JP2023001685A - 油圧アクチュエータの密封装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シールリップの耐圧性を向上させることができる油圧アクチュエータの密封装置を提供する。【解決手段】ピストンシール1は、軸線x周りに環状のピストン10と、駆動圧室P1の密封を図るためにピストン10に取り付けられた弾性体であり、環状の内周シールリップ20とを備えている。ピストン10の内周シールリップ20が取り付けられるリップ取付部13は、曲面14を有している。【選択図】図4

Description

本発明は、油圧アクチュエータの密封装置に関し、特に、環状の駆動圧室内の油圧によって移動可能なピストンを備える油圧アクチュエータの密封装置に関する。
油圧アクチュエータとして、例えば、環状のピストンを有する、自動車等の車両の自動変速機に用いられる油圧クラッチがある。油圧クラッチは、環状の空間内において、環状の駆動圧室内の油圧を高めて環状のピストンをクラッチに押し付けることによりクラッチを締結状態にし、ピストンへの油圧を解除し、バネの力でピストンを戻してクラッチを切断状態にする。このようなクラッチピストン機構では、駆動中に駆動圧室内の油が遠心力によってピストンに押し付けられ、クラッチの切断の際にピストンを戻すバネの力が影響を受け、バネによってピストンが適切に戻されないことがある。このため、キャンセルプレートが設けられ、ピストンを介して駆動圧室に対向するキャンセル圧室が設けられた油圧クラッチが従来からある。このような油圧クラッチにおいては、キャンセル圧室内の油にも遠心力が作用することにより、遠心力による駆動圧室内の油のピストンの押し付け力の相殺を図っている。
上述のような油圧クラッチには、環状のシールリップを有する密封装置が設けられており、ピストンの外周側及び内周側に設けられたシールリップによってピストン油圧室内の密封が図られており、また、キャンセルプレートの外周側に設けられたシールリップによってキャンセル圧室内の外周側の密封が図られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第4701560号公報
上述のような油圧クラッチにおいて、クラッチ接続のためにピストン油圧室内に発生させる油圧が高圧となる場合、シールリップには高い圧力が加わり、シールリップが破損する場合が考えられる。このため、従来の油圧クラッチの密封装置に対しては、シールリップに作用する油圧が高圧であっても、シールリップが破損することがない耐圧性の高い構成が求められている。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シールリップの耐圧性を向上させることができる油圧アクチュエータの密封装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る油圧アクチュエータの密封装置は、環状の空間である駆動圧室内の油圧によって軸線に沿って移動可能なピストンを備える油圧アクチュエータの密封装置であって、前記軸線周りに環状の前記ピストンと、前記駆動圧室の密封を図るために前記ピストンに取り付けられた弾性体であり、前記軸線周りに環状の内周シールリップとを備えており、前記ピストンの前記内周シールリップが取り付けられる部分は、曲面を有していることを特徴とする。
本発明の一態様に係る油圧アクチュエータの密封装置において、前記曲面は、前記ピストンを絞り加工する際に作られる。
上記目的を達成するために、本発明に係る油圧アクチュエータの密封装置は、環状の空間である駆動圧室内の油圧によって軸線に沿って移動可能なピストンを備える油圧アクチュエータの密封装置であって、前記軸線周りに環状の前記ピストンと、前記駆動圧室の密封を図るために前記ピストンに取り付けられた弾性体であり、前記軸線周りに環状の内周シールリップとを備えており、前記ピストンは、前記ピストンの一対の互いに背向する面である一対の側面と、該一対の側面の間において前記内周側に面する面である内周端面とを有しており、前記内周シールリップは、前記ピストンの前記一対の側面と前記内周面とに取り付けられており、前記内周シールリップの前記ピストンの内周端面に取り付けられている部分の厚さは、前記内周シールリップの前記ピストンの前記側面に取り付けられている部分の厚さよりも薄くなっていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る油圧アクチュエータの密封装置において、前記ピストンは、前記一対の側面の一方と前記内周端面との間に段差を形成する部分である段差面を有しており、前記内周シールリップは、前記ピストンの前記一対の側面、前記内周端面、及び前記段差面に取り付けられている部分である基部と、前記基部から前記内周側に突出する部分であるリップ部とを有しており、前記リップ部は、前記基部の前記段差面に取り付けられている部分に接続している。
