JP5782270B2 - 洋菓子類製造用米粉ブレンド粉とそれを用いた洋菓子類 - Google Patents

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Description

本発明は、軟質小麦粉とアルカリ処理米粉を適当量配合した洋菓子製造適性に優れた菓子類用米粉ブレンド粉に関する。更に詳しくは、本発明は、従来の菓子類用米粉ブレンド粉に比べて格段に洋菓子製造適性に優れた、軟質小麦粉とアルカリ処理米粉とのブレンド粉とそれを用いて製造される品質良好な洋菓子類に関するものである。
従来、米は米飯として、粒食の用途が大部分であり、粉食用途としては団子、米菓、打物等の和菓子に限られ、小麦粉の様な広範囲の加工利用は行われてこなかった。しかしながら、最近、米を多量の損傷澱粉を出すことなく微粉砕する技術が開発され、米粉の広範囲の加工利用技術が開発されつつある。
しかしながら、これまでの検討は主に米粉の製粉方法の改善と得られた米粉を洋菓子に利用するための製法の改良について行われてきた。米粉の製粉方法については、例えば、特許文献1〜3に記載があり、米粉を洋菓子に利用するための製法の改良については、特許文献4〜5に記載がある。
特開平4−287652号公報 特開平11−32706号公報 特開2000−175636号公報 特開2010−263869号公報 特開2009−213379号公報
これらの技術によって米粉の菓子製造適性等はかなり向上したが、その菓子製造適性は未だに薄力小麦粉のそれには遙かに劣る状況である。洋菓子類の大部分を占める食品は、スポンジ生地とバター生地から製造される。前者から製造されるものとしては、スポンジケーキ、シフォンケーキ等がある。これらの食品は、主に鶏卵の気泡性により焼成後の膨らみと軽い食感が得られる。後者から製造される食品としてはパウンドケーキやクッキーがあり、主にバターやショートニング等の油脂の気泡性や膨張剤(気泡剤)により焼成後の膨らみと軽い食感が得られる。
現状では、特に米粉を用いてスポンジ生地やバター生地の洋菓子類を製造する場合に、米粉の洋菓子製造適性を一定レベルに維持するため、調達しやすい外国産の低タンパク小麦粉を米粉に混合して使用したり、米粉に適量のグルテンを添加してその品質を一定レベルに維持している。しかし、前者の外国産の小麦(外麦)を挽いた小麦粉を使用した洋菓子類は、国内産の小麦(内麦)を挽いた小麦粉を使用した洋菓子類に比べて風味が劣ると評価され、また後者の場合は、添加するグルテンが独特の不快な風味(グルテン臭)を持つため、得られた食品の風味が非常に劣るという欠点も持っている。このような理由から、米粉を用いて十分な品質の菓子類、特に、洋菓子類が製造できていないのが現状である。
このような状況から、グルテン無添加の米粉ブレンド粉を用いた洋菓子類の製造において、小麦粉並又はそれ以上の洋菓子製造適性が強く望まれていると共に、本ブレンド粉を用いた小麦粉製品並み又はそれ以上の品質で、且つ、米粉の良好な特徴が発揮された特徴的洋菓子類の製造技術と開発が強く求められている。
本発明の目的は、米粉と小麦粉とのブレンド粉であって、グルテンを用いることなく、小麦粉並又はそれ以上の洋菓子製造適性を有する、米粉ブレンド粉を提供することにある。さらに本発明は、このブレンド粉を用いて、米粉の良好な特徴が発揮された特徴的洋菓子類を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決するための米粉の製造方法、米粉にブレンドする軟質小麦粉のタンパク質含量と特性、米粉と軟質小麦粉のブレンド割合等について鋭意研究した結果、本発明を完成した。
本発明は以下の通りである。
[1]
タンパク質含量が6質量%〜10.5質量%の範囲である軟質小麦粉を95質量部〜50質量部およびアルカリ処理米粉を5質量部〜50質量部含有する洋菓子類製造用ブレンド粉であって、但し、軟質小麦粉およびアルカリ処理米粉の合計を100質量部とし、前記アルカリ処理米粉は、平均粒径が3.0μm以上20.0μm以下、損傷澱粉量が0.5質量 %以上5.0質量%以下、タンパク質含量が0.01質量%以上1.0質量%以下で、且つ、非澱粉性糖類が1.0質量%以上2.0質量%以下の米粉である、前記ブレンド粉。
[2]
粉末グルテンを含有しない、[1]に記載のブレンド粉。
[3]
前記洋菓子類が、スポンジケーキ類、パウンドケーキ類、シフォンケーキ類、蒸しケーキ類、カステラ類、ドーナツ類、およびビスケット類から成る群から選ばれる少なくとも1種の洋菓子類である[1]または[2]に記載のブレンド粉。
[4]
前記米粉が以下の工程(1)〜(3)を含む方法で製造される米粉である、[1]〜[3]のいずれかに記載のブレンド粉。
(1)生米粒をアルカリ性水溶液とともに粉砕処理するか、または生米粒を粉砕した米粉をアルカリ性水溶液に浸漬処理し、処理後の米粉とアルカリ性水溶液とを分離する工程、
