JP2022182422A - 高炉の操業方法 - Google Patents

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博 酒井
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Abstract

【課題】本発明は、炭化水素を含有する水素系還元ガスを用いてCO2排出量を削減することが可能な高炉の操業方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係る高炉の操業方法では、常温よりも高い温度の吹込み温度かつ所定の吹込み量で炭化水素を含有するガスである水素系ガスを羽口から吹込み、前記吹込み温度が前記吹込み量に応じて設定された温度である、又は、前記吹込み量が前記吹込み温度に応じて設定された吹込み量である。【選択図】図7

Description

本発明は、高炉の操業方法に関する。
鉄鋼業においては、高炉法が銑鉄製造工程の主流を担っている。高炉法においては、高炉の炉頂から高炉用鉄系原料(酸化鉄を含む原料。主として、焼結鉱。以下、単に「鉄系原料」とも称する)及びコークスを高炉内に交互かつ層状に装入する一方で、高炉下部の羽口から熱風を高炉内に吹き込む。熱風とともに吹き込まれる微粉炭、及び、高炉内のコークスと反応することで、高温の還元ガス(ここでは主としてCOガス)が発生する。すなわち、熱風は、コークス及び微粉炭をガス化する。還元ガスは、高炉内を上昇し、鉄系原料を加熱しながら還元する。鉄系原料は、高炉内を降下する一方で、還元ガスにより加熱及び還元される。その後、鉄系原料は溶融し、コークスによってさらに還元されながら高炉内を滴下する。鉄系原料は、最終的には炭素を5質量%弱含む溶銑(銑鉄)として炉床部に溜められる。炉床部の溶銑は、出銑口から取り出され、次の製鋼プロセスに供される。したがって、高炉法では、コークス及び微粉炭等の炭材を還元材として使用する。
ところで、近年、地球温暖化が社会問題になっており、その対策として温室効果ガスの一つである二酸化炭素の排出量削減が求められている。上述した高炉法では、還元材として炭材を使用して大量の銑鉄を製造するので、大量のCOが発生する。したがって、鉄鋼業はCO排出量において主要な産業のひとつとなっており、その社会的要請に応えねばならない。CO排出量削減のため、具体的には、高炉操業での還元材の使用量を低減していくことが重要である。
還元材は炉内で熱となって装入物を昇温させる役割と、炉内の鉄系原料を還元する役割がある。CO排出量を削減するには、固体炭素による直接還元反応(反応式:FeO+C⇒Fe+CO)を極力発生させないことが重要である。そのためには、還元材比を低減することが重要である。そして、還元材比を低減させるためには、炉内の還元効率を上げる必要がある。炉内の還元反応は様々な反応式で表記することができるが、そのうち、固体炭素による直接還元反応は吸熱量が大きい吸熱反応である。この直接還元反応は高炉炉下部で生じる反応であるため、鉄系原料が炉下部に至るまでにCO、H等のガスで鉄系原料を十分に還元することができれば、直接還元反応の対象となる鉄系原料を減らすことができる。しかしながら、この直接還元反応が吸熱反応であり、高炉内における還元効率が下がるため、還元されずに高炉炉下部に到達する鉄系原料が増加し、コークスによる直接還元反応量が多くなる。その結果、鉄系原料の還元のために多くの還元材を要し、COの削減量を大きくすることができない。
上記課題を解決するための従来技術として、例えば特許文献1~4に開示されるように、羽口から熱風と共に水素原子を含有する還元ガス(以下では、水素原子を含有するガスを水素系還元ガスと呼称することがある。)、例えば、COG(Cokes Oven Gas;コークス炉ガス)、天然ガス、LPG(liquefied petroleum gas;液化石油ガス)、メタンガス、又は水素ガス等を吹込む技術が知られている。水素系の還元ガスを高炉内に吹込むことで、還元ガス中の水素が鉄系原料の還元に寄与し、水素還元反応を促進させ、直接還元反応を抑制する。なお、以下の説明では、特に断りがない限り、「炭素」、「水素」はそれぞれ、炭素原子、水素原子を意味するものとする。
特開2014-28984号公報 特開2006-233332号公報 特開2020-66753号公報 特開2020-45508号公報
しかしながら、COG、天然ガス、LPG、メタンガス、又は水素ガス等の水素系還元ガスは、一般に、常温で羽口から高炉内に吹き込まれる。羽口から高炉内に吹込まれる常温の上記還元ガス量が増加するほど、羽口の炉内側先端における炉内温度である羽口前温度が低下する。吹込まれる還元ガスが常温であることに起因する羽口前温度の低下を抑制するために、羽口を通じて高炉内に吹込まれる熱風の酸素富化率を増加させることが必要となる。熱風の酸素富化率は、出銑比を一定とするために、熱風炉で富化酸素と混合する空気の流量を変更して調整される。
上記のとおり、COG、天然ガス、LPG、メタンガス、又は水素ガス等の水素系還元ガスの吹込み量を増加させると酸素富化率を増加させることになる。そのため、酸素富化率を上げると熱風の流量が減少し、ボッシュガス量(高炉内の窒素ガスと、水素ガスと、COガスとの混合ガスの量)が減少する。その結果、炉内の鉱石流通量に対して窒素ガスの流量が減少することになる。窒素ガスの流量が減少すると、窒素ガスによる顕熱量が減少する。その結果、高炉内の温度が低下し、鉄系原料の還元が不十分となり、高炉の操業が不安定になることがある。
また、酸素富化率を増加させてボッシュガス量を減少させると、炉内を流通するガスの顕熱量の減少により炉上部の温度が低下し、その結果、炉頂から排出される排ガスの温度が低下することになる。高炉に設けられる排ガス清浄装置の操業は、高炉の炉頂から排出される排ガスの温度が100℃を下回ると、不安定化することが経験的に知られている。このことから、COG、天然ガス、LPG、メタンガス、又は水素ガス等の水素系還元ガスの吹込み量を増加させる場合、排ガスの温度が100℃以上に維持されるように酸素富化率を調整することが重要である。
更に、COG、天然ガス、LPG、又はメタンガス等の炭化水素を含有する還元ガスを羽口から高炉内に吹き込んだ場合、羽口前での炭化水素の分解に起因する吸熱により羽口前温度が低下する。炭化水素を含む還元ガスを使用した場合、炭化水素の分解による吸熱に伴う羽口前温度の低下を抑制するために、さらに酸素富化率を増加させることが求められる。