本発明に係る油圧アクチュエータの密封装置によれば、シールリップの耐圧性を向上させることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る油圧アクチュエータの密封装置としてのピストンシールと、キャンセラシールとを備える油圧アクチュエータとしての油圧クラッチの概略構成を示す軸線に沿う断面における部分断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るピストンシールの軸線に沿う断面における断面図である。 図2に示すピストンシールの軸線に関して一方の側の断面を示す部分断面図である。 図3に示すピストンシールの内周シールリップの部分を拡大して示す部分拡大断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るピストンシールの変形例の軸線に沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係るピストンシールの軸線に沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係るピストンシールの軸線に沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る油圧アクチュエータの密封装置としてのピストンシール1と、キャンセラシール2とを備える油圧アクチュエータとしての油圧クラッチ100の概略構成を示す軸線xに沿う断面における部分断面図である。以下、説明の便宜上、軸線x方向に直交する方向(以下、径方向ともいう。)において、軸線xから離れる方向(図1の矢印a方向)の側を外周側とし、軸線xに近づく方向(図1の矢印b方向)の側を内周側とする。また、軸線x方向において矢印c(図1参照)方向側を切断側とし、軸線x方向において矢印d(図1参照)方向側を接続側とする。
図1に示すように、油圧クラッチ100は、ピストンシール1とキャンセラシール2とを有するピストン機構3と、環状の空間を形成するクラッチシリンダ110と、環状のクラッチハブ120と、クラッチシリンダ110とクラッチハブ120とを接続又はこの接続を切断する多板のクラッチ130とを有している。クラッチシリンダ110は駆動側に接続されており、駆動側の動力によって軸線x周りに回転可能になっている。また、クラッチハブ120は従動側に接続されており、クラッチ130が接続した際に、クラッチシリンダ110の動力が伝達されて軸線x周りに回転可能になっている。ピストン機構3は、ピストンシール1を軸線x方向において移動させることにより、クラッチ130に作用して、クラッチ130を接続及び切断させる。
図1に示すように、クラッチシリンダ110は、軸線xを中心軸又は略中心軸とする筒状の部分である内周筒部111と、内周筒部111から外周側に延びる軸線xを中心軸又は略中心軸とする円盤状の部分である円盤部112と、内周筒部111よりも外周側において円盤部112から接続側に延びる軸線xを中心軸又は略中心軸とする筒状の部分である外周筒部113とを有している。また、クラッチシリンダ110は、軸線xに沿って延びる環状の空間114を有している。環状の空間114は、内周筒部111の外周面111aと、円盤部112の接続側の側面112aと、外周筒部113の内周面113aとによって囲まれた空間である。
多板クラッチであるクラッチ130は、複数のドライブプレート131と、複数のドリブンプレート132とを有しており、ドライブプレート131とドリブンプレート132とは間隔を空けて交互に軸線x方向に並べられている。ドライブプレート131は、外周側の部分において、クラッチシリンダ110の外周筒部113の内周面113aに支持されている。ドリブンプレート132は、内周側の部分において、クラッチハブ120に支持されている。ドライブプレート131は、ピストン機構3の作用によって接続方向に押されて、ドリブンプレート132に押し付けられて、ドリブンプレート132と接続するようになっている。また、ドライブプレート131は、ピストン機構3による押し付けがなくなると、ドリブンプレート132から離間する方向に移動し、ドリブンプレート132との接続が切断されるようになっている。
クラッチハブ120は、軸線x周りに環状の部材であり、軸線xを中心軸又は略中心軸とする筒状の部分である筒部121を有している。この筒部121の外周面に上述のクラッチ130のドリブンプレート132が内周側の端部において固定されている。
クラッチシリンダ110の空間114内にはピストン機構3が設けられており、ピストン機構3は、空間114内に、環状の駆動圧室P1と環状のキャンセル圧室P2とを形成している。図1に示すように、ピストン機構3のピストンシール1は、空間114を軸線x方向に移動可能に空間114内に設けられており、ピストンシール1はその切断側に駆動圧室P1を形成している。また、図1に示すように、キャンセラシール2は、軸線x方向において接続側からピストンシール1に対向しており、ピストンシール1との間に環状の空間であるキャンセル圧室P2を形成している。キャンセル圧室P2は、空間114において、ピストンシール1に関して駆動圧室P1とは反対側に設けられている。
後述するように、ピストンシール1は、シールリップを有しており、シールリップが内周側及び外周側において空間114を形成するクラッチシリンダ110の面に接触しており、これにより、駆動圧室P1の密封が図られている。具体的には、ピストンシール1の
シールリップは、外周側においてクラッチシリンダ110の外周筒部113の内周面113aに接触しており、また、内周側においてクラッチシリンダ110の内周筒部111の外周面111aに接触している。ピストンシール1は、軸線x方向において接続側に移動した際に、クラッチ130の切断側に位置するドライブプレート131に切断側から接触可能に形成されている。
また、キャンセラシール2は、シールリップ2aを有しており、シールリップ2aが外周側においてピストンシール1に接触しており、これにより、キャンセル圧室P2の外周側の密封が図られている。具体的には、キャンセラシール2のシールリップ2aは、外周側においてピストンシール1のクラッチ130に接触するように筒状に延びている部分に内周側から接触している。また、キャンセラシール2は、スナップリング141を介してクラッチシリンダ110の内周筒部111に支持されており、クラッチシリンダ110と共に回転する。
