JP2022540764A - 抗TNFα生物製剤および抗薬剤抗体の検出 - Google Patents

抗TNFα生物製剤および抗薬剤抗体の検出 Download PDF

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Abstract

本開示は、患者の試料中の抗TNFα生物製剤および/またはそれらの自己抗体の存在を検出して、TNFα阻害剤療法を監視しかつ治療法の決定に誘導する蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)アッセイを提供する。【選択図】図1A-1B

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月25日付けの米国出願特許第62/866,344号の優先権を主張し、この開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
腫瘍壊死因子α(TNFα)は、単球およびマクロファージを含む多くの細胞種によって産生されるサイトカインであり、これは元々は特定のマウス腫瘍の壊死を誘発するその能力に基づいて特定された。それに引き続いて、悪液質に関連するカケクチンと呼ばれる因子は、TNFαと同一であることが分かった。TNFαは、ショック症、敗血症、感染症、自己免疫疾患、RA、クローン病、移植片拒絶反応、移植片対宿主病などの他の様々なヒトの疾患や障害の病態生理に関与している。
様々なヒトの障害でのヒトTNFα(hTNFα)の有害な役割のために、治療法は、hTNFα活性を阻害または相殺するように設計されてきた。特に、hTNFαに結合しかつ中和する抗体が、hTNFα活性を阻害する手段として探求されてきた。その抗体の中でいくつかの最も初期の抗体は、hTNFαで免疫化されたマウスのリンパ球から調製されたハイブリドーマによって分泌されるマウスモノクローナル抗体(mAb)であった(例えば、Moellerらによる米国特許第5,231,024号を参照)。これらのマウス抗hTNFα抗体は、多くの場合にhTNFαに対して高い親和性を示し、かつhTNFα活性を中和可能であったが、生体内でのこれらの使用は、血清半減期が短いこと、特定のヒトエフェクター機能の誘発が不能なこと、およびマウス抗体に対するヒト内での望ましくない免疫応答の誘発(「ヒト抗マウス抗体」(HAMA)反応)など、ヒトへのマウス抗体の投与に関連する諸問題によって制限を受けてきた。
生物学的療法は、関節リウマチなどの自己免疫疾患の治療に応用されてきた。例えば4種のTNFα阻害剤として、キメラ抗TNFα mAbであるREMICADETM(インフリキシマブ)、TNFR-Ig Fc融合タンパク質であるENBRELTM(エタネルセプト)、ヒト抗TNFα mAbであるHUMIRATM(アダリムマブ)、およびPEG化Fab断片であるCIMZIA(登録商標)(セルトリズマブペゴル)が、関節リウマチの治療用にFDAによって承認されている。CIMZIA(登録商標)はまた、中等度から重度のクローン病(CD)の治療にも使用されている。このような生物学的療法は、関節リウマチおよびCDなどの他の自己免疫疾患の治療では成功を収めていたが、治療された全ての対象がその療法に応答する、または十分に応答する訳ではない。さらにTNFα阻害剤の投与は、薬物に対する免疫応答を誘発し、ヒト抗キメラ抗体(HACA)、ヒト抗ヒト化抗体(HAHA)、およびヒト抗マウス抗体(HAMA)などの自己抗体の産生をもたらす可能性がある。このようなHACA、HAHA、またはHAMAの免疫応答は、過敏性反応に関連し、かつ薬物によるさらなる治療を妨げる免疫療法でのTNFα阻害剤の薬物動態および生体内分布の劇的な変化に関連する可能性がある。
前述の内容を考慮して、当技術分野では、TNFα阻害剤療法を監視しかつ治療法の決定に導くために、患者試料中の抗TNFα生物製剤および/またはそれらの自己抗体の存在を検出するためのアッセイが必要とされている。本開示は、これらの要求を満たし、ならびにそれに関連する利点を提供する。
一実施態様では、本開示は、試料中の抗TNFα薬の存在または量を検出するアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料を第1の蛍光色素で標識されたTNFαと接触させること、
試料を第2の蛍光色素で標識された抗薬物抗体またはFab断片と接触させること、
二重に標識された抗TNFα薬を得るのに十分な時間で試料を培養すること、および
光源を用いて二重に標識された抗TNFα薬を有する試料を励起して、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光放射信号を検出することを含む。
特定の例では、これらの方法は、例えばこのような抗TNFα薬療法を受けている対象からの試料中のREMICADE(商標)(インフリキシマブ)、INFLECTRA(インフリキシマブ-ダイブ)、RENFLEXIS(インフリキシマブ-アブダ)、FLIXABI(インフリキシマブバイオ後続品)、REMSIMA(インフリキシマブバイオ後続品)、ENBREL(商標)(エタネルセプト)、HUMIRA(商標)(アダリムマブ)、AMJEVITA(アダリムマブ-アト)、IMRALDI(アダリムマブバイオ後続品)、CYLTEZO(アダリムマブバイオ後続品)、HYRIMOZ(アダリムマブバイオ後続品)、HULIO(アダリムマブバイオ後続品)、CIMZIA(登録商標)(セントリズマブペゴル)、およびそれらの組合せの濃度を測定するのに有用である。
別の実施態様では、本開示は、試料中の抗TNFα薬の存在または量を検出するアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料を第1の蛍光色素を含むTNFαと接触させること、
試料を第2の蛍光色素で標識された抗薬物Fab断片と接触させること、
二重に標識された抗TNFα薬を得るのに十分な時間で試料を培養すること、および
光源を用いて二重に標識された抗TNFα薬を有する試料を励起して、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光放射信号を検出することを含む。
さらに別の側面では、本開示は、試料中の抗TNFα薬の存在または量を検出するアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料を、第1の蛍光色素で標識された抗TNFα薬と第2の蛍光色素で標識された単離されたTNFαを含み、光源を用いて励起されると蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光放射信号を放射する複合体と接触させること、
試料中の抗TNFα薬が第1の蛍光色素で標識された抗TNFα薬への結合に関して競合するのに十分な時間で試料を複合体とともに培養すること、および
光源を用いて試料を励起して、FRETに関連する蛍光放射信号を検出することを含み、ここで複合体が初期に放射する蛍光放射信号に対比して蛍光放射信号の不在または蛍光放射信号の減少は、試料中の抗TNFα薬の存在または量を示す。
別の実施態様では、本開示は、試料中の抗TNFα薬自己抗体(自己抗体)の存在または量を検出するアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料を供与体蛍光色素を含む第1の標識された抗TNFα薬またはFab断片と接触させること、
試料を受容体蛍光色素を含む第2の標識された抗TNFα薬またはFab断片と接触させること、
供与体蛍光色素を含む第1の標識された抗TNFα薬、受容体蛍光色素を含む第2の標識された抗TNFα薬またはFab断片、および自己抗体の三元複合体を生成するのに十分な時間で試料を培養すること、および
光源を用いて三元複合体を有する試料を励起して、供与体蛍光色素が励起された際の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光放射信号を検出することを含む。
これらの側面およびその他の側面、目的、および実施態様は、以下の詳細な説明および図面とともに読込むと、より明白になると考えられる。
図1Aは、抗TNFα薬濃度を検出するための本開示の一実施態様を示す。
図1Bは、抗TNFα薬濃度を検出するための本開示の一実施態様を示す。
図2は、本開示の方法を用いて生成された標準曲線を示す。
図3は、本開示の供与体蛍光色素の一実施態様を示す。
図4は、本開示の受容体蛍光色素の一実施態様を示す。
図5は、本開示の一実施態様での供与体波長および受容体波長を示す。Tb-H22TRENIAM-5LIO-NHSの放射特性が示されている(490 nm、545 nm、580 nm、および620 nm)。受容体の放射ピークは、(AF488、左側から2番目の矢印)、(AF546、左側から4番目の矢印)、および(AF647、左側から7番目の矢印、すなわち右側の1番目の矢印)に示されている。
図6は、3分後に平衡に達するtrFRETでのアダリムマブ(ADA)アッセイを示す。0 μg/mLから50 μg/mLの範囲の8個の濃度を試験した。試薬を試料と混合して、図に示すように種々の時点で読み取った。
図7Aは、抗薬物抗体(自己抗体)を検出するための本開示の一実施態様を示す。
図7Bは、抗薬物抗体(自己抗体)を検出するための本開示の一実施態様を示す。
図8は、本開示の方法を用いて生成された標準曲線を示す。
図9は、本開示の方法と市販の方法との比較を示す。
図10は、本開示の方法を用いて生成された標準曲線を示す。
図11は、本開示の方法と市販の方法との比較を示す。
詳細な説明
定義
本明細書で使用される用語「a」、「an」、または「the」は、1つのメンバーを有する側面を含むだけでなく、複数のメンバーを有する側面も含む。
数値を修飾するのに本明細書で使用される用語「約」は、その数値の周辺の規定された範囲を示す。「X」が数値である場合に、「約X」は0.9X~1.1Xの数値を示し、より好ましくは0.95X~1.05Xの数値を示す。「約X」のいずれの記述も、少なくとも数値X、0.95X、0.96X、0.97X、0.98X、0.99X、1.01X、1.02X、1.03X、1.04X、および1.05Xを具体的に示している。従って、「約X」は、例えば「0.98X」など、請求範囲の制限への書面による説明の裏付けを教示しかつ提供することを目的としている。
修飾語「約」が数値範囲の始まりに記載するように用いられる場合に、それはその範囲の両端に適用される。従って、「約500 nm~850 nm」は、「約500 nm~約850 nm」と同等である。数値の組の最初の数値を説明するために「約」が用いられる場合に、それはその組内の全ての数値に適用される。従って、「約580、700、または850 nm」は、「約580 nm、約700 nm、または約850 nm」と同等である。
本明細書で使用される「活性化アシル」は、-C(O)-LG基を含む。「脱離基」または「LG」は、求核性アシル置換(すなわち、-C(O)-LGのカルボニルへの求核性付加と、それに続く脱離基の除去)による置換を受け易い基である。代表的な脱離基には、ハロ、シアノ、アジド、t-ブチルカルボキシなどのカルボン酸基誘導体、およびi-BuOC(O)O-などの炭酸基誘導体が含まれる。活性化アシル基はまた、本明細書で定義される活性化エステル、またはカルボジイミドによって活性化されて(優先的には環状の)無水物または混合無水物-OC(O)Raまたは(好ましくは環状の)-OC(NRa)NHRbを形成するカルボン酸であってもよく、式中、RaおよびRbは、C1-C6アルキル、C1-C6ペルフルオロアルキル、C1-C6アルコキシ、シクロヘキシル、3-ジメチルアミノプロピル、またはN-モルホリノエチルからなる群から独立して選択されるメンバーである。好ましい活性化アシル基には、活性化エステルが含まれる。