一方、水素ガスについては、分解による吸熱が生じないため、炭化水素を含有する還元ガスを用いた場合と比較して羽口前温度の低下は小さい。そのため、酸素富化率の調整量は小さく、ボッシュガス量の減少量は小さい。しかしながら、水素ガスは、炭化水素を含有するガスである水素系ガスと比較して、その製造コストが高い。そのため、水素ガスを用いた高炉の操業で製造される銑鉄の製造コストが高くなる。よって、高炉の操業において、より安価な還元ガスを用いてCO排出量を削減することが求められていた。
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、炭化水素を含有する水素系還元ガスを用いてCO排出量を削減することが可能な高炉の操業方法を提供することにある。
上記知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
[1] 本発明のある観点によれば、常温より高い温度の吹込み温度かつ所定の吹込み量で炭化水素を含有するガスである水素系ガスを羽口から吹込み、上記吹込み温度が上記吹込み量に応じて設定された温度である、又は、上記吹込み量が上記吹込み温度に応じて設定された吹込み量である、高炉の操業方法が提供される。
[2] 上記[1]に記載の高炉の操業方法では、上記吹込み温度に応じた上記吹込み量と炭素消費原単位の削減割合との相関を求め、上記相関に基づいて決定された上記吹込み温度及び上記吹込み量で、上記水素系ガスを上記羽口から吹込むことが好ましい。
[3] 上記[1]又は上記[2]に記載の高炉の操業方法では、上記吹込み温度に応じた上記吹込み量と炭素消費原単位の削減割合との相関を求め、求められた上記相関に基づいて、上記吹込み量毎に、100℃以上の吹込み温度であって所望の吹込み温度における上記炭素消費原単位の削減割合を線形補完によって導出し、上記吹込み温度、上記吹込み量、及び上記炭素消費原単位の削減割合を用いて、上記炭素消費削減単位の削減割合が、上記吹込み温度が常温である場合の上記炭素消費原単位の削減割合の最大値以上となる範囲に上記吹込み量の範囲を決定し、所望の上記吹込み温度、及び、決定された上記吹込み量で上記水素系ガスを上記羽口から吹込むことが好ましい。
[4] 上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の高炉の操業方法では、上記水素系ガスが天然ガスであり、上記吹込み温度が300℃の場合、上記天然ガスの上記吹込み量を140Nm/t以上、160Nm/t以下の範囲に設定し、上記吹込み温度が600℃の場合、上記天然ガスの上記吹込み量を90Nm/t以上、200Nm/t以下の範囲に設定し、上記吹込み温度が900℃の場合、上記天然ガスの上記吹込み量を70Nm/t以上、200Nm/t以下の範囲に設定し、上記吹込み温度が1200℃の場合、上記天然ガスの上記吹込み量を50Nm/t以上、200Nm/t以下の範囲に設定することが好ましい。
[5] 上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の高炉の操業方法では、上記水素系ガスがコークス炉ガスであり、上記吹込み温度が300℃の場合、上記コークス炉ガスの上記吹込み量を200Nm/tに設定し、上記吹込み温度が600℃の場合、上記コークス炉ガスの上記吹込み量を140Nm/t以上、200Nm/t以下に設定し、上記吹込み温度が900℃の場合、上記コークス炉ガスの上記吹込み量を100Nm/t以上、200Nm/t以下に設定し、上記吹込み温度が1200℃の場合、上記コークス炉ガスの上記吹込み量を80Nm/t以上、200Nm/t以下に設定することが好ましい。
本発明によれば、炭化水素を含有する水素系還元ガスを用いてCO排出量を削減することが可能な高炉の操業方法を提供することが可能である。
本発明の一実施形態に係る高炉の操業方法が適用され得る高炉を備える溶銑製造設備の一例を示す模式図である。 同実施形態に係る高炉の操業方法が適用され得る溶銑製造設備の一例を示す模式図である。 吹込み温度を常温として、天然ガス、COG、及び水素ガスを高炉内に吹込んだときの、各ガス吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input ΔCの相関を示すグラフである。 還元ガスとして、天然ガス、COG、及び水素ガスを用いたときの、各ガス吹込み量と酸素富化率の相関を示すグラフである。 還元ガスとして、天然ガス、COG、及び水素ガスを用いたときの、各ガス吹込み量と羽口前温度の相関を示すグラフである。 還元ガス、微粉炭、および、熱風中の湿分の分解により生じる水素の量であるトータル投入水素量と炭素消費原単位の削減割合Input ΔCとの相関を示すグラフである。 還元ガスとしての天然ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input ΔCとの相関を還元ガスの吹込み温度毎に示すグラフである。 還元ガスとしてのCOGの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input ΔCとの相関を還元ガスの吹込み温度毎に示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図中の各構成要素の寸法、比率は、実際の各構成要素の寸法、比率を表すものではない。
<溶銑製造設備の概略構成>
まず、本実施形態に係る高炉の操業方法の説明に先立ち、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る高炉の操業方法が適用され得る溶銑製造設備の一例を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る高炉の操業方法が適用され得る高炉を備える溶銑製造設備の一例を示す模式図である。図2は、本実施形態に係る高炉の操業方法が適用され得る高炉の一例を示す模式図である。
溶銑製造設備は、高炉1、還元ガスを蓄えるガスタンク2、ガスタンク2に備えられ還元ガスを加熱するヒーター3、及び熱風を製造する熱風炉4を備える。
(高炉1)
高炉1は、鉄系原料を還元して溶銑を製造する設備である。高炉1は、図2に示すように、炉体10、羽口11、送風本管12、送風支管13、微粉炭吹込みランス14、還元ガス吹込みランス15、出銑口16、及び旋回シュート17を備える。
