JP2023008067A - ポリウレタンフォーム及びシートクッション - Google Patents

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Abstract

Figure 2023008067000001
【課題】薄肉化した時であっても、たわみ感が大きいポリウレタンフォーム、及び、これを用いたシートクッションを提供すること。
【解決手段】ポリウレタンフォームは、直径が1000μm以上である大径セルと、直径が1000μm未満である小径セルとを含み、Mlarge/Msmall比が5.0以上である。但し、Msmallは、前記ポリウレタンフォームに含まれるすべてのセルの中から無作為に100個以上のセルを選び、前記セルの直径の個数基準の積算分布を求めた場合において、前記積算分布における積算値が0%から10%の範囲にある前記セルの直径の算術平均、Mlargeは、前記積算分布における積算値が90%から100%の範囲にある前記セルの直径の算術平均。
【選択図】図4

Description

本発明は、ポリウレタンフォーム及びシートクッションに関し、さらに詳しくは、薄肉化しても高いクッション感が得られるポリウレタンフォーム、及び、このようなポリウレタンフォームをシートパッドとして用いたシートクッションに関する。
自動車用シートは、シートクッション(座面部)とシートバック(背面部)とが分離しているタイプと、両者が一体化しているタイプとがある。
また、自動車用シートは、一般に、
(a)乗員が着座したときに、乗員の荷重を受け止めるためのシートパッドと、
(b)シートパッドを支持するためのフレームと、
(c)シートパッドの外表面を覆うトリムカバーと
を備えている。
シートパッドには、一般に、軟質ポリウレタンフォームが用いられる。
シートパッドを備えた自動車用シートに乗員が着座すると、シートパッドに加わる荷重の大きさに比例して、シートパッドが荷重方向に圧縮される。シートパッドに加わる荷重の大きさは、自動車用シートの形状、シートバックの傾き、自動車用シートに接触する人体の部位、乗員の姿勢などに応じて異なる。そのため、シートパッドの硬さが場所によらず一定であると、座り心地の悪いシートとなる場合がある。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、2種類の整泡剤(シリコーン系界面活性剤又は脂肪酸エステル化合物)を含む発泡原料を発泡成形する軟質ポリウレタンフォーム成形品の製造方法が開示されている。
同文献には、
(a)このような方法により、表面(着座面)から厚み方向に向かって漸次にセル径が増大している軟質ポリウレタンフォーム成形品が得られる点、及び、
(b)2種類の整泡剤の添加量を変えることにより、セル径を変えることができる点
が記載されている。
特許文献2には、シートの座り心地の改善を目的とするものではないが、整泡剤及びSiO2(破泡剤)を含む発泡原料を発泡成形する軟質ポリウレタン発泡体の製造方法が開示されている。
同文献には、
(a)このような方法により、海綿状のセル構造(粗いセルと微細なセルが混在している二重セル構造)を有し、低密度で海綿のように軟らかい軟質ポリウレタン発泡体が得られる点、及び、
(b)SiO2は、発泡時に形成されるセルを粗くする作用がある点
が記載されている。
特許文献3には、シートの座り心地の改善を目的とするものではないが、軟質フォーム用3官能性ポリオールと、親水性ポリオールと、ポリオキシアルキレン変成ポリシロキサン(硬質用の破泡性シリコン)を含む発泡原料を発泡成形する粗泡性軟質ウレタンフォームの製造方法が開示されている。
同文献には、このような方法により、5~10mmφの粗泡を有する粗泡性軟質ウレタンフォームが得られる点が記載されている。
特許文献4には、シートの座り心地の改善を目的とするものではないが、
(a)ポリオール、架橋剤、発泡剤(蒸留水)、触媒、及び消泡剤(ポリブテン)を含む混合液を作製し、
(b)これにさらにイソシアネートを加えて攪拌し、
(c)混合液を金型に注入し、混合液を発泡させる
ウレタンフォーム成形品の製造方法が開示されている。
同文献には、
(a)このような方法により、ハロゲン化された炭化水素系の発泡剤を使用しなくても、表面層に高密度表層を有するウレタンフォーム成形品が得られる点、及び
(b)消泡剤を添加しなかった場合、高密度表層と中間フォーム層の密度差が消泡剤を用いた場合に比べて大きくならない点
が記載されている。
特許文献5には、シートの座り心地の改善を目的とするものではないが、ポリオール、ポリイソシアネート化合物、触媒、及び発泡剤を含む反応性混合物を反応させ、発泡硬化させる場合において、ポリオールとして、所定の製造方法で得られたポリオキシアルキレンポリオールを用いることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法が開示されている。
同文献には、
(A)複合金属シアン化物錯体触媒を用いた従来の方法で合成されたポリオールを使用して軟質ポリウレタンフォームを製造すると、発泡成形したフォームが収縮して所望の形状が得られない場合がある点、及び、
(B)ポリオールとして、所定の製造方法で得られたポリオキシアルキレンポリオールを用いると、フォームの収縮を改善でき、機械的特性に優れた軟質ポリウレタンフォームを製造できる点
が記載されている。
自動車用シートクッションにおいて、昨今、燃費向上のため、あるいは、ハイブリッド車において電池の設置スペースを確保するために、リアクッションの厚みが薄くなる傾向にある。しかしながら、微細なセルが均一に分散している従来のポリウレタンフォームを用いて薄肉のシートパッドを作製した場合、
(a)たわみ感が小さい、
(b)たわみが大きくなった時に底付感が感じられる、
(c)クッション感が小さい
などの薄肉化に特有の問題が生じる。
一方、特許文献1には、表面(着座面)から厚み方向に向かって漸次にセル径を増大させると、乗り心地が良好なシートが得られる点が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の方法では、上述した薄肉化に特有の問題を解決することはできない。
特開2019-205613号公報 特許第4898322号公報 特公平02-057808号公報 特開平06-087945号公報 特許第5549945号公報