ピストン機構3は、バネであるリターンスプリング140を有しており、リターンスプリング140は、キャンセル圧室P2内に設けられており、ピストンシール1とキャンセラシール2との間に挟まれて、軸線x方向において切断側にピストンシール1を付勢している。
クラッチシリンダ110には、駆動圧室P1内に作動油を供給し、また、駆動圧室P1内から作動油を排出するための通路である駆動油孔115が形成されている。作動油は、油圧クラッチ100を制御するための油であり、例えばATF(Automatic Transmission Fluid)等である。駆動油孔115は、内周筒部111の外周面111aにおいて駆動圧室P1に開口しており、図示しない作動油の供給源と駆動圧室P1とを連通可能にしている。また、クラッチシリンダ110には、キャンセル圧室P2内に作動油を供給し、また、キャンセル圧室P2内から作動油を排出するための通路であるキャンセル油孔116が形成されている。キャンセル油孔116は、内周筒部111の外周面111aにおいてキャンセル圧室P2に開口しており、図示しない作動油の供給源とキャンセル圧室P2とを連通可能にしている。
油圧クラッチ100においては、駆動油孔115を介して駆動圧室P1内に作動油が供給されることにより、駆動圧室P1内に油圧(駆動油圧)が発生する。この駆動油圧によってピストンシール1がリターンスプリング140の付勢力に抗して接続側に動かされ、ピストンシール1がクラッチ130のドライブプレート131に接触し、ドライブプレート131を接続側に押す。これにより、クラッチ130のドライブプレート131が接続側に押され、各ドライブプレート131が対応するドリブンプレート132に押し付けられる。これにより、クラッチ130が接続状態になり、クラッチシリンダ110の動力がクラッチ130を介してクラッチハブ120に伝達される。
このクラッチ130の接続状態から、駆動圧室P1内の作動油が駆動油孔115を介して排出されると、駆動圧室P1内の駆動油圧が解放されて減り、リターンスプリング140の付勢力が駆動油圧に勝るようになり、ピストンシール1がリターンスプリング140の付勢力によって切断側に動かされ、ドライブプレート131がドリブンプレート132から離れ、クラッチ130が切断状態となる。
クラッチシリンダ110の回転時に、駆動圧室P1内の作動油には遠心力が加わり、この遠心力がピストンシール1に作用して、ピストンシール1が動かされると、意図しないクラッチ130の操作がなされてしまう。このため、キャンセル油孔116を介してキャンセル圧室P2内に作動油を供給することにより、このキャンセル圧室P2内の作動油に、駆動圧室P1内の作動油と同様に遠心力が作用するようにする。これにより、キャンセル圧室P2内の作動油に作用する遠心力が、駆動圧室P1内の作動油に作用する遠心力を相殺し、意図しないクラッチ130の操作が防止される。
以下、本発明の実施の形態に係るピストンシール1について詳細に説明する。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るピストンシール1の軸線xに沿う断面における断面図であり、図3は、図2に示すピストンシール1の軸線xに関して一方の側の断面を示す部分断面図であり、図4は、ピストンシール1の部分拡大断面図である。図2~4に示すように、ピストンシール1は、軸線x周りに環状のピストン10と、駆動圧室P1の密封を図るためにピストン10に取り付けられた弾性体であり、軸線x周りに環状の内周シールリップ20とを備えている。ピストン10の内周シールリップ20が取り付けられる部分(リップ取付部13)は、曲面14を有している。以下、ピストンシール1の構成について具体的に説明する。
ピストン10は、金属からなる、軸線xを中心又は略中心とする環状の部材であり、図2,3に示すように、受圧部11と、クラッチ押圧部12とを有している。受圧部11は、軸線xを中心又は略中心とする環状の部分であり、油圧クラッチ100において(図1参照)、駆動圧室P1内の駆動油圧を受ける部分である。クラッチ押圧部12は、軸線xを中心又は略中心とする環状の部分であり、油圧クラッチ100において、ピストンシール1が接続側(矢印d方向)へ動かされた際に、クラッチ130のドライブプレート131を接続側に押圧する部分である。クラッチ押圧部12は、受圧部11の外周側の端部から接続側に延びている。
ピストン10の受圧部11は、一対の背向する面を有しており、この一対の背向する面の一方は駆動圧面11aであり、他方は、キャンセル圧面11bである。駆動圧面11aは、ピストン10の受圧部11の駆動圧室P1側(切断側)に面する面であり、キャンセル圧面11bは、ピストン10の受圧部11のキャンセル圧室P2側(接続側)に面する面である。また、ピストン10の受圧部11は、駆動圧面11aの内周側の端とキャンセル圧面11bの内周側の端との間に延びる内周面としての内周端面11cを有している。
図3,4に示すように、ピストン10の内周シールリップ20が取り付けられる部分であるリップ取付部13は、ピストン10の内周側の端部にあり、受圧部11の内周側の端部に位置している。そして上述のように、リップ取付部13は曲面14を有している。
具体的には、リップ取付部13は、駆動圧面11aの内周端の部分である駆動圧面端13aと、キャンセル圧面11bの内周端の部分であるキャンセル圧面端13bと、内周端面11cとを有している。駆動圧面端13aは、軸線xに直交する平面に沿っており、例えば図3,4に示すように、軸線xに直交する平面に平行又は略平行となっている。キャンセル圧面端13bは、軸線xに直交する平面に沿っており、例えば図3,4に示すように、軸線xに直交する平面に平行又は略平行となっている。また、内周端面11cは、軸線xを中心とする円筒面に沿って環状に延びており、例えば図3,4に示すように、軸線xを中心とする円筒面又は略円筒面となっている。
