JP2022150940A - 熱処理小麦ふすまの製造方法、及び加工食品の製造方法 - Google Patents

熱処理小麦ふすまの製造方法、及び加工食品の製造方法 Download PDF

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一民 塚本
Ichitami Tsukamoto
匡昭 木本
Masaaki Kimoto
大介 茂木
Daisuke Mogi
聡真 福澤
Soma Fukuzawa
想明 金原
Somei Kanahara
裕樹 夏目
Hiroki Natsume
洋介 菊池
Yosuke Kikuchi
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Abstract

【課題】二次加工適性が高く、且つ風味及び食感に優れた二次加工品に加工可能な熱処理小麦ふすまの製造方法を提供すること。【解決手段】本発明は、オーストラリア・スタンダード・ホワイト由来の小麦ふすまと過熱水蒸気と接触させて、該小麦ふすまを熱処理する工程を備える、熱処理小麦ふすまの製造方法に関する。熱処理小麦ふすまの平均粒径は30~180μmである。温度が150~450℃である過熱水蒸気を0.5~10分間接触させることも好適である。本発明は、前記製造方法によって得られた熱処理小麦ふすまを、穀粉類100質量部に対して1~60質量部用いる、加工食品の製造方法も提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、熱処理小麦ふすまの製造方法、及び加工食品の製造方法に関する。
近年、健康意識の高まりから、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの栄養素や、機能性成分に富み、良好な風味を有する小麦ふすまを用いて、パンや麺類等の二次加工品が製造されている。
特許文献1には、小麦ふすま本来の風味を有し、エグミ及び臭みが低減された加工品を得ることを目的として、タンパク質の総質量に対する可溶性タンパク質の割合が3~15%であり、糊化した澱粉の含有量が1~10質量%である、小麦ふすま加工品が開示されている。
特開2017-225423号公報
しかし、特許文献1の技術は、小麦ふすまを用いた際の二次加工性が悪く、また小麦ふすまを用いた二次加工物の食感等も満足できるものではなかった。
したがって、本発明の課題は、二次加工適性が高く、且つ風味及び食感に優れた二次加工品に加工可能な熱処理小麦ふすまを提供することにある。
本発明は、オーストラリア・スタンダード・ホワイト由来の小麦ふすまと過熱水蒸気と接触させて、該小麦ふすまを熱処理する工程を備え、
平均粒径が30~180μmである、熱処理小麦ふすまの製造方法を提供するものである。
また本発明は、前記製造方法によって得られた熱処理小麦ふすまを、穀粉類100質量部に対して1~60質量部用いる、加工食品の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、二次加工適性が高く、且つ風味及び食感に優れた二次加工品に加工可能な熱処理小麦ふすまが提供される。
以下に本発明の熱処理小麦ふすまの製造方法(以下、単に「製造方法」ともいう。)を、その好ましい実施形態に基づいて説明する。以下の説明では、「X~Y[Z]」(X及びYは任意の数字、[Z]は任意の単位)と記載した場合、特に断らない限り「X[Z]以上Y[Z]以下」を意味する。
本製造方法は、イネ科コムギ属の一種である白小麦のうち、中間質小麦に分類されるオーストラリア・スタンダード・ホワイト(ASW、例えばオーストラリア産)から得られる小麦ふすまを原料として、該小麦ふすまに所定の熱処理に付すものである。原料である小麦ふすまは、食物繊維及び糖質をそれぞれ所定量含むものである。ASW由来の小麦ふ