本発明が解決しようとする課題は、薄肉化した時であっても、たわみ感が大きいポリウレタンフォームを提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、このようなポリウレタンフォームを用いたシートクッションを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係るポリウレタンフォームは、
直径が1000μm以上である大径セルと、
直径が1000μm未満である小径セルと
を含み、
large/Msmall比が5.0以上であることを要旨とする。
但し、
smallは、前記ポリウレタンフォームに含まれるすべてのセルの中から無作為に100個以上のセルを選び、前記セルの直径の個数基準の積算分布を求めた場合において、前記積算分布における積算値が0%から10%の範囲にある前記セルの直径の算術平均、
largeは、前記積算分布における積算値が90%から100%の範囲にある前記セルの直径の算術平均。
さらに、本発明に係るシートクッションは、本発明に係るポリウレタンフォームをシートパッドとして用いたものからなる。
大径セルと小径セルとが混在している構造(ダブルセル構造)を備えたポリウレタンフォームにおいて、Mlarge/Msmall比を最適化すると、薄肉化した時であっても、たわみ感が大きいポリウレタンフォームが得られる。これは、低荷重域では主として大径セルが変形し、高荷重域では大径セルが完全に潰れた後、さらに小径セルがたわむためと考えられる。
図1(A)~図1(C)は、それぞれ、実施例6~8で得られたポリウレタンフォームの断面の光学顕微鏡写真である。 図2(A)~図2(C)は、それぞれ、実施例6~8で得られたポリウレタンフォームの断面に現れるセルの中から無作為に選んだ100個のセルの直径である。
実施例6~9及び比較例1で得られたポリウレタンフォームのFS特性である。 実施例1~5で得られたポリウレタンフォームのFS特性である。 実施例6~9及び比較例1で得られたポリウレタンフォームの振動曲線である。 実施例1~5で得られたポリウレタンフォームの振動曲線である。 実施例6~9及び比較例1で得られたポリウレタンフォームの自由落下試験の結果である。 実施例1~2、4~5で得られたポリウレタンフォームの自由落下試験の結果である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. ポリウレタンフォーム]
本発明に係るポリウレタンフォームは、後述する方法により得られる。そのため、本発明に係るポリウレタンフォームは、以下のような特徴がある。
[1.1. セル構造]
一般に、ポリウレタンフォームは、
(a)大半の気泡(セル)が連通気泡である連通気泡構造体、
(b)大半の気泡(セル)が独立気泡である独立気泡構造体、又は、
(c)連通気泡構造体と独立気泡構造体の中間の性質を持つ構造体
に大別される。
後述する方法を用いると、
(a)独立気泡を含む軟質ポリウレタンフォーム、又は、
(b)独立気泡の少ない又は独立気泡を含まないポリウレタンフォーム
が得られる。
[1.2. セル径分布]
「大径セル」とは、直径が1000μm以上であるセルをいう。
「小径セル」とは、直径が1000μm未満であるセルをいう。
「セルの直径」とは、セルの長さが最小となる方向の長さ(例えば、セルがいびつで楕円形状の場合には、楕円の短径)をいう。
消泡剤は、ポリウレタンフォームのセルの直径を大きくする作用がある。また、消泡剤を含む原料混合物を用いると、大径セルと小径セルが混在している構造(以下、これを「ダブルセル構造」ともいう)を備えたポリウレタンフォームが得られる。この時、原料混合物の組成を制御すると、セル径分布を変化させることができる。
[1.2.1. Mlarge/Msmall比]
「Msmall」とは、ポリウレタンフォームに含まれるすべてのセルの中から無作為に100個以上のセルを選び、セルの直径の個数基準の積算分布を求めた場合において、積算分布における積算値が0%から10%の範囲にあるセルの直径の算術平均をいう。
「Mlarge」とは、積算分布における積算値が90%から100%の範囲にあるセルの直径の算術平均をいう。
large/Msmall比は、大径セルと小径セルの直径の比率であって、セルの不均一さの指標である。ダブルセル構造を備えたポリウレタンフォームの場合、大径セル間に存在するポリウレタンの骨格自体が小径セルを含んだ発泡体からなる。Mlarge/Msmall比が小さくなるほど、ダブルセル構造特有の組織(大径セル間にある骨格が小径セルを含んだ発泡体からなる組織)が得られにくくなる。その結果、Mlarge/Msmall比が小さくなるほど、その物性値は、セル構造が均一である発泡体の物性値に近づく。
骨格内にある小径セルは、連通気泡である場合と、独立気泡である場合がある。
一方、Mlarge/Msmall比が大きくなるほど、たわみ係数が小さくなり、高荷重域においてより大きくたわむことができる。これは、たわみの初期には大径セルが変形し、高荷重域ではさらに小径セルが変形するためである。たわみ係数を2.8以下にするためには、Mlarge/Msmall比は、5.0以上が好ましい。Mlarge/Msmall比は、さらに好ましくは、6.0以上、さらに好ましくは、8.0以上である。
一方、Mlarge/Msmall比が大きくなりすぎると、硬さ(25%ILD)が低くなりすぎ、シートパッドとして適さなくなる。従って、Mlarge/Msmall比は、40.0以下が好ましい。Mlarge/Msmall比は、さらに好ましくは、30.0以下である。
[1.2.2. 全セルの直径の変動係数]
「全セルの直径の変動係数(CVtotal)」とは、全セルの直径の平均値(mtotal)に対する全セルの直径の標準偏差(σtotal)の割合(=σtotal×100/mtotal)をいう。
「全セルの直径の平均値(mtotal)」とは、ポリウレタンフォームに含まれるすべてのセルの中から無作為に選んだ100個以上のセルの直径の平均値をいう。
「全セルの直径の標準偏差(σtotal)」とは、ポリウレタンフォームに含まれるすべてのセルの中から無作為に選んだ100個以上のセルの直径の標準偏差をいう。
本発明に係るポリウレタンフォームは、ダブルセル構造を取るため、CVtotalが相対的に大きい。一般に、CVtotalが小さくなるほど、ダブルセル構造特有の組織が得られにくくなり、たわみ係数が大きくなる。たわみ係数を2.8以下にするためには、CVtotalは、50%以上が好ましい。CVtotalは、さらに好ましくは、70%以上、さらに好ましくは、90%以上である。
