JP2022157786A - 作業機 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、丸鋸等の作業機に関する。
下記特許文献1には、負荷によって制御状態を変更する作業機が開示されている。
マイコン等によって作業機を制御することは作業性を高めることができる一方、制御の内容が作業者に最適でない場合がある。例えば、上記文献に記載されるような制御状態の自動的な変更は作業性を向上させるが、作業者によっては制御状態の変更のタイミングが早かったり、遅かったりする場合があるため、改善の余地があった。また、モータの回転数を制御する場合においても、起動からの立ち上がりや、ブレーキ時の回転数の落とし方なども、作業者にとって最適でない場合がある。こういった制御内容が作業者に合わない場合、例えば制御内容を変更できる入力部(パネルや設定ボタンなど)を設けることが考えられるが、部品点数の増加によりコストが高くなるほか、調整する手間がかかるという問題がある。
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、作業性の良い作業機を提供することにある。
本発明のある態様は、作業機である。この作業機は、
モータと、
前記モータの駆動を制御する制御部と、
前記モータによって回転する回転工具と、
前記モータの駆動・停止を切り替えるスイッチと、を備え、
作業者の操作に基づいて、制御のパラメータを変更する。
この態様によれば、作業者の傾向に合わせて制御変更の様態を調整できる。
モータと、
前記モータの駆動を制御する制御部と、
前記モータによって回転する回転工具と、
前記モータの駆動・停止を切り替えるスイッチと、を備え、
作業者の操作に基づいて、制御のパラメータを変更する。
この態様によれば、作業者の傾向に合わせて制御変更の様態を調整できる。
前記操作は、作業機への押し付け方、前記スイッチに対する操作、前記モータを駆動状態にしている時間のいずれか1つを含んでもよい。
前記パラメータは、異なる制御状態を切り替えるための条件、所定時間における回転数の変化量のいずれか1つを含んでもよい。
前記制御部は、前記モータの回転数が所定値以下に制限された第1制御と、前記モータを前記所定値を超えた回転数にて駆動可能な第2制御と、を有し、
前記第1制御と前記第2制御とは、負荷が制御切替閾値を超えたか、または下回ったかで切り替わるように構成され、
前記パラメータは、前記制御切替閾値を含んでもよい。
前記第1制御と前記第2制御とは、負荷が制御切替閾値を超えたか、または下回ったかで切り替わるように構成され、
前記パラメータは、前記制御切替閾値を含んでもよい。
負荷が基準値を超えると、前記制御切替閾値を低下させてもよい。負荷が基準値を下回ると、前記制御切替閾値を高くしてもよい。これによれば、適切に制御切替閾値を変更できる。
前記制御部は、前記モータが駆動を開始してから前記モータの回転数を目標値に向けて緩やかに上昇させるソフトスタート機能を有し、
前記パラメータは、前記ソフトスタート機能における前記モータの回転数上昇の勾配を含んでもよい。
前記パラメータは、前記ソフトスタート機能における前記モータの回転数上昇の勾配を含んでもよい。
前記スイッチが前記モータの駆動を指示する状態になってから前記モータに負荷がかかるまでの時間が基準値を下回ると、前記勾配を急にしてもよい。
前記スイッチが前記モータの駆動を開始する状態になってから前記モータに負荷がかかるまでの時間が基準値を超えると、前記勾配を緩やかにしてもよい。
前記モータの巻線形態を高回転巻線と高トルク巻線との間で切り替える巻線切替部を備え、
前記巻線形態は、負荷が巻線切替閾値を超えたか、または下回ったかで切り替わるように構成され、
前記パラメータは、前記巻線切替閾値を含んでもよい。
前記巻線形態は、負荷が巻線切替閾値を超えたか、または下回ったかで切り替わるように構成され、
前記パラメータは、前記巻線切替閾値を含んでもよい。
前記モータの起動から停止までの時間が基準値を超えると、前記巻線切替閾値を低下させてもよい。
前記モータの起動から停止までの時間が基準値を下回ると、前記巻線切替閾値を高くしてもよい。