また、図4に示すように、ピストン10の受圧部11の駆動圧面11aと内周端面11cとは、曲面14を介して互いに接続しており、駆動圧面端13aと内周端面11cとは、曲面14を介して互いに接続している。一方、内周端面11cはキャンセル圧面11bと、つまりキャンセル圧面端13bに直接接続している。曲面14の形状は、図4に示すように、断面において曲線を描く形状となっており、例えば、断面において一定の曲率の曲線を描く形状になっている。曲面14の形状は、断面において複数の曲率の曲線が滑らかに組み合わされた曲線を描く形状になっていてもよく、また、断面において曲線と直線が滑らかに組み合わされた線を描く形状になっていてもよい。曲面14は、駆動圧面端13aと内周端面11cとに滑らかに接続している。この曲面14も、リップ取付部13の一部となっている。
ピストン10は、上述のリップ取付部13を有していれば、種々の形態とすることができ、油圧クラッチの形態に応じた種々の形態とすることができる。
内周シールリップ20は、上述のようにリップ取付部13においてピストン10に取り付けられている。内周シールリップ20は、図2~4に示すように、受圧部11の内周側の端部から内周側に突出する軸線xを中心又は略中心とする円環状又は略円環状の部分である。内周シールリップ20は、油圧クラッチ100において(図1参照)、クラッチシリンダ110の内周筒部111の外周面111aに接触するように形成されている。また、内周シールリップ20は、油圧クラッチ100において、ピストンシール1が軸線x方向に移動する際に、内周筒部111の外周面111a上を摺動するように形成されている。
内周シールリップ20は、例えば、基部21とリップ部22とを有している。基部21は、ピストン10にリップ取付部13において取り付けられている部分であり、リップ部22は、基部21から突出する部分である。リップ部22は、図2~4に示すように、基部21から内周側及び切断側に突出しており、上述のように、クラッチシリンダ110の内周筒部111の外周面111aに摺動可能に接触するように形成されている。
リップ部22は、基部21のリップ取付部13の曲面14に取り付けられた部分(曲面部21a)から延びており、リップ部22の根元22aは曲面部21aに接続している。
また、基部21は、リップ取付部13の駆動圧面端13aに取り付けられた部分である駆動圧側部21bと、リップ取付部13のキャンセル圧面端13bに取り付けられた部分であるキャンセル圧側部21cと、リップ取付部13の内周端面11cに取り付けられた部分である内周部21dとを有している。
図4に示すように、基部21の厚さは、例えば、内周部21dの厚さt1が最も薄くなっており、キャンセル圧側部21cの厚さt2が内周部21dの厚さt1よりも厚くなっており、駆動圧側部21bの厚さt3がキャンセル圧側部21cの厚さよりも厚くなっている。曲面部21aの厚さは、曲面14を有さないリップ取付部に取り付けられる基部の対応する部分の厚さよりも厚くなっている。なお、基部21の各部の厚さは、図4に示すように、断面においてリップ取付部13の対応する面に直交する方向の厚さである。なお、駆動圧側部21bの厚さt3とキャンセル圧側部21cの厚さt2とは同じ又は略同じとなっていてもよい。また、キャンセル圧側部21cの厚さt2と内周部21dの厚さt1とは同じ又は略同じとなっていてもよい。基部21の各部の厚さの関係は上述の厚さに限られない。
外周シールリップ30は、駆動圧室P1の密封を図るためにピストン10に取り付けられた弾性体であり、図2,3に示すように、受圧部11の外周側の部分から外周側に突出する軸線xを中心又は略中心とする環状又は円環状の部分である。外周シールリップ30は、油圧クラッチ100において(図1参照)、クラッチシリンダ110の外周筒部113の内周面113aに接触するように形成されている。また、外周シールリップ30は、油圧クラッチ100において、ピストンシール1が軸線x方向に移動する際に、外周筒部113の内周面113a上を摺動するように形成されている。
ピストン10は金属製であり、ピストン10の金属材としては、ステンレス鋼やSPCC(冷間圧延鋼)等があり、主にSPFH(熱間圧延鋼)、SAPH(熱間圧延鋼)である。ピストン10は、例えば、金属板からプレス加工や鍛造により製造される。
内周シールリップ20及び外周シールリップ30は、上述のように弾性体であり、内周シールリップ20及び外周シールリップ30の弾性材としては、例えばゴム状弾性材がある。内周シールリップ20及び外周シールリップ30のゴム状弾性材としては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H-NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)等の合成ゴムが用いられる。
次いで、上述の構成を有するピストンシール1の作用について説明する。使用状態において、図1に示すように、ピストンシール1は、内周シールリップ20がクラッチシリンダ110の内周筒部111の外周面111aに接触し、外周シールリップ30がクラッチシリンダ110の外周筒部113の内周面113aに接触し、駆動圧室P1の密封を図っている。使用状態において、駆動圧室P1内に作動油が供給され、駆動圧室P1内が高圧となると、内周シールリップ20に高い圧力が加わり、内周シールリップ20は変形する。