本明細書で使用される「活性化エステル」は、エチルエステル基よりも求核性付加および脱離による置換を受け易いカルボキシル基の誘導体(例えば、NHSエステル、スルホ-NHSエステル、PAMエステル、またはハロフェニルエステル)を含む。活性化エステルの代表的なカルボニル置換基には、スクシンイミジルオキシ(-OC4H4NO2)、スルホスクシンイミジルオキシ(-OC4H3NO2SO3H)、-1-オキシベンゾトリアゾリル(-OC6H4N3);4-スルホ-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル;または、ニトロ、フルオロ、クロロ、シアノ、トリフルオロメチル、またはそれらの組合せ(例えば、ペンタフルオロフェニルオキシ、または2,3,5,6-テトラフルオロフェニルオキシ)などの電子求引性の置換基によって場合によっては1回以上置換されるアリールオキシ基が含まれる。好ましい活性化エステルには、スクシンイミジルオキシ、スルホスクシンイミジルオキシ、および2,3,5,6-テトラフルオロフェニルオキシエステルが含まれる。
「FRETパートナー」とは、クリプタートなどの供与体蛍光化合物とAlexa 647などの受容体化合物からなる一対の蛍光色素を指し、これらが互いに近接していて、かつこれらが供与体蛍光化合物の励起波長で励起されると、これらの化合物はFRET信号を放射する。2つの蛍光化合物がFRETパートナーであるためには、供与体蛍光化合物の放射スペクトルは、受容体化合物の励起スペクトルと少なくとも部分的に重なる必要があることが知られている。好ましいFRETパートナー対は、数値R0(フェルスター距離、エネルギー移動が50%の効率である距離)が100Å以下の対である。
「蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)」または「フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)」は、ランタニドクリプタートなどの供与体化合物とAlexa 647などの受容体化合物との間で、これらが互いに近接していて、かつこれらが供与体蛍光化合物の励起波長で励起される場合のエネルギー移動を説明する機序を指している。供与体化合物は、最初は電子励起状態にあり、非放射双極子-双極子結合を通して受容体蛍光色素にエネルギーを移動できる。このエネルギー移動の効率は、供与体と受容体の間の距離の6乗に反比例するため、FRETは距離の微小な変動に極端に敏感になる。
「FRET信号」は、供与体蛍光化合物と受容体化合物との間のFRETを示す、いずれかの測定可能な信号を指す。従ってFRET信号は、供与体蛍光化合物の、あるいは受容体化合物が蛍光性である場合には受容体化合物の発光強度または発光寿命の変動値である可能性がある。
本明細書で使用される用語「抗TNFα薬」または「TNFα阻害剤」は、タンパク質、抗体、抗体断片、融合タンパク質(例えば、Ig融合タンパク質またはFc融合タンパク質)、多価結合タンパク質(例えばDVD Ig)、小分子TNFα拮抗剤および類似の天然または非天然起源の分子、かつ/あるいはそれらの組換え形態および/または遺伝子操作形態を含む薬剤を包含することを意図し、これら薬剤は、TNFαに対する細胞表面受容体とのTNFαの相互作用を阻害すること、TNFαのタンパク質産生を阻害すること、TNFαの遺伝子発現を阻害すること、細胞からのTNFαの分泌を阻害すること、TNFαの受容体シグナル伝達を阻害すること、または対象でのTNFα活性の低下をもたらすその他の手段などによって、直接的または間接的にTNFα活性を阻害する。用語「抗TNFα薬」または「TNFα阻害剤」は、好ましくは、TNFα活性を妨害する薬剤を含む。TNFα阻害剤の例として、エタネルセプト(ENBRELTM、Amgen)、インフリキシマブ(REMICADETM、Johnson and Johnson)、ヒト抗TNFモノクローナル抗体であるアダリムマブ(D2E7/HUMIRATM、Abbott Laboratories)、セルトリズマブペゴル(CIMZIA(登録商標)、UCB, Inc.)、CDP 571(Celltech)、およびCDP 870(Celltech)、ならびにTNFα活性を阻害するその他の化合物が挙げられ、それによりTNFα活性が損なわれている障害(例えばRA)に罹患している、または罹患するリスクがある対象に投与された場合に、その障害は治療される。
用語「抗薬物抗体」は、抗TNFα薬またはTNFα阻害剤の抗体を指す。例としては、エタネルセプト(ENBRELTM、Amgen)、インフリキシマブ(REMICADETM、Johnson and Johnson)、ヒト抗TNFモノクローナル抗体であるアダリムマブ(D2E7/HUMIRATM、Abbott Laboratories)、セルトリズマブペゴル(CIMZIA(登録商標)、UCB, Inc.)、CDP 571(Celltech)、およびCDP 870(Celltech)などのTNFα阻害剤に対する抗体が挙げられる。殆どの場合に、抗TNFα薬はそれ自体が抗体である。従って、「抗薬物抗体」は抗体の抗体である。抗インフリキシマブ抗体のBio-Rad製品コードには、HCA214、HCA215、HCA216、およびHCA216Pが含まれる。
特定の実施態様では、「TNFα」は「抗原」であり、これは、抗TNFα抗体によって結合できる分子または分子の一部である。特定の例では、TNFαは非常に選択的な方法で抗TNFα抗体と反応する。特定の例では、TNFαは、抗TNFα抗体、その断片、およびその領域に結合できるTNFαのエピトープを保持するのに十分な長さである。
I.実施態様
抗TNFα生物製剤ならびに他の免疫療法薬の血清濃度を測定する重要性は、FDAが臨床試験中に薬物動態および耐容性(免疫応答など)の検討を実行することを要求しているという事実により示されている。本開示では、これらの薬物を投与される患者が適切な用量を摂取していること、薬物の身体からの排除が早すぎないこと、および患者が薬物に対して免疫応答を発現していないことを確認するように監視して、その有用性を見出すことになる。さらに本開示は、最初の薬物使用の失敗により複数の異なる薬物の間で転換することを誘導するのに有用である。
一実施態様では、本開示は、試料中の抗TNFα薬の存在または量を検出するアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料を第1の蛍光色素で標識されたTNFαと接触させること、
試料を第2の蛍光色素で標識された抗薬物抗体またはFab断片と接触させること、
二重に標識された抗TNFα薬を得るのに十分な時間で試料を培養すること、および
光源を用いて二重に標識された抗TNFα薬を有する試料を励起して、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光放射信号を検出することを含む。
別の実施態様では、本開示は、試料中の抗TNFα薬の存在または量を検出するアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料を第1の蛍光色素を含むTNFαと接触させること、
試料を第2の蛍光色素で標識された抗薬物Fab断片と接触させること、
二重に標識された抗TNFα薬を得るのに十分な時間で試料を培養すること、および
光源を用いて二重に標識された抗TNFα薬を有する試料を励起して、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光放射信号を検出することを含む。
さらに別の側面では、本開示は、試料中の抗TNFα薬の存在または量を検出するアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料を、第1の蛍光色素で標識された抗TNFα薬と第2の蛍光色素で標識された単離されたTNFαを含み、光源を用いて励起されると蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光放射信号を放射するTNFαを含む複合体と接触させること、
試料中の抗TNFα薬が第1の蛍光色素で標識された抗TNFα薬への結合に関して競合するのに十分な時間で試料を複合体とともに培養すること、および
光源を用いて試料を励起して、FRETに関連する蛍光放射信号を検出することを含み、ここで複合体が初期に放射する蛍光放射信号に対比して蛍光放射信号の不在または蛍光放射信号の減少は、試料中の抗TNFα薬の存在または量を示す。
前述の実施態様では、試料中の抗TNFα薬は、第1の蛍光色素で標識された抗TNFα薬と競合する。複合体が初期に放射する蛍光放射信号に対比して蛍光放射信号の減少が大きいほど、試料中の抗TNFα薬の量が多いことを示す。
特定の例では、これらの方法は、例えばこのような抗TNFα薬療法を受けている対象からの試料中のREMICADETM(インフリキシマブ)、INFLECTRA(インフリキシマブ-ダイブ)、RENFLEXIS(インフリキシマブ-アブダ)、FLIXABI(インフリキシマブバイオ後続品)、REMSIMA(インフリキシマブバイオ後続品)、ENBRELTM(エタネルセプト)、HUMIRATM(アダリムマブ)、AMJEVITA(アダリムマブ-アト)、IMRALDI(アダリムマブバイオ後続品)、CYLTEZO(アダリムマブバイオ後続品)、HYRIMOZ(アダリムマブバイオ後続品)、HULIO(アダリムマブバイオ後続品)、CIMZIA(登録商標)(セルトリズマブペゴル)、およびそれらの組合せなどの生物製剤の存在、水準、または濃度を測定または監視するのに有用である。
特定の側面では、FRETアッセイは、時間分解FRETアッセイである。蛍光放射信号または測定されたFRET信号は、検討された生物学的現象と直接的に相関する。実際に供与体化合物と受容体蛍光化合物との間のエネルギー移動の水準は、これらの化合物間の距離の6乗の逆数に比例する。当業者が一般的に使用する供与体/受容体対の場合には、(50%の移動効率に対応する)距離Roは、1、5、10、20、または30 nmの位数である。
特定の側面では、試料は生体試料である。適切な生体試料には、限定はされないが、全血、血漿、血清、血球、細胞試料、尿、脊髄液、汗、涙液、唾液、皮膚、粘膜、および毛が含まれる。試料としては、全血、血漿、血清、血球などが好ましく、全血、血球などが特に好ましい。全血には、血漿と混合された全血由来の血球画分の試料が含まれる。これらの試料については、溶血、分離、希釈、濃縮、精製などの前処理を施した試料を使用してもよい。一側面では、生体試料は、全血または血清試料である。
特定の側面では、第1の蛍光色素は供与体であり、第2の蛍光色素は受容体である。
特定の側面では、第1の蛍光色素は受容体であり、第2の蛍光色素は供与体である。
特定の側面では、FRETエネルギー供与体化合物は、ランタニドクリプタートなどのクリプタートである。
特定の側面では、図1Aに示すように、抗TNFα薬のFRETアッセイ方式は、FRET抗-抗体架橋アッセイである。このアッセイは、供与体蛍光色素などの第1の蛍光色素で標識されたTNFαと試料を接触させることを含む。この試料をまた、受容体蛍光色素などの第2の蛍光色素で標識された抗薬物抗体またはFab断片とも接触させる。これらの接触工程は、同時にまたは順番に実施してもよい。試料を、二重に標識された抗TNFα薬を得るのに十分な時間で培養する。次に光源を用いて試料を励起して、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光放射信号を検出する。FRET信号の増大は、抗TNFα薬の濃度の増大を示す。
