JP2022159125A - 電波吸収層積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体モールド工程時に成型性、電波吸収性に優れた電波吸収層を、半導体部品へ転写することに適した積層フィルムを提供する。【解決手段】基材フィルム及び電波吸収層を有する積層フィルムであって、電波吸収層は、アスペクト比(長さ/直径)が100以上のナノ繊維状物質およびバインダー樹脂を含有し、電波吸収層におけるナノ繊維状物質の含有量が1~80質量%であり、基材フィルムの厚みが10μm以上であって、基材フィルムと電波吸収層の厚み比(基材フィルム/電波吸収層)が0.03~10.0である積層フィルム。【選択図】なし
Description
本発明は電波吸収層積層フィルムに関し、特に、樹脂モールド型半導体部品の製造に好適に使用できる電波吸収層積層フィルムに関する。
従来、電子機器の誤作動等を抑制するEMC(電磁両立性)対策は製品レベルで施されるものであった。しかし、電子機器の小型化、高速化、低消費電力化、さらにはSiPなどの半導体部品の高集積化や5Gなどの通信、自動運転技術のセンシングにミリ波帯の高周波が利用されることなどにより、製品内部および各部品内部での自家中毒による信号感度の低下や誤作動が起きている。そのため、EMC対策に伴う基板の再設計や、製品レベルでの対策を繰り返すことを余儀なくされ、電子機器の開発や製造のコストアップにつながることが問題視されている。このコストアップの抑制として、実装基板レベルや半導体部品レベルからEMC対策を施し、ノイズ発生源からの対策が進められている。なかでも、ノイズによる誤作動が人命に関わる自動車、医療などの業界で使われる電子機器においては半導体部品レベルでのEMC対策、評価が特に必要とされている。
半導体部品レベルでのEMC対策としては、メタルケースや特許文献1のようにスパッタリングによる導電体で半導体部品を覆う方法が知られている。メタルケースで覆う方法は隙間無く覆うことが難しく、半導体部品の小型化、薄型化、複雑形状への対応が困難であり、スパッタリングの方法は半導体部品の小型化、薄型化、複雑形状への対応には優れているが、メタルケースと比較し製造コストが3倍以上に膨らむ問題があった。そこで、特許文献2のように半導体のモールド成型用離型フィルムに電波を遮蔽する材料をコーティングし、成形時に電波遮蔽材料をモールド材表面に転写するプロセスも考案されている。
しかしながら、半導体モールド工程転写時における電波遮蔽層の成型性について具体的な例示がなく、電波遮蔽材料コーティング時のスジや成型時のシワや折れ、転写時の破れなど改善の余地があり、電波遮蔽材料として用いられている金属層は、金属特有の疲労現象により屈曲等に対して脆弱であるという問題や、電波を反射して遮蔽するため、反射されたノイズが他の電子機器に悪影響を与える自家中毒が生じる問題があった。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、塗工性に優れ、屈曲や絞りなどのモールド成型においてシワや折れ、破れなどを低減した成形性に優れたフィルムであり、適度な層間密着により優れた転写性を有し、転写成型後にも優れた電波吸収性を発揮できる積層フィルムを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)基材フィルム及び電波吸収層を有する積層フィルムであって、電波吸収層は、アスペクト比(長さ/直径)が100以上のナノ繊維状物質およびバインダー樹脂を含有し、電波吸収層におけるナノ繊維状物質の含有量が1~80質量%であり、基材フィルムの厚みが10μm以上であって、基材フィルムと電波吸収層の厚み比(基材フィルム/電波吸収層)が0.03~10.0である積層フィルム。
(2)基材フィルムと電波吸収層との間に中間層を有する(1)に記載の積層フィルム。
(3)各層間の少なくとも1つの層間密着強度が0.02~4.00N/cmであることを特徴とする(1)または(2)に記載の積層フィルム。
(4)中間層が、酸変性ポリオレフィン樹脂および架橋剤を含有する(1)~(3)のいずれかに記載の積層フィルム。
(5)ナノ繊維状物質が、金属ナノワイヤーである(1)~(4)のいずれかに記載の積層フィルム。
(6)金属ナノワイヤーを構成する金属が、鉄、ニッケル、コバルト、及びこれらの元素を含む合金から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする(5)に記載の積層フィルム。
(7)バインダー樹脂が、熱硬化性樹脂であることを特徴とする(1)~(6)のいずれかに記載の積層フィルム。
(8)電波吸収層の体積抵抗率が107Ω・cm以上であることを特徴とする(1)~(7)のいずれかに記載の積層フィルム。
(9)電子部品の製造方法であって、素子を封止するモールド材と電波吸収層が接するように(1)~(8)のいずれかに記載の積層フィルムを配し、積層フィルムから電波吸収層を剥離し、モールド材表面に転写する工程を有する、電子部品の製造方法。
(10)素子が、半導体または半導体を含むモジュールであることを特徴とする(9)に記載の電子部品の製造方法。
(1)基材フィルム及び電波吸収層を有する積層フィルムであって、電波吸収層は、アスペクト比(長さ/直径)が100以上のナノ繊維状物質およびバインダー樹脂を含有し、電波吸収層におけるナノ繊維状物質の含有量が1~80質量%であり、基材フィルムの厚みが10μm以上であって、基材フィルムと電波吸収層の厚み比(基材フィルム/電波吸収層)が0.03~10.0である積層フィルム。
(2)基材フィルムと電波吸収層との間に中間層を有する(1)に記載の積層フィルム。
(3)各層間の少なくとも1つの層間密着強度が0.02~4.00N/cmであることを特徴とする(1)または(2)に記載の積層フィルム。
(4)中間層が、酸変性ポリオレフィン樹脂および架橋剤を含有する(1)~(3)のいずれかに記載の積層フィルム。
(5)ナノ繊維状物質が、金属ナノワイヤーである(1)~(4)のいずれかに記載の積層フィルム。
(6)金属ナノワイヤーを構成する金属が、鉄、ニッケル、コバルト、及びこれらの元素を含む合金から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする(5)に記載の積層フィルム。
(7)バインダー樹脂が、熱硬化性樹脂であることを特徴とする(1)~(6)のいずれかに記載の積層フィルム。
(8)電波吸収層の体積抵抗率が107Ω・cm以上であることを特徴とする(1)~(7)のいずれかに記載の積層フィルム。
(9)電子部品の製造方法であって、素子を封止するモールド材と電波吸収層が接するように(1)~(8)のいずれかに記載の積層フィルムを配し、積層フィルムから電波吸収層を剥離し、モールド材表面に転写する工程を有する、電子部品の製造方法。
(10)素子が、半導体または半導体を含むモジュールであることを特徴とする(9)に記載の電子部品の製造方法。
本発明の積層フィルムは、屈曲や絞りなどの成型性と電波吸収性に優れていることから、半導体部品の製造工程において、金型面側に基材フィルムを配置し、モールド材側に電波吸収層を配置して使用することにより、半導体モールドの製造工程で用いることができる。モールド材表面に電波吸収層を転写することができ、半導体パッケージを一括に、かつ、簡便に優れた電波吸収性能を発揮させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層フィルムは、基材フィルム及び電波吸収層を有する積層フィルムである。
本発明の積層フィルムは、基材フィルム及び電波吸収層を有する積層フィルムである。
本発明において、基材フィルムは、例えば、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ(1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ乳酸、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド6、ポリ-p-キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド4T、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリイミド、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン系共重合体などが挙げられ、単層でも複数の樹脂からなる複層あるいはアロイの状態でもよい。複層フィルムの場合、同種樹脂からなるフィルムで構成されてもよく、また、例えば、ポリアミド6/MXD6ナイロン/ポリアミド6、ポリアミド6/エチレン-ビニルアルコール共重合体/ポリアミド6などの異種樹脂からなるフィルムで構成されてもよい。
なかでも、耐熱性と成型性、コストの観点から、基材フィルムは、半導体パッケージのモールド工程で使用される金型設定温度、たとえば170℃以上に融点を2点以上有する延伸ポリエステルフィルムが好ましく、それぞれ融点が金型設定温度以上である2種類以上のポリエステル樹脂がブレンドされていることがより好ましい。それぞれ融点が金型設定温度以上である2種類以上のポリエステル樹脂がブレンドされていることで、低融点側の樹脂のもつ金型温度170℃という高温での柔軟性により金型への追従性が向上し、高融点側の樹脂のもつ耐熱性により離型時の破れが防止されるといった、両方の性質を併せ持つ利点がある。このようなポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、または、それらの共重合体などを挙げることができる。
ポリエステルを構成するジカルボン酸成分および/またはジオール成分が炭素数2~5のアルキル鎖を繰り返し成分として含むものが、高温下での高分子鎖が動きやすく、金型への追従性に適しているため、特に好ましい。このようなポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アジピン酸共重合体ポリエステルなどの共重合体といった170℃以上に融点をもつものを挙げることができる。