炉体10は、上端が開口した竪型の反応容器である。炉体10は、中空の鉄皮と、鉄皮の内面に張られた耐火物、又は、ステーブで形成される。炉体10の下方(炉床)には、炉体10の内部で鉄系原料が還元されて生成した溶銑を貯留する溜まり部101が設けられる。炉体10の上端の開口部から、炉体10の内部に各種公知の方法で鉄系原料及びコークスが装入され、炉体10の内部で、鉄系原料が還元されて溶銑が製造される。
羽口11は、炉体10の側面の下部側に設けられ、熱風炉4で製造された熱風、還元ガス及び微粉炭を炉体10の内部に吹き込むための吹込み口である。炉体10は、複数の羽口11を備えることができる。羽口11を通じて、上記混合ガスに加えて、後述する還元ガス及び微粉炭を羽口11から炉内に吹き込むことができる。
送風本管12は、炉体10を囲むように設けられる環状の管であり、送風本管12には、送風支管13が接続されている。送風本管12は、熱風炉4から送られた熱風を送風支管13に供給する。
送風支管13は、送風本管12と羽口11に接続される。送風支管13は、送風本管12から送られた熱風を、羽口11を通じて炉内に供給する。
微粉炭吹込みランス14は、管状の形状を有しており、羽口11を通じて微粉炭を炉体10の内部に供給する。微粉炭吹込みランス14は、例えば、送風支管13の壁面から送風支管13の内部に挿入される。微粉炭吹込みランス14は、所定の量の微粉炭が炉内に吹き込まれれば、特段制限されず、例えば、円管、角管、径が異なる管が同心状に配置された多重管等を用いることができる。
還元ガス吹込みランス15は、管状の形状を有しており、羽口11を通じて還元ガスを炉体10の内部に供給する。還元ガス吹込みランス15は、例えば、送風支管13の壁面から送風支管13の内部に挿入される。図2では、微粉炭吹込みランス14の方が還元ガス吹込みランス15よりも羽口11側で送風支管13に挿入されているが、還元ガス吹込みランス15が微粉炭吹込みランス14より羽口11側で送風支管13に挿入されてもよい。
還元ガス吹込みランス15は、例えば、円管、角管、径が異なる管が同心状に配置された多重管等を用いることができる。また、還元ガス吹込みランス15が多重管ランスの場合は、還元ガス吹込みランス15の内部に形成される複数の空間のそれぞれに、それぞれ異なる還元ガスを供給することで、複数種類の還元ガスを同時に炉内に吹き込むことができる。
出銑口16は、溜まり部101に設けられ、鉄系原料の還元により生成された溶銑と副産物である溶滓を排出する。出銑口16は複数設けられ、溶銑滓を連続的または間歇的に出銑することができる。
旋回シュート17は、炉体10の上方に設けられ、鉄系原料及びコークスを炉体10の内部に装入する。鉄系原料及びコークスは、旋回シュート17の傾斜角度や回転速度が制御されることで、所望の炉内の所望の位置に装入される。
ここまで、高炉1の概略構成を説明した。操業中の高炉1において、炉体10の内部には、炉頂から鉄系原料及びコークスが装入され、羽口11から熱風、微粉炭及び還元ガスが吹き込まれている。熱風中の酸素によって、コークス、微粉炭及び還元ガスは燃焼して生成した一酸化炭素及び水素ガス並びに熱風含まれていた窒素ガスを含むボッシュガスが生成する。生成したボッシュガスによって、鉄系原料に含まれるFeやFe等が還元されて溶銑が生成する。このようにして溶銑が製造される炉体10の内部には、塊状帯20と、塊状帯20の下方に形成される融着帯30と、融着帯30の下方に形成される滴下帯40とが形成される。
塊状帯20は、図2に示すように、鉄系原料で構成される鉱石層201と、コークスで構成されるコークス層202とが交互に積層して形成される領域である。塊状帯20は、例えば、炉体10の炉頂から旋回シュート17によって鉄系原料とコークスとが交互に装入されて形成される。塊状帯20は、図2に示したように、炉内の上方に形成される。塊状帯20では、炉体10の下方から上昇するボッシュガスによって鉄系原料が還元される。塊状帯20における鉄系原料の還元反応は、500℃前後から始まり、900℃~1000℃程度でFeOまで還元される。
融着帯30は、塊状帯20の下方に存在する鉄系原料の還元と昇温が進行し、半溶融状態となって存在する領域である。融着帯30では、ボッシュガス、及び、コークス又は微粉炭に含まれる炭素により鉄系原料が還元される。融着帯30では、鉄系原料の還元途中に生成されるFeOとスラグ成分とが半溶融状態となっている。融着帯30には、滴下帯40から塊状帯20にガスが移動するための流路であるコークス層(コークススリット50)が存在する。炉下部のボッシュガスは、コークススリット50を通じて塊状帯20に移動する。
滴下帯40は、主としてコークスによって形成されており、コークス間の空隙を溶銑と溶融スラグとが下方に向かって滴下する領域である。溶銑と溶融スラグは、溜まり部101に貯留される。
(ガスタンク2)
ガスタンク2は、還元ガスを蓄える設備である。ガスタンク2に蓄えられている還元ガスは、ガスタンク2に備えられるヒーター(熱交換器)3によってその温度が調節される。ヒーター(熱交換器)3によって温度が調節された還元ガスは、高炉1の炉下部に設けられた羽口11に送られる。羽口11に送られた還元ガスは、熱風と混合され、羽口11から炉体10内に吹き込まれる。
(熱風炉4)
熱風炉4は、炉内に吹き込まれる熱風を製造する設備である。熱風は、空気、又は、空気と富化酸素が混合した気体が加熱されて製造される。富化酸素とは、熱風の酸素富化率を調整するための酸素である。熱風炉4で製造される熱風の温度は、蓄熱量や熱風供給量を制御することで調整される。
ここで、富化酸素混合前の空気の酸素濃度に対する富化酸素混合後の酸素濃度の上昇分を酸素富化率と呼称する。詳細には、酸素富化率とは、熱風に含まれる酸素の含有率(体積%)から、空気の酸素含有率21体積%を引いた値である。この酸素富化率は、熱風の流量及び熱風炉に送入する富化酸素の流量から算出することができる。
ここまで、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る高炉の操業方法が適用され得る溶銑製造設備の一例を説明したが、本実施形態に係る高炉の操業方法が適用される溶銑製造設備が、上述したものに限定されないことは言うまでもない。本実施形態に係る高炉の操業方法は、上記の溶銑製造設備の構成の一部が省かれているものや別の構成が追加されているものに適用されてもよい。また、本実施形態に係る高炉の操業方法は、高炉1の構成の一部が省かれているものや別の構成が追加されているものに適用されてもよい。