特定の側面では、図1Bに示すように、例えばアダリムマブ(DRUG、抗TNFα薬など)のFRETアッセイ方式は、増幅サンドイッチTR-FRETアッセイである。供与体蛍光色素で標識されたTNFαは、抗TNFα薬(アダリムマブなど)に結合する。受容体蛍光色素を含む抗アダリムマブFabは、TNFαもまた結合している場合に、好ましくはアダリムマブFab領域に結合する。一側面では、受容体蛍光色素を含む抗アダリムマブFabは、TNFαもまた結合している場合にのみ、アダリムマブFab領域に結合する。各検体(抗TNFα薬、アダリムマブなど)には2つのFab領域が含まれているので、TNFα供与体と抗アダリムマブFab受容体の複数の結合が可能になり、検体ごとに2倍の可能なFRET信号を得ることができる。この側面では、1つ以上のTNFα標識供与体が結合でき、1つ以上の抗Fab受容体が結合できる。
さらに図1Bのように、検体(抗TNFα薬、例えばアダリムマブ)表面の各Fab領域は、近接してTNFα供与体と抗アダリムマブFab受容体を含むことができ、「増幅した」または増大したFRET信号を生成するエネルギー移動を可能にする。FRET信号の増大は、抗TNFα薬の濃度の増大を示す。
特定の側面では、クリプタートは、約300 nm~約400 nmの吸収波長を有する。特定の側面では、図4に示すように、クリプタート色素は、約490 nm、約545 nm、約580 nm、および約620 nmに4つの蛍光放射ピークを有する。従って供与体として、クリプタートは、TR-FRET試験を実行するためには、フルオレセイン様(緑色域)分子、Cy5、DY-647様(赤色域)受容体、アロフィコシアニン(APC)、またはフィコエルイトリン(PE)と互換性がある。
実施態様の特定の側面では、閃光励起と受容体放射波長での蛍光測定との間に時間遅延を導入することにより、長寿命の蛍光と短寿命の蛍光を区別して、信号対雑音比を増大できる。
実施態様の特定の側面では、検出装置は、供与体およびFRET受容体放射の両方からの時間分解(TR)蛍光信号を検出する。時間分解(TR)FRETは、試料から生じる短命の蛍光信号を除去して、信号対雑音比を改善する技術である。供与体蛍光色素は、光のパルスを用いて励起される。供与体シグナルと受容体シグナルの両方からの放射を、励起パルスの終了から時間遅延した後に読み取る。非特異的光源からのバックグラウンド蛍光が供与体からの放射光よりも急速に減衰するので雑音は減少し、非特異的蛍光が過ぎ去った後に長く受容体シグナルを読み取ることができる。
実施態様の特定の側面では、アッセイには、クリプタート内に結合したテルビウムからなる供与体蛍光色素を使用する。テルビウムクリプタートは、365 nmのUV LEDで励起できる。テルビウムクリプタートは、可視領域内で4つの波長で放射する。一側面のアッセイでは、アッセイ内での供与体シグナルとして、620 nmの最小供与体放射エネルギーピークを使用する。特定の側面では、受容体蛍光色素は、非常に近接している場合に、490 nmの最大エネルギーのテルビウムクリプタートの放射ピークによって励起されて、520 nmで発光を引き起こす。620 nmと520 nmの両方の放射波長を、装置または機器内で独立して測定して、結果はRFU比620/520として報告できる。
特定の例では、これらの方法は、限定はされないが、ヒト抗キメラ抗体(HACA)、ヒト抗ヒト化抗体(HAHA)、およびヒト抗マウス抗体(HAMA)を含む、例えば抗TNFα薬療法を受けている対象からの試料中の自己抗体の濃度を測定するのに有用である。自己抗体は、非中和抗体または中和自己抗体であってもよい。
従って本開示は、試料中の抗TNFα薬自己抗体(自己抗体)の存在または量を検出するアッセイ方法を提供し、この方法は、
試料を供与体蛍光色素を含む第1の標識された抗TNFα薬またはFab断片と接触させること、
試料を受容体蛍光色素を含む第2の標識された抗TNFα薬またはFab断片と接触させること、
供与体蛍光色素を含む第1の標識された抗TNFα薬、受容体蛍光色素を含む第2の標識された抗TNFα薬またはFab断片、および自己抗体の三元複合体を生成するのに十分な時間で試料を培養すること、および
光源を用いて三元複合体を有する試料を励起して、供与体蛍光色素が励起された際に蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光放射信号を検出することを含む。
1.FRET供与体としてのクリプタート
特定の側面では、Cisbio bioassaysによって市販されているLumiphoreからのテルビウムクリプタート分子「Lumi4-Tb」を、クリプタート供与体として使用する。以下の式を有するテルビウムクリプタート「Lumi4-Tb」は、反応性基、この場合には、例えばNHSエステルによって抗体に結合できる。
Figure 2022540764000002
活性化エステル(NHSエステル)は、抗体表面の第一級アミンと反応して、安定なアミド結合を形成する。クリプタート表面のマレイミドと抗体表面のチオールは、共に反応してチオエーテルを生成できる。ハロゲン化アルキルは、アミンおよびチオールと反応して、それぞれアルキルアミンおよびチオエーテルを生成する。抗体に結合できる反応性部分を提供する任意の誘導体を本明細書では利用できる。
他の特定の側面では、「大環状化合物」と題された国際特許公開WO 2015157057号に開示されたクリプタートが、本開示での使用に適している。この公開特許には、生体分子の標識に有用なクリプタート分子が含まれる。その明細書内に開示のように、特定のクリプタートは以下のような構造を有する。
Figure 2022540764000003
他の特定の側面では、本開示に有用なテルビウムクリプタートは以下に示される。
Figure 2022540764000004
特定の側面では、本発明で有用なクリプタートは、2018年7月19日付けの国際特許公開WO 2018/130988号に開示されている。この出願に開示されるように、式Iの化合物は、本開示ではFRET供与体として有用である。
Figure 2022540764000005
式中、点線部分が存在する場合に、RおよびR1はそれぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、場合によっては1個以上のハロゲン原子で置換されたアルキル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アミド、スルホナト、アルコキシカルボニルアルキル、またはアルキルカルボニルアルコキシからなる群から独立して選択されるか、あるいは点線部分が存在しない場合に、RとR1は結合して、場合によっては置換されたシクロプロピル基を形成する;
R2およびR3はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、SO3H、-SO2-Xからなる基から選択されるメンバーであり、Xはハロゲン、場合によっては置換アルキル、場合によっては置換アリール、場合によっては置換アルケニル、場合によっては置換アルキニル、場合によっては置換シクロアルキル、または生体分子に結合できる活性化基であり、この活性化基は、ハロゲン、活性化エステル、活性化アシル、場合によっては置換アルキルスルホン酸エステル、場合によっては置換アリールスルホン酸エステル、アミノ、ホルミル、グリシジル、ハロ、ハロアセトアミジル、ハロアルキル、ヒドラジニル、イミドエステル、イソシアナト、イソチオシアナト、マレイミジル、メルカプト、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アミド、スルホナト、アルコキシカルボニルアルキル、環状無水物、アルコキシアルキル、水溶化基、またはLからなる基から選択されるメンバーである;
R4はそれぞれ独立して、水素、C1-C6アルキルであるか、あるいはR4基のうちの3個が存在せず、得られる酸化物はキレート化されてランタニドカチオンになる;かつ
Q1~Q4はそれぞれ独立して、炭素または窒素の群から選択されるメンバーである。
2.FRET受容体
FRET信号を検出するためには、FRET受容体が必要である。このFRET受容体は、FRET供与体の放射波長に重なる励起波長を有する。受容体のFRET信号は、既知の量の検量用試料、すなわち標準曲線から内挿される患者の血液試料などの試料に存在する検体の濃度水準に比例する。
使用できる受容体分子には、限定はされないが、フルオレセイン様(緑色域)受容体、Cy5、DY-647、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 546、アロフィコシアニン(APC)、フィコエルイスリン(PE)、Alexa Fluor 647が含まれる。NHSエステルなどの反応性部分を有する供与体蛍光色素および受容体蛍光色素は、抗体表面の第一級アミンを用いて結合できる。
他の受容体として、限定はされないが、シアニン誘導体、D2、CY5、フルオレセイン、クマリン、ローダミン、カルボピロニン、オキサジンおよびその類似体、Alexa Fluor蛍光色素、クリスタルバイオレット、ペリレンビスイミド蛍光色素、スクアライン蛍光色素、ホウ素ジピロメテン誘導体、NBD(ニトロベンゾオキサジアゾール)およびその誘導体、DABCYL(4-((4-(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安息香酸)が挙げられる。
一側面では、蛍光は、波長、強度、寿命、偏光、またはそれらの組合せによって特徴付けできる。
3.抗体
特定の側面では、供与体または受容体の活性化エステル(NHSエステル)は、抗体表面の一級アミンと反応して、安定なアミド結合を形成できる。例えば、クリプタートまたは受容体(例えばAlexa 647)表面のマレイミドと抗体表面のチオールは、共に反応してチオエーテルを形成できる。ハロゲン化アルキルは、アミンおよびチオールと反応して、それぞれアルキルアミンおよびチオエーテルを生成する。本発明では抗体に結合できる反応性部分を提供する任意の誘導体を利用して、検体に特異的な供与体蛍光色素で標識された第1の抗体、ならびに検体に特異的な受容体蛍光色素で標識された第2の抗体を生成できる。
本発明の方法では、組織試料、血液、生検、血清、血漿、唾液、尿、または糞便の各試料を含む種々の試料を使用できる。
4.抗体の生成
まだ市販されていない抗体の生成および選択は、いくつかの方法で達成できる。例えば1つの方法は、当技術分野で既知のタンパク質発現および精製方法を用いて目的のポリペプチド(すなわち抗原)を発現かつ/あるいは精製することであり、別の方法は、当技術分野で既知の固相ペプチドを用いて目的のポリペプチドを合成することである。例えば、「タンパク質生成への手引き」Guide to Protein Purification, Murray P. Deutcher, ed., Meth. Enzymol., Vol. 182 (1990);「固相ペプチドの合成」Solid Phase Peptide Synthesis, Greg B. Fields, ed., Meth. Enzymol., Vol. 289 (1997);Kiso et al., Chem. Pharm. Bull., 38:1192-99 (1990);Mostafavi et al., Biomed. Pept. Proteins Nucleic Acids, 1:255-60, (1995);およびFujiwara et al., Chem. Pharm. Bull., 44:1326-31 (1996)を参照。次に精製または合成されたポリペプチドを、例えばマウスまたはウサギに注射して、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を生成できる。当業者なら、抗体の生成のために、例えば、「抗体、実験室マニュアル」Antibodies, A Laboratory Manual, Harlow and Lane, Eds., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y. (1988)に説明のような多くの手法が利用可能であることが分かっている。さらに当業者なら、抗体を模倣する結合断片またはFab断片をまた、様々な手法によって遺伝情報から調製できることが分かっている(例えば、「抗体操作:実用手法」Antibody Engineering: A Practical Approach, Borrebaeck, Ed., Oxford University Press, Oxford (1995);およびHuse et al., J. Immunol., 149:3914-3920 (1992)を参照)。