前記パラメータは、所定範囲内で変更されてもよい。これによれば、過度なパラメータの調整を抑制できる。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、作業性の良い作業機を提供することができる。
以下において、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示である。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
本実施の形態は、作業機に関し、具体的には丸鋸(コードレス丸鋸)に関する。この丸鋸は、ベース1と、本体2とを備える。ベース1は、例えばアルミ等の金属製の略長方形の板材である。ベース1の長手方向は切断方向(前後方向)と平行である。ベース1の底面は、被削材との摺動面である。
本体2は、後述のようにベース1に前後2箇所で連結され、ベース1に対して回動可能かつ左右に傾動可能である。本体2は、モータハウジング3と、ハンドル部4と、ギヤカバー5と、ソーカバー6と、保護カバー7と、丸鋸刃8(回転工具)とを含む。
モータハウジング3は、例えば樹脂製であり、図5及び図6に示すモータ9(電動モータ)を内蔵する。モータ9は、丸鋸刃8を回転駆動する。ハンドル部4は、モータハウジング3と同材質であり、モータハウジング3の上方において前後方向に延びる。ハンドル部4には、作業者がモータ9の駆動、停止を切り替える操作部(スイッチ)としてのメイントリガスイッチ18(メインスイッチ)が設けられる。
ハンドル部4は、図3及び図4に示すようにモータハウジング3と一体的に設けられた左側部品と、モータハウジング3とギヤカバー5との間に挟持される右側部品とによって構成され、この左側部品と右側部品との組合せで後述する電池パック取付部4aが構成されると共に、丸鋸刃8側に位置するハンドル部4の右側部品に後述する制御回路基板収納部4bが設けられる。ハンドル部4の左側部品と右側部品との境界は、図1、図3、図4などでハンドル部4の中央に表れるラインである。
ハンドル部4の後端下部には、電池パック取付部4a(電池取付部)と、制御回路基板収納部4bが一体に設けられる。電池パック取付部4aには、電池パック20(蓄電池)が、後方からスライドさせることで着脱自在に装着される。ハンドル部4の下側であって電池パック取付部4aの上面にはモード切換スイッチ16(例えばタクトスイッチ)及びモードを表示する表示部としてのLED29が設けられる。
作業者は、モード切換スイッチ16により、パワーモード(通常モード)及びサイレントモード(エコモード)のいずれかを選択できる。モード切換スイッチ16及びLED29は同一の基板上に設けられており、モード切換スイッチ16の操作によってサイレントモードが設定された際に、LED29が点灯する。モード切換スイッチ16は、ハンドル部4の下側に設けられ、モード切換スイッチ16が何かに衝突するなどして不意にモードが切り替わることが抑制される。
電池パック20は、モータ9に駆動電力を供給する。図1に示すように、電池パック取付部4aに装着された電池パック20の左側面と、モータハウジング3の左側面は、略同一平面上に存在する。すなわち、丸鋸刃8からモータハウジング3の左側面の距離と、丸鋸刃8から電池パック20の左側面の距離が略同じであり、電池パック20の左側面とモータハウジング3の左側面を下にして丸鋸を載置することができ、丸鋸刃8の交換作業を容易に行うことができる。
制御回路基板収納部4bは、電池パック20の右側に設けられる。制御回路基板収納部4bには、制御回路基板21が収納保持される。制御回路基板21は、モータ9の動作を制御する制御部(コントローラ)を搭載する。制御回路基板21は、モータ9の回転軸(丸鋸刃8の回転軸)と略垂直である。制御回路基板21の左側、すなわち制御回路基板21と電池パック20との間は、例えば樹脂製のコントローラカバー22によって仕切られる。
ギヤカバー5は、ハンドル部4の右側に設けられる。ギヤカバー5は、例えば金属製であり、モータ9と丸鋸刃8との間の回転伝達機構を内蔵する。回転伝達機構は周知の減速機構等からなる。ソーカバー6は、ギヤカバー5に取り付けられ、ギヤカバー5と共に丸鋸刃8の上半分を覆う。ソーカバー6はギヤカバー5と同材質かつ一体に形成されても良い。ギヤカバー5及びソーカバー6の前端部は回動支持部14に連結される。