すまを原料として用いることによって、二次加工適性を高めることができ、また、得られる二次加工品は、小麦ふすまに由来する苦みやえぐみ等の不快な味が低減されて風味が良好になり、食感も滑らかなものとなることに加えて、外観にも優れる。小麦ふすまがASW由来のものであるか否かは、例えば遺伝学的特徴で選別することができる。
一般的に、小麦頴果(小麦の穀粒)は、胚乳部、外皮部(外皮及び種皮)並びに胚芽(胚部)に大別されるところ、小麦穀粒を粉砕し、胚乳部及び胚芽を除去して得られた外皮部由来の画分が、小麦ふすまとなる。この小麦ふすまは、その水分量が典型的には3~15質量%であり、好ましくは粉状物である。
本製造方法は、ASW由来の小麦ふすまと過熱水蒸気と接触させて、該小麦ふすまを熱処理する工程を備える。以下の説明では、熱処理を行っていないものを「未処理」ともいう。
まず、原料となる未処理のASWの穀粒から、胚乳及び胚芽を分離して、未処理の小麦ふすまを得る。ASWの穀粒は、穀粒に加水して調質するか、又は加水調質せずに、粉砕に供することができる。穀粒粉砕物から小麦ふすまを採取する方法は特に制限されず、例えば篩分け等の公知の分級方法により、穀粒粉砕物を小麦ふすまと、それ以外の成分とに分離し、小麦ふすまを採取する方法を利用できる。
未処理のASWの穀粒の粉砕は、本技術分野で通常用いられる粉砕方法を用いることができ、例えば、ロール式粉砕、衝撃式粉砕、気流式粉砕等の方法を用いることができる。穀粒の粉砕は、1回のみ行ってもよく、同一の又は異なる粉砕方法で複数回行ってもよい。例えば、ロール式粉砕と衝撃式粉砕とを組み合わせてこの順で実施してもよく、ロール式粉砕を多段階で複数回行っても良い。また、衝撃式粉砕に用いる粉砕機としては、衝撃板と回転ローター間で機械的衝撃により粉砕を行うものであれば特に限定されない。穀粒の粉砕効率とふすまの分離効率とを両立して高める観点から、ロール式粉砕を採用することが好ましい。
小麦ふすまの平均粒径は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(例えば、日機装株式会社製、「マイクロトラック粒径分布測定装置9200FRA」)を用いて乾式で測定したときの累積体積50容量%における体積累積粒径D50を指す。この測定方法は、本明細書において共通して適用される。
次いで、上述の方法で得られた未処理の小麦ふすまと、過熱水蒸気とを接触させて、小麦ふすまを熱処理する。熱処理の方法として過熱水蒸気を用いた熱処理を行うことによって、熱処理された小麦ふすまの二次加工性が更に改善され、また、得られる二次加工品の風味及び食感がより一層良好なものとなる。また、熱処理工程を経ることによって、小麦ふすまの粒径を調整しやすくなるので、熱処理小麦ふすまの粒径を好適な範囲に調整して、二次加工品の生産性を高められる得る点で有利である。また、熱処理工程を経ることによって、アミラーゼやプロテアーゼなどの各種酵素の活性を低減、あるいは失活させることができるため、二次加工性を更に向上させたり、二次加工品の食感を更に向上させたりできる点で特に有利である。
熱処理に用いる過熱水蒸気は、その温度が好ましくは150~450℃、より好ましくは150~300℃、更に好ましくは150~250℃である。また過熱水蒸気による処理時間は、上述の温度範囲であることを条件として、好ましくは0.5~10分間、より好ましくは1~8分間、更に好ましくは2~5分間である。過熱水蒸気の流量は、使用する設備によって適宜調整可能であるが、後述する実施例で用いた装置(SVロースターHOTMAX(中西製作所))を例にとると、例えば、好ましくは30~300kPaとす
ることができる。