(2)分離した米粉をアルカリ性水溶液に浸漬処理し、処理後の米粉とアルカリ性水溶液とを分離する工程、但し、この工程は、1回または2回以上行う、
(3)得られた米粉を、任意に水洗及び/又は中和した後に、脱水及び/又は乾燥して米粉を得る工程
[5]
[1]〜[4]のいずれかに記載のブレンド粉を用い、かつ粉末グルテンを用いることなく洋菓子類を製造する、洋菓子類の製造方法。
[6]
洋菓子類が、スポンジケーキ類、パウンドケーキ類、シフォンケーキ類、蒸しケーキ類、カステラ類、ドーナツ類、およびビスケット類から成る群から選ばれる少なくとも1種の洋菓子類である[5]に記載の製造方法。
[7]
[1]〜[4]のいずれかに記載のブレンド粉を用い、かつ粉末グルテンを用いることなく製造された洋菓子類。
[8]
洋菓子類が、スポンジケーキ類、パウンドケーキ類、シフォンケーキ類、蒸しケーキ類、カステラ類、ドーナツ類、およびビスケット類から成る群から選ばれる少なくとも1種の洋菓子類である[7]に記載の洋菓子類。
即ち、本発明は、生米粒または米粉の適当なアルカリ処理により損傷澱粉量が非常に少なく、且つ、非常に粒径が小さく、ブレンドした場合の菓子製造適性が画期的に良好な米粉に、菓子製造適性の良好な低タンパク質含量の軟質小麦粉を適当量ブレンドすることによって、グルテン無添加で従来に比べ、洋菓子製造適性の非常に良好な米粉ブレンドを開発し、これを用いることによって小麦粉製品並み又はそれ以上の品質で、且つ、米粉の良好な特徴が発揮された特徴的洋菓子類を提供するものである。
本発明の「洋菓子類製造用米粉ブレンド粉とそれを用いた洋菓子類」によれば、グルテン無添加の本発明の米粉ブレンド粉を用い米粉ブレンド粉の洋菓子製造適性を飛躍的に改善することができる。この効果は主に洋菓子製造適性が飛躍的に改善されたアルカリ処理米粉と低タンパク質含量の軟質小麦粉の併用の効果である。これにより、市販薄力小麦粉からの洋菓子類と同等かそれ以上の高品質の各種洋菓子類を米粉ブレンド粉を用いて製造することが可能になる。その結果、従来外麦薄力小麦粉を主に用いて製造されていた洋菓子類を国内産、地域産の米粉、小麦粉を用いて製造することが可能になり、従来主に粒食に向けられていた米の消費の拡大と国内産、地域産小麦の需要拡大に多大の寄与が期待される。
[ブレンド粉]
本発明は、タンパク質含量が6質量%〜10.5質量%の範囲である軟質小麦粉を95質量部〜50質量部およびアルカリ処理米粉を5質量部〜50質量部含有する洋菓子類製造用ブレンド粉である。但し、軟質小麦粉およびアルカリ処理米粉の合計を100質量部とする。
前記アルカリ処理米粉は、平均粒径が3.0μm以上20.0μm以下、損傷澱粉量が0.5質量 %以上5.0質量%以下、タンパク質含量が0.01質量%以上1.0質量%以下で、且つ、非澱粉性糖類が1.0質量%以上2.0質量%以下の米粉である。
<小麦粉>
本発明のブレンド粉で用いる軟質小麦粉とは、玄麦の硬さが柔らかく、一般にタンパク質含量が少ない軟質小麦から調製される中力小麦粉、薄力小麦粉とそれらのブレンド粉が包含されるが、中力小麦粉、薄力小麦粉として利用可能な小麦粉であれば特に制限は無い。本軟質小麦粉のタンパク質含量は、水分含量13.5%ベースで伊藤らの方法(Ito et al., Food Sci. Technol. Res., 13, 121-128(2007))によって近赤外分光法によって測定された値と定義する。グルテン無添加の本発明の菓子製造適性良好な本発明の米粉ブレンド粉を調製するために適正な小麦粉のタンパク質含量は、6質量%以上10.5質量%以下、好ましくは7質量%以上9質量%以下である。また、本米粉ブレンドの菓子製造適性をより高めるためには、小麦粉のグルテンの特性は弱い方が好ましく、タンパク質含量が低くよりグルテンの弱い薄力的特性の小麦粉を使用する方がより好ましい。
本発明の米粉ブレンド粉に使用される小麦粉は、小麦粉中の澱粉のアミロース含量が26質量%以上であり、その小麦粉の吸水が60質量%以下であることが好ましい。更に、アミロース含量が質量27%以上であり、その小麦粉の吸水が58質量%以下であることがより好ましい。
なお、本発明において、小麦粉、米粉の質量はすべて13.5%水分ベースの質量であり、米粉ブレンド粉の小麦粉、米粉の質量パーセントもすべて13.5%水分ベースの質量に基づく質量%である。本発明の小麦粉澱粉のアミロース含量は、Miura and Taniiらの方法により、Auto Analyzer System II(Bran+Lubbe Co., Ltd、現在はビーエルテック社)を用いて比色法で測定した値と定義する(Miura, T. and S. Tanii: Euphytica, 72, 171-175 (1994))。また、小麦粉の吸水は、AACC法(Approved Methods of the AACC, 54-21 The Association, St. Paul, MN(1991))によりファリノグラフにおいて500BUを示す吸水と定義する。
