限定されないが、例えばカルボキシル基、アミノ基、アルデヒド基、チオール基、エポキシ基、水酸基が挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基、アミノ基が好ましい。カルボキシル基の場合は、カルボジイミドを用いてリガンドのアミノ基と共有結合を形成することができる。
前記コンジュゲーションパッド1に、測定試料中のFlu-AのNタンパク質と特異的に結合する抗体A1とセルロース系着色微粒子Aとの複合体、およびFlu-BのNタンパク質と特異的に結合する抗体B1とセルロース系着色微粒子Bとの複合体を担持させる方法、および前記コンジュゲーションパッド2に測定試料中のSARS-CoV-2のNタンパク質と特異的に結合する抗体C1とセルロース系着色微粒子Cとの複合体を担持させる方法は特に限定されないが、例えば前記複合体の溶液をコンジュゲーションパッドに均一に塗布、噴霧または含浸した後、恒温槽内で適当な温度で一定時間乾燥することで作製することができる。前記複合体の溶液の塗布量は、特に限定されないが、ライン長1cm辺り5μL~50μLが好ましい。また、前記複合体の溶液におけるセルロース系着色微粒子濃度は、特に限定されないが、0.01~0.5質量%が好ましく、0.02~0.2質量%がより好ましく、0.02~0.1質量%がさらに好ましい。濃度が低いと、Flu-A、Flu-B、およびSARS-CoV-2のNタンパク質を十分捕捉・検出することができず、測定感度が低下することがある。一方、濃度が高くても、測定感度の向上は見られず、コストだけが高くなる。次いで、前記塗布後に乾燥するのが好ましい。乾燥温度は、特に限定されないが、20℃~80℃が好ましく、20℃~60℃がより好ましい。乾燥時間は乾燥温度によって異なるが、通常は5分間~120分間である。
メンブレン1および2に前記テストラインA~Cを形成する捕捉抗体A2~C2と前記コントロールライン1および2を形成する捕捉抗体D1およびD2を線状に固定する方法は、特に限定されないが、例えば前記テストラインA~Cを形成する捕捉抗体A2~C2と前記コントロールライン1および2を形成する捕捉抗体D1およびD2を、それぞれ線上に一定量を異なる位置に塗布した後、恒温槽内で適当な温度で一定時間乾燥することで作製することができる。前記両捕捉抗体の塗布量は、特に限定されないが、ライン長1cm辺り0.1μL~2μLが好ましい。また、前記両捕捉抗体の塗布濃度は、特に限定されないが、0.1mg/mL~10mg/mLが好ましく、0.2mg/mL~8mg/mLがより好ましく、0.5mg/mL~5mg/mLがさらに好ましい。濃度が低いと、Flu-A、Flu-B、およびSARS-CoV-2のNタンパク質を十分捕捉・検出することができず、測定感度が低下する。一方、濃度が高くても、測定感度の向上は見られず、コストだけが高くなる。次いで、前記塗布後に乾燥するのが好ましい。乾燥温度は、特に限定されないが、20℃~80℃が好ましく、20℃~60℃がより好ましい。乾燥時間は乾燥温度によって異なるが、通常は5分間~120分間である。
本発明のイムノクロマト試験片は、前記作製したメンブレン1および2を粘着シート10の左右2箇所に貼り付け、次いでコンジュゲーションパッド1および2をメンブレン1および2の上流側の末端上に一部重ね合わせて貼り付け、次いでサンプルパッドを粘着シート10の中央部に貼り付け、次いで吸収パッド1および2をメンブレン1および2の下流側の末端上に一部重ね合わせて貼り付けた後、一定幅の短冊状に切断することで作製することができる。なお、テストラインA~Cおよびコントロールライン1、2は試験片を作製した後に調製してもよいし、試験片を作製する前に調製してもよい。
前記イムノクロマト試験片は、少なくともサンプルパッド上に測定試料を滴下するための第一の開口部、メンブレン1上にテストラインA、Bおよびコントロールライン1を目視で確認するための第二の開口部、メンブレン2上にテストラインCおよびコントロールライン2を目視で確認するための第三の開口部、を有する適当なプラスチック製のハウジングケースに収容されたものでも良い。
本発明のイムノクロマト試験片は、視認性の観点から、テストラインA~Cにおいて、前記テストラインAとテストラインBの発色が異なり、かつテストラインAまたはテストラインBの発色とテストラインCの発色とが同じであることが好ましく、テストラインA~Cの発色がそれぞれ赤/青/赤、赤/青/青、青/赤/赤、青/赤/青のいずれかであることがより好ましい。前記発色は隣り合うテストラインA、Bの色が異なるため、仮にラインが出現した際に、ラインの色および位置からFlu-A、Flu-Bのどちらが陽性であったかが一目で判断することができる。なお、SARS-CoV-2は離れた位置にラインがでるため、Flu-AまたはFlu-Bのいずれかと同じ発色でも視認性に支障はない。特に、前述の通りNanoAct(登録商標)では、特に赤と青の視認性が高いため、赤と青の組み合わせが好適である。前記発色であれば、仮にラインが出現した際に、Flu-AまたはFlu-BとSARS-CoV-2を誤認する恐れを減ずることができる。なお、コントロールラインはテストラインに捕捉されなかった検出粒子を捕捉して発色するメカニズムである。