さらに多くの刊行物が、選択された標的抗原に結合するポリペプチドのライブラリーを生成・選別するためのファージ表示技術の使用を報告している(例えば、Cwirla et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6378-6382 (1990);Devlin et al., Science, 249:404-406 (1990);Scott et al., Science, 249:386-388 (1990);およびLadner et al., U.S. Patent No. 5,571,698を参照)。ファージ表示法の基本的な着想は、ファージDNAによってコードされるポリペプチドと標的抗原との間の物理的な会合を確立することにある。この物理的な会合は、ポリペプチドをコードするファージゲノムを包囲するキャプシドの一部としてポリペプチドを表示するファージ粒子によって提供される。ポリペプチドとそれらの遺伝物質との間の物理的な会合を確立することで、異なるポリペプチドを有する非常に多数のファージを同時にまとめて選別することができる。標的抗原に親和性を有するポリペプチドを表示するファージは、標的抗原に結合し、これらのファージは、標的抗原への親和性の選別によって濃縮される。これらのファージから表示されるポリペプチドの同一性は、それらファージのそれぞれのゲノムから決定できる。次いでこれらの方法を用いて、所望の標的抗原に対して結合親和性を有すると特定されたポリペプチドを、従来からの手段によって大量に合成できる(例えば、米国特許第6,057,098号を参照)。
次にこれらの方法によって生成される抗体は、まず目的の精製ポリペプチド抗原との親和性および特異性に対して選別して、かつ必要に応じて、抗体の親和性および特異性に対する結果を、結合から除外することが望ましい他のポリペプチド抗原と比較して選択できる。選別の手順は、マイクロタイタープレートの別々のウェルへの精製されたポリペプチド抗原の固定を含んでもよい。次に可能性のある抗体または抗体群を含む溶液を、それぞれのマイクロタイターウェルに入れて約30分~2時間培養する。次いでマイクロタイターウェルを洗浄して、標識された二次抗体(例えば、生育された抗体がマウス抗体である場合には、アルカリ性の脱リン酸酵素に結合した抗マウス抗体)をウェルに加え、約30分間培養しその後に洗浄する。基質をウェルに加えると、固定されたポリペプチド抗原に対する抗体が存在する位置で発色反応が出現する。
次にそのように特定された抗体は、親和性および特異性についてさらに分析されてもよい。標的タンパク質(糖化ヘモグロビン)の免疫アッセイの開発において、精製された標的タンパク質は、選択された抗体を用いて免疫アッセイの感度と特異性を判断するための基準として機能する。種々の抗体の結合親和性は異なる可能性があるために、例えば特定の抗体の組合せは立体的に互いに干渉する可能性があるために、抗体のアッセイ効率は、その抗体の絶対的な親和性および特異性よりも重要な尺度となる可能性がある。
当業者なら、抗体または結合断片を生成する際に、かつ目的の種々のポリペプチドに対する親和性および特異性を選別・選択する際に多くの手法を採用することができるが、これらの手法により本発明の適用範囲は変わらないことを分かっている。
A.ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体は、好ましくは、目的のポリペプチドおよび補助剤の複数回の皮下(sc)または腹腔内(ip)注射によって動物内で生育される。この抗体は、二官能性剤または誘導体化剤を用いて、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリン、または大豆トリプシン阻害剤などの免疫される種で免疫原性があるタンパク質担体に目的のポリペプチドを結合させるのに有用である可能性がある。二官能性剤または誘導体化剤の非限定的な例として、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介する結合)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介する結合)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2、およびR1N=C=NR(式中、RとR1は異なるアルキル基)が挙げられる。
動物を、例えば、100 μg(ウサギの場合)または5 μg(マウスの場合)の抗原または複合体を3倍容量のフロイント完全補助剤と組み合わせて、その溶液を複数の部位で皮内注射することにより、目的のポリペプチドまたはその免疫原性複合体またはその誘導体に対して免疫化する。1か月後に、これら動物を、複数の部位に皮下注射して、フロイント不完全補助剤中の初期量のポリペプチドまたは複合体の約1/5~1/10で追加免疫化する。7~14日後に、これら動物から採血して血清の抗体価を評価する。動物は通常、力価が平衡になるまで追加免疫される。好ましくは、動物は同一のポリペプチドの複合体で追加免疫されるが、異なる免疫原性タンパク質への結合および/または異なる架橋試薬による結合を用いてもよい。複合体は、組換え細胞培養内で融合タンパク質として生成してもよい。特定の例では、ミョウバンなどの凝集剤を用いて免疫応答を増強できる。
B.モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、一般に実質的に均質な抗体の集団から得られ、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、可能性がある少量で存在する天然起源の変異を除いて同一である。従って修飾語「モノクローナル」は、別個の抗体の混合物ではないという抗体の特徴を示している。例えば、モノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature, 256:495 (1975)によって説明のハイブリドーマ法を用いて、または当技術分野では既知の任意の組換えDNA法(例えば米国特許第4,816,567号を参照)によって生成できる。
ハイブリドーマ法では、マウスまたはその他の適切な宿主動物(例えばハムスター)を上述のように免疫化して、免疫化に使用される目的のポリペプチドに特異的に結合する抗体を産生する、または産生が可能なリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球は生体外で免疫化される。次に免疫化されたリンパ球は、ポリエチレングリコールなどの適切な融合剤を用いて骨髄腫細胞と融合されて、ハイブリドーマ細胞を形成する(例えば、Goding,「モノクローナル抗体:原理および実際」Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, pp. 59-103 (1986)を参照)。このように調製されたハイブリドーマ細胞は、好ましくは、未融合の親骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する1つ以上の物質を含む適切な培養培地内に播種かつ増殖される。例えば、親骨髄腫細胞がヒポキサンチングアニンホスホリボシル基転移酵素(HGPRT)を欠いている場合には、ハイブリドーマ細胞の培養培地には、典型的には、HGPRT欠損細胞の増殖を阻害するヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(HAT培地)が含まれる。
好ましい骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高水準の産生を支援し、かつ/あるいはHAT培地などの培地に感受性がある細胞である。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのそのような好ましい骨髄腫細胞株の例として、限定はされないが、(ソーク研究所細胞流通センター;San Diego, CAから入手可能な)MOPC-21およびMPC-11マウス腫瘍に由来する株などのマウス骨髄腫株、(米国培養細胞系統保存機関;Rockville, MDから入手可能な)SP-2またはX63-Ag8-653細胞、およびヒト骨髄腫またはマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が挙げられる(例えば、Kozbor, J. Immunol., 133:3001 (1984);およびBrodeur et al.,「モノクロナール抗体産生技術および応用」Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, pp. 51-63 (1987)を参照)
ハイブリドーマ細胞が増殖中の培養培地は、目的のポリペプチドに対して誘導されるモノクローナル抗体の産生を評価できる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって、あるいは放射免疫アッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸収アッセイ(ELISA)などの生体外結合アッセイによって決定される。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson et al., Anal. Biochem., 107:220 (1980)のスキャチャード解析を用いて決定できる。
所望の特異性、親和性、および/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が特定された後に、クローンは、限界希釈手法によってサブクローン化され、標準的な方法によって増殖されてもよい(例えば、Goding,「モノクローナル抗体:原理および実際」Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, pp. 59-103 (1986)を参照)。この目的に適する培養培地には、例えば、D-MEM培地またはRPMI-1640培地が含まれる。さらにハイブリドーマ細胞は、動物内の腹水腫瘍として生体内で増殖されてもよい。サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、例えばプロテインA-セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーなどの従来からの抗体精製手法によって、培養培地、腹水液、または血清から分離できる。