ポリエステルを構成するジカルボン酸成分および/またはジオール成分が炭素数2~5のアルキル鎖を繰り返し成分として含むものが、高温下での高分子鎖が動きやすく、金型への追従性に適しているため、特に好ましい。このようなポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アジピン酸共重合体ポリエステルなどの共重合体といった170℃以上に融点をもつものを挙げることができる。
ポリエステル樹脂のブレンド比率について、ポリエチレンテレフタレートを用いる場合は、そのブレンド比率が20~60質量%であることが好ましく、25~55質量%がより好ましい。また、ポリブチレンテレフタレートを用いる場合は、そのブレンド比率が40~80質量%であることが好ましく、45~75質量%がより好ましい。
ポリエチレンテレフタレートを用いることで、高温下で成型をする際に、ポリエチレンテレフタレートのもつ耐熱性により、フィルムが破れにくくなる。ポリブチレンテレフタレートは、例えばポリエチレンテレフタレートに比べて、化学骨格中に含まれる脂肪族の炭素数が2つ多いため、分子鎖の可動性が高く、柔軟性に優れている。このため、基材フィルムを構成する樹脂として、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートを上記の最適なブレンド比率で混合して用いることで、得られたフィルムの耐熱性、柔軟性が向上して、成型時の金型追従性が良くなる。
基材フィルムは、引張強度や成形性向上、高温雰囲気下での低収縮性といった観点で延伸フィルムであることが好ましい。未延伸フィルムは、配向していないため強度が低く、成型時に破れやすく、高温雰囲気下では収縮が大きくシワが発生しやすい。
基材フィルムの厚みは、10μm以上である必要があり、基材フィルムと電波吸収層の厚み比(基材フィルム/電波吸収層)が0.03~10.0を満たす必要がある。モールド成型時の成形性の観点から、基材フィルムの厚みは、10~350μmが好ましく、12~250μmがより好ましく、15~125μmがさらに好ましく、20~100μmが特に好ましく、25~75μmが最も好ましい。薄い場合はモールド成型時に破れやすく、厚い場合はモールド成型時の成型性に劣る。また、基材フィルムと電波吸収層の厚み比は、上記範囲を外れた場合はモールド成型時に基材フィルムと電波吸収層の伸縮差によりシワが発生しやすくなる。
基材フィルムには各目的に応じてシリカ、酸化チタン、ガラス繊維、炭酸カルシウム等の無機フィラーや酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、難燃剤などの添加剤を添加してもよい。
本発明の積層体を構成する電波吸収層は、アスペクト比(長さ/直径)が100以上のナノ繊維状物質およびバインダー樹脂を含有する。
ナノ繊維状物質を含有することにより、パーコレーション閾値が低下することやナノ繊維状物質の耐屈曲性により、モールド成型時にフィラーの破壊が起きにくくなる。
ナノ繊維状物質としては、繊維径が1μm未満のナノロッド、ナノワイヤー、ナノチューブなどの形状のものであり、例えば、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤーが挙げられ、金属ナノワイヤーが好ましい。金属ナノワイヤーを構成する金属は、強磁性金属がより好ましく、なかでも軟磁性を示す金属が最も好ましい。軟磁性を示す金属ナノワイヤーを用いることで、磁気損失による電波の減衰が起きるため好ましい。軟磁性を示す金属としては、鉄、ニッケル、コバルト、及びこれらの元素を含む合金が挙げられる。
ナノ繊維状物質としては、繊維径が1μm未満のナノロッド、ナノワイヤー、ナノチューブなどの形状のものであり、例えば、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤーが挙げられ、金属ナノワイヤーが好ましい。金属ナノワイヤーを構成する金属は、強磁性金属がより好ましく、なかでも軟磁性を示す金属が最も好ましい。軟磁性を示す金属ナノワイヤーを用いることで、磁気損失による電波の減衰が起きるため好ましい。軟磁性を示す金属としては、鉄、ニッケル、コバルト、及びこれらの元素を含む合金が挙げられる。
ナノ繊維状物質の形状は、アスペクト比(長さ/直径)が100以上である必要があり、200以上がさらに好ましい。一方、アスペクト比が大きすぎると凝集し、電波吸収性の効果が低下する場合があるため、ナノ繊維状物質のアスペクト比は10000以下であることがより好ましい。
電波吸収層中におけるナノ繊維状物質の含有量は、1~80質量%であることが必要である。電波吸収性向上の観点で、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。一方、電波吸収層形成用塗工液の流動性向上の観点で、70質量%以下であること好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。電波吸収層中におけるナノ繊維状物質の含有量は、蛍光X線分析によって定量することができる。
ナノ繊維状物質の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、カーボンナノチューブのように気相で合成する方法、金属ナノワイヤーのように液相で合成する方法あるいは電析などが挙げられる。例えば、軟磁性の金属ナノワイヤーを製造する際は、磁場中で該当の金属イオンを液相還元することで製造できることが知られている。
本発明の電波吸収層はバインダー樹脂を含有する必要がある。バインダー樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、アクリルゴム、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。なかでも、融点または軟化点が高い樹脂や熱硬化性樹脂が好ましく、熱硬化性樹脂が特に好ましく、なかでも、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂が最も好ましい。バインダー樹脂が熱硬化性樹脂である場合、モールド成型時に硬化することができるため、硬化済み、半硬化、未硬化いずれの状態でもよい。
電波吸収層に含まれるバインダー樹脂のハロゲン量は電子機器の部品に影響しないように1500ppm以下であることが好ましく、さらには塩素量が900ppm以下、臭素量が900ppm以下であることが好ましい。
電波吸収層の厚みは、電波吸収性向上の観点から、10~500μmであることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましく、30μm以上が最も好ましい。一方、電波吸収層の厚みが厚すぎるとモールド成型時の成形性が劣るため、本発明で用いる電波吸収層の厚みは、400μm以下であることが好ましい。
また、モールド形状による圧縮や伸張が必要なモールド成型の成形性向上の観点で、基材フィルムと電波吸収層との厚み比(基材フィルム/電波吸収層)が0.03~10.0を満たす必要があり、下限は0.10以上が好ましく、上限は8.00以下が好ましい。厚み比(基材フィルム/電波吸収層)が上記範囲を外れた場合は、モールド成型時に基材フィルムと電波吸収層の伸縮差によりシワが発生しやすくなる。
電波吸収層の体積抵抗率は107Ω・cm以上であることが好ましく、1010Ω・cm以上であることがより好ましく、電気的に絶縁であることがさらに好ましい。電波吸収層が導電体でなく、ナノ繊維状物質を含む体積抵抗率が107Ω・cm以上の誘電体であることにより、電波を反射ではなく、誘電損失や磁気損失により吸収することができ、自家中毒の抑制に効果を発揮することができる。
本発明の効果を損なわない範囲で、目的や用途に応じて電波吸収層に、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、熱伝導剤、補強材、充填剤、軟化剤、滑剤、顔料、着色剤、防カビ剤、粘着剤等の公知の添加剤を適宜配合することができる。
本発明において、基材フィルムと電波吸収層との間に中間層を設けてもよい。基材フィルムに電波吸収層が中間層を介して積層することで、各層間のいずれか1つの層間密着強度を0.02~4.00N/cmの範囲に調整しやすくなり、中間層は、樹脂層を構成する成分として、シリコーン系化合物、含フッ素共重合体、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、長鎖アルキル化合物含有物、アクリル樹脂、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類、およびそれらの混合物が挙げられ、酸やアミンなどの極性基で変性されていても良い。また、これらの樹脂は自己架橋性を有していても良く、架橋剤を含有していても良い。なかでも、塗工性、密着性の観点から、ポリオレフィン系樹脂やシリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキルを側鎖にもつ樹脂やそれらの混合物が好ましい。
本発明において好適に用いられる、ポリオレフィン系樹脂は、酸変性ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、オレフィン成分を主成分とし、酸変性成分により変性された樹脂である。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン成分は、エチレン、プロピレン、ブテンから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、積層フィルムにおける電波吸収層との密着強度の観点で、プロピレンを含むことがより好ましい。
電波吸収層との密着強度を上記範囲にするために、オレフィン成分におけるプロピレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、オレフィン成分を主成分とし、酸変性成分により変性された樹脂である。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン成分は、エチレン、プロピレン、ブテンから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、積層フィルムにおける電波吸収層との密着強度の観点で、プロピレンを含むことがより好ましい。