<本発明者らの知見>
続いて、図3~6を参照して、本発明者らが本発明に係る高炉の操業方法を発明するに際し、本発明者らにより得られた知見について説明する。図3は、還元ガスとして、天然ガス、COG、及び水素ガスを用いたときの、各ガス吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input ΔCの相関を示すグラフである。図4は、還元ガスとして、天然ガス、COG、及び水素ガスを用いたときの、各ガス吹込み量と酸素富化率の相関を示すグラフである。図5は、還元ガスとして、天然ガス、COG、及び水素ガスを用いたときの、各ガス吹込み量と羽口前温度の相関を示すグラフである。図6は、還元ガス、微粉炭、および、熱風中の湿分の分解により生じる水素の量であるトータル投入水素量と炭素消費原単位の削減割合Input ΔCとの相関を示すグラフである。
「炭素消費原単位の削減割合Input ΔC」は、還元ガスを吹き込まない操業であるベース操業による炭素消費量に対する炭素消費原単位の削減割合(%)を意味する。「炭素消費原単位(Input C)」は、溶銑1トンを製造するために投入した炭素、すなわち溶銑1トンあたりの炭素投入量である。よって、ベース操業のInput CをA(kg/t)、還元ガスを吹き込んで操業したときのInput CをB(kg/t)とすると、炭素消費原単位の削減割合Input △Cは、以下の式(1)で示される。
Input △C=(A-B)/A×100 ・・・式(1)
ここで、図1を参照して、還元ガスの吹込み温度について説明する。還元ガスは、上述したとおり、ガスタンク2内でヒーター3によって加熱された後、高炉1の炉下部に設けられた羽口11を通じて炉体10内に吹き込まれる。具体的には、羽口11に送られた還元ガスは、熱風炉4で製造された熱風と混合された後、羽口11から炉体10内に吹き込まれる。吹込み温度は、羽口11から炉体10内に吹き込まれる際の熱風と混合される前の還元ガスの温度である。実際の操業では、例えば、還元ガスを加熱するヒーター3の設定温度を吹込み温度とすることができる。熱風と還元ガスとが混合されることで還元ガスの温度は上昇するが、このときの温度は本実施形態における吹込み温度ではない。本実施形態における「常温」とは、非加熱の状態の温度を意味する。「常温」は例えば、20℃±15℃であり、25℃であってもよい。また、常温よりも高い温度とは、およそ100℃以上の温度のことを言う。特に、300℃以上の温度のことをいう。
羽口前温度は、羽口の炉内側先端部に形成されるレースウェイと呼ばれる燃焼空間の温度である。羽口前温度は、重見彰利著「製銑ハンドブック」(地人書館)に記載されたラムの式に従って羽口先理論燃焼温度として算出可能である。なお、羽口前温度を算出する方法はこれに限られず、例えば、計算に用いるレースウェイへのコークスの流入温度については、コークスが炉頂に装入されてから羽口前まで降下する過程の炉内ガスとの熱交換を解析して算出された結果を用いてもよい。本実施形態においては、後者の方法を用いた。
まず、本発明者らは、高炉操業シミュレーションを行い、還元ガスに天然ガス、COG、及び水素ガスを用いた場合の、各ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input ΔCの相関を調査した。詳細には、Kouji TAKATANI、Takanobu INADA、Yutaka UJISAWA、「Three-dimensional Dynamic Simulator for Blast Furnace」、ISIJ International、Vol.39(1999)、No.1、p.15-22などに示される、所謂「高炉数学モデル」を用い、高炉操業シミュレーションを行った。この高炉数学モデルは、概略的には、高炉の内部領域を高さ方向、径方向、周方向に分割することで複数のメッシュ(小領域)を規定し、各メッシュの挙動をシミュレーションするものである。
高炉数学モデルにおいては、還元ガスの吹込み量は、羽口から吹き込まれる還元ガスのガス量として設定される。還元ガスの吹込み温度は、還元ガスを羽口から吹き込む際の還元ガスの温度として設定される。炉頂ガス温度は、炉内装入物の最表層におけるガス温度から炉頂ガス温度計測点までの熱損失分を差し引いて算出される。羽口前温度は、各種ガスの燃焼熱、送風顕熱、羽口に流入するコークスの温度、各種反応熱等を考慮した結果として算出される。
炭素消費原単位の削減割合Input ΔCのための還元ガスを吹き込まないベース操業の条件を表1に示す。表1中の出銑量は、高炉から排出される銑鉄の量である。表1中のコークス比は溶銑1トンあたりの製造に使用するコークス量である。表1中の微粉炭比は溶銑1トンの製造あたりに使用する微粉炭量である。表1中の送風量は熱風中の空気の流量であり、富化酸素量は富化酸素の流量である。表1中の送風温度は熱風の温度である。
Figure 2022182422000002
還元ガスを吹き込む場合は、全操業で出銑量と溶銑温度が一定となるよう、送風量、富化酸素量を調整した。また、出銑比、溶銑温度、炉頂ガス温度が一定となるように、コークス比一定条件の下、微粉炭比、送風量、富化酸素量を調整した。
還元ガスを水素ガス、COG、又は天然ガスとして、上述した条件で高炉数学モデルを用いた高炉操業シミュレーションで得られた各還元ガス吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input ΔC関係を図3に示す。また、このときの酸素富化率を図4に羽口前温度を図5に示す。
図3に示すように、吹込み量が450Nm/t以下の範囲では、還元ガスが水素ガスである場合、還元ガスの吹込み量が増加するとともに炭素消費原単位の削減割合Input ΔCは増加する。一方で、還元ガスが天然ガス又はCOGである場合、吹込み量が比較的少ない条件では、還元ガスの吹込み量が増加するとともに炭素消費原単位の削減割合Input ΔCは増加する。吹込み量が更に増加すると、炭素消費原単位の削減割合Input ΔCの増加率は小さくなり、吹込み量がある程度増加すると、炭素消費原単位の削減割合Input ΔCの増加率は減少に転じることがわかった。これは、図4に示すように、各還元ガスの吹込み量の増加に伴い酸素富化率を増加させているものの、図5に示すように、還元ガスの吹込み量の増加によって羽口前温度が低下している。その結果、還元ガスの吹込み量がある量を超えると炉内に供給される投入顕熱量が著しく減少し、還元ガスの吹込み量を増加しても水素還元効率が低下するため炭素消費原単位の削減割合Input ΔCの増加率が減少する。
