JP2011002054A - 自動変速機の遠心油圧キャンセル構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】クラッチシリンダ内のクラッチ本体部が遠心油圧キャンセラの外周側にある場合でも、加圧室とキャンセル油圧室の遠心油圧の差を可及的に小さくして、クラッチピストンの動作の円滑性を確保する。
【解決手段】クラッチピストン2から見て加圧室Aと反対側に配置されると共に遠心油圧キャンセラ3とを備え、クラッチピストン2によって接続又は遮断されるクラッチ本体部5が遠心油圧キャンセラ3の外周側に位置するものにおいて、クラッチピストン2が、ピストン本体21と、クラッチ本体部5の内周に配置されると共にピストン本体21に密接された環状の仕切り板24を備え、遠心油圧キャンセラ3の外径部に設けられたシール部材32が、仕切り板24の内周面に軸方向摺動可能に密接されることにより、クラッチピストン2と遠心油圧キャンセラ3の間に仕切り板24の内周面を外径とするキャンセル油圧室Bが画成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車の自動変速機の油圧クラッチ装置においてクラッチピストンに作用する遠心油圧をキャンセルする構造に関する。
自動車の自動変速機の油圧クラッチ装置は、加圧室内の作動油圧の印加又は開放によって、クラッチピストンがクラッチシリンダ内を移動し、多板クラッチにおける駆動軸側のドライブプレートと従動軸側のドリブンプレートとを摩擦係合又は摩擦係合状態を解除させるようになっている。図5は、従来の技術に係る自動変速機の遠心油圧キャンセル構造を、軸心Oを通る平面で切断して示す片側断面図である。
この図5に示される油圧クラッチ装置100において、参照符号101は不図示の駆動軸に取り付けられたクラッチシリンダ、参照符号102は、クラッチシリンダ101に軸方向移動可能に内挿されてクラッチシリンダ101との間に加圧室100Aを画成する環状のクラッチピストン、参照符号103は、クラッチピストン102から見て加圧室100Aと反対側に配置されると共にクラッチシリンダ101の内周筒部101aに止め環103bを介して支持され、クラッチピストン102との間にキャンセル油圧室100Bを画成する遠心油圧キャンセラ、参照符号104は、クラッチピストン102と遠心油圧キャンセラ103の間に適宜圧縮状態に介装されたリターンスプリング、参照符号105は多板クラッチである。
クラッチピストン102は、シールボンデッドピストンあるいはボンデッドピストンシールとも呼ばれるものであって、その外径部には、クラッチシリンダ101の外周筒部101bの内周面と軸方向摺動可能に密接されるゴム状弾性材料からなるシールリップ102aが一体的に設けられ、内径部には、クラッチシリンダ101の内周筒部101aの外周面と軸方向摺動可能に密接されるゴム状弾性材料からなるシールリップ102bが一体的に設けられている。
遠心油圧キャンセラ103は、ボンデッドキャンセラシールなどとも呼ばれるものであって、その外径部に、クラッチピストン102と軸方向摺動可能に密接されたゴム状弾性材料からなるシールリップ103aが一体的に設けられている。また、クラッチシリンダ101の内周筒部101aには、加圧室100Aに油圧を導入するための導圧ポート100Cと、キャンセル油圧室100Bに作動油(ATF)を供給するキャンセルポート100Dが開設されている。
多板クラッチ105は、クラッチシリンダ101に軸方向移動可能な状態で円周方向に係止された複数のドライブプレート105aと、不図示の従動軸側に設けられたクラッチハブ106に軸方向移動可能な状態で円周方向に係止された複数のドリブンプレート105bが軸方向交互に配置された構造を有する。また、クラッチピストン102の外径部に形成された外径筒部102cが、多板クラッチ105と軸方向に対向している。
すなわち、この種の油圧クラッチ装置100は、導圧ポート100Cを介して加圧室100Aに作動油の油圧を印加することによって、クラッチピストン102がリターンスプリング104を圧縮しながら、クラッチシリンダ101内をキャンセル油圧室100B側へ軸方向変位し、多板クラッチ105を押圧してドライブプレート105aとドリブンプレート105bを摩擦係合させる。このため、多板クラッチ105が接続状態となり、不図示の駆動軸の駆動トルクが、クラッチシリンダ101から多板クラッチ105のドライブプレート105a、ドリブンプレート105b及びクラッチハブ106を介して不図示の従動軸へ伝達される。
