JP2023013627A - 銅/セラミックス接合体、および、絶縁回路基板 - Google Patents

銅/セラミックス接合体、および、絶縁回路基板 Download PDF

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Abstract

【課題】厳しい冷熱サイクルを負荷した場合であっても、セラミックス部材における割れの発生を抑制でき、冷熱サイクル信頼性に優れた銅/セラミックス接合体を提供する。【解決手段】銅又は銅合金からなる銅部材12,13と、セラミックス部材11とが接合されてなる銅/セラミックス接合体10であって、セラミックス部材11と銅部材12,13との接合界面において、セラミックス部材11側には活性金属化合物層21が形成され、銅部材12,13のうちセラミックス部材11側には活性金属拡散領域23が形成されており、周縁部領域Aにおける活性金属拡散領域23Aの活性金属化合物層21Aからの最大到達距離LAおよび中央部領域Bにおける活性金属拡散領域23Bの活性金属化合物層21Bからの最大到達距離LBが20μm以上80μm以下の範囲内とされ、前記最大到達距離LAと前記最大到達距離LBとの差が10μm以下である。【選択図】図2

Description

この発明は、銅又は銅合金からなる銅部材と、セラミックス部材とが接合されてなる銅/セラミックス接合体、および、セラミックス基板の表面に、銅又は銅合金からなる銅板が接合されてなる絶縁回路基板に関するものである。
パワーモジュール、LEDモジュールおよび熱電モジュールにおいては、絶縁層の一方の面に導電材料からなる回路層を形成した絶縁回路基板に、パワー半導体素子、LED素子および熱電素子が接合された構造とされている。
例えば、風力発電、電気自動車、ハイブリッド自動車等を制御するために用いられる大電力制御用のパワー半導体素子は、動作時の発熱量が多いことから、これを搭載する基板としては、セラミックス基板と、このセラミックス基板の一方の面に導電性の優れた金属板を接合して形成した回路層と、セラミックス基板の他方の面に金属板を接合して形成した放熱用の金属層と、を備えた絶縁回路基板が、従来から広く用いられている。
例えば、特許文献1には、セラミックス基板の一方の面および他方の面に、銅板を接合することにより回路層および金属層を形成した絶縁回路基板が提案されている。この特許文献1においては、セラミックス基板の一方の面および他方の面に、Ag-Cu-Ti系ろう材を介在させて銅板を配置し、加熱処理を行うことにより銅板が接合されている(いわゆる活性金属ろう付け法)。
また、特許文献2においては、銅又は銅合金からなる銅板と、AlN又はAlからなるセラミックス基板とが、AgおよびTiを含む接合材を用いて接合されたパワーモジュール用基板が提案されている。
さらに、特許文献3には、銅又は銅合金からなる銅板と、窒化ケイ素からなるセラミックス基板とが、AgおよびTiを含む接合材を用いて接合されたパワーモジュール用基板が提案されている。
前述のように、Tiを含む接合材を用いて銅板とセラミックス基板とを接合した場合には、活性金属であるTiがセラミックス基板と反応することにより、接合材の濡れ性が向上し、銅板とセラミックス基板との接合強度が向上することになる。
特許第3211856号公報 特許第5757359号公報 特開2018-008869号公報
ところで、最近では、絶縁回路基板に搭載される半導体素子の発熱温度が高くなる傾向にあり、絶縁回路基板には、従来にも増して、厳しい冷熱サイクルに耐えることができる冷熱サイクル信頼性が求められている。
ここで、前述のように、Tiを含む接合材を用いて銅板とセラミックス基板とを接合した場合には、銅板側に活性金属であるTiが拡散し、CuとTiを含む金属間化合物が析出することで、接合界面近傍が硬くなり、冷熱サイクル負荷時にセラミックス部材に割れが生じ、冷熱サイクル信頼性が低下するおそれがあった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、厳しい冷熱サイクルを負荷した場合であっても、セラミックス部材における割れの発生を抑制でき、冷熱サイクル信頼性に優れた銅/セラミックス接合体、および、この銅/セラミックス接合体からなる絶縁回路基板を提供することを目的とする。
前述の課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、セラミックス部材と銅部材とを活性金属を含む接合材を用いて接合する際に、接合時に生成した液相が銅部材の中央部から周縁部側に排斥され、銅部材の周縁部に活性金属が相対的に多く存在することになり、セラミックス部材と銅部材との接合界面において、銅部材の周縁部領域が、中央部領域に比べて硬くなる傾向があることが分かった。そして、冷熱サイクル負荷時に、接合界面において硬い銅部材の周縁部領域に応力が集中し、セラミックス部材の割れが生じやすくなるとの知見を得た。
本発明は、前述の知見を基になされたものであって、本発明の銅/セラミックス接合体は、銅又は銅合金からなる銅部材と、セラミックス部材とが接合されてなる銅/セラミックス接合体であって、前記セラミックス部材と前記銅部材との接合界面において、前記セラミックス部材側には活性金属化合物層が形成されており、前記銅部材のうち前記セラミックス部材側には、活性金属(Ti,Zr,Nb,Hf)が前記セラミックス部材側から前記銅部材側へと拡散することにより、前記銅部材中の前記活性金属の濃度が0.5質量%以上である活性金属拡散領域が形成されており、前記銅部材の周縁部領域における前記活性金属拡散領域の前記活性金属化合物層からの前記最大到達距離Lおよび前記銅部材の中央部領域における前記活性金属拡散領域の前記活性金属化合物層からの前記最大到達距離Lが20μm以上80μm以下の範囲内とされるとともに、前記銅部材の周縁部領域における前記活性金属拡散領域の前記最大到達距離Lと、前記銅部材の中央部領域における前記活性金属拡散領域の前記最大到達距離Lとの差が10μm以下であることを特徴としている。