また、本発明のイムノクロマト試験片は、視認性の観点から、テストラインA~Cにおいて、前記テストラインAとテストラインBの発色が同じで、かつテストラインCの発色とは異なることが好ましく、テストラインA~Cの発色がそれぞれ赤/赤/青、または青/青/赤であることがより好ましい。前記発色はFlu-A、Flu-Bの色が同じで、かつSARS-CoV-2の色とは異なるため、仮にラインが出現した際に、ラインの位置からFlu-AとFlu-B、ラインの色からFlu-AまたはFlu-BとSARS-CoV-2のどちらかが陽性であったかを一目で判断することができる。特に、前述の通りNanoAct(登録商標)では、特に赤と青の視認性が高いため、赤と青の組み合わせが好適である。前記発色であれば、仮にラインが出現した際に、Flu-AまたはFlu-BとSARS-CoV-2を誤認する恐れを減ずることができる。
本発明において、イムノクロマト測定キットは、イムノクロマト試験片に加え、測定試料を採取するための測定試料採取具、測定試料を前処理および/または希釈するための測定試料希釈液、測定試料をろ過するためのフィルターを含むのが好ましい。
前記測定試料希釈液は、測定試料の展開性を向上させ、かつ免疫反応に影響しないノニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。前記ノニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(Triton(登録商標)系界面活性剤等)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij(登録商標)系界面活性剤等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween(登録商標)系界面活性剤等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。また、前記界面活性剤は単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。ノニオン性界面活性剤の濃度としては、0.01~5.0質量%が好ましく、0.05~4.0質量%がより好ましく、0.1~3.0質量%がさらに好ましい。濃度が0.01質量%より低いと、下流への展開が困難となることがある。また、展開が不均一となり測定精度が低下することがある。一方、濃度が5.0質量%より高いと、物理的に吸着している、検出粒子と抗体、および/またはメンブレンと抗体が乖離し、測定値が得られないことがある。
前記測定試料希釈液は、無機塩類やpH調整に用いる緩衝剤を添加しても良い。前記緩衝剤としては、目的とするpH範囲において充分な緩衝能力を有していれば、いかなる種類の緩衝剤を用いてもよく、例えば、トリス、リン酸、フタル酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、シュウ酸、ホウ酸、酒石酸、酢酸、炭酸、グッドバッファー(MES、ADA、PIPES、ACES、コラミン塩酸、BES、TES、HEPES、アセトアミドグリシン、トリシン、グリシンアミド、ビシン)が挙げられる。これらの中でも、本発明に用いる抗体の至適pH範囲である7.0付近において充分な緩衝能力を有する等の理由から、トリス、リン酸、MES、PIPES、TES、HEPESが好ましく、トリス、リン酸、PIPESがより好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)抗体A1とセルロース系着色微粒子Aとの複合体の調製
1.0質量%の青色のセルロース系着色微粒子A(NanoAct(登録商標)、BL2:Dark Navy、平均粒子径365nm、旭化成社製)100μL、10mMのトリス緩衝液(204-07885、富士フィルム和光純薬社製)(pH8.0)900μL、抗体A1として1.0mg/mLのマウス由来抗Flu-AのNタンパク質モノクローナル抗体1(Influenza A nucleoprotein、antibody、Cat:3IN5、MAbs:InA245、HyTest社製)100μLを15mLの遠沈管に加え、ボルテックスで撹拌した。次いで、37℃で120分間静置した。次いで、1.0質量%のカゼイン(030-01505、富士フィルム和光純薬社製)、100mMのホウ酸緩衝液(021-02195、富士フィルム和光純薬社製)からなるブロッキング液(pH8.0)12mLを加え、さらに37℃で60分間静置した。次いで、遠心分離機(MX-307、トミー精工社製)を用い、13,000×gの遠心を25℃で15分間行い、抗体感作セルロース系着色微粒子を沈降させた後に上澄みを除去した。次いで、50mMのホウ酸緩衝液(021-02195、富士フィルム和光純薬社製)からなる洗浄液(pH10.0)12mLを加え、超音波分散機(UH-50、エスエムテー社製)で10秒間処理した。次いで、遠心分離機(MX-307、トミー精工社製)を用い、13,000×gの遠心を25℃で15分間行い、抗体感作セルロース系着色微粒子を沈降させた後に上澄みを除去した。次いで、15質量%のスクロース(196-00015、富士フィルム和光純薬社製)、0.2質量%のカゼイン(030-01505、富士フィルム和光純薬社製)、62mMのホウ酸緩衝液(021-02195、富士フィルム和光純薬社製)からなる塗布液(pH9.2)2.0mLを加え、超音波分散機(UH-50、エスエムテー社製)で10秒間処理し、抗体A1とセルロース系着色微粒子Aとの複合体1を得た。