本発明の洋菓子類製造用ブレンド粉においては、上記軟質小麦粉を95質量部〜50質量部およびアルカリ処理米粉を5質量部〜50質量部含有する。但し、小麦粉およびアルカリ処理米粉の合計を100質量部とする。アルカリ処理米粉が5質量部未満では、アルカリ処理米粉を含有することによって洋菓子類に付加される食感の良さ等の特長が顕著に現れず、アルカリ処理米粉が50質量部を超えると洋菓子類のボリュームが低下し、内相(小欠)がつぶれ食感が重くなり、食味が悪化する。上記範囲の含有量のアルカリ処理米粉を添加した米粉ブレンド粉を用いることによって、良好な食感、食味の洋菓子類を調製することができる。この観点から、本発明の洋菓子類製造用ブレンド粉においては、アルカリ処理米粉を10質量部〜40質量部含有することが好ましい。さらに好ましくは、アルカリ処理米粉を10質量部〜30質量部含有することが好ましい。これらの範囲で米粉ブレンド粉を用いることによって、良好な食感、食味の洋菓子類を調製することができる。
<アルカリ処理米粉>
本発明において用いるアルカリ処理米粉は、平均粒径が3.0μm以上20.0μm以下、損傷澱粉量が0.5質量%以上5.0質量%以下、タンパク質含量が0.01質量%以上1.0質量%以下で、且つ、非澱粉性糖類が1.0質量%以上2.0質量%以下である。米粉は、好ましくは、平均粒径が6.0μm以上18.0μm以下、損傷澱粉量が0.8質量%以上3.0質量%以下、タンパク質含量が0.1質量%以上0.8質量%以下で、且つ、非澱粉性糖類が1.2質量%以上1.9質量%以下である。米粉は、さらに好ましくは、平均粒径が10.0μm以上17.0μm以下、損傷澱粉量が0.9質量%以上2.0質量%以下、タンパク質含量が0.2質量%以上0.7質量%以下で、且つ、非澱粉性糖類が1.3質量%以上1.8質量%以下である。
本発明で用いるアルカリ処理米粉は、平均粒径が3.0μm以上20.0μm以下である。平均粒径が3.0μm未満になると、洋菓子類の製造過程で本米粉に水分を加えて生地を形成する際にまとまりにくく、製造された洋菓子類の形状、内相等が劣化する傾向があり、20.0μmを超えると、製造された洋菓子類が十分に膨らまず、食感が粗くなり、風味も劣る傾向がある。
本発明で用いるアルカリ処理米粉は、損傷澱粉量が0.5質量%以上5.0質量%以下であることで、本発明の米粉ブレンド粉を用いて製造した洋菓子類が、市販の小麦粉のみで製造した洋菓子類と同等又はそれ以上の品質で、かつ米粉がもたらす良好な食感等の特徴が付与されるという利点がある。損傷澱粉量を0.5質量%未満にするためには、製造工程が複雑となってコストがかかるという問題があり、5.0質量%を超えると製造された洋菓子類は十分に膨らまず、食感と風味が劣るという問題がある。
本発明で用いるアルカリ処理米粉は、タンパク質含量が0.01質量%以上1.0質量%以下であることで、本発明の米粉ブレンド粉、例えば小麦粉の約4分の1量をアルカリ処理米粉で置き換えて製造した洋菓子類が、市販の小麦粉のみで製造した洋菓子類と同等又はそれ以上の品質で、かつ米粉がもたらす良好な食感等の特徴が付与されるという利点がある。タンパク質含量を0.01質量%未満にするためには、製造工程が複雑となってコストがかかるという問題があり、1.0質量%を超えると製造された洋菓子類は十分に膨らまず、食感と風味は劣り、洋菓子類の品質が低下するという問題がある。
本発明で用いるアルカリ処理米粉は、非澱粉性糖類が1.0質量%以上2.0質量%以下であることで、本発明の米粉ブレンド粉を用いて製造された洋菓子類が、市販の小麦粉のみで製造した洋菓子類と同等又はそれ以上の品質で、かつ米粉がもたらす良好な食感等の特徴が付与されるという利点がある。非澱粉性糖類が1.0質量%未満にするためには、製造工程が複雑となってコストがかかるという問題があり、2.0質量%を超えると製造された洋菓子類は十分に膨らまず、食感と風味が劣り、各種洋菓子類の品質が低下するという問題がある。
なお、上記の方法によって得られたアルカリ処理米粉の平均粒径は、Sympatec社(ドイツ)のHELOS Particle Size Analysisを用いて水分含量12.0質量%から14.0質量%の範囲の試料を用いて測定される平均粒径の値と定義される。また、損傷澱粉量は、乾物試料ベースでメガザイム社(アイルランド)のstarch damage assay kitを用いて測定される損傷澱粉量(質量%)と定義される。本米粉のタンパク質含量は、乾物試料ベースで標準ケルダール法で求めた値(%)と定義する。また、本米粉の非澱粉性糖類の含量は、乾燥試料ベースの値(%)であり、測定値は全乾物試料質量を100%とし、それから酵素法により求めた乾物試料ベースでの澱粉含量(質量%)と上記のタンパク質含量(%)を差し引いて求めた値(%)と定義する。