本発明の銅/セラミックス接合体によれば、前記銅部材の周縁部領域における前記活性金属拡散領域の前記活性金属化合物層からの前記最大到達距離Lおよび前記銅部材の中央部領域における前記活性金属拡散領域の前記活性金属化合物層からの前記最大到達距離Lが20μm以上80μm以下の範囲内とされているので、活性金属によってセラミックス部材と銅部材とが強固に接合されているとともに、接合界面が硬くなることが抑制される。
そして、前記銅部材の周縁部領域における前記活性金属拡散領域の前記最大到達距離Lと、前記銅部材の中央部領域における前記活性金属拡散領域の前記最大到達距離Lとの差が10μm以下とされているので、接合界面において、銅部材の周縁部領域が相対的に硬くなることが抑制され、冷熱サイクル負荷時におけるセラミックス部材の割れの発生を抑制でき、冷熱サイクル信頼性に優れている。
ここで、本発明の銅/セラミックス接合体においては、前記銅部材の周縁部領域に形成された前記活性金属化合物層の厚さt1および前記銅部材の中央部領域に形成された前記活性金属化合物層の厚さt1が0.05μm以上1.2μm以下の範囲内とされ、厚さ比t1/t1が0.7以上1.4以下の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、前記銅部材の周縁部領域に形成された前記活性金属化合物層の厚さt1および前記銅部材の中央部領域に形成された前記活性金属化合物層の厚さt1が0.05μm以上1.2μm以下の範囲内とされているので、活性金属によってセラミックス部材と銅部材とが確実に強固に接合されているとともに、接合界面が硬くなることがさらに抑制される。
そして、厚さ比t1/t1が0.7以上1.4以下の範囲内とされているので、前記銅部材の周縁部領域と中央部領域とで接合界面の硬さに大きな差が生じず、冷熱サイクル負荷時におけるセラミックス部材の割れの発生をさらに抑制することができる。
また、本発明の銅/セラミックス接合体においては、前記セラミックス部材と前記銅部材との接合界面において、前記銅部材側にはAg-Cu合金層が形成されており、前記銅部材の周縁部領域に形成された前記Ag-Cu合金層の厚さt2および前記銅部材の中央部領域に形成された前記Ag-Cu合金層の厚さt2が1μm以上30μm以下の範囲内とされ、厚さ比t2/t2が0.7以上1.4以下の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、前記銅部材の周縁部領域に形成された前記Ag-Cu合金層の厚さt2および前記銅部材の中央部領域に形成された前記Ag-Cu合金層の厚さt2が1μm以上30μm以下の範囲内とされているので、接合材のAgが銅部材と十分に反応してセラミックス部材と銅部材とが確実に強固に接合されているとともに、接合界面が硬くなることがさらに抑制される。
そして、厚さ比t2/t2が、0.7以上1.4以下の範囲内とされているので、前記銅部材の周縁部領域と中央部領域とで接合界面の硬さに大きな差が生じず、冷熱サイクル負荷時におけるセラミックス部材の割れの発生をさらに抑制することができる。
本発明の絶縁回路基板は、セラミックス基板の表面に、銅又は銅合金からなる銅板が接合されてなる絶縁回路基板であって、前記セラミックス基板と前記銅板との接合界面において、前記セラミックス基板側には活性金属化合物層が形成されており、前記銅板のうち前記セラミックス基板側には、活性金属(Ti,Zr,Nb,Hf)が前記セラミックス基板側から前記銅板側へと拡散することにより、前記銅板中の前記活性金属の濃度が0.5質量%以上である活性金属拡散領域が形成されており、前記銅板の周縁部領域における前記活性金属拡散領域の前記活性金属化合物層からの前記最大到達距離Lおよび前記銅板の中央部領域における前記活性金属拡散領域の前記活性金属化合物層からの前記最大到達距離Lが20μm以上80μm以下の範囲内とされるとともに、前記銅板の周縁部領域における前記活性金属拡散領域の前記最大到達距離Lと、前記銅板の中央部領域における前記活性金属拡散領域の前記最大到達距離Lとの差が10μm以下であることを特徴としている。
本発明の絶縁回路基板によれば、前記銅板の周縁部領域における前記活性金属拡散領域の前記活性金属化合物層からの前記最大到達距離Lおよび前記銅板の中央部領域における前記活性金属拡散領域の前記活性金属化合物層からの前記最大到達距離Lが20μm以上80μm以下の範囲内とされているので、活性金属によってセラミックス基板と銅板とが強固に接合されているとともに、接合界面が硬くなることが抑制される。
そして、前記銅板の周縁部領域における前記活性金属拡散領域の前記最大到達距離Lと、前記銅板の中央部領域における前記活性金属拡散領域の前記最大到達距離Lとの差が10μm以下とされているので、接合界面において、前記銅板の周縁部領域が相対的に硬くなることを抑制でき、冷熱サイクル負荷時におけるセラミックス基板の割れの発生を抑制でき、冷熱サイクル信頼性に優れている。
ここで、本発明の絶縁回路基板においては、前記銅板の周縁部領域に形成された前記活性金属化合物層の厚さt1および前記銅板の中央部領域に形成された前記活性金属化合物層の厚さt1が0.05μm以上1.2μm以下の範囲内とされ、厚さ比t1/t1が0.7以上1.4以下の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、前記銅板の周縁部領域に形成された前記活性金属化合物層の厚さt1および前記銅板の中央部領域に形成された前記活性金属化合物層の厚さt1が0.05μm以上1.2μm以下の範囲内とされているので、活性金属によってセラミックス基板と銅板とが確実に強固に接合されているとともに、接合界面が硬くなることがさらに抑制される。