(2)抗体B1とセルロース系着色微粒子Bとの複合体の調製
抗体A1の代わりに抗体B1としてマウス由来抗Flu-BのNタンパク質モノクローナル抗体1(Influenza B virus Monoclonal Antibody、Cat:1131、ViroStat社製)を、赤色のセルロース系着色微粒子Aの代わりにセルロース系着色微粒子B(NanoAct(登録商標)、RE2:Dark Red、平均粒子径340nm、旭化成社製)を、それぞれ使用する以外は(1)抗体A1とセルロース系着色微粒子Aとの複合体の調製と同様の方法で、抗体B1とセルロース系着色微粒子Bとの複合体1を得た。
(3)抗体C1とセルロース系着色微粒子Cとの複合体の調製
抗体A1の代わりに抗体C1としてマウス由来抗SARS-CoV-2のNタンパク質モノクローナル抗体1(Anti-SARS-CoV-2-NP Monoclonal antibody、SCV-108、東洋紡社製)を使用する以外は(1)抗体A1とセルロース系着色微粒子Aとの複合体の調製と同様の方法で、抗体C1と青色のセルロース系着色微粒子C(NanoAct(登録商標)、BL2:Dark Navy、平均粒子径365nm、旭化成社製)との複合体1を得た。
(4)Flu-A、Flu-BのNタンパク質検出用メンブレン、およびSARS-CoV-2のNタンパク質検出用メンブレンの作製
抗体A2として2.0mg/mLのマウス由来抗Flu-AのNタンパク質モノクローナル抗体2(Influenza A Virus (NP) Antibody、Cat:BMRia017、Clone:FLA-859、Bio Matrix Research Inc.社製)、抗体B2として2.0mg/mLのマウス由来抗Flu-BのNタンパク質モノクローナル抗体2(Influenza B nucleoprotein, antibody、Cat:3IF18/RIF17、MAbs:R2/3、HyTest社製)、抗体C2として2.0mg/mLのマウス由来抗SARS-CoV-2のNタンパク質モノクローナル抗体2(Anti-SARS-CoV-2-NP Monoclonal antibody、SCV-109、東洋紡社製)、抗体D1およびD2として1.0mg/mLのウサギ由来抗マウスIgGポリクローナル抗体(Mouse IgG-heavy and light chain antibody、A90-117A、BETHYL社製)を準備した。次いで、分注プラットフォーム(XYZ3060、BIODOT社製)と、Bio Jetノズル(BHQHR-XYZ、BIODOT社製)を用い、25mm×300mmのイムノクロマト用メンブレン(IAB090、Advantec社製)の上流側から8mmの位置に、前記抗体A2を1.0μL/cmの塗布量で塗布し(テストラインA)、メンブレンの上流側から10mmの位置に、前記抗体B2を1.0μL/cmの塗布量で塗布し(テストラインB)、メンブレンの上流側から14mmの位置に、前記抗体D1を1.0μL/cmの塗布量で塗布した後(コントロールライン1)、45℃に調整した乾燥機(WFO-510、東京理化器械社製)で30分間乾燥し、ライン幅約1mmのテストラインA、Bおよびコントロールライン1を形成することで、Flu-A、Flu-BのNタンパク質検出用メンブレン1を得た。次いで、分注プラットフォーム(XYZ3060、BIODOT社製)と、Bio Jetノズル(BHQHR-XYZ、BIODOT社製)を用い、前記メンブレン1とは異なる25mm×300mmのイムノクロマト用メンブレン(IAB090、Advantec社製)の上流側から8mmの位置に、前記抗体C2を1.0μL/cmの塗布量で塗布し(テストラインC)、メンブレンの上流側から14mmの位置に、前記抗体D2を1.0μL/cmの塗布量で塗布した後(コントロールライン2)、45℃に調整した乾燥機(WFO-510、東京理化器械社製)で30分間乾燥し、ライン幅約1mmのテストラインCおよびコントロールライン2を形成することで、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用メンブレン2を得た。
(5)Flu-A、Flu-BのNタンパク質検出用コンジュゲーションパッド、およびSARS-CoV-2のNタンパク質検出用コンジュゲーションパッドの作製
10mm×300mmのコンジュゲーションパッド(GLASSFIBER DIAGNOSTIC PAD、GFDX001050、Millipore社製)の全面に、分注プラットフォーム(XYZ3060、BIODOT社製)と、Air Jetノズル(AJQHR-XYZ、BIODOT社製)を用い、抗体A1とセルロース系着色微粒子Aとの複合体1を15μL/cmの塗布量で均一に塗布し、抗体B1とセルロース系着色微粒子Bとの複合体1を15μL/cmの塗布量で均一に塗布した後、45℃に調整した乾燥機(WFO-510、東京理化器械社製)で30分間乾燥し、Flu-A、Flu-BのNタンパク質検出用コンジュゲーションパッド1を得た。次いで、前記コンジュゲーションパッド1とは異なる10mm×300mmのコンジュゲーションパッド(GLASSFIBER DIAGNOSTIC PAD、GFDX001050、Millipore社製)の全面に、分注プラットフォーム(XYZ3060、BIODOT社製)と、Air Jetノズル(AJQHR-XYZ、BIODOT社製)を用い、抗体C1とセルロース系着色微粒子Cとの複合体1を15μL/cmの塗布量で均一に塗布した後、45℃に調整した乾燥機(WFO-510、東京理化器械社製)で30分間乾燥し、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用コンジュゲーションパッド2を得た。
