JP2022534227A - ヒト血清アルブミン、ビタミンd、c反応性タンパク質、及び抗トランスグルタミナーゼ自己抗体の検出のためのアッセイ方法 - Google Patents

ヒト血清アルブミン、ビタミンd、c反応性タンパク質、及び抗トランスグルタミナーゼ自己抗体の検出のためのアッセイ方法 Download PDF

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Abstract

試料中のヒト血清アルブミン、ビタミンD、C反応性タンパク質、又は抗トランスグルタミナーゼ自己抗体(ATA)免疫グロブリンA(IgA)及び/又はATA IgGの存在又は量を、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を使用して検出するためのアッセイ方法。

Description

(関連出願への相互参照)
本出願は、2019年5月23日に出願された米国仮特許出願第62/852,174号、2019年6月4日に出願された米国仮特許出願第62/857,134号、2019年6月18日に出願された米国仮特許出願第62/863,120号、及び2019年2019年6月25日に出願された米国仮特許出願第62/866,506号の優先権を主張し、これらの開示は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの生物学的アッセイは、2つの蛍光発色団が使用される時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR-FRET)メカニズムに依存している。生物学的材料は通常、自家蛍光を起こしやすい傾向があるが、これは時間分解FRETを利用することで最小限に抑えることができる。TR-FRETは、非常に長い蛍光発光半減期を有するランタニド類(例えばユーロピウム及びテルビウム)などの希土類元素を利用する。これらのアッセイでは、2つの蛍光発色団が互いに近接している場合、ドナー蛍光発色団とアクセプター蛍光発色団の間でエネルギーが移動する。2つの蛍光発色団が所定の近傍内にある場合、エネルギー源(例えばUV光)によるドナー(例えばクリプテート)の励起は、アクセプターへのエネルギー移動を生み出す。次に、アクセプターはその固有の波長で発光する。TR-FRETが発生するためには、ドナー分子の蛍光発光スペクトルがアクセプター発色団の吸収又は励起スペクトルと重複する必要がある。さらに、ドナー分子の蛍光寿命は、TR-FRETが発生するのに十分な持続時間でなければならない。
クリプテートは、様々なバイオアッセイ形式で使用することができる。クリプテートは、テルビウムやユーロピウムなどのランタニドイオンがしっかりと埋め込まれているか又はキレート化されている大環状化合物を含む複合体である。このケージのような構造は、照射されたエネルギーを収集し、収集されたエネルギーをランタニドイオンに移動するのに有用である。ランタニドイオンは、特徴的な蛍光を伴ってエネルギーを放出することができる。
米国特許第6,406,297号は、「発光マーカーとして使用されるサリチルアミド-ランタニド錯体」と題されている。この特許は、ランタニド系列の金属イオンとサリチルアミジル部分を含む錯化剤とを含む発光性ランタニド金属キレートを対象としている。この特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
米国特許第6,515,113号は、「発光マーカーとして使用されするためのフタルアミドランタニド錯体」と題されている。この特許は、ランタニド系列の金属イオンとフタルアミジル部分を含む錯化剤とを含む発光性ランタニド金属キレートを対象としている。この特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
WO2015157057は、「大環状化合物」と題され、治療及び診断用途で使用することができる化合物及び複合体に関する。この刊行物は、生体分子の標識に有用なクリプテート分子を含む。この刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
WO2018130988は、優れた蛍光特性を有するクリプテート誘導体及びその結合体を開示する。クリプテートは、さまざまな分析物を検出及び同定するための生物学的アッセイ及び方法に有用である。
前述を考慮すると、当技術分野で必要とされるのは、生体分子の存在又は量を測定して、より高い処理能力に加えて、柔軟性、信頼性、及び感度の上昇を提供することができる均一アッセイである。本開示は、この及び他の必要性を提供する。
(簡単な要約)
1つの態様において、本開示は、試料中のヒト血清アルブミンの存在又は量を検出するためのアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料に、ドナー蛍光発色団で標識された抗ヒト血清アルブミン抗体と、アクセプター蛍光発色団で標識された単離されたヒト血清アルブミンとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
試料中のヒト血清アルブミンが、ドナー蛍光発色団で標識された抗ヒト血清アルブミン抗体への結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のヒト血清アルブミンの存在又は量を示す。
別の態様において、本開示は、試料中のヒト血清アルブミンの存在又は量を検出するためのアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料に、アクセプター蛍光発色団で標識された抗ヒト血清アルブミン抗体と、ドナー蛍光発色団で標識された単離されたヒト血清アルブミンとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
試料中のヒト血清アルブミンが、アクセプター蛍光発色団で標識された抗ヒト血清アルブミン抗体への結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のヒト血清アルブミンの存在又は量を示す。
いくつかの実施態様において、血液中のヒト血清アルブミンの濃度は、約3g/L~約500g/Lである。いくつかの実施態様において、血液中のヒト血清アルブミンの正常濃度は約35g/L~約50g/Lである。いくつかの実施態様において、血液中のヒト血清アルブミンの高濃度は少なくとも50g/Lである。いくつかの実施態様において、血液中のヒト血清アルブミンの高濃度は少なくとも100g/Lである。いくつかの実施態様において、血液中のヒト血清アルブミンの低濃度は35g/L未満である。いくつかの実施態様において、血液中のヒト血清アルブミンの低濃度は20g/L未満である。
別の態様において、本開示は、試料中のビタミンDの存在又は量を検出するためのアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料に、ドナー蛍光発色団で標識されたビタミンD結合剤と、アクセプター蛍光発色団で標識された単離されたビタミンDとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
試料中のビタミンDが、ドナー蛍光発色団で標識されたビタミンD結合剤への結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のビタミンDの存在又は量を示す。
別の態様において、本開示は、試料中のビタミンDの存在又は量を検出するためのアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料に、アクセプター蛍光発色団で標識されたビタミンD結合剤と、ドナー蛍光発色団で標識された単離されたビタミンDとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
試料中のビタミンDが、アクセプター蛍光発色団で標識されたビタミンD結合剤への結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のビタミンDの存在又は量を示す。
いくつかの実施態様において、血液中のビタミンDの濃度は、約2ng/mL~約500ng/mL(例えば、約2ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、110ng/mL、120ng/mL、130ng/mL、140ng/mL、150ng/mL、160ng/mL、170ng/mL、180ng/mL、190ng/mL、200ng/mL、210ng/mL、220ng/mL、230ng/mL、240ng/mL、250ng/mL、260ng/mL、270ng/mL、280ng/mL、290ng/mL、300ng/mL、310ng/mL、320ng/mL、330ng/mL、340ng/mL、350ng/mL、360ng/mL、370ng/mL、380ng/mL、390ng/mL、400ng/mL、410ng/mL、420ng/mL、430ng/mL、440ng/mL、450ng/mL、460ng/mL、470ng/mL、480ng/mL、490ng/mL、又は500ng/mL)である。
いくつかの実施態様において、血液中のビタミンDの正常濃度は、約20ng/mL~約50ng/mL(例えば、約20ng/mL、23ng/mL、25ng/mL、27ng/mL、29ng/mL、31ng/mL、33ng/mL、35ng/mL、37ng/mL、39ng/mL、41ng/mL、43ng/mL、45ng/mL、47ng/mL、49ng/mL、又は50ng/mL)である。
いくつかの実施態様において、血液中のビタミンDの高濃度は、少なくとも50ng/mL(例えば、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、110ng/mL、120ng/mL、130ng/mL、140ng/mL、150ng/mL、160ng/mL、170ng/mL、180ng/mL、190ng/mL、200ng/mL、210ng/mL、220ng/mL、230ng/mL、240ng/mL、250ng/mL、260ng/mL、270ng/mL、280ng/mL、290ng/mL、300ng/mL、310ng/mL、320ng/mL、330ng/mL、340ng/mL、350ng/mL、360ng/mL、370ng/mL、380ng/mL、390ng/mL、400ng/mL、410ng/mL、420ng/mL、430ng/mL、440ng/mL、450ng/mL、460ng/mL、470ng/mL、480ng/mL、490ng/mL、又は500ng/mL)である。
いくつかの実施態様において、血液中のビタミンDの高濃度は、少なくとも100ng/mL(例えば、少なくとも110ng/mL、120ng/mL、130ng/mL、140ng/mL、150ng/mL、160ng/mL、170ng/mL、180ng/mL、190ng/mL、200ng/mL、210ng/mL、220ng/mL、230ng/mL、240ng/mL、250ng/mL、260ng/mL、270ng/mL、280ng/mL、290ng/mL、300ng/mL、310ng/mL、320ng/mL、330ng/mL、340ng/mL、350ng/mL、360ng/mL、370ng/mL、380ng/mL、390ng/mL、400ng/mL、410ng/mL、420ng/mL、430ng/mL、440ng/mL、450ng/mL、460ng/mL、470ng/mL、480ng/mL、490ng/mL、又は500ng/mL)である。
いくつかの実施態様において、血液中のビタミンDの低濃度は、20ng/mL未満(例えば、18ng/mL、16ng/mL、14ng/mL、12ng/mL、10ng/mL、8ng/mL、6ng/mL、又は4ng/mL)である。
いくつかの実施態様において、血液中のビタミンDの低濃度は、10ng/mL未満(例えば、8ng/mL、6ng/mL、又は4ng/mL)である。
別の態様において、本開示は、試料中のC反応性タンパク質(CRP)の存在又は量を検出するためのアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料に、ドナー蛍光発色団で標識された抗C反応性タンパク質抗体と、アクセプター蛍光発色団で標識された単離されたC反応性タンパク質とを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
試料中のC反応性タンパク質が、ドナー蛍光発色団で標識された抗C反応性タンパク質抗体への結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のC反応性タンパク質の存在又は量を示す。
別の態様において、本開示は、試料中のC反応性タンパク質の存在又は量を検出するためのアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料に、アクセプター蛍光発色団で標識された抗C反応性タンパク質抗体と、ドナー蛍光発色団で標識された単離されたC反応性タンパク質とを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
試料中のC反応性タンパク質が、アクセプター蛍光発色団で標識された抗C反応性タンパク質抗体への結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のC反応性タンパク質の存在又は量を示す。
いくつかの実施態様において、血液中のC反応性タンパク質の正常濃度は3mg/L未満である。いくつかの実施態様において、血液中のC反応性タンパク質の高濃度は少なくとも15mg/Lである。特定の実施態様において、血液中のC反応性タンパク質の高濃度は少なくとも30mg/Lである。
別の態様において、本開示は、試料中の抗トランスグルタミナーゼ自己抗体(ATA)免疫グロブリンA(IgA)及び/又はATA免疫グロブリンG(IgG)の存在又は量を検出するためのアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料に、ドナー蛍光発色団で標識された抗組織トランスグルタミナーゼ抗体と、アクセプター蛍光発色団で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体は組織トランスグルタミナーゼに対する結合エピトープを含み、及びここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
試料中のATA IgA及び/又はATA IgGが、アクセプター蛍光発色団で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼへの結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のATA IgA及び/又はATA IgGの存在又は量を示す。
別の態様において、本開示は、試料中の抗トランスグルタミナーゼ自己抗体(ATA)免疫グロブリンA(IgA)及び/又はATA免疫グロブリンG(IgG)の存在又は量を検出するためのアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料に、アクセプター蛍光発色団で標識された抗組織トランスグルタミナーゼ抗体と、ドナー蛍光発色団で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体は組織トランスグルタミナーゼに対する結合エピトープを含み、かつここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
試料中のATA IgA及び/又はATA IgGが、ドナー蛍光発色団で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼへの結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のATA IgA及び/又はATA IgGの存在又は量を示す。
本開示の別の態様において、本開示は、試料中の抗トランスグルタミナーゼ自己抗体(ATA)免疫グロブリンA(IgA)及び/又はATA免疫グロブリンG(IgG)の存在又は量を検出並びに区別し得るアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料に、ドナー蛍光発色団(又は第1のアクセプター蛍光発色団)で標識された抗組織トランスグルタミナーゼ抗体と、第1のアクセプター蛍光発色団(又はドナー蛍光発色団)で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体は組織トランスグルタミナーゼに対する結合エピトープを含み、かつここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
試料中のATA IgA及び/又はATA IgGが、第1のアクセプター蛍光発色団(又はドナー蛍光発色団)で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼへの結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、
試料を、第2のアクセプター蛍光発色団で標識された抗IgA抗体及び第3のアクセプター蛍光発色団で標識された抗IgG抗体と、さらにインキュベートする工程と、そして
光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
ここで、第2のアクセプター蛍光発色団によって放出される蛍光シグナルの検出は試料中のATA IgAの存在又は量を示し、かつ第3のアクセプター蛍光発色団によって放出される蛍光シグナルの検出は試料中のATA IgGの存在又は量を示す。
いくつかの実施態様において、血液中のATA IgAの濃度は約7mg/dL~約4,000mg/dLである。特定の実施態様において、血液中のATA IgAの正常濃度は約70mg/dL~約400mg/dLである。特定の実施態様において、血液中のATA IgAの高濃度は少なくとも400mg/dLを超える。具体的な実施態様において、血液中のATA IgAの高濃度は少なくとも800mg/dLを超える。
いくつかの実施態様において、血液中のATA IgGの濃度は約20mg/dL~約4,000mg/dLである。特定の実施態様において、血液中のATA IgGの正常濃度は約200mg/dL~約400mg/dLである。特定の実施態様において、血液中のATA IgGの高濃度は少なくとも400mg/dLを超える。具体的な実施態様において、血液中のATA IgGの濃度の上昇は、少なくとも800mg/dLを超える。
本明細書に記載の方法のいくつかの実施態様において、FRET発光シグナルは、時間分解FRET発光シグナルである。
いくつかの実施態様において、試料は、全血、尿、便検体、血漿、又は血清などの生物学的試料である。具体的な実施態様において、生物学的試料は全血である。
いくつかの実施態様において、ドナー蛍光発色団は、テルビウムクリプテートである。いくつかの実施態様において、アクセプター蛍光発色団は、フルオレセイン様(緑色ゾーン)、Cy5、DY-647、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 647、アロフィコシアニン(APC)、及びフィコエリトリン(PE)からなる群から選択される。
いくつかの実施態様において、光源は約300nm~約400nmの励起波長を提供する。いくつかの実施態様において、蛍光発光シグナルは約450nm~約700nmの発光波長を放出する。
これらの及び他の態様、目的、及び実施態様は、以下の詳細な説明を読むことと図面によって、より明らかになるであろう。
ヒト血清アルブミンに関する本開示の1つの実施態様を示す。
本開示の方法を使用してヒト血清アルブミンについて作成された標準曲線を示す。
ヒト血清アルブミンについての本開示の方法が、HSAについてのBeckman Coulter IMMAGE(登録商標)アッセイと如何に相関しているかを示す。
ビタミンDに関する本開示の1つの実施態様を示す。
本開示の方法を使用してビタミンDについて作成された標準曲線を示す。
C反応性タンパク質に関する本開示の1つの実施態様を示す。
C反応性タンパク質に関する本開示の1つの実施態様を示す。
C反応性タンパク質に関する本開示の1つの実施態様を示す。
本開示の方法を使用してC反応性タンパク質について作成された標準曲線を示す。
TR-FRET C反応性タンパク質アッセイが1分後に平衡に達することを示す。
本開示の方法を使用してC反応性タンパク質について作成された標準曲線を示す。
Prociseで試験された指穿刺全血試験と、Orion QuikRead go CRPアッセイによるマッチドペア血清試料試験の、計算されたCRPとの相関を示す。
抗トランスグルタミナーゼ自己抗体(ATA)免疫グロブリンA(IgA)又はG(IgG)に関する本開示の実施態様を示す。
抗トランスグルタミナーゼ自己抗体(ATA)免疫グロブリンA(IgA)又はG(IgG)に関する本開示の実施態様を示す。
ATA IgAに関する本開示の方法を使用して作成された標準曲線を示す。
抗トランスグルタミナーゼ自己抗体(ATA)免疫グロブリンA(IgA)又はG(IgG)に関する本開示の実施態様を示す。
ATA IgAに関する本開示の方法を使用して作成された標準曲線を示す。
抗トランスグルタミナーゼ自己抗体(ATA)免疫グロブリン(IgA)に関する本開示と、Inova ATA IgAアッセイとの相関を示す。
309人の患者試料でカットオフ14を使用したATA IgAに対する本開示の感度及び特異度を示す。
抗トランスグルタミナーゼ自己抗体(ATA)免疫グロブリン(IgA)に関する本開示と、Phadia ATA IgAアッセイとの相関を示す。
355人の患者試料でカットオフ9を使用したATA IgAに対する本開示の感度及び特異度を示す。
本開示のドナー蛍光発色団の1つの実施態様を示す。
本開示のアクセプター蛍光発色団の1つの実施態様を示す。
本開示の1つの実施態様におけるドナー波長とアクセプター波長を示す。
(詳細な説明)
I. 定義
本明細書で使用される「a」、「an」、又は「the」という用語は、1つのメンバーを有する態様を含むだけでなく、2つ以上のメンバーを含む態様も含む。
数値を修飾するために本明細書で使用される「約」という用語は、その値の周りの定義された範囲を示す。「X」が値である場合、「約X」は0.9X~1.1Xの値を示し、より好ましくは0.95X~1.05Xの値を示すであろう。「約X」への参照は具体的には、少なくとも値X、0.95X、0.96X、0.97X、0.98X、0.99X、1.01X、1.02X、1.03X、1.04X、及び1.05Xを示す。従って「約X」は、例えば「0.98X」のクレーム制限についての書面による説明の支持を教示し、提供することを意図している。
数値範囲の始まりを説明するために修飾語「約」が適用される場合、それは範囲の両端に適用される。従って「約500~約850nm」は、「約500nm~約850nm」と同等である。値のセットの最初の値を説明するために「約」が適用される場合、そのセット内のすべての値に適用される。従って「約580、700、又は850nm」は、「約580nm、約700nm、又は約850nm」と同等である。