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来からの手法を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを用いて)容易に単離かつ配列決定できる。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として機能する。単離されると、DNAは発現ベクター内に配置され、その後に別の方法では抗体を産生しない大腸菌細胞、シミアンCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞中に遺伝子導入され、組換え宿主細胞中でのモノクローナル抗体の合成を誘導する。例えば、Skerra et al., Curr. Opin. Immunol., 5:256-262 (1993);およびPluckthun, Immunol Rev., 130:151-188 (1992)を参照。さらにDNAを、例えば相同マウス配列に代えてヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列を置換して修飾でき(例えば、米国特許第4,816,567号;およびMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851 (1984)を参照)、または非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全部または一部を免疫グロブリンコード配列に共有結合して修飾できる。
さらなる実施態様では、モノクローナル抗体または抗体断片は、例えば、McCafferty et al., Nature, 348:552-554 (1990);Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991);およびMarks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991)に説明された技術を用いて生成された抗体ファージライブラリーから単離されてもよい。鎖シャッフルによる高親和性(nM範囲)ヒトモノクローナル抗体の産生は、Marks et al., BioTechnology, 10:779-783 (1992)に説明されている。巨大なファージライブラリーを構築する手法としてのコンビナトリアル感染および生体内組換えの使用は、Waterhouse et al., Nuc. Acids Res., 21:2265-2266 (1993)に説明されている。従ってこれらの技術は、モノクローナル抗体を生成するための伝統的なモノクローナル抗体ハイブリドーマ法の実行可能な代替手段である。
ヒト抗体
ヒト化への選択肢として、ヒト抗体を生成してもよい。実施態様によっては、免疫化時に内因性免疫グロブリン産生の不在下でヒト抗体の全レパートリーを生成可能な遺伝子組換え動物(例えばマウス)を産出できる。例えば、キメラマウスおよび生殖系列変異マウス中の抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合性欠失により、内因性抗体産生の完全な阻害がもたらされることが説明されている。そのような生殖系列変異マウスでのヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子列の移入により、抗原負荷時にヒト抗体の産生をもたらす。例えば、Jakobovits et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551 (1993);Jakobovits et al., Nature, 362:255-258 (1993);Bruggermann et al., Year in Immun., 7:33 (1993);ならびに米国特許第5,591,669号、第5,589,369号、および第5,545,807号を参照。
あるいは、ファージ表示技術(例えば、McCafferty et al., Nature, 348:552-553 (1990)を参照)を用いて生体外でヒト抗体および抗体断片を生成でき、この生成には、免疫化されていない供与体からの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーを用いる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子は、M13やfdなどの繊維状バクテリオファージのメジャーコートタンパク質遺伝子またはマイナーコートタンパク質遺伝子のいずれかにインフレームでクローン化され、ファージ粒子の表面に機能的な抗体断片として表示される。糸状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むために、抗体の機能特性に基づく選択は、それらの特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択にも繋がる。従って、ファージはB細胞の特性のいくつかを模倣する。ファージ表示は、例えば、Johnson et al., Curr. Opin. Struct. Biol., 3:564-571 (1993)に説明の各種の方式で実施できる。V遺伝子区画のいくつかの供給源をファージ表示に使用できる。例えば、Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991)を参照。免疫されていないヒト供与体からのV遺伝子のレパートリーを構築でき、かつMarks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991);Griffith et al., EMBO J., 12:725-734 (1993);ならびに米国特許第5,565,332号および第5,573,905号に説明の技術に従って、(自己抗原を含む)抗原の多様な配列に対する抗体を本質的に分離できる。
特定の例では、ヒト抗体は、例えば米国特許第5,567,610号および第5,229,275号に説明のように、生体外で活性化されたB細胞によって生成できる。
C.抗体断片
抗体断片の生成のために種々の技術が開発されてきた。伝統的にこれらの断片は、無処理の抗体のタンパク質分解消化により誘導された(例えば、Morimoto et al., J. Biochem. Biophys. Meth., 24:107-117 (1992);およびBrennan et al., Science, 229:81 (1985)を参照)。但しこれらの断片は、現在では組換え宿主細胞を用いて直接生成できるようになった。例えば、抗体断片は、上述の抗体ファージライブラリーから単離できる。あるいは、Fab’-SH断片を大腸菌細胞から直接回収しかつ化学的に結合して、F(ab’)2断片を形成することもできる(例えば、Carter et al., BioTechnology, 10:163-167 (1992)を参照)。別の手法によれば、F(ab’)2断片は組換え宿主細胞培養物から直接単離できる。抗体断片を生成するための他の技術は、当業者には明白である。他の実施態様では、選択される抗体は、単鎖Fv断片(scFv)である。例えば、国際特許公開WO 93/16185号;ならびに米国特許第5,571,894号および第5,587,458号を参照。抗体断片はまた、例えば米国特許第5,641,870号に説明の鎖状抗体であってもよい。そのような鎖状抗体断片は、単一特異性または二重特異性であってもよい。
D.二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2個の異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗体である。代表的な二重特異性抗体は、同一の目的ポリペプチドの2個の異なるエピトープに結合してもよい。他の二重特異性抗体は、目的ポリペプチドの結合部位を、1個以上の追加の抗原の結合部位と組み合わせてもよい。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片(例えばF(ab’)2二重特異性抗体)として調製できる。
二重特異性抗体を生成するための方法は、当技術分野では知られている。全長二重特異性抗体の従来からの産生法は、2個の免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づき、この場合2個の鎖は異なる特異性を有する(例えば、Millstein et al., Nature, 305:537-539 (1983)を参照)。免疫グロブリン重鎖と軽鎖の無作為な組合せのために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10個の異なる抗体分子の可能性のある混合物を生成し、そのうちの1個だけが正確な二重特異性構造を有している。正確な分子の精製は通常、アフィニティークロマトグラフィーによって実施される。類似の手法は、国際特許公開WO 93/08829号およびTraunecker et al., EMBO J., 10:3655-3659 (1991)に開示されている。
別の手法によれば、所望の結合特異性(抗体-抗原結合部位)を備える抗体可変ドメインは、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合される。この融合は、好ましくは、ヒンジ、CH2、およびCH3の各領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとの融合である。融合物の少なくとも1つに存在する軽鎖結合に必要な部位を含む第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物、および必要に応じて免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAは、別々の発現ベクター内に挿入され、適切な宿主生物内に同時に遺伝子導入される。これは、構築に用いられる3個のポリペプチド鎖の不均等な比率により最適な収量を提供する場合に、実施態様では3個のポリペプチド断片の相互比率を調整する際に高い柔軟性を提供する。しかしながら、等しい比率での少なくとも2個のポリペプチド鎖の発現が高収量をもたらす場合に、または比率が特に重要ではない場合に、2個または3個全てのポリペプチド鎖のコード配列を1個の発現ベクター内に挿入することが可能である。
この手法の好ましい実施態様では、二重特異性抗体は、一方の腕部の第1の結合特異性を有する混成免疫グロブリン重鎖、および他方の腕部の(第2の結合特異性を提供する)混成免疫グロブリン重鎖-軽鎖対から構成される。この非対称構造により、二重特異性分子の半分にのみに免疫グロブリン軽鎖が存在することは容易な分離法を提供するので、不必要な免疫グロブリン鎖の組合せからの所望の二重特異性化合物の分離を容易する。例えば、国際特許公開WO 94/04690号およびSuresh et al., Meth. Enzymol., 121:210 (1986)を参照。
米国特許第5,731,168号に説明の別の手法に従って、抗体分子対の間の界面は、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体の百分率を最大化するように操作できる。好ましい界面は、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の界面からの1個以上の小さなアミノ酸側鎖は、より大きな側鎖(例えばチロシンまたはトリプトファン)で置換される。大きなアミノ酸側鎖をより小さな側鎖(例えばアラニンまたはスレオニン)で置換することにより、大きな側鎖と同一または類似のサイズの補完性の「空孔」が、第2の抗体分子の界面に形成される。これにより、ホモ二量体などの他の不必要な最終生成物よりもヘテロ二量体の収量を増大するための機序が提供される。
二重特異性抗体には、架橋抗体または「ヘテロ結合」抗体が含まれる。例えば、ヘテロ結合での抗体の一方はアビジンに結合でき、他方はビオチンに結合できる。ヘテロ結合抗体は、任意の好都合な架橋法を用いて形成できる。適切な架橋剤および技術は当技術分野では周知であり、例えば米国特許第4,676,980号に開示されている。