電波吸収層との密着強度を上記範囲にするために、オレフィン成分におけるプロピレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成する酸変性成分としては、不飽和カルボン酸成分が挙げられ、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でも、後述する樹脂の水性分散化において、樹脂を安定的に分散するために、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。これらの酸変性成分は酸変性ポリオレフィン樹脂中に2種類以上含まれていてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成する各成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されない。共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
本発明において、各層間の密着強度を特定の範囲に調整するために、中間層は架橋剤を含有することが好ましい。
架橋剤の含有量は、例えば、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1~20質量部であることが好ましく、2~15質量部であることがより好ましく、2~10質量部であることがさらに好ましい。架橋剤の含有量が1質量部未満であると、中間層は、凝集力が弱くなりやすく、基材フィルムとの密着性が低下する傾向がある。一方、架橋剤の含有量が20質量部を超えると、中間層は、密着強度が上記範囲を外れることがある。
架橋剤の含有量は、例えば、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1~20質量部であることが好ましく、2~15質量部であることがより好ましく、2~10質量部であることがさらに好ましい。架橋剤の含有量が1質量部未満であると、中間層は、凝集力が弱くなりやすく、基材フィルムとの密着性が低下する傾向がある。一方、架橋剤の含有量が20質量部を超えると、中間層は、密着強度が上記範囲を外れることがある。
架橋剤としては、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物等を用いることができ、多官能エポキシ化合物;多官能イソシアネート化合物;多官能アジリジン化合物;カルボジイミド基含有化合物;オキサゾリン基含有化合物;フェノール樹脂;および尿素化合物、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のアミノ樹脂等が挙げられる。これらのうちの1種類を使用しても2種類以上を併用してもよい。このうち、多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、多官能エポキシ化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含有化合物等が好ましく、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含有化合物がより好ましく、オキサゾリン基含有化合物がさらに好ましい。オキサゾリン基含有化合物を用いることにより、基材フィルムとの密着性に優れた中間層を得ることが可能となる。また、これらの架橋剤は組み合わせて使用してもよい。
本発明において、中間層は、本発明の効果を損なわない範囲で、水溶性高分子を含有してもよい。水溶性高分子として、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
本発明の中間層を構成する成分としてのシリコーン系化合物は、硬化型シリコーン樹脂として、熱付加型シリコーン、熱縮合型シリコーン、紫外線硬化型シリコーン、電子線硬化型シリコーンが挙げられる。
熱付加型としては、分子両末端あるいは両末端および側鎖にビニル基を有するメチルビニルポリシロキサンと、メチルハイドロジェンポリシロキサンとを白金系触媒の存在下で反応させたものが挙げられる。
熱縮合型としては、両末端シラノール官能性ジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンあるいはメチルメトキシシロキサンとを有機錫系触媒の存在下で反応させたものが挙げられる。
紫外線硬化型としては、アルケニル基とメルカプト基を含有するポリオルガノシロキサンに光重合剤を加えたもの、(メタ)アクリル基を含有するポリオルガノシロキサンに光重合剤を加えたもの、エポキシ基を含有するポリオルガノシロキサンにオニウム塩光開始剤を添加したものなどが例示される。
電子線硬化型としては、ラジカル重合性基含有ポリオルガノシロキサンが挙げられる。
本発明では、工程および設備上の観点から、上記硬化型シリコーン樹脂を使用することが好ましい。
熱付加型としては、分子両末端あるいは両末端および側鎖にビニル基を有するメチルビニルポリシロキサンと、メチルハイドロジェンポリシロキサンとを白金系触媒の存在下で反応させたものが挙げられる。
熱縮合型としては、両末端シラノール官能性ジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンあるいはメチルメトキシシロキサンとを有機錫系触媒の存在下で反応させたものが挙げられる。
紫外線硬化型としては、アルケニル基とメルカプト基を含有するポリオルガノシロキサンに光重合剤を加えたもの、(メタ)アクリル基を含有するポリオルガノシロキサンに光重合剤を加えたもの、エポキシ基を含有するポリオルガノシロキサンにオニウム塩光開始剤を添加したものなどが例示される。
電子線硬化型としては、ラジカル重合性基含有ポリオルガノシロキサンが挙げられる。
本発明では、工程および設備上の観点から、上記硬化型シリコーン樹脂を使用することが好ましい。
硬化型シリコーン樹脂として熱付加型シリコーンを用いる場合、中間層形成用液状物は、硬化触媒を含有することが好ましい。液状物をインラインで塗布した際、基材フィルムの延伸前もしくは延伸中に、中間層の硬化反応が開始すると、硬化した中間層は、延伸により亀裂が生じ、剥離性が低下する場合がある。そのため、硬化触媒により、工程後の熱固定処理において付加重合反応が開始するように制御することが好ましい。
硬化触媒の具体例は、白金系化合物触媒であり、例えば、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、四塩化白金、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸とメチルビニルシロキサンとの錯体、ロジウム化合物、パラジウム化合物が挙げられる。これらの白金系化合物触媒の添加量は、通常、硬化型シリコーン樹脂1万質量部に対して、白金系金属として0.1~500質量部の範囲であることが好ましい。
硬化触媒の具体例は、白金系化合物触媒であり、例えば、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、四塩化白金、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸とメチルビニルシロキサンとの錯体、ロジウム化合物、パラジウム化合物が挙げられる。これらの白金系化合物触媒の添加量は、通常、硬化型シリコーン樹脂1万質量部に対して、白金系金属として0.1~500質量部の範囲であることが好ましい。
本発明の中間層を構成する成分としての含フッ素共重合体は、フルオロオレフィン、シクロヘキシル基含有アクリル酸エステル、水酸基含有ビニルエーテルを構成成分とすることが好ましい。
フルオロオレフィンは、分子中に少なくとも2個のフッ素原子を有するオレフィン(CF2=CXY、ただし、XはFまたはH、YはCl、F、CF3)であって、例えば、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン等が好適である。これらのフルオロオレフィンは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シクロヘキシル基含有アクリル酸エステル(CH2=C(R)COOC6H11、ただし、RはHまたはCH3)は、具体例として、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等を挙げられ、シクロヘキシルメタクリレートが好ましい。
水酸基含有ビニルエーテル(CH2=C(H)OROH、ただし、Rは炭素数2~5のアルキレン基またはシクロへキシレン基)は、具体例として、ヒドロキシメチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等が挙げられ、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテルが好ましい。これらの水酸基含有ビニルエーテルは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フルオロオレフィンは、分子中に少なくとも2個のフッ素原子を有するオレフィン(CF2=CXY、ただし、XはFまたはH、YはCl、F、CF3)であって、例えば、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン等が好適である。これらのフルオロオレフィンは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シクロヘキシル基含有アクリル酸エステル(CH2=C(R)COOC6H11、ただし、RはHまたはCH3)は、具体例として、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等を挙げられ、シクロヘキシルメタクリレートが好ましい。
水酸基含有ビニルエーテル(CH2=C(H)OROH、ただし、Rは炭素数2~5のアルキレン基またはシクロへキシレン基)は、具体例として、ヒドロキシメチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等が挙げられ、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテルが好ましい。これらの水酸基含有ビニルエーテルは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