一方、CVtotalが大きくなりすぎると、硬さ(25%ILD)が低くなりすぎ、シートパッドとして適さなくなる。従って、CVtotalは、500%以下が好ましい。CVtotalは、さらに好ましくは、400%以下、さらに好ましくは、300%以下である。
[1.2.3. 小径セルの直径の変動係数]
「小径セルの直径の変動係数(CVsmall)」とは、小径セルの直径の平均値(msmall)に対する小径セルの直径の標準偏差(σsmall)の割合(=σsmall×100/msmall)をいう。
「小径セルの直径の平均値(msmall)」とは、ポリウレタンフォームに含まれるすべてのセルの中から無作為に選んだ100個以上のセルに含まれる小径セルの直径の平均値をいう。
「小径セルの直径の標準偏差(σsmall)」とは、ポリウレタンフォームに含まれるすべてのセルの中から無作為に選んだ100個以上のセルに含まれる小径セルの直径の標準偏差をいう。
CVsmallは、小径セルの直径の安定性を示す指標である。一般に、CVsmallが小さくなるほど、大径セル間の骨格に均一な大きさを有する小径セルが均一に分散した組織が得られやすくなる。その結果、引張強度が高くなる。このような効果を得るためには、CVsmallは、70%以下が好ましい。CVsmallは、さらに好ましくは、60%以下、さらに好ましくは、50%以下である。
一方、CVsmallが小さくなりすぎると、引張強度が低くなる場合がある。従って、CVsmallは、10%以上が好ましい。CVsmallは、さらに好ましくは、20%以上、さらに好ましくは、30%以上である。
[1.2.4. 小径セルの直径の平均値]
本発明において、小径セルの直径の平均値(msmall)は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な値を選択することができる。後述する方法を用いると、msmallが300μm以上500μm以下であるポリウレタンフォームが得られる。
[1.2.5. 大径セルの直径の変動係数]
「大径セルの直径の変動係数(CVlarge)」とは、大径セルの直径の平均値(msmall)に対する大径セルの直径の標準偏差(σlarge)の割合(=σlarge×100/mlarge)をいう。
「大径セルの直径の平均値(mlarge)」とは、ポリウレタンフォームに含まれるすべてのセルの中から無作為に選んだ100個以上のセルに含まれる大径セルの直径の平均値をいう。
「大径セルの直径の標準偏差(σlarge)」とは、ポリウレタンフォームに含まれるすべてのセルの中から無作為に選んだ100個以上のセルに含まれる大径セルの直径の標準偏差をいう。
CVlargeは、大径セルの直径の安定性を示す指標である。一般に、CVlargeが大きくなりすぎると、大径セルが過度に粗大となりやすい。その結果、部位毎のセル径のバラツキが大きくなり、硬さやたわみのバラツキも大きくなる。また、硬さ(25%ILD)も低下する。従って、CVlargeは、80%以下が好ましい。CVlargeは、さらに好ましくは、70%以下、さらに好ましくは、60%以下である。
一方、CVlargeが小さくなりすぎると、部位毎のセル径のバラツキが小さくなり、硬さやたわみのバラツキも小さくなり、薄肉化した時に底付き感が出てしまう。従って、CVlargeは、0%超が好ましい。CVlargeは、さらに好ましくは、10%以上である。
[1.2.6. 大径セルの直径の平均値]
大径セルの直径の平均値(mlarge)は、ポリウレタンフォームのたわみ係数、成形性などに影響を与える。一般に、mlargeが小さくなりすぎると、たわみ係数が均一なセル構造を有する従来のポリウレタンフォームのたわみ係数に近づく。従って、mlargeは、1400μm以上が好ましい。
一方、mlargeが大きくなりすぎると、ポリウレタンフォームの成形性が悪化する。また、mlargeが大きくなりすぎると、ポリウレタンフォームの体積に占めるセルの体積の割合が過度に大きくなる。その結果、硬さ(25%ILD)が過度に低下し、クッション感が小さくなる。従って、mlargeは、5000μm以下が好ましい。
[1.2.7. 変動係数差ΔCV]
「変動係数差ΔCV(%)」とは、CVlarge-CVsmallをいう。
ΔCVは、400N静バネ定数に影響を与える。ΔCVが小さくなりすぎると、400N静バネ定数が過度に大きくなる。その結果、高荷重域でのたわみ量が少なくなる。従って、ΔCVは、-30%以上が好ましい。ΔCVは、さらに好ましくは、-20%以上、さらに好ましくは、-10%以上である。
一方、ΔCVが大きくなりすぎると、かえって400N静バネ定数が大きくなる。従って、ΔCVは、60%以下が好ましい。ΔCVは、さらに好ましくは、50%以下、さらに好ましくは、40%以下である。
[1.3. FS(Force-Strain)特性]
[1.3.1. たわみ係数]
「たわみ係数」とは、JIS K6400-2:2012に準拠して測定される値であって、75%の予備圧縮の後、一定の速度で75%まで圧縮した時の、65%圧縮での力(F65%)を25%圧縮での力(F25%)で除した値(=F65%/F25%)をいう。
本発明に係るポリウレタンフォームは、ダブルセル構造を取るため、ダブルセル構造を取らないポリウレタンフォームに比べてたわみ係数が小さい。一般に、たわみ係数が小さくなるほど高荷重域においてより大きくたわみ、クッション感が大きくなる。このような効果を得るためには、たわみ係数は、2.8以下が好ましい。たわみ係数は、好ましくは、2.7以下、さらに好ましくは、2.4以下である。
一方、たわみ係数が小さくなりすぎると、たわみ量が大きくなりすぎ、底付感が大きくなる。従って、たわみ係数は、2.0以上が好ましい。たわみ係数は、さらに好ましくは、2.1以上、さらに好ましくは、2.2以上である。
[1.3.2. 400N静バネ定数]
「400N静バネ定数(N/mm)」とは、荷重が400NであるときのFS(Force-Strain)曲線の接線の傾きをいう。
本発明に係るポリウレタンフォームは、ダブルセル構造を取るため、ダブルセル構造を取らないポリウレタンフォームに比べて400N静バネ定数が小さい。一般に、400N静バネ定数が小さくなるほど、着座時のフォームの感触が柔らかく感じ、クッション感が大きくなる。このような効果を得るためには、400N静バネ定数は、9.0N/mm以下が好ましい。400N静バネ定数は、さらに好ましくは、8.0N/mm以下である。