また、この接続状態から加圧室100Aの油圧を開放すると、クラッチピストン102は、圧縮されたリターンスプリング104の付勢力によって加圧室100A側へ復帰移動し、多板クラッチ105におけるドライブプレート105aとドリブンプレート105bの摩擦係合状態を解除し、これによって駆動軸から従動軸への駆動力伝達を遮断する。
ここで、クラッチシリンダ101及びクラッチピストン102は、駆動軸と共に軸心Oの周りに回転しているので、加圧室100A内に導入された作動油は遠心力によって外周側へ押し付けられる。したがって加圧室100A内には遠心油圧が発生し、この遠心油圧は、リターンスプリング104によるクラッチピストン102の復帰動作を妨げるように作用する。しかし、クラッチピストン102と遠心油圧キャンセラ103の間に画成されたキャンセル油圧室100Bに貯留された作動油にも遠心油圧(キャンセル油圧)が発生して、加圧室100A内の遠心油圧と部分平衡するので、クラッチピストン102の復帰動作によるクラッチの切断を円滑に行うことができる(例えば下記の特許文献1参照)。
ところで、この種の油圧クラッチ装置100においては、配置スペースの制約によっては、クラッチシリンダ101内の多板クラッチ105が遠心油圧キャンセラ103の外周側に配置され、しかもクラッチピストン102の外径筒部102cの軸方向寸法が短いため、遠心油圧キャンセラ103のシールリップ103aをクラッチピストン102の外径筒部102cに軸方向摺動可能に密接させた構造とすることができず、このためキャンセル油圧室100Bの外径r2をクラッチハブ106の内周面の径r3より小さくせざるを得ない場合がある。図5に示される例では、多板クラッチ105の内周側に位置して、クラッチピストン102の径方向中間部を軸方向へ断面U字形に屈曲させた二重円筒部102dを形成し、遠心油圧キャンセラ103のシールリップ103aを、この二重円筒部102dの内側円筒部の内周面に軸方向摺動可能に密接させることにより、キャンセル油圧室100Bを画成している。なお、図5に近似する従来技術としては例えば特許文献1に開示されたものがある。
しかしながら図5に示される構成では、遠心油圧キャンセラ103のシールリップ103aを断面U字形の二重円筒部102dの内周面に密接させることで、キャンセル油圧室100Bの外径r2がクラッチハブ106の内周面の径r3よりもいたずらに小さなものとなってしまうので、とくにエンジンの高速回転時には、キャンセル油圧室100Bの外径r2と加圧室100Aの外径r1の差による加圧室100Aの遠心油圧とキャンセル油圧室100Bのキャンセル油圧との圧力差が大きくなって、リターンスプリング104によるクラッチピストン102の円滑な復帰動作が困難になるおそれがある。
特開平9−300505号公報
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、クラッチシリンダ内のクラッチ本体部が遠心油圧キャンセラの外周側にある場合でも、加圧室とキャンセル油圧室の遠心油圧の差を可及的に小さくして、クラッチピストンの動作の円滑性を確保することにある。
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、本発明に係る自動変速機の遠心油圧キャンセル構造は、クラッチシリンダ内に軸方向移動可能に配置されて加圧室を画成するクラッチピストンと、このクラッチピストンから見て前記加圧室と反対側に配置されると共に内径部が前記クラッチシリンダに係止された遠心油圧キャンセラとを備え、前記クラッチピストンによって接続又は遮断されるクラッチ本体部が前記遠心油圧キャンセラの外周側に位置するものにおいて、前記クラッチピストンが、ピストン本体と、前記クラッチ本体部の内周に配置されると共に前記ピストン本体に密接された環状の仕切り板を備え、前記遠心油圧キャンセラの外径部に設けられたシール部材が、前記仕切り板の内周面に軸方向摺動可能に密接されることにより、前記クラッチピストンと遠心油圧キャンセラの間に前記仕切り板の内周面を外径とするキャンセル油圧室が画成されたものである。
本発明に係る自動変速機の遠心油圧キャンセル構造によれば、遠心油圧キャンセラのシール部材を、クラッチピストンのピストン本体に密接された環状の仕切り板の内周面に軸方向摺動可能に密接させているので、遠心油圧キャンセラのシール部材をクラッチピストンに形成した二重円筒の内周面に密接させることによりキャンセル油圧室を画成する場合に比較して、キャンセル油圧室の外径を拡大することができ、このため加圧室とキャンセル油圧室の遠心油圧のアンバランスを可及的に小さくして、クラッチピストンの動作の円滑性を確保することができる。