本明細書で使用される「活性化アシル」は、-C(O)-LG基を含む。「脱離基」又は「LG」は、求核性アシル置換(すなわち、-C(O)-LGのカルボニルへの求核的付加と、それに続く脱離基の脱離)による置換を受けやすい基である。代表的な脱離基には、ハロ、シアノ、アジド、t-ブチルカルボキシなどのカルボン酸誘導体、及びi-BuOC(O)O-などの炭酸塩誘導体が含まれる。活性化アシル基はまた、本明細書で定義される活性化エステル、又はカルボジイミドによって活性化されて無水物(優先的に環状)又は混合無水物-OC(O)Ra又は-OC(NRa)NHRb(好ましくは環状)を形成するカルボン酸でもよく、ここでRa及びRbは、C1~C6アルキル、C1~C6パーフルオロアルキル、C1~C6アルコキシ、シクロヘキシル、3-ジメチルアミノプロピル、又はN-モルホリノエチルからなる群から独立して選択されるメンバーである。好適な活性化アシル基には、活性化エステルが含まれる。
本明細書で使用される「活性化エステル」は、エチルエステル基よりも求核的付加及び脱離による置換に対して、より感受性の高いカルボキシル基の誘導体(例えばNHSエステル、スルホ-NHSエステル、PAMエステル、又はハロフェニルエステル)を含む。活性エステルの代表的なカルボニル置換基には、スクシンイミジルオキシ(-OC44NO2)、スルホスクシンイミジルオキシ(-OC43NO2SO3H)、-1-オキシベンゾトリアゾリル(-OC643);4-スルホ-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル;又は、ニトロ、フルオロ、クロロ、シアノ、トリフルオロメチル、又はこれらの組み合わせなどの電子求引性置換基によって任意選択的に1回以上置換されるアリールオキシ基(例えば、ペンタフルオロフェニルオキシ、又は2,3,5,6-テトラフルオロフェニルオキシ)が含まれる。好適な活性化エステルには、スクシンイミジルオキシ、スルホスクシンイミジルオキシ、及び2,3,5,6-テトラフルオロフェニルオキシエステルが含まれる。
「FRETパートナー」は、クリプテートなどのドナー蛍光化合物とAlexa 647などのアクセプター化合物から成る一対の蛍光発色団をさし、これらは互いに近接していて、かつこれらがドナー蛍光化合物の励起波長で励起される場合、これらの化合物はFRETシグナルを放出する。2つの蛍光化合物がFRETパートナーとなるためには、ドナー蛍光化合物の発光スペクトルがアクセプター化合物の励起スペクトルと部分的に重なる必要があることが知られている。好適なFRET-パートナー対は、値R0(フェルスター距離、エネルギー移動の効率が50%である距離)が30Å以上であるものである。
「FRETシグナル」は、ドナー蛍光化合物とアクセプター化合物との間のFRETを表す任意の測定可能なシグナルを指す。従って、FRETシグナルは、アクセプター化合物が蛍光性である場合の、ドナー蛍光化合物又はアクセプター化合物の発光の強度又は寿命の変動であり得る。
「ヒト血清アルブミン」は、ヒト血漿中にあり、肝臓でプロアルブミン前駆体タンパク質として合成されるタンパク質を指す。プロアルブミン前駆体タンパク質のN末端ペプチドが除去されてプロアルブミンが生成され、これが粗面小胞体からゴルジ小胞に放出され、ここで再び切断されて成熟血清アルブミンが生成される。ヒト血清アルブミンは、血液中でホルモンや脂肪酸の輸送及びpH緩衝などの多くの機能を果たす。ヒト血清アルブミンの分子量は約66.5kDaで、血清半減期は約20日である。ヒト血清アルブミン(UniProt ID No.P02768)は、配列番号1である。
「ビタミンD」は、脂溶性セコステロイドの群を指し、その中で最も重要なものは、ビタミンD2(エルゴカルシフェロールとしても知られている)及びビタミンD3(コレカルシフェロールとしても知られている)である。この群の他の化合物は、ビタミンD1(エルゴカルシフェロールとルミステロールの混合物)、ビタミンD4(22-ジヒドロエルゴカルシフェロール)、及びビタミンD5(シトカルシフェロール)である。
ビタミンD2及びビタミンD3の化学構造を以下に示される:
Figure 2022534227000001
「C反応性タンパク質」又はCRPは、血漿中に見出される5量体タンパク質を指し、その血中濃度は炎症に応答して上昇する。このタンパク質は、肝臓でマクロファージや脂肪細胞(fat cell)(脂肪細胞(adipocyte))から放出される因子に応答して合成される。C反応性タンパク質遺伝子は第1染色体(1q23.2)上に存在する。その5量体構造の各モノマーは224個のアミノ酸を有し、分子量は25,106Daである。血清中では、これは集合して円盤状の安定した5量体構造になる。ヒトC反応性タンパク質(UniProt ID No.P02741)は、配列番号2である。
本明細書で使用される「グルテン誘発性疾患」は、組織トランスグルタミナーゼtTGに対する自己抗体に関連する、セリアック病などのグルテン誘発性疾患実体又は障害に関連する。グルテン誘発性疾患はしばしば腸疾患を引き起こし、最もよく知られているグルテン誘発性疾患はセリアック病と疱疹状皮膚炎である。しかし、腸疾患症状のないグルテン誘発性疾患もある。従って、グルテン誘発性疾患のより良い指標は、tTG自己抗体の存在である。
「セリアック病(CD)」は、腸粘膜の疾患を指し、通常、乳児及び子供に現れる。CDは粘膜の炎症に関連しており、吸収不良を引き起こす。セリアック病の個体は、小麦、ライ麦、大麦、そしておそらくオート麦に存在するグルテンと呼ばれるタンパク質を許容しない。グルテンに曝露されると、CDを有する個体の免疫系は、小腸の内壁を攻撃することによって反応する。CDの唯一の治療法はグルテンを含まない食事療法であり、これは通常、形態学的及び臨床的改善をもたらす。
「トランスグルタミナーゼ(EC2.3.2.13)」は、高度に遍在し、種間で高度に保存されているCa2+依存性酵素の多様なファミリーを指す。トランスグルタミナーゼは、あるポリペプチドのグルタミン残基のα-カルボキシル基と別のポリペプチドのリジン残基のε-NH2基との間のイソペプチド結合の形成を介して、特定のタンパク質の共有結合架橋を触媒する。結果として得られるポリマーネットワークは安定しており、タンパク質分解に対して耐性であり、化学的、酵素的、及び機械的破壊に対する組織の耐性を上昇させる。すべてのトランスグルタミナーゼの中で、組織トランスグルタミナーゼ(tTG)が最も広く分布している。tTGは、CDの自己免疫応答の焦点を提供する。
「抗トランスグルタミナーゼ抗体」又は「ATA」は、トランスグルタミナーゼタンパク質に対する自己抗体である。ATA IgG及びATA IgAは、免疫グロブリン反応性サブクラス(IgA、IgG)に従って分類されるATAである。
II. 実施態様
ヒト血清アルブミン
ヒト血清アルブミンは、ヒト血漿中の最も豊富なタンパク質の1つである。ヒト血清アルブミンは、肝臓でプロアルブミン前駆体タンパク質として合成され、この前駆体タンパク質は、新生タンパク質が粗面小胞体からプロアルブミンとして放出される前に除去されるN末端ペプチドを有する。次に、プロアルブミンはゴルジ小胞で切断され、成熟した血清アルブミンを生成する。ヒト血清アルブミンの分子量は約66.5kDaで、血清半減期は約20日である。ヒト血清アルブミンは、血液中でホルモン及び脂肪酸の輸送やpH緩衝などの多くの機能を果たす。ヒト血清アルブミンの存在と濃度レベルは、通常、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって測定される。
ヒト血清アルブミン固相サンドイッチELISAは、抗体の対の間に結合した分析物の存在又は量を測定するように設計されている。サンドイッチELISAでは、試料は固定化された捕捉抗体に添加される。第2(検出)抗体が添加された後、酵素-抗体-標的複合体と反応して測定可能なシグナルを生成する基質溶液が使用される。このシグナルの強度は、試験試料中に存在する標的の濃度に比例する。
本開示は、全血などの生物学的試料中のヒト血清アルブミンの存在又はレベルを検出するための、均一液相時間分解FRETアッセイ(TR-FRET)を提供する。他のマーカーのレベルと組み合わせて、ヒト血清アルブミンは、NASH、C型肝炎、B型肝炎などの肝疾患における線維症の測定の補助として使用することができる。フェルスター共鳴エネルギー移動又は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)は、励起状態のドナー分子とアクセプター蛍光発色団の2つの分子が、通常は10nm未満、例えば<9nm、<8nm、<7nm、<6nm、<5nm、<4nm、<3nm、<2nm、又は<1nm未満に近接すると、励起状態のドナー分子がその励起エネルギーを双極子-双極子結合を介してアクセプター蛍光発色団に移動するプロセスである。特徴的な波長で励起されると、ドナーによって吸収されたエネルギーがアクセプターに移動され、次にアクセプターがエネルギーを放出する。アクセプター蛍光発色団から放出される光のレベルは、ドナーアクセプター複合体形成の程度に比例する。
生物学的材料は、典型的には自家蛍光を起こしやすいが、これは、時間分解蛍光測定法(TRF)を利用することによって最小限に抑えることができる。TRFは、ランタニド(例えばユーロピウム及びテルビウム)などの蛍光発光の半減期が非常に長い独自の希土類元素を利用している。時間分解FRET(TR-FRET)は、TRFとFRETの特性を統合しており、これは、生物学的試料を分析する場合に特に有利である。抗ヒト血清アルブミン抗体がドナー蛍光発色団で標識され、単離されたヒト血清アルブミンタンパク質がアクセプター蛍光発色団で標識されている場合、TR-FRETはこれら2つの分子の存在下で起こり、これらが、単離されたヒト血清アルブミンタンパク質に対する抗ヒト血清アルブミン抗体の結合を介して複合体を形成することができる。この複合体が試料(例えば全血試料)と接触すると、試料中のヒト血清アルブミンは、存在する場合、ドナー蛍光発色団で標識された抗ヒト血清アルブミンへの結合について、アクセプター蛍光発色団で標識された単離されたヒト血清アルブミンタンパク質と競合するであろう。従って、ヒト血清アルブミンが試料(例えば全血試料)中に存在する場合、それは、複合体によって最初に放出されたFRETシグナルを妨害し、FRETシグナルの減少をもたらすであろう(図1及び2)。従って、試料(例えば全血試料)中に少量のヒト血清アルブミンが存在する場合、アクセプター蛍光発色団(又はドナー蛍光発色団)で標識された単離されたヒト血清アルブミンは、妨げられることなく、ドナー蛍光発色団(又はアクセプター蛍光発色団)で標識された抗ヒト血清アルブミン抗体に結合するため、FRETシグナルはその最大に近い。大量のヒト血清アルブミンが存在する場合、試料(例えば全血試料)中のヒト血清アルブミンは、単離されたヒト血清アルブミンの抗ヒト血清アルブミン抗体への結合を阻止又は結合と競合するため、FRETシグナルは小さい。いくつかの実施態様において、TR-FRETによる試料(例えば全血試料)中のヒト血清アルブミンの存在又はレベルの測定は、被験体の栄養失調を決定するための補助として使用することができる。
生物学的プロセスを研究するためのFRET現象の使用は、FRETパートナーの対の各メンバーが、互いに相互作用する化合物に結合され、従ってFRETパートナーが互いに近接されることを意味する。光に曝露されると、FRETパートナーはFRETシグナルを生成する。本開示による方法において、エネルギードナーは、抗ヒト血清アルブミン抗体に結合され、エネルギーアクセプターは、単離されたヒト血清アルブミンタンパク質に結合される。あるいは、エネルギーアクセプターが抗ヒト血清アルブミン抗体に結合され、エネルギードナーが単離されたヒト血清アルブミンタンパク質に結合される。2つのFRETパートナー間のエネルギー移動は、抗ヒト血清アルブミンの単離されたヒト血清アルブミンタンパク質への結合に依存する。フェルスター又は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)は、励起状態のドナー蛍光発色団がその励起エネルギーを、隣接するアクセプター蛍光発色団に非放射的に移動し、それによってアクセプターにその特徴的な蛍光を放出させる物理的現象である。
従って、1つの態様において、本開示は、試料中のヒト血清アルブミンの存在又は量を検出するためのアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料に、ドナー蛍光発色団で標識された抗ヒト血清アルブミン抗体と、アクセプター蛍光発色団で標識された単離されたヒト血清アルブミンとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
試料中のヒト血清アルブミンが、ドナー蛍光発色団で標識された抗ヒト血清アルブミン抗体への結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のヒト血清アルブミンの存在又は量を示す。
別の態様において、アッセイ法において、抗ヒト血清アルブミンをアクセプター蛍光発色団で標識することができ、単離されたヒト血清アルブミンをドナー蛍光発色団で標識することができる。
本開示の両方の態様において、試料中のヒト血清アルブミンの存在又は量を示すのは、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、蛍光発光シグナルが欠如、消失、又は減少していることである。励起状態のドナー蛍光発色団は、その励起エネルギーをアクセプター蛍光発色団に移動して、アクセプター蛍光発色団にその特徴的な蛍光を放出させることができる。しかし、ヒト血清アルブミンが試料中に存在し、抗ヒト血清アルブミン抗体への結合について、単離されたヒト血清アルブミンと競合する場合、ドナー蛍光発色団とアクセプター蛍光発色団の間の蛍光エネルギー移動が妨害され、蛍光発光シグナルの消失又は減少につながるであろう。
特定の態様において、FRETアッセイは時間分解FRETアッセイである。蛍光発光シグナル又は測定されたFRETシグナルは、研究される生物学的現象と直接相関している。実際には、ドナー蛍光化合物とアクセプター蛍光化合物の間のエネルギー移動のレベルは、これらの化合物間の距離の6乗の逆数に比例する。当業者によって一般的に使用されるドナー/アクセプター対の場合、距離R0(50%の移動効率に対応する)は、1、5、10、20、又は30ナノメートルのオーダーである。具体的には本明細書に記載の方法において、ドナー蛍光発色団(又はアクセプター蛍光発色団)で標識された抗ヒト血清アルブミンがアクセプター蛍光発色団(又はドナー蛍光発色団)で標識された単離されたヒト血清アルブミンタンパク質に結合することにより形成される複合体が、試料(例えば全血試料)と接触したときのFRETシグナルが、複合体が試料と接触する前に複合体によって放出された最初のFRETシグナルと比較して減少していることは、試料中のヒト血清アルブミンの存在と相関している(例えば図1及び2を参照)。
特定の態様において、試料は生物学的試料である。適切な生物学的試料には、特に限定されるものではないが、全血、尿、便検体、血漿、又は血清が含まれる。好適な態様において、生物学的試料は全血である。
特定の態様において、FRETエネルギードナー化合物は、ランタニドクリプテートなどのクリプテートである。
特定の態様において、クリプテートは、約300nm~約400nm、例えば約325nm~約375nmの吸収波長を有する。特定の態様において、図15に示されるように、クリプテート色素(図15のLumi4-Tb)は、約490nm、約548nm、約587nm、及び621nmに4つの蛍光発光ピークを有する。従って、ドナーとしてクリプテートは、TR-FRET実験を実施するためのフルオレセイン様(緑色ゾーン)及びCy5又はDY-647様(赤色ゾーン)アクセプター(例えば、図15の緑色アクセプター、NIRアクセプター、又はオレンジ色アクセプター)と適合性がある。
特定の態様において、フラッシュ励起とアクセプター発光波長での蛍光の測定との間に時間遅延を導入することにより、長寿命の蛍光を短寿命の蛍光から区別し、シグナル対ノイズ比を高めることができる。
ビタミンD
ビタミンDは脂溶性セコステロイドの群であり、その中で最も重要なものは、ビタミンD2(エルゴカルシフェロールとしても知られている)及びビタミンD3(コレカルシフェロールとしても知られている)である。コレカルシフェロールとエルゴカルシフェロールは、食事とサプリメントから摂取することができる。ビタミンDを含む食品は、魚、卵、強化乳製品など、ごくわずかである。このビタミンの主な天然の供給源は、日光への曝露(特にUVB放射線)に依存する化学反応を介した、皮膚でのコレステロールからのコレカルシフェロールの合成である。ビタミンDは、カルシウム、マグネシウム、リン酸塩の腸管吸収の増加や骨の成長の促進などの多くの機能を果たす。ビタミンDの存在と濃度レベルは、通常、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって測定される。
ビタミンD固相サンドイッチELISAは、抗体の対の間に結合した分析物の存在又は量を測定するように設計されている。サンドイッチELISAでは、試料は固定化された捕捉抗体に添加される。第2(検出)抗体が添加された後、酵素-抗体-標的複合体と反応して測定可能なシグナルを生成する基質溶液が使用される。このシグナルの強度は、試験試料中に存在する標的の濃度に比例する。
本開示は、全血などの生物学的試料中のビタミンDの存在又はレベルを検出するための、均一液相時間分解FRETアッセイ(TR-FRET)を提供する。他のマーカーのレベルと組み合わせて、ビタミンDは、NASH、C型肝炎、B型肝炎などの肝疾患における線維症の測定の補助として使用することができる。フェルスター共鳴エネルギー移動又は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)は、励起状態のドナー分子とアクセプター蛍光発色団の2つの分子が、通常は10nm未満、例えば<9nm、<8nm、<7nm、<6nm、<5nm、<4nm、<3nm、<2nm、又は<1nm未満に近接すると、励起状態のドナー分子がその励起エネルギーを双極子-双極子結合を介してアクセプター蛍光発色団に移動するプロセスである。特徴的な波長で励起されると、ドナーによって吸収されたエネルギーがアクセプターに移動し、次にアクセプターがエネルギーを放出する。アクセプター蛍光発色団から放出される光のレベルは、ドナーアクセプター複合体形成の程度に比例する。
生物学的材料は、典型的には自家蛍光を起こしやすいが、これは、時間分解蛍光測定法(TRF)を利用することによって最小限に抑えることができる。TRFは、ランタニド(例えばユーロピウム及びテルビウム)などの蛍光発光の半減期が非常に長い独自の希土類元素を利用している。時間分解FRET(TR-FRET)は、TRFとFRETの特性を統合しており、これは、生物学的試料を分析する場合に特に有利である。ビタミンD結合剤がドナー蛍光発色団で標識され、単離されたビタミンDがアクセプター蛍光発色団で標識されている場合、TR-FRETはこれら2つの分子の存在下で起こり、これらが、単離されたビタミンDに対するビタミンD結合剤の結合を介して複合体を形成することができる。この複合体が試料(例えば全血試料)と接触すると、試料中のビタミンD(存在する場合)は、ドナー蛍光発色団で標識されたビタミンD結合剤への結合について、アクセプター蛍光発色団で標識された単離されたビタミンDと競合するであろう。従って、ビタミンDが試料(例えば全血試料)中に存在する場合、それは、複合体によって最初に放出されたFRETシグナルを妨害し、FRETシグナルの減少をもたらすであろう(図4及び5)。従って、試料(例えば全血試料)中に少量のビタミンDが存在する場合、アクセプター蛍光発色団(又はドナー蛍光発色団)で標識された単離されたビタミンDは、妨げられることなく、ドナー蛍光発色団(又はアクセプター蛍光発色団)で標識されたビタミンD結合剤に結合するため、FRETシグナルは最大に近い。大量のビタミンDが存在する場合、試料(例えば全血試料)中のビタミンDが、単離されたビタミンDのビタミンD結合剤への結合を阻止又はこれと競合するため、FRETシグナルは小さい。
生物学的プロセスを研究するためのFRET現象の使用は、FRETパートナーの対の各メンバーが、互いに相互作用する化合物に結合され、従ってFRETパートナーが互いに近接されることを意味する。光に曝露されると、FRETパートナーはFRETシグナルを生成する。本開示による方法において、エネルギードナーは、ビタミンD結合剤に結合され、エネルギーアクセプターは、単離されたビタミンDに結合される。あるいは、エネルギーアクセプターがビタミンD結合剤に結合され、エネルギードナーが単離されたビタミンDに結合される。2つのFRETパートナー間のエネルギー移動は、ビタミンD結合剤の単離されたビタミンDへの結合に依存する。フェルスター又は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)は、励起状態のドナー蛍光発色団がその励起エネルギーを、隣接するアクセプター蛍光発色団に非放射的に移動し、それによってアクセプターにその特徴的な蛍光を放出させる物理的現象である。
従って、1つの態様において、本開示は、試料中のビタミンDの存在又は量を検出するためのアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料に、ドナー蛍光発色団で標識されたビタミンD結合剤と、アクセプター蛍光発色団で標識された単離されたビタミンDとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
試料中のビタミンDが、ドナー蛍光発色団で標識されたビタミンD結合剤とへの結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のビタミンDの存在又は量を示す。
別の態様において、アッセイ法において、ビタミンD結合剤をアクセプター蛍光発色団で標識することができ、単離されたビタミンDをドナー蛍光発色団で標識することができる。
本開示の両方の態様において、試料中のビタミンDの存在又は量を示すのは、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、蛍光発光シグナルが欠如、消失、又は減少していることである。励起状態のドナー蛍光発色団は、その励起エネルギーをアクセプター蛍光発色団に移動して、アクセプター蛍光発色団にその特徴的な蛍光を放出させることができる。しかし、ビタミンDが試料中に存在し、ビタミンD結合剤への結合について、単離されたビタミンDと競合する場合、ドナー蛍光発色団とアクセプター蛍光発色団の間の蛍光エネルギー移動が妨害され、蛍光発光シグナルの消失又は減少につながるであろう。
特定の態様において、FRETアッセイは時間分解FRETアッセイである。蛍光発光シグナル又は測定されたFRETシグナルは、研究される生物学的現象と直接相関している。実際には、ドナー蛍光化合物とアクセプター蛍光化合物の間のエネルギー移動のレベルは、これらの化合物間の距離の6乗の逆数に比例する。当業者によって一般的に使用されるドナー/アクセプター対の場合、距離R0(50%の移動効率に対応する)は、1、5、10、20、又は30ナノメートルのオーダーである。具体的には本明細書に記載の方法において、ドナー蛍光発色団(又はアクセプター蛍光発色団)で標識されたビタミンD結合剤がアクセプター蛍光発色団(又はドナー蛍光発色団)で標識された単離されたビタミンDに結合することにより形成される複合体が、試料(例えば全血試料)と接触したときのFRETシグナルが、複合体が試料と接触する前に複合体によって放出された最初のFRETシグナルと比較して減少していることは、試料中のビタミンDの存在と相関している(例えば、図4及び5を参照)。
