本出願は、「QUANTUM DOT SEMICUCTOR OPTICAL AMPLIFIER AND PREPARATION METHOD THERFOR」と題する2019年1月21日に出願された中国特許出願第201910053840.7号に対する優先権を主張するものであり、その全体は本明細書に参照援用する。
[技術分野]
本出願は、光デバイス技術の分野に関し、特に、量子ドットセミコンダクタ光増幅器及びそのための調製方法に関する。
量子ドットセミコンダクタ光増幅器(quantum dot semiconductor optical amplifier, QD-SOA)は,電気駆動,小型パッケージ,容易な展開,低価格などの利点を有し,現在大きな可能性を秘めた光増幅デバイスである。
図1は、関連技術における量子ドットセミコンダクタ光増幅器の概略構造図である。図1に示すように、QD-SOAは、基板と、基板上に位置するバッファレイヤと、バッファレイヤから順次エピタキシャル成長によって得られるn型レイヤと、アクティブゲインレイヤと、p型レイヤとを含む。アクティブゲインレイヤは、複数の2次元寄生面を含み、1つの2次元寄生面が生成されるたびに、2次元寄生面をキャリアとして用いてエピタキシャル成長を行い、2次元寄生面上の複数の量子ドットを得る。
複数の量子ドットは、二次元寄生面をキャリアとして用いてエピタキシャル成長を行うことにより得られ、これにより、量子ドットの成長位置及びサイズはランダムであり、制御が困難である。その結果、同じ二次元寄生面上に位置する量子ドットの合金成分は大きく変動し、その結果、比較的大きな波長相関、過度に広い被覆波帯、および比較的大きな雑音指数など、デバイスの性能問題が生じる。
本出願の実施形態は、量子ドットセミコンダクタ光増幅器およびその調製方法を提供し、比較的高い波長相関、過度に広い被覆波長帯、および比較的大きなノイズ指数などの、関連技術における量子ドットセミコンダクタ光増幅器の性能問題を解決する。
第1の態様によれば、量子ドットセミコンダクタ光増幅器QD-SOAが提供され、量子ドットセミコンダクタ光増幅器は、エピタキシャルウェハ、バッファレイヤ、プレエッチングレイヤ、複数のナノワイヤ、n電極、およびp電極を含む。
前記バッファレイヤは、前記エピタキシャルウェハの上面に位置し、前記プレエッチングレイヤは、前記バッファレイヤの上面に位置し、前記プレエッチングレイヤは、複数の局在化エッチングホールを有し、前記複数の局在化エッチングホールは、前記プレエッチングレイヤを貫通して前記バッファレイヤを露出させる。前記複数のナノワイヤは、前記複数の局在化エッチングホールに1対1で対応し、各ナノワイヤの下端は、対応する局在化エッチングホールの底部と接触し、上端は、対応する局在化エッチングホールを通過し、各ナノワイヤの高さは、対応する局在化エッチングホールの深さよりも大きく、各ナノワイヤは、n型セクション、アクティブセクション、およびp型セクションを有し、前記アクティブセクションは、量子ドットの複数のレイヤが埋め込まれる。前記n電極は、前記エピタキシャルウェハの表面上に位置し、前記p電極は、前記複数のナノワイヤの上に位置する。
本出願のこの実施態様において、プレエッチングレイヤは、複数の局在化エッチングホールを含む。前記複数のナノワイヤの各々は、対応する局在化エッチングホールから突出する。さらに、各ナノワイヤのアクティブセクションは、量子ドットの複数のレイヤが埋め込まれる。換言すれば、本出願のこの実施形態では、量子ドットは、キャリアとして、固定位置を有するナノワイヤを使用することによって成長される。このように、従来技術において、キャリアとして二次元平面を用いて成長させた量子ドットと比較して、本出願のアクティブ部の量子ドットの位置は固定されており、サイズは制御可能である。量子ドットの位置は固定され、サイズは制御可能であるため、複数のナノワイヤのアクティブセクション内の同じ高さに位置する量子ドットが、二次元平面を形成することが回避される。また、量子ドットのサイズが制御可能であるため、量子ドットのランダムなサイズにより生じる合金成分の比較的大きなゆらぎを効果的に回避でき、最終的に調製した量子ドットセミコンダクタ光増幅器の波長相関を低減でき、カバーされる波長帯域の幅を適切に調節でき、ノイズ指数を低減できる。
任意的に、デバイスの光学性能に関する異なる要件に基づいて、アクティブセクション内の量子ドットの2つおきの隣接するレイヤの間の距離は、第1の高さであってもよく、または周期的に構成されてもよい。
任意的に、p型セクションの断面積は、n型セクションの断面積以上であり、アクティブセクションの断面積以上である。
任意的に、p型セクションの断面積は、複数のナノワイヤに含まれる複数のp型セクションの隣接するp型セクションが接触して二次元平面を形成するまで、ナノワイヤの成長方向に沿って徐々に増加してもよく、その平面上にp型電極を調製してもよい。
任意的に、n電極は、エピタキシャルウェハの下面に配置される、または、量子ドットセミコンダクタ光増幅器は、深いトレンチを含み、その深いトレンチは、プレエッチングレイヤおよびバッファレイヤを貫通し、エピタキシャルウェハの上面を露出させ、n電極は、その深いトレンチに配置され、n電極の下面は、エピタキシャルウェハの露出された上面と接触する。
n電極がエピタキシャルウェハの下面に位置する場合、n電極は、エピタキシャルウェハの下面に直接取り付けられてもよく、電極の調製プロセスは、簡単であり、コストが低い。n電極がエピタキシャルウエハの上面に位置する場合、n電極とp電極は共平面電極を形成する。このようにして、n電極およびp電極は、その後、同じ電源供給方法で給電されてもよく、電源は単純である。
任意的に、複数の局在化エッチングホールは、円形ホール又は正多角形ホールである。
ナノワイヤを形成するための材料の異なる結晶構造に基づき、ナノワイヤの断面の形状は、正多角形または円であってもよい。したがって、本出願のこの実施形態では、ナノワイヤの成長位置を画定する複数の局在化エッチングホールの形状は、ナノワイヤの断面の形状と一致してもよい。
任意的に、複数の局在化エッチングホールは、周期的に配置される複数の具体的な形状を形成し、具体的な形状は、正三角形、四角形、平行四角形、および正六角形のいずれかである。
任意的に、量子ドットセミコンダクタ光増幅器は、電気ピンによる第1の外部ドライバモジュール、電気ピンによる第2の外部ドライバモジュール、第1のピグテール、第2のピグテール、第1の光結合コンポーネント、および第2の光結合コンポーネントをさらに含む。電気ピンによる第1の外部ドライバモジュールは、n電極に接続され、電気ピンによる第2の外部ドライバモジュールは、p電極に接続される。第1のピグテールは、第1の光結合コンポーネントを使用することによって、複数のナノワイヤに含まれる複数のアクティブセクションによって形成されるアクティブゲインレイヤの一方の側に接続され、第2のピグテールは、第2の光結合コンポーネントを使用することによって、アクティブゲインレイヤの他方の側に接続される。
第2の態様によれば、量子ドットセミコンダクタ光増幅器を調製する方法が提供される。該方法は、エピタキシャルウェハの上面にバッファレイヤをデポジットすることと、エピタキシャルウェハの表面にn電極を調製することと、バッファレイヤにプレエッチングレイヤをデポジットすることと、プレエッチングレイヤにエッチングを行い、複数の局在エッチングホールを得ることであって、複数の局在エッチングホールがプレエッチングレイヤを貫通してバッファレイヤを露出させる、ことと、複数の局在エッチングホールの各々の軸方向に沿って、前記局在エッチングホールの底部から1つのナノワイヤを成長させることであって、前記ナノワイヤは、成長方向に底部から上部へ、n型セクション、アクティブセクション、およびp型セクションを含み、前記アクティブセクションは、量子ドットの複数のレイヤを埋め込まれる、ことと、前記複数の局在化エッチングホールの軸方向に沿って形成される複数のナノワイヤの上にp電極を調製して、量子ドットセミコンダクタ光増幅器を得ることとを含む、方法が提供される。。
量子ドットは、キャリアとして位置が固定されたナノワイヤを使用することによって成長されるため、量子ドットの成長の自由度が制限され、その結果、量子ドットの位置が固定され、サイズが制御可能となる。量子ドットの位置は固定され、サイズは制御可能であるため、複数のナノワイヤのアクティブセクション内の同じ高さに位置する量子ドットが、二次元平面を形成することが回避される。さらに、量子ドットのランダムなサイズによって生じる合金成分の比較的大きな変動を効果的に回避し、デバイスの波長相関を低減し、カバーされる波長帯域の幅を適切に調整し、ノイズ指数を低減する。
任意的に、アクティブセクション内の2つおきの隣接する量子ドットの間の距離は、第1の高さである。
任意的に、p型セクションの断面積は、n型セクションの断面積よりも大きく、アクティブセクションの断面積よりも大きい。
任意的に、エピタキシャルウェハの表面にn電極を調製する実施例は、バッファレイヤが形成されるエピタキシャルウェハの下面にn電極を調製することであってもよい。この実施形態において、n電極は、追加の電極調製プロセスを使用することによって、エピタキシャルウェハの下面に直接取り付けられてもよく、調製プロセスは、単純であり、低コストである。
任意的に、エピタキシャルウェハの表面にn電極を調製する別の実施形態は、プレエッチングレイヤおよびバッファレイヤにに深いトレンチをエッチングすることであって、その深いトレンチがプレエッチングレイヤおよびバッファレイヤを貫通して、エピタキシャルウェハの上面を露出させる、ことと、その深いトレンチにn電極を調製することであってもよい。この実装では、n電極は、エピタキシャルウェハの上面に位置するため、p電極は、複数のナノワイヤの上に位置する。従って、n電極とp電極は共平面電極を形成する。その後の電源供給の間に、n電極およびp電極は、同じ電源供給方法で給電されてもよく、電源は単純である。
任意的に、プレエッチングレイヤにエッチングを行い複数の局在化エッチングホールを得る実装プロセスは、プリセット幾何学的形状に基づいてマスクプレートを生成することと、そのマスクプレートを使用することによってプレエッチングレイヤにエッチングを行い、複数の局在化エッチングホールを得ることとであってもよい。プリセット幾何学的形状は、正三角形、四角形、平行四角形、および正六角形のいずれか1つであり、マスクプレートは、複数のプリセット幾何学的形状を含み、複数のプリセット幾何学的形状は、マスクプレート上に周期的に配置される。マスクプレートを用いてエッチングを行うことにより、エッチング精度を効果的に向上させることができる。また、異なるマスクプレートに基づいてエッチングを行う場合、エッチングによって得られる複数のエッチングホールから成長される複数のナノワイヤの配列が異なり、そのため、得られるデバイスの光学性能も異なる。換言すれば、本出願のこの実施形態では、エッチングを行うために、デバイスの光学性能に関する要件に基づいてマスクプレートを設計することができる。
第3の態様によれば、命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータ・プログラム製品がコンピュータ上で実行される場合、コンピュータは、第2の態様に係る量子ドットセミコンダクタ光増幅器を調製する方法を実行することが可能である。
第2の態様及び第3の態様で得られる技術的効果は、第1の態様で対応する技術的手段により得られる技術的効果と同様であり、本明細書では再度説明しない。