一方、400N静バネ定数が小さくなりすぎると、ポリウレタンフォームの反発力が過度に小さくなる。従って、400N静バネ定数は、5.0N/mm以上が好ましい。400N静バネ定数は、好ましくは、6.0N/mm以上、さらに好ましくは、7.0N/mm以上である。
[1.4. 振動特性]
[1.4.1. 共振倍率]
「共振倍率」とは、JASO B407に準拠して測定される値をいう。具体的には、質量が50kgfの鉄研形の加圧盤を用い、振動台を全幅5mmで上下に加振させた時の加圧盤の絶対変位量を測定し、絶対変位量から共振倍率を算出した。加振振動数の値は、1Hzから11Hzまでとした。
本発明に係るポリウレタンフォームは、ダブルセル構造を取るため、ダブルセル構造を取らないポリウレタンフォームに比べて共振倍率が大きい。一般に、共振倍率が大きくなるほど、より大きなクッション感が得られる。このような効果を得るためには、共振倍率は、2.3以上が好ましい。共振倍率は、さらに好ましくは、2.8以上、さらに好ましくは、3.0以上である。
一方、共振倍率が大きくなりすぎると、ポリウレタンフォームが振動を伝えて大きく振幅する。その結果、着座時にフォームが跳ねすぎ、かえって座り心地が悪化する。従って、共振倍率は、6.0以下が好ましい。共振倍率は、さらに好ましくは、5.5以下、さらに好ましくは、5.0以下である。
[1.4.2. 共振周波数]
「共振周波数」とは、上記共振倍率の測定時に算出される値であって、ポリウレタンフォームが共振するときの周波数をいう。
一般に、共振周波数が小さくなるほど、ウレタンフォームの樹脂弾性率が高くなり、クッション性を感じやすい。このような効果を得るためには、共振周波数は、3Hz~4Hzが好ましい。
[1.4.3. 6Hz倍率]
「6Hz倍率」とは、共振倍率を測定した時に算出される値であって、ポリウレタンフォームを6Hzで振動させたときの、振幅A0に対する加圧盤の振幅A3の比(=A3/A0)をいう。
人間の内臓の共振周波数は、約6Hzである。そのため、本発明に係るポリウレタンフォームを用いてシートクッションを製造した場合において、ポリレタンフォームの6Hz倍率が小さくなるほど、乗員の内臓が受ける振動を小さくすることができる。このような効果を得るためには、6Hz倍率は、1.0以下が好ましい。6Hz倍率は、好ましくは、0.9以下、さらに好ましくは、0.8以下である。6Hz倍率は、小さいほど良い。
[1.5. 減衰特性: 対数減衰率]
「対数減衰率(λ)」とは、JASO B408に準拠して測定される値であって、次の式(1)で表される値をいう。
λ=loge(1/n)(a0/a1+a1/a2+…+an-1/an) …(1)
ここに、
a:振幅、
n:読んだ波形の数で、第1波形の振幅(a0)の10%未満になるまで読む。
本発明に係るポリウレタンフォームは、ダブルセル構造を取るため、ダブルセル構造を取らないポリウレタンフォームに比べて対数減衰率(λ)が小さい。一般に、λが小さくなるほど、より大きなクッション感が得られる。このような効果を得るためには、λは、3.5以下が好ましい。λは、さらに好ましくは、2.5以下、さらに好ましくは、1.5以下である。
[1.6. コア密度]
ポリオールとイソシアネートを含む原料混合物を型に流し込み、発泡させると、型との接触面近傍は発泡倍率の低い層(スキン層)となり、中心部は発泡倍率の高い層(コア層)となる。
「コア密度」とは、JASO B408に準拠して測定される値であって、コア層の見掛け密度をいう。
一般に、コア密度が大きくなりすぎると、ポリウレタンフォームの重量が増加する。従って、コア密度は、80kg/m3以下が好ましい。コア密度は、さらに好ましくは、75kg/m3以下、さらに好ましくは、70kg/m3以下である。
一方、コア密度が小さくなりすぎると、かえってクッション性が低下し、シートに適用したときに乗り心地が悪化する。また、長期に渡って使用すると、へたりが生じやすくなる。従って、コア密度は、35kg/m3以上が好ましい。コア密度は、さらに好ましくは、40kg/m3以上、さらに好ましくは、45kg/m3以上である。
[1.7. 通気度]
「通気度(A法)」とは、JIS K6400-7 A法(サンプルサイズ:51×51×25mm)に準拠して測定される値をいう。
「通気度(B法)」とは、JIS K6400-7 B法(サンプル厚み:10mm)に準拠して測定される値をいう。
ポリウレタンフォームの通気度(A法)は、共振倍率、反発性、クッション感などに影響を与える。一般に、通気度(A法)が大きくなるほど、反発が良くなる。このような効果を得るためには、通気度(A法)は、10L/min以上が好ましい。通気度(A法)は、さらに好ましくは、20L/min以上さらに好ましくは、30L/min以上である。
但し、通気度(A法)が大きくなりすぎると、製造が困難となる場合がある。従って、通気度(A法)は、100L/min以下が好ましい。通気度(A法)は、さらに好ましくは、80L/min以下である。
同様に、ポリウレタンフォームの通気度(B法)は、共振倍率、反発性、クッション感などに影響を与える。一般に、通気度(B法)が大きくなるほど、反発が良くなる。このような効果を得るためには、通気度(B法)は、10cm3/cm2/s以上が好ましい。通気度(B法)は、さらに好ましくは、15cm3/cm2/s以上、さらに好ましくは、20cm3/cm2/s以上である。
但し、通気度(B法)が大きくなりすぎると、製造が困難となる場合がある。従って、通気度(B法)は、150cm3/cm2/s以下が好ましい。通気度(B法)は、さらに好ましくは、100cm3/cm2/s以下である。
なお、本発明に係るポリウレタンフォームは、通気度(A法)又は通気度(B法)に関する上述した条件の内、いずれか一方を満たすものでも良く、あるいは、双方を満たすものでも良い。
[2. 用途]
本発明に係るポリウレタンフォームは、種々の用途に用いることができる。本発明に係るポリウレタンフォームの用途としては、例えば、
(a)自動車用シートのシートクッション用のシートパッド、
(b)自動車用シートのシートバック用のシートパッド、
(c)マットレス、座椅子、ソファー、洗車用スポンジ、洗浄用スポンジ、束子、
などがある。
本発明に係るポリウレタンフォームは、高荷重域でのたわみが大きいため、厚さを薄くしても必要なたわみ量を確保することができる。そのため、これをシートクッション用のシートパッドとして用いると、厚さが相対的に薄いにもかかわらず、たわみ感の大きいシートクッションが得られる。