抗体断片から二重特異性抗体を生成するための適切な技術もまた、当技術分野では知られている。例えば二重特異性抗体は、化学結合を用いて調製できる。特定の例では、二重特異性抗体を、未処理の抗体がタンパク質分解的に切断されてF(ab’)2断片を生成する手順によって生成できる(例えば、Brennan et al., Science, 229:81 (1985)を参照)。これらの断片は、ジチオール錯化剤である亜ヒ酸ナトリウムの存在で還元され、隣接するジチオールを安定化し、かつ分子間ジスルフィド形成を防止する。生成されたFab’の断片は、チオニトロ安息香酸(TNB)誘導体に変換される。次にFab’-TNB誘導体のうちの1つは、メルカプトエチルアミンでの還元によりFab’-チオールに再変換され、等モル量の他のFab’-TNB誘導体と混合されて二重特異性抗体を形成する。
実施態様によっては、Fab’-SH断片は、大腸菌から直接回収され、かつ化学的に結合されて二重特異性抗体を形成できる。例えば、完全にヒト化された二重特異性抗体であるF(ab’)2分子は、Shalaby et al., J. Exp. Med., 175: 217-225 (1992)に説明の方法によって生成できる。各Fab’断片は大腸菌から別々に分泌され、かつ生体外で定方向の化学結合を受けて二重特異性抗体を形成した。
さらに組換え細胞培養物から直接的に二重特異性抗体断片を形成かつ単離するための種々の技術が説明されている。例えば、二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを用いて産生されている。例えば、Kostelny et al., J. Immunol., 148:1547-1553 (1992)を参照。FosおよびJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融合によって2個の異なる抗体のFab’部分に連結された。抗体ホモ二量体を、ヒンジ領域で還元して単量体を形成し、次に再酸化して抗体ヘテロ二量体を形成した。この方法は、抗体ホモ二量体の生成にも利用できる。Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)によって説明される「二重特異性抗体(diabody)」技術は、二重特異性抗体断片を生成する別の機序を提供している。これらの断片は、リンカーによって軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含み、このリンカーは、同一の鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎる。従って、1つの断片のVHドメインおよびVLドメインは、別の断片の相補的なVLおよびVHドメインと対になるように強制され、それによって2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)二量体を用いることによる二重特異性抗体断片を生成する別の手法は、Gruber et al., J. Immunol., 152:5368 (1994)に説明されている。
2以上の価数を備える抗体もまた想定される。例えば、三重特異性抗体を調製できる。例えば、Tutt et al., J. Immunol., 147:60 (1991)を参照。
E.抗体の精製
組換え技術を用いる場合には、抗体は、単離された宿主細胞内で、宿主細胞のペリプラズム空間で産生されてもよく、または宿主細胞から培地中に直接分泌されてもよい。抗体が細胞内で産生される場合には、粒子状の破片をまず、例えば遠心分離または限外濾過によって除去する。Carter et al., BioTech., 10:163-167 (1992)は、大腸菌のペリプラズム空間内に分泌される抗体を単離する手順を説明している。簡単に説明すると、細胞ペーストを酢酸ナトリウム(pH 3.5)、EDTA、およびフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)の存在下で約30分間解凍する。細胞の破片は、遠心分離によって除去できる。抗体が培地中に分泌される場合には、このような発現系からの上清を、一般に、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、Amicon またはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを用いて濃縮する。PMSFなどのタンパク質分解酵素阻害剤を、タンパク質分解を阻害するための前述の工程のいずれかに含んでもよく、偶発的な汚染物質の増殖を抑止するように、抗生物質を含んでもよい。
細胞から調製された抗体組成物は、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、およびアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製できる。アフィニティーリガンドとしてのプロテインAの適合性は、抗体内に存在するいずれかの免疫グロブリンFcドメインの種とアイソタイプに依存する。プロテインAを用いて、ヒトγ1、γ2、またはγ4重鎖に基づく抗体を精製できる(例えば、Lindmark et al., J. Immunol. Meth., 62:1-13 (1983)を参照)。プロテインGは、マウスの全てのアイソタイプおよびヒトγ3に対して推奨される(例えば、Guss et al., EMBO J., 5:1567-1575 (1986)を参照)。アフィニティーリガンドが結合している基質は、殆どの場合アガロースであるが、その他の基質も利用可能である。制御された細孔ガラスやポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの力学的に安定な基質は、アガロースで達成できるよりも速い流速および短い処理時間を可能にする。抗体がCH3ドメインを含む場合には、Bakerbond ABXTM樹脂(J. T. Baker; Phillipsburg, N.J.)が精製に有用である。イオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSETMでのクロマトグラフィー、陰イオンまたは陽イオン交換樹脂(ポリアスパラギン酸カラムなど)でのクロマトグラフィー、等電点電気泳動、SDS-PAGE、および硫酸アンモニウム沈殿などのタンパク質精製でのその他の手法もまた、回収する抗体に応じて利用可能である。
いずれかの予備精製工程に続いて、目的の抗体および汚染物質を含む混合物を、pHが約2.5~4.5の溶出緩衝液を用いる、好ましくは低い塩濃度(例えば約0~0.25 Mの塩)で実施する低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに供してもよい。
特定の側面では、これらの方法は、例えば、REMICADE(商標)(インフリキシマブ)、INFLECTRA(インフリキシマブ-ダイブ)、RENFLEXIS(インフリキシマブ-アブダ)、FLIXABI(インフリキシマブバイオ後続品)、REMSIMA(インフリキシマブバイオ後続品)、ENBRELTM(エタネルセプト)、HUMIRATM(アダリムマブ)、AMJEVITA(アダリムマブ-アト)、IMRALDI(アダリムマブバイオ後続品)、CYLTEZO(アダリムマブバイオ後続品)、HYRIMOZ(アダリムマブバイオ後続品)、HULIO(アダリムマブバイオ後続品)、およびCIMZIA(登録商標)(セントリズマブペゴル)を含む抗体などの抗TNFα薬の量を検出するのに有用である。
特定の側面では、語句「高濃度の抗TNFα薬」は、約10~約100 ng/10 μL、約10~約70 ng/10 μL、または約10~約50 ng/10 μLの薬物濃度を含む。他の実施態様では、語句「高濃度の抗TNFα薬」は、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100 ng/10 μLを超える薬物濃度を含む。
特定の側面では、語句「中濃度の抗TNFα薬」は、約5.0~約50 ng/10 μL、約5.0~約30 ng/10 μL、約5.0~約20 ng/10 μL、または約5.0~約10 ng/10 μLの薬物濃度を含む。他の実施態様では、語句「中濃度の抗TNFα薬」は、約10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1 ng/10 μLの薬物濃度を含む。
特定の側面では、語句「低濃度の抗TNFα薬」は、約0~約10 ng/10 μL、約0~約8 ng/10 μL、または約0~約5 ng/10 μLの薬物濃度を含む。他の実施態様では、語句「低濃度の抗TNFα薬」は、約10、9.0、8.0、7.0、6.0、5.0、4.0、3.0、2.0、1.0、または0.5 ng/10 μL未満の薬物濃度を含む。
特定の側面では、頭字語「ADA」は、語句「抗薬物抗体(anti-drug antibody)」を含む。これらは、あるいは自己抗体は、生物製剤の使用に対する自己免疫反応物である。他の側面では、「ADA」は「アダリムマブ(Adalimumab)」の省略形である。
特定の側面では、語句「高濃度の抗薬物抗体」は、約3.0~約100 ng/10 μL、約3.0~約50 ng/10 μL、約10~約100 ng/10 μL、約10~約50 ng/10 μL、または約20~約50 ng/10 μLのの抗薬物抗体濃度を含む。他の実施態様によっては、語句「高濃度の抗薬物抗体」は、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100 ng/10 μLを超える抗薬物抗体濃度を含む。
特定の側面では、語句「中濃度の抗薬物抗体」は、約0.5~約20 ng/10 μL、約0.5~約10 ng/10 μL、約2.0~約20 ng/10 μL、約2.0~約10 ng/10 μL、約2.0~約5.0 ng/10 μL、または約2.0~約5.0 ng/10 μLの抗薬物抗体濃度を含む。
特定の側面では、語句「低濃度の抗薬物抗体」は、約0.0~約5.0 ng/10 μL、約0.1~約5.0 ng/10 μL、約0.0~約2.0 ng/10 μL、約0.1~約2.0 ng/10 μL、または約0.5~約2.0 ng/10 μLの抗薬物抗体濃度を含む。他の実施態様では、語句「低濃度の抗薬物抗体」は、約5.0、4.0、3.0、2.0、1.0、または0.5 ng/10 μL未満の抗薬物抗体濃度を含む。
II.治療の監視
本明細書に説明の方法に従って、抗TNFα薬療法を受けている対象の診断または予後が決定されるか、あるいは抗TNFα薬に対する応答の見通しが、限定はされないが、例えばショック症、敗血症、感染症、自己免疫疾患、RA、クローン病、移植片拒絶、および移植片対宿主疾患などの病態生理にTNFαが関与している疾患および障害を有すると診断される個体で予測される場合に、本開示はさらに、その診断、予後、または予測に基づいて治療の方針を推奨することを含んでもよい。特定の例では、本開示はさらに、TNFαが病態生理に関与している疾患および障害に関連する1種以上の症状を治療するのに有用な治療有効量の抗TNFα薬を個体に投与することを含んでもよい。治療用途では、抗TNFα薬を単独で投与してもよく、あるいは1種以上の追加の抗TNFα薬および/または抗TNFα薬に関連する副作用を軽減する1種以上の薬剤(例えば免疫抑制剤)と組み合わせて同時に投与してもよい。本明細書に説明の抗TNFα薬の例として、限定はされないが、REMICADE(商標)(インフリキシマブ)、INFLECTRA(インフリキシマブ-ダイブ)、RENFLEXIS(インフリキシマブ-アブダ)、FLIXABI(インフリキシマブバイオ後続品)、REMSIMA(インフリキシマブバイオ後続品)、ENBREL(商標)(エタネルセプト)、HUMIRA(商標)(アダリムマブ)、AMJEVITA(アダリムマブ-アト)、IMRALDI(アダリムマブバイオ後続品)、CYLTEZO(アダリムマブバイオ後続品)、HYRIMOZ(アダリムマブバイオ後続品)、HULIO(アダリムマブバイオ後続品)、CIMZIA(登録商標)(セントリズマブペゴル)、およびその他の生物製剤が挙げられる。従って本開示は、治療の決定を誘導すること、かつ適切な薬剤が適切な患者に適切な時期に与えられるように抗TNFα薬での治療法の選択および最適化を報告することにより、臨床医が好都合に「個別化医療」を実践することを可能にする。