このような条件で過熱水蒸気を接触させることによって、処理対象となる小麦ふすまの品温が過熱水蒸気の温度と同等となった状態で熱処理することができ、小麦ふすま特有のエグミ及び臭みを効果的に低減することができる。また、小麦ふすまを加工食品の原料として用いる際の二次加工適性が向上し、小麦ふすまを含む加工食品の風味がより良好となる。これに加えて、意図しない焙煎臭の発生を抑制して、喫食しやすい二次加工品を得ることができる。
過熱水蒸気と小麦ふすまとを接触させる方法としては、例えば密閉系容器内に処理対象となる小麦ふすまを導入して、該容器内に過熱水蒸気を流通及び滞留させる方法が挙げられる。必要に応じて、処理対象となる小麦ふすまを撹拌した状態で、過熱水蒸気と接触させてもよい。
以上の工程を経て、目的とする熱処理小麦ふすまを得ることができる。この熱処理小麦ふすまは好ましくは粉状物であり、その平均粒径が好ましくは30~180μm、より好ましくは45~150μm、更に好ましくは60~120μmである。このような平均粒径であることによって、二次加工適性が高く、且つ外観、風味及び食感に優れた二次加工品を生産性高く製造できる。
上述した好適な平均粒径を有する熱処理小麦ふすまを得るためには、例えば、穀粒の粉砕時などの熱処理する前に、目的とする熱処理小麦ふすまの平均粒径となるように粉砕や分級等の粒径調整を行った未処理の小麦ふすまを熱処理に供したり、あるいは、熱処理をした後で目的とする熱処理小麦ふすまの平均粒径となるように粉砕や分級等の粒径調整を行ったりすることができる。
これに代えて、熱処理する前に、目的とする熱処理小麦ふすまの平均粒径よりも大きい平均粒径となるように粗粉砕を行った未処理の小麦ふすまを得て、この小麦ふすまを過熱水蒸気に接触させて、その後、熱処理した小麦ふすまを、上述した熱処理小麦ふすまの平均粒径となるように微粉砕や分級を行ってもよい。
つまり、過熱水蒸気による熱処理工程の前、若しくはその後、または熱処理工程の前後の双方で、小麦ふすまの粒径を調整する工程を行うことが好ましい。なお、熱処理の前後において、小麦ふすまの平均粒径は実質的に変化しない。
微粒の熱処理小麦ふすまを効率よく得る観点から、熱処理小麦ふすまを更に微粉砕して、上述の好適な平均粒径を有する微粉砕物を得ることが更に好ましい。この微粉砕工程は、衝撃式微粉砕に供して行うことも好ましい。微粉砕処理は、小麦ふすまの全質量に対する平均粒径200μm未満の画分の割合が50~100質量%程度となるように行うことが好ましく、70~100質量%となるように行うことが更に好ましい。
また粒度分布をシャープにして、ざらつきの少ない滑らかな食感を有する二次加工品を加工可能な熱処理小麦ふすまを効率よく得る観点から、熱処理小麦ふすまの微粉砕物を分級して、好ましくは平均粒径200μm以下、より好ましくは平均粒径150μm以下の画分を分離することが好ましい。この分級工程は、篩を用いてもよく、空気分級機を用いてもよく、これらをともに用いてもよい。
篩を用いて分級を行う場合、篩の目開きとして、好ましくは150~200μm、より好ましくは150~180μm、更に好ましくは150μmを用いて、篩を通過した画分を採取する。また本工程を空気分級機を用いて行う場合、粒径150~200μmを境界とした画分を精度よく分離可能な分級機を用いて、好ましくは平均粒径200μm以下、より好ましくは平均粒径150μm以下の画分を採取する。省スペース化の観点から、空気分級機内蔵の衝撃式粉砕機を用いて粉砕及び分級を行うことが好ましい。空気分級機内
蔵の衝撃式微粉砕機としては、例えばホソカワミクロン社製のACMパルベライザー(商品名)を挙げることができる。
過熱水蒸気による熱処理工程を経て得られた熱処理小麦ふすまは、飽和水蒸気を用いた場合と比較して凝縮水の付着が非常に少なくなっているので、その水分量が好ましくは15質量%以下となっている。この水分量は未処理の小麦ふすまと同等であり、熱処理の前後で水分量はほぼ変化しない。