含フッ素共重合体は、前記フルオロオレフィン、シクロヘキシル基含有アクリル酸エステル、および水酸基含有ビニルエーテルを構成成分とするものであるが、さらにこれらの成分に加えて、使用目的などに応じて20モル%を超えない範囲で他の共重合可能な成分を含むこともできる。共重合可能な成分としては、例えば、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロオレフィン類、酢酸ビニル、n-酪酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類等が挙げられる。
本発明の中間層を構成する成分としての長鎖アルキル化合物含有物において、長鎖アルキル化合物とは、炭素数が通常6以上、好ましくは8以上、さらに好ましくは12以上の直鎖または分岐のアルキル基を有する化合物のことである。アルキル基としては、例えば、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、オクタデシル基、ベヘニル基等が挙げられる。アルキル基を有する化合物とは、例えば、各種の長鎖アルキル基含有高分子化合物、長鎖アルキル基含有アミン化合物、長鎖アルキル基含有エーテル化合物、長鎖アルキル基含有四級アンモニウム塩等が挙げられる。耐熱性、汚染性を考慮すると高分子化合物であることが好ましい。また、効果的に離型性を得られるという観点から、長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物であることがより好ましい。
長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物は、反応性基を有する高分子化合物と、この反応性基と反応可能な長鎖アルキル基を有する化合物とを反応させて得ることができる。
高分子化合物が有する反応性基としては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物等が挙げられる。これらの反応性基を有する高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンアミン、反応性基含有ポリエステル樹脂、反応性基含有ポリ(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも離型性や取り扱い易さを考慮するとポリビニルアルコールであることが好ましい。
上記高分子化合物が有する反応性基と反応可能な長鎖アルキル基を有する化合物としては、例えば、ヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、デシルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ベヘニルイソシアネート等の長鎖アルキル基含有イソシアネート、ヘキシルクロライド、オクチルクロライド、デシルクロライド、ラウリルクロライド、オクタデシルクロライド、ベヘニルクロライド等の長鎖アルキル基含有クロライド、長鎖アルキル基含有アミン、長鎖アルキル基含有アルコール等が挙げられる。これらの中でも離型性や取り扱い易さを考慮すると、長鎖アルキル基含有イソシアネートが好ましく、オクタデシルイソシアネートが特に好ましい。
高分子化合物が有する反応性基としては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物等が挙げられる。これらの反応性基を有する高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンアミン、反応性基含有ポリエステル樹脂、反応性基含有ポリ(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも離型性や取り扱い易さを考慮するとポリビニルアルコールであることが好ましい。
上記高分子化合物が有する反応性基と反応可能な長鎖アルキル基を有する化合物としては、例えば、ヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、デシルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ベヘニルイソシアネート等の長鎖アルキル基含有イソシアネート、ヘキシルクロライド、オクチルクロライド、デシルクロライド、ラウリルクロライド、オクタデシルクロライド、ベヘニルクロライド等の長鎖アルキル基含有クロライド、長鎖アルキル基含有アミン、長鎖アルキル基含有アルコール等が挙げられる。これらの中でも離型性や取り扱い易さを考慮すると、長鎖アルキル基含有イソシアネートが好ましく、オクタデシルイソシアネートが特に好ましい。
また、長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物は、長鎖アルキル(メタ)アクリレートの重合や、長鎖アルキル(メタ)アクリレートと他のビニル基含有モノマーとの共重合によって得ることもできる。長鎖アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明の中間層を構成する成分としてのアクリル樹脂は、アクリル系、メタアクリル系のモノマーに代表されるような、炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体のいずれでもよい。
上記炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーとしては、特に限定はしないが、特に代表的な化合物として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、およびそれらの塩;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有化合物;スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビリデンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類が挙げられる。
アクリル樹脂は、上記炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーからなる単独重合体あるいは共重合体の他、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれ、例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体が挙げられる。
あるいは、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で、炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様に、ポリウレタン溶液、またはポリウレタン分散液中で、炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様に、他のポリマー溶液、または他のポリマー分散液中で、炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。
あるいは、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で、炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様に、ポリウレタン溶液、またはポリウレタン分散液中で、炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様に、他のポリマー溶液、または他のポリマー分散液中で、炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。
また、アクリル樹脂は、ヒドロキシル基、アミノ基を含有することも可能であり、中間層の透明性の低下を抑える観点から、ヒドロキシル基を含有していることが好ましい。アクリル樹脂がヒドロキシル基を含有する場合、アクリル樹脂の水酸基価は、2~100mgKOH/gであることが好ましく、5~50mgKOH/gであることがより好ましい。アクリル樹脂の水酸基価が上記範囲であると、中間層は、外観や透明性が良好なものとなる。
本発明の中間層を構成する成分としてのポリエステル樹脂は、主な構成成分が、例えば、下記の多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物であるものが好ましい。
多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸および、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-カリウムスルホテレフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができる。
多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオ-ル、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオ-ル、2-メチル-1,5-ペンタンジオ-ル、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノ-ル、p-キシリレングリコ-ル、ビスフェノ-ルA-エチレングリコ-ル付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ-ル、ポリプロピレングリコ-ル、ポリテトラメチレングリコ-ル、ポリテトラメチレンオキシドグリコ-ル、ジメチロ-ルプロピオン酸、グリセリン、トリメチロ-ルプロパン、ジメチロ-ルエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロ-ルプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。
これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を合成すればよい。
多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸および、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-カリウムスルホテレフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができる。