抗TNFα薬は、必要に応じて適切な医薬賦形剤と共に投与でき、いずれかの許容される投与様式を介して投与を実施できる。従って、投与は、例えば、静脈内、局所、皮下、経皮、経皮的、筋肉内、経口、口腔内、舌下、歯肉内、口蓋内、関節内、非経口、動脈内、皮内、脳室内、頭蓋内、腹腔内、病巣内、鼻腔内、直腸内、膣内、または吸入によってもよい。「同時投与」とは、抗TNFα薬を、第2の薬剤(例えば、別の抗TNFα薬、または抗TNFα薬の副作用を軽減するのに有用な薬剤など)の投与と同時に、その直前に、またはその直後に投与することを意味する。
治療有効量の抗TNFα薬は、反復して、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上の回数で投与されてもよく、あるいはこの用量は、連続注入によって投与されてもよい。この用量は、例えば、錠剤、丸薬、ペレット、カプセル、粉末、溶液、懸濁液、乳濁液、座剤、停留浣腸剤、クリーム、軟膏、ローション、ゲル、エアロゾル、泡沫剤などの固形、半固形、凍結乾燥粉末、または液体の各剤形の形態、好ましくは高精度の投与量での単一投与に適する単位剤形としてもよい。
個体を定期的な時間間隔で監視して、様々な抗体の濃度または水準を評価してもよい。種々の時点での抗体濃度、ならびに経時的な抗体濃度の変化率は重要である。特定の例では、閾量を超える個体中の1種以上の抗体(例えば抗TNFα抗体に対する自己抗体)の増加率は、個体が合併症を発症するリスクまたは副作用のリスクが著しく高いことを示している。マーカー速度(すなわち、一定期間に亘る抗体濃度の変化)の形態での連続試験から得られる情報は、疾患の重症度、疾患の合併症のリスク、および/または副作用のリスクに関連する可能性がある。
本開示の方法はまた、例えば治療用モノクローナル抗体による治療のために、原発性の非応答者または低応答者を特定することを提供する。これらの原発性の非応答者または低応答者は、例えば、治療薬に対して先天的なまたは事前発生した免疫グロブリン応答をたまたま持っている患者である可能性がある。治療薬が診断用抗体である場合には、原発性の非応答者または低応答者を特定することにより、個々の患者ごとに適切な治療薬を確実に選択できる。
III.装置
様々な機器および装置が、本開示での使用に適している。多くの分光光度計は、蛍光を測定する能力を有する。蛍光とは、ある波長での光エネルギーを分子吸収し、より長い別の波長の光をほぼ瞬時に再放射することである。自然に蛍光を発する分子もあれば、蛍光を発するように修飾を必要とする分子もある。
蛍光分光光度計または蛍光計、蛍光光度計、あるいは蛍光分光計は、キセノン閃光ランプなどの光源による照射後に、試料から放射される蛍光を種々の波長で測定する。蛍光計は、緑色域と青色域、または紫外域と青色域など、(波長が異なる)様々な色の蛍光信号を測定する種々の帯域を保有できる。一側面では、適切な装置は、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR-FRET)試験を実行する能力を含む。
適切な蛍光計は、キュベット、毛細管、ペトリ皿、およびマイクロプレートなどの種々の方式で試料を保持できる。本明細書で説明されるアッセイは、これらの器具種のいずれかで実行できる。特定の側面では、装置は、任意のマイクロプレート読取り装置を有し、最大384個のウェルプレート内で放射走査が可能である。使用に適するその他の型式では、表面張力を用いて試料を所定の位置に保持する。
時間分解蛍光(TRF)測定は、蛍光強度測定に類似している。但し1つの異なる点は、励起工程/測定工程のタイミングである。蛍光強度を測定する場合には、励起工程と放射工程は同時に発生し、試料が放射する光は、励起が起こっている間に測定される。放射システムは、励起光が検出器に到達する前に除去するのに非常に効率的であるにもかかわらず、放射光に比較して励起光の量は、蛍光強度測定では高いバックグラウンド信号を示すということになる。本開示は、この問題に対する解決策を提供する。時間分解FRETでは、大半の標準的な蛍光色素(フルオレセインなど)が励起から数ナノ秒以内に発光する場合に、励起後の(ミリ秒単位で測定される)長期間に亘る発光特性を持つ特定の蛍光分子を使用することに依存している。結果として、(キセノン閃光ランプやパルス状レーザーなどの)パルス光源を用いてランタニドクリプタートを励起して、励起パルスの後に測定を可能とする。
抗体1および抗体2に結合した供与体蛍光化合物および受容体蛍光化合物が互いに近接して移動すると、供与体化合物から受容体化合物へのエネルギー移動が引き起こされ、これにより供与体化合物が放射する蛍光信号の減少、かつ逆に受容体化合物が放射する信号の増加をもたらす。従って、異なるパートナー間の相互作用に関与する生物学的現象の大部分は、問題となる生物学的現象に応じて、より長い距離またはより短い距離にある化合物と対になった2つの蛍光化合物間のFRETの変化を測定することにより検討できる。
FRET信号は、種々の方法で測定でき、それら方法は、供与体単独、受容体単独、または供与体と受容体によって放射される蛍光の測定、あるいはFRETの結果として受容体によって培地中に放射される光の偏光変化の測定である。さらに供与体の寿命の変化を観察することによるFRETの測定を含めることもでき、これは、希土類錯体などの蛍光寿命の長い供与体を用いることで(特にプレート読取り装置などの単純な機器により)容易になる。さらにFRET信号は、高精度で瞬間にまたは一定の間隔で測定でき、その経時的な変化の検討が可能になり、それにより検討された生物学的プロセスの動態を調査することが可能になる。
特定の側面では、2019年2月14日付けの国際特許出願PCT/IB2019/051213号に開示された装置を用い、この出願は参照により本明細書に組み込まれる。この出願での開示は、一般的に、臨床現場即時(point-of-care:POC)設定で用いて、使用者の取扱いまたは交流を最小限に抑えるかまたは全く必要とせずに試料の吸光および蛍光を測定できる分析器に関する。開示の分析器は、これらの2つの手法のそれぞれで検出できる特性を有する試料のより迅速でかつ信頼性の高い分析の優れた特徴を提供する。例えば、診断アッセイに供される血液試料の蛍光と吸光の両方を定量することは有益である可能性がある。一部の分析作業の流れでは、血液試料のヘマトクリット値を吸光度アッセイで定量してもよく、FRETアッセイで測定された信号強度は、血液試料のその他の成分に関する情報を提供してもよい。
国際特許出願PCT/IB2019/051213号に開示される1種の装置は、試料からの放射光、および試料による透照光の吸光度を検出するのに有用であり、この装置は、励起波長を有する励起光を放射するように構成された第1の光源を備える。この装置はさらに、試料を透照光で透照するように構成された第2の光源を備える。この装置はさらに、励起光を検出するように構成された第1の光検出器と、放射光および透照光を検出するように構成された第2の光検出器とを備える。この装置はさらに、(1)励起光の少なくとも一部を反射して試料を落射し、(2)励起光の少なくとも一部を第1の光検出器に伝送し、(3)放射光の少なくとも一部を第2の光検出器に伝送し、かつ(4)透照光の少なくとも一部を第2の光検出器に伝送するように構成されたダイクロイックミラーを備える。
本開示で使用する1種の適切なキュベットは、2019年2月14日付けの国際特許出願PCT/IB2019/051215号に開示されている。提供されるキュベットのうちの1つは、開放チャンバーの頂部を持つ内部チャンバーを封入する中空体を含む。このキュベットはさらに、内壁、外壁、開放蓋の頂部、および開放蓋の底部を持つ下蓋を備える。下蓋の少なくとも一部は、開放チャンバーの頂部に近接する内部チャンバーの内側に適合するように構成される。下蓋は、内壁に接続された1個以上(例えば2個以上)の容器を含み、容器のそれぞれは開放容器の頂部を有する。特定の側面では、下蓋は、そのような2個以上の容器を含む。下蓋はさらに、中空体に接続された固定手段を備える。キュベットはさらに上蓋を備え、この上蓋の少なくとも一部は、開放蓋の頂部に近接する下蓋の内側に適合するように構成される。
IV.実施例
実施例1は、血液中および他の基質中の抗TNFα生物製剤の検出測定を示す。
この例では、液相の均一時間分解FRETアッセイを用いて、説明のような血液や糞便などの基質中の抗TNF生物製剤の薬物濃度を検出する。蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)は、励起状態の供与体分子が、双極子-双極子の結合を介して、その2つが近接(通常は10 nm未満)している場合にその励起エネルギーを受容体蛍光色素に移動させるプロセスである。
特徴的な波長で励起されると、供与体が吸収したエネルギーは受容体に移動し、続いて受容体はエネルギーを放射する。受容体蛍光色素から放射される光の水準は、供与体/受容体複合体の形成の程度に比例する。生体試料の材料は自家蛍光を起こし易いが、これは時間分解蛍光法(TRF)を利用することで最小限に抑制できる。TRFには、ユーロピウムやテルビウムなどの非常に長い蛍光放射半減期を持つランタニドと呼ばれる独自の希土類元素を利用する。時間分解FRET(TR-FRET)では、TRFとFRETの特性を統合し、これは生体試料を分析する際に特に有益なものである。
TNF-α分子が供与体蛍光色素で標識され、かつ抗TNF薬Fab断片が受容体蛍光色素で標識される場合に、TR-FRETは、抗TNF-α薬の存在で発生可能である(図1B)。さらに、検体表面の各Fab領域(アダリムマブ)には、TNF-α供与体と抗アダリムマブFab受容体を近接して含む可能性があり、これにより増幅されたFRET信号を生成するより大きなエネルギー移動が可能になる。受容体のFRET信号の増大は、既知の量の検量用試料から内挿される患者の血液または糞便に存在する抗体薬物の量に比例する。
図2は、trFRETでのアダリムマブ(DRUG)の検量線を示す。全血試料は、段階的に希釈されて、検量用試料として用いられる。
供与体蛍光色素としてH22TRENIAM-5LIO-NHS(図3の構造)を用いて、TNF-αを標識できる。使用可能な受容体分子には、限定はされないが、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 546、およびAlexa Fluor 647が含まれる。図4にはAlexa Fluor 647の構造を示す。Lumi4は、約490 nm、約545 nm、約580 nm、および約620 nmに、エネルギー移動に使用できる4本のスペクトルとして個別のピークを有する(図5)。供与体蛍光色素および受容体蛍光色素は、それぞれTNF-α表面および抗TNF-α薬抗体のFab断片表面の第一級アミンを用いて結合される。
図6は、trFRETでのアダリムマブ(DRUG)アッセイが3分後に平衡に達することを示す。8種の濃度(0 μg/ mL~50 μg/ mL)を試験している。試薬を試料と混合して、図のように種々の時点で読み取った。
実施例2は、抗TNFα薬自己抗体の検出測定を示す。
インフリキシマブ(IFX)、アダリムマブ(HUMIRATM)、およびセルトリズマブなどのTNFαに対するモノクローナル抗体は、炎症性腸疾患(IBD)および他の炎症性障害の治療に有効であることが分かっている。抗薬物抗体(自己抗体)は、薬物の抗力を低下させて、かつ/あるいは副作用を誘発する可能性がある。但し自己抗体は、キメラ抗体インフリキシマブで治療された患者だけでなく、ヒト化抗体アダリムマブで治療された患者でも見出されている。個々の患者での自己抗体と薬物濃度の監視は、患者の治療と投薬を最適化するのに役立つ可能性がある。