保護カバー7は、例えば樹脂製であり、ギヤカバー5の後方側に、ギヤカバー5及びソーカバー6の外縁に沿って回動可能に設けられる。ギヤカバー5と保護カバー7との間には図示しないバネが介在する。このバネは、ギヤカバー5に対して保護カバー7を、ギヤカバー5及びソーカバー6の円周方向であって丸鋸刃8の下半分を覆う方向(図2中、反時計回り)に付勢する。よって、切断作業を行っていない状態では、保護カバー7は、丸鋸刃8の下半分(ベース1の底面から下方に突出した部分)を、前方の一部を除いて覆う。
ベース1の前部には、ベベルプレート12が立設される。ベベルプレート12は、切断方向と略直交する短手方向に直立する。ベベルプレート12には長孔13が設けられる。長孔13は、切断方向に延びる第1傾動軸部15aを中心とし、かつ第1傾動軸部15aと直交する円弧状である。回動支持部14は、第1傾動軸部15aを中心としてベース1に対して左右に傾動可能に支持される。回動支持部14の傾動位置は、傾斜角度調整レバー11を緩めた状態で調整し、傾斜角度調整レバー11を締め付けることで固定する。回動支持部14は、モータ9の回転軸(丸鋸刃8の回転軸)と平行な軸でソーカバー6の前端部を回動可能に支持する。ソーカバー6の回動位置の調整及び固定については後述する。
ベース1の後部には、リンク10が、第1傾動軸部15aと同軸の傾動軸部15bを中心に回動可能に設けられ、ギヤカバー5の左側面に沿う。リンク10は、例えばアルミ等の金属製である。切込み深さ調整レバー19を緩めた状態では、リンク10とギヤカバー5とは相互にスライド可能であり、ベース1に対するソーカバー6の回動位置、すなわち切込み深さを調整できる。そして、切込み深さ調整レバー19を締め付けることで、ギヤカバー5の回動位置を固定できる。
図6に示すように、モータ9は、インナーロータ型のブラシレスモータであって、出力軸9aの周囲にロータコア9bを有する。出力軸9aは丸鋸刃8の回転軸と平行である。ロータコア9bは出力軸9aと一体に回転する。ロータコア9bにはロータマグネット9cが挿入支持される。ステータコア9dは、ロータコア9bの外周面を囲むように設けられる。ステータコア9dには、インシュレータ9eを挟んでステータコイル9fが設けられる。ステータコア9dの左端側には、スイッチング基板23が固定される。スイッチング基板23は出力軸9aと略垂直である。
図7に示すように、スイッチング基板23には、6つのスイッチング素子23a(FET等)が、本体部を倒した状態で搭載される。スイッチング素子23aは、電池パック20からの供給電圧をスイッチングする。図5に示すように、電池パック20の端子部20aとスイッチング基板23は、配線24によって相互に電気的に接続される。配線25は、電池パック20の端子部20aと制御回路基板21とを相互に電気的に接続する。配線26は、制御回路基板21とスイッチング基板23とを相互に電気的に接続する。制御回路基板21のコントローラからの制御信号が配線26によりスイッチング基板23上のスイッチング素子23aの制御端子(ゲート)に印加され、スイッチング素子23aのオンオフが制御される。モータ9の出力軸9aには冷却ファン33が取り付けられて出力軸9aと共に回転する。冷却ファン33の発生する気流によって、モータ9及びスイッチング素子23aが冷却される。
図8は、実施の形態に係る丸鋸の回路ブロック図である。検出抵抗Rsは、モータ9の電流経路に設けられる。回転センサ34は、モータ9の近傍に配置された例えば3個のホール素子等の磁気センサである。インバータ回路28は、三相ブリッジ接続されたスイッチング素子Q1~Q6(図6及び図7に示すスイッチング素子23aに対応)からなる。
切替回路駆動部35は巻線形態切替用スイッチ35a、35bのオンオフ状態(電気的に接続、または遮断されている状態)を切り替えるための回路であり、演算部40によって制御される。巻線形態切替用スイッチ35a、35bは、それぞれモータ9の各相のステータコイル9fに接続されたスイッチ(例えばリレーやスイッチング素子)であり、巻線切替部を構成する。巻線形態切替用スイッチ35a、35bは、一方がオンのとき他方はオフとなる関係にある。ステータコイル9fの巻線形態は、巻線形態切替用スイッチ35aがオンのときはY結線(スター結線)であり、巻線形態切替用スイッチ35bがオンのときはデルタ結線となる。