一方で、過熱水蒸気との過剰な接触による凝縮水の意図しない付着や、熱処理環境中の意図しないドリップ落下等によって、その水分量が意図せず比較的高い状態となっている場合がある。これらの現象が生じた場合、熱処理小麦ふすまの水分量が15質量%を超えるおそれがある。
この場合、腐敗菌の繁殖を防止し保存性を高める観点から、過熱水蒸気による熱処理後に乾燥処理を行って、熱処理小麦ふすまの水分量を低減させることが好ましい。具体的には、熱処理小麦ふすまの水分量は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは3~15質量%となるように調整される。乾燥処理は、過熱水蒸気による熱処理の工程後であり且つ粒径調整の工程前に行ってもよく、過熱水蒸気による熱処理及び粒径調整の各工程後で行ってもよい。水分の含有量は、加熱乾燥法によって測定することができる。
本製造工程を経て得られた熱処理小麦ふすまは、その食物繊維含有量及び糖質含有量が所定の範囲となっていることが好ましい。以下の説明では、説明の便宜上、特に断らない限り、上述した範囲の水分量を有する粉状物である熱処理小麦ふすまを例にとり説明する。また、熱処理小麦ふすまの水分量が8~9質量%の場合に、以下の説明で記載する成分の含有量であることが、熱処理小麦ふすまの高い品質を得られる点から好ましい。
熱処理小麦ふすまは、その質量に対する食物繊維の含有量が好ましくは40質量%以上、より好ましくは43質量%以上、更に好ましくは44質量%以上であり、また二次加工品の製造効率の観点から60質量%以下が現実的である。食物繊維の含有量をこのような範囲とすることによって、熱処理小麦ふすまを用いて製造した二次加工品は、小麦ふすまに由来する良好な風味と食感に優れ、外観が良好なものとなる。また、食物繊維の摂取による健康増進効果を得ることができる。食物繊維の含有量は、例えば、ASWの穀粒を粉砕して得られた未処理の小麦ふすま画分に対して、粉砕及び分級のうち少なくとも一つを更に施すなどの方法を行って、小麦外皮部の含有量を高めることによって適宜調整することができる。
本発明における食物繊維含有量は、水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維の合計値として、日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアルに基づき、プロスキー変法(AOAC985.29法をベースとする分析法)によって定量される値である。食物繊維含有量は、例えばプロスキー変法に基づく市販の測定キットを用いて測定することができる。
熱処理小麦ふすまは、該組成物の質量に対する糖質の含有量が好ましくは18質量%以下、より好ましくは17.7質量%以下、更に好ましくは17質量%以下、一層好ましくは16質量%以下であり、また二次加工品の製造効率の観点から10質量%以上が現実的である。糖質の含有量をこのような範囲とすることによって、熱処理小麦ふすまの二次加工への適性を高めることができるとともに、得られる二次加工品の外観及び食感に優れたものとなる。糖質の含有量は、例えばASWの穀粒を粉砕して得られた未処理の小麦ふすま画分に対して、粉砕及び分級のうち少なくとも一つを更に施すなどの方法を行って、小麦外皮部の含有量を高めることによって適宜調整することができる。
本発明における糖質の含有量は、例えば日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアルに基づく差引き法によって求められる炭水化物の値から食物繊維の値を差し引いた値とすることができる。すなわち、本発明における糖質は、100gの測定対象物から、水分、たんぱく質、脂質、灰分及び食物繊維の質量を差し引いた値である。水分、たんぱく質、脂質、灰分及び食物繊維の各質量については、前記分析マニュアルに基づいてそれぞれ定量することができる。