多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオ-ル、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオ-ル、2-メチル-1,5-ペンタンジオ-ル、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノ-ル、p-キシリレングリコ-ル、ビスフェノ-ルA-エチレングリコ-ル付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ-ル、ポリプロピレングリコ-ル、ポリテトラメチレングリコ-ル、ポリテトラメチレンオキシドグリコ-ル、ジメチロ-ルプロピオン酸、グリセリン、トリメチロ-ルプロパン、ジメチロ-ルエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロ-ルプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。
これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を合成すればよい。
本発明の中間層を構成する成分としてのウレタン樹脂は、ウレタン結合を分子内に有する高分子化合物である。
通常ウレタン樹脂は、ポリオールとイソシアネートの反応により合成される。
ポリオールとしては、ポリカーボネートポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。
ポリエーテルポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
通常ウレタン樹脂は、ポリオールとイソシアネートの反応により合成される。
ポリオールとしては、ポリカーボネートポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。
ポリエーテルポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ウレタン樹脂は、溶剤を媒体とするものであってもよいが、水を媒体とするものが好ましい。ウレタン樹脂を水に分散または溶解させたものには、乳化剤を用いた強制乳化型、ウレタン樹脂中に親水性基を導入した自己乳化型、あるいは水溶型等のものがある。
特に、ウレタン樹脂の構造中にイオン基を導入しアイオノマー化した自己乳化型のものは、液の貯蔵安定性に優れ、また、得られる中間層は、耐水性、透明性に優れている。導入するイオン基としては、カルボキシル基、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、第4級アンモニウム塩等が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。ウレタン樹脂にカルボキシル基を導入する方法としては、例えば、プレポリマー合成時に、カルボキシル基を持つ樹脂を共重合成分として用いる方法や、ポリオールやポリイソシアネート、鎖延長剤などの一成分としてカルボキシル基を持つ成分を用いる方法がある。特に、カルボキシル基含有ジオールを用いて、この成分の仕込み量によって所望の量のカルボキシル基を導入する方法が好ましい。例えば、ウレタン樹脂の重合に用いるジオールに対して、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ビス-(2-ヒドロキシエチル)プロピオン酸、ビス-(2-ヒドロキシエチル)ブタン酸等を共重合させることができる。またこのカルボキシル基は、アンモニア、アミン、アルカリ金属類、無機アルカリ類等で中和した塩の形にするのが好ましく、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンで中和することがより好ましい。ウレタン樹脂は、塗布後の乾燥工程において中和剤が外れたカルボキシル基を、他の架橋剤による架橋反応点として用いることができる。これにより、塗布前の液は、液の状態での安定性に優れる上、得られる中間層は、耐久性、耐溶剤性、耐水性、耐ブロッキング性等がさらに改善されたものとなる。
特に、ウレタン樹脂の構造中にイオン基を導入しアイオノマー化した自己乳化型のものは、液の貯蔵安定性に優れ、また、得られる中間層は、耐水性、透明性に優れている。導入するイオン基としては、カルボキシル基、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、第4級アンモニウム塩等が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。ウレタン樹脂にカルボキシル基を導入する方法としては、例えば、プレポリマー合成時に、カルボキシル基を持つ樹脂を共重合成分として用いる方法や、ポリオールやポリイソシアネート、鎖延長剤などの一成分としてカルボキシル基を持つ成分を用いる方法がある。特に、カルボキシル基含有ジオールを用いて、この成分の仕込み量によって所望の量のカルボキシル基を導入する方法が好ましい。例えば、ウレタン樹脂の重合に用いるジオールに対して、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ビス-(2-ヒドロキシエチル)プロピオン酸、ビス-(2-ヒドロキシエチル)ブタン酸等を共重合させることができる。またこのカルボキシル基は、アンモニア、アミン、アルカリ金属類、無機アルカリ類等で中和した塩の形にするのが好ましく、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンで中和することがより好ましい。ウレタン樹脂は、塗布後の乾燥工程において中和剤が外れたカルボキシル基を、他の架橋剤による架橋反応点として用いることができる。これにより、塗布前の液は、液の状態での安定性に優れる上、得られる中間層は、耐久性、耐溶剤性、耐水性、耐ブロッキング性等がさらに改善されたものとなる。
本発明における中間層は、本発明の効果を損なわない範囲で滑剤を含有してもよい。滑剤として、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、ケイ酸ソーダ、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化錫、三酸化アンチモン、カーボンブラック、二硫化モリブデン等の無機粒子や、アクリル系架橋重合体、スチレン系架橋重合体、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンワックス等の有機粒子、界面活性剤等が挙げられる。
中間層の厚みは特に限定されないが、0.01~1μmであることが好ましい。
中間層の形成方法としては、例えば、基材フィルムに中間層形成用塗工液を塗布、乾燥して積層する方法が挙げられる。塗布方法は後述する公知の方法が挙げられ、中間層形成方法についても後述する公知のインラインコート法、オフラインコート法を用いることができる。
本発明の積層フィルムの製造方法としては、例えば、基材フィルムに電波吸収層を積層する、または基材フィルムに中間層を積層し、電波吸収層を積層する方法が挙げられる。
電波吸収層を基材フィルムまたは中間層上に積層する方法としては、電波吸収層形成用塗工液を基材フィルムまたは中間層に塗布、乾燥して積層する方法が挙げられる。塗布方法は、公知慣用の方法が挙げられ、例えば、ダイコーティング、コンマコーティング、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等が挙げられる。
基材フィルムまたは中間層表面に均一に電波吸収層を塗布し、必要に応じて室温付近でセッティングした後、加熱処理に供して乾燥する。このようにすることで、均一な電波吸収層を基材フィルムまたは中間層に密着させて形成することができる。
塗布した電波吸収層の乾燥初期温度を、40~150℃とすることが好ましく、60~140℃とすることがさらに好ましく、65~120℃とすることがさらに好ましい。乾燥初期温度が低すぎると、乾燥ができず、高すぎると、基材フィルムは、熱によるダメージが大きくなり、次工程での使用に耐えられない状況になることがある。
さらに、エージング処理を行うことによって、電波吸収層の凝集性や、樹脂との密着性を高めることができる。エージングは、基材フィルムへのダメージを軽減する観点からは、比較的低温で処理することが好ましいが、反応を十分かつ速やかに進行させるという観点からは、高温で処理することが好ましく、エージング温度は、20~100℃であることが好ましく、30~70℃であることがより好ましく、40~60℃であることがさらに好ましい。
塗布した電波吸収層の乾燥初期温度を、40~150℃とすることが好ましく、60~140℃とすることがさらに好ましく、65~120℃とすることがさらに好ましい。乾燥初期温度が低すぎると、乾燥ができず、高すぎると、基材フィルムは、熱によるダメージが大きくなり、次工程での使用に耐えられない状況になることがある。
さらに、エージング処理を行うことによって、電波吸収層の凝集性や、樹脂との密着性を高めることができる。エージングは、基材フィルムへのダメージを軽減する観点からは、比較的低温で処理することが好ましいが、反応を十分かつ速やかに進行させるという観点からは、高温で処理することが好ましく、エージング温度は、20~100℃であることが好ましく、30~70℃であることがより好ましく、40~60℃であることがさらに好ましい。
電波吸収層を基材フィルムまたは中間層上に形成する際には、オフラインコート法、インラインコート法、いずれの方法も採用できる。インラインコート法は、電波吸収層を未延伸状態や一軸延伸状態の中間層が塗布された基材フィルムの中間層側に塗布し、基材フィルムと共に、乾燥、配向延伸する方法である。インラインコート法は、配向延伸後に熱固定処理してもよい。インラインコート法は、製造工程中の基材フィルムに中間層と電波吸収層を順に塗布することにより、基材フィルム表面の配向結晶化の程度が小さい状態で中間層を形成することができるため、基材フィルムと中間層の密着力が向上することができる。なお、基材フィルムの製造方法が逐次二軸延伸法である場合、一軸方向に延伸された基材フィルムに中間層を塗布し、中間層の塗布された基材フィルムを乾燥、次いで、中間層表面上に電波吸収層を塗布された基材フィルムを乾燥、その後、基材フィルムを前記方向と直交する方向にさらに延伸し、熱処理してもよい。オフラインコート法は、電波吸収層を未延伸状態や二軸延伸状態の中間層が塗布された基材フィルムの中間層側に塗布、乾燥して電波吸収層を形成し、電波吸収層形成後に延伸処理を施さない方法である。