還元ガスが炭化水素含有する水素系ガスである場合、羽口を通じて炉内に吹込まれた当該ガスは分解し、水素及びCOが生じる。図6は、還元ガス、微粉炭、及び、熱風中の湿分の分解により生じる水素の量であるトータル投入水素量と炭素消費原単位の削減割合Input ΔCとの相関を示している。還元ガスがCOG及び天然ガスであって、これらが分解して生じる水素量が等しい場合、炭素消費原単位の削減割合Input ΔCはほぼ同程度であり、炭素消費原単位の削減割合Input ΔCは、最大で5~6%程度となる。このように、本発明者らは、シミュレーションモデルによって、炭化水素を含有する水素系ガスを還元ガスに用いた場合、吹込み量にCO排出量を削減するための適正な範囲が存在することを見出した。
一方で、図6に示すように、還元ガスに水素ガスを用いた場合、水素ガスの量が増えてトータル投入水素量が増えるにつれて炭素消費原単位の削減割合Input ΔCは増大し、トータル投入水素量が500Nm/tでは、炭素消費原単位の削減割合Input ΔCが16%程度である。図6に示すように、吹込み温度を常温としたときの、還元ガスに炭化水素を含有する水素系ガスである天然ガス又はCOGを用いたときの炭素消費原単位の削減割合Input ΔCは、水素ガスを用いた場合と同等の炭素消費原単位の削減割合Input ΔCより著しく小さい。本発明者らは、炭化水素を含有する水素系ガスを還元ガスとして用いた場合にも、還元ガスに水素ガスを用いた場合と同程度以上の炭素消費原単位の削減割合Input ΔCを達成するために、還元ガスの吹込み温度を上げることに想到した。還元ガスとして炭化水素を含有する水素系ガスを多量に吹き込んだ場合の炉内の各反応速度等を精度よく把握することは非常に困難であり、これらについての詳細な検討はこれまで行われていなかった。上記の事項について、本発明者らによって初めて詳細な検討が行われた。すなわち、水素系ガス多量吹込み条件での試験高炉操業を実施し、該操業結果を用いてシミュレーションモデルの精度向上を図り、実高炉条件へのスケールアップ評価を行った。本発明者らは、上記シミュレーションモデルによって検討を行い、この結果、炭化水素を含有する水素系ガスの吹込み温度毎に吹込み量の適正範囲が存在することを見出した。
<高炉の操業方法>
続いて、図7及び図8を参照して、本実施形態に係る高炉の操業方法を説明する。図7は、還元ガスとしての天然ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input ΔCとの相関を還元ガスの吹込み温度毎に示すグラフである。図8は、還元ガスとしてのCOGの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input ΔCとの相関を還元ガスの吹込み温度毎に示すグラフである。なお、図7及び図8には、吹込み温度を25℃として水素ガスを吹き込んだ場合の炭素消費原単位の削減割合Input ΔCが併記されている。
本実施形態に係る高炉の操業方法は、炭化水素を含有する水素系ガスを、常温より高い吹込み温度かつ所定の吹込み量で羽口から吹込む。以下に詳細に説明する。
本実施形態に係る高炉の操業方法では、還元ガスとして炭化水素を含有する水素系ガスが用いられる。炭化水素を含有する水素系ガスは、炭化水素を、30mol%以上含有する。炭化水素を含有する水素系ガスの炭化水素の含有量は、90mol%以上であってもよい。また、炭化水素を含有する水素系ガスの炭化水素の含有量は、30mol%以下であってもよい。
炭化水素を含有する水素系ガスとしては、例えば、COG、天然ガス、及びLPG等が挙げられる。LPGとは、炭素数が3又は4の炭化水素を含有するガスである。LPGは、例えば、プロパン、ブタン、プロピレン、ブチレン、又はこれらを主に含有するガスである。COGは、石炭をコークス炉で乾留したときに得られるガスであり、水素及びメタンを主に含有し、その他に、酸素、一酸化炭素、水蒸気やエチレン等の炭化水素を含有する。天然ガスは、メタンを主に含有し、その他に、エタン、プロパン、ブタン等の炭化水素を含有する。炭化水素を含有する水素系ガスは、水素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、水蒸気、窒素ガス等を含んでいてもよい。
本実施形態に係る高炉の操業方法では吹込み温度を常温より高い温度とし、かつ、吹込み量を所定の量とする。図7及び図8に示したグラフは、上述した<本発明者らの知見>の項目で説明した方法と同様の方法で、高炉操業シミュレーションを行って得られたものである。図7及び図8に示すように、同一の吹込み量に対する炭素消費原単位の削減割合Input △Cは、還元ガスの吹込み温度が高いほど大きくなる。また、還元ガスの吹込み温度が高いほど、同じ炭素消費原単位の削減割合Input ΔCとなる必要な還元ガス量を低減することができる。この理由は、還元ガスの吹込み温度が高いほど、高炉内で生じたボッシュガス(窒素ガス、水素ガス、及びCOガスの混合ガス)から共有される顕熱量が大きくなるので、水素還元の効率が高くなると考えられる。そのため、還元ガスの吹込み温度が高いほど炭素消費原単位の削減割合Input △Cが大きくなると考えられる。よって、本実施形態に係る高炉の操業方法では、吹込み温度を常温より高い温度とし、かつ、吹込み量を所定の量とする。そして、本実施形態に係る高炉の操業方法では、吹込み温度が吹込み量に応じて設定されるか、又は、吹込み量が吹込み温度に応じて設定される。
還元ガスとして天然ガスを用いた場合、図7に示すように、300℃以上に吹込み温度を上げることで、天然ガス吹込量あたりの炭素消費原単位削減効果が向上し、炭素消費原単位の削減割合Input △Cを5%以上とすることができる。5%以上の炭素消費原単位の削減割合Input ΔCは、吹込み温度を25℃として天然ガスを吹込む場合では成し得なかった値である。また、天然ガスの吹込み温度が25℃の場合では、水素ガスの吹込み温度が常温であり吹込み量が100Nm/tである場合の炭素消費原単位の削減割合Input ΔCを達成することはできないが、天然ガスの吹込み温度を300℃以上にすれば、水素ガスの吹込み温度が常温であり吹込み量が100Nm/tである場合の炭素消費原単位の削減割合Input ΔC以上が達成される。