特定の態様において、試料は生物学的試料である。適切な生物学的試料には、特に限定されるものではないが、全血、尿、便検体、血漿、又は血清が含まれる。好適な態様において、生物学的試料は全血である。
特定の態様において、FRETエネルギードナー化合物は、ランタニドクリプテートなどのクリプテートである。
特定の態様において、クリプテートは、約300nm~約400nm、例えば約325nm~約375nmの吸収波長を有する。特定の態様において、図15に示されるように、クリプテート色素(図15のLumi4-Tb)は、約490nm、約548nm、約587nm、及び621nmに4つの蛍光発光ピークを有する。従って、ドナーとしてクリプテートは、TR-FRET実験を実施するためのフルオレセイン様(緑色ゾーン)及びCy5又はDY-647様(赤色ゾーン)アクセプター(例えば、図15の緑色アクセプター、NIRアクセプター、又はオレンジ色アクセプター)と適合性がある。
特定の態様において、フラッシュ励起とアクセプター発光波長での蛍光の測定との間に時間遅延を導入することにより、長寿命の蛍光を短寿命の蛍光から区別し、シグナル対ノイズ比を高めることができる。
C反応性タンパク質
C反応性タンパク質は、血漿中に見出される5量体タンパク質であり、その循環濃度は炎症に応答して上昇する。このタンパク質は、マクロファージや脂肪細胞(fat cell)(脂肪細胞(adipocyte))から放出される因子に応答して肝臓で合成される。C反応性タンパク質は、死滅している細胞又は死滅しかけている細胞(及び一部の種類の細菌)の表面に発現するリゾホスファチジルコリンに結合して、C1qを介して補体系を活性化する。C反応性タンパク質遺伝子は第1染色体(1q23.2)上に存在する。その5量体構造の各モノマーは224個のアミノ酸を有し、分子量は25,106Daである。血清中で、これは集合して円盤状の安定した5量体構造になる。C反応性タンパク質の存在と濃度レベルは、通常、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって測定される。
C反応性タンパク質固相サンドイッチELISAは、抗体の対の間に結合した分析物の存在又は量を測定するように設計されている。サンドイッチELISAでは、試料は固定化された捕捉抗体に添加される。第2(検出)抗体が添加された後、酵素-抗体-標的複合体と反応して測定可能なシグナルを生成する基質溶液が使用される。このシグナルの強度は、試験試料中に存在する標的の濃度に比例する。
本開示は、全血などの生物学的試料中のC反応性タンパク質の存在又はレベルを検出するための均一液相時間分解FRETアッセイ(TR-FRET)を提供する。他のマーカーのレベルと組み合わせて、C反応性タンパク質は、NASH、C型肝炎、B型肝炎などの肝疾患における線維症の測定の補助として使用することができる。フェルスター共鳴エネルギー移動又は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)は、励起状態のドナー分子とアクセプター蛍光発色団の2つの分子が、通常は10nm未満、例えば<9nm、<8nm、<7nm、<6nm、<5nm、<4nm、<3nm、<2nm、又は<1nm未満に近接すると、励起状態のドナー分子がその励起エネルギーを双極子-双極子結合を介してアクセプター蛍光発色団に移動するプロセスである。特徴的な波長で励起されると、ドナーによって吸収されたエネルギーがアクセプターに移動され、次にアクセプターがエネルギーを放出する。アクセプター蛍光発色団から放出される光のレベルは、ドナーアクセプター複合体形成の程度に比例する。
生物学的材料は、典型的には自家蛍光を起こしやすいが、これは、時間分解蛍光測定法(TRF)を利用することによって最小限に抑えることができる。TRFは、ランタニド(例えばユーロピウム及びテルビウム)などの蛍光発光の半減期が非常に長い独自の希土類元素を利用している。時間分解FRET(TR-FRET)は、TRFとFRETの特性を統合しており、これは、生物学的試料を分析する場合に特に有利である。抗C反応性タンパク質抗体がドナー蛍光発色団で標識され、単離されたC反応性タンパク質タンパク質がアクセプター蛍光発色団で標識されている場合、TR-FRETはこれら2つの分子の存在下で起こり、これらが、単離されたC反応性タンパク質タンパク質に対する抗C反応性タンパク質抗体の結合を介して複合体を形成することができる。この複合体が試料(例えば全血試料)と接触すると、試料中のC反応性タンパク質(存在する場合)は、ドナー蛍光発色団で標識された抗C反応性タンパク質への結合について、アクセプター蛍光発色団で標識された単離されたC反応性タンパク質タンパク質と競合するであろう。従って、C反応性タンパク質が試料(例えば全血試料)中に存在する場合、それは、複合体によって最初に放出されたFRETシグナルを妨害し、FRETシグナルの減少をもたらすであろう(図6A及び6B)。従って、試料(例えば全血試料)中に少量のC反応性タンパク質が存在する場合、アクセプター蛍光発色団(又はドナー蛍光発色団)で標識された単離されたC反応性タンパク質は、妨げられることなく、ドナー蛍光発色団(又はアクセプター蛍光発色団)で標識された抗C反応性タンパク質抗体に結合するため、FRETシグナルは最大に近い。大量のC反応性タンパク質が存在する場合、試料(例えば全血試料)中のC反応性タンパク質は、単離されたC反応性タンパク質の抗C反応性タンパク質抗体への結合を阻止又はこれと競合するため、FRETシグナルは小さい。いくつかの実施態様において、TR-FRETによる試料(例えば全血試料)中のC反応性タンパク質の存在又はレベルの測定は、被験体の栄養失調を決定するための補助として使用することができる。
生物学的プロセスを研究するためのFRET現象の使用は、FRETパートナーの対の各メンバーが、互いに相互作用する化合物に結合され、従ってFRETパートナーが互いに近接されることを意味する。光に曝露されると、FRETパートナーはFRETシグナルを生成する。本開示による方法において、エネルギードナーは、抗C反応性タンパク質抗体に結合され、エネルギーアクセプターは、単離されたC反応性タンパク質に結合される。あるいは、エネルギーアクセプターが抗C反応性タンパク質抗体に結合され、エネルギードナーが単離されたC反応性タンパク質タンパク質に結合される。2つのFRETパートナー間のエネルギー移動は、抗C反応性タンパク質の単離されたC反応性タンパク質タンパク質への結合に依存する。フェルスター又は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)は、励起状態のドナー蛍光発色団がその励起エネルギーを、隣接するアクセプター蛍光発色団に非放射的に移動し、それによってアクセプターにその特徴的な蛍光を放出させる物理的現象である。
従って、1つの態様において、本開示は、試料中のC反応性タンパク質の存在又は量を検出するためのアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料に、ドナー蛍光発色団で標識された抗C反応性タンパク質抗体と、アクセプター蛍光発色団で標識された単離されたC反応性タンパク質とを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
試料中のC反応性タンパク質が、ドナー蛍光発色団で標識された抗C反応性タンパク質抗体への結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、
光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のC反応性タンパク質の存在又は量を示す。
別の態様において、アッセイ法において、抗C反応性タンパク質をアクセプター蛍光発色団で標識することができ、単離されたC反応性タンパク質をドナー蛍光発色団で標識することができる。
本開示の両方の態様において、試料中のC反応性タンパク質の存在又は量を示すのは、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、蛍光発光シグナルが欠如、消失、又は減少していることである。励起状態のドナー蛍光発色団は、その励起エネルギーをアクセプター蛍光発色団に移動して、アクセプター蛍光発色団にその特徴的な蛍光を放出させることができる。しかし、C反応性タンパク質が試料中に存在し、抗C反応性タンパク質抗体への結合について、単離されたC反応性タンパク質と競合する場合、ドナー蛍光発色団とアクセプター蛍光発色団の間の蛍光エネルギー移動が妨害され、蛍光発光シグナルの消失又は減少につながるであろう。
特定の態様において、FRETアッセイは時間分解FRETアッセイである。蛍光発光シグナル又は測定されたFRETシグナルは、研究される生物学的現象と直接相関している。実際には、ドナー蛍光化合物とアクセプター蛍光化合物の間のエネルギー移動のレベルは、これらの化合物間の距離の6乗の逆数に比例する。当業者によって一般的に使用されるドナー/アクセプター対の場合、距離R0(50%の移動効率に対応する)は、1、5、10、20、又は30ナノメートルのオーダーである。具体的には本明細書に記載の方法において、ドナー蛍光発色団(又はアクセプター蛍光発色団)で標識された抗C反応性タンパク質がアクセプター蛍光発色団(又はドナー蛍光発色団)で標識された単離されたC反応性タンパク質タンパク質に結合することにより形成される複合体が、試料(例えば全血試料)と接触したときのFRETシグナルが、複合体が試料と接触する前に複合体によって放出された最初のFRETシグナルと比較して減少していることは、試料中のC反応性タンパク質の存在と相関している(例えば図6A~6Cを参照)。
特定の態様において、試料は生物学的試料である。適切な生物学的試料には、特に限定されるものではないが、全血、尿、便検体、血漿、又は血清が含まれる。好適な態様において、生物学的試料は全血である。
特定の態様において、FRETエネルギードナー化合物は、ランタニドクリプテートなどのクリプテートである。
特定の態様において、クリプテートは、約300nm~約400nm、例えば約325nm~約375nmの吸収波長を有する。特定の態様において、図15に示されるように、クリプテート色素(図15のLumi4-Tb)は、約490nm、約548nm、約587nm、及び621nmに4つの蛍光発光ピークを有する。従って、ドナーとしてクリプテートは、TR-FRET実験を実施するためのフルオレセイン様(緑色ゾーン)及びCy5又はDY-647様(赤色ゾーン)アクセプター(例えば、図15の緑色アクセプター、NIRアクセプター、又はオレンジ色アクセプター)と適合性がある。
特定の態様において、フラッシュ励起とアクセプター発光波長での蛍光の測定との間に時間遅延を導入することにより、長寿命の蛍光を短寿命の蛍光から区別し、シグナル対ノイズ比を高めることができる。
抗トランスグルタミナーゼ抗体
抗トランスグルタミナーゼ抗体(ATA)は、トランスグルタミナーゼタンパク質に対する自己抗体である。抗体は、免疫系の残りの部分が排除する細胞や物質を検出することにより、免疫系で重要な役割を果たす。体自身の生成物に対する抗体は自己抗体と呼ばれる。自己抗体は、生物の健康な部分に対して誤って向けられることがあり、自己免疫疾患を引き起こす。ATAは、トランスグルタミナーゼアイソフォームとトランスグルタミナーゼに対する免疫グロブリン反応性サブクラス(IgA、IgG)の2つの異なるスキームに従って分類することができる。組織トランスグルタミナーゼに対する抗体は、セリアック病、若年性糖尿病、炎症性腸疾患、及びさまざまな形態の関節炎を含むいくつかの状態の患者によく見られる。セリアック病では、ATAは絨毛細胞外マトリックスの破壊に関与し、キラー細胞による腸絨毛上皮細胞の破壊を標的とする。腸上皮におけるATAの沈着物は、セリアック病の診断によく使用される。ATAの存在と濃度レベルは、通常、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって測定される。
ATA固相サンドイッチELISAは、抗体の対の間に結合した分析物の存在又は量を測定するように設計されている。サンドイッチELISAでは、試料は固定化された捕捉抗体に添加される。第2(検出)抗体が添加された後、酵素-抗体-標的複合体と反応して測定可能なシグナルを生成する基質溶液が使用される。このシグナルの強度は、試験試料中に存在する標的の濃度に比例する。
本開示は、全血などの生物学的試料中のATAの存在又はレベルを検出するための均一液相時間分解FRETアッセイ(TR-FRET)を提供する。他のマーカーのレベルと組み合わせて、ATAは、NASH、C型肝炎、B型肝炎などの肝疾患における線維症の測定の補助として使用することができる。フェルスター共鳴エネルギー移動又は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)は、励起状態のドナー分子とアクセプター蛍光発色団の2つの分子が、通常は10nm未満、例えば<9nm、<8nm、<7nm、<6nm、<5nm、<4nm、<3nm、<2nm、又は<1nm未満に近接すると、励起状態のドナー分子がその励起エネルギーを双極子-双極子結合を介してアクセプター蛍光発色団に移動するプロセスである。特徴的な波長で励起されると、ドナーによって吸収されたエネルギーがアクセプターに移動され、次にアクセプターがエネルギーを放出する。アクセプター蛍光発色団から放出される光のレベルは、ドナーアクセプター複合体形成の程度に比例する。
生物学的材料は、典型的には自家蛍光を起こしやすいが、これは、時間分解蛍光測定法(TRF)を利用することによって最小限に抑えることができる。TRFは、ランタニド(例えばユーロピウム及びテルビウム)などの蛍光発光の半減期が非常に長い独自の希土類元素を利用している。時間分解FRET(TR-FRET)は、TRFとFRETの特性を統合しており、これは、生物学的試料を分析する場合に特に有利である。1つの態様において、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体がドナー蛍光発色団(又は、あるいはアクセプター蛍光発色団)で標識され、単離された組織トランスグルタミナーゼタンパク質がアクセプター蛍光発色団(又は、あるいはドナー蛍光発色団)で標識されている場合、TR-FRETはこれら2つの分子の存在下で起こり、これらが、単離された組織トランスグルタミナーゼタンパク質に対する抗組織トランスグルタミナーゼ抗体の結合を介して複合体を形成することができる。この複合体が試料(例えば全血試料)と接触すると、試料中の内因性抗組織トランスグルタミナーゼ抗体(自己抗体)は、存在する場合、単離された組織トランスグルタミナーゼタンパク質への結合について、蛍光発色団で標識された抗組織トランスグルタミナーゼ抗体と競合するであろう。従って、内因性抗組織トランスグルタミナーゼ抗体(自己抗体)が試料(例えば全血試料)中に存在する場合、それは、複合体によって最初に放出されたFRETシグナルを妨害し、FRETシグナルの減少をもたらすであろう(図8A)。従って、試料(例えば全血試料)中に少量の内因性抗組織トランスグルタミナーゼが存在する場合、蛍光発色団で標識された抗組織トランスグルタミナーゼ抗体は、妨げられることなく、蛍光発色団で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼ抗体に結合するため、FRETシグナルは最大に近い。大量の内因性抗組織トランスグルタミナーゼ抗体が存在する場合、試料(例えば全血試料)中の内因性抗組織トランスグルタミナーゼ抗体は、単離された組織トランスグルタミナーゼタンパク質の、蛍光発色団で標識された抗組織トランスグルタミナーゼ抗体への結合を阻止又はこれと競合するため、FRETシグナルは小さい。いくつかの実施態様において、TR-FRETによる試料(例えば全血試料)中の内因性抗組織トランスグルタミナーゼ抗体の存在又はレベルの測定は、被験体の疾患のs状態を決定するための補助として使用することができる。
生物学的プロセスを研究するためのFRET現象の使用は、FRETパートナーの対の各メンバーが、互いに相互作用する化合物に結合され、従ってFRETパートナーが互いに近接されることを意味する。光に曝露されると、FRETパートナーはFRETシグナルを生成する。本開示による方法において、エネルギードナー(又はアクセプター)は、抗トランスグルタミナーゼ抗体に結合され、エネルギーアクセプター(又はドナー)は、単離されたトランスグルタミナーゼタンパク質に結合される。2つのFRETパートナー間のエネルギー移動は、抗トランスグルタミナーゼ抗体の単離されたトランスグルタミナーゼタンパク質への結合に依存する。フェルスター又は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)は、励起状態のドナー蛍光発色団がその励起エネルギーを、隣接するアクセプター蛍光発色団に非放射的に移動し、それによってアクセプターにその特徴的な蛍光を放出させる物理的現象である。
従って、1つの態様において、本開示は、試料中の抗トランスグルタミナーゼ自己抗体(ATA)免疫グロブリンA(IgA)及び/又はATA免疫グロブリンG(IgG)の存在又は量を検出するためのアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料に、ドナー蛍光発色団で標識された抗トランスグルタミナーゼ抗体と、アクセプター蛍光発色団で標識された単離されたトランスグルタミナーゼとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体は組織トランスグルタミナーゼに対する結合エピトープを含み、ここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
試料中のATA IgA及び/又はATA IgGが、アクセプター蛍光発色団で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼへの結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のATA IgA及び/又はATA IgGの存在又は量を示す。
別の態様において、アッセイ法において、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体をアクセプター蛍光発色団で標識することができ、単離された組織トランスグルタミナーゼタンパク質をドナー蛍光発色団で標識することができる。
本開示の両方の態様において、試料中の内因性抗組織トランスグルタミナーゼ抗体の存在又は量を示すのは、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、蛍光発光シグナルが欠如、消失、又は減少していることである。励起状態のドナー蛍光発色団は、その励起エネルギーをアクセプター蛍光発色団に移動して、アクセプター蛍光発色団にその特徴的な蛍光を放出させることができる。しかし、内因性抗組織トランスグルタミナーゼ抗体が試料中に存在し、単離されたトランスグルタミナーゼタンパク質への結合について、蛍光発色団で標識されたヒ抗トランスグルタミナーゼ抗体と競合する場合、ドナー蛍光発色団とアクセプター蛍光発色団の間の蛍光エネルギー移動が妨害され、蛍光発光シグナルの消失又は減少につながるであろう。
本開示の別の態様において、本開示は、試料中の抗トランスグルタミナーゼ自己抗体(ATA)免疫グロブリンA(IgA)及びATA免疫グロブリンG(IgG)の存在又は量を検出並びに区別するためのアッセイ方法(図8B)を提供し、この方法は、
試料に、ドナー蛍光発色団(又は第1のアクセプター蛍光発色団)で標識された抗組織トランスグルタミナーゼ抗体と、第1のアクセプター蛍光発色団(又はドナー蛍光発色団)で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体は組織トランスグルタミナーゼに対する結合エピトープを含み、及びここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
試料中のATA IgA及び/又はATA IgGが、第1のアクセプター蛍光発色団(又はドナー蛍光発色団)で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼへの結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、
試料を、第2のアクセプター蛍光発色団で標識された抗IgA抗体及び第3のアクセプター蛍光発色団で標識された抗IgG抗体と、さらにインキュベートする工程と、そして
光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
ここで、第2のアクセプター蛍光発色団によって放出される蛍光シグナルの検出は、試料中のATA IgAの存在又は量を示し、及び第3のアクセプター蛍光発色団によって放出される蛍光シグナルの検出は、試料中のATA IgGの存在又は量を示す。
本開示のこの態様のいくつかの実施態様において、試料を、第2のアクセプター蛍光発色団で標識された抗IgA抗体及び第3のアクセプター蛍光発色団で標識された抗IgG抗体とさらにインキュベートする前に、ATA IgA ATA IgGの総量は、光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出することによって決定することができ、ここで、複合体により最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のATA IgAとATA IgGの総量を示す。
特定の態様において、FRETアッセイは時間分解FRETアッセイである。蛍光発光シグナル又は測定されたFRETシグナルは、研究される生物学的現象と直接相関している。実際には、ドナー蛍光化合物とアクセプター蛍光化合物の間のエネルギー移動のレベルは、これらの化合物間の距離の6乗の逆数に比例する。当業者によって一般的に使用されるドナー/アクセプター対の場合、距離R0(50%の移動効率に対応する)は、1、5、10、20、又は30ナノメートルのオーダーである。具体的には本明細書に記載の方法において、ドナー蛍光発色団(又はアクセプター蛍光発色団)で標識された抗トランスグルタミナーゼ抗体がアクセプター蛍光発色団(又はドナー蛍光発色団)で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼタンパク質に結合することにより形成される複合体が、試料(例えば全血試料)と接触したときのFRETシグナルが、複合体が試料と接触する前に複合体によって放出された最初のFRETシグナルと比較して減少していることは、試料中の内因性抗組織トランスグルタミナーゼ抗体の存在と相関している(例えば図8A、8B、及び9を参照)。