このような熱処理小麦ふすまは、これを用いてパンや麺類等の食品に二次加工する際に製造される生地の弾力性や形態保持性、成形性等の諸物性が良好となり、二次加工適性が高いものとなる。また、熱処理小麦ふすまを用いて加工された二次加工品は、小麦ふすまに由来する苦みやえぐみ等の不快な味が低減され、風味及び食感に優れ、外観が良好なものとなる。詳細には、小麦ふすまの原料となる小麦外皮部及びその周辺には澱粉類が含まれているが、この澱粉類は二次加工に適した構造を有しているものが少なく、澱粉類の質が悪いものが多い。このような澱粉類を含む小麦ふすまを二次加工に用いると、生地の諸物性が悪くなりやすく、その結果、二次加工品の食感や外観が悪くなりやすい。この点に関して、本発明の製造方法を経て得られる熱処理小麦ふすまは、糖質含有量が比較的少ないので、質が悪い澱粉類が混入しづらくなっている。その結果、二次加工への適性を高くして、二次加工品の外観及び食感が良好になる。これに加えて、熱処理小麦ふすまは、ASWを原料としているので、他の小麦を用いた場合と比較して、苦みやえぐみ等が低減された良好な風味を二次加工品に発現させることができる。熱処理小麦ふすまの好適な態様によれば、食物繊維を所定量含んでいるので、二次加工適性、外観、風味及び食感の向上とともに、食物繊維の摂取による健康増進効果を効率よく発揮させることができる。
本製造方法を得て得られた熱処理小麦ふすまは、これに小麦粉や小麦胚芽等の小麦ふすま以外の穀粉を混合した混合穀粉を原料として用いて、熱処理小麦ふすまの二次加工品である加工食品を製造することができる。目的とする加工食品に応じて各原材料の含有量を適宜調整することができるが、穀粉の全質量(熱処理小麦ふすま及び小麦ふすま以外の穀粉の合計質量)に対する熱処理小麦ふすまの含有量は、好ましくは1~60質量%、より好ましくは1~45質量%、更に好ましくは1~30質量%である。このような範囲となるように穀粉中に熱処理小麦ふすまを含有させることによって、二次加工適性、外観、食感の向上とともに、苦みやえぐみ等が低減された良好な風味を加工食品に発現させることができ、且つ食物繊維の摂取による健康増進効果を効率よく発揮させることができる。
加工食品の原料は、必要に応じて、グルテン等のタンパク質、未加工澱粉及び加工澱粉(アセチル化澱粉、エーテル化澱粉、架橋澱粉、酸化澱粉等)等の澱粉類、砂糖及びオリゴ糖等の糖類、ショートニング、バター及びマーガリン等の油脂、酵母及び乳酸菌等の発酵用菌種、食塩、脱脂粉乳、増粘剤、乳化剤、膨張剤等の原材料の一種以上を混合穀粉に更に混合して、穀粉組成物(いわゆるミックス)として用いてもよい。
加工食品を製造する一実施形態は、以下のとおりである。詳細には、熱処理小麦ふすまを単独で、若しくは混合穀粉、又は穀粉組成物に、水、牛乳、全卵、卵白、卵黄、生クリーム、かん水等の生地調製用液体を加えて混合し、粘土状生地(いわゆるドウ)又はペースト状生地(いわゆるバッター)とする。その後、目的とする加工食品の形態となるように生地を成形して、必要に応じて、該生地を乾燥、冷却又は発酵したり、あるいは焼成、蒸し調理、茹で調理、揚げ調理などの加熱処理を該生地に施したりして、加工食品を製造する。
加工食品を製造するにあたり、熱処理小麦ふすまを含む混合穀粉又は穀粉組成物を用いる場合、生地調製用液体の混合穀粉又は穀粉組成物への添加量は、生地調製用液体として水を用いた場合において、調製する生地がドウの場合は、混合穀粉又は穀粉組成物100
質量部に対して50~100質量部程度が好ましく、調製する生地がバッターの場合は、混合穀粉又は穀粉組成物100質量部に対して90~300質量部程度が好ましい。