そして、厚さ比t1/t1が0.7以上1.4以下の範囲内とされているので、前記銅板の周縁部領域と中央部領域とで接合界面の硬さに大きな差が生じず、冷熱サイクル負荷時におけるセラミックス基板の割れの発生をさらに抑制することが可能となる。
また、本発明の絶縁回路基板においては、前記セラミックス基板と前記銅板との接合界面において、前記銅板側にはAg-Cu合金層が形成されており、前記銅板の周縁部領域に形成された前記Ag-Cu合金層の厚さt2および前記銅板の中央部領域に形成された前記Ag-Cu合金層の厚さt2が1μm以上30μm以下の範囲内とされ、厚さ比t2/t2が0.7以上1.4以下の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、前記銅板の周縁部領域に形成された前記Ag-Cu合金層の厚さt2および前記銅板の中央部領域に形成された前記Ag-Cu合金層の厚さt2が1μm以上30μm以下の範囲内とされているので、接合材のAgが銅板と十分に反応してセラミックス基板と銅板とが確実に強固に接合されているとともに、接合界面が硬くなることがさらに抑制される。
そして、厚さ比t2/t2が、0.7以上1.4以下の範囲内とされているので前記銅板の周縁部領域と中央部領域とで接合界面の硬さに大きな差が生じず、冷熱サイクル負荷時におけるセラミックス基板の割れの発生をさらに抑制することができる。
本発明によれば、厳しい冷熱サイクルを負荷した場合であっても、セラミックス部材における割れの発生を抑制でき、冷熱サイクル信頼性に優れた銅/セラミックス接合体、および、この銅/セラミックス接合体からなる絶縁回路基板を提供することができる。
本発明の実施形態に係る絶縁回路基板を用いたパワーモジュールの概略説明図である。 本発明の実施形態に係る絶縁回路基板の回路層および金属層とセラミックス基板との接合界面の拡大説明図である。(a)が回路層および金属層の周縁部領域と中央部領域の説明図、(b)が周縁部領域、(c)が中央部領域である。 本発明の実施形態に係る絶縁回路基板の製造方法のフロー図である。 本発明の実施形態に係る絶縁回路基板の製造方法の概略説明図である。 本発明の実施形態に係る絶縁回路基板の製造方法における接合材配設工程の説明図である。
以下に、本発明の実施形態について添付した図面を参照して説明する。
本実施形態に係る銅/セラミックス接合体は、セラミックスからなるセラミックス部材としてのセラミックス基板11と、銅又は銅合金からなる銅部材としての銅板42(回路層12)および銅板43(金属層13)とが接合されてなる絶縁回路基板10である。図1に、本実施形態である絶縁回路基板10を備えたパワーモジュール1を示す。
このパワーモジュール1は、回路層12および金属層13が配設された絶縁回路基板10と、回路層12の一方の面(図1において上面)に接合層2を介して接合された半導体素子3と、金属層13の他方側(図1において下側)に配置されたヒートシンク5と、を備えている。
半導体素子3は、Si等の半導体材料で構成されている。この半導体素子3と回路層12は、接合層2を介して接合されている。
接合層2は、例えばSn-Ag系、Sn-In系、若しくはSn-Ag-Cu系のはんだ材で構成されている。
ヒートシンク5は、前述の絶縁回路基板10からの熱を放散するためのものである。このヒートシンク5は、銅又は銅合金で構成されており、本実施形態ではりん脱酸銅で構成されている。このヒートシンク5には、冷却用の流体が流れるための流路が設けられている。
なお、本実施形態においては、ヒートシンク5と金属層13とが、はんだ材からなるはんだ層7によって接合されている。このはんだ層7は、例えばSn-Ag系、Sn-In系、若しくはSn-Ag-Cu系のはんだ材で構成されている。
そして、本実施形態である絶縁回路基板10は、図1に示すように、セラミックス基板11と、このセラミックス基板11の一方の面(図1において上面)に配設された回路層12と、セラミックス基板11の他方の面(図1において下面)に配設された金属層13と、を備えている。
セラミックス基板11は、絶縁性および放熱性に優れた窒化ケイ素(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al)等のセラミックスで構成されている。本実施形態では、セラミックス基板11は、特に放熱性の優れた窒化アルミニウム(AlN)で構成されている。また、セラミックス基板11の厚さは、例えば、0.2mm以上1.5mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.635mmに設定されている。
回路層12は、図4に示すように、セラミックス基板11の一方の面(図4において上面)に、銅又は銅合金からなる銅板42が接合されることにより形成されている。
本実施形態においては、回路層12は、無酸素銅の圧延板がセラミックス基板11に接合されることで形成されている。
なお、回路層12となる銅板42の厚さは0.1mm以上2.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.6mmに設定されている。
金属層13は、図4に示すように、セラミックス基板11の他方の面(図4において下面)に、銅又は銅合金からなる銅板43が接合されることにより形成されている。
本実施形態においては、金属層13は、無酸素銅の圧延板がセラミックス基板11に接合されることで形成されている。
なお、金属層13となる銅板43の厚さは0.1mm以上2.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.6mmに設定されている。
ここで、セラミックス基板11と回路層12および金属層13との接合界面においては、図2に示すように、セラミックス基板11側から順に、活性金属化合物層21、Ag-Cu合金層22が形成されている。