乾物試料ベースでの試料中の澱粉含量の値(%)は以下のように測定する。試料0.1〜0.2gに50%エタノール水溶液を添加混合し上清を除去することによって低分子の糖を除去する。次に、十分量の水を添加したサンプルをほぼ100℃で3分間加熱し、完全に澱粉を糊化させる。このサンプルを冷却後グルコアミラーゼ剤(日本バイオコン株式会社製)を十分量添加し、37℃、2時間インキュベートし、澱粉を完全に分解する。この分解サンプルを適当な濾紙で濾過し濾液中のグルコース量をグルコース測定キットを用いて測定する。得られたグルコース量から以下の式によって乾物試料当たりの澱粉含量(%)を計算によって求める。
乾物試料当たりの澱粉含量(%)=グルコース量(g)×0.9/乾物試料質量(g)×100
本発明のアルカリ処理米粉とは、以下の方法によって調製され、以下に示す分析値を示す米粉と定義する。
本発明の米粉の製造方法は、以下の工程(1)〜(3)を含む。
(1)生米粒をアルカリ性水溶液とともに粉砕処理するか、または生米粒を粉砕した米粉をアルカリ性水溶液に浸漬処理し、処理後の米粉とアルカリ性水溶液とを分離する工程、
(2)分離した米粉をアルカリ性水溶液に浸漬処理し、処理後の米粉とアルカリ性水溶液とを分離する工程、但し、この工程は、1回または2回以上行う、
(3)得られた米粉を、任意に水洗及び/又は中和した後に、脱水及び/又は乾燥して米粉を得る工程
工程(1)
工程(1)では、生米粒をアルカリ性水溶液とともに粉砕処理するか、または生米粒を粉砕した米粉をアルカリ性水溶液に浸漬処理する。米原料の種類は特に限定は無く、例えば、粳種、糯種、長粒種、中粒種、短粒種など種々のものが使用できる。また、米粒は、通常精米が使用され、例えば、70〜90質量%の精米歩合のものを使用することができる。70〜90質量%の精米歩合のものを使用することで、アルカリ処理の効果が首尾良く発揮され、望ましい特性の米粉を効率的に調製することができるという利点がある。
アルカリ性水溶液としては、例えば、NaOH水溶液が用いられるがそれに限定されるものではない。食品製造に使用可能なアルカリ性の物質溶液でNaOH水溶液と同様の塩基度、効果を発揮するアルカリ物質の水溶液であればいずれのも使用することができる。アルカリ物質としては、Na、K、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物や炭酸塩等いずれも用いることができる。米粒をアルカリ性水溶液に浸漬して米粉を調製する場合は、浸漬処理した米粒を水挽き方式の粉砕機(グラインダー方式粉砕機、石臼式製粉機、胴搗粉砕機等)を用いて粉砕する。生米粒を粉砕した米粉をアルカリ性水溶液に浸漬処理する場合には、事前に、生米粒を乾式または湿式粉砕し、得られた米粉をアルカリ性水溶液に浸漬処理する。
アルカリ性水溶液としては、例えば、0.2質量%(0.05規定)から5質量%(1.25規定)、好ましくは0.2質量%(0.05規定)から3質量%(0.75規定)のNaOH溶液相当の塩基度のアルカリ水溶液を用いる。上記濃度範囲のアルカリ性水溶液を用いることで、米粉の澱粉が糊化することなく、タンパク質、損傷澱粉、非澱粉性糖類が容易に除去されるというという利点がある。タンパク質、損傷澱粉、非澱粉性糖類の除去は、このアルカリ性水溶液中に、米粒または米粉を、1℃から40℃の温度範囲、好ましくは3℃から10℃の範囲で8から24時間好ましくは10から15時間浸漬することで行うことができる。この範囲の温度及び時間とすることで、本発明の所望の米粉を得ることができる。米粒または米粉のアルカリ処理用のアルカリ性水溶液の量は、米粒または米粉に対して6から10倍量、好ましくは7から9倍量である。この範囲の量とすることで、本発明の所望の米粉を得ることができる。但し、アルカリ処理効果が十分に発揮できる割合であれば、温度、時間及び量には、特に制限はない。
浸漬処理後、遠心分離、デカンテーション等の操作でアルカリ性水溶液の上清を除去する。
工程(2)
工程(2)では、工程(1)で分離した米粉を、再度、0.2質量%(0.05規定)から5質量%(1.25規定)、好ましくは0.2質量%(0.05規定)から3質量%(0.75規定)のアルカリ性水溶液に浸漬処理し、処理後の米粉とアルカリ性水溶液とを分離する。アルカリ性水溶液への浸漬処理は、工程(1)と同様の条件で実施してもよいし、工程(1)と異なる条件で実施してもよい。但し、このアルカリ性水溶液のアルカリ度や浸漬温度、時間及び量は、工程(1)の説明を参照することができる。浸漬処理後の分離は、遠心分離、デカンテーション等の操作によって上清のアルカリ水溶液を除去することが行う。工程(2)では、このアルカリ性水溶液への浸漬および分離を1回または2回以上行う。2回以上行う場合、繰り返しの回数は、米粉のアルカリ処理の度合い等を考慮して、適宜決定することができ、例えば、10回までの範囲で実施できる。但し、上限は10回に限定される意図ではない。必要により10回を超える回数のアルカリ性水溶液への浸漬および分離を実施することもできる。繰返し操作におけるアルカリ性水溶液への浸漬条件や分離条件は、各回同一でも異なってもよい。
工程(3)