この変形により、内周シールリップ20に歪が生じ応力が発生する。つまり、内周シールリップ20のリップ部22が変形し、リップ部22及び基部21に歪が生じ応力が発生する。特に、リップ部22の接続する曲面部21aに大きな応力が発生すると考えられるが、上述のように、基部21の曲面部21aはピストン10の曲面14に取り付けられているため、応力が分散され、曲面部21aにおける応力集中を抑制することができる。
また、曲面部21aの厚さは、従来の曲面14を有さないリップ取付部に取り付けられる基部の対応する部分の厚さよりも厚くなっているため、高圧を受けてリップ部22が変形し、基部21に歪が生じても、厚さの厚い曲面部21aにおいて歪が分散され、応力集中を抑制することができる。
このように、ピストンシール1は、内周シールリップ20が高い圧力を受けて変形しても、内周シールリップ20に大きな応力が発生することを抑制でき、内周シールリップ20に発生する応力の低減を図ることができる。このため、内周シールリップ20は高い圧力を受けても破損し難くなっており、内周シールリップ20の耐圧性は高くなっている。
また、リップ取付部13が曲面14を有しているため、基部21とピストン10との間の接触面積を大きくすることができ、内周シールリップ20の強度を向上させることができ、この点からも、内周シールリップ20の耐圧性は高くなっている。
また、基部21の内周部21dの厚さt1が基部21の他の部分よりも薄くなっていて内周部21dの厚さt1が薄い場合、内周シールリップ20が高い圧力を受けた際のリップ部22の変形を抑制することができる。これは、リップ部22の変形方向側にある内周部21dの厚さt1が薄いため、リップ部22が高い圧力を受けても内周部21dが変形し難く、リップ部22の変形の抵抗となるためである。これにより、リップ部22が接続されている曲面部21aに生じる歪を低減でき、曲面部21aに発生する応力を低減でき、内周シールリップ20の耐圧性を高くできる。このように、内周部21dの厚さt1が薄い場合、内周シールリップ20の耐圧性を高くできる。
上述のように、本発明の第1の実施の形態に係るピストンシール1によれば、内周シールリップ20の耐圧性を向上させることができる。
次いで、本発明の第1の実施の形態に係るピストンシール1の変形例を説明する。図5は、本発明の第1の実施の形態に係るピストンシール1の変形例の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。本変形例に係るピストンシール1は、ピストンのリップ取付部の形態が上述のリップ取付部13とは異なり、ピストン10は、受圧部11に変えて受圧部15を有しており、また、リップ取付部13に変えてリップ取付部16を有している。また、本変形例に係るピストンシール1は、内周シールリップ20の基部の形態が上述の基部21とは異なり、基部21に変えて基部23を有している。
図5に示すように、本変形例に係るピストンシール1のリップ取付部16は、素材に対して絞り加工をしてピストン10を成形する際に絞り加工されて形成された曲部17に位置している。曲部17は、図5に示すように、受圧部15の曲がった部分であり、絞り加工によって素材が曲げられた部分である。曲部17は、例えば、受圧部15の内周側の端に形成されている。つまり、受圧部15の駆動圧面15aは、内周側の端において、曲面となっており、また、受圧部15のキャンセル圧面15bは、内周側の端において、曲面となっている。駆動圧面15aの内周側の端とキャンセル圧面15bの内周側の端との間には、内周端面15cが延びている。内周端面15cは、例えば図5に示すように、軸線xに直交する平面に沿う面であり、より具体的には、軸線xに直交する平面に平行又は略平行な面である。
図5に示すように、リップ取付部16は、受圧部15の曲部17における駆動圧面15aの部分である曲面18と、内周端面15cの一部とによって形成される領域となっている。曲面18の形状は、上述の曲面14の形状と同様に、断面において曲線を描く形状となっており、例えば、断面において一定の曲率の曲線を描く形状になっている。曲面18の形状は、断面において複数の曲率の曲線が滑らかに組み合わされた曲線を描く形状になっていてもよく、また、断面において曲線と直線が滑らかに組み合わされた線を描く形状になっていてもよい。曲面18は、曲部17における駆動圧面15aの先端側の部分である。
内周シールリップ20の基部23は、曲面18に取り付けられている部分である曲面部23aと、内周端面15cに取り付けられている部分である内周部23bとを有している。リップ部22は、曲面部23aから突出している。なお、内周部23bは、受圧部15の内周端面15c全体に取り付けられていてもよく、内周端面15cを超えてキャンセル圧面15b側に到っていてもよい。
本変形例において、上述の内周シールリップ20と同様に、リップ取付部16の曲面18に取り付けられている部分である曲面部23aにリップ部22が接続しており、使用状態において内周シールリップ20に高い圧力が加わったとしても、内周シールリップ20における応力集中を抑制することができる。また、基部23とリップ取付部16との接触面積が大きくなっている。このため、上述のピストンシール1と同様に、内周シールリップ20の耐圧性を高くできる。
次いで、本発明の第2の実施の形態に係るピストンシール5について説明する。図6は、本発明の第2の実施の形態に係るピストンシール5の軸線に沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。本発明の第2の実施の形態に係るピストンシール5は、上述の本発明の第1の実施の形態に係るピストンシール1に対して、ピストンの受圧部の形態及び内周シールリップの形態が異なる。以下、上述の本発明の第1の実施の形態に係るピストンシール1と同一の構成又は同様の機能を有する構成については、同一の符号を用いてその説明を省略し、異なる構成について説明する。