本発明においては、基材フィルム層上に、電波吸収層が形成されていればよく、中間層以外に他の機能層をさらに設けてもよい。
他の機能層としては、たとえば導電箔や導電性粒子を含む電波反射層などが挙げられる。電波反射層を電波吸収層の片面または両面に設けることで、素子または外部から発せられる電波のうち、電波吸収層を透過した電波が、電波反射層で反射され電波吸収層を再度通過することで、電波をより多く吸収することができ、自家中毒の抑制に効果を一層発揮することができる。
本発明の積層フィルムは、トランスファーモールドまたはコンプレッションモールドによる樹脂モールド型半導体部品の製造方法に好適に用いることができる。素子を封止するモールド材と電波吸収層が接するように本発明の積層フィルムを配し、前記モールド材を硬化または半硬化させた後に、積層フィルムから電波吸収層または電波吸収層と導電体を剥離し、モールド材表面に転写することで、金型とモールド樹脂との離型と同時にEMC対策を施した電子部品を製造することができる。素子としては、半導体または半導体を含むモジュールが好適である。
電波吸収層をモールド材に転写後、無電解めっきを処理することにより導電体層を付与することができる。無電解めっきとしては、無電解ニッケルめっきが好ましく、その後、銅や銀などの貴金属に置換することが可能である。これにより、導電体層によるEMS(電磁感受性)対策を施すことができる。
本発明の積層フィルムは、半導体部品のモールド工程において、金型とモールド樹脂との離型と同時にEMC対策を施した半導体部品を製造する用途などに好適に用いることができる。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。積層フィルムの特性は下記の方法で測定した。
(1)塗工性
基材フィルムまたは中間層に対する電波吸収層形成用塗工液の塗工性について、コンマコーティング(ヒラノテクシード社製マルチコーターMODEL-200)を用いて、塗工幅200mm、塗工速度2m/min、ドライ膜厚80μmとなるように塗工し、積層された電波吸収層のスジや抜けの欠点の有無を巻長50mに渡って目視で確認した。欠点の発生によって、下記に記載の基準で塗工性を評価した。
○:スジや抜けの欠点が全く確認できないもの
△:スジや抜けの欠点が1点以上20点以内確認できるもの
×:スジや抜けの欠点が20点以上確認できるもの
基材フィルムまたは中間層に対する電波吸収層形成用塗工液の塗工性について、コンマコーティング(ヒラノテクシード社製マルチコーターMODEL-200)を用いて、塗工幅200mm、塗工速度2m/min、ドライ膜厚80μmとなるように塗工し、積層された電波吸収層のスジや抜けの欠点の有無を巻長50mに渡って目視で確認した。欠点の発生によって、下記に記載の基準で塗工性を評価した。
○:スジや抜けの欠点が全く確認できないもの
△:スジや抜けの欠点が1点以上20点以内確認できるもの
×:スジや抜けの欠点が20点以上確認できるもの
(2)成型性
キャビティの容積が220mm×55mm×1.0mmである金型を設定温度170℃に加熱し、積層フィルムを充填して真空引きし、2分間保持した。その後、真空引きを解除して常圧にし、積層フィルムを取り除き、取り除いた積層フィルムにおける角や辺部の状態を観察した。この操作を200回繰り返し、角の丸みを帯びたパッケージの発生回数および辺部のシワの発生回数、破れの有無を確認した。角の丸みや辺部のシワ、破れが一つでも生じた回数を結果とし、実用的には70回以下が求められ、20回以下が好ましく、10回以下が最も好ましい。
キャビティの容積が220mm×55mm×1.0mmである金型を設定温度170℃に加熱し、積層フィルムを充填して真空引きし、2分間保持した。その後、真空引きを解除して常圧にし、積層フィルムを取り除き、取り除いた積層フィルムにおける角や辺部の状態を観察した。この操作を200回繰り返し、角の丸みを帯びたパッケージの発生回数および辺部のシワの発生回数、破れの有無を確認した。角の丸みや辺部のシワ、破れが一つでも生じた回数を結果とし、実用的には70回以下が求められ、20回以下が好ましく、10回以下が最も好ましい。
(3)転写性
積層フィルムを用い、キャビティ内の内寸が220mm×55mm×1.5mmである金型を170℃の温度設定で用いて、モールド成型装置による加工を行った。成型後に金型を開けた時の積層フィルムとパッケージの状態を目視で観察し、次の基準に従って評価した。実用的には○、△が求められ、○が好ましい。
○:電波吸収層がパッケージに転写され、積層フィルムがパッケージから完全に剥がれていた。
△:金型の型開き時に積層フィルムの一部がパッケージに引っ張られながら剥がれた。
×:積層フィルムがパッケージから剥がれず残っていた。
積層フィルムを用い、キャビティ内の内寸が220mm×55mm×1.5mmである金型を170℃の温度設定で用いて、モールド成型装置による加工を行った。成型後に金型を開けた時の積層フィルムとパッケージの状態を目視で観察し、次の基準に従って評価した。実用的には○、△が求められ、○が好ましい。
○:電波吸収層がパッケージに転写され、積層フィルムがパッケージから完全に剥がれていた。
△:金型の型開き時に積層フィルムの一部がパッケージに引っ張られながら剥がれた。
×:積層フィルムがパッケージから剥がれず残っていた。
(4)密着強度
60mm×100mmの大きさのエポキシプリプレグ(住友ベークライト社製 EI-6765)の両面を積層フィルムで挟み、プレス板を金型設定温度としての170℃に設定したプレス機で5kg/cm2で20分間保持した。その後、室温まで冷却しサンプルを得た。得られたサンプルの、硬化後のエポキシプリプレグと密着した電波吸収層と基材フィルムとの密着強度を、25℃の恒温室で、引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分とした。密着強度は、スペクトルの強度が安定した部分の平均値を取った。実用的には各層間の密着強度は、0.02~4.00N/cmが求められ、0.10~0.50N/cmであることが好ましい。
(5)体積抵抗率
積層フィルムの体積抵抗率について、巾110mm、長さ110mmの積層フィルムを試料とした。試料を室温23±2℃相対湿度50±5%の雰囲気中に1時間以上放置した後、同雰囲気下で試料の体積抵抗率を、日東精工社製低効率計(型式MCP-HT800)を用いて測定した。なお、上記装置の体積抵抗率計測下限は1.0×106(Ω・cm)である。
60mm×100mmの大きさのエポキシプリプレグ(住友ベークライト社製 EI-6765)の両面を積層フィルムで挟み、プレス板を金型設定温度としての170℃に設定したプレス機で5kg/cm2で20分間保持した。その後、室温まで冷却しサンプルを得た。得られたサンプルの、硬化後のエポキシプリプレグと密着した電波吸収層と基材フィルムとの密着強度を、25℃の恒温室で、引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分とした。密着強度は、スペクトルの強度が安定した部分の平均値を取った。実用的には各層間の密着強度は、0.02~4.00N/cmが求められ、0.10~0.50N/cmであることが好ましい。
(5)体積抵抗率
積層フィルムの体積抵抗率について、巾110mm、長さ110mmの積層フィルムを試料とした。試料を室温23±2℃相対湿度50±5%の雰囲気中に1時間以上放置した後、同雰囲気下で試料の体積抵抗率を、日東精工社製低効率計(型式MCP-HT800)を用いて測定した。なお、上記装置の体積抵抗率計測下限は1.0×106(Ω・cm)である。
(6)成形後電波吸収性
真空成型機にてΦ70mm、絞り深さ5mmに真空成型した積層フィルムの18.5~110.0GHz帯の電波吸収性を、JISR1679:2007に準拠し、アンリツ社製ベクトルネットワークアナライザ(型番ME7838A)を用いて測定し、測定結果から電波吸収性を判断した。電波吸収性の判断基準として、電波吸収性が20dB以上を有する場合をA、10dB以上20dB未満を有する場合をBとして、3dB以上10dB未満の場合をCとした。3dB未満のものはDとした。電波吸収性は、実用的には3dB以上が求められ、10dB以上であることが好ましく、20dB以上が最も好ましい。
真空成型機にてΦ70mm、絞り深さ5mmに真空成型した積層フィルムの18.5~110.0GHz帯の電波吸収性を、JISR1679:2007に準拠し、アンリツ社製ベクトルネットワークアナライザ(型番ME7838A)を用いて測定し、測定結果から電波吸収性を判断した。電波吸収性の判断基準として、電波吸収性が20dB以上を有する場合をA、10dB以上20dB未満を有する場合をBとして、3dB以上10dB未満の場合をCとした。3dB未満のものはDとした。電波吸収性は、実用的には3dB以上が求められ、10dB以上であることが好ましく、20dB以上が最も好ましい。
中間層形成用塗工液は以下の方法により製造した。
<酸変性ポリオレフィン樹脂の製造>
プロピレン-ブテン-エチレン三元共重合体(プロピレン/ブテン/エチレン=68.0/16.0/16.0(質量比))280gを、4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を170℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸32.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド6.0gをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応生成物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂A-1を得た。
<酸変性ポリオレフィン樹脂A-1の水性分散体の製造>