(6)Flu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片の作製
90mm×300mmのバッキングシート(GL-57888、Lohmann社製)の一端から10mm~35mmの位置にFlu-A、Flu-BのNタンパク質検出用メンブレン1を、前記バッキングシートの他端から10mm~35mmの位置にSARS-CoV-2のNタンパク質検出用メンブレン2をそれぞれ貼り合わせた。次いで、前記Flu-A、Flu-BのNタンパク質検出用メンブレン1の上流側に、メンブレンと5mm重なるようFlu-A、Flu-BのNタンパク質検出用コンジュゲーションパッド1を、前記SARS-CoV-2のNタンパク質検出用メンブレン2の上流側に、メンブレンと5mm重なるようSARS-CoV-2のNタンパク質検出用コンジュゲーションパッド2をそれぞれ貼り合わせた。次いで、前記バッキングシートの中央に25mm×300mmのサンプルパッド(CELLULOSE FIBER SAMPLE PADS、CFSP002000、Millipore社製)を貼り合わせた。次いで、前記Flu-A、Flu-BのNタンパク質検出用メンブレン1の下流側に、メンブレンと5mm重なるよう20mm×300mmの吸収パッド1(CELLULOSE FIBER SAMPLE PADS、CFSP002000、Millipore社製)を、前記SARS-CoV-2のNタンパク質検出用メンブレン2の下流側に、メンブレンと5mm重なるよう20mm×300mmの吸収パッド2(CELLULOSE FIBER SAMPLE PADS、CFSP002000、Millipore社製)をそれぞれ貼り合わせた。次いで、ギロチン式カッティングモジュール(CM5000、BIODOT社製)を用い、幅4mm、長さ90mmの短冊状にカットすることで、Flu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片1を得た。
(7)測定試料希釈液の調製
100mMのトリス緩衝液(204-07885、富士フィルム和光純薬社製)(pH8.5)1L、塩化ナトリウム(191-01665、富士フィルム和光純薬社製)8.77g、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート:Tween(登録商標)20(166-21213、富士フィルム和光純薬社製)2g、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル:TritonX(登録商標)-100(160-24751、富士フィルム和光純薬社製)9gを500mLガラス瓶に加え、溶解することで測定試料希釈液を調製した。
(8)Flu-A試料、Flu-B試料およびSARS-CoV2試料の調製
市販のFlu-AのNタンパク質であるPurified Influenza A protein (H1N1 strain)(30-AI50、Fitzgerald社製)を、前記測定試料希釈液にて10μg/mLに希釈することでFlu-A試料を得た。市販のFlu-BのNタンパク質であるPurified Influenza B protein(30-AI75、Fitzgerald社製)を、前記測定試料希釈液にて10μg/mLに希釈することでFlu-B試料を得た。市販のSARS-CoV-2のNタンパク質であるRecombinant SARS-CoV-2 Nucleocapsid protein(230-30164、RayBiotech社製)を、前記測定試料希釈液にて10ng/mLに希釈することでSARS-CoV-2試料を得た。
(9)Flu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片の評価:非特異吸着の評価
前記Flu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片を水平な台に設置した。次いで、前記測定試料希釈液150μLを、マイクロピペットで分取し、サンプルパッドに緩やかに滴下し、25℃で15分間静置した。次いで、メンブレン上のテストラインA~Cの反射吸光度(mAbs)をイムノクロマトリーダー(C10060-10、測定モード:Gold Colloid、Line(赤色ライン測定時)またはLatex、Line(青色または緑色ライン測定時)、浜松ホトニクス社製)を用いて測定した。得られた結果を表1に示す。なお、非特異吸着は反射吸光度が10mAbs以下であれば良好と判断できる。
(10)Flu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片の評価:感度の評価