工程(3)では、工程(2)で分離した米粉を、脱水及び/又は乾燥して米粉を得る。脱水及び/又は乾燥前には、任意で、水洗及び/又は中和をすることもできる。中和処理に使用する酸は食品用に利用できる酸であれば特に限定はなく、例えば、塩酸、硫酸、亜硫酸などの無機酸や酢酸、乳酸、クエン酸などの有機酸やこれらの塩の単独もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。中和処理後の水洗は、通常大過剰の水を加えた後、中和処理した米粉混合液を良く混合し、遠心分離、デカンテーション等の操作によって、上清の分離と脱水を行う。中和処理後の水洗は、一回でも目的を達成できるが、好ましくは中和処理によって生成する塩類、可溶性タンパク質、非澱粉性糖類等を極力除去するため3回程度行うことが好ましい。
上清の分離と脱水後の乾燥は、通常行われる乾燥法(通風乾燥、棚式乾燥、チューブドライヤー乾燥、ドラムドライヤー乾燥等)のいずれの方法も採用可能であるが、米粉の澱粉の糊化が起こらない50℃以下の温度で乾燥することが好ましい。
上記のアルカリ溶液処理により、本発明が目的とする米粉の調製は可能であるが、より高品質の本発明の米粉を調製するためには、アルカリ、中和処理の前後でタンパク質分解酵素または細胞壁溶解酵素を含有した溶液中での処理が有効である。この操作により、得られる米粉のタンパク質、非澱粉性糖類の含量を効率的に低下でき、得られる米粉の品質をより向上させることができる。これらの酵素処理は、原料米粒又はその粉砕した米粉に対して、アルカリ、中和処理の前後でタンパク質分解酵素又は細胞壁溶解酵素を含有した水溶液による浸漬処理を単独又は複数組み合わせて施すことが望ましい。本処理により米粒又は米粉中のタンパク質、非澱粉性糖類が首尾良く分解され、アルカリ浸漬、洗浄工程でより効率的にタンパク質、非澱粉性糖類が除去される。
上記タンパク質分解酵素としては、例えば、各種酸性、中性又はアルカリ性プロテアーゼなどのタンパク質を分解する作用のある酵素すべてが包含されるが、タンパク質の除去効率向上にはエンド型プロテアーゼがより効果的である。これらの酵素は、混合して使用しても良く、また、目的の活性を持っていれば純粋酵素である必要は無く、粗酵素でも使用できる。タンパク質分解酵素水溶液による浸漬条件は、米粒又は米粉の平均粒径や粒度分布、アルカリ、中和処理の前後のどちらで酵素処理を行うかによってその条件は最適化する必要があるが、基本的には約0.005〜0.5%の酵素液に20〜50℃の範囲好ましくは25〜40℃の範囲で0.5〜24時間の範囲で、更に好ましくは3〜10時間の範囲で浸漬すれば良く、個々の条件を勘案し適宜最適条件を設定する。
上記細胞壁溶解酵としては、例えば、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、マセレーティング酵素などの植物細胞壁を溶解する作用のある酵素を用いる。これらの酵素は、混合して使用しても良く、また、目的の活性を持っていれば純粋酵素である必要は無く、粗酵素でも使用できる。細胞壁溶解酵素水溶液による浸漬条件は、米粒又は米粉の平均粒径や粒度分布、アルカリ、中和処理の前後のどちらで酵素処理を行うかによってその条件は最適化する必要があるが、基本的には約0.005〜0.5%の酵素液に20〜50℃の範囲好ましくは25〜40℃の範囲で0.5〜24時間の範囲で、更に好ましくは3〜10時間の範囲で浸漬すれば良く、個々の条件を勘案し適宜最適条件を設定する。
タンパク質分解酵素または細胞壁溶解酵素を含有した溶液中での処理、水洗及び/又は中和の後、150メッシュのベントシーブなどにより篩別を行い、粗粒や細胞壁成分の除去を行い、その後乾燥という操作で米粉を調製することが好ましい。
上記のアルカリ溶液処理により、本発明が目的とする米粉の調製は可能であるが、より高品質のアルカリ処理米粉を調製するためには、乾燥処理後の米粉をさらに乾式または湿式粉砕することが有効である。この処理により、得られる米粉の平均粒径を本発明の範囲内で効率的に低下でき、得られる米粉の洋菓子製造適性をより向上させることができる。
上記の方法によって、平均粒径が3.0μm以上20.0μm以下、損傷澱粉量が0.5質量%5.0質量%以下以上、タンパク質含量が0.01質量%以上1.0質量%以下で、且つ、非澱粉性糖類が1.0質量%以上2.0質量%以下である米粉が得られる。条件を上記で説明した範囲で調整することで、上記本発明のブレンド粉に用いることが好ましい、平均粒径が6.0μm以上18.0μm以下、損傷澱粉量が0.8質量%以上3.0質量%以下、タンパク質含量が0.1質量%以上0.8質量%以下で、且つ、非澱粉性糖類が1.2質量%以上1.9質量%以下である米粉を製造できることができる。さらに、条件を上記で説明した範囲で調整することで、上記本発明のブレンド粉に用いることがさらに好ましい、平均粒径が10.0μm以上17.0μm以下、損傷澱粉量が0.9質量%以上2.0質量%以下、タンパク質含量が0.2質量%以上0.7質量%以下で、且つ、非澱粉性糖類が1.3質量%以上1.8質量%以下である米粉を製造できることができる。