また、回路層12および金属層13においては、セラミックス基板11との接合界面側には、活性金属(本実施形態ではTi)が回路層12側および金属層13側へと拡散することにより、回路層12および金属層13における活性金属の濃度が0.5質量%以上である活性金属拡散領域23が形成されている。
そして、本実施形態である絶縁回路基板10においては、図2に示すように、回路層12および金属層13の周縁部領域Aと中央部領域Bにおける界面構造について、以下のように規定されている。
なお、本実施形態において、回路層12および金属層13の周縁部領域Aは、図2(a)に示すように、回路層12および金属層13とセラミックス基板11との積層方向に沿った断面において、回路層12および金属層13の幅方向端部から20μm内方位置を起点としてさらに幅方向内方に200μmまでの領域である。
また、回路層12および金属層13の中央部領域Bは、図2(a)に示すように、回路層12および金属層13とセラミックス基板11との積層方向に沿った断面において、回路層12および金属層13の幅方向中心を含む幅方向200μmの領域である。
ここで、図2(b)に示すように、回路層12および金属層13との接合界面の周縁部領域Aにおいては、活性金属拡散領域23Aの活性金属化合物層21Aからの最大到達距離Lは、20μm以上80μm以下の範囲内とされている。
また、図2(c)に示すように、回路層12および金属層13との接合界面の中央部領域Bにおいては、活性金属拡散領域23Bの活性金属化合物層21Bからの最大到達距離Lは、20μm以上80μm以下の範囲内とされている。
そして、本実施形態においては、回路層12および金属層13との接合界面の周縁部領域Aにおける活性金属拡散領域23Aの最大到達距離Lと、回路層12および金属層13との接合界面の中央部領域Bにおける活性金属拡散領域23Bの最大到達距離Lとの差が10μm以下とされている。
また、本実施形態においては、回路層12および金属層13との接合界面の周縁部領域Aに形成された活性金属化合物層21Aの厚さt1、および、回路層12および金属層13との接合界面の中央部領域Bに形成された活性金属化合物層21Bの厚さt1が、0.05μm以上1.2μm以下の範囲内とされ、これらの厚さ比t1/t1が0.7以上1.4以下の範囲内とされていることが好ましい。
ここで、活性金属化合物層21(21A,21B)は接合材45で用いる活性金属(Ti,Zr,Nb,Hf)の化合物からなる層である。より具体的には、セラミックス基板が窒化ケイ素(Si)、窒化アルミニウム(AlN)からなる場合には、これらの活性金属の窒化物からなる層となり、セラミックス基板がアルミナ(Al)である場合には、これらの活性金属の酸化物からなる層となる。活性金属化合物層21(21A,21B)は活性金属化合物の粒子が集合して形成されている。この粒子の平均粒径は10nm以上100nm以下である。
なお、本実施形態では、接合材45が活性金属としてTiを含有し、セラミックス基板11が窒化アルミニウムで構成されているため、活性金属化合物層21(21A,21B)は、窒化チタン(TiN)で構成される。すなわち、活性金属化合物層21(21A,21B)は、平均粒径が10nm以上100nm以下の窒化チタン(TiN)の粒子が集合して形成されている。
さらに、本実施形態においては、回路層12および金属層13との接合界面の周縁部領域Aに形成されたAg-Cu合金層22Aの厚さt2と、回路層12および金属層13との接合界面の中央部領域Bに形成されたAg-Cu合金層22Bの厚さt2との比t2/t2が、0.7以上1.4以下の範囲内とされていることが好ましい。
また、Ag-Cu合金層22(22A、22B)の厚さは、1μm以上30μm以下とすることが好ましい。
以下に、本実施形態に係る絶縁回路基板10の製造方法について、図3および図4を参照して説明する。
(接合材配設工程S01)
回路層12となる銅板42と、金属層13となる銅板43とを準備する。
そして、回路層12となる銅板42および金属層13となる銅板43の接合面に、接合材45を塗布し、乾燥させる。ペースト状の接合材45の塗布厚さは、乾燥後で10μm以上50μm以下の範囲内とすることが好ましい。
本実施形態では、スクリーン印刷によってペースト状の接合材45を塗布する。
接合材45は、Agと活性金属(Ti,Zr,Nb,Hf)を含有するものとされている。本実施形態では、接合材45として、Ag-Ti系ろう材(Ag-Cu-Ti系ろう材)を用いている。なお、Ag-Ti系ろう材(Ag-Cu-Ti系ろう材)としては、例えば、Cuを0質量%以上45質量%以下の範囲内、活性金属であるTiを0.5質量%以上20質量%以下の範囲で含み、残部がAgおよび不可避不純物とされた組成のものを用いることが好ましい。
接合材45に含まれるAg粉の比表面積は、0.15m/g以上とすることが好ましく、0.25m/g以上とすることがさらに好ましく、0.40m/g以上とすることがより好ましい。一方、接合材45に含まれるAg粉の比表面積は、1.40m/g以下とすることが好ましく、1.00m/g以下とすることがさらに好ましく、0.75m/g以下とすることがより好ましい。
なお、ペースト状の接合材45に含まれるAg粉の粒径は、D10が0.7μm以上3.5μm以下、かつ、D100が4.5μm以上23μm以下の範囲内であることが好ましい。
ここで、後述する加圧および加熱工程S03において、積層方向に加圧することにより、発生した液相が銅板42,43の中央部から周縁部側へ排斥され、銅板42,43の周縁部に活性金属成分が比較的多く存在することになる。
よって、本実施形態では、図5に示すように、回路層12となる銅板42および金属層13となる銅板43の周縁部における接合材45Aの塗布厚さが、回路層12となる銅板42および金属層13となる銅板43の中央部における接合材45Bの塗布厚さよりも薄くなるように、接合材45を塗布している。
なお、回路層12となる銅板42および金属層13となる銅板43の周縁部における接合材45Aの塗布厚さと、中央部における接合材45Bの塗布厚さの差は、5μm以上15μm以下の範囲内とすることが好ましい。