本出願において提供される技術的解決策によってもたらされる有益な効果には、少なくとも以下が含まれる:本出願の実施形態では、プレエッチングレイヤにエッチングを実施して、複数の局在化エッチングホールを得る。次に、各局在化エッチングホールの深さ方向に沿って1つのナノワイヤを成長させる。ナノワイヤに含まれるアクティブセクションは、複数の量子ドットが埋め込まれる。ナノワイヤの位置は固定され、これは量子ドットの成長の自由度を制限し、それによりナノワイヤの成長位置およびサイズが効果的に制御される。このようにして、量子ドットの合金成分のゆらぎが低減され、それによってQD-SOAの波長相関が低減され、カバーされる波長帯域の幅が狭くなり、ノイズ指数が低減される。
関連技術における量子ドットセミコンダクタ光増幅器の概略構造図である。
本出願の一実施形態による量子ドットセミコンダクタ光増幅器の概略構造図である。
本出願の一実施形態によるプレエッチングレイヤ上の複数のエッチングホールの概略配置図である。
本出願の一実施形態によるプレエッチングレイヤ上の複数のエッチングホールの別の概略配置図である。
本出願の一実施形態による量子ドットセミコンダクタ光増幅器を調製する方法のフローチャートである。
関連技術における量子ドットセミコンダクタ光増幅器と、本出願の一実施形態による本出願における量子ドットセミコンダクタ光増幅器とのスペクトル比較図である。
本出願の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、添付の図面を参照して、本出願の実施をさらに詳細に説明する。
本出願の実施態様を詳細に記載する前に、本出願の実施態様を含む出願シナリオを最初に説明する。
光通信システムでは、光ファイバを介して光信号を伝送するプロセスにおいて電力損失が発生する。従って、光信号の伝送距離を確保するために、光信号のパワーを増幅するために光増幅器が使用される。光増幅器は、光通信システム内の異なる位置に配置されてもよい。例えば、光増幅器は、光通信システムの送信端部に配置され、送信端部から出力される光信号のパワーを高め、リレー距離をさらに延ばす。あるいは、光増幅器は、伝送プロセスにおいてパワー損失が生じる光信号を増幅し、伝送回生中継距離を延長するために、光通信システムの伝送線上に配置される。
現在、一般的な光増幅器は、セミコンダクタ光増幅器(semiconductor optical amplifier,SOA)およびエルビウム添加ファイバ増幅器(erbium-doped fiber amplifier,EDFA)を含む。SOAは、便利な電気駆動、コンパクトなパッケージ、柔軟な展開、および低価格などの利点を有する。したがって、SOAは、EDFAよりも「高集積・低コスト」のアプレケーションシナリオに適用可能であ。本出願の実施形態で提供される量子ドットセミコンダクタ光増幅器は、SOAの一種である。それゆえ、本出願で提供される量子ドットセミコンダクタ光増幅器は、「高集積・低コスト」のアプレケーションシナリオにも適用可能である。確かに、本出願において提供される量子ドットセミコンダクタ光増幅器は、光信号を増幅するために、他のシナリオにさらに適用され得る。これは、本出願の実施態様において特に限定されない。
図2は、本出願の一実施形態による量子ドットセミコンダクタ光増幅器の概略構造図である。図2に示すように、量子ドットセミコンダクタ光増幅器は、エピタキシャルウェハ201、バッファレイヤ202、プレエッチングレイヤ203、複数のナノワイヤ204、n電極205、およびp電極206を含む。
エピタキシャルウェハ201の材料は、III-V族材料、例えば、InPまたはGaAsであってもよい。あるいは、エピタキシャルウェハ201の材料は、シリコン材料であってもよい。
通常、ナノワイヤ204とエピタキシャルウェハ201との間には、結晶格子不整合および結晶格子配向不整合の問題が存在するため、エピタキシャルウェハ201からナノワイヤ204を核生成および成長させることは困難である。これに基づいて、通常、エピタキシャルウェハ201の上面は、バッファレイヤ202で覆われ、その結果、ナノワイヤは、核形成され、バッファレイヤ202上に成長され得る。バッファレイヤ202の材料は、InxGa1-xAs、AlxGa1-xNなどであってもよい。さらに、バッファレイヤ202の厚さは、一般に、数十ナノメートルから数百ナノメートルの範囲である。
プレエッチングレイヤ203は、バッファレイヤ202の上面に位置する。プレエッチングレイヤ203の材料は、容易にエッチングでき、その上にSiO2またはTiO2のようなナノワイヤが核形成および成長されない材料であってもよい。加えて、プレエッチングレイヤ203の厚さは、数百ナノメートルないし数十ミクロンの範囲であり得る。
プレエッチングレイヤ203は、複数の局在化エッチングホールを含む。局在化エッチングホールは、プレエッチングレイヤを貫通してバッファレイヤ202を露出させる。各局在化エッチングホールの軸方向は、プレエッチングレイヤ203の厚さ方向に平行であってもよい。あるいは、各局在化エッチングホールの軸方向とプレエッチングレイヤ203の厚さ方向との間に、ある夾角が存在してもよい。夾角の大きさは、0ないし10度の範囲であってもよい。さらに、各局在化エッチングホールは、バッファレイヤ202の上面に直接到達するか、またはバッファレイヤ202を貫通してバッファレイヤ202を露出させる。
任意的に、本出願のこの実施形態において、ナノワイヤ204は、ナノワイヤ204を構成する材料の異なる結晶構造に基づく六角プリズム、四角プリズム、シリンダなどであってもよい。これに基づいて、局在化エッチングホールの形状は、円であってもよい。このように、ナノワイヤ204の形状にかかわらず、局在化エッチングホールの直径を制御して、ナノワイヤを局在化エッチングホールから成長させることができる。あるいは、局在化エッチングホールの形状は、ナノワイヤの形状に基づいて決定されてもよい。例えば、ナノワイヤの形状が六角プリズムである場合、局在化エッチングホールは、六角形であってもよい。代替的に、ナノワイヤの形状が四角プリズムである場合、局在化エッチングホールは、四角形などであってもよい。
任意的に、複数の局在化エッチングホールは、周期的に配置される複数の具体的イメージを形成してもよく、具体的イメージは、三角形、四角形、または正六角形のような多角形であってもよい。換言すれば、複数の局在化エッチングホールは、複数のアレイユニットに分割されてもよく、各アレイユニットは、少なくとも3つの局在化エッチングホールを含む。各アレイユニットに含まれる局在化エッチングホールは、1つの具体的形状を形成する。さらに、複数のアレイユニットは周期的に配置されてもよい。
例えば、図3に示すように、複数の局在化エッチングホールにおいて互いに隣接する4つの局在化エッチングホールは、その形状が平行四辺形である1つのアレイユニットを形成する。複数の局在化エッチングホールは、全体として複数のアレイユニットを形成し、複数のアレイユニットは周期的に配列される。別の例では、図4の複数の局在化エッチングホール内の互いに隣接する6つの局在化エッチングホールは、正六角形の形状を有するアレイユニットを形成する。複数の局在化エッチングホールは、全体として複数のアレイユニットを形成し、複数のアレイユニットは周期的に配列される。
複数のナノワイヤ204は、プレエッチングレイヤ203上の複数の局在化エッチングホールに1対1で対応する。各ナノワイヤ204の下端部は、対応する局在化エッチングホールによって露出されるバッファレイヤ202と接触し、他端部は、対応する局在化エッチングホールを通る。さらに、各ナノワイヤ204の高さは、対応する局在化エッチングホールの深さよりも大きい。
留意点として、各ナノワイヤ204は、n型セクション、アクティブセクション、およびp型セクションの3つのセクションを含む。n型セクションの下端はバッファレイヤ202と接触し、n型セクションの上端は局在化エッチングホールから突出する。本出願のこの実施形態では、複数のナノワイヤのn型セクションは、n型クラッドレイヤを形成し、光ビームを制約して光ビームの有効屈折率を保証するために使用される。複数のナノワイヤ203のn型セクションの高さは、形成されるn型クラッドレイヤの厚さを決定する。n型クラッドレイヤの厚さは、光ビームの有効屈折率及び量子ドットセミコンダクタ光増幅器の駆動電流の大きさに影響する。したがって、本出願のこの実施形態では、n型セクションの高さは、光ビームの有効屈折率に関する要件および駆動電流の大きさに関する要件に基づいて決定され得る。通常、n型セクションの高さは、数十ナノメートルから数ミクロンの範囲である。
アクティブセクションの下端は、n型セクションの上端と接触する。アクティブセクションは、量子ドットの複数のレイヤが埋め込まれている。例えば、量子ドットの各レイヤは、アクティブセクション内にラップされる。留意点として、装置の光学性能に関する異なる要件に基づいて、量子ドットの複数のレイヤにおける量子ドットの2つの隣接するレイヤ毎の距離は、第1の高さであってもよい。さらに留意点として、量子ドットの複数のレイヤは、複数の量子ドットレイヤとも呼ばれ得る。
あるいは、量子ドットの複数のレイヤにおける量子ドットの2つの隣接するレイヤごとの間の距離は、周期的に配列されてもよい。例えば、下端からアクティブセクションの上端までの順序に基づいて、量子ドットの第1のレイヤと量子ドットの第2のレイヤとの間の距離はh1、量子ドットの第2のレイヤと量子ドットの第3のレイヤとの間の距離はh2、量子ドットの第3のレイヤと量子ドットの第4のレイヤとの間の距離はh1、量子ドットの第4のレイヤと量子ドットの第5のレイヤとの間の距離はh2、というように、循環的になっていてもよい。
留意点として、本出願のこの実施態様において、アクティブセクションの高さは、n型セクションの高さよりも小さい。通常、アクティブセクションの高さは数十ナノメートルから数百ナノメートルの範囲である。さらに、複数のナノワイヤのアクティブセクションは、QD-SOAのアクティブゲインレイヤを構成する。アクティブゲインレイヤ内の各量子ドットは、アクティブセクションに埋め込まれる。従って、量子ドットの成長寸法は制限され、それによって、量子ドットのサイズおよび位置が制限される。キャリアとして二次元平面を使用する量子ドットと比較して、量子ドットのサイズおよび位置が効果的に制御され、それによって、量子ドットの合金成分のゆらぎが低減され、その結果、デバイスの波長相関が低減され、カバーされる波長帯域の幅が適切に調整され、ノイズ指数が低減される。
p型セクションの下端は、アクティブセクションの上端と接触する。図2に示すように、p型セクションの断面積は、複数のナノワイヤに含まれる複数のp型セクション内の互いに隣接する複数のp型セクションが互いに接触するまで、p型セクションの下端から上端まで徐々に増加して、具体的厚さの2次元平面を形成して、2次元平面上のp型電極をその後に作成してもよい。複数のp型セクションは、互いに接触して二次元平面を形成するため、電極材料は、p電極を調製するプロセスにおいて、複数のナノワイヤ間のギャップ内に浸透せず、それによって、短絡を引き起こすことを回避する。さらに、複数のナノワイヤの上端を互いに接続することによって、二次元平面が得られる。従って、二次元平面上の任意の位置で調製されたp電極は、各ナノワイヤで導通され得、それによって、p電極のその後の調製を容易にする。複数のナノワイヤに含まれる複数のp型セクションは、量子ドットセミコンダクタ光増幅器のp型クラッドレイヤを構成する。また、p型クラッドの厚さは、光信号の有効屈折率およびデバイスの駆動電流の大きさに基づいて調整され、設計されてもよい。本出願のこの実施態様では、詳細は説明しない。
任意的に、可能な実施において、p型セクションの断面積は、アクティブセクションおよびn型セクションの断面積と一致したままであってもよい。この場合、複数のナノワイヤに含まれる複数のp型セクション間のギャップは、有機ポリマー絶縁材料で充填されてもよく、その結果、複数のp型セクションの上端および充填された絶縁材料は、二次元平面を形成し、それによって、二次元平面上のp電極のその後の調製を容易にする。