別の態様において、抗IgA及び/又は抗IgG抗体がドナー蛍光発色団(又は、あるいはアクセプター蛍光発色団)で標識され、単離された組織トランスグルタミナーゼタンパク質が、アクセプター蛍光発色団(又は、あるいはドナー蛍光発色団)で標識される場合、TR-FRETは、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体IgA及び/又はIgG(ATA IgA及び/又はATA IgG)の存在下で発生する可能性があり、これが抗IgA及び/又は抗IgG抗体と、単離された組織トランスグルタミナーゼタンパク質を一緒にして、ATA IgA及び/又はATA IgGと抗IgA及び/又は抗IgG抗体との間の結合、及びATA IgA及び/又はATA IgGと単離された組織トランスグルタミナーゼタンパク質との間の結合を介して、複合体を形成することができる。こうして、内因性抗組織トランスグルタミナーゼ抗体(自己抗体)が試料(例えば全血試料)中に存在する場合、それはFRETシグナルを増加させるであろう(図10A)。従って、試料(例えば全血試料)に内因性抗組織トランスグルタミナーゼ抗体が存在する場合、蛍光発色団にされた標識抗IgA及び/又は抗IgG抗体及び蛍光発色団に標識された単離された組織トランスグルタミナーゼタンパク質は互いに近接されるため、FRETシグナルが生成される。いくつかの実施態様において、TR-FRETによる試料(例えば全血試料)中の内因性抗組織トランスグルタミナーゼ抗体の存在又はレベルの測定は、被験体の病状を決定するための補助として使用することができる。
本開示の別の態様において、本開示は、試料中の抗トランスグルタミナーゼ自己抗体(ATA)免疫グロブリンA(IgA)及び/又はATA免疫グロブリンG(IgG)の存在又は量を検出並びに区別するためのアッセイ方法(図10A)を提供し、この方法は、
試料に、ドナー蛍光発色団(又はアクセプター蛍光発色団)で標識された抗IgA及び/又は抗IgG抗体と、アクセプター蛍光発色団(又はドナー蛍光発色団)で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼとを含む複合体を接触させる工程と、
抗ATA IgA及び/又は抗IgG抗体と単離された組織トランスグルタミナーゼが、試料中のATA IgA及び/又はATA IgGに結合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
ここで、アクセプター蛍光発色団によって放出される蛍光シグナルの検出は、ATA IgA及び/又はATA IgGの存在又は量を示す。
特定の態様において、試料は生物学的試料である。適切な生物学的試料には、特に限定されるものではないが、全血、唾液、尿、便検体、血漿、組織、生検試料、又は血清が含まれる。好適な態様において、生物学的試料は全血又は血清である。
特定の態様において、FRETエネルギードナー化合物は、ランタニドクリプテートなどのクリプテートである。
特定の態様において、クリプテートは、約300nm~約400nm、例えば約325nm~約375nmの間の吸収波長を有する。特定の態様において、図15に示されるようにクリプテート色素(図15のLumi4-Tb)は、約490nm、約548nm、約587nm、及び621nmに4つの蛍光発光ピークを有する。従って、ドナーとしてクリプテートは、TR-FRET実験を行うための、フルオレセイン様(緑色ゾーン)及びCy5又はDY-647様(赤色ゾーン)アクセプター(例えば、図15の緑色アクセプター、NIRアクセプター、又はオレンジ色アクセプター)と適合性がある。
特定の態様において、フラッシュ励起とアクセプター発光波長での蛍光の測定との間に時間遅延を導入することにより、長寿命の蛍光を短寿命の蛍光から区別し、シグナル対ノイズ比を高めることができる。
FRETドナーとしてのクリプテート
特定の態様において、Cisbio bioassaysによって販売されているLumiphoreからのテルビウムクリプテート分子「Lumi4-Tb」がクリプテートドナーとして使用される。以下の式を有するテルビウムクリプテート「Lumi4-Tb」は、反応性基(この場合、例えばNHSエステル)によって抗体に結合させることができる。
Figure 2022534227000002
活性エステル(NHSエステル)は、抗体上の一級アミンと反応して、安定したアミド結合を生成することができる。クリプテート上のマレイミドと抗体上のチオールは、一緒に反応してチオエーテルを形成することができる。ハロゲン化アルキルはアミン及びチオールと反応して、それぞれアルキルアミン及びチオエーテルを形成する。抗体に結合することができる反応性部分を提供する任意の誘導体は、本明細書で利用することができる。例えば、いくつかの実施態様において、抗ヒト血清アルブミン抗体が使用される場合、クリプテート上のマレイミドは、抗体上のチオールと反応することができる。いくつかの実施態様において、ビタミンD結合剤が使用される場合、クリプテート上のマレイミドは、抗体上のチオールと反応することができる。いくつかの実施態様において、抗C反応性タンパク質抗体が使用される場合、クリプテート上のマレイミドは、抗体上のチオールと反応することができる。いくつかの実施態様において、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体が使用される場合、クリプテート上のマレイミドは、抗体上のチオールと反応することができる。
特定の他の態様において、「大環状化合物」と題されたWO2015157057に開示されたクリプテートは、本開示における使用に適している。この文献は、生体分子の標識に役立つクリプテート分子を含む。そこに開示されているように、特定のクリプテートは以下の構造を有する:
Figure 2022534227000003
特定の他の態様において、本開示において有用なテルビウムクリプテートは、以下に示される:
Figure 2022534227000004
特定の態様において、本発明において有用なクリプテートは、2018年7月19日に公開されたWO2018/130988に開示されている。そこに開示されるように、式Iの化合物は、本開示においてFRETドナーとして有用である:
Figure 2022534227000005
ここで、点線が存在する場合、R及びR1はそれぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、1つ以上のハロゲン原子で任意選択的に置換されたアルキル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アミド、スルホネート、アルコキシカルボニルアルキル、又はアルキルカルボニルアルコキシからなる群から独立して選択されるか、あるいは、RとR1は結合して、任意選択的に置換されたシクロプロピル基を形成し、ここで点線の結合は存在しない;
2とR3はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、SO3H、-SO2-Xからなる基から選択されるメンバーであり、ここでXは、ハロゲン、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたアルケニル、任意選択的に置換されたアルキニル、任意選択的に置換されたシクロアルキル、又は生体分子に連結可能な活性化基であり、ここで活性化基は、ハロゲン、活性化エステル、活性化アシル、任意選択的に置換されたアルキルスルホン酸エステル、任意選択的に置換されたアリールスルホン酸エステル、アミノ、ホルミル、グリシジル、ハロ、ハロアセトアミジル、ハロアルキル、ヒドラジニル、イミドエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミジル、メルカプト、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アミド、スルホネート、アルコキシカルボニルアルキル、環状無水物、アルコキシアルキル、水可溶化基、又はLからなる群から選択されるメンバーである;
4は、それぞれ独立して水素、C1~C6アルキルであるか、又は、あるいはR4基の3つが存在せず、得られた酸化物はキレート化されてランタニドカチオンになる;及び
1~Q4は、それぞれ独立して、炭素又は窒素の群から選択されるメンバーである。
FRETアクセプター
FRETシグナルを検出するためには、FRETアクセプターが必要である。FRETアクセプターは、FRETドナーの発光波長と重なる励起波長を有する。本開示において、アクセプターのFRETシグナルは、ドナー蛍光発色団(又はアクセプター蛍光発色団)で標識された抗ヒト血清アルブミン抗体が、アクセプター蛍光発色団(又はドナー蛍光発色団)で標識された単離されたヒト血清アルブミンに結合するときに検出される。既知量のキャリブレーター、すなわち標準曲線(図2)を使用して、試料中のヒト血清アルブミンの濃度レベルを内挿することができる。上記のように、クリプテートドナー(図13)を使用して、抗ヒト血清アルブミン抗体を標識することができる。Lumi4-Tbは、490、550、及び620nmに3つのスペクトル的に異なるピークを有し、これらはエネルギー移動に使用することができる(図15)。続いて、第1のアクセプターを使用して、抗ヒト血清アルブミン抗体を標識することができる。
また、本開示において、アクセプターのFRETシグナルは、ドナー蛍光発色団(又はアクセプター蛍光発色団)で標識されたビタミンD結合剤が、アクセプター蛍光発色団(又はドナー蛍光発色団)で標識された単離されたビタミンDに結合するときに検出される。既知量のキャリブレーター、すなわち標準曲線(図5)を使用して、試料中のビタミンDの濃度レベルを内挿することができる。上記のように、クリプテートドナー(図13)を使用して、ビタミンD結合剤を標識することができる。Lumi4-Tbは、490、550、及び620nmに3つのスペクトル的に異なるピークを有し、これらはエネルギー移動に使用することができる(図15)。続いて、第1のアクセプターを使用して、ビタミンD結合剤を標識することができる。
また、本開示において、アクセプターのFRETシグナルは、ドナー蛍光発色団(又はアクセプター蛍光発色団)で標識された抗C反応性タンパク質抗体が、アクセプター蛍光発色団(又はドナー蛍光発色団)で標識された単離されたC反応性タンパク質に結合するときに検出される。既知量のキャリブレーター、すなわち標準曲線(図7A)を使用して、試料中のC反応性タンパク質の濃度レベルを内挿することができる。上記のように、クリプテートドナー(図13)を使用して、抗C反応性タンパク質抗体を標識することができる。Lumi4は、約490nm、約545nm、約580nm、及び約620nmに4つのスペクトル的に異なるピークを有し、これらはエネルギー移動に使用することができる(図15)。続いて、第1のアクセプターを使用して、抗C反応性タンパク質抗体を標識することができる。
また、本開示において、アクセプターのFRETシグナルは、ドナー蛍光発色団(又はアクセプター蛍光発色団)で標識された抗組織トランスグルタミナーゼ抗体が、アクセプター蛍光発色団(又はドナー蛍光発色団)で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼタンパク質に結合するときに検出される。既知量のキャリブレーター、すなわち標準曲線(図9)を使用して、試料中の内因性抗組織トランスグルタミナーゼ抗体の濃度レベルを内挿することができる。上記のように、クリプテートドナー(図13)を使用して、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体を標識することができる。Lumi4-Tbは、約490nm、約548nm、約587nm、及び621nmに4つのスペクトル的に異なるピークを有し、これらはエネルギー移動に使用することができる(図15)。続いて、アクセプターを使用して、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体を標識することができる。
使用することができるアクセプター分子には、特に限定されるものではないが、フルオレセイン様(緑色ゾーン)、Cy5、DY-647、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 647(図14)、アロフィコシアニン(APC)、及びフィコエリトリン(PE)が含まれる。ドナー及びアクセプター蛍光発色団は、抗体上の一級アミンを使用して結合させることができる。
他の受容体には、特に限定されるものではないが、シアニン誘導体、D2、CY5、フルオレセイン、クマリン、ローダミン、カルボピロニン、オキサジン、及びその類似体、Alexa Fluor蛍光発色団、クリスタルバイオレット、ペリレンビスイミド蛍光発色団、スクアライン蛍光発色団、ホウ素ジピロメテン誘導体、NBD(ニトロベンゾオキサジアゾール)とその誘導体、及びDABCYL(4-((4-(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安息香酸)が含まれる。
1つの態様において、蛍光は、波長、強度、寿命、及び偏光によって特徴付けることができる。
抗ヒト血清アルブミン抗体
1つの態様において、抗ヒト血清アルブミン抗体(例えば、カタログ番号ab10241(Abcam)があり、ヒト血清アルブミンに特異的であることが示されている)を使用して、ドナー蛍光発色団(例えばクリプテート)又はアクセプター蛍光発色団を結合させることができる。カタログ番号15C7(Biocompare)及びカタログ番号MIH3005(ThermoFisher)などの他の市販の抗ヒト血清アルブミン抗体が当技術分野で入手可能である。
ヒト血清アルブミンの存在又はレベルを検出するための本明細書の方法は、組織試料、血液、生検試料、血清、血漿、唾液、尿、又は便試料を含む様々な試料を使用することができる。
ビタミンD結合剤
ビタミンD結合剤は、ビタミンDに結合することができるタンパク質又は分子、例えばビタミンDに結合することができる抗ビタミンD抗体又は酵素である。例えば、放射免疫測定法(RIA)、例えばDiaSorin S.p.A(Saluggia, Italy)により開発されたRIAキットは、25-ヒドロキシビタミンDが血清又は血漿から抽出された後、25-ヒドロキシビタミンD(すなわち、ビタミンD2とビタミンD3の合計)に特異的な抗体を使用する。別の例では、化学発光免疫測定法(CLIA)も、抽出されたビタミンDに結合する抗体を使用する。別の例では、酵素免疫測定法(例えば、Diazyme Laboratoriesによって開発された酵素免疫測定法)で使用されるものなどの酵素結合ビタミンD結合タンパク質も、本明細書に記載の方法においてビタミンD結合剤として使用することができる。ビタミンD結合剤として使用することができる他の薬剤は、例えば、Arneson and Arneson, Laboratory Medicine, 44:e38, 2013に記載されている。
1つの態様において、ビタミンD結合剤、例えば抗ビタミンD抗体(例えば、カタログ番号13-1080(American Research Products)、カタログ番号A1090.2(Immundiagnostik AG)、カタログ番号10-2256(Fitzgerald Industries International)、カタログ番号HM674(EastCoast Bio)、及びカタログ番号abx100427(Abbexa Ltd))を使用して、ドナー蛍光発色団(例えばクリプテート)又はアクセプター蛍光発色団に結合することができる。他の市販の抗ビタミンD抗体は当技術分野で入手可能である。
ビタミンDの存在又はレベルを検出するための本明細書の方法は、組織試料、血液、生検試料、血清、血漿、唾液、尿、又は便試料を含む様々な試料を使用することができる。
抗C反応性タンパク質抗体
1つの態様において、抗C反応性タンパク質抗体(例えば、カタログ番号ab31156(Abcam)があり、C反応性タンパク質に特異的であることが証明されている)を使用して、ドナー蛍光発色団(例えばクリプテート)又はアクセプター蛍光発色団に結合することができる。カタログ番号ab32412(Biocompare)及びカタログ番号MAB17071(R&D Systems)などの、他の市販の抗C反応性タンパク質抗体が当技術分野で入手可能である。
C反応性タンパク質の存在又はレベルを検出するための本明細書の方法は、組織試料、血液、生検試料、血清、血漿、唾液、尿、又は便試料を含む様々な試料を使用することができる。
抗体の産生
まだ市販されていない抗体の生成及び選択は、いくつかの方法で達成することができる。例えば、1つの方法は、当技術分野で知られているタンパク質発現及び精製方法を使用して目的のポリペプチド(すなわち抗原)を発現及び/又は精製することであり、別の方法は、当技術分野で公知の固相ペプチド合成合成法を使用して目的のポリペプチドを合成することである。例えば、Guide to Protein Purification, Murray P. Deutcher, ed., Meth. Enzymol., Vol. 182 (1990); Solid Phase Peptide Synthesis, Greg B. Fields, ed., Meth. Enzymol., Vol. 289 (1997); Kiso et al., Chem. Pharm. Bull., 38:1192-99 (1990); Mostafavi et al., Biomed. Pept. Proteins Nucleic Acids, 1:255-60, (1995); 及び Fujiwara et al., Chem. Pharm. Bull., 44:1326-31 (1996)を参照されたい。次に、精製又は合成されたポリペプチドを例えばマウス又はウサギに注射して、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を生成することができる。当業者は、例えば抗体の製造のために、Antibodies, A Laboratory Manual, Harlow and Lane, Eds., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y. (1988)に記載されている多くの方法が利用可能であることを認識しているであろう。当業者はまた、抗体を模倣する結合断片又はFab断片がまた、様々な方法によって遺伝情報から調製され得ることを理解しているであろう(例えば、Antibody Engineering: A Practical Approach, Borrebaeck, Ed., Oxford University Press, Oxford (1995); and Huse et al., J. Immunol., 149:3914-3920 (1992)Antibody Engineering: A Practical Approach, Borrebaeck, Ed., Oxford University Press, Oxford (1995); 及び Huse et al., J. Immunol., 149:3914-3920 (1992)を参照)。
さらに、多くの刊行物が、選択された標的抗原に結合するためのポリペプチドのライブラリーを生成及びスクリーニングするためのファージディスプレイ技術の使用を報告している(例えば、Cwirla et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6378-6382 (1990); Devlin et al., Science, 249:404-406 (1990); Scott et al., Science, 249:386-388 (1990); 及び Ladner et al., U.S. Patent No. 5,571,698を参照)。ファージディスプレイ法の基本的な概念は、ファージDNAによりコードされるポリペプチドと標的抗原との間の物理的会合の確立である。この物理的会合はファージ粒子によって提供され、これは、ポリペプチドをコードするファージゲノムを取り囲むキャプシドの一部としてポリペプチドを表示する。ポリペプチドとそれらの遺伝物質との間の物理的会合の確立は、異なるポリペプチドを有する非常に多数のファージの同時マススクリーニングを可能にする。標的抗原に親和性のあるポリペプチドを表示するファージは標的抗原に結合し、これらのファージは、標的抗原への親和性スクリーニングによって濃縮される。これらのファージから表示されるポリペプチドの本体は、それぞれのゲノムから決定することができる。次に、これらの方法を使用して、所望の標的抗原に対して結合親和性を有すると同定されたポリペプチドを、従来法によってバルクで合成することができる(例えば、米国特許第6,057,098号を参照されたい)。
次に、これらの方法によって生成された抗体は、最初に目的の精製ポリペプチド抗原との親和性及び特異性についてスクリーニングされ、必要であれば、その結果を、結合から除外することが望ましい他のポリペプチド抗原との抗体の親和性及び特異性と比較することによって、選択することができる。スクリーニング手順は、マイクロタイタープレートの別々のウェルへの精製されたポリペプチド抗原の固定化を含み得る。次に、潜在的な抗体又は抗体群を含む溶液をそれぞれのマイクロタイターウェルに入れ、約30分から2時間インキュベートする。次に、マイクロタイターウェルを洗浄し、標識された2次抗体(例えば、産生された抗体がマウス抗体である場合、アルカリホスファターゼに結合した抗マウス抗体)をウェルに加え、約30分間インキュベートしてから洗浄する。基質をウェルに加えると、固定化されたポリペプチド抗原に対する抗体が存在する場所で呈色反応が現れる。
次に、そのように同定された抗体は、親和性及び特異性についてさらに分析することができる。標的タンパク質(ヒト血清アルブミン、ビタミンD、C反応性タンパク質、又はATA)の免疫測定法の開発において、精製された標的タンパク質は、選択された抗体を使用して免疫測定法の感度と特異性を判断するための基準として機能する。様々な抗体の結合親和性が異なる可能性があり、例えば、特定の抗体の組み合わせが互いに立体的に干渉する可能性があるため、抗体のアッセイ性能は、その抗体の絶対親和性及び特異性よりも重要な尺度である可能性がある。
当業者は、抗体又は結合断片を生成し、目的の様々なポリペプチドに対する親和性及び特異性についてスクリーニング及び選択する際に多くのアプローチを採用することができるが、これらのアプローチは本発明の範囲を変えないことを認識するであろう。
A.ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体は、好ましくは、目的のポリペプチド及びアジュバントの複数回の皮下(sc)又は腹腔内(ip)注射によって動物で産生される。免疫される種において免疫原性であるタンパク質担体、例えばキーホールリンペットヘモシアニン、ウシチログロブリン、又は大豆トリプシン阻害剤に、2官能性又は誘導体化剤を使用して、目的のポリペプチドを結合させることが有用であり得る。2官能性又は誘導体化剤の非限定的な例には、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介した結合)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介した結合)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2、及びR1N=C=NRが含まれ、ここでR及びR1は異なるアルキル基である。