ピストンシール5は、ピストンシール1と同様に、ピストン40と、内周シールリップ50と、外周シールリップ30とを有している。ピストン40は、ピストンシール1のピストン10の受圧部11とは異なる形状の受圧部41を有しており、他の形態はピストン10と同じである。ピストン40の受圧部41は、図6に示すように、先端の形状においてピストン10の受圧部11とは異なっており、他の形態は受圧部11と同じである。
具体的には、図6に示すように、ピストン40の受圧部41は、一対の背向する面(側面)である駆動圧面41aとキャンセル圧面41bとを有している。駆動圧面41aは、受圧部41の駆動圧室P1側に面する面であり、キャンセル圧面41bは、受圧部41のキャンセル圧室P2側に面する面である。また、受圧部41は、駆動圧面41aとキャンセル圧面41bとの間において、内周側に面する面である内周端面41cを有している。内周端面41cは、具体的には、駆動圧面41aの内周側の端とキャンセル圧面41bの内周側の端との間に延びている。
内周シールリップ50は、ピストン40の駆動圧面41aとキャンセル圧面41bと内周端面41cとに取り付けられている。つまり、ピストン40の内周シールリップ50が取り付けられる部分であるリップ取付部42は、駆動圧面41aとキャンセル圧面41bと内周端面41cとに位置している。具体的には、図6に示すように、リップ取付部42は、受圧部41の内周側の端部にあり、駆動圧面41aの内周端の部分である駆動圧面端42aと、キャンセル圧面41bの内周端の部分であるキャンセル圧面端42bと、内周端面41cとの領域である。駆動圧面端42aは、軸線xに直交する平面に沿っており、例えば図6に示すように、軸線xに直交する平面に平行又は略平行となっている。キャンセル圧面端42bは、軸線xに直交する平面に沿っており、例えば図6に示すように、軸線xに直交する平面に平行又は略平行となっている。また、内周端面41cは、軸線xを中心とする円筒面に沿って環状に延びており、例えば図6に示すように、軸線xを中心とする円筒面又は略円筒面となっている。
ピストン40は、上述のリップ取付部42を有していれば、種々の形態とすることができ、油圧クラッチの形態に応じた種々の形態とすることができる。
内周シールリップ50は、例えば、基部51とリップ部52とを有している。基部51は、ピストン40のリップ取付部42に取り付けられている部分であり、リップ部52は、基部51から突出する部分である。
基部51は、リップ取付部42の駆動圧面端42aに取り付けられた部分である駆動圧側部51aと、リップ取付部42のキャンセル圧面端42bに取り付けられた部分であるキャンセル圧側部51bと、リップ取付部42の内周端面41cに取り付けられた部分である内周部51cとを有している。
リップ部52は、上述のリップ部22と同様の形態を有しており、基部51から内周側及び切断側に突出しており、クラッチシリンダ110の内周筒部111の外周面111aに摺動可能に接触するように形成されている。リップ部52は、図6に示すように、基部51の駆動圧側部51aの内周側端と内周部51cの切断側端とから延びている。
図6に示すように、内周シールリップ50の内周端面41cに取り付けられている部分である内周部51cの厚さ(厚さt6)は、内周シールリップ50の駆動圧面端42aに取り付けられている部分である駆動圧側部51aの厚さ(厚さt4)よりも薄くなっており、また、内周シールリップ50のキャンセル圧面端42bに取り付けられている部分であるキャンセル圧側部51bの厚さ(厚さt5)よりも薄くなっている。駆動圧側部51aの厚さt4は、キャンセル圧側部51bの厚さt5よりも厚くなっている。基部51の各部の厚さの関係は上述の厚さに限られない。なお、基部51の各部の厚さは、図6に示すように、断面においてリップ取付部42の対応する面に直交する方向の厚さである。
次いで、上述の構成を有するピストンシール5の作用について説明する。ピストンシール5は、ピストンシール1と同様に、図1に示すよう取り付けられて使用状態となる。使用状態において、図1に示すように、ピストンシール5は、内周シールリップ50がクラッチシリンダ110の内周筒部111の外周面111aに接触し、外周シールリップ30がクラッチシリンダ110の外周筒部113の内周面113aに接触し、駆動圧室P1の密封を図っている。使用状態において、駆動圧室P1内に作動油が供給され、駆動圧室P1内が高圧となると、内周シールリップ50に高い圧力が加わり、内周シールリップ50は変形する。
内周シールリップ50は、図6に示すように、基部51の内周部51cの厚さが薄くなっており、このため、リップ部52の変形を抑制することができる。このように、ピストンシール5は、内周シールリップ50が高い圧力を受けて変形しても、リップ部52の変形が抑制されるため、内周シールリップ50に大きな応力が発生することを抑制でき、内周シールリップ50に発生する応力の低減を図ることができる。このため、内周シールリップ50は高い圧力を受けても破損し難くなっており、内周シールリップ50の耐圧性は高くなっている。
このように、本発明の第2の実施の形態に係るピストンシール5によれば、内周シールリップ50の耐圧性を向上させることができる。