p電極206は、複数のp型セクションが接触した後に形成される二次元平面の上面に配置される。
n電極205は、エピタキシャルウェハ201の下面または上面に配置されてもよい。n電極205がエピタキシャルウェハ201の下面に位置する場合、n電極205は、エピタキシャルウェハ201の下面に直接取り付けられてもよい。電極の調整プロセスは簡単で、コストも低い。n電極205がエピタキシャルウェハ201の上面に位置する場合、n電極205の調製中に、プレエッチングレイヤ203の上面から深いトレンチを掘る必要があり、トレンチ底部がエピタキシャルウェハの上面に直接到達する。次に、深いトレンチにn電極205を調製する。第2の方法では、n電極205およびp電極206は、共平面電極を形成する。このようにして、n電極205およびp電極206は、その後、同じ電源方法で給電され得、電源は、第1の方法のそれよりも単純である。
任意的に、本出願のこの実施形態では、量子ドットセミコンダクタ光増幅器は、電気ピンによる第1の外部ドライバモジュール、電気ピンによる第2の外部ドライバモジュール、第1のピグテール、第2のピグテール、第1の光結合コンポーネント、および第2の光結合コンポーネントをさらに含んでもよい。
電気ピンによる第1の外部ドライバモジュール及び電気ピンによる第2の外部ドライバモジュールは、電気ピンによる同数の外部ドライバを含むことができる。例えば、電気ピンによる各外部ドライバモジュールは、電気ピンによる7つの外部ドライバを含むことができる。具体的な数は、本出願のこの実施態様において限定されない。
留意点として、電気ピンによる第1の外部ドライバモジュールは、n電極に接続され、電気ピンによる第2の外部ドライバモジュールは、p電極に接続される。電気ピンによる2つの外部ドライバモジュールに含まれる電気ピンによる複数の外部ドライバは、量子ドットセミコンダクタ光増幅器に電力を供給することができる。
第1のピグテールは、第1の光結合コンポーネントを使用することによって、複数のアクティブセクションによって形成されたアクティブゲインレイヤの一方の側に接続することができ、第2のピグテールは、第2の光結合コンポーネントを使用することによってアクティブゲインレイヤの他方の側に接続することができる。光ビームは、第1のピグテールを通して量子ドットセミコンダクタ光増幅器に入力されてもよい。量子ドットセミコンダクタ光増幅器によってパワーが増幅される光ビームは、第2のピグテールを通して出力されてもよい。
さらに、量子ドットセミコンダクタ光増幅器は、上述のコンポーネントのパッケージングを実施するために、気密パッケージング構造および機械的ハウジングをさらに含んでもよい。
本出願のこの実施形態では、固定位置を有する局在化エッチングホールの底部から、局在化エッチングホールの軸方向に沿って延在するナノワイヤの位置もまた、固定される。このようにして、量子ドットは、キャリアとしてナノワイヤを使用することによって成長され、量子ドットの成長の自由度は制限され、それにより量子ドットの位置が固定され、サイズが制御可能となる。量子ドットの位置は固定され、サイズは制御可能であるため、複数のナノワイヤのアクティブセクションの同じ高さに位置する量子ドットが、二次元平面を形成することは回避される。さらに、量子ドットのランダムサイズによって生じる合金成分の比較的大きな変動も効果的に回避することができ、そのためデバイスの波長相関を低減し、カバーされる波長帯域の幅を適切に調整し、ノイズ指数を低減することができる。
留意点として、本出願のこの実施態様において、図2から図4に示すコンポーネントは、そのコンポーネントの位置及び形状の概略図に過ぎない。添付の図面に示されている各コンポーネントのサイズ比率は、各コンポーネントの実際のサイズ比率を表していない。
図5は、本出願の一実施形態による量子ドットセミコンダクタ光増幅器を調製するための方法である。図5に示すように、本方法は、以下のステップを含むことができる。
ステップ501:エピタキシャルウェハの上面にバッファレイヤをデポジットする。
エピタキシャルウェハの説明については、前述の実施形態の関連する説明を参照されたい。本出願のこの実施態様では、本明細書に再度詳細を記載しない。
エピタキシャルウェハの材料とナノワイヤの材料との間には結晶格子の不整合が存在するため、エピタキシャルウェハ上にナノワイヤを直接成長させることは困難である。これに基づいて、バッファレイヤは、分子ビームエピタキシーまたは化学気相成長法を用いることによって、エピタキシャルウェハの上面にデポジットされてもよく、それにより、ナノワイヤは核形成され、バッファレイヤ上に成長され得る。
ステップ502:バッファレイヤにプレエッチングレイヤをデポジットする。
バッファレイヤがエピタキシャルウェハ上にデポジットされた後、エッチングに使用されるプレエッチングレイヤがさらにバッファレイヤの上面上にデポジットされてもよい。プレエッチングレイヤの材料および厚さについては、前述の実施形態を参照されたい。
ステップ503:プレエッチングレイヤ上でエッチングを行い、複数の局在化エッチングホールを得る。
プレエッチングレイヤを調製した後、イオンエッチング(ion etching)技術を用いてプレエッチングレイヤ上でエッチングを行い、複数の局在化エッチングホールを得ることができる。
最初のエッチング位置は、プレエッチングレイヤ上にプリセットされてもよく、第1の局在化エッチングホールは、初期エッチング位置でエッチングされる。初期エッチング位置は、プレエッチングレイヤのコーナーポイントに位置してもよく、またはプレエッチングレイヤのセンターに位置してもよい。次に、最初のエッチング位置から始めて、プレエッチングレイヤの長辺に平行な方向に沿ってプリセット距離毎に局在化エッチングホールがエッチングされる。プレエッチングレイヤの広い側に最も近い局在化エッチングホールの位置とプレエッチングレイヤの広い側との間の距離がプリセット距離より短くなると、局在化エッチングホールの列が得られる。次に、上述の方法に基づいて、局在化エッチングホールの次の列がエッチングされる。留意点として、局在化エッチングホールの2つの隣接する列の間の距離は、等しくても異なってもよい。これは、本出願の実施態様において特に限定されない。
ここまで主に、プレエッチングレイヤ上の列毎に局在化エッチングホールをエッチングする方法を説明している。明らかに、局在化エッチングホールは、前述の方法と同様のエッチング方法において、カラムごとに、プレエッチングレイヤ上にエッチングされてもよい。相違点は、この場合、同一列内の2つおきの隣接する局在化エッチングホールの間の距離は等しく、局在化エッチングホールの2つの隣接するカラム間の距離は等しくても等しくなくてもよい。
任意的に、局在化エッチングホールの位置は、後続のナノワイヤの位置を決定するため、局在化エッチングホール間の距離は、後続のナノワイヤ間の距離を決定し、ナノワイヤの位置およびナノワイヤ間の距離は、量子ドットセミコンダクタ光増幅器の光学性能に影響を及ぼす。したがって、本出願の本実施形態では、量子ドットセミコンダクタ光増幅器の光学性能の要件に基づいて、プリセット幾何学的形状を含むマスクプレートを設計することができ、さらに、フォトリソグラフィ(photolithography)または電子ビームリソグラフィ(electron-beam lithography, EBL)技術と組み合わせたイオンエッチング技術を用いて、プレエッチングレイヤにエッチングを行い、複数の局在化エッチングホールを得ることができる。プリセット幾何学的形状は、三角形、四角形、平行四角形、および正六角形のような幾何学的形状のどれか、または任意の組み合わせであってもよい。
また、プリセット形状に基づいてマスクプレートを作成する場合には、プレエッチングレイヤと同じサイズのマスクプレートを作成することもできるし、プレエッチングレイヤよりも大きいサイズのマスクプレートを作成することもできる。マスクプレートのサイズがプレエッチングレイヤのサイズより大きい場合、マスクプレートのサイズは、プレエッチングレイヤのサイズに比例する。例えば、プレエッチングレイヤのサイズに対するマスクプレートのサイズの比率は、40:1、100:1などとすることができる。さらに、マスクプレートは、同じサイズおよび形状の複数のプリセット幾何学的形状を含み、複数のプリセット幾何学的形状は、マスクプレート上に周期的に配置されてもよい。各プリセット形状のコーナーポイントは、実際にエッチング位置を表し、すなわち、局在化エッチングホールに対応する。例えば、マスクプレートが周期的に配置された複数の平行四辺形を含む場合に、マスクプレートに基づいてエッチングして得られた複数の局在エッチングホールが、図3に示されている。これに対応して、マスクプレートが周期的に配置された複数の正六角形を含む場合に、対応して得られた複数の局在化エッチングホールが図4に示されている。
マスクプレートを使用してプレエッチングレイヤ上にエッチングを行う場合、マスクプレートのサイズがプレエッチングレイヤのサイズと同じであれば、フォトリソグラフィまたは電子ビームリソグラフィ技術を用いて、マスクプレート上の幾何学的形状をコンタクト型または準コンタクト型マスクプレート配置法でプレエッチングレイヤ上に印刷することができる。次に、印刷された幾何学的形状に基づいてプレエッチングレイヤにエッチングが行われ、複数の局在化エッチングホールが得られる。マスクプレートのサイズがプレエッチングレイヤのサイズに比例する場合、フォトリソグラフィーまたは電子ビームリソグラフィーを用いて、マスクプレートのサイズとプレエッチングレイヤのサイズとの間の比率に基づいて高精度の投影デバイスと協働させることにより、マスクプレート上のプリセット幾何学的形状を対応する比率だけ縮小させ、次いで、プレエッチングレイヤ上に印刷することができる。次に、プレエッチングレイヤに印刷された幾何学的形状に基づいてプレエッチングレイヤにエッチングを行い、複数の局在化エッチングホールを得る。この場合、複数の局在化エッチングホールは、複数のアレイユニットを含み、各アレイユニットの局在化エッチングホールの接続線により形成される形状は、プリセット幾何学的形状である。
任意的に、本出願のこの実施形態では、マスクプレートは、他のプリセット規則に基づいて生成されてもよい。例えば、局在化エッチングホールは、プレエッチングレイヤのいくつかの領域においてより高密度である必要があり、局在化エッチングホールは、他の領域においてより粗である必要があると仮定される。この場合、密度要件に基づいて、異なる密度分布の特徴を有する複数のスルーホールパターンを含むマスクプレートを調製することができる。次に、上述の関連する方法を用いて、マスクプレート上の複数のスルーホールをプレエッチングレイヤ上に印刷する。この場合、これは、プレエッチングレイヤ上に複数のエッチング位置が決定されることと等価である。次に、複数のエッチング位置に基づいてプレエッチングレイヤにエッチングを行い、複数の局在化エッチングホールを得る。この場合、複数の局在化エッチングホールの高密度分布は、マスクプレート上のスルーホールパターンの高密度分布と一致する。
さらに、留意点として、本出願のこの実施形態では、エッチングは、プレエッチングレイヤの表面に垂直な方向に実施することができ、エッチング深さは、プレエッチングレイヤの厚さよりも大きく、プレエッチングレイヤとバッファレイヤの厚さの和よりも小さい。このように、エッチングによって得られた複数の局在化エッチングホールの軸方向は、プレエッチングレイヤの表面に対して垂直であり、プレエッチングレイヤを貫通してバッファレイヤに直接到達してもよい。確かに、実際の操作では、エッチング方向は、プレエッチングレイヤの表面に対して完全に垂直でなくてもよいが、特定の夾角が存在してもよく、夾角は通常0ないし10度の範囲であってもよい。