動物は、例えば100μg(ウサギの場合)又は5μg(マウスの場合)の抗原又は結合体を3容量のフロイント完全アジュバントと組み合わせ、その溶液を複数の部位に皮内注射することにより、目的のポリペプチド又はその免疫原性結合体若しくは誘導体に対して免疫される。1か月後、元の量の約1/5~1/10のフロイント不完全アジュバント中のポリペプチド又は結合体を複数の部位に皮下注射することにより、動物は追加免疫される。7~14日後、動物から採血し、血清の抗体価を測定する。動物は通常、力価がプラトーになるまで追加免疫される。好ましくは、動物は同じポリペプチドの結合体で追加免疫されるが、異なる免疫原性タンパク質への結合及び/又は異なる架橋試薬を介した結合を使用することができる。結合体はまた、組換え細胞培養で融合タンパク質として作成することもできる。特定の例では、アルミ(alum)などの凝集剤を使用して免疫応答を増強することができる。
B.モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、一般に実質的に均一な抗体の集団から得られ、すなわち集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る自然発生突然変異を除いて同一である。従って、修飾因子「モノクローナル」は、別々の抗体の混合物ではないという抗体の特徴を示す。例えばモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature, 256:495 (1975) によって記載されたハイブリドーマ法を使用して、又は当技術分野で知られている任意の組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)により作製することができる。
ハイブリドーマ法では、マウス又は他の適切な宿主動物(例えばハムスター)を上記のように免疫して、免疫に使用される目的のポリペプチドに特異的に結合する抗体を産生するか又は産生することができるリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球はインビトロで免疫される。免疫されたリンパ球は、次にポリエチレングリコールなどの適切な融合剤を使用して骨髄腫細胞と融合され、ハイブリドーマ細胞を生成する(例えば、Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, pp. 59-103 (1986)を参照)。このように調製されたハイブリドーマ細胞は、好ましくは、融合されていない親骨髄腫細胞の増殖又は生存を阻害する1種以上の物質を含む適切な培地に播種され増殖される。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)を欠いている場合、ハイブリドーマ細胞の培養培地には通常、HGPRT欠損細胞の増殖を妨げるヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンが含まれる(HAT培地)。
好適な骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定した高レベルの産生を支持し、及び/又はHAT培地などの培地に感受性であるものである。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのこのような好適な骨髄腫細胞株の例には、特に限定されるものではないが、MOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍(Salk Institute Cell Distribution Center; San Diego, CAから入手可能)から得られるもの、SP-2、又はX63-Ag8-653細胞(アメリカンタイプカルチャーコレクション;Rockville, MDから入手可能)、及びヒト骨髄腫又はマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株(例えば、Kozbor, J. Immunol., 133:3001 (1984); 及び Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, pp. 51-63 (1987)を参照)が含まれる。
ハイブリドーマ細胞が増殖している培養培地は、目的のポリペプチドに対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイすることができる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって、又はインビトロ結合アッセイ、例えば放射免疫測定法(RIA)又は酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって測定される。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson et al., Anal. Biochem., 107:220 (1980)のScatchard分析を使用して測定することができる。
所望の特異性、親和性、及び/又は活性を有する抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンは、限界希釈法によってサブクローン化され、標準的な方法によって増殖され得る(例えば、Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, pp. 59-103 (1986)を参照)。この目的に適した培地には、例えばD-MEM又はRPMI-1640培地が含まれる。さらにハイブリドーマ細胞は、インビボで動物の腹水腫瘍として増殖させることができる。サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、従来の抗体精製方法、例えばプロテインA-セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又は親和性クロマトグラフィーによって、培養培地、腹水液、又は血清から分離することができる。
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来法を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離及び配列決定することができる。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好適な供給源として機能する。いったん単離されると、DNAは発現ベクターに入れられ、次にこれは、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は本来は抗体を産生しない骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトされ、組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体の合成が誘導される。例えば、Skerra et al., Curr. Opin. Immunol., 5:256-262 (1993); 及び Pluckthun, Immunol Rev., 130:151-188 (1992)を参照されたい。DNAはまた、例えば、相同的マウス配列の代わりにヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード配列を代用することにより(例えば、米国特許第4,816,567号;及びMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851 (1984)を参照)、又は免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全て又は一部を共有結合することによって、修飾することもできる
さらなる実施態様において、モノクローナル抗体又は抗体断片は、例えば、McCafferty et al., Nature, 348:552-554 (1990); Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991); 及び Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991)に記載された技術を使用して生成された抗体ファージライブラリーから単離され得る。鎖シャッフリングによる高親和性(nM範囲)ヒトモノクローナル抗体の産生は、Marks et al., BioTechnology, 10:779-783 (1992)に記載されている。非常に大きなファージライブラリーを構築するための戦略としてのコンビナトリアル感染及びインビボ組換えの使用は、Waterhouse et al., Nuc. Acids Res., 21:2265-2266 (1993)に記載されている。従って、これらの技術は、モノクローナル抗体を生成するための従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ法の実行可能な代替手段である。
ヒト抗体
ヒト化の代替法として、ヒト抗体を生成することができる。いくつかの実施態様において、免疫時に、内因性免疫グロブリン産生の非存在下で、ヒト抗体の完全なレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えばマウス)を産生することができる。例えば、キメラ及び生殖系列変異体マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合性欠失は、内因性抗体産生の完全な阻害をもたらすことが記載されている。そのような生殖系列変異体マウスにおけるヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイの移入は、抗原刺激時にヒト抗体の産生をもたらすであろう。例えば、Jakobovits et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551 (1993); Jakobovits et al., Nature, 362:255-258 (1993); Bruggermann et al., Year in Immun., 7:33 (1993); and U.S. Patent Nos. 5,591,669, 5,589,369, and 5,545,807Jakobovits et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551 (1993); Jakobovits et al., Nature, 362:255-258 (1993); Bruggermann et al., Year in Immun., 7:33 (1993);及び米国特許第5,591,669号、第5,589,369号、及び第5,545,807号を参照されたい。
あるいは、ファージディスプレイ技術(例えば、McCafferty et al., Nature, 348:552-553 (1990)を参照)を使用して、免疫されていないドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーを使用して、ヒト抗体及び抗体断片をインビトロで産生することができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子は、M13やfdなどの繊維状バクテリオファージのメジャーコートタンパク質遺伝子又はマイナーコートタンパク質遺伝子のいずれかにインフレームでクローン化され、ファージ粒子の表面に機能的な抗体断片として表示される。繊維状粒子はファージゲノムの1本鎖DNAコピーを含むため、抗体の機能特性に基づく選択は、それらの特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択にもつながる。従って、ファージはB細胞の特性のいくつかを模倣する。ファージディスプレイは、例えば、Johnson et al., Curr. Opin. Struct. Biol., 3:564-571 (1993)に記載されているように種々の形式で実施することができる。V遺伝子セグメントのいくつかの供給源をファージディスプレイに使用することができる。例えば、Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991)を参照されたい。免疫されていないヒトドナーからのV遺伝子のレパートリーを構築することができ、多様なアレイの抗原(自己抗原を含む)に対する抗体を、本質的にMarks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991); Griffith et al., EMBO J., 12:725-734 (1993); 並びに米国特許第5,565,332号及び第5,573,905号に記載の技術に従って単離することができる。
特定の例において、ヒト抗体は、米国特許第5,567,610号及び5,229,275号に記載のように、インビトロで活性化B細胞によって作成することができる。
C.抗体断片
抗体断片の産生のために様々な技術が開発されてきた。これらの断片は、伝統的にインタクトな抗体のタンパク質分解消化を介して誘導された(例えば、Morimoto et al., J. Biochem. Biophys. Meth., 24:107-117 (1992); 及びBrennan et al., Science, 229:81 (1985)を参照)。しかし、現在これらの断片は、組換え宿主細胞を使用して直接生成することができる。例えば抗体断片は、上記の抗体ファージライブラリーから単離することができる。あるいは、Fab'-SH断片を大腸菌細胞から直接回収し、化学的に結合してF(ab')2断片を形成することができる(例えば、Carter et al., BioTechnology, 10:163-167 (1992)を参照)。別のアプローチによれば、F(ab')2断片は組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。抗体断片を産生するための他の技術は、当業者には明らかであろう。他の実施態様において、選択される抗体は、単鎖Fv断片(scFv)である。例えば、PCT公報WO93/16185並びに米国特許第5,571,894号及び第5,587,458号を参照されたい。抗体断片はまた、例えば米国特許第5,641,870号に記載されているような線状抗体であり得る。そのような線状抗体断片は、単一特異性又は2重特異性であり得る。
D.抗体の精製
組換え技術を使用する場合、抗体は、単離された宿主細胞内で、宿主細胞の細胞膜周辺腔で産生され得るか、又は宿主細胞から培地に直接分泌され得る。抗体が細胞内で産生される場合、まず粒子状の破片は、例えば遠心分離又は限外濾過によって除去される。Carter et al., BioTech., 10:163-167 (1992) は、大腸菌の細胞膜周辺腔に分泌される抗体を単離するための方法を記載している。簡単に説明すると、細胞ペーストを酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、及びフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)の存在下で約30分間解凍する。細胞の破片は遠心分離によって取り除くことができる。抗体が培地に分泌される場合、そのような発現系からの上清は、一般に、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、アミコン又はミリポアペリコン限外濾過ユニットを使用して濃縮される。PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤を前述の工程のいずれかに含めて、タンパク質分解を阻害し、そして抗生物質を含めて、偶発的な汚染物質の増殖を防止することができる。
細胞から調製された抗体組成物は、例えばヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及び親和性クロマトグラフィーを使用して精製することができる。親和性リガンドとしてのプロテインAの適合性は、抗体中に存在する免疫グロブリンFcドメインの種とアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトγ1、γ2、又はγ4重鎖に基づく抗体を精製するために使用することができる(例えば、Lindmark et al., J. Immunol. Meth., 62:1-13 (1983)を参照)。すべてのマウスアイソタイプ及びヒトγ3には、プロテインGが推奨される(例えば、Guss et al., EMBO J., 5:1567-1575 (1986)を参照)。親和性リガンドが結合しているマトリックスはほとんどの場合アガロースであるが、他のマトリックスも利用できる。制御された細孔ガラスやポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの機械的に安定したマトリックスは、アガロースで達成できるよりも速い流速と短い処理時間を可能にする。抗体がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J. T. Baker; Phillipsburg, N.J)が精製に有用である。イオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSE(商標)のクロマトグラフィー、陰イオン又は陽イオン交換樹脂(例えばポリアスパラギン酸カラム)のクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿などのタンパク質精製の他の手法も、回収する抗体に応じて利用可能である。
任意の予備精製工程に続いて、目的の抗体及び汚染物質を含む混合物を、約2.5~4.5のpHの好ましくは低塩濃度(例えば約0~0.25Mの塩から)の溶出緩衝液を使用する低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに供することができる。
E.二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。二重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片(例えばF(ab')2二重特異性抗体)として調製することができる。
二重特異性抗体を作製するための方法は、当技術分野で知られている。完全長二重特異性抗体の従来の産生法は、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の同時発現に基づいており、ここで2つの鎖は異なる特異性を有する(例えば、Millstein et al., Nature, 305:537-539 (1983)を参照)。免疫グロブリン重鎖と軽鎖のランダムな組み合わせのため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10の異なる抗体分子の潜在的な混合物を生成し、そのうちの1つだけが正しい2重特異性構造を有する。正しい分子の精製は通常、親和性クロマトグラフィーにより行われる。同様の方法は、PCT公報WO93/0829及びTraunecker et al., EMBO J., 10:3655-3659 (1991)に開示されている。
異なるアプローチによれば、所望の結合特異性(抗体-抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインは、免疫グロブリン定常ドメインの配列に融合される。融合は、好ましくはヒンジ領域、CH2領域、及びCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとの融合である。融合物の少なくとも1つに存在する軽鎖結合に必要な部位を含む第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物及び所望であれば免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAは、別々の発現ベクターに挿入され、適切な宿主生物に同時トランスフェクトされる。これは、構築に使用される3つのポリペプチド鎖の不均等な比率が最適な収率を提供する実施態様において、3つのポリペプチド断片の相互比率を調整する際に大きな柔軟性を提供する。しかしながら、等しい比率の少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現が高収率をもたらす場合、又は比率が特に重要でない場合は、2つ又は3つすべてのポリペプチド鎖のコード配列を1つの発現ベクターに挿入することが可能である。
このアプローチのいくつかの実施態様において、二重特異性抗体は、一方のアームにある第1の結合特異性(例えば、ヒト血清アルブミン、ビタミンD、C反応性タンパク質、又は抗トランスグルタミナーゼ抗体中のエピトープに対する第1の結合特異性)を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖と、もう一方のアームにある第2の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖から構成される。この非対称構造は、2重特異性分子の半分のみに免疫グロブリン軽鎖が存在することで、容易な分離方法が提供されるため、望ましくない免疫グロブリン鎖の組み合わせからの所望の2重特異性化合物の分離を容易にする。例えば、PCT公報WO94/04690及びSuresh et al., Meth. Enzymol., 121:210 (1986)を参照されたい。
米国特許第5,731,168号に記載されている別のアプローチによれば、対の抗体分子の間の界面は、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ2量体の割合を最大化するように作成することができる。好適なインターフェースは、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、1次抗体分子の界面からの1つ以上の小さなアミノ酸側鎖が、より大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)で置き換えられる。大きなアミノ酸側鎖をより小さなアミノ酸(例えばアラニン又はスレオニン)で置き換えることにより、大きな側鎖と同一又は同様のサイズの代償性「空洞」が2次抗体分子の界面に作成される。これは、ホモ2量体などの他の不要な最終生成物よりもヘテロ2量体の収率を上げるためのメカニズムを提供する。
二重特異性抗体には、架橋抗体又は「ヘテロ結合体」抗体が含まれる。例えば、ヘテロ結合体中の抗体の1つはアビジンに結合でき、もう1つはビオチンに結合できる。ヘテロ結合体抗体は、任意の便利なクロスリンク方法を使用して作成することができる。適切な架橋剤及び技術は当技術分野で公知であり、例えば米国特許第4,676,980号に開示されている。
抗体断片から二重特異性抗体を生成するための適切な技術も当技術分野で知られている。例えば、二重特異性抗体は、化学結合を使用して調製することができる。特定の例において、二重特異性抗体は、インタクトな抗体がタンパク質分解的に切断されてF(ab')2断片を生成する方法によって生成され得る(例えば、Brennan et al., Science, 229:81 (1985)を参照)。これらの断片は、ジチオール錯化剤である亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元され、隣接するジチオールを安定化し、分子間ジスルフィド形成を防ぐ。次に、生成されたFab'断片は、チオニトロ安息香酸(TNB)誘導体に変換される。次にFab'-TNB誘導体の1つは、メルカプトエチルアミンで還元することによりFab'-チオールに再変換され、等モル量の他のFab'-TNB誘導体と混合されて二重特異性抗体を形成する。