平均粒径は、主に、工程(1)における粉砕と工程(3)において任意に実施される篩別の条件によって制御できる。損傷澱粉量は、主に、工程(1)及び(2)における浸漬時間、及び処理後の米粉とアルカリ性水溶液とを分離する回数によって制御できる。タンパク質含量は、主に、工程(1)及び(2)における浸漬時間、及び処理後の米粉とアルカリ性水溶液とを分離する回数によって制御できる。非澱粉性糖類量は、主に、工程(1)及び(2)における処理後の米粉とアルカリ性水溶液とを分離する回数によって制御できる。
本発明の米粉の特徴は、小麦粉に本米粉をブレンドしたブレンド粉の洋菓子製造適性が従来の米粉に比べ格段に優れていることにある。この効果により、従来不可能であったグルテンを添加しない高品質の各種洋菓子類の製造が、本米粉と高品質の低タンパク質の軟質小麦粉を適当にブレンドすることによって可能となる。すなわち、米粉を利用した高品質で、且つ、米粉の良好な特徴を発揮したグルテンフリーの各種洋菓子類の製造が可能になる。
本発明の米粉ブレンド粉の特徴は、主に従来の米粉に比べ格段に洋菓子製造適性に優れたアルカリ処理米粉とタンパク質含量の低い洋菓子製造適性に優れた軟質小麦粉とを併用していることにある。この効果により、従来に比べグルテンを加えずに格段に高品質な洋菓子類を製造することが可能になった。また、本発明の米粉ブレンド粉は、グルテン無添加であるため粉末グルテン特有のグルテン臭が製品に無く、風味面でも従来の米粉製品に比べ格段に良好な製品の製造が可能である。
本発明は、上記本発明のブレンド粉を用いて洋菓子類を製造する、洋菓子類の製造方法を包含する。さらに本発明は、本発明のブレンド粉を用いて製造された洋菓子類を包含する。
本発明の洋菓子類としては、本発明の米粉ブレンド粉に、その他の穀粉、卵、油脂(含バター)、糖類、粉乳(含牛乳)、膨張剤、食塩、調味料、香料、乳化剤、色素、酸化剤、還元剤、及び各種酵素類等の原料の全部または一部に、水、その他の物を加えて混合し製造されたスポンジ生地やバター生地を焼く、蒸す、揚げる等の加熱調理をすることによってできる洋菓子類のことである。例えば、スポンジケーキ、パウンドケーキ、シフォンケーキ、ホットケーキ、ロールケーキ、マドレーヌ、バウムクーヘン、カステラ、ドーナツ、シュークリーム、パイ、ビスケット、クッキー、クラッカー、蒸しケーキ等を挙げることができる。
〔実施例〕
次に表1〜2に示す試験例(比較例を含む)に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
表1に示す配合で種々の本発明の米粉ブレンドについて、以下に示すオールインワンミックス法で典型的なスポンジ生地であるスポンジケーキを製造し、スポンジケーキ適性評価を行なった。本実施例に使用した米粉の調製法を以下に示す。オールインワンミックス法とは、すべての原料を一度に添加し生地をミキシングし、主に全卵の気泡力で生地にガスを包含させて製造するスポンジケーキの製造法であり、試験結果に再現性があり、工場でのスポンジケーキの多量生産に適した方法であり、米粉ブレンド粉のスポンジ適性を的確に評価できる方法であるため採用した。
なお、本発明のすべての実施例、比較例において、配合は水分含量13.5%ベースの米粉ブレンド粉100に対する質量部で示した。すべての実施例の官能評価は、(独)農研機構・北海道農業研究センターの職員5人のパネラーによって、第1〜2表に示された項目について4段階評価(◎:非常に良好、○:良好、△:やや劣る、×:劣る)で行った。
以下に本発明の米粉ブレンド粉に使用した米粉の調製方法を示す。
アルカリ処理米粉A:精米した粳米の米粒200gに4℃に冷却した0.5質量%(0.125規定)のNaOH溶液1000mlを添加し、20℃前後で、12時間放置する。次に、水挽き方式の粉砕機で米粒を粉砕する。得られた米粉懸濁液を遠心分離し、上清のアルカリ溶液を除去する。遠心分離後の米粉沈殿物に0.5質量%(0.125規定)のNaOH溶液1000mlを添加し良く混合し20℃前後で、12時間放置し、遠心分離後上清のアルカリ溶液を除去する。次に、蒸留水1000mlを米粉沈殿物に添加し塩酸でpH7前後になるように中和処理する。この米粉懸濁液を同様に遠心分離し上清を除去する。この水洗操作を更に2回繰り返す(2回目以降は中和処理無し)。最後の水洗を終了した米粉沈殿は150メッシュの篩で篩別し、粗粒や細胞壁成分の除去を行なう。最後に得られた米粉沈殿物を40℃で通風乾燥後、乾燥粉末を乳鉢でマイルドに粉砕しアルカリ処理米粉Aを得た。アルカリ処理米粉Aの各種成分含量は以下のとおりである。平均粒径15.3μm、損傷澱粉量1.1%、タンパク質含量0.60%、非澱粉性糖類1.5%。
以下にスポンジケーキ製造工程、条件(オールインワンミックス法)を示す。