(積層工程S02)
次に、セラミックス基板11の一方の面(図4において上面)に、接合材45を介して回路層12となる銅板42を積層するとともに、セラミックス基板11の他方の面(図4において下面)に、接合材45を介して金属層13となる銅板43を積層する。
(加圧および加熱工程S03)
次に、銅板42とセラミックス基板11と銅板43とを加圧した状態で、真空雰囲気の加熱炉内で加熱し、接合材45を溶融する。
ここで、加圧および加熱工程S03における加熱温度は、800℃以上850℃以下の範囲内とすることが好ましい。780℃から加熱温度までの昇温工程および加熱温度での保持工程における温度積分値の合計は、7℃・h以上80℃・h以下の範囲内とすることが好ましい。
また、加圧および加熱工程S03における加圧荷重は、0.029MPa以上2.94MPa以下の範囲内とすることが好ましい。
さらに、加圧および加熱工程S03における真空度は、1×10-6Pa以上5×10-2Pa以下の範囲内とすることが好ましい。
(冷却工程S04)
そして、加圧および加熱工程S03の後、冷却を行うことにより、溶融した接合材45を凝固させて、回路層12となる銅板42とセラミックス基板11、セラミックス基板11と金属層13となる銅板43とを接合する。
なお、この冷却工程S04における冷却速度は、2℃/min以上20℃/min以下の範囲内とすることが好ましい。なお、ここでの冷却速度は加熱温度からAg-Cu共晶温度である780℃までの冷却速度である。
以上のように、接合材配設工程S01、積層工程S02、加圧および加熱工程S03、冷却工程S04によって、本実施形態である絶縁回路基板10が製造されることになる。
(ヒートシンク接合工程S05)
次に、絶縁回路基板10の金属層13の他方の面側にヒートシンク5を接合する。
絶縁回路基板10とヒートシンク5とを、はんだ材を介して積層して加熱炉に装入し、はんだ層7を介して絶縁回路基板10とヒートシンク5とをはんだ接合する。
(半導体素子接合工程S06)
次に、絶縁回路基板10の回路層12の一方の面に、半導体素子3をはんだ付けにより接合する。
前述の工程により、図1に示すパワーモジュール1が製出される。
以上のような構成とされた本実施形態の絶縁回路基板10(銅/セラミックス接合体)によれば、回路層12および金属層13の周縁部領域Aにおける活性金属拡散領域23Aの活性金属化合物層21Aからの最大到達距離L、および、回路層12および金属層13の中央部領域Bにおける活性金属拡散領域23Bの活性金属化合物層21Bからの最大到達距離Lが20μm以上80μm以下の範囲内とされているので、活性金属によってセラミックス基板11と回路層12および金属層13とが強固に接合されているとともに、接合界面が硬くなることが抑制される。
なお、セラミックス基板11と回路層12および金属層13とをさらに強固に接合するためには、上述の活性金属拡散領域23(23A,23B)の活性金属化合物層21(21A,21B)からの最大到達距離L,Lを25μm以上とすることが好ましく、35μm以上とすることがより好ましい。
また、接合界面が必要以上に硬くなることをさらに抑制するためには、上述の活性金属拡散領域23(23A,23B)の活性金属化合物層21(21A,21B)からの最大到達距離L,Lを75μm以下とすることが好ましく、65μm以下とすることがより好ましい。
そして、回路層12および金属層13の周縁部領域Aにおける活性金属拡散領域23Aの最大到達距離Lと、回路層12および金属層13の中央部領域Bにおける活性金属拡散領域23Bの最大到達距離Lとの差が10μm以下とされているので、接合界面において、回路層12および金属層13の周縁部領域Aが相対的に硬くなることを抑制でき、冷熱サイクル負荷時におけるセラミックス基板11の割れの発生を抑制でき、冷熱サイクル信頼性に優れている。
なお、冷熱サイクル信頼性をさらに向上させるためには、回路層12および金属層13の周縁部領域Aにおける活性金属拡散領域23Aの最大到達距離Lと、回路層12および金属層13の中央部領域Bにおける活性金属拡散領域23Bの最大到達距離Lとの差を8μm以下とすることが好ましく、6μm以下とすることがより好ましい。
また、本実施形態において、回路層12および金属層13の周縁部領域Aに形成された活性金属化合物層21Aの厚さt1A、および、回路層12および金属層13の中央部領域Bに形成された活性金属化合物層21Bの厚さt1が、0.05μm以上1.2μm以下の範囲内とされている場合には、活性金属によってセラミックス基板11と回路層12および金属層13とが確実に強固に接合されているとともに、接合界面が硬くなることがさらに抑制される。
なお、セラミックス基板11と回路層12および金属層13とをさらに強固に接合するためには、回路層12および金属層13の周縁部領域Aに形成された活性金属化合物層21Aの厚さt1、および、回路層12および金属層13の中央部領域Bに形成された活性金属化合物層21Bの厚さt1を、0.08μm以上とすることが好ましく、0.15μm以上とすることがより好ましい。
また、接合界面が必要以上に硬くなることをさらに抑制するためには、回路層12および金属層13の周縁部領域Aに形成された活性金属化合物層21Aの厚さt1、および、回路層12および金属層13の中央部領域Bに形成された活性金属化合物層21Bの厚さt1を、1.0μm以下とすることが好ましく、0.6μm以下とすることがより好ましい。
さらに、本実施形態において、回路層12および金属層13の周縁部領域Aに形成された活性金属化合物層21Aの厚さt1、および、回路層12および金属層13の中央部領域Bに形成された活性金属化合物層21Bの厚さt1の比t1/t1が、0.7以上1.4以下の範囲内とされている場合には、回路層12および金属層13の周縁部領域Aと中央部領域Bとで接合界面の硬さに大きな差が生じず、冷熱サイクル負荷時におけるセラミックス基板11の割れの発生をさらに抑制することが可能となる。