還元ガスとしてCOGを用いた場合も、図8に示すように、300℃以上に吹込み温度を上げることで、COG吹込量あたりの炭素消費原単位削減効果が向上し、炭素消費原単位の削減割合Input △Cを6%以上とすることができる。また、COGの吹込み温度が25℃の場合では、水素ガスの吹込み温度が常温であり吹込み量が100Nm/tである場合の炭素消費原単位の削減割合Input ΔCを達成することはできないが、COGの吹込み温度を300℃以上にすれば、水素ガスの吹込み温度が常温であり吹込み量が100Nm/tである場合の炭素消費原単位の削減割合Input ΔC以上が達成される。
上記のとおり、炭化水素を含有する還元ガスの吹込み量が一定である場合、常温より高い温度の吹込み温度で還元ガスを羽口から吹込むことで、炭素消費原単位の削減割合Input ΔCを大幅に増加させることができる。また、炭素消費原単位の削減割合Input ΔCが一定である場合、還元ガスの吹込み量を削減することができる。
また、例えば、図7及び図8に示すように、炭化水素を含有する水素系ガスの吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input △Cとの間には一定の相関がある。そこで、本実施形態に係る高炉の操業方法では、炭化水素を含有する水素系ガスの吹込み温度に応じた吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input ΔCとの相関を求め、当該相関に基づいて、吹込み温度及び吹込み量を決定することが好ましい。
炭化水素を含有する水素系ガスの吹込み温度に応じた吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input ΔCとの相関は、以下の方法で求められれば良い。例えば、還元ガスの吹込み温度を含む現状の高炉操業を反映した高炉操業シミュレーションにより何点かの吹込み量のそれぞれに対する炭素消費原単位の削減割合Input △Cを求める。高炉操業シミュレーションは、上述した方法で行われればよい。
次いで、横軸を単位Nm/tとして炭化水素を含有する水素系ガスの吹込み量、縦軸を炭素消費原単位の削減割合Input △C(%)とした平面上に上記方法で求めた値をプロットする。次いで、これらのプロットの近似曲線を例えば最小二乗法で求め、近似曲線を示す相関式を吹込み量-炭素消費原単位削減割合Input ΔCの相関式とすればよい。
還元ガスの吹込み量及び吹込み温度は、現状の操業よりも炭素消費原単位の削減割合Input △Cが大きくなる吹込み量を上記で求めた吹込み量-炭素消費原単位の削減割合の相関式に基づいて定められればよい。そして、還元ガスを当該決定された吹込み量で羽口から吹き込む。これにより、炭素消費原単位の削減割合Input △Cをより確実に大きくすることができる。
ここで、吹込み量-炭素消費原単位の削減割合Input ΔCの相関式は、炭化水素を含有する水素系ガスの吹込み温度毎に予め求めておくことが好ましい。これにより、吹込み温度が変動した場合にも容易に所望の還元ガスの吹込み量を決定することができる。すなわち、吹込み温度が変動した場合にも、容易に炭素消費原単位の削減割合Input △Cが大きくなる還元ガスの吹込み量を決定することができる。
より具体的には、炭化水素を含有する水素系ガスが天然ガスである場合、吹込み温度が300℃の場合、天然ガスの吹込み量を140Nm/t以上、160Nm/t以下の範囲に設定し、吹込み温度が600℃の場合、天然ガスの吹込み量を90Nm/t以上、200Nm/t以下の範囲に設定し、吹込み温度が900℃の場合、天然ガスの吹込み量を70Nm/t以上、200Nm/t以下の範囲に設定し、吹込み温度が1200℃の場合、天然ガスの吹込み量を50Nm/t以上、200Nm/t以下の範囲に設定することが好ましい。こと炭化水素を含有する水素系ガスが天然ガスである場合に、吹込み量及び吹込み温度を上記のとおりに制御することで、より一層確実に、高い炭素消費原単位の削減割合Input △Cを得ることができる。
各吹込み温度における吹込み量の下限値及び上限値は、プロットしたデータをもとに近似式を作成し、作成した近似直線又は近似曲線と、Input ΔCの閾値であるInput ΔC=6.3%とを基に作成してもよい。また、各吹込み温度における吹込み量の下限値及び上限値は、Input ΔCが6.3%以上となる吹込み量を各吹込み温度での数値シミュレーションによって求めることとしてもよい。本実施形態では、プロットしたデータを基に線形の近似式を作成し、作成した線形の近似式を基に、各吹込み温度においてInput ΔCが6.3%以上となる吹込み量の範囲を推定した。その結果、300℃の場合では、吹込み量が約140Nm/t以上、約160Nm/t以下の場合にInput ΔCが6.3%以上となった。吹込み温度が600℃の場合、900℃の場合、及び1200℃の場合の天然ガスの吹込み量の範囲も、上記方法により決定されたものである。
更に、本実施形態に係る高炉の操業方法では、吹込み温度に応じた吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input ΔCとの相関を求め、求められた相関に基づいて、吹込み量毎に、100℃以上の吹込み温度であって所望の吹込み温度における炭素消費原単位の削減割合Input ΔCを線形補完によって導出し、吹込み温度、吹込み量、及び炭素消費原単位の削減割合Input ΔCを用いて、炭素消費削減単位の削減割合Input ΔCが、吹込み温度が常温である場合の炭素消費原単位の削減割合Input ΔCの最大値以上となる範囲に吹込み量の範囲を決定し、所望の吹込み温度、及び、決定された吹込み量で水素系ガスを羽口から吹込むことが好ましい。
吹込み温度が、300℃、600℃、900℃、及び1200℃の場合について上記のように説明した。吹込み温度が上記の温度以外の場合、以下の手順で、吹込み量毎の常温(25℃)、300℃、600℃、900℃、1200℃におけるInput ΔCから、線形補完によって、対応する吹込み温度におけるInput ΔCを算出し、吹込み温度と算出されたInput ΔCの関係から、Input ΔCと吹込み量との関係を導出し、この関係を基に吹込み量の範囲を決定してもよい。以下に、水素系ガスとして天然ガスを用い、吹込み温度が100℃の場合における吹込み量を決定する方法について説明する。