熱処理小麦ふすまを含む混合穀粉又は穀粉組成物は、生地の成形性が良く、二次加工適性が良好であるので、例えば食パンやロールパン等のパン類、ワッフル、クレープ、パンケーキ、ホットケーキ、スポンジケーキ、お好み焼、たこ焼き、大判焼、たい焼き等のベーカリー食品類、うどん、そうめん、ひやむぎ、そば、中華麺及びパスタ等の麺類、餃子皮及び春巻皮等の麺皮類、天ぷら、から揚げ、竜田揚げ、フリッター等の揚げ物類等の各種加工食品を製造するために好適に用いることができる。また得られる加工食品の外観、風味及び食感に優れたものとなる。詳細には、加工食品がパン類であれば、外観に優れ、苦みやえぐみが少なく良好な風味を有し、且つ柔らかく良好な食感を有するものとなる。また、加工食品が麺類であれば、白色で外観に優れ、苦みやえぐみが少なく良好な風味を有し、且つ弾力が強く良好な食感を有するものとなる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
各実施例及び比較例の熱処理小麦ふすまは、該小麦ふすまのみからなる粉状物であり、該小麦ふすまの水分量はいずれも8~9質量%の範囲であった。
各実施例及び比較例の熱処理小麦ふすまについて、その質量に対する食物繊維及び糖質含有量(質量%)は、上述の方法に基づいて測定した。結果を以下の表1に示す。
〔実施例1~6〕
原料小麦として、白小麦且つ中間質小麦であるASWを用い、これを精選してロール式粉砕機にて粉砕し、その粉砕物を目開き200μmの篩で分級して、篩上残存物として未処理の小麦ふすまを採取した。
次いで、採取した未処理の小麦ふすまを、ターボミル(東京製粉機製作所製)を用いて衝撃的粉砕を行い、平均粒径が240μm程度となるように粗粉砕を行った。この粗粉砕物に対して、SVロースターHOTMAX(中西製作所)を用いて、以下の表1に記載の温度及び時間で蒸気流量100kPaにて、過熱水蒸気を接触させて熱処理を行った。
その後、熱処理後の小麦ふすまを衝撃式微粉砕機(ACMパルベライザー,ホソカワミクロン製)を用いて微粉砕し、その微粉砕物を目開き150μmの篩を用いて分級し、篩を通過する粒径150μm未満のふすま画分を分取し、目的とする熱処理小麦ふすまを得た。この熱処理小麦ふすまの平均粒径は90μmであった。
食物繊維及び糖質の各含有量が異なる画分は、ロール式粉砕及び衝撃的粉砕の粉砕条件を適宜調整することによって得た。
〔比較例1〕
熱処理後の小麦ふすまに対して、微粉砕処理を行わなかった以外は、実施例3と同様の条件で過熱水蒸気を接触させて、目的とする熱処理小麦ふすまを得た。この熱処理小麦ふすまの平均粒径は240μmであった。食物繊維及び糖質の各含有量が異なる画分は、ロール式粉砕及び衝撃的粉砕の粉砕条件を調整することによって得た。
〔比較例2~3〕
原料小麦として、ASWに代えて、赤小麦且つ硬質小麦であるNo.1カナダ・ウエスタン・レッド・スプリング(1CW、カナダ産)を用いた。また過熱水蒸気による熱処理に代えて、特開2004-9022号公報に記載の熱処理撹拌装置と同様の構成の装置を用いて、品温が120℃となるように25分間加熱して乾熱処理を行った以外は、実施例1と同様の方法で熱処理小麦ふすまを得た。
〔比較例4〕
原料小麦として1CWを用いた以外は、実施例1と同様の方法で熱処理小麦ふすまを得た。
〔比較例5~6〕
原料小麦として、白小麦且つ軟質小麦であるウエスタンホワイト(WW、アメリカ合衆国産)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で熱処理小麦ふすまを得た。
〔評価1:パンの製造〕
各実施例及び比較例の熱処理小麦ふすまと、以下に示す原材料とを以下に示す割合で混合して生地を調製し、以下のパン製造工程を経て、二次加工品(加工食品)であるパンを製造した。パンの製造時における生地の加工性(二次加工性)、並びに、得られたパンの風味及び食感について、10名の専門パネラーに製造及び喫食させた。パネラーによる各実施例及び比較例の評価は、比較例2のものを「対照例」とし、これを用いて製造及び喫食したときの評価点数をそれぞれ「2点」に設定して、以下に示す評価基準で評価をさせた。結果を算術平均値として以下の表1に示す。