留意点として、本出願のこの実施態様において、後にエピタキシャルレイヤの上面にn電極を調製した場合、マスクプレートが生成されたとき、マスクプレート上のn電極に対応する領域はブランク領域である。言い換えると、プレエッチングレイヤ上のn電極に対応する領域では、エッチングは行われず、その後、ナノワイヤは成長されない。このようにして、エピタキシャルウェハに直接到達する深いトレンチを、プレエッチングレイヤ上に掘り、n電極を調製することができる。
ステップ504:複数の局在化エッチングホールの各々の底部から、各局在化エッチングホールの軸方向に沿って1つのナノワイヤを成長させ、ナノワイヤは、成長方向に底部から上部へn型セクション、アクティブセクション、およびp型セクションを含み、アクティブセクションは、量子ドットの複数のレイヤが埋め込まれる。
このステップでは、エピタキシャル成長技術を用いて、各局在化エッチングホールから1つのナノワイヤを成長させることができる。例えば、分子ビームエピタクシー(molecular beam epitaxy,MBE)技術を用いて、各局在化エッチングホールの底部に露出したバッファレイヤから、1つのナノワイヤを成長させることができる。分子線エピタキシー技術はエピタキシャル成長技術の一つである。分子線エピタキシー技術とは、所要の結晶材料を超高真空下でジェット炉に投入し、ジェット炉を加熱して分子ビームを形成させ、それに比例してジェット炉からの分子ビームを特定の熱運動速度でバッファレイヤに放出させて、結晶エピタキシャル成長させる技術をいう。
以下、例としてMBE技術を用いて、1本のナノワイヤを生成するプロセスを使用してこのステップを説明する。本出願のこの実施形態において、各ナノワイヤの成長プロセスについては、以下の実施形態を参照されたい。
第1の結晶材料は、局在化エッチングホールの底部に露出されたバッファレイヤに放出され得る。第1の結晶材料は、バッファレイヤ上に核形成され、局在化エッチングホールの軸方向に沿って成長される。成長させたナノワイヤの高さが第2の高さに達すると、第2の高さを有するナノワイヤは、n型セクションである。次に、第1の結晶性材料の組成を調節して第2の結晶性材料を得る。第2の結晶材料は成長を続け、第3の高さを有するナノワイヤがさらに成長した後、第2の結晶材料の組成を調節して、第3の結晶材料を得ることができる。第3の結晶性材料の放出量は、第1の量子ドットを成長させるように調節される。この量子ドットは、量子ドットの第1のレイヤである。量子ドットのサイズは、ナノワイヤの断面積よりも小さい。量子ドットの第1のレイヤが成長した後、第3の結晶材料を第2の結晶材料に調節し、第2の結晶材料が量子ドットの第1のレイヤの外側に自然にラップされ、成長を続ける。量子ドットの第1のレイヤから開始して、量子ドットの1つのレイヤは、第3の高さを有するナノワイヤが成長されるたびに、前述の方法で成長されてもよい。量子ドットのレイヤの数が予め設定された数に達した後、第2の結晶材料は、最終的に生成された量子ドットの1つのレイヤの外側をラップし、特定の高さを有するナノワイヤが生成され続け、ナノワイヤのアクティブセクションの調製を完了する。アクティブセクションの調製が完了した後、第2の結晶性材料の組成を調節して、第4の結晶性材料を得る。第4の結晶材料のナノワイヤは、引き続き生成される。さらに、ナノワイヤの高さが増加するにつれて、放出量を徐々に増加させ、ナノワイヤの断面積が徐々に増加するように制御する。隣接するナノワイヤが互いに接触した後、射出量は変化させずに、成長を続け、特定の厚さを有する2次元平面を形成する。この場合、ナノワイヤのp型セクションの調製が完了する。なお、n型セクションの高さ、アクティブセクションの高さ、p型セクションの高さについては、前述した実施形態の関連説明を参照されたい。本出願のこの実施態様において、本明細書に再度詳細を記載しない。第1の結晶材料と第4の結晶材料は、いずれも3つまたは4つの成分を含む材料であるが、成分の割合は異なる。第2の結晶性材料は、2つまたは3つの成分を含む材料である。
さらに、前述の実施形態では、アクティブセクションが調製された後、結晶材料の放出量を制御することによって、断面積が徐々に増加するp型セクションを形成することができることに留意されたい。任意的に、可能な実施形態では、放出量は変化せずに、アクティブセクションおよびn型セクションの断面積と同じ断面積を有するp型セクションを形成してもよい。この場合、複数のナノワイヤのすべてのp型セクションの調製が完了した後、複数のナノワイヤのp型セクション間のギャップは、有機ポリマー絶縁材料で充填され得、それにより、複数のナノワイヤのp型セクションの上端は、充填された絶縁材料で二次元平面を形成し、それによって、p電極のその後の調製を容易にする。
任意的に、本出願のこの実施形態では、化学蒸着(metal-organic chemical vapour deposition, MOCVD)技術を用いて、各局在化エッチングホールの底部に露出したバッファレイヤから、1つのナノワイヤを成長させることができる。ナノワイヤの特定の成長プロセスは、上述の分子ビームエピタクシー技術における成長プロセスと同じである。本出願のこの実施態様において、本明細書に再度詳細を記載しない。
本出願のこの実施形態では、固定位置を有する局在化エッチングホールの底部からであり、局在化エッチングホールの軸方向に沿って延在するナノワイヤの位置もまた、固定される。言い換えれば、量子ドットの位置は固定されており、サイズは制御可能である。したがって、複数のナノワイヤに含まれる複数のアクティブセクション内の同じ高さに位置する量子ドットが、二次元平面を形成することが回避される。また、量子ドットのサイズが制御可能であるため、量子ドットのランダムなサイズによる生じる合金成分の比較的大きなゆらぎを効果的に回避でき、それにより、最終的に調製した量子ドットセミコンダクタ光増幅器の波長相関を低減でき、カバーされる波長帯域の幅と範囲を適切に調整でき、ノイズ指数を低減できる。
ステップ505:複数の局在化エッチングホールの軸方向に沿って形成された複数のナノワイヤの上にp電極を調製して、量子ドットセミコンダクタ光増幅器を得る。
複数のナノワイヤが調製された後、追加の電極プロセスを使用して、複数のナノワイヤのp型セクションによって形成される2次元平面の上面上に、p電極が調製されてもよい。
ステップ506:エピタキシャルウェハの表面にn電極を調製する。
このステップにおいて、n電極は、追加の電極プロセスを使用することによって、エピタキシャルウェハの下面上に直接調製されてもよい。あるいは、プレエッチングレイヤの上面上の領域に深いトレンチを開き、トレンチ底部がエピタキシャルウェハに直接到達するようにしてもよい。次に、深いトレンチにn電極を調製する。
留意点として、本出願のこの実施形態では、ステップ505およびステップ506は、任意の順序で実行され得る。あるいは、ステップ506が最初に実行され、次いで、ステップ505が実行されてもよい。これは、本出願のこの実施態様において限定されない。
図6は、本出願の一実施形態による2つの量子ドットセミコンダクタ光増幅器のスペクトル比較効果の概略図である。図6の左側の図は、従来技術におけるキャリアとして二次元平面を用いて量子ドットをランダムに形成した量子ドットセミコンダクタ光増幅器のスペクトル図である。左図から分かるように、量子ドットセミコンダクタ光増幅器のスペクトル幅は、240nmに達し得る。図6の右図は、本出願の一実施形態による量子ドットセミコンダクタ光増幅器のスペクトル図である。右図から分かるように、量子ドットセミコンダクタ光増幅器のスペクトル幅は60nmに過ぎない。本出願の本実施形態で提供される量子ドットセミコンダクタ光増幅器によってカバーされる波長帯域は、従来の量子ドットセミコンダクタ光増幅器によってカバーされる波長帯域と比較して、適切に低減されることが分かる。カバーされる波長帯域が減少するので、各波長の光信号のゲインは、対応して増加する。ゲインが増加するにつれて、ノイズ指数もそれに応じて減少する。
本出願のこの実施形態では、キャリアとして固定位置を有するナノワイヤを使用することによって量子ドットを成長させるので、量子ドットの成長の自由度が制限され、そのため、量子ドットの位置が固定され、サイズが制御可能となる。量子ドットの位置は固定され、サイズは制御可能であるため、複数のナノワイヤのアクティブセクション内の同じ高さに位置する量子ドットが、二次元平面を形成することが回避される。また、量子ドットのサイズが制御可能であるため、量子ドットのランダムなサイズによる生じる合金成分の比較的大きな変動を有効に回避でき、それにより、最終的に調製した量子ドットセミコンダクタ光増幅器の波長相関を低減でき、カバーされる波長帯域の幅を適切に調節でき、ノイズ指数を低減できる。
前述の実施形態で説明した量子ドットセミコンダクタ光増幅器の調製方法の全部または一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせによって実施することができる。ソフトウェアを使用して実施形態を実施する場合、実施形態は、コンピュータ・プログラム製品の形態で完全にまたは部分的に実施することができる。コンピュータプログラム製品は、1つ以上のコンピュータ命令を含む。コンピュータ命令がロードされ、コンピュータ上で実行される場合、本発明の実施形態による手順または機能は、すべてまたは部分的に生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、または他のプログラム可能な装置であってもよい。コンピュータ命令は、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されてもよく、またはコンピュータ読取可能な記憶媒体から別のコンピュータ読取可能な記憶媒体に送信されてもよい。例えば、コンピュータ命令は、ウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンターから、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、またはディジタル加入者回線(Digital Subscriber Line、DSL))または無線(例えば、赤外線、無線、およびマイクロ波など)の態様で、別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンターに送信され得る。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の使用可能な媒体、または1つ以上の使用可能な媒体を統合するサーバまたはデータセンターなどのデータ記憶装置であってもよい。使用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、または磁気テープ)、光媒体(例えば、デジタル汎用ディスク(Digital Versatile Disc, DVD))、半導体媒体(例えば、ソリッドステートドライブ(Solid State Disk, SSD))などである。
当業者であれば、実施形態のステップの全部または一部は、関連するハードウェアを指示するハードウェアまたはプログラムによって実施することができることを理解するであろう。プログラムは、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶することができる。記憶媒体は、読み出し専用メモリ、磁気ディスク、または光ディスクを含んでもよい。
前述の説明は、本出願の単なる実施形態であるが、本出願を限定することを意図するものではない。本出願の精神及び原理から逸脱することなくなされるいかなる修正、同等の代替品又は改良も、本出願の保護範囲に含まれるべきである。