ミキシング :ミキサーボールに粉以外の材料を入るホイッパーを使い低速で30秒ミキシングする。次に、ミキサーボールに粉を一度に入れ生地比重が0.45±0.02になるまで中速でミキシングを行う。
生地の型入れ:生地を18cmの丸ケーキ型に350g入れ、空気抜きのため型を10cm位の高さから何度か落とし、台のうえで回転させる。
焼成 :ナショナルNE-F3オーブンにて天板を2枚ひいた160℃のオーブン45分焼成する。
冷却・保管 :焼き上がったら、15cmの高さから垂直に台の上に落とし、型から外して上向きに網にのせて約40分さまし、ポリエチレンの袋に2重に入れてシーラーでとめ、湿度70%、温度20℃で保管し、翌日官能評価を行う。
表1の結果から、本発明の米粉とタンパク質含量が10.5%以下の国産軟質小麦粉とのブレンド粉のスポンジケーキ製造適性(試験例1〜6)は、従来の米粉ブレンド粉(比較例1、2)のスポンジケーキ製造適性に比べ全般に良好な結果を示し、特に、食感(もちもち、しっとり)が非常に良好な評価であり、明らかに大きなボリュームを示した。市販薄力粉100%の比較例3と比較しても本発明の米粉ブレンド粉のスポンジケーキ適性は、同等程度であり、本発明の効果が非常に大きいことが判る。特に、試験例1、2、3、6の適度の量の本発明の米粉をブレンドした米粉ブレンド粉のスポンジケーキ適性は、総合的に最も優れていた。また、本発明の米粉とタンパク質含量が異なる3種の国産軟質小麦粉とを3:7でブレンドした粉を用いた例(試験例3、試験例6、参考例1)を比較すると、国産軟質小麦粉のタンパク質含量が10%未満である試験例3、試験例6におけるスポンジケーキ適性が非常に優れていた。
以上の結果から、本発明の効果は明らかであり、本発明の米粉ブレンド粉を用いることによって、従来の米粉ブレンド粉に比べ飛躍的に高品質の米粉ブレンド粉のスポンジケーキが得られ、その品質は市販薄力粉のスポンジケーキ並かそれ以上であることがわかる。
Figure 0005782270
1)アルカリ処理米粉A:平均粒径15.3μm、損傷澱粉量1.1%、タンパク質含量0.60%、非澱粉性糖類1.5%。
2)市販米粉:酵素処理気流製粉米粉、平均粒径51.7μm、損傷澱粉量3.8%、タンパク質含量7.4%、非澱粉性糖類2.5%。
3)市販上新粉:平均粒径81.8μm、損傷澱粉量11.8%、タンパク質含量6.9%、非澱粉性糖類2.5%。
4)市販道産中力小麦粉:きたほなみ1等粉(タンパク質含量9.6%、アミロース含量26.5%、吸水55)、江別製粉(株)製
5)市販国産薄力小麦粉:シロカネ小麦粉(タンパク質含量8.7%、アミロース含量28.0%、吸水53)、増田製粉(株)製
6)市販道産中力小麦粉:きたほなみ2等粉(タンパク質含量11.2%、アミロース含量26.5%、吸水60)、江別製粉(株)製
7)乳化油脂:メロディアップ、カネカ(株)製
8)スポンジケーキ評価、ケーキ生地調製時の生地状態、ケーキの外観、内相・色相、食感、風味、ボリュームの評価基準は以下の通りである。
◎:非常に良好、 ○:良好、 △:やや劣る、 ×:劣る
なお、各評価項目の評価の主な基準は以下の通りである。
ケーキ生地調製時生地状態:生地のホイップ時適当な粘度を示し、均一にガスを包含し適切な生地比重に短時間に到達する生地を調製時生地状態が良いと評価する。
外観:スポンジケーキが均一に良く膨らんでいるか、表面色が均一で良好であるか、外観、形状がきれいかどうかを主な評価基準として評価する。
内相・色相:スポンジケーキをカットした時の内相のキメ、マクが均一で色相が均一で良好かどうかで評価する。
食感:スポンジケーキを食した時の米粉スポンジケーキの独特のもちもち感があるかどうかで評価する。
風味:スポンジケーキとして良好な食味、香りがあるかどうかで評価する。
ボリューム:一定条件で製造したスポンジケーキのボリュームで評価する。
[実施例2]
表2に示すパウンドケーキ配合で種々の本発明の米粉ブレンド粉を用いて、以下に示す製造工程、条件で典型的なバター生地であるパウンドケーキを製造し、米粉ブレンド粉のパウンドケーキ適性を官能評価により評価した。
本法は、油脂(バター)と膨張剤(ベーキングパウダー)により生地にガスを包含させて製造するパウンドケーキの製造法であり、試験結果に再現性があり、かつ工場でのパウンドケーキの多量生産に適した方法であり、米粉ブレンド粉のパウンドケーキ適性を的確に評価できる方法であるため採用した。
以下にパウンドケーキの製造工程と条件を示す。
ミキシング :バターに砂糖を入れて白っぽくなるまでよくホイップする。これに溶き卵を3回に分けて加えよく混ぜる。ブレンド粉又は小麦粉とベーキングパウダーをふるいながら加え,ゴムべらで十分混合する。
型入れ :このパウンドケーキ生地全量を、内側にバターを塗った四角型に入れて、3センチ程度の高さから落としガスをぬく。
焼成 :型に入ったパウンドケーキ生地をオーブンで170℃に熱したオーブンで35分焼成する。
冷却 :パウンドケーキを型にいれたまま、常温で1値時間以上冷却する。
その後、官能評価を行う。