ステップS1:まず、数値シミュレーションにより、吹込み量が100Nm/tであり、吹込み温度が常温(25℃)である場合のInput ΔC、及び、吹込み量が100Nm/tであり、吹込み温度が300℃である場合のInput ΔCを求める。吹込み量が100Nm/tであり、吹込み温度が常温(25℃)である場合のInput ΔCは、約4.5%である。また、吹込み量が100Nm/tであり、吹込み温度が300℃である場合のInput ΔCは、約5.5%である。
ステップS2:次いで、Input ΔCと吹込み温度との関係について線形の近似式を作成するために、Input ΔC=α×(吹込み温度/℃)+βとし、α及びβを算出する。具体的には、(Input ΔC、吹込み温度)=(4.5、25)、(5.5、300)を代入し、α及びβを算出する。この場合、α≒0.0036、β≒4.41となる。したがって、上記式は、Input ΔC=0.0036×(吹込み温度/℃)+4.41となる。この式は、吹込み量が100Nm/tであるときの、Input ΔC及び吹込み温度に関する近似式である。
ステップS3:上記近似式から、吹込み量が100Nm/tであり、吹込み温度が100℃である場合のInput ΔCを求める。この場合、Input ΔC=0.0036×100+4.41=4.77%である。
ステップS4:吹込み量が0Nm/t、50Nm/t、150Nm/t、及び200Nm/tの場合について、ステップS1~ステップS3を行い、Input ΔC及び吹込み温度に関する近似式を導出し、各近似式から、吹込み温度が100℃である場合の上記吹込み量毎のInput ΔCを算出する。
ステップS5:算出された各Input ΔCから、吹込み温度が100℃の場合のInput ΔCと吹込み量との近似式を作成する。Input ΔCと吹込み量との近似式は、例えば、最小二乗法で求めればよい。
ステップS6:作成した近似式において、Input ΔCが6.3%以上となる吹込み量の範囲を算出する。吹込み温度が100℃の場合、この吹込み量の範囲で天然ガスを吹き込む。なお、上記の6.3%は、吹込み温度が常温であって、吹込み量が0Nm/t、50Nm/t、150Nm/t、及び200Nm/tとしたときのInput ΔCの最大値である。
また、炭化水素を含有する水素系ガスがCOGである場合、吹込み温度が300℃の場合、COGの吹込み量を200Nm/tに設定し、吹込み温度が600℃の場合、COGの吹込み量を140Nm/t以上、200Nm/t以下に設定し、吹込み温度が900℃の場合、COGの吹込み量を100Nm/t以上、200Nm/t以下に設定し、吹込み温度が1200℃の場合、COGの吹込み量を80Nm/t以上、200Nm/t以下に設定することが好ましい。炭化水素を含有する水素系ガスがCOGである場合に、吹込み量及び吹込み温度を上記のとおりに制御することで、より一層確実に、高い炭素消費原単位の削減割合Input △Cを得ることができる。
水素系ガスに天然ガスを用いた場合と同様に、COGの場合、各吹込み温度の吹込み量の下限値及び上限値は、プロットしたデータをもとに近似式を作成し、作成した近似直線又は近似曲線と、Input ΔCの閾値であるInput ΔC=6.3%とを基に作成してもよい。また、Input ΔCが6.3%以上となる吹込み量を各吹込み温度での数値シミュレーションによって求めることとしてもよい。本実施形態では、プロットしたデータをを基に線形の近似式を作成し、作成した線形の近似式を基に、各吹込み温度においてInput ΔCが6.3%以上となる吹込み量を推定した。その結果、300℃の場合では、吹込み量が約200Nm/tの場合にInput ΔCが約6.3%となった。吹込み温度が600℃の場合、900℃の場合、及び1200℃の場合のCOGの吹込み量の範囲も、上記方法により決定されたものである。
水素系ガスがCOGの場合も天然ガスの場合と同様に、線形補完によって、所望の温度におけるInput ΔCと吹込み量の関係を導出し、所望の温度における吹込み量の範囲を決定してもよい。
次に本発明の実施例を示すが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、以下の実施例で用いた条件に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
本実施例では、高炉操業シミュレーションを行うことで、本実施形態に係る高炉の操業方法によって炭素消費原単位の削減割合Input △Cが大きくなる、すなわちCO排出量が削減されることを確認した。
高炉操業シミュレーションには、Kouji TAKATANI、Takanobu INADA、Yutaka UJISAWA、「Three-dimensional Dynamic Simulator for Blast Furnace」、ISIJ International、Vol.39(1999)、No.1、p.15-22などに示される、所謂「高炉数学モデル」を用いた。
高炉数学モデルにおいては、還元ガスの吹込み量は、羽口から吹き込まれる還元ガスのガス量として設定された。還元ガスの吹込み温度は、還元ガスを羽口から吹き込む際の還元ガスの温度として設定された。炉頂ガス温度は、炉内装入物の最表層におけるガス温度から炉頂ガス温度計測点までの熱損失分を差し引いて算出された。羽口前温度は、各種ガスの燃焼熱、送風顕熱、羽口に流入するコークスの温度、各種反応熱等を考慮した結果として算出された。
鉄系原料として、焼結鉱、ペレット、塊鉱石の混合物を想定した。また、これら鉄系原料の平均組成は、T-Fe:59.48質量%、FeO:6.10質量%、残部は、その他成分とした。また、コークスについては、C:85.61質量%、Ash:11.5質量%、残部はその他成分である場合を想定した。
還元ガスとしては、天然ガス及びCOGを用いることを想定した。天然ガスの吹込み量及びCOGの吹込み量は、0~200Nm/tとし、吹込み温度は25~1200℃とした。還元ガスとして天然ガスを用いることを想定した計算結果は図7に示したとおりであり、還元ガスとしてCOGを用いることを想定した計算結果を図8に示したとおりである。