前記Flu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片を水平な台に設置した。次いで、前記Flu-A試料、Flu-B試料、またはSARS-CoV-2試料150μLを、マイクロピペットで分取し、サンプルパッドに緩やかに滴下し、25℃で15分間静置した。次いで、メンブレン上のコントロールラインおよびテストラインの反射吸光度(mAbs)をイムノクロマトリーダー(C10060-10、測定モード:Gold Colloid、Line(赤色ライン測定時)またはLatex、Line(青色または緑色ライン測定時)、浜松ホトニクス社製)を用いて測定した。得られた結果を表1に示す。なお、感度は反射吸光度が50mAbs以下であれば不良、50mAbs超であれば良好と判断した。
(11)Flu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片の評価:視認性の評価
前記Flu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片を水平な台に設置した。次いで、前記Flu-A試料150μL(テストラインAおよびコントロールラインが発色)、Flu-B試料150μL(テストラインBおよびコントロールラインが発色)、SARS-CoV-2試料150μL(テストラインCおよびコントロールラインが発色)、またはFlu-A試料50μL、Flu-B試料50μL、およびSARS-CoV-2試料50μLの混合液150μL(テストラインA~Cおよびコントロールラインが発色)を、マイクロピペットで分取し、サンプルパッドに緩やかに滴下し、25℃で15分間静置した。次いで、メンブレン上のコントロールラインおよびテストラインを10名で目視し、10名中10名が項目判定容易であると判定したものを◎、10名中8~9名が項目判定容易であると判定したものを〇、10名中6~7名が項目判定容易であると判定したものを△、10名中5名以下が項目判定容易であると判定したものを×と評価した。ここで項目判定は、前記メンブレン上のコントロールラインおよびテストラインを目視し、出現した4本ラインがそれぞれどの項目のラインであるかを即座に判定できるかで評価した。得られた結果を表1に示す。
(実施例2)
セルロース系着色微粒子Aに赤色粒子(NanoAct(登録商標)、RE2:Dark Red、平均粒子径340nm、旭化成社製)を、セルロース系着色微粒子Bに青色粒子(NanoAct(登録商標)、BL2:Dark Navy、平均粒子径365nm、旭化成社製)を、セルロース系着色微粒子Cに赤色粒子(NanoAct(登録商標)、RE2:Dark Red、平均粒子径340nm、旭化成社製)を、それぞれ使用する以外は実施例1と同様の方法にてFlu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片2を作製し、(9)非特異吸着、(10)感度、(11)視認性を評価した。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
セルロース系着色微粒子Aに赤色粒子(NanoAct(登録商標)、RE2:Dark Red、平均粒子径340nm、旭化成社製)を、セルロース系着色微粒子Bに青色粒子(NanoAct(登録商標)、BL2:Dark Navy、平均粒子径365nm、旭化成社製)を、それぞれ使用する以外は実施例1と同様の方法にてFlu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片3を作製し、(9)非特異吸着、(10)感度、(11)視認性を評価した。得られた結果を表1に示す。
(実施例4)
セルロース系着色微粒子Cに赤色粒子(NanoAct(登録商標)、RE2:Dark Red、平均粒子径340nm、旭化成社製)を、使用する以外は実施例1と同様の方法にてFlu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片4を作製し、(9)非特異吸着、(10)感度、(11)視認性を評価した。得られた結果を表1に示す。
(実施例5)
セルロース系着色微粒子Aに赤色粒子(NanoAct(登録商標)、RE2:Dark Red、平均粒子径340nm、旭化成社製)を、使用する以外は実施例1と同様の方法にてFlu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片5を作製し、(9)非特異吸着、(10)感度、(11)視認性を評価した。得られた結果を表1に示す。
(実施例6)
セルロース系着色微粒子Bに青色粒子(NanoAct(登録商標)、BL2:Dark Navy、平均粒子径365nm、旭化成社製)を、セルロース系着色微粒子Cに赤色粒子(NanoAct(登録商標)、RE2:Dark Red、平均粒子径340nm、旭化成社製)を、それぞれ使用する以外は実施例1と同様の方法にてFlu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片6を作製し、(9)非特異吸着、(10)感度、(11)視認性を評価した。得られた結果を表1に示す。
(実施例7)