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、上記方法で製造した60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂A-1と、45.0gのエチレングリコール-n-ブチルエーテル(沸点171℃)と、6.9gのN,N-ジメチルエタノールアミン(沸点134℃、樹脂中の無水マレイン酸単位のカルボキシル基に対して1.0倍当量)と、188.1gの蒸留水とを、上記のガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌した。そうしたところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。さらに、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)することで、均一な酸変性ポリオレフィン樹脂A-1の水性分散体(固形分濃度25質量%)を得た。なお、フィルター上には残存樹脂はほとんどなかった。
<酸変性ポリオレフィン樹脂の製造>
プロピレン-ブテン-エチレン三元共重合体(プロピレン/ブテン/エチレン=68.0/16.0/16.0(質量比))280gを、4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を170℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸32.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド6.0gをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応生成物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂A-1を得た。
<酸変性ポリオレフィン樹脂A-1の水性分散体の製造>
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、上記方法で製造した60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂A-1と、45.0gのエチレングリコール-n-ブチルエーテル(沸点171℃)と、6.9gのN,N-ジメチルエタノールアミン(沸点134℃、樹脂中の無水マレイン酸単位のカルボキシル基に対して1.0倍当量)と、188.1gの蒸留水とを、上記のガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌した。そうしたところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。さらに、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)することで、均一な酸変性ポリオレフィン樹脂A-1の水性分散体(固形分濃度25質量%)を得た。なお、フィルター上には残存樹脂はほとんどなかった。
酸変性ポリオレフィン樹脂「A-1」の水性分散体と、ポリビニルアルコール水溶液(日本酢ビ・ポバール社製ポバールVC-10)、架橋剤「L-1」(日本触媒社製エポクロスWS-700、オキサゾリン基含有化合物)とを、それぞれ固形分が、100質量部と、300質量部と、7質量部となるように混合したのち、純水を添加して、最終固形分濃度が6.0質量%の中間層形成用塗工液(水性分散体X-1)を得た。
電波吸収層の塗材は以下の方法により製造した。
<ナノ繊維状物質の製造>
塩化ニッケル六水和物4g、クエン酸三ナトリウム二水和物0.375gをエチレングリコールに添加し、全量で500gとした。この溶液を90℃に加熱した。一方、水酸化ナトリウム1g、塩化白金酸六水和物1.2μgをエチレングリコールに添加し、全量で499gにした。この溶液を90℃に加熱した。各溶液中の化合物がすべて溶解した後、水酸化ナトリウムが含まれる溶液にヒドラジン一水和物1g添加し、その後、2つの溶液を混合した。混合した溶液を、磁気回路に入れ、150mTの磁場を印加し、90~95℃に維持したまま15分間静置して還元反応をおこない、遠心分離によりニッケルナノワイヤー(N-1)を得た。得られたニッケルナノワイヤーは、平均繊維径が90nmであって、平均繊維長が25μmであり、アスペクト比(長さ/直径)が277であった。
<ナノ繊維状物質の製造>
塩化ニッケル六水和物4g、クエン酸三ナトリウム二水和物0.375gをエチレングリコールに添加し、全量で500gとした。この溶液を90℃に加熱した。一方、水酸化ナトリウム1g、塩化白金酸六水和物1.2μgをエチレングリコールに添加し、全量で499gにした。この溶液を90℃に加熱した。各溶液中の化合物がすべて溶解した後、水酸化ナトリウムが含まれる溶液にヒドラジン一水和物1g添加し、その後、2つの溶液を混合した。混合した溶液を、磁気回路に入れ、150mTの磁場を印加し、90~95℃に維持したまま15分間静置して還元反応をおこない、遠心分離によりニッケルナノワイヤー(N-1)を得た。得られたニッケルナノワイヤーは、平均繊維径が90nmであって、平均繊維長が25μmであり、アスペクト比(長さ/直径)が277であった。
<電波吸収層形成用塗工液の製造>
電波吸収層形成用塗工液を製造するために、ナノ繊維状物質としてニッケルナノワイヤー(N-1)、バインダー樹脂としてシリコーン樹脂(D-1:MOMENTIVE社製TSE3450(B))を使用した。
ナノ繊維状物質と、バインダー樹脂を、それぞれ固形分が40質量%と、60質量%となるように混合したのち、トルエンを添加して電波吸収層形成用塗工液Yを得た。
電波吸収層形成用塗工液を製造するために、ナノ繊維状物質としてニッケルナノワイヤー(N-1)、バインダー樹脂としてシリコーン樹脂(D-1:MOMENTIVE社製TSE3450(B))を使用した。
ナノ繊維状物質と、バインダー樹脂を、それぞれ固形分が40質量%と、60質量%となるように混合したのち、トルエンを添加して電波吸収層形成用塗工液Yを得た。
実施例1
<中間層の形成(インラインコート法)>
PBT(ポリブチレンテレフタレート、IV(極限粘度)1.08dl/g、Tm(融点)223℃)54質量部と、PET(ポリエチレンテレフタレート、IV0.75dl/g、Tm255℃)46質量部とをドライブレンドしたものを、Tダイを備えた押出機を用いて、275℃でシート状に溶融押出し、表面温度18℃の冷却ドラムに密着させて冷却し、厚さ600μmの未延伸フィルムを成型した。続いてこの未延伸フィルムを90℃に加熱した縦延伸ロールで3.5倍に延伸した。
この縦延伸したフィルムの片側に、リバースグラビアコーターを用いて、中間層形成用塗工液X-1を5g/m2(WET換算)の塗布量になるように塗工し、横延伸テンターにおいて120℃で4.5倍延伸後、230℃で10秒間熱処理したのち、冷却し巻き取った。得られた積層フィルムSの厚さは25μmであり、中間層の厚さはおよそ0.08μmであった。
<中間層の形成(インラインコート法)>
PBT(ポリブチレンテレフタレート、IV(極限粘度)1.08dl/g、Tm(融点)223℃)54質量部と、PET(ポリエチレンテレフタレート、IV0.75dl/g、Tm255℃)46質量部とをドライブレンドしたものを、Tダイを備えた押出機を用いて、275℃でシート状に溶融押出し、表面温度18℃の冷却ドラムに密着させて冷却し、厚さ600μmの未延伸フィルムを成型した。続いてこの未延伸フィルムを90℃に加熱した縦延伸ロールで3.5倍に延伸した。
この縦延伸したフィルムの片側に、リバースグラビアコーターを用いて、中間層形成用塗工液X-1を5g/m2(WET換算)の塗布量になるように塗工し、横延伸テンターにおいて120℃で4.5倍延伸後、230℃で10秒間熱処理したのち、冷却し巻き取った。得られた積層フィルムSの厚さは25μmであり、中間層の厚さはおよそ0.08μmであった。
<電波吸収層の形成(オフラインコート法)>
上記積層フィルムSに電波吸収層形成用塗工液Yを、コンマコーターを用いて430g/m2(WET換算)の塗布量になるように塗工し、120℃、70秒間熱処理したのち、冷却し巻き取った。得られた積層フィルムの厚さは175μmであり、電波吸収層の厚さはおよそ150μmであった。
上記積層フィルムSに電波吸収層形成用塗工液Yを、コンマコーターを用いて430g/m2(WET換算)の塗布量になるように塗工し、120℃、70秒間熱処理したのち、冷却し巻き取った。得られた積層フィルムの厚さは175μmであり、電波吸収層の厚さはおよそ150μmであった。
以上のようにして得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例2、比較例1
実施例1に比べ、電波吸収層内のナノ繊維状物質のアスペクト比(長さ/直径)を表1に示すように変更した。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例1に比べ、電波吸収層内のナノ繊維状物質のアスペクト比(長さ/直径)を表1に示すように変更した。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例3、4、比較例2、3
実施例1に比べ、電波吸収層内のナノ繊維状物質の含有量を表1に示すように変更した。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例1に比べ、電波吸収層内のナノ繊維状物質の含有量を表1に示すように変更した。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例5、6
実施例1に比べ、電波吸収層の厚みを表1に示すように変更した。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例1に比べ、電波吸収層の厚みを表1に示すように変更した。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例7
実施例1に比べ、バインダー樹脂をエポキシ樹脂(D-2:日鉄ケミカル&マテリアル社製YDF-8170C)に変更した。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例1に比べ、バインダー樹脂をエポキシ樹脂(D-2:日鉄ケミカル&マテリアル社製YDF-8170C)に変更した。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例8、9