制御部27は、電流検出回路36、電圧検出回路37、インバータ駆動部38、回転子位置検出回路39、及び演算部40を含む。制御部27は、図6に示す制御回路基板21に搭載される。電流検出回路36は、検出抵抗Rsの電圧によりモータ9に流れる電流(モータ電流)、すなわち負荷を検出し、演算部40に送信する。負荷は、電流に限らず、電圧又はデューティ、モータ9の回転数変化、あるいはそれらの複合によって検出されてもよい。以下の説明では、負荷はモータ電流により検出するものとする。電圧検出回路37は、電池パック20の出力電圧を検出し、演算部40に送信する。インバータ駆動部38は、演算部40の制御に従い、インバータ回路28のスイッチング素子Q1~Q6のオンオフを制御(PWM制御)する。回転子位置検出回路39は、回転センサ34の出力信号によりモータ9の回転数を検出し、演算部40に送信する。
演算部40は、メイントリガスイッチ18がオンされると、モード切替スイッチ16により設定されたモード(例えばパワーモード又はサイレントモードのいずれか)に応じてインバータ回路28の各スイッチング素子23aにPWM信号を印加し、モータ9の駆動を制御する。
演算部40は、パワーモードにおいては、各スイッチング素子23aに印加するPWM信号のデューティ(以下、単に「デューティ」)を負荷によらず最大(例えば100%)とする。演算部40は、サイレントモードにおいては、負荷が制御切替閾値未満の場合、丸鋸刃8の回転数が所定回転数(例えば、3,000回転/分)となるようデューティを制御する第1制御を行い、負荷が制御切替閾値以上の場合、パワーモードと同様にデューティを最大にする第2制御を行う。第1制御では、モータ9の回転数は所定値以下に制限される。第2制御では、モータ9を前記所定値を超えた回転数にて駆動可能である。制御切替閾値は、制御のパラメータの一例である。図12で後述のように、演算部40は、作業者による丸鋸の使用態様を学習し、制御切替閾値(制御切替電流)を変更する機能を有する。
演算部40は、メイントリガスイッチ18がオンされて(メイントリガスイッチ18がモータ9の駆動を支持する状態になって)モータ9を起動する際には、いずれのモードであっても、徐々にデューティを増加させてモータ9の回転数を目標値に向けて緩やかに上昇させるスロースタート制御(ソフトスタート制御)を行う。スロースタート制御におけるモータ回転数上昇の勾配(所定時間あたりにおける回転数の変化量、回転数の変化率)は、制御のパラメータの一例である。図13で後述のように、演算部40は、作業者による丸鋸の使用態様を学習し、スロースタート制御におけるモータ回転数上昇の勾配を変更する機能を有する。
演算部40は、ステータコイル9fの巻線形態(結線方式)を、負荷が巻線切替閾値未満の場合は高回転巻線とし、負荷が巻線切替閾値を超えている場合は高トルク巻線とする巻線切替機能を有する。高回転巻線はここではY結線(スター結線)であり、高トルク巻線はここではデルタ結線である。巻線切替閾値は、制御のパラメータの一例である。演算部40は、作業者による丸鋸の使用態様を学習し、巻線切替閾値(巻線切替電流)を変更する機能を有する。
図9は、実施の形態の丸鋸のパワーモードとサイレントモードにおける負荷とモータ回転数の関係を示すグラフある。サイレントモードについては、第1制御(定回転数制御)から第2制御(定デューティ制御)に移行する制御切替閾値が最高、最低の各場合を示している。演算部40は、作業者が丸鋸を被削材に押し付ける力(押付け力)に応じて、制御切替閾値を変更する。具体的には、演算部40は、作業傾向として押付け力が強いほど制御切替閾値を低くする。これにより、高負荷作業傾向の作業者の場合は、低負荷作業傾向の作業者の場合と比較して、制御切替閾値が低くなり、より低い負荷で第1制御から第2制御に切り替わることになる。よって、高負荷作業傾向の作業者にとっては作業速度が速くなる。低負荷作業傾向の作業者にとっては静音効果が高くなる。押付け力は、作業者の操作の一例である。