本発明に係る自動変速機の遠心油圧キャンセル構造の好ましい実施の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す片側断面図である。 本発明におけるキャンセル油圧室の外径を従来例と比較して示す説明図である。 本発明に係る自動変速機の遠心油圧キャンセル構造の好ましい他の実施の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す片側断面図である。 本発明に係る自動変速機の遠心油圧キャンセル構造の好ましい更に他の実施の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す片側断面図である。 従来の技術に係る自動変速機の遠心油圧キャンセル構造を、その軸心を通る平面で切断して示す片側断面図である。
以下、本発明に係る自動変速機の遠心油圧キャンセル構造の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る自動変速機の遠心油圧キャンセル構造の実施の形態を、油圧クラッチ装置の一部と共に軸心Oを通る平面で切断して示す片側断面図である。
図1に示される自動変速機用油圧クラッチ装置において、参照符号1は、不図示の駆動軸と共に軸心Oの周りに回転されるクラッチシリンダ、参照符号2は、クラッチシリンダ1内に軸方向移動可能に配置されクラッチシリンダ1との間に加圧室Aを画成するシール一体型のクラッチピストン、参照符号3は、クラッチピストン2から見て加圧室Aと反対側に配置されると共に内径部が前記クラッチシリンダ1に止め環33を介して係止され、クラッチピストン2との間にキャンセル油圧室Bを画成するシール一体型の遠心油圧キャンセラ、参照符号4は、クラッチピストン2と遠心油圧キャンセラ3の間(キャンセル油圧室B)に適宜圧縮状態に介装されたリターンスプリング、参照符号5は多板クラッチ、参照符号6はクラッチハブである。なお、多板クラッチ5は、請求項1に記載されたクラッチ本体部に相当する。
クラッチシリンダ1は、外周部材11と内周部材12の接合体であって、外周部材11は、内向き鍔部11aと、その外周側の円錐壁部11bと、その外周端から外周側へ展開した円盤部11cと、さらにその外周端から前記円錐壁部11bと同心に折り返されるように形成された外筒部11dからなり、内周部材12は、外周縁が外周部材11の内向き鍔部11aと密接嵌合した状態で一体に接合された外向き鍔部12aと、その内周端から外周部材11の外筒部11dと同心に延びる内筒部12bとを備える。
クラッチピストン2は、軸心Oを中心とする環状のピストン本体21と、このピストン本体21に一体に設けられたシールリップ22,23と、ピストン本体21に取り付けられ、軸心Oを中心とする環状の仕切り板24を備える。
クラッチピストン2におけるピストン本体21は、金属板のプレス成形によって製作されたものであって、クラッチシリンダ1における外周部材11の円盤部11cと対向される円盤状の外径側受圧部21aと、前記外周部材11の円錐壁部11bと対向される円錐状の中間受圧部21bと、前記外周部材11の内向き鍔部11a及び内周部材12の外向き鍔部12aと対向される円盤状の内径側受圧部21cと、さらにその内周側に形成された内周屈曲端部21dと、前記外径側受圧部21aの外周端から円筒状に延びて多板クラッチ5側を向いた外径筒部21eとを備える。
クラッチシリンダ1における外周部材11の円盤部11cから内周部材12の外向き鍔部12aにかけての部分と、これに対向されるピストン本体21の外径側受圧部21aから内周屈曲端部21dにかけての部分との間には、シールリップ22,23によって加圧室Aが画成され、クラッチシリンダ1における内周部材12の内筒部12bには、加圧室Aに作動油(ATF)による油圧を導入するための導圧ポートCと、キャンセル油圧室Bに作動油を供給するキャンセルポートDが開設されている。
また、ピストン本体21の内径側受圧部21cには、加圧室A側へ打ち出された複数の突起21fが、円周方向等間隔で形成されている。この突起21fは、ピストン本体21がその上死点位置まで移動した時に、クラッチシリンダ1における内周部材12の外向き鍔部12aと当接し、加圧室Aが閉塞することのないようにするものである。