[3. ポリウレタンフォームの製造方法]
本発明に係るポリウレタンフォームの製造方法は、
イソシアネートと、ポリオールと、発泡剤と、触媒と、消泡剤とを含み、さらに、シリコーン系整泡剤を含み又は含まない原料混合物を得る第1工程と、
前記原料混合物を反応させる第2工程と
を備えている。
[3.1. 第1工程]
まず、イソシアネートと、ポリオールと、発泡剤と、触媒と、消泡剤とを含み、シリコーン系整泡剤を含み又は含まない原料混合物を得る(第1工程)。
[3.1.1. 原料]
[A. イソシアネート]
本発明において、イソシアネートの種類は特に限定されない。イソシアネートは、芳香族系、脂環式、脂肪族系のいずれであっても良い。また、イソシアネートは、1分子中に2個のイソシアネートを有する2官能のイソシアネートであっても良く、あるいは、1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する3官能以上のイソシアネートであっても良い。さらに、出発原料には、これらのいずれか1種のイソシアネートを用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
2官能の芳香族系イソシアネートとしては、例えば、
2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、
m-フェニレンジイソシネート、p-フェニレンジイソシアネート、
4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-MDI)、
2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4'-MDI)、
2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2'-MDI)、
キシリレンジイソシアネート、
3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニレンジイソネート、
3,3'-ジメトキシ-4,4'-ビフェニレンジイソシアネートなどがあり、これらの混合物であっても良い。
2官能の脂環式イソシアネートとしては、例えば、
シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、
ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート、
メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどがある。
2官能の脂肪族系イソシアネートとしては、例えば、
ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、
イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンイソシアネート
などがある。2官能以上のイソシアネートとしては、ポリメリックMDI、3官能以上のイソシアネートなどがある。
3官能以上のイソシアネートとしては、例えば、
1-メチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、
1,3,5-トリメチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、
ビフェニル-2,4,4'-トリイソシアネート、
ジフェニルメタン-2,4,4'-トリイソシアネート、
メチルジフェニルメタン-4,6,4'-トリイソシアネート、
4,4'-ジメチルジフェニルメタン-2,2',5,5'テトライソシアネート、
トリフェニルメタン-4,4',4"-トリイソシアネート、
などがある。
[B. ポリオール]
本発明において、ポリオールの種類は特に限定されない。ポリオールは、エーテル系ポリオールであっても良く、あるいは、エステル系ポリオールであっても良い。さらに、出発原料には、これらのいずれか1種のポリオールを用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
エーテル系ポリオールとしては、例えば、
(a)エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、
ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコール、
(b)多価アルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオール
などがある。
エステル系ポリオールとしては、例えば、
(a)マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族グリコール等とから重縮合して得られたポリエステルポリオール、
(b)フタル酸エステルポリオール
などがある。
[C. 発泡剤]
発泡剤は、ポリウレタン中に気泡を生成させるためのものである。発泡剤は、
(a)熱分解又は化学反応によりガスを発生させる化学発泡剤(例えば、イソシアネート基と反応してCO2を発生させる水)と、
(b)圧力低下又は加熱によりガスを発生させる物理発泡剤(例えば、高圧下で樹脂中に溶解させたペンタン、シクロペンタン、メチレンクロライド、炭酸ガスなど)
などがある。
これらの中でも、発泡剤は、水が好ましい。これは、水とイソシアネートとが反応することにより発生した炭酸ガスが発泡を促しながら、水とイソシアネートが反応することにより発生した熱が樹脂の硬化を促進するためである。
[D. 触媒]
ポリウレタンを合成するためには、イソシアネートとポリオールとの反応を促進させるための触媒(樹脂化触媒)を原料中に添加することが好ましい。
また、発泡剤として化学発泡剤、特に水を用いる場合には、水とイソシアネートとの反応を促進させ、ガスを発生させるための触媒(泡化触媒)を原料中に添加することが好ましい。
本発明において、触媒の種類は特に限定されない。
樹脂化触媒としては、例えば、1,2-ジメチルイミダゾール、
1-メチルイミダゾール、
N・(N',N'-ジメチルアミノエチル)-モルホリン、テトラメチルグアニジン、
ジメチルアミノエタノール、トリエチレンジアミン、
N-メチル-N'-(2ヒドロキシエチル)-ピペラジン、
N,N,N',N'-テトラメチルプロパン1,3-ジアミン、
N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、