本出願は、「QUANTUM DOT SEMICUCTOR OPTICAL AMPLIFIER AND PREPARATION METHOD THERFOR」と題する2019年1月21日に出願された中国特許出願第201910053840.7号に対する優先権を主張するものであり、その全体は本明細書に参照援用する。
[技術分野]
本出願は、光デバイス技術の分野に関し、特に、量子ドットセミコンダクタ光増幅器及びそのための調製方法に関する。
量子ドットセミコンダクタ光増幅器(quantum dot semiconductor optical amplifier, QD-SOA)は,電気駆動,小型パッケージ,容易な展開,低価格などの利点を有し,現在大きな可能性を秘めた光増幅デバイスである。
図1は、関連技術における量子ドットセミコンダクタ光増幅器の概略構造図である。図1に示すように、QD-SOAは、基板と、基板上に位置するバッファレイヤと、バッファレイヤから順次エピタキシャル成長によって得られるn型レイヤと、アクティブゲインレイヤと、p型レイヤとを含む。アクティブゲインレイヤは、複数の2次元寄生面を含み、1つの2次元寄生面が生成されるたびに、2次元寄生面をキャリアとして用いてエピタキシャル成長を行い、2次元寄生面上の複数の量子ドットを得る。
複数の量子ドットは、二次元寄生面をキャリアとして用いてエピタキシャル成長を行うことにより得られ、これにより、量子ドットの成長位置及びサイズはランダムであり、制御が困難である。その結果、同じ二次元寄生面上に位置する量子ドットの合金成分は大きく変動し、その結果、比較的大きな波長相関、過度に広い被覆波帯、および比較的大きな雑音指数など、デバイスの性能問題が生じる。
本出願の実施形態は、量子ドットセミコンダクタ光増幅器およびその調製方法を提供し、比較的高い波長相関、過度に広い被覆波長帯、および比較的大きなノイズ指数などの、関連技術における量子ドットセミコンダクタ光増幅器の性能問題を解決する。
第1の態様によれば、量子ドットセミコンダクタ光増幅器QD-SOAが提供され、量子ドットセミコンダクタ光増幅器は、エピタキシャルウェハ、バッファレイヤ、プレエッチングレイヤ、複数のナノワイヤ、n電極、およびp電極を含む。
前記バッファレイヤは、前記エピタキシャルウェハの上面に位置し、前記プレエッチングレイヤは、前記バッファレイヤの上面に位置し、前記プレエッチングレイヤは、複数の局在化エッチングホールを有し、前記複数の局在化エッチングホールは、前記プレエッチングレイヤを貫通して前記バッファレイヤを露出させる。前記複数のナノワイヤは、前記複数の局在化エッチングホールに1対1で対応し、各ナノワイヤの下端は、対応する局在化エッチングホールの底部と接触し、上端は、対応する局在化エッチングホールを通過し、各ナノワイヤの高さは、対応する局在化エッチングホールの深さよりも大きく、各ナノワイヤは、n型セクション、アクティブセクション、およびp型セクションを有し、前記アクティブセクションは、量子ドットの複数のレイヤが埋め込まれる。前記n電極は、前記エピタキシャルウェハの表面上に位置し、前記p電極は、前記複数のナノワイヤの上に位置する。
本出願のこの実施態様において、プレエッチングレイヤは、複数の局在化エッチングホールを含む。前記複数のナノワイヤの各々は、対応する局在化エッチングホールから突出する。さらに、各ナノワイヤのアクティブセクションは、量子ドットの複数のレイヤが埋め込まれる。換言すれば、本出願のこの実施形態では、量子ドットは、キャリアとして、固定位置を有するナノワイヤを使用することによって成長される。このように、従来技術において、キャリアとして二次元平面を用いて成長させた量子ドットと比較して、本出願のアクティブ部の量子ドットの位置は固定されており、サイズは制御可能である。量子ドットの位置は固定され、サイズは制御可能であるため、複数のナノワイヤのアクティブセクション内の同じ高さに位置する量子ドットが、二次元平面を形成することが回避される。また、量子ドットのサイズが制御可能であるため、量子ドットのランダムなサイズにより生じる合金成分の比較的大きなゆらぎを効果的に回避でき、最終的に調製した量子ドットセミコンダクタ光増幅器の波長相関を低減でき、カバーされる波長帯域の幅を適切に調節でき、ノイズ指数を低減できる。
任意的に、デバイスの光学性能に関する異なる要件に基づいて、アクティブセクション内の量子ドットの2つおきの隣接するレイヤの間の距離は、第1の高さであってもよく、または周期的に構成されてもよい。
任意的に、p型セクションの断面積は、n型セクションの断面積以上であり、アクティブセクションの断面積以上である。
任意的に、p型セクションの断面積は、複数のナノワイヤに含まれる複数のp型セクションの隣接するp型セクションが接触して二次元平面を形成するまで、ナノワイヤの成長方向に沿って徐々に増加してもよく、その平面上にp型電極を調製してもよい。
任意的に、n電極は、エピタキシャルウェハの下面に配置される、または、量子ドットセミコンダクタ光増幅器は、深いトレンチを含み、その深いトレンチは、プレエッチングレイヤおよびバッファレイヤを貫通し、エピタキシャルウェハの上面を露出させ、n電極は、その深いトレンチに配置され、n電極の下面は、エピタキシャルウェハの露出された上面と接触する。
n電極がエピタキシャルウェハの下面に位置する場合、n電極は、エピタキシャルウェハの下面に直接取り付けられてもよく、電極の調製プロセスは、簡単であり、コストが低い。n電極がエピタキシャルウエハの上面に位置する場合、n電極とp電極は共平面電極を形成する。このようにして、n電極およびp電極は、その後、同じ電源供給方法で給電されてもよく、電源は単純である。
任意的に、複数の局在化エッチングホールは、円形ホール又は正多角形ホールである。
ナノワイヤを形成するための材料の異なる結晶構造に基づき、ナノワイヤの断面の形状は、正多角形または円であってもよい。したがって、本出願のこの実施形態では、ナノワイヤの成長位置を画定する複数の局在化エッチングホールの形状は、ナノワイヤの断面の形状と一致してもよい。
任意的に、複数の局在化エッチングホールは、周期的に配置される複数の具体的な形状を形成し、具体的な形状は、正三角形、四角形、平行四角形、および正六角形のいずれかである。
任意的に、量子ドットセミコンダクタ光増幅器は、電気ピンによる第1の外部ドライバモジュール、電気ピンによる第2の外部ドライバモジュール、第1のピグテール、第2のピグテール、第1の光結合コンポーネント、および第2の光結合コンポーネントをさらに含む。電気ピンによる第1の外部ドライバモジュールは、n電極に接続され、電気ピンによる第2の外部ドライバモジュールは、p電極に接続される。第1のピグテールは、第1の光結合コンポーネントを使用することによって、複数のナノワイヤに含まれる複数のアクティブセクションによって形成されるアクティブゲインレイヤの一方の側に接続され、第2のピグテールは、第2の光結合コンポーネントを使用することによって、アクティブゲインレイヤの他方の側に接続される。
第2の態様によれば、量子ドットセミコンダクタ光増幅器を調製する方法が提供される。該方法は、エピタキシャルウェハの上面にバッファレイヤをデポジットすることと、エピタキシャルウェハの表面にn電極を調製することと、バッファレイヤにプレエッチングレイヤをデポジットすることと、プレエッチングレイヤにエッチングを行い、複数の局在エッチングホールを得ることであって、複数の局在エッチングホールがプレエッチングレイヤを貫通してバッファレイヤを露出させる、ことと、複数の局在エッチングホールの各々の軸方向に沿って、前記局在エッチングホールの底部から1つのナノワイヤを成長させることであって、前記ナノワイヤは、成長方向に底部から上部へ、n型セクション、アクティブセクション、およびp型セクションを含み、前記アクティブセクションは、量子ドットの複数のレイヤを埋め込まれる、ことと、前記複数の局在化エッチングホールの軸方向に沿って形成される複数のナノワイヤの上にp電極を調製して、量子ドットセミコンダクタ光増幅器を得ることとを含む、方法が提供される。。
量子ドットは、キャリアとして位置が固定されたナノワイヤを使用することによって成長されるため、量子ドットの成長の自由度が制限され、その結果、量子ドットの位置が固定され、サイズが制御可能となる。量子ドットの位置は固定され、サイズは制御可能であるため、複数のナノワイヤのアクティブセクション内の同じ高さに位置する量子ドットが、二次元平面を形成することが回避される。さらに、量子ドットのランダムなサイズによって生じる合金成分の比較的大きな変動を効果的に回避し、デバイスの波長相関を低減し、カバーされる波長帯域の幅を適切に調整し、ノイズ指数を低減する。
任意的に、アクティブセクションの量子ドットの2つおきの隣接するレイヤ間の距離は、第1の高さである。
任意的に、p型セクションの断面積は、n型セクションの断面積よりも大きく、アクティブセクションの断面積よりも大きい。
任意的に、エピタキシャルウェハの表面にn電極を調製する実施例は、バッファレイヤが形成されるエピタキシャルウェハの下面にn電極を調製することであってもよい。この実施形態において、n電極は、追加の電極調製プロセスを使用することによって、エピタキシャルウェハの下面に直接取り付けられてもよく、調製プロセスは、単純であり、低コストである。
任意的に、エピタキシャルウェハの表面にn電極を調製する別の実施形態は、プレエッチングレイヤおよびバッファレイヤにに深いトレンチをエッチングすることであって、その深いトレンチがプレエッチングレイヤおよびバッファレイヤを貫通して、エピタキシャルウェハの上面を露出させる、ことと、その深いトレンチにn電極を調製することであってもよい。この実装では、n電極は、エピタキシャルウェハの上面に位置するため、p電極は、複数のナノワイヤの上に位置する。従って、n電極とp電極は共平面電極を形成する。その後の電源供給の間に、n電極およびp電極は、同じ電源供給方法で給電されてもよく、電源は単純である。
任意的に、プレエッチングレイヤにエッチングを行い複数の局在化エッチングホールを得る実装プロセスは、プリセット幾何学的形状に基づいてマスクプレートを生成することと、そのマスクプレートを使用することによってプレエッチングレイヤにエッチングを行い、複数の局在化エッチングホールを得ることとであってもよい。プリセット幾何学的形状は、正三角形、四角形、平行四角形、および正六角形のいずれか1つであり、マスクプレートは、複数のプリセット幾何学的形状を含み、複数のプリセット幾何学的形状は、マスクプレート上に周期的に配置される。マスクプレートを用いてエッチングを行うことにより、エッチング精度を効果的に向上させることができる。また、異なるマスクプレートに基づいてエッチングを行う場合、エッチングによって得られる複数の局在化エッチングホールから成長される複数のナノワイヤの配列が異なり、そのため、得られるデバイスの光学性能も異なる。換言すれば、本出願のこの実施形態では、エッチングを行うために、デバイスの光学性能に関する要件に基づいてマスクプレートを設計することができる。
第3の態様によれば、命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータ・プログラム製品がコンピュータ上で実行される場合、コンピュータは、第2の態様に係る量子ドットセミコンダクタ光増幅器を調製する方法を実行することが可能である。
第2の態様及び第3の態様で得られる技術的効果は、第1の態様で対応する技術的手段により得られる技術的効果と同様であり、本明細書では再度説明しない。