次いで、本発明の第3の実施の形態に係るピストンシール6について説明する。図7は、本発明の第3の実施の形態に係るピストンシール6の軸線に沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。本発明の第3の実施の形態に係るピストンシール6は、上述の本発明の第1の実施の形態に係るピストンシール1に対して、ピストンの受圧部の形態及び内周シールリップの形態が異なる。以下、上述の本発明の第1の実施の形態に係るピストンシール1と同一の構成又は同様の機能を有する構成については、同一の符号を用いてその説明を省略し、異なる構成について説明する。
ピストンシール6は、ピストンシール1と同様に、ピストン45と、内周シールリップ55と、外周シールリップ30とを有している。ピストン45は、ピストンシール1のピストン10の受圧部11とは異なる形状の受圧部46を有しており、他の形態はピストン10と同じである。ピストン45の受圧部46は、図7に示すように、先端の形状においてピストン10の受圧部11とは異なっており、他の形態は受圧部11と同じである。
具体的には、図7に示すように、ピストン45の受圧部46は、一対の背向する面(側面)である駆動圧面46aとキャンセル圧面46bとを有している。駆動圧面46aは、受圧部46の駆動圧室P1側に面する面であり、キャンセル圧面46bは、受圧部46のキャンセル圧室P2側に面する面である。また、受圧部46は、駆動圧面46aとキャンセル圧面46bとの間において、内周側に面する面である内周端面46cを有している。
また、図7に示すように、受圧部46は、駆動圧面46aと内周端面46cとの間に段差を形成する部分(面)である段差面46dを有している。具体的には、段差面46dは、内周端面46cから内周側に凹んだ部分を画成しており、例えば、軸線xに直交する平面に沿って延びる環状の面である側面46eと、軸線x周りに環状の面である底面46fとを有している。底面46fは、側面46eの外周側の端から延びている。側面46eは、例えば、軸線xに直交する平面に平行又は略平行な面であり、底面46fは、例えば、軸線xを中心軸とする円筒面又は略円筒面である。駆動圧面46aの内周側の端は、径方向において内周端面46cの位置まで達しておらず、段差面46dの底面46fの切断側の端に接続している。内周端面46cは、切断側の端において段差面46dの側面46eの内周側の端に接続しており、接続側の端においてキャンセル圧面41bの内周側の端に接続している。
内周シールリップ55は、ピストン45の駆動圧面46aとキャンセル圧面46bと内周端面46cと段差面46dとに取り付けられている。つまり、ピストン45の内周シールリップ55が取り付けられる部分であるリップ取付部47は、駆動圧面46aとキャンセル圧面46bと内周端面46cと段差面46dとに位置している。
具体的には、図7に示すように、リップ取付部47は、受圧部46の内周側の端部にあり、駆動圧面46aの内周端の部分である駆動圧面端47aと、キャンセル圧面46bの内周端の部分であるキャンセル圧面端47bと、内周端面46cと、段差面46dとの領域である。駆動圧面端47aは、軸線xに直交する平面に沿っており、例えば図7に示すように、軸線xに直交する平面に平行又は略平行となっている。キャンセル圧面端47bは、軸線xに直交する平面に沿っており、例えば図7に示すように、軸線xに直交する平面に平行又は略平行となっている。また、内周端面46cは、軸線xを中心とする円筒面に沿って環状に延びており、例えば図7に示すように、軸線xを中心とする円筒面又は略円筒面となっている。
ピストン45は、上述のリップ取付部47を有していれば、種々の形態とすることができ、油圧クラッチの形態に応じた種々の形態とすることができる。
内周シールリップ55は、例えば、基部56とリップ部57とを有している。基部56は、ピストン45のリップ取付部47に取り付けられている部分であり、リップ部57は、基部56から突出する部分である。
基部56は、リップ取付部47の駆動圧面端47aに取り付けられた部分である駆動圧側部56aと、リップ取付部47のキャンセル圧面端47bに取り付けられた部分であるキャンセル圧側部56bと、リップ取付部47の内周端面46cに取り付けられた部分である内周部56cと、リップ取付部47の段差面46dに取り付けられた部分である段差部56dとを有している。
リップ部57は、上述のリップ部22と同様の形態を有しており、基部56から内周側及び切断側に突出しており、クラッチシリンダ110の内周筒部111の外周面111aに摺動可能に接触するように形成されている。リップ部57は、図7に示すように、基部56の段差部56dに接続しており、例えば、リップ部57の根元57aは段差部56dの切断側端及び駆動圧側部56aの内周側端に接続している。
図7に示すように、内周シールリップ55の内周端面46cに取り付けられている部分である内周部56cの厚さ(厚さt9)は、内周シールリップ55の駆動圧面端47aに取り付けられている部分である駆動圧側部56aの厚さ(厚さt7)よりも薄くなっており、また、内周シールリップ55のキャンセル圧面端47bに取り付けられている部分であるキャンセル圧側部56bの厚さ(厚さt8)よりも薄くなっている。駆動圧側部56aの厚さt7は、キャンセル圧側部56bの厚さt8よりも厚くなっている。内周シールリップ55の段差面46dに取り付けられている部分である段差部56dの厚さ(厚さt10)は、駆動圧側部56aの厚さt7よりも厚くなっている。基部56の各部の厚さの関係は上述の厚さに限られない。例えば、段差部56dの厚さt10は、駆動圧側部56aの厚さt7と同じ又は略同じであってもよい。なお、基部56の各部の厚さは、図7に示すように、断面においてリップ取付部47の対応する面に直交する方向の厚さである。