N,N,N',N",N"-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、
N,N'-ジメチルピペラジン、
N,N,N',N'-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミン、
N,N,N',N",N"-ペンタメチルジプロピレン-トリアミン、
N-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、
エチレングリコールビス(3-ジメチル)-アミノプロピルエーテル、
N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、
N-メチル-N'-(2ジメチルアミノ)エチルピペラジン
等のアミン系触媒などがある。
発泡剤が水である場合、泡化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、N,N,N',N",N"-ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルアミノモルフォリン、N-エチルモルホリン、テトラメチルグアニジン等のアミン触媒などがある。
[E. 消泡剤]
原料混合物中にシリコーン系整泡剤と消泡剤を同時に添加する場合において、原料混合物の組成を最適化すると、独立気泡を含み、かつ、ダブルセル構造を有するポリウレタンフォームを得ることができる。
一方、原料混合物中にシリコーン系整泡剤を添加せず、かつ、消泡剤を添加すると、独立気泡の少ない又は独立気泡を含まず、かつ、ダブルセル構造を有するポリウレタンフォームを得ることができる。消泡剤は、このような機能を奏するものである限りにおいて、特に限定されない。
消泡剤としては、例えば、脂肪酸エステル、ワセリンなどがある。消泡剤には、これらのいずれか1種を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらの中でも、消泡剤は、脂肪酸エステルが好ましい。これは、セルが合一しやすく、大きいセル径を持つフォームになり、ダブルセル構造が形成されやすいためである。
[F. 整泡剤]
一般に、整泡剤は、ポリウレタンを製造する各原料の相溶性を高める作用、混合原料の表面張力を調整する作用、及び、発泡剤により生成した気泡を安定化させる作用があると言われている。整泡剤としては、例えば、
(a)ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン系界面活性剤、
(b)ポリエーテルシロキサン等のシリコーン系界面活性剤、
などがある。
上述したように、原料混合物中にシリコーン系整泡剤と消泡剤を同時に添加する場合において、原料混合物の組成を最適化すると、独立気泡を含み、かつ、ダブルセル構造を有するポリウレタンフォームを得ることができる。
一方、原料混合物中にシリコーン系整泡剤を添加せず、かつ、消泡剤を添加する場合において、原料混合物の組成を最適化すると、独立気泡の少ない又は独立気泡を含まず、かつ、ダブルセル構造を有するポリウレタンフォームを得ることができる。
[3.1.2. 添加量]
[A. イソシアネートインデックス]
「イソシアネートインデックス」とは、原料(ポリオール、発泡剤等)中の活性水素基のモル数に対する、原料中のイソシアネート基のモル数の割合(=(NCO当量/活性水素当量)×100)をいう。
イソシアネートインデックスが小さくなりすぎると、樹脂の形成が促進されず、硬度や強度が低下したり、あるいは、発泡が困難になる場合がある。従って、イソシアネートインデックスは、70以上が好ましい。イソシアネートインデックスは、好ましくは、80以上、さらに好ましくは、90以上である。
一方、イソシアネートインデックスが大きくなりすぎると、ウレタンフォームが硬くなりすぎる。従って、イソシアネートインデックスは、120以下が好ましい。イソシアネートインデックスは、好ましくは、115以下、さらに好ましくは、110以下である。
[B. 発泡剤]
発泡剤の添加量は、発泡剤の種類に応じて最適な量を選択するのが好ましい。
例えば、発泡剤が水である場合、発泡剤の添加量が少なくなりすぎると、気泡の生成量が不足し、所望の発泡構造が得られない。従って、発泡剤の添加量は、ポリオール100質量部に対して、1.0質量部以上が好ましい。発泡剤の添加量は、好ましくは、2.0質量部以上、さらに好ましくは、3.0質量部以上である。
一方、発泡剤の添加量が過剰になると、イソシアネートインデックスを維持するためには、イソシアネートの添加量を増やす必要がある。その結果、発泡剤とイソシアネートとの反応が過度に進行し、発熱温度が過度に高くなる場合がある。また、発泡剤の添加量が過剰になると、型内の圧力が高くなりすぎる場合がある。従って、発泡剤の添加量は、ポリオール100質量部に対して、10質量部以下が好ましい。発泡剤の添加量は、好ましくは、6質量部以下、さらに好ましくは、5質量部以下である。
[C. 触媒]
触媒を1種類以上用いる。触媒の合計量は、好ましくは、ポリオール100質量部に対して、0.1~5.0質量部、より好適には、0.3~3.0質量部用いる。
[D. 消泡剤]
消泡剤の添加量が少なくなりすぎると、セルが小さくなり、大径セルと小径セルの差が無くなり、ダブルセル構造の特性を満足できなくなる。従って、消泡剤の添加量は、ポリオール100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましい。消泡剤の添加量は、好ましくは、1.0質量部以上、さらに好ましくは、2.0質量部以上である。
一方、消泡剤の添加量が過剰になると、セルが大きくなりすぎて硬度が低下する。従って、消泡剤の添加量は、ポリオール100質量部に対して、15質量部以下が好ましい。消泡剤の添加料は、好ましくは、12質量部以下、さらに好ましくは、10質量部以下である。
[F. 整泡剤]
整泡剤を添加する場合において、整泡剤の添加量が少なくなりすぎると、フォーム中のセルが不均一になる場合がある。従って、整泡剤の添加量は、ポリオール100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましい。整泡剤の添加量は、好ましくは、0.05質量部以上、さらに好ましくは、0.1質量部以上である。