クラッチピストン2におけるシールリップ22,23は、ピストン本体21における外径側受圧部21aの外径端の肩部と、内周屈曲端部21dの内周面に、ゴム状弾性材料によって一体的に成形されたものであって、加圧室A側を向いている。このうち、外周側のシールリップ22は、クラッチシリンダ1の外筒部11dの内周面と摺動可能に密接され、内周側のシールリップ23は、クラッチシリンダ1の内筒部12bの外周面と摺動可能に密接される。
クラッチピストン2における仕切り板24は、多板クラッチ5の内周側を円筒状に延びる筒状本体24aと、この筒状本体24aの内周側へ折り返されピストン本体21の中間受圧部21bに沿って円錐状に延びる中間円錐部24bと、そこからさらに内径側へ延びてピストン本体21の内径側受圧部21cに密接されると共に溶接WDされた内向き鍔部24cからなる。仕切り板24の中間円錐部24bは、この仕切り板24をピストン本体21に組み付ける際に、同心的に位置決めする作用を有する。
遠心油圧キャンセラ3は、金属板の打ち抜きプレス成形等によって製作されたキャンセラ本体31と、その外径端部にゴム状弾性材料によって一体的に成形されたシールリップ32からなる。キャンセラ本体31の内径部は、クラッチシリンダ1における内周部材12の内筒部12bに形成された環状溝に嵌着された止め環33に、キャンセル油圧室Bと反対側から支持され、シールリップ32はキャンセル油圧室B側を向き、クラッチピストン2における仕切り板24の筒状本体24aの内周面と摺動可能に密接されている。なおシールリップ32は、請求項1に記載されたシール部材に相当するものである。
リターンスプリング4は加圧室Aの容積を減少させる方向へクラッチピストン2を常時付勢するものであって、コイルスプリングからなり、円周方向に複数配置されている。そしてこれらリターンスプリング4の軸方向一端とクラッチピストン2のピストン本体21との間、及び軸方向他端と遠心油圧キャンセラ3のキャンセラ本体31との間には、それぞれ金属板のプレス成形品からなる環状のホルダ41,42が介在しており、各リターンスプリング4は、このホルダ41,42によって円周方向所定間隔に保持されている。
多板クラッチ5は、クラッチシリンダ1の外筒部11dに軸方向移動可能な状態で円周方向に係止された複数のドライブプレート51と、不図示の従動軸側に設けられたクラッチハブ6に軸方向移動可能な状態で円周方向に係止された複数のドリブンプレート52が軸方向交互に配置された構造を備える。また、クラッチピストン2における仕切り板24の筒状本体24aの外周面は、クラッチハブ6の内周面と径方向に近接した位置にある。
以上の構成を備える油圧クラッチ装置は、先に説明した図5と同様、導圧ポートCを介して加圧室Aへ油圧を印加し、あるいはこの油圧を開放することによって、本発明に係るクラッチピストン2がクラッチシリンダ1内を軸方向に変位して、多板クラッチ5を接続動作あるいは遮断動作させるものである。
すなわち、導圧ポートCからの作動油(ATF)の供給によって加圧室Aが加圧されると、クラッチピストン2が、リターンスプリング4を圧縮させながら、図1における下方へ変位し、このクラッチピストン2の外径筒部21eが多板クラッチ5を押圧して、この多板クラッチ5のドライブプレート51とドリブンプレート52とを摩擦係合させる。このため多板クラッチ5が接続状態となって、不図示の駆動軸側からの駆動トルクが、クラッチシリンダ1、多板クラッチ5のドライブプレート51とドリブンプレート52及びクラッチハブ6を介して、不図示の従動軸へ伝達される。
また、この接続状態から、加圧室Aの油圧を開放すると、圧縮されたリターンスプリング4の復元(伸長)によって、クラッチピストン2が、加圧室Aの容積を縮小させるように図1における上方へ変位し、多板クラッチ5への押圧を解除するので、この多板クラッチ5のドライブプレート51とドリブンプレート52の摩擦係合が解除され、駆動軸から従動軸への駆動トルクの伝達が遮断される。
また、クラッチシリンダ1、クラッチピストン2及び遠心油圧キャンセラ3などは、不図示の駆動軸と共にその軸心Oの周りに回転しているので、加圧室A内の作動油には遠心油圧が発生しており、この遠心油圧は、リターンスプリング4による加圧室Aの容積を縮小させる方向へのクラッチピストン2の復帰移動を妨げるように作用する。しかし、クラッチピストン2と遠心油圧キャンセラ3の間に画成されたキャンセル油圧室B内に、キャンセルポートDを通じて供給された作動油にも、同様に遠心油圧(キャンセル油圧)が発生しており、このキャンセル油圧は、加圧室A内の遠心油圧によるクラッチピストン2のキャンセル油圧室B側への移動力を部分的に相殺する作用を有する。