実施例1に比べ、電波吸収層におけるナノ繊維状物質をコバルトナノワイヤー(N-2:メルク社製平均径250nm、平均長150μm、アスペクト比600)、銀ナノワイヤー(N-3:メルク社製平均径70nm、平均長40μm、アスペクト比571)にそれぞれ変更した。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例1に比べ、電波吸収層におけるナノ繊維状物質をコバルトナノワイヤー(N-2:メルク社製平均径250nm、平均長150μm、アスペクト比600)、銀ナノワイヤー(N-3:メルク社製平均径70nm、平均長40μm、アスペクト比571)にそれぞれ変更した。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例10
実施例1に比べ、中間層をトルエンで希釈した溶剤付加反応型シリコーン(信越化学工業社製KS-847T)をマルチコーターにてリバースグラビアコートした後、150℃、30秒間乾燥した。これにより厚さ0.2μmの中間層(X-2)に変更した。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例1に比べ、中間層をトルエンで希釈した溶剤付加反応型シリコーン(信越化学工業社製KS-847T)をマルチコーターにてリバースグラビアコートした後、150℃、30秒間乾燥した。これにより厚さ0.2μmの中間層(X-2)に変更した。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例11
実施例1に比べ、中間層を設けず、基材フィルムに電波吸収層を設けた。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例1に比べ、中間層を設けず、基材フィルムに電波吸収層を設けた。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例12
基材フィルムのポリエステル樹脂をPET(ポリエチレンテレフタレート、IV0.75dl/g、Tm255℃)100質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
基材フィルムのポリエステル樹脂をPET(ポリエチレンテレフタレート、IV0.75dl/g、Tm255℃)100質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例13
基材フィルムをPTFE(中興化成工業社製、MSF-100、厚み50μm)に変更し、中間層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
基材フィルムをPTFE(中興化成工業社製、MSF-100、厚み50μm)に変更し、中間層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
比較例4、5
実施例1に比べ、基材フィルムの厚み、電波吸収層の厚みを表1に示すように変更した。厚さについては、延伸後のフィルム厚みが比較例4では8μm、比較例5では188μmとなるように押出機吐出量を調整した。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例1に比べ、基材フィルムの厚み、電波吸収層の厚みを表1に示すように変更した。厚さについては、延伸後のフィルム厚みが比較例4では8μm、比較例5では188μmとなるように押出機吐出量を調整した。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
比較例6~8
実施例1に比べ、電波吸収層内のナノ繊維状物質を比較例6はニッケル粒子(P-1:岩谷産業株式会社製平均粒子径80nm)、比較例7はコバルト粒子(P-2:イオリテック社製平均粒子径28nm)、比較例8は銀粒子(P-3:イオリテック社製平均粒子径50-60nm)にそれぞれ変更した。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例1に比べ、電波吸収層内のナノ繊維状物質を比較例6はニッケル粒子(P-1:岩谷産業株式会社製平均粒子径80nm)、比較例7はコバルト粒子(P-2:イオリテック社製平均粒子径28nm)、比較例8は銀粒子(P-3:イオリテック社製平均粒子径50-60nm)にそれぞれ変更した。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
比較例9
電波吸収層として、真空蒸着法を用いて厚さ300nmの銅蒸着層(V-1)を中間層の表面に設けた。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
電波吸収層として、真空蒸着法を用いて厚さ300nmの銅蒸着層(V-1)を中間層の表面に設けた。それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例の積層フィルムは、バインダー樹脂及びアスペクト比(長さ/直径)が100以上のナノ繊維状物質を本発明で規定する量を含有する電波吸収層を設け、基材フィルムと電波吸収層との厚み比(基材フィルム/電波吸収層)が本発明で規定する範囲であるため、成型性と電波吸収性がともに優れるものであった。また、ナノ繊維状物質を含有するため、体積抵抗率が107Ω以上と電気的に絶縁であっても、18.5~110.0GHz帯における電波吸収性が優れるものであった。
さらに、中間層が酸変性ポリオレフィン樹脂と架橋剤である場合、中間層と電波吸収層では塗工性、密着強度ともに優れるものであった。
さらに、中間層が酸変性ポリオレフィン樹脂と架橋剤である場合、中間層と電波吸収層では塗工性、密着強度ともに優れるものであった。
比較例1の積層フィルムは、電波吸収層に含まれるナノ繊維状物質のアスペクト比(長さ/直径)が本発明で規定する範囲を満たさないため、電波吸収性を示さなかった。
比較例2の積層フィルムは、電波吸収層に含まれるナノ繊維状物質の含有量が本発明で規定する範囲を満たさないため、電波吸収性を示さなかった。
比較例3の積層フィルムは、電波吸収層に含まれるナノ繊維状物質の含有量が本発明で規定する範囲を超えていたため、塗工時のスジ状欠点が増え、さらに電波吸収層が導電体となり、電波吸収性を示さなかった。
比較例4の積層フィルムは、基材フィルムの厚みが本発明で規定する範囲を満たしておらず、基材フィルムと電波吸収層の厚み比が本発明で規定する範囲を満たさないため、成型時に積層フィルムに破れが生じた。
比較例5の積層フィルムは、基材フィルムと電波吸収層の厚み比が本発明で規定する範囲を超えていたため、成型時にシワが多く発生し、成形性に劣っていた。
比較例6~8の積層フィルムは、電波吸収層にナノ繊維状物質を含有していなかったため、電波吸収性を示さなかった。
比較例9では、ナノ繊維状物質を含有する電波吸収層を設けていなかったため、成型時の屈曲によるクラックが発生し、導電体のため電波吸収性を示さなかった。
比較例2の積層フィルムは、電波吸収層に含まれるナノ繊維状物質の含有量が本発明で規定する範囲を満たさないため、電波吸収性を示さなかった。
比較例3の積層フィルムは、電波吸収層に含まれるナノ繊維状物質の含有量が本発明で規定する範囲を超えていたため、塗工時のスジ状欠点が増え、さらに電波吸収層が導電体となり、電波吸収性を示さなかった。
比較例4の積層フィルムは、基材フィルムの厚みが本発明で規定する範囲を満たしておらず、基材フィルムと電波吸収層の厚み比が本発明で規定する範囲を満たさないため、成型時に積層フィルムに破れが生じた。
比較例5の積層フィルムは、基材フィルムと電波吸収層の厚み比が本発明で規定する範囲を超えていたため、成型時にシワが多く発生し、成形性に劣っていた。
比較例6~8の積層フィルムは、電波吸収層にナノ繊維状物質を含有していなかったため、電波吸収性を示さなかった。
比較例9では、ナノ繊維状物質を含有する電波吸収層を設けていなかったため、成型時の屈曲によるクラックが発生し、導電体のため電波吸収性を示さなかった。
Claims (10)
- 基材フィルム及び電波吸収層を有する積層フィルムあって、
電波吸収層は、アスペクト比(長さ/直径)が100以上のナノ繊維状物質およびバインダー樹脂を含有し、電波吸収層におけるナノ繊維状物質の含有量が1~80質量%であり、
基材フィルムの厚みが10μm以上であって、基材フィルムと電波吸収層の厚み比(基材フィルム/電波吸収層)が0.03~10.0である積層フィルム。 - 基材フィルムと電波吸収層との間に中間層を有する請求項1に記載の積層フィルム。
- 各層間の少なくとも1つの層間密着強度が0.02~4.00N/cmであることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
- 中間層が、酸変性ポリオレフィン樹脂および架橋剤を含有する請求項1~3のいずれかに記載の積層フィルム。
- ナノ繊維状物質が、金属ナノワイヤーである請求項1~4のいずれかに記載の積層フィルム。
- 金属ナノワイヤーを構成する金属が、鉄、ニッケル、コバルト、及びこれらの元素を含む合金から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項5に記載の積層フィルム。
- バインダー樹脂が、熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の積層フィルム。
- 電波吸収層の体積抵抗率が107Ω・cm以上であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の積層フィルム。
- 電子部品の製造方法であって、
素子を封止するモールド材と電波吸収層が接するように請求項1~8のいずれかに記載の積層フィルムを配し、積層フィルムから電波吸収層を剥離し、モールド材表面に転写する工程を有する、電子部品の製造方法。 - 素子が、半導体または半導体を含むモジュールであることを特徴とする請求項9に記載の電子部品の製造方法。
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