表2の結果から、本発明の米粉とタンパク質含量が10.5%以下の国産軟質小麦粉とのブレンド粉のパウンドケーキ製造適性(試験例7〜12)は、従来の米粉ブレンド粉(比較例4、5)に比べ全般に良好な結果を示した。特に、内相・色相及びボリュームが良好なパウンドケーキが得られた。市販薄力粉100%の比較例6のパウンドケーキと比較しても本発明の米粉ブレンド粉のパウンドケーキは、同等程度であり、本発明の効果が非常に大きいことが判る。特に、試験例10、12の米粉ブレンド粉のパウンドケーキ適性は最も良好な結果を示した。また、アルカリ処理米粉とタンパク質含量が異なる3種の国産軟質小麦粉とをそれぞれ3:7でブレンドした粉を用いた例(試験例9、試験例12、参考例2)を比較すると、タンパク質含量がより低い(8.7%)国産軟質小麦粉を用いた試験例12におけるパウンドケーキ適性が優れていた。
以上の結果から、本発明の効果は明らかであり、本発明の米粉ブレンド粉を用いることによって、主に油脂の気泡力を利用する典型的なバター生地の洋菓子であるパウンドケーキにおいても、従来の米粉ブレンド粉に比べ飛躍的に高品質の製品が得られ、その品質は市販薄力粉のパウンドケーキと同等であることがわかる。
Figure 0005782270
1)アルカリ処理米粉A:平均粒径15.3μm、損傷澱粉量1.1%、タンパク質含量0.60%、非澱粉性糖類1.5%。
2)市販米粉:酵素処理気流製粉米粉、平均粒径51.7μm、損傷澱粉量3.8%、タンパク質含量7.4%、非澱粉性糖類2.5%。
3)市販上新粉:平均粒径81.8μm、損傷澱粉量11.8%、タンパク質含量6.9%、非澱粉性糖類2.5%。
4)市販道産中力小麦粉:きたほなみ1等粉(タンパク質含量9.6%、アミロース含量26.5%、吸水55)、江別製粉(株)製
5)市販国産薄力小麦粉:シロカネ小麦粉(タンパク質含量8.7%、アミロース含量28.0%、吸水53)、増田製粉(株)製
6)市販道産中力小麦粉:きたほなみ2等粉(タンパク質含量11.2%、アミロース含量26.5%、吸水60)、江別製粉(株)製
7)パウンドケーキ評価、ケーキ生地調製時の生地状態、ケーキの外観、内相・色相、食感、風味、ボリュームの評価基準は以下の通りである。
◎:非常に良好、 ○:良好、 △:やや劣る、 ×:劣る
なお、各評価項目の評価の主な基準は以下の通りである。
ケーキ生地調製時生地状態:生地のミキシング時適当な物性を示し、均一にガスを包含し適切な生地状態に短時間に到達する生地を調製時生地状態が良いと評価する。
外観:パウンドケーキが均一に良く膨らんでいるか、表面色が均一で良好であるか、外観、形状がきれいかどうかを主な評価基準として評価する。
内相・色相:パウンドケーキをカットした時の内相のキメ、マクが均一で色相が均一で良好かどうかで評価する。
食感:パウンドケーキを食した時の米粉スポンジケーキの独特のもちもち感があるかどうかで評価する。
風味:パウンドケーキとして良好な食味、香りがあるかどうかで評価する。
ボリューム:一定条件で製造したパウンドケーキのボリュームで評価する。
本発明は、食品分野に有用である。

Claims (4)

  1. タンパク質含量が6質量%〜10.5質量%の範囲である軟質小麦粉を90質量部〜70質量部およびアルカリ処理米粉を10質量部〜30質量部含有するブレンド粉であって、但し、軟質小麦粉およびアルカリ処理米粉の合計を100質量部とし、前記アルカリ処理米粉は、平均粒径が10.0μm以上17.0μm以下、損傷澱粉量が0.9質量 %以上2.0質量%以下、タンパク質含量が0.2質量%以上0.7質量%以下で、且つ、非澱粉性糖類が1.3質量%以上1.8質量%以下の米粉である、前記ブレンド粉を用い、かつ粉末グルテンを用いることなく、スポンジケーキ生地を作製し、作製されたスポンジケーキ生地を焼成することを含む、スポンジケーキ類の製造方法
  2. 前記スポンジケーキ類が、もちもち感を有し、ボリュームの有るスポンジケーキ類である請求項に記載の製造方法
  3. 前記軟質小麦粉は、タンパク質含量が8.7質量%〜9.6質量%の範囲である請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記米粉が以下の工程(1)〜(3)を含む方法で製造される米粉である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法
    (1)生米粒をアルカリ性水溶液とともに粉砕処理するか、または生米粒を粉砕した米粉をアルカリ性水溶液に浸漬処理し、処理後の米粉とアルカリ性水溶液とを分離する工程、
    (2)分離した米粉をアルカリ性水溶液に浸漬処理し、処理後の米粉とアルカリ性水溶液とを分離する工程、但し、この工程は、1回または2回以上行う、
    (3)得られた米粉を、任意に水洗及び/又は中和した後に、脱水及び/又は乾燥して米粉を得る工程
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