なお、冷熱サイクル負荷時におけるセラミックス基板11の割れの発生をさらに抑制するためには、回路層12および金属層13の周縁部領域Aに形成された活性金属化合物層21Aの厚さt1、および、回路層12および金属層13の中央部領域Bに形成された活性金属化合物層21Bの厚さt1の比t1/t1を、0.8以上1.2以下の範囲内とすることがさらに好ましく、0.9以上1.1以下の範囲内とすることがより好ましい。
また、本実施形態において、回路層12および金属層13の周縁部領域Aに形成されたAg-Cu合金層22Aの厚さt2、および、回路層12および金属層13の中央部領域Bに形成されたAg-Cu合金層22Bの厚さt2が、1μm以上30μm以下の範囲内とされている場合には、後述する接合材45のAgと回路層12および金属層13とが十分に反応し、セラミックス基板11と回路層12および金属層13とが確実に強固に接合されているとともに、接合界面が硬くなることがさらに抑制される。
なお、セラミックス基板11と回路層12および金属層13とをさらに強固に接合するためには、回路層12および金属層13の周縁部領域Aに形成されたAg-Cu合金層22Aの厚さt2、および、回路層12および金属層13の中央部領域Bに形成されたAg-Cu合金層22Bの厚さt2を、3μm以上とすることが好ましく、5μm以上とすることがより好ましい。
また、接合界面が必要以上に硬くなることをさらに抑制するためには、回路層12および金属層13の周縁部領域Aに形成されたAg-Cu合金層22Aの厚さt2、および、回路層12および金属層13の中央部領域Bに形成されたAg-Cu合金層22Bの厚さt2を、25μm以下とすることが好ましく、15μm以下とすることがより好ましい。
さらに、本実施形態において、回路層12および金属層13の周縁部領域Aに形成されたAg-Cu合金層22Aの厚さt2と、回路層12および金属層13の中央部領域Bに形成されたAg-Cu合金層22Bの厚さt2との比t2/t2が、0.7以上1.4以下の範囲内とされている場合には、回路層12および金属層13の周縁部領域Aと中央部領域Bとで接合界面の硬さに大きな差が生じず、冷熱サイクル負荷時におけるセラミックス基板の割れの発生をさらに抑制することができる。
なお、冷熱サイクル負荷時におけるセラミックス基板11の割れの発生をさらに抑制するためには、回路層12および金属層13の周縁部領域Aに形成されたAg-Cu合金層22Aの厚さt2と、回路層12および金属層13の中央部領域Bに形成されたAg-Cu合金層22Bの厚さt2との比t2/t2を、0.8以上1.2以下の範囲内とすることがさらに好ましく、0.9以上1.1以下の範囲内とすることがより好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、絶縁回路基板に半導体素子を搭載してパワーモジュールを構成するものとして説明したが、これに限定されることはない。例えば、絶縁回路基板の回路層にLED素子を搭載してLEDモジュールを構成してもよいし、絶縁回路基板の回路層に熱電素子を搭載して熱電モジュールを構成してもよい。
また、本実施形態の絶縁回路基板では、セラミックス基板として、窒化アルミニウム(AlN)で構成されたものを例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、アルミナ(Al)、窒化ケイ素(Si)等の他のセラミックス基板を用いたものであってもよい。
さらに、本実施形態では、接合材に含まれる活性金属としてTiを例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、Ti,Zr,Hf,Nbから選択される1種又は2種以上の活性金属を含んでいればよい。なお、これらの活性金属は、水素化物として含まれていてもよい。
また、本実施形態では、銅板の周縁部および中央部における接合材の塗布厚さを調整することで、回路層および金属層の周縁部領域における活性金属拡散領域の最大到達距離Lと、回路層および金属層の中央部領域における活性金属拡散領域の最大到達距離Lを制御するものとして説明したが、これに限定されることはなく、銅板の周縁部および中央部で、塗布する接合材を異なるものとして、回路層および金属層の周縁部領域における活性金属拡散領域の最大到達距離Lと、回路層および金属層の中央部領域における活性金属拡散領域の最大到達距離Lを制御してもよい。
例えば、接合材に含まれるAg粉の比表面積(BET値)を調整することにより、前述の最大到達距離を制御することができる。すなわち、Ag粉の比表面積が小さいとペースト状の接合材の焼結性が高くなり、加圧および加熱工程において液相が発生し易くなり、活性金属の拡散が促進され、前述の最大到達距離が長くなる。一方、Ag粉の比表面積が大きいとペースト状の接合材の焼結性が低くなり、加圧および加熱工程において液相が発生し難くなり、活性金属の拡散が抑制され、前述の最大到達距離が短くなる。
また、含まれる活性金属の種類や量の異なる接合材を用いて、銅板の周縁部と中央部とで塗り分けてもよい。
さらに、本実施形態においては、回路層を、無酸素銅の圧延板をセラミックス基板に接合することにより形成するものとして説明したが、これに限定されることはなく、銅板を打ち抜いた銅片を回路パターン状に配置された状態でセラミックス基板に接合されることによって回路層を形成してもよい。この場合、それぞれの銅片において、上述のようなセラミックス基板との界面構造を有していればよい。
また、本実施形態では、銅板の接合面に接合材を配設するものとして説明したが、これに限定されることはなく、セラミックス基板と銅板の間に接合材が配設されていればよく、セラミックス基板の接合面に接合材を配設してもよい。
以下に、本発明の効果を確認すべく行った確認実験の結果について説明する。
