JP2014060216A - ヒートシンク付パワーモジュール用基板、ヒートシンク付パワーモジュール、及びヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属層13及びヒートシンク31は、Cu又はCu合金で構成され、前記金属層13と前記ヒートシンク31との間にAl又はAl合金で構成された接合材が配設され前記金属層13及び前記ヒートシンク31と前記接合材が固相拡散接合されることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
そして、このようなパワーモジュール用基板は、その回路層上に、はんだ材を介してパワー素子としての半導体素子が搭載され、パワーモジュールとされる。
さらには、金属層とヒートシンクの間に、はんだと比べて熱伝導の良好なAl又はAl合金で構成された接合材が存在しているので、初期の熱抵抗を低減することが可能となる。
また、酸化物が、前記金属層と前記第一拡散層、及び前記ヒートシンクと前記第二拡散層との接合界面に沿って、層状に分散していることから、接合材の表面に形成された酸化膜が破壊されて固相拡散接合が十分に進行している。
この場合、金属層及びアルミニウム層の平均結晶粒径が比較的大きく設定されているので、金属層及びアルミニウム層には、過剰な歪が蓄積されておらず、疲労特性が良好となる。したがって、ヒートサイクル負荷において、金属層とアルミニウム層との間に生じる熱応力に対する接合信頼性が向上する。
接合材の厚さが0.1mm以上に設定されているので、ヒートサイクルが負荷された際にパワーモジュール用基板とヒートシンクとの間に生じる熱応力を確実に吸収し、絶縁層に割れが生じることを抑制できる。また、接合材の厚さが3.0mm以下に設定されているので、熱抵抗を十分に低くでき、はんだを用いた場合と比べて初期の熱抵抗を低減することが可能となる。
本発明のヒートシンク付パワーモジュールによれば、上記のようなヒートシンク付パワーモジュール用基板を備えているので、初期の熱抵抗が低く、かつヒートサイクル負荷において絶縁層に割れが発生することを抑制するとともに熱抵抗の上昇を抑制し、半導体素子の動作の安定性を向上させることができる。
このような構成にすることで、金属層と接合材、及びヒートシンクと接合材とが、確実に固相拡散接合される。また、このようにして固相拡散接合を行うと、金属層と接合材、及びヒートシンクと接合材との間に隙間が生じ難いので、金属層と接合材、及びヒートシンクと接合材との接合界面における熱伝導を良好にし、熱抵抗を低減できる。また、この固相拡散接合によって形成された接合界面は強固に接合されており、ヒートサイクルが負荷された場合に、剥離が生じ難く熱抵抗の上昇を抑制することができる。
図1に、本発明の実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール1、ヒートシンク付パワーモジュール用基板30、パワーモジュール用基板10を示す。
このヒートシンク付パワーモジュール1は、ヒートシンク付パワーモジュール用基板30と、このヒートシンク付パワーモジュール用基板30の一方側(図1において上側)にはんだ層2を介して接合された半導体素子3と、を備えている。
半導体素子3は、半導体を備えた電子部品であり、必要とされる機能に応じて種々の半導体素子が選択される。本実施形態では、半導体素子3は、IGBT素子とされている。
接合材50は、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることができる。接合材50がアルミニウム又はアルミニウム合金で構成されていることから、強度が十分に低く、ヒートサイクルが負荷された際にパワーモジュール用基板10とヒートシンク31との間に生じる熱応力を確実に吸収し、セラミックス基板11に割れが生じることを抑制できる。接合材50は、さらに純度99%以上のアルミニウム(いわゆる2NAl)で構成することができる。この場合、熱抵抗が十分に低いので、ヒートシンク付パワーモジュール用基板30の熱抵抗を低減できる。
本実施形態においては、接合材50は、純度99.99%以上のAl(いわゆる4NAl)の圧延板によって構成されている。なお、接合材50の厚さは、0.1mm以上3.0mm以下に設定されていることが好ましい。
第一拡散層41は、金属層13のCu(銅原子)と、接合材50のAl(アルミニウム原子)とが相互拡散することによって形成されるものである。この第一拡散層41においては、金属層13からアルミニウム層40に向かうに従い、漸次Cuの濃度が低くなり、かつAlの濃度が高くなる濃度勾配を有している。
本実施形態では、図3に示すように、3種の金属間化合物が積層された構造とされており、金属層13側からアルミニウム層40側に向けて順に、ζ2相43、η2相44、θ相45とされている。