いくつかの実施態様において、Fab'-SH断片は大腸菌から直接回収され、化学的に結合されて、二重特異性抗体を形成し得る。例えば、完全にヒト化された二重特異性抗体F(ab')2分子は、Shalaby et al., J. Exp. Med., 175: 217-225 (1992)に記載された方法により産生することができる。各Fab'断片は大腸菌から別々に分泌され、インビトロで直接化学結合を受けて二重特異性抗体が形成された。
二重特異性抗体断片を組換え細胞培養物から直接作製及び単離するための様々な技術も記載されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを使用して産生されている。例えば、Kostelny et al., J. Immunol., 148:1547-1553 (1992)を参照されたい。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融合によって、2つの異なる抗体のFab'部分に連結された。抗体ホモ2量体はヒンジ領域で還元されて単量体を形成し、次に再酸化されて抗体ヘテロ2量体を形成した。この方法は、抗体ホモ2量体の産生にも利用できる。Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)によって記載された「ダイアボディ」技術は、二重特異性抗体断片を作製するための代替メカニズムを提供している。これらの断片は、同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーによって軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。従って、1つの断片のVH及びVLドメインは、別の断片の相補的VL及びVHドメインと対合することを余儀なくされ、それにより、2つの抗原結合部位が形成される。単鎖Fv(sFv)2量体を使用することによって二重特異性抗体断片を作製するための別の戦略は、Gruber et al., J. Immunol., 152:5368 (1994)に記載されている。
3つ以上の結合価を有する抗体もまた企図される。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。例えば、Tutt et al., J. Immunol., 147:60 (1991)を参照されたい。
III. ヒト血清アルブミン
ヒト血清アルブミンは、ヒト血漿中に存在し、肝臓でプロアルブミン前駆体タンパク質として合成されるタンパク質である。プロアルブミン前駆体タンパク質のN末端ペプチドが除去されてプロアルブミンが生成され、これが粗面小胞体からゴルジ小胞に放出され、そこで再び切断されて成熟血清アルブミンが生成される。ヒト血清アルブミンは特に、ホルモンと脂肪酸を輸送し、血液のpHを緩衝化し、血漿コロイドの膠質浸透圧を維持し、一酸化窒素に結合し、炎症を調節する。ヒト血清アルブミンの遺伝子は、第4染色体の遺伝子座4q13.3に位置しており、この遺伝子の変異により、異常なタンパク質が生じる可能性がある。ヒト血清アルブミン遺伝子は、推定キャップ部位から最初のポリ(A)付加部位までの長さが16,961ヌクレオチドである。これは15のエクソンに分割され、これらは単一の原始ドメインの三重化によって生じたと考えられる3つのドメイン内に対称的に配置される。ヒト血清アルブミンの分子量は約66.5kDaで、血清半減期は約20日である。ヒト血清アルブミン(UniProt ID No.P02768)は配列番号1である。
特定の態様において、本明細書に記載される方法は、ヒト血清アルブミンを測定及び/又は検出するために使用される。特定の態様において、ヒト血清アルブミンの濃度又はレベルが測定される。特定の態様において、ヒト血清アルブミンが測定される生物学的試料は全血である。
特定の態様において、ヒト血清アルブミンの濃度は、約3g/L~約500g/Lである。特定の態様において、ヒト血清アルブミンの濃度は、約3g/L、10g/L、20g/L、30g/L、40g/L、50g/L、60g/L、70g/L、80g/L、90g/L、100g/L、110g/L、120g/L、130g/L、140g/L、150g/L、160g/L、170g/L、180g/L、190g/L、200g/L、210g/L、220g/L、230g/L、240g/L、250g/L、260g/L、270g/L、280g/L、290g/L、300g/L、310g/L、320g/L、330g/L、340g/L、350g/L、360g/L、370g/L、380g/L、390g/L、400g/L、410g/L、420g/L、430g/L、440g/L、450g/L、460g/L、470g/L、480g/L、490g/L、又は500g/Lである。
特定の態様において、ヒト血清アルブミンの正常な対照濃度又は基準値は、約35g/L~約50g/Lである。特定の態様において、ヒト血清アルブミンの量は、約35g/L、37g/L、39g/L、41g/L、43g/L、45g/L、47g/L、49g/L、又は50g/Lである。
特定の態様において、生物学的試料中のヒト血清アルブミンの濃度は、それがヒト血清アルブミンの正常な対照濃度よりも少なくとも10%~約60%高い場合、上昇していると見なされる。特定の態様において、生物学的試料中のヒト血清アルブミンの濃度は、それがヒト血清アルブミンの正常な対照濃度よりも少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、及び/又は60%高い場合、上昇していると見なされる。特定の態様において、生物学的試料中のヒト血清アルブミンの濃度は、それが少なくとも50g/L(例えば、60g/L、70g/L、80g/L、90g/L、100g/L、110g/L、120g/L、130g/L、140g/L、150g/L、160g/L、170g/L、180g/L、190g/L、200g/L、210g/L、220g/L、230g/L、240g/L、250g/L、260g/L、270g/L、280g/L、290g/L、300g/L、310g/L、320g/L、330g/L、340g/L、350g/L、360g/L、370g/L、380g/L、390g/L、400g/L、410g/L、420g/L、430g/L、440g/L、450g/L、460g/L、470g/L、480g/L、490g/L、又は500g/L)である場合、上昇していると見なされる。
いくつかの実施態様において、生物学的試料中のヒト血清アルブミンの濃度は、それが少なくとも100g/L(例えば、少なくとも110g/L、120g/L、130g/L、140g/L、150g/L、160g/L、170g/L、180g/L、190g/L、200g/L、210g/L、220g/L、230g/L、240g/L、250g/L、260g/L、270g/L、280g/L、290g/L、300g/L、310g/L、320g/L、330g/L、340g/L、350g/L、360g/L、370g/L、380g/L、390g/L、400g/L、410g/L、420g/L、430g/L、440g/L、450g/L、460g/L、470g/L、480g/L、490g/L、又は500g/L)である場合、上昇していると見なされる。
いくつかの実施態様において、生物学的試料中のヒト血清アルブミンの濃度は、それが35g/L未満(例えば、32g/L、30g/L、28g/L、26g/L、24g/L、22g/L、20g/L、18g/L、16g/L、14g/L、12g/L、10g/L、8g/L、6g/L、又は4g/L)である場合、低下していると見なされる。
いくつかの実施態様において、生物学的試料中のヒト血清アルブミンの濃度は、それが20g/L未満(例えば、18g/L、16g/L、14g/L、12g/L、10g/L、8g/L、6g/L、又は4g/L)である場合、低下していると見なされる。
特定の態様において、本明細書の方法は、被験体から採取された血液に含まれるヒト血清アルブミンの量を測定することによって、非アルコール性脂肪肝(NAFL)と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)とを区別するために使用することができる。
特定の態様において、本明細書の方法は、被験体から採取された血液に含まれるヒト血清アルブミンの量を測定することによって、肝線維症などの線維症の存在を決定するために使用することができる。
特定の態様において、本明細書の方法は、被験体から採取された血液に含まれるヒト血清アルブミンの量を測定することによって、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の症状の進行度を決定するために使用することができる。
特定の態様において、本明細書の方法は、ヒト血清アルブミンのレベルを追跡することによって、NAFLD、NAFL、又はNASHの症状の進行度を決定するために使用することができる。
IV. ビタミンD
ビタミンDは脂溶性セコステロイドの群であり、その中で最も重要なものは、ビタミンD3(コレカルシフェロールとしても知られている)及びビタミンD2(エルゴカルシフェロールとしても知られている)である。コレカルシフェロールとエルゴカルシフェロールは、食事とサプリメントから摂取することができる。魚、卵、強化乳製品など、ビタミンDを含む食品はごくわずかである。このビタミンの主な天然源は、日光への曝露(特にUVB放射線)に依存する化学反応を介したコレステロールからの皮膚でのコレカルシフェロールの合成である。ビタミンDは、カルシウム、マグネシウム、リン酸塩の腸管吸収の増加や骨の成長の促進など、多くの機能を果たす。
食事又は皮膚合成からのビタミンDは生物学的に不活性である。酵素はそれをヒドロキシル化して活性型に変換する必要がある。これは肝臓と腎臓で行われる。コレカルシフェロールは肝臓でカルシフェジオール(25-ヒドロキシコレカルシフェロール)に変換される;エルゴカルシフェロールは25-ヒドロキシエルゴカルシフェロールに変換される。これらの2つのビタミンD代謝物(25-ヒドロキシビタミンD又は25(OH)Dとも呼ばれる)は、ヒトのビタミンDレベルを決定するために血清で測定される。カルシフェジオールは腎臓によってさらにヒドロキシル化されて、ビタミンDの生物学的に活性な形態であるカルシトリオール(1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロールとしても知られている)を形成する。カルシトリオールは血液中のホルモンとして循環し、カルシウムとリン酸の濃度を調節し、そして骨の健康な成長とリモデリングを促進する主要な役割を有する。カルシトリオールはまた、一部は細胞の成長、神経筋及び免疫機能、炎症の軽減などを含む他の効果もある。
特定の態様において、本明細書に記載の方法は、ビタミンDを測定及び/又は検出するために使用される。特定の態様において、ビタミンDの濃度又はレベルが測定される。特定の態様において、ビタミンDが測定される生物学的試料は全血である。
特定の態様において、ビタミンDの濃度は、約2ng/mL~約500ng/mLである。特定の態様において、ビタミンDの濃度は、約2ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、110ng/mL、120ng/mL、130ng/mL、140ng/mL、150ng/mL、160ng/mL、170ng/mL、180ng/mL、190ng/mL、200ng/mL、210ng/mL、220ng/mL、230ng/mL、240ng/mL、250ng/mL、260ng/mL、270ng/mL、280ng/mL、290ng/mL、300ng/mL、310ng/mL、320ng/mL、330ng/mL、340ng/mL、350ng/mL、360ng/mL、370ng/mL、380ng/mL、390ng/mL、400ng/mL、410ng/mL、420ng/mL、430ng/mL、440ng/mL、450ng/mL、460ng/mL、470ng/mL、480ng/mL、490ng/mL、又は500ng/mLである。
特定の態様において、ビタミンDの正常な対照濃度又は基準値は、約20ng/mL~約50ng/mLである。特定の態様において、ビタミンDの量は、約20ng/mL、23ng/mL、25ng/mL、27ng/mL、29ng/mL、31ng/mL、33ng/mL、35ng/mL、37ng/mL、39ng/mL、41ng/mL、43ng/mL、45ng/mL、47ng/mL、49ng/mL、又は50ng/mLである。
特定の態様において、生物学的試料中のビタミンDの濃度は、それがビタミンDの正常な対照濃度より少なくとも10%~約60%高い場合、上昇していると見なされる。特定の態様において、生物学的試料中のビタミンDの濃度は、それがビタミンDの正常な対照濃度より、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、及び/又は60%高い場合、上昇していると見なされる。特定の態様において、生物学的試料中のビタミンDの濃度は、それが、少なくとも50ng/mL(例えば、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、110ng/mL、120ng/mL、130ng/mL、140ng/mL、150ng/mL、160ng/mL、170ng/mL、180ng/mL、190ng/mL、200ng/mL、210ng/mL、220ng/mL、230ng/mL、240ng/mL、250ng/mL、260ng/mL、270ng/mL、280ng/mL、290ng/mL、300ng/mL、310ng/mL、320ng/mL、330ng/mL、340ng/mL、350ng/mL、360ng/mL、370ng/mL、380ng/mL、390ng/mL、400ng/mL、410ng/mL、420ng/mL、430ng/mL、440ng/mL、450ng/mL、460ng/mL、470ng/mL、480ng/mL、490ng/mL、又は500ng/mL)である場合、上昇していると見なされる。
いくつかの実施態様において、生物学的試料中のビタミンDの濃度は、それが少なくとも100ng/mL(例えば、少なくとも110ng/mL、120ng/mL、130ng/mL、140ng/mL、150ng/mL、160ng/mL、170ng/mL、180ng/mL、190ng/mL、200ng/mL、210ng/mL、220ng/mL、230ng/mL、240ng/mL、250ng/mL、260ng/mL、270ng/mL、280ng/mL、290ng/mL、300ng/mL、310ng/mL、320ng/mL、330ng/mL、340ng/mL、350ng/mL、360ng/mL、370ng/mL、380ng/mL、390ng/mL、400ng/mL、410ng/mL、420ng/mL、430ng/mL、440ng/mL、450ng/mL、460ng/mL、470ng/mL、480ng/mL、490ng/mL、又は500ng/mL)である場合、上昇していると見なされる。
いくつかの実施態様において、生物学的試料中のビタミンDの濃度は、それが20ng/mL未満(例えば、18ng/mL、16ng/mL、14ng/mL、12ng/mL、10ng/mL、8ng/mL、6ng/mL、又は4ng/mL)である場合、低下していると見なされる。
いくつかの実施態様において、生物学的試料中のビタミンDの濃度は、それが10ng/mL未満(例えば、8ng/mL、6ng/mL、又は4ng/mL)である場合、低下していると見なされる。
特定の態様において、本明細書の方法は、被験体から採取された血液に含まれるビタミンDの量を測定することによって、非アルコール性脂肪肝(NAFL)と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)とを区別するために使用することができる。
特定の態様において、本明細書の方法は、被験体から採取された血液に含まれるビタミンDの量を測定することによって、肝線維症などの線維症の存在を決定するために使用することができる。
特定の態様において、本明細書の方法は、被験体から採取された血液に含まれるビタミンDの量を測定することによって、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の症状の進行度を決定するために使用することができる。
特定の態様において、本明細書の方法は、ビタミンDのレベルを追跡することによって、NAFLD、NAFL、又はNASHの症状の進行度を決定するために使用することができる。
V. C反応性タンパク質
C反応性タンパク質は、血漿中に見出される5量体タンパク質であり、その循環濃度は、炎症に応答して増加する。このタンパク質は、マクロファージや脂肪細胞(fat cell)(脂肪細胞(adipocyte))から放出される因子に応答して肝臓で合成される。C反応性タンパク質遺伝子は、第1染色体(1q23.2)上に存在する。その5量体構造の各モノマーは224個のアミノ酸を有し、分子量は25,106Daである。血清中では、これは集合して円盤状の安定した5量体構造になる。
C反応性タンパク質は、肝起源の急性期タンパク質であり、マクロファージ及びT細胞によるインターロイキン-6(IL-6)分泌に続いて増加する。C反応性タンパク質レベルを上昇させる可能性のある他の炎症性メディエーターはTGF-β1とTNF-αである。IL-6は、細菌、ウイルス、又は真菌感染症、リウマチ性及びその他の炎症性疾患、悪性腫瘍、並びに組織の損傷と壊死などの、広範囲の急性及び慢性炎症状態に応答して、マクロファージ並びに脂肪細胞によって産生される。これらの状態は、肝臓によるC反応性タンパク質とフィブリノーゲンの合成を引き起こすIL-6及び他のサイトカインの放出を引き起こす。C反応性タンパク質は、死滅した細胞又は死滅しかけている細胞(及び一部の種類の細菌)の表面に発現されるリゾホスファチジルコリンに結合して、C1qを介して補体系を活性化し、マクロファージによる食作用を促進し、これが壊死性及びアポトーシス性の細胞や細菌を排除する。
健康な成人では、C反応性タンパク質の正常濃度は、一般に3.0mg/L未満、例えば0.8mg/L~3.0mg/Lである。刺激がある場合、C反応性タンパク質レベルは劇的に増加する可能性があり、例えば正常レベルより、少なくとも5倍(例えば、少なくとも10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、120倍、140倍、160倍、180倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、又は1,000倍)高い。C反応性タンパク質の血漿中半減期は約19時間であり、すべての病状で一定である。従って、血液中C反応性タンパク質濃度に影響を与える唯一の要因はその産生率であり、これは炎症、感染、外傷、壊死、悪性腫瘍、及びアレルギー反応とともに増加する。
特定の態様において、本明細書に記載される方法は、C反応性タンパク質を測定及び/又は検出するために使用される。特定の態様において、C反応性タンパク質の濃度又はレベルが測定される。特定の態様において、C反応性タンパク質が測定される生物学的試料は全血である。
特定の態様において、C反応性タンパク質の正常な対照濃度又は基準値は、3mg/L未満(例えば、2.8mg/L、2.6mg/L、2.4mg/L、2.2mg/L、2mg/L、1.8mg/L、1.6mg/L、1.4mg/L、1.2mg/L、1mg/L、0.8mg/L、0.6mg/L、0.4mg/L、又は0.2mg/L)である。
特定の態様において、生物学的試料中のC反応性タンパク質の濃度は、それがC反応性タンパク質の正常な対照濃度よりも少なくとも10%~約60%高い場合、上昇していると見なされる。特定の態様において、生物学的試料中のC反応性タンパク質の濃度は、それがC反応性タンパク質の正常な対照濃度よりも少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、及び/又は60%高い場合、上昇していると見なされる。いくつかの実施態様において、生物学的試料中のC反応性タンパク質の濃度は、それが正常レベルより、少なくとも5倍(例えば、少なくとも10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、120倍、140倍、160倍、180倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、又は1,000倍)高い場合、上昇していると見なされる。
特定の態様において、生物学的試料中のC反応性タンパク質の濃度は、それが少なくとも15mg/L(例えば、少なくとも20mg/L、30mg/L、40mg/L、50mg/L、60mg/L、70mg/L、80mg/L、90mg/L、100mg/L、110mg/L、120mg/L、130mg/L、140mg/L、150mg/L、160mg/L、170mg/L、180mg/L、190mg/L、又は200mg/L)である場合、上昇していると見なされる。特定の態様において、生物学的試料中のC反応性タンパク質の濃度は、それが少なくとも30mg/L(例えば、少なくとも35mg/L、40mg/L、50mg/L、60mg/L、70mg/L、80mg/L、90mg/L、100mg/L、110mg/L、120mg/L、130mg/L、140mg/L、150mg/L、160mg/L、170mg/L、180mg/L、190mg/L、又は200mg/L)である場合、上昇していると見なされる。
特定の態様において、本明細書の方法は、被験体から採取された血液に含まれるC反応性タンパク質の量を測定することによって、並びにC反応性タンパク質の量が基準値よりも高いか又は多い場合、被験体がNASHに影響を受けているか又は影響を受けている可能性があると判断することによって、非アルコール性脂肪肝(NAFL)と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)とを区別するために使用することができる。
特定の態様において、本明細書の方法は、被験体から採取された血液に含まれるC反応性タンパク質の量を測定することによって、並びにC反応性タンパク質の量が基準値よりも高いか又は多い場合、被験体が肝線維症の症状を有するか又は有する可能性があると判断することによって、肝線維症などの線維症の存在を決定するために使用することができる。
特定の態様において、本明細書の方法は、被験体から採取された血液に含まれるC反応性タンパク質の量を測定して、C反応性タンパク質の量が基準値よりも多い場合、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の症状の進行度を決定するために使用することができる。
特定の態様において、本明細書の方法は、C反応性タンパク質のレベルを追跡することにより、NAFLD、NAFL、又はNASHの症状の進行度を決定するために使用することができる。この値が大きいほど、被験体はNAFLD、NAFL、又はNASHの症状の進行度が高い可能性があると判断される。あるいは、治療薬の適用後の値が適用前の指標値よりも低い場合は、治療薬の適用がおそらく有効であると判断することもできる。