還元ガスに天然ガスを想定した場合、図7に示したように、天然ガスの吹込み温度に応じた吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input ΔCの相関が得られた。そして、図7に示したように、吹込み温度が300℃の場合、Input ΔCが6.3%以上に相当する天然ガスの吹込み量は140Nm/t以上、160Nm/t以下の範囲であった。吹込み量の下限値(140Nm/t)及び上限値(160Nm/t)は、図7にプロットされたデータ(吹込み温度:300℃、吹込み量:0Nm/t、50Nm/t、100Nm/t、150Nm/t、及び200Nm/tの条件で得られたInput ΔC)によって作成した近似式と、基準データ(吹込み温度:常温、吹込み量:0Nm/t、50Nm/t、100Nm/t、150Nm/t、及び200Nm/tの条件で得られたInput ΔC)によって作成した近似曲線によって得られた最大値(Input ΔC=6.3%)と、をもとに算出した。
同様に、吹込み温度が600℃の場合、Input ΔCが6.3%以上に相当する天然ガスの吹込み量は、90Nm/t以上、200Nm/t以下の範囲であった。吹込み量の下限値(90Nm/t)は、図7にプロットされたデータ(吹込み温度:600℃、吹込み量:0Nm/t、50Nm/t、100Nm/t、150Nm/t、及び200Nm/tの条件で得られたInput ΔC)によって作成した近似式と、基準データ(吹込み温度:常温、吹込み量:0Nm/t、50Nm/t、100Nm/t、150Nm/t、及び200Nm/tの条件で得られたInput ΔC)によって作成した近似曲線によって得られた極大値(Input ΔC=6.3%)とをもとに算出した。なお、吹込み量の上限値(200Nm/t)は、実操業上で想定される最大の吹込み量に基づき設定した。
同様に、吹込み温度が900℃の場合、Input ΔCが6.3%以上に相当する天然ガスの吹込み量は、70Nm/t以上、200Nm/t以下の範囲であった。吹込み温度が1200℃の場合、Input ΔCが6.3%以上に相当する天然ガスの吹込み量は、50Nm/t以上、200Nm/t以下の範囲であった。
還元ガスにCOGを想定した場合、図8に示したように、COGの吹込み温度に応じた吹込み量と炭素消費原単位の削減割合Input ΔCの相関が得られた。そして、図8に示したように、吹込み温度が300℃の場合、COGの吹込み量が200Nm/tと設定する。同様に、吹込み温度が600℃の場合、COGの吹込み量の範囲は140Nm/t以上、200Nm/t以下と設定した。同様に、吹込み温度が900℃の場合、COGの吹込み量の範囲は、100Nm/t以上、200Nm/t以下と設定すしたる。同様に、吹込み温度が1200℃の場合、COGの吹込み量の範囲は80Nm/t以上、200Nm/t以下と設定した。
上記のとおり、本実施形態に係る高炉の操業方法に従って炭化水素を含有する水素系ガスを高炉内に吹き込むことで、炭素消費原単位の削減割合Input △Cを大きくすることができ、ひいてはCO排出量を大きく削減することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 高炉
2 ガスタンク
3 ヒーター
4 熱風炉
10 炉体
11 羽口
12 送風本管
13 送風支管
14 微粉炭吹込みランス
15 還元ガス吹込みランス
16 出銑口
17 旋回シュート
20 塊状帯
30 融着帯
40 滴下帯
50 コークススリット
101 溜まり部
201 鉱石層
202 コークス層

Claims (5)

  1. 常温よりも高い温度の吹込み温度かつ所定の吹込み量で炭化水素を含有するガスである水素系ガスを羽口から吹込み、
    前記吹込み温度が前記吹込み量に応じて設定された温度である、又は、前記吹込み量が前記吹込み温度に応じて設定された吹込み量である、高炉の操業方法。
  2. 前記吹込み温度に応じた前記吹込み量と炭素消費原単位の削減割合との相関を求め、
    前記相関に基づいて決定された前記吹込み温度及び前記吹込み量で、前記水素系ガスを前記羽口から吹込む、請求項1に記載の高炉の操業方法。
  3. 前記吹込み温度に応じた前記吹込み量と炭素消費原単位の削減割合との相関を求め、求められた前記相関に基づいて、前記吹込み量毎に、100℃以上の吹込み温度であって所望の吹込み温度における前記炭素消費原単位の削減割合を線形補完によって導出し、
    前記吹込み温度、前記吹込み量、及び前記炭素消費原単位の削減割合を用いて、前記炭素消費原単位の削減割合が、前記吹込み温度が常温である場合の前記炭素消費原単位の削減割合の最大値以上となる範囲に前記吹込み量の範囲を決定し、
    所望の前記吹込み温度、及び、決定された前記吹込み量で前記水素系ガスを前記羽口から吹込む、請求項1又は2に記載の高炉の操業方法。
  4. 前記水素系ガスが天然ガスであり、
    前記吹込み温度が300℃の場合、前記天然ガスの前記吹込み量を140Nm/t以上、160Nm/t以下の範囲に設定し、
    前記吹込み温度が600℃の場合、前記天然ガスの前記吹込み量を90Nm/t以上、200Nm/t以下の範囲に設定し、
    前記吹込み温度が900℃の場合、前記天然ガスの前記吹込み量を70Nm/t以上、200Nm/t以下の範囲に設定し、
    前記吹込み温度が1200℃の場合、前記天然ガスの前記吹込み量を50Nm/t以上、200Nm/t以下の範囲に設定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の高炉の操業方法。
  5. 前記水素系ガスがコークス炉ガスであり、
    前記吹込み温度が300℃の場合、前記コークス炉ガスの前記吹込み量を200Nm/tに設定し、
    前記吹込み温度が600℃の場合、前記コークス炉ガスの前記吹込み量を140Nm/t以上、200Nm/t以下に設定し、
    前記吹込み温度が900℃の場合、前記コークス炉ガスの前記吹込み量を100Nm/t以上、200Nm/t以下に設定し、
    前記吹込み温度が1200℃の場合、前記コークス炉ガスの前記吹込み量を80Nm/t以上、200Nm/t以下に設定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の高炉の操業方法。
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