図10は、実施の形態の丸鋸のスロースタート制御における時間とモータ回転数の関係を示すグラフである。モータ回転数上昇の勾配は、最高、中間、最低の各場合を示している。演算部40は、メイントリガスイッチ18がオンされてから負荷がかかるまでの時間に応じて、スロースタート制御におけるモータ回転数上昇の勾配を変更する。具体的には、演算部40は、作業傾向としてメイントリガスイッチ18をオンしてから負荷をかけるまでの時間が短いほどモータ回転数上昇の勾配を大きくする(急にする)。これにより、メイントリガスイッチ18を引いてから丸鋸を被削材に押し付け始めるまでの時間が短い作業者の場合は、当該時間が長い作業者の場合と比較して、モータ回転数上昇の勾配が大きくなり、より短い時間で丸鋸刃8及びモータ9が目標回転数まで到達することになる。よって、メイントリガスイッチ18を引いてから丸鋸を被削材に押し付け始めるまでの時間が短い作業者にとっては、メイントリガスイッチ18を引いてからすぐに作業できるようになり、作業速度が速くなる。当該時間が長い作業者にとっては、スロースタート制御による反動低減効果が高くなり、丸鋸刃8を切断箇所に合わせやすくなる。当該時間は、作業者の操作の一例である。
メイントリガスイッチ18がオンされてから負荷がかかるまでの時間は、モータ9が起動して最高回転数(目標回転数)に達してから負荷の電流を検出するまでの時間で判定する。
(短いと判定する判定式例)
メイントリガスイッチ18がオンされてから負荷電流を検出するまでの時間
- モータが起動して最高回転数に達する時間 < 基準値
(長いと判定する判定式例)
メイントリガスイッチ18がオンされてから負荷電流を検出するまでの時間
- モータが起動して最高回転数に達する時間 ≧ 基準値
(短いと判定する判定式例)
メイントリガスイッチ18がオンされてから負荷電流を検出するまでの時間
- モータが起動して最高回転数に達する時間 < 基準値
(長いと判定する判定式例)
メイントリガスイッチ18がオンされてから負荷電流を検出するまでの時間
- モータが起動して最高回転数に達する時間 ≧ 基準値
図11は、実施の形態の丸鋸における負荷とモータ回転数の関係を示すグラフある。ステータコイル9fの巻線形態(以下、単に「巻線形態」)を高回転巻線から高トルク巻線に切り替える巻線切替閾値は、最高、最低の各場合を示している。演算部40は、メイントリガスイッチ18がオンされてからオフに戻るまでの時間、すなわち一作業あたりのモータ9の起動時間に応じて、巻線切替閾値を変更する。具体的には、演算部40は、作業傾向として一作業あたりのモータ9の起動時間が長いほど巻線切替閾値を低くする。これにより、一作業の時間が長い作業者の場合は、一作業の時間が短い作業者の場合と比較して、巻線切替閾値が低くなり、より低い負荷で高回転巻線から高トルク巻線に切り替わることになる。よって、一作業の時間が長い作業者にとっては電池パック20の容量を効率よく使用できるようになり、一作業の時間が短い作業者にとっては作業効率が高められる。一作業あたりのモータ9の起動時間は、作業者の操作の一例である。
図12は、実施の形態の丸鋸における制御切替閾値の変更に係る制御フローチャートである。演算部40は、メイントリガスイッチ18がオンされると(S1のYES)、サイレントモードでない場合は(S2のNO)、モータ9を定デューティ制御で駆動する(S3)。演算部40は、モータ9に供給される電流の最大値(最大電流)、すなわち最大負荷を記録(記憶)する(S4)。演算部40は、メイントリガスイッチ18がオフになると(S5のYES)、モータ9を停止する(S13)。
演算部40は、S2においてサイレントモードの場合(S2のYES)、第1制御(定回転数制御)でモータ9を駆動する(S6)。演算部40は、負荷すなわちモータ電流が制御切替閾値以上でなければ(S7のNO)、第1制御(定回転数制御)を継続し、メイントリガスイッチ18がオフになると(S8のYES)、モータ9を停止する(S13)。
演算部40は、第1制御(定回転数制御)の実行中に負荷すなわちモータ電流が制御切替閾値以上になると(S7のYES)、モータ9を第2制御(定デューティ制御)で駆動する(S9)。演算部40は、第2制御(定デューティ制御)の実行中にモータ9に供給される電流の最大値(最大電流)、すなわち最大負荷を記録(記憶)する(S10のNO、S11)。演算部40は、負荷すなわちモータ電流が制御切替閾値未満になると(S10のYES)、第1制御(定回転数制御)に移行する。演算部40は、メイントリガスイッチ18がオフになると(S12のYES)、モータ9を停止する(S13)。