VI. 抗トランスグルタミナーゼ抗体
抗トランスグルタミナーゼ抗体(ATA)は、トランスグルタミナーゼタンパク質に対する自己抗体である。ATA IgG及びATA IgAは、免疫グロブリン反応性サブクラス(IgA、IgG)に従って分類されるATAである。抗トランスグルタミナーゼ抗体は、セリアック病、若年性糖尿病、炎症性腸疾患、及びさまざまな形態の関節炎を含むいくつかの状態の患者によく見られる。セリアック病では、抗トランスグルタミナーゼ抗体は絨毛細胞外マトリックスの破壊に関与し、キラー細胞による腸絨毛上皮細胞の破壊を標的とする。腸上皮における抗トランスグルタミナーゼ抗体の沈着物は、セリアック病を予測するために使用することができる。
特定の態様において、本開示は、試料中の抗tTG自己抗体を検出するためのアッセイを含み、これにより、前記自己抗体の存在はグルテン誘発性疾患を示す。
特定の態様において、本開示は、開示された方法において有用な検査キットを提供する。検査キットは、試料中の抗tTG自己抗体をアッセイするための、ドナー蛍光発色団(又はアクセプター)で標識された抗組織トランスグルタミナーゼ抗体と、アクセプター蛍光発色団(又はドナー)で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼとを含む。
特定の態様において、本明細書に記載の方法は、ATA IgA及び/又はATA IgGを測定及び/又は検出するために使用される。特定の態様において、ATA IgA及び/又はATA IgGの濃度又はレベルが測定される。特定の態様において、ATA IgA及び/又はATA IgGが測定される生物学的試料は全血である。
特定の態様において、ATA IgAの対照濃度は、約7mg/dL~約4,000mg/dL(例えば、7mg/dL、10mg/dL、50mg/dL、100mg/dL、200mg/dL、300mg/dL、400mg/dL、500mg/dL、600mg/dL、700mg/dL、800mg/dL、900mg/dL、1000mg/dL、1100mg/dL、1200mg/dL、1300mg/dL、1400mg/dL、1500mg/dL、1600mg/dL、1700mg/dL、1800mg/dL、1900mg/dL、2000mg/dL、2100mg/dL、2200mg/dL、2300mg/dL、2400mg/dL、2500mg/dL、2600mg/dL、2700mg/dL、2800mg/dL、2900mg/dL、3000mg/dL、3100mg/dL、3200mg/dL、3300mg/dL、3400mg/dL、3500mg/dL、3600mg/dL、3700mg/dL、3800mg/dL、3900mg/dL、又は4000mg/dL)である。
特定の態様において、ATA IgAの正常な対照濃度又は基準値は、約70mg/dL~約400mg/dL(例えば、70mg/dL、80mg/dL、100mg/dL、120mg/dL、140mg/dL、160mg/dL、180mg/dL、200mg/dL、220mg/dL、240mg/dL、260mg/dL、280mg/dL、300mg/dL、320mg/dL、340mg/dL、360mg/dL、380mg/dL、又は400mg/dL)である。
特定の態様において、生物学的試料中のATA IgAの濃度は、それがATA IgAの正常な対照濃度よりも少なくとも10%~約60%高い場合、上昇していると見なされる。特定の態様において、生物学的試料中のATA IgAの濃度は、それがATA IgAの正常な対照濃度より少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、及び/又は60%高い場合、上昇していると見なされる。いくつかの実施態様において、生物学的試料中のATA IgAの濃度は、それが正常レベルより、少なくとも5倍(例えば、少なくとも10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、120倍、140倍、160倍、180倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、又は1,000倍)多い場合、上昇していると見なされる。
特定の態様において、生物学的試料中のATA IgAの濃度は、それが少なくとも400mg/dLを超える場合(例えば、少なくとも420mg/dL、440mg/dL、460mg/dL、480mg/dL、500mg/dL、520mg/dL、540mg/dL、560mg/dL、580mg/dL、600mg/dL、620mg/dL、640mg/dL、660mg/dL、680mg/dL、700mg/dL、720mg/dL、740mg/dL、760mg/dL、780mg/dL、800mg/dL、820mg/dL、840mg/dL、860mg/dL、880mg/dL、900mg/dL、920mg/dL、940mg/dL、960mg/dL、980mg/dL、又は1000mg/dL)、上昇していると見なされる。
特定の態様において、ATA IgGの対照濃度は、約20mg/dL~約4,000mg/dLの間(例えば、20mg/dL、50mg/dL、100mg/dL、200mg/dL、300mg/dL、400mg/dL、500mg/dL、600mg/dL、700mg/dL、800mg/dL、900mg/dL、1000mg/dL、1100mg/dL、1200mg/dL、1300mg/dL、1400mg/dL、1500mg/dL、1600mg/dL、1700mg/dL、1800mg/dL、1900mg/dL、2000mg/dL、2100mg/dL、2200mg/dL、2300mg/dL、2400mg/dL、2500mg/dL、2600mg/dL、2700mg/dL、2800mg/dL、2900mg/dL、3000mg/dL、3100mg/dL、3200mg/dL、3300mg/dL、3400mg/dL、3500mg/dL、3600mg/dL、3700mg/dL、3800mg/dL、3900mg/dL、又は4000mg/dL)である。
特定の態様において、ATA IgGの正常な対照濃度又は基準値は、約200mg/dL~約400mg/dL(例えば、200mg/dL、220mg/dL、240mg/dL、260mg/dL、280mg/dL、300mg/dL、320mg/dL、340mg/dL、360mg/dL、380mg/dL、又は400mg/dL)である。
特定の態様において、生物学的試料中のATA IgGの濃度は、それがATA IgGの正常な対照濃度よりも少なくとも10%~約60%高い場合、上昇していると見なされる。特定の態様において、生物学的試料中のATA IgGの濃度は、それがATA IgGの正常な対照濃度より少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、及び/又は60%高い場合、上昇していると見なされる。いくつかの実施態様において、生物学的試料中のATA IgGの濃度は、それがその正常レベルより、少なくとも5倍(例えば、少なくとも10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、120倍、140倍、160倍、180倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、又は1,000倍)多い場合、上昇していると見なされる。
特定の態様において、生物学的試料中のATA IgGの濃度は、それが少なくとも400mg/dLを超える(例えば、少なくとも420mg/dL、440mg/dL、460mg/dL、480mg/dL、500mg/dL、520mg/dL、540mg/dL、560mg/dL、580mg/dL、600mg/dL、620mg/dL、640mg/dL、660mg/dL、680mg/dL、700mg/dL、720mg/dL、740mg/dL、760mg/dL、780mg/dL、800mg/dL、820mg/dL、840mg/dL、860mg/dL、880mg/dL、900mg/dL、920mg/dL、940mg/dL、960mg/dL、980mg/dL、又は1000mg/dL)場合、上昇していると見なされる。
特定の態様において、本明細書の方法は、被験体から採取された血液に含まれるATA IgA及び/又はATA IgGの量を測定することによって、並びにATA IgA及び/又はATA IgGの量が基準値よりも高いか又は多い場合、被験体がNASHに影響を受けているか又はおそらく影響を受けていると判断することによって、非アルコール性脂肪肝(NAFL)と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)とを区別するために使用することができる。
特定の態様において、本明細書の方法は、被験体から採取された血液に含まれるATA IgA及び/又はATA IgGの量を測定することによって、並びにATA IgA及び/又はATA IgGの量が基準値よりも高いか又は多い場合、被験体が肝線維症の症状を有するか又はおそらく有すると判断することによって、肝線維症などの線維症の存在を決定するために使用することができる。
特定の態様において、本明細書の方法は、ATA IgA及び/又はATA IgGの量が基準値よりも多いかどうかを、被験体から採取された血液に含まれるATA IgA及び/又はATA IgGの量を測定することによって、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の症状の進行度を決定するために使用することができる。
特定の態様において、本明細書の方法は、ATA IgA及び/又はATA IgGのレベルを追跡することにより、NAFLD、NAFL、又はNASHの症状の進行度を決定するために使用することができる。この値が大きいほど、被験体はNAFLD、NAFL、又はNASHの症状の進行度が高い可能性があると判断される。あるいは、治療薬の適用後の値が適用前の指標値よりも低い場合には、治療薬の適用がおそらく有効であると判断することもできる。
VII. 装置
様々な機器及び装置が、本開示での使用に適している。多くの分光光度計は蛍光を測定する機能を有する。蛍光は、ある波長での光エネルギーの分子吸収であり、かつ別のより長い波長でのほぼ瞬間的な再放出である。自然に蛍光を発する分子もあれば、蛍光を発するように修飾する必要のある分子もある。
蛍光分光光度計又は蛍光光度計、蛍光分光計(fluorospectrometer)、又は蛍光分光計(fluorescence spectrometer)は、キセノンフラッシュランプなどの光源で照射した後、異なる波長で試料から放出される蛍光を測定する。蛍光光度計は、緑と青、又は紫外線と青のチャネルなど、さまざまな色の蛍光シグナル(波長が異なる)を測定するためのさまざまなチャネルを有することができる。1つの態様において、適切なデバイスは、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)実験を実行する能力を含む。
適切な蛍光光度計は、キュベット、キャピラリ、シャーレ、及びマイクロプレートを含む、異なる方法で試料を保持することができる。本明細書に記載のアッセイは、これらのタイプの機器のいずれかで実行することができる。特定の態様において、装置は、任意選択的なマイクロプレートリーダーを有し、最大384ウェルプレートでの放出スキャンを可能にする。使用に適した他のモデルは、表面張力を使用して試料を所定の位置に保持する。
時間分解蛍光(TRF)測定は、蛍光強度測定と同様である。しかし、1つの違いは、励起/測定プロセスのタイミングである。蛍光強度を測定する場合、励起プロセスと発光プロセスは同時に行われる:試料から放出される光は、励起が行われている間に測定される。発光システムは、励起光が検出器に到達する前に除去するのに非常に効率的であるが、発光と比較した励起光の量は、蛍光強度測定が高いバックグラウンドシグナルを示すようなものである。本開示は、この問題に対する解決策を提供する。時間分解FRETは、ほとんどの標準的な蛍光色素(例えばフルオレセイン)が励起から数ナノ秒以内に発光する場合、励起後の長時間(ミリ秒単位で測定)発光する特性を有する特定の蛍光分子の使用に依存している。その結果、パルス光源(例えばキセノンフラッシュランプ又はパルスレーザー)を使用してクリプテートランタニドを励起し、励起パルスの後に測定することができる。
抗体に結合したドナー及びアクセプター蛍光化合物が互いに接近するにつれて、ドナー化合物からアクセプター化合物にエネルギー移動が引き起こされ、その結果、ドナー化合物によって放出される蛍光シグナルが減少し、アクセプター化合物によって放出されるシグナルが増加し、その逆も真である。従って、異なるパートナー間の相互作用を含む生物学的現象の大部分は、問題の生物学的現象に応じて、より長い又はより短い距離にある化合物と結合した2つの蛍光化合物間のFRETの変化を測定することによって、研究することができる。
FRETシグナルは、異なる方法で測定することができる:ドナーのみによって放出される蛍光の測定、アクセプターのみによって放出される蛍光の測定、又はドナーとアクセプターによって放出される蛍光の測定、又はFRETの結果としてアクセプターによって媒体中に放出される光の偏光の変化の測定。ドナーの寿命の変化を観察することによるFRETの測定も含めることもでき、これは、希土類錯体などの蛍光寿命の長いドナーを使用することで容易になる(特にプレートリーダーなどの単純な機器で)。さらに、FRETシグナルは正確な瞬間又は一定の間隔で測定できるため、経時的な変化を調べることができ、従って調べた生物学的プロセスの動態を研究することができる。
特定の態様において、2019年2月14日に出願されたPCT/IB2019/051213に開示された装置が使用され、これは参照により本明細書に組み込まれる。その用途におけるその開示は、一般にポイントオブケア設定で使用して、ユーザーの取り扱い又は相互作用を最小限に抑えるか又はまったく行わずに、試料の吸光度及び蛍光を測定することができる分析器に関する。開示された分析器は、これらの2つのアプローチのそれぞれで検出することができる特性を有する試料の、より迅速で信頼性の高い分析の有利な特徴を提供する。例えば、診断アッセイに供される血液試料の蛍光と吸光度の両方を定量化することは有益である可能性がある。一部の分析ワークフローでは、血液試料のヘマトクリット値を吸光度アッセイで定量化できるが、FRETアッセイで測定されたシグナル強度は、血液試料の他の成分に関する情報を提供することができる。
PCT/IB2019/051213に開示される1つの装置は、試料からの放出光、及び試料による透過照明光の吸光度を検出するのに有用であり、励起波長を有する励起光を放出するように構成された第1の光源を含む。この装置はさらに、試料を透過照明光で透過照明するように構成された第2の光源を備える。この装置はさらに、励起光を検出するように構成された第1の光検出器と、放出光及び透過照明光を検出するように構成された第2の光検出器とを備える。この装置はさらに、(1)励起光の少なくとも一部を反射することによって試料を落射照明し、(2)励起光の少なくとも一部を第1の光検出器に送信し、(3)放出光の少なくとも一部を第2の光検出器に送信し、及び(4)透過照明光の少なくとも一部を第2の光検出器に送信する、ように構成されたダイクロイックミラーを備える。
本開示で使用するための1つの適切なキュベットは、2019年2月14日に出願されたPCT/IB2019/051215に開示されている。提供されるキュベットの1つは、開放チャンバー上部を有する内部チャンバーを封入する中空体を含む。キュベットはさらに、内壁、外壁、開いた蓋の上部、及び開いた蓋の底を有する下部の蓋を含む。下部の蓋の少なくとも一部は、開放チャンバー上部に近接する内部チャンバーの内側に適合するように構成される。下部の蓋は、内壁に接続された1つ以上(例えば2つ以上)の容器を含み、ここで各容器は、開いた容器上部を有する。特定の態様において、下部の蓋は、2つ以上のそのような容器を含む。下部の蓋はさらに、中空体に接続された固定手段をさらに備える。キュベットはさらに上部の蓋を含み、ここで上部の蓋の少なくとも一部は、開いた上部の蓋に近接する下部の蓋の内側に適合するように構成される。
VIII. 実施例
実施例1
この実施例は、TR-FRETアッセイにおいてヒト血清アルブミンの存在及び量を検出する本開示の方法を示す。図1に示されるように、アクセプター蛍光発色団で標識された単離されたヒト血清アルブミンタンパク質は、ドナー蛍光発色団で標識された抗ヒト血清アルブミン抗体(MAB-1)に結合する。ヒト血清アルブミン分析物は、患者の試料(すなわち全血試料)中にあり、これは、ドナー蛍光発色団で標識された抗ヒト血清アルブミン抗体に結合し、こうしてFRETシグナルを妨害する。大量のヒト血清アルブミンの存在下では、試料(例えば全血試料)中のヒト血清アルブミンは、単離されたヒト血清アルブミンの抗ヒト血清アルブミン抗体への結合を阻止又はこれと競合するため、FRETシグナルは小さい。FRETシグナルの減少は、既知量のヒト血清アルブミンキャリブレーターから内挿された、患者の血液中に存在するヒト血清アルブミンのレベルに比例する(図2)。以下の表1は、図2に対応する数値データを示す。
Figure 2022534227000006
この実施例は、試験患者試料が、ヒト血清アルブミンレベルに影響を与えることが知られているさまざまな条件を生成するとき、図1に示される形態のTR-FRETアッセイを使用してヒト血清アルブミン(HAS)の存在及び量を検出するための本開示の方法が如何に働くかを示す。TR-FRETアッセイとBeckman Coulter IMMAGE(登録商標)HSAアッセイの両方で試験された個々の血清試料の結果を、以下の表2に示す。また表2には、TR-FRETアッセイの%CVと患者試料に関連する基礎疾患も含まれている。
Figure 2022534227000007
Figure 2022534227000008
Figure 2022534227000009
Figure 2022534227000010
この実施例は、試験患者試料が、ヒト血清アルブミンレベルに影響を与えることが知られているさまざまな条件を生成するとき、図1に示される形態のTR-FRETアッセイを使用してヒト血清アルブミン(HAS)の存在及び量を検出するための本開示の方法が、如何にBeckman Coulter IMMAGE(登録商標)HSAアッセイと相関しているかを示す。表2の個々の血清試料からの結果は、図3にグラフで示される。
ドナー蛍光発色団であるLumi4-Tb(Tb-H22TRENIAM-5LIO-NHSとも呼ばれる、図13)を使用して、抗ヒト血清アルブミン抗体を標識することができる。Lumi4-Tbは、490、550、及び620nmに3つのスペクトル的に異なるピークを有し、これらはエネルギー移動に使用することができる(図15)。使用することができるアクセプター蛍光発色団には、特に限定されるものではないが、AlexaFluor 488、AlexaFluor 546、及びAlexaFluor 647が含まれる(図15)。ドナー及びアクセプター蛍光発色団は、抗体上の一級アミンを使用して抗体に結合させることができる。
ヒト血清アルブミン(UniProt ID NO.P02768)の配列を以下に示される:
配列番号1:
MKWVTFISLLFLFSSAYSRGVFRRDAHKSEVAHRFKDLGEENFKALVLIAFAQYLQQCPFEDHVKLVNEVTEFAKTCVADESAENCDKSLHTLFGDKLCTVATLRETYGEMADCCAKQEPERNECFLQHKDDNPNLPRLVRPEVDVMCTAFHDNEETFLKKYLYEIARRHPYFYAPELLFFAKRYKAAFTECCQAADKAACLLPKLDELRDEGKASSAKQRLKCASLQKFGERAFKAWAVARLSQRFPKAEFAEVSKLVTDLTKVHTECCHGDLLECADDRADLAKYICENQDSISSKLKECCEKPLLEKSHCIAEVENDEMPADLPSLAADFVESKDVCKNYAEAKDVFLGMFLYEYARRHPDYSVVLLLRLAKTYETTLEKCCAAADPHECYAKVFDEFKPLVEEPQNLIKQNCELFEQLGEYKFQNALLVRYTKKVPQVSTPTLVEVSRNLGKVGSKCCKHPEAKRMPCAEDYLSVVLNQLCVLHEKTPVSDRVTKCCTESLVNRRPCFSALEVDETYVPKEFNAETFTFHADICTLSEKERQIKKQTALVELVKHKPKATKEQLKAVMDDFAAFVEKCCKADDKETCFAEEGKKLVAASQAALGL
実施例2
この実施例は、TR-FRETアッセイにおいてビタミンDの存在及び量を検出する本開示の方法を示す。図4に示されるように、アクセプター蛍光発色団で標識された単離されたビタミンDは、ドナー蛍光発色団で標識されたビタミンD結合剤(例えば抗ビタミンD抗体(MAB-1))に結合する。ビタミンD分析物は、患者の試料(すなわち全血試料)中にあり、これはドナー蛍光発色団で標識された抗ビタミンD抗体に結合し、こうしてFRETシグナルを妨害する。試料に大量のビタミンDが存在する場合、試料(全血試料など)のビタミンDは、ビタミンD結合剤(例えば抗ビタミンD抗体(MAB-1))への単離されたビタミンDの結合を阻止又はこれと競合するため、FRETシグナルは減少する。FRETシグナルの減少は、既知量のビタミンDキャリブレーターから内挿されるように、患者の血液中に存在するビタミンDのレベルに比例する(図5及び表3)。
Figure 2022534227000011
ドナー蛍光発色団であるLumi4-Tb(Tb-H22TRENIAM-5LIO-NHSとも呼ばれる、図13)を使用して、ビタミンD結合剤(例えば抗ビタミンD抗体(MAB-1))を標識することができる。Lumi4-Tbは、490、550、及び620nmに3つのスペクトル的に異なるピークを有し、これらはエネルギー移動に使用することができる(図15)。使用することができるアクセプター蛍光発色団には、特に限定されるものではないが、AlexFluor 488、AlexFluor 546、及びAlexFluor 647が含まれる(図15)。ドナー及びアクセプター蛍光発色団は、抗体上の一級アミンを使用して抗体に結合させることができる。
実施例3
この実施例は、TR-FRETアッセイにおいてC反応性タンパク質の存在及び量を検出する本開示の方法を示す。図6Aに示されるように、ドナー蛍光発色団で標識された単離されたC反応性タンパク質(CRP)は、アクセプター蛍光発色団で標識された抗C反応性タンパク質抗体(MAB-1)に結合する。C反応性タンパク質分析物は患者の試料(すなわち全血試料)中にあり、これはアクセプター蛍光発色団で標識された抗C反応性タンパク質抗体に結合し、こうしてFRETシグナルを妨害する。大量のC反応性タンパク質が存在する場合、試料(全血試料など)中のC反応性タンパク質は、抗C反応性タンパク質抗体への単離されたC反応性タンパク質の結合を阻止又はこれと競合するため、FRETシグナルは減少する。FRETシグナルの減少は、既知量のC反応性タンパク質キャリブレータから内挿されるように、患者の血液中に存在するC反応性タンパク質のレベルに比例する(図7A)。図7Cはまた、C反応性タンパク質について作成された標準曲線を示す。以下の表4は、図7Cに対応する数値データを示す。
Figure 2022534227000012