一方、整泡剤の添加量が過剰になると、セルが独立気泡になり、フォームがシュリンクする場合がある。従って、整泡剤の添加量は、ポリオール100質量部に対して、2.0質量部以下が好ましい。整泡剤の添加料は、好ましくは、1.8質量部以下、さらに好ましくは、1.5質量部以下である。
[3.2. 第2工程]
次に、得られた原料混合物を適当な型内に流し込み、原料混合物を反応させる(第2工程)。これにより、本発明に係るポリウレタンフォームが得られる。
[4. 作用]
シリコーン系整泡剤は、発泡により生成した気泡を安定化させる作用がある。そのため、ポリウレタンフォームを製造するための原料混合物にシリコーン系整泡剤を添加すると、微細な気泡が均一に分散しているポリウレタンフォームが得られる。しかしながら、このようにして得られたポリウレタンフォームは、高荷重域でのたわみが小さいため、薄肉化した時にたわみ感が小さい。
これに対し、シリコーン系整泡剤を含み又は含まず、かつ、消泡剤を含む原料混合物を用いてポリウレタンフォームを製造すると、直径1000μm以上の大径セルと、直径1000μm未満の小径セルが混在したダブルセル構造が得られる。このようなポリウレタンフォームは、高荷重域でのたわみが大きいために、薄肉化した時であってもたわみ感が大きい。
(実施例1~9、比較例1~2)
[1. 試料の作製]
ポリオールには、
(a)メインポリオール1(三洋化成工業(株)製、KC737)、
(b)メインポリオール2(三洋化成工業(株)製、No38)、及び、
(c)ポリマーポリオール(三洋化成工業(株)製、FM5704)
を用いた。
イソシアネートには、コベストロ社製、イソシアネート含有率(NCO%)が28%のK645(変成MDI)を用いた。
樹脂化触媒には、EVONIK社製、アミン系触媒(33LSI)を用いた。
発泡剤には水を用い、泡化触媒には、EVONIK社製、アミン系触媒(BL-19)を用いた。
消泡剤には、EVONIK社製、脂肪酸エステルを用いた。
破泡剤には、コベストロ社製、S240を用いた。
さらに、整泡剤には、EVONIK社製、シリコーン系整泡剤(B8738LF2)を用いた。
表1に、原料の配合割合(質量部)を示す。表1に示す配合割合で原料を配合し、軟質ポリウレタンフォーム製造用の原料混合物を得た。この原料混合物を、40cm×40cm×t10cmの金型に注入し、型温約60℃で発泡させた。
Figure 2023008067000002
[2. 試験方法]
[2.1. セル径分布]
型成形した厚み100mmのポリウレタンフォームの表面側から45mmの位置及び60mmの位置でポリウレタンフォームをそれぞれ水平にスライスし、厚さ15mmの平板を得た。さらに、平板のほぼ中央から、100×100×15mmのカットサンプルを作製し、これをコア層とした。
コア層の水平面(100×100mmの面)の光学顕微鏡写真を撮影した。水平面に現れるセルの中から無作為に100個のセルを選び、各セルの直径を測定した。各セルがいびつで楕円形状の場合には、セルの短径を測定し、これを「直径」とした。
[2.2. 硬さ]
JIS K6400-2:2012(D法)に準拠して、ポリウレタンフォームの硬さ(25%ILD)を測定した。
[2.3. FS特性]
得られたポリウレタンフォームについて、0N~980Nの荷重範囲でFS曲線を求めた。さらに、JIS K6400-2に準拠して、FS曲線からヒステリシスロス、400N静バネ定数、及びたわみ係数を算出した。
[2.4. 振動特性]
JASO B407に準拠して、ポリウレタンフォームの振動特性を測定した。周波数は、1~10Hzとした。得られた振動曲線から、共振倍率、共振周波数、10Hz倍率、及び6Hz倍率を求めた。
[2.5. 減衰特性]
JASO B408に準拠して、ポリウレタンフォームに対し、自由落下試験を行った。得られた減衰曲線から、対数減衰率及び減衰時間を算出した。
[2.6. コア密度]
JASO B408に準拠して、軟質ポリウレタンフォームのコア密度を測定した。
[2.7. 通気性]
JIS K6400-7 A法(サンプルサイズ:51×51×25mm)に準拠して、通気度(A法)を測定した。また、JIS K6400-7 B法(サンプル厚み:10mm)に準拠して通気度(B法)を測定した。
[3. 結果]
[3.1. セル径分布]
図1(A)~図1(C)に、それぞれ、実施例6~8で得られたポリウレタンフォームの断面の光学顕微鏡写真を示す。図2(A)~図2(C)に、それぞれ、実施例6~8で得られたポリウレタンフォームの断面に現れるセルの中から無作為に選んだ100個のセルの直径を示す。図1及び図2より、消泡剤の添加量が多くなるほど、大径セルの割合が大きくなり、かつ、大径セルの直径が大きくなることが分かる。
表2に、実施例1~9及び比較例1~2で得られたポリウレタンフォームに含まれる大径セル及び小径セルのセル径分布、たわみ係数、及び400N静バネ定数を示す。表2より、以下のことが分かる。
(1)Mlarge/Msmall比が5.0以上になると、たわみ係数が2.8以下となった。また、Mlarge/Msmall比が6.0以上になると、たわみ係数が2.7以下となった。さらに、Mlarge/Msmall比が8.0以上になると、たわみ係数が2.4以下となった。
(2)シリコーン系整泡剤及び消泡剤の双方を添加した場合において、消泡剤の添加量が6質量部以上になると、400N静バネ定数は9N/mm以下となった。
(3)消泡剤のみを添加した場合、消泡剤の添加量によらず、400N静バネ定数は9N/mm以下となった。
(4)CVtotalが50%以上になると、たわみ係数が2.8以下となった。また、CVtotalが70%以上になると、たわみ係数が2.7以下となった。さらに、CVtotalが90%以上になると、たわみ係数が2.4以下となった。
(5)ΔCVが-30%~60%になると、400N静バネ定数が10N/mm以下となった。さらに、ΔCVが-5%~40%になると、400N静バネ定数が9N/mm以下となった。
Figure 2023008067000003
[3.2. FS特性]
図3に、実施例6~9及び比較例1で得られたポリウレタンフォームのFS特性を示す。図4に、実施例1~5で得られたポリウレタンフォームのFS特性を示す。図3及び図4より、シリコーン系整泡剤の有無にかかわらず、消泡剤の添加量が多くなるほど、高荷重域でのたわみ量が大きくなることがわかる。
[3.3. 振動特性]
図5に、実施例6~9及び比較例1で得られたポリウレタンフォームの振動曲線を示す。シリコーン系整泡剤を添加しない場合、消泡剤の添加量を増加させても、共振周波数に大きな変化はなかった。一方、消泡剤の添加量が多くなるほど、共振倍率は低下するものの、2.3以上のため、共振倍率は良好であった。なお、消泡剤の添加量が多くなるほど、通気性が低くなる傾向にある。