演算部40は、モータ9の停止(S13)の後、S4又はS12で記録した最大電流が第1基準値としての基準電流I1(基準値)を超えていた場合(S14のYES)、制御切替閾値(制御切替電流)を下げる(S15)。演算部40は、最大電流が第2基準値としての基準電流I2(I2≦I1)未満の場合(S14のNO、S16のYES)、制御切替閾値(制御切替電流)を高くする(S17)。演算部40は、最大電流がI2以上I1以下の範囲の場合、制御切替閾値(制御切替電流)を変更しない。演算部40は、S1に戻る。
図13は、実施の形態の丸鋸におけるモータ回転数上昇の勾配の変更に係る制御フローチャートである。演算部40は、メイントリガスイッチ18がオンされると(S21のYES)、スロースタート制御によりモータ9を起動する(S22)。演算部40は、今回のメイントリガスイッチ18のオンの後に負荷がかかるまでの時間の記録がない場合(S23のYES)、負荷を検出すると(S24のYES)、負荷がかかるまでの時間を記憶する(S25)。演算部40は、メイントリガスイッチ18がオフになると(S26のYES)、モータ9を停止する(S27)。
演算部40は、モータ9の停止(S27)の後、S25で記憶した負荷がかかるまでの時間が第1基準値としての基準時間T1を超えていた場合(S28のYES)、スロースタート制御におけるデューティ上昇率(上昇速度)を下げる(スロースタート制御におけるモータ回転数上昇の勾配を緩やかにする)(S29)。演算部40は、負荷がかかるまでの時間が第2基準値としての基準時間T2(T2≦T1)未満の場合(S28のNO、S31のYES)、スロースタート制御におけるデューティ上昇率(上昇速度)を上げる(スロースタート制御におけるモータ回転数上昇の勾配を急にする)(S32)。演算部40は、負荷がかかるまでの時間がT2以上T1以下の範囲の場合、スロースタート制御におけるデューティ上昇率を変更しない。演算部40は、負荷がかかるまでの時間を消去し(S30)、S21に戻る。
図14は、実施の形態の丸鋸における巻線切替閾値の変更に係る制御フローチャートである。演算部40は、メイントリガスイッチ18がオンされると(S41のYES)、巻線形態を高回転巻線してモータ9を駆動する(S42)。演算部40は、負荷すなわちモータ電流が巻線切替閾値未満であれば(S43のNO)、巻線形態を高回転巻線に維持してモータ9を駆動し、メイントリガスイッチ18がオフになると(S44のYES)、モータ9を停止する(S48)。
演算部40は、巻線形態が高回転巻線の状態で負荷すなわちモータ電流が巻線切替閾値以上になると(S43のYES)、巻線形態を高トルク巻線に切り替えてモータ9を駆動する(S45)。演算部40は、負荷すなわちモータ電流が巻線切替閾値未満でなければ(S46のNO)、巻線形態を高トルク巻線に維持してモータ9を駆動し、メイントリガスイッチ18がオフになると(S46のNO)、モータ9を停止する(S48)。演算部40は、巻線形態が高トルク巻線の状態で負荷すなわちモータ電流が巻線切替未満になると(S46のYES)、巻線形態を高回転巻線に切り替えてモータ9を駆動する(S42)。
モータ9の停止(S48)の後、メイントリガスイッチ18がオンされてからオフに戻るまでの時間、すなわちモータ9の起動時間が第1基準値としての基準時間Taを超えていた場合(S49のYES)、巻線切替閾値(巻線切替電流)を低下させる(S50)。演算部40は、起動時間が第2基準値としての基準時間Tb(Tb≦Ta)未満の場合(S49のNO、S51のYES)、巻線切替閾値(巻線切替電流)を高くする(S52)。演算部40は、起動時間がTb以上Ta以下の範囲の場合、巻線切替閾値(巻線切替電流)を変更しない。演算部40は、S41に戻る。
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