まず、表1記載のセラミックス基板(40mm×40mm)を準備した。なお、厚さは、AlNおよびAlは0.635mm、Siは0.32mmとした。
また、回路層および金属層となる銅板として、無酸素銅からなり、表1に示す厚さの37mm×37mmの銅板を準備した。
回路層および金属層となる銅板の周縁部に、表1に示すBET値のAg粉を含む接合材を、乾燥後の目標厚さが表1に示す値となるよう塗布した。
また、回路層および金属層となる銅板の中央部に、表1に示すBET値のAg粉を含む接合材を、乾燥後の目標厚さが表1に示す値となるよう塗布した。
なお、接合材はペースト材を用い、Ag,Cu,活性金属の量は表1の通りとした。
また、Ag粉のBET値(比表面積)はQUANTACHRROME社製AUTOSORB-1を用い、前処理として150℃で30分加熱の真空脱気を行い、N吸着、液体窒素77K、BET多点法で測定した。
セラミックス基板の一方の面に、回路層となる銅板を積層した。また、セラミックス基板の他方の面に、金属層となる銅板を積層した。
この積層体を、積層方向に加圧した状態で加熱し、Ag-Cu液相を発生させた。このとき、加圧荷重を0.294MPaとし,温度積分値は表2の通りとした。
そして、加熱した積層体を冷却することにより、回路層となる銅板とセラミックス基板と金属層となる金属板を接合し、絶縁回路基板(銅/セラミックス接合体)を得た。
得られた絶縁回路基板(銅/セラミックス接合体)について、活性金属拡散領域、活性金属化合物層、Ag-Cu合金層、冷熱サイクル信頼性を、以下のようにして評価した。
(活性金属拡散領域の最大到達距離)
回路層とセラミックス基板との接合界面、および、セラミックス基板と金属層との接合界面の断面を、EPMA装置によって観察し、回路層および金属層中の活性金属に関して元素マップ(幅200μm×高さ200μm)を、それぞれ5視野ずつ取得した。
そして、活性金属の濃度が0.5質量%以上である活性金属拡散領域の活性金属化合物層からの最大到達距離を測定した。なお、活性金属の濃度は、Ag、Cu、活性金属の各濃度の合算を100質量%とした値である。各5視野、計10視野での最大到達距離のうち、最も大きい最大到達距離を表2に記載した。
(活性金属化合物層)
回路層とセラミックス基板との接合界面、および、セラミックス基板と金属層との接合界面の断面を、走査型電子顕微鏡(カールツァイスNTS社製ULTRA55、加速電圧1.8kV)を用いて倍率30000倍で測定し、エネルギー分散型X線分析法により、N、O及び活性金属元素の元素マッピングをそれぞれ5視野取得した。活性金属元素とNまたはOが同一領域に存在する場合に活性金属化合物層が有ると判断した。
それぞれ5視野、計10視野で観察を行い、活性金属元素とNまたはOが同一領域に存在する範囲の面積を測定した幅で割ったものの平均値を「活性金属化合物層の厚さ」として表2に記載した。
(Ag-Cu合金層)
回路層とセラミックス基板との接合界面、および、セラミックス基板と金属層との接合界面の断面を、EPMA装置を用いて、Ag,Cu,活性金属の各元素マッピングを取得した。それぞれ5視野で各元素マッピングを取得した。
そして、Ag+Cu+活性金属=100質量%としたとき、Ag濃度が15質量%以上である領域をAg-Cu合金層とし、その面積を求めて、測定領域の幅で割った値(面積/測定領域の幅)を求めた。その値の平均をAg-Cu合金層の厚さとして表2に記載した。
(冷熱サイクル信頼性)
上述の絶縁回路基板を、セラミックス基板の材質に応じて、下記の冷熱サイクルを負荷し、SAT検査によりセラミックス割れの有無を判定した。評価結果を表2に示す。
AlN,Alの場合:-40℃×5min←→150℃×5minを500サイクルまで50サイクル毎にSAT検査。
Siの場合:-40℃×5min←→150℃×5minを2000サイクルまで200サイクル毎にSAT検査。
Figure 2023013627000002
Figure 2023013627000003
まず、セラミックス基板としてAlNを用いた本発明例1-3と比較例1,2とを比較する。
比較例1においては、銅板の周縁部領域における活性金属拡散領域の最大到達距離Lと、銅板の中央部領域における活性金属拡散領域の前記最大到達距離Lとの差が15μmとされるとともに、銅板の周縁部領域における活性金属拡散領域の最大到達距離Lが12μmとされており、冷熱サイクル試験において割れ発生回数が200回となった。
比較例2においては、銅板の周縁部領域における活性金属拡散領域の最大到達距離Lが16μm、銅板の中央部領域における活性金属拡散領域の前記最大到達距離Lが19μmとされており、冷熱サイクル試験において割れ発生回数が150回となった。
これに対して、本発明例1-3においては、銅板の周縁部領域における活性金属拡散領域の活性金属化合物層からの最大到達距離Lおよび銅板の中央部領域における活性金属拡散領域の活性金属化合物層からの最大到達距離Lが20μm以上80μm以下の範囲内とされるとともに、前記最大到達距離Lと前記最大到達距離Lとの差が10μm以下とされており、冷熱サイクル試験において割れ発生回数が300~500回となり、冷熱サイクル信頼性に優れていた。
次に、セラミックス基板としてSiを用いた本発明例4-6と比較例3,4とを比較する。
比較例3においては、銅板の周縁部領域における活性金属拡散領域の最大到達距離Lが108μm、銅板の中央部領域における活性金属拡散領域の前記最大到達距離Lが102μmとされており、冷熱サイクル試験において割れ発生回数が1200回となった。
比較例4においては、銅板の周縁部領域における活性金属拡散領域の最大到達距離Lと、銅板の中央部領域における活性金属拡散領域の前記最大到達距離Lとの差が14μmとされており、冷熱サイクル試験において割れ発生回数が1400回となった。