<パンの原材料>(以下に示す原材料の単位は「質量部」である。)
・小麦粉(強力粉) :80
・熱処理小麦ふすま :20
・グルテン :7
・生地改良剤 :0.1
・イースト :3
・食塩 :2
・上白糖 :6
・脱脂粉乳 :2
・ショートニング :5
・水 :81
(グルテン:H-10、小川製粉製。生地改良剤:Cフード、オリエンタル酵母工業製。)
<パン製造工程>
各原材料をミキシング装置(関東混合機株式会社製、縦型ミキサーHPi-20M)に投入して、品温28℃、低速7分、中低速10分、中高速2.5分の順序で混合して、生地(ドウ)を調製した。この生地を27℃、75%RHの条件下で60分静置して発酵させた。発酵した生地を450gごとに分割して、ベンチタイムを20分として静置した。これらの生地をロール状に成形したものをワンローフ用食パン型に入れて、32℃、85%RHの条件下で50分静置してホイロを行った。最後に、ホイロ後の生地を210℃、30分間焼成し、実施例及び比較例の熱処理小麦ふすまを含む食パンを得た。
<パンの二次加工性評価>
5点:生地が対照例(比較例2)よりも非常にまとまりやすく、非常に優れた二次加工性を有する。
4点:生地が対照例よりもまとまりやすく、二次加工性が良好である。
3点:生地が対照例よりもある程度まとまりやすく、二次加工性がやや良好である。
2点:対照例と同等の二次加工性を有する。
1点:生地が対照例よりもまとまりにくく、二次加工性が悪い。
<パンの食感(ざらつき)>
5点:対照例(比較例2)よりも非常に滑らかな口当たりであり、食感に非常に優れる。
4点:対照例よりも滑らかな口当たりであり、食感に優れる。
3点:対照例よりも口当たりがよく、食感がやや良好である。
2点:対照例と同等の食感である。
1点:対照例よりもざらつきを感じ、食感が悪い。
<パンの食感(歯切れ)>
5点:対照例(比較例2)よりも歯切れが非常に良く、食感に非常に優れる。
4点:対照例よりも歯切れが良く、食感に優れる。
3点:対照例よりも歯切れが感じられ、食感がやや良好である。
2点:対照例と同等の食感である。
1点:対照例よりも歯切れが悪く、食感が悪い。
<パンの風味(えぐみ)>
5点:対照例(比較例2)と比較して、えぐみを感じないか、又は非常に弱く感じるものであり、風味に非常に優れる。
4点:対照例と比較してえぐみを弱く感じるものであり、風味に優れる。
3点:対照例と比較してえぐみをやや弱く感じるものであり、やや良好な風味である。
2点:対照例と同等の風味である。
1点:対照例と比較してえぐみを強く感じ、風味が悪い。
Figure 2022150940000001
表1に示すように、ASW由来の小麦ふすまを過熱水蒸気に接触させることによって、二次加工性に優れ、且つ風味及び食感に優れた加工食品を製造可能な熱処理小麦ふすまを得ることができる。

Claims (4)

  1. オーストラリア・スタンダード・ホワイト由来の小麦ふすまと過熱水蒸気と接触させて、該小麦ふすまを熱処理する工程を備え、
    平均粒径が30~180μmである、熱処理小麦ふすまの製造方法。
  2. 食物繊維含量が40質量%以上であり且つ糖質含量が20質量%以下である前記熱処理小麦ふすまを得る、請求項1に記載の製造方法。
  3. 温度が150~450℃である前記過熱水蒸気を0.5~10分間接触させる、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法によって得られた熱処理小麦ふすまを、穀粉類100質量部に対して1~60質量部用いる、加工食品の製造方法。

JP2021053766A 2021-03-26 2021-03-26 熱処理小麦ふすまの製造方法、及び加工食品の製造方法 Pending JP2022150940A (ja)

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