(1) 演算部40は、作業者の操作に基づいて、モータ9の制御のパラメータを変更する。このため、制御のパラメータが固定されている場合と異なり、使用していくにつれて、作業者ごとの作業傾向に合わせて制御のパラメータが変更され、それぞれの作業者にとって使いやすい丸鋸(作業機)となり、作業性が向上する。特に、演算部40は加工材や電池容量などに起因する情報ではなく、作業時における作業者の操作、具体的には押し付け方(負荷のかけ方)やトリガスイッチ18の操作方法などの、作業者によって大きく異なる情報に基づいて制御のパラメータを変更するため、作業者にとって使いやすい作業機を実現することができる。例えば電流を測定することで加工材の材料を判断し、それに応じた制御内容を自動的に選択するという技術の場合、加工材にとって最適な制御は実行されるが、作業者によって制御内容が変更されるものではないため、本願課題を解決することができないものであったが、本願発明であれば本願課題を解決することができる。
(2) 演算部40は、メイントリガスイッチ18がオンになってからオフになるまでの間の一作業期間における負荷に応じて、次にメイントリガスイッチ18がオンされたときの制御切替閾値を変更する。具体的には、演算部40は、一作業期間における負荷が基準値を超えると制御切替閾値を低下させ、負荷が基準値を下回ると制御切替閾値を高くする。これにより、高負荷作業傾向の作業者にとっては作業速度が速くなり、低負荷作業傾向の作業者にとっては静音効果が高くなる。すなわち、それぞれの作業者にとって使いやすい丸鋸(作業機)となり、作業性が向上する。なお、複数の作業期間における最大負荷の平均値を算出し、当該平均値を基準値と比較して制御切替閾値を変更してもよい。
(3) 演算部40は、メイントリガスイッチ18がオンされてから負荷がかかるまでの時間に応じて、次にメイントリガスイッチ18がオンされたときのスロースタート制御におけるモータ回転数上昇の勾配を変更する。具体的には、演算部40は、メイントリガスイッチ18がオンされてから負荷がかかるまでの時間が基準値を下回るとモータ回転数上昇の勾配を急にし、当該時間が基準値を超えるとモータ回転数上昇の勾配を緩やかにする。これにより、メイントリガスイッチ18を引いてから丸鋸を被削材に押し付け始めるまでの時間が短い作業者にとってはメイントリガスイッチ18を引いてからすぐに作業できるようになって作業速度が速くなり、当該時間が長い作業者にとってはスロースタート制御による反動低減効果が高くなって丸鋸刃8を切断箇所に合わせやすくなる。すなわち、それぞれの作業者にとって使いやすい丸鋸(作業機)となり、作業性が向上する。なお、メイントリガスイッチ18がオンされてから負荷がかかるまでの時間の複数回分の平均値を算出し、当該平均値を基準値と比較してスロースタート制御におけるモータ回転数上昇の勾配を変更してもよい。
(4) 演算部40は、一作業あたりのモータ9の起動時間に応じて、次にメイントリガスイッチ18がオンされたときの巻線切替閾値を変更する。具体的には、演算部40は、一作業あたりのモータ9の起動時間が基準値を超えると巻線切替閾値を低下させ、一作業あたりのモータ9の起動時間が基準値を下回ると巻線切替閾値を高くする。これにより、一作業の時間が長い作業者にとっては電池パック20の容量を効率よく使用できるようになり、一作業の時間が短い作業者にとっては作業効率が高められる。すなわち、それぞれの作業者にとって使いやすい丸鋸(作業機)となり、作業性が向上する。なお、複数回の作業におけるモータ9の起動時間の平均値を算出し、当該平均値を基準値と比較して巻線切替閾値を変更してもよい。
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
本発明の作業機は、丸鋸に限定されず、他の種類のものであってもよい。本発明の作業機は、電池パックの電力で動作するコードレスタイプに限定されず、外部交流電源の電力で動作するコード付きタイプであってもよい。また、作業者の操作(トリガスイッチの操作や負荷のかけ方など)によって作業者の作業傾向(精度優先か時間優先か、など)を判断して制御内容を変更するものであればよく、例えば慎重にトリガスイッチを操作した場合にはトリガスイッチをオフした際に実行するブレーキ制御の制動力を弱くして徐々にモータが停止するようにするなど、上記以外の制御にも適用可能である。