これに対して、本発明例4-6においては、銅板の周縁部領域における活性金属拡散領域の活性金属化合物層からの最大到達距離Lおよび銅板の中央部領域における活性金属拡散領域の活性金属化合物層からの最大到達距離Lが20μm以上80μm以下の範囲内とされるとともに、前記最大到達距離Lと前記最大到達距離Lとの差が10μm以下とされており、冷熱サイクル試験において割れ発生回数が1600~2000回超えとなり、冷熱サイクル信頼性に優れていた。
次に、セラミックス基板としてAlを用いた本発明例7,8と比較例5とを比較する。
比較例5においては、銅板の周縁部領域における活性金属拡散領域の最大到達距離Lが16μm、銅板の中央部領域における活性金属拡散領域の最大到達距離Lが18μmとされており、冷熱サイクル試験において割れ発生回数が50回となった。
これに対して、本発明例7,8においては、銅板の周縁部領域における活性金属拡散領域の活性金属化合物層からの最大到達距離Lおよび銅板の中央部領域における活性金属拡散領域の活性金属化合物層からの最大到達距離Lが20μm以上80μm以下の範囲内とされるとともに、前記最大到達距離Lと前記最大到達距離Lとの差が10μm以下とされており、冷熱サイクル試験において割れ発生回数が350~450回となり、冷熱サイクル信頼性に優れていた。
以上の確認実験の結果から、本発明例によれば、厳しい冷熱サイクルを負荷した場合であっても、セラミックス部材における割れの発生を抑制でき、冷熱サイクル信頼性に優れた絶縁回路基板(銅/セラミックス接合体)を提供可能であることが確認された。
10 絶縁回路基板(銅/セラミックス接合体)
11 セラミックス基板(セラミックス部材)
12 回路層(銅部材)
13 金属層(銅部材)
21(21A,21B) 活性金属化合物層
22(22A,22B) Ag-Cu合金層
23(23A,23B) 活性金属拡散領域

Claims (6)

  1. 銅又は銅合金からなる銅部材と、セラミックス部材とが接合されてなる銅/セラミックス接合体であって、
    前記セラミックス部材と前記銅部材との接合界面において、前記セラミックス部材側には活性金属化合物層が形成されており、
    前記銅部材のうち前記セラミックス部材側には、活性金属(Ti,Zr,Nb,Hf)が前記セラミックス部材側から前記銅部材側へと拡散することにより、前記銅部材中の前記活性金属の濃度が0.5質量%以上である活性金属拡散領域が形成されており、
    前記銅部材の周縁部領域における前記活性金属拡散領域の前記活性金属化合物層からの前記最大到達距離Lおよび前記銅部材の中央部領域における前記活性金属拡散領域の前記活性金属化合物層からの前記最大到達距離Lが20μm以上80μm以下の範囲内とされるとともに、
    前記銅部材の周縁部領域における前記活性金属拡散領域の前記最大到達距離Lと、前記銅部材の中央部領域における前記活性金属拡散領域の前記最大到達距離Lとの差が10μm以下であることを特徴とする銅/セラミックス接合体。
  2. 前記銅部材の周縁部領域に形成された前記活性金属化合物層の厚さt1および前記銅部材の中央部領域に形成された前記活性金属化合物層の厚さt1が0.05μm以上1.2μm以下の範囲内とされ、厚さ比t1/t1が0.7以上1.4以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1に記載の銅/セラミックス接合体。
  3. 前記セラミックス部材と前記銅部材との接合界面において、前記銅部材側にはAg-Cu合金層が形成されており、
    前記銅部材の周縁部領域に形成された前記Ag-Cu合金層の厚さt2および前記銅部材の中央部領域に形成された前記Ag-Cu合金層の厚さt2が1μm以上30μm以下の範囲内とされ、厚さ比t2/t2が0.7以上1.4以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の銅/セラミックス接合体。
  4. セラミックス基板の表面に、銅又は銅合金からなる銅板が接合されてなる絶縁回路基板であって、
    前記セラミックス基板と前記銅板との接合界面において、前記セラミックス基板側には活性金属化合物層が形成されており、
    前記銅板のうち前記セラミックス基板側には、活性金属(Ti,Zr,Nb,Hf)が前記セラミックス基板側から前記銅板側へと拡散することにより、前記銅板中の前記活性金属の濃度が0.5質量%以上である活性金属拡散領域が形成されており、
    前記銅板の周縁部領域における前記活性金属拡散領域の前記活性金属化合物層からの前記最大到達距離Lおよび前記銅板の中央部領域における前記活性金属拡散領域の前記活性金属化合物層からの前記最大到達距離Lが20μm以上80μm以下の範囲内とされるとともに、
    前記銅板の周縁部領域における前記活性金属拡散領域の前記最大到達距離Lと、前記銅板の中央部領域における前記活性金属拡散領域の前記最大到達距離Lとの差が10μm以下であることを特徴とする絶縁回路基板。
  5. 前記銅板の周縁部領域に形成された前記活性金属化合物層の厚さt1および前記銅板の中央部領域に形成された前記活性金属化合物層の厚さt1が0.05μm以上1.2μm以下の範囲内とされ、厚さ比t1/t1が0.7以上1.4以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項4に記載の絶縁回路基板。
  6. 前記セラミックス基板と前記銅板との接合界面において、前記銅板側にはAg-Cu合金層が形成されており、
    前記銅板の周縁部領域に形成された前記Ag-Cu合金層の厚さt2および前記銅板の中央部領域に形成された前記Ag-Cu合金層の厚さt2が1μm以上30μm以下の範囲内とされ、厚さ比t2/t2が0.7以上1.4以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の絶縁回路基板。
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