セルロース系着色微粒子Aに緑色粒子(NanoAct(登録商標)、GR1:Green、平均粒子径335nm、旭化成社製)を、セルロース系着色微粒子Bに青色粒子(NanoAct(登録商標)、BL2:Dark Navy、平均粒子径365nm、旭化成社製)を、セルロース系着色微粒子Cに緑色粒子(NanoAct(登録商標)、GR1:Green、平均粒子径335nm、旭化成社製)を、それぞれ使用する以外は実施例1と同様の方法にてFlu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片7を作製し、(9)非特異吸着、(10)感度、(11)視認性を評価した。得られた結果を表1に示す。
(実施例8)
セルロース系着色微粒子Bに緑色粒子(NanoAct(登録商標)、GR1:Green、平均粒子径335nm、旭化成社製)を、使用する以外は実施例1と同様の方法にてFlu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片8を作製し、(9)非特異吸着、(10)感度、(11)視認性を評価した。得られた結果を表1に示す。
(実施例9)
セルロース系着色微粒子Aに緑色粒子(NanoAct(登録商標)、GR1:Green、平均粒子径335nm、旭化成社製)を、セルロース系着色微粒子Bに緑色粒子(NanoAct(登録商標)、GR1:Green、平均粒子径335nm、旭化成社製)を、それぞれ使用する以外は実施例1と同様の方法にてFlu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片9を作製し、(9)非特異吸着、(10)感度、(11)視認性を評価した。得られた結果を表1に示す。
(実施例10)
セルロース系着色微粒子Bに青色粒子(NanoAct(登録商標)、BL2:Dark Navy、平均粒子径365nm、旭化成社製)を、セルロース系着色微粒子Cに緑色粒子(NanoAct(登録商標)、GR1:Green、平均粒子径335nm、旭化成社製)を、それぞれ使用する以外は実施例1と同様の方法にてFlu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片10を作製し、(9)非特異吸着、(10)感度、(11)視認性を評価した。得られた結果を表1に示す。
(実施例11)
セルロース系着色微粒子Aに赤色粒子(NanoAct(登録商標)、RE2:Dark Red、平均粒子径340nm、旭化成社製)を、セルロース系着色微粒子Bに青色粒子(NanoAct(登録商標)、BL2:Dark Navy、平均粒子径365nm、旭化成社製)を、セルロース系着色微粒子Cに緑色粒子(NanoAct(登録商標)、GR1:Green、平均粒子径335nm、旭化成社製)を、それぞれ使用する以外は実施例1と同様の方法にてFlu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片11を作製し、(9)非特異吸着、(10)感度、(11)視認性を評価した。得られた結果を表1に示す。
(実施例12)
セルロース系着色微粒子Aに緑色粒子(NanoAct(登録商標)、GR1:Green、平均粒子径335nm、旭化成社製)を、セルロース系着色微粒子Bに青色粒子(NanoAct(登録商標)、BL2:Dark Navy、平均粒子径365nm、旭化成社製)を、セルロース系着色微粒子Cに赤色粒子(NanoAct(登録商標)、RE2:Dark Red、平均粒子径340nm、旭化成社製)を、それぞれ使用する以外は実施例1と同様の方法にてFlu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片12を作製し、(9)非特異吸着、(10)感度、(11)視認性を評価した。得られた結果を表1に示す。
(実施例13)
抗体A1として1.0mg/mLのマウス由来抗Flu-AのNタンパク質モノクローナル抗体1(Influenza A nucleoprotein、antibody、Cat:3IN5、MAbs:InA245、HyTest社製)の代わりに、1.0mg/mLのマウス由来抗Flu-AのNタンパク質モノクローナル抗体3(Monoclonal Antibody to Influenza A (Nucleoprotein)、C01732M、Meridian社製)を使用し、抗体A2として2.0mg/mLのマウス由来抗Flu-AのNタンパク質モノクローナル抗体2(Influenza A Virus (NP) Antibody、Cat:BMRia017、Clone:FLA-859、Bio Matrix Research Inc.社製)の代わりに、2.0mg/mLのマウス由来抗Flu-AのNタンパク質モノクローナル抗体4(Monoclonal Antibody to Influenza A (Nucleoprotein)、C01731M、Meridian社製)を使用する以外は実施例1と同様の方法にてFlu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片13を作製し、(9)非特異吸着、(10)感度、(11)視認性を評価した。得られた結果を表1に示す。
(実施例14)