図7Aは、抗薬物抗体(自己抗体)を検出する本開示の方法を示す。インフリキシマブ(IFX)などの抗TNFα薬は供与体で標識してもよく、別のインフリキシマブ(IFX)は受容体で標識してもよい。自己抗体にヒト抗キメラ抗体(HACA)が結合して供与体が励起されると、FRETが起こる。
同様に図7Bに示すように、本開示は、抗TNFα薬(例えばインフリキシマブ(IFX)など)のFab部分を用いて抗薬物抗体(自己抗体)を検出する方法を提供する。インフリキシマブ(IFX)などの抗TNFα薬のFab部分は、供与体で標識してもよく、インフリキシマブ(IFX)の別のFab部分は受容体で標識してもよい。自己抗体にヒト抗キメラ抗体(HACA)が結合して供与体が励起されると、FRETが起こる。
実施例3は、本開示の方法を用いるインフリキシマブの測定を示す。
この実施例では、インフリキシマブの標準曲線は、本明細書に説明の方法を用いて生成された。TNF-α分子は供与体蛍光色素で標識され、抗TNF薬Fab断片は受容体蛍光色素で標識された。TR-FRETは、インフリキシマブの存在で発生した。受容体のFRET信号の増大は、患者の試料中に存在する薬物の量に比例する。結果を以下の表に示し、かつ図8に示す。
Figure 2022540764000006
実施例4は、均質移動度シフトアッセイ(HMSA)に対する本開示の方法を用いるインフリキシマブの測定の比較を示す。
試料を本発明の方法を用いて測定して、HMSAを用いる測定と比較した。本発明の方法を用いる測定を2回実施した。結果を図9に示す。R2が1の場合には、回帰予測がデータに完全に適合することを示す。ここでR2は0.9759に等しく、これは本発明の方法が比較対象に対して優れた相関関係を示すことになる。
実施例5は、本開示の方法を用いるアダリムマブの測定を示す。
この実施例では、アダリムマブの標準曲線は、本明細書に説明の方法を用いて生成された。TNF-α分子は供与体蛍光色素で標識され、抗TNF薬Fab断片は受容体蛍光色素で標識された。TR-FRETはインフリキシマブの存在で発生した。受容体のFRET信号の増大は、患者の試料中に存在する薬物の量に比例する。結果を以下の表に示し、かつ図10に示す。
Figure 2022540764000007
実施例5は、均質移動度シフトアッセイ(HMSA)に対する本開示の方法を用いるアダリムマブ(ADA)の測定の比較を示している。
試料を本発明の方法を用いて測定して、HMSAを用いる測定と比較した。本発明の方法を用いる測定を2回実施した。結果を図11に示す。R2が1の場合には、回帰予測がデータに完全に適合することを示す。ここでR2は0.9535に等しく、これは本発明の方法が比較対象に対し優れた相関関係を示すことになる。
前述の開示を、理解を確実にする目的で図面および実施例によりある程度詳細に説明してきたが、当業者なら、特定の変更および修正を添付の特許請求の範囲内で実施してもよいことは分かっている。さらに本明細書内に提供されるそれぞれの参考文献は、それぞれの参考文献が参照によって個別に組み込まれるのと同じ程度に、その全体が参照によって組み込まれる。

Claims (25)

  1. 試料中の抗TNFα薬の存在または量を検出するアッセイ方法であって、
    前記試料を第1の蛍光色素を含むTNFαと接触させること、
    前記試料を第2の蛍光色素で標識された抗薬物抗体またはFab断片と接触させること、
    二重に標識された抗TNFα薬を得るのに十分な時間で前記試料を培養すること、および
    光源を用いて前記二重に標識された抗TNFα薬を有する前記試料を励起して、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光放射信号を検出することを含む、方法。
  2. 試料中の抗TNFα薬の存在または量を検出するアッセイ方法であって、
    前記試料を第1の蛍光色素を含むTNFαと接触させること、
    前記試料を第2の蛍光色素で標識された抗薬物Fab断片と接触させること、
    二重に標識された抗TNFα薬を得るのに十分な時間で前記試料を培養すること、および
    光源を用いて前記二重に標識された抗TNFα薬を有する前記試料を励起して、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光放射信号を検出することを含む、方法。
  3. 試料中の抗TNFα薬の存在または量を検出するアッセイ方法であって、
    前記試料を、第1の蛍光色素で標識された抗TNFα薬と第2の蛍光色素で標識された単離されたTNFαを含み、光源を用いて励起されると蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光放射信号を放射する複合体と接触させること、
    前記試料中の抗TNFα薬が前記第1の蛍光色素で標識された抗TNFα薬への結合に関して競合するのに十分な時間で前記試料を前記複合体とともに培養すること、および
    光源を用いて前記試料を励起して、FRETに関連する蛍光放射信号を検出することを含み、ここで前記複合体が初期に放射する蛍光放射信号に対比して蛍光放射信号の不在または蛍光放射信号の減少は、前記試料中の抗TNFα薬の存在または量を示す、方法。
  4. 前記第1の蛍光色素は供与体であり、前記第2の蛍光色素は受容体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記第1の蛍光色素は受容体であり、前記第2の蛍光色素は供与体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記FRET放射信号は、時間分解FRET放射信号である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記試料は生体試料である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記生体試料は、全血、尿、糞便検体、血漿、および血清からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記生体試料は全血である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記供与体蛍光色素は、テルビウムクリプタートである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記受容体蛍光色素は、フルオレセイン様(緑色域)、Cy5、DY-647、フィコエリトリン、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 546、およびAlexa Fluor 647からなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記光源は、約300 nm~約400 nmの励起波長を提供する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記蛍光放射信号は、約450 nm~700 nmの放射波長を発する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記抗TNFα薬の濃度は、約0.5 μm/mL~約30 μm/mLである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記抗TNFα薬は、REMICADE(商標)(インフリキシマブ)、INFLECTRA(インフリキシマブ-ダイブ)、RENFLEXIS(インフリキシマブ-アブダ)、FLIXABI(インフリキシマブバイオ後続品)、REMSIMA(インフリキシマブバイオ後続品)、ENBREL(商標)(エタネルセプト)、HUMIRA(商標)(アダリムマブ)、AMJEVITA(アダリムマブ-アト)、IMRALDI(アダリムマブバイオ後続品)、CYLTEZO(アダリムマブバイオ後続品)、HYRIMOZ(アダリムマブバイオ後続品)、HULIO(アダリムマブバイオ後続品)、CIMZIA(登録商標)(セントリズマブペゴル)、およびそれらの組合せからなる群から選択されるメンバーである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 試料中の抗TNFα薬自己抗体(自己抗体)の存在または量を検出するアッセイ方法であって、
    前記試料を、供与体蛍光色素を含む第1の標識された抗TNFα薬またはFab断片と接触させること、
    前記試料を、受容体蛍光色素を含む第2の標識された抗TNFα薬またはFab断片と接触させること、
    前記供与体蛍光色素を含む第1の標識された抗TNFα薬、前記受容体蛍光色素を含む第2の標識された抗TNFα薬またはFab断片、および前記自己抗体の三元複合体を生成するのに十分な時間で前記試料を培養すること、および
    光源を用いて前記三元複合体を有する前記試料を励起して、前記供与体蛍光色素が励起される際の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に関連する蛍光放射信号を検出することを含む、方法。
  17. 前記FRET放射信号は、時間分解FRET放射信号である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記試料は生体試料である、請求項16~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記生体試料は、全血、尿、糞便検体、血漿、および血清からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記生体試料は全血である、請求項19に記載の方法。
  21. 前記供与体蛍光色素は、テルビウムクリプタートである、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記受容体蛍光色素は、フルオレセイン様(緑色域)、Cy5、DY-647、フィコエリトリン、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 546、およびAlexa Fluor 647からなる群から選択される、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記光源は、約300 nm~約400 nmの励起波長を提供する、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記蛍光放射信号は、約450 nm~700 nmの放射波長を発する、請求項16~23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記自己抗体は、REMICADE(商標)(インフリキシマブ)、INFLECTRA(インフリキシマブ-ダイブ)、RENFLEXIS(インフリキシマブ-アブダ)、FLIXABI(インフリキシマブバイオ後続品)、REMSIMA(インフリキシマブバイオ後続品)、ENBREL(商標)(エタネルセプト)、HUMIRA(商標)(アダリムマブ)、AMJEVITA(アダリムマブ-アト)、IMRALDI(アダリムマブバイオ後続品)、CYLTEZO(アダリムマブバイオ後続品)、HYRIMOZ(アダリムマブバイオ後続品)、HULIO(アダリムマブバイオ後続品)、CIMZIA(登録商標)(セントリズマブペゴル)、およびそれらの組合せからなる群から選択される抗TNFαに対するものである、請求項16に記載の方法。
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