本出願において提供される技術的解決策によってもたらされる有益な効果には、少なくとも以下が含まれる:本出願の実施形態では、プレエッチングレイヤにエッチングを実施して、複数の局在化エッチングホールを得る。次に、各局在化エッチングホールの深さ方向に沿って1つのナノワイヤを成長させる。ナノワイヤに含まれるアクティブセクションは、複数の量子ドットが埋め込まれる。ナノワイヤの位置は固定され、これは量子ドットの成長の自由度を制限し、それによりナノワイヤの成長位置およびサイズが効果的に制御される。このようにして、量子ドットの合金成分のゆらぎが低減され、それによってQD-SOAの波長相関が低減され、カバーされる波長帯域の幅が狭くなり、ノイズ指数が低減される。
関連技術における量子ドットセミコンダクタ光増幅器の概略構造図である。
本出願の一実施形態による量子ドットセミコンダクタ光増幅器の概略構造図である。
本出願の一実施形態によるプレエッチングレイヤ上の複数のエッチングホールの概略配置図である。
本出願の一実施形態によるプレエッチングレイヤ上の複数のエッチングホールの別の概略配置図である。
本出願の一実施形態による量子ドットセミコンダクタ光増幅器を調製する方法のフローチャートである。
関連技術における量子ドットセミコンダクタ光増幅器と、本出願の一実施形態による本出願における量子ドットセミコンダクタ光増幅器とのスペクトル比較図である。
本出願の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、添付の図面を参照して、本出願の実施をさらに詳細に説明する。
本出願の実施態様を詳細に記載する前に、本出願の実施態様を含む出願シナリオを最初に説明する。
光通信システムでは、光ファイバを介して光信号を伝送するプロセスにおいて電力損失が発生する。従って、光信号の伝送距離を確保するために、光信号のパワーを増幅するために光増幅器が使用される。光増幅器は、光通信システム内の異なる位置に配置されてもよい。例えば、光増幅器は、光通信システムの送信端部に配置され、送信端部から出力される光信号のパワーを高め、リレー距離をさらに延ばす。あるいは、光増幅器は、伝送プロセスにおいてパワー損失が生じる光信号を増幅し、伝送中継距離を延長するために、光通信システムの伝送線上に配置される。
現在、一般的な光増幅器は、セミコンダクタ光増幅器(semiconductor optical amplifier,SOA)およびエルビウム添加ファイバ増幅器(erbium-doped fiber amplifier,EDFA)を含む。SOAは、便利な電気駆動、コンパクトなパッケージ、柔軟な展開、および低価格などの利点を有する。したがって、SOAは、EDFAよりも「高集積・低コスト」のアプレケーションシナリオに適用可能であ。本出願の実施形態で提供される量子ドットセミコンダクタ光増幅器は、SOAの一種である。それゆえ、本出願で提供される量子ドットセミコンダクタ光増幅器は、「高集積・低コスト」のアプレケーションシナリオにも適用可能である。確かに、本出願において提供される量子ドットセミコンダクタ光増幅器は、光信号を増幅するために、他のシナリオにさらに適用され得る。これは、本出願の実施態様において特に限定されない。
図2は、本出願の一実施形態による量子ドットセミコンダクタ光増幅器の概略構造図である。図2に示すように、量子ドットセミコンダクタ光増幅器は、エピタキシャルウェハ201、バッファレイヤ202、プレエッチングレイヤ203、複数のナノワイヤ204、n電極205、およびp電極206を含む。
エピタキシャルウェハ201の材料は、III-V族材料、例えば、InPまたはGaAsであってもよい。あるいは、エピタキシャルウェハ201の材料は、シリコン材料であってもよい。
通常、ナノワイヤ204とエピタキシャルウェハ201との間には、結晶格子不整合および結晶格子配向不整合の問題が存在するため、エピタキシャルウェハ201からナノワイヤ204を核生成および成長させることは困難である。これに基づいて、通常、エピタキシャルウェハ201の上面は、バッファレイヤ202で覆われ、その結果、ナノワイヤは、核形成され、バッファレイヤ202上に成長され得る。バッファレイヤ202の材料は、InxGa1-xAs、AlxGa1-xNなどであってもよい。さらに、バッファレイヤ202の厚さは、一般に、数十ナノメートルから数百ナノメートルの範囲である。
プレエッチングレイヤ203は、バッファレイヤ202の上面に位置する。プレエッチングレイヤ203の材料は、容易にエッチングでき、その上にSiO2またはTiO2のようなナノワイヤが核形成および成長されない材料であってもよい。加えて、プレエッチングレイヤ203の厚さは、数百ナノメートルないし数十ミクロンの範囲であり得る。
プレエッチングレイヤ203は、複数の局在化エッチングホールを含む。局在化エッチングホールは、プレエッチングレイヤを貫通してバッファレイヤ202を露出させる。各局在化エッチングホールの軸方向は、プレエッチングレイヤ203の厚さ方向に平行であってもよい。あるいは、各局在化エッチングホールの軸方向とプレエッチングレイヤ203の厚さ方向との間に、ある夾角が存在してもよい。夾角の大きさは、0ないし10度の範囲であってもよい。さらに、各局在化エッチングホールは、バッファレイヤ202の上面に直接到達するか、またはバッファレイヤ202を貫通してバッファレイヤ202を露出させる。
任意的に、本出願のこの実施形態において、ナノワイヤ204は、ナノワイヤ204を構成する材料の異なる結晶構造に基づく六角プリズム、四角プリズム、シリンダなどであってもよい。これに基づいて、局在化エッチングホールの形状は、円であってもよい。このように、ナノワイヤ204の形状にかかわらず、局在化エッチングホールの直径を制御して、ナノワイヤを局在化エッチングホールから成長させることができる。あるいは、局在化エッチングホールの形状は、ナノワイヤの形状に基づいて決定されてもよい。例えば、ナノワイヤの形状が六角プリズムである場合、局在化エッチングホールは、六角形であってもよい。代替的に、ナノワイヤの形状が四角プリズムである場合、局在化エッチングホールは、四角形などであってもよい。
任意的に、複数の局在化エッチングホールは、周期的に配置される複数の具体的形状を形成してもよく、具体的形状は、三角形、四角形、または正六角形のような多角形であってもよい。換言すれば、複数の局在化エッチングホールは、複数のアレイユニットに分割されてもよく、各アレイユニットは、少なくとも3つの局在化エッチングホールを含む。各アレイユニットに含まれる局在化エッチングホールは、1つの具体的形状を形成する。さらに、複数のアレイユニットは周期的に配置されてもよい。
例えば、図3に示すように、複数の局在化エッチングホールにおいて互いに隣接する4つの局在化エッチングホールは、その形状が平行四辺形である1つのアレイユニットを形成する。複数の局在化エッチングホールは、全体として複数のアレイユニットを形成し、複数のアレイユニットは周期的に配列される。別の例では、図4の複数の局在化エッチングホール内の互いに隣接する6つの局在化エッチングホールは、正六角形の形状を有するアレイユニットを形成する。複数の局在化エッチングホールは、全体として複数のアレイユニットを形成し、複数のアレイユニットは周期的に配列される。
複数のナノワイヤ204は、プレエッチングレイヤ203上の複数の局在化エッチングホールに1対1で対応する。各ナノワイヤ204の下端部は、対応する局在化エッチングホールによって露出されるバッファレイヤ202と接触し、他端部は、対応する局在化エッチングホールを通る。さらに、各ナノワイヤ204の高さは、対応する局在化エッチングホールの深さよりも大きい。
留意点として、各ナノワイヤ204は、n型セクション、アクティブセクション、およびp型セクションの3つのセクションを含む。n型セクションの下端はバッファレイヤ202と接触し、n型セクションの上端は局在化エッチングホールから突出する。本出願のこの実施形態では、複数のナノワイヤのn型セクションは、n型クラッドレイヤを形成し、光ビームを制約して光ビームの有効屈折率を保証するために使用される。複数のナノワイヤ204のn型セクションの高さは、形成されるn型クラッドレイヤの厚さを決定する。n型クラッドレイヤの厚さは、光ビームの有効屈折率及び量子ドットセミコンダクタ光増幅器の駆動電流の大きさに影響する。したがって、本出願のこの実施形態では、n型セクションの高さは、光ビームの有効屈折率に関する要件および駆動電流の大きさに関する要件に基づいて決定され得る。通常、n型セクションの高さは、数十ナノメートルから数ミクロンの範囲である。
アクティブセクションの下端は、n型セクションの上端と接触する。アクティブセクションは、量子ドットの複数のレイヤが埋め込まれている。例えば、量子ドットの各レイヤは、アクティブセクション内にラップされる。留意点として、装置の光学性能に関する異なる要件に基づいて、量子ドットの複数のレイヤにおける量子ドットの2つの隣接するレイヤ毎の距離は、第1の高さであってもよい。さらに留意点として、量子ドットの複数のレイヤは、複数の量子ドットレイヤとも呼ばれ得る。
あるいは、量子ドットの複数のレイヤにおける量子ドットの2つの隣接するレイヤごとの間の距離は、周期的に配列されてもよい。例えば、下端からアクティブセクションの上端までの順序に基づいて、量子ドットの第1のレイヤと量子ドットの第2のレイヤとの間の距離はh1、量子ドットの第2のレイヤと量子ドットの第3のレイヤとの間の距離はh2、量子ドットの第3のレイヤと量子ドットの第4のレイヤとの間の距離はh1、量子ドットの第4のレイヤと量子ドットの第5のレイヤとの間の距離はh2、というように、循環的になっていてもよい。
留意点として、本出願のこの実施態様において、アクティブセクションの高さは、n型セクションの高さよりも小さい。通常、アクティブセクションの高さは数十ナノメートルから数百ナノメートルの範囲である。さらに、複数のナノワイヤのアクティブセクションは、QD-SOAのアクティブゲインレイヤを構成する。アクティブゲインレイヤ内の各量子ドットは、アクティブセクションに埋め込まれる。従って、量子ドットの成長寸法は制限され、それによって、量子ドットのサイズおよび位置が制限される。キャリアとして二次元平面を使用する量子ドットと比較して、量子ドットのサイズおよび位置が効果的に制御され、それによって、量子ドットの合金成分のゆらぎが低減され、その結果、デバイスの波長相関が低減され、カバーされる波長帯域の幅が適切に調整され、ノイズ指数が低減される。
p型セクションの下端は、アクティブセクションの上端と接触する。図2に示すように、p型セクションの断面積は、複数のナノワイヤに含まれる複数のp型セクション内の互いに隣接する複数のp型セクションが互いに接触するまで、p型セクションの下端から上端まで徐々に増加して、具体的厚さの2次元平面を形成して、2次元平面上のp型電極をその後に作成してもよい。複数のp型セクションは、互いに接触して二次元平面を形成するため、電極材料は、p電極を調製するプロセスにおいて、複数のナノワイヤ間のギャップ内に浸透せず、それによって、短絡を引き起こすことを回避する。さらに、複数のナノワイヤの上端を互いに接続することによって、二次元平面が得られる。従って、二次元平面上の任意の位置で調製されたp電極は、各ナノワイヤで導通され得、それによって、p電極のその後の調製を容易にする。複数のナノワイヤに含まれる複数のp型セクションは、量子ドットセミコンダクタ光増幅器のp型クラッドレイヤを構成する。また、p型クラッドの厚さは、光信号の有効屈折率およびデバイスの駆動電流の大きさに基づいて調整され、設計されてもよい。本出願のこの実施態様では、詳細は説明しない。
任意的に、可能な実施において、p型セクションの断面積は、アクティブセクションおよびn型セクションの断面積と一致したままであってもよい。この場合、複数のナノワイヤに含まれる複数のp型セクション間のギャップは、有機ポリマー絶縁材料で充填されてもよく、その結果、複数のp型セクションの上端および充填された絶縁材料は、二次元平面を形成し、それによって、二次元平面上のp電極のその後の調製を容易にする。