ところで図1に示される例では、配置スペースの制約などの関係で、クラッチシリンダ1内の多板クラッチ5が遠心油圧キャンセラ3の外周側に配置されており、しかもクラッチピストン2におけるピストン本体21の外径筒部21eの軸方向寸法が短いため、遠心油圧キャンセラ3のシールリップ32を、ピストン本体21の外径筒部21eの内周面に密接させた構造とすることはできない。このため図2に示されるように、キャンセル油圧室Bの外径r10をクラッチハブ6の内周面の径r3より小さくせざるを得ず、このためキャンセル油圧室Bの外径r10が加圧室Aの外径r1よりも小さくなってしまうことは避けられない。
しかしながら本発明によれば、キャンセル油圧室Bの外径r10は、クラッチピストン2に設けた仕切り板24の筒状本体24aの内周面と遠心油圧キャンセラ3のシールリップ32との密接部の径により規定されるので、図2に二点鎖線で示される従来の技術のように、クラッチピストンにその径方向中間部を軸方向へ断面U字形に屈曲させた二重円筒部102dを形成し、遠心油圧キャンセラのシールリップ103aを、この二重円筒部102dの内側円筒部の内周面に密接させることによってキャンセル油圧室を画成した場合のキャンセル油圧室の外径r2に比較して、キャンセル油室Bの外径r10を大きくすることができる。これは、ピストン本体21を軸方向へ断面U字形に屈曲させた場合の二重円筒部102dの外径と内径の差による無駄な径方向スペースをなくすことができ、遠心油圧キャンセラ3のシールリップ32を密接させる仕切り板24の筒状本体24aの内径(キャンセル油圧室Bの外径r10)を、クラッチハブ6の内径に可及的に近付けることができるからである。
したがって、加圧室Aの遠心油圧とキャンセル油圧室Bのキャンセル油圧のアンバランスを可及的に小さくして、クラッチピストン2の復帰動作(クラッチの切断動作)の円滑性の確保を図ることができる。
次に図3は、本発明に係る自動変速機の遠心油圧キャンセル構造の好ましい他の実施の形態を、その軸心Oを通る平面で切断して示す片側断面図である。
この図3に示される形態において、先の図1に示される形態と異なるところは、クラッチピストン2における仕切り板24の内向き鍔部24cが、リターンスプリング4の保持位置より内径側まで延びていて、リターンスプリング4の付勢力によって、ホルダ41を介してピストン本体21の内径側受圧部21cに密接状態に押し付けられている点にある。その他の部分は基本的に図1と同様に構成されている。
したがってこの形態によれば、図1の形態と同様の効果に加えて、仕切り板24をピストン本体21の内径側受圧部21cに溶接する必要がないので、製造コストを抑えることができるといった利点がある。
次に図4は、本発明に係る自動変速機の遠心油圧キャンセル構造の好ましい更に他の実施の形態を、その軸心Oを通る平面で切断して示す片側断面図である。
この図4に示される形態において、先の図1に示される形態と異なるところは、リターンスプリング4の一端を保持するホルダ41が、図3の形態における仕切り板24の内向き鍔部24cに一体に形成されている点にある。その他の部分は基本的に図1と同様に構成されている。
したがってこのように構成すれば、部品点数の減少及び組み付け工程の簡略化を図ることができる。
1 クラッチシリンダ
2 クラッチピストン
21 ピストン本体
24 仕切り板
24a 筒状本体
3 遠心油圧キャンセラ
31 キャンセラ本体
32 シールリップ(シール部材)
4 リターンスプリング
5 多板クラッチ(クラッチ本体部)
6 クラッチハブ
A 加圧室
B キャンセル油圧室

Claims (1)

  1. クラッチシリンダ内に軸方向移動可能に配置されて加圧室を画成するクラッチピストンと、このクラッチピストンから見て前記加圧室と反対側に配置されると共に内径部が前記クラッチシリンダに係止された遠心油圧キャンセラとを備え、前記クラッチピストンによって接続又は遮断されるクラッチ本体部が前記遠心油圧キャンセラの外周側に位置するものにおいて、前記クラッチピストンが、ピストン本体と、前記クラッチ本体部の内周に配置されると共に前記ピストン本体に密接された環状の仕切り板を備え、前記遠心油圧キャンセラの外径部に設けられたシール部材が、前記仕切り板の内周面に軸方向摺動可能に密接されることにより、前記クラッチピストンと遠心油圧キャンセラの間に前記仕切り板の内周面を外径とするキャンセル油圧室が画成されたことを特徴とする自動変速機の遠心油圧キャンセル構造。
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