次いで、上述の構成を有するピストンシール6の作用について説明する。ピストンシール6は、ピストンシール1と同様に、図1に示すよう取り付けられて使用状態となる。使用状態において、図1に示すように、ピストンシール6は、内周シールリップ55がクラッチシリンダ110の内周筒部111の外周面111aに接触し、外周シールリップ30がクラッチシリンダ110の外周筒部113の内周面113aに接触し、駆動圧室P1の密封を図っている。使用状態において、駆動圧室P1内に作動油が供給され、駆動圧室P1内が高圧となると、内周シールリップ55に高い圧力が加わり、内周シールリップ55は変形する。
内周シールリップ55の基部56は、段差部56dを有しており、段差部56dは、ピストン45の段差面46dに支持されている。このため、リップ部57が変形する際に、リップ部57は、基部56の段差部56dを介して、ピストン45の段差面46dに支持される。この段差面46dの支持により、リップ部57の変形を抑制することができる。このように、ピストンシール6は、内周シールリップ55が高い圧力を受けても、リップ部57の変形が抑制されているため、内周シールリップ55に大きな応力が発生することを抑制でき、内周シールリップ55に発生する応力の低減を図ることができる。このため、内周シールリップ55は高い圧力を受けても破損し難くなっており、内周シールリップ55の耐圧性は高くなっている。
このように、本発明の第3の実施の形態に係るピストンシール6によれば、内周シールリップ55の耐圧性を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係る油圧アクチュエータの密封装置としてのピストンシール1,5,6に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
本発明に係る油圧アクチュエータの密封装置としてのピストンシール1,5,6は、油圧クラッチに適用されるものとしたが、本発明に係る油圧アクチュエータの密封装置の適用対象はこれに限られるものではなく、他の本発明の奏する効果を利用し得るすべての構成に対して、本発明は適用可能である。
1,5,6…ピストンシール、2…キャンセラシール、2a…シールリップ、3…ピストン機構、4…弾性体部、10,40,45…ピストン、11,15,41,46…受圧部、11a,15a,41a,46a…駆動圧面、11b,15b,41b,46b…キャンセル圧面、11c,15c,41c,46c…内周端面、12…クラッチ押圧部、12a…内周面、13,16,42,47…リップ取付部、13a,42a,47a…駆動圧面端、13b,42b,47b…キャンセル圧面端、14,18…曲面、17…曲部、20,50,55…内周シールリップ、21,23,51,56…基部、21a,23a…曲面部、21b,51a,56a…駆動圧側部、21c,51b,56b…キャンセル圧側部、21d,23b,51c,56c…内周部、22,52,57…リップ部、22a,57a…根元、30…外周シールリップ、46d…段差面、46e…側面、46f…底面、56d…段差部、100…油圧クラッチ、110…クラッチシリンダ、111…内周筒部、111a…外周面、112…円盤部、112a…側面、113…外周筒部、113a…内周面、114…空間、115…駆動油孔、116…キャンセル油孔、120…クラッチハブ、121…筒部、130…クラッチ、131…ドライブプレート、132…ドリブンプレート、140…リターンスプリング、141…スナップリング、P1…駆動圧室、P2…キャンセル圧室、t1~t10…厚さ

Claims (4)

  1. 環状の空間である駆動圧室内の油圧によって軸線に沿って移動可能なピストンを備える油圧アクチュエータの密封装置であって、
    前記軸線周りに環状の前記ピストンと、
    前記駆動圧室の密封を図るために前記ピストンに取り付けられた弾性体であり、前記軸線周りに環状の内周シールリップとを備えており、
    前記ピストンの前記内周シールリップが取り付けられる部分は、曲面を有していることを特徴とする油圧アクチュエータの密封装置。
  2. 前記曲面は、前記ピストンを絞り加工する際に作られることを特徴とする請求項1に記載の油圧アクチュエータの密封装置。
  3. 環状の空間である駆動圧室内の油圧によって軸線に沿って移動可能なピストンを備える油圧アクチュエータの密封装置であって、
    前記軸線周りに環状の前記ピストンと、
    前記駆動圧室の密封を図るために前記ピストンに取り付けられた弾性体であり、前記軸線周りに環状の内周シールリップとを備えており、
    前記ピストンは、前記ピストンの一対の互いに背向する面である一対の側面と、該一対の側面の間において前記内周側に面する面である内周端面とを有しており、
    前記内周シールリップは、前記ピストンの前記一対の側面と前記内周面とに取り付けられており、
    前記内周シールリップの前記ピストンの内周端面に取り付けられている部分の厚さは、前記内周シールリップの前記ピストンの前記側面に取り付けられている部分の厚さよりも薄くなっていることを特徴とする油圧アクチュエータの密封装置。
  4. 前記ピストンは、前記一対の側面の一方と前記内周端面との間に段差を形成する部分である段差面を有しており、
    前記内周シールリップは、前記ピストンの前記一対の側面、前記内周端面、及び前記段差面に取り付けられている部分である基部と、前記基部から前記内周側に突出する部分であるリップ部とを有しており、
    前記リップ部は、前記基部の前記段差面に取り付けられている部分に接続していることを特徴とする請求項3に記載の油圧アクチュエータの密封装置。
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