p電極206は、複数のp型セクションが接触した後に形成される二次元平面の上面に配置される。
n電極205は、エピタキシャルウェハ201の下面または上面に配置されてもよい。n電極205がエピタキシャルウェハ201の下面に位置する場合、n電極205は、エピタキシャルウェハ201の下面に直接取り付けられてもよい。電極の調整プロセスは簡単で、コストも低い。n電極205がエピタキシャルウェハ201の上面に位置する場合、n電極205の調製中に、プレエッチングレイヤ203の上面から深いトレンチを掘る必要があり、トレンチ底部がエピタキシャルウェハの上面に直接到達する。次に、深いトレンチにn電極205を調製する。第2の方法では、n電極205およびp電極206は、共平面電極を形成する。このようにして、n電極205およびp電極206は、その後、同じ電源方法で給電され得、電源は、第1の方法のそれよりも単純である。
任意的に、本出願のこの実施形態では、量子ドットセミコンダクタ光増幅器は、電気ピンによる第1の外部ドライバモジュール、電気ピンによる第2の外部ドライバモジュール、第1のピグテール、第2のピグテール、第1の光結合コンポーネント、および第2の光結合コンポーネントをさらに含んでもよい。
電気ピンによる第1の外部ドライバモジュール及び電気ピンによる第2の外部ドライバモジュールは、電気ピンによる同数の外部ドライバを含むことができる。例えば、電気ピンによる各外部ドライバモジュールは、電気ピンによる7つの外部ドライバを含むことができる。具体的な数は、本出願のこの実施態様において限定されない。
留意点として、電気ピンによる第1の外部ドライバモジュールは、n電極に接続され、電気ピンによる第2の外部ドライバモジュールは、p電極に接続される。電気ピンによる2つの外部ドライバモジュールに含まれる電気ピンによる複数の外部ドライバは、量子ドットセミコンダクタ光増幅器に電力を供給することができる。
第1のピグテールは、第1の光結合コンポーネントを使用することによって、複数のアクティブセクションによって形成されたアクティブゲインレイヤの一方の側に接続することができ、第2のピグテールは、第2の光結合コンポーネントを使用することによってアクティブゲインレイヤの他方の側に接続することができる。光ビームは、第1のピグテールを通して量子ドットセミコンダクタ光増幅器に入力されてもよい。量子ドットセミコンダクタ光増幅器によってパワーが増幅される光ビームは、第2のピグテールを通して出力されてもよい。
さらに、量子ドットセミコンダクタ光増幅器は、上述のコンポーネントのパッケージングを実施するために、気密パッケージング構造および機械的ハウジングをさらに含んでもよい。
本出願のこの実施形態では、固定位置を有する局在化エッチングホールの底部から、局在化エッチングホールの軸方向に沿って延在するナノワイヤの位置もまた、固定される。このようにして、量子ドットは、キャリアとしてナノワイヤを使用することによって成長され、量子ドットの成長の自由度は制限され、それにより量子ドットの位置が固定され、サイズが制御可能となる。量子ドットの位置は固定され、サイズは制御可能であるため、複数のナノワイヤのアクティブセクションの同じ高さに位置する量子ドットが、二次元平面を形成することは回避される。さらに、量子ドットのランダムサイズによって生じる合金成分の比較的大きな変動も効果的に回避することができ、そのためデバイスの波長相関を低減し、カバーされる波長帯域の幅を適切に調整し、ノイズ指数を低減することができる。
留意点として、本出願のこの実施態様において、図2から図4に示すコンポーネントは、そのコンポーネントの位置及び形状の概略図に過ぎない。添付の図面に示されている各コンポーネントのサイズ比率は、各コンポーネントの実際のサイズ比率を表していない。
図5は、本出願の一実施形態による量子ドットセミコンダクタ光増幅器を調製するための方法である。図5に示すように、本方法は、以下のステップを含むことができる。
ステップ501:エピタキシャルウェハの上面にバッファレイヤをデポジットする。
エピタキシャルウェハの説明については、前述の実施形態の関連する説明を参照されたい。本出願のこの実施態様では、本明細書に再度詳細を記載しない。
エピタキシャルウェハの材料とナノワイヤの材料との間には結晶格子の不整合が存在するため、エピタキシャルウェハ上にナノワイヤを直接成長させることは困難である。これに基づいて、バッファレイヤは、分子ビームエピタキシーまたは化学気相成長法を用いることによって、エピタキシャルウェハの上面にデポジットされてもよく、それにより、ナノワイヤは核形成され、バッファレイヤ上に成長され得る。
ステップ502:バッファレイヤにプレエッチングレイヤをデポジットする。
バッファレイヤがエピタキシャルウェハ上にデポジットされた後、エッチングに使用されるプレエッチングレイヤがさらにバッファレイヤの上面上にデポジットされてもよい。プレエッチングレイヤの材料および厚さについては、前述の実施形態を参照されたい。
ステップ503:プレエッチングレイヤ上でエッチングを行い、複数の局在化エッチングホールを得る。
プレエッチングレイヤを調製した後、イオンエッチング(ion etching)技術を用いてプレエッチングレイヤ上でエッチングを行い、複数の局在化エッチングホールを得ることができる。
最初のエッチング位置は、プレエッチングレイヤ上にプリセットされてもよく、第1の局在化エッチングホールは、初期エッチング位置でエッチングされる。初期エッチング位置は、プレエッチングレイヤのコーナーポイントに位置してもよく、またはプレエッチングレイヤのセンターに位置してもよい。次に、最初のエッチング位置から始めて、プレエッチングレイヤの長辺に平行な方向に沿ってプリセット距離毎に局在化エッチングホールがエッチングされる。プレエッチングレイヤの広い側に最も近い局在化エッチングホールの位置とプレエッチングレイヤの広い側との間の距離がプリセット距離より短くなると、局在化エッチングホールの列が得られる。次に、上述の方法に基づいて、局在化エッチングホールの次の列がエッチングされる。留意点として、局在化エッチングホールの2つの隣接する列の間の距離は、等しくても異なってもよい。これは、本出願の実施態様において特に限定されない。
ここまで主に、プレエッチングレイヤ上の列毎に局在化エッチングホールをエッチングする方法を説明している。明らかに、局在化エッチングホールは、前述の方法と同様のエッチング方法において、カラムごとに、プレエッチングレイヤ上にエッチングされてもよい。相違点は、この場合、同一列内の2つおきの隣接する局在化エッチングホールの間の距離は等しく、局在化エッチングホールの2つの隣接するカラム間の距離は等しくても等しくなくてもよい。
任意的に、局在化エッチングホールの位置は、後続のナノワイヤの位置を決定するため、局在化エッチングホール間の距離は、後続のナノワイヤ間の距離を決定し、ナノワイヤの位置およびナノワイヤ間の距離は、量子ドットセミコンダクタ光増幅器の光学性能に影響を及ぼす。したがって、本出願の本実施形態では、量子ドットセミコンダクタ光増幅器の光学性能の要件に基づいて、プリセット幾何学的形状を含むマスクプレートを設計することができ、さらに、フォトリソグラフィ(photolithography)または電子ビームリソグラフィ(electron-beam lithography, EBL)技術と組み合わせたイオンエッチング技術を用いて、プレエッチングレイヤにエッチングを行い、複数の局在化エッチングホールを得ることができる。プリセット幾何学的形状は、三角形、四角形、平行四角形、および正六角形のような幾何学的形状のどれか、または任意の組み合わせであってもよい。
また、プリセット形状に基づいてマスクプレートを作成する場合には、プレエッチングレイヤと同じサイズのマスクプレートを作成することもできるし、プレエッチングレイヤよりも大きいサイズのマスクプレートを作成することもできる。マスクプレートのサイズがプレエッチングレイヤのサイズより大きい場合、マスクプレートのサイズは、プレエッチングレイヤのサイズに比例する。例えば、プレエッチングレイヤのサイズに対するマスクプレートのサイズの比率は、40:1、100:1などとすることができる。さらに、マスクプレートは、同じサイズおよび形状の複数のプリセット幾何学的形状を含み、複数のプリセット幾何学的形状は、マスクプレート上に周期的に配置されてもよい。各プリセット形状のコーナーポイントは、実際にエッチング位置を表し、すなわち、局在化エッチングホールに対応する。例えば、マスクプレートが周期的に配置された複数の平行四辺形を含む場合に、マスクプレートに基づいてエッチングして得られた複数の局在エッチングホールが、図3に示されている。これに対応して、マスクプレートが周期的に配置された複数の正六角形を含む場合に、対応して得られた複数の局在化エッチングホールが図4に示されている。
マスクプレートを使用してプレエッチングレイヤ上にエッチングを行う場合、マスクプレートのサイズがプレエッチングレイヤのサイズと同じであれば、フォトリソグラフィまたは電子ビームリソグラフィ技術を用いて、マスクプレート上の幾何学的形状をコンタクト型または準コンタクト型マスクプレート配置法でプレエッチングレイヤ上に印刷することができる。次に、印刷された幾何学的形状に基づいてプレエッチングレイヤにエッチングが行われ、複数の局在化エッチングホールが得られる。マスクプレートのサイズがプレエッチングレイヤのサイズに比例する場合、フォトリソグラフィーまたは電子ビームリソグラフィーを用いて、マスクプレートのサイズとプレエッチングレイヤのサイズとの間の比率に基づいて高精度の投影デバイスと協働させることにより、マスクプレート上のプリセット幾何学的形状を対応する比率だけ縮小させ、次いで、プレエッチングレイヤ上に印刷することができる。次に、プレエッチングレイヤに印刷された幾何学的形状に基づいてプレエッチングレイヤにエッチングを行い、複数の局在化エッチングホールを得る。この場合、複数の局在化エッチングホールは、複数のアレイユニットを含み、各アレイユニットの局在化エッチングホールの接続線により形成される形状は、プリセット幾何学的形状である。
任意的に、本出願のこの実施形態では、マスクプレートは、他のプリセット規則に基づいて生成されてもよい。例えば、局在化エッチングホールは、プレエッチングレイヤのいくつかの領域においてより高密度である必要があり、局在化エッチングホールは、他の領域においてより粗である必要があると仮定される。この場合、密度要件に基づいて、異なる密度分布の特徴を有する複数のスルーホールパターンを含むマスクプレートを調製することができる。次に、上述の関連する方法を用いて、マスクプレート上の複数のスルーホールをプレエッチングレイヤ上に印刷する。この場合、これは、プレエッチングレイヤ上に複数のエッチング位置が決定されることと等価である。次に、複数のエッチング位置に基づいてプレエッチングレイヤにエッチングを行い、複数の局在化エッチングホールを得る。この場合、複数の局在化エッチングホールの高密度分布は、マスクプレート上のスルーホールパターンの高密度分布と一致する。
さらに、留意点として、本出願のこの実施形態では、エッチングは、プレエッチングレイヤの表面に垂直な方向に実施することができ、エッチング深さは、プレエッチングレイヤの厚さよりも大きく、プレエッチングレイヤとバッファレイヤの厚さの和よりも小さい。このように、エッチングによって得られた複数の局在化エッチングホールの軸方向は、プレエッチングレイヤの表面に対して垂直であり、プレエッチングレイヤを貫通してバッファレイヤに直接到達してもよい。確かに、実際の操作では、エッチング方向は、プレエッチングレイヤの表面に対して完全に垂直でなくてもよいが、特定の夾角が存在してもよく、夾角は通常0ないし10度の範囲であってもよい。