図6Bに示されるように、逆の構成も同様に機能する。図6Bにおいて、アクセプター蛍光発色団で標識された単離されたC反応性タンパク質(CRP)は、ドナー蛍光発色団で標識された抗C反応性タンパク質抗体(MAB-1)に結合する。C反応性タンパク質分析物は患者の試料(すなわち全血試料)中にあり、これはドナー蛍光発色団で標識された抗C反応性タンパク質抗体に結合し、こうしてFRETシグナルを妨害する。図6Cは、FRETシグナルが患者の試料中のCRPの濃度に反比例することを示す別の略図である。
この実施例は、図6A及び6Bに示される形態のTR-FRETアッセイを使用してC反応性タンパク質(CRP)の存在及び量を検出するための本開示の方法が、如何にOrion QuikRead goアッセイと相関しているかを示す。相関のために、TR-FRETで試験された指先から収集された全血からのマッチドペア試料と、Orion QuikRead goで試験された血清が、図7Dにグラフで示される。
ドナー蛍光発色団であるLumi4-Tb(Tb-H22TRENIAM-5LIO-NHSとも呼ばれる、図13)を使用して、単離されたC反応性タンパク質(CRP)を標識することができる。Lumi4は、約490nm、約545nm、約580nm、及び約620nmに4つのスペクトル的に異なるピークを有し、これらはエネルギー移動に使用することができる(図15)。使用することができるアクセプター蛍光発色団には、特に限定されるものではないが、AlexFluor 488、AlexFluor 546、AlexFluor 647(図15)、アロフィコシアニン(APC)、及びフィコエリトリン(PE)が含まれる。ドナー及びアクセプター蛍光発色団は、抗体上の一級アミンを使用して抗体に結合させることができる。
C反応性タンパク質(UniProt ID NO.P02741)の配列が以下に示される:
配列番号2:
MEKLLCFLVLTSLSHAFGQTDMSRKAFVFPKESDTSYVSLKAPLTKPLKAFTVCLHFYTELSSTRGYSIFSYATKRQDNEILIFWSKDIGYSFTVGGSEILFEVPEVTVAPVHICTSWESASGIVEFWVDGKPRVRKSLKKGYTVGAEASIILGQEQDSFGGNFEGSQSLVGDIGNVNMWDFVLSPDEINTIYLGGPFSPNVLNWRALKYEVQGEVFTKPQLWP
実施例4
この実施例は、TR-FRETアッセイにおいてATA IgA及び/又はATA IgGの存在及び量を検出する本開示の方法を示す。図8Aに示されるように、ドナー蛍光発色団で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼタンパク質(tTG)は、アクセプター蛍光発色団で標識されたATA IgA又はIgGに結合する。内因性ATA IgA又はIgG分析物は、患者の試料(すなわち全血試料)中にあり、これはドナー蛍光発色団で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼタンパク質(tTG)に結合し、こうしてFRETシグナルを妨害する。大量の内因性ATA IgA又はIgG分析物が存在する場合、試料(例えば全血試料)中の内因性ATA IgA又はIgG分析物は、単離された組織トランスグルタミナーゼタンパク質(tTG)への結合を阻止又はこれと競合するため、FRETシグナルは減少する。FRETシグナルの減少は、既知量のATA IgA又はIgGキャリブレーターから内挿されるように、患者の血液中に存在する内因性ATA IgA又はIgG分析物のレベルに比例する(図9)。
試料中の抗トランスグルタミナーゼ自己抗体(ATA)免疫グロブリンA(IgA)及びATA免疫グロブリンG(IgG)の存在又は量を検出並びに区別することができるアッセイ方法が、図8Bに示される。
さらに、図10Aに示されるように、ドナー蛍光発色団で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼタンパク質(tTG)は、患者の試料中のATA IgAの存在下で、アクセプター蛍光発色団で標識された抗IgAに結合する。内因性ATA IgA分析物は、患者の試料(すなわち全血試料)中にあり、これは、ドナー蛍光発色団で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼタンパク質(tTG)、及びアクセプター蛍光発色団で標識された抗IgAにも結合し、従ってドナー蛍光発色団とアクセプターの蛍光発色団が互いに近接されてFRETシグナルが生成される。大量の内因性ATA IgA分析物が存在する場合、試料(例えば全血試料)中の内因性ATA IgA分析物は、単離された組織トランスグルタミナーゼタンパク質(tTG)と抗IgAを一緒にするため、FRETシグナルは大きい。FRETシグナルの増加は、既知量のATA IgAキャリブレータから内挿されるように、患者の血液中に存在する内因性ATA IgA分析物のレベルに比例する(図10B)。
この実施例は、図10Aに示される形態のTR-FRETアッセイを使用して、患者試料中に存在するATA IgA分析物の存在及び量を検出するための本開示の方法が、如何にInovaのELISAと相関しているかを示す。相関のために、TR-FRETとInovaのELISAを使用して、同じ血清試料を試験した。結果は図11Aにグラフで示される。図11Bは、309人の患者試料についてカットオフ14を使用して、ATA IgAに対する本開示の感度及び特異性を示す。
この実施例は、図10Aに示される形態のTR-FRETアッセイを使用して、患者試料中に存在するATA IgA分析物の存在及び量を検出するための本開示の方法が、如何にPhadiaのELISAと相関しているかを示す。相関のために、TR-FRETとInovaのELISAを使用して、同じ血清試料を試験した。結果は図12Aにグラフで示される。図12Bは、355人の患者試料についてカットオフ9を使用して、ATA IgAに対する本開示の感度及び特異性を示す。
ドナー蛍光発色団であるLumi4-Tb(Tb-H22TRENIAM-5LIO-NHSとも呼ばれる、図13)を使用して、単離された組織トランスグルタミナーゼタンパク質(tTG)を標識することができる。Lumi4-Tbは、約490nm、約548nm、約587nm、及び621nmに4つのスペクトル的に異なるピークを有し、これらはエネルギー移動に使用することができる(図15)。使用することができるアクセプター蛍光発色団には、特に限定されるものではないが、AlexFluor 488、AlexFluor 546、AlexFluor 647(図15)、アロフィコシアニン(APC)、及びフィコエリトリン(PE)が含まれる。ドナー蛍光発色団及びアクセプター蛍光発色団は、抗体上の一級アミンを使用して抗体に結合させることができる。

Claims (42)

  1. 試料中のヒト血清アルブミンの存在又は量を検出するためのアッセイ方法であって、
    試料に、ドナー蛍光発色団で標識された抗ヒト血清アルブミン抗体と、アクセプター蛍光発色団で標識された単離されたヒト血清アルブミンとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
    試料中のヒト血清アルブミンが、ドナー蛍光発色団で標識された抗ヒト血清アルブミン抗体への結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
    光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
    ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のヒト血清アルブミンの存在又は量を示す、方法。
  2. 試料中のヒト血清アルブミンの存在又は量を検出するためのアッセイ方法であって、
    試料に、アクセプター蛍光発色団で標識された抗ヒト血清アルブミン抗体と、ドナー蛍光発色団で標識された単離されたヒト血清アルブミンとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
    試料中のヒト血清アルブミンが、アクセプター蛍光発色団で標識された抗ヒト血清アルブミン抗体への結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
    光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
    ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のヒト血清アルブミンの存在又は量を示す、方法。
  3. 血液中のヒト血清アルブミンの濃度が約3g/L~約500g/Lである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 血液中のヒト血清アルブミンの正常濃度が約35g/L~約50g/Lである、請求項3に記載の方法。
  5. 血液中のヒト血清アルブミンの高濃度が少なくとも50g/Lである、請求項3に記載の方法。
  6. 血液中のヒト血清アルブミンの高濃度が少なくとも100g/Lである、請求項5に記載の方法。
  7. 血液中のヒト血清アルブミンの低濃度が35g/L未満である、請求項3に記載の方法。
  8. 血液中のヒト血清アルブミンの低濃度が20g/L未満である、請求項7に記載の方法。
  9. 試料中のビタミンDの存在又は量を検出するためのアッセイ方法であって、
    試料に、ドナー蛍光発色団で標識されたビタミンD結合剤と、アクセプター蛍光発色団で標識された単離されたビタミンDとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
    試料中のビタミンDが、ドナー蛍光発色団で標識されたビタミンD結合剤への結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
    光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
    ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のビタミンDの存在又は量を示す、方法。
  10. 試料中のビタミンDの存在又は量を検出するためのアッセイ方法であって、
    試料に、アクセプター蛍光発色団で標識されたビタミンD結合剤と、ドナー蛍光発色団で標識された単離されたビタミンDとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
    試料中のビタミンDが、アクセプター蛍光発色団で標識されたビタミンD結合剤への結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
    光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
    ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のビタミンDの存在又は量を示す、方法。
  11. 血液中のビタミンDの濃度が約2ng/mL~約500ng/mLである、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 血液中のビタミンDの正常濃度が約20ng/mL~約50ng/mLである、請求項11に記載の方法。
  13. 血液中のビタミンDの高濃度が少なくとも50ng/mLである、請求項11に記載の方法。
  14. 血液中のビタミンDの高濃度が少なくとも100ng/mLである、請求項13に記載の方法。
  15. 血液中のビタミンDの低濃度が20ng/mL未満である、請求項11に記載の方法。
  16. 血液中のビタミンDの低濃度が10ng/mL未満である、請求項15に記載の方法。
  17. 試料中のC反応性タンパク質の存在又は量を検出するためのアッセイ方法であって、
    試料に、ドナー蛍光発色団で標識された抗C反応性タンパク質抗体と、アクセプター蛍光発色団で標識された単離されたC反応性タンパク質とを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
    試料中のC反応性タンパク質が、ドナー蛍光発色団で標識された抗C反応性タンパク質抗体への結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
    光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
    ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のC反応性タンパク質の存在又は量を示す、方法。
  18. 試料中のC反応性タンパク質の存在又は量を検出するためのアッセイ方法であって、
    試料に、アクセプター蛍光発色団で標識された抗C反応性タンパク質抗体と、ドナー蛍光発色団で標識された単離されたC反応性タンパク質とを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
    試料中のC反応性タンパク質が、アクセプター蛍光発色団で標識された抗C反応性タンパク質抗体への結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
    光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
    ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のC反応性タンパク質の存在又は量を示す、方法。
  19. 血液中のC反応性タンパク質の正常濃度が3mg/L未満である、請求項17又は18に記載の方法。
  20. 血液中のC反応性タンパク質の高濃度が少なくとも15mg/Lである、請求項17又は18に記載の方法。
  21. 血液中のC反応性タンパク質の高濃度が少なくとも30mg/Lである、請求項20に記載の方法。
  22. 試料中の抗トランスグルタミナーゼ自己抗体(ATA)免疫グロブリンA(IgA)及び/又はATA免疫グロブリンG(IgG)の存在又は量を検出するためのアッセイ方法であって、
    試料に、ドナー蛍光発色団で標識された抗組織トランスグルタミナーゼ抗体と、アクセプター蛍光発色団で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体は組織トランスグルタミナーゼに対する結合エピトープを含み、及びここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
    試料中のATA IgA及び/又はATA IgGが、アクセプター蛍光発色団で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼへの結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
    光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
    ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のATA IgA及び/又はATA IgGの存在又は量を示す、方法。
  23. 試料中の抗トランスグルタミナーゼ自己抗体(ATA)免疫グロブリンA(IgA)及び/又はATA免疫グロブリンG(IgG)の存在又は量を検出するためのアッセイ方法であって、
    試料に、アクセプター蛍光発色団で標識された抗組織トランスグルタミナーゼ抗体と、ドナー蛍光発色団で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体は組織トランスグルタミナーゼに対する結合エピトープを含み、及びここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
    試料中のATA IgA及び/又はATA IgGが、ドナー蛍光発色団で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼへの結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、そして
    光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
    ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のATA IgA及び/又はATA IgGの存在又は量を示す、方法。
  24. 試料中の抗トランスグルタミナーゼ自己抗体(ATA)免疫グロブリンA(IgA)及び/又はATA免疫グロブリンG(IgG)の存在又は量を検出するためのアッセイ法であって、
    試料に、ドナー蛍光発色団で標識された抗組織トランスグルタミナーゼ抗体と、第1のアクセプター蛍光発色団で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体は組織トランスグルタミナーゼに対する結合エピトープを含み、及びここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
    試料中のATA IgA及び/又はATA IgGが、第1のアクセプター蛍光発色団で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼへの結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、
    試料を、第2のアクセプター蛍光発色団で標識された抗IgA抗体及び第3のアクセプター蛍光発色団で標識された抗IgG抗体と、さらにインキュベートする工程と、そして
    光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
    ここで、第2のアクセプター蛍光発色団によって放出される蛍光シグナルの検出は試料中のATA IgAの存在又は量を示し、及び第3のアクセプター蛍光発色団によって放出される蛍光シグナルの検出は試料中のATA IgGの存在又は量を示す、方法。
  25. 試料中の抗トランスグルタミナーゼ自己抗体(ATA)免疫グロブリンA(IgA)及び/又はATA免疫グロブリンG(IgG)の存在又は量を検出するためのアッセイ法であって、
    試料に、第1のアクセプター蛍光発色団で標識された抗組織トランスグルタミナーゼ抗体と、ドナー蛍光発色団で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼとを含む複合体を接触させる工程であって、ここで、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体は組織トランスグルタミナーゼに対する結合エピトープを含み、及びここで、ドナー蛍光発色団が光源を使用して励起された場合、複合体は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光発光シグナルを放出する、工程と、
    試料中のATA IgA及び/又はATA IgGが、ドナー蛍光発色団で標識された単離された組織トランスグルタミナーゼへの結合について競合するのに十分な時間、試料を複合体とインキュベートする工程と、
    試料を、第2のアクセプター蛍光発色団で標識された抗IgA抗体及び第3のアクセプター蛍光発色団で標識された抗IgG抗体と、さらにインキュベートする工程と、そして
    光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出する工程とを含み、
    ここで、第2のアクセプター蛍光発色団によって放出される蛍光シグナルの検出は、試料中のATA IgAの存在又は量を示し、及び第3のアクセプター蛍光発色団によって放出される蛍光シグナルの検出は、試料中のATA IgGの存在又は量を示す、方法。
  26. さらなるインキュベーション工程の前に、光源を使用して試料を励起して、FRETに関連する蛍光発光シグナルを検出することにより、ATA IgA及びIgGの総量を決定する工程をさらに含み、ここで、複合体によって最初に放出された蛍光発光シグナルと比較して、前記蛍光発光シグナルの欠如又は前記蛍光発光シグナルの減少は、試料中のATA IgA及びATA IgGの総量を示す、請求項24又は25に記載の方法。
  27. 血液中のATA IgAの濃度が約7mg/dL~約4,000mg/dLである、請求項22~26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 血液中のATA IgAの正常濃度が約70mg/dL~約400mg/dLである、請求項27に記載の方法。
  29. 血液中のATA IgAの高濃度が少なくとも400mg/dLを超える、請求項27に記載の方法。
  30. 血液中のATA IgAの高濃度が少なくとも800mg/dLを超える、請求項29に記載の方法。
  31. 血液中のATA IgGの濃度が約20mg/dL~約4,000mg/dLである、請求項22~27のいずれか1項に記載の方法。
  32. 血液中のATA IgGの正常濃度が約200mg/dL~約400mg/dLである、請求項31に記載の方法。
  33. 血液中のATA IgGの高濃度が少なくとも400mg/dLを超える、請求項31に記載の方法。
  34. 血液中のATA IgGの高濃度が少なくとも800mg/dLを超える、請求項33に記載の方法。
  35. 前記FRET発光シグナルが時間分解FRET発光シグナルである、請求項1又は34のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記試料が生物学的試料である、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
  37. 前記生物学的試料が、全血、尿、便検体、血漿、及び血清からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
  38. 前記生物学的試料が全血である、請求項37に記載の方法。
  39. 前記ドナー蛍光発色団がテルビウムクリプテートである、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
  40. 前記アクセプター蛍光発色団が、フルオレセイン様(緑色ゾーン)、Cy5、DY-647、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 647、アロフィコシアニン(APC)、及びフィコエリトリン(PE)からなる群から選択される、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 前記光源が、約300nm~約400nmの励起波長を提供する、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
  42. 前記蛍光発光シグナルが、約450nm~約700nmの発光波長を放出する、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
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