抗体B1としてマウス由来抗Flu-BのNタンパク質モノクローナル抗体1(Influenza B virus Monoclonal Antibody、Cat:1131、ViroStat社製)の代わりに、1.0mg/mLのマウス由来抗Flu-BのNタンパク質モノクローナル抗体3(Monoclonal Antibody to Influenza B (Nucleoprotein)、C01744M、Meridian社製)を使用し、抗体B2として2.0mg/mLのマウス由来抗Flu-BのNタンパク質モノクローナル抗体2(Influenza B nucleoprotein, antibody、Cat:3IF18/RIF17、MAbs:R2/3、HyTest社製)の代わりに、2.0mg/mLのマウス由来抗Flu-BのNタンパク質モノクローナル抗体4(Monoclonal Antibody、Influenza B、MAB7042P、BBI社製)を使用する以外は実施例1と同様の方法にてFlu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片14を作製し、(9)非特異吸着、(10)感度、(11)視認性を評価した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2023016530000001
(比較例1)
(12)抗体A1と金コロイドとの複合体の調製
OD520=1.0の金コロイド粒子(EMGC40:Red、平均粒子径40nm、BBI Solutions社製)13.5mL、50mMのりん酸二水素カリウム(166-04255、富士フィルム和光純薬工業社製)(pH7.0)1.5mL、および抗体A1として0.05mg/mLのマウス由来抗Flu-AのNタンパク質モノクローナル抗体1(Influenza A nucleoprotein、antibody、Cat:3IN5、MAbs:InA245、HyTest社製)1.5mLを50mLの遠沈管に加え、軽く撹拌し、25℃で10分間静置した。次いで、10質量%のBovine serum albumin:BSA(A7906、Sigma-Aldrich社製)からなるブロッキング液1mLを加え、軽く撹拌した。次いで、遠心分離機(MX-307、トミー精工社製)とラックインローター(TMA-300、トミー精工社製)を用い、8,000×gの遠心を25℃で15分間行い、抗体感作金コロイド粒子を沈降させた後に上澄みを除去した。次いで、1.0質量%のBovine serum albumin:BSA(A7906、Sigma-Aldrich社製)、150mMの塩化ナトリウム(192-13925、富士フィルム和光純薬工業社製)、20mMのトリス緩衝液(204-07885、富士フィルム和光純薬工業社製)からなる洗浄液(pH8.2)30mLを加え、超音波分散機(UH-50、エスエムテー社製)で10秒間処理した。次いで、遠心分離機(MX-307、トミー精工社製)を用い、8,000×gの遠心を25℃で15分間行い、抗体感作金コロイド粒子を沈降させた後に上澄みを除去した。次いで、2.5質量%のスクロース(196-00015、富士フィルム和光純薬工業社製)、0.25質量%のBovine serum albumin:BSA(A7906、Sigma-Aldrich社製)、37.5mMの塩化ナトリウム(192-13925、富士フィルム和光純薬工業社製)、20mMのトリス緩衝液(204-07885、富士フィルム和光純薬工業社製)からなる塗布液(pH8.2)を加え、超音波分散機(UH-50、エスエムテー社製)で10秒間処理し、塗布液の液量によりOD520=4.0になるよう調整することで、抗体A1と金コロイドとの複合体Xを得た。
(13)抗体B1と金コロイドとの複合体の調製
抗体A1の代わりに抗体B1としてマウス由来抗Flu-BのNタンパク質モノクローナル抗体1(Influenza B virus Monoclonal Antibody、Cat:1131、ViroStat社製)を使用する以外は(12)抗体A1と金コロイドとの複合体の調製と同様の方法で、抗体B1と金コロイドとの複合体Yを得た。
(14)抗体C1と金コロイドとの複合体の調製
抗体A1の代わりに抗体C1としてマウス由来抗SARS-CoV-2のNタンパク質モノクローナル抗体1(Anti-SARS-CoV-2-NP Monoclonal antibody、SCV-108、東洋紡社製)を使用する以外は(12)抗体A1と金コロイドとの複合体の調製と同様の方法で、抗体C1と金コロイドとの複合体Zを得た。
(15)Flu-A、Flu-BのNタンパク質検出用メンブレン、およびSARS-CoV-2のNタンパク質検出用メンブレンの作製
前記(4)Flu-A、Flu-BのNタンパク質検出用メンブレン、およびSARS-CoV-2のNタンパク質検出用メンブレンの作製と同様の方法で、Flu-A、Flu-BのNタンパク質検出用メンブレン1、およびSARS-CoV-2のNタンパク質検出用メンブレン2を得た。
(16)Flu-A、Flu-BのNタンパク質検出用コンジュゲーションパッド、およびSARS-CoV-2のNタンパク質検出用コンジュゲーションパッドの作製
抗体A1とセルロース系着色微粒子Aとの複合体1の代わりに抗体A1と金コロイドとの複合体Xを、抗体B1とセルロース系着色微粒子Bとの複合体1の代わりに抗体B1と金コロイドとの複合体Yを、抗体C1とセルロース系着色微粒子Cとの複合体1の代わりに抗体C1と金コロイドとの複合体Zを、それぞれ使用する以外は(5)Flu-A、Flu-BのNタンパク質検出用コンジュゲーションパッド、およびSARS-CoV-2のNタンパク質検出用コンジュゲーションパッドの作製と同様の方法で、Flu-A、Flu-BのNタンパク質検出用コンジュゲーションパッドX、およびSARS-CoV-2のNタンパク質検出用コンジュゲーションパッドYを得た。