本実施形態では、図4に示すように、3種の金属間化合物が積層された構造とされており、ヒートシンク31側からアルミニウム層40側に向けて順に、ζ2相43、η2相44、θ相45とされている。
さらに、本実施形態では、金属層13とヒートシンク31の平均結晶粒径が50μm以上200μm以下の範囲内とされ、第一拡散層41と第二拡散層42との間に形成されるAl又はAl合金からなるアルミニウム層40の平均結晶粒径が500μm以上とされている。
まず、図6に示すように、セラミックス基板11の一方の面及び他方の面に、ろう材を介して銅板22、23を積層する。そして、加圧・加熱後冷却することによって、セラミックス基板11と銅板22、23を接合し、回路層12及び金属層13を形成する(回路層及び金属層形成工程S11)。なお、このろう付けの温度は、800℃〜900℃に設定されている。
こうして、パワーモジュール用基板10が得られる。
なお、真空加熱のより望ましい温度範囲は、AlとCuとの共晶温度である548℃(共晶温度含まず)から共晶温度−5℃の範囲とされている。
そして、回路層12の一方側(表面)に、はんだ材を介して半導体素子3を載置し、還元炉内においてはんだ接合する(半導体素子接合工程S13)。
このようにして、本実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール1が製出される。
さらには、金属層13とヒートシンク31とが、はんだと比べて熱伝導の良好な4NAlで構成された接合材50によって接合されているので、初期の熱抵抗を低減することが可能となる。
以下に、本発明の効果を確認すべく行った確認実験の結果について説明する。
図5のフロー図に記載した手順に従って、荷重15kgf/cm2、温度540℃、30分の条件で固相拡散接合を行い、発明例1〜5のヒートシンク付パワーモジュールを作製した。
なお、セラミックス基板は、AlNで構成され、40mm×40mm、厚さ0.635mmのものを使用した。
回路層は、無酸素銅の圧延板で構成され、37mm×37mm、厚さ0.3mmのものを使用した。
金属層は、無酸素銅の圧延板で構成され、37mm×37mm、厚さ0.3mmのものを使用した。
接合材は、Alの圧延板で構成され、37mm×37mmのものを使用した。接合材のAlの純度、及び厚さは、表1に示すように設定した。
ヒートシンクは、無酸素銅の圧延板で構成され、50mm×50mm、厚さ5mmのものを使用した。
また、固相拡散接合は、真空加熱炉内の圧力が、10−6Pa以上、10−3Pa以下の範囲内で行った。
半導体素子は、IGBT素子とし、12.5mm×9.5mm、厚さ0.25mmのものを使用した。
回路層となる無酸素銅の圧延板(37mm×37mm、厚さ0.3mm)とAlNで構成されたセラミックス基板(40mm×40mm、厚さ0.635mm)と金属層となる無酸素銅の圧延板(37mm×37mm、厚さ0.3mm)とを、Ag−27.4質量%Cu−2.0質量%Tiのろう材箔を介して積層し、積層方向に5kgf/cm2で加圧した状態で、真空加熱炉内に装入し、850℃で10分加熱することによって接合し、パワーモジュール用基板を作製した。次にパワーモジュール用基板とヒートシンク(無酸素銅の圧延板、50mm×50mm、厚さ5mm)とをSn−Ag−Cuはんだを介して接合した。そして、IGBT素子(12.5mm×9.5mm、厚さ0.25mm)をSn−Ag−Cuはんだを用いてはんだ付けし、ヒートシンク付パワーモジュールを作成した。
得られた積層板の断面をクロスセクションポリッシャ(日本電子株式会社製SM−09010)を用いて、イオン加速電圧:5kV、加工時間:14時間、遮蔽板からの突出量:100μmでイオンエッチングした後に観察し、接合界面近傍における銅板及びアルミニウム板の平均結晶粒径を測定した。なお、この平均結晶粒径の測定は、JIS H 0501記載の切断法に準拠して実施した。
(酸化物の測定方法)
クロスセクションポリッシャ(日本電子株式会社製SM−09010)を用いて、イオン加速電圧:5kV、加工時間:14時間、遮蔽板からの突出量:100μmでイオンエッチングした断面を走査型電子顕微鏡(カール ツァイスNTS社製ULTRA55)を用いて、加速電圧:1kV、WD:2.5mmでIn−Lens像を撮影すると、Cuと金属間化合物層の界面に沿って層状に分散した白いコンラストが得られた。また同条件にてESB像を撮影すると、前記箇所はAlより暗いコントラストになっていた。さらにEDS分析から前記箇所に酸素が濃集していた。以上のことからCuと金属間化合物層との界面には、酸化物が、前記界面に沿って層状に分散していることを確認した。
なお、平均結晶粒径の測定及び酸化物の測定は、金属層と接合材の接合界面にて行った。
(ヒートサイクル試験)