留意点として、本出願のこの実施態様において、後にエピタキシャルレイヤの上面にn電極を調製した場合、マスクプレートが生成されたとき、マスクプレート上のn電極に対応する領域はブランク領域である。言い換えると、プレエッチングレイヤ上のn電極に対応する領域では、エッチングは行われず、その後、ナノワイヤは成長されない。このようにして、エピタキシャルウェハに直接到達する深いトレンチを、プレエッチングレイヤ上に掘り、n電極を調製することができる。
ステップ504:複数の局在化エッチングホールの各々の底部から、各局在化エッチングホールの軸方向に沿って1つのナノワイヤを成長させ、ナノワイヤは、成長方向に底部から上部へn型セクション、アクティブセクション、およびp型セクションを含み、アクティブセクションは、量子ドットの複数のレイヤが埋め込まれる。
このステップでは、エピタキシャル成長技術を用いて、各局在化エッチングホールから1つのナノワイヤを成長させることができる。例えば、分子ビームエピタクシー(molecular beam epitaxy,MBE)技術を用いて、各局在化エッチングホールの底部に露出したバッファレイヤから、1つのナノワイヤを成長させることができる。分子線エピタキシー技術はエピタキシャル成長技術の一つである。分子線エピタキシー技術とは、所要の結晶材料を超高真空下でジェット炉に投入し、ジェット炉を加熱して分子ビームを形成させ、それに比例してジェット炉からの分子ビームを特定の熱運動速度でバッファレイヤに放出させて、結晶エピタキシャル成長させる技術をいう。
以下、例としてMBE技術を用いて、1本のナノワイヤを生成するプロセスを使用してこのステップを説明する。本出願のこの実施形態において、各ナノワイヤの成長プロセスについては、以下の実施形態を参照されたい。
第1の結晶材料は、局在化エッチングホールの底部に露出されたバッファレイヤに放出され得る。第1の結晶材料は、バッファレイヤ上に核形成され、局在化エッチングホールの軸方向に沿って成長される。成長させたナノワイヤの高さが第2の高さに達すると、第2の高さを有するナノワイヤは、n型セクションである。次に、第1の結晶性材料の組成を調節して第2の結晶性材料を得る。第2の結晶材料は成長を続け、第3の高さを有するナノワイヤがさらに成長した後、第2の結晶材料の組成を調節して、第3の結晶材料を得ることができる。第3の結晶性材料の放出量は、第1の量子ドットを成長させるように調節される。この量子ドットセクションは、量子ドットの第1のレイヤである。量子ドットのサイズは、ナノワイヤの断面積よりも小さい。量子ドットの第1のレイヤが成長した後、第3の結晶材料を第2の結晶材料に調節し、第2の結晶材料が量子ドットの第1のレイヤの外側に自然にラップされ、成長を続ける。量子ドットの第1のレイヤから開始して、量子ドットの1つのレイヤは、第3の高さを有するナノワイヤが成長されるたびに、前述の方法で成長されてもよい。量子ドットのレイヤの数が予め設定された数に達した後、第2の結晶材料は、最終的に生成された量子ドットの1つのレイヤの外側をラップし、特定の高さを有するナノワイヤが生成され続け、ナノワイヤのアクティブセクションの調製を完了する。アクティブセクションの調製が完了した後、第2の結晶性材料の組成を調節して、第4の結晶性材料を得る。第4の結晶材料のナノワイヤは、引き続き生成される。さらに、ナノワイヤの高さが増加するにつれて、放出量を徐々に増加させ、ナノワイヤの断面積が徐々に増加するように制御する。隣接するナノワイヤが互いに接触した後、射出量は変化させずに、成長を続け、特定の厚さを有する2次元平面を形成する。この場合、ナノワイヤのp型セクションの調製が完了する。なお、n型セクションの高さ、アクティブセクションの高さ、p型セクションの高さについては、前述した実施形態の関連説明を参照されたい。本出願のこの実施態様において、本明細書に再度詳細を記載しない。第1の結晶材料と第4の結晶材料は、いずれも3つまたは4つの成分を含む材料であるが、成分の割合は異なる。第2の結晶性材料は、2つまたは3つの成分を含む材料である。
さらに、前述の実施形態では、アクティブセクションが調製された後、結晶材料の放出量を制御することによって、断面積が徐々に増加するp型セクションを形成することができることに留意されたい。任意的に、可能な実施形態では、放出量は変化せずに、アクティブセクションおよびn型セクションの断面積と同じ断面積を有するp型セクションを形成してもよい。この場合、複数のナノワイヤのすべてのp型セクションの調製が完了した後、複数のナノワイヤのp型セクション間のギャップは、有機ポリマー絶縁材料で充填され得、それにより、複数のナノワイヤのp型セクションの上端は、充填された絶縁材料で二次元平面を形成し、それによって、p電極のその後の調製を容易にする。
任意的に、本出願のこの実施形態では、金属・有機物化学蒸着(metal-organic chemical vapor deposition, MOCVD)技術を用いて、各局在化エッチングホールの底部に露出したバッファレイヤから、1つのナノワイヤを成長させることができる。ナノワイヤの特定の成長プロセスは、上述の分子ビームエピタクシー技術における成長プロセスと同じである。本出願のこの実施態様において、本明細書に再度詳細を記載しない。
本出願のこの実施形態では、固定位置を有する局在化エッチングホールの底部からであり、局在化エッチングホールの軸方向に沿って延在するナノワイヤの位置もまた、固定される。言い換えれば、量子ドットの位置は固定されており、サイズは制御可能である。したがって、複数のナノワイヤに含まれる複数のアクティブセクション内の同じ高さに位置する量子ドットが、二次元平面を形成することが回避される。また、量子ドットのサイズが制御可能であるため、量子ドットのランダムなサイズによる生じる合金成分の比較的大きなゆらぎを効果的に回避でき、それにより、最終的に調製した量子ドットセミコンダクタ光増幅器の波長相関を低減でき、カバーされる波長帯域の幅と範囲を適切に調整でき、ノイズ指数を低減できる。
ステップ505:複数の局在化エッチングホールの軸方向に沿って形成された複数のナノワイヤの上にp電極を調製して、量子ドットセミコンダクタ光増幅器を得る。
複数のナノワイヤが調製された後、追加の電極プロセスを使用して、複数のナノワイヤのp型セクションによって形成される2次元平面の上面上に、p電極が調製されてもよい。
ステップ506:エピタキシャルウェハの表面にn電極を調製する。
このステップにおいて、n電極は、追加の電極プロセスを使用することによって、エピタキシャルウェハの下面上に直接調製されてもよい。あるいは、プレエッチングレイヤの上面上の領域に深いトレンチを開き、トレンチ底部がエピタキシャルウェハに直接到達するようにしてもよい。次に、深いトレンチにn電極を調製する。
留意点として、本出願のこの実施形態では、ステップ505およびステップ506は、任意の順序で実行され得る。あるいは、ステップ506が最初に実行され、次いで、ステップ505が実行されてもよい。これは、本出願のこの実施態様において限定されない。
図6は、本出願の一実施形態による2つの量子ドットセミコンダクタ光増幅器のスペクトル比較効果の概略図である。図6の左側の図は、従来技術におけるキャリアとして二次元平面を用いて量子ドットをランダムに形成した量子ドットセミコンダクタ光増幅器のスペクトル図である。左図から分かるように、量子ドットセミコンダクタ光増幅器のスペクトル幅は、240nmに達し得る。図6の右図は、本出願の一実施形態による量子ドットセミコンダクタ光増幅器のスペクトル図である。右図から分かるように、量子ドットセミコンダクタ光増幅器のスペクトル幅は60nmに過ぎない。本出願の本実施形態で提供される量子ドットセミコンダクタ光増幅器によってカバーされる波長帯域は、従来の量子ドットセミコンダクタ光増幅器によってカバーされる波長帯域と比較して、適切に低減されることが分かる。カバーされる波長帯域が減少するので、各波長の光信号のゲインは、対応して増加する。ゲインが増加するにつれて、ノイズ指数もそれに応じて減少する。
本出願のこの実施形態では、キャリアとして固定位置を有するナノワイヤを使用することによって量子ドットを成長させるので、量子ドットの成長の自由度が制限され、そのため、量子ドットの位置が固定され、サイズが制御可能となる。量子ドットの位置は固定され、サイズは制御可能であるため、複数のナノワイヤのアクティブセクション内の同じ高さに位置する量子ドットが、二次元平面を形成することが回避される。また、量子ドットのサイズが制御可能であるため、量子ドットのランダムなサイズによる生じる合金成分の比較的大きな変動を有効に回避でき、それにより、最終的に調製した量子ドットセミコンダクタ光増幅器の波長相関を低減でき、カバーされる波長帯域の幅を適切に調節でき、ノイズ指数を低減できる。
前述の実施形態で説明した量子ドットセミコンダクタ光増幅器の調製方法の全部または一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせによって実施することができる。ソフトウェアを使用して実施形態を実施する場合、実施形態は、コンピュータ・プログラム製品の形態で完全にまたは部分的に実施することができる。コンピュータプログラム製品は、1つ以上のコンピュータ命令を含む。コンピュータ命令がロードされ、コンピュータ上で実行される場合、本発明の実施形態による手順または機能は、すべてまたは部分的に生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、または他のプログラム可能な装置であってもよい。コンピュータ命令は、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されてもよく、またはコンピュータ読取可能な記憶媒体から別のコンピュータ読取可能な記憶媒体に送信されてもよい。例えば、コンピュータ命令は、ウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンターから、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、またはディジタル加入者回線(Digital Subscriber Line、DSL))または無線(例えば、赤外線、無線、およびマイクロ波など)の態様で、別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンターに送信され得る。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の使用可能な媒体、または1つ以上の使用可能な媒体を統合するサーバまたはデータセンターなどのデータ記憶装置であってもよい。使用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、または磁気テープ)、光媒体(例えば、デジタル汎用ディスク(Digital Versatile Disc, DVD))、半導体媒体(例えば、ソリッドステートドライブ(Solid State Disk, SSD))などである。
当業者であれば、実施形態のステップの全部または一部は、関連するハードウェアを指示するハードウェアまたはプログラムによって実施することができることを理解するであろう。プログラムは、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶することができる。記憶媒体は、読み出し専用メモリ、磁気ディスク、または光ディスクを含んでもよい。
前述の説明は、本出願の単なる実施形態であるが、本出願を限定することを意図するものではない。本出願の精神及び原理から逸脱することなくなされるいかなる修正、同等の代替品又は改良も、本出願の保護範囲に含まれるべきである。