1…ベース、2…本体、3…モータハウジング、4…ハンドル部、4a…電池パック取付部、4b…制御回路基板収納部、5…ギヤカバー、6…ソーカバー、7…保護カバー、8…丸鋸刃、9…ブラシレスモータ、9a…出力軸、9b…ロータコア、9c…ロータマグネット、9d…ステータコア、9e…インシュレータ、9f…ステータコイル、10…リンク、11…傾斜角度調整レバー、12…ベベルプレート、13…長孔、14…回動支持部、15a…傾動軸部、15b…傾動軸部、16…モード切替スイッチ、18…メイントリガスイッチ、19…切込み深さ調整レバー、20…電池パック、20a…端子部、21…制御回路基板、22…コントローラカバー、23…スイッチング基板、23a…スイッチング素子、24~26…配線、27…制御部、28…インバータ回路、29…LED、33…冷却ファン、34…回転センサ、35…切替回路駆動部、35a、35b…巻線形態切替用スイッチ(巻線切替部)、36…電流検出回路、37…電圧検出回路、38…インバータ駆動部、39…回転子位置検出回路、40…演算部、Rs…検出抵抗。
Claims (13)
- モータと、
前記モータの駆動を制御する制御部と、
前記モータによって回転する回転工具と、
前記モータの駆動・停止を切り替えるスイッチと、を備え、
作業者の操作に基づいて、制御のパラメータを変更する、作業機。 - 前記操作は、作業機への押し付け方、前記スイッチに対する操作、前記モータを駆動状態にしている時間のいずれか1つを含む、請求項1に記載の作業機。
- 前記パラメータは、異なる制御状態を切り替えるための条件、所定時間における回転数の変化量のいずれか1つを含む、請求項1または2に記載の作業機。
- 前記制御部は、前記モータの回転数が所定値以下に制限された第1制御と、前記モータを前記所定値を超えた回転数にて駆動可能な第2制御と、を有し、
前記第1制御と前記第2制御とは、負荷が制御切替閾値を超えたか、または下回ったかで切り替わるように構成され、
前記パラメータは、前記制御切替閾値を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の作業機。 - 負荷が基準値を超えると、前記制御切替閾値を低下させる、請求項4に記載の作業機。
- 負荷が基準値を下回ると、前記制御切替閾値を高くする、請求項4又は5に記載の作業機。
- 前記制御部は、前記モータが駆動を開始してから前記モータの回転数を目標値に向けて緩やかに上昇させるソフトスタート機能を有し、
前記パラメータは、前記ソフトスタート機能における前記モータの回転数上昇の勾配を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の作業機。 - 前記スイッチが前記モータの駆動を開始する状態になってから前記モータに負荷がかかるまでの時間が基準値を下回ると、前記勾配を急にする、請求項7に記載の作業機。
- 前記スイッチが前記モータの駆動を開始する状態になってから前記モータに負荷がかかるまでの時間が基準値を超えると、前記勾配を緩やかにする、請求項7又は8に記載の作業機。
- 前記モータの巻線形態を高回転巻線と高トルク巻線との間で切り替える巻線切替部を備え、
前記巻線形態は、負荷が巻線切替閾値を超えたか、または下回ったかで切り替わるように構成され、
前記パラメータは、前記巻線切替閾値を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の作業機。 - 前記モータの起動から停止までの時間が基準値を超えると、前記巻線切替閾値を低下させる、請求項10に記載の作業機。
- 前記モータの起動から停止までの時間が基準値を下回ると、前記巻線切替閾値を高くする、請求項10又は11に記載の作業機。
- 前記パラメータは、所定範囲内で変更される、請求項1から12のいずれか一項に記載の作業機。
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JP2021062216A Pending JP2022157786A (ja) | 2021-03-31 | 2021-03-31 | 作業機 |
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2021
- 2021-03-31 JP JP2021062216A patent/JP2022157786A/ja active Pending
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