ヒートサイクル試験は、冷熱衝撃試験機エスペック社製TSB−51を使用し、試験片(ヒートシンク付パワーモジュール)に対して、液相(フロリナート)で、−40℃×5分←→125℃×5分の3000サイクル実施した。
このヒートサイクル試験において、500サイクル毎にセラミックス基板の割れの有無を確認し、割れが発生するまでのサイクル数を測定した。
また、ヒートサイクル試験前のヒートシンク付パワーモジュールの熱抵抗(初期の熱抵抗)、及びヒートサイクル試験後のヒートシンク付パワーモジュールの熱抵抗を測定した。
熱抵抗は、次のようにして測定した。半導体素子として、ヒータチップを用い、ヒータチップを100Wの電力で加熱し、熱電対を用いてヒータチップの温度を実測した。また、ヒートシンクを流通する冷却媒体(エチレングリコール:水=9:1)の温度を実測した。そして、ヒータチップの温度と冷却媒体の温度差を電力で割った値を熱抵抗とした。
上記の評価の結果を表1に示す。
従来例1では、初期の熱抵抗が高く、ヒートサイクル試験においてはんだにクラックが生じ、ヒートサイクル試験後の熱抵抗が大きく上昇した。
3 半導体素子
10 パワーモジュール用基板
11 セラミックス基板
12 回路層
13 金属層
30 ヒートシンク付パワーモジュール用基板
31 ヒートシンク
40 アルミニウム層
41 第一拡散層(拡散層)
42 第二拡散層(拡散層)
46 酸化物
50 接合材
Claims (7)
- 絶縁層と、この絶縁層の一方の面に形成された回路層と、前記絶縁層の他方の面に形成された金属層と、前記絶縁層の他方の面側に配設されたヒートシンクと、前記金属層と前記ヒートシンクとの間に配設された接合材と、を備えたヒートシンク付パワーモジュール用基板であって、
前記金属層及び前記ヒートシンクは、Cu又はCu合金で構成され、
前記金属層及び前記ヒートシンクが、Al又はAl合金で構成された前記接合材と固相拡散接合されていることを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板。 - 前記金属層と前記接合材の接合界面には、AlとCuからなる第一拡散層が形成され、前記ヒートシンクと前記接合材の接合界面には、AlとCuからなる第二拡散層が形成されており、
前記第一拡散層及び前記第二拡散層は、複数の金属間化合物が前記接合界面に沿って積層した構造とされ、
酸化物が、前記金属層と前記第一拡散層、及び前記ヒートシンクと前記第二拡散層との接合界面に沿って、層状に分散していることを特徴とする請求項1に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板。 - 前記金属層の平均結晶粒径が50μm以上200μm以下の範囲内とされ、前記第一拡散層と前記第二拡散層の間に形成されたAl又はAl合金からなるアルミニウム層の平均結晶粒径が500μm以上とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板。
- 前記接合材の厚さは、0.1mm以上3.0mm以下とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板と、前記回路層の一方側に接合された半導体素子と、を備えていることを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール。
- 絶縁層と、この絶縁層の一方の面に形成された回路層と、前記絶縁層の他方の面に形成された金属層と、前記絶縁層の他方の面側に配設されたヒートシンクと、を備えたヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法であって、
前記絶縁層の他方の面に、Cu又はCu合金で構成された金属層を形成する金属層形成工程と、
前記絶縁層の他方の面側に、Al又はAl合金で構成された接合材を介在させて、Cu又はCu合金で構成されたヒートシンクを接合するヒートシンク接合工程と、を備え、
前記ヒートシンク接合工程において、前記金属層と前記接合材、及び前記ヒートシンクと前記接合材、とを固相拡散接合することを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法。 - 前記ヒートシンク接合工程において、
前記金属層と前記ヒートシンクに対して、3kgf/cm2以上35kgf/cm2以下の荷重を負荷した状態で、400℃以上548℃未満で保持することにより、前記金属層と前記接合材、及び前記ヒートシンクと前記接合材とを固相拡散接合することを特徴とする請求項6に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法。
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