図6に、実施例1~5で得られたポリウレタンフォームの振動曲線を示す。シリコーン系整泡剤を添加した場合において、消泡剤の添加量が4~8質量部であるときには、共振周波数が高周波数側にシフトした。これは、ポリウレタンフォームが独立気泡構造体となり、ポリウレタンフォームの通気性が低下したためと考えられる。
[3.4. 減衰特性]
図7に、実施例6~9及び比較例1で得られたポリウレタンフォームの自由落下試験の結果を示す。シリコーン系整泡剤を添加しない場合、消泡剤の添加量が多くなるほど、対数減衰率は増加した。これは、通気性が低くなったためと考えられる。特に、消泡剤の添加量が2部又は4部である実施例6、7は、対数減衰率が1.5以下であるので、非常に優れており、ほど良いクッション感が得られた。
図8に、実施例1~2、4~5で得られたポリウレタンフォームの自由落下試験の結果を示す。シリコーン系整泡剤と消泡剤を同時に添加した場合、消泡剤のみを添加した場合に比べて、反発性が低下した。これは、ポリウレタンフォームが独立気泡構造体となり、ポリウレタンフォームの通気性が低下したためと考えられる。
[3.5. 総合評価]
表3に、各種試験結果の一覧を示す。
Figure 2023008067000004
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係るポリウレタンフォームは、自動車や航空機の内装材、OA機器や電気製品の制振材や防音材などに使用することができる。

Claims (10)

  1. 直径が1000μm以上である大径セルと、
    直径が1000μm未満である小径セルと
    を含み、
    large/Msmall比が5.0以上であるポリウレタンフォーム。
    但し、
    smallは、前記ポリウレタンフォームに含まれるすべてのセルの中から無作為に100個以上のセルを選び、前記セルの直径の個数基準の積算分布を求めた場合において、前記積算分布における積算値が0%から10%の範囲にある前記セルの直径の算術平均、
    largeは、前記積算分布における積算値が90%から100%の範囲にある前記セルの直径の算術平均。
  2. 全セルの直径の変動係数(CVtotal)が50%以上である請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
    但し、
    CVtotal=σtotal×100/mtotal
    totalは、前記ポリウレタンフォームに含まれるすべての前記セルの中から無作為に選んだ100個以上の前記セルの直径の平均値、
    σtotalは、前記ポリウレタンフォームに含まれるすべての前記セルの中から無作為に選んだ100個以上のセルの直径の標準偏差。
  3. 前記小径セルの直径の変動係数(CVsmall)が50%以下である請求項1又は2に記載のポリウレタンフォーム。
    但し、
    CVsmall=σsmall×100/msmall
    smallは、前記ポリウレタンフォームに含まれるすべての前記セルの中から無作為に選んだ100個以上の前記セルに含まれる前記小径セルの直径の平均値、
    σsmallは、前記ポリウレタンフォームに含まれるすべての前記セルの中から無作為に選んだ100個以上の前記セルに含まれる前記小径セルの直径の標準偏差。
  4. 前記大径セルの直径の変動係数(CVlarge)が80%以下である請求項1から3までのいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
    但し、
    CVlarge=σlarge×100/mlarge
    largeは、前記ポリウレタンフォームに含まれるすべての前記セルの中から無作為に選んだ100個以上の前記セルに含まれる前記大径セルの直径の平均値、
    σlargeは、前記ポリウレタンフォームに含まれるすべての前記セルの中から無作為に選んだ100個以上の前記セルに含まれる前記大径セルの直径の標準偏差。
  5. 変動係数差ΔCVが-30%以上60%以下である請求項1から4までのいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
    但し、
    ΔCV=CVlarge-CVsmall
    CVlarge=σlarge×100/mlarge
    CVsmall=σsmall×100/msmall
    largeは、前記ポリウレタンフォームに含まれるすべての前記セルの中から無作為に選んだ100個以上の前記セルに含まれる前記大径セルの直径の平均値、
    σlargeは、前記ポリウレタンフォームに含まれるすべての前記セルの中から無作為に選んだ100個以上の前記セルに含まれる前記大径セルの直径の標準偏差、
    smallは、前記ポリウレタンフォームに含まれるすべての前記セルの中から無作為に選んだ100個以上の前記セルに含まれる前記小径セルの直径の平均値、
    σsmallは、前記ポリウレタンフォームに含まれるすべての前記セルの中から無作為に選んだ100個以上の前記セルに含まれる前記小径セルの直径の標準偏差。
  6. 前記小径セルの直径の平均値(msmall)が300μm以上500μm以下である請求項1から5までのいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
  7. 前記大径セルの直径の平均値(mlarge)が1400μm以上5000μm以下である請求項1から6までのいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
  8. たわみ係数が2.0以上2.8以下である請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
  9. 400N静バネ定数が9.0N/mm以下である請求項1から8までのいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
  10. 請求項1から9までのいずれか1項に記載のポリウレタンフォームをシートパッドとして用いたシートクッション。
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