(17)Flu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片およびデバイスの作製
Flu-A、Flu-BのNタンパク質検出用コンジュゲーションパッド1の代わりにFlu-A、Flu-BのNタンパク質検出用コンジュゲーションパッドXを、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用コンジュゲーションパッド1の代わりにSARS-CoV-2のNタンパク質検出用コンジュゲーションパッドYを、それぞれ使用する以外は(6)Flu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片の作製と同様の方法で、Flu-A、Flu-B、SARS-CoV-2のNタンパク質検出用イムノクロマト試験片Xを作製し、(9)非特異吸着、(10)感度、(11)視認性を評価した。得られた結果を表2に示す。
Figure 2023016530000002
実施例1~14の試験片はテストラインA~C、およびコントロールラインが濃く発色しており、視認性も良好であった。一方、比較例1のデバイスはテストラインA~C、およびコントロールラインが薄く、また4本のラインが全て同じ色であるため、項目の識別に誤認を生じる可能性があった。
本発明により、Flu-AのNタンパク質、Flu-BのNタンパク質、およびSARS-CoV-2のNタンパク質を同時かつ高感度に検出し得るイムノクロマト試験片を提供することができる。
1:サンプルパッド
21:コンジュゲーションパッド1
22:コンジュゲーションパッド2
31:メンブレン1
32:メンブレン2
41:吸収パッド1
42:吸収パッド2
5:バッキングシート
6:テストラインAまたはB
7:テストラインBまたはA
8:テストラインC
91:コントロールライン1
92:コントロールライン2
10:粘着シート

Claims (7)

  1. (1)吸収パッド1と、
    (2)測定試料中のインフルエンザウイルスA(Flu-A)のヌクレオカプシドタンパク質(Nタンパク質)と特異的に結合する抗体A2を線状に固定したテストラインA、インフルエンザウイルスB(Flu-B)のNタンパク質と特異的に結合する抗体B2を線状に固定したテストラインB、および前記抗体A2またはB2と特異的に結合する抗体D1を線状に固定したコントロールライン1を具備したメンブレン1と、
    (3)Flu-AのNタンパク質と特異的に結合する抗体A1とセルロース系着色微粒子Aとの複合体、およびFlu-BのNタンパク質と特異的に結合する抗体B1とセルロース系着色微粒子Bとの複合体を担持したコンジュゲーションパッド1と、
    (4)サンプルパッドと、
    (5)測定試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のNタンパク質と特異的に結合する抗体C1とセルロース系着色微粒子Cとの複合体を担持したコンジュゲーションパッド2と、
    (6)SARS-CoV-2のNタンパク質と特異的に結合する抗体C2を線状に固定したテストラインC、および前記抗体C2と特異的に結合する抗体D2を線状に固定したコントロールライン2を具備したメンブレン2と、
    (7)吸収パッド2と、
    から構成されることを特徴とするイムノクロマト試験片。
  2. 前記吸収パッド1、前記メンブレン1、前記コンジュゲーションパッド1、前記サンプルパッド、前記コンジュゲーションパッド2、前記メンブレン2、および前記吸収パッド2が順に連接配置されていることを特徴とする請求項1に記載のイムノクロマト試験片。
  3. 前記テストラインAとテストラインBの発色が異なり、かつテストラインAまたはテストラインBの発色とテストラインCの発色とが同じであることを特徴とする請求項1または2に記載のイムノクロマト試験片。
  4. 前記テストラインA/テストラインB/テストラインCの発色がそれぞれ赤/青/赤、赤/青/青、青/赤/赤、青/赤/青のいずれかであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のイムノクロマト試験片。
  5. 前記テストラインAとテストラインBの発色が同じで、かつテストラインCの発色とは異なることを特徴とする請求項1または2に記載のイムノクロマト試験片。
  6. 前記テストラインA/テストラインB/テストラインCの発色がそれぞれ赤/赤/青、または青/青/赤であることを特徴とする請求項1、2または5のいずれかに記載のイムノクロマト試験片。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のイムノクロマト試験片、測定試料採取具、フィルター、測定試料希釈液からなることを特徴とするイムノクロマトキット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024005055A1 (ja) * 2022-06-30 2024-01-04 積水メディカル株式会社 検査方法、検査試薬、及び検査キット

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